(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109624
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】ブロア
(51)【国際特許分類】
F04D 29/30 20060101AFI20230801BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20230801BHJP
E01H 1/08 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
F04D29/30 C
F04D29/30 E
F04D29/66 M
E01H1/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011252
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢司
(72)【発明者】
【氏名】湯月 颯輝
【テーマコード(参考)】
2D026
3H130
【Fターム(参考)】
2D026AC01
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB12
3H130AB26
3H130AB42
3H130AC22
3H130BA13C
3H130CB01
3H130DD01Z
(57)【要約】
【課題】騒音を低減したブロアを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、ブロアが提供される。このブロアは、遠心ファンを内蔵するブロア本体を有する。ブロア本体は、遠心ファンの回転により、その両側面から空気を吸引可能に構成される。遠心ファンは、回転中心を有する支持板と、支持板の第1面および第2面のそれぞれに設けられた複数の羽根とを備える。第1面の複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置と、第2面の複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置とが周方向においてズレているか、および/または第1面の複数の羽根の数と第2面の複数の羽根の数とが異なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロアであって、
遠心ファンを内蔵するブロア本体を有し、
前記ブロア本体は、前記遠心ファンの回転により、その両側面から空気を吸引可能に構成され、
前記遠心ファンは、回転中心を有する支持板と、前記支持板の第1面および第2面のそれぞれに設けられた複数の羽根とを備え、
前記第1面の前記複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置と、前記第2面の前記複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置とが周方向においてズレているか、および/または前記第1面の前記複数の羽根の数と前記第2面の前記複数の羽根の数とが異なっている、ブロア。
【請求項2】
請求項1に記載のブロアにおいて、
前記第2面の隣り合う前記羽根同士の中央に、前記第1面の1つの前記羽根が位置している、ブロア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブロアにおいて、
前記遠心ファンは、前記第1面および前記第2面の少なくとも一方において、隣り合う前記羽根同士の間の距離が周方向において異なる箇所を有する、ブロア。
【請求項4】
請求項3に記載のブロアにおいて、
隣り合う前記羽根同士の間の距離が周方向に沿って漸減および/または漸増している、ブロア。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のブロアにおいて、
前記第1面の前記羽根の最大高さは、前記第2面の前記羽根の最大高さとほぼ等しい、ブロア。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のブロアにおいて、
前記遠心ファンは、前記支持板および前記複数の羽根の一体化物である、ブロア。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のブロアにおいて、
さらに、ブロアパイプを有し、
前記ブロアパイプは、前記支持板の前記回転中心と直交する方向に延在するように、前記ブロア本体に固定され、
前記支持板は、前記ブロアパイプの中心軸上に位置する、ブロア。
【請求項8】
請求項7に記載のブロアにおいて、
さらに、ハンドルと、モータとを有し、
前記ハンドルおよび前記モータは、前記ブロア本体を前記ブロアパイプと反対側から見たとき、前記ブロアパイプの外径に対応する範囲の内側に位置する、ブロア。
【請求項9】
請求項8に記載のブロアにおいて、
前記モータは、前記遠心ファンの内側に位置するように、前記遠心ファンに固定されている、ブロア。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のブロアにおいて、
前記ブロア本体は、2つの通気部を備え、
前記2つの通気部は、前記ブロア本体の両側面の前記遠心ファンに対応した位置に配置され、それらの開口面積がほぼ等しい、ブロア。
【請求項11】
請求項10に記載のブロアにおいて、
前記2つの通気部は、互いにほぼ等しい形状を有する、ブロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、送風ファンの回転によりブロアケースの2つの側面から吸引して、ブロアケースの外周面の吹き出し口から噴出するエンジンブロアが知られている(特許文献1参照)。この送風ファンは、その両面に送風羽根を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内燃機関によってファンを駆動するブロアより極めて静音であるため、世の中においては、電動モータによってファンを駆動するブロアを使用されることも多い。かかる電動モータによるブロアは、場所および時間帯を考慮せずに使用することが可能であるが、より静かなブロアが求められている。本発明では上記事情に鑑み、騒音を低減したブロアを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ブロアが提供される。このブロアは、遠心ファンを内蔵するブロア本体を有する。ブロア本体は、遠心ファンの回転により、その両側面から空気を吸引可能に構成される。遠心ファンは、回転中心を有する支持板と、支持板の第1面および第2面のそれぞれに設けられた複数の羽根とを備える。第1面の複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置と、第2面の複数の羽根のうちの少なくとも一部の位置とが周方向においてズレているか、および/または第1面の複数の羽根の数と第2面の複数の羽根の数とが異なっている。
【0006】
かかる態様によれば、空気の高い噴出力を維持しつつ、騒音を低減したブロアを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】ブロア本体の側面図((a)右側面図、(b)左側面図)である。
【
図9】遠心ファンの形状の違いによる音圧レベルの差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュ-タが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサ-バからダウンロ-ド可能に提供されてもよいし、外部のコンピュ-タで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピュ-ティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハ-ドウェア資源と、これらのハ-ドウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィ-ルドプログラマブルゲ-トアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
図1は、ブロアを上側から見た斜視図である。
図2は、ブロアを下側から見た斜視図である。
図3は、ブロア本体の斜視図である。
図4は、ブロア本体の側面図((a)右側面図、(b)左側面図)である。
図5は、ブロア本体の平面図である。
図6は、遠心ファンの斜視図である。
図7は、遠心ファンの後面図である。
図8は、遠心ファンの左側面図である。
本発明のブロアは、空気流を吹き付ける装置であり、例えば、落ち葉、ゴミ、小石等を吹き飛ばす際に使用される。
図1等に示すブロア10は、ブロア本体1と、このブロア本体1に装着(固定)されるブロアパイプ20とを有している。
【0013】
以下の説明では、図中ブロワ本体1を見た際にブロアパイプ20を取り付ける側を「前側」または「先端側」と、図中ブロワ本体1のブロアパイプ20を取り付ける側と反対側を「後側」または「基端側」と規定する。また、図中ブロワ本体1を上側かつ後側から見て右側を「右」または「右側」と、左側を「左」または「左側」と規定する。
ブロアパイプ20は、円筒状の部材で構成され、
図3に示すように、その基端部がブロア本体1の装着部6に挿入、嵌合することにより、ブロア本体1に着脱自在に装着される。なお、ブロアパイプ20は、可撓性を備えても、備えなくてもよい。
【0014】
ブロア本体1は、その前面にバッテリ取付部5が設けられており、バッテリ取付部5にバッテリ30が装着されている。バッテリ30からは、後述するモータ9の駆動に必要な電力が供給される。
また、ブロア本体1の上部には、作業者等が把持するハンドル2が設けられ、ハンドル2の先端側には、ブロア本体1への電力供給をオンオフするための電源スイッチ部3が設けられている。
さらに、ブロア本体1の下部左側には、枠状の支持部40が取り付けられている。この支持部40はブロア本体1を上側から見て左右方向において、ファンカバー710、720よりも外側に突出している。
【0015】
これにより、作業者がハンドル2および支持部40を把持することで、ブロアを両手で支えることができるので、ブロア10の姿勢を安定的に維持ことができる。さらに、支持部40がファンカバー710、720よりも外側に突出していることにより、支持部40を把持した際に、作業者の衣服などによって通気部72が塞がってしまうのを抑制することができる。また、ブロア10を地面や載置台に載置しても、支持部40とブロワ10の底面が地面や載置台に接することによってブロア10の水平状態を保持し得るようになっている。さらに、ブロワ本体1を落下させた場合に、支持部40が先に地面に衝突した場合において、ブロワ本体1へのダメージを軽減し得るようになっている。
【0016】
また、ハンドル2の先端側の下部には、モータ9の駆動の制御(回転速度等の制御)を行う操作部(トリガー)4が設けられている。例えば、操作部4を上側(ハンドル2側)に押し込む程度に応じて、モータ9の回転速度等を調整することができる。
ブロア本体1の左右両側面には、一対(2つ)の通気部71、72を備えている。通気部71、72を介してブロア本体1内に吸引された空気は、ブロアパイプ20の先端部から空気流として噴出される。
【0017】
ブロア本体1は、2つの通気部71、72に対応した位置に、遠心ファン8を内蔵している。本発明では、この遠心ファン8の構成に特徴を有する。
遠心ファン8は、
図6に示すように、回転中心を有する円盤状の支持板80と、支持板80の右側面(第1面)および左側面(第2面)のそれぞれに設けられた複数の羽根81、82とを備えている。各羽根81、82は、回転中心に向かって湾曲する板片で構成されている。
遠心ファン8の中央部には、凹部83が形成されており、この凹部83にモータ9が収納および固定されている。すなわち、モータ9は、遠心ファン8の内側に位置するように、遠心ファン8に固定されている。
【0018】
そして、遠心ファン8は、複数の羽根81が通気部71に臨み、複数の羽根82が通気部72に臨むように、ブロア本体1のケースに対してモータ9の回転中心軸を介して回転可能に支持されている。
かかる構成により、ブロア本体1は、遠心ファン8の回転により、その両側面(通気部71、72)から空気を吸引可能に構成されている。
ところが、本発明者らの検討によれば、支持板80の両側に位置する羽根81、82の数や、配置位置等によっては、遠心ファン8の回転により発生する騒音が大きくなることが判明した。
【0019】
そこで、本発明では、複数の羽根81のうちの少なくとも一部の羽根81の位置と、複数の羽根82のうちの少なくとも一部の羽根82の位置とが遠心ファン8を支持板80の右側面(第1面)または支持板80の左側面(第2面)から見た際に、それらの支持板80との接合部(境界部)が周方向において重ならないように(ズレるように)オフセットして設けられている。本実施形態では、羽根81および羽根82の数を同数とし、それらの全ての羽根81、82の位置が周方向においてズレるようにした。これにより、羽根81で発生する騒音のピークの位相と、羽根82で発生する騒音のピークの位相とをズラすことができる。
ここで、遠心ファン8全体で発生する騒音は、羽根81で発生する騒音と羽根82で発生する騒音との合成となるが、羽根81で発生する騒音のピークの位相と、羽根82で発生する騒音のピークの位相とをズラすことにより、騒音のピークの大きさ(音圧)の上昇を防止または抑制することができる。その結果、ブロア10では、空気の高い噴出力を維持しつつ、騒音を低減することができる。
【0020】
本実施形態では、支持板80の左側面(第2面)に設けられる隣り合う羽根82同士の中央に、支持板80の右側面(第1面)に設けられる1つの羽根81が位置するように構成している。すなわち、
図7に示すように、羽根81と近接した一方の羽根82との離間距離D1と、羽根81と近接した他方の羽根82との離間距離D2とがほぼ等しく設定されている。かかる構成により、羽根81、82で発生する騒音のピークの位相をより確実にズラすことができるため、遠心ファン8全体での騒音をより低減し易い。
また、各羽根81、82を回転中心に向かって湾曲する板片で構成することにより、その表面積を増大させ、遠心ファン8の吸引力をより高めている。
【0021】
また、本実施形態では、
図8に示すように、隣り合う羽根82(81)同士の間の距離(ピッチ)は、P1、P2、P3、P4およびP5の順で周方向に沿って漸減した後、漸増し、再度、漸減した後、漸増している。すなわち、複数の羽根82(81)は、不等ピッチとなっている。
図8に示すように、ブロア本体1のケース舌部73を羽根82(81)が通過する際に圧力変動が生じ、これが騒音を発生させる要因の1つとなる。羽根82(81)を等ピッチとした場合、圧力変動の間隔が同じになるため、特定の周波数で大きな騒音が発生し易い。これに対して、羽根82(81)を不等ピッチとすることにより、羽根82(81)ごとに圧力変動の間隔が異なるため、発生する騒音の周波数を分散させ、騒音のピークの大きさ(音圧)をより低減することができる。
【0022】
各羽根81の最大高さは、各羽根82の最大高さとほぼ等しく設定されている。かかる構成とすることにより、通気部71から吸引される空気の量と通気部72から吸引される空気の量とを近づけることができ、かかる観点からも、騒音を低減し易い。
このような遠心ファン8は、支持板80および複数の羽根81、82の一体化物(一体成形物)であることが好ましい。この場合、遠心ファン8の機械的強度を高めつつ、軽量化も可能である。かかる遠心ファン8の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネイトのような樹脂材料、アルミニウムまたはその合金のような金属材料等が挙げられる。
【0023】
ブロアパイプ20は、遠心ファン8の支持板80の回転中心と直交する方向(先端方向)に延在するように、ブロア本体1に固定されている。そして、遠心ファン8の支持板80は、ブロアパイプ20の中心軸O上に位置している。
また、ハンドル2およびモータ9は、ブロア本体1をブロアパイプ20と反対側(後面側)から見たとき、
図5に示すように、ブロアパイプ20の外径ODに対応する範囲の内側に位置するように構成されている。
以上のような構成により、ブロア本体1の重心位置をブロアパイプ20の中心軸Oに近づけることができるので、ブロア本体1の左右での質量や空気の吸引量のバラツキを少なくして、ブロア10の操作性の向上を図ることができる。
【0024】
通気部71、72は、ブロア本体1の左右両側に設けられたファンカバー710、720に貫通して形成されている。これらの通気部71、72は、それらの開口面積がほぼ等しく設定されている。これにより、ブロア本体1の左右での空気の吸引量のバラツキをより少なくすることができる。具体的には、通気部71の開口面積をS1[cm2]とし、通気部72の開口面積をS2[cm2]としたとき、S2/S1は、特に限定されないが、0.75~1.3程度であることが好ましく、0.8~1.2程度であることがより好ましく、0.9~1.1程度であることがさらに好ましい。
本実施形態では、開口面積をほぼ等しくするために、2つの通気部71、72(ファンカバー710、720)は、互いにほぼ等しい形状を有するように構成されている。この場合、ブロア本体1の左右での空気の吸引量のバラツキを低減するのに、通気部71、72の形状の影響を受け難くすることができる。また、ブロア本体1(ブロア10)のデザイン性が低下するのを防止することもできる。
【0025】
ブロア本体1は、モータ9の作動を制御する制御基板(図示せず。)を内蔵している。この制御基板には、演算素子と、記憶素子とが実装されている。
演算素子は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等で構成される。演算素子は、記憶素子に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、ブロア本体1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶素子に記憶されているソフトウェアによる情報処理が演算素子によって具体的に実現される。
なお、演算素子は、単一であることに限定されず、機能ごとに複数の演算素子を設けるようにしてもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0026】
記憶素子は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、演算素子によって実行されるブロア本体1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステ-トドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレ-ジデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施することができる。
また、記憶素子は、演算素子によって実行されるブロア本体1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0027】
上記実施形態のブロア10によれば、遠心ファン8を特徴のある構成としたので、空気の高い噴出力を維持しつつ、騒音を低減することができる。
また、各部の配置を設定して、ブロア本体1の重心位置をブロアパイプ20の中心軸Oに近づけるようにすれば、ブロア本体1の左右での質量や空気の吸引量のバラツキを少なくして、ブロア10の操作性の向上を図ることができる。
【0028】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記ブロアにおいて、前記第2面の隣り合う前記羽根同士の中央に、前記第1面の1つの前記羽根が位置している、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記遠心ファンは、前記第1面および前記第2面の少なくとも一方において、隣り合う前記羽根同士の間の距離が周方向において異なる箇所を有する、ブロア。
前記ブロアにおいて、隣り合う前記羽根同士の間の距離が周方向に沿って漸減および/または漸増している、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記第1面の前記羽根の最大高さは、前記第2面の前記羽根の最大高さとほぼ等しい、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記遠心ファンは、前記支持板および前記複数の羽根の一体化物である、ブロア。
前記ブロアにおいて、さらに、ブロアパイプを有し、前記ブロアパイプは、前記支持板の前記回転中心と直交する方向に延在するように、前記ブロア本体に固定され、前記支持板は、前記ブロアパイプの中心軸上に位置する、ブロア。
前記ブロアにおいて、さらに、ハンドルと、モータとを有し、前記ハンドルおよび前記モータは、前記ブロア本体を前記ブロアパイプと反対側から見たとき、前記ブロアパイプの外径に対応する範囲の内側に位置する、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記モータは、前記遠心ファンの内側に位置するように、前記遠心ファンに固定されている、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記ブロア本体は、2つの通気部を備え、前記2つの通気部は、前記ブロア本体の両側面の前記遠心ファンに対応した位置に配置され、それらの開口面積がほぼ等しい、ブロア。
前記ブロアにおいて、前記2つの通気部は、互いにほぼ等しい形状を有する、ブロア。
もちろん、この限りではない。
【0029】
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0030】
例えば、複数の羽根81の一部のみの羽根81の位置と、複数の羽根82の一部のみの羽根82の位置とが遠心ファン8を支持板80の右側面(第1面)または支持板80の左側面(第2面)から見た際に、それらの支持板80との接合部(境界部)が周方向において羽根81および羽根82が重ならないように(ズレるように)オフセットして設けることで、羽根81で発生する騒音のピークの位相と、羽根82で発生する騒音のピークの位相とをズラすようにしてもよく、複数の羽根81の数と複数の羽根82の数とを異ならせることで、羽根81で発生する騒音のピークの位相と、羽根82で発生する騒音のピークの位相とをズラすようにしてもよく、上記の形態の組み合わせであってもよい。
【0031】
また、発生する騒音の周波数を分散させる観点からは、隣り合う羽根81、82同士の間の距離が周方向において異なる箇所が存在していればよく、周方向の全体にわたって変化している必要はなく、任意の一部の箇所でのみ変化していてもよい。すなわち、隣り合う羽根81、82同士の間の距離は、一部の箇所で漸減または漸増し、その他の箇所では一定であってもよい。また、隣り合う羽根81、82同士の間の距離が変化する場合でも、連続的である必要はなく、段階的であってもよい。
さらに、2つの通気部71、72は、それらの開口面積がほぼ等しく設定されれば、互いに形状が異なっていてもよい。
【0032】
また、支持部40をブロア本体1の下部左側に設けるのではなく、ブロア本体1の下部右側に設けてもよいし、または、ブロア本体1の下部左側およびブロア本体1の下部右側に設けてもよい。これによって、作業者の利き手によらず、力強くブロア10を把持することができる。
【実施例0033】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例)
ポリアミドを使用して、
図6に示す遠心ファンを製造した。
この遠心ファンは、両側面における複数の羽根は不等ピッチであり、右側面の羽根と左側の羽根とは全てが周方向においてズレている。
次に、製造された遠心ファンを使用して、
図1等に示すブロアを組み立てた。
【0035】
(比較例)
ポリアミドを使用して、支持板の両側面における羽根の位置が全て一致する遠心ファンを製造した。
この遠心ファンは、両側面における複数の羽根は等ピッチであり、右側面の羽根と左側の羽根とは全てが周方向において一致している(すなわち、ズレていない)。
次に、製造された遠心ファンを使用して、
図1等に示すブロアを組み立てた。
【0036】
次に、実施例および比較例のブロアを同条件で操作させ、このとき発生する騒音を測定した。
この結果を
図9に示す。
図9は、遠心ファンの形状の違いによる音圧レベルの差を示すグラフである。
図9中矢印で示すように、実施例のブロアでは、比較例のブロアと比較してファン回転の1次成分等における騒音のピークが低減した。