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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109482
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】家畜冷却装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
A01K1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011020
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】597037050
【氏名又は名称】アオキ住宅機材販売株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513036848
【氏名又は名称】天空株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青木 憲明
(72)【発明者】
【氏名】米山 鐘一
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA04
2B101BB01
2B101EC01
(57)【要約】
【課題】個々の家畜の全身を良好に冷却することが可能な家畜冷却装置を提供する。
【解決手段】家畜冷却装置100は、1頭の家畜120を収容するケージ110に着脱可能に装着され、液体冷媒が供給される冷媒管20を有する冷却部10と、ケージ110の上部に着脱可能に取り付けられるクランプ91と、を備え、クランプ91がケージ110の上部に取り付けられることによって、家畜冷却装置100がケージ110に装着されて、冷却部10がケージ110の内部空間110aと対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1頭の家畜を収容するケージに着脱可能に装着される家畜冷却装置であって、
液体冷媒が供給される冷媒管を有する冷却部と、
前記ケージの上部に着脱可能に取り付けられるクランプと、
を備え、
前記クランプが前記ケージの前記上部に取り付けられることによって、当該家畜冷却装置が前記ケージに装着されて、前記冷却部が前記ケージの内部空間と対向する家畜冷却装置。
【請求項2】
前記冷却部が前記ケージの上縁に沿って略水平に配置される第1状態と、前記冷却部の後端部が前記第1状態と比べて上昇して前記冷却部が前記第1状態よりも傾斜した第2状態と、に可変とさせる角度変更機構を備える請求項1に記載の家畜冷却装置。
【請求項3】
前記ケージは、互いに対向している左右一対の柵部を含み、
当該家畜冷却装置は、
前記冷却部の前端部を保持する第1保持部と、
前記冷却部の後端部を保持する第2保持部と、
左側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第1保持部の左端部を支持する第1支持部と、
右側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第1保持部の右端部を支持する第2支持部と、
左側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第2保持部の左端部を支持する第3支持部と、
右側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第2保持部の右端部を支持する第4支持部と、
を備え、
前記角度変更機構は、
前記第1保持部と前記第1支持部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第1軸支部と、
前記第1保持部と前記第2支持部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第2軸支部と、
第1支持柱と、
第2支持柱と、
前記第1支持柱の一端部と前記第2保持部の左端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第3軸支部と、
前記第2支持柱の一端部と前記第2保持部の右端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第4軸支部と、
を有し、
前記第3支持部は、前記第1状態と前記第2状態とで互いに前後方向で異なる位置で前記第1支持柱の他端部を支持することにより前記第2保持部の左端部を間接的に支持し、
前記第4支持部は、前記第1状態と前記第2状態とで互いに前後方向で異なる位置で前記第2支持柱の他端部を支持することにより前記第2保持部の右端部を間接的に支持し、
前記第1支持柱及び前記第2支持柱は、前記第1状態と比べて第2状態の方がより鉛直に近い姿勢となる請求項2に記載の家畜冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部の前端部を保持する第1保持部と、
前記冷却部の後端部を保持する第2保持部と、
前記ケージの上縁に沿って水平に配置される下フレームと、
を備え、
前記角度変更機構は、
前記第1保持部と前記下フレームとを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している軸支部と、
前記第1状態においては前記下フレームに沿って配置され、前記第2状態においては後端側において前記下フレームから起立した状態となって前記第2保持部を支持する支持フレームと、
を有し、
前記支持フレームは、左右一対の支持柱を有し、
前記第2状態において、前記支持柱どうしの間隙が前記ケージの内部空間と連通した状態となる請求項2に記載の家畜冷却装置。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記下フレームに沿う姿勢と、前記下フレームから起立した姿勢と、に揺動可能に前記下フレームに対して軸支されている請求項4に記載の家畜冷却装置。
【請求項6】
前記冷媒管は、ジグザグ状に互いに連通している偶数本の直線状部分を含み、
前記冷媒管の一端部と他端部とがそれぞれ前記液体冷媒の導入部と導出部とになっており、
前記冷媒管の前記一端部及び前記他端部は前端側に配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の家畜冷却装置。
【請求項7】
前記冷却部の上面に沿って配置されている断熱部を備え、
前記断熱部は、断熱層と、前記断熱層の表裏にそれぞれ設けられた金属層と、を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の家畜冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豚、牛、鶏などの家畜は夏の暑さに弱く、受胎率の低下、食欲の減退、ストレスによる体調不良等の原因になることが知られており、概ね25℃前後から暑熱によるストレスを感じ、概ね30℃以上で生産性が落ちると言われている。
このため畜産業者にとっては家畜の暑熱対策が重要である。暑熱対策としては種々の方法がこれまで提案されている。
特許文献1に記載の畜舎は、側壁に多数のファンを並べて設置して畜舎内の全体に送風して牛などの家畜を冷却するものである。
特許文献2には、冷却水を噴霧装置のノズルからミスト散布して家畜に吹き付けることにより家畜を冷却する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-62404号公報
【特許文献2】特表2015-506172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の畜舎は多数のファンで畜舎内の全体に送風するものであるため多量のエネルギーを要することが問題となる。仮に暑熱による家畜の生産性低下を緩和できてもエネルギーコストが多大であれば畜産業者にとっての経済的ロスを低減することはできない。また、家畜は個々に代謝して発熱するため、畜舎内の全体に送風しても家畜を十分に冷却することは困難である。更に、家畜の種類や個体によっては風を浴び続けることに弱いものがあり、仮に暑熱を低減することができたとしても風によるストレスが体調不良等を誘起する新たな要因となる。
特許文献2に記載の装置は家畜にミスト散布するため畜舎内の湿度が上昇(飽和)してしまうことが問題となる。畜舎内の湿度が上昇するとエンタルピーが増大するため室内温度を空調機等によって下げることが困難となるほか、高い湿度が家畜にとってストレスの要因となる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、家畜の暑熱ストレスを省エネルギーで低減し、また家畜に新たなストレスの要因を与えることを抑制しつつ家畜を冷却することが可能な家畜冷却装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1頭の家畜を収容するケージに着脱可能に装着される家畜冷却装置であって、液体冷媒が供給される冷媒管を有する冷却部と、
前記ケージの上部に着脱可能に取り付けられるクランプと、
を備え、
前記クランプが前記ケージの前記上部に取り付けられることによって、当該家畜冷却装置が前記ケージに装着されて、前記冷却部が前記ケージの内部空間と対向する家畜冷却装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、家畜を1頭ごとに収容するケージ単位で冷却するため、畜舎全体を冷却する従来技術と比較して、個々の家畜の冷却に必要な冷気を省エネルギーで与えることができる。また、ケージの上部にクランプを介して装着された冷却部がケージの内部空間に対して輻射冷熱を放出するため自然な下降気流によってケージ内の家畜に冷気が供給される。このため家畜にストレスを与えずに暑熱対策をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る家畜冷却装置の側面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図2】第1実施形態に係る家畜冷却装置の正面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図3】第1実施形態に係る家畜冷却装置の側面図である。
図4図4(a)は図2に示すA部の部分拡大図であり、図4(b)は図2に示すB部の部分拡大図である。
図5図5(a)は第1実施形態における冷媒管及びその周辺構造を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に示すA-Aに沿った切断端面図である。
図6】第1実施形態における下フレーム及びその周辺構造を示す斜視図であり、支持フレームが下フレームから起立した姿勢を示す。
図7図7(a)及び図7(b)は第1実施形態における遮熱シート及びその周辺構造を示す平面図であり、このうち図7(a)は遮熱シートの表面側を示し、図7(b)は遮熱シートの裏面側を示す。
図8】第1実施形態における遮熱シートの断面図である。
図9図9(a)及び図9(b)は第1実施形態に係る家畜冷却装置を示す図であり、このうち図9(a)は支持フレームが下フレームに沿って配置されている状態を示し、図9(b)は支持フレームが下フレームから起立した状態を示す。
図10】第2実施形態に係る家畜冷却装置の側面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図11】第2実施形態に係る家畜冷却装置の側面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図12図12(a)は第2実施形態に係る家畜冷却装置の正面図であり、ケージに取り付けられている状態を示し、図12(b)は図12(a)に示すA部の部分拡大図である。
図13】第2実施形態に係る家畜冷却装置の背面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図14図14(a)は図13に示すA部の部分拡大図であり、図14(b)は図13に示すB部の部分拡大図である。
図15】第2実施形態に係る家畜冷却装置の側面図であり、ケージに取り付けられている状態を示す。
図16図16(a)は図15に示すA部の部分拡大図であり、図16(b)は図15に示すB部の部分拡大図である。
図17図17(a)は第2実施形態における冷媒管及びその周辺構造を示す平面図であり、図17(b)は図17(a)に示すA-Aに沿った切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図9(b)を用いて第1実施形態を説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る家畜冷却装置100は、1頭の家畜120を収容するケージ110に着脱可能に装着される。
家畜冷却装置100は、液体冷媒(不図示)が供給される冷媒管20を有する冷却部10と、ケージ110の上部に着脱可能に取り付けられるクランプ91と、を備えている。
クランプ91がケージ110の上部に取り付けられることによって、家畜冷却装置100がケージ110に装着されて、冷却部10がケージ110の内部空間110aと対向する。
【0012】
なお、本実施形態では、家畜冷却装置100の正面側を前方向、背面側を後方向とする。また、水平な方向であって前後方向に対して直交する方向を横幅方向といい、横幅方向のうち、家畜冷却装置100を前側から視たときの左側を左方向、右側を右方向という。更に、前後方向と横幅方向との双方に対して直交する方向を上下方向とする。
更に、前後方向において、冷媒管20の軸方向における冷媒管20の中心位置がある側を内方(内側)と称し、内方とは反対側を外方(外側)と称する。同様に、横幅方向において、冷媒管20の横幅方向における中心位置がある側を内方(内側)と称し、内方とは反対側を外方(外側)と称する。
【0013】
本実施形態によれば、冷却部10がケージ110の内部空間110aと対向する構成となる。これにより、ケージ110の上部にクランプ91を介して装着された冷却部10がケージ110の内部空間110aに対して輻射冷熱を放出するため自然な下降気流によってケージ110内の家畜120に冷気が供給される。このため、家畜120にストレスを与えずに暑熱対策をすることが可能である。
また、家畜120を1頭ごとに収容するケージ110単位で冷却するため、畜舎全体を冷却する従来技術と比較して、個々の家畜120の冷却に必要な冷気を省エネルギーで与えることができる。更には、既存の畜舎に対して、冷却部10を後付けすることができる。
【0014】
以下の説明において、家畜冷却装置100の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、冷却部10がケージ110の上縁に沿って略水平に配置されている状態(第1状態)での位置関係を説明したものである。
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要は無く、一つの構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0015】
まず、ケージ110の構造の例について説明する。なお、ケージ110の前後左右上下等の方向は、家畜冷却装置100と同様とする。
ケージ110の構造は、一般的な家畜用ケージのものと同様である。
図1及び図2に示すように、ケージ110は、例えば、前後方向に長尺な略直方体形状に形成されており、上方に向けて開放している。
より詳細には、本実施形態の場合、図6に示すように、ケージ110は、互いに対向している左右一対の柵部111と、左右一対の柵部111を相互に連結している連結部112と、を含む。ケージ110の内部空間110aは、例えば、左右一対の柵部111と、連結部112と、によって画定されている。
なお、図6においては、ケージ110を二点鎖線で示している。
左右一対の柵部111は、互いに左右に間隔を空けてそれぞれ立設されている。図1に示すように、左右一対の柵部111の各々は、例えば、それぞれ棒状に形成されていて鉛直に配置されている複数の鉛直棒状部111aと、それぞれ棒状に形成されていて水平に配置されている複数の水平棒状部111bと、を含む。左右一対の柵部111の各々は、これらの鉛直棒状部111a及び水平棒状部111bによって、側面視枠体形状に形成されている。
複数の水平棒状部111bは、上下方向において互いに異なる複数箇所にそれぞれ配置されており、このうち最も上側に配置されている水平棒状部111bが、ケージ110の上縁を構成している。最も上側に配置されている水平棒状部111bに対して家畜冷却装置100が取り付けられる。
また、左右一対の柵部111の各々の前側部分の高さ位置は、左右一対の柵部111の各々の後側部分の高さ位置よりも高い位置に配置されている。
【0016】
ケージ110に収容される家畜120は、一例として、豚である。家畜120(豚)の頭部122が前側、後脚124が後側に位置するようにケージ110に収容される。そして、ケージ110の後側(すなわち家畜冷却装置100の後側)が、家畜120をケージ110に出し入れする出入口側となる。
なお、本発明において、家畜120は特に限定されず、例えば、牛、羊又は山羊等であってもよい。
【0017】
また、養豚場において、一例として、母豚が出産すると、生まれた子豚は、母豚が収容されているケージに隣接する小屋に収容される。そして、夏季においては、母豚が収容されるケージ内を十分に冷却する必要がある一方で、子豚が収容される小屋内は38℃程度に維持されることが好ましい。
ここで、畜舎全体を冷却する方式の場合、子豚が収容されている小屋内も冷却されてしまうため、小屋内の子豚を加温するためにヒーターが必要となる。しかし、本発明によれば、上述のように個々の家畜120(この場合、母豚)を局所的に冷却することができる。すなわち、畜舎全体が冷却されることを抑制できるので、小屋内を加温するヒーターを用いる必要がなく、より省エネルギー化を実現できる。
【0018】
本実施形態の場合、家畜冷却装置100は、熱交換器(不図示)と循環パイプ98a(図2参照)とともに用いられる。熱交換器は、循環パイプ98aを介して冷却部10を接続され、冷却に用いられて温まった液体冷媒を冷却する。
【0019】
冷却部10が有する冷媒管20は、中空管形状に形成されており、当該冷媒管20の内腔が、液体冷媒が流動する流路を構成している。
図5(a)に示すように、冷媒管20は、例えば、ジグザグ状に互いに連通している偶数本の直線状部分25を含む。偶数本の直線状部分25は、例えば、複数の連結部27を介して、相互に連通している。これにより、偶数本の直線状部分25は、ジグザグ状に互いに連通している。
本実施形態の場合、冷媒管20は、例えば、4本の直線状部分25と、3つの連結部27と、を含む。
各直線状部分25は、前後方向に延在しているとともに、横幅方向に並んで配置されている。これら直線状部分25は、互いに平行に配置されている。
各連結部27は、例えば、内方に向けて開放した平面視略U字状に形成されている。
3つの連結部27のうち、2つの連結部27の各々は、互いに隣り合う2つの直線状部分25の後端どうしを相互に連結しており、残りの連結部27は、互いに隣り合う2つの直線状部分25の前端どうしを相互に連結している。
より詳細には、横幅方向に並んで配置されている4本の直線状部分25のうち、最も左側に配置されている直線状部分25の後端と、左から2番目に配置されている直線状部分25の後端とが、1つ目の連結部27によって相互に連結されている。同様に、横幅方向に並んで配置されている4本の直線状部分25のうち、最も右側に配置されている直線状部分25の後端と、右から2番目に配置されている直線状部分25の後端とが、2つ目の連結部27によって相互に連結されている。
そして、横幅方向に並んで配置されている4本の直線状部分25のうち、左から2番目に配置されている直線状部分25の前端と、左から3番目(すなわち右から2番目)に配置されている直線状部分25の前端とが、3つ目の連結部27によって相互に連結されている。
このようにして、各直線状部分25の内腔は、対応する連結部27の内腔を介して、ジグザグ状に連通しており、冷媒管20の内腔すなわち液体冷媒の流路は、平面視略W字状に構成されている。そして、横幅方向に並んで配置されている4本の直線状部分25のうち、最も左側に配置されている直線状部分25の前端部が、冷媒管20の一端部を構成しており、最も右側に配置されている直線状部分25の後端部が、冷媒管20の他端部を構成している。
【0020】
また、図3図5(a)及び図5(b)等に示すように、冷却部10は、例えば、上述の冷媒管20に加えて、当該冷媒管20の少なくとも一部分が内部に収容されている冷却フィン16と、を含む。
本実施形態の場合、冷却部10は、それぞれ中空管形状に形成されている4本の冷却フィン16を含み、各冷却フィン16の内部に1本ずつの直線状部分25が挿通されている。
各冷却フィン16は、例えば、前後方向に延在している。
各冷却フィン16の横断面形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、図5(b)に示すように、縦幅方向(上下方向)における中央部から上方に向かうにつれて横幅(左右幅)が縮小するとともに、縦幅方向における中央部から下方に向かうにつれて横幅が縮小する形状に形成されている。
そして、冷却フィン16の上下方向における中央部の内部に、それぞれ対応する直線状部分25が挿通されている。各直線状部分25の前端部は対応する冷却フィン16の前端側の開口から外部に露出しており、当該直線状部分25の後端部は冷却フィン16の後端側の開口から外部に露出している。
対応する直線状部分25の後端どうし又は前端どうしを相互に連結している各連結部27は、例えば、各冷却フィン16の外部に配置されている。
【0021】
冷媒管20は、特に限定されないが、例えば、軟質の樹脂材料によって構成されている。
冷却フィン16は、特に限定されないが、例えば、金属材料によって構成されている。
【0022】
更に、図1及び図2に示すように、家畜冷却装置100は、例えば、冷却部10がケージ110の上縁に沿って略水平に配置される第1状態(図9(a)参照)と、冷却部10の後端部が第1状態と比べて上昇して冷却部10が第1状態よりも傾斜した第2状態(図9(b)参照)と、に可変とさせる角度変更機構80を備えている。
上述のように、家畜冷却装置100の後側は、家畜120をケージ110内に出し入れする出入口の側である。このため、角度変更機構80によって、第1状態から、冷却部10の後端部が第1状態と比べて上昇して冷却部10が下フレーム44に対して傾斜した第2状態に切り替えることによって、作業者は、腰に負担をかけない姿勢で、家畜120をケージ110内に出し入れする作業を容易に行うことができる。
また、家畜120をケージ110内に収容している間は、角度変更機構80によって、冷却部10がケージ110の上縁に沿って略水平に配置される第1状態としておくことによって、冷却部10から排出される冷気が、ケージ110内の全体に良好に行き渡るようにできる。
【0023】
より詳細には、本実施形態の場合、家畜冷却装置100は、例えば、冷却部10の前端部を保持する第1保持部31と、冷却部10の後端部を保持する第2保持部32と、ケージ110の上縁に沿って略水平に配置される下フレーム44と、を備えている。
図5に示すように、角度変更機構80は、例えば、第1保持部31と下フレーム44とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している軸支部81と、第1状態においては下フレーム44に沿って配置され、第2状態においては後端側において下フレーム44から起立した状態となって第2保持部32を支持する支持フレーム50と、を更に有する。
図6に示すように、支持フレーム50は、左右一対の支持柱54を有し、第2状態において、支持柱54どうしの間隙がケージ110の内部空間110aと連通した状態となる。
これにより、角度変更機構80による第1状態と第2状態との切り替えをより容易に行うことができる。また、軸支部81は、第1保持部31と下フレーム44とを前端側において揺動可能に軸支しているので、ケージ110の後側において、家畜120の出し入れをスムーズに行うことができる。更には、支持柱54どうしの間隙がケージ110の内部空間110aと連通した状態となる、すなわち支持柱54が当該内部空間110aと干渉しないので、清掃時等にケージ110内に作業者が出入りする動作が容易となる。
【0024】
下フレーム44は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、ケージ110に沿って水平に配置されている。
より詳細には、図6に示すように、下フレーム44は、例えば、左右一対の第1棒状部45aと、左右一対の棒状部45aどうしを相互に連結している前後一対の第2棒状部45bと、を含む。
左右一対の棒状部45aどうしは、左右に互いに離間して平行に配置されているとともに、互いに同等の高さ位置に配置されている。
前後一対の第2棒状部45bは、前後に互いに離間して平行に配置されているとともに、互いに同等の高さ位置に配置されている。
左右一対の第1棒状部45aの各々は、例えば、前後方向に延在している。前後一対の第2棒状部45bの各々は、例えば、左右方向に延在している。
各第2棒状部45bの長手方向における各々の一端部は、左側の第1棒状部45aの下端に対して固定されており、各第2棒状部45bの長手方向における各々の他端部は、右側の第1棒状部45aの下端に対して固定されている。本実施形態の場合、前側の第2棒状部45bは、各第1棒状部45aの前端部に対して固定されており、後側の第2棒状部45bは、各第1棒状部45aの長手方向における中間部に対して固定されている。そして、後側の第2棒状部45bよりも後側においては、左右一対の第1棒状部45aどうしの間は空隙となっている。
【0025】
図3図4(a)及び図4(b)に示すように、第1保持部31と第2保持部32との間には、例えば、上述の4本の冷却フィン16がそれぞれ架け渡されている。換言すると、第1保持部31及び第2保持部32は、各冷却フィン16の前後にそれぞれ設けられている。そして、第1状態において、冷却部10(冷媒管20及び冷却フィン16)と第1保持部31及び第2保持部32とが、ケージ110の上縁にそって略水平に配置される。また、第2状態において、冷却部10と第1保持部31及び第2保持部32とが、第1状態と比べて上昇して、第1状態よりも傾斜した状態となる。
本実施形態の場合、第1保持部31と第2保持部32とは、例えば、互いに前後対称形状に形成されている。
第1保持部31及び第2保持部32の各々は、例えば、略平板状に形成されており、その板面は前後方向を向いている。図4(a)及び図4(b)に示すように、第1保持部31及び第2保持部32の各々の上縁部31a、32aは、例えば、内方に向けて開放している側面視略U字状に形成されている。第1保持部31及び第2保持部32の各々の下縁部31c、32cは、例えば、外方に向けて凸の略L字状に形成されている。また、第1保持部31及び第2保持部32の各々の中間部31b、32bは、板面が前後方向を向いた平板状に形成されている。
また、第1保持部31及び第2保持部32の各々の下縁部31c、32cには、外方に向けて水平に突出している平板状の平板部31d、32dが設けられている。
各冷却フィン16の前端部は、第1保持部31の内面(後面)に対して、水漏れ防止部材18(図4(a)及び図4(b)参照)を介して固定されている。同等に、各冷却フィン16の後端部は、第2保持部32の内面(前面)に対して、水漏れ防止部材18を介して液密に固定されている。このように冷却フィン16の前端部及び後端部の各々が、水漏れ防止部材18を介して液密に第1保持部31及び第2保持部32に固定されていることにより、例えば、冷却部10による冷却中に、冷却フィン16の内部に結露が生じたとしても、結露水が冷却フィン16の前端側又は後端側の開口から、ケージ110の内部空間110aに入り込んでしまうことを抑制できる。
また、第1保持部31には、当該第1保持部31を前後に貫通している不図示の貫通孔が4つ形成されており、各貫通孔から1本ずつの直線状部分25の前端が外方に向けて突出している。すなわち、各直線状部分25の前端及び前側の連結部27の各々は、第1保持部31よりも前方に配置されている。
同様に、第2保持部32には、当該第2保持部32を前後に貫通している不図示の貫通孔が4つ形成されており、各貫通孔から1本ずつの直線状部分25の後端が外方に向けて突出している。すなわち、各直線状部分25の後端及び後側の連結部27の各々は、第2保持部32よりも後方に配置されている。
【0026】
本実施形態の場合、第1保持部31は、例えば、軸支部81によって軸支されており、前傾する方向に揺動可能となっている。
より詳細には、図3及び図6に示すように、軸支部81は、例えば、横幅方向(左右方向)に延在している棒状体であり、下フレーム44の前端部の上面に設けられている第1環状部材81aによって保持されている。そして、軸支部81は、左右一対の第1棒状部45aの前端部どうしの間に架け渡されている。
また、第1保持部31の下縁部31cには、複数の第2環状部材81b(図2参照)が横幅方向に並んで固定されている。これらの複数の第2環状部材81bに対して、軸支部81が挿通されることによって、当該軸支部81は第1保持部31を揺動可能に軸支している。
このようにして、第1保持部31は、軸支部81を介して下フレーム44と接続されている。
【0027】
更に、支持フレーム50は、例えば、下フレーム44に沿う姿勢(図9(a)参照)と、下フレーム44から起立した姿勢(図9(b)参照)と、に揺動可能に下フレーム44に対して軸支されている。
このような構成によれば、支持フレーム50によって第1状態と第2状態との切り替えを容易に行うことができる。
【0028】
支持フレーム50は、例えば、左右一対の支持柱54と、左右一対の支持柱54の各々の一端部(当該支持柱54の長手方向における一端)を相互に連結している横棒56と、を有する。
左右一対の支持柱54は、例えば、前後方向に延在しており、互いに左右に離間して平行に配置されている。横棒56は、例えば、各支持柱54の延在方向に対して直交する方向(本実施形態の場合、左右方向)に延在しており、各支持柱54の前端どうしを相互に連結している。
このようにして、本実施形態の場合、支持フレーム50は、平面視において、後方に向けて開放した略U字状に形成されている。
【0029】
ここで、横幅方向(左右方向)における、左右一対の支持柱54どうしの離間距離は、左右一対の棒状部45aどうしの離間距離と略同等の寸法に設定されている。そして、横幅方向(左右方向)における、左右一対の棒状部45aどうしの離間距離は、ケージ110の左右一対の柵部111どうしの離間距離と略同等の寸法に設定されている。
このような構成によれば、第1状態と第2状態との両方において、左右一対の支持柱54どうしの間隙が、左右一対の柵部111どうしの間隙ひいてはケージ110の内部空間110aと連通した状態となる。このため、家畜120を出し入れする際や、作業員がケージ110内に出入りする際に、支持フレーム50が干渉してしまうことを抑制できる。
更には、上述のように、下フレーム44において、後側の第2棒状部45bよりも後側においては、左右一対の第1棒状部45aどうしの間は空隙となっている。このため、家畜120を出し入れする際や、作業員がケージ110内に出入りする際に、下フレーム44が干渉してしまうことも抑制できる。
【0030】
図4(a)、図4(b)及び図6に示すように、左右一対の第1棒状部45aの後端部には、それぞれ支持フレーム50が揺動可能に固定される固定部59が設けられている。
各固定部59は、例えば、上方及び前方の双方に向けて開放した平面視略コの字状に形成されており、対応する支持柱54の後端部が当該固定部59の内部に収容されている。
支持フレーム50は、例えば、固定部59に挿通されている挿通ボルト58によって軸支されている。支持フレーム50は、第1状態においては、挿通ボルト58を揺動軸として、後傾する方向に揺動可能となっており、第2状態においては、挿通ボルト58を揺動軸として、前傾する方向に揺動可能となっている。
【0031】
ここで、本実施形態の場合、第2保持部32には、例えば、支持フレーム50の横棒56に対して係止される係止部43が設けられている。
係止部43は、例えば、側面視略L字状に折り曲げられた平板状に形成されており、水平に配置されている水平部と、当該水平部の後端から垂下している鉛直部と、を含む。
図4(b)に示すように、係止部43は、例えば、支持フレーム50の横棒56に対して係止可能に構成されている。より詳細には、図9(b)に示すように、第2状態において、係止部43の水平部が、横棒56上に配置され、当該水平部と横棒56との間の摩擦抵抗によって、第2保持部32が支持フレーム50に支持された状態が維持される。また、係止部43の鉛直部は、横棒56の後方に配置されている。これにより、第2状態において、支持フレーム50が更に後傾すること(支持フレーム50が係止部43から脱落すること)を規制している。これにより、支持フレーム50によって第2保持部32を支持しつつ、支持フレーム50が下フレーム44から起立した状態(第2状態)を良好に維持することができる。
【0032】
更に、本実施形態の場合、冷媒管20の一端部と他端部とがそれぞれ液体冷媒の導入部12と導出部14とになっている。
そして、冷媒管20の一端部及び他端部は前端側に配置されている。
これにより、液体冷媒の導入部12及び導出部14の各々は、冷却部10における揺動軸側(前側)に配置されている。このため、冷却部10の後端部を上げ下げする動作を行ったとしても、導入部12及び導出部14が配置されている前側はほぼ上下に変位しないため、当該導入部12及び導出部14と接続される上述の循環パイプ98aを上げ下げする必要がない。すなわち、ケージ110からの家畜120の出し入れがより容易となる。
より詳細には、本実施形態の場合、一例として、上述の4本の直線状部分25のうち、最も左側に配置されている直線状部分25の先端部が導入部12となっており、最も右側に配置されている直線状部分25の先端部が導出部14となっている。ただし、導入部12又は導出部14を構成する直線状部分25はこの例に限定されず、最も左側に配置されている直線状部分25以外の直線状部分25の先端部が、導入部12を構成していてもよいし、最も右側に配置されている直線状部分25以外の直線状部分25の先端部が、導出部14を構成していてもよい。
図2に示すように、導入部12は、液体冷媒が導入される循環パイプ98aと接続され、導出部14は、冷媒管20内を流動した液体冷媒が導出される排出管98bと接続される。
【0033】
また、上述のように、家畜冷却装置100は、ケージ110の上部に着脱可能に取り付けられるクランプ91を備えている。
より詳細には、クランプ91は、例えば、下フレーム44の下方に設けられている。
図6に示すように、家畜冷却装置100は、例えば、4つのクランプ91aを有する。このうち2つのクランプ91aが、左側の第1棒状部45aに対して前後に並んで固定されており、残り2つのクランプ91aが、右側の第1棒状部45aに対して前後に並んで固定されている。各クランプ91aは、例えば、前後対称に配置されているとともに、左右対称に配置されている。
また、本実施形態の場合、前側の2つのクランプ91aは、対応する第1棒状部45aの前端部に対して固定されており、前側の第2棒状部45bの近傍に配置されている。同様に、後側の2つのクランプ91aは、対応する第1棒状部45aの中間部に対して固定されており、後側の第2棒状部45bの近傍に配置されている。
【0034】
左側の第1棒状部45aに固定されている2つのクランプ91aによって、左側の柵部111が有する複数の水平棒状部111bのうち、最も上側に配置されている水平棒状部111bの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。これにより、下フレーム44の左側の第1棒状部45aが、左側の柵部111に沿って配置される。
同様に、右側の第1棒状部45aに固定されている2つのクランプ91aによって、右側の柵部111が有する複数の水平棒状部111bのうち、最も上側に配置されている水平棒状部111bの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。これにより、下フレーム44の右側の第1棒状部45aが、右側の柵部111に沿って配置される。
このようにして、家畜冷却装置100は、ケージ110に着脱可能に装着される。
このような構成によれば、下フレーム44、ひいては第1保持部31、第2保持部32及び冷却部10の全体が、ケージ110の内部空間110aの上方に配置される。これにより、冷媒管20に供給される液体冷媒の冷気が自然に下降することとなるので、個々の家畜120の全身をより良好に冷やすことができる。
【0035】
図1等に示すように、各クランプ91aは、一般的な構造のものであり、例えば、一対の挟持部92と、一対の挟持部92どうしを相互に開閉可能に連結しているヒンジ部と、を有する。各挟持部92におけるヒンジ部側とは反対側の端には、締結用ボルト93が挿通される。
より詳細には、締結用ボルト93によって一対の挟持部92どうしが閉じられた状態が維持されるので、一対の挟持部92により柵部111の水平棒状部111bを締め付けて保持させることができる。このようにして、クランプ91aを介して、家畜冷却装置100は、ケージ110の上縁に着脱可能に取り付けられる。
本実施形態の場合、各クランプ91aは、一例として、丸型クランプである。ただし、クランプ91aの形状は特に限定されず、例えば、角型クランプであってもよい。
【0036】
更に、家畜冷却装置100は、例えば、冷却部10の上面に沿って配置されている断熱部60を備えている。本実施形態の場合、断熱部60は、一例として、複数の層を有するシート状に形成されている。
断熱部60は、例えば、断熱層62と、断熱層62の表裏にそれぞれ設けられた金属層64と、を有する。
これにより、ケージ110の上方の熱が当該ケージ110内に入ってくることを反射し、且つ、冷却部10から排出される冷気がケージ110内よりも上方に逃げることを抑制することができる。すなわち、省エネルギー化を実現しつつ、ケージ110内の家畜120の全身を良好に冷却することができる。
【0037】
より詳細には、図8に示すように、断熱部60は、一例として、3層構造となっており、金属層64、断熱層62、金属層64の順に積層されている。
そして、断熱層62の表側に設けられた金属層64の表面が、断熱部60の表面60aを構成しており、断熱層62の裏側に設けられた金属層64の裏面が、断熱部60の裏面60bを構成している。
ただし、本発明において、断熱部60が有する層の数は特に限定されず、例えば、断熱部60は、単層構造となっていてもよいし、2層又は4層以上を含んだ構造となっていてもよい。
【0038】
断熱層62を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン、発泡スチロール等を挙げることができる。ただし、断熱層62を構成する材料は特に限定されず、例えば、ガラスウール等であってもよい。
金属層64を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムを挙げることができる。本実施形態の場合、一例として、表面60a側の金属層64と、裏面60b側の金属層64とは、互いに同種の金属材料によって構成されている。ただし、表面60a側の金属層64と、裏面60b側の金属層64とは、例えば、互いに異なる金属材料によって構成されていてもよい。
【0039】
家畜冷却装置100は、例えば、冷却部10と第1保持部31及び第2保持部32との上方に配置されているとともに、断熱部60を保持している保持フレーム70を更に備えている。
【0040】
保持フレーム70は、例えば、平面視略矩形状に形成されている枠体であり、冷却部10に沿って水平に配置されている。また、断熱部60も、平面視略矩形状に形成されており、保持フレーム70によって保持されている状態において、冷却部10に沿って水平に配置されている。また、断熱部60は、平面視において、冷却部10の略全体を覆っている。
保持フレーム70は、例えば、前後一対の第2板状部72と、前後一対の第2板状部72どうしの間に架け渡されている左右一対の第3棒状部74と、を有する。
前後一対の第2板状部72の各々は、例えば、横幅方向に長尺な平板状に形成されており、その板面は前後方向を向いている。前後一対の第2板状部72は、互いに平行に配置されている。
左右一対の第3棒状部74は、例えば、前後方向に延在している略矩形筒状に形成されている。左右一対の第3棒状部74は、互いに平行に配置されている。
このようにして、保持フレーム70は、前後に長尺な平面視略矩形状の枠体として構成されており、当該保持フレーム70に断熱部60が配置されている。
【0041】
ここで、保持フレーム70の長手方向における中央部には、断熱部60を当該保持フレーム70に対して固定している上下一対の固定板76a、76bが設けられている。
上下一対の固定板76a、76bによって、断熱部60は上下に挟持されている。
上下一対の固定板76a、76bの各々は、例えば、横幅方向に延在している平板状に形成されており、その板面は上下方向を向いている。
上側の固定板76aの各々の両端部には、例えば、それぞれ挿通ボルト76cが挿通されている。各挿通ボルト76cは、上側の固定板76aと、断熱部60と、左右一対の第3棒状部7と、を貫通した状態で上側の固定板76aに対して固定されている。このようにして、断熱部60は保持フレーム70に対して固定されている。
更には、左右一対の第3棒状部74の各々の上面には、例えば、不図示の両面粘着テープが付着されており、当該両面粘着テープによって、第3棒状部74の各々の上面と断熱部60の裏面60bとが互いに接合されている。
【0042】
更に、家畜冷却装置100は、例えば、保持フレーム70と第1保持部31及び第2保持部32とを相互に連結している前後一対の連結部材77を備えている。
前後一対の連結部材77の各々は、例えば、前後対称形状に形成されている。前後一対の連結部材77の各々は、例えば、略階段状に複数回折り曲げられた板状に形成されており、上方に向けて段階的に外方に変位している。
前側の連結部材77は、保持フレーム70の前端部の下縁と、第1保持部31の上縁と、を相互に連結している。同様に、後側の連結部材77は、保持フレーム70の後端部の下縁と、第2保持部32の上縁と、を相互に連結している。
【0043】
以下、家畜冷却装置100の第1状態及び第2状態について詳細に説明する。
図9(a)に示すように、第1状態では、支持フレーム50は下フレーム44に沿って略水平に配置されるとともに、略U字状の支持フレーム50の開放方向が後方を向くようになっている。この状態において、図4(b)に示すように、第2保持部32の平板部32dの下面が固定部59の上端に対して当接することによって、第2保持部32ひいては冷却部10及び断熱部60の各々は、下フレーム44によって略水平に支持される。また、支持フレーム50の一対の支持柱54どうしの間隙は、ケージ110の内部空間110aと連通している。この状態から、第1保持部31、ひいては冷却部10、断熱部60及び保持フレーム70の各々の全体が一体的に、軸支部81を揺動軸として前傾する方向に揺動することにより、第1状態から第2状態へと切り替わる。
図9(b)に示すように、第2状態では、支持フレーム50は、例えば、45度以上90度以下の揺動角度で下フレーム44から起立しており、略コの字状の支持フレーム50の開放方向が下方を向いている。この状態において、第2保持部32は、支持フレーム50の横棒56によって支持され、第1状態と比べて上昇し、第1保持部31よりも上方に配置された状態となる。また、第1保持部31及び第2保持部32、冷却部10、断熱部60及び保持フレーム70は、下フレーム44に対して、後方に向けて上り傾斜した姿勢となっている。この状態から、第1保持部31、ひいては冷却部10、断熱部60及び保持フレーム70の各々の全体が一体的に、軸支部81を揺動軸として後傾する方向に揺動することにより、第2状態から第1状態へと切り替わる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、図10から図17(b)を用いて、第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る家畜冷却装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る家畜冷却装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る家畜冷却装置100と同様に構成されている。なお、図10は、第1状態における家畜冷却装置100の側面図であり、図11は第2状態における家畜冷却装置100の側面図である。また、図12(a)から図13は第2状態における家畜冷却装置100を示している。
【0045】
図10から図13に示すように、本実施形態の場合、家畜冷却装置100は、下フレーム44を有しておらず、代わりに、左側の柵部111に取り付けられるとともに第1保持部31の左端部を支持する第1支持部33と、右側の柵部111に取り付けられるとともに第1保持部31の右端部を支持する第2支持部34と、左側の柵部111に取り付けられるとともに第2保持部32の左端部を支持する第3支持部35と、右側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第2保持部の右端部を支持する第4支持部37と、を備えている。
また、図13に示すように、角度変更機構80は、軸支部81を有しておらず、代わりに、第1保持部31と第1支持部33とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第1軸支部82と、第1保持部31と第2支持部34とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第2軸支部83と、を有している。
更に、角度変更機構80は、支持フレーム50を有しておらず、代わりに、第1支持柱86と、第2支持柱88と、第1支持柱86の一端部86aと第2保持部32の左端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第3軸支部84と、第2支持柱88の一端部88aと第2保持部32の右端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第4軸支部85と、を有している。
そして、第3支持部35は、第1状態(図10参照)と第2状態(図11及び図13参照)とで互いに前後方向で異なる位置で第1支持柱86の他端部86bを支持することにより第2保持部32の左端部を間接的に支持する。同様に、第4支持部37は、第1状態と第2状態とで互いに前後方向で異なる位置で第2支持柱88の他端部88bを支持することにより第2保持部32の右端部を間接的に支持する。
そして、第1支持柱86及び第2支持柱88は、第1状態と比べて第2状態の方がより鉛直に近い姿勢となる。
このような構成によっても、個々の家畜120を良好に冷却することができるとともに、ケージ110の後側において、家畜120の出し入れをスムーズに行うことができる。更には、第1支持柱86と第2支持柱88との間隙がケージ110の内部空間110aと連通した状態となる、すなわち第1支持柱86及び第2支持柱88が当該内部空間110aと干渉しないので、清掃時等にケージ110内に作業者が出入りする動作が容易となる。
【0046】
図10及び図11に示すように、本実施形態の場合も、第1実施形態と同様に、第1保持部31及び第2保持部32は、例えば、略平板状に形成されており、その板面は前後方向を向いている。そして、第1保持部31と第2保持部32との間には、例えば、複数(本実施形態の場合、後述のように6本)の冷却フィン16がそれぞれ架け渡されている。
ただし、本実施形態の場合、第1保持部31と第2保持部32とは互いに異なる形状に形成されている。
より詳細には、図16(a)に示すように、第1保持部31の上縁部31aは、例えば、略水平に配置された平板状に形成されている。また、第1保持部31の下縁部31cは、中間部31bの下縁と接続されているとともに略水平に配置されている水平部と、水平部の前端から上方に向けて起立している鉛直部と、を含む。
図16(b)に示すように、第2保持部32の上縁部32a及び下縁部32cの各々は、例えば、略水平に配置された平板状に形成されている
【0047】
図10及び図11に示すように、第2支持部34は、例えば、側面視において、略L字を上下反転させた形状に形成されている。より詳細には、第2支持部34の各々は、例えば、上下に延在している鉛直部と、第1部分の上端から後方に突出している水平部と、を含む。
また、鉛直部と水平部とによって構成される第2支持部34の角部には、第2軸支部83(図10及び図12(a)参照)が揺動可能に固定されている。第2軸支部83は、例えば、第1保持部31の下縁部31cの右端部の下面に取り付けられている。
第1保持部31の右端部は、例えば、第2軸支部83と第2支持部34とに挿通されている挿通ボルト83aによって軸支されている。
第1支持部33は、例えば、第2支持部34と同一形状及び同一寸法に設定されている。したがって、第1支持部33は、第2支持部34と同様に、鉛直部と水平部とを含む。
また、鉛直部と水平部とによって構成される第1支持部33の角部には、第1軸支部82(図12(a)及び図12(b)参照)が揺動可能に固定されている。第1軸支部82は、例えば、第1保持部31の下縁部31cの左端部の下面に取り付けられている。
第1保持部31の左端部は、例えば、第1軸支部82と第1支持部33とに挿通されている挿通ボルト82aによって軸支されている。
このような構成によって、第1保持部31は、第1状態(図10参照)において、挿通ボルト83aを揺動軸として前傾する方向に揺動可能となっている。また、第1保持部31は、第2状態(図11参照)において、挿通ボルト83aを揺動軸として後傾する方向に揺動可能となっている。
【0048】
図10に示すように、第4支持部37は、例えば、右側の柵部111の後端部の上縁に沿って配置される第1部分38aと、第1部分38aの上縁に沿って配置される第2部分38bと、を含む。
第1部分38a及び第2部分38bの各々は、例えば、前後方向に延在している板状部材である。
図13及び図14(b)に示すように、背面視において、第1部分38aは、略L字を上下反転させた形状に形成されており、第2部分38bは、例えば、略L字形状に形成されている。より詳細には、第1部分38aは、例えば、水平に配置されている第1板状部と、第1板状部の右側縁から垂下している第2板状部と、を含む。第2部分38bは、例えば、水平に配置されている第1板状部と、第1板状部の右側縁から上方に起立している第2板状部と、を含む。
そして、第1部分38aの第1板状部上に、第2部分38bの第1板状部が固定されることよって、第1部分38aと第2部分38bとが相互に連結されている。
また、図10及び図11に示すように、本実施形態の場合、第4支持部37は、例えば、第2部分38bの前端部に形成されている第1切欠形状部381aと、第2部分38bの後端部に形成されている第2切欠形状部381bと、を更に含む。
後述のように、第1状態においては、第1切欠形状部381aに対して第2支持柱88の他端部88bが係止され、第2状態においては、第2切欠形状部381bに対して第2支持柱88の他端部88bが係止される。
第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bは、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
【0049】
図13に示すように、第3支持部35は、例えば、第4支持部37と左右対称形状に形成されている。したがって、第3支持部35は、左側の柵部111の後端部の上縁に沿って配置される第1部分36aと、第1部分36aの上縁に沿って配置される第2部分36bと、を含む。
そして、図13に示すように、第1部分36aの第1板状部上に、第2部分36bの第1板状部が固定されることよって、第1部分36aと第2部分36bとが相互に連結されている。
また、第3支持部35は、第4支持部37と同様に、例えば、第2部分36bの前端部に形成されている第1切欠形状部(不図示)と、第2部分38bの後端部に形成されている第2切欠形状部(不図示)と、を更に含む。後述のように、第1状態においては、第1切欠形状部に対して第1支持柱86の他端部86bが係止され、第2状態においては、第2切欠形状部に対して第1支持柱86の他端部86bが係止される。
なお、第3支持部35の第1切欠形状部及び第2切欠形状部は、第4支持部37の第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bと同一形状及び同一寸法に形成されているため図示を省略している。
【0050】
また、本実施形態の場合、ケージ110の上部に着脱可能に取り付けられるクランプ91は、例えば、第1支持部33~第4支持部37にそれぞれ設けられている。
より詳細には、一例として、第1支持部33及び第2支持部34の各々の第1部分に、2つのクランプ91bがそれぞれ上下に並んで設けられており、第1支持部33及び第2支持部の各々の第2部分に、1つのクランプ91cが設けられている。
また、一例として、第3支持部35及び第4支持部37の各々の第1部分38aに、2つの2つのクランプ91dがそれぞれ前後に並んで設けられている。
各クランプ91b~91dは、一例として、上記の第1実施形態と同様のクランプである。したがって、各クランプ91b~91dは、丸型クランプである。ただし、クランプ91b~91dの形状は特に限定されず、例えば、角型クランプであってもよい。
【0051】
また、図10に示すように、本実施形態の場合、左側の柵部111は、前後に3つ並んだ鉛直棒状部111aと、上下一対の水平棒状部111bと、によって側面視略矩形枠状に形成されている。
より詳細には、これら鉛直棒状部111aは、前後方向において、互いに平行且つ対向して配置されている。また、上下一対の水平棒状部111bは、上下方向において、互いに平行且つ対向して配置されている。
【0052】
第1支持部33の鉛直部に固定されている2つのクランプ91bによって、左側の柵部111の前側の鉛直棒状部111aの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。
また、第1支持部33の水平部に固定されている2つのクランプ91bによって、左側の柵部111の上側の水平棒状部111bの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。これにより、第1支持部33が、左側の柵部111において、前側の鉛直棒状部111aと上側の水平棒状部111bとに沿って配置される。また、鉛直部と水平部とによって構成される第1支持部33の角部は、左側の柵部111において、前側の鉛直棒状部111aの上端と上側の水平棒状部111bの前端とによって構成される角部に沿って配置される。
同様に、第2支持部34の鉛直部に固定されている2つのクランプ91bによって、右側の柵部111の前側の鉛直棒状部111aの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。
また、第2支持部34の水平部に固定されている2つのクランプ91bによって、右側の柵部111の上側の水平棒状部111bの一部分ずつをそれぞれ保持できるようになっている。これにより、第2支持部34が、右側の柵部111において、前側の鉛直棒状部111aと上側の水平棒状部111bとに沿って配置される。また、鉛直部と水平部とによって構成される第2支持部34の角部は、右側の柵部111において、前側の鉛直棒状部111aの上端と上側の水平棒状部111bの前端とによって構成される角部に沿って配置される。
このようにして、本実施形態の場合も、下フレーム44、ひいては第1保持部31、第2保持部32及び冷却部10の全体が、ケージ110の内部空間110aの上方に配置される。
【0053】
また、本実施形態の場合、第3支持部35及び第4支持部37の各々の全長が、ケージ110の上縁(上側の水平棒状部111b)の後端部に沿って配置されている。ただし、本発明はこの例に限定されず、例えば、第3支持部35及び第4支持部37の各々の後端部が、ケージ110の後端よりも後方に突出していてもよい。
【0054】
図10及び図13等に示すように、第2支持柱88は、例えば、一方向に長尺な略矩形筒状に形成されている。
第2支持柱88の長手方向における一端部88aには、第4軸支部85が揺動可能に固定されている。第4軸支部85は、例えば、第2保持部32の下縁部32cの右端部の下面に取り付けられている。
第2支持柱88の一端部88aは、例えば、当該一端部88aと第4軸支部85とに挿通されている挿通ボルト85a(図14(a)等参照)によって軸支されている。第2支持柱88は、第1状態において、挿通ボルト85aを揺動軸として下方に揺動可能となっている。また、第2支持柱88は、第2状態において、挿通ボルト85aを揺動軸として上方に揺動可能となっている。
また、第2支持柱88の他端部88bには、例えば、左右一対の係止部89a(図13及び図14(b)参照)が設けられている。左右一対の係止部89aどうしの間には、左右方向を軸方向とする軸部89b(図11図14(b)等参照)が挿通されている。
左右一対の係止部89aの各々は、例えば、板面が左右方向を向いた略平板状に形成されている。
【0055】
第1支持柱86は、例えば、第2支持柱88と同一形状及び同一寸法に設定されている。また、第1支持柱86の長手方向における一端部86aには、第3軸支部84が揺動可能に固定されている。第3軸支部84は、例えば、第2保持部32の下縁部32cの左端部の下面に取り付けられている。
第1支持柱86の一端部86aは、例えば、当該一端部86aと第3軸支部84とに一連に挿通されている挿通ボルト84aによって軸支されている。第1支持柱86は、第1状態において、挿通ボルト84aを揺動軸として下方に揺動可能となっている。また、第1支持柱86は、第2状態において、挿通ボルト84aを揺動軸として上方に揺動可能となっている。
また、第1支持柱86の他端部86bには、例えば、左右一対の係止部87a(図13参照)が設けられている。左右一対の係止部87aの各々は、左右一対の係止部89aと同一形状及び同一寸法に形成されている。
また、左右一対の係止部87aどうしの間には、左右方向を軸方向とする軸部87bが挿通されている。
左右一対の係止部87aの各々は、例えば、板面が左右方向を向いた略平板状に形成されている。
【0056】
図13に示すように、横幅方向(左右方向)における、第1支持柱86と第2支持柱88との離間距離は、第3支持部35と第4支持部37との離間距離と略同等の寸法に設定されている。
このような構成によれば、第1状態と第2状態との両方において、第1支持柱86と第2支持柱88と間隙が、左右一対の柵部111どうしの間隙ひいてはケージ110の内部空間110aと連通した状態となる。このため、家畜120を出し入れする際や、作業員がケージ110内に出入りする際に、第1支持柱86や第2支持柱88との干渉を抑制できる。
更には、上述のように、第3支持部35と第4支持部37との間は空隙となっている。このため、家畜120を出し入れする際や、作業員がケージ110内に出入りする際に、第3支持部35や第4支持部37との干渉を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態の場合、上記の第1実施形態とは異なり、冷却部10は、6本の冷却フィン16を含む。したがって、図17(a)及び図17(b)に示すように、冷媒管20は、例えば、6本の直線状部分25と、5つの連結部27と、を含む。
第1保持部31の中間部31bには、当該中間部31bを前後に貫通している不図示の貫通孔が6つ形成されており、各貫通孔から1本ずつの直線状部分25の前端が外方に向けて突出している。すなわち、各直線状部分25の前端及び前側の各連結部27の各々は、中間部31bよりも前方に配置されている。
同様に、第2保持部32の中間部32bには、当該中間部32bを前後に貫通している不図示の貫通孔が6つ形成されており、各貫通孔から1本ずつの直線状部分25の後端が外方に向けて突出している。すなわち、各直線状部分25の後端及び後側の各連結部27の各々は、中間部32bよりも後方に配置されている。
【0058】
ここで、本実施形態の場合、家畜冷却装置100は、例えば、冷却フィン16において生じる結露水を補足する複数のドレン95と、複数のドレン95が補足した結露水を家畜冷却装置100及びケージ110の外部に排出する排水管96と、を備えている。
家畜冷却装置100は、例えば、冷却フィン16と同数(本実施形態の場合、6本)のドレン95を備えている。各冷却フィン16に対して、1本ずつのドレン95が配置されている。
各ドレン95は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
各ドレン95は、例えば、前後に延在しているレール状に形成されている。
図12(a)に示すように、各ドレン95の正面視形状は、上方に向けて開放した略U字形状に形成されている。なお、図12(a)においては、第1保持部31の下縁部31cの図示を省略している。
より詳細には、各ドレン95は、略水平に配置されている底面部と、底面部の両側縁から上方に起立している左右一対の側面部と、を含む。
各ドレン95は、対応する冷却フィン16の直下に配置されており、各ドレン95の底面部は、上下方向において当該冷却フィン16の下縁と対向している。
また、ドレン95の左右幅寸法は、冷却フィン16の左右幅寸法よりも大きい寸法に設定されている。
このような構成によれば、各ドレン95は、対応する冷却フィン16の外表面から垂れた結露水を良好に捕捉することができる。
【0059】
本実施形態の場合、各ドレン95は、第1保持部31と第2保持部32との間にそれぞれ架け渡されている。そして、第1状態において、冷却部10(冷媒管20及び冷却フィン16)と各ドレン95とが、ケージ110の上縁に沿って略水平に配置される。また、第2状態において、冷却部10及び各ドレン95の各々の後端部が、第1状態と比べて上昇して冷却部10及び各ドレン95が第1状態よりも傾斜した状態となる。
より詳細には、第1保持部31の中間部31bには、当該中間部31bを前後に貫通している不図示の貫通孔が6つ形成されており、各貫通孔に1本ずつのドレン95の前端部が挿通されている。各ドレン95の前端は、対応する貫通孔から外方に向けて突出している。
第1保持部31において、ドレン95が挿通されている貫通孔は、対応する冷却フィン16が挿通されている貫通孔の下方に配置されている。
また、第2保持部32の下縁部32cの下面には、各ドレン95の後端部がそれぞれ固定されている。各ドレン95の後端は、第2保持部32の中間部32bよりも外方に配置されている。
【0060】
排水管96は、一方向に長尺な中空管形状に形成されている。排水管96の長手方向における一端部は、例えば、第1保持部31の下縁部31cに接続されている。より詳細には、下縁部31cの水平部において、排水管96の一端部と対応する箇所には、当該水平部を厚み方向に貫通する貫通穴(不図示)が形成されている。貫通穴を介して、下縁部31cの内部空間と排水管96の内腔とは相互に連通している。
また、排水管96の長手方向における他端部は、例えば、下方に向けて、ケージ110の内部空間110aの外部へと導かれている。一例として、排水管96の他端部は、左側の柵部111の前側の鉛直棒状部111aに沿って配置されている。
【0061】
上述のように、各ドレン95は、対応する冷却フィン16の外表面から落下した結露水を補足する。ドレン95によって捕捉された結露水は、ドレン95の底面部を伝って前方に移動し、第1保持部31の下縁部31cの内部空間に集約される。集約された結露水は、下縁部31cに形成されている貫通穴を介して排水管96の内部に流入し、当該排水管96の下端側の開口を介して、ケージ110の外部に排出される。
ここで、本実施形態の場合、後述のように、第2状態において、第1保持部31及び各ドレン95は、ケージ110の上縁に対して、後方に向けて上り傾斜した姿勢となる。
これにより、各ドレン95上の結露水を、第1保持部31の下縁部31cの内部空間に効率良く集約することができる。
【0062】
更に、本実施形態の場合、家畜冷却装置100は、例えば、冷却部10の前端部と後端部とをそれぞれ覆っている前後一対の第2断熱部66(図16(a)及び図16(b)等参照)と、第2断熱部66を保護している前後一対のカバー部78と、備えている。
より詳細には、前側の第2断熱部66は、例えば、第1保持部31の前面側に配置されており、冷媒管20における第1保持部31よりも前方に配置されている部分(本実施形態の場合、各直線状部分25の前端及び前側の各連結部27)の全体を覆っている。
同様に、後側の第2断熱部66は、例えば、第2保持部32の後面側に配置されており、冷媒管20における第1保持部31よりも前方に配置されている部分(本実施形態の場合、各直線状部分25の後端及び後側の各連結部27)の全体を覆っている。
【0063】
前後一対の第2断熱部66は、例えば、互いに前後対称形状に形成されている。より詳細には、前後一対の第2断熱部66の各々は、例えば、左右方向に延在する略角柱形状に形成されている。前後一対の第2断熱部66の各々の内面には、外方に向けて凹の溝部(不図示)が形成されている。溝部は、例えば、第2断熱部66の左端部から右端部に亘って延在している。本実施形態の場合、前側の第2断熱部66の溝部の内部に、各直線状部分25の前端及び前側の各連結部27が収容されており、後側の第2断熱部66の溝部の内部に、各直線状部分25の後端及び後側の各連結部27が収容されている。
【0064】
前後一対の第2断熱部66の各々を構成する材料としては、一例として、発泡スチロールを挙げることができる。ただし、前後一対の第2断熱部66の各々を構成する材料は特に限定されず、例えば、ウレタンやガラスウール等であってもよい。
また、本実施形態の場合、前後一対の第2断熱部66は、例えば、互いに同種の材料によって構成されているが、本発明はこの例に限定されず、前後一対の第2断熱部66は、例えば、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0065】
図16(a)及び図16(b)に示すように、前後一対のカバー部78は、例えば、互いに前後対称形状に形成されている。より詳細には、前後一対のカバー部78の各々は、例えば、左右方向に延在する略矩形筒形状に形成されている。側面視において、前側のカバー部78は、例えば、後方に向けて開放した略U字形状に形成されており、後側のカバー部78は、例えば、前方に向けて開放した略U字形状に形成されている。
前側のカバー部78は、当該カバー部78の内部空間に前側の第2断熱部66を収容した状態で、第1保持部31の中間部31bの前面に取り付けられている。同様に、後側のカバー部78は、当該カバー部78の内部空間に後側の第2断熱部66を収容した状態で、第2保持部32の中間部32bの後面に取り付けられている。
【0066】
また、本実施形態の場合、一例として、断熱部60は、平板状に形成されている。図12(a)に示すように、断熱部60は、正面視において、例えば、下方に向けて開放した略U字形状に形成されている。
より詳細には、断熱部60は、例えば、板面が上下方向を向いている主面部61aと、主面部61aの両側縁からそれぞれ垂下している一対の側面部61bと、を含む。なお、図10図11図15図16(a)及び図16(b)においては、一対の側面部61bの図示を省略している。
本実施形態の場合、平面視において、主面部61aが、冷却部10の略全体を覆っている。また、主面部61aは、例えば、上下方向において、冷却部10を介してケージ110の内部空間110bと対向している。
また、一対の側面部61bの下縁は、例えば、上下方向において、各冷却フィン16の下端部の近傍に位置している。
このような構成によれば、冷却フィン16の側方を断熱部60によって良好にカバーすることができる。
主面部61aは、平面視において、前後方向に長尺な略矩形状に形成されている。
主面部61aの前端部は、第1保持部31によって支持されており、主面部61aの後端部は、第2保持部32によって支持されている。より詳細には、主面部61aの前端部の下面は、第1保持部31の上縁部31aの上面上に配置されており、主面部61aの後端部の下面は、第2保持部32の上縁部32aの上面上に配置されている。これにより、断熱部60は、第1保持部31及び第2保持部32によって支持されるとともに、冷却部10の上面に沿って配置される。
主面部61aと第1保持部31及び第2保持部32とを互いに固定する手法は特に限定されず、例えば、不図示の両面テープや固定用ボルト等を用いることができる。
また、本実施形態の場合、断熱部60は、例えば、ガルバリウム鋼によって構成されている。ただし、断熱部60を構成する材料は特に限定されず、第1実施形態と同様に、ウレタン、発泡スチロール、ガラスウール等であってもよい。
【0067】
以下、家畜冷却装置100の第1状態及び第2状態について詳細に説明する。
本実施形態の場合、図10に示すように、第1状態では、軸部89bが、第4支持部37の第2部分38bの第1切欠形状部381aに係止されることによって、当該第4支持部37は、第2支持柱88の他端部88bを支持するとともに、第2保持部32の右端部を間接的に支持している。同様に、第1状態では、軸部87bが、第3支持部35の第2部分35bの第1切欠形状部に係止されることによって、当該第3支持部35は、第1支持柱86の他端部86bを支持するとともに、第2保持部32の左端部を間接的に支持している。
この状態において、第1支持柱86は、第3支持部35に沿って略水平に配置され、第2支持柱88は、第4支持部37に沿って略水平に配置される。これにより、冷却部10、ドレン95及び断熱部60の各々は、ケージ110の上縁に沿って略水平に配置される。また、第1支持柱86と第2支持柱88との間隙は、ケージ110の内部空間110aと連通している。この状態から、第1保持部31、ひいては冷却部10、ドレン95及び断熱部60の各々の全体が一体的に、第1軸支部82及び第2軸支部83を揺動軸として前傾する方向に揺動することにより、第1状態から第2状態へと切り替わる。
図11に示すように、第2状態では、軸部89bが、第4支持部37の第2部分38bの第2切欠形状部381bに係止されることによって、当該第4支持部37は、第2支持柱88の他端部88bを支持するとともに、第2保持部32の右端部を間接的に支持している。同様に、第2状態では、軸部89bが、第4支持部37の第2部分38bの第2切欠形状部381bに係止されることによって、当該第4支持部37は、第2支持柱88の他端部88bを支持するとともに、第2保持部32の右端部を間接的に支持している。
この状態において、第1支持柱86及び第2支持柱88の各々は、例えば、第3支持部35及び第4支持部37に対して、90度以上120度以下の揺動角度で後方に向けて上り傾斜した姿勢となっている。また、第1保持部31及び第2保持部32、冷却部10、ドレン95及び断熱部60は、ケージ110の上縁に対して、後方に向けて上り傾斜した姿勢となっている。この状態から、第1保持部31、ひいては冷却部10、ドレン95及び断熱部60の各々の全体が一体的に、第1軸支部82及び第2軸支部83を揺動軸として後傾する方向に揺動することにより、第2状態から第1状態へと切り替わる。
【0068】
ここで、図10及び図11等に示すように、第4支持部37の第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bの各々は、例えば、第4支持部37の第2部分38bを厚み方向に貫通しているとともに、上方に向けて開放している。また、第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bの前側部分は、各々の上端側開口よりも前方に突出している。第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bの後側部分は、後方から前方に向けて下り傾斜した形状となっている。
このような構成によれば、第2支持柱88の軸部89bが第1切欠形状部381a又は第2切欠形状部381bに係止される際に、当該軸部89bは、第1切欠形状部381a又は第2切欠形状部381bの上端側開口から内部に挿入され、前方に向けてスムーズに案内されるようにできる。すなわち、軸部89bが、第1切欠形状部381a又は第2切欠形状部381bに対して良好に係止される。
また、上述のように、第3支持部35の第1切欠形状部及び第2切欠形状部は、第4支持部37の第1切欠形状部381a及び第2切欠形状部381bと同一形状及び同一寸法に形成されている。したがって、第1支持柱86の軸部89bは、第3支持部35の第1切欠形状部又は第2切欠形状部の上端側開口から内部に挿入され、前方に向けてスムーズに案内される。
【0069】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0070】
また、家畜冷却装置100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等が許容される。
【0071】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)1頭の家畜を収容するケージに着脱可能に装着される家畜冷却装置であって、
液体冷媒が供給される冷媒管を有する冷却部と、
前記ケージの上部に着脱可能に取り付けられるクランプと、
を備え、
前記クランプが前記ケージの前記上部に取り付けられることによって、当該家畜冷却装置が前記ケージに装着されて、前記冷却部が前記ケージの内部空間と対向する家畜冷却装置。
(2)前記冷却部が前記ケージの上縁に沿って略水平に配置される第1状態と、前記冷却部の後端部が前記第1状態と比べて上昇して前記冷却部が前記第1状態よりも傾斜した第2状態と、に可変とさせる角度変更機構を備える(1)に記載の家畜冷却装置。
(3)前記ケージは、互いに対向している左右一対の柵部を含み、
当該家畜冷却装置は、
前記冷却部の前端部を保持する第1保持部と、
前記冷却部の後端部を保持する第2保持部と、
左側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第1保持部の左端部を支持する第1支持部と、
右側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第1保持部の右端部を支持する第2支持部と、
左側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第2保持部の左端部を支持する第3支持部と、
右側の前記柵部に取り付けられるとともに前記第2保持部の右端部を支持する第4支持部と、
を備え、
前記角度変更機構は、
前記第1保持部と前記第1支持部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第1軸支部と、
前記第1保持部と前記第2支持部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第2軸支部と、
第1支持柱と、
第2支持柱と、
前記第1支持柱の一端部と前記第2保持部の左端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第3軸支部と、
前記第2支持柱の一端部と前記第2保持部の右端部とを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している第4軸支部と、
を有し、
前記第3支持部は、前記第1状態と前記第2状態とで互いに前後方向で異なる位置で前記第1支持柱の他端部を支持することにより前記第2保持部の左端部を間接的に支持し、
前記第4支持部は、前記第1状態と前記第2状態とで互いに前後方向で異なる位置で前記第2支持柱の他端部を支持することにより前記第2保持部の右端部を間接的に支持し、
前記第1支持柱及び前記第2支持柱は、前記第1状態と比べて第2状態の方がより鉛直に近い姿勢となる(2)に記載の家畜冷却装置。
(4)前記冷却部の前端部を保持する第1保持部と、
前記冷却部の後端部を保持する第2保持部と、
前記ケージの上縁に沿って水平に配置される下フレームと、
を備え、
前記角度変更機構は、
前記第1保持部と前記下フレームとを左右に延在する揺動軸周りに揺動可能に連結している軸支部と、
前記第1状態においては前記下フレームに沿って配置され、前記第2状態においては後端側において前記下フレームから起立した状態となって前記第2保持部を支持する支持フレームと、
を有し、
前記支持フレームは、左右一対の支持柱を有し、
前記第2状態において、前記支持柱どうしの間隙が前記ケージの内部空間と連通した状態となる(2)に記載の家畜冷却装置。
(5)前記支持フレームは、前記下フレームに沿う姿勢と、前記下フレームから起立した姿勢と、に揺動可能に前記下フレームに対して軸支されている(4)に記載の家畜冷却装置。
(6)前記冷媒管は、ジグザグ状に互いに連通している偶数本の直線状部分を含み、
前記冷媒管の一端部と他端部とがそれぞれ前記液体冷媒の導入部と導出部とになっており、
前記冷媒管の前記一端部及び前記他端部は前端側に配置されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の家畜冷却装置。
(7)前記冷却部の上面に沿って配置されている断熱部を備え、
前記断熱部は、断熱層と、前記断熱層の表裏にそれぞれ設けられた金属層と、を有する(1)から(6)のいずれか一項に記載の家畜冷却装置。
【符号の説明】
【0072】
10 冷却部
12 導入部
14 導出部
16 冷却フィン
18 水漏れ防止部材
20 冷媒管
25 直線状部分
27 連結部
31 第1保持部
31a 上縁部
31b 中間部
31c 下端部
31d 平板部
32 第2保持部
32a 上縁部
32b 中間部
32c 下縁部
32d 平板部
33 第1支持部
34 第2支持部
35 第3支持部
36a 第1部分
36b 第2部分
37 第4支持部
38a 第1部分
38b 第2部分
381a 第1切欠形状部
381b 第2切欠形状部
43 係止部
44 下フレーム
45a 第1棒状部
45b 第2棒状部
50 支持フレーム
54 支持柱
56 横棒
58 挿通ボルト
59 固定部
60 断熱部
60a 表面
60b 裏面
61a 主面部
61b 側面部
62 断熱層
64 金属層
66 第2断熱部
70 保持フレーム
72 第2板状部
74 第3棒状部
76a、76b 固定板
76c 挿通ボルト
77 連結部材
78 カバー部
80 角度変更機構
81 軸支部
81a 第1環状部材
81b 第2環状部材
82 第1軸支部
82a 挿通ボルト
83 第2軸支部
83a 挿通ボルト
84 第3軸支部
84a 軸部
85 第4軸支部
85a 挿通ボルト
86 第1支持柱
86a 一端部
86b 他端部
87a 係止部
87b 軸部
88 第2支持柱
88a 一端部
88b 他端部
89a 係止部
89b 軸部
91 クランプ
91a~91d クランプ
92 挟持部
93 締結用ボルト
95 ドレン
96 排水管
98a 循環パイプ
98b 排出管
100 家畜冷却装置
110 ケージ
110a 内部空間
111 柵部
111a 鉛直棒状部
111b 水平棒状部
112 連結部
120 家畜
122 頭部
124 後脚部
図1
図2
図3
図4
図5
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図17