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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109493
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】笠木付手摺
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20230801BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E04D13/15 301N
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011037
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】村岡 典之
(72)【発明者】
【氏名】平木 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】武岡 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 真梨
(72)【発明者】
【氏名】油谷 佑己子
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301FF01
2E301HH18
2E301JJ06
2E301JJ13
2E301KK01
2E301LL02
2E301LL25
2E301NN04
(57)【要約】
【課題】笠木付手摺の笠木と支柱補強材の間の箇所を簡単に止水して、笠木の止水性を確保する。
【解決手段】笠木付手摺1は、手摺設置部2に設置される。笠木付手摺1は、手摺設置部2との間に空間部7を形成するとともに挿通部22を有する笠木20と、空間部7で手摺設置部2に取り付けられ、挿通部22を挿通して笠木20から突出する支柱補強材10と、笠木20から突出する支柱補強材10に取り付けられた支柱と、支柱に支持された手摺体と、空間部7で支柱補強材10を囲んで、笠木20を受ける笠木受け体50を備える。笠木受け体50は、スペーサ70と、笠木20とスペーサ70の間に挟まれて弾性変形した状態で、笠木20及び支柱補強材10と密着する弾性材60を有する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺設置部に設置される笠木付手摺であって、
前記手摺設置部との間に空間部を形成するとともに挿通部を有する笠木と、
前記空間部で前記手摺設置部に取り付けられ、前記挿通部を挿通して前記笠木から突出する支柱補強材と、
前記笠木から突出する前記支柱補強材に取り付けられた支柱と、
前記支柱に支持された手摺体と、
前記空間部で前記支柱補強材を囲んで、前記笠木を受ける笠木受け体と、
を備え、
前記笠木受け体は、スペーサと、前記笠木と前記スペーサの間に挟まれて弾性変形した状態で、前記笠木及び前記支柱補強材と密着する弾性材と、を有する笠木付手摺。
【請求項2】
請求項1に記載された笠木付手摺において、
前記スペーサは、前記支柱補強材を囲む内周部と、前記内周部に向かって前記笠木との間隔が次第に広くなるように形成されて前記弾性材を受ける受け面と、を有し、
前記弾性材は、前記笠木と前記受け面の間に挟まれて弾性変形する笠木付手摺。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された笠木付手摺において、
前記弾性材は、前記挿通部内に配置されて、前記支柱補強材の周りの前記挿通部を塞ぐ笠木付手摺。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された笠木付手摺において、
前記スペーサは、前記弾性材よりも硬質である笠木付手摺。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された笠木付手摺において、
前記支柱補強材は、前記笠木から突出して、前記支柱の内部に配置され、
前記笠木から突出する前記支柱補強材を囲んで前記支柱と前記笠木の間に配置されて、前記支柱の内部に入った水を前記支柱の外部に向かって排水する排水部品を備えた笠木付手摺。
【請求項6】
請求項5に記載された笠木付手摺において、
前記排水部品は、前記支柱補強材が挿通した状態で、前記支柱補強材との間に、前記支柱の内部に入った水を下方に排水する隙間部を形成する挿通部と、前記隙間部を通過した水を前記排水部品から排水する排水部と、を有する笠木付手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺体を支持する支柱と笠木を備えた笠木付手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のベランダやバルコニー等では、笠木付手摺が手摺設置部(例えば、腰壁の上面部)に設置されることがある。笠木付手摺では、笠木が手摺設置部を覆い、笠木から突出する支柱補強材に支柱が取り付けられる。また、従来、支柱部の下側で、シーリング材により、笠木の挿通口と支持部との間隙を閉塞する笠木付手摺装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の笠木付手摺装置では、支持部は、笠木の挿通口を挿通する支柱補強材であり、連結部材を介して支柱部を支持する。また、シーリング材により、笠木と支柱部の間の箇所が止水される。しかしながら、従来の笠木付手摺装置では、シーリング材の塗布を含むシーリング材による止水のための作業に、手間と時間を要することがある。例えば、シーリング材を塗布する箇所以外の箇所を汚さないように、マスキングテープ等によるマスキング作業を行う必要があり、シーリング材が乾くのにも時間がかかる。シーリング材の塗布を人手で行うことで、笠木の止水性が作業者の技量に左右される虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8-1093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、笠木付手摺の笠木と支柱補強材の間の箇所を簡単に止水して、笠木の止水性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、手摺設置部に設置される笠木付手摺であって、
前記手摺設置部との間に空間部を形成するとともに挿通部を有する笠木と、
前記空間部で前記手摺設置部に取り付けられ、前記挿通部を挿通して前記笠木から突出する支柱補強材と、
前記笠木から突出する前記支柱補強材に取り付けられた支柱と、
前記支柱に支持された手摺体と、
前記空間部で前記支柱補強材を囲んで、前記笠木を受ける笠木受け体と、
を備え、
前記笠木受け体は、スペーサと、前記笠木と前記スペーサの間に挟まれて弾性変形した状態で、前記笠木及び前記支柱補強材と密着する弾性材と、を有する笠木付手摺である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、笠木付手摺の笠木と支柱補強材の間の箇所を簡単に止水して、笠木の止水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の笠木付手摺を示す正面図である。
図2図1のX1-X1線で切断した本実施形態の笠木付手摺を示す縦断面図である。
図3図1のX2-X2線で切断した本実施形態の笠木付手摺を示す横断面図である
図4】本実施形態の笠木付手摺の下側部分を示す縦断面図である。
図5】本実施形態の笠木付手摺の一部を分解して示す縦断面図である。
図6】本実施形態の笠木に載置された排水部品を上方からみて示す平面図である。
図7】本実施形態の排水部品を示す斜視図である。
図8】本実施形態の笠木受け体を上方からみて示す平面図である。
図9】本実施形態の笠木受け体を示す斜視図である。
図10】本実施形態の笠木受け体を分解して示す斜視図である
図11図8のX3-X3線で切断した本実施形態の笠木受け体を示す縦断面図である。
図12】本実施形態の支柱補強材、笠木、及び、笠木受け体を示す縦断面図である。
図13】本実施形態の支柱補強材、笠木、及び、笠木受け体を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の笠木付手摺の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の笠木付手摺(以下、手摺という)は、笠木の付いた手摺構造体であり、手摺設置部に設置される。手摺設置部は、手摺の設置対象(例えば、建物、建造物)における手摺が設置される箇所(被設置部)である。以下では、建物のベランダに設置される手摺を例にとり、本実施形態の手摺について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の手摺1を示す正面図であり、屋外側からみた手摺1を示している。図2は、図1のX1-X1線で切断した本実施形態の手摺1を示す縦断面図であり、図3は、図1のX2-X2線で切断した本実施形態の手摺1を示す横断面図である。
図示のように、手摺1は、手摺設置部2の設置面2Aである凸部の上面部に取り付けられて、手摺設置部2に立てた状態で設置される。手摺設置部2は、建物のベランダの凸部(例えば、壁、立ち上がり部)であり、左右方向に延びる。手摺設置部2では、手摺1を境界として、手摺1の一方側と他方側の箇所(空間)が手摺1により仕切られる。手摺1は、手摺設置部2で上方に向かって突出して、屋内側の空間と屋外側の空間の間に立設される。
【0011】
なお、手摺設置部2に設置した手摺1を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。屋内外方向は、手摺設置部2に設置した手摺1における屋内外方向である。また、屋内外方向は、手摺設置部2に設置した手摺1を正面からみたときに、前後となる方向(奥行方向)であり、図1では、左右方向に直交する水平方向である。このように、手摺1に関する方向は、手摺設置部2に設置した状態での方向で特定する。また、手摺1に関して屋内側、屋外側とは、手摺設置部2に設置した状態での屋内外方向における屋内側、屋外側である。
【0012】
手摺1は、上下方向に延びる筒状の複数の支柱3と、隣り合う支柱3の間に設けられた格子体4と、支柱3に支持された手摺体5と、複数の支柱3のそれぞれの内部に配置された支柱補強材10と、上方から手摺設置部2を覆う笠木20と、笠木20を保持する複数の笠木ホルダ6を備えている。複数の支柱3は、手摺設置部2で、左右方向に順に間隔をあけて配置されて、それぞれ笠木20から上方に向かって突出する。手摺体5は、左右方向に延びる手摺笠木であり、複数の支柱3に架け渡されて、支柱3に取り付けられている。支柱補強材10(図2では、支柱3の内部の支柱補強材10を鎖線で示す)は、手摺設置部2に取り付けられ、笠木20から上方に向かって突出して、支柱3の内部に挿入される。
【0013】
支柱3は、笠木20よりも上側で、かつ、上下方向(支柱3の長手方向)の複数箇所で、連結具であるネジ30(連結ネジ)により、支柱補強材10に連結されて取り付けられる。支柱補強材10は、支柱支持材であり、支柱3を支持して補強する。笠木20は、板状の覆い材であり、手摺設置部2の上側に配置されて、手摺設置部2に沿って左右方向に延びる。複数の笠木ホルダ6は、左右方向に間隔をあけて配置されて、それぞれ手摺設置部2に取り付けられている。笠木20は、笠木ホルダ6により、手摺設置部2に連結されて保持される。笠木20は、手摺設置部2から上方に離隔して配置されて、手摺設置部2との間に空間部7を形成する。その状態で、笠木ホルダ6により、笠木20の下方への撓みが抑制される。
【0014】
空間部7は、笠木20の下側に形成される空間(下側空間)であり、笠木20により、笠木20と手摺設置部2の間に区画される。支柱補強材10は、取付具である複数のネジ31(取付ネジ)により、笠木20の下側の空間部7の内部で、手摺設置部2に取り付けられる。また、支柱補強材10は、笠木20から上方に突出して、笠木20の上側の空間部7の外部で、支柱3の内部に配置されて、ネジ30により、支柱3と連結される。支柱3は、ネジ30により、笠木20よりも上側で、笠木20から突出する支柱補強材10に取り付けられる。
【0015】
図4は、本実施形態の手摺1の下側部分を示す縦断面図であり、ネジ31を省略して、図2の一部を拡大して示している。図5は、本実施形態の手摺1の一部を分解して示す縦断面図である。
図示のように、支柱補強材10は、板状の基部11(基板)と、基部11に固定された板状の連結柱12を有している。支柱補強材10の基部11は、笠木20の下側で手摺設置部2(設置面2A)に載置されて、手摺設置部2と笠木20の間の空間部7の内部に配置され、ネジ31により、手摺設置部2に取り付けられる。これにより、支柱補強材10が手摺設置部2に固定される。支柱補強材10の連結柱12は、柱状の連結部であり、基部11から上方に向かって突出する。
【0016】
笠木20は、手摺設置部2を上方から覆う板状の覆い部21と、覆い部21に形成された挿通部22を有している。笠木20の覆い部21は、手摺設置部2の上方に配置された笠木20の上面部(上面板)であり、上下方向において、手摺設置部2と対向する。挿通部22は、笠木20の覆い部21を上下方向に貫通する孔(挿通孔)であり、左右方向(笠木20の長手方向)に順に間隔をあけて、覆い部21の複数箇所に形成されている。支柱補強材10は、笠木20の挿通部22を挿通して笠木20及び挿通部22から突出し、支柱3は、笠木20及び挿通部22から突出する支柱補強材10に取り付けられる。
【0017】
具体的には、笠木20の挿通部22は、支柱補強材10の基部11の上方に配置される。支柱補強材10(ここでは、連結柱12)は、空間部7の内部から空間部7の外部(笠木20及び挿通部22の上側)に向かって、笠木20の挿通部22を上下方向に挿通し、空間部7の外部で、笠木20及び挿通部22から上方に向かって突出する。また、支柱補強材10の連結柱12は、支柱3の内部に下方から挿入されて、支柱3の内部に配置される。支柱3は、支柱補強材10の連結柱12を囲んで連結柱12の周囲に配置されて、連結柱12に装着される。その状態で、支柱3は、支柱補強材10の連結柱12に連結されて、連結柱12及び支柱補強材10に取り付けられる。
【0018】
手摺1は、笠木20(ここでは、覆い部21)の上側(空間部7の外部)に配置される環状の排水部品40と、笠木20の下側(空間部7の内部)に配置される環状の笠木受け体50を備えている。排水部品40と笠木受け体50は、それぞれ支柱補強材10の連結柱12が挿通する挿通部41、51を有している。排水部品40の挿通部41は、排水部品40を上下方向に貫通する孔(挿通孔)であり、笠木受け体50の挿通部51は、笠木受け体50を上下方向に貫通する孔(挿通孔)である。排水部品40は、笠木20の上側で、笠木20に載置されて、笠木20の挿通部22の上方に配置される。笠木受け体50は、笠木20の下側で、支柱補強材10(ここでは、基部11)に載置されて、笠木20の挿通部22の下方に配置される。
【0019】
笠木20の下側(空間部7の内部)で、支柱補強材10の連結柱12は、笠木受け体50の挿通部51を上下方向に挿通し、笠木受け体50は、支柱補強材10の連結柱12を囲んで連結柱12の周囲に配置される。笠木受け体50は、支柱補強材10の基部11と笠木20の間に配置され、支柱補強材10の基部11と笠木20の間に挟まれて、笠木20を受ける。笠木20は、笠木受け体50により、下方から支持される。また、支柱補強材10及び支柱3の箇所で、笠木受け体50により、支柱補強材10の基部11と笠木20の間の間隔、及び、笠木20の下側の空間部7が確保される。
【0020】
笠木20の上側(空間部7の外部)で、支柱補強材10の連結柱12は、笠木20から突出して、排水部品40の挿通部41を上下方向に挿通する。排水部品40は、笠木20から突出する支柱補強材10の連結柱12を囲んで連結柱12の周囲に配置される。支柱補強材10の連結柱12は、下方から上方に向かって、笠木受け体50の挿通部51、笠木20の挿通部22、及び、排水部品40の挿通部41を順に挿通して、排水部品40及び挿通部41から上方に向かって突出する。支柱3は、排水部品40に載置されて、排水部品40及び挿通部41から突出する支柱補強材10の連結柱12に取り付けられる。
【0021】
排水部品40は、支柱3と笠木20の間(ここでは、支柱3の下端部と笠木20の覆い部21の間)に配置され、支柱3と笠木20の間に挟まれて、支柱3を受ける。支柱3の内部に水が入ったときに、排水部品40は、支柱3の内部の下方で水を受けて、水を支柱3の外部に向かって排水する。支柱3の内部において、水は、支柱3内の支柱補強材10の連結柱12と支柱3の間に入って、排水部品40まで落下する。続いて、水は、排水部品40により、支柱3の外部に向かって、排水部品40の屋内側に排水される。
【0022】
図6は、本実施形態の笠木20に載置された排水部品40を上方からみて示す平面図である。図6では、支柱3の断面を鎖線で示し、支柱補強材10の連結柱12の断面を二点鎖線で示している。図7は、本実施形態の排水部品40を示す斜視図であり、屋内側の斜め上方からみた排水部品40を示している。
図示のように、排水部品40は、挿通部41に加えて、上側(支柱3側)に位置する上面部42と、下側(笠木20側)に位置する下面部43と、下面部43に形成された排水部44を有している。
【0023】
支柱3は、排水部品40の上面部42に載置されており、上面部42は、支柱3の内部に入った水を受ける。排水部品40の下面部43は、笠木20に載置される。挿通部41の内周部45は、排水部品40の内周部であり、挿通部41は、上面部42から下面部43まで排水部品40を貫通する。支柱補強材10の連結柱12が挿通部41を挿通した状態で、挿通部41の内周部45は、支柱補強材10の連結柱12との間に隙間をあけて配置され、挿通部41は、内周部45により、支柱補強材10の連結柱12との間に隙間部46を形成する。隙間部46は、水が流れる排水用の隙間であり、支柱3の内部に入った水を下方に排水する。
【0024】
隙間部46は、支柱補強材10の連結柱12の外面に沿って形成され、連結柱12を囲んで連結柱12の周囲に位置する。隙間部46は、支柱3の内部の下方に位置し、上方及び下方に向かって開放されている。排水部品40の排水部44は、下面部43に凹状に形成された排水路であり、上面部42よりも下方に位置している。また、排水部44は、排水部品40の挿通部41及び隙間部46の屋内側に位置し、挿通部41から排水部品40の屋内側の端面まで形成されている。排水部44は、挿通部41及び隙間部46に向かって開放されて、挿通部41及び隙間部46に繋がるとともに、排水部品40の外部(屋内側)に向かって開放されている。
【0025】
支柱3の内部に入った水は、隙間部46に流入し、隙間部46を通過して、下方の笠木20及び排水部品40の排水部44に向かって排水される。隙間部46を通過した水は、排水部44まで到達し、排水部44により、排水部品40から排水部品40の外部(屋内側)に排水される。これにより、水は、支柱3の内部から支柱3の外部に排水される。また、水は、排水部品40の屋内側で、笠木20の覆い部21の上を屋内側に向かって流れる。
【0026】
笠木受け体50(図4図5参照)は、笠木20及び支柱補強材10の連結柱12と接触する環状の弾性材60と、弾性材60を支える環状のスペーサ70を有している。弾性材60とスペーサ70は、互いの間に設けられた両面テープにより、互いに接着されている。笠木受け体50の挿通部51は、弾性材60とスペーサ70のそれぞれに形成されている。スペーサ70は、笠木受け体50において支柱補強材10の基部11側及び手摺設置部2側(下側)に位置し、上方から支柱補強材10の基部11に載置される。また、スペーサ70は、支柱補強材10の基部11と弾性材60の間に配置される。弾性材60は、笠木受け体50において笠木20側(上側)に位置し、スペーサ70に載置された状態で、笠木20(覆い部21)とスペーサ70の間に配置される。
【0027】
図8は、本実施形態の笠木受け体50を上方からみて示す平面図である。図9は、本実施形態の笠木受け体50を示す斜視図であり、図10は、本実施形態の笠木受け体50を分解して示す斜視図である。図11は、図8のX3-X3線で切断した本実施形態の笠木受け体50を示す縦断面図である。
図示のように、笠木受け体50の弾性材60とスペーサ70は、別個の部品であり、弾性材60は、上方からスペーサ70に重ねて配置される。弾性材60は、スペーサ70よりも軟質な笠木受け体50の弾性変形部(軟質部)であり、スペーサ70よりも変形に対する剛性が低い。スペーサ70は、弾性材60よりも硬質な笠木受け体50のベース部(硬質部)であり、弾性材60よりも変形に対する剛性が高い。
【0028】
笠木受け体50の弾性材60は、弾性変形可能な止水材(弾性止水材)であり、スポンジ(例えば、スポンジ状のシリコンゴムであるシリコンスポンジ)によって形成されている。笠木受け体50のスペーサ70は、樹脂製の樹脂部品(硬質樹脂部品)であるとともに、弾性材60の下側で、弾性材60を受ける受け部である。笠木受け体50の挿通部51は、弾性材60に形成された挿通部61、及び、スペーサ70に形成された挿通部71からなる。支柱補強材10の連結柱12は、スペーサ70の挿通部71と弾性材60の挿通部61をそれぞれ挿通する。
【0029】
スペーサ70は、環状の外周部72と、支柱補強材10の連結柱12を囲む環状の内周部73と、弾性材60を受ける環状の受け面74を有している。スペーサ70の内周部73は、スペーサ70の挿通部71の内周に位置し、支柱補強材10の連結柱12との間に隙間をあけて、又は、支柱補強材10の連結柱12と接触して、連結柱12の周囲に配置される。
【0030】
スペーサ70の受け面74は、上下方向において、弾性材60を挟んで笠木20と対向する。また、スペーサ70の受け面74は、水平面に対して傾斜するスペーサ70の上面(傾斜面)であり、水平面に対して、外周部72から内周部73(支柱補強材10の連結柱12)に向かって笠木20から離隔する方向(下方)に次第に傾斜する勾配を有している。
【0031】
弾性材60は、環状の外周部62と、支柱補強材10の連結柱12を囲む環状の内周部63と、スペーサ70の受け面74に載置される環状の載置面64と、笠木20により押圧される環状の押圧面65を有している。弾性材60の内周部63は、弾性材60の挿通部61の内周に位置し、支柱補強材10の連結柱12と接触して、連結柱12の周囲に配置される。弾性材60の載置面64は、弾性材60の下面であり、スペーサ70の受け面74と対向する。弾性材60の押圧面65は、弾性材60の上面であり、笠木20(覆い部21)の下面に接触する。
【0032】
弾性材60(載置面64)は、上方からスペーサ70の受け面74に載置される。その状態で、弾性材60は、スペーサ70の受け面74の勾配(傾斜)に対応して変形して、受け面74に沿って配置される(図11参照)。これにより、弾性材60の載置面64と押圧面65は、スペーサ70の受け面74と同様に、水平面に対して、外周部62から内周部63に向かって笠木20から離隔する方向に次第に傾斜する。また、スペーサ70の受け面74、及び、弾性材60の載置面64と押圧面65は、それぞれの内周部73、63に向かって斜め下方に傾斜する。弾性材60の内周部63は、弾性材60の挿通部61の内部側(支柱補強材10の連結柱12側)に向かって変形して、弾性材60の挿通部61の内部側に張り出す。
【0033】
図12図13は、本実施形態の支柱補強材10、笠木20、及び、笠木受け体50を示す縦断面図であり、支柱補強材10、笠木20、及び、笠木受け体50のそれぞれの形状を簡略にして、支柱補強材10、笠木20、及び、笠木受け体50を模式的に示している。また、図12は、笠木20を笠木受け体50で受ける前の状態を示し、図13は、笠木20を笠木受け体50で受けた後の状態を示している。
【0034】
図示のように、支柱補強材10の連結柱12を笠木受け体50の挿通部51(スペーサ70の挿通部71、弾性材60の挿通部61)を挿通させて、笠木受け体50のスペーサ70を支柱補強材10の基部11に載置する(図12参照)。スペーサ70の受け面74は、スペーサ70の内周部73に向かって笠木20との間隔が次第に広くなるように形成されており、スペーサ70の内周部73に向かって笠木20から次第に離隔する。弾性材60は、スペーサ70の受け面74に沿って変形し、弾性材60の内周部63は、支柱補強材10の連結柱12に押し付けられて密着する。
【0035】
続いて、支柱補強材10の連結柱12を笠木20の挿通部22に挿通させて、笠木20を弾性材60の押圧面65に載置する(図13参照)。弾性材60は、笠木20により、下方のスペーサ70に向かって押されて、弾性変形する。弾性材60は、笠木20とスペーサ70の間に挟まれて弾性変形した状態で、笠木20及び支柱補強材10(ここでは、連結柱12)と密着する。具体的には、笠木20は、弾性材60の押圧面65を押圧して、押圧面65及び弾性材60を弾性変形させる。また、弾性材60は、笠木20(覆い部21の下面)とスペーサ70の受け面74の間に挟まれて弾性変形する。
【0036】
弾性変形した状態で、弾性材60(載置面64)は、スペーサ70の受け面74に押し付けられて密着する。また、弾性材60(押圧面65)は、笠木20の空間部7側(手摺設置部2側)の面(覆い部21の下面)に押し付けられて密着する。弾性材60(内周部63)は、支柱補強材10の連結柱12(外周部)に押し付けられて密着する。弾性材60は、笠木20と密着することで、笠木20と弾性材60の間の箇所を止水し、支柱補強材10の連結柱12と密着することで、支柱補強材10の連結柱12と弾性材60の間の箇所を止水する。これにより、弾性材60は、笠木20と支柱補強材10の連結柱12の間の箇所(笠木20の挿通部22)を止水する。
【0037】
弾性材60は、笠木20とスペーサ70の間に挟まれて弾性変形した状態で、笠木20の挿通部22の内部に向って弾性変形する。これにより、弾性材60は、支柱補強材10の連結柱12の周囲に位置する挿通部22の内部に押し込まれて、笠木20の挿通部22内に配置される。弾性材60が配置される笠木20の挿通部22は、支柱補強材10の連結柱12と挿通部22の内周部の間の挿通部22である。笠木20の挿通部22内で、弾性材60は、支柱補強材10の連結柱12を囲んで連結柱12の周囲に配置される。また、弾性材60は、支柱補強材10の連結柱12(外周部)と笠木20(挿通部22の内周部)に密着して、挿通部22を埋める。このように、弾性変形した弾性材60は、支柱補強材10の連結柱12の周りの挿通部22を塞いで止水する。
【0038】
以上説明した手摺1では、弾性材60により、笠木20と支柱補強材10の間の箇所を簡単に止水して、笠木20の止水性を確保することができる。また、笠木20と支柱補強材10の間の箇所の止水に要する作業の手間と時間を削減して、作業性を向上させることができる。弾性材60により、笠木20の止水性を安定して発揮させることができ、水が笠木20の挿通部22を通って笠木20の下側の空間部7に浸入するのを防止することもできる。
【0039】
スペーサ70の受け面74により、弾性材60を支柱補強材10の連結柱12に押し付けて、弾性材60と支柱補強材10の連結柱12の間に隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、弾性材60を支柱補強材10の連結柱12に確実に密着させて、支柱補強材10の連結柱12と弾性材60の間の止水性を向上させることができる。弾性材60により支柱補強材10の連結柱12の周りの笠木20の挿通部22を塞ぐことで、水が笠木20の挿通部22から笠木20の下側の空間部7に浸入するのを防止して、笠木20の止水性を更に向上させることができる。
【0040】
弾性材60よりも硬質なスペーサ70により、弾性材60及び笠木20を安定して受けることができる。また、笠木20とスペーサ70の間で弾性材60を確実に弾性変形させて、弾性材60を笠木20及び支柱補強材10の連結柱12に確実に密着させることができる。排水部品40により、支柱3の内部に入った水を支柱3の外部に円滑に排水して、支柱3の内部に水が滞留するのを抑制することができる。水を排水部品40の挿通部41と排水部44を経て支柱3の外部に導いて排水することができる。
【0041】
なお、笠木受け体50の弾性材60とスペーサ70は、一体の部品であってもよく、別体の部品であってもよい。また、弾性材60とスペーサ70を接着せずに、弾性材60をスペーサ70に載置するようにしてもよい。弾性材60は、スポンジ以外の弾性変形可能な材料で形成してもよい。スペーサ70は、支柱補強材10の基部11の形状又はサイズに応じて、基部11以外の箇所(例えば、基部11の周囲に位置する手摺設置部2)に載置するようにしてもよい。スペーサ70は、弾性材60よりも硬質な材質の材料で形成した硬質部品であればよい。従って、スペーサ70は、樹脂製に限定されず、樹脂以外の材料で形成してもよい。
【0042】
以上のとおり、笠木付手摺は、
手摺設置部に設置される笠木付手摺であって、
前記手摺設置部との間に空間部を形成するとともに挿通部を有する笠木と、
前記空間部で前記手摺設置部に取り付けられ、前記挿通部を挿通して前記笠木から突出する支柱補強材と、
前記笠木から突出する前記支柱補強材に取り付けられた支柱と、
前記支柱に支持された手摺体と、
前記空間部で前記支柱補強材を囲んで、前記笠木を受ける笠木受け体と、
を備え、
前記笠木受け体は、スペーサと、前記笠木と前記スペーサの間に挟まれて弾性変形した状態で、前記笠木及び前記支柱補強材と密着する弾性材と、を有する笠木付手摺である。
従って、弾性材により、笠木付手摺の笠木と支柱補強材の間の箇所を簡単に止水して、笠木の止水性を確保することができる。
【0043】
前記スペーサは、前記支柱補強材を囲む内周部と、前記内周部に向かって前記笠木との間隔が次第に広くなるように形成されて前記弾性材を受ける受け面と、を有し、
前記弾性材は、前記笠木と前記受け面の間に挟まれて弾性変形する。
従って、スペーサの受け面により、弾性材を支柱補強材に押し付けて、弾性材と支柱補強材の間に隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、弾性材を支柱補強材に確実に密着させて、支柱補強材と弾性材の間の止水性を向上させることができる。
【0044】
前記弾性材は、前記挿通部内に配置されて、前記支柱補強材の周りの前記挿通部を塞ぐ。
従って、弾性材により、水が笠木の挿通部から空間部に浸入するのを防止して、笠木の止水性を向上させることができる。
【0045】
前記スペーサは、前記弾性材よりも硬質である。
従って、スペーサにより、弾性材及び笠木を安定して受けることができる。また、笠木とスペーサの間で弾性材を確実に弾性変形させて、弾性材を笠木及び支柱補強材に確実に密着させることができる。
【0046】
前記支柱補強材は、前記笠木から突出して、前記支柱の内部に配置され、
笠木付手摺は、前記笠木から突出する前記支柱補強材を囲んで前記支柱と前記笠木の間に配置されて、前記支柱の内部に入った水を前記支柱の外部に向かって排水する排水部品を備える。
従って、排水部品により、支柱の内部に入った水を支柱の外部に円滑に排水して、支柱の内部に水が滞留するのを抑制することができる。
【0047】
前記排水部品は、前記支柱補強材が挿通した状態で、前記支柱補強材との間に、前記支柱の内部に入った水を下方に排水する隙間部を形成する挿通部と、前記隙間部を通過した水を前記排水部品から排水する排水部と、を有する。
従って、水を排水部品の挿通部と排水部を経て支柱の外部に導いて排水することができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・手摺、2・・・手摺設置部、2A・・・設置面、3・・・支柱、4・・・格子体、5・・・手摺体、6・・・笠木ホルダ、7・・・空間部、10・・・支柱補強材、11・・・基部、12・・・連結柱、20・・・笠木、21・・・覆い部、22・・・挿通部、30・・・ネジ、31・・・ネジ、40・・・排水部品、41・・・挿通部、42・・・上面部、43・・・下面部、44・・・排水部、45・・・内周部、46・・・隙間部、50・・・笠木受け体、51・・挿通部、60・・・弾性材、61・・・挿通部、62・・・外周部、63・・・内周部、64・・・載置面、65・・・押圧面、70・・・スペーサ、71・・・挿通部、72・・・外周部、73・・・内周部、74・・・受け面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13