(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109348
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】カードケース、カードケースの製造方法、カードケースの高周波溶着溶断電極
(51)【国際特許分類】
B29C 65/04 20060101AFI20230801BHJP
B65D 75/30 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B29C65/04
B65D75/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010807
(22)【出願日】2022-01-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】500339189
【氏名又は名称】有限会社ハヤシ商店
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】林 勝博
【テーマコード(参考)】
3E067
4F211
【Fターム(参考)】
3E067AA27
3E067AB75
3E067AC03
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC04A
3E067CA11
3E067EA06
3E067EB27
3E067FC01
4F211AA24
4F211AD08
4F211AH53
4F211AK10
4F211TA02
4F211TC09
4F211TC22
4F211TD11
4F211TN14
4F211TN15
(57)【要約】
【課題】 樹脂シートが剥がれ易く、溶着の幅が広くなり、内寸が小さくなる。
【解決手段】カードケースは、表面をなす第1面2aと、裏面をなす第2面2bとを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シート2と、表面をなす第1面3aと、裏面をなす第2面3bとを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シート3と、第1シート2の第2面2bと、第2シート2の第2面3bとの外縁部を溶着する溶着部4と、カードの差し込みが可能となる差し込み口を有し、溶着部4の端部と溶着する開口部と、を備え、溶着部4が、側面に溶断面となる傾斜面6と、傾斜面6の上端から横方向に延び出すとともに、第1シート2の上端面の端部から上方に盛り上がる、平面視で所定形状に連続する帯状の肉溜部7と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シートと、
表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シートと、
前記第1シートの第2面と、前記第2シートの第2面との外縁部を溶着する溶着部と、
前記第1シートと第2シートと接続する、カードの差し込みが可能となる差し込み口を有し、前記溶着部の端部と溶着する開口部と、を備え、
前記溶着部が、
側面に溶断面となる傾斜面と、
前記傾斜面の上端から横方向に延び出すとともに、前記第1シートの上端面の端部から上方に盛り上がる、平面視で所定形状に連続する帯状の肉溜部と、
を備えることを特徴とするカードケース。
【請求項2】
前記溶着部の高さと、前記肉溜部の高さの比率が5~100%である請求項1のカードケース。
【請求項3】
前記溶着部の傾斜面の角度が20~160°である請求項1又は2のカードケース。
【請求項4】
表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シートと、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シートと、を重ね合わせ、第1シート及び第2シートに接続させる開口部を設ける材料を準備する工程と、
高周波溶着溶断刃部を、特定形状の外縁部をなすように、前記第1シートと第2シートの特定の部位に合わせ、上方から下方に移動させる高周波溶着溶断工程と、を備え、
該高周波溶着溶断工程により、前記第1シートと、前記第2シートが溶着し、前記高周波溶着溶断刃部が一対の対向する帯状の肉溜部を形成し、
前記第1シートと第2シートの溶断面に沿って、溶断面の上端から下端に向かって斜めに延び出す帯状の傾斜面を形成し、
前記高周波溶着溶断刃部が前記第1シートと第2シートと前記開口部を溶着し溶断する、ことを特徴とするカードケースの製造方法。
【請求項5】
垂直な板材が十字形状に結合した導電性の三次元立体板状構造体と、
該三次元立体板状構造体の下端部に設けた高周波溶着溶断刃部と、
前記三次元立体板状構造体の側面の特定領域に設けられ、断面がL字形状又はT字形状の固定板材と、
を備え、
前記高周波溶着溶断刃部より上部の前記三次元立体板状構造体の特定領域に貫通孔が設けられ、前記固定板材が前記貫通孔に締結部材で締結され、該締結部材により定盤に固定される構造を有し、テーブル上に載置される高周波溶着溶断に適した2枚以上の重ね合わせられた樹脂シートに前記高周波溶着溶断刃部を下降させることにより、前記樹脂シートの溶着と同時に溶断を行うカードケースの高周波溶着溶断電極。
【請求項6】
前記高周波溶着溶断刃部の角度が水平基準面に対して、10°~80°をなす請求項5のカードケースの高周波溶着溶断電極。
【請求項7】
前記高周波溶着溶断刃部の厚さが、0.2~5mmをなす請求項5又は6のカードケースの高周波溶着溶断電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートでケース面を構成されたカードケース、カードケースの製造方法、及びカードケースの高周波溶着溶断電極に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明は、溶着及び溶断が確実にできると共に、耐久性のある高周波溶着溶断装置の提供を目的とする。電極の一方を構成する電極部23と、電極部と一体的に固定された刃部24とを有した電極刃20を備え、他方の電極を構成するテーブル上に載置された加工物に電極刃を押しつけることにより溶着と同時に溶断を行う高周波溶着溶断装置において、少なくとも刃部の先端と電極部とを導通するように刃部の先端及びその近傍に、刃部よりも電気抵抗の小さい材質又は電極部と同じ電気抵抗の材質よりなるメッキ26を施したことを特徴とする高周波溶着溶断装置である。
【0003】
特許文献1の
図4に示す通り、加工物11を溶着すると同時に溶断するために、電極刃20を下降させて電極部23及び刃部24を加工物11aに押さえつけると同時に、テーブル1及び電極刃20に高周波の電圧を印加する。これにより、加工物11aの電極部23に接触している部位が熱溶着される。一方、溶着溶断装置10より印加される電 圧は刃部24及びメッキにも印加されるために、加工物11a、11bの刃部24に接触している部位は、高周 波により溶かされながら鋭利な刃部24の先端にて切断される。上記したように加工物11a、11bは、溶着と同時に溶断が成される。
【0004】
本実施例においては、刃部24を機械的強度の大きな材質より構成することができるために、刃先を鋭利に成形することができると共に、刃部24に施されたメッキ26が電極部23と導通しているため、加工物11aの刃先に当接している部位が高周波電圧により加熱されて、溶かされながら刃部24にて切断されるので確実な溶断が成される。更に、刃部24の耐久性を高くできるために、交換頻度が少なく交換作業の工数を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の高周波溶断同時溶着装置により製造されるカードケースは次の課題がある。(1)電極部23の直角の下端部が樹脂シート201の表面を直角に押さえつけるため、応力の集中する箇所が生じて、そこから樹脂シート201が裂けて、剥がれやすい問題がある(
図8参照)。(2)同様の理由により、電極部23による樹脂シートの表面に抑え跡ができ、溶着の幅が広くなり、内寸が減少するので、特定の寸法のカードケースで、内寸を広くしたいとの要望がある(
図8参照)。
【0007】
特許文献1の高周波溶断同時溶着装置の構造においては、電極刃20は、電極固定アーム21と、この電極固定アーム21にボルト22により固定され、他方の電極を構成する電極部23と、電極部23に接触した状態で電極固定アーム21に固定されている刃部24と、電極固定アーム21と電極部23及び刃部24との間に介装されたスペーサ25とから構成されている。電極部23は、銅や銀系の電気の良導体より成形されている。刃部24は、鋼やセラミックス等の機械的な強度の優れた材質より成形されていて、その先端は非常に鋭利に成形されている。この刃部24には、刃部24よりも電気抵抗の小さい材質又は電極部24と同じ電気抵抗の材質(本実施例では、銅や銀等)よりなるメッキ26が施されている。そのような構造のため、高周波溶断同時溶着装置の部品構成が複雑化する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は、上記課題の2つの課題を解決するため、格別の構造を見出し、本発明に至った。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明1のカードケースは、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シートと、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シートと、第1シートの第2面と、第2シートの第2面との外縁部を溶着する溶着部と、前記第1シートと第2シートと接続する、カードの差し込みが可能となる差し込み口を有し、前記溶着部の端部と溶着する開口部と、を有し、溶着部4の端部と溶着する開口部5と、を備え、溶着部4が、側面に溶断面となる傾斜面6と、傾斜面6の上端から横方向に延び出すとともに、第1シート2の上端面の端部から上方に盛り上がる、平面視で所定形状に連続する帯状の肉溜部7と、を備えることを特徴とする。
【0010】
「カードケース」とは、製品情報が記載された紙媒体等を内部に封入又は差し込んで、リターナブルの使用等に供するケースが例示される。
【0011】
「カードケース」は、長尺状等の適宜の形状をとりえる。例えば、カードケースは矩形が基本形ではあるが、形状は用途に応じて適宜変更が可能である。カードケースの規格(A4等)の寸法で、横長形状であるものが例示される。「カードケース」の厚さは0.15~4mmが例示される。
【0012】
「表面」とは、カードケースの外側の面をいい、「裏面」とは「表面」と反対面であり、カードケースの内側領域にある面をいう。
【0013】
「高周波溶着溶断に適する樹脂」は、例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン樹脂、GPET樹脂等が挙げられる。GPETはTerephthalic Acid(TPA)とエチレングリコール(EG)の反応により生産されるポリエステルに、エチレングリコール(EG)の一定含量をCyclohexane Dimethanol(CHDM)で代替した、グリコール変性ポリエステルである。
【0014】
「樹脂」は、透光性、半透光性いずれも含む。
【0015】
第1シート、第2シートとも透光性樹脂によって構成されることが好ましいが、非透光性の材質を用いてもよい。第1シート及び第2シートは第1面、第2面のほかに、厚み方向に側面を有している。
【0016】
前記溶着部の傾斜面の角度が20~160°、特に30~90°が好ましい。
【0017】
溶着部の高さと、肉溜部の高さの比率が5~100%、特に、15~25%が好ましい。
【0018】
本発明2のカードケースの製造方法は、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シートと、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シートと、を重ね合わせ、第1シート及び第2シートに接続させる開口部を設ける材料を準備する工程と、高周波溶着溶断刃部を、特定形状の外縁部をなすように、前記第1シートと第2シートの特定の部位に合わせ、上方から下方に移動させる高周波溶着溶断工程と、を備え、該高周波溶着溶断工程により、前記第1シートと、前記第2シートが溶着し、前記高周波溶着溶断刃部が一対の対向する線状の肉溜部を形成し、前記第1シートと第2シートの溶断面に沿って、溶断面の上端から下端に向かって斜めに延び出す帯状の傾斜面を形成し、前記高周波溶着溶断刃部が前記第1シートと第2シートと開口部を溶着し、溶断する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明3のカードケースの高周波溶着溶断電極は、垂直な板材が十字形状に結合した導電性の三次元立体板状構造体と、該三次元立体板状構造体の下端部に設けた高周波溶着溶断刃部と、前記三次元立体板状構造体の側面の特定領域に設けられ、断面がL字形状又はT字形状の固定板材と、を備え、前記高周波溶着溶断刃部より上部の前記三次元立体板状構造体の特定領域に貫通孔が設けられ、前記固定板材が前記貫通孔に締結部材で締結され、該締結部材により定盤に固定される構造を有し、テーブル上に載置される高周波溶着溶断に適した2枚以上の重ね合わせられた樹脂シートに前記高周波溶着溶断刃部を下降させることにより、前記樹脂シートの溶着と同時に溶断を行うものである。
【0020】
「高周波溶着溶断刃部」の角度が水平基準面に対して、10°~80°、特に30~60°が好ましい。
【0021】
「高周波溶着溶断刃部」の厚さが、0.2~5mm、特に1~3mmをなすことが好ましい。
【0022】
「高周波溶着溶断刃部」の2つの刃面の傾斜と高さは、縦の中心線と左右対称に配置してもよいし、非対称な傾斜と高さでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明1~3によれば、厚みを有する横方向に延び出す帯状の傾斜部と、該傾斜部の上端に設けられ、該上端と連続する単一の線状の肉溜部と、を備えるので、樹脂シートが剥がれ難くなる。溶着の幅が狭くなり、内寸が大きくなり、内寸を広くしたいとの要望を満たすことができる。
【0024】
本発明3によれば、カードケースの高周波溶断同時溶着装置の部品構成が簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明実施形態のカードケースの正面図である。
【
図2】(a)は
図1の溶着部のI-I断面図、(b)は非溶着部の断面図(ポケットを開いた状態)である。
【
図3】本発明実施形態のカードケースの高周波溶着溶断電極の斜視図である。
【
図6】本発明実施形態のカードケースの製造方法を示す平面図である。
【
図7】(a)~(c)は、カードケースの溶着溶断工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明1の実施形態のカードケース1について、
図1、
図2を参照して説明する。
【0027】
本発明1のカードケース1は、表面をなす第1面2aと、裏面をなす第2面2bとを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シート2と、表面をなす第1面3aと、裏面をなす第2面3bとを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シート3と、第1シート2の第2面2bと、第2シート2の第2面3bとの外縁部を溶着する溶着部4と、第1シート2と第2シート3の上端面U、左端面L及び右端面R(
図1参照)の少なくとも1つにカードの差し込みが可能となる差し込み口を有し、溶着部4の端部と溶着する開口部5と、を備え、溶着部4が、側面に溶断面となる傾斜面6と、傾斜面6の上端から横方向に延び出すとともに、第1シート2の上端面の端部から上方に盛り上がる、平面視で所定形状に連続する帯状の肉溜部7と、を備えることを特徴とする。以下、各要素を説明する。
【0028】
カードケース1の寸法は、厚みは0.31mm~3.2mm、幅900~1800mm、高さ10~100mmが例示されるが、限定されるわけではない。
【0029】
カードケース1の内寸は横の外寸70mmに対して、横の内寸が69.5mmが例示される。この場合、溶着部4の幅が各0.25mmである。比較例として、横の外寸が65mmに対して、内寸60mm、溶着部4の幅が各2.5mmのカードケースよりも内寸がかなり拡大される。
【0030】
第1シート2、第2シート3は表面、裏面、4つの側面から構成され、内部にカードが収容可能である。
【0031】
第1シート2の厚みは0.2~1mm、第2シート3の厚みは、0.1~2mmの範囲が例示され、適宜設定が可能である。
【0032】
第1シ-ト2と第2シート3と開口部5は、例えば、塩化ビニール樹脂等があげられる。
【0033】
溶着部4は、第1シート2の第2面2bと、第2シート2の第2面3bとが溶着されたコ字形状の外縁部である。
【0034】
開口部5は、第1シート2と第2シート3の上端面U、左端面L及び右端面R(
図1参照)の少なくとも1つにカードの差し込みが可能となる差し込み口を有し、溶着部4の端部と溶着する。
【0035】
図2に示す通り、溶着部4の側面に溶断面となる傾斜面6があり、肉溜部7は傾斜面6の上端から横方向に延び出す。
【0036】
溶着部4の傾斜面6の角度θが40°が例示されるが、限定されるものではない。適切な範囲で剥離が生じ難くなる。
【0037】
肉溜部7は、第1シート2の上端面の端部から上方にほぼ均一な高さに盛り上がる、平面視でコ字形状に連続する帯状の樹脂構造である。
【0038】
溶着部4の高さと、肉溜部7の高さの比率は20%が例示される。溶着部4は、
図2(a)に示す通り、点線で示す縦線まで設けられている。点線よりも右方向にある領域は、第1シート2と第2シート3とが溶着されていない領域で、ポケットとなる部分である(
図2(b)参照)。
【0039】
開口部5は、開閉が可能なチャック構造、例えばスライド構造で開閉するもの、凹凸の嵌合で開閉する構造が例示されるが、このような機能がない、単なる開口としてもよい。
【0040】
本発明実施形態のカードケース1の使用方法は、一般的方法に従うので、説明は省略する。
【0041】
カードケース1の高周波溶着溶断電極90について
図3~
図7を参照して説明する。この電極90によって製作されるカードケースは、前述したカードケース1とは異なっている。高周波溶着溶断電極90は、垂直な板材91が十字形状に結合した導電性の三次元立体板状構造体92と、三次元立体板状構造体92の下端部に設けた高周波溶着溶断刃部93と、三次元立体板状構造体92の側面94の特定領域に設けられ、断面がL字形状又はT字形状の固定板材95と、を備えている。高周波溶着溶断刃部93より上部の三次元立体板状構造体92の特定領域に貫通孔96が設けられ、固定板材95が貫通孔96に締結部材97で締結され、締結部材97により高周波ウェルダーの定盤(図示略)に固定される構造を有し、テーブル98(
図7参照)上に載置される高周波溶着溶断に適した2枚以上の重ね合わせられた樹脂シート101(上シート102、下シート103と、開口部105を有する)に高周波溶着溶断刃部93を下降させることにより、樹脂シート101の外縁部の溶着と同時に溶断を行うものである。
【0042】
高周波溶着溶断刃部93の角度θが水平基準面に対して、40°~70°をなす。
【0043】
高周波溶着溶断刃部93の厚さが、1~1.4mmをなす。
【0044】
本発明2のカードケース1の製造方法について、
図6、
図7を参照して説明する。
【0045】
(工程1)
工程1は、材料101を準備する工程であり、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第1シート102と、表面をなす第1面と、裏面をなす第2面とを有する、高周波溶着溶断に適する樹脂製の第2シート103と、を重ね合わせ、第1シート102及び第2シート103の端部に接続される開口部105を設ける。
【0046】
(工程2)
工程2は、高周波溶着溶断工程である。高周波溶着溶断刃部93を、図示する特定形状の外縁部をなすように、前記第1シート102と第2シート103の特定の部位に合わせ、上方から下方に移動させる。高周波電流は三次元立体板状構造体92の全体に流れるが、材質と接する箇所に溶着同時溶断が行われる。それらの詳細は以下の工程から構成される通りである。
【0047】
(工程2―1)
高周波溶着溶断刃部93が第1シート102と、第2シート103を溶着させ、高周波溶着溶断刃部93が一対の対向する線状の小肉溜部107aを形成する(
図7(b)参照)。
【0048】
(工程2―2)
傾斜面6が、第1シート102と第2シート103の溶断面に沿って設けられ、溶断面の上端から下端に向かって斜めに延び出す帯状の面を形成する。
【0049】
(工程2―3)
高周波溶着溶断刃部93が第1シート102と第2シート103の下端を切り離す(
図7(c))。
【0050】
(工程2―4)
溶着部4以外の、上端面Uにカードの差し込みが可能となる差し込み開口となる開口部5を形成する。
【0051】
以上、本発明1~3の実施形態によれば、厚みを有する横方向に延び出す傾斜面6と、傾斜面6の上端に設けられ、上端と連続する単一の線状の肉溜部7と、を備えるので、第1シート2と第2シート3が剥がれ難くなる。溶着部4の幅が狭くなり、内寸が大きくなり、内寸を広くしたいとの要望を満たすことができる。ウェルダーむらが生じにくく、カードケース材料の位置の調整が楽で、生産性が向上する。加工ロスも少なくなる。
【0052】
本発明3の実施形態によれば、カードケース1の高周波溶断同時溶着装置の部品構成が簡素化する。
効果がある。
【0053】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。例えば、高周波ウェルダー処理をするために、カードケース1を複層、例えば、3枚以上にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、カードケースが裂けにくく、内寸を増大させたカードケースを提供することができる。また、高周波溶着溶断電極を簡素化し、高周波溶着溶断刃部に形成された角度によって溶着結合するため、硬質の材料同士、あるいは軟質の材料と硬質の材料の溶着結合といった難加工に対しても、段階的ではなく材料の溶解の進捗に合わせて流動的連続的に溶着することができるので、工業的な利用価値は大である。
【符号の説明】
【0055】
1 カードケース
2 第1シート
3 第2シート
4 溶着部
5 開口部
6 傾斜面
7 肉溜部
90 高周波溶着溶断電極
91 板材
92 三次元立体板状構造体
93 高周波溶着溶断刃部
94 側面
95 固定板材
96 貫通孔
97 締結部材
98 テーブル
101 樹脂シート
101 材料
102 樹脂シート
103 樹脂シート
105 開口部
107a 小肉溜部
201 樹脂シート(従来技術)
L 左端面
R 右端面
U 上端面
W 厚さ
θ 角度