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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109475
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】目地補修方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20230801BHJP
   E04F 21/04 20060101ALI20230801BHJP
   E04F 21/165 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E04G23/02 B
E04F21/04 Z
E04F21/165 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011012
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】林 利樹
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA02
2E176AA05
2E176BB11
(57)【要約】
【課題】 作業者の熟練した技術を必要することなく、目地補修材の表面を見栄え良く仕上げることが可能な目地補修方法を提供する。
【解決手段】 外壁1の目地2を補修するための方法である。この方法は、目地2に、可塑性を有する目地補修材7を充填する充填工程と、目地2に、目地補修材7の表面と接するように目地長手方向に沿って延びる紐状の成形部材10を嵌め込む嵌め込み工程と、目地補修材7が硬化した後、目地補修材7から成形部材10を取り外す除去工程とを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の目地を補修するための方法であって、
前記目地に、可塑性を有する目地補修材を充填する充填工程と、
前記目地に、前記目地補修材の表面と接するように目地長手方向に沿って延びる紐状の成形部材を嵌め込む嵌め込み工程と、
前記目地補修材が硬化した後、前記目地補修材から前記成形部材を取り外す除去工程とを含む、
目地補修方法。
【請求項2】
前記目地は、壁下地に接着剤を介して固定された複数の仕上げ材の間に形成されている、請求項1に記載の目地補修方法。
【請求項3】
前記仕上げ材は、タイルである、請求項2に記載の目地補修方法。
【請求項4】
前記成形部材の断面は、円形状である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項5】
前記成形部材は、表面に微細な凹凸を有する多孔質材料である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項6】
前記成形部材は、硬化後の前記目地補修材から剥離可能な材料からなる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項7】
前記目地補修材は、変性シリコン系補修材である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項8】
前記成形部材は、発泡ポリエチレンからなる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項9】
前記目地は、第1方向に延びる第1目地と、前記第1方向と交差する向きに延びる第2目地とを含み、
前記充填工程は、前記目地補修材を、前記第1目地に充填する第1充填工程と、前記第2目地に充填する第2充填工程とを含み、
前記嵌め込み工程は、前記第1目地に前記成形部材を嵌め込む第1嵌め込み工程と、前記第2目地に前記成形部材を嵌め込む第2嵌め込み工程とを含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の目地補修方法。
【請求項10】
前記第1充填工程の後、前記第1嵌め込み工程が行われ、その後、前記第2充填工程が行われ、その後、前記第2嵌め込み工程が行われる、請求項9に記載の目地補修方法。
【請求項11】
前記第2嵌め込み工程は、前記第1目地と前記第2目地との交差部において、前記第1目地に嵌め込まれた前記成形部材との間に隙間が形成されないように、前記第2目地に前記成形部材を嵌め込む、請求項9又は10に記載の目地補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物のタイル壁の構造が記載されている。この構造は、壁下地と、壁下地の外面に配された接着層と、接着層に固着された複数のタイルとを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-82073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のタイルの間に形成された目地は、接着層の経年劣化によって、ひび割れ等が生じる場合がある。このようなひび割れ等を補修するには、目地に、目地補修材が充填される。
【0005】
目地補修材の表面を見栄え良く仕上げるために、例えば、目地補修材が硬化する前に、目地に充填された目地補修材の表面を、作業者がヘラ等を用いて平滑に均すことが行われる。しかしながら、このような均し作業は、作業者の熟練した技術を必要とし、誰もが簡単に行えるものではなかった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、作業者の熟練した技術を必要することなく、目地補修材の表面を見栄え良く仕上げることが可能な目地補修方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外壁の目地を補修するための方法であって、前記目地に、可塑性を有する目地補修材を充填する充填工程と、前記目地に、前記目地補修材の表面と接するように目地長手方向に沿って延びる紐状の成形部材を嵌め込む嵌め込み工程と、前記目地補修材が硬化した後、前記目地補修材から前記成形部材を取り外す除去工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記目地は、壁下地に接着剤を介して固定された複数の仕上げ材の間に形成されていてもよい。
【0009】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記仕上げ材は、タイルであってもよい。
【0010】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記成形部材の断面は、円形状であってもよい。
【0011】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記成形部材は、表面に微細な凹凸を有する多孔質材料であってもよい。
【0012】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記成形部材は、硬化後の前記目地補修材から剥離可能な材料からなっていてもよい。
【0013】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記目地補修材は、変性シリコン系補修材であってもよい。
【0014】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記成形部材は、発泡ポリエチレンからなっていてもよい。
【0015】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記目地は、第1方向に延びる第1目地と、前記第1方向と交差する向きに延びる第2目地とを含み、前記充填工程は、前記目地補修材を、前記第1目地に充填する第1充填工程と、前記第2目地に充填する第2充填工程とを含み、前記嵌め込み工程は、前記第1目地に前記成形部材を嵌め込む第1嵌め込み工程と、前記第2目地に前記成形部材を嵌め込む第2嵌め込み工程とを含んでもよい。
【0016】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記第1充填工程の後、前記第1嵌め込み工程が行われ、その後、前記第2充填工程が行われ、その後、第2嵌め込み工程が行われてもよい。
【0017】
本発明に係る前記目地補修方法において、前記第2嵌め込み工程は、前記第1目地と前記第2目地との交差部において、前記第1目地に嵌め込まれた前記成形部材との間に隙間が形成されないように、前記第2目地に前記成形部材を嵌め込んでもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の目地補修方法は、上記の工程を採用することにより、作業者の熟練した技術を必要とすることなく、目地補修材の表面を見栄え良く仕上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の目地補修方法で補修される外壁を示す部分斜視図である。
図2図1の外壁の部分断面図である。
図3】目地補修材が充填された目地を示す部分断面図である。
図4】本実施形態の目地補修方法の処理手順を示すフローチャートである。
図5】目地が補修される状態を説明する斜視図である。
図6】本実施形態の充填工程の処理手順を示すフローチャートである。
図7】成形部材が嵌め込まれた目地を示す断面図である。
図8】本実施形態の嵌め込み工程の処理手順を示すフローチャートである。
図9】成形部材が取り外された目地を示す部分断面図である。
図10】本発明の他の実施形態の目地補修方法の処理手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の他の実施形態の第1充填工程を説明する正面図である。
図12】本発明の他の実施形態の第1嵌め込み工程を説明する正面図である。
図13】本発明の他の実施形態の第2充填工程を説明する正面図である。
図14】本発明の他の実施形態の第2嵌め込み工程を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0021】
[外壁]
図1は、本実施形態の目地補修方法で補修される外壁1を示す部分斜視図である。図2は、図1の外壁1の部分断面図である。外壁1は、例えば、一般的な住宅やビル等の建物に設けられている。本実施形態の外壁1は、目地2を有しており、壁下地3と、複数の仕上げ材4とを含んで構成されている。
【0022】
[壁下地]
本実施形態の壁下地3は、複数の壁パネル3Pを並べて構成されている。複数の壁パネル3Pは、例えば、矩形の板状に形成されており、図示しない枠体(図示省略)等に固定されている。各壁パネル3Pには、例えば、窯業系サイディング材、ALC(軽量気泡コンクリート)、珪酸カルシウム板、石膏ボード、又は、石膏スラグ板等が採用されうる。
【0023】
[仕上げ材]
本実施形態の複数の仕上げ材4は、壁下地3に、接着剤5を介して固定されている。本実施形態の接着剤5には、例えば、弾性接着剤や、モルタル等が用いられている。
【0024】
本実施形態の仕上げ材4は、タイル6として構成されている。なお、仕上げ材4は、例えば、石材や、陶板等で構成されてもよい。本実施形態の複数のタイル6は、例えば、馬目地状に配置されているが、芋目地状等に配置されていてもよい。
【0025】
[目地]
本実施形態の目地2は、複数の仕上げ材4、4(本例では、タイル6、6)の間に形成されている。本実施形態の目地2は、第1方向xに延びる第1目地2Aと、第1方向xと交差する向き(第2方向y)に延びる第2目地2Bとを含んでいる。なお、目地2は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、第1目地2A及び第2目地2Bのいずれかのみで構成されてもよいし、第1目地2A及び第2目地2Bとは異なる目地(図示省略)が含まれてもよい。
【0026】
図2に示されるように、目地2は、目地底2aと、目地底2aの両側から仕上げ材4の表面側(z軸方向)に延びる側面2b、2bとを有している。目地2の幅W1は、例えば、3~8mm程度に設定されている。
【0027】
本実施形態の目地底2aは、接着剤5(接着剤5の硬化物)で形成されている。なお、仕上げ材4がモルタルや樹脂モルタルで固着される場合には、これらの硬化物で目地底2aが形成されていてもよい。本実施形態の側面2b、2bは、仕上げ材4の側面4b、4bで形成されている。
【0028】
ところで、目地2は、接着剤5(接着剤5の硬化物)の経年劣化によって、ひび割れ等が生じる場合がある。このようなひび割れ等を補修するには、例えば、目地2に、可塑性を有する目地補修材が充填される。図3は、目地補修材7が充填された目地2を示す部分断面図である。
【0029】
目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げるためには、目地補修材7が硬化する前に、目地補修材7の表面7sが平滑に均されるのが好ましい。このような均し作業は、従来、作業者がヘラ等を用いて行うため、作業者の熟練した技術を必要とする。したがって、均し作業は、誰もが簡単に行えるものではなかった。
【0030】
[目地補修方法(第1実施形態)]
次に、本実施形態の目地補修方法が説明される。図4は、本実施形態の目地補修方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
[充填工程]
本実施形態の目地補修方法には、図3に示されるように、目地2に、可塑性を有する目地補修材7が充填される(充填工程S1)。図5は、目地2が補修される状態を説明する斜視図である。図5に示されるように、本実施形態の充填工程S1では、目地長手方向に沿って、目地2に、目地補修材7が充填される。
【0032】
本実施形態の充填工程S1では、図3に示されるように、目地2の目地底2aが覆われるように、目地補修材7が充填される。目地補修材7の最大厚さW2は、例えば、3~5mm程度に設定される。
【0033】
目地補修材7は、目地2を補修することができれば、特に限定されない。本実施形態の目地補修材7には、変性シリコン系補修材(変性シリコン樹脂を主成分とした補修材)7Aが用いられるのが好ましい。
【0034】
変性シリコン系補修材7Aは、耐候性及び硬化後の弾力性に優れるため、目地2を長期間に亘って保護することが可能となる。さらに、変性シリコン系補修材7Aは、硬化前において可塑性を有するため、例えば、粘性を有する補修材に比べて、円滑に充填することができる。
【0035】
変性シリコン系補修材7Aは、湿気硬化型の補修材である。このため、変性シリコン系補修材7Aは、空気中に含まれる水分と化学反応して硬化する。このような変性シリコン系補修材7Aは、例えば、充填後に加熱が必要な熱硬化型の補修材に比べて、施工性が向上する。
【0036】
図5に示されるように、本実施形態の目地補修材7の充填には、例えば、従来のコーキングガン8が用いられる。このようなコーキングガン8は、目地長手方向に沿って、目地2に、目地補修材7を効率よく充填することができる。
【0037】
図6は、本実施形態の充填工程S1の処理手順を示すフローチャートである。図5に示されるように、本実施形態の目地2は、第1目地2Aと、第2目地2Bとを含んでいる。このため、本実施形態の充填工程S1は、目地補修材7を、第1目地2Aに充填する第1充填工程S11と、第2目地2Bに充填する第2充填工程S12とを含んでいる。
【0038】
本実施形態の第1充填工程S11では、第1方向(目地長手方向)xに沿って、第1目地2Aに、目地補修材7が充填される。一方、第2充填工程S12では、第2方向(目地長手方向)yに沿って、第2目地2Bに、目地補修材7が充填される。これにより、第1目地2A及び第2目地2Bの双方に、目地補修材7が充填されうる。本実施形態において、第1充填工程S11及び第2充填工程S12が実施される順番は、特に限定されない。
【0039】
[嵌め込み工程]
次に、本実施形態の目地補修方法は、目地2に、紐状の成形部材10が嵌め込まれる(嵌め込み工程S2)。本実施形態の嵌め込み工程S2は、目地補修材7が硬化する前に実施される。図7は、成形部材10が嵌め込まれた目地2を示す断面図である。
【0040】
図5及び図7に示されるように、本実施形態の嵌め込み工程S2では、目地補修材7の表面7sと接するように、目地長手方向に沿って延びる紐状の成形部材10が、目地2に嵌め込まれる。
【0041】
本実施形態の嵌め込み工程S2では、目地2に充填された目地補修材7の表面7sの全体に接するように、成形部材10が目地2に嵌め込まれる。成形部材10と目地底2aとの間の最短距離L1は、例えば、2~4mm程度に設定されている。
【0042】
本実施形態の嵌め込み工程S2では、成形部材10が、目地2に嵌め込まれることにより、目地補修材7の表面7sを、目地長手方向に沿って平滑(すなわち、凹凸がなく滑らか)に均すことができる。したがって、本実施形態の目地補修方法では、作業者の熟練した技術を必要することなく、誰でも簡単に、目地補修材7の表面7sを平滑に均すことができるため、目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げることが可能となる。なお、「平滑(滑らか)」は、成形部材10の表面10sの微細な凹凸によって成形された凹凸部(図示省略)が許容されるものとする。
【0043】
成形部材10は、硬化後の目地補修材7から剥離可能な材料で構成されるのが好ましい。これにより、成形部材10は、目地補修材7が硬化するまでの間、目地補修材7の表面7sに連続して接することができる。したがって、目地補修材7の成形性が向上し、目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げることが可能となる。
【0044】
成形部材10は、目地補修材7の表面7sを均すことができる紐状のものであれば、特に限定されない。成形部材10は、表面10sに微細な凹凸を有する多孔質材料で構成されるのが好ましい。このような成形部材10は、微細な凹凸によって、目地補修材7の表面7sに、空気を供給することができるため、湿気硬化型の目地補修材7(本例では、変性シリコン系補修材7A)の硬化が阻害されるのを抑制することが可能となる。
【0045】
本実施形態の成形部材10は、発泡ポリエチレンで構成されている。このような発泡ポリエチレンは、硬化後の目地補修材7(本例では、変性シリコン系補修材7A)から容易に剥離することができる。さらに、発泡ポリエチレンは、表面に微細な凹凸を有する多孔質材料であるため、目地補修材7の表面7sに、空気を供給することができ、目地補修材7の硬化が阻害されるのを抑制することが可能となる。このような成形部材10には、例えば、シーリング材の充填時に用いられている公知のバックアップ材を用いることができる。
【0046】
成形部材10の断面は、円形状であるのが好ましい。このような成形部材10は、目地補修材7の厚さW3を、目地補修材7の幅方向中央側から両端に向かって漸増させることができるため、目地2の側面2b、2bと、目地補修材7との接着性が向上し、目地2を長期間に亘って保護することが可能となる。なお、円形状は、本実施形態のような真円形状に限定されるわけではなく、例えば、楕円形状であってもよい。
【0047】
成形部材10の断面は、目地2に嵌め込まれる前において、目地2の幅W1と同程度の外径(最大径)D1を有するのが好ましく、また、目地2の幅W1以上の外径(最大径)D1を有するのがさらに好ましい。このような成形部材10は、目地2の全幅に亘って、目地補修材7の表面7sを成形することができる。したがって、目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げることが可能となる。さらに、成形部材10の外径D1は、目地2の幅W1よりも大きく形成されることで、成形部材10を圧縮した状態で、目地2の内部に嵌め込むことが可能となる。これにより、目地2の側面2b、2bと、成形部材10との摩擦力が増大し、成形部材10を目地2に安定して嵌め込むことが可能となる。
【0048】
図8は、本実施形態の嵌め込み工程S2の処理手順を示すフローチャートである。図5に示されるように、本実施形態の目地2は、第1目地2Aと、第2目地2Bとを含んでいる。このため、本実施形態の嵌め込み工程S2は、成形部材10を、第1目地2Aに嵌め込む第1嵌め込み工程S21と、第2目地に嵌め込む第2嵌め込み工程S22とを含んでいる。
【0049】
本実施形態の第1嵌め込み工程S21では、第1目地2Aに充填された目地補修材7の表面7s(図7に示す)と接するように、第1方向(目地長手方向)xに沿って延びる紐状の成形部材10が、第1目地2Aに嵌め込まれる。一方、第2嵌め込み工程S22では、第2目地2Bに充填された目地補修材7の表面7sと接するように、第2方向(目地長手方向)yに沿って延びる紐状の成形部材10が、第2目地2Bに嵌め込まれる。これにより、第1目地2A及び第2目地2Bの双方に、成形部材10が嵌め込まれる。本実施形態において、第1嵌め込み工程S21及び第2嵌め込み工程S22が実施される順番は、特に限定されない。
【0050】
第2嵌め込み工程S22では、第1目地2Aと第2目地2Bとの交差部2Cにおいて、第1目地2Aに嵌め込まれた成形部材10との間に隙間が形成されないように、第2目地2Bに成形部材10が嵌め込まれるのが好ましい。これにより、本実施形態では、交差部2Cにおいて、成形部材10によって押圧された目地補修材7が部分的に盛り上がるのを抑制することができるため、目地補修材7の表面7sを、より見栄え良く仕上げることが可能となる。
【0051】
[除去工程]
次に、本実施形態の目地補修方法では、目地補修材7が硬化した後、目地補修材7から成形部材10が取り外される(除去工程S3)。本実施形態では、成形部材10が目地2に嵌め込まれてから、目地補修材7の硬化に必要な期間(例えば、1~3日程度)が経過した後に、目地補修材7から成形部材10が取り外される。図9は、成形部材10が取り外された目地2を示す部分断面図である。
【0052】
図5に示されるように、本実施形態では、第1目地2A及び第2目地2Bに、成形部材10がそれぞれ嵌め込まれている。このため、除去工程S3では、図9に示されるように、第1目地2Aに嵌め込まれた成形部材10及び第2目地2Bに嵌め込まれた成形部材10が取り外される。
【0053】
本実施形態では、目地補修材7が硬化するまでの間、目地補修材7の表面7sに、成形部材10が連続して接しているため、目地補修材7の成形性が高められる。そして、目地補修材7が硬化した後に、目地補修材7から成形部材10が取り外されることにより、補修対象の目地2に、目地長手方向に沿って平滑に均された表面7sを有する目地補修材7の硬化物が形成されうる。
【0054】
このように、本実施形態の目地補修方法では、目地2に、目地補修材7を充填した後に、紐状の成形部材10を嵌め込むことにより、目地補修材7の表面7sを平滑に均すことができる。したがって、本実施形態の目地補修方法は、作業者の熟練した技術を必要とすることなく、目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げることができる。
【0055】
[目地補修方法(第2実施形態)]
これまでの実施形態の目地補修方法では、第1充填工程S11及び第2充填工程S12が実施される順番や、第1嵌め込み工程S21及び第2嵌め込み工程S22が実施される順番が、特に限定されなかったが、このような態様に限定されない。図10は、本発明の他の実施形態の目地補修方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
この実施形態の目地補修方法では、先ず、目地補修材7を第1目地2Aに充填する第1充填工程S11が行われる。図11は、第1充填工程S11を説明する正面図である。この実施形態の第1充填工程S11は、これまでの実施形態の手順に基づいて実施される。
【0057】
次に、この実施形態の目地補修方法では、第1充填工程S11の後に、第1目地2Aに成形部材10を嵌め込む第1嵌め込み工程S21が行われる。図12は、第1嵌め込み工程S21を説明する正面図である。
【0058】
この実施形態の第1嵌め込み工程S21は、第1目地2Aの目地補修材7(図11に示す)が硬化する前に実施される。この実施形態の第1嵌め込み工程S21は、これまでの実施形態の手順に基づいて実施される。
【0059】
次に、この実施形態の目地補修方法では、第1嵌め込み工程S21の後に、目地補修材7を第2目地2Bに充填する第2充填工程S12が行われる。図13は、第2充填工程S12を説明する正面図である。第2充填工程S12は、これまでの実施形態の手順に基づいて実施される。
【0060】
この実施形態の第2充填工程S12では、第1目地2Aに成形部材10が嵌め込まれた後に、第2目地2Bに目地補修材7が充填される。これにより、目地補修材7を第2方向yに沿って第2目地2Bに充填する際に、第2目地2Bの目地補修材7が、第1目地2Aを越えて、第1目地2Aと第2目地2Bとの交差部2Cに隣接する仕上げ材4に接触するのを防ぐことができる。
【0061】
次に、この実施形態の目地補修方法では、第2充填工程S12後に、第2目地2Bに成形部材10を嵌め込む第2嵌め込み工程S22が行われる。図14は、第2嵌め込み工程S22を説明する正面図である。
【0062】
この実施形態の第2嵌め込み工程S22は、第2目地2Bの目地補修材7が硬化する前に実施される。第2嵌め込み工程S22は、これまでの実施形態の手順に基づいて実施される。
【0063】
このように、この実施形態の目地補修方法では、第1充填工程S11(図11に示す)の後、第1嵌め込み工程S21(図12に示す)が行われ、その後、第2充填工程S12(図13に示す)が行われる。これにより、この実施形態の目地補修方法では、目地補修材7が仕上げ材4に接触するのを防ぐことができる。したがって、この実施形態の目地補修方法は、目地補修材7の表面7sを見栄え良く仕上げつつ、仕上げ材4の汚損を防ぐことが可能となる。
【0064】
図14に示されるように、第2嵌め込み工程S22では、第1目地2Aと第2目地2Bとの交差部2Cにおいて、第1目地2Aの成形部材10との間に隙間が形成されないように、第2目地2Bに成形部材10が嵌め込まれるのが好ましい。これにより、目地補修材7の表面7sを、より見栄え良く仕上げることが可能となる。
【0065】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0066】
1 外壁
2 目地
7 目地補修材
10 成形部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14