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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109296
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】電力システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230801BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010731
(22)【出願日】2022-01-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠司
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB10
5G064DA03
5G066AA02
5G066HA15
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】 蓄電装置の運用に柔軟性を持たせることを可能とする電力システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】 電力システムは、施設に設置される蓄電装置と、前記蓄電装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、前記蓄電装置の放電深度として第1放電深度を用いる第1制御を実行し、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、前記蓄電装置の放電深度として前記第1放電深度よりも大きな第2放電深度を用いる第2制御を実行する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置される蓄電装置と、
前記蓄電装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、前記蓄電装置の放電深度として第1放電深度を用いる第1制御を実行し、
前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、前記蓄電装置の放電深度として前記第1放電深度よりも大きな第2放電深度を用いる第2制御を実行する、電力システム。
【請求項2】
前記第1条件は、前記蓄電装置の劣化に関する第1パラメータ及び前記蓄電装置の使用に関する第2パラメータの中から選択された少なくともいずれか1つに基づいて定義される、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2制御の開始に関する第2条件が満たされ、かつ、前記第1条件が満たされる場合に、前記第2制御を実行する、請求項1又は請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記第2条件は、前記施設に接続された電力系統の電力需給バランス、前記施設を含むエリアで生じ得る停電の予測及び前記施設で消費され得る消費電力の予測の中から選択された少なくともいずれか1つに基づいて定義される、請求項3に記載の電力システム。
【請求項5】
前記第2パラメータが所定パラメータに達したときに満たすべき第1パラメータの目標が定められており、
前記制御部は、前記第2パラメータが前記所定パラメータに達したときに、前記第1パラメータの実績と前記第1パラメータの目標との比較結果に基づいて前記第1条件が満たされるか否かを判定する、請求項2、請求項2を引用する請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の電力システム。
【請求項6】
前記第1パラメータが所定パラメータに達したときに満たすべき第2パラメータの目標が定められており、
前記制御部は、前記第1パラメータが前記所定パラメータに達したときに、前記第2パラメータの実績と前記第2パラメータの目標との比較結果に基づいて前記第1条件が満たされるか否かを判定する、請求項2、請求項2を引用する請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の電力システム。
【請求項7】
施設に設置される蓄電装置を制御するステップAを備え、
前記ステップAは、
前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、前記蓄電装置の放電深度として第1放電深度を用いる第1制御を実行するステップと、
前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、前記蓄電装置の放電深度として前記第1放電深度よりも大きな第2放電深度を用いる第2制御を実行するステップと、を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統の電力需給バランスを維持するために、蓄電装置を分散電源として用いる技術(例えば、VPP(Virtual Power Plant)が知られている(例えば、特許文献1、2)。VPPなどで用いる電源として、蓄電装置を用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/041010号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/084396号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電装置の性能を表す指標として、システム容量利用率(%)を用いることが検討されている。システム容量利用率(%)は、実効容量(kWh)/全体容量(kWh)によって表されてもよい。実効容量(kWh)は、全体容量(kWh)X放電深度(%)Xシステム放電効率(%)によって表されてもよい。放電深度は、DODと称されてもよい。DODは、蓄電装置の容量劣化に影響する値であり、蓄電装置の製造者等によって設定され得る値である。
【0005】
このような背景下において、電力系統の電力需給バランスを維持するために蓄電装置が利用されるケースなどを想定すると、DODが1つの値で固定的に定められていると、電力系統の電力需給バランスを適切に維持することができない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、蓄電装置の運用に柔軟性を持たせることを可能とする電力システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の一態様は、施設に設置される蓄電装置と、前記蓄電装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、前記蓄電装置の放電深度として第1放電深度を用いる第1制御を実行し、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、前記蓄電装置の放電深度として前記第1放電深度よりも大きな第2放電深度を用いる第2制御を実行する、電力システムである。
【0008】
開示の一態様は、施設に設置される蓄電装置を制御するステップAを備え、前記ステップAは、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、前記蓄電装置の放電深度として第1放電深度を用いる第1制御を実行するステップと、前記蓄電装置の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、前記蓄電装置の放電深度として前記第1放電深度よりも大きな第2放電深度を用いる第2制御を実行するステップと、を含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓄電装置の運用に柔軟性を持たせることを可能とする電力システム及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る施設100を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る蓄電装置120を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るEMS160を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るシステム容量利用率を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係るシステム容量利用率を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る第1制御及び第2制御を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る第1制御及び第2制御を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る第1制御及び第2制御を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る第1制御及び第2制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0012】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。電力管理システムは、単に、電力システムと称されてもよい。
【0013】
図1に示すように、電力管理システム1は、施設100を有する。電力管理システム1は、電力管理サーバ200を含んでもよい。
【0014】
ここで、施設100及び電力管理サーバ200は、ネットワーク11を介して通信可能に構成される。ネットワーク11は、インターネットを含んでもよく、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよく、移動体通信網を含んでもよい。
【0015】
施設100は、電力系統12に接続されており、電力系統12から電力が供給されてもよく、電力系統12に電力を供給してもよい。電力系統12から施設100への電力は、潮流電力、買電電力又は需要電力と称されてもよい。施設100から電力系統12への電力は、逆潮流電力又は売電電力と称されてもよい。図1では、施設100として、施設100A~施設100Cが例示されている。
【0016】
特に限定されるものではないが、施設100は、住宅などの施設であってもよく、店舗などの施設であってもよく、オフィスなどの施設であってもよい。施設100は、2以上の住宅を含む集合住宅であってもよい。施設100は、住宅、店舗及びオフィスの少なくともいずれか2以上の施設を含む複合施設であってもよい。施設100の詳細については後述する(図2を参照)。
【0017】
電力管理サーバ200は、電力系統12に関する電力を管理する事業者によって管理される。事業者は、発電事業者、送配電事業者或いは小売電気事業者であってもよい。事業者は、リソースアグリゲータ(以下、RA)であってもよく、RAを管理するアグリゲーションコーディネタ(AC)であってもよい。RAは、電力系統12の電力需給バランスを調整する事業者であってもよい。電力需給バランスの調整は、施設100の需要電力(潮流電力)の削減電力を価値と交換する取引(以下、ネガワット取引)を含んでもよい。電力需給バランスの調整は、逆潮流電力の増大電力を価値と交換する取引を含んでもよい。RAは、VPPにおいて、発電事業者、送配電事業者及び小売電気事業者などの事業者であってもよい。
【0018】
実施形態では、電力管理サーバ200とEMS160との間の通信は、第1プロトコルに従って行われる。一方で、EMS160と分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われる。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Lite(登録商標)に準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。但し、第1プロトコル及び第2プロトコルは同一の規則で作られたプロトコルであってもよい。
【0019】
(施設)
以下において、実施形態に係る施設について説明する。図2に示すように、施設100は、太陽電池装置110と、蓄電装置120と、燃料電池装置130と、負荷機器140と、EMS(Energy Management System)160と、を有する。施設100は、測定装置190を有してもよい。
【0020】
太陽電池装置110は、太陽光などの光に応じて発電をする分散電源である。例えば、太陽電池装置110は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。ここで、設置とは、太陽電池装置110と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0021】
蓄電装置120は、電力の充電及び電力の放電をする分散電源である。例えば、蓄電装置120は、PCS及び蓄電セルによって構成される。ここで、設置とは、蓄電装置120と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0022】
燃料電池装置130は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。例えば、燃料電池装置130は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。ここで、設置とは、燃料電池装置130と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0023】
例えば、燃料電池装置130は、固体酸化物型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0024】
負荷機器140は、電力系統12、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130などの電力を消費する機器である。例えば、負荷機器140は、施設100の所定空間の温度を調整する空調装置を含んでもよく、施設100の所定空間の照度を調整する照明装置を含んでもよい。負荷機器140は、映像機器、音響機器、冷蔵庫、洗濯機、パーソナルコンピュータなどを含んでもよい。
【0025】
EMS160は、施設100に関する電力を管理する。EMS160は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、負荷機器140を制御してもよい。実施形態では、電力管理サーバ200から制御コマンドを受信する装置としてEMS160を例示するが、このような装置は、Gatewayと称されてもよく、単に制御ユニットと称されてもよい。EMS160は、電力管理サーバ200と区別するために、LEMS(Local EMS)と称されてもよく、HEMS(Home EMS)と称されてもよい。EMS160の詳細については後述する(図4を参照)。
【0026】
測定装置190は、電力系統12から施設100への潮流電力を測定する。測定装置190は、施設100から電力系統12への逆潮流電力を測定してもよい。例えば、測定装置190は、電力会社に帰属するSmart Meterであってもよい。測定装置190は、第1間隔(例えば、30分)における測定結果(潮流電力又は逆潮流電力の積算値)を示す情報要素を第1間隔毎にEMS160に送信してもよい。測定装置190は、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば、1分)における測定結果を示す情報要素をEMS160に送信してもよい。
【0027】
(蓄電装置)
以下において、実施形態に係る蓄電装置について説明する。図3に示すように、蓄電装置120は、BT121と、制御部122と、を有する。図3では省略しているが、蓄電装置120は、PCSを含んでもよい。
【0028】
BT121は、蓄電装置120が有する蓄電セルである。制御部122は、BT121を制御する。実施形態では、制御部122は、蓄電装置120を制御する制御部の一例であってもよい。
【0029】
特に限定されるものではないが、制御部122は、EMS160から受信するコマンドに基づいてBT121を制御してもよく、電力管理サーバ200からから受信するコマンドに基づいてBT121を制御してもよい。このようなケースにおいて、蓄電装置120は、通信モジュールによって構成される通信部を有していてもよい。
【0030】
例えば、制御部122は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0031】
実施形態では、制御部122は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、蓄電装置120の放電深度として第1放電深度(以下、第1DOD)を用いる第1制御を実行する。制御部122は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、蓄電装置120の放電深度として第1DODよりも大きな第2放電深度(以下、第2DOD)を用いる第2制御を実行する。第1制御及び第2制御の詳細については後述する。
【0032】
なお、放電深度は、蓄電装置120の容量に対する放電量の割合を意味する用語である(例えば、図5を参照)。放電深度は、蓄電装置120の製造者等によって設定され得る値であってもよい。
【0033】
(EMS)
以下において、実施形態に係るEMSについて説明する。図4に示すように、EMS160は、第1通信部161と、第2通信部162と、制御部163と、を有する。
【0034】
第1通信部161は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0035】
例えば、第1通信部161は、ネットワーク11を介して電力管理サーバ200と通信を行う。第1通信部161は、上述したように、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信部161は、第1プロトコルに従って第1メッセージを電力管理サーバ200から受信する。第1通信部161は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答を電力管理サーバ200に送信する。
【0036】
第2通信部162は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0037】
例えば、第2通信部162は、施設100に含まれる装置(太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130)と通信を行う。第2通信部162は、上述したように、第2プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信部162は、第2プロトコルに従って第2メッセージを分散電源に送信する。第2通信部162は、第2プロトコルに従って第2メッセージ応答を分散電源から受信する。
【0038】
制御部163は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0039】
例えば、制御部163は、電力管理サーバ200から受信する制御コマンドに基づいて、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130)を制御してもよい。
【0040】
(システム容量利用率)
以下において、実施形態に係るシステム容量利用率について説明する。システム容量利用率(%)は、実効容量(kWh)/全体容量(kWh)によって表されてもよい。実効容量(kWh)は、全体容量(kWh)X放電深度(%)Xシステム放電効率(%)によって表されてもよい。システム容量利用率(%)の算出で用いる実効容量(kWh)は、実効容量(kWh)の初期値であってもよい。
【0041】
図5に示すように、蓄電装置120の全体容量(kWh)は、下限閾値TLOWER以下の容量(図5では、使用不可領域(放電))を含んでもよい。使用不可領域(放電)は、蓄電装置120の放電が制限される領域である。使用不可領域(放電)は、蓄電装置120の劣化に影響を与え得る領域であり、蓄電装置120の特性によって定められてもよい。
【0042】
災害などの緊急事態に対応するために非常容量(BCP(Business Continuity Plan)容量)が定義される場合には、BCP容量は、下限閾値TLOWERよりも大きな閾値TBCPと下限閾値TLOWERとの間の容量である。すなわち、使用不可領域(放電)は、BCP容量とは異なる領域である。
【0043】
一方で、蓄電装置120の全体容量(kWh)は、上限閾値TUPPER以上の容量(図5では、使用不可領域(充電))を含んでもよい。使用不可領域(充電)は、蓄電装置120の充電が制限される領域である。使用不可領域(充電)は、蓄電装置120の劣化に影響を与え得る領域であり、蓄電装置120の特性によって定められてもよい。使用不可領域(充電)は、システム放電効率(%)による損失部分であると考えてもよい。
【0044】
このような前提下において、放電深度(%)は、(全体容量(kWh)-使用不可領域(放電))/全体容量(kWh)によって表されてもよい。例えば、全体容量(kWh)が10kWhであり、使用不可領域(放電)が0.5kWhである場合には、放電深度に基づいた容量は9.5kWhであり、放電深度(%)は95%である。仮に、システム放電効率(%)が90%である場合に、実効容量は8.55kWhであり、システム容量利用率(%)は85.5%である。同様に、全体容量(kWh)が10kWhであり、使用不可領域(放電)が1.5kWhである場合には、放電深度に基づいた容量は8.5kWhであり、放電深度(%)は85%である。仮に、システム放電効率(%)が90%である場合に、実効容量は7.65kWhであり、システム容量利用率(%)は76.5%である。
【0045】
特に限定されるものではないが、システム放電効率(%)は、放電深度(%)に含まれる概念であると考えてもよい。例えば、放電深度(%)は、実効容量(kWh)/全体容量(kWh)によって表されてもよい。なお、実効容量(kWh)は、下限閾値TLOWERと上限閾値TUPPERとの間の容量(kWh)である。すなわち、放電深度(%)は、システム容量利用率(%)と同義であってもよい。
【0046】
ここで、実効容量(kWh)は、蓄電装置120の温度によって可変であってもよい。蓄電装置120の温度は、BT121(蓄電セル)の表面温度であってもよく、蓄電装置120の筐体の内部温度であってもよい。
【0047】
例えば、全体容量(kWh)が10.0kWhである場合において、実効容量(kWh)は、図6の上段に示す態様で表示されてもよい。例えば、蓄電装置120の温度が25℃である場合に、実効容量(kWh)が8.55kWhであり、蓄電装置120の温度が-10℃である場合に、実効容量(kWh)が8.50kWhであり、蓄電装置120の温度が40℃である場合に、実効容量(kWh)が8.33kWhであってもよい。
【0048】
このようなケースにおいて、システム容量利用率(%)は、図6の下段に示す態様で表示されてもよい。例えば、蓄電装置120の温度が25℃である場合に、システム容量利用率(%)が85.5%であり、蓄電装置120の温度が-10℃である場合に、システム容量利用率(%)が85.0%であり、蓄電装置120の温度が40℃である場合に、システム容量利用率(%)が83.3%であってもよい。
【0049】
(第1制御及び第2制御)
以下において、実施形態に係る第1制御及び第2制御について説明する。上述したように、第1制御は、蓄電装置120の放電深度として第1DODを用いる制御である。第2制御は、蓄電装置120の放電深度として第2DODを用いる制御である。以下においては、説明簡略化のために、システム放電効率(%)が放電深度(%)に含まれるケースについて説明する。すなわち、放電深度(%)がシステム容量利用率(%)と同義であるケースについて説明する。
【0050】
第1に、蓄電装置120の充電を実行するケースについて、図7を参照しながら説明する。第1制御においては、実効容量(kWh)は、下限閾値TLOWERと閾値T1との間の容量である。閾値T1は、上述した上限閾値TUPPERであると考えてもよい。第1DODは、下限閾値TLOWERと閾値T1との間の容量/全体容量によって表される。これに対して、第2制御においては、実効容量(kWh)は、下限閾値TLOWERと閾値T2との間の容量である。閾値T2は、閾値T1よりも大きな値である。第2DODは、下限閾値TLOWERと閾値T2との間の容量/全体容量によって表される。言い換えると、第2制御では、使用不可領域(充電)の少なくとも一部が解放され、使用不可領域(充電)が実効容量として用いられると考えてもよい。すなわち、閾値T1を閾値T2に変更することによって、第1DODは、第1DODよりも大きな第2DODに変更される。
【0051】
第2に、蓄電装置120の放電を実行するケースについて、図8を参照しながら説明する。第1制御においては、実効容量(kWh)は、閾値T1と上限閾値TUPPERとの間の容量である。閾値T1は、上述した下限閾値TLOWERであると考えてもよい。第1DODは、閾値T1と上限閾値TUPPERとの間の容量との間の容量/全体容量によって表される。これに対して、第2制御においては、実効容量(kWh)は、閾値T2と上限閾値TUPPERとの間の容量との間の容量である。閾値T2は、閾値T1よりも小さな値である。第2DODは、閾値T2と上限閾値TUPPERとの間の容量/全体容量によって表される。言い換えると、第2制御では、使用不可領域(放電)の少なくとも一部が解放され、使用不可領域(放電)が実効容量として用いられると考えてもよい。すなわち、閾値T1を閾値T2に変更することによって、第1DODは、第1DODよりも大きな第2DODに変更される。
【0052】
このような前提下において、蓄電装置120の制御部122は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、第1DODを用いる第1制御を実行する。制御部122は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、第2DODを用いる第2制御を実行する。
【0053】
第1条件は、蓄電装置120の劣化に関する条件であればよい。例えば、蓄電装置120の劣化に関する第1パラメータ及び蓄電装置120の使用に関する第2パラメータの中から選択された少なくとも1つに基づいて定義されてもよい。
【0054】
第1パラメータは、蓄電装置120の温度、蓄電装置120の容量劣化率、蓄電装置120のSOH(State of Health)、蓄電装置120の実効容量の中から選択された1以上のパラメータであってもよい。蓄電装置120の温度は、BT121(蓄電セル)の表面温度であってもよく、蓄電装置120の筐体の内部温度であってもよい。容量劣化率は、初期のSOHを100%とした場合に、現在のSOH/初期のSOHで表されてもよく、現在の実効容量/初期の実効容量で表されてもよい。
【0055】
オプション1-1では、第1条件は、蓄電装置120の温度が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の温度が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の温度が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。第1条件は、蓄電装置120の起動から停止までの蓄電装置120の温度が所定温度条件を満たすことであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の温度が所定温度条件を満たす場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の温度が所定温度条件を満たさない場合に第2制御を実行してもよい。特に限定されるものではないが、所定温度条件は、蓄電装置120の起動から停止までの蓄電装置120の温度の範囲(例えば、-10℃~40℃)を定める条件であってもよい。
【0056】
オプション1-2では、第1条件は、蓄電装置120の容量劣化率が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の容量劣化率が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の容量劣化率が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。
【0057】
オプション1-3では、第1条件は、蓄電装置120のSOHが閾値以上であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120のSOHが閾値未満である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120のSOHが閾値以上である場合に第2制御を実行してもよい。
【0058】
オプション1-4では、第1条件は、蓄電装置120の実効容量が閾値以上であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の実効容量が閾値未満である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の実効容量が閾値以上である場合に第2制御を実行してもよい。
【0059】
上述したオプション1-1~1-4の中から選択された2以上のオプションが組み合わされてもよい。
【0060】
第2パラメータは、蓄電装置120の積算使用時間、蓄電装置120の充放電サイクル数、蓄電装置120の積算放電電力、蓄電装置120の積算充電電力の中から選択された1以上のパラメータであってもよい。蓄電装置120の積算使用時間は、放電時間及び充電時間の合計であってもよく、放電時間、充電時間及び待機時間の合計であってもよい。
【0061】
オプション2-1では、第1条件は、蓄電装置120の積算使用時間が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の積算使用時間が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の積算使用時間が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。
【0062】
オプション2-2では、第1条件は、蓄電装置120の充放電サイクル数が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の充放電サイクル数が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の充放電サイクル数が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。
【0063】
オプション2-3では、第1条件は、蓄電装置120の積算放電電力が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の積算放電電力が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の積算放電電力が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。
【0064】
オプション2-4では、第1条件は、蓄電装置120の積算充電電力が閾値未満であることであってもよい。制御部122は、蓄電装置120の積算充電電力が閾値以上である場合に第1制御を実行し、蓄電装置120の積算充電電力が閾値未満である場合に第2制御を実行してもよい。
【0065】
上述したオプション2-1~2-4の中から選択された2以上のオプションが組み合わされてもよい。
【0066】
さらに、第1条件は、第1パラメータ及び第2パラメータの双方によって定義されてもよい。以下においては、第1パラメータとして容量劣化率(Capacity loss)を例示し、第2パラメータとして充放電サイクル数(Cycle)を例示する。但し、容量劣化率は、他の第1パラメータと置き換えてもよく、充放電サイクル数は、他の第2パラメータと置き換えてもよい。
【0067】
図9に示すように、容量劣化率と充放電サイクル数との関係は、劣化曲線によって表すことができる。理想劣化曲線は、第1制御のみが実行されるケースを想定した劣化曲線である。許容劣化曲線は、第1制御及び第2制御が混在するケースで許容され得る劣化曲線である。例えば、蓄電装置120の寿命が最大容量劣化率(図9では、最大Capacity loss=50%)で定義される場合に、理想劣化曲線が最大容量劣化率に達するタイミング(図9では、A)の充放電サイクル数は7,000であり、許容劣化曲線が最大容量劣化率に達するタイミング(図9では、B)の充放電サイクル数は6,700であってもよい。理想劣化曲線と許容劣化曲線との乖離は、充放電サイクル数が増えるほど大きくなってもよい。
【0068】
このような前提下において、図9に示すX部分を例に挙げて、第1制御及び第2制御について説明する。図9に示すX部分の拡大図を図10に示す。なお、説明簡略化の観点から、X部分において理想劣化曲線及び許容劣化曲線が略並行であるケースを例示する。
【0069】
図10に示すように、第1制御に伴う劣化曲線の傾きは、理想劣化曲線(ここでは、理想劣化曲線及び許容劣化曲線)の傾きと同等である。一方で、第2制御に伴う劣化曲線の傾きは、理想劣化曲線(ここでは、理想劣化曲線及び許容劣化曲線)の傾きよりも大きい。第1制御及び第2制御は、蓄電装置120の劣化曲線が理想劣化曲線と許容劣化曲線との間で変化するように実行される。従って、例えば、図10に示すように、蓄電装置120の劣化曲線がCにおいて許容劣化曲線に達するケースでは、C以降においては、第2制御が実行されず、第1制御が実行される。
【0070】
このような制御を実現する方法としては、以下に示す2つのオプションが考えられる。いずれのオプションにおいても、容量劣化率が特定サイクル毎に算出されてもよい。特に限定されるものではないが、特定サイクルは、1サイクルであってもよく、10サイクルであってもよく、100サイクルであってもよい。
【0071】
オプション3-1では、充放電サイクル数が所定サイクル数に達したときに満たすべき容量劣化率の目標が定められてもよい。容量劣化率の目標は、上述した許容劣化曲線によって定義されてもよい。制御部122は、充放電サイクル数が所定サイクル数に達したときに、容量劣化率の実績と容量劣化率の目標との比較結果に基づいて第1条件が満たされるか否かを判定する。具体的には、制御部122は、容量劣化率の実績が容量劣化率の目標よりも小さければ、第1条件が満たされると判定する。一方で、制御部122は、容量劣化率の実績が容量劣化率の目標よりも大きければ、第1条件が満たされないと判定する。制御部122は、容量劣化率の実績が容量劣化率の目標と等しい場合には、第1制御を実行してもよく、第2制御を実行してもよい。なお、所定サイクル数としては、2以上の所定サイクル数(例えば、1,000、3,000、5,000など)が定められてもよい。
【0072】
すなわち、オプション3-1では、第1条件が満たされるか否かを間欠的に判定すればよい。言い換えると、充放電サイクル数が所定サイクル数に達する前においては、第1条件が満たされるか否かの判定が省略されてもよい。従って、第1条件が満たされるか否かの判定に伴う処理負荷を軽減することができる。
【0073】
上述したように、容量劣化率は、他の第1パラメータと置き換えてもよく、充放電サイクル数は、他の第2パラメータと置き換えてもよい。すなわち、オプション3-1は、以下に示すように表現されてもよい。第2パラメータが所定パラメータに達したときに満たすべき第1パラメータの目標が定められている。制御部122は、第2パラメータが所定パラメータに達したときに、第1パラメータの実績と第1パラメータの目標との比較結果に基づいて第1条件が満たされるか否かを判定する。
【0074】
オプション3-2では、容量劣化率が所定劣化率に達したときに満たすべき充放電サイクル数の目標が定められてもよい。充放電サイクル数の目標は、上述した許容劣化曲線によって定義されてもよい。制御部122は、容量劣化率が所定劣化率に達したときに、充放電サイクル数の実績と充放電サイクル数の目標との比較結果に基づいて第1条件が満たされるか否かを判定する。具体的には、制御部122は、充放電サイクル数の実績が充放電サイクル数の目標よりも多ければ、第1条件が満たされると判定する。一方で、制御部122は、充放電サイクル数の実績が充放電サイクル数の目標よりも少なければ、第1条件が満たされないと判定する。制御部122は、充放電サイクル数の実績が充放電サイクル数の目標と等しい場合には、第1制御を実行してもよく、第2制御を実行してもよい。なお、所定劣化率としては、2以上の所定劣化率(例えば、10%、20%、30%など)が定められてもよい。ここで、容量劣化率が所定劣化率に達したときの充放電サイクル数の実績が充放電サイクル数の目標よりも多いケースでは、容量劣化率が所定劣化率に達したときの充放電サイクル数の実績が充放電サイクル数の目標よりも少ないケースと比べて、蓄電装置120の容量の劣化が相対的に進んでいないことに留意すべきである。
【0075】
すなわち、オプション3-2では、第1条件が満たされるか否かを間欠的に判定すればよい。言い換えると、充放電サイクル数が所定サイクル数に達する前においては、第1条件が満たされるか否かの判定が省略されてもよい。従って、第1条件が満たされるか否かの判定に伴う処理負荷を軽減することができる。
【0076】
上述したように、容量劣化率は、他の第1パラメータと置き換えてもよく、充放電サイクル数は、他の第2パラメータと置き換えてもよい。すなわち、オプション3-2は、以下に示すように表現されてもよい。第1パラメータが所定パラメータに達したときに満たすべき第2パラメータの目標が定められている。制御部122は、第1パラメータが所定パラメータに達したときに、第2パラメータの実績と第2パラメータの目標との比較結果に基づいて第1条件が満たされるか否かを判定する。
【0077】
(作用及び効果)
実施形態では、蓄電装置120は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされない場合に、蓄電装置120の放電深度として第1DODを用いる第1制御を実行する。蓄電装置120は、蓄電装置120の劣化に関する第1条件が満たされる場合に、蓄電装置120の放電深度として第1DODよりも大きな第2DODを用いる第2制御を実行する。このような構成によれば、DODが1つの値で固定的に定められているケースと比べて、第1DOD及び第2DODを適切に使い分けることによって、蓄電装置120の寿命を考慮しながらも、蓄電装置120の運用に柔軟性を持たせることができる。
【0078】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0079】
変更例1では、蓄電装置120の制御部122は、第2制御の開始に関する第2条件が満たされ、かつ、第1条件が満たされる場合に、第2制御を実行する。第2条件としては、以下に示すオプションが考えられる。
【0080】
オプション4-1では、第2条件は、施設100に接続された電力系統12の電力需給バランスに基づいて定義されてもよい。例えば、第2条件は、電力系統12の電力需給バランスの維持に関するメッセージ(要求又は要請)を受信することであってもよい。或いは、第2条件は、電力系統12の電力需給バランスの維持に参加することであってもよい。具体的には、制御部122は、電力系統12の電力需給バランスの維持に関するメッセージ(要求又は要請)を受信した場合に、第1条件及び第2条件の双方が満たされるか否かを判定してもよい。制御部122は、第1条件が満たされない場合に、第1制御を実行する。一方で、制御部122は、第1条件が満たされなる場合に、第2制御を実行する。
【0081】
電力系統12の電力需給バランスの維持に関するメッセージは、電力管理サーバ200から受信してもよく、EMS160から受信してもよい。メッセージは、施設100に対する潮流の抑制を指示するメッセージであってもよく、施設100からの逆潮流の増大を指示するメッセージであってもよい。これらのメッセージは、いわゆるDR(Demand Response)に関するメッセージであってもよい。或いは、メッセージは、施設100に対する潮流の増大を指示するメッセージであってもよく、施設100からの逆潮流の抑制を指示するメッセージであってもよい。これらのメッセージは、いわゆる出力抑制に関するメッセージであってもよい。
【0082】
このような構成によれば、蓄電装置120の運用に柔軟性を持たせることによって、電力系統12の電力需給バランスの維持に蓄電装置120を効果的に用いることができる。
【0083】
オプション4-2では、第2条件は、施設100を含むエリアで生じ得る停電の予測に基づいて定義されてもよい。例えば、第2条件は、施設100を含むエリアで生じ得る停電が予測されることであってもよい。具体的には、制御部122は、施設100を含むエリアで生じ得る停電の予測に関するメッセージを受信した場合に、第1条件及び第2条件の双方が満たされるか否かを判定してもよい。制御部122は、第1条件が満たされない場合に、第1制御を実行する。一方で、制御部122は、第1条件が満たされなる場合に、第2制御を実行する。
【0084】
施設100を含むエリアで生じ得る停電の予測に関するメッセージは、電力管理サーバ200から受信してもよく、EMS160から受信してもよい。或いは、施設100を含むエリアで生じ得る停電の予測に関するメッセージは、気象サーバなどの外部サーバから受信してもよい。メッセージは、台風、大雪、雷などの自然災害の予測に関するメッセージであってもよい。メッセージは、計画停電などの予測に関するメッセージであってもよい。メッセージは、停電が予測される時刻に関する情報要素を含んでもよい。
【0085】
このような構成によれば、蓄電装置120の運用に柔軟性を持たせることによって、停電中において蓄電装置120を効果的に用いることができる。
【0086】
特に限定されるものではないが、オプション4-2では、第2制御は、使用不可領域(充電)を解放する制御、すなわち、第1閾値(上限閾値TUPPER)を第1閾値よりも大きい第2閾値に切り替える制御(図7を参照)であってもよい。
【0087】
オプション4-3では、第2条件は、施設100で消費され得る消費電力の予測に基づいて定義されてもよい。例えば、第2条件は、施設100で消費され得る消費電力が閾値を超えることが予測されることであってもよい。制御部122は、施設100で消費され得る消費電力が閾値を超える予測に関するメッセージを受信した場合に、第1条件及び第2条件の双方が満たされるか否かを判定してもよい。制御部122は、第1条件が満たされない場合に、第1制御を実行する。一方で、制御部122は、第1条件が満たされる場合に、第2制御を実行する。
【0088】
施設100で消費され得る消費電力が閾値を超える予測に関するメッセージは、電力管理サーバ200から受信してもよく、EMS160から受信してもよい。メッセージは、消費電力が閾値を超えると予想される時刻に関する情報要素を含んでもよく、消費電力の大きさに関する情報要素を含んでもよい。
【0089】
このような構成によれば、蓄電装置120の運用に柔軟性を持たせることによって、施設100の消費電力が大きい時間において蓄電装置120を効果的に用いることができる。
【0090】
特に限定されるものではないが、オプション4-3では、第2制御は、使用不可領域(放電)を解放する制御、すなわち、第1閾値(下限閾値TLOWER)を第1閾値よりも小さい第2閾値に切り替える制御(図8を参照)であってもよい。
【0091】
上述したオプション4-1~4-3の中から選択された2以上のオプションが組み合わされてもよい。また、上述したオプション4-1~4-3を第2条件として採用するどうかについて、事業者または施設100の使用者が選択できるようにしてもよい。さらには、上述したオプション4-1~4-3とは別に、事業者または施設100の使用者が、夏季等の日時(期間)を指定し、その期間の間、第1条件が満たされる場合に、第2制御を実行するようにしてもよい。
【0092】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0093】
上述した開示では、蓄電装置120を制御する制御部が蓄電装置120の制御部122であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。蓄電装置120を制御する制御部は、EMS160の制御部163であってもよく、電力管理サーバ200であってもよい。蓄電装置120を制御する制御部は、蓄電装置120のメンテナンス情報などを管理する機器管理サーバ(Operation and Maintenanceサーバなど)であってもよい。
【0094】
上述した開示では特に触れていないが、図9及び図10に示す理想劣化曲線及び許容劣化曲線は、蓄電装置120の制御部122に予め格納されてもよい。理想劣化曲線及び許容劣化曲線は、EMS160に予め格納されてもよく、電力管理サーバ200に予め格納されてもよく、機器管理サーバに格納されてもよい。EMS160、電力管理サーバ200又は機器管理サーバは、理想劣化曲線及び許容劣化曲線を蓄電装置120に送信してもよい。
【0095】
上述した開示では特に触れていないが、第1パラメータ及び第2パラメータは、蓄電装置120の制御部122によって管理されてもよい。第1パラメータ及び第2パラメータは、EMS160によって管理されてもよく、電力管理サーバ200によって管理されてもよい。EMS160又は電力管理サーバ200は、第1パラメータ及び第2パラメータを蓄電装置120に送信してもよい。
【0096】
上述した開示では特に触れていないが、システム容量利用率は、第2DODに基づいて算出されてもよい。
【0097】
上述した開示では特に触れていないが、EMS160が有する機能の少なくとも一部は、ネットワーク11上に配置されるサーバによって実行されてもよい。言い換えると、EMS160は、クラウドサービスによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…電力管理システム、11…ネットワーク、12…電力系統、100…施設、110…太陽電池装置、120…蓄電装置、121…BT、122…制御部、130…燃料電池装置、140…負荷機器、160…EMS、161…第1通信部、162…第2通信部、163…制御部、190…測定装置、200…電力管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10