(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010933
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】課税情報管理装置、課税情報管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230113BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186995
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2022130832の分割
【原出願日】2019-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】312017455
【氏名又は名称】勝井 英行
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】勝井 英行
(57)【要約】
【課題】課税標準額の算出に用いられる課税情報を適切な内容にする。
【解決手段】課税情報管理装置1は、土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて課税情報を記憶する記憶部12と、特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された課税情報を、一部特定情報に対応する登記情報と異なる情報に基づいて更新する更新部133と、を有する。更新部133は、例えば、一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された土地課税情報を、当該一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された家屋課税情報に基づいて更新する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理装置であって、
法務局で作成された登記情報を取得する取得部と、
土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて前記課税情報を記憶する記憶部と、
前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新する更新部と、
を有する課税情報管理装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された土地課税情報を、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された家屋課税情報に基づいて更新する、
請求項1に記載の課税情報管理装置。
【請求項3】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の前記登記情報が示す登記地目が宅地以外であるとしても、前記一部特定情報が示す所在地番に課税対象の建物が建っていることを前記家屋課税情報が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新する、
請求項2に記載の課税情報管理装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する前記家屋課税情報が示す家屋の種類に基づいて、前記土地課税情報を更新するか否かを判定する、
請求項2又は3に記載の課税情報管理装置。
【請求項5】
前記更新部は、第1の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された第1課税情報を、前記第1の一部特定情報と異なる第2の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された第2課税情報に基づいて更新する、
請求項1に記載の課税情報管理装置。
【請求項6】
前記更新部は、前記第2の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記第2課税情報としての家屋課税情報に基づいて、前記第1課税情報としての土地課税情報を更新する、
請求項5に記載の課税情報管理装置。
【請求項7】
前記更新部は、前記第1の一部特定情報に関連付けられた第1土地課税情報が示す課税地目が宅地以外であり、かつ前記第1の一部特定情報に対応する土地と一体として利用されている土地の前記第2の一部特定情報に関連付けられた第2土地課税情報が示す課税地目が宅地である場合に、前記第1土地課税情報に対応する課税地目を宅地に更新する、
請求項5又は6に記載の課税情報管理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記一部特定情報に関連付けて土地又は建物の利用状況を示す利用状況情報をさらに取得し、
前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記利用状況情報に基づいて更新する、
請求項1に記載の課税情報管理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記一部特定情報に対応する土地又は建物が撮影された撮影画像又は地図画像を前記利用状況情報として取得し、
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地に建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に前記一部特定情報に対応する土地課税情報の課税地目を宅地に更新する、
請求項8に記載の課税情報管理装置。
【請求項10】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の所定の割合以上又は所定の面積以上の領域に建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新する、
請求項9に記載の課税情報管理装置。
【請求項11】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地に所定の割合以下の建物又は家屋と認定されない建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示し、前記撮影画像又は前記地図画像に田又は畑が含まれている場合には、前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新せず、前記土地課税情報の課税地目を田又は畑とする、
請求項9又は10に記載の課税情報管理装置。
【請求項12】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の所定の割合以上の領域に太陽光発電設備が設置されていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を雑種地とする、
請求項9から11のいずれか一項に記載の課税情報管理装置。
【請求項13】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する前記利用状況情報が示す土地の面積が、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報が示す課税地積と異なる場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地積を前記利用状況情報が示す土地の面積に更新する、
請求項9から12のいずれか一項に記載の課税情報管理装置。
【請求項14】
前記取得部は、法律に基づく土地又は建物の利用計画を示す計画情報をさらに取得し、
前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記計画情報が示す、前記一部特定情報に対応する土地又は建物の利用計画に基づいて更新する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の課税情報管理装置。
【請求項15】
前記更新部は、前記記憶部に記憶された前記課税情報を更新する前に、当該課税情報を更新することを示すメッセージを前記課税情報管理装置と通信可能な情報端末に表示させ、前記情報端末から前記課税情報を更新する指示を受信した後に、前記課税情報を更新する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の課税情報管理装置。
【請求項16】
前記更新部が前記記憶部に記憶された前記課税情報を更新した後に、更新後の課税情報に基づいて課税標準額を算出する算出部をさらに有する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の課税情報管理装置。
【請求項17】
コンピュータが実行する固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理方法であって、
法務局で作成された登記情報を取得するステップと、
土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて記憶部に記憶された前記課税情報を読み出すステップと、
前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けられた前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新するステップと、
を有する課税情報管理方法。
【請求項18】
コンピュータに、
法務局で作成された登記情報を取得するステップと、
土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて記憶部に記憶された、固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を読み出すステップと、
前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けられた前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理するための課税情報管理装置、課税情報管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。当該装置においては、登記の異動が発生したことを示す異動情報に基づいて課税情報が更新され、更新された課税情報に基づいて課税標準額が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置を用いることにより、課税標準額を管理する役所等は、登記に異動が発生した場合に、法務局等から受信した異動情報に基づいて、異動が発生した後の課税標準額を容易に算出することができる。
【0005】
しかしながら、法務局等から受信した異動情報を課税情報として利用できない場合がある。例えば、ある所在地番の土地に家屋が建っているにもかかわらず、異動情報において土地の登記地目が雑種地になっている場合、課税標準額の算出に用いられる土地課税情報における課税地目が宅地であるべきにもかかわらず、雑種地として管理されてしまう。その結果、適切な課税標準額が算出されないという問題が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、課税標準額の算出に用いられる課税情報を適切な内容にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の課税情報管理装置は、法務局で作成された登記情報を取得する取得部と、固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理装置であって、土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて前記課税情報を記憶する記憶部と、前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新する更新部と、を有する。
【0008】
前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された土地課税情報を、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された家屋課税情報に基づいて更新してもよい。
【0009】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の前記登記情報が示す登記地目が宅地以外であるとしても、前記一部特定情報が示す所在地番に課税対象の建物が建っていることを前記家屋課税情報が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新してもよい。
【0010】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する前記家屋課税情報が示す家屋の種類に基づいて、前記土地課税情報を更新するか否かを判定してもよい。
【0011】
前記更新部は、第1の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された第1課税情報を、前記第1の一部特定情報と異なる第2の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された第2課税情報に基づいて更新してもよい。
【0012】
前記更新部は、前記第2の一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記第2課税情報としての家屋課税情報に基づいて、前記第1課税情報としての土地課税情報を更新してもよい。
【0013】
前記更新部は、前記第1の一部特定情報に関連付けられた第1土地課税情報が示す課税地目が宅地以外であり、かつ前記第1の一部特定情報に対応する土地と一体として利用されている土地の前記第2の一部特定情報に関連付けられた第2土地課税情報が示す課税地目が宅地である場合に、前記第1土地課税情報に対応する課税地目を宅地に更新してもよい。
【0014】
前記取得部は、前記一部特定情報に関連付けて土地又は建物の利用状況を示す利用状況情報をさらに取得し、前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記利用状況情報に基づいて更新してもよい。
【0015】
前記取得部は、前記一部特定情報に対応する土地又は建物が撮影された撮影画像又は地図画像を前記利用状況情報として取得し、前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地に建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に前記一部特定情報に対応する土地課税情報の課税地目を宅地に更新してもよい。
【0016】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の所定の割合以上又は所定の面積以上の領域に建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新してもよい。
【0017】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地に所定の割合以下の建物又は家屋と認定されない建物が含まれていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示し、前記撮影画像又は前記地図画像に田又は畑が含まれている場合には、前記土地課税情報の課税地目を宅地に更新せず、前記土地課税情報の課税地目を田又は畑としてもよい。
【0018】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する土地の所定の割合以上の領域に太陽光発電設備が設置されていることを前記撮影画像又は前記地図画像が示している場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地目を雑種地としてもよい。
【0019】
前記更新部は、前記一部特定情報に対応する前記利用状況情報が示す土地の面積が、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報が示す課税地積と異なる場合に、前記一部特定情報に対応する前記土地課税情報の課税地積を前記利用状況情報が示す土地の面積に更新してもよい。
【0020】
前記取得部は、法律に基づく土地又は建物の利用計画を示す計画情報をさらに取得し、前記更新部は、前記一部特定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記課税情報を、前記計画情報が示す、前記一部特定情報に対応する土地又は建物の利用計画に基づいて更新してもよい。
【0021】
前記更新部は、前記記憶部に記憶された前記課税情報を更新する前に、当該課税情報を更新することを示すメッセージを前記課税情報管理装置と通信可能な情報端末に表示させ、前記情報端末から前記課税情報を更新する指示を受信した後に、前記課税情報を更新してもよい。
【0022】
前記課税情報管理装置は、前記更新部が前記記憶部に記憶された前記課税情報を更新した後に、更新後の課税情報に基づいて課税標準額を算出する算出部をさらに有してもよい。
【0023】
本発明の第2の態様の課税情報管理方法は、コンピュータが実行する固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理方法である。前記課税情報管理方法は、法務局で作成された登記情報を取得するステップと、土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて記憶部に記憶された前記課税情報を読み出すステップと、前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けられた前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新するステップと、を有する。
【0024】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、法務局で作成された登記情報を取得するステップと、土地又は家屋を特定するための複数の特定情報に関連付けて記憶部に記憶された、固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を読み出すステップと、前記複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けられた前記課税情報を、前記一部特定情報に対応する前記登記情報と異なる情報に基づいて更新するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、課税標準額の算出に用いられる課税情報を適切な内容にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】課税情報管理システムの概要を示す図である。
【
図2】登記電子データに含まれる登記情報の一例を示す表である。
【
図3】土地に関する課税情報の一例を示す表である。
【
図4】家屋に関する課税情報の一例を示す表である。
【
図6】記憶部に記憶されている土地課税情報の一例を示す図である。
【
図7】土地課税情報に対応する所在地番の家屋課税情報を示す図である。
【
図9】制御部の動作フローチャートを示す図である。
【
図10】制御部の動作フローチャートを示す図である。
【
図11】課税情報管理システムの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[課税情報管理システムSの概要]
図1は、課税情報管理システムSの概要を示す図である。課税情報管理システムSは、市区町村等の地方自治体が固定資産税の課税標準額を管理するためのシステムであり、課税情報管理装置1と、一以上の情報端末2とを備える。課税情報管理システムSは、例えば地方自治体の役所及び役場に設置されている。
【0028】
課税情報管理装置1は、ネットワークN1を介して接続された法務局等が管理するサーバ3から登記電子データを取得し、取得した登記電子データに含まれる各種の登記情報に基づいて課税情報を生成し、生成した課税情報を管理するコンピュータである。課税情報管理装置は、生成した課税情報に基づいて固定資産税の課税標準額を算出する。
【0029】
課税情報管理装置1は、生成した課税情報が登録された課税情報データベースを記憶媒体に記憶しており、ネットワークN2を介して接続された一以上の情報端末2からの要求に応じて、情報端末2に課税情報を表示させる。情報端末2は、例えば地方自治体の職員が使用するコンピュータである。ネットワークN1は例えばインターネットであり、ネットワークN2は例えばイントラネットであるが、ネットワークN2がインターネットであってもよい。
【0030】
図2は、登記電子データに含まれる登記情報の一例を示す表である。
図2(a)は、土地の登記情報を示しており、
図2(b)は、家屋の登記情報を示している。
図3は、土地に関する課税情報の一例を示す表である。
図4は、家屋に関する課税情報の一例を示す表である。
図3及び
図4に示す課税情報は、同一の特定情報に関連付けられた土地又は家屋に対応する各項目の内容が関連付けられた課税情報データベースにおいて管理されている。特定情報は、土地又は家屋を特定するための情報であり、例えば土地が所在する地番を示す所在地番、又は家屋に割り当てられた家屋番号を含む。
【0031】
図2と
図3及び
図4とを比較すると、課税情報には登記情報よりも多くの項目が含まれている。課税情報の一部の項目は登記情報の項目と同一であり、登記情報の内容が、そのまま課税情報に含まれる登記情報と同一の項目に反映される。課税情報の他の一部の項目は登記情報に含まれておらず、当該項目の内容は、登記情報の内容に基づいて生成されたり、地方自治体の職員により入力されたりする。
【0032】
課税情報管理装置1がサーバ3から新たな登記電子データを取得した場合、課税情報管理装置1は、新たな登記電子データに含まれる登記情報が示す内容で、課税情報データベース内の課税情報の少なくとも一部の項目の内容を上書きする。ただし、登記電子データに含まれる登記情報が現況に合っていない場合も生じ得る。例えば、ある所在地番の登記情報に含まれている登記地目が「山林」であるにもかかわらず、実際には家屋が建っている場合、課税情報管理装置1は、当該所在地番に対応する他の情報に基づいて、土地課税情報に含まれる課税地目を「宅地」とする。
【0033】
所在地番に対応する他の情報は、例えば、当該所在地番の土地に建っている建物の家屋番号に関連付けて課税情報管理装置1が記憶している家屋課税情報、隣接する他の土地の所在地番に対応する土地課税情報若しくは隣接する他の所在地番の土地に建っている建物の家屋番号に対応する家屋課税情報、当該所在地番の土地又は当該所在地番の土地に建っている建物が撮影された撮影画像、当該所在地番の地図画像、当該所在地番の土地若しくは当該所在地番の土地に建っている建物の現地調査結果、農地法や消防法等に基づく許可若しくは届出等、又は状況類似区分若しくは画地等の評価情報等の外部情報である。地図画像は、例えば地形図、住宅地図、地番図、公図、地積測量図、分筆図、建物図面、各階平面図、設計図又は間取り図等のように、土地又は家屋の位置又は形状を示す任意の形式の画像である。
【0034】
このように、課税情報管理装置1が新たな登記電子データを取得した場合に、所在地番又は家屋番号等の特定情報に対応する課税情報を、当該特定情報に対応する登記情報と異なる情報に基づいて更新することで、登記電子データが示す登記情報を課税情報として利用できない場合であっても、課税情報管理装置1は適切な課税情報を管理することができる。
【0035】
[課税情報管理装置1の構成]
図5は、課税情報管理装置1の構成を示す図である。課税情報管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、取得部131と、情報提供部132と、更新部133と、を有する。
【0036】
通信部11は、ネットワークN1を介してサーバ3との間でデータを送受信したり、ネットワークN2を介して情報端末2との間でデータを送受信したりするための通信コントローラを含む。通信部11は、受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、制御部13から受けたデータを送信する。通信部11は、例えば制御部13から受けた表示用データを情報端末2に表示させるべく、表示用データを情報端末2に送信する。
【0037】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部12は、通信部11がサーバ3から受信した登記電子データに含まれている登記情報、及び登記情報又は外部情報に基づいて作成された課税情報を複数の特定情報に関連付けて記憶している。記憶部12は、例えば土地を特定するための土地特定情報に関連付けて土地課税情報を記憶し、家屋を特定するための家屋特定情報に関連付けて家屋課税情報を記憶する。土地特定情報は、例えば登記電子データに含まれる土地の所在地番を示す情報である。家屋特定情報は、例えば登記電子データに含まれる家屋が建てられている土地の所在地番又は家屋に割り当てられた家屋番号を示す情報である。
【0038】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、情報提供部132及び更新部133として機能する。制御部13は、課税標準額を算出する算出部(不図示)をさらに有してもよい。算出部は、記憶部12に記憶された課税情報に基づいて課税標準額を算出する。
【0039】
取得部131は、通信部11を介して、法務局で作成された登記電子データを取得する。取得部131は、取得した登記電子データに含まれている登記情報(例えば、土地登記情報又は家屋登記情報)を記憶部12に記憶させる。取得部131は、登記情報に含まれている特定情報に関連付けて、登記情報を記憶部12に記憶させる。取得部131は、登記情報に基づいて課税情報を作成し、作成した課税情報を記憶部12に記憶させる。取得部131は、登記情報に含まれる特定情報に対応する登記情報及び課税情報が既に記憶部12に記憶されている場合、記憶されている登記情報及び課税情報に、取得した登記情報及び作成した課税情報を上書きする。
【0040】
取得部131は、記憶部12に記憶された登記情報に含まれている項目である「所在」、「地番」、又は「家屋番号」の少なくともいずれかを特定し、特定した「所在」、「地番」、又は「家屋番号」の少なくともいずれかに関連付けて記憶部12に記憶されている課税情報を読み出す。続いて、取得部131は、読み出した課税情報に含まれている複数の項目のうち、通信部11から通知された登記情報に含まれている一以上の項目に対応する内容を、登記情報の内容に一致させることで、記憶されている課税情報を新しい課税情報に上書きする。取得部131は、記憶されている課税情報を新しい課税情報に上書きする際に、記憶されている課税情報を履歴情報として記憶部12に記憶させてもよい。
【0041】
取得部131は、登記電子データを受信したことを更新部133に通知してもよい。また、取得部131は、取得した登記電子データに含まれる登記情報、又は作成した課税情報を更新部133に通知してもよい。
【0042】
また、取得部131は、特定情報に関連付けて、土地又は建物の利用状況を示す利用状況情報を取得してもよい。利用状況情報は、例えば所在地番の土地若しくは所在地番の土地に建っている建物が撮影された撮影画像、所在地番の地図画像、又は所在地番の土地若しくは所在地番の土地に建っている建物の現地調査結果である。取得部131は、利用状況情報を、例えば現地調査者が使用する情報端末2、又は課税情報管理装置1が管理されている役所の職員の情報端末2から取得する。取得部131は、取得した利用状況情報を特定情報に関連付けて記憶部12に記憶させる。取得部131は、取得した利用状況情報を更新部133に通知してもよい。
【0043】
情報提供部132は、記憶部12に記憶された複数の課税情報を情報端末2に表示させる。情報提供部132は、例えば、情報端末2から指定された所在地番に対応する土地課税情報又は当該所在地番の土地に建っている建物の家屋番号に対応する家屋課税情報を記憶部12から読み出して、読み出した土地課税情報又は家屋課税情報を、通信部11を介して情報端末2に送信する。情報提供部132は、算出部が算出した課税標準額を情報端末2に表示させてもよい。
【0044】
更新部133は、複数の特定情報のうち少なくとも一部の特定情報である一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された課税情報を、当該一部特定情報に対応する登記情報と異なる情報に基づいて更新する。更新部133は、例えば取得部131から登記電子データを取得した旨の通知を受けたことに応じて、取得した登記電子データに含まれる登記情報に対応する一部特定情報の課税情報を記憶部12から読み出して、課税情報が適切か否かを判定する。更新部133は、情報端末2から、課税情報をチェックする指示を受けたことに応じて、記憶部12に記憶された課税情報が適切か否かを判定してもよい。
【0045】
更新部133は、記憶部12から読み出した課税情報が関連付けられている一部特定情報に対応する課税情報と異なる他の情報に基づいて、記憶部12から読み出した課税情報が適切か否かを判定してもよい。一部特定情報に対応する課税情報と異なる他の情報は、例えば、一部特定情報に対応する所在地番の土地に隣接する土地の所在地番に関連付けられた課税情報である。更新部133は、例えば、一部特定情報が所在地番である場合、当該所在地番の土地に対応する土地(例えば当該所在地番の土地に隣接する土地)に建てられた家屋に対応する家屋課税情報に基づいて、当該所在地番に関連付けられた土地課税情報を更新する。更新部133は、一部特定情報が家屋番号である場合、当該家屋番号に対応する家屋が建てられた土地に対応する土地(例えば家屋が建てられた土地に隣接する土地)の土地課税情報に基づいて、当該家屋番号に関連付けられた家屋課税情報を更新してもよい。
【0046】
更新部133は、例えば記憶部12から読み出した課税情報が適切でないと判定した場合、適切でないと判定した課税情報が関連付けられている一部特定情報に対応する課税情報と異なる他の情報に基づいて課税情報を更新する。更新部133は、一部特定情報に対応する課税情報と異なる他の情報に基づいて元の課税情報を補正し、補正した後の課税情報を記憶部12に記憶させることにより、課税情報を更新する。更新部133は、記憶部12から読み出した課税情報が適切であると判定した場合、課税情報を更新しない。
【0047】
更新部133は、土地課税情報又は家屋課税情報を更新する前に、情報提供部132を介して、更新する旨を情報端末2に通知してもよい。更新部133は、例えば、記憶部12に記憶された課税情報を更新する前に、当該課税情報を更新することを示すメッセージを情報端末2に表示させ、情報端末2から課税情報を更新する指示を受信した後に、課税情報を更新する。
以下、更新部133が課税情報を更新する処理について詳細に説明する。
【0048】
[課税情報を更新する処理]
(同じ地番の家屋の状態に基づく土地課税情報の更新)
更新部133は、所在地番に関連付けて記憶部12に記憶された土地課税情報を、所在地番の土地に建っている建物の家屋番号に関連付けて記憶部12に記憶された家屋課税情報に基づいて更新する。更新部133は、例えば、土地課税情報が示す所在地番の課税地目が「宅地」以外であるとしても、土地課税情報と同一の所在地番の土地に建っている建物の家屋課税情報が存在する場合に、土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新してもよい。
【0049】
具体的には、記憶部12に記憶された土地課税情報が示す課税地目が「畑」であるにもかかわらず、当該土地課税情報の所在地番の土地に居宅、店舗、倉庫、又は車庫のように、課税対象の建物が建っている場合、更新部133は、課税地目が「畑」になっているのは誤りであると判定し、土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新する。更新部133がこのように動作することで、土地に課税対象の建物が建っているにもかかわらず、土地の課税地目が「宅地」になっていない場合に、土地課税情報の課税地目を適切な内容にすることができる。
【0050】
(家屋が建っている土地の状態に基づく家屋課税情報の更新)
更新部133は、家屋番号に関連付けて記憶部12に記憶された家屋課税情報を、建物が建っている土地の所在地番に関連付けて記憶部12に記憶された土地課税情報に基づいて更新してもよい。更新部133は、例えば、家屋課税情報における建物の種類が「事務所」になっているとしても、家屋課税情報に対応する所在地番と同一の所在地番の土地課税情報に「住宅用地の特例」が適用されている場合に、家屋課税情報の建物の種類を「居宅」に更新してもよい。
【0051】
(他の地番の課税情報に基づく更新)
更新部133は、第1の一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された第1課税情報を、第1の一部特定情報と異なる第2の一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された第2課税情報に基づいて更新してもよい。更新部133は、例えば、第2の一部特定情報の一例である第2所在地番の土地に建っている建物の家屋番号に関連付けて記憶部12に記憶された第2課税情報としての家屋課税情報に基づいて、第1課税情報としての土地課税情報を更新する。第1所在地番と第2所在地番との関係は、例えば隣接する土地の所在地番、又は所定の距離内の土地の所在地番という関係である。
【0052】
例えば、更新部133は、第1の一部特定情報の一例である第1所在地番の第1課税情報が示す土地の課税地目が「宅地」以外であり、かつ第1所在地番と一体として利用されている第2所在地番の第2課税情報が示す土地の課税地目が「宅地」である場合に、第1課税情報に対応する土地の課税地目を「宅地」に更新してもよい。具体的には、更新部133は、第1所在地番にテニスコートがあり、当該第1所在地番の第1課税情報の土地の課税地目が「雑種地」になっている場合であっても、第1所在地番と一体として利用されている第2所在地番に建物があり、土地の課税地目が「宅地」になっており、テニスコートが当該建物に付随していると考えられる場合には、第1課税情報の土地の課税地目を「宅地」に更新する。更新部133がこのように動作することで、他の土地と一体として利用されている土地の課税地目を適切な内容にすることができる。
【0053】
(外部情報に基づく更新)
更新部133は、一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された課税情報を、取得部131が取得した、一部特定情報に対応する利用状況情報に基づいて更新してもよい。更新部133は、例えば、所在地番の土地に建物が含まれていることを撮影画像又は地図画像が示している場合に所在地番に対応する土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新する。更新部133は、撮影画像又は地図画像に基づいて、所在地番の土地に含まれている建物が課税対象の建物であるか否かを判定し、建物が課税対象の建物であると判定した場合に、所在地番に対応する土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新してもよい。
【0054】
更新部133は、一部特定情報の一例である所在地番の土地の所定の割合又は所定の面積以上の領域に建物が含まれていることを撮影画像又は地図画像が示している場合に、所在地番に対応する土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新してもよい。更新部133は、例えば、撮影画像に含まれる物体の面積が、課税対象でない建物(例えば犬小屋)ではなく、課税対象の建物(例えば倉庫)であると判定した場合に、土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新する。
【0055】
更新部133は、所在地番の土地に建物が建っている場合であっても、当該建物が所定の割合以下の建物又は家屋と認定されない建物であることを撮影画像又は地図画像が示し、撮影画像又は地図画像に田又は畑が含まれている場合には、土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新せず、土地課税情報の課税地目を「田」又は「畑」とする。更新部133がこのように動作することで、土地課税情報の課税地目を「宅地」にするべきでないにもかかわらず、課税地目を誤って「宅地」に更新してしまうことを防止できる。
【0056】
更新部133は、所在地番の土地の所定の割合以上の領域に太陽光発電設備が設置されていることを撮影画像又は地図画像が示している場合に、所在地番に対応する土地課税情報の課税地目を「雑種地」としてもよい。更新部133がこのように動作することで、撮影画像に建物が含まれている場合であっても、土地の大部分に太陽光発電設備が設置されている場合に、課税地目を誤って「宅地」に更新してしまうことを防止できる。
【0057】
更新部133は、所在地番に対応する利用状況情報が示す所在地番の土地の面積(地積)が、所在地番に対応する土地課税情報が示す課税地積と異なる場合に、所在地番に対応する土地課税情報の課税地積を、所在地番に対応する利用状況情報が示す土地の面積に更新してもよい。更新部133がこのように動作することで、登記電子データに含まれる土地登記情報に誤りがあったことに起因して土地課税情報の課税地積に誤りがある場合であっても、撮影画像等の外部情報によって、課税地積の誤りを訂正することが可能になる。
【0058】
取得部131は、法律に基づく土地又は建物の利用計画を示す計画情報をさらに取得し、更新部133は、一部特定情報に関連付けて記憶部12に記憶された課税情報を、計画情報が示す、一部特定情報に対応する土地又は建物の利用計画に基づいて更新してもよい。法律は、例えば農地法、又は消防法である。計画情報は、例えば、法律に基づく許可内容を示す情報、又は法律に基づいて届け出られた内容を示す情報である。一例として、計画情報は、土地が分譲住宅地として利用されることを示す情報である。計画情報が、状況類似区分、路線価、又は画地等を示す評価情報を含んでもよい。
【0059】
更新部133は、上記の判定に機械学習モデルを使用してもよい。更新部133は、例えば、土地を撮影した撮影画像が入力されると土地に建物が含まれているか否かを判定した結果を出力する機械学習モデルに、取得部131が取得した撮影画像を入力し、機械学習モデルから出力される判定結果を得ることにより、所在地番の土地に建物が含まれているか否かを判定する。更新部133は、土地を撮影した撮影画像を入力すると、撮影画像に含まれている建物の種類、又は土地の面積に対する建物の占有面積の割合を出力する機械学習モデルを用いて、課税情報を更新してもよい。
【0060】
[土地課税情報の更新例]
図6は、記憶部12に記憶されている土地課税情報の一例を示す図である。
図6に示す土地課税情報においては、課税情報に含まれる多数の項目のうち、所在地番、課税地目、及び課税地積が示されている。
【0061】
図7は、記憶部12に記憶されている家屋課税情報の一例を示す図である。
図7に示す家屋課税情報においては、所在地番、家屋番号、建物の種類、及び建物の利用状況が示されている。建物の利用状況は、撮影画像、地図画像又は現地調査結果等の利用状況情報に基づいて特定された建物の詳細を示す情報である。
【0062】
図8は、更新部133が、
図7に示す家屋課税情報に基づいて
図6に示す土地課税情報を更新した後の土地課税情報を示す図である。
図8において下線が付されており、他の文字よりも大きな文字で表された課税地目が、更新された箇所である。
【0063】
所在地番が3番の土地の課税地目は、
図6においては「宅地」となっている。また、
図7に示す家屋課税情報における所在地番3番に対応する建物の種類は「居宅」となっている。ところが、
図7に示す家屋課税情報における所在地番3番に対応する利用状況は、「ソーラーパネル」となっている。利用状況は、実際に所在地番に対応する土地を撮影して得られた撮影画像又は現地調査結果に基づいて決定された情報なので、最も信頼性が高いと考えられる。
【0064】
そこで、更新部133は、家屋課税情報における建物の種類と、所在地番に関連付けられた利用状況とが一致しない場合、建物の種類によらず利用状況に基づいて土地課税情報を更新してもよい。また、更新部133は、家屋課税情報における建物の種類と、所在地番に関連付けられた利用状況とが一致しない場合、利用状況に基づいて家屋課税情報における建物の種類を更新してもよい。
【0065】
所在地番4番2の土地の課税地目は、
図6においては「畑」となっている。また、
図7に示す家屋課税情報における所在地番4番2に対応する建物の種類は「車庫」となっており、利用状況が「車庫」となっている。このような場合、更新部133は、土地課税情報の課税地目を「宅地」に更新する。
【0066】
[課税情報管理装置1の動作フローチャート]
図9は、課税情報管理装置1が課税情報を更新する動作のフローチャートである。
図9は、取得部131が、情報端末2から課税情報のチェックを行う指示を取得した時点から開始している(S1)。取得部131が取得した指示においては、チェックする対象となる複数の所在地番が指定されているものとする。
【0067】
更新部133は、まず、指定された複数の所在地番から1つの所在地番を選択する(S2)。続いて、選択した所在地番に対応する土地課税情報と家屋課税情報とを照合する(S3)。この処理の詳細については後述する。
【0068】
続いて、更新部133は、チェックの対象となっている全ての所在地番の照合が終了したか否かを判定し、全ての所在地番の照合が終了していないと判定した場合(S4においてNO)、S2に処理を戻す。更新部133は、全ての所在地番の照合が終了したと判定した場合(S4においてYES)、情報提供部132を介して、照合した結果を情報端末2に通知する(S5)。
【0069】
図10は、
図9における照合処理(S3)の一例を示すフローチャートである。更新部133は、チェックの対象となっている所在地番に対応する家屋課税情報が、課税対象の家屋があることを示しているか否かを判定する(S31)。更新部133は、課税対象の家屋があると判定した場合(S31においてYES)、土地課税情報における課税地目が「宅地」であるか否かを判定する(S32)。更新部133は、課税地目が「宅地」になっている場合、土地課税情報における課税地目を更新せず(S33)、課税地目が「宅地」になっていない場合、土地課税情報における課税地目を「宅地」に更新する(S34)。更新部133は、情報端末2に「宅地に更新しますか?」というメッセージを表示させ、更新する指示を情報端末2から受信したことに応じて課税地目を「宅地」に更新してもよい。
【0070】
更新部133は、S31において課税対象の家屋がないと判定した場合(S31においてNO)、土地課税情報における課税地目が「宅地」以外であるか否かを判定する(S35)。更新部133は、課税地目が「宅地」以外であると判定した場合(S35においてYES)、土地課税情報における課税地目を更新せず(S36)、課税地目が「宅地」になっていると判定した場合(S35においてNO)、所在地番に関連付けられた利用状況を参照する(S37)。更新部133は、所在地番に関連付けられた利用状況に基づいて、土地課税情報における課税地目を更新する(S38)。更新部133は、例えば利用状況が「ソーラーパネル」である場合、対応する所在地番の土地課税情報における課税地目を「雑種地」に更新する。更新部133は、課税対象の家屋がないと判定した場合であっても、利用状況が、分譲予定地であることを示している場合、土地課税情報における課税地目を「宅地」に更新してもよい。
【0071】
[変形例]
図11は、課税情報管理システムSの変形例である課税情報管理システムS1の構成を示す図である。
図1に示した課税情報管理システムSにおいては、課税情報管理装置1が、課税情報を生成及び管理するとともに、生成した課税情報に基づいて課税標準額を算出する場合を例示した。これに対して、
図11に示す課税情報管理システムS1は、課税情報を生成及び管理する課税情報管理装置1aと、課税情報管理装置1aが生成した課税情報に基づいて課税標準額を算出する課税標準額算出装置4とを個別に有している。この場合、課税情報管理装置1aが、
図5に示した制御部13の各部の機能を有していてもよく、課税標準額算出装置4が、
図5に示した制御部13の各部の機能を有していてもよい。
【0072】
[課税情報管理装置1による効果]
以上説明したように、課税情報管理装置1においては、更新部133が、所在地番又は家屋番号に関連付けて記憶部12に記憶された課税情報を、所在地番又は家屋番号に対応する登記情報と異なる情報に基づいて更新する。更新部133は、例えば、土地課税情報を、対応する家屋課税情報に基づいて更新したり、外部から取得した土地又は建物の撮影画像又は現地調査結果、さらには、農地法や消防法等による許可又は届出等、状況類似区分や画地等の評価情報等の外部情報に基づいて更新したりする。更新部133がこのように動作することで、課税標準額の算出に用いられる課税情報に誤りがある場合であっても、課税情報を適切な内容にすることができる。
【0073】
整理すると、課税情報管理装置1は、以下のことを実現できる。
(1)取得した登記情報と同じ内容で、課税情報を上書きする。
(2)家屋課税情報を参照して、対応する土地課税情報を更新する。
(3)土地課税情報を参照して、対応する家屋課税情報を更新する。
(4)選択した土地の隣接地の土地課税情報を参照して、当該土地の課税情報を更新する。
(5)選択した土地の隣接地の家屋課税情報を参照して、当該土地の課税情報を更新する。
(6)選択した家屋の所在地の隣接地の家屋課税情報を参照して、当該家屋の課税情報を更新する。
(7)選択した家屋の所在地の隣接地の土地課税情報を参照して、当該家屋の課税情報を更新する。
(8)土地又は家屋の現実の利用状況を参照して、課税情報を更新する。
(9)計画や法律に基づく許可・届出の情報を参照して、課税情報を更新する。
(10)評価情報を参照して、課税情報を更新する。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0075】
1 課税情報管理装置
2 情報端末
3 サーバ
4 課税標準額算出装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 情報提供部
133 更新部
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理装置であって、
土地を特定するための複数の所在地番に関連付けられた複数の土地課税情報と、前記複数の所在地番に関連付けられた複数の家屋課税情報と、を記憶する記憶部と、
前記複数の所在地番のうち少なくとも一部の所在地番に関連付けて前記記憶部に記憶された前記土地課税情報を、前記一部の所在地番に対応する前記家屋課税情報に基づいて更新する更新部と、
を有し、
前記更新部は、前記一部の所在地番に対応する土地課税情報に含まれる地目が宅地以外であることを示しており、かつ当該土地課税情報と同一の所在地番に対応する家屋課税情報が、課税対象となる家屋が存在していることを示している場合に、当該土地課税情報の課税地目を宅地に更新する必要があると判定する、
課税情報管理装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記一部の所在地番に対応する土地課税情報に含まれる課税地目が宅地以外であることを示している場合に、当該土地課税情報の課税地目を宅地に更新する必要があると判定する、
請求項1に記載の課税情報管理装置。
【請求項3】
コンピュータが実行する固定資産税の課税標準額の算出に用いられる課税情報を管理する課税情報管理方法であって、
土地を特定するための複数の所在地番に関連付けられた複数の土地課税情報と、前記複数の所在地番に関連付けられた複数の家屋課税情報と、を記憶する記憶部を参照するステップと、
前記複数の所在地番のうち少なくとも一部の所在地番に関連付けて前記記憶部に記憶された前記土地課税情報を、前記一部の所在地番に対応する前記家屋課税情報に基づいて更新するステップと、
を有し、
前記更新するステップにおいて、前記一部の所在地番に対応する土地課税情報に含まれる地目が宅地以外であることを示しており、かつ当該土地課税情報と同一の所在地番に対応する家屋課税情報が、課税対象となる家屋が存在していることを示している場合に、当該土地課税情報の課税地目を宅地に更新する必要があると判定する、
課税情報管理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
土地を特定するための複数の所在地番に関連付けられた複数の土地課税情報と、前記複数の所在地番に関連付けられた複数の家屋課税情報と、を記憶する記憶部を参照するステップと、
前記複数の所在地番のうち少なくとも一部の所在地番に関連付けて前記記憶部に記憶された前記土地課税情報を、前記一部の所在地番に対応する前記家屋課税情報に基づいて更新するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記更新するステップにおいて、前記一部の所在地番に対応する土地課税情報に含まれる地目が宅地以外であることを示しており、かつ当該土地課税情報と同一の所在地番に対応する家屋課税情報が、課税対象となる家屋が存在していることを示している場合に、当該土地課税情報の課税地目を宅地に更新する必要があると判定する、
プログラム。