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特開2023-109469照明制御システム、照明制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109469
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20230801BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230801BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230801BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230801BHJP
   H04L 61/5007 20220101ALI20230801BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/105
H04Q9/00 301B
H04L61/5007
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011002
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】前田 智
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昇太郎
(72)【発明者】
【氏名】廣渡 祐一郎
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA29
3K273QA31
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA24
3K273UA25
5K048BA07
5K048DA02
5K048EB01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】照明負荷を制御する制御端末に対してIPアドレスを設定しやすくすること。
【解決手段】照明制御システム100は、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13と、を備える。制御部13は、第1通信部11が操作器2からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の制御端末3のうちの1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する。制御部13は、設定処理において、制御端末3に付されたユニバース番号を含む識別情報を要求する要求信号を、第2通信部12を介して複数の制御端末3へマルチキャスト送信する。また、制御部13は、設定処理において、複数の制御端末3から識別情報を取得すると、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の制御端末3に対して、IPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作器との間で通信する第1通信部と、
複数の照明負荷をそれぞれ制御する複数の制御端末との間で通信する第2通信部と、
前記第1通信部が前記操作器からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の前記制御端末のうちの1以上の前記制御端末に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記設定処理において、
前記制御端末に付されたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を要求する要求信号を、前記第2通信部を介して複数の前記制御端末へマルチキャスト送信し、
複数の前記制御端末から前記識別情報を取得すると、前記操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の前記制御端末に対して、前記固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、前記第2通信部を介してマルチキャスト送信する、
照明制御システム。
【請求項2】
前記操作信号は、前記制御端末に対して当該制御端末の制御対象である前記照明負荷の制御を指示する制御信号である、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
操作器からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の照明負荷をそれぞれ制御する複数の制御端末のうちの1以上の前記制御端末に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行し、
前記設定処理において、
前記制御端末に付されたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を要求する要求信号を、複数の前記制御端末へマルチキャスト送信し、
複数の前記制御端末から前記識別情報を取得すると、前記操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の前記制御端末に対して、前記固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号をマルチキャスト送信する、
照明制御方法。
【請求項4】
1以上のプロセッサに、
請求項3に記載の照明制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明負荷を制御する照明制御システム、照明制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークにおけるIP(Internet Protocol)アドレスの設定手段を有する照明制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-286469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、照明負荷を制御する制御端末に対してIPアドレスを設定しやすい照明制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、第1通信部と、第2通信部と、制御部と、を備える。前記第1通信部は、操作器との間で通信する。前記第2通信部は、複数の照明負荷をそれぞれ制御する複数の制御端末との間で通信する。前記制御部は、前記第1通信部が前記操作器からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の前記制御端末のうちの1以上の前記制御端末に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する。前記制御部は、前記設定処理において、前記制御端末に付されたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を要求する要求信号を、前記第2通信部を介して複数の前記制御端末へマルチキャスト送信する。また、前記制御部は、前記設定処理において、複数の前記制御端末から前記識別情報を取得すると、前記操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の前記制御端末に対して、前記固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、前記第2通信部を介してマルチキャスト送信する。
【0006】
本発明の一態様に係る照明制御方法では、操作器からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の照明負荷をそれぞれ制御する複数の制御端末のうちの1以上の前記制御端末に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する。前記設定処理において、前記制御端末に付されたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を要求する要求信号を、複数の前記制御端末へマルチキャスト送信する。また、前記設定処理において、複数の前記制御端末から前記識別情報を取得すると、前記操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の前記制御端末に対して、前記固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号をマルチキャスト送信する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の照明制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明制御システム等は、照明負荷を制御する制御端末に対してIPアドレスを設定しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図3図3は、実施の形態に係る照明制御システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る照明制御システムの構成について説明する。照明制御システムは、例えばテレビ局、コンサートホール、又は演劇場等の1以上の空間で照明の演出が行われる施設に設置されるシステムである。1以上の空間は、例えばスタジオ、ホール、又は舞台等である。もちろん、照明制御システムが設置される施設は、テレビ局、コンサートホール、及び演劇場以外の施設であってもよい。
【0013】
図1は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。図1に示すように、照明制御システム100は、制御装置1に搭載されている。制御装置1は、操作器2と通信可能に構成されている。また、制御装置1は、複数(ここでは、3台)の制御端末3と通信可能に構成されている。以下の説明では、3台の制御端末3をそれぞれ「制御端末31」、「制御端末32」、及び「制御端末33」と区別する場合もある。
【0014】
また、各制御端末3には、照明負荷4が接続されている。以下の説明では、3つの照明負荷4のうち、制御端末31に接続されている照明負荷4を「照明負荷41」、制御端末32に接続されている照明負荷4を「照明負荷42」、制御端末33に接続されている照明負荷4を「照明負荷43」と区別する場合もある。
【0015】
図1に示す例では、各制御端末3には1つの照明負荷4が接続されているが、複数の照明負荷4がディジーチェーン接続されていてもよい。また、各制御端末3に複数の照明負荷4がディジーチェーン接続されている場合、これらの照明負荷4は全て同じ仕様又は種類でなくてもよく、互いに異なる仕様又は種類の照明負荷4が混在していてもよい。
【0016】
なお、図1では図示を省略しているが、制御装置1、操作器2、複数の制御端末3、及び複数の照明負荷4の各々には、電源装置から電力が供給される。
【0017】
操作器2は、例えば設置型又は可搬型の調光操作卓である。なお、操作器2は、例えば照明負荷4を制御するためのアプリケーションがインストールされたスマートフォン、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。操作器2は、ユーザから照明負荷4を制御するための操作を受け付ける。操作器2は、例えば照明負荷4の調光、照明負荷4の調色、又は照明負荷4の照明範囲の変更等を行う操作を受け付ける。操作器2は、例えば各種フェーダ及び各種ボタン等で構成される。フェーダは、例えば、照明負荷4を調光するための操作を受け付けるスライダである。なお、操作器2は、タッチパネル等で構成されていてもよい。
【0018】
操作器2は、例えばケーブルを介して制御装置1が有する複数のポートのうちのいずれか1つのポートに接続されている。操作器2は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザからの操作に応じた照明負荷4の制御データを含む制御信号を、操作信号としてケーブルを介して制御装置1へ送信する。
【0019】
制御端末3は、制御装置1からの制御信号を受信し、受信した制御信号に従って照明負荷4を制御することにより、照明負荷4が出射する光を調光する。なお、制御端末3は、受信した制御信号に従って照明負荷4を制御することにより、照明負荷4が出射する光の調色、又は照明範囲の変更等を行ってもよい。制御端末3が照明負荷4を制御することにより、例えばスタジオ、ホール、又は舞台等の照明負荷4が設置された空間の照明の演出が行われる。
【0020】
制御端末3は、DMX(Digital Multiplex System)信号をイーサネット(登録商標)で通信するためのsACN(streaming Architecture for Control Networks)プロトコルの制御信号(sACN信号)に従って照明負荷4を制御する、sACN信号対応の制御端末である。ここで、sACNプロトコルは、512チャネルのDMX信号のデータパケットを1系統(ユニバース)の制御信号として、複数系統の制御信号をマルチキャスト送信することができる通信プロトコルである。つまり、制御端末3は、操作器2から制御装置1を介して送信されるsACN信号に従って照明負荷4を制御する。
【0021】
制御信号は、制御端末3を識別するための識別情報を有する。制御信号としてsACN信号が用いられる場合、sACN信号には、系統ごとにID(IDentification)番号であるユニバース番号が付与されており、ユニバース番号を識別情報として用いることができる。つまり、制御端末3は、自身に割り当てられたユニバース番号を有するsACN信号に従って、照明負荷4を制御する。ユニバース番号は、例えばユーザ等が制御端末3を操作することにより、適宜設定される。
【0022】
制御端末3は、通信部301と、変換部302と、制御部303と、記憶部304と、を備えている。
【0023】
通信部301は、制御装置1との間で通信する通信インタフェースである。実施の形態では、通信部301は、LANケーブルを介して制御装置1に接続されており、IPパケットを含むイーサネット(登録商標)フレームを送信及び受信する。なお、通信部301は、後述するようにネットワークN1を介して制御装置1に接続される場合もある。
【0024】
変換部302は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。変換部302は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。変換部302は、イーサネット(登録商標)プロトコル(ここでは、sACNプロトコル)の通信信号と、DMXプロトコルの通信信号とを双方向にプロトコル変換する。DMXプロトコルは、主に舞台照明又はスタジオの演出照明機器等の制御に使われる通信プロトコルである。
【0025】
制御部303は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。制御部303は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。制御部303は、後述するアドレス設定信号を通信部301が受信した場合、当該アドレス設定信号の送信先が自身であれば、記憶部304に記憶されている初期のIPアドレスを当該アドレス設定信号に含まれるIPアドレスで上書きすることにより、IPアドレスを設定する処理を実行する。
【0026】
また、制御部303は、操作器2から制御装置1を介して送信された制御データを含むsACN信号を通信部301が受信した場合、変換部302に当該sACN信号をDMX信号に変換させ、変換させたDMX信号を照明負荷4に送信する。これにより、DMX信号を受信した照明負荷4が、当該DMX信号に含まれる制御データに従って制御される。具体的には、照明負荷4にはDMXアドレスが割り当てられている。そして、照明負荷4は、受信したDMX信号のチャネル数をカウントし、カウントした数と自身に割り当てられたDMXアドレスとが一致するDMX信号を取り込むことで、当該DMX信号に含まれる制御データに従って制御される。
【0027】
記憶部304は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記憶装置である。記憶部304には、制御端末3に設定されたIPアドレスと、制御端末3に接続される照明負荷4を制御するための各種情報と、が記憶される。また、記憶部304には、制御端末3に割り当てられたユニバース番号及び固有の識別子が記憶される。実施の形態では、固有の識別子は、MAC(Media Access Control)アドレスである。なお、制御端末3に割り当てられた固有の識別子は、MACアドレスに限らず、例えば製造番号等であってもよい。
【0028】
照明負荷4は、例えば、スタジオ、ホール又は舞台等において用いられるホリゾントライト、ダウンライト、スポットライト、又はフラッドライト等である。照明負荷4は、例えば、光源としてLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)、蛍光灯、又は白熱灯等を有する。照明負荷4は、光の照射方向を変更するためのモータ等を有していてもよい。照明負荷4は、例えば、設置されるスタジオ等の空間の床又は天井等の任意の場所に配置される。また、照明負荷4は、天井に設置されたバトン等の懸架器具に吊り下げられてもよい。
【0029】
制御装置1(照明制御システム100)は、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13と、記憶部14と、を備えている。実施の形態では、記憶部14は照明制御システム100の構成要素に含まれているが、照明制御システム100の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0030】
第1通信部11は、操作器2との間で通信するための通信インタフェースである。実施の形態では、第1通信部11は、イーサネット(登録商標)ケーブルを接続するための複数のポートを有している。第1通信部11は、複数のポートのうちのいずれか1つのポートと操作器2との間がケーブルで接続されることにより、操作器2との間で通信可能となる。なお、詳しくは後述するが、複数のポートには、それぞれ複数のユニバース番号が1対1に対応付けられている。
【0031】
第2通信部12は、複数の照明負荷4をそれぞれ制御する複数の制御端末3との間で通信するための通信インタフェースである。制御装置1(照明制御システム100)と各制御端末3との間のネットワークには、例えばLAN(Local Area Network)等が用いられる。ネットワークに用いられるLANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。ネットワークに有線LANが用いられる場合、有線LANは、例えばLANケーブル及びスイッチングハブ等で構成される。なお、通信距離が比較的長い場合には、LANケーブルの代わりに光ファイバケーブルが用いられてもよい。なお、制御装置1と各制御端末3との通信には、例えば国の電波利用の割り当てに沿った周波数を利用した特定小電力無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWi-Fi(登録商標)等の無線用の通信方式が用いられてもよい。
【0032】
実施の形態では、制御装置1、制御端末31、及び制御端末32は、同一のLAN、つまり同一のネットワークに接続されている。一方、制御端末33は、上記LANとは異なるLAN、つまり上記ネットワークとは異なるネットワークに接続されている。具体的には、制御端末33は、ネットワークN1を介して制御装置1に接続されている。ネットワークN1は、例えばルータ等の中継器を含んでいる。このように、実施の形態では、複数の制御端末3のうちの少なくも1つの制御端末3は、他の制御端末3が接続されるネットワークとは異なるネットワークに接続されている。
【0033】
制御部13は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。制御部13は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0034】
また、制御部13は、第1通信部11が操作器2からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の制御端末3のうちの1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する。ここで「制御端末3に対してIPアドレスを設定する」とは、例えば制御端末3の製造時又は出荷時において制御端末3に設定された初期のIPアドレスを、制御装置1との間で個別に通信できるように新たなIPアドレスで上書きすることをいう。実施の形態では、制御部13は、第1通信部11が操作器2からの制御信号を受信することをトリガとして、設定処理を実行する。
【0035】
設定処理において、制御部13は、まず、制御端末3に付されたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を要求する要求信号を、第2通信部12を介して複数の制御端末3へマルチキャスト送信する。要求信号を受信した各制御端末3は、自身に割り当てられたユニバース番号及び固有の識別子(ここでは、MACアドレス)を含む識別情報を、制御装置1へ返信する。
【0036】
次に、設定処理において、制御部13は、複数の制御端末3から識別情報を取得すると、各制御端末3から取得した識別情報に基づいて、記憶部14に記憶されている第2データを更新する。第2データには、各制御端末3に割り当てられるIPアドレスを含むデータである。第2データには、各制御端末3にIPアドレスが既に設定されているか、未設定であるかを示すフラグも含まれる。制御部13は、第2通信部12が各制御端末3からの識別情報を含む信号を受信すると、取得した識別情報に含まれるユニバース番号及び固有の識別子の対応関係を、制御端末3ごとに記憶部14に記憶させる。これにより、第2データは、各制御端末3に割り当てられるIPアドレスと、ユニバース番号及び固有の識別子(ここでは、MACアドレス)との対応関係を示すデータに更新される。
【0037】
そして、制御部13は、複数の制御端末3から識別情報を取得すると、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の制御端末3に対して、固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。すなわち、制御部13は、第2通信部12が各制御端末3からの識別情報を含む信号を受信すると、後述する記憶部14に記憶されている第1データを参照することにより、各制御端末3のユニバース番号と、操作信号に対応するユニバース番号とが一致するか否かを比較する。
【0038】
ここで、操作信号に対応するユニバース番号は、第1通信部11が有する複数のポートのうちのいずれのポートに操作器2が接続されるかに応じて特定される。例えば、第1通信部11が2つのポート「A」及びポート「B」を有している、と仮定する。また、記憶部14には、ポート「A」及びポート「B」にそれぞれユニバース番号「1」及びユニバース番号「2」を対応付けた第1データが記憶されている、と仮定する。この場合、操作器2がケーブルを介してポート「A」に接続されている場合、制御部13は、第1データを参照することにより、操作器2からの操作信号に対応するユニバース番号が「1」であると特定する。また、操作器2がケーブルを介してポート「B」に接続されている場合、制御部13は、上記データを参照することにより、操作器2からの操作信号に対応するユニバース番号が「2」であると特定する。
【0039】
そして、制御部13は、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の制御端末3に対して、アドレス設定信号を第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。アドレス設定信号には、特定した制御端末3に割り当てるIPアドレスと、特定した制御端末3に固有の識別子(ここでは、MACアドレス)と、が含まれる。当該IPアドレス及び固有の識別子は、記憶部14に記憶されている第2データを参照することにより読み出される。例えば、操作信号に対応するユニバース番号が「1」である場合、制御部13は、ユニバース番号が「1」である1以上の制御端末3に対して、アドレス設定信号を第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。
【0040】
なお、制御部13は、既に制御端末3にIPアドレスが設定されている場合、設定処理を実行せずに、対象となる制御端末3のIPアドレスを送信先に指定した制御信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。ここでいう対象となる制御端末3は、操作器2からの操作信号(制御信号)に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された制御端末3である。
【0041】
記憶部14は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記憶装置である。記憶部14には、制御装置1の有する各ポートと、ユニバース番号との対応関係を示す第1データが記憶されている。また、記憶部14には、各制御端末3に割り当てられるIPアドレスと、ユニバース番号及び固有の識別子(ここでは、MACアドレス)との対応関係を示す第2データが記憶されている。なお、各制御端末3のユニバース番号及び固有の識別子については、制御部13による設定処理の実行時に記憶部14に記憶される。
【0042】
[動作]
以下、実施の形態に係る制御装置1(照明制御システム100)の動作について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る照明制御システム100の動作例を示すフローチャートである。図3は、実施の形態に係る照明制御システム100の動作例を示すシーケンス図である。図3においては、照明制御システム100の動作のみならず、操作器2、制御端末31~33の動作についても示されている。また、図3においては、ユニバース番号を「ユニバース」と省略して記載している。以下の説明では、各制御端末3には、IPアドレスが未だ設定されていないこととする。また、操作器2からの操作信号は、ユニバース番号「1」に対応していることとする。
【0043】
まず、ユーザからの操作を受け付けることで、操作器2が操作信号を制御装置1へ送信する(S201)。制御装置1の第1通信部11は、操作器2からの操作信号を受信する(S101)。第1通信部11が操作信号を受信すると、制御装置1の制御部13は、第2通信部12を介して要求信号をマルチキャスト送信する(S102)。
【0044】
各制御端末3は、制御装置1からの要求信号を受信すると、自身に割り当てられたユニバース番号及び固有の識別子を含む識別情報を、制御装置1へ返信する。ここでは、制御端末31は、制御装置1からの要求信号を受信すると、制御端末31に割り当てられたユニバース番号「1」及びMACアドレスを含む識別情報を、制御装置1へ返信する(S202)。また、制御端末32は、制御装置1からの要求信号を受信すると、制御端末32に割り当てられたユニバース番号「2」及びMACアドレスを含む識別情報を、制御装置1へ返信する(S203)。また、制御端末33は、制御装置1からの要求信号を受信すると、制御端末33に割り当てられたユニバース番号「3」及びMACアドレスを含む識別情報を、制御装置1へ返信する(S204)。
【0045】
制御装置1の制御部13は、第2通信部12が各制御端末3からの識別情報を含む信号を受信することにより、各制御端末3の識別情報を取得する(S103)。そして、制御部13は、取得した識別情報に含まれるユニバース番号及び固有の識別子の対応関係を、制御端末3ごとに記憶部14に記憶させることで、第2データを更新する。また、制御部13は、各制御端末3のユニバース番号と、操作信号に対応するユニバース番号とを比較し、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が割り当てられた1以上の制御端末3を特定する。そして、制御部13は、特定した1以上の制御端末3に割り当てるIPアドレスを含むアドレス設定信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する(S104)。ここでは、操作器2からの操作信号に対応するユニバース番号が「1」である。このため、制御部13は、ユニバース番号「1」が割り当てられた制御端末31のMACアドレス、及び制御端末31に設定するIPアドレスを含むアドレス設定信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。
【0046】
各制御端末3は、アドレス設定信号を受信すると、アドレス設定信号に含まれる固有の識別子と、自身に割り当てられた固有の識別子とを比較し、一致する場合は、アドレス設定信号に含まれるIPアドレスを、自身のIPアドレスとして設定する。そして、IPアドレスを設定した制御端末3は、IPアドレスの設定が完了したことを示す応答信号を、制御装置1へ送信する。一方、各制御端末3は、アドレス設定信号に含まれる固有の識別子と、自身に割り当てられた固有の識別子とが一致しない場合、アドレス設定信号を無視する、又は破棄する。
【0047】
ここでは、アドレス設定信号に制御端末31のMACアドレスが含まれているため、制御端末31は、制御装置1からのアドレス設定信号を受信すると、当該アドレス設定信号に含まれるIPアドレスを、自身のIPアドレスとして設定する。そして、制御端末31は、応答信号を制御装置1へ送信する(S205)。一方、制御端末32,33は、制御装置1からのアドレス設定信号を受信すると、当該アドレス設定信号を無視する、又は破棄する。
【0048】
制御装置1の制御部13は、第2通信部12が制御端末31からの応答信号を受信すると(S105)、制御端末31のIPアドレスを送信先に指定した制御信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する(S106)。制御端末31は、制御装置1からの制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御データに従って、制御端末31の制御対象である照明負荷41を制御する。一方、制御端末32,33は、制御装置1からの制御信号を受信すると、当該制御信号を無視する、又は破棄する。したがって、制御端末31の制御対象である照明負荷41のみが制御され、制御端末32,33の各々の制御対象である照明負荷42,43は制御されない。
【0049】
[利点]
以下、実施の形態に係る照明制御システム100の利点について、比較例の照明制御システムとの比較を交えて説明する。比較例の照明制御システムは、要求信号をブロードキャスト送信し、かつ、アドレス設定信号をブロードキャスト送信する点で、実施の形態に係る照明制御システム100と相違する。比較例の照明制御システムでは、以下のような問題が生じる。
【0050】
例えば、比較例の照明制御システムと第1制御端末が同じネットワークに接続されており、第2制御端末が上記ネットワークとは異なるネットワークに接続されている、と仮定する。この場合、比較例の照明制御システムが要求信号及びアドレス設定信号をブロードキャスト送信すると、第1制御端末は要求信号及びアドレス設定信号を受信できる一方、第2制御端末は要求信号及びアドレス設定信号を受信することができない。したがって、比較例の照明制御システムでは、第1制御端末に対してはIPアドレスを設定することができるが、第2制御端末に対してはIPアドレスを設定することができない。
【0051】
このように、比較例の照明制御システムでは、比較例の照明制御システムと同じネットワークに属する制御端末に対してはIPアドレスを設定することができる一方、比較例の照明制御システムと異なるネットワークに属する制御端末に対してはIPアドレスを設定することができず、IPアドレスの設定漏れが生じ得る、という問題がある。
【0052】
これに対して、実施の形態に係る照明制御システム100では、ユーザが操作器2を操作するだけで1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定することができるので、ユーザが制御端末3ごとに手動でIPアドレスを設定する作業が不要である。したがって、実施の形態に係る照明制御システム100によれば、照明負荷4を制御する制御端末3に対してIPアドレスを設定しやすい、という利点がある。
【0053】
また、実施の形態に係る照明制御システム100では、要求信号及びアドレス設定信号をマルチキャスト送信することにより、照明制御システム100(制御装置1)と同一のネットワークに属する制御端末3のみならず、照明制御システム100とは異なるネットワークに属する制御端末3に対してもIPアドレスを設定することが可能である。したがって、実施の形態に係る照明制御システム100では、制御端末3に対するIPアドレスの設定漏れが生じにくく、制御端末3に対する制御信号の送信の失敗が生じにくい、という利点がある。
【0054】
また、実施の形態に係る照明制御システム100は、全ての制御端末3にIPアドレスを設定するのではなく、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号を付与された制御端末3に対してのみIPアドレスを設定することが可能である。したがって、実施の形態に係る照明制御システム100では、例えば制御端末3及び照明負荷4を追加する場合、追加する制御端末3に対してのみIPアドレスを設定することが可能であり、IPアドレスの設定が不要である既存の制御端末3に対してもIPアドレスが設定されてしまうのを防ぐことができる、という利点もある。
【0055】
さらに、実施の形態に係る照明制御システム100は、制御端末3に付された固有の識別子(ここでは、MACアドレス)に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、制御端末3に対して送信している。このため、実施の形態に係る照明制御システム100では、例えば同じユニバース番号が付された複数の制御端末3が存在する場合でも、制御端末3ごとに重複しないようにIPアドレスを設定することができる、という利点もある。
【0056】
[変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、操作器2からの操作信号は、制御信号であるが、これに限られない。例えば、操作器2からの操作信号は、単にアドレス設定処理のトリガとなる信号であって、制御端末3に対する制御データを含んでいなくてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、制御装置1には1つの操作器2が接続されているが、これに限られない。例えば、制御装置1には、複数の操作器2が接続されていてもよい。この場合、制御装置1の制御部13は、操作器2ごとに、操作器2からの操作信号をトリガとして設定処理を実行すればよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、制御端末3と、制御対象である照明負荷4とは別体であるが、これに限られない。例えば、制御端末3は、制御対象である照明負荷4に内蔵されていてもよい。つまり、照明負荷4が制御端末3としての機能を有していてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、照明制御システム100は、制御装置1という1つの装置により実現されているが、これに限られない。例えば、照明制御システム100は、複数の装置により実現されてもよい。照明制御システム100が複数の装置によって実現される場合、照明制御システム100が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態において、制御部等の構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0062】
また、制御部等の構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部等の構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0063】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0064】
(まとめ)
以上説明したように、照明制御システム100は、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13と、を備える。第1通信部11は、操作器2との間で通信する。第2通信部12は、複数の照明負荷4をそれぞれ制御する複数の制御端末3との間で通信する。制御部13は、第1通信部11が操作器2からの操作信号を受信することをトリガとして、複数の制御端末3のうちの1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する。制御部13は、設定処理において、制御端末3に付されたユニバース番号を含む識別情報を要求する要求信号を、第2通信部12を介して複数の制御端末3へマルチキャスト送信する。また、制御部13は、設定処理において、複数の制御端末3から識別情報を取得すると、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の制御端末3に対して、固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号を、第2通信部12を介してマルチキャスト送信する。
【0065】
このような照明制御システム100によれば、ユーザが操作器2を操作するだけで1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定することができるので、ユーザが制御端末3ごとに手動でIPアドレスを設定する作業が不要である。したがって、このような照明制御システム100によれば、照明負荷4を制御する制御端末3に対してIPアドレスを設定しやすい、という利点がある。
【0066】
また、例えば、操作信号は、制御端末3に対して当該制御端末3の制御対象である照明負荷4の制御を指示する制御信号である。
【0067】
このような照明制御システム100によれば、ユーザは制御端末3に対するIPアドレスの設定を特に意識することなく、照明負荷4を制御するための操作を行うだけで、制御端末3に対してIPアドレスを設定することができる、という利点がある。
【0068】
また、例えば、照明制御方法では、操作器2からの操作信号を受信することをトリガとして(S101)、複数の照明負荷4をそれぞれ制御する複数の制御端末3のうちの1以上の制御端末3に対してIPアドレスを設定する設定処理を実行する(S102~S104)。設定処理において、制御端末3に付されたユニバース番号を含む識別情報を要求する要求信号を、複数の制御端末3へマルチキャスト送信する(S102)。また、設定処理において、複数の制御端末3から識別情報を取得すると(S103)、操作信号に対応するユニバース番号と一致するユニバース番号が付された1以上の制御端末3に対して、固有の識別子に対応するIPアドレスを設定するためのアドレス設定信号をマルチキャスト送信する(S104)。
【0069】
このような照明制御方法によれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0070】
また、例えば、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の照明制御方法を実行させる。
【0071】
このようなプログラムによれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 制御装置
11 第1通信部
12 第2通信部
13 制御部
2 操作器
3、31、32、33 制御端末
4、41、42、43 照明負荷
100 照明制御システム
図1
図2
図3