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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109421
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】端末間情報取得システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230801BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G01C21/28
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010917
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】392030184
【氏名又は名称】エステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】永島 正嗣
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129BB02
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129BB33
2F129BB62
2F129BB66
2F129EE87
2F129EE90
2F129EE91
2F129FF02
2F129GG10
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF07
5H181FF22
5H181LL04
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】自身が搭乗する移動体の高精度な位置情報と、近接する他の移動体との間に関する端末間情報を簡易且つ容易に取得することができる端末間情報取得システムを提供することを課題とする。
【解決手段】複数の移動体に搭載された移動端末と、位置情報取得手段と、固定基地局と、ネットワークを介して前記移動端末と通信可能に構成された情報処理サーバと、位置情報の誤差を補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段と、前記補正情報に基づいて位置情報の誤差を補正する補正手段と、前記情報処理サーバと通信可能な前記移動端末の位置情報を管理する端末位置管理手段と、を備え、前記移動端末は、所定範囲内の他の前記移動体に関する位置情報を含む近接端末情報を取得する近接端末情報取得手段と、近接端末情報を用いて所定範囲内の他の移動端末との間の端末間情報を取得する端末間情報取得手段とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体に搭載された移動端末と、
測位衛星から前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
所定範囲内の前記移動端末と通信可能に構成された固定基地局と、
ネットワークを介して前記移動端末と通信可能に構成された情報処理サーバと、
前記位置情報取得手段により取得された位置情報の誤差を補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段と、
前記補正情報に基づいて位置情報の誤差を補正する補正手段と、
前記情報処理サーバと通信可能な前記移動端末の位置情報を管理する端末位置管理手段と、を備え、
前記移動端末は、所定範囲内の他の前記移動端末に関する位置情報を含む近接端末情報を取得する近接端末情報取得手段と、近接端末情報を用いて所定範囲内の他の移動端末との間の端末間情報を取得する端末間情報取得手段とを有する
端末間情報取得システム。
【請求項2】
前記移動体を移動車両とした
請求項1に記載の端末間情報取得システム。
【請求項3】
前記固定基地局を固定柱に設置したことを特徴とする
請求項1又は2に記載の端末間情報取得システム。
【請求項4】
前記移動端末は、所定範囲内の他の移動車両に搭載された前記移動端末と直接通信可能に構成された
請求項2又は3に記載の端末間情報取得システム。
【請求項5】
前記移動車両は、取得された前記端末間情報を報知する報知手段を備えた
請求項4に記載の端末間情報取得システム。
【請求項6】
前記移動車両は、前記端末間情報に基づいて運転を補助する運転補助手段が設けられた
請求項2乃至5の何れかに記載の端末間情報取得システム。
【請求項7】
前記移動端末は、前記近接端末情報として、所定範囲内の他の移動車両の車幅と車長を含む車体情報を取得可能に構成した
請求項2乃至6の何れかに記載の端末間情報取得システム。
【請求項8】
隣接する前記固定基地局は、1キロメートル以内の範囲に設けられた
請求項1乃至7の何かに記載の端末間情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接する移動端末間の端末間情報を取得する端末間情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末が搭載された移動車両と、測位衛星から前記移動車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、所定範囲内の前記通信端末と通信可能に構成された固定基地局と、前記位置情報取得手段により取得された位置情報の誤差を補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段と、前記補正情報に基づいて位置情報の誤差を補正する補正手段と、を備え、GPSによって取得された位置情報の誤差を補正することによって、前記移動車両のより高精度な位置情報を取得することができる特許文献1に記載の位置情報取得システムが従来公知である。
【0003】
上記特許文献1によれば、通常測位衛星から取得される前記移動車両の位置情報の精度は数メートル単位の誤差があるところ、センチメートル単位の位置情報を取得することができるものであるが、自身の位置情報を取得することができる一方で近接する他の移動車両の位置情報は取得することができないため、取得した高精度な位置情報を運転制御等に活用し難い場合があるという課題があった。
【0004】
また、測位衛星から取得された前記移動車両の位置情報に基づいて、操向操作をアシスト可能に構成された特許文献2に記載のシステムが従来公知である。
【0005】
上記特許文献2によれば、高精度な位置情報に基づいて作業車両を圃場内における所定のルートに沿って自動的に作業走行させることができるため利便性が向上するものであるが、他の移動車両との関係が不明なため、前記移動車両の街中での路上走行時における操向のアシストには利用できないという課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3428580公報
【特許文献2】特開2009-245003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自身が搭乗する移動体の高精度な位置情報と、近接する他の移動体との間に関する端末間情報を簡易且つ容易に取得することができる端末間情報取得システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の移動体に搭載された移動端末と、測位衛星から前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、所定範囲内の前記移動端末と通信可能に構成された固定基地局と、ネットワークを介して前記移動端末と通信可能に構成された情報処理サーバと、前記位置情報取得手段により取得された位置情報の誤差を補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段と、前記補正情報に基づいて位置情報の誤差を補正する補正手段と、前記情報処理サーバと通信可能な前記移動端末の位置情報を管理する端末位置管理手段と、を備え、前記移動端末は、所定範囲内の他の前記移動端末に関する位置情報を含む近接端末情報を取得する近接端末情報取得手段と、近接端末情報を用いて所定範囲内の他の移動端末との間の端末間情報を取得する端末間情報取得手段とを有することを特徴とする。
【0009】
第2に、前記移動体を移動車両としたことを特徴とする。
【0010】
第3に、前記固定基地局を固定柱に設置したことを特徴とする。
【0011】
第4に、前記移動端末は、所定範囲内の他の移動車両に搭載された前記移動端末と直接通信可能に構成されたことを特徴とする。
【0012】
第5に、前記移動車両は、取得された前記車両間情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
第6に、前記移動車両は、前記車両間情報に基づいて運転を補助する運転補助手段が設けられたことを特徴とする。
【0014】
第7に、前記移動端末は、前記近接端末情報として、所定範囲内の他の移動車両の車幅と車長を含む車体情報を取得可能に構成したことを特徴とする。
【0015】
第8に、隣接する前記固定基地局は、1キロメートル以内の範囲に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
自身が搭乗する移動車両と、近接する他の移動車両との間の車間情報を含む車両間情報を高精度且つ容易に取得することができる。
【0017】
移動車両間の車間等の車両間情報を高精度に取得することができるため、移動車両が近接する移動車両に接触することを防止する運転操作のアシストをより高精度に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用した車両間情報取得システムの構成を示した概念図である。
図2】移動車両の構成を示すブロック図である。
図3】車載端末の構成を示すブロック図である。
図4】情報処理サーバの構成を示すブロック図である。
図5】固定基地局の構成を示すブロック図である。
図6】車両間情報取得システムの処理の流れの例を示すフロー図である。
図7】別実施例の車両間情報取得システムの構成を示した概念図である。
図8】別実施例の固定基地局の構成を示すブロック図である。
図9】別実施例の車載端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図示する例を参照して本発明にかかる車両間情報取得システムの実施形態について説明する。図1は、本発明を適用した車両間情報取得システムの構成を示した概念図である。
【0020】
本発明の車両間情報取得システム(端末間情報取得システム)は、測位衛星に接続可能な車載端末(移動端末)10を備えた少なくとも2以上の移動車両(移動体)1,1・・・と、車載端末10に位置情報を補正する補正情報を送信する固定基地局20と、車載端末10と相互通信可能な情報処理サーバ30とを備えている。
【0021】
情報処理サーバ30と車載端末10との通信を可能とするネットワーク5は、具体的には、インターネット等のグローバルネットワーク5を用いる。
【0022】
図2は、移動車両の構成を示すブロック図である。移動車両1は、移動車両1に搭載された詳しくは後述する車載端末10と、測位衛星から位置情報を取得するRTK-GNSSユニット(位置情報取得装置、GNSSユニット、GPS受信機)2と、移動車両1に搭載された各種センサ類である車載センサ3と、移動車両1の周囲を撮影する車載カメラ4と、目的地への道順の案内や移動車両の周囲の案内を行うナビゲーション装置6と、運転手(オペレータ)に各種情報を報知するブザー等である報知装置(報知手段)7と、情報処理サーバ30から取得された情報に基づいてステアリング操作を補助する運転補助装置(運転補助手段)8と、入力手段の一種であるタッチパネル9Aと、出力手段の一種である液晶パネル)Bと、を備えている。
【0023】
車載端末10は、インターネット等のグローバルネットワークを介して情報処理サーバ30と通信可能に構成されている。また、車載端末10は、近距離無線通信を用いて所定範囲内の他の移動車両に搭載された車載端末10と無線通信可能に構成されている(図1乃至3等参照)。なお、前記車載端末10は、移動車両1の他、自転車等のその他移動体に搭載した構成としても良い。
【0024】
また、車載端末10は、所定範囲内の他の移動車両1(に搭載された車載端末10)を識別する識別情報を取得可能に構成されており、識別情報に基づいて、他の移動車両の車体に関する車体情報(具体的には、移動車両の車種、全長、車幅、車高等のカタログスペック)の他、他の移動車両に搭載された車載センサ3等によって検出された位置情報等の各種情報からなる近接車両情報(近接端末情報)を取得することができるように構成されている。
【0025】
これにより、車載端末10は、所定範囲内に同タイプの車載端末10が搭載された移動車両1があることが検出された場合には、情報処理サーバ30から所定範囲内の他の移動車両1に関する上記の近接車両情報と車体情報とを取得し、自身の位置情報や車体情報等と合わせることにより、自身の移動車両と隣接する移動車両との間の車両間情報(端末間情報)を算出(取得)することができるように構成されている。
【0026】
GNSSユニット2は、測位衛星から位置情報を取得する受信機と、固定基地局20から補正情報を受信する受信機(デジタル無線受信機)とを有し、測位衛星から取得される数メートル単位の誤差を有する位置情報を、固定基地局20から取得される補正情報を用いて誤差修正することによって、誤差が数cm単位となる高精度な位置情報を取得することができるように構成されている。このとき、固定基地局20から取得される補正情報は、車載端末10から固定基地局20までの距離情報と、固定基地局20の位置情報(座標情報)とを含んでいる。
【0027】
車載センサ3は、移動車両1に搭載された各種センサ類であって、移動車両1の車速を検出する車速センサや、加速度センサ、操向操作された際のステアリング操作量を検出するステアリングセンサ、移動車両1の周囲に障害物との間の距離を検出する前記距離センサ(障害物センサ)等が設けられている。
【0028】
ナビゲーション装置6は、タッチパネル9A及び液晶パネル9Bによって入出力操作可能に構成されており、車載端末10によって取得(算出)された移動車両1の位置情報を用いることによって、道順の案内(ナビ)を高精度に実行することができる。
【0029】
運転補助装置8と、報知装置7とは、自身の移動車両と、近接(隣接)する移動車両との間の前記車両間情報に基づいて、オペレータによる運転操作の補助を実行することができるように構成されている。
【0030】
具体的に説明すると、車載端末10は、オペレータに近接する他の移動車両との車間が所定以上近いことが検出された場合には、報知装置7による警告音や音声を用いて、その旨をオペレータに報知したりすることができる。
【0031】
また、車載端末10は、オペレータに近接する他の移動車両との車間が所定以上近いことが検出された場合には、運転補助装置8によって(ブレーキ作動等することにより)移動車両の車速を自動的に減速させることができるように構成されている。さらに、車載端末10は、前方を走行している移動車両1が検出された場合には、運転補助装置8によって、前方の移動車両1の後を追走するようにステアリング操作を補助することができるように構成しても良い。
【0032】
図3は、車載端末のメインの構成を示すブロック図である。車載端末10は、CPUやRAM等を含み且つプログラムの実行によって各種機能を実装する制御部11と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶装置12と、ネットワークを介した無線通信又は有線通信を可能にする通信インターフェース(通信手段)13とを備えている。
【0033】
制御部11には、GNSSユニット2を用いて測位衛星から現在の位置情報を取得する位置情報取得部11aと、固定基地局20から補正情報を取得する補正情報取得部11bと、補正情報を用いて位置情報の誤差を補正する誤差補正部11cと、誤差が補正された移動車両の高精度な位置情報を含む車両情報を情報処理サーバ30に送信する車両情報送信部11dと、情報処理サーバ30から近接した他の移動車両に関する近接車両情報を取得する近接車両情報取得部(近接端末情報取得手段)11eと、車両情報と近接車両情報とに基づいて移動車両間の車間等を含む車両間情報を取得する車両間情報取得部(端末間情報取得手段)11fと、前記運転補助装置8を用いてオペレータによる運転操作の補助を実行する運転補助部11gと、が設けられている。
【0034】
記憶装置12には、少なくとも車載端末10が搭載された移動車両に関する各種情報が記憶される車両情報記憶部12aと、情報処理サーバ30から取得された近接車両情報と、自身の車両情報に基づいて算出された車両間情報が記憶される車両間情報記憶部12bとが記憶領域として設けられている。
【0035】
車両情報記憶部12aは、具体的には、GNSSユニット2により検出された移動車両1(車載端末10)の高精度な位置情報の他、移動車両1が走行した経路に関する情報や、車載センサ3によって検出された車速や加速度、ステアリング操作量等に関する情報、登録された移動車両1の車種・車長・車幅等からなる車体情報、前記車載カメラ4によって撮影された画像・動画データ等が含まれている。
【0036】
車両間情報記憶部12bは、車載端末10が搭載された移動車両1に関する前記車両情報と、情報処理サーバ30から取得した近接車両情報とに基づいて算出された、近接(隣接)した他の移動車両1との間の車間情報や、相対速度等を含む車両間情報が記憶されている。
【0037】
以上より、前記車両間情報取得部11fは、前記近接車両情報取得部11eにより、自身の移動車両に関する車両情報と、情報処理サーバ30から取得した近接する移動車両に関する近接車両情報とに基づいて、両車両の位置、進行方向、車両間の距離、相対速度、走行経路、車体のサイズや内輪差等に関する情報から高精度な車両間情報を算出し、前記運転補助部11gによって、オペレータに取得された車両間情報に基づいた報知をしたり、ステアリング操作やブレーキ操作の自動的な制御を実行したりすることができるように構成されている。
【0038】
例えば、運転補助部11gは、自身の前方の移動車両との車間が所定以上に近くなった場合には、警報ブザー等の報知装置によってその旨オペレータに報知するとともに、自動的にブレーキ操作をして安全な車間を維持するように制御することができる。同様に、運転補助部11gは、車両間情報に基づいて、前方の移動車両に追走するように自動的にステアリング操作を自動制御することができるように構成されている。
【0039】
図4は、情報処理サーバの構成を示すブロック図である。情報処理サーバ30は、CPUやRAM等を含み且つプログラムの実行によって各種機能を実装する制御部31と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶装置32と、ネットワークを介した無線通信又は有線通信を可能とする通信インターフェース(通信手段)33と、マウス、キーボード及びタッチパネル等から構成された入力手段34と、ディスプレイ及びスピーカ等から構成されて各種情報を出力する出力手段36とを備えている。
【0040】
制御部31には、車載端末から送信された移動車両の車両情報を受信する車両情報受信部31aと、車両情報受信部31aによって受信された複数の移動車両の車両情報をリアルタイムで更新して管理する車両情報管理部31bと、管理している移動車両のうちで互いが所定以上近接している移動車両がある場合に各車載端末に向けてその旨を示す近接車両情報を送信する近接車両情報送信部31cとが設けられている。
【0041】
記憶装置32には、車載端末が搭載された移動車両を有するユーザ(オペレータ)に関する各種情報が記憶されるユーザ情報記憶部32aと、移動車両(車載端末)から送信された位置情報等からなる車両情報が記憶される車両情報記憶部32bとが記憶領域として設けられている。
【0042】
前記ユーザ情報記憶部32aには、上述の車載端末10が搭載された移動車両1を所有しているユーザに関するユーザ情報として、ユーザを識別するユーザIDと、登録したユーザが所有する移動車両に関する車体情報が記憶されている。車体情報としては、車種、車幅、車長、内輪差等の情報が登録されている。
【0043】
前記車両情報記憶部32bには、移動車両から送信された誤差がcm単位の高精度な位置情報を含む車両情報が逐次記録されており、車両情報としては、位置情報の他に、車載センサによって検出される車速や、加速度、ステアリング操作量等の情報が含まれている。
【0044】
図5は、固定基地局の構成を示すブロック図である。固定基地局20は、CPUやRAM等を含み且つプログラムの実行によって各種機能を実装する制御部21と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶装置22と、無線通信を可能とする通信インターフェース(通信手段)23とを備えている。
【0045】
制御部21には、通信端末が設置された電柱等の場所の座標データを範囲内の移動車両(車両端末)に向けて発信する座標データ送信部(発信部)21aが設けられている。
【0046】
記憶装置22には、移動車両に発信する固定基地局の設置場所の座標データ(補正情報)が記憶される座標データ記憶部(補正情報記憶部)22aが記憶領域として設けられている。
【0047】
上記の固定基地局20は、図1に示されるように、特に電柱の上部に設置された通信端末であって、設置された電柱から所定範囲内を走行中の移動車両(に搭載された車載端末)に向けて無線情報を発信する発信機を備えている。これにより、固定基地局は、所定範囲内を走行中の移動車両(車載端末)に向けて、位置情報の誤差を補正するための補正情報、言い換えると、固定基地局(が設置された電柱)の座標情報(座標データ)と、当該固定基地局と移動車両との間の距離情報(距離データ)とを送信することができるように構成されて。
【0048】
ちなみに、固定基地局と車載端末とは、高い周波数帯を用いることにより、高速大容量、低遅延、多数同時接続可能な5G、6G(第5、6世代移動通信システム)を用いて接続可能に構成されている。
【0049】
これに対し、固定基地局は、街中の固定物、具体的には、電柱(固定柱)の他、公衆電話ボックスや、標識等の柱状部材に設けた構成であっても良い。この場合、固定基地局を構成する通信端末は、電柱のように位置情報がもとから測定されていないものに設置する場合には、測位衛星から位置情報を取得する位置情報取得装置を設けることによって、固定基地局の座標を後から取得可能に構成しても良い。
【0050】
該構成によれば、5G、6Gシステムで通信可能に構成したことによって、車載端末を搭載した移動車両が比較的にGNSSユニットによって位置情報を精度良く取得し難い場所、具体的には、高層ビル等の高い建物に囲まれた場所や、信号機のない細い路地等の街中を走行する場合であっても、固定基地局が、街中の電柱等の固定物に取付固定されたことによって、固定基地局からの補正情報が受信し易くなるため、より高精度な位置情報を取得することが必要な街中(高層ビル街や細い路地等の小道等)を移動車両が走行する場合において、高精度な位置情報を取得し易くなる。
【0051】
なお、固定基地局20によって補正情報を発信する範囲は、数十メートルから数キロメートルの範囲内であるが、これより広いものであっても良い。
【0052】
図6は、車両間情報取得システムの処理の流れの例を示すフロー図である。なお、処理フローはこれらの記載には限られない。
【0053】
車両間情報取得システムの処理フローが開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、前記位置情報取得部11aにより、GNSSユニット2を用いて測位衛星から移動車両1(車載端末10)の位置情報を取得し、その後、ステップS2に進む。
【0054】
ステップS2では、前記補正情報取得部11bにより、移動車両1と通信可能な固定基地局20から、該固定基地局20の座標情報と、該固定基地局20までの距離情報とからなる補正情報を取得し、ステップS3に進む。
【0055】
ステップS3では、前記誤差補正部11cにより、固定基地局20から取得された補正情報を用いて、測位衛星から取得された移動車両の位置情報の誤差を補正し、誤差がcm単位となる高精度な位置情報を算出し、ステップS4に進む。
【0056】
ステップS4では、前記車両情報送信部11dにより、移動車両の位置情報を含む前記車両情報を情報処理サーバ30へと送信し、情報処理サーバ30上で管理される車両情報を更新し、ステップS5に進む。
【0057】
ステップS5では、前記近接車両情報取得部11eにより、所定範囲内に車両端末10が搭載された移動車両1があることが検出された場合に、情報処理サーバ30から検出された移動車両1に関する車両情報である近接車両情報を取得し、ステップS6に進む。
【0058】
このとき、移動車両1の所定範囲内に他の移動車両1があるか否かは、互いに搭載されている車載端末10、10同士を直接無線接続可能に構成することで、所定範囲内にいることを検出可能とした構成であっても良いし、情報処理サーバ30上で管理されている複数の移動車両1、1・・・の位置情報を解析し、近接した位置に移動車両1があることを検出する構成であっても良い。
【0059】
ステップS6では、前記車両間情報取得部11fにより、所定範囲内の他の移動車両に関する近接車両情報と、自身の移動車両の車両情報とに基づいて、移動車両間の車両間情報を算出(取得)し、ステップS7に進む。
【0060】
ステップS7では、前記運転補助部11gにより、取得された車両間情報に基づいて、オペレータへの報知や、ステアリング操作の補助や、ブレーキ操作の補助を実行し、リターンする。
【0061】
次に、図7乃至9に基づき、車両間情報取得システムの別実施例について、上述の例とは異なる点について説明する。図7は、別実施例の車両間情報取得システムの構成を示した概念図である。
【0062】
固定基地局20は、図7に示されるように、インターネット等のグローバルネットワークを介して、情報処理サーバ30に接続可能に構成し、所定範囲内を走行中の移動車両1(に搭載された車載端末10)に向けて、補正情報の他に、周辺のお店や観光地、イベント等の周辺情報(広告情報)を発信することができるように構成しても良い。以下、具体的に説明する。
【0063】
図8は、別実施例の固定基地局の構成を示すブロック図である。固定基地局20は、CPUやRAM等を含み且つプログラムの実行によって各種機能を実装する制御部21と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶装置22と、ネットワークを介した無線通信又は有線通信を可能とするネットワークフェース(通信手段)23と、マウス、キーボード及びタッチパネル等から構成された入力手段24と、ディスプレイ及びスピーカ等から構成されて各種情報を出力する出力手段26とを備えている。
【0064】
制御部22には、座標データ送信部(発信部)21aと、座標データとともに移動車両に向けて設置位置周辺の広告情報等を送信する周辺情報送信部21bと、移動車両に送信する周辺情報の内容を更新(変更)する周辺情報更新部21cとが設けられている。
【0065】
周辺情報更新部21cは、固定基地局20から発信される周辺情報の内容を変更することができるように構成されており、ネットワークを介して接続される情報処理サーバ30側から入力情報を更新することができるように構成されている。なお、周辺情報は、固定基地局20側に接続された入力手段24等を用いて直接入力する構成であっても良い。
【0066】
記憶装置22には、移動車両に発信する固定基地局20の設置場所の座標データ(補正情報)が記憶される座標データ記憶部(補正情報記憶部)22aと、編集可能な周辺情報が記憶される周辺情報記憶部22bとが記憶領域として設けられている。
【0067】
図9は、別実施例の車載端末の構成を示すブロック図である。車載端末10は、制御部11と、記憶装置12と、ネットワークインターフェース(通信手段)13と、を備えている。
【0068】
制御部11には、位置情報取得部11aと、補正情報取得部11bと、誤差補正部11cと、車両情報送信部11dと、近接車両情報取得部11eと、車両間情報取得部11fと、運転補助部11gと、固定基地局20から移動車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部11hとが設けられている。
【0069】
記憶装置12には、車両情報記憶部12aと、車両間情報記憶部12bと、固定基地局20から取得された周辺情報を記憶する周辺情報記憶部12cとが記憶領域として設けられている。
【0070】
上述の構成によれば、周辺情報取得部11hにより取得された周辺情報、具体的には、お店や観光地、イベント等の広告情報は、移動車両1側の液晶パネル等の出力手段に出力させることができるため、移動車両1に対して走行中の地域により密接した情報(広告)を表示させることができる。
【0071】
また、多数設置された固定基地局20から発信される周辺情報を、情報処理サーバ30で一括管理することが可能な構成となるため、各固定基地局20から発信される周辺情報を更新(編集)する作業も容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 移動車両
2 GNSSユニット(位置情報取得手段)
10 車両端末(通信端末)
11b 補正情報取得部(補正情報取得手段)
11c 誤差補正部(補正手段)
11e 近接車両情報取得部(近接車両情報取得手段)
20 固定基地局
30 情報処理サーバ
31b 車両情報管理部(車両位置管理手段)
図1
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図9