(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109518
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、製造方法、品質管理方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20230801BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/04 20060101ALI20230801BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20230801BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20230801BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230801BHJP
【FI】
C12M1/34
C12M3/00 Z
C12N1/04
C12N5/071
G06T7/70
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011072
(22)【出願日】2022-01-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE) イノベーション創出環境整備タイプ、医療用ブタ製造を目指した基盤整備、委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】518232087
【氏名又は名称】株式会社ポル・メド・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 比呂志
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
5L096
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB20
4B029CC01
4B029CC02
4B029FA15
4B029GB06
4B065AA90X
4B065BD09
4B065BD12
4B065CA44
5L096BA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096GA51
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】ガラス化凍結による移植材の品質低下を抑制する。
【解決手段】情報処理装置は、移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置であって、ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得手段と、前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示手段と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置であって、
ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得手段と、
前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで、組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記所定基準は、撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記組織、器官またはオルガノイドは、強度の異なる複数領域からなり、
前記所定基準は、相対的に強度の低い領域における撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準である、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データと、前記撮像画像データにおける組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを示す情報とを教師データとした機械学習によりあらかじめ生成された学習モデルとをさらに有し、
前記判断手段は、前記学習モデルを用いて、前記取得手段が取得した撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断手段によって、前記所定基準を満たさないと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドの姿勢を修正するよう指示するか、廃棄するよう指示するかを決定する決定手段をさらに有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、所定のガラス化液に浸漬された後に撮像された前記組織、器官またはオルガノイドに対して、前記判断手段によって、前記所定基準を満たさないと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを廃棄するよう指示する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造方法であって、
ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドをガラス化凍結する凍結ステップと、
を有する製造方法。
【請求項8】
移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の品質管理方法であって、
ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得ステップと、
前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示ステップと、
を有する品質管理方法。
【請求項9】
移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置の制御方法をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムであって、
ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得ステップと、
前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、製造方法、品質管理方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生医療の分野において、非ヒト動物由来の臓器をヒトに移植するための研究が行われている。例えば、特許文献1には、凍結保存した非ヒト動物の臓器に対して、患者由来の間葉系幹細胞を注入した移植材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/001951号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、発明者等は、臓器を凍結保存する際の、支持具の上に配置された臓器等の姿勢によって、移植材の品質を劣化させる虞があるという課題を見出した。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ガラス化凍結による移植材の品質低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置であって、
ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得手段と、
前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示手段と、
を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガラス化凍結による移植材の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ガラス化凍結における概要を説明するための図である。
【
図3】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】検査処理の動作を示すフローチャートである。
【
図7】ガラス化凍結および融解の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置が適用されるガラス化凍結の概要を説明するための図である。
【0010】
図1の例では、非ヒト動物AA1(例えば、ブタ)から臓器等(非ヒト動物由来の組織または器官)を摘出して、ヒトAA5に移植する流れが示されている。本実施形態では、臓器等(組織、器官またはオルガノイド)は、腎臓AA2および膀胱AA4が尿管AA3で接続された状態の臓器(膀胱、尿管付腎原基)である例について説明する。
【0011】
摘出された臓器等は、凍結工程を経ることにより、凍結状態の移植材として保存される。そして、移植先の動物(例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス)へ移植するタイミングで融解され、移植される。
凍結工程では、例えば、
図1に示すように、平衡液AA6、ガラス化液AA7に浸漬され、支持具AA8に載せられた状態で液体窒素AA9(LN2)を用いてガラス化凍結(保存用)が行われる。ガラス化凍結の詳細については、後述する。
融解工程では、融解液AA10等を用いて凍結状態(保存用)の移植材を融解する。融解の詳細については、後述する。
ここで、本実施形態では、液体窒素AA9(LN2)を用いてガラス化凍結する前に、姿勢確認(処理)を行い、臓器等が適切な姿勢である場合にガラス化凍結を行う。例えば、
図1に示される臓器等において、尿管AA3に撚れが生じた状態でガラス化凍結を行うと、融解工程を経ても、尿管AA3に生じた撚れの跡が残ることにより、移植材としての品質が劣化する虞がある。また、例えば、腎臓AA2および膀胱AA4が癒着した状態でガラス化凍結を行うと、融解工程を経ても癒着したままとなることがあり、人為的に腎臓AA2および膀胱AA4を引き離すと、腎臓AA2または膀胱AA4の損傷につながる虞もある。
【0012】
そこで、本実施形態では、臓器等が、ガラス化凍結に適した姿勢であるか否かを判断する機能を備えた、ガラス化凍結された移植材(移植用器官)の管理システムについて説明する。
【0013】
なお、凍結工程および融解工程は、複数回行われてもよい。この場合、融解工程と凍結工程との間に、種々の加工が行われてもよい。例えば、加工の例として、培養工程や、注入工程等が挙げられる。
培養工程では、上述の凍結、融解を経てダメージ(損傷)を受けた臓器を、再度、ガラス化凍結する前に、臓器を適温の培養液に浸す等により、細胞を増殖させてダメージを受けた細胞に代わり新規細胞を生成させたり、細胞膜の機能を回復させたりする。
注入工程では、移植先の動物由来の細胞を注入する。例えば、ヒトへの移植の場合、ネフロン前駆細胞を注入する。そして、腎前駆細胞がヒト細胞に置換されることにより、ヒト細胞由来の臓器を生成することができる。なお、注入工程の後は、上述のとおり、再び凍結工程が行われる。そして、移植時には、融解工程を経た融解状態の移植材が移植される。
なお、本実施形態において、移植材は、(凍結状態ではなく)融解した状態である臓器等であるものとする。
なお、臓器等が、凍結工程におけるガラス化凍結に適した姿勢であるか否か(を検査する検査工程)は、例えば、人の目視(顕微鏡を介した目視を含む)によって行うこともできる。しかし、目視によって支持具上の試料(臓器等)の姿勢を確認した場合でも、凍結工程および融解工程を経て、試料の細部に損傷が生じることがある。これは、損傷の発生は、目視での姿勢の評価が困難な細部に多くなる傾向があるためである。このため、検査工程として、上述のように試料を撮像した画像から、例えば、画像における試料の特徴量に基づいて上述の判断を行うことや、機械学習により生成した分類器を用いて上述の判断を行うとよい。
【0014】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る移植材の管理システムにおけるシステム構成の概要を示す図である。本実施形態に係る移植材の管理システムは、臓器等が、ガラス化凍結に適した姿勢であるか否かを判断する処理を行う情報処理装置1と、上述の凍結工程、融解工程、培養工程、注入工程を実施する、ガラス化凍結された移植材を製造する移植材製造装置2とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0015】
情報処理装置1は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)またはタブレット端末等であって、ガラス化凍結された移植材の製造に関する制御を行う。なお、情報処理装置1は、後述する各機能以外に、摘出された臓器等に識別情報(ID;identification)を付する機能、上述の識別情報を読み取る機能、ガラス化凍結前の臓器等を撮像する機能、上述の識別情報ごとに撮像された臓器等の画像を保存および画像解析する機能等を有していてもよい。なお、これらの機能は、情報処理装置1以外の外部装置(例えば、移植材製造装置2等)に備えられていてもよい。
移植材製造装置2は、上述の凍結工程、融解工程、培養工程、注入工程を行う装置である。なお、移植材製造装置2は、各工程のうち、いずれか1つ以上のみを行ってもよい。これは、上述のとおり、培養工程および注入工程は実施されなくてもよく、移植材製造装置2は、移植材の凍結工程のみを実施するものでもよい。また、人が所定の器具を用いて、各工程のうち、いずれか1つ以上の工程を行ってもよい。また、情報処理装置1と、移植材製造装置2とは、同一の装置であってもよい。
【0016】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0017】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0018】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0019】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0020】
なお、図示はしないが、情報処理装置1(または移植材製造装置2)は、
図3に示すハードウェア構成を有し、さらに、臓器等を撮像する撮像部、および臓器等の姿勢が適切であるか否かを表示(提示)する表示部を備えるとよい。
【0021】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係る情報処理装置1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0022】
情報処理装置1のCPU11においては、動作する際に、取得部31、判断部32、提示部33、凍結指示部34等が機能する。
【0023】
取得部31は、ガラス化凍結が施される対象の臓器等(組織、器官またはオルガノイド)を撮像した撮像画像データ(撮像画像)を取得する。具体的には、取得部31は、ガラス化凍結する前の臓器等を撮像した撮像画像データを取得する。例えば、本実施形態では、平衡液、ガラス化液に浸漬され、支持具に載せられた状態で臓器等を撮像した撮像画像データであるものとする。なお、撮像する範囲や方向等は特に限定されないが、例えば、移植材の全体を、上方から撮像されたものであるとよい。取得部31は、取得した撮像画像データを、臓器状態情報DB41に格納する。
なお、撮像する向きは特に限定されず、何れの方向から撮像された撮像画像データを用いてもよい。ここで、上方から撮像された撮像画像データを用いるとよく、上方および側方から撮像された2つ以上の撮像画像データを用いるとなおよい。
【0024】
なお、臓器等が撮像されるタイミングは、特に限定されない。
図1の例では、ガラス化液に浸漬された後、ガラス化凍結前に撮像される例について示されている。しかし、ガラス化液に浸漬され支持具上に載せられた後に姿勢の不備が提示されても、修正には限界があることが想定される。特に、ガラス化液への浸漬においては、凍害保護剤の毒性抑制の観点から厳密な時間管理を要するため、姿勢の修正に時間をかけることができないためである。そこで、取得部31は、例えば、ガラス化凍結体の製造方法における以下のいずれかのタイミングのうち、1つ以上のタイミングで臓器等を撮像した撮像画像データを取得して、取得した撮像画像データに対して、後述の処理を実行してもよい。
・臓器等が凍結工程における平衡液AA6に浸漬される前のタイミング
・臓器等が凍結工程における平衡液AA6に浸漬されているタイミング
・臓器等が凍結工程における平衡液AA6に浸漬された後、ガラス化液AA7に浸漬される前のタイミング
・臓器等が凍結工程におけるガラス化液AA7に浸漬されているタイミング
・臓器等が凍結工程におけるガラス化液AA7に浸漬された後、ガラス化凍結される前のタイミング
【0025】
判断部32は、上述の撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミング(上述のタイミング)で臓器等の姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する。これは、臓器等が適切な姿勢で凍結工程を経ていない場合、上述のように移植材の品質を低下させる虞があるためである。
【0026】
姿勢とは、臓器等における形状、位置、重なりのうち少なくとも1つに関する情報である。
適切な姿勢とは、臓器等に撚れ(または、シワ)、よじれ(または、ねじれ)、偏り、重なりが生じていない状態、またはこれらが所定基準を満たす状態である。
撚れとは、臓器等の形状において、例えば、
図1の尿管等にシワが生じている状態である。
よじれとは、臓器等の形状において、例えば、
図1の尿管等に回転方向にねじれが生じている状態である。
偏りとは、臓器等の位置において、例えば、
図1の膀胱等が適切な位置にない(例えば、左右非対称)状態や、変形が生じている状態である。
重なりとは、臓器等において、例えば、
図1の尿管同士が接している状態である。
このように、臓器等が適切な姿勢でない状態でガラス化凍結を行うと、例えば、臓器同士の癒着等を引き起こし、移植材としての品質を損なうことになるためガラス化凍結前に、臓器等の姿勢を正しておくことが重要である。
【0027】
姿勢の検出方法は特に限定されず、種々の手法を適用可能である。例えば、判断部32は、ガボールフィルタ等を用いて臓器等のエッジ抽出(特徴量抽出)を行い、輪郭線とは異なる箇所をシワやねじれが生じている箇所として検出してもよい。
また、例えば、判断部32は、同様に輪郭線が重なる箇所を重なりが生じている箇所として検出してもよい。
また、例えば、判断部32は、輪郭線に基づく、臓器等のサイズや位置が所定基準を満たさない場合に、偏りが生じている箇所として検出してもよい。
そして、判断部32は、検出された臓器等の姿勢が、上述の所定基準を満たしているか否かを判断する。
【0028】
所定基準は、上述の臓器等における撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準である。所定基準は、あらかじめ、姿勢基準情報DB42に格納されているものとする。
本実施形態では、所定基準は、許容できる基準値である。所定基準は、例えば、撚れの数や長さに関する基準値である。また、所定基準は、例えば、よじれの確度やよじれ具合に関する基準値である。また、所定基準は、例えば、偏り(左右方向または上下方向の対称度等)の基準値である。また、例えば、重なっているか否か、または重なりの度合い(例えば、輪郭線同士の距離)に関する基準値である。
【0029】
なお、臓器等(組織、器官またはオルガノイド)は、強度の異なる複数領域からなることがあり、具体的には、本実施形態では、腎臓、膀胱、および尿管からなる。このような場合に、強度の低い領域(例えば、尿管)において、撚れ、よじれ、偏り、または重なりが生じやすいと考えられるため、判断部32は、強度の低い領域において、上述の所定基準を満たすか否かを判断するとよい。この場合、所定基準は、相対的に強度の低い領域(
図1の例では、尿管)における撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準であるとよい。
強度の低い領域の検出方法は特に限定されないが、例えば、判断部32は、上述のエッジ検出を行い、臓器等における輪郭線の幅が所定値より小さい場合に、対応する領域を強度の低い領域であるものとしてもよい。
【0030】
なお、判断部32は、ガラス化凍結が施される対象の臓器等(組織、器官またはオルガノイド)を撮像した撮像画像データと、撮像画像データにおける臓器等の姿勢が所定基準を満たすか否かを示す情報とを教師データとした機械学習によりあらかじめ生成された学習モデルを用いて、上述の判断を行ってもよい。
すなわち、判断部32は、上述の学習モデルを用いて、取得部31によって取得された撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで臓器等の姿勢が所定基準を満たすか否かを判断してもよい。
【0031】
提示部33は、判断部32によって判断された結果に基づいて、所定の表示部(例えば、情報処理装置1のディスプレイ)に各種情報を表示(提示)する。
例えば、提示部33は、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで臓器等の姿勢が所定基準を満たさないと判断された場合に、撚れ、よじれ、偏り、重なり等が生じている旨や、これらが生じている箇所等を提示する。
また、例えば、提示部33は、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで臓器等の姿勢が所定基準を満たさないと判断された場合に、対応する臓器等において姿勢が所定基準を満たしているサンプル画像を提示してもよい。なお、サンプル画像は、記憶部18に予め記憶されるとよい。なお、ガラス化凍結および融解を複数回繰り返す場合に、過去の凍結工程における1以上のタイミングで臓器等の姿勢を撮像した撮像画像データがあるときは、当該撮像画像データを上述のサンプル画像としてもよい。これにより、前回以前の凍結工程において、所定基準を満たすと判断された臓器等の姿勢を提示することができる。
【0032】
凍結指示部34は、判断部32によって、臓器等の姿勢が所定基準を満たすと判断された場合に、ガラス化凍結するよう移植材製造装置2に対して指示する。
なお、凍結指示部34は、検査工程で撮像した画像データに基づいてガラス化凍結するよう指示するものとして説明するが、これに限定されず、凍結工程における、ガラス化凍結体の製造方法において臓器等が撮像された工程の次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示部(指示手段)としてもよい。凍結工程における次工程以降の工程としては、例えば、上述の凍結工程における液体窒素等を用いたガラス化凍結する工程、
図1に示す平衡液AA6に浸漬する工程、ガラス化液AA7に浸漬する工程等が挙げられる。
【0033】
また、
図4に示す情報処理装置1の記憶部18においては、臓器状態情報DB41、姿勢基準情報DB42が設けられる。
【0034】
臓器状態情報DB41は、取得部31によって取得された臓器等の状態情報や、撮像画像データが格納されるデータベースである。
【0035】
姿勢基準情報DB42は、判断部32によって参照される、臓器等の姿勢に関する所定基準が格納されるデータベースである。
【0036】
<処理内容>
図5は、本実施形態に係る検査処理の動作を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS1において、取得部31は、ガラス化凍結が施される対象の臓器等(検査対象の臓器等)を撮像した撮像画像データを取得する。取得部31は、取得した撮像画像データを、臓器状態情報DB41に格納する。なお、検査対象の臓器等は、予め設定されているとよい。
【0038】
ステップS2において、取得部31は、姿勢基準情報DB42を参照して、検査対象の臓器等の姿勢基準を取得する。
【0039】
ステップS3において、判断部32は、撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで臓器等の姿勢が所定基準を満たすか否かを上述のとおり判断する。所定基準を満たす場合はステップS4に進み、所定基準を満たさない場合はステップS5に進む。
【0040】
ステップS4において、凍結指示部34は、判断部32によって、臓器等の姿勢が所定基準を満たすと判断された場合(S3-YES)に、ガラス化凍結するよう移植材製造装置2に対して指示する。
【0041】
ステップS5において、提示部33は、判断部32によって、臓器等の姿勢が所定基準を満たさないと判断された場合(S3-NO)に、所定の表示部に上述の各種情報を表示(提示)する。なお、各種情報が提示された場合、凍結工程の担当者は、臓器等の姿勢を変更して、再度、検査処理が行われるものとする。
【0042】
<姿勢の一例>
図6は、姿勢の一例を示す図である。
図6の(A)は、臓器等(例えば、膀胱、尿管付腎原基)において、上述の所定基準を満たす姿勢の一例である。
図6の(B)~(E)は、臓器等(例えば、膀胱、尿管付腎原基)において、上述の所定基準を満たさない姿勢の一例である。
図6の(B)は、符号61で示される箇所に撚れが生じている。
図6の(C)は、符号62で示される箇所によじれが生じ、符号63で示される箇所に偏りが生じている。
図6の(D)は、符号64で示される箇所に尿管の重なり(癒着)が生じている。
図6の(E)は、符号65で示される箇所に、膀胱の偏り(変形)が生じている。
【0043】
<ガラス化凍結および融解の一例>
図7は、ガラス化凍結および融解の一例を示す図である。
図7に示すガラス化凍結(凍結工程)では、まず、臓器等を、7.5%のEG(エチレングリコール)、および7.5%のDMSO(ジメチルスルホキシド)を含む平衡液に浸漬する。そして、15%のEG、15%のDMSO、および0.5M-sucrose(スクロース)を含むガラス化液に浸漬する。その後、器具(支持具)を用いてLN2(液体窒素)中に浸漬して臓器等を凍結させる。なお、器具は特に限定されないが、液体窒素の透過性を高めるため、メッシュ状の支持具であって、凍結の対象物である臓器等(胎仔臓器や組織)の大きさに適したものを用いるとよい。このようにして、熱伝導性、密閉性の高い膜素材で包んだ状態で液体窒素に直接投入することで、安定的かつ衛生的なガラス化凍結を実現することができる。
図7に示す融解工程では、まず、1M-sucroseを含む融解液にガラス化凍結された臓器等を浸漬する。そして、0.5M-sucroseを含む希釈液に浸漬する。その後、洗浄液に2回浸漬して、臓器等を融解する。
【0044】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、臓器等を凍結する際に、適切な姿勢であるか否かを容易に検査することができるため、姿勢に起因する移植材の品質低下を抑制することができる。
【0045】
また、例えば、腎臓、膀胱、尿管のように、強度が異なる領域(部位)がある場合に、相対的に強度が低い箇所の検査を行うことで、撚れ等が生じやすい領域のみを検査することができるため、より高速に処理を行うことができる。
【0046】
また、臓器等が所定基準を満たさない場合に、その旨や、撚れ等が生じている箇所、または所定基準をみたすサンプル画像を提示することで、凍結工程の担当者が、臓器等の姿勢を修正する際に、修正箇所を容易に把握でき、また適切な姿勢を容易に把握することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0048】
(変形例)
上述の実施形態では、ブタの臓器等を基に移植材を生成する例について説明した。これは、ブタは、ヒトとほぼ同サイズの腎臓を持つことから、臓器再生用動物として適している等の理由から適しているものの例として記載さいたが、他の動物でもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、臓器の例として、クロアカ付き後腎を例に説明したが、組織や器官であれば上述と同様に本実施形態に係る内容を適用可能である。
【0050】
また、上述の実施形態において、判断部によって、所定基準を満たさないと判断された場合に、組織、器官またはオルガノイドの姿勢を修正するよう指示するか、廃棄するよう指示するかを決定する決定部をさらに有していてもよい。
【0051】
また、上述の実施形態において、決定部は、所定のガラス化液に浸漬された後に撮像された組織等に対して、判断部によって、所定基準を満たさないと判断された場合に、組織等を廃棄するよう指示してもよい。
ここで、ガラス化液に浸漬された後には、ガラス化液に浸漬されている状態や、ガラス化液に浸漬された後に臓器等が支持具に載せられた状態が含まれるものとする。
【0052】
また、上述の実施形態において、判断部は、第1のタイミング(例えば、臓器等が平衡液AA6に浸漬される前のタイミング)において撮像された臓器等の撮像画像データに基づいて、第2のタイミング(第1のタイミング以降のタイミング;例えば、臓器等がガラス化液AA7に浸漬された後、ガラス化凍結される前のタイミング)における臓器等の姿勢を予測(推測)して、予測された、当該第2のタイミングにおける臓器等の姿勢が所定基準を満たすか否かを判断してもよい。
なお、第2のタイミングにおける臓器等の姿勢の予測は、ルールベースで行われてもよく、機械学習によりあらかじめ生成された学習モデルを用いて行われてもよい。
【0053】
(その他)
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、情報処理装置の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックを情報処理装置等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0054】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0055】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0056】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0057】
換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
すなわち、移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置であって、ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得手段と、前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示手段と、を有する情報処理装置である。
これにより、ガラス化凍結による移植材の品質低下を抑制することができる。
なお、前記所定基準は、撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準であるとよい。
【0058】
前記組織、器官またはオルガノイドは、強度の異なる複数領域からなり、前記所定基準は、相対的に強度の低い領域における撚れ、よじれ、偏り、または重なりにおける基準であるとよい。
これにより、臓器等において、相対的に強度が低い領域、すなわち、撚れ等が生じやすい領域(
図1の例では、尿管)に対して検査処理を行うことができるため、より高速に処理を行うことができる。
【0059】
また、ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データと、前記撮像画像データにおける組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを示す情報とを教師データとした機械学習によりあらかじめ生成された学習モデルとをさらに有し、前記判断手段は、前記学習モデルを用いて、前記取得手段が取得した撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断するとよい。
【0060】
また、前記判断手段によって、前記所定基準を満たさないと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドの姿勢を修正するよう指示するか、廃棄するよう指示するかを決定する決定手段をさらに有するとよい。
これにより、臓器等の姿勢が上記の所定基準を満たさないと判断された場合に、例えば、臓器等の状態に応じて、廃棄するか、姿勢を修正するかを容易に決定することができる。
【0061】
また、前記決定手段は、所定のガラス化液に浸漬された後に撮像された前記組織、器官またはオルガノイドに対して、前記判断手段によって、前記所定基準を満たさないと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを廃棄するよう指示するとよい。
特に、ガラス化液に浸漬において、凍害保護剤の毒性抑制の観点から厳密な時間管理を要する。ため、姿勢の修正に時間をかけられないような場合には、臓器等を廃棄することで、姿勢の修正が不十分なまま又は凍害保護剤の毒性の影響を受けた臓器等をガラス化凍結することを抑制することができる。
ここで、ガラス化液に浸漬された後には、ガラス化液に浸漬されている状態や、ガラス化液に浸漬された後に臓器等が支持具に載せられた状態が含まれるものとする。
【0062】
なお、本発明の一態様は、ガラス化凍結された移植材の製造方法である。
すなわち、移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造方法であって、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドをガラス化凍結する凍結ステップと、を有する製造方法である。
なお、上述の判断ステップ(判断工程)は、人によって行われてもよく、この場合には、人が、上述の組織等を、目視(顕微鏡等を介した目視を含む)にて確認することにより、上述の判断を行ってもよい。この場合、人が判断した結果に応じて、上述の凍結ステップ(凍結工程)が行われる。
なお、上述の判断ステップが人の目視によって行われる場合であって、上述の所定基準を満たさないと判断されたときに、組織等の姿勢を修正するよう指示するか、廃棄するよう指示するかを(例えば、人が)決定する決定ステップ(決定工程)をさらに有していてもよい。
また、決定ステップにおいて、所定のガラス化液に浸漬された後に撮像された臓器等に対して、所定基準を満たさないと判断された場合に、組織等を廃棄するよう指示してもよい。
【0063】
なお、本発明の一態様は、移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の品質管理方法であって、ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得ステップと、前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示ステップと、を有する品質管理方法であると捉えることもできる。
【0064】
また、本発明の一態様は、移植に用いられる非ヒト動物由来の組織、器官またはオルガノイドのガラス化凍結体の製造に関する制御を行う情報処理装置の制御方法をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムであって、ガラス化凍結が施される対象の組織、器官またはオルガノイドを撮像した撮像画像データを取得する取得ステップと、前記撮像画像データに基づいて、ガラス化凍結を含む凍結工程における1以上のタイミングで組織、器官またはオルガノイドの姿勢が所定基準を満たすか否かを判断する判断ステップと、前記判断手段によって、前記所定基準を満たすと判断された場合に、前記組織、器官またはオルガノイドを、凍結工程における次工程以降の工程のうち何れか1以上の工程に対する実行を指示する指示ステップと、をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムであると捉えることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1:情報処理装置 2:移植材製造装置 11:CPU
18:記憶部 19:通信部 31:取得部
32:判断部 33:提示部 34:凍結指示部
41:臓器状態情報DB 42:姿勢基準情報DB