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特開2023-109541硬化性組成物、それを用いた硬化膜、光学フィルタ、画像表示装置、固体撮像素子及び赤外線センサ
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  • 特開-硬化性組成物、それを用いた硬化膜、光学フィルタ、画像表示装置、固体撮像素子及び赤外線センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109541
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】硬化性組成物、それを用いた硬化膜、光学フィルタ、画像表示装置、固体撮像素子及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20230801BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230801BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20230801BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20230801BHJP
   G02B 5/20 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
G02B5/22
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/075 501
C09B67/20 F
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011106
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE08
2H148BE22
2H148BE36
2H148BG01
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA17
2H148CA19
2H148CA22
2H148CA24
2H225AC36
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD14
2H225AE06P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN39P
2H225AN58P
2H225AN82P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA01P
2H225BA05P
2H225BA12P
2H225BA16P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA16
2H225CA30
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】本発明は、低温硬化でも優れた溶剤耐性、高温高湿耐性及びヒートサイクル耐性を有する硬化膜を形成できる硬化性組成物の提供を目的する。
【解決手段】上記課題は、近赤外線吸収色素(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、熱硬化性化合物(D)及び硬化促進剤(E)を含む硬化性組成物であって、前記硬化促進剤(E)が、イミダゾール化合物を少なくとも2種含む硬化性組成物によって解決できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線吸収色素(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、熱硬化性化合物(D)及び硬化促進剤(E)を含む硬化性組成物であって、
前記硬化促進剤(E)が、イミダゾール化合物を少なくとも2種含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記イミダゾール化合物が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記硬化促進剤(E)100質量%中、50質量%以上である、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記イミダゾール化合物が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。)
【請求項5】
前記熱硬化性化合物(D)が、脂肪族環を有するエポキシ化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記脂肪族環を有するエポキシ化合物が、下記一般式(3)で表される化合物を含む、請求項5に記載の硬化性組成物。
一般式(3)
【化3】

(一般式(3)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。)
【請求項7】
更に、着色剤(F)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物である、硬化膜。
【請求項9】
請求項8に記載の硬化膜を有する、光学フィルタ。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化膜を有する、画像表示装置。
【請求項11】
請求項8に記載の硬化膜を有する、固体撮像素子。
【請求項12】
請求項8に記載の硬化膜を有する、赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ及びスマートフォン等には、カラー画像の固体撮像素子であるCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)が用いられている。これら固体撮像素子の受光部には、赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要であり、赤外線カットフィルタ等が配置される。赤外線カットフィルタは、例えば、近赤外線吸収色素を含む硬化性組成物を用いて製造される。
【0003】
近赤外線吸収色素は、一般的に耐熱性が低い。そのため、近赤外線吸収色素を含む硬化性組成物は、低温、例えば130℃以下で硬化させ赤外線カットフィルタを作製することが好ましい。しかしながら、低温で硬化を行うと、硬化が十分に進まず、硬化膜の溶剤耐性や高温高湿環境下での耐性が悪化するという問題があった。また、赤外線カットフィルタは、温度差がある環境で使用されるため、ヒートサイクル耐性が要求される。
【0004】
例えば、特許文献1には、耐熱性を改良した組成物として、赤外線吸収性色素と、ガラス転移温度が150~300℃である樹脂を含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/058882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、200℃で硬化を実施しており、低温硬化での硬化膜の耐性は十分ではない。
【0007】
本発明は、低温硬化でも優れた溶剤耐性、高温高湿耐性及びヒートサイクル耐性を有する硬化膜を形成できる硬化性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、近赤外線吸収色素(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、熱硬化性化合物(D)及び硬化促進剤(E)を含む硬化性組成物であって、
前記硬化促進剤(E)が、イミダゾール化合物を少なくとも2種含む硬化性組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
上記の本発明によれば、低温硬化でも優れた溶剤耐性、高温高湿耐性及びヒートサイクル耐性を有する硬化膜を形成できる硬化性組成物を提供できる。また、本発明は、硬化膜、光学フィルタ、画像表示装置、固体撮像素子及び赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、硬化膜を備える赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の硬化性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
本発明における化合物の分子量に関しては、分子量が特定できる低分子化合物は、計算により算出した値(式量)、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物は、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に樹脂を形成している状態である。
【0013】
<硬化性組成物>
本発明の一実施形態である硬化性組成物は、近赤外線吸収色素(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、熱硬化性化合物(D)及び硬化促進剤(E)を含む硬化性組成物であって、
前記硬化促進剤(E)が、イミダゾール化合物を少なくとも2種含むことを特徴とする。2種のイミダゾール化合物は、互いに分子構造が異なるため、反応温度・速度が異なる。そのため、上記構成の硬化性組成物が、本発明の課題を解決できるメカニズムを以下のように推測している。
【0014】
イミダゾール化合物は、まず熱硬化性化合物と反応する(第1段階)。その後、イミダゾール化合物と熱硬化性化合物の反応物が、更に熱硬化性化合物と反応し重合する(第2段階)。第1段階の反応開始温度、第2段階の反応速度は、イミダゾール化合物の構造によって異なり、第1段階の反応開始温度が低いイミダゾール化合物と第2段階の反応速度が速いイミダゾール化合物を併用することで、低温でも硬化が進み耐性が向上したと推測する。
【0015】
以下、一実施形態の硬化性組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0016】
[近赤外線吸収色素(A)]
本発明の硬化性組成物は、近赤外線吸収色素(A)を含む。
【0017】
近赤外線吸収色素(A)は、波長700~2,000nmに極大吸収を有する化合物であり、顔料(近赤外線吸収顔料ともいう)であってもよく、染料(近赤外線吸収染料ともいう)であってもよい。また、近赤外線吸収顔料と近赤外線吸収染料を併用してもよい。耐熱性、耐光性の観点から、近赤外線吸収顔料が好ましい。
本明細書で近赤外線吸収顔料は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、2g未満が好ましく、1g未満がより好ましく、0.5g以下が特に好ましい。
【0018】
近赤外線吸収色素(A)は、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ化合物、インモニウム化合物、アントラキノン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、近赤外線吸収能、耐熱性、耐光性の観点から、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、インジゴ化合物、ナフタロシアニン化合物を含むことがより好ましい。
【0019】
シアニン化合物は、国際公開第2006/006573号、国際公開第2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報等;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第2014/208514号等;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第2018/186490号等;インジゴ化合物は、特開2012-224593号公報、特開2013-87233号公報、特開2013-230412号公報等;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報等;アントラキノン化合物は、特開昭62-903号公報、特開平1-172458号公報等;ピロロピロール化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報、特開2014-130348号公報、国際公開第2015/166873号等;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第2017/135359号、国際公開第2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第2020/054718号、国際公開2021/029195号等;クロコニウム化合物は、国際公開第2019/021767号等に記載の化合物が挙げられる。
【0020】
(スクアリリウム化合物)
スクアリリウム化合物は、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0021】
一般式(4)
【化1】
【0022】
一般式(4)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR1415、-NHCOR16、-CONR1718、-NHCONR1920、-NHCOOR21、-SR22、-SO23、-SOOR24、-NHSO25、-SONR2627、-B(OR28、および-NHBR2930を表す。R10~R30は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基を表す。なお、-COOR12のR12が水素原子の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SOOR24のR24が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。また、RとR、RとRはお互いに結合して環を形成しても良い。
【0023】
「置換基」としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、-OR100、-COR101、-COOR102、-OCOR103、-NR104105、-NHCOR106、-CONR107108、-NHCONR109110、-NHCOOR111、-SR112、-SO113、-SOOR114、-NHSO115または-SONR116117が挙げられる。
100~R117は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基を表す。なお、-COOR102のR102が水素原子の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SOOR114のR114が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
【0024】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましく、1~8が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アルキニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が特に好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アリール基の炭素数は、6~25が好ましく、6~15がさらに好ましく、6~10が特に好ましい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7~40が好ましく、7~30がさらに好ましく、7~25が特に好ましい。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~8の縮合環がさらに好ましく、単環または縮合数が2~4の縮合環が特に好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がさらに好ましく、3~12が特に好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基は置換基を有していても良く、無置換であっても良い。置換基としては上述した「置換基」が挙げられる。
【0025】
スクアリリウム化合物は、耐光性、耐熱性の観点から、下記一般式(5)で表される化合物がより好ましい。
【0026】
一般式(5)
【化2】
【0027】
一般式(5)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、-OR50、-COR51、-COOR52、-OCOR53、-NR5455、-NHCOR56、-CONR5758、-NHCONR5960、-NHCOOR61、-SR62、-SO63、-SOOR64、-NHSO65または-SONR6667、-B(OR68、および-NHBR6970を表す。R50~R70は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基を表す。なお、-COOR52のR52が水素の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SOOR64のR64が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。また、RとR、RとRはお互いに結合して環を形成しても良い。
【0028】
「置換基」は、上述の「置換基」と同様の意義である。
【0029】
以下、スクアリリウム化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
(ピロロピロール化合物)
ピロロピロール化合物は、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。
【0033】
一般式(6)
【化5】
【0034】
一般式(6)中、R1x及びR1yは、各々独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよく、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-BR4x4y又は金属原子を表し、Rは、R1x、R1y及びRからなる群から選ばれる少なくとも1つと共有結合又は配位結合してもよく、R4x4yは各々独立に、置換基を表す。一般式(6)は、例えば、特開2009-263614号公報、特開2011-68731号公報、国際公開第2015/166873号に記載されている。
【0035】
1x及びR1yは、各々独立に、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1x及びR1yが表すアルキル基、アリール基が及びヘテロアリール基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-OCOR11、-SOR12、-SO13等が挙げられる。R11~R13は、各々独立に、炭化水素基又はヘテロアリール基を表す。また、置換基としては、特開2009-263614号公報の段落0020~0022に記載の置換基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-OCOR11、-SOR12、-SO13が好ましい。R1x及びR1yで表される基としては、分岐アルキル基を有するアルコキシ基、又は-OCOR11で表される基を置換基として有するアリール基が好ましい。分岐アルキル基の炭素数は、3~30が好ましく、3~20がより好ましい。
【0036】
及びRの少なくとも一方は電子吸引性基が好ましく、Rは電子吸引性基を表し、Rはヘテロアリール基を表すことがより好ましい。ヘテロアリール基は、5員環又は6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。一般式(6)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、一般式(6)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0037】
は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は-BR4x4yで表される基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、又は-BR4x4yで表される基がより好ましく、-BR4x4yで表される基が特に好ましい。R4x4yが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基は、更に置換基を有してもよい。一般式(6)における2個のR同士は同一または異なっていてもよい。
【0038】
以下、ピロロピロール化合物の具体例を示す。以下の構造式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。また、ピロロピロール化合物は、例えば、特開2009-263614号公報の段落0016~0058、特開2011-68731号公報の段落0037~0052、特開2014-130343号公報の段落0014~0027、国際公開第2015/166873号の段落0010~0033に記載の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0039】
【化6】
【0040】
(ナフタロシアニン化合物)
ナフタロシアニン化合物は、下記一般式(7)で表される化合物が好ましい。
【0041】
一般式(7)
【化7】
【0042】
一般式(7)中、X~X、Y~Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X~Xは、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、XとX、XとX、XとX、XとXのいずれか1つ以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
Zは、下記一般式(8)で示す単量体単位を含む重合体部位、または下記一般式(9)で表すリン化合物部位であり、*は、Alとの結合手である。
【0043】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0046】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられる。「置換基を有する複素環基」としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
【0047】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、
「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0049】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0051】
置換基を有してもよい芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボキシル基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。
【0052】
一般式(8)
【化8】
【0053】
一般式(8)中、Xは、-CONH-R25-、-COO-R26-、-CONH-R27-O-、-COO-R28-O-である。R25~R28は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R31は水素または、メチル基を表す。*は結合手である。
【0054】
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基が挙げられる。
【0055】
一般式(8)で示す単量体単位は、例えば、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)アシッドホスフェート等の単量体を重合することで得られる。また、これら単量体以外の単量体(以下、その他単量体ともいう)を併用し共重合することでも得られる。
【0056】
その他単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、酸基含有モノマー、熱架橋性基含有モノマー等が挙げられる。
【0057】
重合体部位の重量平均分子量は、5,000~20,000が好ましく、8,000~15,000が好ましい。適度な分子量を有することで光学特性と耐熱性が向上する。
【0058】
重合体部位のガラス転移温度(Tg)は、-50~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。適度なTgにより光学特性が向上する。
【0059】
一般式(9)
【化9】
【0060】
一般式(9)中、R29およびR30は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R29とR30は、互いに結合して環を形成しても良い。*は結合手である。
【0061】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」、置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」、置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」、置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、上記一般式(7)の説明で例示したものと同じものが挙げられる。
【0062】
一般式(9)は、分散性や色特性の観点から、R29とR30のうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基が好ましく、R29とR30がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基がより好ましく、R29とR30がいずれもフェニル基またはフェノキシ基がさらに好ましい。
【0063】
ナフタロシアニン化合物は、下記一般式(10)で表される化合物がより好ましい。
【0064】
一般式(10)
【化10】

【0065】
一般式(10)中、Y~Y16、R~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Zは、一般式(8)で示す単量体単位を含む重合体部位、または一般式(9)で表すリン化合物部位であり、*は、Alとの結合手である。
【0066】
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基は、上述した一般式(7)での説明の通りである。
【0067】
一般式(10)中、Y~Y16、R~R21は、分散性や色特性の観点から、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよいアルコキシル基が好ましい。
【0068】
以下、ナフタロシアニン化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0069】

【化11】
【0070】
【化12】
【0071】
(インジゴ化合物)
インジゴ化合物は、下記一般式(11)、又は/及び一般式(12)で表される化合物が好ましい。
【0072】
【化13】
【0073】
一般式(11)及び一般式(12)中、X~X40はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、-SOH;-COOH;およびこれら酸性基の1価~3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩を表す。Mは、金属原子を表す。
【0074】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0075】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0076】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0077】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0078】
「置換基を有してもよいアリールアルキル基」は、例えば、ベンジル基、2-フェニルプロパン-イル基、スチリル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0079】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0080】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0081】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0082】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基の「アルキルアミノ基」は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられる。
【0083】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基の「アリールアミノ基」は、例えば、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられる
【0084】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0085】
酸性基としては、-SOH、-COOHが挙げられ、これら酸性基の1価~3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0086】
上記の置換基の内、X~X40として好ましい置換基としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-SOHが挙げられる。
【0087】
Mは、金属原子を表す。金属原子としてはZn、Co、Ni、Ru、Pt、Mn、Sn、Ti、Ba等が挙げられる。中でも2価金属原子が好ましく、Zn、Co、Niがより好ましい。
【0088】
以下、インジゴ化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0089】
【化14】
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】
【化17】
【0093】
近赤外線吸収色素(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。2種類以上併用して用いる場合、極大吸収波長の異なる少なくとも2種の化合物を用いることが好ましい。これにより、1種類の近赤外線吸収色素(A)を使用した場合に比べて、吸収スペクトルの波形が広がり、幅広い波長範囲の近赤外線を吸収できる。
【0094】
近赤外線吸収色素(A)の含有量は、近赤外線吸収性の観点から、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~70質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0095】
[その他近赤外線吸収化合物]
本発明の硬化性組成物は、近赤外線吸収色素(A)以外の近赤外線吸収能を有する化合物(以下、その他近赤外線吸収化合物ともいう)を含有できる。その他近赤外線吸収化合物は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、セシウム酸化タングステン、銅、ニッケル、銀、金等の金属酸化物粒子又は金属粒子が挙げられる。
【0096】
[ラジカル重合性化合物(B)]
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(B)を含む。
【0097】
ラジカル重合性化合物(B)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーが挙げられる。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。ラジカル重合性化合物(B)は、例えば、ラクトン変性されたラジカル重合性化合物、酸性基を有するラジカル重合性化合物、ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物、3級アミン構造を有するラジカル重合性化合物、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有するラジカル重合性化合物、その他ラジカル重合性化合物等が挙げられる。
【0098】
(ラクトン変性されたラジカル重合性化合物)
ラクトン変性されたラジカル重合性化合物は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性されたラジカル重合性化合物は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンもしくはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0099】
ラクトン変性されたラジカル重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60等が挙げられる。
【0100】
(酸性基を有するラジカル重合性化合物)
酸性基を有するラジカル重合性化合物は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。
【0101】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0102】
上記ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0103】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0104】
酸性基を有するラジカル重合性化合物の市販品は、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521等が挙げられる。
【0105】
(ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物)
ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0106】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0107】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0108】
ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物は、酸性基を有することもできる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0109】
ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0110】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0111】
ウレタン結合を有するラジカル重合性化合物の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H、U-6LPA、UA-33H、U-10HA、U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290、KRM8452等が挙げられる。
【0112】
(3級アミン構造を有するラジカル重合性化合物)
3級アミン構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0113】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキシ単位は、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及びブチレンオキシ等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0114】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0115】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0116】
アミン化合物(Y)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0117】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0118】
3級アミン構造を有するラジカル重合性化合物は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0119】
3級アミン構造を有するラジカル重合性化合物の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041、3042等が挙げられる。
【0120】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有するラジカル重合性化合物)
デンドリマー構造を有するラジカル重合性化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基

が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0121】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有するラジカル重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miramer SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9)、CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6)、CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8)、Etercure6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12)、Etercure6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、EtercureDR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0122】
(その他ラジカル重合性化合物)
その他ラジカル重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロ-ル化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0123】
その他ラジカル重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R-167、HX-220、R-551、R712、R-604、R-684、GPO-303、TMPTA、DPHA、DPEA-12、DPHA-2C、D-310、D-330、東亞合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機化学工業社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200、EA-0300、GA-5060P、GA-2800、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060、6100、6200、新中村化学工業社製のNKエステルABE-300、A-DOG、A-DCP、A-BPE-4、A-9300、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL40、130、140、145等が挙げられる。
【0124】
ラジカル重合性化合物(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0125】
ラジカル重合性化合物(B)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、5~90質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0126】
[ラジカル重合開始剤(C)]
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合開始剤(C)を含む。
【0127】
ラジカル重合開始剤(C)は、光又は熱の作用によってラジカルを発生させてラジカル重合性化合物(B)の重合反応を開始又は促進させる化合物である。
光によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤(以下、単に光ラジカル重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。
熱によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤(以下、単に熱ラジカル重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0128】
光ラジカル重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0129】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04、ADEKA社製のN-1919、NCI-730,831,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316、サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306、EOX-01等が挙げられる。
また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開2021/175855号等に記載の化合物も挙げられる。
【0130】
熱ラジカル重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
2,2’-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ系化合物;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0131】
ラジカル重合開始剤(C)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0132】
ラジカル重合開始剤(C)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
【0133】
[熱硬化性化合物(D)]
本発明の硬化性組成物は、熱硬化性化合物(D)を含む。これにより、加熱で熱硬化性化合物(D)が架橋し、硬化膜の耐溶剤性、高温高湿耐性及びヒートサイクル耐性が向上する。
【0134】
熱硬化性化合物(D)は、低分子化合物や、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(D)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。
【0135】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0136】
エポキシ化合物の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0137】
エポキシ化合物は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましく、10~30個のエポキシ基を有する化合物がより好ましい。また、エポキシ化合物は、芳香族環及び/又は脂肪族環を有するエポキシ化合物が好ましく、脂肪族環を有するエポキシ化合物より好ましい。エポキシ基は、単結合又は連結基を介して、芳香族環及び/又は脂肪族環に結合していることが好ましい。連結基は、例えば、アルキル基、アリーレン基、-O-、-NR-(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を表す)、-SO-、-CO-、-O-、-S-が挙げられる。脂肪族環を有する構造の場合、エポキシ基は単結合を介して、脂肪族環に結合していることがより好ましい。
【0138】
エポキシ化合物のエポキシ当量は、50~400g/egが好ましく、100~200g/egがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0139】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
【0140】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、下記一般式(3)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0141】
一般式(3)
【化18】
【0142】
一般式(3)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0143】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素原子数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよい。炭素原子数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
【0144】
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(3)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0145】
一般式(3)で表される化合物は、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品としては、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0146】
エポキシ化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0147】
エポキシ化合物の含有量は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
【0148】
(オキセタン化合物)
オキセタン化合物は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0149】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0150】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0151】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0152】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121,221等が挙げられる。
【0153】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0154】
オキセタン化合物の含有量は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
【0155】
(メラミン化合物)
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロール基を有する化合物が好ましい。
【0156】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製のニカラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0157】
メラミン化合物の含有量は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。
【0158】
熱硬化性化合物(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0159】
[硬化促進剤(E)]
本発明の硬化性組成物は、硬化促進剤(E)として、イミダゾール化合物を少なくとも2種含む。
【0160】
イミダゾール化合物は、例えば、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ブチルイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジフェニルイミダゾール、1-ベンジル-4-メチルイミダゾール、2-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチル-4-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-エチルイミダゾール、1-ベンジル-2-プロピルイミダゾール、1-ベンジル-2-イソプロピルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニル-4-(4-メチルフェニル)イミダゾール、1-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0161】
(一般式(1)で表される化合物)
本発明の硬化性組成物は、低温硬化の観点から、イミダゾール化合物として、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。1位の窒素がベンジル基で置換されている一般式(1)で表される化合物は、第1段目の反応である熱硬化性化合物(D)との反応が低い温度で始まる。このメカニズムは、1位の窒素がベンジル基で置換されていない場合、1位が第二アミン、3位が第三アミンであるが、実際は1位の窒素に結合している水素が3位の窒素と共鳴構造をとることで等価となり、熱硬化性化合物(D)と第三アミンとの反応が阻害され、高温でないと反応しないと推測する。それに対して、1位をベンジル基で置換されると、その共鳴はなくなり、第3アミンが2個ある構造となり、低い温度でも熱硬化性化合物(D)と第三アミンとが反応し、硬化性化合物(D)間の架橋反応が始まると推測する。
【0162】
一般式(1)
【化19】
【0163】
(一般式(1)中、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。)
【0164】
炭素原子数1~20のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素原子数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
炭素原子数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0165】
は、溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、メチル基、エチル基、フェニル基からなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
【0166】
及びXは、反応性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基からなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
【0167】
一般式(1)で表される化合物は、例えば、1-ベンジルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-エチルイミダゾール、1-ベンジル-2-プロピルイミダゾール、1-ベンジル-2-イソプロピルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニル-4-(4-メチルフェニル)イミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、低温硬化の観点から、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0168】
一般式(1)で表される化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0169】
一般式(1)で表される化合物の含有量は、硬化促進剤(E)100質量%中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0170】
(一般式(2)で表される化合物)
本発明の硬化性組成物は、低温硬化の観点から、イミダゾール化合物として、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物と反応機構が異なり一旦反応するとその後の熱硬化性化合物(D)間の反応速度は速く、溶剤耐性、高温高湿耐性及びヒートサイクル耐性が高い硬化膜が得られると推測する。
【0171】
一般式(2)
【化20】

(一般式(2)中、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。)
【0172】
炭素原子数1~20のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素原子数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
炭素原子数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0173】
は、溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、メチル基、エチル基、フェニル基からなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
【0174】
及びXは、反応性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基からなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
【0175】
一般式(2)で表される化合物は、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ブチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジフェニルイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0176】
一般式(2)で表される化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0177】
一般式(2)で表される化合物の含有量は、硬化促進剤(E)100質量%中、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
【0178】
本発明の硬化性組成物は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、イミダゾール化合物として、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【0179】
本発明の硬化性組成物は、低温硬化での溶剤耐性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物との質量比は、99.5:0.5~50:50であることが好ましく、99:1~70:30であることがより好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の合計量は、硬化促進剤(E)100質量%中、70質量%以上であることが好ましい。
【0180】
硬化促進剤(E)の含有量は、熱硬化性化合物(D)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、1.5~15質量部がより好ましい。
【0181】
[着色剤(F)]
本発明の硬化性組成物は、着色剤(F)を含有できる。これにより、光学フィルタの各波長領域の透過率を制御することができ、色分離性が向上する。
【0182】
着色剤(F)は、顔料、染料が挙げられ、耐光性、耐熱性、耐溶剤性の観点から、顔料が好ましい。顔料は、有機顔料が好ましい。
【0183】
(顔料)
顔料は、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が好ましい。
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、C.I.ピグメントレッド48:1,122,177,224,242,269,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料がさらに好ましい。
【0184】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等が挙げられる。
【0185】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報等に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー138,139,150,185,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料が好ましい。
【0186】
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン36、58、59、62、63が好ましい。
【0187】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6が好ましい。
【0188】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19,23が好ましい。
【0189】
黒色顔料は、具体的には、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31,32等が挙げられる。また、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報、特開平1-170601号公報、特開平2-34664号公報等に記載の化合物も挙げられる。
【0190】
本発明の硬化性組成物は、近赤外線透過フィルタに用いる場合、赤外線を透過させて可視光を遮断する着色剤(F)を含むことが好ましい。例えば、着色剤(F)は、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の顔料を含み黒色を呈するか、又は黒色顔料を含むことが好ましい。
【0191】
2種以上の顔料を含み、黒色を呈する組み合わせは、例えば、以下の態様が挙げられる。
(1)黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(2)赤色顔料、黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(3)赤色顔料、黄色顔料、及び青色顔料を含有する。
(4)赤色顔料、黄色顔料、及び緑色顔料を含有する。
(5)黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(6)赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(7)黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料を含有する。
【0192】
上記(1)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(2)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(3)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種とを含有する態様が挙げられる。
上記(4)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる少なくとも1種とを含有する態様が挙げられる。
上記(5)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(6)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(7)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる少なくとも1種と紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
【0193】
表1に、各態様の各顔料の好ましい質量比(質量%)を示す。
【0194】
【表1】
【0195】
着色剤(F)は、無機顔料も使用できる。無機顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
【0196】
(染料)
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0197】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。また、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との塩である造塩化合物が好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた硬化性組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0198】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と塩を形成する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0199】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0200】
これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0201】
着色剤(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0202】
着色剤(F)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、5質量%以下が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。
【0203】
(有機顔料の微細化)
有機顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0204】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0205】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0206】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0207】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0208】
[樹脂(G)]
本発明の硬化性組成物は、樹脂(G)を含有できる。
【0209】
樹脂(G)は、例えば、近赤外線吸収色素(A)などの粒子を硬化性組成物中で分散させる目的や、硬化膜の耐性を付与させる目的で用いる。なお、主に近赤外線吸収色素(A)などの粒子を分散させるために用いられる樹脂(G)を分散樹脂、硬化膜の耐性を付与させるために用いられる樹脂(G)をバインダ樹脂ともいう。ただし、樹脂(G)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。
【0210】
(樹脂(G1))
樹脂(G)は、低温硬化での耐溶剤性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、バインダ樹脂としてブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)及び酸性基含有単量体単位(g2)を有する樹脂(G1)(以下、単に樹脂(G1)ともいう)を含むことが好ましい。これにより、低温においても、より硬化が進み、硬化膜の耐性がより向上する。
【0211】
樹脂(G1)の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)を形成する単量体、酸性基含有単量体単位(g2)を形成する単量体及び任意でこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合することで得られる。
【0212】
〔ブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)〕
ブロックイソシアネート基含有単量体は、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を、熱で脱離する化合物(以下、ブロック剤ともいう)で保護した単量体である。
【0213】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。また、2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との等モル反応生成物も使用できる。こられの中でも、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0214】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、イミド化合物、尿素化合物、イミン化合物及び重亜硫酸塩化合物等が挙げられる。
【0215】
オキシム化合物は、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が挙げられ、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
ラクタム化合物としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。
フェノール化合物は、例えば、フェノール、クレゾール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、エチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ナフトール、p-ニトロフェノール等が挙げられ、3,5-キシレノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチルが好ましい。
アルコール化合物は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコールが挙げられる。
アミン化合物は、例えば、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。
活性メチレン化合物は、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、マロン酸ジエチルが好ましい。
ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられ、3,5-ジメチルピラゾールが好ましい。
メルカプタン化合物は、例えば、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
イミダゾール化合物は、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
イミド化合物は、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、マレイミド、フタルイミド等が挙げられる。
尿素化合物は、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
イミン化合物は、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
重亜硫酸塩化合物としては、重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。これらのブロック剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0216】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、保護反応、脱保護反応の観点から、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0217】
ブロックイソシアネート基含有単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0218】
【化21】
【0219】
ブロックイソシアネート基含有単量体の市販品は、昭和電工社製のカレンズMOI-DEM(ブロック剤の脱離温度:85~95℃)、MOI-BP(ブロック剤の脱離温度:105~115℃)、MOI-BM(ブロック剤の脱離温度:125~135℃)等が挙げられる。
【0220】
ブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)の含有量は、低温硬化での耐溶剤性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、樹脂(G1)の全構成単位中、1~50モル%であることが好ましく、5~40モル%であることがより好ましい。
【0221】
〔酸性基含有単量体単位(g2)〕
酸性基含有単量体の酸性基は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0222】
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0223】
酸性基含有単量体単位(g2)の含有量は、樹脂(G1)の全構成単位中、1~50モル%であることが好ましく、5~40モル%であることがより好ましい。
【0224】
樹脂(G1)は、ブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)及び酸性基含有単量体単位(g2)以外の単量体単位を含有できる。例えば、水酸基含有単量体単位(g3)、エポキシ基含有単量体単位(g4)、重合性不飽和基含有単量体単位(g5)、脂環式炭化水素含有単量体単位(g6)、一般式(13)で表される単量体単位(g7)及びその他単量体単位(g8)が挙げられる。
【0225】
一般式(13)
【化22】
【0226】
一般式(13)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を表す。nは、1~15の整数を表す。nが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なってもよい。
【0227】
〔水酸基含有単量体単位(g3)〕
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
【0228】
〔エポキシ基含有単量体単位(g4)〕
エポキシ基含有単量体は、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0229】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(g5)〕
樹脂(G1)に、重合性不飽和基含有単量体単位(g5)を含有させる方法は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法がある。
【0230】
<方法(i)>
樹脂(G1)に含まれるエポキシ基含有単量体単位(g4)のエポキシ基に、酸性基含有単量体の酸性基を付加させる方法(i)がある。
【0231】
<方法(ii)>
樹脂(G1)に含まれる酸性基含有単量体単位(g2)の酸性基に、エポキシ基含有単量体のエポキシ基を付加させる方法(ii)がある。
【0232】
また、方法(i)、(ii)の反応によって生じた水酸基に、更に、酸無水物を反応させたものも重合性不飽和基含有単量体単位(g5)として有用である。
【0233】
酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0234】
<方法(iii)>
樹脂(G1)に含まれる水酸基含有単量体単位(g3)の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法(iii)がある。
【0235】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0236】
〔脂環式炭化水素含有単量体単位(g6)〕
脂環式炭化水素含有単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0237】
〔一般式(13)で表される単量体単位(g7)〕
一般式(13)で表される単量体は、例えば、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0238】
〔その他単量体単位(g8)〕
その他単量体単位(g8)を形成する単量体は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;
スチレン、α-メチルスチレン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエ-ト、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナ-ト、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラ-ト、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノア-ト、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらの単量体は、単独または2種以上併用して使用できる。
【0239】
樹脂(G1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0240】
樹脂(G1)の重量平均分子量(Mw)は、3,000~50,000が好ましく、4,000~40,000がより好ましい。
【0241】
樹脂(G1)の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましく、40~180mgKOH/gがより好ましい。
【0242】
樹脂(G1)の含有量は、低温硬化での耐溶剤性、高温高湿耐性の観点から、樹脂(G)100質量%中、5質量%以上が好ましく、10~100質量%がより好ましい。
【0243】
(樹脂(G2))
樹脂(G)は、バインダ樹脂として上述したブロックイソシアネート基含有単量体単位(g1)を有さず、脂環式炭化水素含有単量体単位(g6)、一般式(13)で表される単量体単位(g7)から選ばれる少なくとも1種の単量体単位、重合性不飽和基含有単量体単位(g5)を有する樹脂(G2)(以下、単に樹脂(G2)ともいう)を含むことも好ましい。
【0244】
樹脂(G2)は、上述の(g5)、(g6)及び(g7)以外の単量体単位を含有できる。例えば、上述の(g2)~(g4)及び(g8)の単量体単位が挙げられる。
【0245】
樹脂(G2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0246】
樹脂(G2)の重量平均分子量(Mw)は、3,000~50,000が好ましく、4,000~40,000がより好ましい。
【0247】
樹脂(G2)の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましく、40~180mgKOH/gがより好ましい。
【0248】
樹脂(G2)の含有量は、低温硬化での耐溶剤性、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、樹脂(G)100質量%中、5質量%以上が好ましく、10~100質量%がより好ましい。
【0249】
(樹脂(G3))
樹脂(G)は、近赤外線吸収色素(A)の分散性の観点から、分散樹脂として樹脂(G3)を含むことが好ましい。
【0250】
樹脂(G3)は、近赤外線吸収色素(A)の粒子に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基及び酸性基のうち1種以上を有していることが好ましい。
【0251】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基及び含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0252】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基等が挙げられる。
【0253】
樹脂(G3)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0254】
樹脂(G3)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造及び星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。
【0255】
樹脂(G3)は、具体的には、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101,103,107,108,110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、国際公開第2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2012-255128号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報、特開2017-206689号公報、特開2019-095548号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0256】
樹脂(G3)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0257】
樹脂(G3)の含有量は、分散安定性の観点から、近赤外線吸収色素(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0258】
(樹脂(G4))
樹脂(G)は、樹脂(G1)~(G3)以外の樹脂(以下、単に樹脂(G4)ともいう)を含有できる。
【0259】
樹脂(G4)は、特に制限がなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン・(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられ、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0260】
樹脂(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0261】
樹脂(G)の重量平均分子量(Mw)は、3,000~50,000が好ましく、4,000~40,000がより好ましい。
【0262】
樹脂(G)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0263】
[色素誘導体(H)]
本発明の硬化性組成物は、色素誘導体(H)を含有できる。
【0264】
色素誘導体(H)は、特に制限はなく、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する色素誘導体が挙げられる。色素誘導体(H)は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、ペリノン系化合物、ペリレン系化合物、チアジンインジゴ系化合物、トリアジン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ベンゾイソインドール等のインドール系化合物、イソインドリン系化合物、イソインドリノン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトール系化合物、スレン系化合物、金属錯体系化合物、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系化合物、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物等が挙げられる。
【0265】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体は、例えば、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、国際公開第2016/035695号、国際公開第2017/146092号、フタロシアニン系色素誘導体は、例えば、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体は、例えば、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体は、例えば、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体は、例えば、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体は、例えば、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体は、例えば、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体は、例えば、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体は、例えば、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体は、例えば、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体は、例えば、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、スクアリリウム系色素誘導体は、例えば、国際公開第2020/054718号等に記載の化合物が挙げられる。
なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0266】
色素誘導体(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0267】
色素誘導体(H)の含有量は、近赤外線吸収色素(A)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0268】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の硬化性組成物は、低温硬化での硬度、高温高湿耐性、ヒートサイクル耐性の観点から、チオール系連鎖移動剤(I)を含むことが好ましい。チオール系連鎖移動剤(I)は、ラジカル重合開始剤(C)と併用するとラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、硬化性組成物の感度が向上する。
【0269】
チオール系連鎖移動剤(I)は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましく、4以上有する多官能チオールがより好ましい。官能基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0270】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0271】
チオール系連鎖移動剤(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0272】
チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~2.0質量%が好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましい。
【0273】
[増感剤(J)]
本発明の硬化性組成物は、増感剤(J)を含有できる。
【0274】
増感剤(J)は、例えば、カルコン系化合物、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン系化合物、ベンゾイン系化合物、フルオレン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、キサンテン系化合物、チオキサンテン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物、ケトクマリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、オキソノール系化合物等のポリメチン色素、アクリジン系化合物、アジン系化合物、チアジン系化合物、オキサジン系化合物、インドリン系化合物、アズレン系化合物、アズレニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラフェニルポルフィリン系化合物、トリアリールメタン系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、テトラピラジノポルフィラジン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィラジン系化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、テトラフィリン系化合物、アヌレン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、チオスピロピラン系化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、パターン形成の観点から、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。
【0275】
(チオキサントン系化合物)
チオキサントン系化合物は、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、2,4-ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0276】
(ベンゾフェノン系化合物)
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0277】
増感剤(J)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0278】
増感剤(J)の含有量は、ラジカル重合開始剤(C)100質量部に対して、5~400質量部が好ましく、10~300質量部がより好ましい。
【0279】
[レベリング剤(K)]
本発明の硬化性組成物は、レベリング剤(K)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性及び乾燥性がより向上する。レベリング剤(K)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0280】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0281】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0282】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0283】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0284】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ-ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0285】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0286】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0287】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0288】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0289】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0290】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0291】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0292】
レベリング剤(K)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0293】
レベリング剤(K)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。適量含有すると硬化性組成物の塗工性と密着性のバランスがより向上する。
【0294】
[有機溶剤(L)]
本発明の硬化性組成物は、有機溶剤(L)を含有できる。
【0295】
有機溶剤(L)は、本発明の硬化性組成物の各成分の溶解性や、塗工性を満足すれば特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。
【0296】
有機溶剤(L)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、樹脂の溶解性、塗工性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0297】
本発明の硬化性組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である有機溶剤は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、硬化性組成物中、50質量ppm以下であり、30質量ppm以下にすることが好ましく、10質量ppm以下にすることがより好ましい。
【0298】
有機溶剤(L)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0299】
有機溶剤(L)の含有量は、硬化性組成物の不揮発分が5~60質量%となる量であることが好ましい。
【0300】
[その他成分]
本発明の硬化性組成物は、上記以外のその他成分を含有することができる。その他成分は、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、密着向上剤等が挙げられる。その他成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜設定することができる。
【0301】
[硬化性組成物の製造方法]
本発明の硬化性組成物は、例えば、近赤外線吸収色素(A)、樹脂(G)及び有機溶剤(L)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、熱硬化性化合物(D)及び硬化促進剤(E)等を配合・混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0302】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0303】
分散体中の近赤外線吸収色素(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、5~200nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い硬化性組成物が得やすい。
【0304】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0305】
硬化性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の硬化性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0306】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上記硬化性組成物の硬化物である。硬化は、塗工で形成した膜を露光、加熱等の処理で行う。硬化膜は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。
【0307】
[硬化膜の製造方法]
硬化膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合は、例えば、基板上に硬化性組成物を塗工し組成物の層を形成する工程、前記層に、マスクを介してパターン状に露光する工程、未露光部分をアルカリ現像しパターン状の硬化膜を形成する工程、前記パターンを加熱処理(ポストベーク)する工程を行い作製できる。
また、ドライエッチング法でパターンを形成する場合は、例えば、基板上に硬化性組成物を塗工し組成物の層を形成する工程、前記層を加熱し硬化膜を形成する工程、前記硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成する工程、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングする工程を行い作製できる。
本発明においては、硬化膜の作成は、全工程を通じて130℃以下の温度で行うことが好ましく、110℃以下の温度で行うことがより好ましい。
【0308】
以下、フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合の製造方法について詳細に説明する。
【0309】
(工程(1))
組成物の層を形成する工程(1)は、硬化性組成物を基板上に、例えば、回転塗工、ロール塗工、スリット塗工、流延塗工、またはインクジェット塗工等の方法で塗工し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~100℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、樹脂基板、シリコン基板等が挙げられる。樹脂基板としては、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板等が挙げられる。これらの基板上には有機発光層が形成されてもよい。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
層の膜厚は、0.05~10.0μmが好ましく、0.3~5.0μmがより好ましい。
【0310】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより硬化膜が得られる。
露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(バルス露光)してもよい。
【0311】
(工程(3))
工程(2)で得られた硬化膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の組成物の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の硬化膜が得られる。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0312】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0313】
(工程(4))
加熱処理(ポストベーク)は、工程(3)で得られたパターン状の硬化膜を加熱により十分に硬化させる。ポストベークの加熱温度は、130℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。加熱温度の下限は、硬化を促進できれば特に制限はないが、50℃以上が好ましい。また、加熱時間は、5分間~2時間が好ましい。
【0314】
<光学フィルタ>
本発明の硬化膜は、光学フィルタに用いることができる。光学フィルタは、例えば、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ等が好ましい。本発明の光学フィルタの製造は、上述の硬化膜と同様の方法で製造できる。
【0315】
<画像表示装置>
本発明の硬化膜は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。画像表示装置に用いる形態は、特に制限されないが、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、遮光フィルタや赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタとして用いることができる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0316】
<固体撮像素子>
本発明の硬化膜は、固体撮像素子に用いることができる。固体撮像素子に用いる形態は、特に制限されないが、例えば、基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(携帯電話、スマートフォン等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
【0317】
<赤外線センサ>
本発明の硬化膜は、赤外線センサに用いることができる。図1は、本発明の硬化膜を備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。図1に示す赤外線センサ300は、固体撮像素子310を備える。
【0318】
固体撮像素子310上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ311とカラーフィルタ312とを組み合せて構成されている。
赤外線カットフィルタ311は、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1300nmの光)を遮蔽する。
カラーフィルタ312は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0319】
赤外線透過フィルタ313と固体撮像素子310との間には、赤外線透過フィルタ313を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜314が配置されている。
赤外線透過フィルタ313は、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタであって、上述した近赤外線吸収色素(A)、及び着色剤(F)として赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の顔料を含む(黒色を呈する)か、黒色顔料を含む本発明の硬化膜が使用できる。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1,300nmの光を透過させることが好ましい。
【0320】
カラーフィルタ312、及び赤外線透過フィルタ313の入射光側には、マイクロレンズ315が配置されている。マイクロレンズ315を覆うように平坦化膜316が形成されている。
【0321】
図1に示す形態では、樹脂膜314が配置されているが、樹脂膜314に代えて赤外線透過フィルタ313を形成してもよい。
【0322】
本発明の硬化膜は、赤外線カットフィルタ311の表面の端部及び/又は側面等の遮光膜として使用できるほか、赤外線センサの装置内壁に用いれば、内部反射及び/又は受光部への意味しない光の入射を防ぎ、感度を向上させられる。
【0323】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【実施例0324】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、230℃で30分間オーブン静置後の質量残分をいう。
【0325】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0326】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、アミン価(mgKOH/g)の測定は、以下の通りである。
【0327】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0328】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0329】
(樹脂のアミン価)
樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0330】
<近赤外線吸収色素(A)の製造>
(近赤外線吸収色素(A-1))
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノールおよびアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、下記化学式(14)で表される近赤外線吸収色素(A-1)を得た。得られた近赤外線吸収色素(A-1)50部、塩化ナトリウム500部、ジエチレングリコール60部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過および水洗をして塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、微細化した近赤外線吸収色素(A-1)を得た。
【0331】
化学式(14)
【化23】
【0332】
(近赤外線吸収色素(A-2))
反応容器中で、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、イオン交換水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、イオン交換水4,000部からなる混合溶媒で洗浄、乾燥して、化合物aを得た。
次いで、反応容器中で、濃硫酸1,500部に140部の化合物aを氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物bを得た。
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物bを少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液をイオン交換水2,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、下記化学式(15)で表される化合物の混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=7:19:59:15)である近赤外線吸収色素(A-2)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0333】
化学式(15)
【化24】
【0334】
(近赤外線吸収色素(A-3))
国際公開第2019/058882号の記載に従い、下記化学式(16)で表される近赤外線吸収色素(A-3)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0335】
化学式(16)
【化25】
【0336】
(近赤外線吸収色素(A-4))
反応容器中で、アニリン10.7部、ブロモベンゼン120部、およびジアザビシクロオクタン25.7部を加え、攪拌した。その後、四塩化チタンの1mol/lトルエン溶液95.2部を滴下した。滴下後、インジゴ10.0部を加え、10時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、濾過し、緑色粉末を得た。これをジクロロメタンと水で分液を行い、有機層を濃縮することで、化合物cを14.6部得た。
反応容器中で、化合物cを13.5部、ビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)を9.0部、とテトラヒドロフラン120部を混合攪拌し、昇温後40℃で5時間攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール500部へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール500部で洗浄後、イオン交換水500部で洗浄し、乾燥して、下記化学式(17)で表される化合物の混合物(混合比率は、2量体:3量体:4量体=81:17:2)である近赤外線吸収色素(A-4)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0337】
化学式(17)
【化26】
【0338】
<樹脂(G)の製造>
(樹脂(G1-1)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)を入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、カレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3-ジエチルエステル)25.2部、メタクリル酸20.7部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート31.2部、ジシクロペンタニルメタクリレート37.5部、及びメチルメタクリレート27.0部の混合物と、12.0部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(G1-1)溶液を調整した。樹脂(G1-1)は、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量8,000であった。
【0339】
(樹脂(G2-1)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート85.29部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.01部、及びスチレン10.42部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸43.24部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させた。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸52.64部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートとアクリル酸で生成した水酸基とテトラヒドロ無水フタル酸をエステル化反応させた。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(G2-1)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は30,000であり、酸価が77mgKOH/gであった。
【0340】
(樹脂(G2-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20部、ベンジルメタクリレート20部、メチルメタクリレート25部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続した。次に、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、PGMAc6部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して樹脂(G2-2)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であり、酸価が130mgKOH/gであった。
【0341】
(樹脂(G3-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc50部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。室温まで冷却した後、約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して樹脂(G3-1)溶液を調製した。重量平均分子量20,000、アミン価が169.8mgKOH/gであった。
【0342】
(樹脂(G3-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、tert-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して樹脂(G3-2)溶液を調製した。重量平均分子量13,000、酸価68mgKOH/gであった。
【0343】
<着色剤(F)の製造>
(微細化した緑色顔料(F-1))
C.I.ピグメントグリーン58を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3,000部の温水に投入し、70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した緑色顔料(F-1)を得た。
【0344】
(微細化した赤色顔料(F-2))
C.I.ピグメントレッド254を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。この混練物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した赤色顔料(F-2)を得た。
【0345】
(微細化した青色顔料(F-3))
C.I.ピグメントブルー15:6を100部、塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混練物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した青色顔料(F-3)を得た。
【0346】
(微細化した黄色顔料(F-4))
C.I.ピグメントイエロー138を100部、塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混練物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黄色顔料(F-4)を得た。
【0347】
(微細化した紫色顔料(F-5))
C.I.ピグメントバイオレット23を100部、塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混練物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した紫色顔料(F-5)を得た。
【0348】
(微細化した黒色顔料(F-6))
C.I.ピグメントブラック32を100部部、粉砕した塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混練物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黒色顔料(F-6)を得た。
【0349】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。有機溶剤(L-1)は、PGMAcである。
近赤外線吸収色素(A-1) :15.0部
樹脂(G3-1)溶液 :20.0部
有機溶剤(L-1) :65.0部
【0350】
(分散体2~10)
表2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~10を作製した。
【0351】
【表2】
【0352】
<硬化性組成物の製造>
[実施例1]
(硬化性組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して硬化性組成物1を得た。
分散体2 :35.0部
ラジカル重合性化合物(B-1) :5.0部
ラジカル重合開始剤(C-1) :0.5部
ラジカル重合開始剤(C-3) :0.2部
熱硬化性化合物(D-1) :2.0部
硬化促進剤(E-1) :0.6部
硬化促進剤(E-4) :0.02部
チオール系連鎖移動剤(I-1) :0.2部
樹脂(G1-1)溶液 :12.0部
レベリング剤(K) :1.0部
有機溶剤(L) :43.48部
【0353】
[実施例2~34、比較例1]
(硬化性組成物2~35)
実施例1の硬化性組成物1を、表3-1~表3-4に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物2~35を作製した。
【0354】
【表3-1】
【0355】
【表3-2】
【0356】
【表3-3】
【0357】
【表3-4】
【0358】
表3-1~表3-4に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0359】
[ラジカル重合性化合物(B)]
B-1:アロニックスM-305(東亞合成社製)
B-2:アロニックスMT-3041(東亞合成社製)
B-3:アロニックスM-510(東亞合成社製)
【0360】
[ラジカル重合開始剤(C)]
C-1:下記化合物
【化27】
【0361】
C-2:Omnirad184(IGM Resins社製)
C-3:TRONLY TR-PBG-345(常州強力新材料社製)
C-4:ベンゾピナコール(東京化成工業社製)
【0362】
[熱硬化性化合物(D)]
D-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(3)で表される化合物、エポキシ基数が約15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
D-2:エポリードGT401(ダイセル社製、脂肪族環を有するエポキシ化合物、エポキシ基数が3個、エポキシ当量が200~240g/eq)
D-3:EPICLON N-770(DIC社製、芳香族環を有するエポキシ化合物、エポキシ基数が8個、エポキシ当量が180~200g/eq)
D-4:EPICLON HP-4700(DIC社製、芳香族環を有するエポキシ化合物、エポキシ基数が4個、エポキシ当量が155~170g/eq)
【0363】
[硬化促進剤(E)]
(一般式(1)で表される化合物)
E-1:1-ベンジル-2-メチルイミダゾールの10%PGMAc溶液
E-2:1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールの10%PGMAc溶液
E-3:1-ベンジルイミダゾールの10%PGMAc溶液
【0364】
(一般式(2)で表される化合物)
E-4:2-メチルイミダゾールの10%PGMAc溶液
E-5:2-フェニルイミダゾールの10%PGMAc溶液
E-6:イミダゾールの10%PGMAc溶液
【0365】
(一般式(1)及び(2)で表される化合物以外のイミダゾール化合物)
E-7:1,2-ジメチルイミダゾールの10%PGMAc溶液
E-8:1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾールの10%PGMAc溶液
【0366】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
I-1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
I-2:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)
【0367】
[レベリング剤(K)]
K-1:BYK-330(ビックケミー社製)
K-2:メガファックF-554(DIC社製)
以上、(K-1)及び(K-2)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(K)とした。
【0368】
[有機溶剤(L)]
J-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
J-2:シクロヘキサノン 30部
J-3:3-エトキシプロピオン酸エチル 10部
J-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
J-5:シクロヘキサノールアセテート 10部
J-6:ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(L-1)~(L-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、有機溶剤(L)とした。
【0369】
<硬化性組成物の評価>
得られた硬化性組成物1~35(実施例1~34、比較例1)について、下記の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0370】
[耐溶剤性評価]
得られた硬化性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、照度30mW/cm、50mJ/cmで、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、100℃60分間ポストベークし評価基板を得た。
得られた評価基板を、室温で15分間プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾して、幅100μmのストライプパターン部分について光学顕微鏡を用いて観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:外観、色に変化がない。
4:わずかにシワ等が発生するが、色に変化はない。
3:一部にシワ等が発生するが、色に変化はない。
2:全面にシワ等が発生し、少し退色する。
1:剥がれや退色が発生。
【0371】
[高温高湿耐性評価(1):密着性]
得られた硬化性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、照度30mW/cm、50mJ/cmで露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をその後、クリーンオーブンで、100℃60分間ポストベークし評価用基板を得た。
得られた硬化膜に、カッターナイフで1mm四方の格子パターン(100マス)の切り傷を入れ、温度120℃、湿度100%の条件下に3時間保管した。保管後、透明粘着テープ(ニチバン社製CT-24)を強く圧着させ、約180℃方向に剥離した後、格子パターンの状態を観察し、剥がれた格子パターンの数を数えた。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:0個
4:1個以上、5個未満
3:5個以上、10個未満
2:10個以上、15個未満
1:15個以上
【0372】
[高温高湿耐性評価(2):異物]
得られた硬化性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm、50mJ/cmで、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、100℃60分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状のパターンを形成した。
得られた基板を、温度85℃、湿度85%の条件下で200時間保管した。保管後、光学顕微鏡を用いて、パターン上の異物の数を計測した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:異物の数が5個未満
4:異物の数が5個以上、10個未満
3:異物の数が10個以上、15個未満
2:異物の数が15個以上、20個未満
1:異物の数が20個以上
【0373】
[ヒートサイクル耐性評価]
得られた硬化性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、100μmのストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm、50mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンで100℃60分間ポストベークを行い、評価基板を得た。
得られた基板を、-20℃で10分、100℃で10分の温度昇降サイクルを500サイクル繰り返し行い、光学顕微鏡を用いてパターンを観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:500サイクルで、外観に異常なし
4:500サイクルで、わずかにひび及び/又は剥がれが発生
3:500サイクルで、一部にひび及び/又は剥がれが発生
2:200サイクルで、ひび及び/又は剥がれが発生
1:100サイクルで、ひび及び/又は剥がれが発生
【0374】
【表4】
【符号の説明】
【0375】
300 赤外線センサ
310 固体撮像素子
311 赤外線カットフィルタ
312 カラーフィルタ
313 赤外線透過フィルタ
314 樹脂膜
315 マイクロレンズ
316 平坦膜
図1