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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109168
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】回転駆動可能な回転工具装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/113 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
B23B31/113 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023008441
(22)【出願日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】22153482
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513069983
【氏名又は名称】モンティ-ヴェルクツォイゲ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】サンデル・ヘンドリクス・ヨハネス・ホフステー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・フレデリック・ドッデマ
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032CC04
3C032CC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】汚れた状態でも駆動側のクランプ要素に対する回転工具を有する工具側のクランプ要素の迅速かつ機能的な交換が可能で簡単にできる回転工具装置を提供する。
【解決手段】本発明の対象は、少なくとも1つの駆動側のクランプ要素(1)と1つの工具側のクランプ要素(2)を有する工具ホルダ(1,2)を備えている、回転駆動可能な回転工具装置、特に回転ブラシ工具である。両クランプ要素(1,2)が、解離可能に互いに結合され、回転工具(5,6)を収容し、これを保持する。本発明によれば、工具側のクランプ要素(2)と駆動側のクランプ要素(1)が、バヨネット結合(7)を介して互いに連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの駆動側のクランプ要素(1)と1つの工具側のクランプ要素(2)を有する工具ホルダ(1,2)を有し、両クランプ要素(1,2)が、解離可能に互いに結合され、回転工具(5,6)を収容及び保持する、回転駆動可能な回転工具装置、特に回転ブラシ工具において、
工具側のクランプ要素(2)と駆動側のクランプ要素(1)が、バヨネット結合(7,8)を介して互いに連結されていること、を特徴とする回転工具装置。
【請求項2】
駆動側のクランプ要素(1)が、少なくとも1つの収容溝(7)を備え、工具側のクランプ要素(2)が、収容溝(7)に係合する少なくとも1つのピン(8)を備えるか、又はその逆であること、を特徴とする請求項1に記載の回転工具装置。
【請求項3】
収容溝(7)が、軸方向溝(7a)とこれに接続する半径方向溝(7b)の少なくとも2つの部分から形成されていること、を特徴とする請求項2に記載の回転工具装置。
【請求項4】
半径方向溝(7b)が、終端側で係止溝(7c)に移行すること、を特徴とする請求項3に記載の回転工具装置。
【請求項5】
係止溝(7c)が、軸方向溝(7a)に対して平行に延在する止まり溝として形成されていること、を特徴とする請求項4に記載の回転工具装置。
【請求項6】
工具側のクランプ要素(2)に作用する少なくとも1つのバネ(9)が設けられていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の回転工具装置。
【請求項7】
バネ(9)が、駆動側のクランプ要素(1)を包囲する螺旋バネ(9)として形成されていること、を特徴とする請求項6に記載の回転工具装置。
【請求項8】
バネ(9)が、工具側のクランプ要素(2)を、駆動側のクランプ要素(1)との合体後にそのピン(8)でもって係止溝(7c)内に保持すること、を特徴とする請求項6または7に記載の回転工具装置。
【請求項9】
駆動側のクランプ要素(1)が、その周囲にわたって分配されて配置された3つの収容溝(7)を備えていること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の回転工具装置。
【請求項10】
工具側のクランプ要素(2)が、その周囲にわたって分配されて配置された、収容溝(7)に係合するための3つのピン(8)を備えるか、又はその逆であること、を特徴とする請求項9に記載の回転工具装置。
【請求項11】
工具側のクランプ要素(2)と回転工具(5,6)が、モジュール(2,5,6)を規定し、このため、当該クランプ要素(2)が、回転工具(5,6)を少なくとも部分的に半径方向及び軸方向に包囲する保持ケージ(2)として形成されていること、を特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の回転工具装置。
【請求項12】
保持ケージ(2)が、回転工具(5,6)を把持する周囲の軸方向ウェブ(10)を有する円形リングケージとして備えられていること、を特徴とする請求項11に記載の回転工具装置。
【請求項13】
軸方向ウェブ(10)が、凹部(11)の領域で回転工具(5,6)を把持すること、を特徴とする請求項12に記載の回転工具装置。
【請求項14】
工具側のクランプ要素(2)が、内部に突出するピン(8)を有するセンタ孔(12)を備えること、を特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の回転工具装置。
【請求項15】
駆動側のクランプ要素(1)が、停止手段(4)と共に回転駆動ユニット(3)に接続されていること、を特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の回転工具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの駆動側のクランプ要素と1つの工具側のクランプ要素を有する工具ホルダを有し、両クランプ要素が、解離可能に互いに結合され、回転工具を収容及び保持する、回転駆動可能な回転工具装置、特に回転ブラシ工具に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動側のクランプ要素は、例えば、マンドレル等を介して回転駆動ユニットによって回転をさせることができる。これに対し、工具側のクランプ要素は、典型的に、回転工具を収容及び保持するために使用される。従って、駆動側のクランプ要素と工具側のクランプ要素が解離可能に互いに連結され次第、回転駆動ユニットによって駆動側のクランプ要素を介して、工具側のクランプ要素は、従って回転工具は、所望の回転をさせることができる。
【0003】
欧州特許第2371487号明細書に説明されるように、冒頭で説明した構成の回転駆動可能な回転工具装置の場合、特別に設計された2つのクランプ要素が設けられ、ロック要素によって少なくとも1つのバネの力に抗して解離可能に連結されている。両クランプ要素或いは対応する工具ホルダは、回転工具を収容するために使用される。回転工具は、例えばここで同様に関連する出願人の西独国特許第4205265号明細書で説明されるように、柔軟なブラシベルトを有する回転ブラシであり得る。しかしながら、基本的に、工具ホルダによって、欧州特許第1859903号明細書による回転工具を収容することもできる。
【0004】
同等の回転駆動可能な回転工具装置は、西独国特許出願公開第10030586号明細書で説明される。ここでは、円形ディスク状の工具本体を有する工具が使用される。工具本体は、工作機械もしくは一般には回転駆動ユニットに固定するための中央の開口を有する。開口内に、支持装置が設けられ、この支持装置は、少なくとも工具本体の一方の側で開口の縁部を把持する。工具本体の他方の側に、固定装置が設けられ、この固定装置は、工作機械に取り付けることができ、固定装置が取り付けられると、支持装置は、工作機械に解離可能に固定可能である。これにより、工具本体は、全体として軸方向に固定され、回転不能に保持される。公知の支持装置は、明らかに、切断又は研磨ディスクとして設計された円形ディスク状の工具本体との結合のみに適している。
【0005】
更に、回転ブラシ工具は、実際から及び文献によって多様な形態で知られている。こうして、西独国特許第4326793号明細書は、回転駆動可能なブラシユニットに取り組むが、このブラシユニットの場合、ブラシホルダは、分割されたスペーサブッシュを介して離間された2つのエンドディスクを備え、これらエンドディスクは、ブッシュ側面に対して所定の間隔を置いて配置されたかつディスクの周囲にわたって分配された軸方向ウェブを備える。リングブラシは、外向きに突出するブリステルと、ブラシベルトを把持する軸方向ウェブ用のブリステルの無いベルトゾーンを有する柔軟なブラシベルトを有する。
【0006】
欧州特許出願公開第0319756号明細書による回転駆動可能な工具クランプ装置の場合、2つのクランプディスクが、実質的に同じ直径の工具スリーブクランプするための同軸のリング溝を備えるように、アプローチがなされる。このようにして、それぞれクランプされた工具スリーブの完璧な位置決め及び安定化が、しかもゴムコア等の支持体を用いずに保証される。最後に、従来技術から、更に、欧州特許第0347429号明細書で説明されかつ模範的に表面処理のために使用されるような回転ブラシ工具が知られている。この場合、ブラシベルトキャリアは、複数部分から成るクランプユニットとこのクランプユニットによってスプリングバック式に拡幅可能なリング体を備えている。加えて、回転ブラシ工具は、閉じたリングとして形成された平らな横断面を有するブラシベルトを有する。
【0007】
ブラシベルトキャリアとブラシベルトは、ユニットを構成することができる。これにより、多面的な使用と効果的な作用が達成され、同時に長寿命が達成される。
【0008】
従来技術は、全ての面で満足できるものではない。こうして、例えば、西独国特許第4205265号明細書の場合又は西独国特許第4326793号明細書の範囲内でも、それぞれブラシ工具の柔軟なベルトによって作業がなされる。これにより、部分的に意図的に、欧州特許1834733号明細書で説明されるような工具ホルダに対するブラシベルトの運動が加工のために利用される。実際に、ここでは、リングブラシの回転するブリステルリングに没入する停止手段が設けられている。停止手段は、所定の時間の間ブリステルを減速させるので、その解放後、これにより蓄積された運動エネルギーは、ブリステルによるワークピースの表面の付加的に打撃的な加工のために利用される。これは、工具ホルダ内の柔軟なブラシベルトのある程度の運動を前提とする。
【0009】
実際に使用されるリングブラシの場合、説明した回転工具装置と関連して、リングブラシもしくはそのブラシベルトが、正確には「適合」せず、工具ホルダに対して多かれ少なかれ制御されない運動を行なうことがある。その結果、しばしば、リングブラシの摩耗の増加や破損さえも認められる。
【0010】
この理由から、国際公開第2017220338号パンフレットによる同様に一般的かつ最も近い従来技術は、工具側のクランプ要素と回転工具がモジュールを規定するように、アプローチをする。このため、問題のクランプ要素は、回転工具を少なくとも部分的に半径方向及び軸方向に包囲する保持ケージとして形成されている。駆動側のクランプ要素は、保持ケージ内に解離可能に係合する保持アダプタとして設計されている。このため、保持アダプタは、周囲にロックピンを有し、これらロックピンは、保持アダプタに保持ケージを組み立てた状態で保持ケージ内の対応する収容孔に係合する。これは、基本的に効果が証明されており、回転工具の迅速かつ簡単な交換も許容する。
【0011】
但し、実際にかつ汚れが著しい場合は、保持アダプタが、その周囲のロックピンを、保持ケージに対して解離することが全く又は困難を伴ってしかできないとの問題が生じる。これは、例えば、ロックピンが例えば埃又は汚れに侵入することによってブロックされることに起因し得る。更に、これに関連して設けられたかつロックピンに作用する操作ボタンも埃又は侵入する汚れによってブロックされるか、少なくともその機能性が妨げられる。ここで、本発明は、全体として状況を改善せんとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第2371487号明細書
【特許文献2】西独国特許第4205265号明細書
【特許文献3】欧州特許第1859903号明細書
【特許文献4】西独国特許出願公開第10030586号明細書
【特許文献5】西独国特許第4326793号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0319756号明細書
【特許文献7】欧州特許第0347429号明細書
【特許文献8】欧州特許1834733号明細書
【特許文献9】国際公開第2017220338号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底にある技術的な課題は、汚れた状態でも駆動側のクランプ要素に対する回転工具を有する工具側のクランプ要素の迅速かつ機能的な交換が可能で簡単にできるように、このような回転駆動可能な回転工具装置を発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この技術的な課題を解決するため、一般的な回転駆動可能な回転工具装置は、本発明の範囲内で、工具側のクランプ要素と駆動側のクランプ要素が、バヨネット結合を介して互いに連結されていること、を特徴とする。
【0015】
即ち、両クランプ要素の間の解離可能な結合は、本発明によれば、バヨネット結合を介して実現される。このようなバヨネット結合は、駆動側のクランプ要素と工具側のクランプ要素との間の迅速に形成及び解離可能な機械的な結合部を提供する。このため、両要素は、互いに差し込まれ、反対方向の回転によって互いに結合或いは再び互いに分離される。問題の回転結合もしくはバヨネット結合を実現するため、駆動側のクランプ要素は、典型的にシリンダ状に設計されているが、工具側のクランプ要素は、対応するシリンダスリーブ又はシリンダディスクである。
【0016】
このため、詳細には、駆動側のクランプ要素が、少なくとも1つの収容溝を備え、工具側のクランプ要素が、収容溝に係合する少なくとも1つのピンを備えること、が企図されている。しかしながら、その逆も可能である。この場合、駆動側のクランプ要素は、問題の少なくとも1つのピンを備えており、このピン自体は、工具側のクランプ要素内の収容溝に係合する。バヨネット結合の構成要素としての収容溝は、通常は、軸方向溝とこれに接続する半径方向溝の少なくとも2つの部分から形成されている。その場合、大抵は、半径方向溝が、終端側で係止溝に移行するように、設計が行なわれる。係止溝は、有利には、軸方向溝に対して平行に延在する止まり溝として形成されている。
【0017】
即ち、駆動側のクランプ要素の収容溝は、一般に軸方向溝、これに接続する半径方向溝及び半径方向溝の終端側に設けられた係止溝の3つの部分から形成されている。このようにして、工具側のクランプ要素がそのピンをまず軸方向溝にされるとの、駆動側のクランプ要素と工具側のクランプ要素との間の合体時の組み合わされた運動が生じる。これは、通常は、工具側のクランプ要素に作用する少なくとも1つのバネの力に抗して行なわれる。ここで、スライドもしくは「プッシュ」運動が生じる。
【0018】
軸方向溝に係合するピンが軸方向溝内の所定の位置又はストッパに到達し次第、駆動側のクランプ要素の対する工具側のクランプ要素の回転運動「ターン」が行なわれる。最後に、半径方向溝の終端側で、工具側のクランプ要素に作用するバネは、ピンが軸方向溝に対して平行に延在する止まり溝もしくは係止溝に係合するために寄与する。これにより、「ロック」の意味の駆動側のクランプ要素に対する工具側のクランプ要素の係止式の拘束を生じさせる。
【0019】
従って、駆動側のクランプ要素と工具側のクランプ要素との間の連結は、「プッシュ-ターン-ロック」の意味のバヨネット結合を介して行なわれる。バヨネット結合が、一方の収容溝と、収容溝内に案内されたかつこれに保持された他方のピンとの間に比較的大きい遊びを備え得るので、工具側のクランプ要素と駆動側のクランプ要素との間に解離可能な結合を形成すること、及び、バヨネット結合が多かれ少なかれ著しい汚れを備える時に再び解離することができる。このため、既に前で説明した作業ステップを完了することしか必要でない。これは、全体として工具なしで、場合によってはブロックされた又は操作が困難な操作ボタンに作用を加えることなく行うことができるので、国際公開第2017220338号パンフレットによる従来技術に対して、特に汚れた状態での操作時に著しい利点が認められる。ここに、実質的な利点が見られる。
【0020】
工具側のクランプ要素に作用するバネは、通常は、駆動側のクランプ要素を包囲する螺旋バネとして形成されている。このようにして、螺旋バネは、周回する円形の脚でもって工具側のクランプ要素に当接し、バヨネット結合の形成時に、軸方向溝に沿ったその軸方向の移動も、半径方向溝に沿った半径方向の移動も妨げない。これは、特に、問題の螺旋バネが金属、特に鋼から製造され、工具側のクランプ要素が、例えばプラスチック又は同様に金属から製造されている場合に当て嵌まる。何故なら、その場合は、これに関連して特に低い摩擦が認められるからである。この場合、問題のバネは、全体として、工具側のクランプ要素が、駆動側のクランプ要素との合体後にそのピンでもって止まり溝もしくは係止溝内に保持されるために寄与する。
【0021】
特に有利な実施形態は、駆動側のクランプ要素が、その周囲にわたって分配されて配置された3つの収容溝を備えていること、を特徴とする。これにより、両クランプ要素の間に、このようにして実現される3つの固定点を考慮した相互の連結が生じるが、これら固定点は、即ち、工具側のクランプ要素が、典型的に同様に、その周囲にわたって分配されて配置された、収容溝に係合するための3つのピンを有することによって生じる。何故なら、これらピンが両クランプ要素の合体時に係止溝に係合し次第、工具側のクランプ要素が駆動側のクランプ要素に対して3つの固定点で整列され、これにより、クランプ要素のブラッシングが、全体として静的に決定され、万一の傾動が認められないからである。これは、引き続く回転作用にとって特に重要である。
【0022】
別の有利な形態によれば、工具側のクランプ要素と回転工具が、モジュールを規定する。これにより、特に簡単な組立と貯蔵が保証されている。この目的のため、当該工具側のクランプ要素は、基本的に国際公開第2017220338号パンフレットによる従来技術で詳細に説明されるように、回転工具を少なくとも部分的に半径方向及び軸方向に包囲する保持ケージとして形成することができる。これは、当然模範的にだけ適用され、決して必須ではない。
【0023】
更に、これに関連して、保持ケージが、当該回転工具を把持する周囲の軸方向ウェブを有する円形リングケージとして備えられている場合に、効果が証明されている。この場合、軸方向ウェブは、典型的に、軸方向ウェブが、凹部の領域で回転工具を把持するように設計されている。加えて、保持ケージ、従って工具側のクランプ要素は、全体として、内部に突出するピン用のセンタ孔を備えることができる。即ち、1つもしくは複数のピンが、工具側のクランプ要素のもしくはこの場では有利に設けられた保持ケージのセンタ孔の中心点の方向に半径方向に延在する。最後に、設計は、更に、駆動側のクランプ要素が、停止手段と共に回転駆動ユニットに接続されているように行なわれる。回転駆動ユニットにより、駆動側のクランプ要素は、回転させることができる。同じことが、これと解離可能に連結された、回転工具を含む工具側のクランプ要素に対して当て嵌まる。何故なら、工具側のクランプ要素と回転工具は、通常はモジュールを規定するからである。停止手段により、回転工具は、それにより例えば個々のブラシが制動され、停止手段の通過後に増大した運動エネルギーで加工すべき表面に当たるように、作用を受け得る。これは、出願人の欧州特許第1834733号明細書に詳細に説明され、これに関連して、この文献の参照を明示的に指摘したい。
【0024】
結果として、工具側のクランプ要素と駆動側のクランプ要素との間のそのバヨネット結合によって、工具なしで簡単かつ迅速に形成すること及び再び解除することができる解離可能な結合を提供する回転駆動可能な回転工具装置が提供される。これは、特にまた大まかな作業条件を考慮しても、言及したクランプ要素の一方又は両方が多かれ少なかれ汚れている場合でもしっかりと当て嵌まる。ここに、実質的な利点が見られる。
【0025】
以下で、本発明を1つの実施例だけを図示した図面によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】回転駆動可能な回転工具装置の斜視図
図2図1の対象の側面図
図3図1及び2による回転工具装置の変形を施した実施形態
図4図3による回転工具装置用の駆動側のクランプ要素
図5図3及び4による回転工具装置用の工具側のクランプ要素
【発明を実施するための形態】
【0027】
図には、回転駆動可能な回転工具装置が図示されている。回転工具装置は、この実施例でかつ有利には、回転ブラシ工具装置もしくは回転ブラシ工具である。示した装置は、その基本構造において、少なくとも1つの駆動側のクランプ要素1と1つの工具側のクランプ要素2を備えた工具ホルダ1,2を有する。
【0028】
駆動側のクランプ要素1は、この実施例の範囲内では、図4に詳細に図示したシリンダ状の保持アダプタ1であり、この保持アダプタは、図2に暗示的にのみ示した回転駆動ユニット3によって回転させられる。このため、回転駆動ユニット3は、駆動側のクランプ要素もしくはシリンダ状の保持アダプタ1のセンタ孔を貫通もしくはセンタ孔に係合することができる。図2により、この目的のため及びこの実施例によれば、駆動側のクランプ要素1が、停止手段4と共に問題の回転駆動ユニット3に接続されていることが認められる。
【0029】
停止手段4は、この目的のため、回転工具5,6と相互作用することができる。回転工具5,6は、この実施例ではリングブラシ5,6であり、このリングブラシは、詳細には、ブラシベルト6と、このブラシベルト6に接続されかつこれに対して半径方向に突出するブリステル5から成る。これは、図2による側面図もしくは部分的な断面図から最も良く理解することができる。
【0030】
本発明によれば、設計は、駆動側のクランプ要素1と工具側のクランプ要素2が、解離可能に互いに結合され、問題の回転工具5,6を収容及び保持するように行なわれる。両クランプ要素1,2の解離可能な結合のため、バヨネット結合7,8が実現され、このバヨネット結合は、図4と5の対比によって最も良く理解することができる。
【0031】
実際に、この目的のため、駆動側のシリンダ状のクランプ要素1は、少なくとも1つの収容溝7を備えている。これに対して、工具側のクランプ要素2は、収容溝7に係合する少なくとも1つのピン8を有し、このピンは、図5によって理解することができる。基本的に、その逆のアプローチもなし得る。この場合、駆動側のクランプ要素1は、前記ピン8を備えており、これに対して、工具側のクランプ要素2は、収容溝7を備える。
【0032】
図4の図により、収容溝7が少なくとも2つの部分から形成されている。この実施例の範囲内で、収容溝7は、3部分構成を有する。実際に、収容溝7は、軸方向溝7aと、これに接続する半径方向溝7bから成る。加えて、終端側の係止溝7cも設けられ、この係止溝に、半径方向溝7bが終端側で移行する。係止溝7cは、軸方向溝7aに対して平行に延在する止まり溝、即ち、終端側のストッパを備えた溝である。別の基本的な構造に、特に図2で理解可能なバネ9も属する。
【0033】
バネ9は、駆動側のクランプ要素1を包囲する螺旋バネ9である。バネ9もしくは螺旋バネは、工具側のクランプ要素2が駆動側のクランプ要素1との合体後にその対応するピン8でもって係止溝7c内に保持されるために寄与する。この目的のため、駆動側のクランプ要素1は、通常は、その周囲に分配されて配置された3つの収容溝7を備えている。相応に、工具側のクランプ要素2は、その周囲に分配されて配置された、対応する収容溝7に係合するための3つのピン8を有する。
【0034】
更に、設計は、図2の側面図もしくは部分的な断面図によって最も良く理解することができるように、工具側のクランプ要素2と回転工具5,6が、モジュール2,5,6を規定するように行なわれる。加えて、当該工具側のクランプ要素2は、この目的のため、回転工具5,6を少なくとも部分的に半径方向及び軸方向に包囲する保持ケージ2として形成されている。この実施例によれば、保持ケージ2は、複数部分から形成されており、即ち、互いに結合可能な複数のクランプ要素2から成る。保持ケージ2は、この実施例によれば、回転工具5,6を把持する周囲の軸方向ウェブ10を有する円形リングケージとして設計されている。この目的のため、回転工具5,6は、凹部11を有し、これら凹部内に、当該軸方向ウェブ10が配置されている。
【0035】
保持ケージ2もしくは一般に工具側のクランプ要素2は、全体として及び図5の図に応じて、センタ孔12を備えており、このセンタ孔内に、1つのもしくは周囲に分配されて配置された3つのピンが突出する。このため、ピン8は、それぞれセンタ孔12の中心点の方向に半径方向に整向されている。
【0036】
工具側のクランプ要素2を、駆動側のクランプ要素1-このクランプ要素自体は、回転駆動ユニット3に接続されている-と合体させるため、工具側のクランプ要素もしくは保持ケージ2が、そのセンタ孔12でもって駆動側のクランプ要素1もしくはシリンダ状のピンに嵌着される-しかもここではセンタ孔12内に突出する個々のピン8が対応する収容溝7に係合する-ように、アプローチがなされる。この場合、ピン7は、それぞれの軸方向溝7aに沿って滑動する。これは、バネ9の力に抗して行なわれる。
【0037】
当該ピン8が半径方向溝7bに到達し次第、工具側のクランプ要素2は、最初に行なわれる押し運動に続いて、駆動側のクランプ要素1に対する回転運動によってロックすることができる。この回転運動の終わりに、当該ピン8は、係止溝7c内に、バネ9の作用を受けて転位するので、バヨネット結合7,8の形成後工具側のクランプ要素2は、回転工具5,6もしくはこの場で実現されるそのモジュール2,5,6と共に、駆動側のクランプ要素1に対してロックされている。駆動側のクランプ要素1に対する工具側のクランプ要素2の万一の解離のためには、説明した過程を逆に実行する必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】