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特開2023-109545充電制御装置および非接触充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109545
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】充電制御装置および非接触充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20230801BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230801BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230801BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20230801BHJP
   B60L 53/37 20190101ALI20230801BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20230801BHJP
   B60L 5/00 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/12
B60L53/37
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011111
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】畠山 幸太
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H105GG06
5H105GG15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BE02
5H125CD03
5H125CD10
5H125DD03
5H125EE51
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、運転者の負担を最小限にしつつ、効率よく車両への非接触充電を実現する。
【解決手段】予め定めた充電可能領域310内の車両900に搭載された受電装置910に対して非接触で電力を伝送することにより充電を行う送電装置120を制御する充電制御装置110であって、充電可能領域310全体を含む周囲画像430の解析結果に基づいて特定された、当該充電可能領域310内の受電装置910の位置に基づいて、受電装置910と送電装置120とが相対するよう制御する駆動部114と、駆動部114により受電装置910と送電装置120とが相対するよう配置された後、送電装置120からの送電を開始する送電制御部115と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた充電可能領域内の車両に搭載された受電装置に対して非接触で電力を伝送することにより充電を行う送電装置を制御する充電制御装置であって、
前記充電可能領域全体を含む周囲画像の解析結果に基づいて特定された、当該充電可能領域内の前記受電装置の位置に基づいて、前記受電装置と前記送電装置とが相対するよう制御する駆動部と、
前記駆動部により前記受電装置と前記送電装置とが相対するよう配置された後、前記送電装置からの送電を開始する送電制御部と、を備えること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の充電制御装置であって、
前記駆動部は、前記送電装置を前記受電装置の位置まで移動させること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の充電制御装置であって、
前記周囲画像を解析し、当該周囲画像内の前記車両の駐車位置および車種を特定し、前記充電可能領域内の前記車両の前記受電装置の位置を特定する画像識別部と、
特定した前記受電装置の位置に基づいて、前記送電装置の位置を特定する位置決定部と、
をさらに備えること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の充電制御装置であって、
車種毎の車両上での前記受電装置の位置である車両上受電装置位置が記憶される車種データベースをさらに備え、
前記画像識別部は、特定した前記車種に対応づけて前記車種データベースに記憶される前記車両上受電装置位置と特定した前記駐車位置とから、前記受電装置の位置を特定すること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の充電制御装置であって、
車両ナンバー毎に車種を登録する車両ナンバーデータベースをさらに備え、
前記画像識別部は、前記周囲画像を解析し、前記車両の車両ナンバーを特定し、特定した前記車両ナンバーを有するレコードが前記車両ナンバーデータベースにある場合、当該レコードの車種を、当該車両の車種とすること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の充電制御装置であって、
前記送電制御部は、前記車両ナンバーを有するレコードが前記車両ナンバーデータベースにある場合、前記送電を開始すること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の充電制御装置であって、
送電量に応じた課金を行う課金管理部をさらに備え、
前記送電制御部は、送電開始から終了までの送電量を計測し、
前記課金管理部は、前記送電制御部が計測した送電量に基づいて前記課金を行うこと
を特徴とする充電制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の充電制御装置であって、
前記車両ナンバーデータベースは、前記車両ナンバーに対応づけて課金先の情報を記憶し、
前記課金管理部は、前記車両ナンバーに応じた前記課金先に課金すること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項9】
請求項3から8のいずれか1項記載の充電制御装置であって、
前記位置決定部は、前記車両の駐車位置901が前記充電可能領域外である場合、メッセージを出力すること
を特徴とする充電制御装置。
【請求項10】
車両に搭載された受電装置に対して非接触で電力を伝送する送電装置と、
前記送電装置を制御する請求項1から9のいずれか1項記載の充電制御装置と、を備える非接触充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対する充電制御技術に関する。特に、車両に搭載されたバッテリに非接触での充電制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されたバッテリに対し非接触で充電が行われている。非接触での充電においては、多様な観点からコスト削減、効率化が図られている。
【0003】
例えば、複数台の車両への充電をなしうる充電システムの設置コストを低減することが検討されている。「車両に搭載された受電コイルと相対させることで、前記車両のバッテリへの非接触充電を行う非接触型の充電装置と、第1の方向に並んで停車している複数の車両に対し、前記第1の方向に沿って前記車両と前記充電装置との相対位置を変えることで、前記第1の方向に並んで停車している複数の車両の充電を順次実施する充電制御装置と、を含む(要約抜粋)」充電システムがある(要約抜粋)。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
また、非接触充電システムにおいて電力の伝送効率を改善する技術がある。例えば、「道路に設置された給電コイルから車両に搭載された受電コイルへと非接触で電力を伝送する非接触充電システムにおいて、給電駆動装置,受電駆動装置,制御装置を設ける。給電駆動装置は、道路に対する給電コイルの姿勢を変更する。受電駆動装置は、車体に対する受電コイルの姿勢を変更する。制御装置は、給電コイルの正面方向と受電コイルの正面方向とのなす角度に基づき、給電コイルと受電コイルとが正対する状態に近づくように、給電駆動装置及び受電駆動装置を制御する(要約抜粋)。」技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、車両のナンバー情報を取得し、送電装置と車両の間の無線通信を確立する際の車両側の負担を低減する技術がある。例えば、「車両は、車両外部から撮影可能に設けられた固有のナンバー情報を有し、ナンバー情報に対応するSSIDを受信した場合に、無線通信を確立するための接続要求信号を送信する。送電装置は、通信部と、カメラと、制御部とを備える。カメラは、駐車スペースに駐車される車両のナンバー情報を撮影可能に構成される。制御部は、カメラを用いてナンバー情報を取得し、取得されたナンバー情報に対応するSSIDを設定し、設定されたSSIDを車両に送信し、車両からの接続要求信号を受信した場合に無線通信を確立する(要約抜粋)。」技術がある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、非接触充電システムによる車両の充電において、車両に対する送電装置の位置が適切であるか否かを容易に判断する技術がある。例えば、「車両底面の受電部に対して車両外部の送電装置から充電を行う際の充電支援装置であって、車両画像とカメラで撮影された車両周辺とを俯瞰画像で表示する制御部を有する。制御部は、受電部を示す表示と送電装置を示す表示を行い、所定の充電効率が得られる位置に受電部が位置したとき、送電装置を示す表示の色または大きさを変えて表示する(要約抜粋)。」技術がある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2017/154985号
【特許文献2】特開2020-36389号公報
【特許文献3】特開2017-127124号公報
【特許文献4】特許第3908217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示の技術は、複数の同一方向を向いた車両を一台の充電装置を移動させることで順次充電を行うものである。充電装置の移動機能は充電効率を上げるための位置の微調整としてではなく、複数台の車両を効率よく順次充電することを目的としている。送電装置と受電装置との位置合わせの手段に関し、詳細な開示はなく、実現手法が不明である。[0057]充電制御装置に充電装置の位置調節手段が接続され、充電装置の位置を調整できる。低コスト化のため、平面上のXY軸方向の調整に関し、一方向のみ自動的に位置調整が行われ、他向は運転者が調整する必要があり、運転者に負担が大きい。
【0009】
特許文献2に開示の技術は、送電装置と受電装置の姿勢を変更することで3次元的なずれを解消し、電力の伝送効率を改善するものである。しかしながら、車両側も姿勢変更可能な受電装置が必須であり、対象車両が限られる。
【0010】
特許文献3に開示の技術は、送電装置に設置されたカメラでナンバープレートを撮影し、得られた車両ナンバーに対応するSSIDを設定し、そのSSIDを用いて無線通信を確立するものである。しかしながら、得られた車両ナンバーを通信確立以外には用いていない。
【0011】
特許文献4に開示の技術は、車両に設置されたカメラで送電装置の位置を検出し、運転者に自車位置に対する送電装置の位置を車両内のモニタ(トップビュー)で視覚的に通知する。しかしながら、最終調整は、運転者が行う。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、運転者の負担を最小限にしつつ、効率よく車両への非接触充電を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、予め定めた充電可能領域内の車両に搭載された受電装置に対して非接触で電力を伝送することにより充電を行う送電装置を制御する充電制御装置であって、前記充電可能領域全体を含む周囲画像の解析結果に基づいて特定された、当該充電可能領域内の前記受電装置の位置に基づいて、前記受電装置と前記送電装置とが相対するよう制御する駆動部と、前記駆動部により前記受電装置と前記送電装置とが相対するよう配置された後、前記送電装置からの送電を開始する送電制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本実施形態の非接触充電システムは、車両に搭載された受電装置に対して非接触で電力を伝送する送電装置と、上記充電制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成で、運転者の負担を最小限にしつつ、効率よく車両への非接触充電できる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一実施形態の充電システムの概要を説明するための説明図である。
図2】(a)は、第一実施形態の充電制御装置の機能ブロック図であり、(b)は、第一実施形態の充電制御装置のハードウェア構成図である。
図3】(a)-(c)は、第一実施形態の画像識別部による画像識別処理を説明するための説明図である。
図4】(a)は、第一実施形態の車種データベースを、(b)は、第一実施形態の車両ナンバーデータベースの一例を説明するための説明図である。
図5】(a)-(c)は、第一実施形態の位置決定処理を説明するための説明図である。
図6】(a)および(b)は、第一実施形態の位置制御機構を説明するための説明図である。
図7】第一実施形態の充電時の処理の流れを説明するための説明図である。
図8】第一実施形態の送電制御処理のフローチャートである。
図9】第一実施形態の変形例1の送電制御処理のフローチャートである。
図10】第一実施形態の変形例2の充電時の処理の流れを説明するための説明図である。
図11】第一実施形態の変形例3の充電時の処理の流れを説明するための説明図である。
図12】第一実施形態の変形例4の充電制御処理のフローチャートである。
図13】(a)は、第二実施形態の充電制御装置の機能ブロック図であり、(b)は、第二実施形態の車両ナンバーデータベースを説明するための説明図である。
図14】第二実施形態の充電制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<第一実施形態>>
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。各実施形態の図および説明において同一部分には同一符号を付与する。しかしながら、本発明は、各実施形態に制限されず、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明の技術的範囲に含まれる。また、特に明示しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
【0018】
まず、本実施形態の概要を説明する。図1は、本実施形態の充電システム100の概要を説明するための図である。本図に示すように、本実施形態の充電システム100は、予め定めた充電可能領域内に駐車された車両900に搭載された受電装置910に対して非接触で電力を伝送することにより充電を行う。具体的には、カメラ140で取得した画像を解析し、解析結果から、充電対象の車両900に搭載された受電装置910の位置を特定する。そして、充電システム100の送電装置120を、位置調整機構130を用いて特定した受電装置910に相対する位置に移動させてから送電を開始する。
【0019】
充電システム100は、例えば、高速道路のパーキングエリアやサービスエリア、道の駅、ショッピングモール、商業施設、市役所などの駐車場内に設けられる。また、車両900の種類としては、電気をエネルギ源として走行する、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両をはじめとして、外部充電が可能なバッテリを搭載したディーゼル車両、エンジン車両などが挙げられる。
【0020】
これを実現するため、本実施形態の充電システム100は、図1に示すように、充電制御装置110と、送電装置120と、位置調整機構130と、カメラ140と、配線150と、を備える。なお、充電対象の車両900は、受電装置910を備える。
【0021】
充電制御装置110は、充電システム100全体の動作を制御する。本実施形態では、送電装置120からの送電と、位置調整機構130の駆動を制御する。
【0022】
送電装置120は、車両900に搭載された受電装置910と相対させることで、車両900が搭載するバッテリへの非接触充電を行う非接触型の充電装置である。送電装置120は、予め定めた地下空間に配置される。
【0023】
送電装置120の充電の方式は、特に限定されず、例えば、電磁誘導方式、磁界共鳴方式等である。磁界共鳴方式の場合、送電装置内部の送電コイルから受電装置910内部の受電コイルへの電力伝送は、送電コイル側の回路と受電コイル側の回路との結合共振(共鳴)によって行われる。より具体的には、送電コイル側において、例えばキャパシタと共に送電側の共振回路を形成し、受電コイル側において、キャパシタと共に受電側の共振回路を形成する。送電側と受電側とで共振周波数を同一の周波数とし、送電側の共振回路と受電側の共振回路を該周波数で結合共振させる。これにより、送電コイルと受電コイルとを機械的に接触させることなく、送電装置120から車両900側に電力を伝送することができる。
【0024】
位置調整機構130は、モータ等により、送電装置120を移動させる。本実施形態では、車両900の受電装置910の受電コイルと、送電装置120の送電コイルとが電磁的に結合した状態になる位置に送電装置120を移動させる。本実施形態では、充電制御装置110から出力される駆動信号に従ってモータ等を駆動させることにより、送電装置120を充電可能領域内で移動させる。制御の詳細は後述する。位置調整機構130は、送電装置120が設けられる地下空間に配置される。なお、送電装置120が位置調整機構130により移動可能な範囲を、以下、充電可能領域と呼ぶ。
【0025】
カメラ140は、予め定めた撮影範囲(撮影視野)を撮影した撮影画像を取得する。本実施形態では、この取得した画像を周囲画像と呼ぶ。取得した周囲画像は、充電制御装置110に、所定の時間間隔で送信される。なお、撮影範囲は、充電可能領域全体を含むよう設定される。以下、本実施形態では、例えば、カメラ140の撮像視野(撮像範囲)410を、充電可能領域に、略合致させるよう設定される場合を例にあげて説明する。
【0026】
[充電制御装置の機能構成]
次に、充電制御装置110の機能について説明する。図2(a)は、充電制御装置110の機能ブロック図である。
【0027】
図2(a)に示すように、本実施形態の充電制御装置110は、画像識別部111と、位置決定部112と、車両データベース(DB)113と、駆動部114と、送電制御部115と、を備える。
【0028】
画像識別部111は、カメラ140が取得した画像を解析し、撮影視野内に車両900があるか否かを判別する画像識別処理を行う。そして、あると判別した場合、その車両900の駐車位置901、車両ナンバーおよび車種を特定する画像再識別処理を行う。そして、車種と駐車位置901とから、受電装置910の位置(受電装置位置)を算出する。
【0029】
画像識別部111による画像識別処理の概要を、図3(a)-図3(c)を用いて説明する。
【0030】
車両の有無は、例えば、周知のパターンマッチングなどの手法により判別する。図3(a)は、車両900の駐車位置901と、実空間上の充電可能領域310と、カメラ140の撮像視野410との関係を示す図である。上述のように、本実施形態では、カメラ140の撮像視野(撮像範囲)410は、充電可能領域310に、略合致させるよう設定されているが、ここでは、わかりやすくするため、撮像視野410を、充電可能領域310より多少大きく示す。
【0031】
画像識別部111は、図3(a)に示すように、車両900の全体が、撮像視野410(充電可能領域310)内にある場合、車両有り、と判別する。なお、有りと判別する条件はこれに限定されない。例えば、画像上の車両900に対応する領域が、所定の面積以上、撮像視野410内にある場合、有りと判別するよう構成してもよい。
【0032】
画像識別部111は、まず、図3(b)に示すように、得られた周囲画像430内で車両900に相当する画像領域440を特定する。そして、図3(c)に示すように、撮像視野410と実空間位置との関係に基づいて、実空間での車両900の駐車位置901を特定する。駐車位置901は、例えば、路面固定座標系での位置を算出する。路面固定座標系は、路面に固定された直交座標系であり、通常X軸とY軸を水平面内にとり、Z軌を上向きにとる。以下、本実施形態では、路面固定座標系の原点を、充電可能領域310の中心とする。また、駐車位置901として、車両900の重心位置のx、y座標を用いる。
【0033】
なお、駐車位置901を示すために、充電システム100の特有の固定座標系を用いてもよい。なお、用いる座標系はこれに限定されない。充電システム100内で車両900の駐車位置901を特定できればよく、例えば、緯度経度等を用いてもよい。
【0034】
また、本実施形態の画像識別部111は、車両ナンバー、車種、駐車位置901、受電装置位置を特定するにあたり、車両DB113を用いる。ここで、車両DB113について説明する。
【0035】
車両DB113は、車種DB510と、車両ナンバーDB520と、を備える。
【0036】
車種DB510は、車種毎の、仕様および受電装置910の位置(受電装置位置)が格納されるデータベースである。図4(a)に一例を示す。本図に示すように、車種511毎に、例えば、車両座標系での受電装置位置(車両上受電装置位置)512が格納される。なお、車両座標系は、車両900が傾きのない面に配置されている状態での、車両の重心に原点をおき、X軸とY軸は水平で、おのおの前向きおよび左向きを正とし、Z軸は鉛直上方を正とする直交座標系である。
【0037】
また、図4(a)に示す例では、仕様として、車種511毎の、車両の全長513、幅514、非接触充電への対応状況515が登録されている例を示す。なお、仕様として、さらに、車種毎の形状を特定する情報が登録されていてもよい。また、車種毎の複数方向からの形状を、形状DBとして別途保持してもよい。車種DB510は、予め登録される。
【0038】
車両ナンバーDB520は、車両ナンバーを読み取った場合、当該車両ナンバーと車種とを対応づけて管理するデータベースである。図4(b)に一例を示す。本図に示すように、車両ナンバー521毎に車種511が対応づけて登録される。なお、車両ナンバーDB520については、車両900が充電システム100で充電することを契機に登録される。
【0039】
本実施形態の画像識別部111は、車両有り、と判別した場合、まず、当該車両900の車両ナンバーを特定する。そして、当該車両ナンバーが車両ナンバーDB520に登録されているかを判別する。そして、登録されている場合は、その車両ナンバー521に対応づけて登録される車種522を、当該車両900の車種と判別する。その後、車種DB510を参照し、判別した車種511に対応づけて登録されている対応状況515および車両上受電装置位置512を特定する。
【0040】
車両ナンバーは、例えば、パターンマッチングで数字を特定することにより、特定する。なお、例えば、既存のナンバー認識エンジン等を用いて特定してもよい。
【0041】
一方、特定した車両ナンバーが車両ナンバーDB520に登録されていない場合、画像識別部111は、他の手法で車種を特定する。本実施形態では、例えば、車種毎の形状データに基づき、パターンマッチング等により、車種を特定する。なお、車種は、既存のAI等を用いた車両認識システムを用いて特定してもよい。この場合も、画像識別部111は、車種特定後、車種DB510を参照し、対応状況515および車両上受電装置位置512を特定する。
【0042】
特定した車両ナンバーが車両ナンバーDB520に登録されていない場合、特定した車種を、特定した車両ナンバーに対応づけて、新たなレコードとして車両ナンバーDB520に登録する。
【0043】
また、車両ナンバーDB520は、車両ナンバーに対応づけて、車種の代わりに、車両上受電装置位置が登録されていてもよい。
【0044】
なお、画像識別部111は、車両座標系における車両上受電装置位置512を、駐車位置901を用いて路面固定座標系のx、y座標に変換する。そして、車種、車両ナンバーおよび路面固定座標系での受電装置位置を、画像識別結果として、位置決定部112に送信する。
【0045】
形状から車種を特定する処理よりも、車両ナンバーを識別する処理の方が、処理負担が小さく、処理速度も速い。このため、本実施形態の充電制御装置110は、車両ナンバーDB520を備えることにより、同じ車両900の場合、2回目以降、より少ない処理負担かつ早い処理速度で、当該車両900の受電装置位置を特定できる。
【0046】
位置決定部112は、送電装置120の位置を決定する位置決定処理を行う。位置決定処理の概要を図5(a)-図5(c)を用いて説明する。
【0047】
本実施形態では、図5(a)に示すように、画像識別結果に含まれる受電装置位置に対応する位置を、送電装置120の位置(送電装置位置)と決定する。送電装置位置は、例えば、路面固定座標系のx、y座標で表される。
【0048】
なお、位置決定部112は、図5(b)に示すように、直前に決定した送電装置位置(前回送電装置位置)121を記憶しておく。そして、図5(c)に示すように、新たに決定した送電装置位置122とのx軸方向の差分Δxおよびy軸方向の差分Δyを駆動量としてそれぞれ算出し、駆動部114に出力する。
【0049】
駆動部114は、受電装置910と、送電装置120とが相対するように送電装置120を駆動する。本実施形態では、位置決定部112から受信したΔxおよびΔyだけ、x軸方向およびy軸方向にそれぞれ移動させるよう駆動信号を出力する。
【0050】
送電制御部115は、送電を制御する。例えば、送電制御部115は、送電装置120に対し、送電開始信号または送電終了信号を送信することにより、送電を制御する。
【0051】
本実施形態では、送電制御部115は、例えば、送電装置120が、送電装置位置122に到達したと判断すると、送電開始信号を出力する。例えば、駆動部114が駆動信号を出力後、所定期間出力がない場合、到達したと判断する。
【0052】
また、送電制御部115は、充電が完了すると、送電を停止する。送電制御部115は、例えば、車両900から充電完了を意味する充電完了信号を受信した場合、充電完了と判別する。なお、車両900側は、フル充電(充電完了)を検出可能であるとともに、充電完了を検出した際、充電システム100に向けて充電完了信号を送信可能とする。また、車両900と充電制御装置110との間は、予め通信可能とするとともに、充電完了信号を予め定めておく。
【0053】
[充電制御装置のハードウェア構成]
次に、本実施形態の充電制御装置110のハードウェア構成について説明する。図2(b)は、本実施形態の充電制御装置110のハードウェア構成図である。
【0054】
本図に示すように、本実施形態の充電制御装置110は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)171と、メモリ172と、記憶装置173と、入出力インタフェース(I/F)174と、通信I/F175と、を備える情報処理装置(コンピュータ)で実現される。
【0055】
CPU171は、記憶装置173に記憶されたプログラムを、メモリ172にロードして実行することにより、上記各機能を実現する。
【0056】
メモリ172は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)および揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは通常、不変のプログラムなどを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU171が実行するプログラムおよびプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0057】
記憶装置173は、例えば、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)、磁気記憶装置(HDD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、論理的な記憶領域を提供する。当該記憶領域には、CPU171が実行するプログラム、およびプログラムの実行時に使用されるデータ等が格納される。本実施形態では、車両DB113は、記憶装置173上に構築される。
【0058】
入出力I/F174は、外部装置から充電制御装置110へ送信される信号を受け取るとともに、充電制御装置110で生成した信号を出力するインタフェースである。本実施形態では、駆動部114が生成した駆動信号を、入出力I/F174を介して位置調整機構130に出力する。
【0059】
さらに、充電制御装置110が、操作ボタン、表示装置(ディスプレイ)、マイク、スピーカ等を備える場合、これらの装置で受け付けたユーザからの指示を入出力I/F174を介して受信するよう構成してもよい。また、充電制御装置110が生成したメッセージを入出力I/F174を介してこれらの装置に出力するよう構成してもよい。
【0060】
通信I/F175は、充電制御装置110が、外部装置と通信を行うためのインタフェースである。本実施形態では、例えば、カメラ140で取得した画像を通信I/F175を介して画像識別部111が受信する。その他、レーザ測距装置(レーザセンサ)等が接続されてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、通信I/F175として、例えば、車両900との通信を行うインタフェースを備えてもよい。例えば、車両900とWiFi通信を行う場合、WiFiルータ等を備える。充電制御装置110は、車両900から充電完了信号を、通信I/F175を介して受信する。
【0062】
[位置制御機構]
次に、本実施形態の位置調整機構130について説明する。上述のように、本実施形態の位置調整機構130は、送電装置120を、路面固定座標系のXY平面上でX方向およびY方向にそれぞれ移動させる機構であり、地下空間に配置される。位置調整機構130は、図6(a)および図6(b)に示すように、例えば、送電装置120をX方向に移動させるX方向移動装置131と、Y方向に移動させるY方向移動装置132とを備える。
【0063】
なお、図6(a)は、位置調整機構130を、x方向から見た図であり、図6(b)は、z方向から見た図である。
【0064】
X方向移動装置131およびY方向移動装置132は、それぞれ、ベルトコンベアのように輪上のベルトを回転させることで、その上に載せた送電装置120の移動を実現する。本実施形態では、駆動部114から出力される駆動信号に応じて、予め定めた量だけ、ベルトを回転させ、送電装置120を移動させる。
【0065】
なお、位置調整機構130において、Z方向(上下方向)の移動は、考慮しない。また、例えば、磁気共鳴方式で充電する場合、障害物であっても充電は可能であるため、地表に穴をあける必要もない。
【0066】
[充電時処理]
次に、本実施形態の充電時の処理の流れを説明する。図7は、本実施形態の充電時処理の流れを説明するためのフロー図である。
【0067】
本図に示すように、充電システム100側では、画像識別部111が所定の時間間隔で、カメラ140で周囲画像430を取得し、周囲画像430内に車両900が写っているか否かを識別する画像識別処理を行う(ステップS1001)。そして、ユーザが車両900を、充電可能領域310内に駐車すると、この画像識別処理において、車両900が検出される。
【0068】
車両900が検出されると、画像識別部111は、車両ナンバー、車種、駐車位置901を特定し、受電装置910の位置を特定する画像再識別処理を行う(ステップS1002)。
【0069】
そして、位置決定部112が送電装置位置122を決定するとともに、決定した送電装置位置122へ移動させる移動量を決定する。そして、駆動部114が、決定した移動量に従って、送電装置120を移動させる送電装置位置調整処理を行う(ステップS1003)。
【0070】
そして、送電装置120を送電装置位置122まで移動させると、送電制御部115は、送電装置120に対して送電を行う充電処理を実行する(ステップS1004)。
【0071】
[送電制御処理]
次に、上述の送電処理の中の、充電制御装置110における、周囲画像430を受信してから送電開始までの送電制御処理の詳細な流れを説明する。図8は、当該送電制御処理の処理フローである。なお、本実施形態では、上述のように、カメラ140は、所定の時間間隔で周囲画像430を取得し、充電制御装置110に送信する。
【0072】
画像識別部111は、周囲画像430を解析し、周囲画像430内に車両900があるか否かを判別する(ステップS1101)。ない場合、そのまま処理を終了する。
【0073】
車両900あり、と判別した場合、画像識別部111は、周囲画像430を解析し、駐車位置901を特定するとともに車両ナンバーを特定する(ステップS1102)。そして、特定した車両ナンバーが、車両ナンバーDB520に登録されているか否かを判別する(ステップS1103)。
【0074】
登録されている場合、画像識別部111は、車両ナンバーDB520において、当該車両ナンバー521に対応づけて登録される車種522を抽出する(ステップS1104)。
【0075】
そして、画像識別部111は、車種DB510において、抽出した車種522に対応づけて登録されているレコードの対応状況515を参照し、非接触充電に対応しているか否かを判別する(ステップS1105)。対応していない場合、そのまま処理を終了する。
【0076】
一方、対応している場合、画像識別部111は、路面固定座標系での受電装置位置を特定する(ステップS1106)。ここでは、まず、当該レコードの車両上受電装置位置512を参照し、車両座標系での受電装置位置を特定する。そして、ステップS1102で特定した駐車位置901を用いて路面固定座標系での受電装置位置を算出する。そして、算出した受電装置位置を、位置決定部112に出力する。
【0077】
位置決定部112は、受け取った受電装置位置から、送電装置位置122を決定する(ステップS1107)。そして、直前の送電装置位置121を用いて、駆動量を算出(ステップS1108)し、出力する。なお、駆動量算出後、直前の送電装置位置121は、算出した送電装置位置122で上書きする。
【0078】
駆動部114は、駆動量分、送電装置120を駆動させるよう、駆動信号を位置調整機構130に出力することにより、送電装置120を、受電装置位置に移動させる(ステップS1109)。
【0079】
送電装置120が送電装置位置122に到達すると、送電制御部115は、送電開始信号を送電装置120に出力することにより、送電を開始し(ステップS1110)、処理を終了する。
【0080】
なお、充電制御装置110は、充電が完了したことを、検出した場合、送電停止信号を送電装置120に送信する。
【0081】
なお、ステップS1103において、車両ナンバーDB520に、当該車両ナンバーが登録されていない場合、画像識別部111は、画像を解析することにより、車両900の車種を特定する(ステップS1111)。そして、当該車両ナンバーの新たなレコードを作成し、特定した車種に対応づけて車両ナンバーDB520に登録し(ステップS1112)、ステップS1105へ移行する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の充電システム100によれば、予め定めた充電可能領域310内の車両900に搭載された受電装置910に対して非接触で電力を伝送することにより充電を行う送電装置120を制御する充電制御装置110であって、充電可能領域310全体を含む周囲画像430の解析結果に基づいて特定された、当該充電可能領域310内の受電装置910の位置に基づいて、受電装置910と送電装置120とが相対するよう制御する駆動部114と、駆動部114により受電装置910と送電装置120とが相対するよう配置された後、送電装置120からの送電を開始する送電制御部115と、を備える。
【0083】
このように、本実施形態によれば、ユーザは車両900を駐車するだけで、送電装置120が、最適な場所に移動し、送電が開始される。このため、本実施形態によれば、運転者の負担なく、精度よく配置された送電装置120で充電ができるため、効率よく非接触充電を実現することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、カメラ140で、車両全体を撮影し、車種毎の車両上受電装置位置を保持するデータベースを参照し、送電装置120の最適な位置を決定する。このため、簡易な構成で、高精度な充電を実現できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、一度その充電システム100で充電すると、車両ナンバーが登録されるため、充電制御装置110は、車両ナンバーを読み取るだけで、最適な送電装置位置122を決定することができる。このため、簡易な処理で、高精度な充電を実現できる。
【0086】
<変形例1>
上記実施形態では、カメラ140の撮像視野410を、充電可能領域310に略合致させていたが、撮像視野410は、充電可能領域310を含めば、さらに広いものであってもよい。
【0087】
この場合、画像識別部111は、受電装置位置を特定後、当該受電装置位置が、充電可能領域310内であるか否かを判別する。そして、範囲内である場合、以後の処理(送電位置移動、充電)を行う。
【0088】
この場合、受電装置位置が充電可能領域310外である場合、充電制御装置110は、車両900のユーザに対し、送電可能領域外であることを通知するメッセージを出力してもよい。メッセージは、例えば、充電制御装置110が表示装置を備える場合、当該表示装置に表示する。また、充電制御装置110が音声出力装置を備える場合、音声にて出力する。
【0089】
例えば、メッセージには、車両900の受電装置910を送電可能領域内にするための移動方向を含んでもよい。移動方向は、例えば、画像識別部111が算出する。
【0090】
この場合の、送電制御処理の流れを図9に示す。上記実施形態内の送電制御処理と異なる点に主眼をおいて説明する。
【0091】
周囲画像430内に車両900がある、と判別した場合(ステップS1101)、画像識別部111は、その駐車位置901を特定し(ステップS1201)、それが、充電可能領域310内であるか否かを判別する(ステップS1202)。
【0092】
充電可能領域310内でない場合、それを示すメッセージを出力し(ステップS1203)、処理を終了する。一方、充電可能領域310内であれば、さらに、車両ナンバーを特定し(ステップS1204)、S1103以降の処理を実行する。
【0093】
本変形例によれば、カメラ140の撮像視野410を広く設定しているため、カメラ140の撮像視野410が多少ずれたとしても、充電制御処理を継続できる。
【0094】
さらに、本変形例によれば、カメラ140は、充電システム100専用のものでなくてもよい。充電可能領域310を撮像視野に含むカメラであれば、例えば、充電システム100とは別に備えられた防犯カメラなどであってもよい。この場合、充電システム100は、当該防犯カメラから所定の時間間隔で、通信I/F175を経由して、画像を取得し、処理を行う。すなわち、この場合、カメラ140は、充電システム100に含まれなくてもよい。
【0095】
<変形例2>
また、上記実施形態では、画像識別部111および車両DB113は、充電制御装置110が備えている。しかしながら、これらの機能の少なくとも一方は、充電制御装置110と有線または無線で接続された他の装置上に構築されてもよい。他の装置は、例えば、ネットワーク上のクラウドサーバ等であってもよい。クラウドサーバは、ファイルサーバ、NAS(Network Attached Storage)サーバ等であってもよい。充電制御装置110は、これらの装置と、通信I/F175を介してデータを送受信する。
【0096】
例えば、画像識別部111および車両DB113が外部に充電制御装置110外に構築される場合の充電時の処理の流れを、図10に示す。以下、これらの機能を実現する装置を、画像識別装置611、車両DB記憶装置(車両DB装置)613と呼ぶ。
【0097】
充電システム100は、カメラ140が周囲画像430を取得する毎に、画像識別装置611に周囲画像430とともに画像識別要求を送信する(ステップS1301)。
【0098】
ユーザが車両900を駐車すると、画像識別装置611は、周囲画像430内で車両を検出し、車両検出したことを示す信号(車両検出信号)を返信する(ステップS1302)。なお、このとき、検出位置(駐車位置901)を併せて返信してもよい。
【0099】
充電システム100では、車両検出信号を受信すると、その周囲画像430において、車両情報を取得するよう要求する画像再識別要求を画像識別装置611に送信する(ステップS1303)。
【0100】
画像識別装置611では、画像再識別要求を受信すると、車両DB613にアクセスし(ステップS1304)、車両ナンバーDBおよび車種DBを参照し、車両情報を取得する(ステップS1305)。これらを用いて、画像識別装置611は、上記実施形態同様、受電装置位置を特定し(ステップS1306)、画像識別結果として、充電システム100に返信する(ステップS1307)。なお、上記実施形態同様、車両ナンバーDBに、車両ナンバーが登録されていない場合、新規レコードを追加するよう構成してもよい。
【0101】
その後、充電システム100では、上記実施形態同様、送電装置120の位置を決定し、調整し(ステップS1003)、充電処理を行う(ステップS1004)。
【0102】
<変形例3>
また、上記実施形態では、カメラ140は、所定時間間隔で、継続的に周囲画像430を取得している。しかしながら、これに限定されない。例えば、充電可能領域310内に車両が駐車されたことを契機に周囲画像430を取得してもよい。
【0103】
この場合、充電システム100は、画像以外の何等かの手法で、車両900が、充電可能領域310に駐車されたことを検出する。例えば、赤外線、マイクロ波等を用いる、センサ等であってもよい。例えば、充電制御装置110が、距離センサを備え、所定の距離内の車両900を検出した場合、充電可能領域310に車両900が駐車されたと判別する。
【0104】
また、車両900と充電システム100との間で通信が可能な場合、充電制御装置110は、通信により、車両900が充電可能領域310に駐車されたことを検出してもよい。さらに、GPS、VICS(登録商標)などの既存のシステムを用いて把握してもよい。
【0105】
この場合の充電時の処理の流れを、図11に示す。
【0106】
本図に示すように、ユーザは、車両900を充電可能領域310に駐車する。
【0107】
充電システム100は、充電可能領域310内に車両900が駐車されたことを検出すると(ステップS1401)、カメラ140に撮影するよう指示する(撮影指示)。
【0108】
撮影指示を受け、カメラ140は周囲画像430を取得する(撮影;ステップS1402)。
【0109】
以降の処理は、上記実施形態のステップS1002の画像再識別処理以降の処理と同様である。
【0110】
なお、本変形例においても、上記変形例のように、画像識別機能、車両DBが、充電システム外にあってもよい。
【0111】
<変形例4>
また、上記実施形態では、特定した車両ナンバーが、車両ナンバーDB520に登録されていない場合、車種を特定し、新たなレコードとして登録し、充電処理を行っているが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、車両ナンバーDB520に登録がある場合、その後の処理を行い、登録されていない場合、処理を終了してもよい。
【0112】
このように構成することにより、予め車両ナンバーDB520に登録されている車両900に対してのみ、充電を行うことができる。
【0113】
なお、ステップS1103において、車両ナンバーDB520に車両ナンバーが登録されていない場合、そのまま処理を終了するのではなく、登録を促すようメッセージを表示させてもよい。
【0114】
登録処理は、例えば、ユーザに車両ナンバーを登録するか否かを尋ね、登録しないとの回答を得た場合は、充電を行わず、そのまま処理を終了する。一方、登録するとの回答を得た場合は、ユーザから車両ナンバーの入力を受け付け、車両ナンバーDB520に登録する。
【0115】
例えば、充電制御装置110が、表示装置を備える場合、画像識別部111は、登録を促すメッセージを表示し、ユーザからの入力を受け付ける。例えば、所定時間内にユーザから登録する意思を受け付けると、車両ナンバーの入力を受け付ける受付画面を表示させる。
【0116】
これらの処理は、音声と、操作ボタンとを用いて実現されてもよい。
【0117】
充電制御装置110は、登録のための専用の入出力インタフェースを備えてもよい。また、通信I/F175を介して、ユーザがスマートフォン等の外部の端末で入力し、送信するように構成してもよい。この場合は、車両ナンバー登録のための専用アプリケーション等を用意し、ユーザに当該アプリケーションのインストールを促す。
【0118】
<<第二実施形態>>
本発明の第二実施形態を説明する。本実施形態では、充電に課金をする。課金先は、車両ナンバーに対応づけて予め登録される。本実施形態の充電システム100は、例えば、商業施設の駐車場、サービスエリア、コインパーキング等に設置される。
【0119】
本実施形態の充電システム100は、基本的に第一実施形態と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態の充電システム100も、充電制御装置110と、送電装置120と、位置調整機構130と、カメラ140と、配線150と、を備える。また、充電対象の車両900は、受電装置910を備える。
【0120】
ここで、本実施形態の充電制御装置110の機能ブロック図を図13(a)に示す。本図に示すように、本実施形態の充電制御装置110は、第一実施形態同様、画像識別部111と、位置決定部112と、車両データベース(DB)113と、駆動部114と、送電制御部115と、を備える。本実施形態では、さらに、課金管理部116を備える。ただし、本実施形態の送電制御部115は、第一実施形態で実現する機能に加え、送電量を計測する。
【0121】
また、車両DB113は、車種DB510と車両ナンバーDB520とを備える。ただし、本実施形態の車両ナンバーDB520は、図13(b)に示すように、車両ナンバー521に対応づけて、さらに、課金情報523を備える。
【0122】
課金情報523は、例えば、クレジットカード番号等である。ただし、クレジットカード番号等である場合、セキュリティの関係から例えば暗号化等して記録する。また、請求先のクレジットカード会社情報であってもよい。また、車両ナンバーDB520とは、独立した課金情報DBを備えてもよい。課金情報DBは、車両ナンバーに対応づけて、課金情報が登録される。また、課金情報DBは、充電制御装置110と通信可能な外部装置が備えてもよい。
【0123】
課金管理部116は、送電量に応じた費用を課金する課金処理を行う。本実施形態では、送電量に応じた費用を算出し、それを、例えば、クレジットカードの発行元等の決済会社に請求する。
【0124】
上述のように、本実施形態の送電制御部115は、送電量をカウントし、フル充電された時点の送電量を特定し、充電対象の車両900の車両ナンバーとともに、課金管理部116に通知する。なお、このとき、送電停止信号を送電装置120に対して出力する。課金管理部116は、通知を受けた送電量に対応する金額を課金する。
【0125】
図14は、本実施形態の送電制御処理の処理フローである。本処理は、基本的に第一実施形態と同様である。ただし、車両ナンバーが車両ナンバーDB520に登録されていない場合の登録処理(ステップS2110)と、送電終了後の課金処理が異なる。
【0126】
本実施形態では、送電装置120を送電位置に移動させた後、送電制御部115は、送電開始信号を出力するとともに送電量のカウントを開始する(ステップS2101)。送電量は、例えば、予め充電システム100の、単位時間当たりの可能な送電量の情報を保持しておき、経過時間をそれに乗算することにより得る。
【0127】
そして、送電制御部115は、充電が完了すると、送電装置120に送電停止信号を送信するとともに、全送電量を特定する(ステップS2102)。全送電量は、充電完了までにカウントした送電量の総計である。
【0128】
そして、課金管理部116は、送電制御部115が特定した全送電量を用いて課金処理を行い(ステップS2103)、処理を終了する。
【0129】
本実施形態では、課金管理部116は、全送電量に、予め設定されている単位送電量当たりの金額を乗算することにより、請求金額を算出し、予め定めた請求先に請求する。請求先は、例えば、上述のように、決済会社等である。
【0130】
なお、毎回、クレジットカード会社に請求を行わず、充電システム100の管理会社に、車両ナンバーに対応づけて、請求金額を通知し、管理会社が、所定期間の請求金額をまとめて決済会社に請求してもよい。また、充電制御装置110内に、所定期間蓄積し、車両ナンバーでマージして請求してもよい。
【0131】
次に、ステップS2110の登録処理について説明する。
【0132】
ユーザに、課金情報を登録するか否か尋ね、登録しないとの回答を得た場合は、充電を行わず、そのまま処理を終了する。一方、登録するとの回答を得た場合は、ユーザから、課金情報の入力を受け付け、車両ナンバーDB520に登録する。
【0133】
例えば、充電制御装置110が、表示装置を備える場合、課金管理部116は、登録を促すメッセージを表示し、ユーザからの入力を受け付ける。例えば、所定時間内にユーザから登録する意思を受け付けると、課金情報の入力を受け付ける受付画面を表示させる。
【0134】
これらの処理は、音声と、操作ボタンとを用いて実現されてもよい。
【0135】
充電制御装置110は、登録のための専用の入出力インタフェースを備えてもよい。また、通信I/F175を介して、ユーザがスマートフォン等の外部の端末で入力し、送信するように構成してもよい。この場合は、課金情報登録のための専用アプリケーション等を用意し、ユーザに当該アプリケーションのインストールを促す。
【0136】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡易な構成で、運転者の負担を最小限に抑えて、効率よく車両への非接触充電を実現するとともに、充電に対する課金も実現できる。
【0137】
<変形例5>
なお、第二実施形態において、ユーザが登録しない場合、充電できないとのメッセージを出力するよう構成してもよい。あるいは、料金支払い用のインタフェースを備え、料金の支払いを促すメッセージを出力し、ユーザが料金を支払ったことを受け、充電するよう構成してもよい。
【0138】
<変形例6>
上記各実施形態では、フル充電により、充電を終了しているが、これに限定されない。例えば、ユーザから充電量を指定するよう構成してもよい。この場合、ユーザは、充電量そのものを指定してもよいし、充電量に対応する費用を指定してもよい。
【0139】
ユーザによる充電量等の指定は、例えば、充電制御装置110が備える入出力I/F174を介して行う。また、上述のように、ユーザが専用のアプリケーションをインストールした外部端末から入力し、充電制御装置110に送信してもよい。
【0140】
<変形例7>
上記各実施形態および変形例では、位置調整機構130を備え、送電装置120側を移動させている。しかしながら、これに限定されない。例えば、車両900を搭載可能かつ移動可能なパレット等を備え、パレットを移動させることにより、車両900の受電装置910を、送電装置位置に合致させるよう構成してもよい。
【0141】
この場合も、上記同様、充電制御装置110は、受電装置位置を算出し、駆動量を算出する。そして、算出した駆動量分、パレットを移動させ、受電装置910を送電装置120に相対する位置とする。
【0142】
<変形例8>
また、充電完了の判断手法も、上記実施形態等の記載の手法に限定されない。例えば、車両900側に、予め登録しておくと、登録先のアドレスに充電完了の通知が送信される機能がある場合、充電制御装置110に向けて充電完了通知を送信してもよい。この場合、充電制御装置110は、メール受信機能を備える。
【0143】
また、例えば、車両900側で、フル充電となった場合、車両900の外部からも観察可能な態様でランプが点灯するなどの機能がある場合、画像識別部111が周囲画像を解析して判断してもよい。この場合、車両DB113に、満充電時に点灯するランプの位置、色等の情報を登録しておく。また、画像識別部111は、送電制御部115が送電を開始した後は、画像解析処理において、上記ランプの点灯の有無を判別する。そして、ランプが点灯したと判別した場合、送電制御部115に通知する。充電完了の判断手法は、これらに限定されない。
【0144】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0145】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、上述のように、プロセッサ(CPU171)がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ172や、ハードディスク、SSD等の記憶装置173、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0146】
100:充電システム、110:充電制御装置、111:画像識別部、112:位置決定部、113:車両DB、114:駆動部、115:送電制御部、116:課金管理部、120:送電装置、121:送電装置位置、122:送電装置位置、130:位置調整機構、131:X方向移動装置、132:Y方向移動装置、140:カメラ、150:配線、171:CPU、172:メモリ、173:記憶装置、174:入出力I/F、175:通信I/F、310:充電可能領域、410:撮像視野、430:周囲画像、440:画像領域、510:車種DB、520:車両ナンバーDB、511:車種、512:車両上受電装置位置、513:全長、515:対応状況、520:車両ナンバーDB、521:車両ナンバー、522:車種、523:課金情報、611:画像識別装置、613:車両DB、900:車両、901:駐車位置、910:受電装置、510:車種DB、520:車両ナンバーDB
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