(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109513
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】噛み心地、噛み切りやすさをバブルラップやQR等で食品購入前に示す発明
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20230801BHJP
G01N 33/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A23L5/00 Z
G01N33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011066
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】501451521
【氏名又は名称】松山 太
(72)【発明者】
【氏名】松山 太
(72)【発明者】
【氏名】デュモン デラクルーズ エリノア
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高齢者の食品選びの便利さを実現させるために、噛んだ時の硬さ軟らかさや噛み切りやすさなどが表示された食品を提供する。
【解決手段】高齢者がスーパー、コンビニ、市場、商店で食品を購入する場合、食品に添付されているニップル(プチプチ)を指で触っただけで軟らかさと噛み切りやすさなどが分かればどれを選べば最後までおいしく食べられるかが開封しなくても分かる。この方法を現状の技術と極めて安いコストであらゆる食品に応用し、プチプチだけではなくイラストやQR型コードでも知らせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に付けられたbubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)の「ソフトで丸い形の中のひとつひとつにゼリーのような粘性のある液体とカルシウムのような一定の硬さを触って感じられるような粒または細くて細かい棒状のチップスが入っている凹凸したシートまたは粒状の小袋」(通称プチプチ)と、それらを指先で触り、触って感じられる心地によって1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」などを表現し体感で理解できる食品特性の表示方法とそれを添付した食品や製品の類(仮称:ニップル)
【請求項2】
上記同様に、食品や製品に付けられた「丸い形のひとつひとつに空気が入っている凹凸したシート」(通称プチプチ)の「色と硬さの違い」により「見て触って」、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」などが表現され示される食品特性の表示の方法と添付された食品と製品の類(仮称:カミプチ)
【請求項3】
高齢者はもとより、噛む力が弱い人や、噛み切り力が弱い人が、病人食や介護食ではなく一般のスーパー、市場、商店、コンビニなどで販売している生または、一般食品、菓子、総菜、レトルト食品など全て包装された食品に印刷され一目で理解できる、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」を表現され、表示マーカーとして表示のある製品の類(仮称:カミングマーク)
【請求項4】
包装されたり、そのままの食品の、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」の内容が表現され、その表示がスマホで読み取れるQR型コードとそれらの情報が収納されているQR型コードとそれを付けた食品と製品の類(仮称:カムカムQR)
【請求項5】
1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」などが象徴的なイラスト10種と数字で表現され、示された種々の組み合わせで噛みやすさ、噛み切りやすさが理解できる安心マークとそれがついた食品と製品の類(仮称:かみモン)
【請求項6】
「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を組み合わせて一目で理解できるイラストや記号で表現し表示するアイデアと表示を付けた食品、製品、印刷物の類
【請求項7】
「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の情報をQR型コードで収納しスマホなどのモバイル端末で読み取り食品等の特性を知らせる、受け取る方法とQR型コードを印刷した印刷物、食品、製品の類
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は[食品製造][食品加工][農業・漁業・畜産・乳業][印刷」[bubble wrapバブルラップ製造加工業][インキ][食品包材フィルム][医療介護][内科][歯科][嚥下障害防止食品][プラスティック加工][自動包装][リテール・流通][計測機器]などである。
【0002】
本発明の応用技術分野は[流通産業][高齢者医療][健康食品][歯科医療][介護食品][インスタント食品][病院][印刷加工][携帯電話][携帯電話センサー部品メーカー][QR型表示][プチプチ/bubble wrap(バブルラップ)][自動包装機][スマホ機器]などである。
【0003】
本発明の応用製品化分野アプリケーションは、[医療][洋服][介護][食品輸出][WHO機関][FDA機関][情報処理][スマホ携帯電話][高齢者医学][アプリ][ホームページ作成][ビッグデータ解析][AI解析][IT技術]などがある。
【背景技術】
【0004】
本発明は、高齢者が加齢により歯が抜け落ちたり、歯ぐきが痩せたり、嚙む力が弱ってきて「やわらかいもの」を好むようになる。「やわらかいもの」と言っても千差万別、なすびの漬物のようにやわらかくても高齢者には「噛み切りにくい」ものもある。板チョコレートは硬くても口に入れればすぐ溶ける。本発明は食品を購入あるいは選別する際、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、4.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、5.「胃腸消化の程度」などが、「記号や数字、象徴的イラスト、QR型スマホ読み取りコード、小豆サイズの触って分かる硬さと噛み切りやすさを体感できるニップル型ジェル」で購入、選択前に知ることができる「食べ物ガイドマーカー」である。
【0005】
殆どの食品は加工方法や調理の方法によって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく異なる。大根や茄子は切り方や生か漬物かなどによって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく違ってくるのは好例である。沢庵は硬いが歯の常備な人には「ポリポリ」と君切り音もおいしさのうちであろう。
【0006】
なすびの漬物はくにゃくにゃと軟らかいが嚙み切るのは丈夫な歯が必要である。一方きゅうりの浅漬けの場合、表面は硬いが歯ぐきでも噛み切れるであろう。
高齢者にとって食品を購入したり選別したりする際に、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」が事前に分かるということは非常に重要なのである。
【0007】
本発明は、高齢者が増え、日本のみならず世界でも高齢者社会が到来した現在、高齢者のための「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を購入や飲食の事前に分かりやすく知らせる表示と今までになかった方法である。
【0008】
本発明のbubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)のゼリー状物質とカルシウム様チップ入りは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなのでコストも安く広く使えるものである。
【0009】
本発明のbubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)のカラーと硬さの違うバラエティーは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなので一つ当りのコストは1円の10分の1以下となるだろう。
栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。本発明の「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を表すイラストや表示マークは、QR型コードのように包材に印刷するだけで購入者が事前に情報を知ることができるものである。コストの安さは言うまでもない。
【0010】
本発明のQR型コードとは、スマホで読み取るだけで「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素情報が画面上に表示されるものである。コストの安さは言うまでもないことである。栄養は食べることで得られるのである。
【0011】
以下に本発明の良さがある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。つまり高齢者が瞬時に理解できることが重要なのである。
我々は日常的に何気なく、硬い、柔らかいという言葉を使用しているが、「硬さ」には、長さや重さと異なり、すべての材料を一律で表す共通した単位がない。
これは硬さが、摩耗・脆さ・曲げ・伸び・ねじりなどの複数の機械的性質の関係性により決まる尺度で、長さや重さのように単一の物理的性質により定義される値ではないからである。硬さには、「他の物体によって力を加えられたとき、それに抵抗する力の程度を示す尺度」という定義がある。力を加える物体の材質、大きさや形状、力の強さ等、試験条件が変わると、試験結果も変化する。このため、用途や目的に応じて様々な硬さ測定手法が定義され、実用化されてきたのが「硬さ」の基準であり数値である。これでは高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0012】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。硬さ(かたさ、英: hardness、硬度)とは物質、材料の特に表面または表面近傍の機械的性質の一つであり、材料が異物によって変形や傷を与えられようとする時の、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさである。 工業的に比較的簡単に検査でき、これを硬さ試験法と呼んでいるに過ぎない。硬さ600HV(HVは硬さの単位の1つ)は300HVよりも硬いことを表しているが、2倍硬いことを示している訳ではなく工業量で表される値は相対値である。これもまた高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0013】
硬さは、摩耗や曲げ、伸び、ねじりや脆さ等の複数の機械的性質の関係性により決まる。一方で、硬さを測定することで、これらの機会特性を個別に測定することなく、推定することができ、このためモノの管理において硬さ測定は非常に重要な役割を果たしている。 日本工業規格(JIS)では主な硬さの指標として種々の試験方法や基準はあるものの、それらはあくまで参考であり日常の食生活に「硬さ」の基準として利用できるものではない。日常の食品には役に立たない論文に過ぎない。
【0014】
一方食品ではないが、カシミアその他の繊維を「柔らかい」と感じるのはなぜだろう。「柔らかい」や「軟らかい」の基準も相対的なもので、その答えは完全には解明されてはいない。主な要因は2つあると考えられているが、触れている物の特性と、触れている本人、言い換えれば本人の脳がどう感じたか如何なのである。例えば、布の「風合い」とは、人が触れた時の繊維の感触や、繊維の動きを表現する繊維業界の業界での「用語」である。
繊維の風合いを研究する研究者たちは、テクスチャーを主観的に表現する「柔らかい」「硬い」という言葉を、実測可能な特性と関連づけるべく長年試みてきたものの、極めて複雑な主観的感覚という結論となっている。特に、「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素は感覚の問題である。
【0015】
高齢者の嚥下障害も本発明には重要である。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「学会分類2021」として、正式名称「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」日本摂食嚥下リハビリテーション学会が2013年に公表。病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共通して使用できることを目的に、食事5段階およびとろみ3段階について段階分類をした。
【0016】
学会によれば早見表と解説があり、原則的に段階を形態のみで示し、量や栄養成分については設定していない。学会分類2021では、コード4の「他の分類との対応」のUDF区分に「舌でつぶせる」が追加され、学会分類2021(とろみ)早見表の「シリンジ法による残留量」が追加された。発明者は「舌でつぶせる」こそ最も重要な食品表示の一つであると考える。
【0017】
社会の高齢化に伴い,飲み込み易さに配慮したえん下困難者向け食品の需要が高まっている。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。最近では,咀嚼やえん下障害の方でも安全に食事を楽しめるよう口の中でつぶし易いよう処理や,とろみを加え飲み込み易く処理された食品が数多く開発されてきた。
えん下困難者向け食品の食べ易さの評価には,食材の硬さ,付着性や粘度と呼ばれる物性値(これらは総称してテクスチャーと呼ばれます)が用いられており,客観的な評価尺度として食品の表示許可基準や規格にも盛り込まれている。本発明は介護の必要な人ばかりでなく、そうならないために十分な栄養とバランスがある食品選びに貢献するものである。
【0018】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。消費者庁による「えん下困難者用食品」の表示許可基準,日本介護食品協議会による「ユニバーサルデザインフード」基準など,各えん下困難者向け食品の物性規格,基準値,試験法(Shimadzu)なども「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の一部を示している。えん下困難者向け食品の種類と提唱団体として、えん下困難者向け食品の種類:提唱団体、えん下困難者用食:消費者庁
ユニバーサルデザインフード:日本介護食品協議会、嚥下食ピラミッド:金谷栄養研究所嚥下調整食分類2013、日本摂食嚥下リハビリテーション学会:スマイルケア食 農林水産省、えん下困難者用食品の表示許可基準 (消費者庁)などである。
【0019】
本発明に類する基準として以下のようなものもある。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。特別用途食品制度においては,健康増進法第26 条第1項の規定に基づき,「販売に供する食品につき,乳児用,幼児用,妊産婦用,病者用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は,消費者庁長官 の許可を受けなければならない」との旨が示されている。本制度において規定される「えん下困難者用食品の表示許可基準」を以下の表示がある。
えん下困難者用食品の許可基準
試験方法
本基準による試験法および実際の試験の様子を以下の図に示す。試料を直径40mm,高さ20mm(試料が零れる可能性がない場 合は,高さ 15mmでも可)の容器に高さ15mmに充填し,直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いて,直径20mm,高さ8mm樹脂性のプ ランジャーにより,圧縮速度10mm/sec,クリアランス5mmで2回圧縮し,その時の力を測定。
測定は,冷たくして食する又は常温で食する食品は10±2℃及び20±2℃,温かくして食する食品は20±2℃及び45±2℃で行う。
測定項目として定められている物性値である硬さ,付着性,凝集性については,2回圧縮試験を行った際に得られるテクスチャープロファイル(2回の圧縮動作時における力の変化。以下プロファイル例参照)から求めることができる。
【0020】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。ユニバーサルデザインフードの区分および物性値としては、
分類 区分形状 物性規格
かたさ上限値 N/m2 粘度下限値 mPa・s
区分1 容易にかめる 5×105
区分2 歯ぐきでつぶせる 5×104
区分3 舌でつぶせる ゾル: 1×104
ゲル: 2×104 ゾル: 1500
区分4 かまなくてよい ゾル: 3×103
ゲル: 5×103 ゾル: 1500
実際の食品の測定例
3種類の食品(P,Q,R)の測定結果を以下の表に示します。この結果から,食品Pでは区分1の規格値(500,000N/m2以下),食品Qでは区分2の規格値(50,000N/m2以下),食品Rでは区分3の規格値(10,000N/m2)を満たしていることがわかります。
実際の食品の測定結果
試料 かたさ測定(MAX値)[N/m2] 判定 総合判定
食品P 220,000 区分1 区分2 区分3 区分1
食品Q 42,000 区分1 区分2 区分3 区分2
食品R 980 区分1 区分2 区分3 区分
【0021】
栄養は食べることで得られる。嚥下食ピラミッド(金谷栄養研究所)は以下の通りである。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえよう。
聖霊三方原病院において取り組まれていた「えん下訓練食」の5つの基準を基に、 2004年日本摂食・嚥下リハビリテーション学会において金谷氏らにより提案された分類(以下の嚥下食ピラミッド図参照)であり、えん下困難者の障害の程 度に応じてえん下食を段階的にレベルアップしていくための方法として、臨床現場を中心に利用されている。
この分類では、物性値の基準は設けられていないが、栢下氏らにより、各レベルの食材の測定が試みられた例もあり、その測定結果を参考値として以下に示される。その際に用いられた試験法および評価指標は、上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じている。
【0022】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「嚥下食ピラミッド」の概要として、
嚥下食ピラミッドの各レベルの物性測定結果(参考値)
レベル 硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)
L0/開始食 2,000~7,000 0.2~0.5 200以下
L1/嚥下食I 1,000~10,000 0.2~0.7 200以下
(200~500の場合は、凝集性を0.4前後)
L2/嚥下食II 12,000以下 0.2~0.7 300以下
(300~800の場合は、凝集性を0.4前後)
L3/嚥下食III 15,000以下 0.2~0.9 1,000以下
L4/移行食 40,000以下 0~1.0 1,000以下
【0023】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。嚥下調整食分類2013 (日本摂食・嚥下リハビリテーション学会)では、
日本において,米国のNational Dysphagia Diet(2002)のような統一された嚥下調整食の段階が存在せず,関係者の間で混乱や不利益が生じている背景を受け,国内の病院・施設・在宅医療およ び福祉関係者が共通して使用できることを目的として,日本摂食嚥下・リハビリテーション学会より,5段階分類された嚥下調整食分類2013が作成されている。本分類では,上述の既存の分類との整合性も言及されており,多くの施設で使用できる分類となることが目指されている。また,本学会分類では,別途とろみに関する分類も示されており,そちらには性状の説明と共に粘度,LST値の規格が示されている。(ここでは食品の分類のみを示す)
嚥下調整食分類2013による食品の分類
名称 形態 必要な咀嚼能力
嚥下訓練食品0j 均質で,付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー
(若干の送り込み能力)
嚥下訓練食品0t 均質で,付。着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水
(若干の送り込み能力)
嚥下調整食1j 均質で,付着性・凝集性・かたさ,離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの
(若干の食塊保持と送り込み能力)
嚥下調整食2-1 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,均質でなめらかで,べたつかず,まとまりやすいもの
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食2-2 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,べたつかず,まとまりやすいもので不均質なものも含む
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食3 形はあるが,押しつぶしが容易,食塊形成や移送が容易,咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上
嚥下調整食4 かたさ・ばらけやすさ・貼り付けやすさなどのないもの 上下の歯槽提間の押しつぶし能力以上
【0024】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。スマイルケア食 (農林水産省)
昨今,高齢者の食に配慮し,味,見た目,柔らかさ等の改良された介護食が数多く販売されているにも関わらず,普及や認知度が十分でない状況を受け,農林水産省は,その是正に向け課題や問題点を議論すると共に,その解決に向けた取り組みを進めている。その取り組みの一環として,「介護食」の名称に抵抗感や拒否感があるとの声を受け,その新たな愛称が公募され,「スマイルケア食」の愛称が付けられた。また,スマイルケア食の分類にはわかり易さがより意識され,分類に食品形状に応じた色分けがアルファベットと共に用いられている。スマイルケア食では,えん下に障害を抱える方向けの赤A~~Cの区分の食品においては,上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じた硬さ・付着性・凝集性の物性値が示されている。
【0025】
栄養は食べることで得られる。また牛肉においては、「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる食感として認知された。牛肉の客観的な食感評価において、コレスポンデンス分析で「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」に属する語が分かれる。牛肉食感を科学的に定義付けされた「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」を分けて評価することで、客観的に特徴づけられた。国内における消費促進や国際競争力強化という立場から、国産牛肉の「おいしさ」を客観的に評価し、改善する技術が求められている。
牛肉の「おいしさ」において重要な要素に「やわらかさ」があるが、この「やわらかさ」という語には科学的な定義が与えられておらず、このため客観的な評価項目としては問題がある。そこで、官能評価用語の国際規格であるISO5492:1992において科学的に定義付けされた食感表現用語を用い、牛肉の食感を客観的に評価し特徴づける方法を提案している。
【0026】
高齢社会では重要さ増す「噛みやすさ」がある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。高齢化が進む近年では、テクスチャーやその測定が食品の開発で重視されている。高齢になると、咀嚼や飲み込む力(嚥下)が低下する人が多く、食品には食べやすさが求められている。テクスチャーは口の中で感じる感覚なので、咀嚼や嚥下と密接な関係にある。嚥下困難者向けの噛みやすく、飲み込みやすい食品が開発されている。それらの食品は、やわらかく、まとまりやすく、べたつかない状態であることが食べやすく望ましいとされる。
UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」では、30回咀嚼し、10段階で判定する。 そこで、食べやすさの評価には、食品のかたさや付着性や粘度などのテクスチャーが使われている。2009年に厚生労働省が示した嚥下困難者用食品の許可基準や、1994年に示された高齢者用食品の物性規格では、客観的な評価尺度としてテクスチャー的な要素が盛り込まれている。
今年、UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」によるスコア法が保険適用となった。製品のグミを噛んでどれだけ細かくなったかで、咀嚼能力を判定するというものだ。ゼリーのテクスチャーの特性を利用したものといえるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0028】
チューインガム
出願人: 江崎グリコ株式会社
発明者: 梶浦 勇人
出願 2013-185944 (2013/09/09) 公開 2015-050967 (2015/03/19)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0029】
果実含有ハードグミキャンディ
審査最終処分:特許登録
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 竹村 和志, 鈴木 潔, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2011-098530 (2011/04/26) 公開 2012-228204 (2012/11/22)
国際特許分類(IPC): A23G3/34
【0030】
漬け物ゼリー加工食品
出願人: 桐田 信一
発明者: 桐田 信一
出願 2008-229156 (2008/09/06) 公開 2009-077711 (2009/04/16)
国際特許分類(IPC): A23L1/05 A23B7/16 A23B7/10
FI: A23L1/04 A23B7/16 A23B7/10 Z
【0031】
軟化食品
出願人: イーエヌ大塚製薬株式会社
発明者: 竹井 亮, 梅根 伸悟
出願 2011-250972 (2011/11/16) 公開 2015-023800 (2015/02/05)
国際特許分類(IPC): A23L1/29
【0032】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0033】
粉末打錠チューインガム用口中成形剤及び粉末打錠チューインガムの口中崩壊感防止方法
出願人: クラシエフーズ株式会社
発明者: 石田 幸子ほか
出願 2008-251279 (2008/09/29) 公開 2010-081807 (2010/04/15)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0034】
ゲルを含有するチョコレート複合菓子及びその製造方法
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 北中 進介, 河村 敬司, 松川 泰治, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2012-005974 (2012/01/16) 公開 2013-143922 (2013/07/25)
国際特許分類(IPC): A23G1/00 A23G1/30
【0035】
構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物
審査請求:有 審査最終処分:特許登録
出願人: ノボマー, インコーポレイテッド
発明者: アレン, スコット ディー.
出願 2012-518615 (2010/07/01) 公開 2012-532233 (2012/12/13)
国際特許分類(IPC): C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 FI: C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 102
【非特許文献】
【0036】
新しい高齢者食品・介護食品の開発 農林水産省におけるスマイルケア食の取組
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (1件): 添野覚 (農林水産省 食料産業局)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 52 号: 12 ページ: 66-67 発行年: 2017年12月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0037】
インカートクッキングシステムにおける咀嚼困難者用介護食の開発
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著者 (7件): 樽井雅彦 (仁愛大 人間生活) , 大村彩英里 (仁愛大 人間生活) , 松山美里 (仁愛大 人間生活) , 山下麻菜美 (仁愛大 人間生活) , 伊佐公男 (仁愛大 人間生活) , 下村昭夫 (下村漆器店) , 中村薫 (神戸大 サイエンスショップ)
資料名: 仁愛大学研究紀要 人間生活学部篇 (Research Journal of Jin-ai University. Faculty of Human Life Studies)
号: 8 ページ: 11-20 発行年: 2017年03月31日
JST資料番号: L7824A ISSN: 2185-3363 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0038】
変わる食品表示への対応 No.6 食品表示法の概要と食品表示基準のポイント
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (3件): 武部方貴子 (イカリ消毒) , 塩田智哉 (イカリ消毒) , 石黒厚 (イカリ消毒)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 50 号: 6 ページ: 72-76 発行年: 2015年06月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【発明の概要】
【0039】
食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。
殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されず程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】追加
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】追加
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】追加
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図1/bubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)
図2/プチプチ
図3/袋入りのお惣菜(嚙み切りやすさ不明)
図4/軟らかいが噛み切れないなすびの漬物
図5/かたい沢庵
図6/固いが噛み切りやすいきゅうりの漬物
図7/固いか軟らかいか分からないハンバーグ
図8/イカは軟らかいが噛み切りにくい
図9/タコは噛み切れない
図10/タイは軟らかくても噛み切れない
図11/チョコレートは固くても口の中で溶ける
図12/歯がなくなり歯ぐきで咀嚼している
図13/高齢者は歯抜けが普通
図14/戦後生まれは母の栄養状態から歯が弱く総入れ歯も多い
図15/昔は食べられた固いせんべい
図16/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の情報を表示するQR型コード
図16/食べやすさを象徴的表すイラスト
図17/予想外の固さや固いものが含まれている可能性のある食品と軟らかくても噛み切りにくい食品の特徴をイラストと数字であらわしたサンプル
図18/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その1
図19/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その2
【手続補正書】
【提出日】2022-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、軟らかいと思って買ったものが噛み切れずに吐き出したなどという経験は高齢者ならば誰しも持っている経験であろう。
食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。
殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されず程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。これが実現されればどれだけ高齢者の食生活に貢献できるか計り知れない
【0002】
本発明の応用技術分野は、bubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)に固さの異なるゼリー状のものを封入し、更にその中に粒状のものや棒状のを混ぜたりし消費者、特に噛む力の弱った高齢者が指先で触っただけで「購入しようとするパックされた食品」の噛み心地や噛み切りやすさ、飲み込みやすさなどが分かることである。これは封入物がない場合でも色や、バブルラップそのものの固さやザラザラ感などでも表現される。またバブルラップ以外にはQR型コードや文字表示やイラスト表示プラス「硬さ程度数字」などで示すことも可能である。従って、本発明の応用技術としては、高齢者向けの食品開発は言うまでもなくbubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)の製造、印刷、スマホ、容器、パック素材、介護などが先発分野として挙げられる。
【0003】
本発明の応用製品化分野アプリケーションは、1.食品加工業、2.農業・漁業・養鶏・養豚・畜産業、3.包材開発、4.印刷業、5.化学品製造、6.医学関連業界、7.歯学関連業界、8.介護、9.高齢者医療食品、10.ソフト開発などがある。
【背景技術】
【0004】
本発明は、高齢者が加齢により歯が抜け落ちたり、歯ぐきが痩せたり、嚙む力が弱ってきて「やわらかいもの」を好むようになる。「やわらかいもの」と言っても千差万別、なすびの漬物のようにやわらかくても高齢者には「噛み切りにくい」ものもある。板チョコレートは硬くても口に入れればすぐ溶ける。本発明は食品を購入あるいは選別する際、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、4.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、5.「胃腸消化の程度」などが、「記号や数字、象徴的イラスト、QR型スマホ読み取りコード、小豆サイズの触って分かる硬さと噛み切りやすさを体感できるニップル型ジェル」で購入、選択前に知ることができる「食べ物ガイドマーカー」である。
【0005】
殆どの食品は加工方法や調理の方法によって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく異なる。大根や茄子は切り方や生か漬物かなどによって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく違ってくるのは好例である。沢庵は硬いが歯の常備な人には「ポリポリ」と君切り音もおいしさのうちであろう。
【0006】
なすびの漬物はくにゃくにゃと軟らかいが嚙み切るのは丈夫な歯が必要である。一方きゅうりの浅漬けの場合、表面は硬いが歯ぐきでも噛み切れるであろう。
高齢者にとって食品を購入したり選別したりする際に、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」が事前に分かるということは非常に重要なのである。
【0007】
本発明は、高齢者が増え、日本のみならず世界でも高齢者社会が到来した現在、高齢者のための「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を購入や飲食の事前に分かりやすく知らせる表示と今までになかった方法である。
【0008】
本発明の、バブルラップ(通称:プチプチ)のゼリー状物質とカルシウム様チップ入りは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなのでコストも安く広く使えるものである。
【0009】
本発明の、バブルラップ(通称:プチプチ)のカラーと硬さの違うバラエティーは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなので一つ当りのコストは1円の10分の1以下となるだろう。
栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。本発明の「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を表すイラストや表示マークは、QR型コードのように包材に印刷するだけで購入者が事前に情報を知ることができるものである。コストの安さは言うまでもない。
【0010】
本発明のQR型コードとは、スマホで読み取るだけで「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素情報が画面上に表示されるものである。コストの安さは言うまでもないことである。栄養は食べることで得られるのである。
【0011】
以下に本発明の良さがある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。つまり高齢者が瞬時に理解できることが重要なのである。
我々は日常的に何気なく、硬い、柔らかいという言葉を使用しているが、「硬さ」には、長さや重さと異なり、すべての材料を一律で表す共通した単位がない。
これは硬さが、摩耗・脆さ・曲げ・伸び・ねじりなどの複数の機械的性質の関係性により決まる尺度で、長さや重さのように単一の物理的性質により定義される値ではないからである。硬さには、「他の物体によって力を加えられたとき、それに抵抗する力の程度を示す尺度」という定義がある。力を加える物体の材質、大きさや形状、力の強さ等、試験条件が変わると、試験結果も変化する。このため、用途や目的に応じて様々な硬さ測定手法が定義され、実用化されてきたのが「硬さ」の基準であり数値である。これでは高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0012】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。硬さ(かたさ、英: hardness、硬度)とは物質、材料の特に表面または表面近傍の機械的性質の一つであり、材料が異物によって変形や傷を与えられようとする時の、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさである。 工業的に比較的簡単に検査でき、これを硬さ試験法と呼んでいるに過ぎない。硬さ600HV(HVは硬さの単位の1つ)は300HVよりも硬いことを表しているが、2倍硬いことを示している訳ではなく工業量で表される値は相対値である。これもまた高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0013】
硬さは、摩耗や曲げ、伸び、ねじりや脆さ等の複数の機械的性質の関係性により決まる。一方で、硬さを測定することで、これらの機会特性を個別に測定することなく、推定することができ、このためモノの管理において硬さ測定は非常に重要な役割を果たしている。 日本工業規格(JIS)では主な硬さの指標として種々の試験方法や基準はあるものの、それらはあくまで参考であり日常の食生活に「硬さ」の基準として利用できるものではない。日常の食品には役に立たない論文に過ぎない。
【0014】
一方食品ではないが、カシミアその他の繊維を「柔らかい」と感じるのはなぜだろう。「柔らかい」や「軟らかい」の基準も相対的なもので、その答えは完全には解明されてはいない。主な要因は2つあると考えられているが、触れている物の特性と、触れている本人、言い換えれば本人の脳がどう感じたか如何なのである。例えば、布の「風合い」とは、人が触れた時の繊維の感触や、繊維の動きを表現する繊維業界の業界での「用語」である。
繊維の風合いを研究する研究者たちは、テクスチャーを主観的に表現する「柔らかい」「硬い」という言葉を、実測可能な特性と関連づけるべく長年試みてきたものの、極めて複雑な主観的感覚という結論となっている。特に、「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素は感覚の問題である。
【0015】
高齢者の嚥下障害も本発明には重要である。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「学会分類2021」として、正式名称「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」日本摂食嚥下リハビリテーション学会が2013年に公表。病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共通して使用できることを目的に、食事5段階およびとろみ3段階について段階分類をした。
【0016】
学会によれば早見表と解説があり、原則的に段階を形態のみで示し、量や栄養成分については設定していない。学会分類2021では、コード4の「他の分類との対応」のUDF区分に「舌でつぶせる」が追加され、学会分類2021(とろみ)早見表の「シリンジ法による残留量」が追加された。発明者は「舌でつぶせる」こそ最も重要な食品表示の一つであると考える。
【0017】
社会の高齢化に伴い,飲み込み易さに配慮したえん下困難者向け食品の需要が高まっている。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。最近では,咀嚼やえん下障害の方でも安全に食事を楽しめるよう口の中でつぶし易いよう処理や,とろみを加え飲み込み易く処理された食品が数多く開発されてきた。
えん下困難者向け食品の食べ易さの評価には,食材の硬さ,付着性や粘度と呼ばれる物性値(これらは総称してテクスチャーと呼ばれます)が用いられており,客観的な評価尺度として食品の表示許可基準や規格にも盛り込まれている。本発明は介護の必要な人ばかりでなく、そうならないために十分な栄養とバランスがある食品選びに貢献するものである。
【0018】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。消費者庁による「えん下困難者用食品」の表示許可基準,日本介護食品協議会による「ユニバーサルデザインフード」基準など,各えん下困難者向け食品の物性規格,基準値,試験法(Shimadzu)なども「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の一部を示している。えん下困難者向け食品の種類と提唱団体として、えん下困難者向け食品の種類:提唱団体、えん下困難者用食:消費者庁
ユニバーサルデザインフード:日本介護食品協議会、嚥下食ピラミッド:金谷栄養研究所嚥下調整食分類2013、日本摂食嚥下リハビリテーション学会:スマイルケア食農林水産省、えん下困難者用食品の表示許可基準(消費者庁)などである。
【0019】
本発明に類する基準として以下のようなものもある。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。特別用途食品制度においては,健康増進法第26 条第1項の規定に基づき,「販売に供する食品につき,乳児用,幼児用,妊産婦用,病者用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は,消費者庁長官 の許可を受けなければならない」との旨が示されている。本制度において規定される「えん下困難者用食品の表示許可基準」を以下の表示がある。
えん下困難者用食品の許可基準(以下引用)
試験方法
本基準による試験法および実際の試験の様子を以下の図に示す。試料を直径40mm,高さ20mm(試料が零れる可能性がない場 合は,高さ 15mmでも可)の容器に高さ15mmに充填し,直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いて,直径20mm,高さ8mm樹脂性のプ ランジャーにより,圧縮速度10mm/sec,クリアランス5mmで2回圧縮し,その時の力を測定。
測定は,冷たくして食する又は常温で食する食品は10±2℃及び20±2℃,温かくして食する食品は20±2℃及び45±2℃で行う。
測定項目として定められている物性値である硬さ,付着性,凝集性については,2回圧縮試験を行った際に得られるテクスチャープロファイル(2回の圧縮動作時における力の変化。以下プロファイル例参照)から求めることができる。
【0020】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。ユニバーサルデザインフードの区分および物性値としては、(以下引用)
分類 区分形状 物性規格
かたさ上限値 N/m2 粘度下限値 mPa・s
区分1 容易にかめる 5×105
区分2 歯ぐきでつぶせる 5×104
区分3 舌でつぶせる ゾル: 1×104
ゲル: 2×104 ゾル: 1500
区分4 かまなくてよい ゾル: 3×103
ゲル: 5×103 ゾル: 1500
実際の食品の測定例
3種類の食品(P,Q,R)の測定結果を以下の表に示します。この結果から,食品Pでは区分1の規格値(500,000N/m2以下),食品Qでは区分2の規格値(50,000N/m2以下),食品Rでは区分3の規格値(10,000N/m2)を満たしていることがわかります。
実際の食品の測定結果
試料 かたさ測定(MAX値)[N/m2] 判定 総合判定
食品P 220,000 区分1 区分2 区分3 区分1
食品Q 42,000 区分1 区分2 区分3 区分2
食品R 980 区分1 区分2 区分3 区分4
【0021】
栄養は食べることで得られる。嚥下食ピラミッド(金谷栄養研究所)は以下の通りである。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえよう。(以下引用)
聖霊三方原病院において取り組まれていた「えん下訓練食」の5つの基準を基に、 2004年日本摂食・嚥下リハビリテーション学会において金谷氏らにより提案された分類(以下の嚥下食ピラミッド図参照)であり、えん下困難者の障害の程 度に応じてえん下食を段階的にレベルアップしていくための方法として、臨床現場を中心に利用されている。
この分類では、物性値の基準は設けられていないが、栢下氏らにより、各レベルの食材の測定が試みられた例もあり、その測定結果を参考値として以下に示される。その際に用いられた試験法および評価指標は、上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じている。
【0022】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「嚥下食ピラミッド」の概要として、
嚥下食ピラミッドの各レベルの物性測定結果(参考値)がある。(以下引用)
レベル 硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)
L0/開始食 2,000~7,000 0.2~0.5 200以下
L1/嚥下食I 1,000~10,000 0.2~0.7 200以下
(200~500の場合は、凝集性を0.4前後)
L2/嚥下食II 12,000以下 0.2~0.7 300以下
(300~800の場合は、凝集性を0.4前後)
L3/嚥下食III 15,000以下 0.2~0.9 1,000以下
L4/移行食 40,000以下 0~1.0 1,000以下
【0023】
十分に噛むことのできない、高齢者は「要介護者の予備軍」といえる。
嚥下調整食分類2013 (日本摂食・嚥下リハビリテーション学会)では、
日本において,米国のNational Dysphagia Diet(2002)のような統一された嚥下調整食の段階が存在せず,関係者の間で混乱や不利益が生じている背景を受け,国内の病院・施設・在宅医療およ び福祉関係者が共通して使用できることを目的として,日本摂食嚥下・リハビリテーション学会より,5段階分類された嚥下調整食分類2013が作成されている。本分類では,上述の既存の分類との整合性も言及されており,多くの施設で使用できる分類となることが目指されている。また,本学会分類では,別途とろみに関する分類も示されており,そちらには性状の説明と共に粘度,LST値の規格が示されている。(ここでは食品の分類のみを示す)
嚥下調整食分類2013による食品の分類
名称 形態 必要な咀嚼能力
嚥下訓練食品0j 均質で,付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー
(若干の送り込み能力)
嚥下訓練食品0t 均質で,付。着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水
(若干の送り込み能力)
嚥下調整食1j 均質で,付着性・凝集性・かたさ,離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの
(若干の食塊保持と送り込み能力)
嚥下調整食2-1 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,均質でなめらかで,べたつかず,まとまりやすいもの
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食2-2 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,べたつかず,まとまりやすいもので不均質なものも含む
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食3 形はあるが,押しつぶしが容易,食塊形成や移送が容易,咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上
嚥下調整食4 かたさ・ばらけやすさ・貼り付けやすさなどのないもの 上下の歯槽提間の押しつぶし能力以上
【0024】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。スマイルケア食 (農林水産省)
昨今,高齢者の食に配慮し,味,見た目,柔らかさ等の改良された介護食が数多く販売されているにも関わらず,普及や認知度が十分でない状況を受け,農林水産省は,その是正に向け課題や問題点を議論すると共に,その解決に向けた取り組みを進めている。その取り組みの一環として,「介護食」の名称に抵抗感や拒否感があるとの声を受け,その新たな愛称が公募され,「スマイルケア食」の愛称が付けられた。また,スマイルケア食の分類にはわかり易さがより意識され,分類に食品形状に応じた色分けがアルファベットと共に用いられている。スマイルケア食では,えん下に障害を抱える方向けの赤A~~Cの区分の食品においては,上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じた硬さ・付着性・凝集性の物性値が示されている。
【0025】
栄養は食べることで得られる。また牛肉においては、「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる食感として認知された。牛肉の客観的な食感評価において、コレスポンデンス分析で「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」に属する語が分かれる。牛肉食感を科学的に定義付けされた「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」を分けて評価することで、客観的に特徴づけられた。国内における消費促進や国際競争力強化という立場から、国産牛肉の「おいしさ」を客観的に評価し、改善する技術が求められている。
牛肉の「おいしさ」において重要な要素に「やわらかさ」があるが、この「やわらかさ」という語には科学的な定義が与えられておらず、このため客観的な評価項目としては問題がある。そこで、官能評価用語の国際規格であるISO5492:1992において科学的に定義付けされた食感表現用語を用い、牛肉の食感を客観的に評価し特徴づける方法を提案している。
【0026】
高齢社会では重要さ増す「噛みやすさ」がある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。高齢化が進む近年では、テクスチャーやその測定が食品の開発で重視されている。高齢になると、咀嚼や飲み込む力(嚥下)が低下する人が多く、食品には食べやすさが求められている。テクスチャーは口の中で感じる感覚なので、咀嚼や嚥下と密接な関係にある。嚥下困難者向けの噛みやすく、飲み込みやすい食品が開発されている。それらの食品は、やわらかく、まとまりやすく、べたつかない状態であることが食べやすく望ましいとされる。
UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」では、30回咀嚼し、10段階で判定する。 そこで、食べやすさの評価には、食品のかたさや付着性や粘度などのテクスチャーが使われている。2009年に厚生労働省が示した嚥下困難者用食品の許可基準や、1994年に示された高齢者用食品の物性規格では、客観的な評価尺度としてテクスチャー的な要素が盛り込まれている。
今年、UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」によるスコア法が保険適用となった。製品のグミを噛んでどれだけ細かくなったかで、咀嚼能力を判定するというものだ。ゼリーのテクスチャーの特性を利用したものといえるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0028】
チューインガム
出願人: 江崎グリコ株式会社
発明者: 梶浦 勇人
出願 2013-185944 (2013/09/09) 公開 2015-050967 (2015/03/19)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0029】
果実含有ハードグミキャンディ
審査最終処分:特許登録
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 竹村 和志, 鈴木 潔, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2011-098530 (2011/04/26) 公開 2012-228204 (2012/11/22)
国際特許分類(IPC): A23G3/34
【0030】
漬け物ゼリー加工食品
出願人: 桐田 信一
発明者: 桐田 信一
出願 2008-229156 (2008/09/06) 公開 2009-077711 (2009/04/16)
国際特許分類(IPC): A23L1/05 A23B7/16 A23B7/10
FI: A23L1/04 A23B7/16 A23B7/10 Z
【0031】
軟化食品
出願人: イーエヌ大塚製薬株式会社
発明者: 竹井 亮, 梅根 伸悟
出願 2011-250972 (2011/11/16) 公開 2015-023800 (2015/02/05)
国際特許分類(IPC): A23L1/29
【0032】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0033】
粉末打錠チューインガム用口中成形剤及び粉末打錠チューインガムの口中崩壊感防止方法
出願人: クラシエフーズ株式会社
発明者: 石田 幸子ほか
出願 2008-251279 (2008/09/29) 公開 2010-081807 (2010/04/15)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0034】
ゲルを含有するチョコレート複合菓子及びその製造方法
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 北中 進介, 河村 敬司, 松川 泰治, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2012-005974 (2012/01/16) 公開 2013-143922 (2013/07/25)
国際特許分類(IPC): A23G1/00 A23G1/30
【0035】
構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物
審査請求:有 審査最終処分:特許登録
出願人: ノボマー, インコーポレイテッド
発明者: アレン, スコット ディー.
出願 2012-518615 (2010/07/01) 公開 2012-532233 (2012/12/13)
国際特許分類(IPC): C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 FI: C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 102
【非特許文献】
【0036】
新しい高齢者食品・介護食品の開発 農林水産省におけるスマイルケア食の取組
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (1件): 添野覚 (農林水産省 食料産業局)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 52 号: 12 ページ: 66-67 発行年: 2017年12月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0037】
インカートクッキングシステムにおける咀嚼困難者用介護食の開発
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (7件): 樽井雅彦 (仁愛大 人間生活) , 大村彩英里 (仁愛大 人間生活) , 松山美里 (仁愛大 人間生活) , 山下麻菜美 (仁愛大 人間生活) , 伊佐公男 (仁愛大 人間生活) , 下村昭夫 (下村漆器店) , 中村薫 (神戸大 サイエンスショップ)
資料名: 仁愛大学研究紀要 人間生活学部篇 (Research Journal of Jin-ai University. Faculty of Human Life Studies)
号: 8 ページ: 11-20 発行年: 2017年03月31日
JST資料番号: L7824A ISSN: 2185-3363 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0038】
変わる食品表示への対応 No.6 食品表示法の概要と食品表示基準のポイント
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (3件): 武部方貴子 (イカリ消毒) , 塩田智哉 (イカリ消毒) , 石黒厚 (イカリ消毒)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 50 号: 6 ページ: 72-76 発行年: 2015年06月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【発明の概要】
【0039】
食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。
殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されず程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1/bubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)
図2/プチプチ
図3/袋入りのお惣菜(嚙み切りやすさ不明)
図4/軟らかいが噛み切れないなすびの漬物
図5/かたい沢庵
図6/固いが噛み切りやすいきゅうりの漬物
図7/固いか軟らかいか分からないハンバーグ
図8/イカは軟らかいが噛み切りにくい
図9/タコは噛み切れない
図10/タイは軟らかくても噛み切れない
図11/チョコレートは固くても口の中で溶ける
図12/歯がなくなり歯ぐきで咀嚼している
図13/高齢者は歯抜けが普通
図14/戦後生まれは母の栄養状態から歯が弱く総入れ歯も多い
図15/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の情報を表示するQR型コード
図16/予想外の固さや固いものが含まれている可能性のある食品と軟らかくても噛み切りにくい食品の特徴をイラストと数字であらわしたサンプル
図17/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その1
図18/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その2
【要約】
【0041】
本発明は、食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かることである。
【課題】
【0042】
高齢者の噛み切り、飲み込み、嚥下障害などについて、バブルラップ業界、高齢者介護、食品メーカーの理解が必要である。食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方、十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会の問題である。現在、殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されずその程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。
【解決手段】
【0043】
高齢者がスーパー、コンビニ、市場、商店で食品を購入する場合、本発明のニップル(プチプチ)を指で触っただけで軟らかさと噛み切りやすさなどが分かればどれを選べば最後までおいしく食べられるかが開封しなくても分かる。この方法を現状の技術と極めて安いコストであらゆる食品に応用し、プチプチだけではなくイラストやQR型コードでも知らせるのが発明の主旨である。
【選択図】
【0044】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】追加
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-09
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、軟らかいと思って買ったものが噛み切れずに吐き出したなどという経験は高齢者ならば誰しも持っている経験であろう。
食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。
殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されず程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。これが実現されればどれだけ高齢者の食生活に貢献できるか計り知れない
【0002】
本発明の応用技術分野は、bubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)に固さの異なるゼリー状のものを封入し、更にその中に粒状のものや棒状のを混ぜたりし消費者、特に噛む力の弱った高齢者が指先で触っただけで「購入しようとするパックされた食品」の噛み心地や噛み切りやすさ、飲み込みやすさなどが分かることである。これは封入物がない場合でも色や、バブルラップそのものの固さやザラザラ感などでも表現される。またバブルラップ以外にはQR型コードや文字表示やイラスト表示プラス「硬さ程度数字」などで示すことも可能である。従って、本発明の応用技術としては、高齢者向けの食品開発は言うまでもなくbubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)の製造、印刷、スマホ、容器、パック素材、介護などが先発分野として挙げられる。
【0003】
本発明の応用製品化分野アプリケーションは、1.食品加工業、2.農業・漁業・養鶏・養豚・畜産業、3.包材開発、4.印刷業、5.化学品製造、6.医学関連業界、7.歯学関連業界、8.介護、9.高齢者医療食品、10.ソフト開発などがある。
【背景技術】
【0004】
本発明は、高齢者が加齢により歯が抜け落ちたり、歯ぐきが痩せたり、嚙む力が弱ってきて「やわらかいもの」を好むようになる。「やわらかいもの」と言っても千差万別、なすびの漬物のようにやわらかくても高齢者には「噛み切りにくい」ものもある。板チョコレートは硬くても口に入れればすぐ溶ける。本発明は食品を購入あるいは選別する際、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、4.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、5.「胃腸消化の程度」などが、「記号や数字、象徴的イラスト、QR型スマホ読み取りコード、小豆サイズの触って分かる硬さと噛み切りやすさを体感できるニップル型ジェル」で購入、選択前に知ることができる「食べ物ガイドマーカー」である。
【0005】
殆どの食品は加工方法や調理の方法によって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく異なる。大根や茄子は切り方や生か漬物かなどによって噛みやすさ、噛み切りやすさ、飲み込みやすさは大きく違ってくるのは好例である。沢庵は硬いが歯の常備な人には「ポリポリ」と君切り音もおいしさのうちであろう。
【0006】
なすびの漬物はくにゃくにゃと軟らかいが嚙み切るのは丈夫な歯が必要である。一方きゅうりの浅漬けの場合、表面は硬いが歯ぐきでも噛み切れるであろう。
高齢者にとって食品を購入したり選別したりする際に、1.「噛んだ時の硬さ軟らかさ」、2.「歯ぐきや舌の痛さ」、3.「食べ物の噛み切りやすさ、難さ」、4.「砕きやすさ、溶け具合」、5.「飲み込みやすさ、ひっかかりやつまりの危険性」、6.「胃腸消化の程度」が事前に分かるということは非常に重要なのである。
【0007】
本発明は、高齢者が増え、日本のみならず世界でも高齢者社会が到来した現在、高齢者のための「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を購入や飲食の事前に分かりやすく知らせる表示と今までになかった方法である。
【0008】
本発明の、バブルラップ(通称:プチプチ)のゼリー状物質とカルシウム様チップ入りは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなのでコストも安く広く使えるものである。
【0009】
本発明の、バブルラップ(通称:プチプチ)のカラーと硬さの違うバラエティーは、高齢者が食品を購入する際事前に指先で触っただけで「噛み心地」と「噛み切り具合」が理解できるものである。1食品に1個(粒)つけるだけなので一つ当りのコストは1円の10分の1以下となるだろう。
栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。本発明の「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素を表すイラストや表示マークは、QR型コードのように包材に印刷するだけで購入者が事前に情報を知ることができるものである。コストの安さは言うまでもない。
【0010】
本発明のQR型コードとは、スマホで読み取るだけで「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素情報が画面上に表示されるものである。コストの安さは言うまでもないことである。栄養は食べることで得られるのである。
【0011】
以下に本発明の良さがある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。つまり高齢者が瞬時に理解できることが重要なのである。
我々は日常的に何気なく、硬い、柔らかいという言葉を使用しているが、「硬さ」には、長さや重さと異なり、すべての材料を一律で表す共通した単位がない。
これは硬さが、摩耗・脆さ・曲げ・伸び・ねじりなどの複数の機械的性質の関係性により決まる尺度で、長さや重さのように単一の物理的性質により定義される値ではないからである。硬さには、「他の物体によって力を加えられたとき、それに抵抗する力の程度を示す尺度」という定義がある。力を加える物体の材質、大きさや形状、力の強さ等、試験条件が変わると、試験結果も変化する。このため、用途や目的に応じて様々な硬さ測定手法が定義され、実用化されてきたのが「硬さ」の基準であり数値である。これでは高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0012】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。硬さ(かたさ、英: hardness、硬度)とは物質、材料の特に表面または表面近傍の機械的性質の一つであり、材料が異物によって変形や傷を与えられようとする時の、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさである。 工業的に比較的簡単に検査でき、これを硬さ試験法と呼んでいるに過ぎない。硬さ600HV(HVは硬さの単位の1つ)は300HVよりも硬いことを表しているが、2倍硬いことを示している訳ではなく工業量で表される値は相対値である。これもまた高齢者や消費者にとっては何の意味もなさないであろう。
【0013】
硬さは、摩耗や曲げ、伸び、ねじりや脆さ等の複数の機械的性質の関係性により決まる。一方で、硬さを測定することで、これらの機会特性を個別に測定することなく、推定することができ、このためモノの管理において硬さ測定は非常に重要な役割を果たしている。 日本工業規格(JIS)では主な硬さの指標として種々の試験方法や基準はあるものの、それらはあくまで参考であり日常の食生活に「硬さ」の基準として利用できるものではない。日常の食品には役に立たない論文に過ぎない。
【0014】
一方食品ではないが、カシミアその他の繊維を「柔らかい」と感じるのはなぜだろう。「柔らかい」や「軟らかい」の基準も相対的なもので、その答えは完全には解明されてはいない。主な要因は2つあると考えられているが、触れている物の特性と、触れている本人、言い換えれば本人の脳がどう感じたか如何なのである。例えば、布の「風合い」とは、人が触れた時の繊維の感触や、繊維の動きを表現する繊維業界の業界での「用語」である。
繊維の風合いを研究する研究者たちは、テクスチャーを主観的に表現する「柔らかい」「硬い」という言葉を、実測可能な特性と関連づけるべく長年試みてきたものの、極めて複雑な主観的感覚という結論となっている。特に、「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素は感覚の問題である。
【0015】
高齢者の嚥下障害も本発明には重要である。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「学会分類2021」として、正式名称「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」日本摂食嚥下リハビリテーション学会が2013年に公表。病院・施設・在宅医療および福祉関係者が共通して使用できることを目的に、食事5段階およびとろみ3段階について段階分類をした。
【0016】
学会によれば早見表と解説があり、原則的に段階を形態のみで示し、量や栄養成分については設定していない。学会分類2021では、コード4の「他の分類との対応」のUDF区分に「舌でつぶせる」が追加され、学会分類2021(とろみ)早見表の「シリンジ法による残留量」が追加された。発明者は「舌でつぶせる」こそ最も重要な食品表示の一つであると考える。
【0017】
社会の高齢化に伴い,飲み込み易さに配慮したえん下困難者向け食品の需要が高まっている。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。最近では,咀嚼やえん下障害の方でも安全に食事を楽しめるよう口の中でつぶし易いよう処理や,とろみを加え飲み込み易く処理された食品が数多く開発されてきた。
えん下困難者向け食品の食べ易さの評価には,食材の硬さ,付着性や粘度と呼ばれる物性値(これらは総称してテクスチャーと呼ばれます)が用いられており,客観的な評価尺度として食品の表示許可基準や規格にも盛り込まれている。本発明は介護の必要な人ばかりでなく、そうならないために十分な栄養とバランスがある食品選びに貢献するものである。
【0018】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。消費者庁による「えん下困難者用食品」の表示許可基準,日本介護食品協議会による「ユニバーサルデザインフード」基準など,各えん下困難者向け食品の物性規格,基準値,試験法(Shimadzu)なども「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の一部を示している。えん下困難者向け食品の種類と提唱団体として、えん下困難者向け食品の種類:提唱団体、えん下困難者用食:消費者庁
ユニバーサルデザインフード:日本介護食品協議会、嚥下食ピラミッド:金谷栄養研究所嚥下調整食分類2013、日本摂食嚥下リハビリテーション学会:スマイルケア食農林水産省、えん下困難者用食品の表示許可基準(消費者庁)などである。
【0019】
本発明に類する基準として以下のようなものもある。栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。特別用途食品制度においては,健康増進法第26 条第1項の規定に基づき,「販売に供する食品につき,乳児用,幼児用,妊産婦用,病者用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は,消費者庁長官 の許可を受けなければならない」との旨が示されている。本制度において規定される「えん下困難者用食品の表示許可基準」を以下の表示がある。
えん下困難者用食品の許可基準(以下引用)
試験方法
本基準による試験法および実際の試験の様子を以下の図に示す。試料を直径40mm,高さ20mm(試料が零れる可能性がない場 合は,高さ 15mmでも可)の容器に高さ15mmに充填し,直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いて,直径20mm,高さ8mm樹脂性のプ ランジャーにより,圧縮速度10mm/sec,クリアランス5mmで2回圧縮し,その時の力を測定。
測定は,冷たくして食する又は常温で食する食品は10±2℃及び20±2℃,温かくして食する食品は20±2℃及び45±2℃で行う。
測定項目として定められている物性値である硬さ,付着性,凝集性については,2回圧縮試験を行った際に得られるテクスチャープロファイル(2回の圧縮動作時における力の変化。以下プロファイル例参照)から求めることができる。
【0020】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。ユニバーサルデザインフードの区分および物性値としては、(以下引用)
分類 区分形状 物性規格
かたさ上限値 N/m2 粘度下限値 mPa・s
区分1 容易にかめる 5×105
区分2 歯ぐきでつぶせる 5×104
区分3 舌でつぶせる ゾル: 1×104
ゲル: 2×104 ゾル: 1500
区分4 かまなくてよい ゾル: 3×103
ゲル: 5×103 ゾル: 1500
実際の食品の測定例
3種類の食品(P,Q,R)の測定結果を以下の表に示します。この結果から,食品Pでは区分1の規格値(500,000N/m2以下),食品Qでは区分2の規格値(50,000N/m2以下),食品Rでは区分3の規格値(10,000N/m2)を満たしていることがわかります。
実際の食品の測定結果
試料 かたさ測定(MAX値)[N/m2] 判定 総合判定
食品P 220,000 区分1 区分2 区分3 区分1
食品Q 42,000 区分1 区分2 区分3 区分2
食品R 980 区分1 区分2 区分3 区分4
【0021】
栄養は食べることで得られる。嚥下食ピラミッド(金谷栄養研究所)は以下の通りである。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえよう。(以下引用)
聖霊三方原病院において取り組まれていた「えん下訓練食」の5つの基準を基に、 2004年日本摂食・嚥下リハビリテーション学会において金谷氏らにより提案された分類(以下の嚥下食ピラミッド図参照)であり、えん下困難者の障害の程 度に応じてえん下食を段階的にレベルアップしていくための方法として、臨床現場を中心に利用されている。
この分類では、物性値の基準は設けられていないが、栢下氏らにより、各レベルの食材の測定が試みられた例もあり、その測定結果を参考値として以下に示される。その際に用いられた試験法および評価指標は、上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じている。
【0022】
十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。「嚥下食ピラミッド」の概要として、
嚥下食ピラミッドの各レベルの物性測定結果(参考値)がある。(以下引用)
レベル 硬さ(N/m2) 凝集性 付着性(J/m3)
L0/開始食 2,000~7,000 0.2~0.5 200以下
L1/嚥下食I 1,000~10,000 0.2~0.7 200以下
(200~500の場合は、凝集性を0.4前後)
L2/嚥下食II 12,000以下 0.2~0.7 300以下
(300~800の場合は、凝集性を0.4前後)
L3/嚥下食III 15,000以下 0.2~0.9 1,000以下
L4/移行食 40,000以下 0~1.0 1,000以下
【0023】
十分に噛むことのできない、高齢者は「要介護者の予備軍」といえる。
嚥下調整食分類2013 (日本摂食・嚥下リハビリテーション学会)では、
日本において,米国のNational Dysphagia Diet(2002)のような統一された嚥下調整食の段階が存在せず,関係者の間で混乱や不利益が生じている背景を受け,国内の病院・施設・在宅医療およ び福祉関係者が共通して使用できることを目的として,日本摂食嚥下・リハビリテーション学会より,5段階分類された嚥下調整食分類2013が作成されている。本分類では,上述の既存の分類との整合性も言及されており,多くの施設で使用できる分類となることが目指されている。また,本学会分類では,別途とろみに関する分類も示されており,そちらには性状の説明と共に粘度,LST値の規格が示されている。(ここでは食品の分類のみを示す)
嚥下調整食分類2013による食品の分類
名称 形態 必要な咀嚼能力
嚥下訓練食品0j 均質で,付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー
(若干の送り込み能力)
嚥下訓練食品0t 均質で,付。着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水
(若干の送り込み能力)
嚥下調整食1j 均質で,付着性・凝集性・かたさ,離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの
(若干の食塊保持と送り込み能力)
嚥下調整食2-1 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,均質でなめらかで,べたつかず,まとまりやすいもの
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食2-2 ピューレ・ペースト・ミキサー食など,べたつかず,まとまりやすいもので不均質なものも含む
(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)
嚥下調整食3 形はあるが,押しつぶしが容易,食塊形成や移送が容易,咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上
嚥下調整食4 かたさ・ばらけやすさ・貼り付けやすさなどのないもの 上下の歯槽提間の押しつぶし能力以上
【0024】
栄養は食べることで得られる。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。スマイルケア食 (農林水産省)
昨今,高齢者の食に配慮し,味,見た目,柔らかさ等の改良された介護食が数多く販売されているにも関わらず,普及や認知度が十分でない状況を受け,農林水産省は,その是正に向け課題や問題点を議論すると共に,その解決に向けた取り組みを進めている。その取り組みの一環として,「介護食」の名称に抵抗感や拒否感があるとの声を受け,その新たな愛称が公募され,「スマイルケア食」の愛称が付けられた。また,スマイルケア食の分類にはわかり易さがより意識され,分類に食品形状に応じた色分けがアルファベットと共に用いられている。スマイルケア食では,えん下に障害を抱える方向けの赤A~~Cの区分の食品においては,上述のえん下困難者用食品の許可基準にほぼ準じた硬さ・付着性・凝集性の物性値が示されている。
【0025】
栄養は食べることで得られる。また牛肉においては、「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる食感として認知された。牛肉の客観的な食感評価において、コレスポンデンス分析で「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」に属する語が分かれる。牛肉食感を科学的に定義付けされた「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」を分けて評価することで、客観的に特徴づけられた。国内における消費促進や国際競争力強化という立場から、国産牛肉の「おいしさ」を客観的に評価し、改善する技術が求められている。
牛肉の「おいしさ」において重要な要素に「やわらかさ」があるが、この「やわらかさ」という語には科学的な定義が与えられておらず、このため客観的な評価項目としては問題がある。そこで、官能評価用語の国際規格であるISO5492:1992において科学的に定義付けされた食感表現用語を用い、牛肉の食感を客観的に評価し特徴づける方法を提案している。
【0026】
高齢社会では重要さ増す「噛みやすさ」がある。十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。栄養は食べることで得られる。高齢化が進む近年では、テクスチャーやその測定が食品の開発で重視されている。高齢になると、咀嚼や飲み込む力(嚥下)が低下する人が多く、食品には食べやすさが求められている。テクスチャーは口の中で感じる感覚なので、咀嚼や嚥下と密接な関係にある。嚥下困難者向けの噛みやすく、飲み込みやすい食品が開発されている。それらの食品は、やわらかく、まとまりやすく、べたつかない状態であることが食べやすく望ましいとされる。
UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」では、30回咀嚼し、10段階で判定する。 そこで、食べやすさの評価には、食品のかたさや付着性や粘度などのテクスチャーが使われている。2009年に厚生労働省が示した嚥下困難者用食品の許可基準や、1994年に示された高齢者用食品の物性規格では、客観的な評価尺度としてテクスチャー的な要素が盛り込まれている。
今年、UHA味覚糖が製造している「咀嚼能力測定用グミゼリー」によるスコア法が保険適用となった。製品のグミを噛んでどれだけ細かくなったかで、咀嚼能力を判定するというものだ。ゼリーのテクスチャーの特性を利用したものといえるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0028】
チューインガム
出願人: 江崎グリコ株式会社
発明者: 梶浦 勇人
出願 2013-185944 (2013/09/09) 公開 2015-050967 (2015/03/19)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0029】
果実含有ハードグミキャンディ
審査最終処分:特許登録
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 竹村 和志, 鈴木 潔, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2011-098530 (2011/04/26) 公開 2012-228204 (2012/11/22)
国際特許分類(IPC): A23G3/34
【0030】
漬け物ゼリー加工食品
出願人: 桐田 信一
発明者: 桐田 信一
出願 2008-229156 (2008/09/06) 公開 2009-077711 (2009/04/16)
国際特許分類(IPC): A23L1/05 A23B7/16 A23B7/10
FI: A23L1/04 A23B7/16 A23B7/10 Z
【0031】
軟化食品
出願人: イーエヌ大塚製薬株式会社
発明者: 竹井 亮, 梅根 伸悟
出願 2011-250972 (2011/11/16) 公開 2015-023800 (2015/02/05)
国際特許分類(IPC): A23L1/29
【0032】
食感推定方法、食品製造方法、咀嚼訓練方法および食感推定装置
出願人: 株式会社明治
発明者: 高井 めぐみ, 松田 利加子
出願 2015-172905 (2015/09/02) 公開 2016-052516 (2016/04/14)
国際特許分類(IPC): A61B5/11
【0033】
粉末打錠チューインガム用口中成形剤及び粉末打錠チューインガムの口中崩壊感防止方法
出願人: クラシエフーズ株式会社
発明者: 石田 幸子ほか
出願 2008-251279 (2008/09/29) 公開 2010-081807 (2010/04/15)
国際特許分類(IPC): A23G4/00
【0034】
ゲルを含有するチョコレート複合菓子及びその製造方法
出願人: ユーハ味覚糖株式会社
発明者: 北中 進介, 河村 敬司, 松川 泰治, 松居 雄毅, 山田 泰正, 山田 一郎
出願 2012-005974 (2012/01/16) 公開 2013-143922 (2013/07/25)
国際特許分類(IPC): A23G1/00 A23G1/30
【0035】
構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物
審査請求:有 審査最終処分:特許登録
出願人: ノボマー, インコーポレイテッド
発明者: アレン, スコット ディー.
出願 2012-518615 (2010/07/01) 公開 2012-532233 (2012/12/13)
国際特許分類(IPC): C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 FI: C08G64/34 C08L69/00 C08L101/00 C08J5/18 B32B27/36 102
【非特許文献】
【0036】
新しい高齢者食品・介護食品の開発 農林水産省におけるスマイルケア食の取組
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (1件): 添野覚 (農林水産省 食料産業局)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 52 号: 12 ページ: 66-67 発行年: 2017年12月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0037】
インカートクッキングシステムにおける咀嚼困難者用介護食の開発
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (7件): 樽井雅彦 (仁愛大 人間生活) , 大村彩英里 (仁愛大 人間生活) , 松山美里 (仁愛大 人間生活) , 山下麻菜美 (仁愛大 人間生活) , 伊佐公男 (仁愛大 人間生活) , 下村昭夫 (下村漆器店) , 中村薫 (神戸大 サイエンスショップ)
資料名: 仁愛大学研究紀要 人間生活学部篇 (Research Journal of Jin-ai University. Faculty of Human Life Studies)
号: 8 ページ: 11-20 発行年: 2017年03月31日
JST資料番号: L7824A ISSN: 2185-3363 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【0038】
変わる食品表示への対応 No.6 食品表示法の概要と食品表示基準のポイント
出版者サイト 複写サービス高度な検索
著者 (3件): 武部方貴子 (イカリ消毒) , 塩田智哉 (イカリ消毒) , 石黒厚 (イカリ消毒)
資料名: 食品と開発 (Food Processing and Ingredients)
巻: 50 号: 6 ページ: 72-76 発行年: 2015年06月01日
JST資料番号: Z0786A ISSN: 0911-3932 資料種別: 逐次刊行物 (A)
【発明の概要】
【0039】
食品の購入前に「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が分かれば食も進むし楽しみも広がる。栄養は食べることで得られる。一方十分に噛めない高齢者は要介護者の予備軍といえる。大きな社会問題である。
殆どの食品は「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素が表示されず程度も分からない。本発明はその矛盾解決と高齢者の食品選びの便利さを実現させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1/bubble wrapバブルラップ(通称:プチプチ)
図2/プチプチ
図3/袋入りのお惣菜(嚙み切りやすさ不明)
図4/軟らかいが噛み切れないなすびの漬物
図5/かたい沢庵
図6/固いが噛み切りやすいきゅうりの漬物
図7/固いか軟らかいか分からないハンバーグ
図8/イカは軟らかいが噛み切りにくい
図9/タコは噛み切れない
図10/タイは軟らかくても噛み切れない
図11/チョコレートは固くても口の中で溶ける
図12/歯がなくなり歯ぐきで咀嚼している
図13/高齢者は歯抜けが普通
図14/戦後生まれは母の栄養状態から歯が弱く総入れ歯も多い
図15/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の情報を表示するQR型コード
図16/予想外の固さや固いものが含まれている可能性のある食品と軟らかくても噛み切りにくい食品の特徴をイラストと数字であらわしたサンプル
図17/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その1
図18/「嚙み心地」「溶け具合」「噛み切り具合」「飲み込みやすさ」「舌と歯ぐきの負担」の5要素の小さなトラブルが日常的に起りやすい食品群:その2