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特開2023-109687自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109687
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20230801BHJP
【FI】
G06Q30/02 446
G06Q30/02 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168153
(22)【出願日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2022010710
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518286792
【氏名又は名称】株式会社ユニゾンシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】所定の指標に基づきCMの作案を行うことで作案業務の効率化、及び放送局の収益の最大化を図ることができる自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法を提供することを目的とする。
【解決手段】自動作案システム1は、広告枠、及び契約に関する情報に基づいて2次元表からなるマトリクスを生成し、マトリクスの各セルには広告枠の収益性に関する所定の指標が入力される。そして、偏差値と標準化データのそれぞれに一定値を乗じて加算して得られた値が正側に大きいセルから優先的に広告枠を割り当てる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告枠提供者から提供される広告枠に関する所定の情報を取得する広告枠情報取得部、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約に関する所定の情報を取得する契約情報取得部を有する情報取得部と、
前記広告枠の項目と前記契約の項目を行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するマトリクス生成部と、
前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するスコア設定部と、
前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算する乖離度演算部と、
前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てる広告枠設定部と、を備える
自動作案システム。
【請求項2】
前記スコア設定部は、前記広告枠が放送される時間帯における広告枠利用者が指定する任意の視聴率であり、
前記乖離度演算部は、任意の前記セルに設定された前記視聴率の偏差値を演算する偏差値演算部、及び全ての前記セルに設定された前記視聴率の標準化データを演算する標準化データ演算部と、を有し、
前記広告枠設定部は、前記偏差値と標準化データのそれぞれに一定値を乗じて加算して得られた値が正側に大きい前記セルから優先的に前記広告枠を割り当てる
請求項1に記載の自動作案システム。
【請求項3】
広告枠提供者から提供される広告が放送される広告枠の項目、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約の項目をそれぞれ行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するステップと、
前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するステップと、
前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算するステップと、
前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てるステップと、をコンピュータに実行させるための
自動作案プログラム。
【請求項4】
前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するステップは、
前記広告枠が放送される時間帯における広告枠利用者が指定する任意の視聴率を設定するステップを有する
請求項3に記載の自動作案プログラム。
【請求項5】
前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算するステップは、
前記セルに設定された前記視聴率の偏差値を演算するステップと、全ての前記セルに設定された前記視聴率の標準化データを演算するステップとを有する
請求項4に記載の自動作案システム。
【請求項6】
前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てるステップは、前記標準偏差と前記標準化データのそれぞれに一定値を乗じて加算して得られた値が正側に大きい前記セルから優先的に前記広告枠を割り当てるステップを有する
請求項3または請求項4に記載の自動作案システム。
【請求項7】
広告枠提供者から提供される広告が放送される広告枠の項目、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約の項目をそれぞれ行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成する工程と、
前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定する工程と、
前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算する工程と、
前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てる工程と、を備える
自動作案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法に関する。詳しくは、所定の指標に基づきCMの作案を行うことで作案業務の効率化、及び放送局の収益の最大化を図ることができる自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送やラジオ放送においては広告としてのコマーシャル(以下、「CM」という。)が放送される。このCMには、タイムCMとスポットCMの2つに大別される。タイムCMは、広告主が番組制作費等を負担する代わりに、番組の時間内に放送される番組提供スポンサーによるCMであり、番組CMともよばれている。一方、スポットCMは、番組に関係なくテレビ局が定めた時間に挿入されるCMである。
【0003】
スポットCMでは、例えば、放送局における担当者と、広告代理店のテレビ局担当やプランナーなどが経験に基づいて、どのCMをどの時間帯に放送するかを示すCMの放送スケジュールを決定する作業である作案が行われている。
【0004】
このCMの放送スケジュールを決定する作案は、相手スポンサーとの過去の実績、扱う商品の種類や契約内容など様々な要因を考慮しながら、全ての条件を満足するように、また同じ日や時間帯に集中しないよう全体のバランスを考えて、どのランクのどの時間帯に何本流すか決めて行く必要がある。そのため作案作業は極めて複雑かつ特殊な作業であり一定の熟練を要するため、各放送局では専門の担当者を育成して作業に当たっている。
【0005】
係る作案の作業を軽減するために、自動的にCMのスポット放送のスケジューリングの作案を行うシステムが提案されている(特許文献1)。このシステムは、コスト作案時には基準値を用いて、また掛け率作案時にはセット数を求めて、契約期間内に流すCMの本数をランク毎に求め、所定の基準値を用いてローテーションを行い、放送日、及び放送時間枠を決定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-124867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的にCM等のコンテンツの放送条件は、契約毎に多くの制約が存在し、各契約条件を考慮しつつ作案を行う必要がある。しかしながら、前記特許文献1の技術においては、各契約の放送条件を考慮しつつ各契約についてのコンテンツの作案を効率的に行うことが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、所定の指標に基づきCMの作案を行うことで作案業務の効率化、及び放送局の収益の最大化を図ることができる自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の自動作案システムは、広告枠提供者から提供される広告枠に関する所定の情報を取得する広告枠情報取得部、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約に関する所定の情報を取得する契約情報取得部を有する情報取得部と、前記広告枠の項目と前記契約の項目を行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するマトリクス生成部と、前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するスコア設定部と、前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算する乖離度演算部と、前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てる広告枠設定部とを備える。
【0010】
ここで、情報取得部が広告枠提供者から提供される広告枠に関する所定の情報を取得する広告枠情報取得部を有することにより、広告枠提供者から提供される広告枠に関する情報(以下、「広告枠情報」という。)を取得することができる。そして、取得した広告枠情報については、後記するマトリクス生成部において行要素、或いは列要素に展開することで2次元マトリクスの一部を構成することができる。
【0011】
また、情報取得部が広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約に関する所定の情報を取得する契約情報取得部を有することにより、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される広告枠についての契約に関する情報(以下、「契約情報」という。)を取得することができる。そして、取得した契約情報については後記するマトリクス生成部において行要素、或いは列要素に展開することで、前記した広告枠とともに2次元マトリクスの一部を構成することができる。
【0012】
また、広告枠の項目と契約の項目とを行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するマトリクス生成部を備えることにより、前記した情報取得部で取得した広告枠情報、及び契約情報を関連付けて2次元マトリクスを生成することができる。
【0013】
また、マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するスコア設定部を備えることにより、任意の一の契約に対する各広告枠の価値(或いは任意の一の広告枠に対する各契約の価値)をスコアとして数値化することができる。
【0014】
また、セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算する乖離度演算部を備えることにより、広告枠間の相対的な価値を演算することができる。
【0015】
また、乖離度に基づいて広告枠利用者に対して広告枠を割り当てる広告枠設定部を備えることにより、特定の指標に基づいて各契約に対する広告枠の割り当てを効率的に行うことができる。
【0016】
また、スコア設定部は、広告枠が放送される時間帯における広告枠利用者が指定する任意の視聴率である場合には、広告枠の価値指標として最も客観的なデータである視聴率に基づいて各広告枠に対してスコアを設定することができる。
【0017】
また、乖離度演算部は、任意のセルに設定された視聴率の偏差値を演算する偏差値演算部、及び全てのセルに設定された視聴率の標準化データを演算する標準化データ演算部とを有する場合には、各セルに設定された視聴率の客観的な相対指標である偏差値を演算するとともに、標準化データに基づいて平均値からの乖離度を演算することができる。
【0018】
また、広告枠設定部は、偏差値と標準化データのそれぞれに一定値を乗じて加算して得られた値が正側に大きいセルから優先的に広告枠を割り当てる場合には、偏差値と標準化データに基づいて正側の乖離度が大きき指標が広告枠としての価値、即ち広告枠提供者の収益を最大化できると判断して広告枠を優先的に割り当てることができる。
【0019】
前記の目的を達成するために、本発明の自動作案プログラムは、広告枠提供者から提供される広告が放送される広告枠の項目、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約の項目をそれぞれ行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するステップと、前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するステップと、前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算するステップと、前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てるステップとをコンピュータに実行させるものである。
【0020】
ここで、広告枠提供者から提供される広告が放送される広告枠の項目、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約の項目をそれぞれ行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成するステップを備えることにより、広告枠と契約の各項目を関連付けて複数のセルから構成された2次元マトリクスを生成することができる。
【0021】
また、マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するステップを備えることにより、契約に対する広告枠の価値をスコアとして数値化することができる。
【0022】
また、セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算するステップを備えることにより、広告枠間の相対的な価値を演算することができる。
【0023】
また、乖離度に基づいて広告枠利用者に対して広告枠を割り当てるステップを備えることにより、特定の指標に基づいて各契約に対する広告枠の割り当てを効率的に行うことができる。
【0024】
また、マトリクスの各セルに任意のスコアを設定するステップは、広告枠が放送される時間帯における広告枠利用者が指定する任意の視聴率を設定するステップを有する場合には、広告枠の価値指標として最も客観的なデータである視聴率に基づいて各広告枠に対してスコアを設定し、該スコアに基づいて効率的に広告枠を割り当てることができる。
【0025】
また、セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算するステップは、セルに設定された視聴率の偏差値を演算するステップと、全てのセルに設定された視聴率の標準化データを演算するステップとを有する場合には、各セルに設定された視聴率の客観的な指標である偏差値を演算するとともに、標準化データに基づいて平均値からの乖離度を演算することができる。
【0026】
また、乖離度に基づいて広告枠利用者に対して広告枠を割り当てるステップは、偏差値と標準化データのそれぞれに一定値を乗じて加算して得られた値が正側に大きいセルから優先的に広告枠を割り当てるステップを有する場合には、偏差値と標準化データに基づいて正側の乖離度が大きき指標が広告枠としての価値、即ち広告枠提供者の収益を最大化できると判断して広告枠を優先的に割り当てることができる。
【0027】
前記の目的を達成するために、本発明の自動作案方法は、広告枠提供者から提供される広告が放送される広告枠の項目、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結される任意の広告枠についての契約の項目をそれぞれ行要素、及び列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスを生成する工程と、前記マトリクスの各セルに任意のスコアを設定する工程と、前記セルの全てに設定されたスコアの平均値からの乖離度を演算する工程と、前記乖離度に基づいて前記広告枠利用者に対して前記広告枠を割り当てる工程とを備える。
【0028】
以上の工程に基づけば、提供される広告枠の価値をスコア化するとともに、各広告枠間の相対的な価値指標に基づいて、広告枠を自動的に割り当てることができる。従って、作案作業の効率化、及び広告枠提供者の収益の最大化を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法は、所定の指標に基づきCMの作案を行うことで作案業務の効率化、及び放送局の収益の最大化を図ることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る自動作案システムの全体構成を示す図である。
図2】広告枠情報取得部で取得される広告枠情報の内容を示す図である。
図3】契約情報取得部で取得される契約情報の内容を示す図である。
図4】マトリクス生成部で生成されたマトリクスの一例を示す図である。
図5】スコア設定部により、マトリクスの各セルに任意のスコアとしての視聴率が設定された状態を示す図である。
図6】偏差値演算部により、各セルに設定された視聴率の偏差値が演算された状態を示す図である。
図7】標準化データ演算部により、各セルに設定された視聴率の標準化データが演算された状態を示す図である。
図8】自動作案方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0032】
まず、本発明の実施形態に係る自動作案システム1の全体構成について図1を用いて説明する。本発明の実施形態に係る自動作案システム1は、情報取得部2、マトリクス生成部3、スコア設定部4、乖離度演算部5、及び広告枠設定部6から主に構成されている。
【0033】
[情報取得部]
情報取得部2は、広告枠提供者(放送局)から提供されるCMが放送される広告枠に関する広告枠情報を取得する広告枠情報取得部21と、広告枠提供者と広告枠利用者(スポンサー企業)との間で締結される広告枠についての契約情報が記憶された契約情報取得部22を有している。
【0034】
図2は、広告枠情報取得部21で取得される広告枠情報の内容を示す一例である。図2に示すように、広告枠情報取得部21で取得される広告枠情報は、広告枠を識別するための枠ID、CMが放送される番組名、放送日、広告枠の開始時刻と終了時刻、CM時間をはじめとする広告枠提供者から提供される広告枠に関する詳細情報が広告枠毎にデータベース化されている。
【0035】
図3は、契約情報取得部22で取得される契約情報の内容を示す一例である。図3に示すように、契約情報は、広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結された広告枠に対する契約情報として、契約を識別するための契約ID、スポンサー名、契約開始日と契約終了日、契約したCM時間、広告枠利用者からリクエストされた視聴率、契約金額をはじめとする広告枠提供者と広告枠利用者との間で締結された各契約についての詳細情報が契約項目毎にデータベース化されている。
【0036】
なお、広告枠情報取得部21で取得されている広告枠情報、及び契約情報取得部22で取得される契約情報としては図2、及び図3に示すものに限定されるものではなく、必要な情報をさらに追加することができるものとする。
【0037】
これら情報取得部2で取得される広告枠情報、及び契約情報に関する各データは、例えば放送局が放送する番組やCMなどの情報を一元的に管理するシステム(以下、「営放システム7」という。)に備えられたデータベースから取得される。即ち、自動作案システム1と営放システム7とがネットワークを介して連携されており、営放システム7で各種データが登録されるとそのデータが自動作案システム1の情報取得部2に転送され、自動作案システム1は常に新しいデータに基づいて作案を行い得るものとなっている。
【0038】
[マトリクス生成部]
マトリクス生成部3は、前記した情報取得部2で取得された広告枠情報、及び契約情報に基づいて2次元表現したマトリクスを生成する機能を有している。具体的には、広告枠情報取得部21で取得された広告枠の項目を行要素、契約情報取得部22で取得された契約の項目を列要素として、図4に示すような複数のセルから構成される「広告枠×契約」からなるマトリクスが生成される。
【0039】
ここで、必ずしも、マトリクス生成部3で生成される行列要素について、広告枠を行要素、契約を列要素とする必要はなく、行要素と列要素については適宜入れ替えることが可能である。なお、以下においては、図4に示すように広告枠を行要素、契約を列要素としたマトリクスを前提として説明する。
【0040】
[スコア設定部]
スコア設定部4は、マトリクス生成部3で生成されたマトリクスの各セルに任意のスコアを設定する機能を有している。本発明の実施形態におけるスコアは、例えば図5に示すように、広告枠利用者が広告枠提供者に対して要求する視聴率データが使用される。
【0041】
ここで、広告枠利用者からリクエストされる視聴率は、株式会社ビデオリサーチ等が発行する視聴率データであって、CMの枠取りされた番組、及び時間帯の過去特定4週間の平均値(なお、過去4週間の平均を「号数」という。)である。このように、広告枠の割り当てる際の指標データとしての視聴率データは、将来の広告枠の露出量や広告価値を推定する指標となり得るため、広告枠を割り当てる際の客観的データとして最適である。
【0042】
ここで、必ずしも、スコア設定部4で設定されるスコアとしては視聴率に限定されるものではない。例えば、広告枠における収益性を示す指標をスコアとして設定してもよい。なお、収益性を示す指標としては、例えば各契約の主体である広告枠利用者のブランド力、CM放送される製品のブランド力、その他広告枠の収益性に関するあらゆる指標を使用することができ、係る指標については広告枠提供者において適宜変更、及び設定することができるものとする。
【0043】
また、必ずしも、スコアとして採用される視聴率としては、号数に基づく視聴率である必要はなく、広告枠利用者が任意に設定した期間における視聴率の平均値、或いは特定の時間帯における視聴率を設定するようにしてもよい。
【0044】
また、スコアをセルに設定する場合には、広告枠利用者と広告枠提供者との契約に基づいて、マトリクスの各セルに対して所定の重み係数を付与しておき、当該契約内容に基づいて、各セルにおいて所定の範囲における任意の自然数が自動で割り振られるように構成されていてもよい。
【0045】
[乖離度演算部]
乖離度演算部5は、前記したスコア設定部4で各セルに設定された視聴率の平均値からの乖離度を演算する機能を有しており、偏差値演算部51と標準化データ演算部52から構成されている。
【0046】
偏差値演算部51は、各セルに設定された視聴率の偏差値を演算する機能を有している。即ち、図5の各セルに設定された視聴率について、図6に示す偏差値を演算することで、各セルの相対的な指標データとして使用することができる。
【0047】
標準化データ演算部52は、偏差値演算部51で演算された視聴率の標準化データを演算する機能を有している。これにより、図7に示すように、各セルで設定された視聴率の平均値から、どの程度差異があるかを乖離度として示すことができる。なお図7において、平均と一致する視聴率の場合は「0」が入力される。
【0048】
[広告枠設定部]
広告枠設定部6は、乖離度演算部5で演算された偏差値と標準化データに基づいて各セルへの広告枠の割り当てを行う機能を有している。具体的には、偏差値Dと標準化データSに基づいて、広告枠提供者と各広告枠の組み合わせに対する効率Eを以下の式(1)に基づいて演算を行う。
E=D×Y1+S×Y2 (1)
【0049】
なお、式(1)においてY1、及びY2はそれぞれ任意に設定可能な重み付け係数であり自動作案の主体である放送局側(広告枠提供者)にて任意に設定される。例えば、Y1のウェイトをY2のウェイトに比べて大きくすると、視聴率の効率性は低くなるが、同一時間帯に同一の広告主に対して複数の広告枠が割り当てられることを防止し、広告枠の分散を図ることができる。逆に、Y2のウェイトをY1のウェイトに比べて大きくすると、視聴率の効率性が高まり、放送局の収益性は上がるが、同一の時間帯に同一の広告主による広告が集中する可能性がある。そのため、放送局側にて任意の重み付け係数を設定することで、広告戦略に合致した広告枠の割り当てを行うことができる。
【0050】
以上が自動作案システム1の主な構成である。次に自動作案システム1において実現される本発明の実施形態に係る自動作案方法について図8のフロー図に基づいて説明する。なお、自動作案システム1は図8に示す処理をプログラムに従って実行されるものである。
【0051】
<STEP1:情報の取得>
まず、自動作案システム1は、営放システム7に登録されている広告枠情報、及び契約情報を取得する。
【0052】
<STEP2:マトリクスの生成>
STEP1で取得した広告枠情報、及び契約情報に基づいて、マトリクス生成部3にて広告枠に関する項目を行要素、契約に関する項目を列要素として2次元表現した複数のセルから構成されるマトリクスが生成される。
【0053】
<STEP3:スコアの設定>
スコア設定部4において、マトリクス生成部3で生成された各セルに任意のスコアが設定される。本発明の実施形態においては、前記した通り、広告枠利用者からリクエストされる広告枠に対する視聴率がスコアとして入力される。
【0054】
<STEP4:偏差値の演算>
STEP3で入力された視聴率は、偏差値演算部51で偏差値として演算され、各セル間の相対的な指標が示される。
【0055】
<STEP5:標準化データの演算>
STEP4で演算された偏差値に基づいて、さらに標準化データ演算部52で標準化データが演算され、各セル間における平均値からの正側、又は負側への乖離度が示される。
【0056】
<STEP6:広告枠の割り当て>
広告枠設定部6において、STEP4、及びSTEP5で演算した偏差値と標準化データに基づいて、前記した式(1)に基づいて効率Eを演算し、演算した各セルの値のうち正側に大きいセルから優先的に広告枠を割り当てる。
【0057】
このSTEP1~STEP6の演算を繰り返すことによって、各セルの広告枠を割り当てることで、効率的に作案を実行することができるものとなる。
【0058】
以上、本発明に係る自動作案システム、自動作案プログラム、及び自動作案方法は、所定の指標に基づきCMの作案を行うことで作案業務の効率化、及び放送局の収益の最大化を図ることができるものとなっている。
【符号の説明】
【0059】
1 自動作案システム
2 情報取得部
21 広告枠情報取得部
22 契約情報取得部
3 マトリクス生成部
4 スコア設定部
5 乖離度演算部
51 偏差値演算部
52 標準化データ演算部
6 広告枠設定部
7 営放システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8