(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109178
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】具体的にはコーヒーである飲料を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A47J31/36 114
A47J31/36 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010046
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】00080/22
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】504237533
【氏名又は名称】シュタイナー・アーゲー・ウェギス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,アドリアン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104BA05
4B104BA53
4B104BA55
4B104EA22
4B104EA34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトであり、単純な構造的構成である器具により、容量を増量できるコーヒー飲料を製造する装置を提供する。
【解決手段】ピストン31が、調製シリンダ24の中に引き入れられたり引き抜かれたりすることが可能となるように、位置決めされ、2つの供給チャンネル16が調製シリンダ24の上方にあり、抽出ピストン21が、各々、装填を行われる調製シリンダ24に隣接する調製シリンダ24の中に挿入されたりまたはこの調製シリンダ24から取り出されたりすることが可能となるように、配置構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として調整され得る回転ラックの形態である複数の調製シリンダ(24)であって、前記複数の調製シリンダ(24)の各々は抽出セル(34a、34b)を有し、前記抽出セル(34a、34b)の上方に飲料パウダーのための少なくとも1つの供給チャンネル(16)が存在する、複数の調製シリンダ(24)と、抽出ピストン(21)と、前記調製シリンダ(24)の下方にある少なくとも2つのピストン(31)と、を備え、前記ピストン(31)は、各々が調製シリンダ(24)の中に引き入れられたり調製シリンダ(24)から引き出されたりすることが可能となるように、位置決めされる、具体的にはコーヒーである、飲料を製造するための装置であって、
少なくとも2つの供給チャンネル(16)が前記調製シリンダ(24)の上方に提供され、前記少なくとも2つの供給チャンネル(16)から一定の距離のところに少なくとも2つの抽出ピストン(21)が配置構成され、前記調製シリンダ(24)の特定の位置において、前記供給チャンネル(16)は、各々の事例において、少なくとも、前記飲料パウダーの装填のために1つの調製シリンダ(24)の上方で接続され得、各々の前記調製シリンダ(24)の中に1つのピストン(31)が下方から挿入され得、対して、前記抽出ピストン(21)は、各々、装填を行われ得る前記調製シリンダ(24)に隣接する調製シリンダ(24)の中に挿入されたりまたはこの調製シリンダ(24)から引き抜かれたりすることが可能となるように、配置構成される、ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ピストン(31)は、調製シリンダ(24)から外される方向に移動してさらに離れる方向に枢動してさらにそれぞれの隣接する装填されるべき調製シリンダ(24)まで上方に移動した後、前記ピストンによって解放された前記調製シリンダ(24)内の抽出済みの固形化物が下方に吐き出され得る、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記飲料パウダーの装填時の位置において、前記2つのピストン(31)の各々が前記調製シリンダ(24)のうちの1つの調製シリンダ(24)の中に挿入され、前記2つのピストン(31)は、前記調整シリンダ(24)が前記ピストン(31)によって移動させられるまで、前記調製シリンダ(24)と共に降下させられて次の位置まで枢動させられて次いで再び持ち上げられるときに、挿入状態でこれらの前記調製シリンダ(24)の中に留まり、最終的に、前記調製シリンダ(24)の各々が前記抽出ピストン(21)の中に挿入される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
それぞれの抽出セル(34a、34b)を洗浄するための少なくとも2つの洗浄ピストン(18)が、各々の事例において抽出位置にある調製シリンダ(24)に隣接する調製シリンダ(24)の中に挿入されたりこの調製シリンダ(24)から取り出されたりすることが可能となるように、配置構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
互いに軸平行に配置構成された前記調製シリンダ(24)は、回転ラック(20)内で回転軸(A)を中心として円形パターンで保持され、前記調製シリンダ(24)は、好適には、前記供給チャンネル(16)および前記抽出ピストン(21)の反対側で、それぞれ、前記供給チャンネル(16)および前記抽出ピストン(21)の方に向かったり前記供給チャンネル(16)および前記抽出ピストン(21)から離れたりする方向に、垂直方向ガイド(27)によって移動させられ得る、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
6つの調製シリンダ(24)は、互いに60°の距離間隔で、前記回転ラック(20)内で保持され、前記2つの供給チャンネル(16)および前記2つの抽出ピストン(21)は、特定の位置にあるとき、各々、調製シリンダ(24)と相互作用し、前記調製シリンダ(24)は互いに180°でオフセットされて反対側に位置する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記調製シリンダ(24)の下方に位置決めされた枢動ユニット(30)は、前記少なくとも2つのピストン(31)と共に、摺動ガイド(27)内で上下に移動させられ得、前記枢動ユニット(30)の少なくとも高さが駆動装置要素によって調整され得、少なくとも前記ピストン(31)は、追加の駆動装置ユニット(41)によって保持され、その結果、前記ピストン(31)が前記枢動ユニット上で枢動することができるようになる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記枢動ユニット(30)の駆動装置要素として、垂直方向駆動スピンドル(25)は、好適には前記装置(10)の中央に、提供され、前記垂直方向駆動スピンドル(25)は前記枢動ユニット(30)に回転可能に接続される、
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記垂直方向駆動スピンドル(25)、および、前記垂直方向駆動スピンドル(25)に平行である前記摺動ガイド(27)は、下側捕集シェル(40)から、前記枢動ユニット(40)および前記回転ラック(20)を通って、上側ユニット(15)の回転駆動装置ユニット(22)まで、延在する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記回転ラック(20)は、前記調製シリンダ(24)と共に、動作可能に接続された前記枢動ユニット(30)または前記ピストン(31)によりそれぞれ降下させられ得、回転させられ得、次の位置まで持ち上げられ得る、
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記枢動ユニット(30)によって保持された前記回転ラック(20)は、ロック手段により、高い位置で着脱自在にロックされ得、前記枢動ユニット(30)が降下させられた状態で、前記ピストン(31)が下方に移動させられ、前記抽出ピストン(21)が上方に延在して前記調製シリンダ(24)から外れる、
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記供給チャンネル(16)、前記抽出ピストン(21)、および前記洗浄ピストン(18)は、モジュール型ユニット(15)内の前記回転軸(A)を中心として交互に配置構成され、その結果、前記供給チャンネル(16)、前記抽出ピストン(21)、および前記洗浄ピストン(18)が、前記調製シリンダ(24)と相互作用する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの製粉デバイス(12)が前記モジュール型ユニット(15)内に装着され、駆動装置(14)、および、前記飲料パウダーを前記供給チャンネル(16)の中に送給するための前記駆動装置から離れる方向に延びる少なくとも1つの接続部片(17)を有する、
ことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記モジュール型ユニット内に設置された前記垂直方向駆動スピンドル(25)のための回転駆動装置ユニット(22)が、前記モジュール型ユニット(15)内に配置構成される、
ことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
各々の事例において、前記装填を行われた調製シリンダ(24b)内で前記飲料を抽出するための水接続装置(36)が前記ピストン(31)に対して割り当てられ、対して、各々の事例において、前記調製シリンダ(24b)の前記抽出セル(34b)から、作られた前記飲料を放出するための接続装置(21’)が、前記抽出ピストン(21)のところに提供される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
4つの別個の平面(E1からE4)に分割される構造が提供され、前記飲料パウダーのための前記供給チャンネル(16)と、前記抽出ピストン(21)と、前記洗浄ピストン(18)と、を有する、好適にはモジュール型であるユニット(15)が第1の平面(E1)内に位置決めされ、第2の平面(E2)が前記調製シリンダ(24)を有し、第3の平面(E3)が前記ピストン(31)を有し、第4の平面(E4)が好適には捕集シェル(40)を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の平面(E1)の前記モジュール型ユニット(15)および前記第4の平面(E4)の前記捕集シェル(40)は、静止しているものとして配置構成され、前記垂直方向駆動スピンドル(25)および前記摺動ガイド(27)は、前記モジュール型ユニット(15)と前記捕集シェル(40)との間を延在してするように配置構成され、前記モジュール型ユニット(15)および前記捕集シェル(40)によって保持される、
ことを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記調製シリンダ(24)が前記第2の平面(E2)内に配置構成され、前記ピストン(31)は、異なる特定の位置で高さを調整され得るように前記第3の平面(E3)内に配置構成される、
ことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記調製シリンダ(24)を有する回転ラック(20)が前記第2の平面(E2)内に配置構成され、前記ピストン(31)を有する枢動ユニット(30)が前記第3の平面(E3)内に配置構成される、
ことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を中心として調整され得る回転ラックの形態である複数の調製(brewing)シリンダであって、複数の調製シリンダの各々が抽出セルを備え、抽出セルの上方に飲料パウダーのための少なくとも1つの供給チャンネルが存在する、複数の調製シリンダと、抽出ピストンと、少なくとも2つのピストンを備える、調製シリンダの下方で調整され得る枢動ユニットと、を備える、請求項1のプリアンブルによる、具体的にはコーヒーである、飲料を製造するための装置に関し、上記ピストンが、各々が調製シリンダの中に引き入れられたり調製シリンダから引き出されたりすることが可能となるように、互いに対して位置決めされる。
【背景技術】
【0002】
公開明細書(printed specification)DE202005020774Uによる既知のコーヒー・メーカーの場合、複数の調製チャンバと、装填ステーションと、調製ステーションと、排出ステーションと、を備える回転装置機構が提供され、装填チャンバと、調製ステーションと、排出ステーションとが、この状況においては、回転装置機構の上で連続するように配置構成され、ここでは、回転装置機構が回転することの結果として、各々の事例で、調製チャンバが、段階的に、装填ステーションから調製ステーションまで、またさらには排出ステーションの上まで、連続して枢動させられる。結果として、コーヒー・パウダーが1つの調製チャンバの中に充填され得、同時に、既にその中にパウダーが充填されている90°オフセットされた調製チャンバの中で調製され得、製造されたコーヒー飲料が下方に放出され得る。これにより、コーヒー飲料をより多量に製造することが可能となる。装填ステーション、調製ステーション、および排出ステーションが、原則として、別個のユニットとして構成され、これらの別個のユニットが相当な大きさの空間を占有し、調製チャンバ・キャリア上のシールが長持ちすることが常には保証され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この既知のコーヒー・メーカーを基礎として、本発明の目的は、コンパクトであり、単純な構造的デザインである装置により、容量を増量したコーヒーの自動製造を達成すると説明されるような、一般的な種類の装置およびコーヒー・メーカーをさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的が、本発明に従って、請求項1の特徴により、解決される。
【0006】
本発明によると、この装置を用いて、回転ラック型の回転可能調製シリンダの上方にある少なくとも2つの供給チャンネルと、これらの少なくとも2つの供給チャンネルから一定の距離のところに配置構成される2つの抽出ピストンとが提供され、ここでは、調製シリンダの特定の位置において、供給チャンネルが、各々の事例において、少なくとも、飲料パウダーの装填のために調製シリンダのうちの1つの調製シリンダの上方で接続され得、各々の調製シリンダの中にピストン(31)が下方から導入され得、対して、抽出ピストンが、各々、装填を行われ得る調製シリンダの隣にある調製シリンダの中に挿入されたりまたはこの調製シリンダから引き抜かれたりすることが可能となるように、配置構成される。
【0007】
本発明による装置のこの構成を用いることにより、調製シリンダを回転ラック型で各々回転させることにより、少なくとも2つの調製シリンダに飲料パウダーを充填することならびに同時にコーヒーの少なくとも2つの割当量を製造および放出することが、非常に効率的に、可能となる。結果として、循環的に、飲料が飲む準備の整った状態で2つの出口を介して1つのまたは好適には2つ以上のカップなどの容器の中に充填され得るようになり、ここでは、充填された調製シリンダが60°回転させられることにより抽出位置に移るときおよびピストンが逆方向に移動させられるときのみ、飲料流出がわずかに中断される。
【0008】
非常に有利には、互いに軸平行に配置構成された調製シリンダが回転ラック上で回転軸を中心として円形の配置構成で保持され、抽出ピストンの方に向かうようにおよび抽出ピストンから離れるように、供給チャンネルに対して垂直方向ガイド内で移動させられ得る。
【0009】
好適には、6つの調製シリンダが、互いに60°の距離間隔で、回転ラックのキャリア要素上で保持され、ここでは、2つの供給チャンネルおよび2つの抽出ピストンが、特定の位置にあるとき、各々、調製シリンダと相互作用し、ここでは調製シリンダが互いに180°でオフセットされて反対側に配置構成されている。
【0010】
有利には、調製シリンダの下方に位置決めされた枢動ユニットが、少なくとも2つのピストンと共に、垂直方向ガイドの上でまたは垂直方向ガイドから外されたところで移動させられ得、これは回転ラックも同様に可能であり、ここでは、この枢動ユニットの高さが駆動装置要素によって調整され得、さらには、追加の駆動装置ユニットによって回転させられ得る。
【0011】
有利には、この状況において、枢動ユニットの駆動装置要素として、装置の中央にある垂直方向駆動スピンドルが提供され、垂直方向駆動スピンドルが枢動ユニットに回転可能に接続され、垂直方向駆動スピンドルが、好適には、下側基部プレートから枢動ユニットおよびキャリア要素を通って回転駆動装置ユニットまで、延在する。
【0012】
別の利点として、調製シリンダを備える回転ラックが、ピストンにより調製シリンダに動作可能に接続された枢動ユニットによって降下させられ得、さらには、回転させられ得、それぞれの次の位置まで持ち上げられ得る。結果として、装置のすべての移動が2つの駆動装置ユニットのみを用いて実行することが可能となる。
【0013】
飲料パウダーを装填するとき、枢動ユニットの両方のピストンの各々が調製シリンダのうちの1つの調製シリンダの中に押し入れられ、ここでは、ピストンが挿入状態としてこれらの調製シリンダの中に留まり、枢動ユニットを、および、枢動ユニットと共に、調製シリンダを、降下させることになるとき、次の位置まで枢動され、調製シリンダが、ピストンによりその下側を閉じられた状態で、各々の事例において、抽出ピストンの中に押し入れられる。枢動ユニットの動作のみにより、このように、共通して、降下させたり、枢動させたり、持ち上げたりすることにより、同様に、装置を非常に単純に制御することも可能となる。
【0014】
抽出後、枢動ユニットのピストンが外れる方向に移動して離れる方向に枢動することにより個別の調製シリンダから外されることが、回転ラックを、および、回転ラックと共に、調製シリンダを、特定の高さでロックすることにより、行われる。これが同様に、装置の単純な構造的デザインに寄与する。
【0015】
本明細書の以下において、例示の実施形態に基づいて、図面を参照しながら、本発明および本発明の別の利点をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】延伸位置にある
図1による装置を示す斜視図である。
【
図3】左側の1つの調製シリンダが飲料パウダーの装填時にあり、右側の他の調製シリンダが飲料固形化物(beverage cake)の射出時にある、
図1による装置を示す長手方向断面図である。
【
図4】飲料パウダーを有する調製シリンダが降下させられた状態であり、次の位置まで一体に右側に回転させられることになる下側ピストンが調製シリンダの中にある、
図1による装置を示す長手方向断面図である。
【
図5】右側にある調製シリンダが飲料パウダーを有し、挿入された抽出ピストンが頂部にあり、抽出位置において調製シリンダの中に下側ピストンがある、
図1による装置を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2が、出口を通してジャグまたはカップなどの、容器の中まで運ばれ得る、具体的にはコーヒーである、飲料を製造するための装置10を示す。装置10が、有利には、ホット・コーヒーを調整および製造するのに適する。しかし、さらに、アイス・コーヒーを製造することも可能であり、ここでは、参照符号24により概して示される調製シリンダ内で調製が行われず、抽出のみが行われる。
【0018】
このような装置10は、従来のハウジング構造を装備することになるような、ならびに、より詳細には示されない、表示装置を備える少なくとも1つの操作盤と、豆容器と、水供給装置(water feed)および出口と、ミルク容器と、ミルク泡製造器(milk froth producer)と、出口と、別の構成要素部品と、を備えることができるような、コーヒー・メーカーとして構成され得る。しかし、この装置10は、同様に、少なくとも1つの別個のモジュールとしても構成され得る。
【0019】
コーヒーの代わりに、この装置10を用いて、ミルク飲料などの他の飲料を製造することも可能であり、ここでは、コーヒー・パウダーの代わりに、例えばチョコレート・パウダーなどの、混合物または別のパウダーが1つまたは複数の別個の容器から送給されることになる。
【0020】
本発明によるこの装置10を用いると、互いに独立して配置構成されて4つの平面E1からE4に分割される構造が提供される。構造の最も上側の平面E1内に、好適にはモジュール型であるユニット15が位置決めされ、ユニット15が静止しているものとして配置構成される。このユニット15に基部プレート11が割り当てられ、この基部プレート11の上に、駆動装置14を備える製粉デバイス12と、駆動装置14から離れる方向の延びる接続部片17と、2つの供給チャンネル16と、駆動装置要素のための回転駆動装置ユニット22と、下方に延在する2つの個々の抽出ピストン21および洗浄ピストン18とが位置する。接続部片17および2つの供給チャンネル16により、飲料パウダーが少量ずつ調製シリンダ24の中まで運ばれる。
【0021】
この回転駆動装置ユニット22が、基部プレート11の上側に設置される駆動装置要素としての垂直方向駆動スピンドル25に連結された、歯付きベルト19により回転させられ得るテイクオフ・ホイール(take-off wheel)22’を備える。歯付きベルト19が、より詳細には示されないモーターの駆動ホイールに回転可能に接続される。加えて、摺動ガイド27が駆動スピンドル25の隣で平行に配置構成され、摺動ガイド27が基部プレート11の上側に固定される。
【0022】
平面E1の下方の本構造の第2の平面E2の上に回転ラック20が配置構成され、回転ラック20が、回転軸Aを中心として回転させられ得る、互いに軸平行に円形に配置構成された6つの調製シリンダ24と、これらの調製シリンダ24を保持するキャリア要素26と、垂直方向摺動ガイド27と、を備える。この回転ラック20が、この摺動ガイド27に沿って、調製シリンダの内部で、
図2で見ることができるように、下側位置から、上側位置に、供給チャンネル16に沿うかたちで基部プレート11の下方まで移動させられ得、基部プレート11に向かう方向におよび基部プレート11から離れる方向に移動させられ得る。6つの調製シリンダ24の各々が、ディスク形状または別の形状であるキャリア要素26上で互いから60°の距離間隔で保持される。2つの供給チャンネル16および2つの抽出ピストン21が、互いに180°でオフセットされて反対側に位置する2つの調製シリンダ24と相互作用するように、基部プレート11内に配置構成される。
【0023】
回転ラック20の下方の第3の平面E3内に枢動ユニット30が配置構成され、枢動ユニット30が同様にこの摺動ガイド27内で高さを調整され得、枢動ユニット30が、2つの枢動ピストン31と、枢動ピストン31の隣に配置された2つのシェル32と、を備える。この状況において、この枢動ユニット30が駆動スピンドル25に回転可能に接続され、スピンドルの回転時に上方または下方に移動させられる。2つのピストン31が、枢動ユニット30に係合された軸受リング33により回転軸Aを中心として枢動させられることが可能となるように、設置され、この状況においては、2つのピストン31は各々の事例において特定の調製シリンダ24の中に押し入れられるかまたは特定の調製シリンダ24から押し出されることが可能となるように、位置決めされる。加えて、ピストン31は、各々、調製シリンダ24内に形成された抽出セルからの、製造された飲料の流出のための、中央孔31’を装備する。
【0024】
枢動ユニット30の下方の本構造の第4の平面E4内に固定の捕集シェル40が配置構成され、固定の捕集シェル40が、コーヒーかすなどの飲料固形化物を収集するためのより詳細には示されないシェルフを備える。この捕集シェル40は、モジュール型のユニット15と同様に、ハウジングなどの中で動かないように、しかし取り外し可能となるように、位置決めされる。この捕集シェル40の側部に駆動モーター41が提供され、駆動モーター41が、より詳細には示されない伝達ユニットにより軸受リング33に動作可能に接続され、駆動モーター41が、ピストン31を制御下で枢動させるのを可能にする駆動アクスル42を備える。加えて、基部プレート11から回転ラック20および枢動ユニット30を通って捕集シェル40まで延在する駆動スピンドル25および摺動ガイド27が、この捕集シェル40内の軸受要素25’、27’内の下側に設置される。
【0025】
本発明によると、調製シリンダ24の特定の位置において、2つの供給チャンネル16が、飲料パウダーを装填するために各々が調製シリンダ24の上方に接続されることが可能となるように、配置構成され、各々の事例において、ピストン31がこれらの調製シリンダ24の中に挿入され得、対して、抽出ピストン21が、装填可能である調製シリンダ24の隣の調製シリンダ24の中まで、および、この調製シリンダ24から外されるように、移動させられ得る。
【0026】
このような配置構成を用いることにより、所定の量の飲料パウダーを2つの調製シリンダ24の中に充填すること、および、同時に、飲料を隣の2つの調製シリンダ24’内で抽出することが可能となる。結果として、このコンパクト化された装置10を用いることにより、飲む準備が整った状態において、2つの出口を通してカップなどの1つの容器または好適には2つ以上の容器の中に飲料を実質的に一定に効率的に充填することが可能となり、ここでは、全容量において、充填された調製シリンダが60°回転させられることにより抽出位置に移るとき、および、ピストン31がそれぞれの抽出シリンダから枢動してそれぞれ装填位置に戻るときのみ、飲料流出がわずかに中断される。
【0027】
飲料パウダーの装填中、供給チャンネル16の各々が調製シリンダ24、24’の上方に位置決めされ、ピストン31が密閉効果を有するように下方から挿入され、対して、抽出ピストン21が、各々、調製シリンダ24’の中に挿入されて再び取り出されるように、装填可能である調製シリンダ24の隣に配置構成される。装填を行われた調製シリンダ24’内の抽出セル内の飲料を放出するために、これらの抽出ピストン21の各々に対して弁制御式接続装置21’が割り当てられ、対して、各々のピストン31’のところに、作られた飲料を放出するための弁制御式水接続装置36が形成される。
【0028】
2つの抽出ピストン21および洗浄ピストン18が、これらを保持する基部プレート11から下方に延在し、その結果、調製シリンダ24、24’が抽出ピストン21および洗浄ピストン18の中に挿入され得る。それぞれの抽出セルを洗浄するための洗浄ピストン18が、抽出位置において、調製シリンダ24’の隣に配置構成される。それぞれの調製シリンダ24が洗浄ピストン18の上方で密閉的に位置することができ、洗浄ピストン18から再び取り出され得る。したがって、基部プレート11内にある、供給チャンネル16、抽出ピストン21、および洗浄ピストン18が、ユニット15内の回転軸Aを中心として互いに60°オフセットされて交互に配置構成され、調製シリンダと相互作用する。供給チャンネル16、抽出ピストン21、および洗浄ピストン18は、調製シリンダの円形状と同等に寸法決めされた円形状を形成する。
【0029】
図3乃至
図5には、互いに隣に位置する装置10の2つの調製シリンダ24a、24bの位置が示される。同様にすべての細部が示されるわけではない。自明なこととして、これらの位置には、各々の事例において、回転ラック20の反対側で180°オフセットされて配置構成された調製シリンダ24が同時に存在し、より詳細には示されない同じプロセスが実行される。
【0030】
図3が互いに隣接する2つの調製シリンダ24a、24bを示しており、これらの2つの調製シリンダのうちの左側の調製シリンダ24aが飲料パウダーの装填時を示しており、右側にあるもう一方の調製シリンダ24bが固形化物の射出時を示している。枢動ユニット30を上方に移動させることによりこの位置に到達することができ、ここでは、このピストン31が調製シリンダ24aの中に挿入され、したがって、回転ラック20が調製シリンダ24と共に移動させられ、停止部としての基部プレート11まで上方に持ち上げられる。調製シリンダ24aの抽出セル34aが底部のところでピストン31により密閉的に閉じられ、頂部のところで供給チャンネル16の接続により密閉的に閉じられ、抽出セル34aに接続されて接続スリーブ37が開き、基部プレート11を貫通し、その結果、飲料パウダーがこの抽出セル34aの中に少量ずつ充填され得、飲料パウダーが製粉デバイス12によって製粉されるかまたは容器から制御下で供給される。この接続スリーブ37が好適にはその下側のところで調製シリンダ24aの中に突出し、したがって、堅固な接続を実現し、回転ラック20の上側停止部として機能する。飲料パウダーを装填するためのこれらの位置は、基部プレート11上で供給チャンネル16の固定された配置構成により、予め決定される。
【0031】
回転ラック20のこの持ち上げ状態で、右側にある他の調製シリンダ24bのところで、抽出ピストン21が抽出セル34bの下側領域の中まで突出し、本明細書において後でより詳細に説明されるように、この調製シリンダ24b内でのパウダーの以前の抽出によって形成された飲料固形化物の射出を引き起こす。この目的のため、抽出セル34bの下方においてピストン31とシェル32との間に自由空間が存在し、この自由空間が下側に向かって開いており、開口部44が捕集シェル40内に形成され、この開口部44を通って固形化物が上で言及したドロアの中に落下することができる。
【0032】
ピストン31がそれぞれの調製シリンダ24aの下側端部のところで接触し、ここでは、抽出セル34aを形成する調製シリンダの内壁24’が円筒構成24”から切頭円錐形の形態へと移行する。これには、抽出後にこの円錐領域に留まる固形化物が抽出ピストン21により下方に押圧されるときに内壁24’から容易に分離する、という別の利点がある。
【0033】
図4によると、枢動ユニット30および枢動ユニット30によって保持される回転ラック20が、調製シリンダ24と共に、それぞれの調製セル34aの装填後に、それぞれの抽出ピストン21を調製シリンダ24bから取り出すようになるまで駆動スピンドル25を十分に回転させることにより、降下させられ、したがって、回転ラック20が、調製シリンダ24と共に、その中に留まる枢動ユニット30の2つのピストン31により右側に60°回転させられ得、移動経路の半分のみで示される
図5による次に位置に入ることができる。
【0034】
図5が、右側において、飲料パウダーの抽出時の位置を示しており、ここでは、調製シリンダ24aが、その中に位置するピストン31によって60°回転させられ、その結果、抽出ピストン21の中に押し入れられ、基部プレート11のところで下方に突出し、ここでは、ピストン31および軸受リング33が枢動させられ、制御下の枢動ユニット30により上方に持ち上げられ得る。飲料パウダーをある程度コンパクトにするためにそれぞれのピストンが抽出セル34aの中で上方に十分に押されれば有利である。抽出セル34aが、内壁24’の切頭円錐形状領域内に位置する。さらに、調製シリンダ24cが装填位置まで枢動させられた状態で示される。
【0035】
調製プロセス中、弁制御式水接続装置36からの冷水、温かい水、または熱湯が、好適には圧力下で、押圧され、ピストン31内の少なくとも1つの孔31’を通過し、パウダーを通過し、それにより具体的には調製される。次いで、具体的にはコーヒーである製造された飲料が、抽出ピストン21内の少なくとも1つの孔21”を通って弁制御式接続装置21’まで運ばれ、さらに、この弁制御式接続装置21’から、より詳細には示されない出口まで、運ばれる。対照的に、この抽出中、水は、下方からではなく上方から、抽出ピストンを通り、パウダーを通り、ピストン31を通り、飲料出口まで運ばれ得る。
【0036】
抽出後、装置10が
図2で見られ得るような延伸位置まで送られ、この延伸位置では、ピストン31の各々が下方に押圧されてそれぞれの調製シリンダ24aから外され、枢動させられて装填の準備の整った調製シリンダ24cに戻され、調製シリンダ24cの中に押し入れられる。この目的のため、枢動ユニット20によって保持される回転ラック20が、より詳細には示されないロック手段により、高い位置で着脱自在にロックされ、この高い位置で、ピストン31が下方に移動させられ、抽出ピストン21が上方に移動させられて調製シリンダから外される。
【0037】
装填と同時に、調製シリンダ24a内の飲料固形化物が射出され、回転ラック20が再び回転すると、この回転中では調製シリンダ24cが抽出位置まで移動させられ、両側に位置する調製シリンダ24aが、水接続装置18’を各々装備する洗浄シリンダ18の下方に送られ、
図3による位置に対応する枢動ユニットおよび回転ラックの持ち上げ位置において、調製シリンダ24a内で制御下で洗浄プロセスが実行される。この後、調製シリンダ24aが降下させられ、枢動させられ、さらには、装填のために、後方側の他の出口チャンネル16のところまで持ち上げられる。
【0038】
上記の例示の実施形態を用いて本発明を十分に説明してきた。しかし、本発明は別の変形形態によっても説明され得るものである。枢動ユニットの代わりに、ピストンが、個別に枢動させられたりまたは調整されたりすることが可能となるようにも配置構成され得る。製粉デバイスおよび供給チャンネルを備えるモジュール型ユニット15が異なるかたちで構成されてもよい。
【0039】
原則的に、回転ラックは4つの調製シリンダから構成されてもよく、ここでは、抽出の機能、固形化物の射出の機能、抽出セルの洗浄の機能が、1つの位置で実行されることになる。しかし、本装置は、例えば9つの調製シリンダなどの、7つ以上の調製シリンダを提供することにも良好に適し、ここでは、各々の事例において、3つの供給チャンネル、3つのピストン、3つの洗浄ピストン、および3つの出口が存在することになる。
【0040】
複数の調製シリンダおよび枢動ユニットをそれぞれ備える回転ラックが、固定位置において配置構成され得、供給チャンネルおよび抽出ピストンが、互いに共にまたは互いに別個に高さの調整が可能となり得る。
【0041】
垂直方向駆動スピンドル25がねじ切りされた棒として構成される。しかし、垂直方向駆動スピンドル25は、電気機械式のまたは同様の、枢動ユニット内にあるピニオン駆動装置を備える歯付きホイール棒として構成されてもよい。同様に、摺動ガイド27が、ガイド・チューブなどの互いに隣に配置構成されるガイド棒とは異なる手法で構成されてもよい。さらに、駆動装置要素22が、電気モーターとして、駆動スピンドルに直接に連結され得る。
【0042】
さらに、駆動装置要素が、枢動ユニットの上方へのおよび下方への移動およびさらにはピストン31の枢動を同時に引き起こすように、構成され得る。
【符号の説明】
【0043】
10 装置
11 基部プレート
12 製粉デバイス
14 駆動装置
15 モジュール型ユニット
16 供給チャンネル
17 接続部片
18 洗浄ピストン
18’ 水接続装置
19 歯付きベルト
20 回転ラック
21 抽出ピストン
21’ 弁制御式接続装置
21” 孔
22 回転駆動装置ユニット
22’ テイクオフ・ホイール
24 調製シリンダ
24’ 調製シリンダ、内壁
24” 円筒構成
24a 調製シリンダ
24b 調製シリンダ
24c 調製シリンダ
25 駆動スピンドル
25’ 軸受要素
26 キャリア要素
27 摺動ガイド
27’ 軸受要素
30 枢動ユニット
31 枢動ピストン
31’ 中央孔
32 シェル
33 軸受リング
34a 抽出セル
34b 抽出セル
36 弁制御式水接続装置
37 接続スリーブ
40 捕集シェル
41 駆動モーター
42 駆動アクスル
44 開口部
A 回転軸
E1 第1の平面
E2 第2の平面
E3 第3の平面
E4 第4の平面
【外国語明細書】