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特開2023-109476照明制御システム、調光盤、照明制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109476
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】照明制御システム、調光盤、照明制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20230801BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20230801BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011014
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】廣渡 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 智
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昇太郎
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273RA16
3K273SA19
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA15
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】意図しない照明負荷の操作を防ぎやすくすること。
【解決手段】照明制御システム100は、入力部11と、制御部12と、制限部14と、を備えている。入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷2を操作するための操作信号を受け付ける。制御部12は、入力部11が受け付けた操作信号に基づいて、照明負荷2を制御する調光器13へ制御信号を送信する。制限部14は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を入力部11が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷を操作するための操作信号を受け付ける入力部と、
前記入力部が受け付けた前記操作信号に基づいて、前記照明負荷を制御する調光器へ制御信号を送信する制御部と、
前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を前記入力部が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する制限部と、を備える、
照明制御システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元の数が規定数に達することである、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制限部は、前記制限処理の実行中において、前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元の数が前記規定数を下回ると、前記制限処理を停止する、
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記照明負荷は、1つの空間に複数配置されており、
前記空間を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する区切り指定部を更に備え、
前記制御部は、前記区切り指定部で指定された区切り方に応じて、複数の前記照明負荷をそれぞれ制御する複数の前記調光器へ前記制御信号を送信する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷を操作するための操作信号を受け付ける入力部と、
前記照明負荷を制御する調光器と、
前記入力部が受け付けた前記操作信号に基づいて、前記調光器へ制御信号を送信する制御部と、
所定の条件を満たすと、前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を前記入力部が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する制限部と、を備える、
調光盤。
【請求項6】
外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷を操作するための操作信号を受け付け、
受け付けた前記操作信号に基づいて、前記照明負荷を制御する調光器へ制御信号を送信し、
受け付けた前記操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を受け付けても、当該操作信号を無効とする、
照明制御方法。
【請求項7】
1以上のプロセッサに、
請求項6に記載の照明制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明負荷を制御する照明制御システム、調光盤、照明制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明エリアに設置された複数台の照明負荷を一括制御する、又は照明エリアを分割した小エリアごとに照明負荷を制御する照明用通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-135640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、意図しない照明負荷の操作を防ぎやすい照明制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、入力部と、制御部と、制限部と、を備える。前記入力部は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷を操作するための操作信号を受け付ける。前記制御部は、前記入力部が受け付けた前記操作信号に基づいて、前記照明負荷を制御する調光器へ制御信号を送信する。前記制限部は、前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を前記入力部が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【0006】
本発明の一態様に係る調光盤は、入力部と、調光器と、制御部と、制限部と、を備える。前記入力部は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷を操作するための操作信号を受け付ける。前記調光器は、前記照明負荷を制御する。前記制御部は、前記入力部が受け付けた前記操作信号に基づいて、前記調光器へ制御信号を送信する。前記制限部は、所定の条件を満たすと、前記入力部が受け付けている前記操作信号の送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を前記入力部が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【0007】
本発明の一態様に係る照明制御方法は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷を操作するための操作信号を受け付ける。前記照明制御方法は、受け付けた前記操作信号に基づいて、前記照明負荷を制御する調光器へ制御信号を送信する。前記照明制御方法は、受け付けた前記操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの前記操作信号を受け付けても、当該操作信号を無効とする。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の照明制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明制御システム等は、意図しない照明負荷の操作を防ぎやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明制御システムの第1動作例の説明図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明制御システムの第2動作例の説明図である。
図4図4は、実施の形態に係る照明制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図5図5は、比較例の照明制御システムの動作の問題点の説明図である。
図6図6は、実施の形態に係る照明制御システムの動作の利点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る照明制御システムの構成について説明する。照明制御システムは、例えばテレビ局、コンサートホール、又は演劇場等の1以上の空間で照明の演出が行われる施設に設置されるシステムである。1以上の空間は、例えばスタジオ、ホール、又は舞台等である。もちろん、照明制御システムが設置される施設は、テレビ局、コンサートホール、及び演劇場以外の施設であってもよい。
【0014】
図1は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。図1に示すように、照明制御システム100は、調光盤1に搭載されている。調光盤1は、イーサネット(登録商標)で通信するための通信プロトコルに従って複数の操作器3と通信可能に構成されている。また、調光盤1は、後述するように複数の調光器13を備えている。複数の調光器13には、それぞれ複数の照明負荷2が接続されている。
【0015】
図1に示す例では、各調光器13には1つの照明負荷2が接続されているが、複数の照明負荷2がディジーチェーン接続されていてもよい。また、各調光器13に複数の照明負荷2がディジーチェーン接続されている場合、これらの照明負荷2は全て同じ仕様又は種類でなくてもよく、互いに異なる仕様又は種類の照明負荷2が混在していてもよい。
【0016】
以下の説明では、照明制御システム100が使用される環境において、3つの操作器3と、4つの照明負荷2と、が登場するが(図2,3,5,6参照)、3つの操作器3をそれぞれ「第1操作器31」、「第2操作器32」、及び「第3操作器33」と区別する場合もある。また、4つの照明負荷2をそれぞれ「照明負荷21」、「照明負荷22」、「照明負荷23」、及び「照明負荷24」と区別する場合もある。
【0017】
なお、図1では図示を省略しているが、調光盤1、複数の照明負荷2、及び複数の操作器3の各々には、電源装置から電力が供給される。
【0018】
操作器3は、例えば設置型又は可搬型の調光操作卓である。なお、操作器3は、例えば照明負荷2を制御するためのアプリケーションがインストールされたスマートフォン、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。操作器3は、ユーザから照明負荷2を制御するための操作を受け付ける。操作器3は、例えば照明負荷2の調光、照明負荷2の調色、又は照明負荷2の照明範囲の変更等を行う操作を受け付ける。操作器3は、例えば各種フェーダ及び各種ボタン等で構成される。フェーダは、例えば、照明負荷2を調光するための操作を受け付けるスライダである。なお、操作器3は、タッチパネル等で構成されていてもよい。
【0019】
実施の形態では、各操作器3は、例えばケーブルを介して調光盤1が有するポートに接続されている。各操作器3は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザからの操作に応じた照明負荷2の制御データを含む制御信号を、操作信号としてケーブルを介して調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。
【0020】
ここで、各操作器3は、DMX(Digital Multiplex System)信号をイーサネット(登録商標)で通信するためのイーサネット(登録商標)プロトコルの操作信号を、調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。イーサネット(登録商標)プロトコルは、512チャネルのDMX信号のデータパケットを1系統(ユニバース)の制御信号として、複数系統の制御信号をマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信することができる通信プロトコルである。イーサネット(登録商標)プロトコルとしては、例えばマルチキャスト送信方式を採用するsACN(streaming Architecture for Control Networks)プロトコル、又はブロードキャスト送信方式を採用するArt-Netプロトコル等がある。
【0021】
操作信号は、送信元の操作器3を識別するための識別情報を有する。操作信号には、系統ごとにID(IDentification)番号であるユニバース番号が付与されており、ユニバース番号を識別情報として用いている。ユニバース番号は、例えばユーザが操作器3を操作することにより、操作信号に対して適宜設定することが可能である。実施の形態では、操作信号は、更に操作器3の固有の識別子を含んでおり、この固有の識別子を識別情報として用いている。ここでいう操作器3に固有の識別子は、例えば操作器3のMAC(Media Access Control)アドレス、又は操作器3のIP(Internet Protocol)アドレス等である。
【0022】
照明負荷2は、例えば、スタジオ、ホール又は舞台等において用いられるホリゾントライト、ダウンライト、スポットライト、又はフラッドライト等である。照明負荷2は、例えば、光源としてLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)、蛍光灯、又は白熱灯等を有する。照明負荷2は、光の照射方向を変更するためのモータ等を有していてもよい。照明負荷2は、例えば、設置されるスタジオ等の空間の床又は天井等の任意の場所に配置される。また、照明負荷2は、天井に設置されたバトン等の懸架器具に吊り下げられてもよい。
【0023】
実施の形態では、照明負荷2は、1つの空間A1に複数配置されている(図2,3,5,6参照)。空間A1は、例えば大部屋であって、アコーディオン式のカーテン又は可動式の間仕切り壁等により、1以上のエリアに区切ることが可能である。すなわち、間仕切り壁等を用いない場合、空間A1は1つのエリアとして利用可能であり、間仕切り壁等を用いる場合、空間A1は複数のエリアとして利用可能である。
【0024】
調光盤1(照明制御システム100)は、入力部11と、制御部12と、複数の調光器13と、制限部14と、区切り指定部15と、を備えている。実施の形態では、複数の調光器13は照明制御システム100の構成要素に含まれているが、照明制御システム100の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0025】
入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷2を操作するための操作信号を受け付けるための通信インタフェースである。実施の形態では、入力部11は、各操作器3からの操作信号を受け付けるように構成されている。入力部11と各操作器3との間のネットワークには、例えばLAN(Local Area Network)等が用いられる。ネットワークに用いられるLANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。ネットワークに有線LANが用いられる場合、有線LANは、例えばLANケーブル及びスイッチングハブ等で構成される。なお、通信距離が比較的長い場合には、LANケーブルの代わりに光ファイバケーブルが用いられてもよい。なお、入力部11と各操作器3との通信には、例えば国の電波利用の割り当てに沿った周波数を利用した特定小電力無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWi-Fi(登録商標)等の無線用の通信方式が用いられてもよい。
【0026】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。制御部12は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。制御部12は、入力部11が受け付けた操作信号に基づいて、照明負荷2を制御する調光器13へ制御信号を送信する。実施の形態では、制御部12は、イーサネット(登録商標)プロトコルの通信信号と、DMXプロトコルの通信信号とを双方向にプロトコル変換する。DMXプロトコルは、主に舞台照明又はスタジオの演出照明機器等の制御に使われる通信プロトコルである。制御部12は、操作器3からの操作信号を入力部11が受け付けた場合、当該操作信号をDMX信号(制御信号)に変換し、変換したDMX信号を調光器13に送信する。これにより、DMX信号を受信した調光器13が、当該DMX信号に含まれる制御データに従って照明負荷2を制御する。
【0027】
調光器13は、照明負荷2を制御する機器である。具体的には、調光器13は、制御部12からのDMX信号(制御信号)を受信し、受信したDMX信号に従って調光器13に接続された照明負荷2へ供給される電力を制御することにより、照明負荷2が出射する光を調光する。なお、調光器13は、受信したDMX信号に従って照明負荷2を制御することにより、照明負荷2が出射する光の調色、又は照明範囲の変更等を行ってもよい。調光器13が照明負荷2を制御することにより、例えばスタジオ、ホール、又は舞台等の照明負荷2が設置された空間の照明の演出が行われる。
【0028】
制限部14は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。制限部14は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。制限部14は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を入力部11が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【0029】
制限処理において、制限部14は、入力部11が受け付けている操作信号に対応するユニバース番号、及び操作信号に含まれる操作器3の固有の識別子(例えば、MACアドレス)を参照することにより、操作信号の送信元を特定する。ここで、操作信号に対応するユニバース番号のみを参照して操作信号の送信元を特定した場合、複数の操作器3から同一のユニバース番号に対応する操作信号が送信されると、これらの操作器3を区別することができない。そこで、実施の形態では、制限部14は、上述のようにユニバース番号のみならず操作器3の固有の識別子も参照することにより、操作信号の送信元を特定する。
【0030】
また、制限処理において、制限部14は、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を入力部11が受け付けても、当該操作信号を無効とする。ここで「操作信号を無効とする」とは、制御部12が操作信号に基づく制御信号を調光器13へ送信しないようにすることをいう。例えば、制限部14は、入力部11から制御部12へ操作信号を送信しないようにすることで操作信号を無効としてもよいし、制御部12が操作信号に対して反応しないようにすることで操作信号を無効としてもよい。
【0031】
一例として、2つの操作器3の各々からのユニバース番号「1」に対応する操作信号、及びユニバース番号「2」に対応する操作信号を入力部11が受け付けている状態で、制限部14が制限処理を実行する、と仮定する。この場合、他の操作器3からのユニバース番号「1」に対応する操作信号を入力部11が受け付けても、制限部14は、当該操作信号を無効とする。つまり、制限部14が制限処理を実行している間においては、制限処理の開始時点において入力部11が受け付けている操作信号のみが有効とされる。
【0032】
所定の条件は、例えば調光盤1に備え付けのスイッチ等をユーザが操作することである。この場合、制限部14が制限処理を実行するか否かをユーザの操作に応じて切り替えることが可能である。なお、所定の条件は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末にてユーザによる所定の操作を受け付け、当該所定の操作に応じた信号を調光盤1が受信することであってもよい。この場合、制限部14が制限処理を実行するか否かを、ユーザの遠隔操作に応じて切り替えることが可能である。
【0033】
また、例えば、所定の条件は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数に達することであってもよい。例えば、規定数が「2」に設定されている場合、制限部14は、2つの操作器3からの操作信号を入力部11が受け付けている状態になると、制限処理を実行する。規定数は、例えば調光盤1に備え付けのスイッチ等をユーザが操作したり、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末を用いてユーザが遠隔操作したりすることで、適宜設定されてもよい。
【0034】
上記の場合、制限部14は、制限処理の実行中において、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数を下回ると、制限処理を停止してもよい。例えば、規定数が「2」に設定されている場合、制限部14は、1つの操作器3からの操作信号を入力部11が受け付けている状態になると、制限処理を停止する。
【0035】
区切り指定部15は、空間A1を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する。実施の形態では、区切り指定部15は、空間A1全体を1つのエリアとするか(図3参照)、空間A1を2つのエリア(第1エリアA11及び第2エリアA12)に区切るか(図2参照)を指定する。なお、区切り指定部15は、空間A1を3つ以上のエリアに区切るように指定可能であってもよい。
【0036】
区切り指定部15は、例えば調光盤1に備え付けのスイッチ等をユーザが操作することにより、空間A1の区切り方を切り替えることが可能である。また、区切り指定部15は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末を用いてユーザが遠隔操作することにより、空間A1の区切り方を切り替えることが可能であってもよい。
【0037】
そして、実施の形態では、制御部12は、区切り指定部15で指定された区切り方に応じて、複数の照明負荷2をそれぞれ制御する複数の調光器13へ制御信号を送信する。以下、制御部12の動作例について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る照明制御システム100の第1動作例の説明図である。図3は、実施の形態に係る照明制御システム100の第2動作例の説明図である。図2及び図3のいずれにおいても、空間A1には、4つの照明負荷21~24が配置されていることとする。また、図2に示すように、4つの照明負荷21~24のうち照明負荷21,22が第1エリアA11に配置されており、残りの2つの照明負荷23,24が第2エリアA12に配置されていることとする。
【0038】
また、図2及び図3には図示していないが、照明負荷21,22と、照明負荷23,24とは、それぞれ互いに異なる2つの調光器13に接続されていることとする。そして、照明負荷21,22、及び照明負荷21,22に接続される調光器13は、ユニバース番号「1」、「4」に対応しており、照明負荷23,24、及び照明負荷23,24に接続される調光器13は、ユニバース番号「2」、「4」に対応していることとする。ここで、ユニバース番号「1」は照明負荷21,22、及び照明負荷21,22に接続される調光器13に固有のユニバース番号である。また、ユニバース番号「2」は照明負荷23,24、及び照明負荷23,24に接続される調光器13に固有のユニバース番号である。また、ユニバース番号「4」は、照明負荷21~24、及び2つの調光器13に共通のユニバース番号である。
【0039】
第1動作例では、図2に示すように、区切り指定部15により空間A1が第1エリアA11及び第2エリアA12に区切ることを指定されている。この場合、調光盤1(制御部12)は、操作器3からの操作信号に対応するユニバース番号を変換することなく、各調光器13へ制御信号を送信する。
【0040】
例えば、第1操作器31からの操作信号がユニバース番号「1」に対応する場合、調光盤1は、ユニバース番号「1」に対応する制御信号を各調光器13へ送信する。これにより、ユニバース番号「1」に対応する調光器13は、当該制御信号に含まれる制御データに従って、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22を制御する。また、例えば、第2操作器32からの操作信号がユニバース番号「2」に対応する場合、調光盤1は、ユニバース番号「2」に対応する制御信号を各調光器13へ送信する。これにより、ユニバース番号「2」に対応する調光器13は、当該制御信号に含まれる制御データに従って、第2エリアA12に配置された照明負荷23,24を制御する。
【0041】
したがって、第1動作例では、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22が第1操作器31により制御され、第2エリアA12に配置された照明負荷23,24が第2操作器32により制御されることになる。
【0042】
第2動作例では、図3に示すように、区切り指定部15により空間A1全体が1つのエリアであることを指定されている。この場合、調光盤1(制御部12)は、操作器3からの操作信号に対応するユニバース番号を共通のユニバース番号に変換し、変換した共通のユニバース番号に対応する制御信号を各調光器13へ送信する。
【0043】
例えば、第1操作器31からの操作信号がユニバース番号「1」に対応する場合、調光盤1は、共通のユニバース番号「4」に対応する制御信号を各調光器13へ送信する。これにより、共通のユニバース番号「4」に対応する2つの調光器13は、それぞれ当該制御信号に含まれる制御データに従って、照明負荷21~24を制御する。
【0044】
したがって、第2動作例では、空間A1に配置された照明負荷21~24が第1操作器31により一括して制御されることになる。
【0045】
[動作]
以下、実施の形態に係る調光盤1(照明制御システム100)の動作について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る照明制御システム100の動作例を示すフローチャートである。図4においては、区切り指定部15の動作については省略している。
【0046】
まず、ユーザからの操作を受け付けることで、操作器3が操作信号を調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。すると、調光盤1の入力部11は、操作信号を受け付ける(S101)。次に、調光盤1の制限部14は、操作信号に対応するユニバース番号、及び操作信号に固有の識別子を参照することにより、入力部11が受け付けた操作信号の送信元を特定する(S102)。
【0047】
制限部14は、所定の条件を満たしている場合(S103:Yes)、制限処理を実行することにより、入力部11が受け付けている操作信号の送信元とは異なる他の送信元からの操作信号を無効とする(S104)。一方、制限部14は、所定の条件を満たしていない場合(S103:No)、制限処理を実行しない。
【0048】
そして、制御部12は、入力部11が受け付けている操作信号に基づいて、各調光器13へ制御信号を送信することにより、各照明負荷2を制御する(S105)。制限部14が制限処理を実行している間においては、制御部12は、制限処理の開始時点において入力部11が受け付けている操作信号のみに基づいて、各調光器13へ制御信号を送信する。一方、制限部14が制限処理を実行していない間においては、制御部12は、入力部11が受け付けている操作信号に基づいて、各調光器13へ制御信号を送信する。
【0049】
[利点]
以下、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)の利点について、比較例の照明制御システムを搭載した比較例の調光盤200(図5参照)との比較を交えて説明する。比較例の照明制御システムは、制限部14を備えていない点で、実施の形態に係る照明制御システム100と相違する。
【0050】
図5は、比較例の照明制御システム(比較例の調光盤200)の動作の問題点の説明図である。図6は、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)の動作の利点の説明図である。図5及び図6のいずれにおいても、第1操作器31がユニバース番号「1」に対応する操作信号を、第2操作器32がユニバース番号「2」に対応する操作信号を、第3操作器33がユニバース番号「1」に対応する操作信号を送信していることとする。また、図5及び図6のいずれにおいても、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22は、ユニバース番号「1」に対応する操作信号に基づいて操作され、第2エリアA12に配置された照明負荷23,24は、ユニバース番号「2」に対応する操作信号に基づいて操作されることとする。
【0051】
比較例の調光盤200は、図5に示すように、第1操作器31からの操作信号、第2操作器32からの操作信号、及び第3操作器33からの操作信号を、いずれも有効な操作信号として受け付けている。このため、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22は、第1操作器31及び第3操作器33のいずれによっても操作可能となっている。したがって、ユーザが第1操作器31を用いて照明負荷21,22を操作している状態で、他のユーザが第3操作器33を用いて照明負荷21,22を割り込んで操作できてしまう、という問題が生じ得る。
【0052】
上記の問題は、例えば以下のような状況で起こり得る。すなわち、第1エリアA11にて第1グループによる結婚式が催されており、第1エリアA11に専用の第1操作器31により照明負荷21,22が操作されている、と仮定する。また、第2エリアA12にて第2グループによるイベントが催されており、第2エリアA12に専用の第2操作器32により照明負荷23,24が操作されている、と仮定する。そして、第2グループが第2エリアA12に持ち込んだ可搬型の第3操作器33により、照明負荷23,24を操作しようとしている、と仮定する。
【0053】
このような状況において、例えば第3操作器33を操作するユーザが、ユニバース番号「2」を指定するところを誤ってユニバース番号「1」を指定してしまった場合、比較例の調光盤200は、第3操作器33からのユニバース番号「1」に対応する操作信号に基づいて、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22を割り込んで操作してしまうことになる。この場合、第1グループによる結婚式において、意図しない照明負荷21,22の操作が行われることになり、混乱が生じてしまう。
【0054】
これに対して、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)では、図6に示すように、第1操作器31からの操作信号及び第2操作器32からの操作信号を受け付けている状態で、他の操作器3(ここでは、第3操作器33)からの操作信号を無効とするように、制限部14が制限処理を実行することが可能である。このため、実施の形態に係る照明制御システム100は、第1操作器31からの操作信号、及び第2操作器32からの操作信号の各々を有効な操作信号として受け付ける一方、第3操作器33からの操作信号を無効とすることが可能である。したがって、ユーザが第1操作器31を用いて照明負荷21,22を操作している状態で、他のユーザが第3操作器33を用いて照明負荷21,22を割り込んで操作できてしまう、という問題が生じない。
【0055】
上述のように、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)は、入力部11が受け付けている送信元とは異なる送信元からの操作信号を無効とすることができるので、意図しない照明負荷2の操作を防ぎやすい、という利点がある。
【0056】
[変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、照明制御システム100は区切り指定部15を備えているが、区切り指定部15を備えていなくてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、入力部11は、操作器3からの操作信号を受け付けているが、これに限られない。例えば、入力部11は、調光盤1とは別の調光盤から中継される操作信号を受け付けてもよい。つまり、入力部11は、調光盤1とは別の機器等からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される操作信号を受け付けるように構成されていればよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、調光器13は調光盤1に内蔵されているが、これに限られない。例えば、調光器13は、照明負荷2が配置されている空間A1等、調光盤1の外部に配置されていてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、調光器13と、制御対象である照明負荷2とは別体であるが、これに限られない。例えば、調光器13は、制御対象である照明負荷2に内蔵されていてもよい。つまり、照明負荷2が調光器13としての機能を有していてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、照明制御システム100は、調光盤1という1つの装置により実現されているが、これに限られない。例えば、照明制御システム100は、複数の装置により実現されてもよい。照明制御システム100が複数の装置によって実現される場合、照明制御システム100が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態において、制御部等の構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0063】
また、制御部等の構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部等の構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0064】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0065】
(まとめ)
以上説明したように、照明制御システム100は、入力部11と、制御部12と、制限部14と、を備えている。入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷2を操作するための操作信号を受け付ける。制御部12は、入力部11が受け付けた操作信号に基づいて、照明負荷2を制御する調光器13へ制御信号を送信する。制限部14は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を入力部11が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【0066】
このような照明制御システム100によれば、入力部11が受け付けている送信元とは異なる送信元からの操作信号を無効とすることができるので、意図しない照明負荷2の操作を防ぎやすい、という利点がある。
【0067】
また、例えば、所定の条件は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数に達することである。
【0068】
このような照明制御システム100によれば、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数に達すると、制限部14による制限処理が実行されるので、ユーザが制限部14に制限処理を実行させるための操作を行わなくて済む、という利点がある。
【0069】
また、例えば、制限部14は、制限処理の実行中において、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数を下回ると、制限処理を停止する。
【0070】
このような照明制御システム100によれば、入力部11が受け付けている操作信号の送信元の数が規定数を下回ると、制限部14による制限処理が停止されるので、ユーザが制限部14に制限処理を停止させるための操作を行わなくて済む、という利点がある。
【0071】
また、例えば、照明負荷2は、1つの空間A1に複数配置されている。また、照明制御システム100は、空間A1を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する区切り指定部15を更に備える。制御部12は、区切り指定部15で指定された区切り方に応じて、複数の照明負荷2をそれぞれ制御する複数の調光器13へ制御信号を送信する。
【0072】
このような照明制御システム100によれば、空間A1に配置された全ての照明負荷2を操作したり、複数のエリアごとに照明負荷2を分けて操作したりすることができるので、空間A1を有効に利用しやすい、という利点がある。
【0073】
また、例えば、調光盤1は、入力部11と、調光器13と、制御部12と、制限部14と、を備えている。入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷2を操作するための操作信号を受け付ける。調光器13は、照明負荷2を制御する。制御部12は、入力部11が受け付けた操作信号に基づいて、調光器13へ制御信号を送信する。制限部14は、入力部11が受け付けている操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を入力部11が受け付けても、当該操作信号を無効とする制限処理を実行する。
【0074】
このような調光盤1によれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0075】
また、例えば、照明制御方法では、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される照明負荷2を操作するための操作信号を受け付ける。また、照明制御方法では、受け付けた操作信号に基づいて、照明負荷2を制御する調光器13へ制御信号を送信する。また、照明制御方法では、受け付けた操作信号の送信元を特定し、所定の条件を満たすと、特定した送信元とは異なる送信元からの操作信号を受け付けても、当該操作信号を無効とする。
【0076】
このような照明制御方法によれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0077】
また、例えば、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の照明制御方法を実行させる。
【0078】
このようなプログラムによれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 調光盤
11 入力部
12 制御部
13 調光器
14 制限部
15 区切り指定部
2、21、22、23、24 照明負荷
3、31、32、33 操作器
100 照明制御システム
A1 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6