(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109392
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】サンシェード装置
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20230801BHJP
B60J 3/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B60J3/00 H
B60J3/02 B
B60J3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010875
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 涼介
(72)【発明者】
【氏名】二村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔平
(72)【発明者】
【氏名】小林 健太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 純
(57)【要約】
【課題】サンシェードを動かすときにサンシェードにシワが生じるのを抑制できるサンシェード装置を提供する。
【解決手段】サンシェード装置101は、車両1の窓部3を覆うためのサンシェード10と、サンシェード10に取り付けられたフレーム部材20と、フレーム部材20の長手方向である第2方向Yの両側のフレーム端部22をスライド方向である第1方向Xにガイドするガイド部材30と、を備え、フレーム端部22は、段付き形状を有し、ガイド部材30には、段付き形状を有するフレーム端部22が嵌り合う段付き溝を構成する収容空間35,37が設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるサンシェード装置であって、
上記車両の窓部を覆うためのサンシェードと、
上記サンシェードに取り付けられたフレーム部材と、
上記フレーム部材の長手方向の両側のフレーム端部をスライド方向にガイドするガイド部材と、
を備え、
上記フレーム端部は、段付き形状を有し、
上記ガイド部材には、上記段付き形状を有する上記フレーム端部が嵌り合う段付き溝が設けられている、サンシェード装置。
【請求項2】
上記フレーム端部の上記段付き形状は、上記長手方向の外側の方が上記長手方向と交差する方向の寸法が小さい形状である、請求項1に記載のサンシェード装置。
【請求項3】
上記ガイド部材は、係合部を有し、
上記フレーム端部は、上記係合部と係合可能な被係合部を有し、上記被係合部を利用して上記段付き形状を形成している、請求項1または2に記載のサンシェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、この種のサンシェード装置が開示されている。このサンシェード装置は、サンシェードに取り付けられたフレームの両端に端部部材を備えており、この端部部材のスライド方向の移動がガイド部材によってガイドされるように構成されている。また、フレームの端部部材をガイドするガイド部材は、上壁と、上壁に対向する下壁と、上壁と下壁を接続する側壁と、を備えており、その断面形状が略コ字状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のサンシェード装置において、例えば、サンシェードを引き出すときに、このサンシェードに取り付けられているフレームが所定のスライド方向にスライドするのが好ましい。ところが、略コ字状の断面形状を有するガイド部材によってフレームの端部部材をガイドする構造は、ガイド部材の内部で端部部材が動きやすく、サンシェードを引き出すときにフレームが所定のスライド方向に対して傾いた状態でスライドすることが想定される。この場合、サンシェードがフレームから受ける荷重が均等になりにくく、サンシェードの捩れなどによってサンシェードにシワが生じる要因になる。また、このような問題は、サンシェードを引出方向に動かすときのみならず、サンシェードを引き戻し方向に動かすときにおいても同様に生じ得る。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、サンシェードを動かすときにサンシェードにシワが生じるのを抑制できるサンシェード装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
車両に搭載されるサンシェード装置であって、
上記車両の窓部を覆うためのサンシェードと、
上記サンシェードに取り付けられたフレーム部材と、
上記フレーム部材の長手方向の両側のフレーム端部をスライド方向にガイドするガイド部材と、
を備え、
上記フレーム端部は、段付き形状を有し、
上記ガイド部材には、上記段付き形状を有する上記フレーム端部が嵌り合う段付き溝が設けられている、サンシェード装置、
にある。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様のサンシェード装置において、車両の窓部を覆うためのサンシェードにフレーム部材が取り付けられている。このフレーム部材のフレーム端部は、ガイド部材によってスライド方向にガイドされる。このガイド部材には、段付き形状を有するフレーム端部が嵌り合う段付き溝が設けられている。これにより、ガイド部材の段付き溝においてフレーム端部の動きを規制することができる。この場合、サンシェードを動かすときにフレーム部材が所定のスライド方向に対して傾いた状態でスライドするのを抑制できる。すなわち、フレーム部材のスライド時の動きを制限することができる。これにより、サンシェードがフレーム部材から受ける荷重をサンシェードが概ね均等に張設されるようにすることが可能になる。
【0008】
上述の態様によれば、サンシェードを動かすときにサンシェードにシワが生じるのを抑制できるサンシェード装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1のサンシェード装置を車内側からみた斜視図であってサンシェードが格納された状態にあるときの様子を示す斜視図。
【
図2】実施形態1のサンシェード装置を車内側からみた斜視図であってサンシェードが窓部の一部を覆う状態にあるときの様子を示す斜視図。
【
図3】実施形態1のサンシェード装置を車内側からみた斜視図であってサンシェードが窓部の全体を覆う状態にあるときの様子を示す斜視図。
【
図9】
図1中のフレーム部材及びガイド部材を車両上方からみた平面図。
【
図10】フレーム部材のフレーム端部がロック状態にあるときの様子を示す断面図。
【
図11】フレーム部材のフレーム端部がアンロック状態にあるときの様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0011】
上述の態様のサンシェード装置において、上記フレーム端部の上記段付き形状は、上記長手方向の外側の方が上記長手方向と交差する方向の寸法が小さい形状であるのが好ましい。
【0012】
このサンシェード装置によれば、フレーム端部の段付き形状を、長手方向の外側の方が長手方向と交差する方向の寸法が小さい形状とすることによって、フレーム部材をガイド部材に取り付けるときの操作が簡単になる。
【0013】
上述の態様のサンシェード装置において、上記ガイド部材は、係合部を有し、
上記フレーム端部は、上記係合部と係合可能な被係合部を有し、上記被係合部を利用して上記段付き形状を形成しているのが好ましい。
【0014】
このサンシェード装置によれば、被係合部を利用してフレーム端部の段付き形状を形成することによって、専用の段付き形状を設ける場合に比べて、加工コストを抑えることが可能になる。
【0015】
以下、サンシェード装置の実施形態の具体例を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
なお、この説明で用いる図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示し、車両内方を矢印INで示している。また、特に断わらない限り、フレーム部材のスライド方向である第1方向を矢印Xで示し、フレーム部材の長手方向である第2方向を矢印Y示し、フレーム部材の幅方向であって第1方向と第2方向の両方に直交する第3方向を矢印Zで示すものとする。
【0017】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1のサンシェード装置101は、車両1に搭載されるものである。本形態では、車両1の側部に設けられる車両ドア2に搭載されるサンシェード装置101について例示している。
【0018】
サンシェード装置101は、サンシェード10と、格納部12と、フレーム部材20と、2つのガイド部材30と、を備えている。
【0019】
サンシェード10は、車両ドア2の窓部3を覆うためのものである。このサンシェード10は、遮光性及び可撓性を有するシート状或いはスクリーン状の遮蔽部材であり、格納部12に引き出し可能に格納されるように構成されている。
【0020】
格納部12は、車両ドア2のうち窓部3の上方に配置されている。この格納部12の内部には、第2方向Yに延びる巻き取り部11が設けられている。巻き取り部11は、第2方向Yの両端の回転軸13aを中心に回動可能に支持されている。また、この巻き取り部11は、サンシェード10を格納部12に引き戻すための付勢部(後述の付勢部13)によって付勢されている。
【0021】
サンシェード10は、その遮光性により車外からの日差しを遮ることができる日除けとして使用される。また、このサンシェード10は、その可撓性により巻き取り部11の外周面への巻き取りが可能とされている。
【0022】
図4に示されるように、格納部12は、車両ドア2のうち窓部3よりも車室側に配置されている。本形態では、付勢部13として、巻き取り部11を巻き取り方向に常時に弾性付勢するバネ部材が使用されている。このため、サンシェード10にバネ部材による弾性付勢力に打ち勝つ引き出し方向X1の荷重が付与されると、このサンシェード10が引き出し方向X1に引き出される。一方で、この荷重が解除されると、サンシェード10はバネ部材による弾性付勢力にしたがって引き出し方向X1と逆の引き戻し方向X2に引き戻される。
【0023】
図1に示されるように、フレーム部材20は、サンシェード10の引出方向の前端側に長手方向である第2方向Yに延びるように取り付けられている。このフレーム部材20は、サンシェード10をシート状に張設するための剛性を有する。このフレーム部材20には、ユーザが手指で把持することができる操作部20aが設けられている。このため、ユーザは操作部20aを手指で把持し引き下げたり押し上げたりする操作によってフレーム部材20を動かすことができる。このとき、サンシェード10は、フレーム部材20を手動で動かすことによって引き出されたり引き戻されたりする手動シェードとされる。
【0024】
図1に示されるように、ガイド部材30は、フレーム部材20の第2方向Yの両側のフレーム端部(後述のフレーム端部22)をガイドするためのものである。2つのガイド部材30は、互いに平行に配置されておりいずれも第1方向Xに沿って延びている。
図1では、2つのガイド部材30のうち第2方向Yの前側のガイド部材30をガイド部材30Aとし、第2方向Yの後側のガイド部材30をガイド部材30Bとしている。
【0025】
ここで、
図1~
図3を参照しながら、サンシェード10の使用形態について説明する。
【0026】
図1に示されるように、サンシェード10が格納部12から下方へ引き出されることなく非遮光状態P0に設定されたとき、窓部3をサンシェード10によって車内側から覆うことができず、車外からの日差しをサンシェード10で遮ることができない。このとき、車両1の乗員が窓部3の全体を通じて車外の景色を見ることができる状態になる。
【0027】
図2に示されるように、サンシェード10は、
図1中の非遮光状態P0からの下方へ引き下げられることによって第1使用状態P1に設定される。この第1使用状態P1では、窓部3の上側領域のみがサンシェード10によって車内側から覆われ、車外からの日差しの一部が遮光性を有するサンシェード10で遮られる。このとき、車両1の乗員が窓部3の下側領域のみを通じて車外の景色を見ることができる状態になる。
【0028】
図3に示されるように、サンシェード10は、第1使用状態P1からさらに下方へ引き下げられることによって第2使用状態P2に設定される。この第2使用状態置P2では、窓部3の全体がサンシェード10によって車内側から覆われ、車外からの日差しの全部が遮光性を有するサンシェード10で遮られる。このとき、車両1の乗員が窓部3を通じて車外の景色を見ることができない状態になる。
【0029】
上記構成のサンシェード装置101は、サンシェード10を多段階でストップさせることができる多段階ストップ構造を有する。また、このサンシェード装置101は、格納部12を窓部3の上方に配置し、窓部3よりも上方からサンシェード10を引き下げて使用するように構成されている。このため、乗員は車外からの日差しの量に応じてサンシェード10を途中で止めつつ景色を楽しむことが可能になるという利点がある。これに対して、窓部3よりも下方からサンシェードを引き上げて使用するような構造は、サンシェードによって日差しの量を調節するのが難しく、例えば、サンシェードを引き上げ過ぎると車外の景色を見ることが犠牲になる点で不利である。
【0030】
(フレーム部材の構造)
図5に示されるように、フレーム部材20は、第2方向Yを長手方向として延びる本体部21と、本体部21の第2方向Yの両側に設けられたフレーム端部22と、を有する。
図5中にA領域を拡大して示すように、フレーム端部22は、第1被係合部23と、第2被係合部24と、接続軸部25と、動作規制部26と、を有する。
【0031】
第1被係合部23と第2被係合部24は、第1方向Xと第3方向Zで定まる平面上において、接続軸部25を間に挟んでその両側に配置されている。第1被係合部23には、凸状のロック爪部23aが設けられている。第2被係合部24には、平坦面24aが設けられている。動作規制部26は、フレーム端部22において被係合部23,24よりも第2方向Yの外側に設けられている。
【0032】
(ガイド部材の構造)
図6に示されるように、ガイド部材30Aは、第1壁部31と、第2壁部33と、第3壁部36と、を有する。
図7に示されるように、ガイド部材30Bは、ガイド部材30Aの場合と同様に、第1壁部31と、第2壁部33と、第3壁部36と、を有する。本形態では、ガイド部材30Aとガイド部材30Bが第2方向Yについて対称である対称構造について例示している。
【0033】
図6及び
図7に示されるように、第1壁部31と第2壁部33はいずれも、第3方向Zを厚み方向とし第1方向Xを長手方向として延びている。第1壁部31と第2壁部33は、収容空間35を隔てて第3方向Zに離間しており、互いに概ね平行となるように対向配置されている。第1壁部31は、第2壁部33よりも車外側に設けられている。これにより、ガイド部材30A,30Bは、第1壁部31と第2壁部33がフレーム部材20のフレーム端部22をサンシェード10の厚み方向である第3方向Zに挟んで対向配置されるように構成されている。第1壁部31には、収容空間35に臨むように凹凸状の係合部32が設けられている。同様に、第2壁部33には、収容空間35に臨むように凹凸状の係合部34が設けられている。
【0034】
第3壁部36は、第1壁部31と第2壁部33を連結している。この第3壁部36は、第1壁部31及び第2壁部33から第2方向Yの外側に突出した凸状の壁部であり、収容空間37を区画形成している。収容空間37は、第3方向の寸法が収容空間35を下回る大きさを有する。収容空間35には、フレーム部材20のフレーム端部22のうち第1被係合部23と第2被係合部24が収容される。これに対して、収容空間37には、フレーム部材20のフレーム端部22のうちの動作規制部26が収容される。
【0035】
図8に示されるように、ガイド部材30Aにおいて、第1壁部31の係合部32は、凸部である係合歯32aと凹部である間隙32bが第1方向Xに交互に繰り返し設けられてなる。係合歯32aは、上側の第1斜面32cと、下側の第2斜面32dと、を有し、第2方向Yからみたとき第2斜面32dに比べて第1斜面32cの傾斜の方が大きくなるように形成されている。すなわち、係合部34は、第2方向Yからみたとき歯状となるように形成されている。
【0036】
これに対して、第2壁部33の係合部34は、凸部34aと凹部34bが第1方向Xに交互に繰り返し設けられてなる。また、凸部34aと凹部34bとの間に荷重受け面である斜面34cが形成されている。すなわち、係合部34は、第2方向Yからみたとき波状となるように形成されている。
【0037】
詳細については後述するが、フレーム部材20は、フレーム端部22の第1被係合部23が第1壁部31の係合部32に係合していないとき、フレーム端部22が第1方向Xにスライド可能なアンロック状態となる。これに対して、フレーム端部22の第1被係合部23が第1壁部31の係合部32に係合し且つフレーム端部22の第2被係合部24が第2壁部33の係合部34に係合したとき、フレーム端部22が第1方向Xにスライド不能なロック状態となる。
【0038】
ガイド部材30Aは、第1壁部31の係合部32における凹凸溝の溝深さd1が第2壁部33の係合部34における凹凸溝の溝深さd2を上回るように構成されている。特に図示しないものの、本構成は、ガイド部材30Bについても同様である。
【0039】
図8に示されるように、第3壁部36は、動作規制部26が第1方向Xに摺動可能であり且つ第1方向Xと第3方向Zにより定まる平面上で回動可能となるように、この動作規制部26を収容空間37に収容している。第3壁部36には、第3方向Zに互いに向かい合う2つの摺接面36a,36bが設けられている。動作規制部26は、フレーム部材20のフレーム端部22がロック状態にあるときに摺接面36a,36bに当接しない第1位置Q1(
図8中の二点鎖線で示す位置を参照)に配置される。これに対して、動作規制部26は、フレーム部材20のフレーム端部22がアンロック状態にあるときに摺接面36a,36bに摺接する第2位置Q2(
図8中の実線で示す位置を参照)に配置される。そして、動作規制部26は、この第2位置Q2においてフレーム端部22が第1方向Xにスライドするのを許容し且つアンロック方向(後述のアンロック方向D2)に動くのを規制するように構成されている。
【0040】
動作規制部26は、第1規制面26aと第2規制面26bを有する。第1規制面26aと第2規制面26bは、概ね平行となるように形成されている。第3壁部36の第1摺接面36aは、動作規制部26の第1規制面26aと摺接可能に対向している。第3壁部36の第2摺接面36bは、動作規制部26の第2規制面26bと摺接可能に対向している。第1摺接面36aと第2摺接面36bは、概ね平行となるように形成されている。このとき、動作規制部26の第1規制面26aから第2規制面26bまでの寸法は、第1摺接面36aと第2摺接面36bとの間隔と同じかこの間隔を若干下回るように設定されている。
【0041】
動作規制部26は、第1位置Q1において第1規制面26aと第1摺接面36aとの当接を解除し、且つ第2規制面26bと第2摺接面36bとの当接を解除するように構成されている。これに対して、動作規制部26は、第1位置Q1から第2位置Q2まで回動したとき、第1規制面26aが摺接面36aに摺接し、且つ第2規制面26bが摺接面36bに摺接するように構成されている。このとき、第1規制面26aと摺接面36aが概ね平行に配置され、第2規制面26bと摺接面36bが概ね平行に配置されるようになっている。これにより、動作規制部26は、収容空間37で同じ姿勢を維持したまま、例えば、第2位置Q2と第3位置Q3(
図8中の二点鎖線で示す位置を参照)との間を摺動することができる。
【0042】
図9に示されるように、ガイド部材30A,30Bにおいて、第1壁部31はフレーム部材20のフレーム端部22に設けられている第1被係合部23に対向しており、第2壁部33はフレーム部材20のフレーム端部22に設けられている第2被係合部24に対向している。このため、第1被係合部23は、第1壁部31に設けられている係合部32に係合可能である。このとき、第1被係合部23は、そのロック爪部23a(
図5を参照)が係合部32の凹部である間隙32b(
図8を参照)に嵌り込むことによって係合部32に係合するように構成されている。また、第2被係合部24は、第2壁部33に設けられている係合部34に係合可能である。このとき、第2被係合部24は、その平坦面24a(
図5を参照)が係合部34の荷重受け面である斜面34c(
図8を参照)に面当たりすることによって係合部34に係合するように構成されている。
【0043】
図9に示されるように、フレーム端部22は、段付き形状を有する。本形態では、この段付き形状は、フレーム端部22を第1方向Xから見たとき、第2方向Yの外側の方が第2方向Yと交差する方向(第3方向Z)の寸法が小さい形状である。フレーム端部22を第1方向Xから見たとき、第2方向Yの外側に位置する動作規制部26の第3方向Zの寸法w1は、被係合部23,24が設けられている部位の第3方向Zの寸法w2を下回るようになっている。このように、フレーム端部22は、被係合部23,24と動作規制部26を利用して段数が1段の段付き形状を形成している。これに対応して、ガイド部材30には、段付き形状を有するフレーム端部22が嵌り合う段付き溝が設けられている。この段付き溝は、収容空間35と収容空間37とによって形成されている。
【0044】
段付き形状を有するフレーム端部22をガイド部材30の段付き溝に嵌め込むようにすれば、例えば、次のような現象が生じないように、フレーム部材20の動きを制限するのに有効である。
図9において、フレーム部材20がガイド部材30に対して第1方向Xに変位したり、フレーム部材20が第2方向Yと第3方向Zによって定まる平面上を回動したり、第1方向Xの高さが2つのフレーム端部22の間で異なることによってフレーム部材20が斜めに傾いたりする現象が起こり難くなる。
【0045】
次に、
図4、
図5、
図8、
図10及び
図11等を参照しながら、ガイド部材30Aに対するフレーム部材20のフレーム端部22の動きについて説明する。なお、特に図示しないものの、ガイド部材30Bに対するフレーム部材20のフレーム端部22の動きについて同様である。
【0046】
ユーザはサンシェード10を使用するとき、サンシェード10を引き出し方向X1(
図4を参照)に引き出すようにフレーム部材20の操作部20a(
図5を参照)を操作する。そして、ユーザは、
図10に示されるように、フレーム端部22の第1被係合部23のロック爪部23aを係合部32の間隙32bに嵌め込むようにフレーム部材20を動かす。これにより、フレーム端部22は、第1被係合部23が係合部32に係合した係合位置R0に配置される。
【0047】
その後、フレーム端部22は、第1被係合部23が係合部32に係合したときに付勢部13(
図4を参照)の付勢力にしたがって第1被係合部23のロック爪部23aを中心にロック方向D1に回動する。これにより、第2被係合部24が係合部34に係合する。したがって、フレーム端部22はロック位置R1に配置されてロック状態となり、サンシェード10を所望の位置で止めて保持することができる。このとき、2つの第1被係合部23と第2被係合部24をいずれも、凹凸状の係合部32,34に係合させることで、例えば、2つの係合部32,34の一方を平坦部とする場合に比べて、フレーム端部22のロック状態を維持するのに効果がある。
【0048】
なお、フレーム端部22がロック位置R1に達すると、第2被係合部24の平坦面24aが係合部34の斜面34cに面当たりするように構成されている。このため、平坦面24aが斜面34cに面当たりすることによって、第1被係合部23と係合部32との係合状態を保持する機能が果たされる。
【0049】
フレーム端部22がロック位置R1にあるとき、動作規制部26は第1位置Q1に配置される。動作規制部26が第1位置Q1に配置された状態では、第1規制面26aと第1摺接面36aとの当接が解除されており、且つ第2規制面26bと第2摺接面36bとの当接が解除されている(
図8を参照)。したがって、フレーム端部22がロック位置R1からアンロック方向D2に動くことが動作規制部26によって規制されない。このため、ロック位置R1にあるフレーム端部22をアンロック方向D2に動かすことができる。
【0050】
図11に示されるように、ユーザはサンシェード10を動かすとき、フレーム端部22をロック位置R1からアンロック方向D2に動かすようにフレーム部材20の操作部20aを操作する。このとき、第1被係合部23がアンロック方向D2に動いて係合部32との係合を解除し、且つ第2被係合部24がアンロック方向D2に動いて係合部34との係合を解除する。これにより、フレーム端部22はアンロック位置R2に配置されてアンロック状態となり、サンシェード10を第1方向Xに自在に動かすことができるようになる。
【0051】
フレーム端部22がアンロック位置R2にあるとき、動作規制部26は第2位置Q2に配置される。動作規制部26が第2位置Q2に配置された状態では、第1規制面26aと第1摺接面36aが摺接し、且つ第2規制面26bと第2摺接面36bが摺接する(
図8を参照)。したがって、フレーム端部22がアンロック位置R2からアンロック方向D2に動くことが動作規制部26によって規制される。このため、アンロック位置R2にあるフレーム端部22をアンロック方向D2に動かすことが阻止される。
【0052】
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0053】
実施形態1の実施形態1のサンシェード装置101において、車両ドア2の窓部3を覆うためのサンシェード10にフレーム部材20が取り付けられている。このフレーム部材20のフレーム端部22は、ガイド部材30によって第1方向Xにガイドされる。このガイド部材30には、段付き形状を有するフレーム端部22が嵌り合う段付き溝(収容空間35,37)が設けられている。これにより、ガイド部材30の段付き溝においてフレーム端部22の動きを規制することができる。この場合、サンシェード10を動かすときにフレーム部材20が所定のスライド方向(第1方向X)に対して傾いた状態でスライドするのを抑制できる。すなわち、フレーム部材20のスライド時の動きを制限することができる。これにより、サンシェード10がフレーム部材20から受ける荷重をサンシェード10が概ね均等に張設されるようにすることが可能になる。
【0054】
上述のことから、実施形態1によれば、サンシェード10を動かすときにサンシェード10にシワが生じるのを抑制できるサンシェード装置101を提供することができる。
【0055】
上記構成のサンシェード装置101によれば、フレーム端部22の段付き形状を、第2方向Yの外側の方が第2方向Yと交差する方向の寸法が小さい形状とすることによって、フレーム部材20をガイド部材30に取り付けるときの操作が簡単になる。
【0056】
上記構成のサンシェード装置101によれば、少なくとも被係合部23,24を利用してフレーム端部22の段付き形状を形成することによって、専用の段付き形状を設ける場合に比べて、加工コストを抑えることが可能になる。
【0057】
本発明は、上述の実施形態やその変更例のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態やその変更例を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0058】
上述の実施形態では、フレーム端部22の段付き形状の段数が1段である場合について例示したが、必要に応じて、段付き形状の段数を2段以上にしてもよい。
【0059】
上述の実施形態では、車両ドア2に対して設けられるサンシェード装置101について例示したが、サンシェード装置101を設ける箇所は車両ドア2のみに限定されるものではない。このサンシェード装置101を、例えば、車両1のバックドアやサンルーフの窓部に対して設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 車両
3 窓部
10 サンシェード
20 フレーム部材
22 フレーム端部
23 第1被係合部(被係合部)
24 第2被係合部(被係合部)
30 ガイド部材
32 係合部
34 係合部
35,37 収容空間(段付き溝)
101 サンシェード装置
D1 ロック方向
D2 アンロック方向
Q1 第1位置
Q2 第2位置
Y 第2方向(長手方向)
Z 第3方向(長手方向と交差する方向)