(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109605
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】乳化組成物及びそれを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20230801BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230801BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230801BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230801BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230801BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230801BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/81
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/31
A61K8/36
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011210
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】520176980
【氏名又は名称】株式会社みらい中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】石渡 正昭
(72)【発明者】
【氏名】李 娟娟
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB282
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC092
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC262
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC622
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD302
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD452
4C083AD532
4C083BB11
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、皮膚に対して低刺激性の乳化化粧料を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の(a)0.001~1.0重量%のポリクオタニウム、(b)0.001~5重量%のジヒドロキシプロピルアルギニン又はその塩、(c)0.1~20重量%の1~3価のアルコール、(d)0.1~60重量%の油性成分、を含む、乳化組成物によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.001~1.0重量%のポリクオタニウム、
(b)0.001~5重量%のジヒドロキシプロピルアルギニン又はその塩、
(c)0.1~20重量%の1~3価のアルコール、
(d)0.1~60重量%の油性成分、
を含む、乳化組成物。
【請求項2】
前記1~3価のアルコールが、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、イソペンチルジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びエタノールからなる群から選択される、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
前記ポリクオタニウムが、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、及びポリクオタニウム-65からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化組成物を含む化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物及びそれを含む化粧料組成物に関する。本発明によれば、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物を得ることができる。
【背景技術】
【0002】
油性成分を含む化粧料としては、乳液又は美容液などの乳化状の化粧料が多い。乳化化粧料を作製するためには界面活性剤が必要であるが、界面活性剤は皮膚を刺激するものが多い。従って、乳化化粧料を作製するために、皮膚に低刺激性の界面活性剤が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、更に皮膚に低刺激性の乳化化粧料の開発が期待されている。従って、本発明の目的は、皮膚に対して低刺激性の乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、皮膚に対して低刺激性の乳化化粧料について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、ジヒドロキシプロピルアルギニン及び1~3価のアルコールを用いることにより、乳化化粧料中の界面活性剤の量を減少できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](a)0.001~1.0重量%のポリクオタニウム、(b)0.001~5重量%のジヒドロキシプロピルアルギニン又はその塩、(c)0.1~20重量%の1~3価のアルコール、(d)0.1~60重量%の油性成分、を含む、乳化組成物、
[2]前記1~3価のアルコールが、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、イソペンチルジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びエタノールからなる群から選択される、[1]に記載の乳化組成物、
[3]前記ポリクオタニウムが、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、及びポリクオタニウム-65からなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の乳化組成物、及び
[4][1]~[3]のいずれかに記載の乳化組成物を含む化粧料組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、乳化化粧料中の界面活性剤の含有量を低下させることができる。また、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物、それを含む化粧料組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の乳化組成物は、(a)0.001~1.0重量%のポリクオタニウム、(b)0.001~5重量%のジヒドロキシプロピルアルギニン、(c)0.1~20重量%の1~3価のアルコール、(d)0.1~60重量%の油性成分、を含む。
【0008】
《ポリクオタニウム;成分a》
本発明の乳化組成物は、0.001~1.0重量%のポリクオタニウム(以下、成分aと称することがある)を含む。
ポリクオタニウムは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むポリマーであり、界面活性作用を示し、油性成分を乳化することができる。
ポリクオタニウムとしては、下記式(1):
【化1】
(式中、mは50~3000であり、nは100~6000である)
で表されるポリクオタニウム-51が挙げられる。
前記mの下限は、ある態様では40以上であり、ある態様では50以上であり、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上である。mの上限は、ある態様では4500以下であり、ある態様では4000以下であり、ある態様では3500以下であり、ある態様では3000以下であり、ある態様では2000以下である。前記nの下限は、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上であり、ある態様では1000以上であり、ある態様では2000以上であり、ある態様では5000以上である。nの上限は、ある態様では9000以下であり、ある態様では8000以下であり、ある態様では7000以下であり、ある態様では6000以下であり、ある態様では5000以下である。前記上限と下限とは、任意に組み合わせて、m又はnの範囲とすることができる。
別のポリクオタニウムとしては、下記式(2):
【化2】
(式中、mは30~5000であり、nは50~10000であり、oは50~10000である)
で表されるポリクオタニウム-65が挙げられる。
前記mの下限は、ある態様では40以上であり、ある態様では50以上であり、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上である。mの上限は、ある態様では4500以下であり、ある態様では4000以下であり、ある態様では3500以下であり、ある態様では3000以下であり、ある態様では2000以下である。前記nの下限は、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上であり、ある態様では1000以上であり、ある態様では2000以上であり、ある態様では5000以上である。nの上限は、ある態様では9000以下であり、ある態様では8000以下であり、ある態様では7000以下であり、ある態様では6000以下であり、ある態様では5000以下である。前記oの下限は、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上であり、ある態様では1000以上であり、ある態様では2000以上であり、ある態様では5000以上である。oの上限は、ある態様では9000以下であり、ある態様では8000以下であり、ある態様では7000以下であり、ある態様では6000以下であり、ある態様では5000以下である。前記上限と下限とは、任意に組み合わせて、m、n、又はoの範囲とすることができる。
別のポリクオタニウムとしては、下記式(3):
【化3】
(式中、mは30~5000であり、nは50~10000である)
で表されるポリクオタニウム-64が挙げられる。
前記mの下限は、ある態様では40以上であり、ある態様では50以上であり、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上である。mの上限は、ある態様では4500以下であり、ある態様では4000以下であり、ある態様では3500以下であり、ある態様では3000以下であり、ある態様では2000以下である。前記nの下限は、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上であり、ある態様では1000以上であり、ある態様では2000以上であり、ある態様では5000以上である。nの上限は、ある態様では9000以下であり、ある態様では8000以下であり、ある態様では7000以下であり、ある態様では6000以下であり、ある態様では5000以下である。前記上限と下限とは、任意に組み合わせて、m又はnの範囲とすることができる。
別のポリクオタニウムとしては、下記式(4):
【化4】
(式中、mは30~5000であり、nは50~6000である)
で表されるポリクオタニウム-61が挙げられる。
前記mの下限は、ある態様では40以上であり、ある態様では50以上であり、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上である。mの上限は、ある態様では4500以下であり、ある態様では4000以下であり、ある態様では3500以下であり、ある態様では3000以下であり、ある態様では2000以下である。前記nの下限は、ある態様では100以上であり、ある態様では500以上であり、ある態様では1000以上であり、ある態様では2000以上であり、ある態様では5000以上である。nの上限は、ある態様では9000以下であり、ある態様では8000以下であり、ある態様では7000以下であり、ある態様では6000以下であり、ある態様では5000以下である。前記上限と下限とは、任意に組み合わせて、m又はnの範囲とすることができる。
ポリクオタニウムは、前記2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含む繰り返し単位に加えて、好ましくは他の繰り返し単位を含む。他の繰り返し単位としては、前記ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-64、又はポリクオタニウム-61に含まれる繰り返し単位が挙げられる。
【0009】
前記成分aの乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は例えば、0.001重量%以上であり、より好ましくは0.0015重量%以上であり、更に好ましくは0.002重量%以上であり、更に好ましくは0.005重量%以上であり、更に好ましくは0.010重量%以上である。上限は、例えば1.0重量%以下であり、0.5重量%以下であり、好ましくは0.5重量%未満であり、更に好ましくは0.45重量%以下であり、更に好ましくは0.40重量%以下である。前記範囲であることによって、油性成分を乳化することができ、皮膚への刺激性を減少させることができる。また、前記範囲の下限と上限とは、組み合わせて成分aの含有量の範囲とすることができる。
【0010】
前記成分aの乳化組成物における油性成分に対する含有比率は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、油性成分100重量部に対して、例えば0.25重量以上であり、好ましくは0.30重量部以上であり、より好ましくは0.35重量部以上であり、更に好ましくは、0.40重量部以上であり、更に好ましくは0.50重量部以上である。前記含有比率の上限は、限定されないが油性成分100重量部に対して、100重量部以下であり、ある態様では50重量部以下であり、ある態様では10重量部以下であり、ある態様では、5重量部以下である。
【0011】
《ジヒドロキシプロピルアルギニン:成分b》
本発明の乳化組成物は、0.001~5重量%のジヒドロキシプロピルアルギニン(以下、成分bと称することがある)を含む。
ジヒドロキシプロピルアルギニンは、下記式(5):
【化5】
で表される化合物である。
ジヒドロキシプロピルアルギニンとして、その塩を用いてもよい。ジヒドロキシプロピルアルギニンの塩としては、酸との塩であって、化粧料として許容される塩であれば限定されない。
また、具体的な酸との塩としては、無機酸、又は有機酸との塩が挙げられる。塩を形成しうる無機酸及び有機酸としては、酢酸、硫酸、リン酸、又は塩酸が挙げられ、好ましくは塩酸である。
例えば、ジヒドロキシプロピルアルギニンHCLは、下記式(6):
【化6】
で表される化合物である。
【0012】
前記成分bの乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は例えば、0.001重量%以上であり、より好ましくは0.002重量%以上であり、更に好ましくは0.003重量%以上であり、更に好ましくは0.005重量%以上であり、更に好ましくは0.010重量%以上である。上限は、例えば5重量%以下であり、好ましくは4重量%未満であり、更に好ましくは3重量%以下であり、更に好ましくは2.7重量%以下である。前記範囲であることによって、油性成分を乳化することができる。また、前記範囲の下限と上限とは、組み合わせて成分bの含有量の範囲とすることができる。
【0013】
前記成分aの乳化組成物における油性成分に対する含有比率は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、油性成分100重量部に対して、例えば0.30重量以上であり、好ましくは0.40重量部以上であり、より好ましくは0.50重量部以上であり、更に好ましくは、0.60重量部以上である。前記含有比率の上限は、限定されないが油性成分100重量部に対して、100重量部以下であり、ある態様では50重量部以下であり、ある態様では10重量部以下であり、ある態様では、5重量部以下である。
【0014】
《1~3価のアルコール》
本発明の乳化組成物は、0.1~20重量%の1~3価のアルコール(以下、成分cと称することがある)を含む。前記アルコールとしては、1価アルコール、2価アルコール、又は3価アルコールが挙げられる。限定されるものではないが、2価又は3価アルコールが好ましい。
1価アルコールとしては、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又はイソブタノールを挙げることができる。2価アルコールとしては、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、エチルブチルプロパンジオール、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、又はイソペンチルジオールが挙げられる。3価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又はシクロヘキサンジメタノールが挙げられる。具体的には、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、イソペンチルジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びエタノールが好ましい。本発明に用いるアルコールは、保湿効果を有するものが好ましい。
【0015】
前記成分cの乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は例えば、0.1重量%以上であり、より好ましくは0.15重量%以上であり、更に好ましくは0.2重量%以上であり、更に好ましくは0.3重量%以上であり、更に好ましくは0.5重量%以上である。上限は、例えば40重量%以下であり、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは18重量%未満であり、更に好ましくは16重量%以下であり、更に好ましくは14重量%以下である。前記範囲であることによって、油性成分を乳化することができる。また、前記範囲の下限と上限とは、組み合わせて成分cの含有量の範囲とすることができる。
【0016】
前記成分cの乳化組成物における油性成分に対する含有比率は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、油性成分100重量部に対して、例えば10重量以上であり、好ましくは30重量部以上であり、より好ましくは50重量部以上であり、更に好ましくは、60重量部以上である。前記含有比率の上限は、限定されないが油性成分100重量部に対して、500重量部以下であり、ある態様では300重量部以下であり、ある態様では200重量部以下であり、ある態様では、150重量部以下である。
【0017】
《油性成分:成分d》
本発明の乳化組成物は、0.1~60重量%の油性成分(以下、成分dと称することがある)、を含む。油性成分は、特に限定されるものではなく、エステル油、炭化水素油、動植物油、脂肪族アルコール、高級脂肪酸、シリコーン又はシリコーン誘導体を挙げることができる。本発明の乳化組成物は、これらの油性成分に含まれるものを1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0018】
前記エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、等を挙げることができる。
【0019】
前記炭化水素油としては、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、又はマイクロクリスタリンワックスを挙げることができる。
【0020】
前記動植物油としては、例えばアボガド油、トウモロコシ油、月見草油、パーシック油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、シナモン油、アーモンド油、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、卵黄油、ミンク油、牛脂、豚脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、及び藻類油、並びにそれらの分別油、硬化油、及びエステル交換油を挙げることができる。
【0021】
前記脂肪族アルコールとしては、直鎖状の飽和アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はベヘニルアルコール)、分岐状の飽和アルコール(例えば、イソステアリルアルコール、又はオクチルドデカノール)、又は不飽和アルコール(例えば、オレイルアルコール)などの炭素数が12~22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を挙げることができる。
【0022】
前記高級脂肪酸としては、直鎖状の飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸)、分岐状の飽和脂肪酸(例えば、イソステアリン酸)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ウンデシレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、トール酸、ラノリン酸などを挙げることができる。
【0023】
前記シリコーン又はシリコーン誘導体としては、メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルアミノプロピルシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン、シリコーンゴム、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルポリシロキサン、又はメチル(アミノプロピル)シロキサンを挙げることができる。
【0024】
前記油性成分の含有量は、0.1~60重量%である限り、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、更に好ましくは2重量%以上であり、更に好ましくは3重量%以上である。上限も特に限定されるものではないが、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは20重量%以下である。前記範囲であることによって、最適な乳化組成物を作製することができる。また、前記範囲の下限と上限とは、組み合わせて成分dの含有量の範囲とすることができる。
【0025】
本発明の乳化組成物は、前記油性成分としてイソステアリン酸を含むものが好ましい。イソステアリン酸を含む油性成分によって、乳化組成物の乳化粒子径を細かくすることができる。
イソステアリン酸の含有量は、限定されるものではないが、下限は例えば0.01重量%以上であり、好ましくは0.015重量%以上であり、より好ましくは0.02重量%以上であり、更に好ましくは0.05重量%以上であり、更に好ましくは0.1重量%以上であり、更に好ましくは0.2重量%以上であり、更に好ましくは0.3重量%以上である。上限も限定されるものではないが、5重量%以下であり、好ましくは4.5重量%以下であり、より好ましくは4.0重量%以下である。前記範囲であることによって、細かの乳化粒子径の乳化組成物を作製することができる。また、前記範囲の下限と上限とは、組み合わせてイソステアリン酸の含有量の範囲とすることができる。
【0026】
イソステアリン酸の油性成分中の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%であり、更に好ましくは0.1重量%以上である。油性成分中の含有量の上限は、好ましくは100重量%以下であり、好ましくは0.9重量%以下であり、更に好ましくは0.8重量%以下であり、更に好ましくは0.7重量%以下である。前記範囲の下限と上限とは、組み合わせて油性成分中のイソステアリン酸の含有量の範囲とすることができる。
【0027】
《化粧料組成物》
本発明の化粧料組成物は、前記乳化組成物を含むものでもよく、前記乳化組成物からなるものでもよい。化粧料組成物は、乳化化粧料であり、乳液、クリーム、クレンジング、パック、マッサージ料、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、及びリップクリーム等のスキンケア化粧料;メイクアップ下地、ファンデーション、頬紅、アイカラー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、及び口紅等のメイクアップ化粧料;リンス、トリートメント、及びセット剤等の頭髪化粧料;制汗剤化粧料;並びに、サンスクリーン、日焼け止め乳液及び日焼け止めクリーム等の紫外線防止化粧料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の化粧料組成物は、上記必須成分の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合されるその他の成分を適宜配合することができる。その他の成分としては、保湿剤(例えば、トリメチルグリシン、濃グリセリン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド類、加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は色素)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール)、乳化剤(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)、及び水が挙げられる。
【0029】
《作用》
本発明の乳化組成物及び化粧料組成物において、界面活性剤の量が少ないにもかかわらず、油性成分が乳化できるメカニズムについて、明確に解析で来ているわけではないが、以下のように推定することができる。
通常の乳化化粧料においては、一定量以上の界面活性剤によって、油性成分を乳化することができる。本発明においては、ジヒドロキシプロピルアルギニン及び1~3価のアルコールを添加することによって、界面活性剤の乳化作用を補完することができるものと推定される。また本発明においては、特に界面活性剤として、ポリクオタニウムを用いることによって、ジヒドロキシプロピルアルギニン及び1~3価のアルコールの補助作用が促進されるものと推定される。具体的には、ジヒドロキシプロピルアルギニン及びアルコールがポリクオタニウムの溶解状態に影響を与え、ポリクオタニウムの水/油界面への吸着量を増加させ、乳化粒子を細かくできるものと推定される。しかしながら、本発明は前記推定によって限定されるものではない。
【実施例0030】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
《実施例1~10、比較例1~4》
本実施例では、成分aとしてポリクオタニウム-51を用い、成分bとしてジヒドロキシプロピルアルギニンHCLを用い、成分cとしてグリセリン及び/又は1,3ブチレングリコールを用いて、表1に示した油性成分等組成で混合し、乳化組成物(乳化化粧料)を作製した。混合は、組成(1)を混合した後に、組成(2)を添加することによって行った。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表1に示す。比較例1では、油相と水相が分離した。非比較例2では、油滴が発生した。また、比較例3及び4では、油性成分が乳化しなかった。一方、実施例1~10では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0032】
【0033】
《実施例11~15》
本実施例では、成分aとしてポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-64、又はポリクオタニウム-65を用い、成分bとしてジヒドロキシプロピルアルギニンHCLを用い、成分cとしてグリセリン及び/又は1,3ブチレングリコールを用いて、表2に示した油性成分等組成で混合し、乳化組成物(乳化化粧料)を作製した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表2に示す。実施例11~15では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0034】
【0035】
《実施例16~28》
本実施例では、成分cの検討を行った。成分cとして表3に記載のアルコールを用いたことを除いては、実施例1等の操作を繰り返した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表3に示す。実施例16~28では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0036】
【0037】
《実施例29~38》
本実施例では、成分aの含有量の検討を行った。成分aの含有量を表4に記載の含有量としたことを除いては、実施例1等の操作を繰り返した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表4に示す。実施例29~38では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0038】
【0039】
《実施例39~46、比較例5及び6》
本実施例では、成分bの含有量の検討を行った。成分bの含有量を表5に記載の含有量としたことを除いては、実施例1等の操作を繰り返した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表5に示す。実施例39~46では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。一方、成分bを含まない比較例5及び6では、油性成分が乳化しなかった。
【0040】
【0041】
《実施例47~56》
本実施例では、成分dの検討を行った。成分dとして表6に記載の油分を用いたことを除いては、実施例1等の操作を繰り返した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表6に示す。実施例47~56では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0042】
【0043】
《実施例57~68》
本実施例では、成分dに含まれるイソステアリン酸の量を検討した。イソステアリン酸の含有量を表7に記載の含有量としたことを除いては、実施例1等の操作を繰り返した。
乳化粒子径、及び油滴の有無を表7に示す。実施例57~68では、細かな乳化粒子径を有する乳化組成物が得られ、油滴の発生も見られなかった。
【0044】
【0045】
《実施例69》
本実施例では、表8の組成に従って、保湿乳液を作製した。2μm以下の均一な乳化粒子径の保湿乳液が得られ、油滴の発生、分離も見られなかった。
【0046】
【0047】
《実施例70》
本実施例では、表9の組成に従って、美白美容液を作製した。2μm以下の均一な乳化粒子径の美白美容液が得られ、油滴の発生、分離も見られなかった。
【0048】