(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109258
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】空調機能服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20230801BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20230801BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D13/005 108
A41D13/05 168
A41D13/05 175
A41D13/05 162
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010675
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】天野 陽子
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC17
3B011AC21
(57)【要約】
【課題】被服用ファンを通って衣服内に雨水が入り込んでしまうことを防止するためのカバー部材を備えた空調機能服であって、カバー部材が不要なときであってもカバー部材が邪魔にならない空調機能服を提供する。
【解決手段】衣服用ファン11が設置される第1の開口部9が形成されている衣服本体3と、第1の開口部9に被さるようにして衣服本体3に設けられており、閉状態から開状態に至るまでの間で変形するカバー部材5と、カバー部材5に設置されており、常態でカバー部材5を閉状態にする形状になっており、所定の外力が加わることで、カバー部材5を開状態とするように変形する弾性部材7とを有する空調機能服1である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服用ファンが設置される第1の開口部が形成されている衣服本体と、
前記第1の開口部に被さるようにして前記衣服本体に設けられており、前記第1の開口部を閉じている状態である閉状態から、前記第1の開口部に通じる第2の開口部を前記衣服本体とともに形成している状態である開状態に至るまでの間で変形するカバー部材と、
前記カバー部材に設置されており、常態で前記カバー部材を前記閉状態にする形状になっており、所定の外力が加わることで、前記カバー部材を前記開状態とするように変形する弾性部材と、
を有する空調機能服。
【請求項2】
前記カバー部材は、カバー部材本体部とマチ部とを備えて構成されており、
前記カバー部材が前記閉状態になっているときには、前記カバー部材本体部の一部の部位が前記第1の開口部を閉じているとともに前記マチ部が畳み込まれており、
前記カバー部材が前記開状態になっているときには、前記カバー部材本体部が前記第1の開口部から離れているとともに前記マチ部が展開している請求項1に記載の空調機能服。
【請求項3】
紐状部材を備え、
前記カバー部材が前記衣服本体に重なり、前記カバー部材の一部が前記衣服本体に付着されていることで、前記カバー部材が前記衣服本体に設置されており、
前記第2の開口部は、前記カバー部材の縁部の前記衣服本体に付着されていない部位である第2の開口部形成部位が、前記衣服本体から離れることで形成されるように構成されており、
前記紐状部材の一方の端部が、前記第2の開口部形成部位の一方の端部もしくは前記第2の開口部形成部位の一方の端部の近傍で、前記第2の開口部形成部位に接合されており、前記紐状部材の他方の端部を引っ張ることで、前記第2の開口部が形成されるように構成されている請求項1または請求項2に記載の空調機能服。
【請求項4】
前記衣服本体には、ポケットが設けられており、
前記紐状部材は、この長手方向で前記一方の端から他方の端に向かい、前記衣服本体と前記カバー部材との間、前記衣服本体の内側、前記ポケット内で延びている請求項3に記載の空調機能服。
【請求項5】
前記カバー部材に設けられているファスナーと、前記衣服本体に設けられているファスナーを備え、
前記カバー部材が前記衣服本体に重なり、前記カバー部材の一部が前記衣服本体に付着されていることで、前記カバー部材が前記衣服本体に設置されており、
前記第2の開口部は、前記カバー部材の縁部の前記衣服本体に付着されていない部位である第2の開口部形成部位が、前記衣服本体から離れることで形成されるように構成されており、
前記各ファスナー同士が互いに係合することで、前記第2の開口部が形成されるように構成されている請求項1または請求項2に記載の空調機能服。
【請求項6】
前記衣服本体は、上衣を構成するものであり、
前記衣服本体の第1の開口部は、左右一対で設けられており、
1枚の前記カバー部材が、前記衣服本体の前記一対の第1の開口部に被さるようにして前記衣服本体に設置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空調機能服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機能付きの服(空調機能服)に係り、特に、夏季の屋外など、高温環境で作業を行う作業者のための暑熱対策用品として電動ファンが設置されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夏季の屋外など、高温環境で作業を行う作業者のための暑熱対策用品として、電動ファン付き衣服(空調機能服)が知られている。この電動ファン付き衣服を着用して雨天時に屋外で作業を行うと、電動ファン(衣服用ファン)の吸気口が外部に露出しているので、衣服内に雨水を吸い込んでしまう。
【0003】
そこで、電動ファンの吸気口を覆う空調機能服として、通気ダクト、カバー部材、もしくは、電動ファン付き衣服の上に重ねて着用する雨衣などが用いられている。
【0004】
特許文献1に記載の通気衣服では、発泡ウレタンからなる通気ダクトが縫合によって衣服に固着されている。特許文献2には、電動ファン(被服用ファン)に対して着脱可能に取り付けられ不要な際は折り畳むことができるファンカバーが示されている。特許文献3に記載の雨衣では、スペーサーにより外気の通風を促す構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4996305号公報
【特許文献2】実用新案登録第3226906号公報
【特許文献3】実用新案登録第3225346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の通気衣服では、通気ダクトが縫合によって衣服に固着されているので、フードが不要な際には邪魔になってしまう。特許文献2に記載のファンカバーでは、長期の使用によってシリコンゴムが劣化し、破損や紛失を引き起こすおそれがある。また、特許文献3に記載のものでは、雨衣を重ねて着用するので衣服内に湿気が溜まり、快適性を損なってしまう。
【0007】
本発明は、被服用ファンを通って衣服内に雨水が入り込んでしまうことを防止するためのカバー部材を備えた空調機能服であって、カバー部材が不要なときであってもカバー部材が邪魔にならない空調機能服を提供することを目的とする。また、上記空調機能服であって、衣服用ファンの吸気口をカバー部材で覆った状態でも快適に着用することができる空調機能服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施態様における空調機能服は、衣服用ファンが設置される第1の開口部が形成されている衣服本体と、前記第1の開口部に被さるようにして前記衣服本体に設けられており、前記第1の開口部を閉じている状態である閉状態から、前記第1の開口部に通じる第2の開口部を前記衣服本体とともに形成している状態である開状態に至るまでの間で変形するカバー部材と、前記カバー部材に設置されており、常態で前記カバー部材を前記閉状態にする形状になっており、所定の外力が加わることで、前記カバー部材を前記開状態とするように変形する弾性部材とを有する空調機能服である。
【0009】
また、本発明の実施態様における空調機能服では、前記カバー部材が、カバー部材本体部とマチ部とを備えて構成されており、前記カバー部材が前記閉状態になっているときには、前記カバー部材本体部の一部の部位が前記第1の開口部を閉じているとともに前記マチ部が畳み込まれており、前記カバー部材が前記開状態になっているときには、前記カバー部材本体部が前記第1の開口部から離れているとともに前記マチ部が展開している。
【0010】
また、本発明の実施態様における空調機能服は、紐状部材を備え、前記カバー部材が前記衣服本体に重なり、前記カバー部材の一部が前記衣服本体に付着されていることで、前記カバー部材が前記衣服本体に設置されており、前記第2の開口部は、前記カバー部材の縁部の前記衣服本体に付着されていない部位である第2の開口部形成部位が、前記衣服本体から離れることで形成されるように構成されており、前記紐状部材の一方の端部が、前記第2の開口部形成部位の一方の端部もしくは前記第2の開口部形成部位の一方の端部の近傍で、前記第2の開口部形成部位に接合されており、前記紐状部材の他方の端部を引っ張ることで、前記第2の開口部が形成されるように構成されている。
【0011】
また、本発明の実施態様における空調機能服では、前記衣服本体に、ポケットが設けられており、前記紐状部材は、この長手方向で前記一方の端から他方の端に向かい、前記衣服本体と前記カバー部材との間、前記衣服本体の内側、前記ポケット内で延びている。
【0012】
また、本発明の実施態様における空調機能服では、前記カバー部材に設けられているファスナー、前記衣服本体に設けられているファスナーを備え、前記カバー部材が前記衣服本体に重なり、前記カバー部材の一部が前記衣服本体に付着されていることで、前記カバー部材が前記衣服本体に設置されており、前記第2の開口部は、前記カバー部材の縁部の前記衣服本体に付着されていない部位である第2の開口部形成部位が、前記衣服本体から離れることで形成されるように構成されており、前記各ファスナー同士が互いに係合することで、前記第2の開口部が形成されるように構成されている。
【0013】
また、本発明の実施態様における空調機能服は、前記衣服本体が、上衣を構成するものであり、前記衣服本体の第1の開口部が、左右一対で設けられており、1枚の前記カバー部材が、前記衣服本体の前記一対の第1の開口部に被さるようにして前記衣服本体に設置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動ファンを通って衣服内に雨水が入り込んでしまうことを防止するためのカバー部材を備えた空調機能服であって、カバー部材が不要なときであってもカバー部材が邪魔にならない空調機能服を提供することができる。また、上記空調機能服であって、衣服用ファンの吸気口をカバー部材で覆った状態でも快適に着用することができる空調機能服を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る空調機能服の正面図(空調機能服を前側から見た図)である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空調機能服の背面図(空調機能服を後側から見た図)である。
【
図3】(a)は
図2におけるIIIA-IIIA断面を示す図であり、(b)は
図2におけるIIIB-IIIB断面を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空調機能服の裏面展開図(空調機能服の内側を示す展開図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る空調機能服の衣服本体を構成する後身頃を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る空調機能服のカバー部材を示す図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII-VIII断面を示す図である。
【
図9】
図8に対応する図であって、第2の開口部が形成されている状態を示す図である。
【
図10】衣服本体に衣服用ファンが設置されているとともに第2の開口部が形成されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る空調機能服(空調機能付きの服)1は、たとえば、雨天時に屋外で人が作業等のために着用するものであり、
図1から
図4で示すように、衣服本体3とカバー部材(カバー生地)5と弾性部材7とを備えて構成されている。
【0017】
衣服本体3は、たとえば、上衣(上衣本体)を構成するものであり、衣服本体3には、第1の開口部(貫通孔;ファン取付孔)9が形成されている。上衣(上衣本体)を構成する生地としては、通気性を有さないか、または、通気性が低い任意の生地を用いることが望ましい。また、上衣(上衣本体)を構成する生地として、防水性能を有する素材を用いたり、防水テープ(シームテープ)で縫い目を被覆したりしてもよい。第1の開口部9は、たとえば円形状に形成されており、衣服本体3の生地を貫通している。第1の開口部9には衣服用ファン(風発生装置;電動ファン)11が設置されるようになっている(
図10参照)。第1の開口部9に設置されている衣服用ファン11が稼働することで、空調機能服1の外部から空調機能服1の内部に空気が送られ、空調機能服1を着用している人(着用者)の体が冷やされるようになっている。空調機能服1は、たとえば、これに衣服用ファン11が設置されさらに衣服用ファン11が稼働することで、空調機能を発揮するようになっている。
【0018】
カバー部材5は、衣服本体3の外側で、第1の開口部9に被さるようにして衣服本体3に設けられており、閉状態(
図8参照)から開状態(
図9、
図10参照)に至るまでの間で変形するようになっている。閉状態とは、カバー部材5が衣服本体3の第1の開口部9を覆って第1の開口部9を閉じている状態(塞いでいる状態)である。開状態とは、カバー部材5が第1の開口部9に通じる第2の開口部13を衣服本体3とともに形成している状態である。
【0019】
弾性部材7は、当然のこととして弾性を備えており、カバー部材5に一体的に設置されている。すなわち、弾性部材7は、カバー部材5から容易には取り外すことができないようにしてカバー部材5が設置されている。なお、弾性部材7はカバー部材5に一体的に設置されてはいるが、弾性部材7はカバー部材5に完全に固定されているわけではない。カバー部材5に設置されている弾性部材7は、カバー部材5に対して若干ではあるが、狭い範囲で動けるようになっている。
【0020】
弾性部材7は、常態(重力以外の力が加わっていない状態)でカバー部材5を閉状態にする形状になっている。また、弾性部材7は、所定の外力が、弾性部材7、カバー部材5、衣服本体3に加わることで(加わり続けることで)、カバー部材5を開状態とするように変形(弾性変形)するようになっている。
【0021】
衣服本体3、カバー部材5、後述するポケット15を形成しているポケット形成部材17は、空調機能服1が雨天で使用されるものであることに鑑み、防水性を備えた素材、もしくは、防水性と透湿性とを備えた素材で構成されている。弾性部材7は、ウレタンもしくはウレタンゴム等の合成樹脂で構成されている。なお、弾性部材7を構成する素材として、任意の厚さに形成されたウール、不織布等の繊維素材や、金属や樹脂からなるワイヤー、可撓性を有する合成樹脂板、その他任意の素材を用いることができる。
【0022】
図10等で示すように、第2の開口部13は、カバー部材5の下端部に形成されるようになっている。したがって、起立している人が空調機能服1を着用している場合、第1の開口部9は、第2の開口部13よりも上側に位置しており、第2の開口部13が開いていても、雨等の上から降ってくる液体が第1の開口部9に直接あたらないようになっている。
【0023】
カバー部材5の閉状態は、詳しくは後述する面ファスナー19(
図10参照)によって維持されるようになっている。弾性部材7に加えられている上述した所定の外力を取り除くと、弾性部材7が復元し、カバー部材5が閉状態になり、面ファスナー19によって閉状態が維持されるようになっている。
【0024】
なお、衣服用ファン11が衣服本体3の第1の開口部9のところに設置されておりカバー部材5が閉状態になっているときには、衣服用ファン11の空気の吸引口21がカバー部材5で覆われている。
【0025】
また、衣服用ファン11が衣服本体3の第1の開口部9のところに設置されておりカバー部材5が開状態になっているときに衣服用ファン11を稼働する。すると、
図10で示すように、第2の開口部13と衣服本体3とカバー部材5とで形成されている空間(カバー部材内空間)23とを通って、衣服用ファン11の空気の吸引口21から空気が吸い込まれるようになっている。衣服用ファン11の空気の吸引口21から吸い込まれた空気は、衣服用ファン11の空気の吹き出し口25から衣服本体3内に吹き出されるようになっている。
【0026】
なお、上述したカバー部材5の挙動とは逆に、常態でカバー部材5が開状態になり、所定の外力が弾性部材7等に加わることで、カバー部材5が閉状態になるように構成されていてもよい。
【0027】
カバー部材5は、カバー部材本体部27とマチ部29とを備えて構成されている。カバー部材5が閉状態になっているときには、カバー部材本体部27の一部の部位が第1の開口部9に被さって第1の開口部9を覆って閉じているとともに、マチ部29が畳み込まれている(
図8参照)。
【0028】
カバー部材5が開状態になっているときには、カバー部材本体部27が第1の開口部9から離れているとともにマチ部29が展開している(
図9参照)。
【0029】
図7、
図8、
図9で示すように、空調機能服1には、紐状部材(たとえばゴム紐)31が設けられている。カバー部材5は、
図2等で示すように、この総てが衣服本体3(第1の開口部9を含む一部の部位)に重なっている。また、カバー部材5の縁部の一部(大部分の部位)が衣服本体3に付着(たとえば縫着)されていることで、衣服本体3に設置されている。なお、紐状部材31として、伸縮性を有さない紐や、平テープが用いられてもよい。
【0030】
第2の開口部13は、カバー部材5の縁部の衣服本体3に付着されていない部位である第2の開口部形成部位33が、衣服本体3から離れることで形成されるように構成されている。
【0031】
紐状部材31の長手方向の一方の端部が、第2の開口部形成部位33の一方の端部もしくは第2の開口部形成部位33の一方の端部の近傍で、第2の開口部形成部位33に接合されている。
【0032】
紐状部材31の長手方向の他方の端部を引っ張る(引き絞る)ことで、所定の外力が、弾性部材7、カバー部材5、衣服本体3に加わる。そして、カバー部材5を開状態とするように弾性部材7が弾性変形し、第2の開口部13が形成されるように構成されている(
図9参照)。
【0033】
第2の開口部形成部位33は、カバー部材本体部27の端部の衣服本体3に付着されていない部位と、マチ部29の端部の衣服本体3に付着されていない部位とで形成されており、たとえば直線状になって所定の長さ延びている(
図2参照)。
【0034】
弾性部材7は、少なくとも、第2の開口部形成部位33のカバー部材本体部27の端部のところで、第2の開口部形成部位33のカバー部材本体部27の端部に沿って延びてカバー部材本体部27に設けられている。
【0035】
紐状部材31の一方の端部は、
図8で示すように、第2の開口部形成部位33の、カバー部材本体部27とマチ部29との境界30のところで、第2の開口部形成部位33に接合されている。また、紐状部材31は、カバー部材5の内側で長く延びている。さらに、空調機能服1には、紐状部材31に係合することで、紐状部材31の他方の端部を引っ張られている状態を維持するための紐止め材35が設けられている。紐止め材35として、
図4に示されるようなコードストッパーのほか、ボタンや面ファスナー等種々の部材を用いることができる。
【0036】
衣服本体3には、カバー部材5に隣接してポケット15が設けられている。紐状部材31は、この長手方向で一方の端から他方の端に向かい、衣服本体3とカバー部材5との間、衣服本体3の内側、ポケット15内で延びている(
図7、
図8参照)。
【0037】
衣服本体3の第1の開口部9は、
図5で示すように、左右一対で設けられている。そして、1枚のカバー部材5(
図6参照)が、衣服本体3の一対の第1の開口部9に被さるようにして衣服本体3に設置されている。
【0038】
ここで、空調機能服1についてさらに詳しく説明する。空調機能服1は、概ね左右対称に形成されている。
【0039】
衣服本体3は、
図1、
図2等で示すように、身頃37と袖39とを備えて構成されている。第1の開口部9は、
図5で示すように、後身頃を構成する後身頃構成材41の下部であって左右両側に設けられている。
【0040】
図6で示すカバー部材5に示されている二点鎖線61の間の一対の三角形の部位43のそれぞれが、一対のマチ部29のそれぞれを構成する部位である。なお、一対の三角形の部位43を、四角形に形成したり、タックやプリーツにより形成したりしてもよい。一対のマチ部29は、後身頃の左右中心部を挟んで設けられている。なお、一対のマチ部29を設ける位置は、カバー部材5によって第1の開口部9を覆うことが可能であれば、
図6に示す位置に限られない。たとえば、カバー部材5の縁部5Cと縁部5Eに、それぞれ、一対のマチ部29を設けてもよい。
【0041】
カバー部材5が後身頃構成材41の外側で後身頃構成材41に設置された状態では、たとえば、
図2で示すように、後身頃構成材41の下端部を除いて、カバー部材5の総てがカバー部材5に重なっている。
【0042】
すなわち、カバー部材5が後身頃構成材41の外側で後身頃構成材41に設置された状態では、カバー部材5の上端が、後身頃の背ヨーク45の下端のところに位置している。すなわち、カバー部材5は、衣服本体3の後身頃の外側で、背ヨーク45の下方から第1の開口部9を通り第1の開口部9よりも若干下側の部位までの範囲全体にわたって設けられている。
【0043】
さらに説明すると、
図6で示すカバー部材5の縁部5A~5Fが、後身頃構成材41に縫着されている。なお、縁部5Gと縁部5Hとは、後身頃構成材41に縫着されておらず一対の第2の開口部形成部位33を形成している。
【0044】
ここで、
図7を参照しつつ、衣服本体3の右側の第1の開口部9と、衣服本体3の右側の第1の開口部9の周辺に設けられている小径の貫通孔51、53、右側の紐状部材31、右側のポケット15について説明する。貫通孔51、53には、紐状部材31が通っている。なお、
図7の紙面では、「右側」と「左側」の表示が逆になっているが、これは、
図7で示す「右側」と「左側」の表示が、空調機能服1を着用者が着たときにおける着用者にとっての右側、左側を示しているからである。
【0045】
後身頃構成材41は、後身頃構成材本体55と第1の開口部9を形成している矩形な板状の開口部形成材47を備えて構成されている。開口部形成材47は、後身頃構成材本体55の内側に配置されている。
【0046】
開口部形成材47の中央部には、第1の開口部9が形成されている。開口部形成材47は、直線47A~47Fで示す部位と、直線状の一点鎖線47G,47Hで示す部位が、後身頃構成材41の開口部形成材47以外の部位に縫着されている。一方、直線47I、47Jで示す部位での縫着はされていない。
【0047】
これにより、直線49Aと直線47Bの上端部と一点鎖線47Gと直線47Jとで囲まれた四角形状の部位が、直線47Jのところを開口部とした上側の袋状部49になっている。また、直線47Bの下端部と直線49Cと直線47Iと一点鎖線47Hとで囲まれた四角形状の部位も、直線47Iのところを開口部とした下側の袋状部49になっている。なお、すでに理解されているように、袋状部49は、後身頃構成材本体55と開口部形成材47との厚さ方向で後身頃構成材本体55と開口部形成材47との間に形成されている。なお、下側の袋状部49は、上下方向で、カバー部材5の下端部のところに位置している。
【0048】
また、後身頃構成材41には、後身頃構成材41(後身頃構成材本体55)を貫通している一対の貫通孔51と、この一対の貫通孔51とは別の一対の貫通孔53とが設けられている。
【0049】
一対の貫通孔51は、互いが上下方向で離れている。一対の貫通孔51は、左右方向では、第1の開口部9の左端のところ(袋状部49の左側)に位置している。一対の貫通孔51のうちの下側の貫通孔51は、上下方向では、第1の開口部9の下側に位置しており、下側の袋状部49の中央部に位置している。一対の貫通孔51のうちの上側の貫通孔51は、上下方向では、第1の開口部9の上側に位置しており、上側の袋状部49の中央部に位置している。
【0050】
一対の貫通孔53は、互いが上下方向で僅かに離れている。一対の貫通孔53は、左右方向では、第1の開口部9(開口部形成材47)の右側で第1の開口部9(開口部形成材47)から離れ、ポケット15が設けられているところに配置されている。一対の貫通孔53は、上下方向では、第1の開口部9(開口部形成材47)の中央のところに配置されている。
【0051】
ポケット15は、ポケット形成部材17で形成されている。ポケット形成部材17は、
図1で示すように、前身頃構成材71の外側に配置されている。ポケット形成部材17の側方の両側の端部とポケット形成部材17の下端部とが、前身頃構成材71に縫着されていることで、ポケット形成部材17と前身頃構成材71とで、ポケット内空間57(
図1、
図8、
図9参照)が形成されている。ポケット内空間57は上端が開口している。
【0052】
ポケット内空間57は、左右方向では、開口部形成材47から僅かに離れ、もしくは、開口部形成材47に隣接し、前身頃構成材71に設けられている。ポケット内空間57の下端は、開口部形成材47よりも下側に位置しており、ポケット内空間57の上端は、開口部形成材47よりも上側に位置している。
【0053】
紐状部材31は、1本の紐状の部材で構成されている。1本の紐状の部材はこの長手方向の中央で折り返されており、この折り返しがされている中央部位59から、紐状部材31が上側部位31Aと下側部位31Bとなって延伸している。
【0054】
紐状部材31の上側部位31Aの長手方向の一方の端は、左右方向では、カバー部材5のマチ部29の端部(境界30のところ)に固定されている。上側部位31Aの長手方向の一方の端は、上下方向では、
図7で示すように上側の貫通孔51のところに配置されている。中央部位59が上側部位31Aの長手方向の他方の端になっている。
【0055】
紐状部材31の上側部位31Aは、中央部位59からポケット内空間57内で延伸した後、上側の貫通孔53を貫通している。この後、上側部位31Aは、後身頃構成材本体55の内側に入って延伸し、上側の袋状部49内で延伸し、上側の貫通孔51を貫通している。この後、上側部位31Aは、カバー部材内空間23内で延伸し、上側部位31Aが、上述したように、カバー部材5のマチ部29の端部(
図6に示す二点鎖線61のところ)に固定されている。
【0056】
紐状部材31の下側部位31Bの長手方向の一方の端は、左右方向では、カバー部材5のマチ部29の端部(境界30のところ)に固定されている。下側部位31Bの長手方向の一方の端は、上下方向では、
図7で示すように下側の貫通孔51のところに配置されている。中央部位59が下側部位31Bの長手方向の他方の端になっている。
【0057】
紐状部材31の下側部位31Bは、中央部位59からポケット内空間57内で延伸した後、下側の貫通孔53を貫通している。この後、下側部位31Bは、後身頃構成材本体55の内側に入って延伸し、下側の袋状部49内で延伸し、下側の貫通孔51を貫通している。この後、下側部位31Bは、カバー部材内空間23(
図8参照)内で延伸し、下側部位31Bが、上述したように、カバー部材5のマチ部29の端部(境界30のところ)に固定されている。
【0058】
図7で示すように、紐状部材31の上側部位31Aと下側部位31Bとに、紐止め材35が係合している。さらに説明すると、上側部位31Aが紐止め材35を貫通し、下側部位31Bも紐止め材35を貫通している。これにより、常態では、紐止め材35と、紐止め材35を貫通している上側部位31Aの部位と、紐止め材35を貫通している下側部位31Bの部位とが一体化している。
【0059】
紐止め材35の操作部(図示せず)が操作されることで(力を加えることで)、上側部位31Aと下側部位31Bとが、これらの長手方向で、紐止め材35に対して移動できるようになっている。なお、
図7では紐止め材35が、後身頃構成材本体55の内側で、貫通孔53と袋状部49との間に設けられているが、紐止め材35が、ポケット内空間57内に設けられていてもよい。
【0060】
弾性部材7は、細長い矩形な板状になっている。すなわち、弾性部材7は、帯状のウレタンシートで構成されている。また、弾性部材7は、常態では平板状になっている。弾性部材7は芯材として機能するようになっている。さらに、1つの第1の開口部9に対して2つ弾性部材7(上側弾性部材7A、下側弾性部材7B)が設けられている。
【0061】
上側弾性部材7Aは、長手方向が左右方向になり、幅方向が上下方向になっている。また、上側弾性部材7Aは、上側の袋状部49に概ね重なるようにして設けられている。さらに説明すると、左右方向で、上側弾性部材7Aの左端は、カバー部材5のマチ部29の端部の近傍(境界30のところ)に位置しており、上側弾性部材7Aの右端は、後身頃構成材本体55の右端の近傍に位置している。
【0062】
下側弾性部材7Bも、長手方向が左右方向になり、幅方向が上下方向になっている。また、下側弾性部材7Bは、下側の袋状部49に概ね重なるようにして設けられている。さらに説明すると、左右方向で、下側弾性部材7Bの左端は、カバー部材5のマチ部29の端部の近傍(境界30のところ)に位置しており、下側弾性部材7Bの右端は、後身頃構成材本体55の右端の近傍に位置している。
【0063】
1枚のカバー部材5は、
図3(b)で示すように、1枚の表側生地(外側生地)63と1枚の裏側生地(内側生地)65とが重なっていることで形成されている。1枚の表側生地63と1枚の裏側生地65とが適宜縫着されていることで、1枚のカバー部材5が形成されている。
【0064】
カバー部材5には、
図2、
図3で示すように、弾性部材7を設置するための2つの縫着部位67(上側縫着部位67A、下側縫着部位67B)が設けられている。上側縫着部位67Aには、上側弾性部材7Aが設置されており、下側縫着部位67Bには、下側弾性部材7Bが設置されている。
【0065】
上側縫着部位67Aは、4つの辺の形態になっており、上記四角形の幅寸法の値(上下方向の寸法の値)は、上側弾性部材7Aの幅寸法の値(上下方向の寸法の値)よりも僅かに大きくなっている。また、上記四角形の長さ寸法の値(左右方向の寸法の値)は、上側弾性部材7Aの長さ寸法の値(左右方向の寸法の値)よりも僅かに大きくなっている。
【0066】
上側縫着部位67Aの四角形の内側には、上側弾性部材7Aを収容するための弾性部材設置空間69(
図2参照)が形成されており、弾性部材設置空間69内に、上側弾性部材7Aが収容されて設置されている。これにより、上述したように、弾性部材7がカバー部材5に完全に固定されているわけではなく、カバー部材5に設置されている弾性部材7が、カバー部材5に対して若干ではあるが、狭い範囲で動けるようになっている。
【0067】
下側弾性部材7Bも、上側弾性部材7Aと同様にして、下側縫着部位67Bの四角形の内側に形成されている弾性部材設置空間69内に設置されている。
【0068】
ところで、空調機能服1は、上述したように、概ね左右対称に形成されている。これにより、衣服本体3の左側の第1の開口部9と、衣服本体3の左側の第1の開口部9の周辺に設けられている小径の貫通孔51、53、左側の紐状部材31、左側のポケット15も、右側のものと同様にして設けられている。
【0069】
次に、第2の開口部13の形成動作について説明する。
【0070】
初期状態では、
図8で示すように、第2の開口部13が閉じられている。この初期状態では、衣服本体3に設けられている面ファスナー19(
図10参照)と、カバー部材5に設けられている面ファスナー19とがお互いに接合されている。この初期状態において、紐状部材31の中央部位59側の部位を引っ張る(
図7では右側に引っ張る)。これにより、紐状部材31の一端とカバー部材5との接合部位でカバー部材5が引っ張られ、
図9、
図10で示すように、第2の開口部13が形成される。なお、
図9で示す状態では、弾性部材7が円弧状に撓んでいる(弾性変形している)。
【0071】
図9、
図10に示す状態で、紐止め材35を紐状部材31に対して適宜移動し、紐状部材31に固定することで、
図9、
図10に示す状態が維持される。
【0072】
空調機能服1は、衣服本体3とカバー部材5と弾性部材7とを備えて構成されている。衣服本体3には、衣服用ファン11が設置される第1の開口部9が形成されている。カバー部材5は、閉状態から開状態との間で変形するようになっている。弾性部材7は、カバー部材5に設置されている。また、弾性部材7が、常態でカバー部材5を閉状態にする形状になり、弾性部材7に所定の外力が加わることでカバー部材5が開状態となる変形をするようになっている。
【0073】
これにより、第2の開口部13が不要なときカバー部材5を閉状態にすれば、カバー部材5が衣服本体3に接するようにして、カバー部材5が衣服本体3の生地に重なり、カバー部材5が邪魔にならなくなる。
【0074】
また、衣服用ファン11が設置されている空調機能服1に雨衣を重ねることをしないので、衣服用ファン11の吸気口(吸引口)をカバー部材5で覆った状態でも快適に着用することができる。さらに、弾性部材7を備えているので、安定した状態で第2の開口部13を形成することができるとともに、弾性部材7としてウレタンを使用することで、長年の使用によっても劣化がおこりにくくなっている。
【0075】
また、衣服本体3とカバー部材5とが、防水性と透湿性とを備えた薄い生地で構成されているので、衣服本体3とカバー部材5とが容易に変形するようになっている。これにより、カバー部材5が閉じ状態になっている場合であっても、カバー部材5の下辺の第2の開口部13から衣服用ファン11に外気を供給することが可能になっている。したがって、カバー部材5が閉じ状態になっているときでも、衣服用ファン11を稼働させることができ、また、衣服用ファン11を取り外した状態では、一般的な上衣として空調機能服1を着用することができる。
【0076】
また、カバー部材5と弾性部材7とが衣服本体3とが一体になっているので、カバー部材5と弾性部材7との破損、紛失のおそれがなくなる。また、衣服本体3、カバー部材5に防水性を有する生地を用いることで、雨衣を重ねて着用する必要がなく、衣服用ファン11付き空調機能服1を快適に使用することができる。
【0077】
また、空調機能服1では、カバー部材5がカバー部材本体部27とマチ部29とを備えて構成されている。そして、カバー部材5が閉状態になっているときには、カバー部材本体部27の一部の部位が第1の開口部9を閉じているとともにマチ部29が畳み込まれている。また、カバー部材5が開状態になっているときには、カバー部材本体部27が第1の開口部9から離れているとともにマチ部29が展開している。
【0078】
これにより、カバー部材5が閉状態になっているときには、カバー部材本体部27とマチ部29と衣服用ファン11の部位(カバー部材5と対向している部位)が薄い板状に畳み込まれており、カバー部材5の衣服用ファン11からの突出がほぼ無くなっている。そして、カバー部材5が衣服本体3からほとんど出っ張ることがなく邪魔になることがなくなる。
【0079】
また、カバー部材5を開状態にしたときにマチ部29が展開するので、カバー部材5の形状を容易にアーチ状の立体的な形状にすることができ、第2の開口部13を容易にしかも確実に形成することができる。
【0080】
また、空調機能服1では、カバー部材5の一部が衣服本体3に付着されていることで、カバー部材5が衣服本体3に設置されている。また、カバー部材5の縁部の衣服本体3に付着されていない部位である第2の開口部形成部位33が衣服本体3から離れることで、第2の開口部13が形成されるように構成されている。また、紐状部材31の一方の端部が、第2の開口部形成部位33の一方の端部で、第2の開口部形成部位33に接合されており、紐状部材31の他方の端部を引っ張ることで、第2の開口部13が形成されるように構成されている。
【0081】
これにより、空調機能服1の着用者が、紐状部材31を引き絞る操作をするだけで容易にカバー部材5を変形させて第2の開口部13を形成することができる。
【0082】
また、空調機能服1では、紐状部材31が、この長手方向で一方の端から他方の端に向かい、衣服本体3とカバー部材5との間、衣服本体3の内側、ポケット15内で延びている。これにより、紐状部材31が、空調機能服1の外部に突出おらず、紐状部材31の物(空調機能服1の外部に存在している物)への引っ掛かりが防止される。
【0083】
また、空調機能服1では、衣服本体3が上衣を構成しており、衣服本体3の第1の開口部9が左右一対で設けられており、1枚のカバー部材5が、衣服本体3の一対の第1の開口部9に被さるようにして衣服本体3に設置されている。
【0084】
これにより、第2の開口部13を形成するカバー部材5が1つにまとまって構成が簡素化されているとともに、見た目もスッキリした感じになっている。また、1枚のカバー部材5を大きくして、衣服本体3の後身頃をこのほぼ全体にわたってカバー部材5で覆うことで、着用者の目が届きにくい空調機能服1の後身頃の耐久性を高めることができる。
【0085】
ここで、変形例に係る空調機能服1aについて、
図11、
図12を参照しつつ説明する。
図1、
図7等で示す空調機能服1は、紐状部材31を用いて第2の開口部13を形成している。変形例に係る空調機能服1aは、スナップボタン73等の係合部材(ファスナー;第1のファスナーと第2のファスナー)を用いて第2の開口部13を形成している点が、
図1、
図7等で示す空調機能服1と異なり、その他の点は、
図1、
図7等で示す空調機能服1と同様に構成されている。
【0086】
変形例に係る空調機能服1aでは、カバー部材5に設けられたマチ部29の、後身頃構成材41と対向する面に、スナップボタン(点ファスナー)73を設けている。後身頃構成材41には、スナップボタン73に係合する(嵌め合わされる)スナップボタン(点ファスナー)75を設けている。そして、スナップボタン73をスナップボタン75に係合させることで、第2の開口部13が大きく形成されている状態(
図12参照)、もしくは、第2の開口部13の開きが小さくなる状態(
図11参照)を維持することができるようになっている。
【0087】
さらに説明すると、スナップボタン75は、複数(たとえば2つ)設けられている。複数のスナップボタン75は、左右方向で僅かに離れ、左右方向でならんでいる。そして、スナップボタン73が、スナップボタン75(75A)に係合したときには、第2の開口部13の開きが小さくなる状態を維持することができるようになっている。一方、スナップボタン73が、スナップボタン75(75B)に係合したときには、第2の開口部13が大きく形成されている状態を維持することができるようになっている。
【0088】
第2の開口部13の開きが小さくなる状態を維持することができることで、空調機能服1aの外観をスッキリと見せるができる。また、第2の開口部13が大きく形成されている状態を維持するころで、カバー部材5を立体的な形状に変形し、大きな(たとえば最大に開いた)第2の開口部13を確実に形成することができる。
【0089】
スナップボタン73、スナップボタン75は、左右方向だけでなく、上下方向での所定の間隔をあけてならんでいる。さらに、
図11、
図12では、空調機能服1aの半分だけを表しているので、スナップボタン73が2つ、スナップボタン75が4つしか設けられていないことになるが、実際には、左右の合計で、スナップボタン73が4つ、スナップボタン75が8つ設けられていることになる。
【0090】
なお、スナップボタン75を左右方向で3つ以上適宜の数設けて、第2の開口部13の開度を調整できるようにしてもよいし、また、スナップボタン73、75に代えて面ファスナー等の係合部材を採用してもよい。面ファスナーを採用することで、スナップボタン73、75を用いた場合に比べて、着用者が自在に係合位置を変更することができる。また、スナップボタン73、75に代えて線ファスナーを採用してもよい。
【0091】
さらに、マチ部29が後身頃構成材41等に重なり畳み込まれて平板状になった状態をより完全に近い状態で維持することができるようにしてもよい。たとえば、
図8に参照符号77等で示す箇所にスナップボタン73、75等のファスナーを設け、弾性部材7と協働し、第2の開口部13が形成されない状態を維持するようにしてもよい。
【0092】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 空調機能服
3 衣服本体
5 カバー部材
7 弾性部材
9 第1の開口部
11 衣服用ファン
13 第2の開口部
15 ポケット
27 カバー部材本体部
29 マチ部
31 紐状部材
33 第2の開口部形成部位
73、75 スナップボタン