(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109736
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】液中スラッジ回収脱液装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/04 20060101AFI20230801BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20230801BHJP
B01D 24/38 20060101ALI20230801BHJP
B01D 17/02 20060101ALI20230801BHJP
B01D 17/025 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B01D33/04 B
B01D33/36
B01D33/38
B01D17/02 501Z
B01D17/025 502A
B01D17/025 502B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010508
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022011316
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518286194
【氏名又は名称】株式会社塚本
(71)【出願人】
【識別番号】512085865
【氏名又は名称】合同会社U.ENG
(74)【代理人】
【識別番号】100129539
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 康志
(72)【発明者】
【氏名】内山 忠男
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA13
4D116AA22
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4D116VV30
(57)【要約】
【課題】スラッジ回収工程における流量の低下を抑え、処理効率を向上させることのできる液中スラッジ回収脱液装置を提供する。
【解決手段】液中スラッジ回収脱液装置は、ダーティー液導入ラインを接続した昇降自在なアッパーシェル、液体回収ラインを接続したロアーシェル、スラッジを捕捉するベルトタイプの濾布を備える濾過器と、アッパーシェル内に配置した流速減衰整流管を介して、アッパーシェル内に導入した液体の一部又は全部を前記タンクに戻すバイパスラインと、スラッジ回収工程において、タンクからスラッジを含む液体を吸引し、液体回収ライン及びバイパスラインを介して液体をタンクに戻すバキュームポンプと、スラッジ脱液工程において、バキュームポンプによるロアーシェル内の減圧と共に、圧縮エアーでアッパーシェル内を加圧する圧縮エアー供給手段と、スラッジ排出工程において、濾布を移動させてスラッジを排出するベルト駆動機構を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ノズルでタンクから吸引したスラッジを含む液体を導入するダーティー液導入ラインを接続した昇降自在なアッパーシェル、前記スラッジを分離した液体を前記タンクに戻す液体回収ラインを接続したロアーシェル、前記アッパーシェルと前記ロアーシェルの間に配置した前記スラッジを捕捉するベルトタイプの濾布を備える濾過器と、
前記アッパーシェル内に配置した流速減衰整流管を介して、前記アッパーシェル内に導入した液体の一部又は全部を前記タンクに戻すバイパスラインと、
スラッジ回収工程において、前記タンクから前記スラッジを含む液体を吸引し、前記液体回収ライン及び前記バイパスラインを介して前記液体を前記タンクに戻すバキュームポンプと、
スラッジ脱液工程において、前記バキュームポンプによる前記ロアーシェル内の減圧と共に、圧縮エアーで前記アッパーシェル内を加圧する圧縮エアー供給手段と、
スラッジ排出工程において、前記ベルトタイプの濾布を移動させて前記スラッジを排出するベルト駆動機構と、を備えたことを特徴とする液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項2】
前記流速減衰整流管は、前記アッパーシェル上部に水平方向に配置した管状部材であり、前記液体が流入する複数の開口穴を、その下面側に長手方向に沿って形成し、
前記流速減衰整流管を流れる液体の流速は、前記ダーティー液導入ラインを流れる液体の流速よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項3】
前記スラッジ脱液工程において、前記ロアーシェル内の負圧低下を検知するバキュームスイッチをさらに備え、前記スラッジの脱液が進行することで前記ロアーシェル内の負圧低下を検知すると前記バキュームポンプの空運転防止のため、前記バキュームポンプを停止し、前記圧縮エアーによる脱液を一定時間継続することを特徴とする請求項1又は2に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項4】
前記スラッジ排出工程において、前記ベルトタイプの濾布を移動させる前に、所定の数秒間、前記ロアーシェル内に圧縮エアーを送り、前記ロアーシェル上部の濾布受け部に張り付いた前記濾布を剥離させ、ベルト移動時の負荷を減らすと共に前記アッパーシェル周囲壁に張り付いたスラッジも剥離させ前記アッパーシェル上昇時にスラッジが容易に落下するようにするスラッジ剥離弁を備え、
前記濾布の移動量と対応付けた時間を設定したタイマーをさらに備え、この設定時間、前記ベルトタイプの濾布を移動させると共に、ブラシ又はエアーブローによるスラッジの掻き落としと同時に洗浄液による濾布洗浄を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項5】
前記吸引ノズルは、タンク底部に堆積したスラッジ、液中に浮遊するスラッジ及び液上面に浮遊するスラッジを吸引可能であり、前記液中、及び液面に浮遊するスラッジを吸引する際は、前記バイパスラインに設けたバルブを閉じることで、液浄化(フイルタ機能)も兼用することを特徴とする請求項1又は2に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項6】
前記タンク内には前記液体より比重が小さい廃油が含まれており、
前記タンクの液面上部に浮遊する前記廃油を前記吸引ノズルで吸引し、比重分離タンクに送り、前記比重分離タンクの液面上部から前記廃油を分別回収することを特徴とする請求項1又は2に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【請求項7】
前記タンク内には前記液体より比重が大きい水分が含まれており、
前記タンクの底部に沈降する前記水分を前記吸引ノズルで吸引し、比重分離タンクに送り、前記比重分離タンクの底部から前記水分を分別回収することを特徴とする請求項1又は2に記載の液中スラッジ回収脱液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに貯留したスラッジを含む液体からスラッジを回収し脱液する液中スラッジ回収脱液装置に関する。好ましくは異液回収機能も備える液中スラッジ回収脱液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スラッジの回収-脱液-排出の3工程を一つの装置で実行可能な「液中スラッジ回収脱液装置」が知られている。液中スラッジ回収脱液装置は、ベルトタイプの濾布をアッパーシェルとロアーシェルで挟持した濾過器を備える。スラッジ回収工程は、スラッジを含む液体をポンプでアッパーシェルに供給し、濾布でスラッジを捕捉して濾液をロアーシェルで受ける。続く脱液工程は、スラッジを含む液体の供給を停止し、圧縮エアーをアッパーシェル内に供給して濾布上のスラッジを脱液する、同時にバキュームポンプの負圧で脱液する。続く排出工程は、アッパーシェルを上昇させて開放し、濾布を移動させてスラッジを排出する。
【0003】
しかしながら、上述の液中スラッジ回収脱液装置は、スラッジ回収工程において、濾布上にスラッジが堆積するに伴ってアッパーシェル内の圧力が上昇し、供給する液体の流量が低下し、装置の処理効率が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、スラッジ回収工程における流量の低下を抑え、装置の処理効率を向上させることのできる液中スラッジ回収脱液装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)本発明の液中スラッジ回収脱液装置は、タンクから吸引したスラッジを含む液体を導入するダーティー液導入ラインを接続した昇降自在なアッパーシェル、前記スラッジを分離した液体を前記タンクに戻す液体回収ラインを接続したロアーシェル、前記アッパーシェルと前記ロアーシェルの間に配置した前記スラッジを捕捉するベルトタイプの濾布を備える濾過器と、前記アッパーシェル内に配置した流速減衰整流管を介して、前記アッパーシェル内に導入した液体の一部又は全部を前記タンクに戻すバイパスラインと、スラッジ回収工程において、前記タンクから前記スラッジを含む液体を吸引し、前記液体回収ライン及び前記バイパスラインを介して前記液体を前記タンクに戻すバキュームポンプと、スラッジ脱液工程において、前記バキュームポンプによる前記ロアーシェル内の減圧と共に、圧縮エアーで前記アッパーシェル内を加圧する圧縮エアー供給手段と、スラッジ排出工程において、前記ベルトタイプの濾布を移動させて前記スラッジを排出するベルト駆動機構と、を備えたことを特徴とする。
(2)前記流速減衰整流管は、前記アッパーシェル内上部に水平方向に配置した管状部材であり、前記液体が流入する複数の開口穴を、その下面側に長手方向に沿って形成する。前記流速減衰整流管を流れる液体の流速は、前記ダーティー液導入ラインを流れる液体の流速よりも低くし、バイパスラインからのスラッジの流出を減少させている機構としたことを特徴とする。
(3)前記スラッジ脱液工程において、前記ロアーシェル内負圧の低下を検知する真空スイッチなどのバキュームスイッチをさらに備え、前記スラッジの脱液が進行することで前記ロアーシェル内の負圧低下を検知すると前記バキュームポンプ空運転による、寿命低下防止の為、前記バキュームポンプを停止し、前記圧縮エアーによる脱液を一定時間継続する。
(4)前記スラッジ排出工程において、前記ベルトタイプの濾布を移動させる前に、所定の数秒間、前記ロアーシェル内に圧縮エアーを送り、前記ロアーシェル上部の濾布受け部に張り付いた前記濾布を剥離させ、ベルト移動時の負荷を減らすと共に前記アッパーシェル周囲壁に張り付いたスラッジも剥離させ前記アッパーシェル上昇時にスラッジが容易に落下するようにするスラッジ剥離弁を備え、前記濾布の移動量と対応付けた時間を設定したタイマーをさらに備え、この設定時間、前記ベルトタイプの濾布を移動させると共に、ブラシ又はエアーブローによるスラッジの掻き落としと、同時に洗浄液による濾布洗浄を行う。
(5)前記吸引ノズルは、タンク底部に堆積したスラッジを吸引、および液中、及び液上面に浮遊するスラッジを吸引可能であり、前記液中、及び液上面に浮遊するスラッジを吸引する際は、前記バイパスラインに設けたバルブを閉じる。これにより、タンク底に沈殿するスラッジだけでなく、液全体の浄化(フイルター機能)機能も兼用する。
(6)前記タンク内には前記液体より比重が小さい廃油が含まれており、前記タンクの液面上部に浮遊する前記廃油を前記吸引ノズルで吸引し、比重分離タンクに送り、前記比重分離タンクの液面上部から前記廃油を分別回収する。
(7)前記タンク内には前記液体より比重が大きい水分が含まれており、前記タンクの底部に沈降する前記水分を前記吸引ノズルで吸引し、比重分離タンクに送り、前記比重分離タンクの底部から前記水分を分別回収する。
すなわち、固形物分離だけでなく、異液、例えば水溶性切削液中に機械稼働と共に混入してくる潤滑油(バクテリア発生源)回収の為、本装置の処理液出口回路に油水分離タンク(比重分離タンク)を経由して、廃油を分別回収し、切削液の異液分別機能と、例えば重油の場合混入している異液(水)回収の為、本装置の処理液出口回路に油水分離タンク(伝導率分離タンク)を経由して、水を分別回収し、重油の異液分別機能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に従う液中スラッジ回収脱液装置の全体構成図である。
【
図2】液中スラッジ回収脱液装置が備える流速減衰整流管の拡大図である。
【
図3】液中スラッジ回収脱液装置が備えるバキュームポンプの構成図である。
【
図5】スラッジ回収工程における液中スラッジ回収脱液装置の状態図である。
【
図7】液浄化(フイルター機能)工程における液中スラッジ回収脱液装置の状態図である。
【
図9】スラッジ脱液工程における液中スラッジ回収脱液装置の状態図である。
【
図10】スラッジ脱液工程における液中スラッジ回収脱液装置の状態図である。
【
図11】スラッジ排出・濾布洗浄工程のフローチャートである。
【
図12】スラッジ排出・濾布洗浄工程における液中スラッジ回収脱液装置の状態図である
【
図13】液中の異液(比重分離タンク)での油水分離機能の状態図である。
【
図14】液中の異液(伝導率分離タンク)での油水分離機能の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態に従う液中スラッジ回収脱液装置について、添付図面を参照しながら詳述する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲が限定解釈されることはない。
【0009】
図1に示すように、液中スラッジ回収脱液装置1は、筐体10内に配置した濾過器2を備える。濾過器2は、主要な構成として、ベルトタイプの濾布21,アッパーシェル22及びロアーシェル23を備える。アッパーシェル22とロアーシェル23は、例えば円筒の箱状にそれぞれ形成し、互いの開口部同士が対向する向きで上下に配置している。アッパーシェル22とロアーシェル23は、後述するスラッジ回収工程、及び液浄化(フイルター)工程と脱液工程において濾布21を挟持し、耐圧性を有するシェル(濾過及び脱液のプロセス空間)を形成する。アッパーシェル22とロアーシェル23は、夫々、例えば複数の円筒の箱状の部材を配管などの流路で連通させた構成としてもよい。このとき複数の円筒の箱状の部材を直列に配列するのが好ましい。
【0010】
濾布21で仕切られたアッパーシェル22は、スラッジを含む液体(以下、ダーティー液)を導入する一次側室を形成し、ロアーシェル23は、濾布21を通過した液体(以下、濾液)を受ける二次側室を形成している。濾布21は、その表面でスラッジを捕捉する。アッパーシェル22とロアーシェル23は、例えば金属で形成する。液体に対する耐食性を有する金属以外の材料で形成してもよい。
【0011】
ベルトタイプの濾布21は、駆動ローラー24および従動ローラー25に巻き掛けた無端ベルトである。無端ベルトの濾布21は、継ぎ目なしのエンドレスの移動式ベルト(濾過ベルト)が好ましい。ベルト駆動機構の一例であるベルトモーター26は、後述する排出工程において駆動ローラー24を回転させ、濾布21を図中矢印方向に移動させる。濾布21の材質は、例えば、編布、織布、織布、ナイロン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、その他の耐薬品性の材質の合成繊維等を使用できる。
【0012】
アッパーシェル22とロアーシェル23は、濾布21を挟んで互いに対向するフランジ部を外周に有し、エアーシリンダー3のピストンロッド31をアッパーシェル22のフランジ部の上面に接続する。昇降機構の一例であるエアーシリンダー3は、例えばアッパーシェル22の上面に配置する。各エアーシリンダー3のシリンダー部には、圧縮エアー供給ライン32を接続する。圧縮エアー供給ライン32は、ホース又は配管等で構成し、その先端に例えば工場エアー源(0.45MPa以上)に接続するカプラー33、仕切弁36、圧縮エアーの圧力を高める増圧弁35を設ける。工場エアー源(0.45MPa以上)は、圧縮エアー供給源の一例である。圧縮エアー供給源の他の一例は、コンプレッサーである。
【0013】
圧縮エアー供給ライン32には、エアーシリンダー自動弁34としての三方弁を設ける。エアーシリンダー3は、エアーシリンダー自動弁34の切り替えによってピストンロッド31を伸び/縮めし、アッパーシェル22を上下に昇降可能になっている。一方、ロアーシェル23は、位置を固定して濾布21を下方から支持する。増圧弁35は、ピストンロッド31の押圧力を高め、濾布21を挟持したアッパーシェル22とロアーシェル23の間からの液漏れを防ぐ。エアーシリンダー自動弁34と増圧弁35の間にエアフィルター37を設けるのが好ましい。アッパーシェル22及びロアーシェル23は、接触面にパッキン(不図示)を設ける。
【0014】
アッパーシェル22は、ダーティー液を導入する通流口4を例えば側壁又は上部に形成し、ダーティー液導入ライン41を接続する。ダーティー液導入ライン41は、配管及びホース45等で構成し、その先端に吸引ノズル42を連結する。吸引ノズル42は、液体を貯留するタンク43内に挿入する例えば樹脂製透明パイプである。吸引ノズル42は、タンク43の深さに応じて長さを変更可能な継ぎ足し式にするのが好ましい。勿論、吸引ノズル42は、液体を吸引する開口を有していればその形状が限定されることはない。ダーティー液導入ライン41には、ダーティー液入口弁44、ホース45,46を設ける。ダーティー液入口弁44は、仕切弁である。ホース45は、その可動範囲内で吸引ノズル42を移動可能にする。ホース46は、アッパーシェル22を上下に移動可能にする。
【0015】
タンク43内の液体Lは、スラッジSを含む。液体Lは、例えば、水性クーラント液/重油などである。その他の液体であってもよい。水性クーラント液は、スラッジSとして微細な切粉、スラッジを含む。重油は、スラッジSとして例えば錆などを含む。スラッジSは、タンク底部に堆積、液中間、又は、液上面に浮遊している場合がある。
【0016】
液体Lが水溶性クーラント液の場合、濾布21の処理能力は、50L/min~200L/minのものを使用する。重油の場合、濾布21の処理能力は、150L/min~600L/minのものを使用する。
【0017】
ロアーシェル23は、濾液を回収する通流口5を例えば底面に形成し、液体回収ラインのうち負圧を形成する液体吸入ライン51を接続する。ロアーシェル23の底面は、濾布21を通過した濾液が通流口5に向かうように傾斜を設けている。液体吸入ライン51は、配管等で構成し、バキュームポンプ6の吸入口に接続する。液体吸入ライン51には、吸入弁52を設ける。吸入弁52は、仕切弁である。バキュームポンプ6の吐出口に接続した液体回収ライン53も配管等で構成し、ホース56を経由し、その先端に排出口54を連結してタンク43内の液中に浸漬させる。液体回収ライン53には、出口弁55とホース56を設ける。出口弁55は、仕切弁である。尚この際、ポンプ吐出圧でタレ受け12への液の逆流を防ぐ為、逆止弁50を付属する。
【0018】
さらに、バキュームポンプ6を迂回して液体吸入ライン51と53を接続する出口バイパスライン57を設ける。出口バイパスライン57は、配管等で構成し、さらに出口バイパス弁58を設ける。出口バイパス弁58は、自動弁である。この出口バイパスライン57と出口バイパス弁58は、後述する脱液工程で使用する。バキュームスイッチ59は、ロアーシェル23の内圧を検知するための圧力スイッチである。
【0019】
流速減衰整流管7は、アッパーシェル22内に配置し、その基端側にバイパスライン71を接続する。流速減衰整流管7は、アッパーシェル22内を例えば水平方向に伸びる配管、又は長方形管などであり、液体の通流穴72を管側周面の下方位置に複数形成している。通流穴72は、管の長さ方向に間隔をあけて配列する。バイパスライン71は、バキュームポンプ6の吸入口側の液体吸入ライン51に接続する。すなわちバキュームポンプ6で吸引可能にする。バイパスライン71は、配管等で構成し、バイパス弁73、ホース74を設ける。バイパス弁73は、仕切弁である。ホース74は、ダーティー液導入ライン41と同様に、アッパーシェル22を上下に移動可能にする。
【0020】
流速減衰整流管7の詳細について、
図2を参照しながら説明する。流速減衰整流管7は、例えば円管又は長方形管である。管の基端側は、例えばエルボ継手75を介してバイパスライン71と接続し、管の先端側は閉止板76で塞がれている。流速減衰整流管7は、管の長さ方向に複数の通流穴72を形成し、アッパーシェル22内の液体が管内に流入可能になっている。流速減衰整流管7は、アッパーシェル22内の上部寄り水平に設置するのが好ましい。さらに、図示は省略するが流速減衰整流管7とダーティー液導入ライン41の通流口4はアッパーシェル22上部に配置する。
【0021】
通流穴72は、スラッジSがバイパスライン71に流入しないよう下向きに形成する。更に管内へのスラッジSの流入を抑えるため、流速減衰整流管7の開穴部は、ダーティー液導入ライン41の口径よりも開口部合計面積を大きくして、管内の流速がダーティー液導入ライン41の流速よりも小さくなるようにしている。より好ましくは、一つの通流穴72を通過する液体の流速が、ダーティー液導入ライン41を流れる液体の流速よりも小さくなるように、通流穴72の大きさと数を設定する。通流穴72の位置は適宜変更し得る。係る構成によって流速減衰整流管7は、管内へ流入する液の流速を減衰させ流れを整流して、スラッジSが管内に侵入するのを抑えている。
【0022】
バキュームポンプ6の詳細について、
図3を参照しながら説明する。バキュームポンプ6は、例えばスラリーバキュームポンプである。スラリーバキュームポンプは、例えば合成ゴムなどの弾性体で形成したインペラ61を、吸入口62と吐出口63を形成したケーシング64の内周面に密着するように配置している。そしてモーター(不図示)を駆動してインペラ61を矢印の方向に回転すると、カム部65で強制的に曲げられたインペラ61が吸込口62側で復帰するときにケーシング64内に真空が発生し、自吸作用が発現する。これにより吸入口62から液体及びスラッジを吸い込む。吸い込んだ液体及びスラッジは、回転するインペラ61によって吐出口63側に移送される。そしてカム部65でインペラ61が曲げられ、隣り合うインペラ61間の容積が小さくなることによって液体が吐出口63から加圧され排出する。このような送液が可能で、スラリーを噛み込んでも輸送可能なスラリーバキュームポンプを使用が好ましい。
【0023】
説明を
図1に戻すと、アッパーシェル22は、脱液用の圧縮エアーを導入する通流口8を例えば上面に形成し、圧縮エアー供給ライン81を接続する。圧縮エアー供給ライン81は、ホースで構成し、エアー源のカプラー33と接続する。すなわち、圧縮エアー供給手段の一例である。図の例では、カプラー33から仕切弁36、増圧弁35を経由したラインを分岐して、一方を脱液用のラインとし、他方をエアーシリンダー駆動用のラインとしている。脱液用の圧縮エアー供給ライン81には、脱液自動弁82とレギュレーター83を設ける。脱液自動弁82は、自動で開閉可能な仕切弁である。レギュレーター83は、脱液用の圧縮エアーの圧力を調整する。さらに脱液自動弁82とレギュレーター83の間で分岐させた圧縮エアー供給ラインにスラッジ剥離弁85を設ける。スラッジ剥離弁85は、例えば自動で開閉可能な仕切弁である。スラッジ剥離弁85からの圧縮エアー供給ラインは、ロアーシェル23に接続し、スラッジ剥離用の圧縮エアーを供給する。
【0024】
さらにアッパーシェル22には、圧力スイッチ84を設ける。圧力スイッチ84は、アッパーシェル22内の圧力を検出するセンサーでシリンダー3の押し力により、アッパーシェル22内部の脱液、液浄化工程時の反力に因るアッパーシェル22からの液漏れの発生を防止し、脱液自動弁82を自動的にOFF信号で閉じたりバキュームポンプ6をOFFにする。
【0025】
濾過器2を収容する筐体10は、後述する排出工程においてスラッジSを排出する排出口11、洗浄工程において洗浄液を受けるタレ受け12を底部側に形成している。排出口11から排出されるスラッジSは、例えばスラッジ台車Bで受ける。筐体10内に配置したブラシ又はエアーブロー13と洗浄液ノズル14は、濾布21を洗浄する洗浄手段の一例を構成する。ブラシ又はエアーブロー13は、濾布21を矢印方向に移動させたときに、濾布21が下向きに反転する位置に配置し、濾布表面に付着したスラッジSを掻き落とす。
【0026】
ベルト洗浄ノズル14は、ブラシ又はエアーブロー13よりも濾布移動方向の下流側であって、濾布21の裏面側に洗浄液を噴射可能な位置に配置する。ベルト洗浄ノズル14には洗浄液供給ライン15を接続する。洗浄液供給ライン15は、配管等で構成し、バキュームポンプ6の吐出側の液体回収ライン53に接続する。洗浄液供給ライン15には、洗浄自動弁16を設ける。洗浄自動弁16は、自動で開閉可能な仕切弁である。洗浄自動弁16の手前に流量調節弁19を設けるのが好ましい。さらにダーティー液導入ライン41とバイパスライン71とを直接接続するラインに洗浄液吸入弁17を設ける。洗浄液吸入弁17は、仕切弁である。これらの構成により、後述する濾布洗浄工程においてタンク43内の液体Lを、濾過器2を経由しないでバキュームポンプ6で吸引し、出口弁55を閉じて、洗浄液としてベルト洗浄ノズル14から噴射可能にする。
【0027】
液中スラッジ回収脱液装置1は、装置の移動を容易にするため台車18に搭載する。液中スラッジ回収脱液装置1を他の作業場所へ車移動する場合は、電源用の発電機と、圧縮工場エアー源の代わりになるコンプレッサーを別途用意する。
【0028】
続いて、
図4~
図12を参照しながら、スラッジ回収工程-液浄化(フイルタ機能)工程―脱液工程-排出工程を実行する液中スラッジ回収脱液装置1の動作を説明する。
図4は、スラッジ回収工程のフローチャートであり、
図5は、そのときの装置の状態を模式的に示す。
図6は、液浄化(フイルター機能)工程のフローチャートであり、
図7は、そのときの装置の状態を模式的に示す。
図8は、脱液工程のフローチャートであり、
図9と
図10は、そのときの装置の状態を模式的に示す。
図11は、スラッジ排出・濾布洗浄工程のフローチャートであり、
図12は、そのときの装置の状態を模式的に示す。なお、
図5,
図7,
図9、
図10、
図12は、“開”のバルブは白抜きにし、“閉”のバルブは黒塗りにしている。
【0029】
(スラッジ回収工程)
工程は、
図4に示すようにアッパーシェル22が下降している状態から開始する(ステップS10)。そしてステップS11において、ダーティー液入口弁44、吸入弁52、出口弁55、及びバイパス弁73を“開”、バキュームポンプ6を“ON”にする。これにより、タンク43内のスラッジSを含む液体Lを吸引ノズル42で汲み上げ、ダーティー液導入ライン41を経由してアッパーシェル22内に導入する。吸引ノズル42は、例えば作業員が手に持って、スラッジSが堆積しているタンク底部から液体Lを汲み上げるようにする。
【0030】
アッパーシェル22内に導入したダーティー液は、濾布21を通過する際にスラッジSが捕捉され、濾液としてロアーシェル23に流入し、バキュームポンプ6,液体吸入ライン51,液体回収ライン53を経由してタンク43に回収する(
図5参照)。タンク43に回収する際、排出口54から例えば噴射させて排出する。この濾布21を通過する液流れと並行して、アッパーシェル22内では、流速減衰整流管7を介してバイパスライン71に液体が流入し、バキュームポンプ6,液体吸入ライン51,液体回収ライン53を経由してタンク43に戻される。
【0031】
すなわち、スラッジ回収工程の初期は、濾布21上のスラッジSの堆積量が少なく、吸引ノズル42から汲み上げる流量が維持されるが、スラッジSの堆積量が多くなってくると圧力損失が大きくなってアッパーシェル22の内圧が上昇し、吸引ノズル42から汲み上げる流量が低下する。この問題の解決策としてバイパスライン71を設ける。バイパスライン71を設けると、スラッジSの堆積により液が濾布21を通過し難くなっても、その分、バイパスライン71を流れる液の流量が増え、結果としてバキュームポンプ6が吸引する液の流量を略一定に保つことができる。しかも、流速減衰整流管7を設けたことでスラッジSがバイパスライン71に流れ込むのを抑えることができ、アッパーシェル22内へのスラッジSの導入効率を高めることができる。
【0032】
但し、濾布21上のスラッジSの厚みが所定量、例えば20mm~100mmを超えると、その後の脱液に長時間を要してしまう。これを防ぐために、スラッジSの厚みが所定量に到達する時間を「回収工程時間」として回収タイマーに設定しておく。そして
図4のステップS12において回収工程時間がタイムアップすると、スラッジ回収工程を終了させる。
【0033】
(液浄化工程)
スラッジ回収工程―スラッジ脱液工程―排出工程を繰り返し、タンク43内堆積スラッジの回収を終了すると、最後の仕上げとして、液その物、液面上面に浮遊し、回収出来なかった液中スラッジ回収工程(液浄化)を行いタンク43内全てのスラッジ除去を行う。 この工程は、
図6に示すようにアッパーシェル22が下降している状態から開始する(ステップS20)。そしてステップS21において、ダーティー液入口弁44、吸入弁52、出口弁55、を”開“とし、この工程ではバイパス弁73を“閉”とし、バキュームポンプ6を“ON”にする。これにより、タンク43内液中間及び液上面のスラッジSを含む液体Lを吸引ノズル42で汲み上げ、ダーティー液導入ライン41を経由してアッパーシェル22内入する。吸引ノズル42は、例えば作業員が手に持って、スラッジSが浮遊している液中間、液上面のスラッジSを液体Lと共に汲み上げるようにする。この工程では、アッパーシェル22内圧上昇検知圧力スイッチ84の検知でスラッジ脱液工程―排出工程で終了の工程を繰り返し、ある時間内でもアッパーシェル22内圧検知圧力スイッチ84の上昇が発生しない場合、又はサンプル液採取でこの工程を終了する。
【0034】
尚この(液浄化工程)では、異物だけでなく異液、例えば切削液では機械加工で混入してくる潤滑油が切削液を腐敗させるバクテリアの繁殖源となるのを防ぐ目的で、分別回収する為、本装置の出口回路に油水分離タンク(比重分離タンク)を設ける。また(重油浄化工程)ではタンク底部に水が異液として堆積しているのを浄化する為、タンク底部から吸引した液を分別回収する為、本装置の出口回路に油水分離タンク(伝導率分離タンク)を設ける。こうして、スラッジ(固形物)だけでなく(異液体)と全ての異物を回収できる。以下、
図13及び
図14を参照しながら、比重分離の好ましい一例を説明する。
【0035】
図13は、タンク43内に切削液と潤滑油(すなわち液体Lと油)が含まれる場合に、比重差(液体L>油)を利用して潤滑油を分離回収する比重分離タンク100の装置構成を示す。比重分離タンク100は、吐出弁55より下流の液体回収ライン53に接続する。作業員は、タンク43の液面上部側にある潤滑油を吸引ノズル42で汲み上げるようにする。比重分離タンク100内は、仕切り壁101によって第1の液室102と第2の液室103に区画している。仕切り壁101は、タンク43底面との間に空間を設けている。従って、比重の大きい切削液は仕切り壁101下端を越えて第2の液室103に流入するが、比重の小さい潤滑油は第1の液室102の上部側に堆積する。第2の液室103に流入した切削液は、液回収管104の下部及び上部から流入し、オーバーフローしてタンク43に回収する。一方、潤滑油は、第1の液室102の上部に設けた液排出ノズル105からオーバーフローして回収タンク106に回収する。
【0036】
図14は、タンク43内に重油と水分(すなわち液体Lと水分)が含まれる場合に、比重差(液体L<水分)を利用して水分を分離回収する比重分離タンク200の装置構成を示す。比重分離タンク200は、吐出弁55より上流の液体回収ライン53に接続する。作業員は、タンク43の底部側にある水分を吸引ノズル42で汲み上げるようにする。比重分離タンク200内は、仕切り壁201を設けてスラッジが流入しても捕捉できるようにするのが好ましい。重油と水分は、比重分離タンク200内で2層に分かれ、比重の小さい重油は、タンク上部の液排出口202からオーバーフローしてタンク43に回収する。一方、比重の大きい水分は、比重分離タンク200内の底部に蓄積していく。液面検出スイッチ203は、重油と水の伝導率の違いを利用して比重分離タンク200内の水分と重油の層の境界面(水の液面或いは重油の液面)を検出する。そして、水分が所定量蓄積したら自動バルブ204を開いて回収タンク205に回収する。
【0037】
(スラッジ脱液工程)
工程は、
図8に示すようにアッパーシェル22が下降している状態から開始する(ステップS30)。そしてステップS31において、バキュームポンプ6を“ON”、吸入弁52、出口弁55及び脱液自動弁82を“開”とする。これにより、バキュームポンプ6による吸引と、アッパーシェル22内に導入した圧縮エアーによる加圧の両方で、濾布21上のスラッジSの脱液を行う(
図9参照)。脱液によりロアーシェル23で受けた液は、バキュームポンプ6,液体吸入ライン51,液体回収ライン53を経由してタンク43に回収する。
【0038】
この工程をスタートすると短時間でロアーシェル23内圧検知のバキュームスイッチ59の負圧が上昇する。一定時間この工程を行うと、濾布21上のスラッジSがほぼ脱液され、スラッジSの層を気体が抜けるようになり、アッパーシェル22内の液が脱液され、バキュームスイッチ59の負圧が低下するのを検知する(ステップS32)。この検知で「脱液工程時間」を設定した脱液タイマーをスタートさせる(ステップS33)さらに、バキュームポンプ6を停止、同時に出口バイパス自動弁58”開“で脱液エアーを液体回収ライン53に排出する(ステップS34)。この動作でバキュームポンプ6の空運転を防ぎポンプ寿命アップを図り、又確実なスラッジ脱液工程が行われてこの工程を終了する(ステップS35)。
【0039】
(スラッジ排出・濾布洗浄工程)
工程は
図11に示すように、アッパーシェル2内を大気圧になるようダーティー液入口弁44を”開“とし、スラッジ排出・濾布洗浄工程を開始する。開始後一定時間(例えば、所定の数秒間)、スラッジ剥離弁85を開き、ロアーシェル23内に圧縮エアーを送り、脱液工程によってロアーシェル23上部の濾布支持部(例えば、金網)の上面に張り付いた濾布21を剥がす(ステップS40)。これにより濾布21移動時の負荷を減らし、さらにアッパーシェル2の側面の周囲壁に張り付いたスラッジも剥離させ、アッパーシェル2上昇時にスラッジが容易に濾布21上に落下するようにする。スラッジ剥離タイマーのタイムアウトによりスラッジ剥離弁85を閉じた後(ステップS41)、エアーシリンダー自動弁34である三方弁を切り替え、エアーシリンダー3を駆動し、アッパーシェル2を上昇させる(ステップS42)。そしてステップS43において、洗浄液吸入弁17を“開”、バキュームポンプ6、ベルト洗浄自動弁16”開“,ベルトモーター26をそれぞれ“ON”にする。さらに、濾布21の移動量を時間で設定した濾布移動タイマーをスタートさせる。これにより、濾布21を回動させ、駆動ローラー24で濾布21が反転するときにスラッジSが落下して排出口11から排出される(
図11)。排出されたスラッジSはスラッジ台車Bに回収する。
【0040】
スラッジSを排出した濾布21は、ブラシ又はエアーブロー13によって表面に付着しているスラッジSが掻き落とされる。そしてベルト洗浄ノズル14から噴射する液で洗浄(逆先)される。この濾布21の洗浄は、濾布移動タイマーの設定時間の間、継続する。洗浄後の液は、筐体10のタレ受け12で受け、液体回収ライン53を経由してタンク43に戻す。
【0041】
そしてステップS44において、濾布移動タイマーがタイムアップし、濾布21が所定の位置まで移動し、スラッジ排出・濾布洗浄工程を終了させる。タンク43内にスラッジSが無くなるまでスラッジ回収工程-液浄化工程―脱液工程-排出・洗浄工程を繰り返すのが好ましい。
【0042】
なお、タンク43内の液中に浮遊するスラッジSを吸引ノズル43で吸引する場合、タンク底部から吸引するよりもポンプ吸引量が少ないので、バイパスライン71のバイパス弁73を閉じて行ってもよい。
【0043】
液中スラッジ回収脱液装置1は、手動と自動運転の組合わせにより、作業者の取り扱い不便を感じさせない方式とすることが望ましい。全自動運転方式も可能であるがコスト面も考慮して、一部手動操作と自動運転方式が好適である。
【0044】
上述の液中スラッジ回収脱液装置1によれば、アッパーシェル22内に流速減衰整流管7を配置すると共に、バイパスライン71を通じてバキュームポンプ6で吸引可能な構成としたことにより、スラッジ回収工程における流量の低下を抑え、液中スラッジ回収脱液装置装置1の処理効率を向上させることができる。
【0045】
すなわち、タンク43が例えば切削液タンクの場合、機械加工稼働時間と共に微細切粉がタンク底に堆積し、切削液の腐敗、送液ポンプの詰まりによる送液不良、切粉堆積による冷却液の液量減少など、様々なトラブルが発生する原因となる。また、タンク43が例えば非常用電源発電機用の重油タンクの場合、長時間の保管で重油とスラッジが分離してタンク底に堆積し、非常時に発電機を運転する際、配管詰まりや送液ポンプの詰まりなどトラブルの原因となる。この様なトラブルを防ぐ為、定期的にタンク43からスラッジを回収、脱液することが望まれている。
【0046】
しかしながら、スラッジを除去するためにタンク43の液を抜いて清掃するのは容易ではなく、専門の清掃業者に有償で依頼すると、清掃のインターバルが長くなり、トラブル発生の確立が高くなってしまう。そのため、流量が低下するのを防ぎ、スラッジの回収効率を向上させた液中スラッジ回収脱液装置1を具現化したことの効果は大きい。
【0047】
以上、本実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 液中スラッジ回収脱液装置
13 ブラシ又はエアーブロー
14 ベルト洗浄ノズル
2 濾過器
21 濾布
22 アッパーシェル
23 ロアーシェル
41 ダーティー液導入ライン
42 吸引ノズル
43 タンク
51,53 液体回収ライン
6 バキュームポンプ
7 流速減衰整流管
71 バイパスライン
81 脱液用の圧縮エアー供給ライン