(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109145
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
E02F9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182479
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022010017
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰松 俊介
(72)【発明者】
【氏名】辻村 勝義
(72)【発明者】
【氏名】大津 素晴
(72)【発明者】
【氏名】小山田 保幸
(72)【発明者】
【氏名】小谷 大地
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015BA01
(57)【要約】
【課題】油圧ポンプが作動油タンク内の作動油の液面よりも高い位置に配置される構成であっても、油圧ポンプの空回りによる損傷または故障を低減することができ、これによって油圧ポンプの設置の自由度を増大させることができる作業車両を提供する。
【解決手段】作業車両は、作動油を貯留する作動油タンクと、第1油圧ホースを介して作動油タンクと接続される油圧ポンプと、第2油圧ホースを介して油圧ポンプと接続される油圧機器と、を備える。油圧ポンプは、作動油タンク内の作動油の液面よりも高い位置に配置される。第2油圧ホースの少なくとも一部は、上記液面よりも低い位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を貯留する作動油タンクと、
第1油圧ホースを介して前記作動油タンクと接続される油圧ポンプと、
第2油圧ホースを介して前記油圧ポンプと接続される油圧機器と、を備え、
前記油圧ポンプは、前記作動油タンク内の前記作動油の液面よりも高い位置に配置され、
前記第2油圧ホースの少なくとも一部は、前記液面よりも低い位置に配置される、作業車両。
【請求項2】
前記第2油圧ホースは、
前記液面よりも低い位置に配置される中途部と、
前記中途部と前記油圧機器との間に配置されるとともに、前記液面以上の高さに配置される第1接続部と、
前記中途部と前記油圧ポンプとの間に配置されるとともに、前記液面以上の高さに配置される第2接続部と、を有する、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第2油圧ホースは、複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部は、
第1方向に往復で屈曲する第1屈曲部と、
前記第1方向とは異なる第2方向に往復で屈曲する第2屈曲部と、を有し、
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とは、異なる位置に設けられる、請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第2油圧ホースを支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記複数の屈曲部の少なくともいずれかを支持する、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記油圧機器は、前記液面よりも高い位置に配置される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第2油圧ホースは、前記作動油タンクの外面に沿って配策される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記作動油タンクは、レベルゲージを有し、
前記第2油圧ホースの少なくとも一部は、前記レベルゲージよりも低い位置に配置される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項8】
前記作動油タンクは、前記第2油圧ホースを保持する保持部を有する、請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記油圧ポンプは、前記作動油タンクに対して、前記作動油タンクの幅方向の一方側に配置される、請求項8に記載の作業車両。
【請求項10】
前記油圧機器は、前記作動油タンクに対して、前記幅方向の前記一方側に配置される、請求項9に記載の作業車両。
【請求項11】
前記保持部は、前記作動油タンクにおいて、前記幅方向の他方側に配置される、請求項9に記載の作業車両。
【請求項12】
前記保持部は、前記レベルゲージよりも低い位置に配置される低位保持部を含む、請求項8に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルなどの作業車両において、油圧ポンプの周りの配管構造をコンパクトにして、作業車両を小型化する試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、油圧ポンプが作動油タンク内の作動油の液面よりも高い位置に配置される構成では、エンジンを停止したとき、つまり、油圧ポンプの駆動を停止したときに、油圧ホースの配策の仕方によっては、油圧ポンプ内の作動油が油圧ホースを介して作動油タンク側に流れ、これによって油圧ポンプ内が空になることがある。この場合、次にエンジンを回転させて油圧ポンプの駆動を開始したときに、油圧ポンプが最初に空回りで駆動される(この現象は「エア噛み」とも呼ばれる)。このような油圧ポンプの空回りは、油圧ポンプの損傷または故障の原因となる。そのため、従来は、油圧ポンプを、作動油タンク内の作動油の液面よりも低い位置に配置せざるを得ず、油圧ポンプの配置位置に制約があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、油圧ホースの配策を工夫することにより、油圧ポンプが作動油タンク内の作動油の液面よりも高い位置に配置される構成であっても、油圧ポンプの空回りによる損傷または故障を低減することができ、これによって油圧ポンプの設置の自由度を増大させることができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る作業車両は、作動油を貯留する作動油タンクと、第1油圧ホースを介して前記作動油タンクと接続される油圧ポンプと、第2油圧ホースを介して前記油圧ポンプと接続される油圧機器と、を備え、前記油圧ポンプは、前記作動油タンク内の前記作動油の液面よりも高い位置に配置され、前記第2油圧ホースの少なくとも一部は、前記液面よりも低い位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、油圧ポンプが作動油タンク内の作動油の液面よりも高い位置に配置される構成であっても、油圧ポンプの空回りによる損傷または故障を低減することができ、これによって油圧ポンプの設置の自由度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る作業車両の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す側面図である。
【
図2】上記油圧ショベルの油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】上記油圧ショベルが備える上部旋回体の機関室の内部の構成を示す、左上後方からの斜視図である。
【
図4】上記機関室の内部の構成を示す、左後方からの斜視図である。
【
図5】上記機関室の内部の構成を示す背面図である。
【
図6】上記機関室の内部の構成を示す平面図である。
【
図7】上記機関室の内部の他の構成を示す斜視図である。
【
図8】上記機関室の内部の上記他の構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0010】
〔1.作業車両〕
図1は、本実施形態の作業車両の一例である油圧ショベル1の概略の構成を示す側面図である。油圧ショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4と、を備える。
【0011】
ここで、方向を以下のように定義する。まず、下部走行体2が直進する方向を前後方向とし、そのうちの一方側を「前」とし、他方側を「後」とする。
図1では、例として、走行モータ22に対してブレード23側を「前」として示す。また、前後方向に垂直な横方向を左右方向とする。このとき、運転座席41aに着座したオペレータ(操縦者、運転手)から見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、を備える。各走行モータ22は、油圧モータである。左右の走行モータ22が、左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。下部走行体2には、整地作業を行うためのブレード23と、ブレードシリンダ23aとが設けられる。ブレードシリンダ23aは、ブレード23を上下方向に回動させる油圧シリンダである。
【0013】
作業機3は、ブーム31、アーム32、およびバケット33を備える。ブーム31、アーム32、およびバケット33を独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0014】
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、およびバケットシリンダ33aは、油圧シリンダにより構成される。
【0015】
上部旋回体4には、操縦部41、旋回台42、旋回モータ43、機関室44が配置される。上部旋回体4は、油圧モータである旋回モータ43の駆動により、旋回ベアリング(図示せず)を介して旋回する。
【0016】
操縦部41は、旋回台42の上部に設けられる。操縦部41には、運転座席41aが配置される。運転座席41aの周囲には、操作部41bが配置される。操作部41bは、操作レバー、スイッチ、ボタン、ペダル等を含んで構成される。オペレータが運転座席41aに着座して操作部41bを操作することにより、油圧アクチュエータAC(
図2参照)が駆動される。これにより、下部走行体2の走行および走行速度の切換、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。
【0017】
機関室44は、上部旋回体4の後部に位置する。機関室44の内部には、各部に動力を提供するエンジン51が配置される。エンジン51の動力は、ギアおよびシャフト等を介して、
図2に示すパイロットポンプPPおよびメインポンプMPに供給される。なお、パイロットポンプPPおよびメインポンプMPは、油圧ポンプHPの一例である。
【0018】
〔2.油圧系の構成〕
図2は、油圧ショベル1の油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態の油圧ショベル1は、作動油タンクTCと、メインポンプMPと、油圧アクチュエータACと、パイロットポンプPPと、コントロールバルブCVと、リモコン弁RVと、電磁弁SVと、を備える。なお、電磁弁SVは、油圧機器HEの一例である。
【0019】
作動油タンクTCは、作動油を貯留する。作動油タンクTCに貯留された作動油は、メインポンプMPの駆動により、コントロールバルブCVを介して油圧アクチュエータACに供給される。これにより、油圧アクチュエータACが駆動される。油圧アクチュエータACは、上述した走行モータ22、旋回モータ43、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a、ブレードシリンダ23aなどで構成される。
【0020】
パイロットポンプPPは、コントロールバルブCVに対する入力指令となるパイロット油を吐出する。コントロールバルブCVは、メインポンプMPから油圧アクチュエータACに供給される作動油(圧油)の流れ方向および流量を制御する方向切替弁である。コントロールバルブCVは、各油圧アクチュエータAC(油圧モータ、油圧シリンダ)に対応して設けられる。コントロールバルブCVは、オペレータが着座する運転座席41aの前方に配置されてもよいし、運転座席41aの下方に配置されてもよい。
【0021】
リモコン弁RVは、パイロットポンプPPからコントロールバルブCVに供給されるパイロット油の向きと圧力を切り換えるために設けられる。リモコン弁RVは、操作部41bの例えば操作レバーを構成するとともに、操作レバーの操作方向および操作量に応じて、パイロットポンプPPから供給されるパイロット油の圧力(パイロット圧)を減圧してパイロット2次圧を生成する。
【0022】
電磁弁SVは、パイロットポンプPPとリモコン弁RVとの間の油路に位置し、パイロットポンプPPからリモコン弁RVへのパイロット油(作動油)の供給をオンオフする。つまり、電磁弁SVは、上記油路の連通をオンとオフとで切換可能なオンオフ弁である。ここで、「オン」とは、所定量以上の作動油の連通を許可する状態を指す。また、「オフ」とは、所定量以上の作動油の連通を許可しない状態を指す。つまり、連通の「オン」には、完全な連通状態以外の場合も含まれる。同様に、連通の「オフ」には、連通の完全な遮断状態以外の場合も含まれる。
【0023】
電磁弁SVのオンオフは、カットオフスイッチ(図示せず)のオンオフに応じて切り替わる。なお、カットオフスイッチは、操作部41bを構成するカットオフレバーの回動位置を検知する検知部である。
【0024】
〔3.油圧ホースの配策について〕
図3は、上部旋回体4の機関室44の内部の構成を示す、左上後方からの斜視図である。
図4は、機関室44の内部の構成を示す、左後方からの斜視図である。
図5は、機関室44の内部の構成を示す背面図である。
図6は、機関室44の内部の構成を示す平面図である。これらの図に示すように、油圧ポンプHPであるパイロットポンプPPは、第1油圧ホースH1を介して、作動油タンクTCと接続される。また、上記した電磁弁SVは、第2油圧ホースH2を介してパイロットポンプPPと接続される。
【0025】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、パイロットポンプPPは、作動油タンクTC内の作動油の液面LSよりも高い位置に配置されている。そして、第2油圧ホースH2の一部は、液面LSよりも低い位置に配置されている。
【0026】
この構成では、エンジン51の駆動を停止して、パイロットポンプPPの駆動を停止した場合でも、パイロットポンプPP内で作動油を充満させた状態を維持することができる。これは、第2油圧ホースH2内で、液面LSよりも低い部分に作動油が滞留することにより、第2油圧ホースH2内を、電磁弁SV側からパイロットポンプPPを経由して作動油タンクTCに作動油が流れなくなることによる。この点について、より詳しく説明すると、以下の通りである。
【0027】
例えば、配管経路上のいずれかが大気開放されていると、大気圧に押されて作動油タンクTC側の圧力(=大気圧)と釣り合う高さ(=作動油タンクTCの液面LS)まで配管内の油面が下がる(すなわち作動油が流れる)ことになる。実際の油圧配管において、この「大気開放」が起こり得るのは、例えば油圧機器HEとしての電磁弁SVにあるドレン配管である。エンジン51の停止時に、上記の大気開放により油圧機器HE側から第2油圧ホースH2内に空気が入り込んだとしても、第2油圧ホースH2の一部が液面LSよりも低い位置に配置されることにより、第2油圧ホースH2内の作動油の油面が、作動油タンクTC内に貯留された作動油の液面LSよりも低い位置に下がることはない。このため、第2油圧ホースH2内を、電磁弁SV側からパイロットポンプPPを経由して作動油タンクTCに作動油が流れなくなり、パイロットポンプPP内で作動油を充満させた状態を維持することができる。
【0028】
これにより、次に、エンジン51の駆動開始によってパイロットポンプPPの駆動を開始したときに、パイロットポンプPPが最初に空回りで駆動される事態(エア噛み)を低減することができる。その結果、空回りによるパイロットポンプPPの損傷または故障を低減することができる。よって、空回りによるパイロットポンプPPの損傷または故障を低減すべく、パイロットポンプPPを、作動油タンクTC内の作動油の液面LS以下に配置する制約を無くすことができる。その結果、パイロットポンプPPの設置(レイアウト)の自由度を増大させることができる。
【0029】
本実施形態では、
図3~
図5に示すように、パイロットポンプPPと第2油圧ホースH2とは、コネクタCNを介して接続されている。コネクタCNは、例えばL字状に形成され、その全体が液面LSよりも高い位置にある。このコネクタCNは、パイロットポンプPPから液面LSよりも低い位置まで下方に伸びて水平方向に曲がる形状であってもよい。また、油圧機器HEとしての電磁弁SVは、液面LSよりも低い位置に配置されていてもよい。
【0030】
この構成では、第2油圧ホースH2の全体が、液面LSよりも低い位置に配置される。この構成であっても、パイロットポンプPPの駆動停止時には、液面LSよりも低い第2油圧ホースH2内に作動油が滞留するため、第2油圧ホースH2内を、電磁弁SV側からパイロットポンプPPを経由して作動油タンクTCに作動油が流れなくなる。これにより、パイロットポンプPP内で作動油を充満させた状態を維持することができる。したがって、パイロットポンプPPの空回りによる損傷または故障を低減することができる。
【0031】
以上のことから、油圧ポンプHPとしてのパイロットポンプPPが液面LSよりも高い位置に配置される構成では、第2油圧ホースH2の少なくとも一部が液面LSよりも低い位置に配置されていればよい、と言える。
【0032】
上記の第2油圧ホースH2は、中途部H2aと、第1接続部H2bと、第2接続部H2cと、を有する。中途部H2aは、作動油タンクTC内の液面LSよりも低い位置に配置される部分である。第1接続部H2bは、中途部H2aと、油圧機器HEである電磁弁SVとの間に配置されるとともに、液面LS以上の高さに配置される部分である。第2接続部H2cは、中途部H2aと、油圧ポンプHPであるパイロットポンプPPとの間に配置されるとともに、液面LS以上の高さに配置される部分である。したがって、中途部H2a、第1接続部H2b、および第2接続部H2cのうち、中途部H2aが最も下方に位置する。
【0033】
このように第2油圧ホースH2が構成されることにより、油圧機器HE(電磁弁SV)を、油圧ポンプHP(パイロットポンプPP)とともに、液面LSよりも高い位置に配置するレイアウトを実現することが可能となる。
【0034】
油圧機器HE(電磁弁SV)が液面LSよりも高い位置に配置されるレイアウトでは、油圧ポンプHP(パイロットポンプPP)の駆動を停止した場合に、上述した大気開放により油圧機器HE側から第2油圧ホースH2(特に第1接続部H2b)内に空気が入り込む場合がある。しかし、この場合でも、第2油圧ホースH2の上記配置により、第2油圧ホースH2内の作動油の油面が、作動油タンクTC内に貯留された作動油の液面LSよりも低い位置に下がることはない。このため、油圧ポンプHPの駆動を停止した場合でも、第2油圧ホースH2内で液面LSよりも低い部分(特に中途部H2a)に作動油が滞留する状態を維持して、油圧ポンプHP内に作動油を充満させた状態を維持することができ、油圧ポンプHP内に空気が漏れこむことが防止される。
【0035】
第2油圧ホースH2は、作動油タンクTCの外面TC-Sに沿って配策される。なお、外面TC-Sとは、作動油タンクTCの外表面、つまり、作動油タンクTCにおける、作動油と接する内表面とは反対側の面を指す。
【0036】
この場合、第2油圧ホースH2のメンテナンス性を向上させることができる。つまり、メンテナンス者は、作動油タンクTCの位置さえ把握していれば、第2油圧ホースH2を見つけることが容易となり、第2油圧ホースH2の交換等のメンテナンスがしやすくなる。
【0037】
上記した作動油タンクTCは、レベルゲージLGを有する。レベルゲージLGは、作動油タンクTC内の作動油を覗き見るための覗き窓である。メンテナンス者は、レベルゲージLGを介して作動油タンクTC内を覗き見ることにより、作動油タンクTC内の作動油の量、すなわち、作動油の液面LSの高さを確認することができる。本実施形態では、第2油圧ホースH2の一部(例えば中途部H2a)は、レベルゲージLGよりも低い位置に配置される。
【0038】
作動油タンクTC内において、作動油の液面LSは、通常、レベルゲージLGの高さ付近に位置する。したがって、第2油圧ホースH2の一部(例えば中途部H2a)を、レベルゲージLGよりも低い位置に配置することにより、第2油圧ホースH2の一部が液面LSよりも低い位置に配置されるような、第2油圧ホースH2の配策が容易となる。つまり、レベルゲージLGを目安として、第2油圧ホースH2の所望の配策が容易となる。
【0039】
なお、第2油圧ホースH2の全部が、レベルゲージLGよりも低い位置に配置されていてもよい。この場合、第2油圧ホースH2の全部が液面LSよりも低い位置に配置されるような、第2油圧ホースH2の配策が容易となる。以上より、本実施形態では、第2油圧ホースH2の少なくとも一部が、レベルゲージLGよりも低い位置に配置されていればよい、と言える。
【0040】
図3および
図4に示すように、作動油タンクTCは、保持部HUを有する。保持部HUは、第2油圧ホースH2を保持する。このような保持部HUは、作動油タンクTCの外面TC-Sに固定されて、第2油圧ホースH2を引っ掛けるフックで構成される。なお、保持部HUは、第2油圧ホースH2を挟むクランプ部材で構成されてもよい。
【0041】
本実施形態では、作動油タンクTCに3つの保持部HUが設けられているが、保持部HUの数は特に限定されず、1個または2個であってもよいし、4つ以上であってもよい。なお、
図5および
図6では、便宜上、保持部HUの図示を省略している。
【0042】
保持部HUにより、作動油タンクTC(特に外面TC-S)に第2油圧ホースH2が保持されるため、作動油タンクTCの周囲に第2油圧ホースH2をコンパクトに配策することができる。つまり、作動油タンクTCの周囲の空間に第2油圧ホースH2が広がって配策されることを防止することができる。また、第2油圧ホースH2の少なくとも一部が液面LSよりも低く位置する状態を維持することも容易となる。
【0043】
図3~
図6に示すように、油圧ポンプHPであるパイロットポンプPPは、作動油タンクTCに対して、作動油タンクTCの幅方向の一方側に配置される。ここで、作動油タンクTCの幅方向とは、例えば油圧ショベル1の左右方向と同じ方向を指す。例えば、パイロットポンプPPは、作動油タンクTCに対して右側(機体の内側)に配置される。
【0044】
このような油圧ポンプHPと作動油タンクTCとの位置関係では、作動油タンクTCと接続される第1油圧ホースH1を、作動油タンクTCから幅方向の一方側(例えば右側)に引き出して油圧ポンプHPと接続することが可能となる。これにより、第1油圧ホースH1のコンパクトな配策が可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、油圧機器HEも、パイロットポンプPPと同様に、作動油タンクTCに対して、作動油タンクの幅方向の一方側に配置される。具体的には、油圧機器HEとしての電磁弁SVは、作動油タンクTCに対して右側に配置される。
【0046】
油圧ポンプHP(パイロットポンプPP)および油圧機器HE(電磁弁SV)が作動油タンクTCに対して同じ側(例えば右側)に配置される構成では、作動油タンクTCに対して上記同じ側の配置空間が、油圧ポンプHPと油圧機器HEとで共有され、油圧ポンプHPおよび油圧機器HEの効率のよい配置を実現することができる。これにより、例えば油圧ポンプHPおよび油圧機器HEが作動油タンクTCに対して互いに反対側に配置される構成に比べて、油圧ショベル1の幅方向(左右方向)の寸法を小さくすることができる。その結果、油圧ショベル1の小型化を図ることが容易となる。
【0047】
これに対して、上記した保持部HUは、作動油タンクTCにおいて、幅方向の他方側に配置される。具体的には、保持部HUは、作動油タンクTCの左側(機体の外側)に配置される。これにより、第2油圧ホースH2は油圧ショベル1の外側(内部のエンジン側ではなくボンネット側)に配置される。その結果、第2油圧ホースH2のメンテナンスが容易になる。
【0048】
このように配置される保持部HUによって第2油圧ホースH2が保持される結果、第2油圧ホースH2は、油圧ポンプHP(パイロットポンプPP)から油圧機器HE(電磁弁SV)に向かって、作動油タンクTCに対して幅方向の一方側(例えば右側)から他方側(例えば左側)に引き回され、その後、他方側から一方側に引き回される。これにより、油圧ポンプHPと油圧機器HEとの間の距離を稼ぐことができる。したがって、エンジン51の駆動時に油圧ポンプHPが振動しても、油圧ポンプHPの振動が第2油圧ホースH2を介して油圧機器HEに伝わりにくくなる。その結果、油圧機器HEが振動しにくくなり、油圧機器HEが故障する虞も低減される。よって、油圧機器HEの耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0049】
図3および
図4に示すように、保持部HUは、レベルゲージLGよりも低い位置に配置される低位保持部HU-1を含む。低位保持部HU-1によって第2油圧ホースH2が保持されることにより、第2油圧ホースH2の少なくとも一部がレベルゲージLGよりも低い位置に配置される構成を確実に実現することができる。つまり、第2油圧ホースH2の少なくとも一部が液面LSよりも低い位置に配置される構成を確実に実現することができる。
【0050】
図3および
図5に示すように、油圧ショベル1が備えるエンジン51は、作動油タンクTCの幅方向の一方側(例えば右側)に配置される。したがって、作動油タンクTCの幅方向(左右方向)において、油圧ポンプHPとエンジン51とは、作動油タンクTCに対して同じ側に配置される。ただし、油圧ポンプHPは、エンジン51の動力軸AX上と異なる位置(ずれた位置)に配置される。動力軸AXは、エンジン51のクランクシャフトの回転軸(中心軸)である。
【0051】
具体的には、油圧ポンプHPとしてのパイロットポンプPPは、動力軸AXに対して斜め後ろ上方に位置する。パイロットポンプPPの入力軸は、エンジン51の動力軸AXと、ギアおよびシャフト等の動力伝達機構を介してつながっている。これにより、エンジン51の駆動力が上記動力伝達機構を介してパイロットポンプPPに伝達される。
【0052】
上記のように、作動油タンクTCの幅方向の一方側において、エンジン51の動力軸AXと油圧ポンプHPとがずれて配置される構成では、例えばエンジン51と油圧ポンプHPとを動力軸AXに沿って並べて配置する構成に比べて、作動油タンクTC、エンジン51および油圧ポンプHPのトータルでの上記幅方向の寸法を小さく抑えることができる。これにより、上記幅方向に対応する油圧ショベル1の横幅(左右方向の幅)を小さく抑えることができ、油圧ショベル1を小型化することが容易となる。
【0053】
また、
図3および
図6に示すように、油圧ポンプHP(例えばパイロットポンプPP)は、エンジン51の後方に配置される。この配置では、機関室44の後方の側壁を構成するボンネット(図示せず)を開けると、メンテナンス者は油圧ポンプHPに容易にアクセスすることができる。つまり、油圧ポンプHPへのアクセスがエンジン51によって遮られることがない。したがって、メンテナンス者は、油圧ポンプHPのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0054】
図3~
図6に示すように、油圧ショベル1は、ファンFを備える。ファンFは、
図5に示すラジエータRAを冷却するために設けられる。ファンFは、エンジン51の動力軸AXから出力される駆動力が、プーリー、ベルト等を介して伝達されることによって回転する。
【0055】
機関室44内において、ラジエータRAは、作動油タンクTCの上方に位置する。ファンFは、ラジエータRAとエンジン51との間に配置される。したがって、ファンFは、エンジン51に対して作動油タンクTC側に配置される。
【0056】
このようなファンFの配置では、ファンFによってラジエータRAを冷却するとともに、作動油タンクTCを冷却することができる。つまり、元々、ラジエータRAの冷却用に設けられたファンFを、作動油タンクTCの冷却にも活用することができる。したがって、作動油タンクTCを冷却する専用のファンを設ける必要がなくなり、機関室44内の構成を簡素化することができる。
【0057】
図3および
図6に示すように、上記した油圧機器HE(例えば電磁弁SV)は、エンジン51の前方に配置される。このような油圧機器HEの配置では、前後方向に、油圧機器HE、エンジン51、油圧ポンプHPを配置することができる。これにより、油圧機器HE、エンジン51、油圧ポンプHPを例えば左右方向に配置する構成に比べて、油圧ショベル1の横幅を小さく抑えることが容易となる。
【0058】
〔4.油圧ホースの他の配策について〕
図7は、上部旋回体4の機関室44の内部の他の構成を示す、左上後方からの斜視図である。
図8は、上記他の構成を示す背面図である。電磁弁SV(
図6等参照)とパイロットポンプPPとを接続する第2油圧ホースH2は、複数の屈曲部を有していてもよい。より詳しくは、第2油圧ホースH2は、複数の屈曲部として、第1屈曲部101と、第2屈曲部102と、を有していてもよい。
【0059】
第1屈曲部101は、第1方向(例えば上下方向)に往復で屈曲する形状を有する。具体的には、第1屈曲部101は、第1ホース部101a(
図8参照)と、第2ホース部101bと、第3ホース部101cと、を有する。
【0060】
第2ホース部101bは、作動油タンクTC内の液面LSよりも低い位置に配置される部分である。第1ホース部101aは、パイロットポンプPP(油圧ポンプHP)と第2ホース部101bの一端部(右端部)とを接続する部分であり、液面LS以上の高さに配置される。第3ホース部101cは、第2ホース部101bの他端部(左端部)と第2屈曲部102(特に後述の第4ホース部102a)とを接続する部分であり、液面LS以上の高さに配置される。つまり、第1ホース部101aは、上方(パイロットポンプPPとの接続側)から下方に向かって延びて第2ホース部101bと接続される。また、第3ホース部101cは、下方(第2ホース部101bとの接続側)から上方に向かって延びて第2屈曲部102と接続される。これにより、上下方向に往復で屈曲する第1屈曲部101が構成される。なお、第1ホース部101aと第3ホース部101cとは、互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい(一方に対して他方が傾いていてもよい)。また、第1ホース部101aと第3ホース部101cとは、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。
【0061】
第2屈曲部102は、第1屈曲部101に対してパイロットポンプPPとは機体の左右方向において反対側で接続される。すなわち、第1屈曲部101と第2屈曲部102とは異なる位置に設けられる(接続部分を除いて重なって設けられてはいない)。
【0062】
第2屈曲部102は、上記第1方向とは異なる第2方向(例えば左右方向)に往復で屈曲する形状を有する。具体的には、第2屈曲部102は、
図7に示すように、第4ホース部102aと、第5ホース部102bと、第6ホース部102cと、を有する。
【0063】
第5ホース部102bは、作動油タンクTCの上方を後方から前方に向かって延びる部分である。第4ホース部102aは、第1屈曲部101(特に第3ホース部101c)との接続側から左方向に延び、第5ホース部102bの後端と接続される。第4ホース部102aは、ラジエータRAの下部と接触して下方に押さえられる。これにより、第2屈曲部102の配策が安定する。第6ホース部102cは、第5ホース部102bの前端と接続され、上記前端から右方向に向かって延び、電磁弁SVと接続される。これにより、左右方向に往復で屈曲する第2屈曲部102が構成される。なお、第4ホース部102aと第6ホース部102cとは、互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい(一方に対して他方が傾いていてもよい)。また、第4ホース部102aと第6ホース部102cとは、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。
【0064】
第2屈曲部102(第4ホース部102a、第5ホース部102b、第6ホース部102c)は、液面LSよりも高い位置に配置される。したがって、
図7および
図8の第2油圧ホースH2の構成では、第1屈曲部101の第2ホース部101bが、液面LSよりも低い位置に配置される中途部H2aを構成する。また、第1屈曲部101の第3ホース部101cと、第2屈曲部102とが、中途部H2aと油圧機器HE(電磁弁SV)との間に配置されるとともに、液面LS以上の高さに配置される第1接続部H2bを構成する。さらに、第1屈曲部101の第1ホース部101aが、中途部H2aと油圧ポンプHP(パイロットポンプPP)との間に配置されるとともに、液面LS以上の高さに配置される第2接続部H2cを構成する。
【0065】
油圧ショベル1は、支持部110をさらに備える。支持部110は、機関室44内の任意のフレームまたはステーに取り付けられて、第2油圧ホースH2を支持する。例えば、支持部110は、第1屈曲部101の第3ホース部101cを支持する。これにより、第2油圧ホースH2の配策が安定する。支持部110は、
図7および
図8に示すように、第1屈曲部101のみを支持してもよいが、第2屈曲部102のみを支持してもよい。また、支持部110は、第1屈曲部101および第2屈曲部102のそれぞれに対応して設けられて、第1屈曲部101および第2屈曲部102を別々の箇所で支持してもよい。いずれにしても、第2油圧ホースH2の配策を安定させる観点では、支持部110は、複数の屈曲部(第1屈曲部101、第2屈曲部102)の少なくともいずれかを支持することが望ましい。
【0066】
また、少なくとも一部を液面LSよりも低い位置に配置する第2油圧ホースH2の配策を容易にするとともに、支持部110の少ない個数で、第2油圧ホースH2を安定して支持する観点では、第2油圧ホースH2において、屈曲によって生じる負荷を低減することが望ましい。そのためには、第2油圧ホースH2の曲げ箇所が集中する構成よりも、上記曲げ箇所が分散される構成が望ましい。この点では、
図7および
図8に示すように、第1屈曲部101と第2屈曲部102とは異なる位置に設けられることが望ましい。
【0067】
また、第1屈曲部101と第2屈曲部102とが異なる位置に設けられると、
図7および
図8に示すように、第2油圧ホースH2の第1屈曲部101のみを支持する支持部110の配置が可能となる。このような支持部110の配置では、作動油タンクTCの右側(機関室44の内部側)に支持部110が位置するため、作動油タンクTCの左側に位置するボンネットを外しても、支持部110が作動油タンクTC側からは見えなくなる(作動油タンクTCで隠れるため)。この点でも、第1屈曲部101と第2屈曲部102とが異なる位置に設けられる構成は望ましい。
【0068】
なお、支持部110が第1屈曲部101の第3ホース部101cを支持する構成では、支持部110の位置が低すぎると、第3ホース部101cの支持箇所から下流側の部分(特に第2屈曲部102の第4ホース部102a)が不安定となる。その結果、第4ホース部102aが暴れやすくなる。一方、支持部110の位置が高すぎると、第3ホース部101cと第4ホース部102aとの接続箇所に大きな曲げ応力がかかる。その結果、上記支持箇所から、作動油タンクTCとラジエータRAとの間への第4ホース部102aの案内が困難となる。このため、支持部110は、第3ホース部101c(液面LS以上の部分)における第1方向(上下方向)の中間位置を支持することが望ましい。
【0069】
なお、以上では、第1方向を上下方向とし、第2方向を左右方向(幅方向)とした場合について説明したが、第1方向は左右方向であってもよいし、第2方向は上下方向であってもよい。また、第1方向および第2方向のどちらか一方は、前後方向であってもよい。
【0070】
また、以上では、第2油圧ホースH2は、複数の屈曲部として、第1屈曲部101および第2屈曲部102を有する場合について説明したが、第2油圧ホースH2は、3つ以上の屈曲部を有していてもよい。そして、3つ以上の屈曲部のうち、少なくとも2つ以上の屈曲部において、往復で屈曲する方向が異なっていればよい。
【0071】
〔5.その他〕
本実施形態では、作動油タンクTC内の作動油の液面LSよりも高い位置に配置される油圧ポンプHPとして、パイロットポンプPPを例に挙げて説明したが、メインポンプMPについても同様に考えることができる。つまり、メインポンプMPが作動油タンクTC内の作動油の液面LSよりも高い位置に配置され、メインポンプMPが油圧機器HE(例えばコントロールバルブCV)と第2油圧ホースH2を介して接続される構成において、第2油圧ホースH2の少なくとも一部が液面LSよりも低い位置に配置されることにより、メインポンプMPの空回りによる損傷または故障を低減することができる。したがって、メインポンプMPを、液面LS以下に配置する制約を無くして、メインポンプMPの設置の自由度を増大させることができる。
【0072】
本実施形態では、油圧機器HEとして、電磁弁SVを例に挙げて説明したが、油圧を制御する機器であればよく、電磁弁SVには限定されない。例えば上記したコントロールバルブCVも、油圧機器HEを構成することができる。
【0073】
油圧ショベル1は、エンジン51の代わりに、電動モータを用いて油圧ポンプHPを駆動する構成であってもよい。
【0074】
本実施形態では、支持部110(
図7参照)は、作動油タンクTCではなく、機関室44内のステー等に固定されて第2油圧ホースH2を支持しており、この点で、作動油タンクTCに固定される保持部HU(
図4参照)とは、文言上区別される。ただし、支持部110および保持部HUは、どちらも第2油圧ホースH2を「支える」点では機能が共通している。また、支持部110は、一端側が作動油タンクTCに固定され、他端側が機体右方向に延びて第2油圧ホースH2を支持してもよい。したがって、
図7の支持部110を、作動油タンクTCに固定される保持部HUに置き換えることは可能であり、逆に、
図4の保持部HUを、ステー等に固定される支持部に置き換えることも可能である。
【0075】
〔6.付記〕
本実施形態で説明した油圧ショベル1は、以下の付記に示す作業車両と表現することもできる。
【0076】
付記(1)の作業車両は、
作動油を貯留する作動油タンクと、
第1油圧ホースを介して前記作動油タンクと接続される油圧ポンプと、
第2油圧ホースを介して前記油圧ポンプと接続される油圧機器と、を備え、
前記油圧ポンプは、前記作動油タンク内の前記作動油の液面よりも高い位置に配置され、
前記第2油圧ホースの少なくとも一部は、前記液面よりも低い位置に配置される。
【0077】
付記(2)の作業車両は、付記(1)に記載の作業車両において、
前記第2油圧ホースは、
前記液面よりも低い位置に配置される中途部と、
前記中途部と前記油圧機器との間に配置されるとともに、前記液面以上の高さに配置される第1接続部と、
前記中途部と前記油圧ポンプとの間に配置されるとともに、前記液面以上の高さに配置される第2接続部と、を有する。
【0078】
付記(3)の作業車両は、付記(1)または(2)に記載の作業車両において、
前記第2油圧ホースは、複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部は、
第1方向に往復で屈曲する第1屈曲部と、
前記第1方向とは異なる第2方向に往復で屈曲する第2屈曲部と、を有し、
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とは、異なる位置に設けられる。
【0079】
付記(4)の作業車両は、付記(3)に記載の作業車両において、
前記第2油圧ホースを支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記複数の屈曲部の少なくともいずれかを支持する。
【0080】
付記(5)の作業車両は、付記(1)から(4)のいずれかに記載の作業車両において、
前記油圧機器は、前記液面よりも高い位置に配置される。
【0081】
付記(6)の作業車両は、付記(1)から(5)のいずれかに記載の作業車両において、
前記第2油圧ホースは、前記作動油タンクの外面に沿って配策される。
【0082】
付記(7)の作業車両は、付記(1)から(6)のいずれかに記載の作業車両において、
前記作動油タンクは、(タンク内の覗き窓となる)レベルゲージを有し、
前記第2油圧ホースの少なくとも一部は、前記レベルゲージよりも低い位置に配置される。
【0083】
付記(8)の作業車両は、付記(7)に記載の作業車両において、
前記作動油タンクは、前記第2油圧ホースを保持する保持部を有する。
【0084】
付記(9)の作業車両は、付記(8)に記載の作業車両において、
前記油圧ポンプは、前記作動油タンクに対して、前記作動油タンクの幅方向の一方側に配置される。
【0085】
付記(10)の作業車両は、付記(9)に記載の作業車両において、
前記油圧機器は、前記作動油タンクに対して、前記幅方向の前記一方側に配置される。
【0086】
付記(11)の作業車両は、付記(9)または(10)に記載の作業車両において、
前記保持部は、前記作動油タンクにおいて、前記幅方向の他方側に配置される。
【0087】
付記(12)の作業車両は、付記(8)から(11)のいずれかに記載の作業車両において、
前記保持部は、前記レベルゲージよりも低い位置に配置される低位保持部を含む。
【0088】
付記(13)の作業車両は、付記(1)から(12)のいずれかに記載の作業車両において、
前記作動油タンクの幅方向の一方側に配置されるエンジンをさらに備え、
前記油圧ポンプは、前記エンジンの動力軸上とは異なる位置に配置される。
【0089】
付記(14)の作業車両は、付記(13)に記載の作業車両において、
前記油圧ポンプは、前記エンジンの後方に配置される。
【0090】
付記(15)の作業車両は、付記(13)または(14)に記載の作業車両において、
前記エンジンに対して前記作動油タンク側に配置されるファンをさらに備える。
【0091】
付記(16)の作業車両は、付記(13)から(15)のいずれかに記載の作業車両において、
前記油圧機器は、前記エンジンの前方に配置される。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば建設機械、農業機械などの作業車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 油圧ショベル(作業車両)
51 エンジン
101 第1屈曲部
102 第2屈曲部
110 支持部
AX 動力軸
F ファン
H1 第1油圧ホース
H2 第2油圧ホース
H2a 中途部
H2b 第1接続部
H2c 第2接続部
HE 油圧機器
HP 油圧ポンプ
HU 保持部
HU-1 低位保持部
LG レベルゲージ
LS 液面
MP メインポンプ(油圧ポンプ)
PP パイロットポンプ(油圧ポンプ)
SV 電磁弁(油圧機器)
TC 作動油タンク
TC-S 外面