IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

特開2023-109402生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム
<>
  • 特開-生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム 図1
  • 特開-生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム 図2
  • 特開-生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム 図3
  • 特開-生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム 図4
  • 特開-生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109402
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230801BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20230801BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20230801BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B29C48/00
B29C44/36
B29C44/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010892
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 昌彦
【テーマコード(参考)】
3C100
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA36
3C100AA68
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB38
3C100CC03
3C100EE12
4F207KA01
4F207KA11
4F214UA11
(57)【要約】
【課題】押出発泡装置により発泡用樹脂を押出成形することによる予備発泡粒子の生産に関して効率が向上されるようにする。
【解決手段】発泡用樹脂としての原料を押出発泡し生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムであって、予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出部を備える生産管理システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡用樹脂としての原料を押出発泡して生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムであって、
予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出部
を備える生産管理システム。
【請求項2】
前記生産条件導出部は、導出した生産条件を、前記予備発泡粒子を生産する成形品生産業者の通信装置に送信する
を備える請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記生産条件は、予備発泡粒子を生産する押出発泡装置に対して設定される予備発泡粒子生産条件を含む
請求項1または2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記生産条件は、前記発泡用樹脂を生産する樹脂生産条件を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記生産条件導出部は、予備発泡粒子を生産する押出発泡装置による予備発泡粒子の生産結果を示す生産結果情報に基づいて、前記生産条件を補正する
請求項1から4のいずれか一項に記載の生産管理システム。
【請求項6】
予備発泡粒子を生産する押出発泡装置が原料として用いる発泡用樹脂の在庫量に基づいて、予備発泡粒子を生産する成形品生産業者への発泡用樹脂の補充に関する決定を行う注文処理部をさらに備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の生産管理システム。
【請求項7】
予備発泡粒子を生産する押出発泡装置による予備発泡粒子の生産結果を示す情報と、予備発泡粒子についての規格を示す予備発泡粒子規格とに基づいて、予備発泡粒子の品質に関する管理を行う品質管理部をさらに備える
請求項1から6のいずれか一項に記載の生産管理システム。
【請求項8】
発泡用樹脂としての原料を押出発泡して生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムにおける生産管理方法であって、
予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出ステップ
を含む生産管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の生産管理方法により導出された生産条件を用いて予備発泡粒子を生産する予備発泡粒子生産ステップを含む生産方法。
【請求項10】
請求項8に記載の生産管理方法により導出された生産条件を用いて予備発泡粒子を生産する予備発泡粒子生産ステップと、
前記予備発泡粒子生産ステップにより生産された予備発泡粒子を用いて成形品を生産する成形品生産ステップとを含む生産方法。
【請求項11】
発泡用樹脂としての原料を押出発泡して生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムにおけるコンピュータを、
予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システム、生産管理方法、生産方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の運転条件を設定した押出装置により発泡用樹脂を押出発泡することにより予備発泡粒子を製造する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/016399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予備発泡粒子の製造から成形までを行う成形品生産業者としては、できるだけ効率的に予備発泡粒子の生産が行われるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、押出発泡装置により発泡用樹脂を押出発泡、造粒することによる予備発泡粒子の生産に関して効率が向上されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、発泡用樹脂としての原料を押出発泡して生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムであって、予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出部を備える生産管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、発泡用樹脂としての原料を押出発泡して生産される予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムにおける生産管理方法であって、予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出ステップを含む生産管理方法である。
【0008】
本発明の一態様は、上記の生産管理方法により導出された生産条件を用いて予備発泡粒子を生産する予備発泡粒子生産ステップを含む生産方法である。
【0009】
本発明の一態様は、上記の生産管理方法により導出された生産条件を用いて予備発泡粒子を生産する予備発泡粒子生産ステップと、前記予備発泡粒子生産ステップにより生産された予備発泡粒子を用いて成形品を生産する成形品生産ステップとを含む生産方法である。
【0010】
本発明の一態様は、発泡用樹脂としての原料を押出発泡して予備発泡粒子についての生産管理を行う生産管理システムにおけるコンピュータを、予備発泡粒子についての発泡倍率を少なくとも含む予備発泡粒子規格に応じて、予備発泡粒子を生産するにあたって設定する所定の生産条件を導出する生産条件導出部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、発泡用樹脂を押出発泡、造粒するための押出発泡装置を用いた予備発泡粒子の生産に関して、生産効率が向上されるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の生産管理システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態の生産管理装置の構成例を示す図である。
図3】本実施形態の生産条件データベースの一例を示す図である。
図4】本実施形態の予備発泡粒子生産管理装置と統合生産管理装置とが生産条件を導出するための処理手順例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の予備発泡粒子生産管理装置と統合生産管理装置とが予備発泡粒子生産条件を補正するために実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態の生産管理システムの構成例を示している。本実施形態の生産管理システムにおいては、発泡用樹脂提供業者10が成形品生産業者20に発泡用樹脂251を販売し、成形品生産業者20が押出発泡装置22を用いて、購入した発泡用樹脂251から予備発泡粒子24を生産する。そのうえで、成形品生産業者20は、成形装置25を用いて予備発泡粒子24から成形品26を生産する。成形品26は、発泡ポリプロピレンを所定の形状に成形して得られる製品である。
この場合の発泡用樹脂提供業者10は、成形品生産業者20に押出発泡装置22も販売あるいは貸与するようにされてよい。この場合の押出発泡装置22の貸与はリース契約によるものであってよい。
また、1つの発泡用樹脂提供業者10は、複数の成形品生産業者20を取引先として、それぞれの成形品生産業者20と同図の構成により連携するようにされてよい。
【0014】
発泡用樹脂提供業者10においては、生産管理部門11、発泡用樹脂生産部門12、及び装置管理部門13が設けられる。
【0015】
生産管理部門11は、予備発泡粒子24の原料となる発泡用樹脂251の生産管理に加え、予備発泡粒子24の生産に関する管理を行う部門である。発泡用樹脂提供業者10は、予備発泡粒子24の生産に関する管理を成形品生産業者20から請け負い、業務として行うようにされる。また、本実施形態の予備発泡粒子24の生産に関する管理には、成形品生産業者20内での予備発泡粒子24の原料となる発泡用樹脂251の在庫管理も含まれる。
生産管理部門11は、統合生産管理装置100を備える。統合生産管理装置100は、予備発泡粒子24の生産に関する管理と発泡用樹脂251の生産に関する管理とのそれぞれに対応する処理を実行する。
【0016】
発泡用樹脂生産部門12は、予備発泡粒子24の原料となる発泡用樹脂251の生産を業務として行う部門である。発泡用樹脂生産部門12は、発泡用樹脂251を生産する工場であってよい。
発泡用樹脂生産部門12は予備発泡粒子の原料となる発泡用樹脂を生産するための発泡用樹脂生産装置200を備える。発泡用樹脂提供業者10は、例えば樹脂メーカから樹脂材料を購入し、購入した樹脂材料を発泡用樹脂生産装置200により押出発泡に適した樹脂へ改質を行うことで発泡用樹脂を成形品生産業者に提供する。
【0017】
装置管理部門13は、成形品生産業者20に販売もしくは貸与した押出発泡装置22の管理(メンテナンス)を行う部門である。装置管理部門13は、装置管理部門端末300を備える。
【0018】
発泡用樹脂提供業者10は、ネットワークハブ装置400を備える。ネットワークハブ装置400は、ネットワーク上に設けられ、発泡用樹脂提供業者10における統合生産管理装置100、発泡用樹脂生産装置200、装置管理部門端末300、ストレージ装置500と、成形品生産業者20における予備発泡粒子生産管理装置600との間での通信を中継するハブである。
【0019】
ストレージ装置500は、ネットワーク上に設けられるストレージである。ストレージ装置500には、例えば生産管理装置が備える学習器が入力する教師データ等が蓄積されてよい。
【0020】
次に、成形品生産業者20について説明する。成形品生産業者20は、発泡用樹脂貯留槽21、押出発泡装置22、検査装置23、予備発泡粒子貯留槽27、成形装置25、及び予備発泡粒子生産管理装置600を備える。
発泡用樹脂貯留槽21は、予備発泡粒子24の原料である発泡用樹脂251が貯留される貯留槽(タンク)である。
押出発泡装置22は、発泡用樹脂貯留槽21に貯留されている発泡用樹脂251を原料として、押出成形により予備発泡粒子24を生産する。
検査装置23は、生産された予備発泡粒子24の所定の規格について検査(測定)する。具体的に、検査装置23は、生産された予備発泡粒子24の発泡倍率とサイズとを測定するようにされてよい。この場合において、予備発泡粒子24のサイズは、例えば球状の予備発泡粒子24の径であってもよいし、嵩密度測定から算出されたものであってもよい。
予備発泡粒子貯留槽27は、予備発泡粒子24が貯留される貯留槽(サイロ)である。具体的には発泡倍率等で区分され一定量が貯留される。
成形装置25は、予備発泡粒子24から発泡ポリプロピレンの成形品を生産する。
【0021】
予備発泡粒子生産管理装置600は、予備発泡粒子24の生産に関連する管理(予備発泡粒子生産管理)を行う。
予備発泡粒子生産管理装置600は、予備発泡粒子生産管理として、予備発泡粒子24の生産に関連する情報(予備発泡粒子生産関連情報)を発泡用樹脂提供業者10に提供してよい。予備発泡粒子生産管理装置600は、発泡用樹脂貯留槽21、押出発泡装置22、検査装置23、及び予備発泡粒子貯留槽27から予備発泡粒子生産関連情報を取得してよい。
予備発泡粒子生産管理装置600は、発泡用樹脂貯留槽21から発泡用樹脂251の貯留量を予備発泡粒子生産関連情報として取得してよい。
また、予備発泡粒子生産管理装置600は、予備発泡粒子24の生産に際して押出発泡装置22に関して設定されていたパラメータ(予備発泡粒子生産条件)や、押出発泡装置22において検出(測定)された吐出量、発泡用樹脂温度、スクリュー回転数、振動状態などの実動作の状況を示す情報を取得してよい。
また、予備発泡粒子生産管理装置600は、生産された予備発泡粒子24についての検査装置23による検査結果を予備発泡粒子生産関連情報として取得してよい。
【0022】
再度、図1を参照して、発泡用樹脂の生産から成形品26が生産されるまでの過程について説明する。
発泡用樹脂提供業者10は、樹脂メーカから、発泡用樹脂251の生産に用いる樹脂材料を購入する。発泡用樹脂251の生産に用いる樹脂材料は、例えばPP(polypropylene)であってよい。購入された樹脂材料は、樹脂メーカから発泡用樹脂生産部門12に搬入される。発泡用樹脂生産部門12は、搬入された樹脂材料を用いて、発泡用樹脂生産装置200により発泡用樹脂251を生産する。発泡用樹脂生産装置200は、例えば樹脂材料を押出発泡に適した樹脂物性を有するように化学的に架橋し、所定のサイズのペレット状とするようにして生産するものであってよい。
【0023】
本実施形態によれば、成形品生産業者20は、押出発泡装置を導入することで、予備発泡粒子24の原料となる発泡用樹脂251を発泡用樹脂提供業者10から購入し、これを用いて押出発泡、造粒することで予備発泡粒子を容易に得ることができ、成形までを効率的に行うことができる。
一方、予備発泡粒子の生産がバッチ発泡プロセスによって行われる場合、予備発泡粒子を生産する装置の規模が相当に大きくなるため、成形品生産業者20が発泡用樹脂を生産する装置を導入することが設置場所やコスト等の面から困難となる。このため、成形品生産業者20は、外部の業者から購入した予備発泡粒子を用いて成形装置により成形品を生産するようにされていた。更に、予備発泡粒子を成形品生産業者20に運搬する車両の荷台容積に対する積載重量が少なく、運搬効率が低いという問題もあった。
これに対して、本実施形態の押出発泡装置22は装置としての規模も小さく低コストであることから、成形品生産業者20が容易に導入することができる。
更なる成形品生産業者20への押出発泡装置22の導入効果として、発泡用樹脂提供業者10は、予備発泡粒子ではなく未発泡の発泡用樹脂251を成形品生産業者20に納入することができるため、車両の荷台容積に対する積載重量が増加し、運搬効率を高めることができ、運搬費を大いに削減できる。また、成形品生産業者20は受注した成形品の発泡倍率に合わせて、単一の発泡用樹脂251から規格内の所定倍率の予備発泡粒子24を任意に生産することができるため、予備発泡粒子貯留層27を最小化し、効率的に成形品を生産することができる。
【0024】
成形品生産業者20は、発泡用樹脂提供業者10から搬入された発泡用樹脂251を発泡用樹脂貯留槽21に貯留させる。発泡用樹脂貯留槽21は、貯留された発泡用樹脂251の重量を計測する重量計あるいはレベルセンサーを備えている。貯留された発泡用樹脂251について計測した重量あるいはレベルに基づき、発泡用樹脂251の使用量等が導出可能となる。
なお、発泡用樹脂251は、組成の相違などに応じて複数種類のものがあってもよく、成形品生産業者20は、例えば成形品ごとに要求される発泡倍率等の条件が異なることに応じて、複数種類の発泡用樹脂251を利用してよい。このような場合に対応して、発泡用樹脂貯留槽21は、例えば発泡用樹脂251の種類ごとに対応して複数が備えられてよい。
【0025】
成形品生産業者20は、発泡用樹脂貯留槽21に貯留されている発泡用樹脂251を原料として利用し、押出発泡装置22(押出機)により予備発泡粒子24を生産する。
押出発泡装置22は、要求される発泡倍率やサイズ等の予備発泡粒子規格を満たし、一定品質以上の予備発泡粒子が生産されるように、発泡ガス量(ガス量比率)、吐出量、樹脂温度等の押出機パラメータやダイス温度、カッター回転数などの造粒機パラメータごとに値が設定される。
【0026】
押出発泡装置22により生産された予備発泡粒子24は、予備発泡粒子貯留槽27に貯留され、成形品の必要倍率に適した予備発泡粒子が必要量だけ成形装置25に運搬される。成形装置25は、運搬されてきた予備発泡粒子24を用いて、所定の形状に発泡ポリプロピレンを形成した成形品26を生産する。生産された成形品26は、乾燥養生工程を経て(図示せず)、成形品生産業者20から成形品26を注文した顧客に発送される。
【0027】
また、成形品生産業者20は、検査装置23を用いて生産された予備発泡粒子24の検査を行ってよい。この場合において、成形品生産業者20は、生産された予備発泡粒子24の全てを検査しなくともよく、生産された予備発泡粒子24のうちから所定数をサンプルとして取り出し、取り出したサンプルの予備発泡粒子24を検査装置23に検査させるようにしてよい。
検査装置23は、検査項目として、予備発泡粒子24の発泡倍率やサイズ(径)を計測(検査)するようにされてよい。この場合、検査装置23によっては、予備発泡粒子24についての発泡倍率やサイズの実測値が得られることになる。検査装置23は、このように得られた検査結果を示す情報(検査結果情報)を、予備発泡粒子生産管理装置600に出力することができる。
また、成形品生産業者20は、自社内で検査結果情報を利用して、押出発泡装置22における発泡条件等に応じたパラメータの調整を行えるようにしてもよい。
【0028】
図2は、発泡用樹脂提供業者10の生産管理部門11において備えられる統合生産管理装置100の構成例を示している。同図の統合生産管理装置100は、通信部101、制御部102、及びユーザインターフェース部103を備える。なお、同図における各部の機能は、統合生産管理装置100としてのハードウェアが備えるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。
【0029】
通信部101は、ネットワークハブ装置400と通信可能に接続を行う。このように通信部101がネットワークハブ装置400と接続されることで、統合生産管理装置100は、発泡用樹脂提供業者10における発泡用樹脂生産装置200、装置管理部門端末300、ストレージ装置500、及び成形品生産業者20における予備発泡粒子生産管理装置600と通信可能となる。
【0030】
制御部102は、統合生産管理装置100における各種の制御を実行する。制御部102は、生産条件導出部121と注文処理部122を備える。
生産条件導出部121は、成形品生産業者20からの予備発泡粒子24について指定された予備発泡粒子規格(発泡倍率、サイズ等)に応じた生産条件を導出する。予備発泡粒子24の予備発泡粒子規格に応じて生産条件導出部121が導出する生産条件は、発泡用樹脂251についての樹脂生産条件と、押出発泡装置22により生産される予備発泡粒子24についての予備発泡粒子生産条件とを含んでよい。
注文処理部122は、成形品生産業者からの発泡用樹脂251の注文に応じた処理を実行する。
【0031】
ユーザインターフェース部103は、ユーザ(生産管理部門11における管理者)による操作を受け付け、ユーザに対して表示や音等により情報出力を行う。ユーザインターフェース部103が対応するハードウェアは、例えばマウス、キーボード、マイクロフォン等の入力デバイス、ディスプレイデバイス、音出力デバイス等である。
【0032】
統合生産管理装置100は、自己が対応する情報を、ネットワークハブ装置400経由でストレージ装置500に記憶させる。なお、統合生産管理装置100は、自己に備えられた記憶部に情報を記憶可能とされてもよい。
【0033】
本実施形態のストレージ装置500は、統合生産管理装置100が利用する情報として、生産条件データベースを記憶する。生産条件データベースは、予備発泡粒子規格に応じた生産条件を格納するデータベースである。
【0034】
図3は、生産条件データベースの構造例を示すER図である。同図に示されるように生産条件データベースは、予備発泡粒子規格エンティティET1、装置型式エンティティET2、及び生産条件エンティティET3を含む。
【0035】
予備発泡粒子規格エンティティET1は、予備発泡粒子規格を格納するエンティティである。予備発泡粒子規格エンティティET1は、予備発泡粒子規格ごとに一意となるように付与された予備発泡粒子規格IDにより識別される。予備発泡粒子規格エンティティET1は、対応の予備発泡粒子規格を示す情報項目として、例えば予備発泡粒子24について要求される発泡倍率、サイズを含む。
【0036】
装置型式エンティティET2は、押出発泡装置22の型式の情報を格納するエンティティである。装置型式エンティティET2は、装置型式ごとに一意となるように付与された装置型式IDにより識別される。装置型式エンティティET2は、対応の装置型式を示す情報項目として、メーカ、型番を含む。つまり、この場合にはメーカと当該メーカのもとで定められた型番とにより装置型式が特定される場合を例に挙げている。
【0037】
生産条件エンティティET3は、生産条件を格納するエンティティである。生産条件エンティティET3は、生産条件ごとに一意となるように付与された生産条件IDにより識別される。
1つの生産条件エンティティET3は、対応の生産条件として、樹脂生産条件と予備発泡粒子生産条件とを含む。
【0038】
樹脂生産条件は、情報項目(パラメータ)として、例えば樹脂種別、ポリプロピレン架橋に重要なモノマーである共役ジエンの種別(共役ジエン種別)、共役ジエン混合比率、ラジカル開始剤種別、ラジカル開始剤混合比率、押出発泡装置の温度プロファイル、押出発泡装置Q/Nを含む。
樹脂種別は、発泡用樹脂251の生産に用いる樹脂材料の種別を示す。
共役ジエン種別は、樹脂材料に混合させる共役ジエンの種別を示す。
共役ジエン混合比率は、樹脂材料に混合させる共役ジエンの比率を示す。
ラジカル開始剤種別は、樹脂材料に混合させるラジカル開始剤の種別を示す。
ラジカル開始剤混合比率は、樹脂材料に混合させるラジカル開始剤の比率を示す。
押出発泡装置の温度プロファイルは、押出発泡装置22に設定する温度関連の所定のパラメータを示す。
押出発泡装置Q/Nは、押出発泡装置22のスクリュー回転数比率により樹脂の混錬状態を示す。Qは押出発泡装置22の吐出量、Nはスクリュー回転数を示す。
【0039】
予備発泡粒子生産条件は、情報項目(パラメータ)として、例えば、発泡用樹脂の吐出量、樹脂温度、発泡ガス量比率、スクリュー回転数比率、添加剤量、押出発泡装置の温度プロファイル等を含む。
吐出量は、押出発泡装置22から吐出される樹脂(発泡用樹脂251)の量である。
樹脂温度は、押出発泡装置22に入れられる発泡用樹脂251に与える温度である。
吐出量と樹脂温度は、例えば生産される予備発泡粒子24の品質に影響を及ぼす。吐出量が増加することにより、押出発泡装置22の下流に配したダイス内において発泡用樹脂の発熱が生じ、溶融粘度の低下、発泡から樹脂が固化するまでに要する時間の増加等が生じることで、予備発泡粒子24の連泡率が増加し、成形性が低下する。
発泡ガス量比率は、押出発泡装置22からの樹脂(発泡用樹脂251)の吐出量に対する発泡ガス量の比率である。ガス量比率が大きくなることに応じて発泡力が増加し、更に樹脂の可塑化が起こり粘度が低下することになる。総じてガス量比率が大きい場合、発泡倍率が高くなる傾向にある。
スクリュー回転数比率は、押出発泡装置22において発泡用樹脂251を押し出すために回転されるスクリューの回転数(スクリュー回転数)に対する吐出量の比(Q/N=吐出量/スクリュー回転数)である。スクリュー回転数のほうが高くなってQ/Nの値が小さくなることに応じて、発泡用樹脂251の架橋構造の劣化が進み、連泡率が増加する。
添加剤量は、押出発泡装置22に入れられる添加剤の量である。添加剤としては、耐候剤、安定剤、発泡核剤、着色顔料等を挙げることができる。
【0040】
また、予備発泡粒子を生産する装置が、UWC(アンダーウォーターカット)法としての造粒方式による造粒装置を有する押出発泡装置22である場合には、予備発泡粒子生産条件は、押出発泡装置で設定される吐出量、樹脂温度、ガス量比率、スクリュー回転数比率に加え、ダイス温度、カッター回転数、水温、水量、水圧等の条件が追加される。
ダイス温度はダイスに設定する温度である。
カッター回転数は、予備発泡粒子を成形するために発泡樹脂を切断するカッターの回転数を示す。水温は、発泡樹脂の切断に際して使用される水の温度を示す。水量は、発泡樹脂の切断に際して使用される水の量を示す。水圧は、発泡樹脂の切断に際して設定される水の圧力を示す。
上記の吐出量とカッター回転数で予備発泡粒子の粒重量を調整でき、カッター回転数、水温、水量の調整により、発泡用樹脂生産装置200により生産された発泡用樹脂251を用いて生産される予備発泡粒子同士の互着を抑制することができる。また、水圧によっては、生産される予備発泡粒子の発泡倍率を調整することができる。水圧が低くなることに応じて発泡倍率を高くしていくことができる。
【0041】
また、造粒の方式には、上記のUWC法のほか、HC/WRC(ホットカット/ウォーターリングカット)法等を挙げることができる。
【0042】
1つの予備発泡粒子規格エンティティET1は、1つまたは複数の装置型式エンティティET2を対応付けることができる。また、1つの装置型式エンティティET2は、1つまたは複数の予備発泡粒子規格エンティティET1が対応付けられる。
1つの装置型式エンティティET2には、1つまたは複数の生産条件エンティティET3が対応付けられる。また、1つの生産条件エンティティET3は、1つまたは複数の装置型式エンティティET2と対応付けられる。
【0043】
図4のフローチャートを参照して、本実施形態の予備発泡粒子生産管理装置600と統合生産管理装置100とが、1つの予備発泡粒子規格の指定に応じて押出発泡装置22に設定する生産条件(予備発泡粒子生産条件)を導出するための処理手順例について説明する。
【0044】
まず、予備発泡粒子生産管理装置600の処理手順例について説明する。
ステップS100:成形品生産業者20は、或る予備発泡粒子規格に適合する予備発泡粒子24を生産しようとするにあたり、当該予備発泡粒子規格に対応する生産条件における予備発泡粒子生産条件の提供を発泡用樹脂提供業者10に依頼する。
このような成形品生産業者20による予備発泡粒子生産条件の提供依頼は、成形品生産業者20の担当者が電子メール、電話、発泡用樹脂提供業者10のウェブサイトへの必要事項の入力等によって行われてよい。ここでは、成形品生産業者20の担当者が、予備発泡粒子生産管理装置600を操作して、発泡用樹脂提供業者10に予備発泡粒子生産条件の提供依頼を行うようにされた場合を例に挙げる。
この場合、成形品生産業者20の担当者は、予備発泡粒子生産管理装置600を、例えば発泡用樹脂提供業者10の予備発泡粒子生産条件提供用のウェブサイトにアクセスさせ、アクセスしたウェブサイトに要求する予備発泡粒子規格を入力する操作を行う。予備発泡粒子生産管理装置600は、当該操作に寄って入力された予備発泡粒子規格を受け付ける。
予備発泡粒子生産条件提供用のウェブサイトは、例えばネットワークハブ装置400のウェブサーバー機能により実現されてよい。
【0045】
ステップS102:成形品生産業者20の担当者は、予備発泡粒子規格を入力する操作を行うと、入力した予備発泡粒子規格の送信を指示する操作を行う。当該操作が行われたことに応じて、予備発泡粒子生産管理装置600は、予備発泡粒子生産条件要求を送信する。予備発泡粒子生産条件要求には、送信元の成形品生産業者20を示す成形品生産業者IDと、ステップS100により入力された予備発泡粒子規格とを含む。予備発泡粒子生産管理装置600が送信した予備発泡粒子生産条件要求は、予備発泡粒子生産条件提供用のウェブサイトを提供しているネットワークハブ装置400を経由して、統合生産管理装置100に送信される。
【0046】
ステップS104:ステップS102による予備発泡粒子生産条件要求の送信に応じて、統合生産管理装置100から予備発泡粒子生産管理装置600に対して予備発泡粒子生産条件が送信される。
予備発泡粒子生産管理装置600は、例えば自社にて生産する予備発泡粒子24を、予備発泡粒子生産条件ごとに対応させて1つの製品として管理してよい。そこで、予備発泡粒子生産管理装置600は、受信された予備発泡粒子生産条件を、製品IDと、例えばステップS100にて入力された予備発泡粒子生産条件と対応付けて製品情報として記憶するようにされてよい。
【0047】
このようにして、本実施形態における成形品生産業者20は、統合生産管理装置100に予備発泡粒子規格を指定することに応じて、自社にて生産しようとする予備発泡粒子24に適合した押出発泡装置22のパラメータを取得することができる。
成形品生産業者20は、対応の予備発泡粒子24を生産する際には、ステップS104の処理により予備発泡粒子生産管理装置600が記憶した予備発泡粒子生産条件に含まれるパラメータを押出発泡装置22に設定してよい。
【0048】
次に、統合生産管理装置100の処理手順例について説明する。
ステップS200:統合生産管理装置100において、生産条件導出部121は、ステップS102により予備発泡粒子生産管理装置600から送信された予備発泡粒子生産条件要求に含まれる予備発泡粒子規格を取得する。
【0049】
ステップS202:また、生産条件導出部121は、予備発泡粒子生産条件要求に含まれる成形品生産業者IDに対応付けられている押出発泡装置22の型式(メーカ及び型番)を、例えばストレージ装置500が記憶する顧客データベースから取得する。顧客データベースには、発泡用樹脂提供業者10の顧客である成形品生産業者20ごとの顧客情報を格納する。顧客情報において、対応の成形品生産業者20において導入されている押出発泡装置22の型式を示す情報が含まれている。
【0050】
ステップS204:生産条件導出部121は、ステップS200により取得されたのと同じ予備発泡粒子規格を格納する予備発泡粒子規格エンティティET1と、ステップS202により取得されたのと同じ装置型式を格納する装置型式エンティティET2との組み合わせに対応付けられた生産条件エンティティET3を検索する。
ステップS206:生産条件導出部121は、検索した生産条件エンティティET3に含まれる予備発泡粒子生産条件を取得する。この場合の生産条件導出部121は、このようにして予備発泡粒子生産条件要求により指定された予備発泡粒子規格に適合する予備発泡粒子生産条件を導出する。
ステップS208:生産条件導出部121は、ステップS206により取得した予備発泡粒子生産条件を、ネットワークハブ装置400経由で予備発泡粒子生産管理装置600に送信する。
【0051】
統合生産管理装置100は、ステップS208により予備発泡粒子生産管理装置600に予備発泡粒子生産条件を送信するにあたり、ステップS204により検索された生産条件において含まれる樹脂生産条件を識別可能な樹脂生産条件識別子も送信してよい。成形品生産業者20は、樹脂生産条件識別子を製品情報に含めて記憶しておくようにされてよい。
成形品生産業者20は、対応の製品としての予備発泡粒子24の生産に用いる発泡用樹脂251を注文するにあたり、注文対象の発泡用樹脂251に対応する樹脂生産条件識別子を指定するようにされる。発泡用樹脂提供業者10は、指定された樹脂生産条件識別子が示す樹脂生産条件により発泡用樹脂251を生産することで注文に応じることができる。
【0052】
本実施形態においては、上記のように予備発泡粒子規格が指定されることに応じて、発泡用樹脂提供業者10は、指定された予備発泡粒子規格を満たす適切な予備発泡粒子生産条件を成形品生産業者20に提供することができる。しかしながら、発泡用樹脂提供業者10から提供された予備発泡粒子生産条件に対して、生産された予備発泡粒子24の検査結果に誤差が生じる場合がある。なお、このような誤差は、例えば、押出発泡装置22としての製品のばらつき、押出発泡装置22の経年劣化、押出発泡装置22が配備された環境、発泡用樹脂251のロットのばらつきなどを要因として生じる可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態の生産管理システムにおいては、以下に説明するようにして、予備発泡粒子生産条件の誤差を補正して成形品生産業者20に提供可能なようにされる。
図5のフローチャートは、本実施形態の予備発泡粒子生産管理装置600と統合生産管理装置100とが予備発泡粒子生産条件を補正するために実行する処理手順例を示している。同図の処理は、一定期間ごとに実行されてもよいし、成形品生産業者20による操作に応じて実行されてもよい。
【0054】
まず、成形品生産業者20における予備発泡粒子生産管理装置600の処理手順例について説明する。
ステップS300:予備発泡粒子生産管理装置600は、検査装置23から対象の予備発泡粒子24としての製品についての検査結果を取得する。予備発泡粒子生産管理装置600が取得する検査結果は、複数の予備発泡粒子24のサンプルごとに測定された値を収集したものであってもよいし、複数の予備発泡粒子24のサンプルごとに測定された値の平均値あるいは代表値等であってもよい。
【0055】
ステップS302:予備発泡粒子生産管理装置600は、対象の予備発泡粒子24を生産していたときの押出発泡装置22の動作を示す情報(装置動作履歴情報)を取得する。装置動作履歴情報は、例えば、対象の予備発泡粒子24の生産のために動作しているときに押出発泡装置22に設定されていた予備発泡粒子生産条件、吐出量、発泡用樹脂温度、スクリュー回転数、振動状態などの測定結果を含んでよい。
【0056】
ステップS304:予備発泡粒子生産管理装置600は、ステップS300により取得した検査結果と、ステップS302により取得した装置動作履歴情報と、予備発泡粒子規格とを含む生産結果情報を統合生産管理装置100に送信する。
【0057】
ステップS306:ステップS304による生産結果情報の送信に応じて、統合生産管理装置100は補正された予備発泡粒子生産条件を予備発泡粒子生産管理装置600に送信する。予備発泡粒子生産管理装置600は、送信された予備発泡粒子生産条件を受信する。
予備発泡粒子生産管理装置600は、自己が記憶する製品情報のうち対象の予備発泡粒子24に対応する製品情報に格納される予備発泡粒子生産条件を、受信した予備発泡粒子生産条件により更新する。
【0058】
以降において、押出発泡装置22に対象の予備発泡粒子24を生産させる際には、例えば予備発泡粒子生産管理装置600が、製品情報に格納されている更新後の予備発泡粒子生産条件(パラメータ)を押出発泡装置22に設定するようにされる。つまり、押出発泡装置22は、補正された予備発泡粒子生産条件としてのパラメータの設定に従って、対象の予備発泡粒子24を生産するようにされる。このようして生産される対象の予備発泡粒子24の発泡倍率やサイズ等の実測値は、要求される予備発泡粒子規格との誤差が縮小されたものとなる。
【0059】
次に、発泡用樹脂提供業者10における統合生産管理装置100の処理手順例について説明する。
ステップS400:統合生産管理装置100における生産条件導出部121は、ステップS304により予備発泡粒子生産管理装置600が送信した生産結果情報を受信する。
【0060】
ステップS402:生産条件導出部121は、受信した生産結果情報に基づいて予備発泡粒子生産条件を補正する。
具体的に、生産条件導出部121は、生産結果情報に含まれる検査結果と装置動作履歴情報とを用いた所定の式を演算することにより予備発泡粒子生産条件における各パラメータの値の補正を行ってよい。
あるいは、生産条件導出部121は、生産結果情報を入力した学習済みモデルにより、予備発泡粒子生産条件における各パラメータの値の補正を行ってよい。この場合の学習済みモデルは、学習器に生産結果情報と予備発泡粒子生産条件における各パラメータ値の補正量とのセットを入力して学習を実行させることにより構築されてよい。
具体的に、予備発泡粒子生産条件におけるガス量比率を例に挙げると、ガス量比率の値が大きくなるほど、発泡倍率が大きくなる。
【0061】
ステップS404:生産条件導出部121は、ステップS402により補正された予備発泡粒子生産条件を、生産結果情報の送信元の予備発泡粒子生産管理装置600に送信する。
【0062】
なお、統合生産管理装置100は、ステップS402にて、予備発泡粒子生産条件とともに対応の樹脂生産条件を補正してもよい。つまり、この場合には、生産された予備発泡粒子24の予備発泡粒子規格に対する誤差を抑制可能な要素のうちには、例えば共役ジエン混合比率等をはじめとする所定の樹脂生産条件も含まれるとするものである。
この場合、統合生産管理装置100は、生産条件データベースにおいて、対応の予備発泡粒子規格エンティティET1に対応付けられた生産条件エンティティET3が格納する樹脂生産条件を、補正した樹脂生産条件により更新してよい。これにより、以降において、発泡用樹脂提供業者10が発泡用樹脂生産装置200により対応の発泡用樹脂251を生産するにあたっては、補正された樹脂生産条件に基づいて発泡用樹脂生産装置200を動作させることができる。このようにして生産された発泡用樹脂251を用いて押出発泡装置22により生産される予備発泡粒子24としては、予備発泡粒子規格に対する誤差が抑制されたものとなる。
【0063】
また、本実施形態の生産管理システムにおいて、成形品生産業者20にて生産される予備発泡粒子24の品質管理が、発泡用樹脂提供業者10により行われるようにされてよい。
具体的に、予備発泡粒子生産管理装置600は、品質管理の対象の予備発泡粒子24に対応して得られた生産結果情報を統合生産管理装置100に送信する。
この場合、統合生産管理装置100の制御部102は、品質管理部(図示せず)を備える。品質管理部は、受信した生産結果情報に含まれる対象の予備発泡粒子24についての検査結果と予備発泡粒子規格とを比較した結果に基づき、対象の予備発泡粒子24についての品質に関する管理を行うようにされてよい。具体的に、品質管理部は、対象の予備発泡粒子24についての品質異常の有無を判定したり、品質異常を予測したりしててよい。品質管理部は、対象の予備発泡粒子24についての品質異常に関する管理にあたり、生産結果情報に含まれる装置動作履歴情報も利用してよい。
品質管理部は、品質異常が有ると判定した場合には品質異常の発生に関する報知を実行してよい。また、品質管理部は、品質異常の発生したことの通知を予備発泡粒子生産管理装置600に送信してよい。
また、品質管理部は、異常発生に応じた対応策として、生産条件について補正を行うようにされてよい。
また、品質管理部は、予備発泡粒子24についての品質異常の有無に関する判定として、受信した生産結果情報に含まれる対象の予備発泡粒子24についての検査結果と予備発泡粒子規格と、生産結果情報に含まれる装置動作履歴情報等を利用して、品質異常の発生を予測してもよい。
品質管理部は、上記のような品質管理に対応する各処理を、学習済みモデルを利用して行うようにされてよい。
このようにして得られる品質異常の発生、発生予測に関する情報は、例えば、発泡用樹脂提供業者10が、生産条件の補正(最適化)であったり、成形品生産業者20にて使用される押出発泡装置22に適合する発泡用樹脂の開発などを行うのに利用してよい。
【0064】
また、本実施形態の生産管理システムは、押出発泡装置22のメンテナンスに関する処理が統合生産管理装置100により可能なようにされてよい。
この場合、予備発泡粒子生産管理装置600は、例えば所定のタイミングごとに生産結果情報を統合生産管理装置100に送信してよい。
統合生産管理装置100は、受信された生産結果情報における装置動作履歴情報を利用して、押出発泡装置22の異常に関する判定を行うようにされてよい。統合生産管理装置100は、押出発泡装置22の異常に関する判定にあたり、必要に応じて、生産結果情報における予備発泡粒子規格と検査結果とを利用してよい。
【0065】
押出発泡装置22の異常に関する判定として、統合生産管理装置100は、例えば押出発泡装置22の故障等の異常の発生の有無を判定し、異常が発生していると判定した場合には、異常が発生している箇所や異常発生原因等を判定するようにされてもよい。
【0066】
統合生産管理装置100は、押出発泡装置22に異常が発生したと判定した場合には、異常が発生したことの通知を装置管理部門端末300に送信してよい。装置管理部門端末300は、受信した通知を表示等により出力してよい。装置管理部門の担当者は、装置管理部門端末300にて出力された通知により、いずれの成形品生産業者20における押出発泡装置22にて異常が発生したのかを把握し、押出発泡装置22の修理等に対応することができる。
【0067】
また、統合生産管理装置100は、押出発泡装置22に異常が発生したことの通知を予備発泡粒子生産管理装置600に送信してよい。この場合には、予備発泡粒子生産管理装置600が通知を出力することで、成形品生産業者20における担当者等が、押出発泡装置22に異常の発生したことを知ることができる。
また、統合生産管理装置100は、受信された生産結果情報における装置動作履歴情報(及び生産結果情報における予備発泡粒子規格と検査結果)を用いて、押出発泡装置22の異常の発生を予測してもよい。
統合生産管理装置100は、上記のような異常発生に対応する処理を、学習済みモデルを利用して行うようにされてよい。
【0068】
また、統合生産管理装置100は、例えば押出発泡装置22の部品の交換時期となったか否かの判定を行うようにされてよい。この場合、統合生産管理装置100は、例えば装置動作履歴情報や使用経過期間等と、ストレージ装置500において記憶された部品交換条件情報が示す部品の交換が必要となる条件(部品交換条件)が満たされた部品があるか否かを判定するようにしてよい。部品交換条件が満たされた部品があると判定した場合、統合生産管理装置100は、部品交換が必要となったことの報知を装置管理部門端末300や予備発泡粒子生産管理装置600に送信するようにしてよい。
【0069】
成形品生産業者20からの発泡用樹脂251の注文に応じた発泡用樹脂提供業者10への発泡用樹脂251の供給は、成形品生産業者20が逐一発注を行わなくとも、以下のようにして行われるようにしてよい。
【0070】
発泡用樹脂貯留槽21は、自己の発泡用樹脂の貯留量を計測し、計測した貯留量の情報を予備発泡粒子生産管理装置600に出力する。予備発泡粒子生産管理装置600は、入力された貯留量の情報を統合生産管理装置100に送信する。
【0071】
統合生産管理装置100において注文処理部122は、受信された貯留量(在庫量)に基づいて、発泡用樹脂貯留槽21に発泡用樹脂を補充すべきか否かを判定する。注文処理部122は、発泡用樹脂を補充すべきと判定した場合には、補充すべき発泡用樹脂の量(補充量)も決定するようにされてよい。
注文処理部122は、発泡用樹脂を補充すべきと判定した場合、決定した補充量による発泡用樹脂の発注を成形品生産業者20から受けた(受注した)ものとして処理する。この場合、注文処理部122は、発泡用樹脂の受注に応じた処理として、発注元、発泡用樹脂の種別、補充量等の情報を含む注文情報を、例えば発泡用樹脂生産部門12における受注端末(図示せず)に送信してよい。
発泡用樹脂生産部門12における受注担当者は、受注端末にて出力された注文情報に従って発泡用樹脂を用意し、用意した発泡用樹脂が発注元の成形品生産業者20に運搬されるよう手配する。
【0072】
本実施形態において、1の発泡用樹脂提供業者10が対応する成形品生産業者20は複数であってよい。この場合において、例えば統合生産管理装置100は、成形品生産業者20ごとに対応して生産管理を行う。この際、統合生産管理装置100は、成形品生産業者20ごとに識別子(成形品生産業者ID)を付し、各成形品生産業者20の成形品生産業者IDごとに対応付けてストレージ装置500に生産条件データベースを記憶させてよい。これにより、統合生産管理装置100は、成形品生産業者20ごとに対応して、受注に関する処理、予備発泡粒子24についての品質異常に関する通知、押出発泡装置22に異常が発生したことの通知等を実行することができる。
【0073】
また、成形品生産業者20において、例えば設備に障害が発生した場合に対応する冗長性を確保するために、押出発泡装置22を備える製造ラインが複数設けられてよい。この場合において、冗長性確保のため待機させている製造ラインの押出発泡装置22には、稼働中の押出発泡装置22に適用されているのと同じ予備発泡粒子生産条件等を適用するようにされてよい。この場合において、稼働中の押出発泡装置22に適用されている予備発泡粒子生産条件等が補正等により更新されたときには、待機させている製造ラインの押出発泡装置22に適用する予備発泡粒子生産条件等もリアルタイムに更新されるようにしてよい。このような予備発泡粒子生産条件等の更新は、例えば図4のステップS208、または図5のステップS404の処理にて統合生産管理装置100が予備発泡粒子生産条件(または補正予備発泡粒子生産条件)を稼働中の予備発泡粒子生産管理装置600に送信する際に、待機中の予備発泡粒子生産管理装置600にも送信することで行われてよい。
また、例えば予備発泡粒子生産管理装置600または統合生産管理装置100は、稼働中のラインにて障害が発生したことを検知すると、当該稼働中のラインの稼働を停止させ、これまで待機状態にあったラインのうちから稼働させるべきラインを所定条件に従って決定し、決定したラインの稼働を開始させるように制御してよい。
【0074】
なお、上述の統合生産管理装置100、発泡用樹脂生産装置200、装置管理部門端末300、ネットワークハブ装置400、ストレージ装置500、予備発泡粒子生産管理装置600等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上記各装置としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 発泡用樹脂提供業者、11 生産管理部門、12 発泡用樹脂生産部門、13 装置管理部門、20 成形品生産業者、21 発泡用樹脂貯留槽、22 押出発泡装置、23 検査装置、24 予備発泡粒子、25 成形装置、26 成形品、100 統合生産管理装置、101 通信部、102 制御部、103 ユーザインターフェース部、121 生産条件導出部、122 注文処理部、200 発泡用樹脂生産装置、251 発泡用樹脂、300 装置管理部門端末、400 ネットワークハブ装置、500 ストレージ装置、600 予備発泡粒子生産管理装置
図1
図2
図3
図4
図5