(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109812
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】生物製剤の製造のためのユニバーサル自己調節性哺乳動物細胞株プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/63 20060101AFI20230801BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230801BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20230801BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230801BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230801BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N15/85 Z
C12N15/11 Z
C12N15/12
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076615
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2019569214の分割
【原出願日】2018-06-15
(31)【優先権主張番号】62/521,005
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】ヤング, ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】オキャラハン, ピーター, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, トーマス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レプレッサーポリペプチドを使用して、条件の変更に応じて、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドの転写率を低減する、遺伝制御回路、細胞及び方法を提供する。
【解決手段】外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、任意選択で、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントとを含む細胞であって、i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又はii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で、可逆性に調節される、細胞である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞ストレスに応答する遺伝制御回路を使用して細胞及び細胞株によって、生成物、例えば、組換えタンパク質の発現を調節する方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
組換え治療用タンパク質は、細胞発現系、例えば、哺乳動物細胞発現系において一般に発現される。2014年に、市販の承認された生物学的製剤の総数は、212であり、FDAによって市販のための承認された治療用製品の56%は、哺乳動物細胞株において製造されている。しかし、製造と関連する高コストが、世界的な医療経皮の増大に寄与している。
【0003】
さらに、次世代融合タンパク質、多量体糖タンパク質又は次世代抗体などの次世代タンパク質生物製剤(NGB)は、複雑な及び/又は非天然構造を有することが多く、モノクローナル抗体などの分子よりも発現することがより困難であるとわかっている。現在の宿主細胞株は、NGBの効率的な合成及び分泌のための経路を進化させておらず、その結果、大幅に低減された増殖、低い生産性となり、生成物品質(PQ)性状の悪い製品となることも多い。したがって、これらのNGBは、発現することが困難と考えられ、これでは、生産性及び生成物品質は、臨床的及び商業的要求を満たさない。したがって、最終生成物品質を維持しながら、組換え生物学的治療薬を迅速に、効率的に、及び費用効率的に開発し、製造する必要性が高まっている。
【0004】
哺乳動物細胞株を使用する組換えタンパク質の合成のための現在の遺伝子発現系は、細胞培養条件又は宿主細胞の代謝に関わらず、構成的に活性であり、組換えタンパク質生成物遺伝子の転写を指示する。このような系は、生成物遺伝子転写を、内因性宿主細胞タンパク質について生じるように宿主細胞株の細胞内状態と調整することができず、特に、NGBについて細胞ストレス及び不十分な生成物結果につながる。NGBが、本発明者らの現在の細胞株及び遺伝子発現系を限界に達せさせているので、組換えタンパク質生成物遺伝子の転写を宿主細胞の全体的な代謝とより良好に調整する必要がある。これは、細胞ストレスのレベルを下げ、本発明者らの哺乳動物細胞工場の、高レベルの、正しい生成物品質性状(例えば、グリコシル化プロフィール、正しいフォールディング構造など)を有する生成物を生成する既存の能力をより良好に利用するのに役立つであろう。
【0005】
哺乳動物宿主細胞株が、高レベルの組換えタンパク質生成物、特に、NGBを構成的に合成するように制約される場合又はタンパク質を発現することが困難である場合、フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)と呼ばれる細胞ストレス経路が、ミスフォールディングされたタンパク質の蓄積によって活性化される。これは、細胞が十分な時間、現在のタンパク質負荷を正しくプロセシングし、フォールディングすることを可能にするための、タンパク質翻訳の全般的な全体的低下につながる。このようなストレス応答の活性化は、組換えタンパク質生成物の全体的な収量に対してだけでなく、望ましいPQプロファイルに対しても阻害性である。
【0006】
[発明の概要]
一態様では、本開示は、レプレッサーポリペプチド(例えば、ヌクレアーゼ活性(dCas9)を欠くCas9タンパク質のバージョン(CRISPR-Cas9遺伝子編集系に由来する))を使用して、状態の変化(例えば、細胞ストレスの増大)に応じて、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドの転写率を低減する遺伝制御回路を特徴とする。状態の変化に応じて、状態依存性遺伝子プロモーターは、レプレッサーポリペプチド遺伝子の転写率を増大する。生じたレプレッサーポリペプチドは、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドと、又は遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドに作動可能に連結された制御エレメントと結合する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドがCas9のバージョンを含む場合には、レプレッサーポリペプチドは、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチド又はそれに作動可能に連結された制御エレメントに対して相同性を有する少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)の同時発現のために、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドと、又は遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドに作動可能に連結された制御エレメントと結合する。レプレッサーポリペプチドが、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチド又はそれに作動可能に連結された制御エレメントと結合している場合には、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドの転写率が低減され、治療用ポリペプチドの細胞内mRNAコピー数の低下につながる。いくつかの実施形態では、状態の変化は、細胞ストレスの変化、例えば、細胞ストレスの増大又はストレスがない状況からストレスがある状況への移行であり、細胞ストレスの変化は、哺乳動物UPRの活性化であるが、その他の細胞ストレス応答もこの使用のために充てることができる。一実施形態では、遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチドは、hCMVプロモーターの制御下で転写されるが、その他のプロモーターを使用してもよい(例えば、mCMV及びハイブリッドCMVプロモーター)。遺伝子をコードする外因性治療用ポリペプチド転写率を低減することによって、宿主細胞での外因性治療用ポリペプチドの生合成負荷が低減され、それによって、初期細胞ストレス応答を軽減する。この方法で、宿主細胞株は、組換えタンパク質生成物遺伝子の転写率を自己調節し、初期細胞ストレス応答の長期活性化を避けることができる。ひとたび、初期ストレス応答が軽減されると、外因性治療用ポリペプチドの転写率は、経時的に抑制解除される。細胞が、細胞の生合成能をより良好に利用するために、組換え遺伝子発現を、細胞の生理学的状況全体と最適に調整するので、これは、組換えタンパク質の収率の全体的な増大を経時的にもたらし得る。
【0007】
一態様では、本開示は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントを含む遺伝制御回路を特徴とし、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、遺伝制御回路は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0008】
一態様では、本開示は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む細胞、例えば、CHO細胞を特徴とし、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、細胞は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。いくつかの実施形態では、細胞は、さらに任意選択で、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10又はそれより多い制御エレメントを含む。一実施形態では、全シグナル伝達経路は、本明細書において開示される方法を使用して経路において単一節を制御することによって制御される。いくつかの実施形態では、全シグナル伝達経路は、例えば、経路の異なる配列を調節する異なるプロモーターを使用することによってシグナル伝達経路の複数の代謝分岐を制御することによって制御される。したがって、本発明の方法は、自己調節性細胞においていくつかの層の制御を提供する。例えば、翻訳伸長開始因子は、複数の経路を制御できるグローバル節点の一例である。或いは、ローカル節点の一例として、組換え抗体重鎖ポリペプチドのAsn297と付着しているグリカンにガラクトース残基を付加し、ガラクトース及びシアル酸残基の両方を有するN-グリカンを作製するのに必要である酵素ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子がある。
【0009】
一態様では、本開示は、挿入部位、例えば、制限部位又はSSI部位に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む細胞、例えば、CHO細胞を特徴とし、挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、細胞は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0010】
一態様では、本開示は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む細胞、例えば、CHO細胞を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキットを特徴とし、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、細胞は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0011】
一態様では、本開示は、第1の制御エレメント、例えば、挿入部位、例えば、制限部位又はSSI部位に作動可能に連結された第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む細胞、例えば、CHO細胞を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキットを特徴とし、挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、細胞は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0012】
一態様では、本開示は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む1又は複数の核酸を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキットを特徴とし、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、キットは、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0013】
一態様では、本開示は、挿入部位、例えば、制限部位に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む1つ又は複数の核酸を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキットを特徴とし、挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、キットは、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む核酸を含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0014】
一態様では、本開示は、治療用ポリペプチドを作製する方法であって、a)外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む細胞、例えば、CHO細胞を獲得するステップであって、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少されるステップと、b)細胞を治療用ポリペプチドを作製することを可能にする条件下で培養し、それによって治療用ポリペプチドを作製するステップとを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、a)の細胞は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0015】
一態様では、本開示は、治療用ポリペプチドを作製する方法であって、a)細胞、例えば、CHO細胞を獲得するステップと、b)細胞中で、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、c)細胞中で、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップとを含み、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少されるステップと、d)細胞を治療用ポリペプチドを作製するのを可能にする条件下で培養し、それによって、治療用ポリペプチドを作製するステップとを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、方法は、さらに任意選択で、c)とd)の間に、細胞中で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップを含むさらなるステップを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0016】
一態様では、本開示は、治療用ポリペプチドを作製する方法であって、a)細胞、例えば、CHO細胞を獲得するステップと、b)細胞中で、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、c)細胞中で、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップと、任意選択で、d)細胞中で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップであって、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少されるステップと、e)細胞を治療用ポリペプチドを作製することを可能にする条件下で培養し、それによって治療用ポリペプチドを作製するステップとを含む方法を特徴とする。実施形態では、ステップa~dを任意の順序で実施できる。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0017】
一態様では、本開示は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む核酸を特徴とし、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、核酸は、さらに任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0018】
一態様では、本開示は、挿入部位、例えば、制限部位に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーター及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターを含む核酸を特徴とし、挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現は調節される、例えば、減少される。いくつかの実施形態では、核酸は、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0019】
一態様では、本発明の開示は、本開示の細胞を作製する方法であって、a)細胞中で、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、b)細胞中で、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップであって、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少又は増加され、それによって、細胞を作製するステップとを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、方法は、細胞中で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターをコードする第3の核酸配列を形成又は提供することを含むステップc)をさらに含む。実施形態では、ステップa~cは任意の順序で実施できる。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0020】
一態様では、本発明の開示は、目的生成物品質性状を有するポリペプチド、例えば、外因性治療用ポリペプチドの経済的に増強された収量をもたらすことが可能な細胞を作製する方法であって、a)細胞中で、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、b)細胞中で、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップであって、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少又は増大され、それによって、目的生成物品質性状を有するポリペプチド、例えば、外因性治療用ポリペプチドの経済的に増強された収量をもたらすことが可能な細胞を作製するステップとを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、方法は、細胞中で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターをコードする第3の核酸配列を形成又は提供することを含むステップc)をさらに含む。実施形態では、ステップa~cを任意の順序で実施できる。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0021】
一態様では、本発明の開示は、表1~4から選択される外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された表5から選択される第1の制御エレメントと、Cas9ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された表6から選択される第2の制御エレメントと、構成的に発現される1又は複数のgRNA配列とを含み、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される細胞を特徴とする。
【0022】
一態様では、本発明の開示は、1又は複数の細胞が、第1の条件を含み、1又は複数の細胞が、第2の条件を含む、本明細書において記載される複数の細胞を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dは、状態、例えば、細胞ストレスに応じて組換え又は治療用ポリペプチド生成物遺伝子の転写を調節する遺伝制御回路の設計原理の模式図を示す図である。
図1Aでは、組換えタンパク質の生成がストレス/毒性を誘導し、これはレプレッサーの生成を活性化し、それによって組換え又は治療用ポリペプチド発現の直接阻害を伴う。
図1Bでは、
図1Aにおける得られた組換え又は治療用ポリペプチド発現の阻害が、ストレス/毒性を最終的に排除し、レプレッサーの活性化を除去し、間接的に組換え又は治療用ポリペプチド発現の受動的増大につながる。事実上、この系は、宿主細胞においてストレス/毒性を誘導する特定のレベル付近の組換え又は治療用ポリペプチド発現の経時的周期的変動につながり得る(
図1C)。制御のさらなる任意選択の層を、細胞ストレス/毒性が軽減されると活性になる組換え又は治療用ポリペプチド発現の正のアクチベーターを含むこの基礎回路に適用することができる(
図1D)。
【
図1B】
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dは、状態、例えば、細胞ストレスに応じて組換え又は治療用ポリペプチド生成物遺伝子の転写を調節する遺伝制御回路の設計原理の模式図を示す図である。
図1Aでは、組換えタンパク質の生成がストレス/毒性を誘導し、これはレプレッサーの生成を活性化し、それによって組換え又は治療用ポリペプチド発現の直接阻害を伴う。
図1Bでは、
図1Aにおける得られた組換え又は治療用ポリペプチド発現の阻害が、ストレス/毒性を最終的に排除し、レプレッサーの活性化を除去し、間接的に組換え又は治療用ポリペプチド発現の受動的増大につながる。事実上、この系は、宿主細胞においてストレス/毒性を誘導する特定のレベル付近の組換え又は治療用ポリペプチド発現の経時的周期的変動につながり得る(
図1C)。制御のさらなる任意選択の層を、細胞ストレス/毒性が軽減されると活性になる組換え又は治療用ポリペプチド発現の正のアクチベーターを含むこの基礎回路に適用することができる(
図1D)。
【
図1C】
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dは、状態、例えば、細胞ストレスに応じて組換え又は治療用ポリペプチド生成物遺伝子の転写を調節する遺伝制御回路の設計原理の模式図を示す図である。
図1Aでは、組換えタンパク質の生成がストレス/毒性を誘導し、これはレプレッサーの生成を活性化し、それによって組換え又は治療用ポリペプチド発現の直接阻害を伴う。
図1Bでは、
図1Aにおける得られた組換え又は治療用ポリペプチド発現の阻害が、ストレス/毒性を最終的に排除し、レプレッサーの活性化を除去し、間接的に組換え又は治療用ポリペプチド発現の受動的増大につながる。事実上、この系は、宿主細胞においてストレス/毒性を誘導する特定のレベル付近の組換え又は治療用ポリペプチド発現の経時的周期的変動につながり得る(
図1C)。制御のさらなる任意選択の層を、細胞ストレス/毒性が軽減されると活性になる組換え又は治療用ポリペプチド発現の正のアクチベーターを含むこの基礎回路に適用することができる(
図1D)。
【
図1D】
図1A、
図1B、
図1C及び
図1Dは、状態、例えば、細胞ストレスに応じて組換え又は治療用ポリペプチド生成物遺伝子の転写を調節する遺伝制御回路の設計原理の模式図を示す図である。
図1Aでは、組換えタンパク質の生成がストレス/毒性を誘導し、これはレプレッサーの生成を活性化し、それによって組換え又は治療用ポリペプチド発現の直接阻害を伴う。
図1Bでは、
図1Aにおける得られた組換え又は治療用ポリペプチド発現の阻害が、ストレス/毒性を最終的に排除し、レプレッサーの活性化を除去し、間接的に組換え又は治療用ポリペプチド発現の受動的増大につながる。事実上、この系は、宿主細胞においてストレス/毒性を誘導する特定のレベル付近の組換え又は治療用ポリペプチド発現の経時的周期的変動につながり得る(
図1C)。制御のさらなる任意選択の層を、細胞ストレス/毒性が軽減されると活性になる組換え又は治療用ポリペプチド発現の正のアクチベーターを含むこの基礎回路に適用することができる(
図1D)。
【
図2】
図2は、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)活性化プロモーターから制御されるレプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動される組換え又は治療用ポリペプチド(rP)転写を示す例示的遺伝制御回路を表す図である。この例では、rPを合成する時に起こり得るUPRの活性化時に、レプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9が生成される。gRNAと組み合わせて、dCas9は、UPRストレス応答が軽減されるまで、hCMVプロモーターと結合し、rP生成を阻害する。
【
図3A】
図3Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、構成的mCMVプロモーターから制御される、レプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるGFP転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、構成的に発現されたdCas9は、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、GFP発現を阻害する。
図3Bは、hCMV-eGFPを安定に発現するCHO細胞であって、1)空の発現ベクター(UTC)、2)dCas9をコードする発現ベクター又は3)dCas9をコードする発現ベクター及びhCMVに対する特異性を有する3つのgRNAをコードする発現ベクターを用いてトランスフェクトされたCHO細胞のGFP蛍光を示すフローサイトメトリーヒストグラムを表す図である。
【
図3B】
図3Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、構成的mCMVプロモーターから制御される、レプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるGFP転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、構成的に発現されたdCas9は、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、GFP発現を阻害する。
図3Bは、hCMV-eGFPを安定に発現するCHO細胞であって、1)空の発現ベクター(UTC)、2)dCas9をコードする発現ベクター又は3)dCas9をコードする発現ベクター及びhCMVに対する特異性を有する3つのgRNAをコードする発現ベクターを用いてトランスフェクトされたCHO細胞のGFP蛍光を示すフローサイトメトリーヒストグラムを表す図である。
【
図4A】
図4Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、構成的mCMVプロモーターによって制御されるレプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である、2つの別個の第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるMab HC及びMab LC転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、構成的に発現されたdCas9は、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、Mab HC及びMab LC発現を阻害する。
図4Bは、トランスフェクションの3、4若しくは5日後の、DNAなし、dCas9をコードする発現ベクター又はdCas9及びhCMVに対して特異性を有する1つ、2つ若しくは3つのgRNAをコードする発現ベクターを用いて一過性にトランスフェクトされたCHO細胞から得たhCMV-Mabレベルのグラフを表す図である。
【
図4B】
図4Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、構成的mCMVプロモーターによって制御されるレプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である、2つの別個の第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるMab HC及びMab LC転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、構成的に発現されたdCas9は、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、Mab HC及びMab LC発現を阻害する。
図4Bは、トランスフェクションの3、4若しくは5日後の、DNAなし、dCas9をコードする発現ベクター又はdCas9及びhCMVに対して特異性を有する1つ、2つ若しくは3つのgRNAをコードする発現ベクターを用いて一過性にトランスフェクトされたCHO細胞から得たhCMV-Mabレベルのグラフを表す図である。
【
図5A】
図5Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)ストレス誘導性Grp78プロモーターから制御されるレプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるGFP転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、UPRストレスは、dCas9の発現を促進し、これは、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、GFP発現を阻害する。
図5Bは、hCMV-eGFPを安定に発現するCHO細胞であって、1)空の発現ベクター(WT)、2)Grp78プロモーター下にdCas9をコードする発現ベクター(Grp78 dCas9制御)又は3)Grp78プロモーター下にdCas9をコードする発現ベクター及びhCMVプロモーターに対して特異性を有するgRNAをコードする発現ベクターのいずれかを用いて一過性にトランスフェクトされており、400ng/mLツニカマイシン(TM)を用いて処理されている、又はTMを用いて処理されていない(0TM)CHO細胞のGFP蛍光を示すフローサイトメトリーデータのグラフを表す図である。
【
図5B】
図5Aは、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメント、例えば、フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)ストレス誘導性Grp78プロモーターから制御されるレプレッサーポリペプチド、例えば、dCas9の不在下で構成的である第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、例えば、hCMVプロモーターによって駆動されるGFP転写を示す遺伝制御回路を表す図である。この例では、UPRストレスは、dCas9の発現を促進し、これは、gRNA1、2又は3(hCMVに対して特異的であり、U6プロモーターから構成的に生成される)と組み合わせて、hCMVプロモーターと結合し、GFP発現を阻害する。
図5Bは、hCMV-eGFPを安定に発現するCHO細胞であって、1)空の発現ベクター(WT)、2)Grp78プロモーター下にdCas9をコードする発現ベクター(Grp78 dCas9制御)又は3)Grp78プロモーター下にdCas9をコードする発現ベクター及びhCMVプロモーターに対して特異性を有するgRNAをコードする発現ベクターのいずれかを用いて一過性にトランスフェクトされており、400ng/mLツニカマイシン(TM)を用いて処理されている、又はTMを用いて処理されていない(0TM)CHO細胞のGFP蛍光を示すフローサイトメトリーデータのグラフを表す図である。
【
図6A】
図6A~
図6Cは、CHO宿主細胞株における一過性の組換えタンパク質発現に対する遺伝制御回路の影響を示す図である。
図6Aは、発現ベクターに含有される遺伝制御回路を示す図であり、dCas9遺伝子は、Grp78プロモーター下にあり、hCMVプロモーターに対して特異性を有する3つのgRNA配列(gRNA1、2及び3)は各々、別個の構成的U6プロモーター下にある(gRNA123回路)。このベクターのバリアントは、gRNA1、2及び3配列の代わりにgRNA14配列を含有していた(sgRNA14回路)。
図6Bは、いくつかの発現が困難である組換えタンパク質をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の、制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された組換えタンパク質濃度を示す図である。組換えタンパク質濃度は、一過性トランスフェクションの6日後に決定した。親のCHO細胞株は、遺伝制御回路を欠く。エラーバーは、2連で実施したブリナツモマブベクターを用いる親の細胞株のトランスフェクションを除くすべてのデータ点の3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
図6Cは、高度凝集性Mab H9K7をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された、6日目の組換えタンパク質濃度を示す図である。トランスフェクションの24時間後に、一過性トランスフェクションフラスコの半量を、0.1μg/mLの濃度のUPR-インデューサーツニカマイシン(TM)を用いて処置した。エラーバーは、3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
【
図6B】
図6A~
図6Cは、CHO宿主細胞株における一過性の組換えタンパク質発現に対する遺伝制御回路の影響を示す図である。
図6Aは、発現ベクターに含有される遺伝制御回路を示す図であり、dCas9遺伝子は、Grp78プロモーター下にあり、hCMVプロモーターに対して特異性を有する3つのgRNA配列(gRNA1、2及び3)は各々、別個の構成的U6プロモーター下にある(gRNA123回路)。このベクターのバリアントは、gRNA1、2及び3配列の代わりにgRNA14配列を含有していた(sgRNA14回路)。
図6Bは、いくつかの発現が困難である組換えタンパク質をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の、制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された組換えタンパク質濃度を示す図である。組換えタンパク質濃度は、一過性トランスフェクションの6日後に決定した。親のCHO細胞株は、遺伝制御回路を欠く。エラーバーは、2連で実施したブリナツモマブベクターを用いる親の細胞株のトランスフェクションを除くすべてのデータ点の3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
図6Cは、高度凝集性Mab H9K7をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された、6日目の組換えタンパク質濃度を示す図である。トランスフェクションの24時間後に、一過性トランスフェクションフラスコの半量を、0.1μg/mLの濃度のUPR-インデューサーツニカマイシン(TM)を用いて処置した。エラーバーは、3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
【
図6C】
図6A~
図6Cは、CHO宿主細胞株における一過性の組換えタンパク質発現に対する遺伝制御回路の影響を示す図である。
図6Aは、発現ベクターに含有される遺伝制御回路を示す図であり、dCas9遺伝子は、Grp78プロモーター下にあり、hCMVプロモーターに対して特異性を有する3つのgRNA配列(gRNA1、2及び3)は各々、別個の構成的U6プロモーター下にある(gRNA123回路)。このベクターのバリアントは、gRNA1、2及び3配列の代わりにgRNA14配列を含有していた(sgRNA14回路)。
図6Bは、いくつかの発現が困難である組換えタンパク質をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の、制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された組換えタンパク質濃度を示す図である。組換えタンパク質濃度は、一過性トランスフェクションの6日後に決定した。親のCHO細胞株は、遺伝制御回路を欠く。エラーバーは、2連で実施したブリナツモマブベクターを用いる親の細胞株のトランスフェクションを除くすべてのデータ点の3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
図6Cは、高度凝集性Mab H9K7をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の制御回路を含有する安定なCHOプールから生成された、6日目の組換えタンパク質濃度を示す図である。トランスフェクションの24時間後に、一過性トランスフェクションフラスコの半量を、0.1μg/mLの濃度のUPR-インデューサーツニカマイシン(TM)を用いて処置した。エラーバーは、3連のトランスフェクションの標準偏差を表す。
【
図7A】
図7A及び
図7Bは、
図6A~
図6Cに記載されるようないくつかの発現が困難である組換えタンパク質をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の制御回路を含有する安定なCHOプールによって合成されたタンパク質の組換えタンパク質凝集のレベルを示す図である。組換えタンパク質凝集のレベルは、Obrezanovaら MAbs. 2015年;7巻(2号):352~63頁に記載されるように、オリゴマー検出アッセイ(ODA)によって細胞培養上清サンプルから決定した。このアッセイを使用して、タンパク質凝集の減少は、450nmでの吸光度の減少によって表される。
図7Aは、
図6Bにおいて濃度についてアッセイされた細胞培養上清サンプルの凝集データを示し、
図7Bは、
図6Cにおいて濃度についてアッセイされた細胞培養上清サンプルの凝集データを示す。
【
図7B】
図7A及び
図7Bは、
図6A~
図6Cに記載されるようないくつかの発現が困難である組換えタンパク質をコードする発現ベクターを用いる一過性トランスフェクション後の制御回路を含有する安定なCHOプールによって合成されたタンパク質の組換えタンパク質凝集のレベルを示す図である。組換えタンパク質凝集のレベルは、Obrezanovaら MAbs. 2015年;7巻(2号):352~63頁に記載されるように、オリゴマー検出アッセイ(ODA)によって細胞培養上清サンプルから決定した。このアッセイを使用して、タンパク質凝集の減少は、450nmでの吸光度の減少によって表される。
図7Aは、
図6Bにおいて濃度についてアッセイされた細胞培養上清サンプルの凝集データを示し、
図7Bは、
図6Cにおいて濃度についてアッセイされた細胞培養上清サンプルの凝集データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書において引用されるありとあらゆる特許、特許出願及び刊行物の開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。本発明は特定の態様を参照して開示されているが、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の当業者によって本発明のその他の態様及び変法が考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような態様及び同等の変法を含むと解釈されるように意図される。
【0025】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において使用できるが、適した方法及び材料を以下に記載する。本明細書において記載されるすべての刊行物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、その全文が参照により組み込まれる。さらに、材料、方法及び実施例は、単に例示であって制限であるように意図されない。見出し、小見出し又は番号付き若しくは文字付き要素、例えば、(a)、(b)、(i)などは、単に読みやすさのために提示されている。この文書における見出し又は番号付き若しくは文字付き要素の使用は、ステップ若しくは要素が、アルファベット順に実施されること又はステップ若しくは要素が必ずしも互いに別個であることを必要としない。本発明のその他の特徴、目的及び利点は、図面の説明から及び特許請求の範囲から明らかとなろう。本明細書において使用される技術用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであって、制限であるように意図されないということも理解されるべきである。
【0026】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)冠詞の文法上の目的語を指すために本明細書において使用される。例として、「1つの細胞」は、1つの細胞又は1つより多い細胞を意味し得る。
【0027】
本明細書において、用語「遺伝制御回路」とは、遺伝子発現エレメント、例えば、タンパク質をコードする配列、制御エレメント又はプロモーターエレメントの配列を指し、遺伝制御回路は、組換え又は治療用ポリペプチド生成物をコードする少なくとも1つのタンパク質をコードする配列を含み、遺伝制御回路は、組換え又は治療用ポリペプチド生成物の発現を条件依存性に調節するその他の遺伝子発現エレメントを含む。一実施形態では、遺伝制御回路は、組換え又は治療用ポリペプチド生成物をコードする少なくとも1つのタンパク質をコードする配列の代わりに、1又は複数のタンパク質をコードする配列の挿入のための適した挿入部位、例えば、制限部位、組換え標的部位又はランディングパッドを含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝制御回路は、単一核酸分子の連続部分、単一核酸分子の複数の別個の部分を含み得る、又は1つより多い核酸分子にわたって分布していることもある。
【0028】
本明細書において、用語「制御エレメント」とは、コード配列、例えば、遺伝子の発現を調節(例えば、増大又は減少)するのに適した核酸を指す。制御エレメントは、プロモーター配列、エンハンサー配列又はプロモーター及びエンハンサー配列の両方を含み得る。制御エレメントは、連続する核酸配列、不連続の核酸配列(その他のコーディング又は非コーディング核酸配列によって中断された配列)又は両方を含み得る。単一制御エレメントは、単一核酸又は1つより多い核酸に含まれ得る。一実施形態では、制御エレメントは、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列の配列5’又は3’を含み得る。一実施形態では、制御エレメントは、遺伝子、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子の1つ又は複数のイントロン内に配列を含み得る。一実施形態では、制御エレメントは、部分的に又はその全体で、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列の配列5’又は3’内に含まれ得る。一実施形態では、制御エレメントは、部分的に又はその全体で、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列内に含まれ得る。一実施形態では、制御エレメントは、部分的に又はその全体で、遺伝子、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子の1つ又は複数のイントロン内に含まれ得る。一実施形態では、単一制御エレメントは、i)遺伝子、例えば、組換え、治療用若しくはレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子に対して近位の(例えば、隣接する又は内部に含有される)又はii)(例えば、個別及び別個の核酸に配置された、10若しくはそれより多い、100若しくはそれより多い、1000若しくはそれより多い又は10,000若しくはそれより多い塩基によってわけられた)遺伝子、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子に対して遠位の核酸配列を含み得る。
【0029】
本明細書において、用語「プロモーターエレメント」とは、コード配列とプロモーターエレメントを作動可能に連結することが、コード配列の発現をもたらすような、天然に存在する又は遺伝子操作されたプロモーターに由来する十分な配列を有する配列を指す。例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターエレメントは、CMVプロモーターのすべて又は活性断片、例えば、任意選択で、イントロンA及び/又はUTR配列を含む、CMVプロモーターのすべて又は活性断片を含む。一実施形態では、CMVプロモーターエレメントは、天然に存在する又は遺伝子操作されたバリアントCMVプロモーターに由来するわずか5、10、20、30、50又は100のヌクレオチドで異なる。一実施形態では、CMVプロモーターエレメントは、天然に存在する又は遺伝子操作されたバリアントCMVプロモーターに由来するそのヌクレオチドのわずか1、5、10又は50%で異なる。遺伝子操作されたプロモーターは、合成(天然に存在しない)配列を含むプロモーターである。一実施形態では、遺伝子操作されたプロモーターは、天然に存在する転写調節エレメント(例えば、Brownら Biotechnology and Bioengineering、111巻、8号、2014年、8月に記載のとおり)の天然に存在しない再配列を含む。一実施形態では、本開示の細胞、核酸及び方法において使用するためのプロモーターエレメントは、遺伝子操作されたプロモーター、例えば、合成(天然に存在しない)配列を含むプロモーターに由来する十分な配列を有し、コード配列をプロモーターエレメントに作動可能に連結することは、コード配列の発現をもたらす。本明細書において使用されるプロモーターエレメントは、構成的であり、調節され、抑制可能であり、強い、弱い又はプロモーターエレメントが含むプロモーター配列のその他の特性であり得る。一実施形態では、プロモーターエレメントは、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列の配列5’又は3’を含み得る。一実施形態では、プロモーターエレメントは、遺伝子、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子の1つ又は複数のイントロン内に配列を含み得る。一実施形態では、プロモーターエレメントは、部分的に又はその全体で、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列の配列5’又は3’内に含まれ得る。一実施形態では、プロモーターエレメントは、部分的に又はその全体で、コード配列、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドのコード配列内に含まれ得る。一実施形態では、プロモーターエレメントは、部分的に又はその全体で、遺伝子、例えば、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする遺伝子の1つ又は複数のイントロン内に含まれ得る。
【0030】
本明細書において、用語「作動可能に連結された」とは、ポリペプチドをコード核酸配列と制御エレメント間の関係を指し、ポリペプチドをコードする配列と制御エレメントは、それらが、制御エレメントがポリペプチドをコードする配列の発現を調節するのに適した方法で配置されている場合に作動可能に連結される。したがって、異なる制御エレメントについて、作動可能に連結されたとは、制御エレメントに対して、ポリペプチドをコードする配列の異なる配置を構成する。例えば、ポリペプチドをコードする配列は、プロモーターエレメント及びポリペプチドをコードする配列が、同一核酸に互いに近位に配置される場合に、プロモーターエレメントを含む制御エレメントに作動可能に連結され得る。別の例では、ポリペプチドをコードする配列は、エンハンサー配列及びポリペプチドをコードする配列が、同一核酸で適した数の塩基だけ離れて配置される場合又はさらに個別及び別個の核酸に配置される場合に、遠位に作動するエンハンサー配列を含む制御エレメントに作動可能に連結され得る。挿入部位、例えば、制限部位、ランディングパッド又はSSI部位はまた、挿入部位に挿入されたポリペプチドをコードする配列が、制御エレメントに作動可能に連結される場合に、制御エレメントに作動可能に連結され得る。
【0031】
本明細書において、用語「内因性」とは、生物、細胞、組織又は系に由来する、又はその内側で天然に生成された任意の材料を指す。
【0032】
本明細書において、用語「組換え標的部位」は、ターゲッティングされた組換えにとって必須である、リコンビナーゼと一緒にそれを可能にする、及びこのような組換えの位置を規定するヌクレオチドのストレッチである。
【0033】
本明細書において、遺伝子、例えば、組換え、例えば、治療用、レプレッサー、又は選択マーカー、ポリペプチドをコードする遺伝子の「両端に位置する」又は「両端に位置している」遺伝子とともに使用される用語「組換え標的部位」とは、組換え標的部位が前記遺伝子の5’及び3’に位置していることを意味し、それは、一方の標的部位が、対象の遺伝子コード配列の5’に位置し、もう一方の標的部位が3’に位置することを意味する。組換え標的部位は、対象の遺伝子コード配列に直接隣接して位置する場合も、規定の距離に位置する場合もある。両端に位置する配列、特に、組換え標的部位の両端に位置するものは、フォワード又はリバース配向で位置し、好ましくは、両方ともフォワードであり、又は好ましくは、両方ともリバース配向にある。
【0034】
本明細書において、用語「外因性」とは、生物、細胞、組織又は系に導入される、又はその外側で生成された任意の材料を指す。したがって、「外因性核酸」とは、生物、細胞、組織又は系に導入される、又はその外側で生成される核酸を指す。一実施形態では、外因性核酸の配列は、外因性核酸が導入される生物、細胞、組織又は系の内側で天然に生成されない、又は天然に見出されることができない。同様に、「外因性ポリペプチド」とは、例えば、外因性核酸配列からの発現によって外因性ポリペプチドが導入される生物、細胞、組織又は系の内側で天然に生成されない、又は天然に見出されることができないポリペプチドを指す。
【0035】
本明細書において、用語「異種」とは、異なる種に由来する生物、細胞、組織又は系に導入される場合のある種に由来する任意の材料を指す。
【0036】
本明細書において、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」は、同義的に使用され、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)又はそれらのDNA又はRNAの組合せ及び一本鎖又は二本鎖の形態のいずれかのそのポリマーを指す。用語「核酸」として、限定されるものではないが、遺伝子、cDNA又はmRNAが挙げられる。一実施形態では、核酸分子は、合成(例えば、化学的に合成されたもの又は人工)又は組換えである。具体的に制限されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有する天然ヌクレオチドの類似体又は誘導体を含有する分子を包含し、天然に存在する又は天然に存在しないヌクレオチドと同様の方法で代謝される。特に断りのない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP及び相補的配列並びに明確に示された配列も暗に包含する。具体的には、1つ又は複数の選択された(又はすべての)コドンの第3の位置が、混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって縮重コドン置換を達成することができる(Batzerら、Nucleic Acid Res. 19巻:5081頁(1991年);Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260巻:2605~2608頁(1985年);及びRossoliniら、Mol. Cell. Probes 8巻:91~98頁(1994年))。
【0037】
本明細書において、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義的に使用され、ペプチド結合によって、又はペプチド結合以外の手段によって共有結合によって連結されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2個のアミノ酸を含有しなくてはならず、タンパク質又はペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数に制限は課されない。一実施形態では、タンパク質は、1つより多い、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれより多いポリペプチドを含むことができ、各ポリペプチドが、共有結合又は非共有結合/相互作用によって別のものと会合している。ポリペプチドは、ペプチド結合によって、又はペプチド結合以外の手段によって互いに接合された2つ又はそれより多いアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書において、この用語は、一般に、当技術分野で、例えば、ペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーと呼ばれる短鎖と、一般に、当技術分野で、多数の種類があるタンパク質と呼ばれる長鎖の両方を指す「ポリペプチド」として、例えば、中でも、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾されたポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が挙げられる。
【0038】
本明細書において、「組換えポリペプチド」又は「組換えタンパク質」とは、本明細書において記載される細胞によって生成され得るポリペプチドを指す。組換えポリペプチドは、ポリペプチドをコードする配列の少なくとも1つのヌクレオチド又はポリペプチドの発現を制御する配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、遺伝子工学(細胞の、又は前駆体細胞の)によって形成されたものである。例えば、少なくとも1つのヌクレオチドが変更された、例えば、細胞に導入された又は遺伝子操作された再配列の生成物である。例えば、組換えポリペプチドはまた、治療用ポリペプチドでもある。
【0039】
本明細書において、「治療用ポリペプチド」とは、治療用ポリペプチドを生成するように修飾又は遺伝子操作されている細胞によって生成される、例えば、発現される、ヒト又は動物の健康又は医薬に対して有用性を有するポリペプチドを指す。一実施形態では、治療用ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド又は天然に存在しないポリペプチド、例えば、合成ポリペプチドである。一実施形態では、治療用ポリペプチドの部分は、天然に存在し、治療用ポリペプチドの別の部分は、天然に存在しない。一実施形態では、治療用ポリペプチドは、組換えポリペプチドである。一実施形態では、治療用ポリペプチドは、診断的又は前臨床的使用に適している。別の実施形態では、治療用ポリペプチドは、治療的使用に、例えば、疾患の治療に適している。一実施形態では、治療用ポリペプチドは、表1~4から選択される。いくつかの実施形態では、修飾又は遺伝子操作された細胞は、発現を制御する、又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む。その他の実施形態では、修飾又は遺伝子操作された細胞は、例えば、細胞において治療用ポリペプチドの発現又は構築を制御する核酸ではないその他の分子を含む。
【0040】
本明細書において、「レプレッサーポリペプチド」とは、レプレッサーポリペプチドを生成するように修飾又は遺伝子操作されている細胞によって生成される、例えば、発現される、別のポリペプチド(例えば、治療用ポリペプチド)の発現を制御するポリペプチドを指す。一実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド又は天然に存在しない ポリペプチド、例えば、合成ポリペプチドである。一実施形態では、レプレッサーポリペプチドの部分は天然に存在し、レプレッサーポリペプチドの別の部分は、天然に存在しない。一実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、組換えポリペプチドである。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、治療用ポリペプチドの発現を減少させる。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、治療用ポリペプチドの発現を完全に排除する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドの発現は調節される。例えば、レプレッサーポリペプチドは、ある条件のセット下で高度に発現され、別の条件のセット下では、レプレッサーポリペプチドの発現は阻害される、例えば、減少される又は完全に排除される。
【0041】
本明細書において、「活性のレベル」とは、制御エレメント又はプロモーターエレメントによって誘導される発現の強度の尺度を指す。例えば、制御エレメントは、制御エレメントに作動可能に連結されたコード配列が強力に発現されるような高レベルの活性を有し得る。
【0042】
本明細書において、「条件」とは、制御エレメント又はプロモーターエレメントの活性のレベルに影響を及ぼし得る、細胞及び/又は環境パラメータの値を指す。条件が、細胞及び環境パラメータの1つの値を含む場合も、条件が細胞及び環境パラメータの1つの値を1つより多い(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれより多い)値を含む場合もある。例えば、制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し得る。細胞及び環境パラメータとして、それだけには限らないが、1つ又は複数のポリペプチドのレベル、1つ又は複数のポリペプチドのコンパートメントに局在されたレベル(例えば、核、細胞質又は小胞体に局在する)、細胞シグナル伝達経路、例えば、ストレス応答、フォールディングされていないタンパク質応答、熱ショック応答などの活性化のレベル、シグナル伝達分子(例えば、Ca+2、cAMP、グルコース、ATPなど)のレベル、温度、pH、細胞周期/増殖期、培養物の細胞密度及び栄養素利用能が挙げられる。
【0043】
Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、その用語が本明細書において使用される場合、ガイドRNA(gRNA)分子と相互作用し得る、gRNA分子と協力して、標的ドメイン及びPAM配列を含む部位に真っすぐ進む又は局在する分子又はポリペプチドを指す。Cas9分子及びCas9ポリペプチドは、それらの用語が本明細書において使用される場合、天然に存在するCas9分子及び遺伝子操作された、変更された若しくは修飾されたCas9分子又は例えば、少なくとも1個のアミノ酸残基だけ参照配列から異なるCas9ポリペプチド、例えば、最も類似した天然に存在するCas9分子又は配列を含む。例示的Cas9分子又はCas9ポリペプチド配列は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるWO2015/157070に見ることができる。Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、DNA切断及びニッキング活性及びその他を有するCas9分子、例えば、DNAをはっきりとは切断又はニッキングしないdCas9分子又はdCas9ポリペプチドを含む。
【0044】
概要
一態様では、本開示は、細胞又は環境条件の変化、例えば、細胞ストレス応答、例えば、フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)の変化に応じて、組換え又は治療用タンパク質生成物遺伝子(単数又は複数)の転写率を微調整するための細胞又は細胞株を作製する遺伝制御回路、核酸、細胞、方法並びに方法を提供する。遺伝制御回路のための本開示の一般的な設計原則の例は、
図1A及び
図1Bに表わされている。この限定されない概略例では、組換えタンパク質生成物の生成は、ストレス/毒性を誘導し、これは、レプレッサーポリペプチドの生成を活性化し、それによって、組換えポリペプチド生成物発現を阻害する。ストレスシグナルの除去は、レプレッサーポリペプチドの発現を不活性化する。阻害の軽減は、組換えポリペプチド生成物生成の再活性化を伴う。
【0045】
生成物
高収量の生成物、例えば、外因性治療用ポリペプチドを生成可能である細胞又は細胞株を同定、選択又は製造するための遺伝制御回路、細胞及び方法が本明細書において提供される。本開示によって包含される生成物として、それだけには限らないが、細胞において生成、例えば、発現され得る分子、核酸、ポリペプチド(例えば、組換え及び/又は治療用ポリペプチド)又はそのハイブリッドが挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞は、生成物を生成するように遺伝子操作される、又は修飾される。このような修飾として、生成物の生成を制御する、又はそれをもたらす分子を導入することが挙げられる。例えば、細胞は、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドをコードする外因性核酸を導入することによって修飾され、細胞は、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドの生成、例えば、発現及び分泌に適した条件下で培養される。別の例では、細胞が、例えば、非修飾細胞において、内因性に生成されるレベル又は量よりも高いレベル又は量のポリペプチドを生成するように、細胞は、細胞によって内因性に発現されるポリペプチドの発現を制御、例えば、増大する外因性核酸を導入することによって修飾する。実施形態では、本明細書において記載される方法によって同定、選択又は作製された細胞又は細胞株は、医学的状態、障害又は疾患の治療において有用な生成物、例えば、組換えポリペプチドを生成する。医学的状態、障害又は疾患の例として、それだけには限らないが、代謝的疾患又は障害(例えば、代謝酵素欠乏症)、内分泌障害(例えば、ホルモン欠乏症)、止血、血栓症、造血障害、肺の障害、胃腸障害、免疫調節(例えば、免疫不全)、不妊症、移植、がん及び感染性疾患が挙げられる。
【0046】
組換えポリペプチドは、外因性タンパク質、例えば、細胞によって天然に発現されないタンパク質である。組換えポリペプチドは、例えば、薬物スクリーニングにとって有用な治療用タンパク質又は診断用タンパク質であり得る。治療用又は診断用タンパク質は、抗体分子、例えば、抗体又は抗体断片、融合タンパク質、ホルモン、サイトカイン、増殖因子、酵素、糖タンパク質、リポタンパク質、リポータータンパク質、治療用ペプチド又はその構造的及び/若しくは機能的断片又はこれらのいずれかのハイブリッドであり得る。実施形態では、生成物、例えば、外因性治療用ポリペプチドは、複数のポリペプチド鎖、例えば、重鎖及び軽鎖を含む抗体又は抗体断片を含む。
【0047】
一実施形態では、生成物、例えば、組換えポリペプチドは、抗体分子である。本明細書において包含される生成物は、イメージング技術にとって有用な診断用抗体分子、例えば、モノクローナル抗体又はその抗体断片及び対象への投与に適した、例えば、疾患又は障害の治療にとって有用な治療用抗体分子である。抗体分子は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質又はポリペプチド配列である。一実施形態では、抗体分子は、全長抗体又は抗体断片である。抗体及びマルチフォーマットタンパク質は、ポリクローナル又はモノクローナル、複数鎖若しくは一本鎖又は無傷の免疫グロブリンであり得、天然供給源に、又は組換え供給源型に由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。抗体は、ヒト又はヒト化抗体であり得る。一実施形態では、抗体は、IgA、IgG、IgD又はIgE抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4抗体である。
【0048】
「抗体断片」とは、無傷の抗体又はその組換えバリアントの少なくとも1つの部分を指し、抗体断片の、抗原などの標的の認識及び特異的結合を付与するのに十分である、無傷の抗体の抗原結合ドメイン、例えば、抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例として、それだけには限らないが、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片、scFv抗体断片、直鎖抗体、sdAb(VL又はVHのいずれか)などの単一ドメイン抗体、ラクダ科動物VHHドメイン及びヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片などの抗体断片から形成された多特異性抗体並びに抗体の単離されたCDR又はその他のエピトープ結合断片が挙げられる。抗原結合断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、ナノボディ(nanobodies)、細胞内抗体、二特異性抗体、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)、v-NAR及びビス-scFv(例えば、Hollinger and Hudson、Nature Biotechnology 23巻:1126~1136頁、2005年を参照のこと)に組み込まれ得る。抗原結合断片はまた、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドをベースとするスキャフォールドにグラフトされてもよい(フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載する米国特許第6,703,199号を参照のこと)。
【0049】
実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、例えば、ボトックス(BOTOX)、ミオブロック(Myobloc)、ニューロブロック(Neurobloc)、ジスポート(Dysport)(又はボツリヌス神経毒のその他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH-16、コリオゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリクス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセロウリン(teceleulin)、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンアルファ-n3(注射)、インターフェロンアルファ-nl、DL-8234、インターフェロン、サントリー(Suntory)(ガンマ-1a)、インターフェロンガンマ、チモシンアルファ1、タソネルミン、デジファブ(DigiFab)、ヴィペラタブ(ViperaTAb)、エキタブ(EchiTAb)、クロファブ(CroFab)、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、Rebif、エプトテルミンアルファ、テリパラチド、カルシトニン、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組換えヒト上皮成長因子、DWP401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、モノニン(Mononine)、エプタコグアルファ(活性化型)、組換え第VIII因子+VWF、リコンビナート(Recombinate)、組換え第VIII因子、第VIII因子(組換え型)、アルフンメート(Alphnmate)、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、インジキナーゼ(Indikinase)、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イングルセラーゼ(iniglucerase)、ガルスルファーゼ、ロイコトロピン(Leucotropin)、モルグラモスチム(molgramostirn)、酢酸トリプトレリン、ヒストレリン(Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、リュープロリド(ATRIGEL)、リュープロリド(DUROS)、ゴセレリン、ユートロピン(Eutropin)、ソマトロピン、メカセルミン、エンルファビルチド(enlfavirtide)、Org-33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入)、インスリンリスプロ、インスリンデテルミル(deternir)、インスリン(RapidMist)、メカセルミンリンファベート、アナキンラ、セルモロイキン、99 mTc-アプシチド、ミエロピド(myelopid)、ベタセロン(Betaseron)、酢酸グラチラマー、ゲポン(Gepon)、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来アルファインターフェロン、ビリブ(Bilive)、インスリン(組換え型)、組換えヒトインスリン、インスリンアスパルト、メカセルミン(mecasenin)、ロフェロン(Roferon)-A、インターフェロン-アルファ2、アルファフェロン(Alfaferone)、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、アボネックス(Avonex)の組換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、ゼマイラ(Zemaira)、CTC-111、シャンバック(Shanvac)-B、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム(ancestirn)、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、酢酸プレザチド銅、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、アクチムン(Actimmune)、PEG-イントロン、トリコミン(Tricomin)、組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1-84、エポエチンデルタ、トランスジェニック抗トロンビンIII、グランジトロピン(Granditropin)、ビトラーゼ(Vitrase)、組換えインスリン、インターフェロン-アルファ、GEM-21S、バプレオチド(vapreotide)、イデュルスルファーゼ、オマパトリラート(omnapatrilat)、組換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴール、グルカルピダーゼ、ヒト組換えC1エステラーゼ阻害剤、ラノテプラーゼ、組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド、VGV-1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(aviptadil)、イカチバント、エカランチド、オミガナン(omiganan)、オーログラブ(Aurograb)、酢酸ペキシガナン(pexigananacetate)、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデリンベスドトクス(cintredelinbesudotox)、ファブルド(Favld)、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド、チファコギン(tifacogin)、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、クリサリン(Chrysalin)、デスモテプラーゼ、アメジプラーゼ(amediplase)、コリフォリトロピンアルファ、TH-9507、テデュグルチド、ジアミド(Diamyd)、DWP-412、成長ホルモン、組換えG-CSF、インスリン、インスリン(テクノスフェア(Technosphere))、インスリン(AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロンベータ、インターフェロンアルファ-n3、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG-531、MBP-8298、キセレセプト(Xerecept)、オペバカン(opebacan)、AIDSVAX、GV-1001、リンフォスキャン(LymphoScan)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、リポキシサン(Lipoxysan)、ルスプルチド(lusupultide)、MP52、シプロイセル-T、CTP-37、インセジア(Insegia)、ビテスペン、ヒトトロンビン、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ(alfimeprase)、プリカーゼ(Puricase)、テルリプレシン、EUR-1008M、組換えFGF-I、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン、SCV-07、OPI-45、エンドスタチン、アンギオスタチン、ABT-510、ボーマンバーク(Bowman Birk)阻害剤、XMP-629、99 mTc-Hynic-アネキシンV、カハラリドF、CTCE-9908、テベレリクス(teverelix)、オザレリクス(ozarelix)、ロミデプシン(rornidepsin)、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、ペプスキャン(Pepscan)、イボクタデキン(iboctadekin)、rhラクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンギチド、アルブフェロン(Albuferon)、ビファシックス(Biphasix)、IRX-2、オメガインターフェロン、PCK-3145、CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、SB-249553、オンコバックス(Oncovax)-CL、オンコバックス-P、BLP-25、CerVax-16、MART-1、gp100、チロシナーゼ、ネミフィチド(nemifitide)、rAAT、CGRP、ペグスネルセプト(pegsunercept)、チモシンベータ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、GRASPA、OBI-1、AC-100、サケカルシトニン(エリゲン)、エキサモレリン(examorelin)、カプロモレリン、カルデバ(Cardeva)、ベラフェルミン(velafermin)、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペレスタット(depelestat)、ヘマタイド、クリサリン、rNAPc2、組換え第VIII因子(PEG化リポソームの)、bFGF、PEG化組換えスタフィロキナーゼバリアント、V-10153、ソノリシスプロリーゼ(SonoLysis Prolyse)、ニューロバックス(NeuroVax)、CZEN-002、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エキセナチド(徐放、Medisorb)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン(avorelin)、ACM-9604、リナクロチドアセタート(linaclotid eacetate)、CETi-1、Hemospan、VAL、速効型インスリン(注射用、ビアデル(Viadel))、インスリン(エリゲン)、組換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ、マルチカイン(Multikine)、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10、タラクトフェリン(talactoferrin)、rEV-131、rEV-131、組換えヒトインスリン、RPI-78M、オプレルベキン、CYT-99007 CTLA4-Ig、DTY-001、バラテグラスト(valategrast)、インターフェロンアルファ-n3、IRX-3、RDP-58、タウフェロン(Tauferon)、胆汁酸塩刺激リパーゼ、メリスパーゼ(Merispase)、アルカリ(alaline)ホスファターゼ、EP-2104R、Melanotan-II、ブレメラノチド、ATL-104、組換えヒトマイクロプラスミン、AX-200、SEMAX、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、ALTU-135、組換えノイラミニダーゼ、Vacc-5q、Vacc-4x、Tatトキソイド、YSPSL、CHS-13340、PTH(1-34)(ノバソーム(Novasome))、オスタボリン(Ostabolin)-C、PTH類似体、MBRI-93.02、MTB72F、MVA-Ag85A、FARA04、BA-210、組換えペストFIV、AG-702、OxSODrol、rBetV1、Der-p1/Der-p2/Der-p7、PR1ペプチド抗原、突然変異体rasワクチン、HPV-16 E7リポペプチドワクチン、ラビリンチン(labyrinthin)、WT1-ペプチド、IDD-5、CDX-110、ペントリス(Pentrys)、ノレリン(Norelin)、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド(icrocaptide)、テルベルミン(telbermin)、ルピントリビル(rupintrivir)、レチクローズ(reticulose)、rGRF、HA、アルファ-ガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンジオテンシン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07、DRF-7295、ABT-828、ErbB2特異的免疫毒素、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、コンボトックス(Combotox)、コレシストキニン-B/ガストリン-受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスニズマブ(trasnizumab)-DM1、アンタゴニストG、IL-12、PM-02734、IMP-321、rhIGF-BP3、BLX-883、CUV-1647、L-19ベースのra、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLH、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、CBP-501、組換えヒトラクトフェリン、FX-06、AP-214、WAP-8294A、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3-3
6]、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-058、ヒト副甲状腺ホルモン1-34、F-18-CCR1、AT-1100、JPD-003、PTH(7-34)(ノバソーム(Novasome))、デュラマイシン、CAB-2、CTCE-0214、GlycoPEG化エリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン(aminocandin)、PN-951、716155、SUN-E7001、TH-0318、BAY-73-7977、テベレリックス(teverelix)、EP-51216、hGH、OGP-I、シフビルチド(sifuvirtide)、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン、r(m)CRP、肝選択的インスリン、スバリン(subalin)、L19-IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体アゴニスト、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、テリパラチド(エリゲン)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合物、EP-1043、gpE1、gpE2、MF-59、hPTH(1-34)、768974、SYN-101、PGN-0052、アビスクミン(aviscumnine)、BIM-23190、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、エンカスチム(enkastim)、APC-8024、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管をターゲッティングするTNF、デスモプレシン、オネルセプト(onercept)及びTP-9201がある。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード(商標))、リツキシマブ(リツキサン(商標)/MAB THERA(商標))エタネルセプト(エンブレル(商標))、ベバシズマブ(アバスチン(商標))、トラスツズマブ(ヘルセプチン(商標))、ペグフィルグラスチム(pegrilgrastim)(ニューラスタ(NEULASTA)(商標))又はバイオシミラー及びバイオベターを含む任意のその他の適したポリペプチドである。
【0051】
その他の適したポリペプチドは、以下に、及び米国特許出願公開第2016/0097074号の表1に列挙されたものである:
【0052】
【0053】
実施形態では、ポリペプチドは、表2に示されるような、ホルモン、血液凝固/凝固因子、サイトカイン/増殖因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン又はペプチドである。
【0054】
【0055】
実施形態では、タンパク質は、表3に示されるような多重特異性タンパク質、例えば、二重特異性抗体である。
【0056】
【0057】
【0058】
いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、がん細胞によって発現された抗原である。いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である。いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、HER2、CD20、9-O-アセチル-GD3、βhCG、A33 抗原、CA19-9マーカー、CA-125マーカー、カルレティキュリン、カルボアンヒドラーゼ(carboanhydrase)IX(MN/CA IX)、CCR5、CCR8、CD19、CD22、CD25、CD27、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD63、CD70、CC123、CD138、癌胎児抗原(CEA;CD66e)、デスモグレイン4、E-カドヘリンネオエピトープ、エンドシアリン(endosialin)、エフリンA2(EphA2)、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、ErbB2、胎児アセチルコリン受容体、線維芽細胞活性化抗原(FAP)、フコシルGM1、GD2、GD3、GM2,ガングリオシドGD3、Globo H、糖タンパク質100、HER2/neu、HER3、HER4、インスリン様成長因子受容体1、Lewis-Y、LG、Ly-6、黒色腫特異的コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSCP)、メソテリン、MUCl、MUC1バリアント(例えばMUC1 A、B、C、D、X、Y、Z、REP又はSEC)、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC7、MUC16、ミュラー管抑制因子(MIS)受容体II型、形質細胞抗原、ポリSA、PSCA、PSMA、ソニックヘッジホッグ(SHH)、SAS、STEAP、sTn抗原、TNF-アルファ前駆体及びそれらの組合せから選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、活性化受容体であり、2B4(CD244)、α4β1インテグリン、β2インテグリン、CD2、CD16、CD27、CD38、CD96、CDlOO、CD160、CD137、CEACAMl(CD66)、CRTAM、CSl(CD319)、DNAM-1(CD226)、GITR(TNFRSF18)と、KIR、NKG2C、NKG2D、NKG2Eの活性化形態、1つ又は複数の天然細胞毒性受容体、NTB-A、PEN-5及びそれらの組合せから選択され、任意選択で、β2インテグリンは、CD11a-CD18、CD11b-CD18又はCD11c-CD18を含み、任意選択で、KIRの活性化形態は、KlR2DSl、KIR2DS4又はKIR-Sを含み、任意選択で、天然細胞毒性受容体は、NKp30、NKp44、NKp46又はNKp80を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、阻害性受容体であり、KIR、ILT2/LIR-l/CD85jと、KIR、KLRG1、LAIR-1、NKG2A、NKR-P1A、Siglec-3、Siglec-7、Siglec-9の阻害性形態及びそれらの組合せから選択され、任意選択で、KIRの阻害性形態は、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2又はKIR-Lを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、活性化受容体であり、CD3、CD2(LFA2、OX34)、CD5、CD27(TNFRSF7)、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD40L、CD84(SLAMF5)、CD137(4-1BB)、CD226、CD229(Ly9、SLAMF3)、CD244(2B4、SLAMF4)、CD319(CRACC、BLAME)、CD352(Lyl08、NTBA、SLAMF6)、CRTAM(CD355)、DR3(TNFRSF25)、GITR(CD357)、HVEM(CD270)、ICOS、LIGHT、LTβR(TNFRSF3)、OX40(CD134)、NKG2D、SLAM(CD150、SLAMF1)、TCRα、TCRβ、TCRδγ、TIM1(HAVCR、KIM1)及びそれらの組合せから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチドは、阻害性受容体であり、PD-1(CD279)、2B4(CD244、SLAMF4)、B71(CD80)、B7Hl(CD274、PD-L1)、BTLA(CD272)、CD160(BY55、NK28)、CD352(Ly108、NTBA、SLAMF6)、CD358(DR6)、CTLA-4(CD152)、LAG3、LAIR1、PD-1H(VISTA)、TIGIT(VSIG9、VSTM3)、TIM2(TIMD2)、TIM3(HAVCR2、KIM3)及びそれらの組合せから選択される。
【0063】
その他の例示的治療用又は診断用タンパク質として、それだけには限らないが、Leaderら、「Protein therapeutics: a summary and pharmacological classification」、Nature Reviews Drug Discovery、2008年、7号:21~39頁(参照により本明細書に組み込まれる)の表1~10に記載される任意のタンパク質、又は本明細書において記載される組換えポリペプチドの任意のコンジュゲート、バリアント、類似体若しくは機能的断片が挙げられる。
【0064】
その他の組換え生成物として、それだけには限らないが、DARPins、アフィボディ及びアドネクチンなどの非抗体スキャフォールド又は代替タンパク質スキャフォールドが挙げられる。このような非抗体スキャフォールド又は代替タンパク質スキャフォールドは、1又は2又はそれより多い、例えば、1、2、3、4又は5又はそれより多い異なる標的又は抗原を認識又は結合するように遺伝子操作することができる。
【0065】
核酸
また、核酸、例えば、生成物、例えば、本明細書において記載される組換えポリペプチドをコードする外因性核酸が本明細書において提供される。所望の組換えポリペプチドをコードする核酸配列は、当技術分野で公知の組換え方法を使用して、例えば、標準技術を使用して、遺伝子を発現する細胞から得たライブラリーをスクリーニングすることによって、それを含むと知られているベクターから核酸配列を導き出すことによって、又はそれを含有する細胞及び組織から直接単離することなどによって得ることができる。或いは、組換えポリペプチドをコードする核酸を、クローニングするのではなく合成によって製造してもよい組換えDNA技術及びテクノロジーは、当技術分野で高度に進歩しており、十分に確立されている。したがって、本明細書において記載される組換えポリペプチドのアミノ酸配列の知識を有する当業者であれば、組換えポリペプチドをコードするであろう核酸配列を容易に想起又は作製できる。
【0066】
組換えポリペプチドの発現は、通常、組換えポリペプチド又はその一部をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結すること及び構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。ベクターは、真核生物又は原核生物における複製及び組込みに適したものであり得る。通常のクローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の調節にとって有用な転写及び翻訳ターミネーター、開始配列及びプロモーターなどのその他の調節エレメントを含有する。
【0067】
実施形態では、生成物、例えば、外因性治療用ポリペプチドは、複数のポリペプチド鎖、例えば、重鎖及び軽鎖を含む抗体又は抗体断片を含む。複数のポリペプチド鎖を含む外因性治療用ポリペプチドをコードする核酸配列は、一緒に配置される(例えば、同一核酸に配置された、各ポリペプチド鎖をコードする配列)ことも別個に配置される(例えば、異なる核酸に配置された、各ポリペプチド鎖をコードする配列)こともある。複数のポリペプチド鎖を含む外因性治療用ポリペプチドをコードする配列は、単一の制御エレメント、例えば、第1の制御エレメントに、又は個別の、別個の制御エレメントに作動可能に連結されていてもよい(例えば、各ポリペプチド鎖をコードする配列が、その自身の第1の制御エレメントに作動可能に連結されている)。複数のポリペプチド鎖を含む外因性治療用ポリペプチドをコードする配列が、個別の、別個の制御エレメントに作動可能に連結されている一実施形態では、制御エレメントのうち1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6又はすべて)は、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有してもよく、制御エレメントのうち1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6又はそれより多く)は、構成的であり得る。
【0068】
組換えポリペプチドをコードする核酸配列は、いくつかの種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸をそれだけには限らないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むベクターにクローニングすることができる。特に対象とするベクターとして、発現ベクター、複製ベクター、プローブ作製ベクター及びシーケンシングベクターが挙げられる。実施形態では、発現ベクターを、ウイルスベクターの形態で細胞に提供することができる。ウイルスベクターテクノロジーは、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら、2012年、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、1~4巻、 Cold Spring Harbor Press、NY)に、及びその他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用であるウイルスとして、それだけには限らないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスが挙げられる。一般に、適したベクターは、少なくとも1種の生物において機能的な複製起点、プロモーターエレメント及び任意選択でエンハンサーエレメントを含む制御エレメント、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位及び1又は複数の選択マーカーを含有する(例えば、国際公開第01/96584号、同01/29058号及び米国特許第6,326,193号)。ウイルスに由来するベクターは、それらが、導入遺伝子の長期間の安定な組込み及び娘細胞におけるその増殖を可能にするので、長期間の遺伝子導入を達成するための適したツールである。
【0069】
ベクターはまた、例えば、分泌を促進するためのシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子由来)、エピソーム複製及び原核生物における複製を可能にするエレメント(例えば、SV40起源及びColE1又は当技術分野で公知のその他のもの)及び/又は選択を可能にするエレメント、例えば、選択マーカー又はリポーター遺伝子を含み得る。
【0070】
考慮されるベクターは、ポリペプチド、例えば、外因性治療用ポリペプチド又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列を挿入するのに適した挿入部位を含み得る。
【0071】
挿入部位は、制限エンドヌクレアーゼ部位を含み得る。
【0072】
挿入部位は、組換え標的部位を含んでもよく、組換え標的部位は、ポリペプチド、例えば、外因性治療用ポリペプチド又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列の両端に位置する。一実施形態では、組換え標的部位は、lox部位である。組換え標的部位がlox部位である場合には、宿主細胞は、クロスオーバー又は組換え事象を達成するためにCreリコンビナーゼの存在及び発現を必要とする。
【0073】
一実施形態では、組換え標的部位は、FRT部位である。組換え標的部位が、FRT部位(cite)である場合には、宿主細胞は、クロスオーバー又は組換え事象を達成するためにFLP(FLPリコンビナーゼ)の存在及び発現を必要とする。
【0074】
挿入部位は、短い、およそ25bpの独特な配列及び/又は制限部位が両端に位置するランディングパッド、例えば、DNAの部分、例えば、選択マーカーを含み得る。考慮される材料及び方法は、当技術分野で公知の、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第62/460,420号におけるランディングパッド部位特異的組込み技術を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号17、18、19又はそれらの相同体の単離されたヌクレオチド配列のうち少なくとも1つ(例えば、1、2又はそれより多く)を含む。一実施形態では、ベクターは、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が位置する選択マーカーをコードする少なくとも1つの配列を含み、配列番号17又は18又はその相同な配列のヌクレオチド配列の少なくとも1つは、選択マーカーをコードする配列の3’末端に位置する。一実施形態では、ベクターは、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が位置する、選択マーカーをコードする少なくとも1つの配列を含み、配列番号19又はその相同な配列において与えられるような少なくとも1つのヌクレオチド配列は、選択マーカーをコードする配列の5’末端に位置する。
【0076】
第1の制御エレメント
一実施形態では、生成物、例えば、ポリペプチド、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、ポリペプチド、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドの発現の転写開始を可能にするポリメラーゼの動員の原因となる第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメントをさらに含む。第1の制御エレメントは、遠位エレメント、例えば、ポリペプチドをコードする配列から少し離れた、例えば、数塩基の長さ離れたポリペプチドの発現を調節するエレメント及び近位エレメント、例えば、ポリペプチドをコードする配列に近接した、又はその内部の位置に幾分か起因して、ポリペプチドの発現を調節するエレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントは、構成的制御エレメントである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントは、調節される制御エレメント、例えば、内因性又は外因性ポリペプチドによって調節される制御エレメントである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメントは、第1の条件、例えば、細胞の増殖の第1の段階、例えば、対数増殖下で第1のレベルの活性及び第2の条件、例えば、細胞の増殖の第2の段階、例えば、対数未満の増殖を有する相、例えば、増殖安定相下で第2のレベルの活性を有する。一実施形態では、本明細書において記載される方法に適した制御エレメントは、普通、エンハンサーと会合して、多量の転写を駆動し、ひいては、標的外因性mRNAの多量のコピーを送達する。一実施形態では、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメントは、両方とも、その由来する同名ウイルス又はプロモーターに由来する、サイトメガロウイルス(CMV)主要前初期プロモーター(Xia、Bringmannら2006年)及びSV40プロモーター(Chernajovsky、Moryら1984年)を含む。いくつかのその他のあまり一般的ではないウイルスプロモーターが、ラウス肉腫ウイルス長い末端反復配列(RSV-LTR)及びモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRを含む発現ベクター中に含めると転写を駆動するように成功裏に使用されてきた(Papadakis、Nicklinら2004年)。別の実施形態では、特定の内因性哺乳動物プロモーターを利用して、対象の遺伝子の構成的転写を駆動できる(Pontiller、Grossら2008年)。CHO特異的チャイニーズハムスター延長因子1-アルファ(CHEF1α)プロモーターが、ウイルスベースの配列の高収量の代替物を提供してきた(Deer、Allison 2004年)。いくつかの実施形態では、組換え、例えば、治療用ポリペプチドの転写を駆動するために使用される第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメントとして、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、アクチンプロモーター(例えば、β-アクチンプロモーター)、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、サイクリンT1プロモーター、CAGプロモーター、RNAポリメラーゼIII U3プロモーター、シクロフィリン(cyclophillin)プロモーター、オートグラファカリフォルニアニュークリア(Autographa californica nuclear)多核体病ウイルス(AcNPV)P10プロモーター、β3-ガラクトシルトランスフェラーゼ5(β3GAL-T5)プロモーター、Fer1プロモーター、CMV-EF1αプロモーターなどの複合プロモーター及び基本プロモーター及び3部分複合プロモーターを挙げることができる。前記プロモーターエレメントは、表5にまとめられており、当技術分野で公知である。本発明は、特定のプロモーター又はプロモーターに制限されないということが考慮される。国際公開第2004/009823号、同2006/111387号及び同2014044845号(参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)に記載されるプロモーター及び転写制御機序もまた、第1の及び/又は第2の制御エレメントに関連して考慮される。いくつかの実施形態では、第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントは、合成(天然に存在しない)配列を含む遺伝子操作されたプロモーターである。例えば、第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントは、Brownら、Biotechnology and Bioengineering、111巻、8号、2014年8月に記載されるプロモーターを含み得る。
【0077】
【0078】
第2の制御エレメント
一実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントをさらに含み、第2の制御エレメントは、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現の転写開始を可能にするポリメラーゼの動員の原因となる。第2の制御エレメントは、遠位エレメント、例えば、ポリペプチドをコードする配列から少し離れた、例えば、数塩基の長さ離れた、又は個別及び別個の核酸上のポリペプチドの発現を調節するエレメント並びに近位エレメント、例えば、ポリペプチドをコードする配列に近接した、又はその内部の位置に幾分か起因して、ポリペプチドの発現を調節するエレメントを含み得る。一実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、構成的制御エレメントである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、調節される制御エレメント、例えば、内因性又は外因性ポリペプチドによって調節されるプロモーターである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2のレベルの活性は、第1のレベルの活性に対して、例えば、高く又は低く調節される。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1の条件及び第2の条件の対は、ストレスの第1の、例えば、低いレベル及びストレスの第2の、例えば、高いレベル;フォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;サイトゾルにおけるフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びサイトゾルにおけるフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;小胞体(ER)におけるフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びERにおけるフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;熱ショック応答(HSR)の活性化の第1の、例えば、低いレベル及びHSRの活性化の第2の、例えば、高いレベル;フォールディングされていないタンパク質応答(UPR)の活性化の第1の、例えば、低いレベル及びUPRの活性化の第2の、例えば、高いレベル;ERシャペロン、例えば、BiPの第1の、例えば、高いレベル及びERシャペロン、例えば、BiPの第2の、例えば、低いレベル;第1の、例えば、低い温度及び第2の、例えば、高い温度;酸化ストレスの第1の、例えば、低いレベル及び酸化ストレスの第2の、例えば、高いレベル;ER Ca2+の第1の、例えば、高いレベル及びER Ca2+の第2の、例えば、低いレベル;ER酸化状態の第1の、例えば、より多い酸化レベル及びER酸化状態の第2の、例えば、より少ない酸化レベル;第1の、例えば、高い細胞エネルギーレベル及び第2の、例えば、低い細胞エネルギーレベル;第1の、例えば、高いATPレベル及び第2の、例えば、低いATPレベル;第1の、例えば、高いグルコースレベル及び第2の、例えば、低いグルコースレベル;活性化されたHsf1ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及び活性化されたHsf1ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;リン酸化された三量体Hsf1ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びリン酸化された三量体Hsf1ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;活性な、例えば、スプライシングされたXbp1ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及び活性な、例えば、スプライシングされたXbp1ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;ATF4ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びATF4ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;NRF2ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びNRF2ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベル;並びにATF6(例えば、ATF6α又はATF6β)ポリペプチドの第1の、例えば、低いレベル及びATF6(例えば、ATF6α又はATF6β)ポリペプチドの第2の、例えば、高いレベルを含むリストから選択できる。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2の制御エレメントは、第Nの条件下で第Nのレベルの活性を有し、Nは、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより大きく、第Nの条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が、これまでの条件(例えば、条件1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)下での治療用ポリペプチドの発現に対して調節される、例えば、減少又は増大される。本明細書において列挙された第1及び第2の条件の各対について、さらなる第N(例えば、第3、第4、第5など)の条件が考慮され、さらなる第Nの条件は、さらなる関連条件である。例えば、ストレスの第1の、例えば、低いレベル及びストレスの第2の、例えば、高いレベルが上記で列挙され、ストレスのさらなる第Nの(例えば、第3、第4、第5など)(例えば、低い又は高い)レベルも、活性の対応する第Nのレベルとともに考慮される。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の条件は、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現を阻害する。いくつかの実施形態では、第2の条件は、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、第2の条件は、ポリペプチド、例えば、レプレッサーポリペプチドの発現を誘導し、レプレッサーポリペプチドは、別のポリペプチド、例えば、外因性治療用ポリペプチドの発現を阻害する。いくつかの実施形態では、第2の条件下で、外因性治療用ポリペプチドの発現、例えば、転写レベルは、第1の条件での発現と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低減される。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の制御エレメントは、第1の条件下で、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現を誘導せず(例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドは、明らかには発現されない)、第2の条件下でポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現を誘導する(例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドは、明らかに発現される)。明らかな発現は、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの検出可能な(例えば、当技術分野で公知の方法によって)蓄積又はポリペプチド、例えば、組換え若しくはレプレッサーポリペプチドをコードするmRNAの検出可能な蓄積であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性、第2の条件下で第2のレベルの活性及び第3の条件下で第3のレベルの活性を有する。第1のレベルの活性は、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの明らかな発現の欠如をもたらし得る。第2のレベルの活性は、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの明らかな発現をもたらし得る。活性の第3のレベルは、第2のレベルの活性に対する、ポリペプチド、例えば、組換え又はレプレッサーポリペプチドの発現の調節(例えば、増大又は減少を)をもたらし得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2の制御エレメントは、第Nの条件下で第Nのレベルの活性を有し、Nは、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより大きく、第Nの条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が、これまでの条件(例えば、条件1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)下での治療用ポリペプチドの発現に対して調節される、例えば、減少又は増大される。一実施形態では、第2の制御エレメントの第Nのレベルの活性は、第Nの条件の周期的変動に基づいて周期的に変動する。例えば、細胞ストレスの第1のレベルである第1の条件及び細胞ストレスの第2のレベルである第2の条件を仮定すると、第2の制御エレメントは、第1のレベルの活性及び第2のより高いレベルの活性を有し得る(例えば、この例示的第2の制御エレメントは、細胞ストレスに比例する活性を有する)。第2のより高いレベルの活性は、ポリペプチド、例えば、レプレッサーポリペプチドの発現を増大することができ、これは蓄積すると、組換え又は治療用ポリペプチドの発現を変更する、例えば、減少させる。組換え又は治療用ポリペプチドの発現の変化、例えば、減少は、第3の条件(例えば、細胞ストレスの第2のレベルよりも低い、細胞ストレスの第3のレベル)を作り出す。第3の条件は、第2の制御エレメントの活性の対応する第3のレベルを有し、本実施例において、その第3のレベルの活性は、第2のレベルの活性に対して減少されることもあり、レプレッサーポリペプチドの発現の減少をもたらす。第3の条件下でのレプレッサーポリペプチド発現の減少は、組換え又は治療用ポリペプチドの発現の増大につながることもあり、第4の条件を作り出す(例えば、細胞ストレスの第3のレベルよりも高い細胞ストレスの第4のレベル)など。いくつかの実施形態では、条件の周期的変動に関連した第2の制御エレメントの活性の周期的変動は、経時的に、平衡、例えば、第Nの条件及び第N+1の条件での第2の制御エレメントの活性の相違が無視できる状況に近づき得る。一実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い):熱ショックエレメント(HSE)であって、配列番号8~11に対応する1つ又は複数の配列を含むHSE、cAMP応答エレメント(CRE)であって、配列番号12に対応する配列を含むCRE、抗酸化薬応答エレメント(ARE)であって、配列番号13に対応する配列を含むARE、小胞体ストレス応答エレメント(ERSE)であって、配列番号14に対応する配列を含むERSEを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、当技術分野で公知の関連コンセンサス配列に対してゼロ、1つ、2つ、3つ又は4つ又は5つの置換を含む配列を含む、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)HSE、CRE、ARE又はERSEを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、表6に列挙されたコンセンサス配列を含む、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)HSE、CRE、ARE又はERSEを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、表6に列挙された又は当技術分野で公知の対応するコンセンサスに対して、ゼロ、1つ、2つ、3つ又は4つ又は5つの置換を含む配列を含む1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)HSE、CRE、ARE又はERSEを含み得る。本発明は、特定のプロモーター又はプロモーターに制限されないということは考慮される。
【0086】
【0087】
いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、熱ショック応答又はフォールディングされていないタンパク質応答(UPR)のエレメントによって調節される、例えば、活性化される、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)エレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、ミスフォールディングされたタンパク質の蓄積によって調節される、例えば、活性化される、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)エレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)Xbp1応答プロモーターエレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又はそれより多い(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)ATF6応答プロモーターエレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)ATF4応答プロモーターエレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)NRF2応答プロモーターエレメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントは、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)Hsf1応答プロモーターエレメントを含む。
【0088】
第3の制御エレメント
いくつかの実施形態では、本発明の同一物を含む細胞、ベクター、核酸及びキット及び方法は、第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントに作動可能に連結された、1又は複数のgRNA(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多いgRNA)をコードする核酸配列をさらに含む、又は使用する。第3の制御エレメントは、1又は複数のgRNAの発現の転写開始を可能にするポリメラーゼの動員の原因となる。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結され、複数のgRNA及び/又は複数のgRNAをコードする配列は、各々、参照により本明細書に組み込まれる、Gao,Y.及びY.Zhao(2014年).J Integr Plant Biol 56巻(4号):343~349頁;Martick、M.ら(2008年).Nature 454巻(7206号):899~902頁;Xie,K.ら(2015年).Proc Natl Acad Sci U S A 112巻(11号):3570~3575頁;Nissim,L.ら(2014年). Mol Cell 54巻(4号):698~710頁;並びにPort,F.及びS.L.Bullock(2016年).「Augmenting CRISPR applications in Drosophila with tRNA-flanked sgRNAs.」Nat Meth [先行オンライン公開]に記載されるように提供し、製造し、配置し、処理することができる。第3の制御エレメントは、遠位エレメント、例えば、1又は複数のgRNAをコードする配列から少し離れた、例えば、数塩基の長さ離れた、又は個別及び別個の核酸上のポリペプチドの発現を調節するエレメント並びに近位エレメント、例えば、1又は複数のgRNAをコードする配列に近接した、又はその内部の位置に幾分か起因して、1又は複数のgRNAの発現を調節するエレメントを含み得る。一実施形態では、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、構成的制御エレメントである。いくつかの実施形態では、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、調節される制御エレメント、例えば、内因性又は外因性ポリペプチドによって調節されるプロモーターである。いくつかの実施形態では、第3の制御エレメント、例えば、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3のプロモーターエレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、本明細書において記載される第1の制御エレメントのコピーである。いくつかの実施形態では、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、本明細書において記載される第2の制御エレメントのコピーである。
【0090】
いくつかの実施形態では、第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、合成(天然に存在しない)配列を含む遺伝子操作されたプロモーターである。例えば、第3の制御エレメント、例えば、第3のプロモーターエレメントは、BrownらBiotechnology and Bioengineering、111巻、8号、2014年8月に記載されるようなプロモーターを含み得る。
【0091】
本明細書において記載されるベクターは、プロモーターに加えて、コアプロモーターに近接して、上記のようなエンハンサー領域;特定のヌクレオチドモチーフ領域をさらに含み。これは、転写因子を動員して転写の速度を上方制御できる(Riethoven 2010年)。プロモーター配列と同様に、これらの領域は、ウイルスに由来することが多く、hCMVなどのプロモーター配列及びSV40エンハンサー配列内に包含されるか、又はさらにアデノウイルス由来配列などに含まれることもある(Gaillet、Gilbertら2007年)。
【0092】
その他の核酸特徴
一実施形態では、生成物、例えば、ポリペプチド、例えば、本明細書において記載される組換えポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、選択マーカーをコードする核酸配列をさらに含む。一実施形態では、選択マーカーは、グルタミンシンセターゼ(GS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、例えば、メトトレキサート(MTX)に対する耐性を付与する酵素又は抗生物質マーカー、例えば、ハイグロマイシン、ネオマイシン(G418)、ゼオシン(zeocin)、ピューロマイシン又はブラストサイジンなどの抗生物質に対する耐性を付与する酵素を含む。別の実施形態では、選択マーカーは、セレキシス(Selexis)選択系(例えば、Selexis SAから市販されている、SUREtechnology Platform(商標)及びSelexis Genetic Elements(商標))又はカタラント(Catalant)選択系を含む、又はそれと適合する。
【0093】
一実施形態では、本明細書において記載される組換え生成物をコードする核酸配列を含むベクターは、本明細書において記載される組換え生成物をコードする核酸配列を含む細胞(単数又は複数)を同定するのに有用である選択マーカーを含む。別の実施形態では、選択マーカーは、本明細書において記載されるような、組換え生成物をコードする核酸配列のゲノムへの組込みを含む細胞(単数又は複数)を同定するのに有用である。組換えタンパク質をコードする核酸配列を組み込んでいる細胞(単数又は複数)の同定は、生成物を安定に発現する細胞又は細胞株の選択及び遺伝子操作にとって有用であり得る。
【0094】
使用するのに適したベクターは、市販されており、これとして、Lonza Biologics、PLCから入手可能な、GS発現系(商標)、GS Xceed(商標)遺伝子発現系又はポテリジェント(Potelligent)(登録商標)CHOK1SVテクノロジーと関連するベクター、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるFanら、Pharm.Bioprocess.(2013年);1巻(5号):487~502頁に記載されるようなベクターが挙げられる。GS発現ベクターは、GS遺伝子又はその機能的断片(例えば、GSミニ遺伝子)と、1つ又は複数の、例えば、1、2又は3つ又はそれより多い、対象の遺伝子、例えば、本明細書において記載される組換えポリペプチドをコードする核酸の発現のための高効率転写カセットとを含む。ミニ遺伝子は、GS遺伝子の単一イントロン及び約1kbの3’端に位置するDNAを含有し、SV40後期プロモーターから転写される。一実施形態では、GSベクターは、SV40Lプロモーター及び1つ又は2つのポリAシグナルに作動可能に連結されたGS遺伝子を含む。別の実施形態では、GSベクターは、SV40Eプロモーター並びにSV40イントロンスプライシング及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたGS遺伝子を含む。このような実施形態では、例えば、対象の遺伝子又は本明細書において記載される組換えポリペプチドの発現のための転写カセットは、hCMV-MIEプロモーター及び第1のイントロンを含むhCMV-MIE遺伝子由来の5’非翻訳配列を含む。その他のベクターを、GS発現ベクターに基づいて構築することができ、例えば、これでは、その他の選択マーカーを、本明細書において記載される発現ベクターにおいてGS遺伝子と置換する。
【0095】
本明細書において記載される方法において使用するのに適したベクターとして、それだけには限らないが、pcDNA3.1/Zeo、pcDNA3.1/CAT、pcDNA3.3TOPO(Thermo Fisher、これまではInvitrogen);pTarget、HaloTag(Promega);pUC57(GenScript);pFLAG-CMV(Sigma-Aldrich);pCMV6(Origene);pEE12又はpEE14(Lonza Biologics)又はpBK-CMV/pCMV-3Tag-7/pCMV-Tag2B(Stratagene)などのその他の市販のベクターが挙げられる。
【0096】
細胞
組換えタンパク質又はポリペプチド、例えば、治療用ポリペプチドは、組換えDNA技術によって製造され、宿主細胞によって発現されることができ、宿主細胞(例えば、CHO細胞)から精製される、又は流体、例えば、宿主細胞が培養される細胞培地中に分泌され、流体から精製されることができる。高収率で、適当な品質の組換えタンパク質又はポリペプチドを生成可能な細胞は、当技術分野において高度に望ましい。組換え、例えば、治療用ポリペプチドを作製する、細胞、細胞を作製する方法、方法及びそれに関連するキットは、生存力が改善された細胞、高生産性細胞を作製して、高収率の組換え、例えば、治療用ポリペプチド生成物を得る、又は組換えポリペプチド生成物の高品質な調製物、例えば、多量の正しくフォールディングされたタンパク質、少量の凝集したタンパク質、所望のグリコシル化パターン若しくは所望のレベルのグリコシル化を含む組換えポリペプチド生成物の調製物を提供するために有用である。組換え、例えば、治療用ポリペプチドを作製する、細胞、細胞を作製する方法、方法及びそれに関連するキットは、効率的な細胞株の開発、多量の組換え治療用ポリペプチド生成物及び患者における治療的使用のための高い等級の品質に対する需要がある場合に、組換え、例えば、治療用ポリペプチドの製造にとって特に有用である。
【0097】
細胞及び細胞培養
一態様では、本開示は、生成物、例えば、本明細書において記載されるような組換え又は治療用ポリペプチドを生成する細胞又は細胞株を評価、分類、同定、選択又は作製する方法に関する。別の態様では、本開示は、生産性及び生成物品質が改善された、例えば、高められた細胞又は細胞株を評価、分類、同定、選択又は作製する方法及び組成物に関する。
【0098】
実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。その他の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞以外の細胞である。一実施形態では、細胞は、マウス、ラット、チャイニーズハムスター、シリアンハムスター、サル、類人猿、イヌ、ウマ、フェレット又はネコに由来する。実施形態では、細胞は哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞又はげっ歯類細胞、例えば、ハムスター細胞、マウス細胞又はラット細胞である。別の実施形態では、細胞は、アヒル、オウム、魚類、昆虫、植物、真菌又は酵母に由来する。一実施形態では、細胞は、古細菌である。一実施形態では、細胞は、放線菌類の種、例えば、結核菌である。
【0099】
一実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。一実施形態では、細胞は、CHO-K1細胞、CHOK1SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHO-S、CHO GSノックアウト細胞、CHOK1SV FUT8ノックアウト細胞、CHOZN又はCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1SV GSノックアウト細胞(Lonza Biologics,Inc.)である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、ポテリジェント(登録商標)CHOK1SV FUT8ノックアウト(Lonza Biologics、PLC.)である。
【0100】
一実施形態では、細胞は、部位特異的組込み(SSI)宿主細胞である。一実施形態では、SSI宿主細胞は、内因性Fer1L4遺伝子を含み、外因性ヌクレオチド配列は、前記Fer1L4遺伝子に組み込まれている。いくつかの実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの対象の遺伝子コード配列、例えば、治療用、レプレッサー又は選択マーカーポリペプチドをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも2つの組換え標的部位を含む。いくつかの実施形態では、組換え標的部位は、少なくとも1つの対象の遺伝子コード配列の両端に位置する。その他の実施形態では、組換え標的部位は、少なくとも1つの対象の遺伝子コード配列に隣接し、両端に位置しない。いくつかの実施形態では、対象の遺伝子コード配列は、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を含む。
【0101】
一実施形態では、SSI宿主細胞は、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が両端に位置する、外因性ヌクレオチド配列、すなわち、少なくとも1つの、組換え、例えば、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列の存在を特徴とし、配列番号17又は18又はその相同な配列のヌクレオチド配列の少なくとも1つは、宿主細胞のゲノムに組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の3’末端に位置する。一実施形態では、SSI宿主細胞は、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が両端に位置する、外因性ヌクレオチド配列、すなわち、組換え、例えば、治療用又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列の存在を特徴とし、配列番号19又はその相同な配列において与えられるような少なくとも1つのヌクレオチド配列は、宿主細胞のゲノムに組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の5’末端に位置する。
【0102】
一実施形態では、細胞は、部位特異的組込み(SSI)宿主細胞である。一実施形態では、SSI宿主細胞は、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が両端に位置する、外因性ヌクレオチド配列、すなわち、選択マーカーをコードする少なくとも1つの配列の存在を特徴とし、配列番号17又は18又はその相同な配列のヌクレオチド配列の少なくとも1つは、宿主細胞のゲノムに組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の3’末端に位置する。一実施形態では、SSI宿主細胞は、それ自身、その5’及び3’末端に各1つの組換え標的部位が両端に位置する、外因性ヌクレオチド配列、すなわち、選択マーカーをコードする少なくとも1つの配列の存在を特徴とし、配列番号19又はその相同な配列において与えられるような少なくとも1つのヌクレオチド配列は、宿主細胞のゲノムに組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の5’末端に位置する。
【0103】
別の実施形態では、細胞は、HeLa、HEK293、HT1080、H9、HepG2、MCF7、Jurkat、NIH3T3、PC12、PER.C6、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、NS0、YB2/0、Y0、EB66、C127、L細胞、COS、例えば、COS1及びCOS7、QC1-3、CHOK1、CHOK1SV、ポテリジェント(商標)(CHOK1SV FUT8-KO)、CHO GSノックアウト、Xceed(商標)(CHOK1SV GS-KO)、CHOS、CHO DG44、CHO DXB11及びCHOZN又はそれに由来する任意の細胞である。
【0104】
一実施形態では、真核細胞は幹細胞である。幹細胞は、例えば、胚幹細胞(ESC)、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞)及び間葉系幹細胞(MSC)を含む多能性幹細胞であり得る。
【0105】
一実施形態では、細胞は、本明細書において記載される細胞のいずれかの分化形態である。一実施形態では、細胞は、培養中の任意の一次細胞に由来する細胞である。
【0106】
実施形態において、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、などの肝細胞又は非実質細胞である。例えば、細胞は、付着可能代謝適格ヒト肝細胞、付着可能誘導適格ヒト肝細胞、付着可能キアリストトランスポーターサーティファイド(Qualyst Transporter Certified)(商標)ヒト肝細胞、懸濁液適格ヒト肝細胞(10人のドナー及び20人のドナーのプールされた肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星状細胞、イヌ肝細胞(単一及びプールされたビーグル肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1及びC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(スプラーグ-ドーリー(Sprague-Dawley)、ウィスターハン(Wistar Han)及びウィスター(Wistar)肝細胞を含む)、サル肝細胞(カニクイザル又はアカゲザル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(ドメスティックショートヘア(Domestic Shorthair)肝細胞を含む)及びウサギ肝細胞(ニュージーランドホワイト(New Zealand White)肝細胞を含む)であり得る。例示的肝細胞は、Triangle Research Labs、LLC、6 Davis Drive Research Triangle Park、米国、ノースカロライナ州 27709から市販されている。
【0107】
一実施形態では、真核細胞は、例えば、酵母細胞(例えば、ピキア(Pichia)属(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)及びピキア・アングスタ(Pichia angusta))、コマガテラ(Komagataella)属(例えば、コマガテラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガテラ・シュードパストリス(Komagataella pseudopastoris)又はコマガテラ・ファフィー(Komagataella phaffii))、サッカロミセス(Saccharomyces)属(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)、セレビシエ(cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum))、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属(例えば、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキシナス(Kluyveromyces marxianus))、カンジダ(Candida)属(例えば、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、カンジダ・ボイジニー(Candida boidinii))、ゲオトリクム(Geotrichum)属(例えば、ゲオトリクム・ファーメンタンス(Geotrichum fermentans))、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)又はシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などの低級真核細胞である。種ピキア・パストリスが好ましい。ピキア・パストリス株の例として、X33、GS115、KM71、KM71H及びCBS7435がある。
【0108】
一実施形態では、真核細胞は、真菌細胞(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)の種(A.ニガー(niger)、A.フミガツス(fumigatus)、A.オリゼ(orzyae)、A.ミデュラ(nidula)など)、アクレモニウム属(Acremonium)の種(A.サーモフィルム(thermophilum)など)、ケトミウム属(Chaetomium)の種(C.サーモフィルム(thermophilum)など)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)の種(C.サーモフィル(thermophile)など)、コルディセプス属(Cordyceps)の種(C.militarisなど)、コリナスカス属(Corynascus)の種、クテノミセス属(Ctenomyces)の種、フザリウム属(Fusarium)の種(F.オキシスポラム(oxysporum)など)、グロメレラ属(Glomerella)の種(G.グラミニコラ(graminicola)など)、ヒポクレア属(Hypocrea)の種(H.ジェコリナ(jecorina)など)、マグナポルサ属(Magnaporthe)の種(M.オルジエ(orzyae)など)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)の種(M.サーモフィル(thermophile)など)、ネクトリア属(Nectria)の種(N.ヘアマトコッカ(heamatococca)など)、ニューロスポラ属(Neurospora)の種(N.クラッサ(crassa)など)、ペニシリウム属(Penicillium)の種、スポロトリクム属(Sporotrichum)の種(S.サーモフィル(thermophile)など)、チエラビア属(Thielavia)の種(T.テレストリス(terrestris)、T.ヘテロサリカ(heterothallica)など)、トリコデルマ属(Trichoderma)の種(T.リーゼイ(reesei)など)又はバーティシリウム属(Verticillium)の種(V.ダーリア(dahlia)など)である。
【0109】
一実施形態では、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、ミミック(Mimic)(商標)Sf9、Sf21、ハイファイブ(High Five)(商標)(BT1-TN-5B1-4)又はBT1-Ea88 cells)、藻類細胞(例えば、アンフォラ属(Amphora)の種、バシラリオフィセアエ属(Bacillariophyceae)の種、ドナリエラ属(Dunaliella)の種、クロレラ属(Chlorella)の種、クラミドモナス属(Chlamydomonas)の種、シアノフィタ属(Cyanophyta)の種(シアノバクテリア)、ナンノクロロプシス属(Nannochloropsis)の種、スピルリナ属(Spirulina)の種又はオクロモナス属(Ochromonas)の種のもの)又は植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、イネ、コムギ又はセタリア属(Setaria)の種)に由来する、又は双子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、ダイズ、トマト、タバコ、アルファルファ、ニセツリガネコケ(Physcomitrella patens)又はアラビドプシス属(Arabidopsis)の種に由来する細胞である。
【0110】
一実施形態では、細胞は、細菌細胞又は原核細胞である。
【0111】
実施形態では、原核細胞は、グラム陽性細胞である。s such as バチルス属(Bacillus)の種、ストレプトミセス属(Streptomyces)の種、ストレプトコッカス属(Streptococcus)の種、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)の種又はラクトバチルス属(Lactobacillus)の種である。使用できるバチルス属の種として、例えば、B.スブチリス(subtilis)、B.アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)、B.リケニフォルミス(licheniformis)、B.ナット(natto)又はB.メガテリウム(megaterium)がある。実施形態では、細胞は、B.スブチリス3NA及びB.スブチリス168などのB.スブチリスである。バチルス属の種は、例えば、Bacillus Genetic Stock Center、Biological Sciences 556、484 ウエスト第12アベニュー、オハイオ州、コロンバス43210-1214から入手することができる。
【0112】
一実施形態では、原核細胞は、グラム陰性細胞、例えば、TG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS 174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1-Blue及びOrigamiなどのサルモネラ属(Salmonella)の種又は大腸菌(Escherichia coli)並びに大腸菌B株に由来するもの、例えば、BL-21若しくはBL21(DE3)又はBL21(DE3)pLysSなどであり、そのすべては市販されている。
【0113】
適した宿主細胞は、例えば、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH、ドイツ、ブラウンシュヴァイク)又はAmerican Type Culture Collection(ATCC)などの培養物コレクションから市販されている。
【0114】
一実施形態では、細胞は、組換えポリペプチドをコードする外因性核酸を含む、例えば、組換えポリペプチド、例えば、表1~4から選択される組換えポリペプチドを発現する本明細書において記載された細胞のいずれか1である。
【0115】
一実施形態では、細胞培養は、バッチ培養、フェド-バッチ培養、ドローアンドフィル(draw and fill)培養又は連続培養として実施する。一実施形態では、細胞培養は、懸濁培養である。一実施形態では、細胞又は細胞培養物を、組換えポリペプチドの発現のためにin vivoに入れる、例えば、モデル生物又はヒト対象に入れる。
【0116】
一実施形態では、培養培地は、血清不含である。血清不含、タンパク質不含及び化学的に定義された動物成分不含(CDACF)培地は、例えば、Lonza Biologicsから市販されている。
【0117】
哺乳動物細胞株のための適した培地及び培養方法は、例えば、米国特許第5,633,162号に記載されるように当技術分野で周知である。実験用フラスコ又は低密度細胞培養のための、及び特定の細胞種の必要性に適応している標準細胞培養培地の例として、例えば、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地(Morre,G.、The Journal of the American Medical Association、199巻、519~520頁.1967年)、L-15培地(Leibovitz,A.ら、Amer. J. of Hygiene、78巻、1号173頁~、1963年)、「ダルベッコ改変イーグル培地 」(DMEM)、イーグル最小必須培地(MEM)、ハムF12培地(Ham,R.ら、Proc.Natl.Acad.Sc.53巻、288頁~1965年)又はアルブミン、トランスフェリン及びレシチンを欠くイスコフ改変DMEM(Iscovesら、J.Exp.med.1巻、923頁~、1978年)がある。例えば、ハムF10又はF12培地は、CHO細胞培養のために特別に設計された。CHO細胞培養に特別に適応されたその他の培地は、欧州特許第481791号に記載されている。このような培養培地にウシ胎児血清(FBS、ウシ胎児血清FCSとも呼ばれる)を補給してもよく、後者は過剰のホルモン及び成長因子の天然供給源を提供することが知られている。哺乳動物細胞の細胞培養は、今日では、科学教本及びマニュアルに十分に記載される通常の操作であり、例えば、R.Ian Fresney、Culture of Animal cells、a manual、第4版、Wiley-Liss/N.Y.、2000年に詳細に述べられている。
【0118】
その他の適した培養方法は、当業者に公知であり、組換えポリペプチド生成物及び利用される宿主細胞に応じて変わり得る。細胞によって発現されるべき組換え又は治療用ポリペプチドの発現及び生成に適した条件を決定又は最適化することは、当業者の技術の範囲内である。
【0119】
一態様では、細胞又は細胞株は、生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む。一実施形態では、細胞又は細胞株は、生成物、例えば、治療薬又は診断薬を発現する。所望のポリペプチド又はタンパク質を発現するように細胞を遺伝子改変又は遺伝子操作するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、トランスフェクション、形質導入(例えば、ウイルス形質導入)又はエレクトロポレーションが挙げられる。
【0120】
核酸、例えば、本明細書において記載される外因性核酸又はベクターを宿主細胞に導入するための物理的方法として、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を製造する方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrookら、2012年、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、1~4巻、Cold Spring Harbor Press、NY)を参照のこと。
【0121】
核酸、例えば、本明細書において記載される外因性核酸又はベクターを宿主細胞に導入するための化学的手段として、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系並びに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。in vitro及びin vivoで送達媒体として使用するための例示的コロイド系として、リポソーム(例えば、人工膜小胞)がある。ターゲッティングされるナノ粒子を用いるポリヌクレオチドの送達又はその他の適したサブミクロンサイズの送達系などの、核酸の最先端のターゲッティング送達のその他の方法が利用可能である。
【0122】
実施形態では、外因性核酸の、宿主細胞の核酸、例えば、宿主細胞のゲノム又は染色体核酸への組込みが望まれる。外因性核酸の、宿主細胞のゲノムへの組込みが起こったか否かを調べる方法として、GS/MSX選択方法を挙げることができる。GS/MSX選択方法は、細胞からのタンパク質の高レベル発現を選択するために、組換えGS遺伝子によるグルタミン栄養要求性の補完を使用する。手短には、GS/MSX選択方法は、グルタミンシンセターゼをコードする核酸を、組換えポリペプチド生成物をコードする外因性核酸を含むベクターに含めることを含む。メチオニンスルホキシミン(MSX)の投与によって、組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチド及びGSの両方をコードする外因性核酸を、ゲノム中に安定に組み込んでいる細胞が選択される。GSは、一部の宿主細胞、例えば、CHO細胞によって内因性に発現されることがあるので、宿主ゲノム中に組換え、治療用又はレプレッサーポリペプチド生成物をコードする外因性核酸を安定に組み込んでいる高生成細胞を同定するために、MSXを用いる選択の濃度及び期間を最適化することができる。GS選択及びその系は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるFanら、Pharm.Bioprocess.(2013年);1巻(5号):487~502頁にさらに記載されている。
【0123】
外因性核酸を宿主細胞ゲノム中に安定に組み込んでいる細胞を同定及び選択するためのその他の方法は、それだけには限らないが、外因性核酸にリポーター遺伝子を含めること及び細胞におけるリポーター遺伝子の存在の評価並びに外因性核酸のPCR解析及び検出を含み得る。
【0124】
一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞(例えば、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメント、例えば、第2のプロモーターエレメントを含む細胞であって、第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が調節される、例えば、減少される、細胞)は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて唯一の選択方法を使用して選択された細胞よりも高い又はより一貫した収量のタンパク質生成物を生成可能である。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけの細胞と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍又はそれより多い生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを生成する。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞は、生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけの細胞と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍又はそれよりも増大される期間又は細胞継代数の間、生成する。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけの細胞と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200又は300%のより正しくフォールディングされた生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを生成する。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけの細胞と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%のあまり凝集していないタンパク質又は生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを生成する。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製された細胞は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけの細胞と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200又は300%のよりグリコシル化された生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを生成する。一実施形態では、本明細書において記載される方法を使用して選択され、同定され又は作製され、生成物を生成するために使用される細胞の集団は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする外因性核酸の安定な発現、例えば、組込みについて選択され、同定され、又は作製されただけであり、生成物を生成するために使用された細胞と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200又は300%より生存可能である。
【0125】
細胞の評価、分類、選択又は同定
一態様では、本開示は、細胞、例えば、候補細胞を、生成物生成、例えば、組換え又は治療用ポリペプチド生成の能力について評価する方法を特徴とする。このような評価の結果は、高生成細胞又は細胞株である細胞又は細胞株を作製するための細胞の選択又は同定にとって有用な情報を提供し得る。別の実施形態では、本明細書において記載される評価に応じて、細胞又は細胞株を、例えば、高生成能力を有する細胞又は細胞株として分類できる。
【0126】
高生成細胞又は細胞株は、参照細胞又は本明細書において記載された方法によって選択又は作製されていなかった細胞と比較して、高収量の組換え又は治療用ポリペプチド生成物を生成可能である。一実施形態では、高生成細胞株は、100mg/L、200mg/L、300mg/L、400mg/L、500mg/L、600mg/L、700mg/L、800mg/L、900mg/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/L、95g/L又は100g/L又はそれより多い生成物、例えば、組換えポリペプチド生成物を生成可能である。一実施形態では、高生成細胞株は、100mg/L、200mg/L、300mg/L、400mg/L、500mg/L、600mg/L、700mg/L、800mg/L、900mg/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L、80g/L、85g/L、90g/L、95g/L又は100g/L又はそれより多い生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチド生成物を生成する。生成される生成物の量は、細胞種、例えば、種及び発現されるべき組換え又は治療用ポリペプチドに応じて変わり得る。例として、高生成細胞は、例えば、本明細書において記載されるように、少なくとも1g/L、2g/L、5g/L、10g/L、15g/L、20g/L又は25g/L又はそれより多い組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能である。
【0127】
生成物が発現することが困難である実施形態では、高生成細胞は、より低い濃度の生成物、例えば、0.1g/L、0.5g/L又は1g/L未満を生成し得るが、生産性は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む核酸を含まない細胞について観察されるものよりも高い又は増大される。例えば、同定又は選択された細胞によって生成される生成物のレベル、量(amount)又は量(quantity)は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む細胞を含まない細胞によって生成されるレベル、量(amount)又は量(quantity)と比較して、例えば、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍又は100倍又はそれより多く増大される。
【0128】
細胞を評価するための本明細書において記載される方法は、細胞機能と関連する1つ又は複数のパラメータに対するレプレッサーポリペプチドの効果を評価することを含む。細胞機能と関連するパラメータとして、それだけには限らないが、細胞生存、培養生存力、増殖する能力、生成物を生成する能力及びタンパク質分解が挙げられる。実施形態では、細胞機能に関連するパラメータに対するレプレッサーポリペプチドの効果を調べるために、例えば、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む核酸を含む細胞が、細胞機能と関連するパラメータの1つの増大又は減少をもたらすか否かを調べるために、細胞機能と関連する1つ又は複数のパラメータに対するレプレッサーポリペプチドの発現の効果の値を、参照値と比較する。一実施形態では、細胞機能と関連するパラメータのうち1つ又は複数の増大又は減少の決定に応じて、細胞生成株として開発するために細胞を選択又は同定できる。一実施形態では、細胞機能と関連するパラメータのうち1つ又は複数の増大又は減少の決定に応じて、高生成細胞、例えば、高収量の生成物を生成可能な細胞として細胞を同定できる。
【0129】
本明細書において記載される実施形態のいずれかでは、参照値は、参照細胞、例えば、所定の生産性を有する細胞の細胞機能と関連するパラメータに対するレプレッサーポリペプチドの効果の値であり得る。或いは、又はさらに、本明細書において記載される実施形態のいずれかにおいて、参照値は、試験されている同一細胞の細胞機能と関連するパラメータの値であることもあり、これでは、細胞は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む核酸を含まない、例えば、細胞を、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む核酸と接触させる前にパラメータの値を測定した、又はレプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む核酸と接触させていない細胞の別個のアリコート。
【0130】
一実施形態では、細胞生存力、例えば、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現を存続する細胞の数又は量を決定又は定量化することによって、細胞生存を測定できる。細胞生存の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後に残る、細胞、例えば、無傷の細胞又は生細胞の数の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い増大を含む。或いは、細胞生存の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後のアポトーシス細胞数の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれより多い減少を含む。細胞生存又はアポトーシスを検出するための方法、例えば、アネキシンVアッセイ、生存細胞濃度(IVC)の時間積分、最大生存細胞濃度及び細胞特異的生産性率は、当技術分野で公知である。
【0131】
一実施形態では、生細胞、例えば、培養物又は細胞の集団中の生細胞又は生存力と関連する特徴、例えば、増殖マーカー、無傷のDNAを有する細胞若しくはアポトーシスマーカーを示さない細胞の数又は量を決定又は定量化することによって、培養生存力を測定できる。培養生存力の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後に残る、細胞、例えば、無傷の細胞又は生細胞の数の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い増大を含む。培養生存力を調べる方法は、当技術分野で公知である。培養生存力を評価するその他の方法として、それだけには限らないが、トリパンブルー排除法と、それに続いて、血球計算器又はVi-CELL(Beckman-Coulter)を使用してカウントすることが挙げられる。培養生存力を評価するその他の方法は、生存バイオマスを調べることを含むことがあり、高周波インピーダンス又は静電容量を使用すること(例えば、Carvell及びDowd、2006年、Cytotechnology、50巻:35~48頁)又はラマン分光法を使用すること(例えば、Morettoら、2011年、American Pharmaceutical Review、14巻)を含む。
【0132】
一実施形態では、細胞の数、細胞倍加又は細胞の成長速度を定量化又はカウントすることによって、細胞の増殖する能力を測定できる。或いは、例えば、フローサイトメトリー解析による細胞のゲノム含量(例えば、複製しているDNA)の解析によって、又は細胞周期に関与している増殖マーカー、例えば、Ki67、リン酸化サイクリン-CDK複合体の存在の解析によって、増殖している細胞を同定できる。増殖する能力の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後の、細胞の数又は増殖マーカーを発現する細胞の数の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い増大を含む。或いは、増殖する能力の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後の、細胞の倍加又は成長速度の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い増大を含む。培養生存力を調べる方法は、当技術分野で公知である。
【0133】
本明細書において提供される方法は、組換え又は治療用ポリペプチド、例えば、生成物を生成するための改善された能力を有する細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するのに有用である。一実施形態では、本明細書において提供される方法はまた、組換え又は治療用ポリペプチドの改善された品質をもたらす細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するのに有用である。
【0134】
一実施形態では、生成される生成物の量又は濃度を調べる又は定量化することによって、細胞の、生成物を生成する能力を測定できる。生成物を生成する能力の増大は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後のタンパク質生成の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い増大を含む。
【0135】
一実施形態では、適切にフォールディングされた生成物、機能的生成物又は非凝集生成物の量又は濃度を調べる又は定量化することによって、生成物、例えば、発現された組換え又は治療用ポリペプチドの品質を測定できる。細胞によって生成される生成物の品質の上昇は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後の適切にフォールディングされた生成物、機能的生成物又は非凝集生成物、例えば、発現された組換え又は治療用ポリペプチドの量又は濃度の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い上昇を含む。
【0136】
一実施形態では、正しいグリコシル化プロフィール、マクロ不均一性(すなわち、部位占有率)及びグリコシル化の一貫性を有する生成物の量又は濃度を調べる又は定量化することによって、生成物、例えば、発現された組換え又は治療用ポリペプチドの品質を測定できる。細胞によって生成される生成物の品質の上昇は、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントを含まない細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後と比較した、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントも含む細胞における組換え又は治療用ポリペプチドの発現後の、グリコシル化プロフィールを有する、部位占有率の増大した、又はグリコシル化の一貫性が増大した生成物の量又は濃度の1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、3倍、4倍又は5倍又はそれより多い上昇を含む。
【0137】
タンパク質生成の増大を測定する方法は、当業者に周知である。例えば、組換え又は治療用タンパク質生成の増大は、ELISAによって組織培養培地において力価を測定することによって小規模で調べることができる(Smalesら2004年Biotechnology Bioengineering 88巻:474~488頁)。例えば、培地中の組換えモノクローナル抗体(mAb)濃度のハイスループット測定のためにForteBio Octetによって(Masonら 2012年Biotechnology Progress 28巻:846~855頁)又はプロテインA HPLCによって大規模で(Stansfieldら 2007年 Biotechnology Bioengineering 97巻:410~424頁)定量的に調べることもできる。生成物、例えば、本明細書において記載される組換え又は治療用ポリペプチドの生成を調べるその他の方法は、細胞中の生成物、特に、組換え又は治療用ポリペプチドの特定の生成速度(qP)及び/又は生存細胞濃度(IVC)の時間積分を指すことができる。培養培地中のポリペプチドの濃度として定義されている組換え又は治療用ポリペプチド生成又は生産性は、Porterら(Porterら 2010年 Biotechnology Progress 26巻:1446~1455頁)に従って算出される、これら2つのパラメータ(qP及びIVC)の関数である。
【0138】
本明細書において記載されるように作製された細胞株によって生成された生成物の改善された品質を測定するための方法は、当技術分野で公知である。一実施形態では、発現された組換え又は治療用ポリペプチド生成物の一次配列の忠実度を調べる方法、例えば、質量分析、HPLC、SDS-PAGE、ペプチドマピング及びIEFは、当技術分野で公知である。円偏光二色性又は発現された組換え又は治療用ポリペプチドの内因性蛍光を評価することによって、適切にフォールディングされた生成物、例えば、発現された組換え又は治療用ポリペプチドの量又は濃度の増大を決定できる。組換え又は治療用ポリペプチドの同一性に応じて種々の機能的アッセイを使用して、機能的生成物の量又は濃度の増大を試験できる。例えば、ELISA又はその他の免疫親和性アッセイによって抗体を試験できる。
【0139】
細胞株及び組換えポリペプチド生成のための方法
哺乳動物及び微生物選択系の両方における現在の最先端は、RNAへのDNAの転写のレベルで選択圧を適用することである。対象の遺伝子を選択マーカーと結合して、対象の遺伝子の高発現をもたらす可能性が高い選択マーカーの高レベルの発現を作製する。生存し、増殖することができるほど十分に高いレベルで選択マーカーを発現する細胞、そうではないものは、生存し、増殖する可能性が低い。このようにして、細胞の集団を、選択マーカーを発現する細胞について、また高レベルの対象の遺伝子の暗示によって濃縮することができる。この方法は、発現することが困難ではないタンパク質を発現するために極めて上首尾であると証明されている。
【0140】
いくつかの実施形態では、生成物の発現、例えば、生成物の転写、翻訳及び/若しくは分泌又は生成物の品質、例えば、適切なフォールディング及び/又は一次配列の忠実度を改善するために、さらなるステップを実施してもよい。このようなさらなるステップは、生成物発現又は生成物品質を改善する物質を導入することを含む。一実施形態では、生成物発現又は生成物品質を改善する物質は、小分子、ポリペプチド又はタンパク質フォールディングを改善するポリペプチド、例えば、シャペロンタンパク質をコードする核酸であり得る。一実施形態では、タンパク質フォールディングを補助する物質は、シャペロンタンパク質、例えば、BiP、PD1又はERO1をコードする核酸を含む(Chakravarthi & Bulleid 2004年;Borthら 2005年;Davisら 2000年)。生成物の収量及び品質を改善するためのその他のさらなるステップは、SBP1及びATF6などの転写因子の(Tigges & Fussenegger 2006年;Cainら 2013年;Kuら 2008年)、及びカルネキシン及びカルレティキュリンなどのレクチン結合シャペロンタンパク質の(Chungら 2004年)の過剰発現を含む。本明細書において記載されるタンパク質フォールディング及び生成物品質及び収量タンパク質を補助又は改善する物質の過剰発現は、タンパク質をコードする外因性核酸の導入によって達成できる。別の実施形態では、生成物発現又は生成物品質を改善する物質は、生成物の発現又は生成物の品質を増大するために細胞培養物に添加できる小分子である。一実施形態では、例えば、細胞が普通に成長される温度よりも1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃又は10℃低い低温での細胞の培養。
【0141】
本明細書において記載される方法のいずれかは、高い生産性を有し、高品質の生成物をもたらす細胞を同定するためのさらなる選択ステップをさらに含み得る。例えば、FAC選択は、所望の特徴、例えば、タンパク質フォールディングタンパク質、例えば、シャペロンのより高い発現を有する特定の細胞を選択するために利用できる。
【0142】
一態様では、本開示は、組換え又は治療用ポリペプチド生成物を回収する又は取り出すステップを含む方法を提供する。組換え又は治療用ポリペプチドが細胞から分泌される実施形態では、方法は、組換え又は治療用ポリペプチドを細胞、細胞集団又は細胞が培養された培養培地から取り出す、収集する又は分離するステップを含み得る。組換え又は治療用ポリペプチドが細胞内にある実施形態では、組換え又は治療用ポリペプチド生成物の精製は、以下:宿主細胞タンパク質、宿主細胞核酸、宿主細胞脂質及び/又は宿主細胞に由来するその他のデブリのいずれかのうち1つ又は複数からの、細胞によって生成された組換え又は治療用ポリペプチドの分離を含む。
【0143】
実施形態では、本明細書において記載されるプロセスは、実質的に純粋なタンパク質生成物を提供する。本明細書において、「実質的に純粋な」とは、発熱性材料を実質的に含まない、核酸を実質的に含まない、及び/又は宿主細胞由来の内因性細胞タンパク質酵素及び構成成分、例えば、ポリメラーゼ、リボソームタンパク質及びシャペロンタンパク質を実質的に含まないことを意味する。実質的に純粋なタンパク質生成物は、例えば、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の宿主細胞由来の混入する内因性タンパク質(別名宿主細胞タンパク質)、核酸又はその他の高分子を含有する。
【0144】
生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを回収及び精製する方法は、当技術分野で十分に確立されている。組換え又は治療用ポリペプチド生成物を回収するために、物理的又は化学的又は物理-化学的方法が使用される。物理的又は化学的又は物理-化学的方法は、濾過方法、遠心分離方法、超遠心方法、抽出方法、凍結乾燥方法、沈殿方法、クロマトグラフィー方法又はそれらの2つ若しくはそれより多い方法の組合せであり得る。一実施形態では、クロマトグラフィー方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(又はゲル濾過)、イオン交換クロマトグラフィー、例えば、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及び/又はマルチモーダルクロマトグラフィーのうち1つ又は複数を含む。
【0145】
レプレッサーポリペプチド
高収量の生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能な細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するための遺伝制御回路、細胞及び方法において有用なレプレッサーポリペプチド及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列が、本明細書において提供される。一般に、レプレッサーポリペプチドは、生成物、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドの発現を調節された方法で阻害する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドをコードする配列は、1つ又は複数の条件に応じてレプレッサーポリペプチドをコードする配列の転写を活性化する制御エレメントの転写制御下にある。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、制御エレメント、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結されたプロモーターエレメントと結合する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドの、制御エレメントとの結合は、作動可能に連結された組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列の転写を阻害する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、組換え又は治療用ポリペプチドの転写物の非翻訳領域をコードする配列と結合する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドの、組換え又は治療用ポリペプチドの転写物の非翻訳領域との結合は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列の翻訳を阻害する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列のコード配列と結合する。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドの、組換え又は治療用ポリペプチドのコード配列との結合は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列の転写、翻訳又は転写及び翻訳を阻害する。
【0146】
本開示は、個別のレプレッサーポリペプチドに対して特異的ではないということは考慮される。例示的レプレッサーポリペプチドは、それだけには限らないが、Cas9分子、TALE分子及びジンクフィンガー分子が挙げられる。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、当技術分野で公知のCas関連タンパク質である。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、I、II又はIII型CRISPR/Cas系に由来するタンパク質である(例えば、K.S.Makarovaら、Nat.Rev.Microbiol.9巻、467頁(2011年);K.S.Makarova、N.V.Grishin、S.A.Shabalina、Y.I.Wolf、E.V.Koonin、Biol.Direct 1巻、7頁(2006年);又はK.S.Makarova、L.Aravind、Y.I.Wolf、E.V.Koonin、Biol. Direct 6巻、38頁(2011年)に記載されるような)。
【0147】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、Cas9分子である。Cas9分子であるレプレッサーポリペプチドは、組換え又は治療用ポリペプチドの発現を阻害するために1又は複数の(例えば、1、2、3、4又はそれより多い)適したgRNAを必要とする。
【0148】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、TALE分子である。
【0149】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、ジンクフィンガー分子である。
【0150】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメントの内因性レプレッサーである。一実施形態では、レプレッサーポリペプチドをコードする内因性遺伝子は、不活性である、例えば、機能の喪失をもたらすようにノックアウト又は突然変異されている。
【0151】
Cas9分子
本開示の遺伝制御回路、細胞及び方法において使用されるべきCas9分子は、種々の種に起因するポリペプチドを含み得る。さらに、例えば、融合タンパク質において、ある種におけるCas9分子に由来する1つ又は複数のドメインを、別の種におけるCas9分子に由来する1つ又は複数のドメインと組み合わせてもよい。さらなるCas9ポリペプチドを含む種として、アシドボラックス・アヴェナエ(Acidovorax avenae)、アクチノバシラス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、アクチノバシラス・サクシノゲネス(Actinobacillus succinogenes)、アクチノバシラス・スイス(Actinobacillus suis)、アクチノマイセス属(Actinomyces)の種、シクリフィルス・デニトリフィカンス(cycliphilus denitrificans)、アミノモナス・パウシボランス(Aminomonas paucivorans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・スミチー(Bacillus smithii)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バクテロイデス属(Bacteroides)の種、ブラストピレルラ・マリナ(Blastopirellula marina)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)の種、ブレビバチルス・ラテロスポラス(Brevibacilluslaterosporus)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)、カンジダツス・プニセイスピリルム(Candidatus Puniceispirillum)、クロストリジウム・セルロリチカム(Clostridium cellulolyticum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム・アコレンス(Corynebacterium accolens)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria)、コリネバクテリウム・マトルコッティー(Corynebacterium matruchotii)、ジノロセオバクター・シバエ(Dinoroseobacter shibae)、ユウバクテリウム・ドリクム(Eubacterium dolichum)、ガンマプロテオバクテリア、グルコナセトバクター・ジアゾトロフィカス(Gluconacetobacter diazotrophicus)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・スプトラム(Haemophilus sputorum)、ヘリコバクター・カナデンシス(Helicobacter canadensis)、ヘリコバクター・シナエジ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、イリオバクター・ポリトロパス(Ilyobacter polytropus)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、リステリア・イバノヴィー(Listeria ivanovii)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、リステリアセアエ・バクテリウム(Listeriaceae bacterium)、メチロシスティス属(Methylocystis)の種、メチロサイナス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)、モビルンカス・ムリエリス(Mobiluncus mulieris)、ナイセリア・バシリフォルミス(Neisseria bacilliformis)、ナイセリア・シネレア(Neisseria cinerea)、ナイセリア・フラベセンス(Neisseria flavescens)、ナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)、ナイセリア・メニンギチディス(Neisseria meningitidis)、ナイセリア属(Neisseria)の種、ナイセリア・ワズワーシー(Neisseria wadsworthii)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas)の種、パルビバクルム ラバメンチボランス(Parvibaculum lavamentivorans)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ファスコラクトバクテリウム・スクシナツテンス(Phascolarctobacterium succinatutens)、ライストニア・シジギ(Ralstonia syzygii)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドブルム属(Rhodovulum)の種、サイモンシエラ・ムエレリ(Simonsiella muelleri)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)の種、スポロラクトバチルス・ビネエ(Sporolactobacillus vineae)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)の種、スブドリグラヌルム属(Subdoligranulum)の種、チストレラ・モビリス(Tistrella mobilis)、トレポネマ属(Treponema)の種又はベルミネフロバクター・エイセニエ(Verminephrobacter eiseniae)が挙げられる。
【0152】
Cas9構造及び活性
結晶構造は、天然に存在するCas9ポリペプチドについて(Jinekら、Science、343巻(6176号):1247997頁、2014年)及びガイドRNAととものS.ピオゲネス(pyogenes)Cas9(例えば、crRNA及びtracrRNAの合成融合物)について(Nishimasuら、Cell、156巻:935~949頁、2014年;及びAndersら、Nature、2014年、doi:10.1038/nature13579)利用可能である。
【0153】
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、以下のドメイン:RuvC様ドメイン及びHNH様ドメインのうち1つ又は複数を含む。一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドであり、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドは、RuvC様ドメイン、例えば、ヌクレアーゼ活性を欠くRuvC様ドメイン及び/又はHNH様ドメイン、例えば、ヌクレアーゼ活性を欠くHNH様ドメインを含む。
【0154】
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、1つより多いRuvC様ドメイン(例えば、1、2、3又はそれより多いRuvC様ドメイン)を含み得る。一実施形態では、RuvC様ドメインは、その活性を変更する1つ又は複数の突然変異を含み、その結果、RuvCドメインは、DNAを切断しない、又はDNA切断活性が低減されている。一実施形態では、RuvC様ドメインは、少なくとも5、6、7、8個のアミノ酸長であるが、多くても20、19、18、17、16又は15個のアミノ酸長である。一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、約10~20個のアミノ酸、例えば、約15個のアミノ酸長のN末端RuvC様ドメインを含む。
【0155】
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、1より多いHNH様ドメイン(例えば、1、2、3又はそれより多いHNH様ドメイン)を含み得る。一実施形態では、HNH様ドメインは、その活性を変更する1つ又は複数の突然変異を含み、その結果、HNH様ドメインは、DNAを切断しない、又はDNA切断活性が低減されている。一実施形態では、HNH様ドメインは、少なくとも15、20、25アミノ酸長であるが、多くても40、35又は30個のアミノ酸長、例えば、20~35個のアミノ酸長、例えば、25~30個のアミノ酸長である。
【0156】
実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、gRNA分子と相互作用する能力を有し、gRNA分子とともにコア標的ドメインに局在するが、標的核酸を切断不能である、又は効率的な速度で切断不能である。切断活性を有さない、又は実質的に有さないCas9分子は、本明細書において、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドと呼ばれる。例えば、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドは、切断活性を欠く、又は実質的に少ない、例えば、当技術分野で公知のアッセイ又は本明細書において記載されるアッセイによって測定されるような、参照Cas9分子又はCas9ポリペプチドの切断活性の20、10、5、1又は0.1%未満を有する場合がある。
【0157】
ターゲッティング及びPAM
Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、ガイドRNA(gRNA)分子と相互作用し、gRNA分子とともに、標的ドメイン及びPAM配列を含む部位に局在し得るポリペプチドである。
【0158】
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドの、標的核酸と相互作用する能力は、PAM配列依存性である。PAM配列は、標的核酸中の配列である。異なる細菌種に由来するCas9分子は、異なる配列モチーフ(例えば、PAM配列)を認識し得る。Cas9分子を、Cas9分子のPAM特異性を変更するように遺伝子操作することができる。例示的な天然に存在するCas9分子は、Chylinskiら、RNA Biology 2013年10巻:5号、727~737頁に記載されている。
【0159】
Cas9構造の変更
いくつかの実施形態では、例えば、Cas9分子又はCas9ポリペプチドの1つ又は複数のRuvC様ドメイン、例えば、N末端RuvC様ドメイン、HNH様ドメイン、RuvC様ドメイン及びHNH様ドメインの外側の領域中に1つ又は複数の突然変異が存在し得る。いくつかの実施形態では、突然変異(複数可)は、RuvC様ドメイン、例えば、N末端RuvC様ドメイン中に存在する。いくつかの実施形態では、突然変異(複数可)は、HNH様ドメイン中に存在する。いくつかの実施形態では、突然変異は、RuvC様ドメイン、例えば、N末端RuvC様ドメイン及びHNH様ドメインの両方中に存在する。
【0160】
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチド、例えば、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドは、本明細書において記載される任意のCas9分子配列又は本明細書において列挙される、若しくはChylinskiら、RNA Biology 2013年10巻:5号、727~737頁;Houら、PNAS Early Edition 2013年、1~6頁に記載される種に由来する天然に存在するCas9分子配列、例えば、Cas9分子と、
60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性を有する、
比較した場合に、アミノ酸残基の2、5、10、15、20、30又は40%以下で異なる、
少なくとも1、2、5、10又は20個のアミノ酸で、ただし、100、80、70、60、50、40又は30個以下のアミノ酸で異なる、又は
同一であるアミノ酸配列を含み、一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、以下の活性:ヘリカーゼ活性又はgRNA分子と一緒に、標的核酸に局在する能力のうち1つ又は複数を含む。一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、ニッカーゼ活性又は二本鎖切断活性(例えば、エンドヌクレアーゼ及び/又はエキソヌクレアーゼ活性)を含まない。
【0161】
S.ピオゲネス配列に関連してRuvCドメイン又はHNHドメインにおいて行われ得る例示的突然変異として、D10A、E762A、H840A、N854A、N863A及び/又はD986Aが挙げられる。
【0162】
例示的Cas9ポリペプチド及びCas9ドメイン配列は、国際公開第2015/157070号の表50~54に見ることができる。
【0163】
dCas9レプレッサーポリペプチド
一実施形態では、Cas9分子又はCas9ポリペプチドは、参照Cas9分子と比較して、RuvCドメイン中及び/又はHNHドメイン中に1つ又は複数の相違を含むdCas9分子又はdCas9ポリペプチドであり、dCas9分子又はdCas9ポリペプチドは、核酸を切断しない、又は野生型が行うよりも有意に少ない効率で切断し、例えば、本明細書において記載されるような切断アッセイにおいて野生型と比較した場合に、例えば、本明細書において記載されるアッセイによって測定されるような参照Cas9分子の50、25、10又は1%未満で切断する。
【0164】
Cas9タンパク質の両DNA切断ドメイン中の突然変異する重要な残基(例えば、D10A及びH840A突然変異)は、触媒的に不活性のCas9(死んだCas9としても知られるdCas9)分子の生成をもたらす。酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9は、gRNAと複合体を形成し、gRNAのターゲッティングドメインによって指定されるDNA配列に局在するが、標的DNAを切断しない。酵素的に不活性の(例えば、dCas9)Cas9分子は、コード配列中の初期領域に動員された場合に転写を遮断できる。転写抑制ドメイン(例えば、KRAB、SID又はERD)を酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9と融合すること及びそれを標的配列、例えば、遺伝子の開始コドンの3’の1000bp以内の配列又は例えば、開始コドンの5’の500bp以内の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントに動員することによって、さらなる抑制を達成できる。プロモーターのDNアーゼI高感受性部位(DHS)をターゲッティングすること(例えば、DHSに対して相補的であるgRNAを作製することによって)は、これらの領域は、酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9に到達できる可能性がより高く、また、内因性転写因子のための部位を有する可能性が高いので、遺伝子抑制、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列の阻害のためのさらなる戦略であり得る。理論に捉われようとは思わないが、本明細書において、内因性転写因子又はRNAポリメラーゼの結合部位を遮断することは、遺伝子発現、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列の発現を下方調節することにおいて役立つであろうということが考慮される。一実施形態では、1つ又は複数の内因性転写因子の結合を遮断するために1又は複数の酵素的不活性のCas9、例えば、dCas9分子を使用してもよい。別の実施形態では、酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9分子を、エフェクタードメイン、例えば、抑制ドメイン、活性化ドメイン、メチル化酵素などと融合できる。酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9の、エフェクタードメインとの融合によって、エフェクターの、gRNAによって指定される任意のDNA部位への動員が可能になる。クロマチン状態を変更することは、標的遺伝子の発現の減少をもたらし得る。クロマチン状態を変更するために、1又は複数のクロマチン修飾タンパク質に融合された1又は複数の酵素的に不活性のCas9、例えば、dCas9分子を使用してもよい。
【0165】
一実施形態では、gRNA分子は、制御エレメント(例えば、プロモーターエレメント)、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメントをターゲッティングできる。一実施形態では、gRNA分子は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列をターゲッティングできる。
【0166】
gRNA分子
gRNA分子は、その用語が本明細書において使用される時には、標的配列へのgRNA分子/Cas9分子複合体の特異的ターゲッティング又はホーミングを促進する核酸を指す。gRNA分子は、本明細書において「キメラ」gRNAと呼ばれることもある単分子(単一RNA分子を含む)である場合も、モジュラー(1つより多い、通常、2つの別個のRNA分子を含む)である場合もある。gRNA分子は、いくつかのドメインを含む。
【0167】
一実施形態では、単分子又はキメラgRNAは、通常5’から3’に、
ターゲッティングドメイン、
第1の相補性ドメイン、
連結ドメイン、
第2の相補性ドメイン(第1の相補性ドメインに対して相補的である)、
近位ドメイン、及び
任意選択で、テールドメイン
を含む。
【0168】
一実施形態では、モジュラーgRNAは、
通常、5’から3’に
ターゲッティングドメイン、
第1の相補性ドメイン
を含む第1鎖と、
通常、5’から3’に
任意選択で、5’伸長ドメイン、
第2の相補性ドメイン、
近位ドメイン
任意選択で、テールドメイン
を含む第2鎖と
を含む。
【0169】
一実施形態では、gRNAは、tracrRNAを含む第1鎖と、crRNAを含む第2鎖とを含む。例示的tracrRNA及びcrRNA及びそれを設計する方法は、当技術分野で、例えば、Jinekら Science 2012年8月17日:337巻、6096号、816~821頁において見ることができる。
【0170】
例示的gRNA及びgRNAを設計する方法は、国際公開第2015/157070号、Xu,H.ら、Genome Res. 2015年8月;25巻(8号):1147~57頁及び当技術分野で公知の方法において見ることができる。
【0171】
gRNAドメイン
ターゲッティングドメインは、標的核酸上の標的配列に対して相補的である、例えば、少なくとも80、85、90又は95%相補的、例えば、完全に相補的であるヌクレオチド配列を含む。ターゲッティングドメインは、RNA分子の一部であり、したがって、塩基ウラシル(U)を含み、一方、gRNA分子をコードする任意のDNAは、塩基チミン(T)を含むであろう。一実施形態では、ターゲッティングドメインの、標的配列との相補性は、gRNA分子/Cas9分子複合体の、標的核酸との相互作用の特異性に寄与すると考えられる。一実施形態では、ターゲッティングドメインは、5~50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、ターゲッティングドメインは、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、組換え若しくは治療用ポリペプチドをコードする配列に対して、又は第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント若しくは組換え若しくは治療用ポリペプチドをコードする配列内に含まれる非翻訳領域若しくはイントロンに対して相補性を有する。ターゲッティングドメインが相補的である標的核酸の鎖は、本明細書において、相補鎖と呼ばれる。
【0172】
第1の相補性ドメインは、第2の相補性ドメインと相補的であり、一実施形態では、第2の相補性ドメインに対して十分な相補性を有し、少なくともいくつかの生理学的条件下で二本鎖領域を形成する。
【0173】
第1の相補性ドメインは、天然に存在する第1の相補性ドメインと相同性を共有し得る、又はそれに由来し得る。一実施形態では、S.ピオゲネス、S.オーレウス(aureus)又はS.サーモフィルス(thermophilus)由来の第1の相補性ドメインと少なくとも50%の相同性を有する。連結ドメインは、単分子gRNAの第1の相補性ドメインを、第2の相補性ドメインと連結するように働く。連結ドメインは、第1及び第2の相補性ドメインを共有結合によって、又は非共有結合によって連結することができる。一実施形態では、連結は共有結合である。通常、連結ドメインは、1つ又は複数の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチドを含む。
【0174】
モジュラーgRNA分子では、2つの分子が、相補性ドメインのハイブリダイゼーションにより会合している。
【0175】
一実施形態では、モジュラーgRNAは、本明細書において5’伸長ドメインと呼ばれるさらなる配列を、第2の相補性ドメインの5’に含み得る。一実施形態では、5’伸長ドメインは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10又はそれより多いヌクレオチド長である。
【0176】
第2の相補性ドメインは、第1の相補性ドメインと相補的であり、一実施形態では、第2の相補性ドメインに対して十分な相補性を有し、少なくともいくつかの生理学的条件下で二本鎖領域を形成する。一実施形態では、第2の相補性ドメインは、第1の相補性ドメインとの相補性を欠く配列、例えば、二本鎖領域からループアウトする配列を含み得る。一実施形態では、第2の相補性ドメインは、5~27ヌクレオチド長である。一実施形態では、第1の相補性領域よりも長い。第2の相補性ドメインは、天然に存在する第2の相補性ドメインと相同性を共有し得る、又はそれに由来し得る。一実施形態では、S.ピオゲネス、S.オーレウス又はS.サーモフィルス由来の第2の相補性ドメインと少なくとも50%の相同性を有する。
【0177】
一実施形態では、近位ドメインは、5~20ヌクレオチド長である。一実施形態では、近位ドメインは、天然に存在する近位ドメインと相同性を共有し得る、又はそれに由来し得る。一実施形態では、S.ピオゲネス、S.オーレウス又はS.サーモフィルス由来の近位ドメインと少なくとも50%の相同性を有する。
【0178】
一実施形態では、テールドメインは、0(存在しない)、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長である。一実施形態では、テールドメインヌクレオチドは、天然に存在するテールドメインの5’末端に由来する配列と相同性を共有し得る、又はそれに由来し得る。一実施形態では、本明細書において開示されるテールドメイン、例えば、S.ピオゲネス、S.オーレウス又はS.サーモフィルステールドメインと少なくとも50%の相同性を有する。一実施形態では、テールドメインは、互いに相補的である配列を含み、少なくともいくつかの生理学的条件下で二本鎖領域を形成する。
【0179】
一実施形態では、テールドメインは、3’末端に、in vitro又はin vivo転写の方法と関連しているヌクレオチドを含む。in vivo転写にU6プロモーターが使用される場合には、これらのヌクレオチドは、配列UUUUUUであり得る。
【0180】
gRNAを設計する方法
gRNA標的配列を選択及び検証する方法並びにオフターゲット解析は、例えば、Maliら、2013年Science 339巻(6121号):823~826頁;HsuらNat Biotechnol、31巻(9号):827~32頁;Fuら、2014年Nat Biotechnol、doi:10.1038/nbt.2808 PubMed PMID:24463574;Heigwerら、2014年Nat METHODS 11巻(2号):122~3頁 doi:10.1038/nmeth.2812.PubMed PMID:24481216;Baeら、2014年BIOINFORMATICS PubMed PMID:24463181;Xiao Aら、2014年BIOINFORMATICS PubMed PMID:24389662に記載されている。
【0181】
例えば、ソフトウェアツールを使用して、ユーザーの標的配列内のgRNAの選択を最適化して、例えば、ゲノム中の総オフターゲット活性を最小化できる。オフターゲット活性は、DNA結合、DNA切断、DNAニッキング又は別の活性であり得る。S.ピオゲネスCas9を使用する、あり得るgRNA選択各々について、ツールは、最大で特定の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)のミスマッチしている塩基対を含有するゲノム中のすべてのオフターゲット配列(先行するNAG又はNGG PAMのいずれか)を同定できる。次いで、あり得るgRNA各々を、その合計の予測されるオフターゲット切断に従ってランク付けし、最上位にランク付けされたgRNAは、最大のオンターゲット及び最小のオフターゲット切断を有する可能性が高いものに相当する。その他の機能、例えば、CRISPR構築のための自動化試薬設計、オンターゲットサーベイヤー(Surveyor)アッセイのためのプライマー設計及び次世代シーケンシングによるオフターゲット切断のハイスループット検出及び定量化のためのプライマー設計を、ツールに含めることができる。候補gRNA分子は、当技術分野で公知の方法によって評価できる。
【0182】
TALE分子
転写アクチベーター様エフェクター(TALE)分子又はTALEポリペプチドは、その用語が本明細書において使用される場合、TALE DBDによって指定される核酸位置にホーミング又は局在できる複数のTALE DNA結合リピートドメイン(TALE DBD)を含む分子又はポリペプチドを指す。TALE分子及びTALEポリペプチドは、それらの用語が本明細書において使用される場合、例えば、参照配列、例えば、当技術分野で公知の最も類似した天然に存在するTALE分子から少なくとも1個のアミノ酸残基だけ異なる、天然に存在するTALE分子及び遺伝子操作された、変更された又は修飾されたTALE分子又はTALEポリペプチドを指す。
【0183】
TALE DBDは、その用語が本明細書において使用される場合、モチーフの位置12及び13に2つの高頻度可変性残基(すなわち、リピート可変二残基、RVD)を含む33~35のアミノ酸モチーフを指す。TALE DNA結合ドメイン(DBD)のRVDは、TALE DBDが結合親和性を有するDNA塩基対又は塩基対を指定する。TALE DBDをアレイでTALE分子又はTALEポリペプチド内で組み合わされると、TALE DBD(及びそのRVD)の順序が、TALE分子又はTALEポリペプチドが結合親和性を有するDNA配列を決定する。天然に存在するTALEポリペプチド及びTALE DBDは、キサントモナス属(Xanthomonas)の細菌によって生成される。
【0184】
リピート可変二残基(RVD)は、その用語が本明細書において使用される場合、TALE DBDの位置12及び13の2つの高頻度可変性 アミノ酸残基を指す。RVDは、TALE DBDのDNA塩基対親和性を決定する。RVDのすべてのあり得る組合せ及びそのそれぞれの塩基対親和性は、当技術分野で公知である。例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Cong L.ら Nat Commun. 2012年7月24日; 3():968;Juillerat A.ら Sci Rep. 2015年1月30日;5():8150;Miller J.C.ら Nat Methods 12、465~471頁(2015年);Streubel J.ら Nat Biotechnol 30巻、593~595頁(2012年);及びYang J.ら Cell Res 24、628~631頁(2014年)を参照のこと。レプレッサーポリペプチド、例えば、本明細書において記載されるTALE分子とともの使用のために、すべてのあり得るRVDが考慮される。
【0185】
TALE DBDアレイは、その用語が本明細書において使用される場合、TALE分子又はTALEポリペプチド内のTALE DBD、例えば、各TALE DBDのRVDの同一性及び順序を指す。TALE DBDアレイは、TALE分子又はTALEポリペプチドの配列特異的結合親和性を決定する。
【0186】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、TALE分子又はTALEポリペプチドである。キサントモナス属の任意の種に由来するTALE DBD及びTALEポリペプチドを、高収量の生成物、例えば、本明細書において記載される組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能である細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するための、遺伝制御回路、細胞及び方法において使用できる。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、天然に存在するTALE分子又はTALEポリペプチドである。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、遺伝子操作されたTALE分子又はTALEポリペプチド、すなわち、天然に存在するTALE分子若しくはTALEポリペプチドに由来する、又は当技術分野で公知の別の遺伝子操作されたTALE分子若しくはTALEポリペプチドに由来する1個又は複数のアミノ酸だけ異なるTALE分子又はTALEポリペプチドである。
【0187】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたTALE分子又はTALEポリペプチドは、
本明細書において記載される任意のTALE分子配列又は天然に存在するTALE分子配列、例えば、本明細書において列挙される、若しくは本明細書において参照される刊行物に記載される種に由来するTALE分子と、
60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性を有する、
比較した場合に、アミノ酸残基の2、5、10、15、20、30又は40%以下で異なる、
少なくとも1、2、5、10又は20個のアミノ酸で、ただし100、80、70、60、50、40又は30個以下のアミノ酸で異なる、又は
同一であるアミノ酸配列を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、TALE分子は、そのTALE分子のTALE DBDアレイによって指定される標的DNA配列に局在する。いくつかの実施形態では、TALE分子は、コード配列、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドのコード配列中の初期領域に動員された場合に転写を遮断できる。いくつかの実施形態では、TALE分子は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントに動員された場合に転写を遮断できる。いくつかの実施形態では、転写抑制ドメイン(例えば、KRAB、SID又はERD)をTALE分子と融合し、TALE DBDアレイによって指定される任意のDNA部位へのエフェクターの動員を可能にすることによって、さらなる抑制を達成できる。
【0189】
いくつかの実施形態では、TALE分子は、2つ又はそれより多い(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50又はそれより多い)TALE DBDを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチド、例えば、TALE分子のTALE DBDアレイは、標的DNA配列を指定する。いくつかの実施形態では、TALE DBDアレイによって指定される標的配列は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメント、例えば、プロモーターエレメント内に含まれる。いくつかの実施形態では、TALE DBDアレイによって指定される標的配列は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列内に含まれる。
【0191】
高収量の生成物、例えば、本明細書において記載される組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能である細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するための、例示的な天然に存在する、及び遺伝子操作されたTALEポリペプチド配列並びに遺伝制御回路、細胞及び方法とともに使用するためのTALEポリペプチドの設計及び試験のための方法は、当技術分野において、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Zhang Fら Nat Biotechnol. 2011年;29巻:149~153頁;Geissler Rら PLoS One. 2011年;6:e19509;Garg Aら Nucleic Acids Res. 2012年;Bultmann Sら Nucleic Acids Res. 2012年;40巻:5368~5377頁;Cermak Tら Efficient design and assembly of custom TALEN and other TAL effector based constructs for DNA targeting. Nucleic Acids Res. 2011年;39巻:e82;Cong Lら Nat Commun. 2012年;3巻:968頁;及びMiller JCら Nat Biotechnol. 2011年;29巻:143~148頁に見ることができる。
【0192】
ジンクフィンガー分子
ジンクフィンガー分子は、その用語が本明細書において使用される時には、複数のジンクフィンガードメイン(ZFD)を含む分子又はポリペプチドを指す。ジンクフィンガー分子は、ジンクフィンガー分子が含むZFDの同一性及び順序によって決定される特定のDNA配列に対して親和性を有する。
【0193】
ジンクフィンガードメイン(ZFD)は、その用語が本明細書において使用される時には、配列中のDNAと特異的に結合し、DNAと結合するために亜鉛イオンリガンドを必要とするポリペプチドのファミリーのいずれかを指す。ZFDの多数のファミリーが研究され、特性決定されている(例えば、Krishna,SS.ら Nucl. Acids Res.(2003年)31巻(2号):532~550頁を参照のこと)。本開示は、当業者に公知の任意の種類又は起源のZFDを含み得るジンクフィンガー分子を考慮する。任意の特定の種類のZFDに限定されようとは思わないが、本開示は、当技術分野で最も蔓延している、十分に研究されているZFDであるCys2His2 ZFDを含むジンクフィンガー分子を考慮する。Cys2His2 ZFDは、逆平行ベータシート及びアルファヘリックスを形成する2つのベータ鎖を含む。アルファヘリックスの位置-1、1、2、3、5及び6は、DNA塩基対と相互作用することによってDNA配列特異的結合を指定すると知られている。一実施形態では、Cys2His2 ZFDは、3塩基対標的配列に対する特異的結合親和性を有し得る。一実施形態では、Cys2His2 ZFDは、標的配列に隣接するさらなる塩基対と、状況特異的に、すなわち、ジンクフィンガー分子内の隣接するZFDの存在又は同一性に応じて特異的に相互作用し得る。
【0194】
ジンクフィンガードメインアレイ又はZFDアレイは、その用語が本明細書において使用される時には、ジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチド内のZFDの同一性及び順序を指す。ZFDアレイは、ジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドの配列特異的結合親和性を決定する。
【0195】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、ジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドである。任意の種(例えば、哺乳動物種、例えば、ヒト)に由来するZFD及びジンクフィンガーポリペプチドは、高収量の生成物、例えば、本明細書において記載される組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能である細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するための遺伝制御回路、細胞及び方法において使用できる。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、天然に存在するジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドである。いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチドは、遺伝子操作されたジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチド、すなわち、天然に存在するジンクフィンガー分子若しくはジンクフィンガーポリペプチドに由来する、又は当技術分野で公知の別の遺伝子操作されたジンクフィンガー分子若しくはジンクフィンガーポリペプチドに由来する1個又は複数のアミノ酸だけ異なるジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドである。
【0196】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドは、本明細書において記載される任意のジンクフィンガー分子配列又は天然に存在するジンクフィンガー分子配列、例えば、本明細書において列挙される、若しくは本明細書において参照される刊行物に記載される種に由来するジンクフィンガー分子と、
60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性を有する、
比較した場合に、アミノ酸残基の2、5、10、15、20、30又は40%以下で異なる、
少なくとも1、2、5、10又は20個のアミノ酸で、ただし100、80、70、60、50、40又は30個以下のアミノ酸で異なる、又は
同一であるアミノ酸配列を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー分子は、そのジンクフィンガー分子のZFDアレイによって指定される標的DNA配列に局在する。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー分子は、コード配列、例えば、組換え又は治療用ポリペプチドのコード配列中の初期領域に動員された場合に転写を遮断できる。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー分子は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメント、例えば、プロモーターエレメントに動員された場合に転写を遮断できる。いくつかの実施形態では、転写抑制ドメイン(例えば、KRAB、SID又はERD)をジンクフィンガー分子と融合し、ZFDアレイによって指定される任意のDNA部位へのエフェクターの動員を可能にすることによって、さらなる抑制を達成できる。
【0198】
いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー分子は、2つ又はそれより多い(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50又はそれより多い)ZFDを含む。いくつかの実施形態では、ZFDアレイを既知標的配列親和性を有するZFDから構築して、所望の特異的標的配列を有するジンクフィンガー分子又はジンクフィンガーポリペプチドを作製できる。
【0199】
いくつかの実施形態では、レプレッサーポリペプチド、例えば、ジンクフィンガー分子のZFDアレイは、標的DNA配列を指定する。いくつかの実施形態では、ZFDアレイによって指定される標的配列は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された制御エレメント、例えば、プロモーターエレメント内に含まれる。いくつかの実施形態では、ZFDアレイによって指定される標的配列は、組換え又は治療用ポリペプチドをコードする配列内に含まれる。
【0200】
高収量の生成物、例えば、本明細書において記載される組換え又は治療用ポリペプチドを生成可能である細胞又は細胞株を同定、選択又は作製するための、例示的な天然に存在する、及び遺伝子操作されたジンクフィンガーポリペプチド配列並びに遺伝制御回路、細胞及び方法とともに使用するためのジンクフィンガーポリペプチドの設計及び試験のための方法は、当技術分野において、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Wolfe SAら Annu Rev Biophys Biomol Struct. 2000年;29巻:183~212頁;Pabo COら Annu Rev Biochem. 2001年;70巻:313~340頁;Greisman HA、Pabo CO. Science. 1997年;275巻:657~661頁;Isalan Mら Proc Natl Acad Sci U S A. 1997年;94巻:5617~5621頁;Wolfe SAら J Mol Biol. 1999年;285巻:1917~1934頁に見ることができる。
【0201】
特異的標的DNA配列と結合するZFD及びZFDアレイを設計する方法は、当技術分野で、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Maeder MLら Mol Cell. 2008年;31巻:294~301頁;Sander JDら Nat METHODs. 2011年;8巻:67~69頁;及びMeng Xら Nat Biotechnol. 2008年;26巻:695~701頁に見ることができる。
【0202】
製造への適用
本明細書において開示される細胞、方法、キット、反応混合物及び核酸は、バイオリアクター又は処理容器若しくはタンクにおいて、より一般的には、任意の供給源を用いて使用するものであり得る。本明細書において記載されるデバイス、設備及び方法は、原核及び/又は真核細胞株を含む任意の所望の細胞株を培養するのに適している。また、懸濁液細胞又は足場依存性(接着)細胞を培養するのに適している構成成分を含み、医薬品及び医薬製剤製品-ポリペプチド生成物、核酸生成物(例えば、DNA又はRNA)又は細胞療法及び/若しくはウイルス療法において使用されるものなどの細胞及び/又はウイルスなどの製造のために設定された生産作業に適している工業設備も含まれる。
【0203】
実施形態では、細胞は、組換え治療用生成物又は診断用生成物などの生成物を発現又は生成する。以下により詳細に記載されるように、細胞によって生成される生成物の例として、それだけには限らないが、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体ミメティクス(抗原と特異的に結合するが、抗体と構造的に関連していないポリペプチド分子、例えば、DARPins、アフィボディ、アドネクチン又はIgNARなど)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、その他の組換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、ウイルス治療用(例えば、遺伝子療法及びウイルス免疫療法のための抗がん瘍溶解性ウイルス、ウイルスベクター)、細胞治療用(例えば、多能性幹細胞、間葉系幹細胞及び成体幹細胞)、ワクチン又は脂質によって被包された粒子(例えば、エキソソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNAなど)又はDNA(例えば、プラスミドDNAなど)、抗生物質又はアミノ酸が挙げられる。実施形態では、バイオシミラーを製造するためにデバイス、設備及び方法を使用できる。
【0204】
また、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞又は例えば、酵母細胞若しくは糸状菌細胞などの下等真核細胞又はグラム陽性若しくはグラム陰性細胞などの原核細胞並びに/又は真核細胞若しくは原核細胞の生成物、例えば、真核細胞によって大規模に合成される、タンパク質、ペプチド、抗生物質、アミノ酸、核酸(DNA又はRNAなど)の製造を可能にする構成成分を含む工業設備も含まれる。本明細書において別に示されない限り、デバイス、設備及び方法は、任意の所望の容量又はそれだけには限らないが、ベンチ規模、パイロット規模及びフル製造規模能力を含む製造能力を含み得る。
【0205】
さらに、本明細書において別に示されない限り、設備は、それだけには限らないが、撹拌槽、気泡ポンプ、ファイバー、マイクロファイバー、中空ファイバー、セラミックマトリックス、流動層、固定層及び/又は噴流層バイオリアクターを含む任意の適したリアクター(複数可)を含み得る。本明細書において、「リアクター」は、発酵槽又は発酵ユニット又は任意のその他の反応容器を含んでもよく、用語「リアクター」は、「発酵槽」と同義的に使用される。例えば、いくつかの態様では、例示的バイオリアクターユニットは、以下:栄養分及び/又は炭素供給源の供給、適したガス(例えば、酸素)の注入、発酵又は細胞培養培地の入口及び出口流、ガス及び液相の分離、温度の維持、酸素及びCO2レベルの維持、pHレベルの維持、撹拌(agitation)(例えば、撹拌(stirring))、及び/又は洗浄/滅菌のうち1つ又は複数又はすべてを実施できる。発酵ユニットなどの例示的リアクターユニットは、ユニット内に複数のリアクターを含有してもよく、例えば、ユニットは、各ユニット中に1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90又は100又はそれより多いバイオリアクターを有することができ、及び/又は設備は、施設内に単一又は複数のリアクターを有する複数のユニットを含有してもよい。種々の実施形態では、バイオリアクターは、バッチ、半フェド-バッチ、フェド-バッチ、灌流及び/又は連続発酵プロセスに適したものであり得る。任意の適したリアクター径を使用できる。実施形態では、バイオリアクターは、約100mLから約50,000Lの間の容量を有し得る。限定されない例として、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル及び/又は50,000リットルの容量が挙げられる。さらに、適したリアクターは、複数回使用、単回使用、使い捨て又は非使い捨てであってよく、ステンレス鋼(例えば、316L又は任意のその他の適したステンレス鋼)及びインコネルなどの合金、プラスチック及び/又はガラスを含む任意の適した材料から形成され得る。
【0206】
実施形態では、本明細書において別に記載されない限り、設備はまた、このような生成物の分離、精製及び単離のための作業及び/又は機器などの、そうでなければ言及されない任意の適したユニット作業及び/又は機器を含み得る。伝統的な現場組み立て設備、モジュール式、移動性及び一時的な設備又は任意のその他の適した構築物、設備及び/又はレイアウトなどの任意の適した設備及び環境を使用できる。例えば、いくつかの実施形態では、モジュール式クリーンルームを使用できる。さらに、別に記載されない限り、本明細書において記載されるデバイス、システム及び方法を、単一の場所又は設備において収容及び/若しくは実施でき、又はあるいは、別個の又は複数の場所及び/又は設備に収容及び/又は実施できる。
【0207】
限定されない例として、制限するものではないが、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0280797号、同2012/0077429号、同2011/0280797号、同2009/0305626号並びに米国特許第8,298,054号、同7,629,167号及び同5,656,491号に、適したものであり得る例示的設備、機器及び/又はシステムが記載されている。
【0208】
例示的配列
HCMVプロモーター及びイントロン中の例示的ガイドRNA標的配列
(下線が引かれたPAM配列)
すべて5’から3’
【0209】
gRNA 1
TGTCAACATGGCGGTAATGTTGG(配列番号1)
【0210】
gRNA 2
TACCGCCCATTTGCGTCAATGGG(配列番号2)
【0211】
gRNA 3
CTACCGCCCATTTGCGTCAATGG(配列番号3)
【0212】
gRNA14
ACCGTTAACAGCACCGCAACGGG(配列番号4)
【0213】
配列5-gRNAによってターゲッティングされるhCMV-MIE領域
>pEE12.4(5421bp~7528bp、直接)2108bp
CTGCAGTGAATAATAAAATGTGTGTTTGTCCGAAATACGCGTTTTGAGATTTCTGTCGCCGACTAAATTCATGTCGCGCGATAGTGGTGTTTATCGCCGATAGAGATGGCGATATTGGAAAAATCGATATTTGAAAATATGGCATATTGAAAATGTCGCCGATGTGAGTTTCTGTGTAACTGATATCGCCATTTTTCCAAAAGTGATTTTTGGGCATACGCGATATCTGGCGATAGCGCTTATATCGTTTACGGGGGATGGCGATAGACGACTTTGGTGACTTGGGCGATTCTGTGTGTCGCAAATATCGCAGTTTCGATATAGGTGACAGACGATATGAGGCTATATCGCCGATAGAGGCGACATCAAGCTGGCACATGGCCAATGCATATCGATCTATACATTGAATCAATATTGGCCATTAGCCATATTATTCATTGGTTATATAGCATAAATCAATATTGGCTATTGGCCATTGCATACGTTGTATCCATATCATAATATGTACATTTATATTGGCTCATGTCCAACATTACCGCCATGTTGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGCCGGGAACGGTGCATTGGAACGCGGATTCCCCGTGCCAAGAGTGACGTAAGTACCGCCTATAGAGTCTATAGGCCCACCCCCTTGGCTTCTTATGCATGCTATACTGTTTTTGGCTTGGGGTCTATACACCCCCGCTTCCTCATGTTATAGGTGATGGTATAGCTTAGCCTATAGGTGTGGGTTATTGACCATTATTGACCACTCCCCTATTGGTGACGATACTTTCCATTACTAATCCATAACATGGCTCTTTGCCACAACTCTCTTTATTGGCTATATGCCAATACACTGTCCTTCAGAGACTGACACGGACTCTGTATTTTTACAGGATGGGGTCTCATTTATTATTTACAAATTCACATATACAACACCACCGTCCCCAGTGCCCGCAGTTTTTATTAAACATAACGTGGGATCTCCACGCGAATCTCGGGTACGTGTTCCGGACATGGGCTCTTCTCCGGTAGCGGCGGAGCTTCTACATCCGAGCCCTGCTCCCATGCCTCCAGCGACTCATGGTCGCTCGGCAGCTCCTTGCTCCTAACAGTGGAGGCCAGACTTAGGCACAGCACGATGCCCACCACCACCAGTGTGCCGCACAAGGCCGTGGCGGTAGGGTATGTGTCTGAAAATGAGCTCGGGGAGCGGGCTTGCACCGCTGACGCATTTGGAAGACTTAAGGCAGCGGCAGAAGAAGATGCAGGCAGCTGAGTTGTTGTGTTCTGATAAGAGTCAGAGGTAACTCCCGTTGCGGTGCTGTTAACGGTGGAGGGCAGTGTAGTCTGAGCAGTACTCGTTGCTGCCGCGCGCGCCACCAGACATAATAGCTGACAGACTAACAGACTGTTCCTTTCCATGGGTCTTTTCTGCAGTCACCGTCCTTGACACG(配列番号5)
【0214】
配列6-U6プロモーター
TGTACAAAAAAGCAGGCTTTAAAGGAACCAATTCAGTCGACTGGATCCGGTACCAAGGTCGGGCAGGAAGAGGGCCTATTTCCCATGATTCCTTCATATTTGCATATACGATACAAGGCTGTTAGAGAGATAATTAGAATTAATTTGACTGTAAACACAAAGATATTAGTACAAAATACGTGACGTAGAAAGTAATAATTTCTTGGGTAGTTTGCAGTTTTAAAATTATGTTTTAAAATGGACTATCATATGCTTACCGTAACTTGAAAGTATTTCGATTTCTTGGCTTTATATATCTTGTGGAAAGGACGAAACACC(配列番号6)
【0215】
配列7-Grp78プロモーター
>GA_Grp78_dCas9_Ub_Puro_U6_RGR_2+1+3(15bp~1508bp、直接)1494bp
TAGCATAAGCTACAGATCAACCAGGTTATCAATTCTACCTGTACCACTCACCAGTGACTATTCTATTTAGCCACCCCCCCCCCAATGATCTCTTCTGGAAAATGGGAAACATCTACCAAGAATTAATCAAAGGACTAAATGACACATGCAAAAAAAAAAAAACCTTAGAACAGTGTTTTAAGCAGGATAAGTAGTTCAAGACCAGTTTGGACCATGTCTCAAAACTAAAGGAACAACGAAGTACATTTAGTATTTTTTGCAACATGTTATTATTACATAGCATCAGGAAGACAATTTTTTCTTTGTCTGCTAAATGCCTTTGTCATATCAGACCTATTTCAAGAGTCAGGATAGAATGGTGTCAAGAAGGGATGAGGAAGGACTTGTAAATTATAACCAAGCCACAAATGAAAATGATAGACAAGGATCGGGAACATTATGGGGCGACAAGCTAGAGAAAAAAAATGATATATTCCAGGGTGGAAAGTGCTCGCTTGACTATTCATAGAACAGAATAGCCACAGCATAGCGGGGGGCTCAGTACTAGGTTGCAAATGGCCAGGCCAATTCTGGGACTTAACCCCAAGAAAAGAAAAATTGGCAAGGCCAGGATAGACAAATGCAGCTGGCCTAGGGGTGAAGGGAAAACAGTTGGCTGAGAAGAGCCACGATTCGCAGAGAGGCAGAACACAGACTAGGACCCAGCTCGAGACGTGCAGGCCGGGTGGGTAACATAGAGCCCGGGCGCTCGGCTACCCGAGAACGTGAGGGAGGCTGGGAAGGGCAGAGATGCGTTCCCAGGCGACCACAGCATCTATGCTGAGGCTGAGCAGCTCGGGACCCGAGGGGACTTAGGAGGAGAAAAGGCCGCATACTGCTTCGGGGTAAGGGACAGACCGGGGAAGGACCCAAGTCCCACCGCCCAGAGGGAACTGACACGCAGACCCCGCAGCAGTCCCCGGGGGCCGGGTGACGGGAGGACCTGGACGGTTACCGGCGGAAACGGTCTCGGGTTGAGAGGTCACCTGAGATGCTGCCTCTCATTGGCGGCCGTTGAGAGTAACCAGTAGCCAATGAGTCAGCCCGGGGGGCGTAGCGGTGACGTAAGTTGCGGAGGAGGCCGCTTCGAATCGGCAGCGGCCAGCTTGGTGGCATGGACCAATCAGCGTCCTCCAACGAGAAGCGCCTTCACCAATCGGAGGCCTCCACGACGGGGCTGGGGGGAGGGTATATAAGCCAAGTCGGCGGCGGCGCGCTCCACACTGGCCAAGACAACAGTGACCGGAGGACCTGCCTTTGCGGCTCCGAGAGGTAAGCGCCGCGGCCTGCTCTTGCCAGACCTCCTTTGAGCCTGTCTCGTGGCTCCTCCTGACCCGGGGGGCTTCTGTCGCCCTCAGATCGGAACGCCGCCGCGCTCCGGGACTACAGCCTGTTGCTGGACTTCGAGACTGCAGACGGACCGACCGCTGAGCACTGGCCCACAGCGCCGGCAAG(配列番号7)
【0216】
HREコンセンサス配列1:
nGAAnnTTCnnGAA(配列番号8)
【0217】
HREコンセンサス配列2:
nGAAnnGAAnnTTCn(配列番号9)
【0218】
HREコンセンサス配列3:
nGAAnnGAAnnGAAn(配列番号10)
【0219】
HREコンセンサス配列4:
nTTCnnGAAnnGAAn(配列番号11)
【0220】
CREコンセンサス配列:
TGACGTCA(配列番号12)
【0221】
AREコンセンサス配列:
TGAG/CnnnGC(配列番号13)
【0222】
ERSEコンセンサス配列:
CCAAT(N9)CCACG(配列番号14)
【0223】
野生型S.ピオゲネスCas9:
MDKKYSIGLD IGTNSVGWAV ITDEYKVPSK KFKVLGNTDRHSIKKNLIGA LLFDSGETAE
ATRLKRTARR RYTRRKNRIC YLQEIFSNEM AKVDDSFFHRLEESFLVEED KKHERHPIFG
NIVDEVAYHE KYPTIYHLRK KLVDSTDKAD LRLIYLALAHMIKFRGHFLI EGDLNPDNSD
VDKLFIQLVQ TYNQLFEENP INASGVDAKA ILSARLSKSRRLENLIAQLP GEKKNGLFGN
LIALSLGLTP NFKSNFDLAE DAKLQLSKDT YDDDLDNLLAQIGDQYADLF LAAKNLSDAI
LLSDILRVNT EITKAPLSAS MIKRYDEHHQ DLTLLKALVRQQLPEKYKEI FFDQSKNGYA
GYIDGGASQE EFYKFIKPIL EKMDGTEELL VKLNREDLLRKQRTFDNGSI PHQIHLGELH
AILRRQEDFY PFLKDNREKI EKILTFRIPY YVGPLARGNSRFAWMTRKSE ETITPWNFEE
VVDKGASAQS FIERMTNFDK NLPNEKVLPK HSLLYEYFTVYNELTKVKYV TEGMRKPAFL
SGEQKKAIVD LLFKTNRKVT VKQLKEDYFK KIECFDSVEISGVEDRFNAS LGTYHDLLKI
IKDKDFLDNE ENEDILEDIV LTLTLFEDRE MIEERLKTYAHLFDDKVMKQ LKRRRYTGWG
RLSRKLINGI RDKQSGKTIL DFLKSDGFAN RNFMQLIHDDSLTFKEDIQK AQVSGQGDSL
HEHIANLAGS PAIKKGILQT VKVVDELVKV MGRHKPENIVIEMARENQTT QKGQKNSRER
MKRIEEGIKE LGSQILKEHP VENTQLQNEK LYLYYLQNGRDMYVDQELDI NRLSDYDVDH
IVPQSFLKDD SIDNKVLTRS DKNRGKSDNV PSEEVVKKMKNYWRQLLNAK LITQRKFDNL
TKAERGGLSE LDKAGFIKRQ LVETRQITKH VAQILDSRMNTKYDENDKLI REVKVITLKS
KLVSDFRKDF QFYKVREINN YHHAHDAYLN AVVGTALIKKYPKLESEFVY GDYKVYDVRK
MIAKSEQEIG KATAKYFFYS NIMNFFKTEI TLANGEIRKRPLIETNGETG EIVWDKGRDF
ATVRKVLSMP QVNIVKKTEV QTGGFSKESI LPKRNSDKLIARKKDWDPKK YGGFDSPTVA
YSVLVVAKVE KGKSKKLKSV KELLGITIME RSSFEKNPIDFLEAKGYKEV KKDLIIKLPK
YSLFELENGR KRMLASAGEL QKGNELALPS KYVNFLYLASHYEKLKGSPE DNEQKQLFVE
QHKHYLDEII EQISEFSKRV ILADANLDKV LSAYNKHRDKPIREQAENII HLFTLTNLGA
PAAFKYFDTT IDRKRYTSTK EVLDATLIHQ SITGLYETRIDLSQLGGD(配列番号15)
【0224】
dCas9:
MDKKYSIGLA IGTNSVGWAV ITDEYKVPSKKFKVLGNTDR HSIKKNLIGA LLFDSGETAE
ATRLKRTARR RYTRRKNRIC YLQEIFSNEM AKVDDSFFHRLEESFLVEED KKHERHPIFG
NIVDEVAYHE KYPTIYHLRK KLVDSTDKAD LRLIYLALAHMIKFRGHFLI EGDLNPDNSD
VDKLFIQLVQ TYNQLFEENP INASGVDAKA ILSARLSKSRRLENLIAQLP GEKKNGLFGN
LIALSLGLTP NFKSNFDLAE DAKLQLSKDT YDDDLDNLLAQIGDQYADLF LAAKNLSDAI
LLSDILRVNT EITKAPLSAS MIKRYDEHHQ DLTLLKALVRQQLPEKYKEI FFDQSKNGYA
GYIDGGASQE EFYKFIKPIL EKMDGTEELL VKLNREDLLRKQRTFDNGSI PHQIHLGELH
AILRRQEDFY PFLKDNREKI EKILTFRIPY YVGPLARGNSRFAWMTRKSE ETITPWNFEE
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IKDKDFLDNE ENEDILEDIV LTLTLFEDRE MIEERLKTYAHLFDDKVMKQ LKRRRYTGWG
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TKAERGGLSE LDKAGFIKRQ LVETRQITKH VAQILDSRMNTKYDENDKLI REVKVITLKS
KLVSDFRKDF QFYKVREINN YHHAHDAYLN AVVGTALIKKYPKLESEFVY GDYKVYDVRK
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QHKHYLDEII EQISEFSKRV ILADANLDKV LSAYNKHRDKPIREQAENII HLFTLTNLGA
PAAFKYFDTT IDRKRYTSTK EVLDATLIHQ SITGLYETRIDLSQLGGD(配列番号16)
【0225】
GAAGTTACTATTCCGAAGTTCCTATTCTCTAGAAAGTATAGGAACTTC(配列番号17)
【0226】
GAAGTTACTATTCCGAAGTTCCTATTCTCTAGATAGTATAGGAACTTC(配列番号18)
【0227】
GAAGTTACTATTCCGAAGTTCCTATTCTCTACTTAGTATAGGAACTTC(配列番号19)
【0228】
番号付けされた実施形態
1.外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、細胞。
【0229】
2.挿入部位に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、細胞。
【0230】
3.調節が可逆的である、段落1又は2の細胞。
【0231】
4.調節が不可逆的である、段落1又は2の細胞。
【0232】
5.第2の制御エレメントが、第Nの条件下で第Nのレベルの活性を有し、Nが、3、4、5、6、7、8、9又は10であり、第Nの条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が、これまでの条件下での治療用ポリペプチドの発現に対して調節される、任意の前述の段落の細胞。
【0233】
6.第3の制御エレメントが、第Nの条件下で第Nのレベルの活性を有し、Nが3、4、5、6、7、8、9又は10であり、第Nの条件の存在下で、治療用ポリペプチドの発現が、これまでの条件下での治療用ポリペプチドの発現に対して調節される、任意の前述の段落の細胞。
【0234】
7.第1の制御エレメント及び外因性治療用ポリペプチドをコードする配列が、第1の核酸に配置され、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列が、第2の核酸に配置される、任意の前述の段落の細胞。
【0235】
8.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の核酸に配置される、段落7の細胞。
【0236】
9.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第2の核酸に配置される、段落7の細胞。
【0237】
10.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第3の核酸に配置される、段落7の細胞。
【0238】
11.第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列が、同一の核酸に配置される、段落1~6のいずれかの細胞。
【0239】
12.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列と同一の核酸に配置される、段落11の細胞。
【0240】
13.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列とは別個の核酸に配置される、段落11の細胞。
【0241】
14.1又は複数の核酸が、安定な発現に適したベクター、例えば、プラスミド内に含まれる、段落7~13のいずれかの細胞。
【0242】
15.1又は複数の核酸が、一過性発現に適したベクター内に含まれる、段落7~13のいずれかの細胞。
【0243】
16.1又は複数の核酸が、同一ベクター内に含まれる段落14又は15の細胞。
【0244】
17.各核酸が異なるベクターに含まれる、段落14又は15の細胞。
【0245】
18.1又は複数の核酸が、単一染色体内に含まれる、段落7~13の細胞。
【0246】
19.各核酸が、異なる染色体内に含まれる、段落7~13のいずれかの細胞。
【0247】
20.第1の核酸が、ベクター内に含まれ、第2の核酸が染色体内に含まれる、段落7~10のいずれかの細胞。
【0248】
21.第1の核酸が染色体内に含まれ、第2の核酸がベクター内に含まれる、段落7~10のいずれかの細胞。
【0249】
22.第1の核酸がベクター内に含まれ、第2の核酸が染色体内に含まれ、第3の核酸がベクター内に含まれる、段落10の細胞。
【0250】
23.第1の核酸が染色体内に含まれ、第2の核酸がベクター内に含まれ、第3の核酸がベクター内に含まれる、段落10の細胞。
【0251】
24.第1の核酸がベクター内に含まれ、第2の核酸が染色体内に含まれ、第3の核酸が染色体内に含まれる、段落10の細胞。
【0252】
25.第1の核酸が染色体内に含まれ、第2の核酸がベクター内に含まれ、第3の核酸が染色体内に含まれる、段落10の細胞。
【0253】
26.ストレス応答が、第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントからのレプレッサーポリペプチドの発現を誘導する、任意の前述の段落の細胞。
【0254】
27.レプレッサーポリペプチドが、治療用ポリペプチドの発現を阻害する、任意の前述の段落の細胞。
【0255】
28.第1の制御エレメントが、レプレッサーポリペプチドに対して応答性である、任意の前述の段落の細胞。
【0256】
29.第1の制御エレメントが、第1のプロモーターエレメントを含み、第1のプロモーターエレメントが、レプレッサーポリペプチドの不在下で、以下の特性:
a)構成的である、
b)調節される、又は
c)細胞の増殖の第1の段階で第1のレベルの発現及び増殖の第2の段階で第2のレベルの発現を有する
のうち1つを有する、任意の前述の段落の細胞。
【0257】
30.第1のプロモーターエレメントが、レプレッサーポリペプチドの不在下で構成的である、任意の前述の段落の細胞。
【0258】
31.第1のプロモーターエレメントが、表5から選択される、任意の前述の段落の細胞。
【0259】
32.治療用ポリペプチドが、
融合タンパク質、
マルチドメインポリペプチド、
二重特異性抗体分子、
多重特異性抗体分子、
多重特異性分子及び
リガンド及び抗体分子を含む分子
を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0260】
33.治療用ポリペプチドが、表1~4から選択される、任意の前述の段落の細胞。
【0261】
34.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、表5若しくは表6から選択されるか、又は表5若しくは表6から選択される配列と比較して0、1、2若しくは3つの塩基置換を有する配列を含むプロモーターを含む、任意の前述の段落の細胞。
【0262】
35.第3の制御エレメントが、表6から選択され、第2の制御エレメントが、表5から選択される、段落34の細胞。
【0263】
36.第3の制御エレメントが、表5から選択され、第2の制御エレメントが表6から選択される、段落34の細胞。
【0264】
37.第2の制御エレメントが、第2のプロモーターエレメントを含み、第2のプロモーターエレメントが、構成的であり、第3の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第3のプロモーターエレメントを含む、段落1~34のいずれかの細胞。
【0265】
38.第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第2のプロモーターエレメントを含み、第3の制御エレメントが、第3のプロモーターエレメントを含み、第3のプロモーターエレメントが構成的である、段落1~34のいずれかの細胞。
【0266】
39.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、1つ又は複数の熱ショックエレメント(HSE)、cAMP応答エレメント(CRE)、抗酸化薬応答エレメント(ARE)又は小胞体応答エレメント(ERSE)を含む、段落1~38のいずれかの細胞。
【0267】
40.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、熱ショック応答又はフォールディングされていないタンパク質応答(UPR)のエレメントによって調節される、段落1~38のいずれかの細胞。
【0268】
41.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、ミスフォールディングされたタンパク質の蓄積によって調節される、段落1~38のいずれかの細胞。
【0269】
42.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、Xbp1応答プロモーターエレメントを含む、段落1~38のいずれかの細胞。
【0270】
43.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、Grp78プロモーターエレメントを含む、段落1~38のいずれかの細胞。
【0271】
44.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、ATF6応答プロモーターエレメント、ATF4応答プロモーターエレメント、NRF2応答プロモーターエレメント又はHsf1応答プロモーターエレメントを含む、段落1~38のいずれかの細胞。
【0272】
45.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドの活性、レベル又は発現の低減をもたらす、任意の前述の段落の細胞。
【0273】
46.レプレッサーポリペプチドが、標的核酸配列と特異的に結合する、任意の前述の段落の細胞。
【0274】
47.レプレッサーポリペプチドが、制御エレメントと特異的に結合する、段落1~46のいずれかの細胞。
【0275】
48.レプレッサーポリペプチドが、プロモーターと特異的に結合する、段落1~46のいずれかの細胞。
【0276】
49.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドの転写の低減をもたらす、任意の前述の段落の細胞。
【0277】
50.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドをコードする核酸と、又は外因性治療用ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結された第1のプロモーターと結合する、任意の前述の段落の細胞。
【0278】
51.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドの翻訳を低減する、任意の前述の段落の細胞。
【0279】
52.レプレッサーポリペプチドが、Cas9分子を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0280】
53.レプレッサーポリペプチドが、天然に存在するCas9と比較して、修飾された切断活性を有するCas9分子を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0281】
54.レプレッサーポリペプチドが、HNH及びRuvCドメインのうち一方又は両方において切断活性を欠くCas9分子を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0282】
55.レプレッサーポリペプチドが、dCas9分子を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0283】
56.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドの抑制を増強する異種レプレッサードメインをさらに含むCas9分子を含む、任意の前述の段落の細胞。
【0284】
57.異種レプレッサードメインが、Kox1のKRAB(クリュッペル関連ボックス)ドメイン、HP1αのCS(クロモシャドウ(chromoshadow))ドメイン、Hes1のWPRWドメイン及びmSin3相互作用ドメインの4連鎖状コピー(SID4X)からなる群から選択される、段落56の細胞。
【0285】
58.Cas9分子が、gRNAと複合体形成すると、配列特異的様式で標的核酸と結合する、段落52~57のいずれかの細胞。
【0286】
59.Cas9分子が、gRNAと複合体形成すると、非翻訳配列と結合する、段落52~58のいずれかの細胞。
【0287】
60.Cas9分子:gRNA複合体が、第1の制御エレメントと結合する、段落52~59のいずれかの細胞。
【0288】
61.Cas9分子:gRNA複合体が、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列と結合する、段落52~60のいずれかの細胞。
【0289】
62.細胞が、第3の制御エレメントに作動可能に連結された第NのgRNAをコードする第Nの配列をさらに含み、Nが2、3、4、5、6、7、8、9又は10である、任意の前述の段落の細胞。
【0290】
63.第3の制御エレメントが、第2の制御エレメントのさらなるコピーである、任意の前述の段落の細胞。
【0291】
64.第3の制御エレメントが、第1の制御エレメントのさらなるコピーである、段落1~62のいずれかの細胞。
【0292】
65.第3の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、第2の条件の存在下で、gRNAの発現が調節される、段落1~63のいずれかの細胞。
【0293】
66.第3の制御エレメントが、以下の特性:
a)構成的である、
b)調節される、又は
c)細胞の増殖の第1の段階で第1のレベルの発現及び増殖の第2の段階で第2のレベルの発現を有する
のうち1つを有する、任意の前述の段落の細胞。
【0294】
67.第2のレベルの活性が、第1のレベルの活性よりも大きい、任意の前述の段落の細胞。
【0295】
68.第1の条件が第1のレベルのストレスであり、第2の条件が、第2のレベルのストレスである、任意の前述の段落の細胞。
【0296】
69.第1の条件が、第1のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドであり、第2の条件が、第2のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドである、任意の前述の段落の細胞。
【0297】
70.第1の条件が、第1のレベルのフォールディングされた外因性治療用ポリペプチドであり、第2の条件が、第2のレベルのフォールディングされた外因性治療用ポリペプチドである、任意の前述の段落の細胞。
【0298】
71.第1の条件が、サイトゾルにおける第1のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドであり、第2の条件が、サイトゾルにおける第2のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドである、任意の前述の段落の細胞。
【0299】
72.第1の条件が、小胞体(ER)における第1のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドであり、第2の条件が、ERにおける第2のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチドである、任意の前述の段落の細胞。
【0300】
73.第1の条件/第2の条件対が、
第1のレベルのタンパク質凝集及び第2のレベルのタンパク質凝集、
外因性治療用ポリペプチドでの第1のレベルの第1のグリコシル化パターン及び外因性治療用ポリペプチドでの第2のレベルの第1のグリコシル化パターン、
外因性治療用ポリペプチドでのあるレベルの第1のグリコシル化パターン及び外因性治療用ポリペプチドでのあるレベルの第2のグリコシル化パターン、
第1のレベルの細胞生存力及び第2のレベルの細胞生存力、
第1のレベルの熱ショック応答(HSR)の活性化及び第2のレベルのHSRの活性化、
第1のレベルのフォールディングされていないタンパク質応答(UPR)の活性化及び第2のレベルのUPRの活性化、
第1のレベルの遊離ERシャペロン及び第2のレベルの遊離ERシャペロン、
第1の温度及び第2の温度、
第1のレベルの酸化ストレス及び第2のレベルの酸化ストレス、
第1のレベルのER Ca+2及び第2のレベルのER Ca+2、
第1のER酸化状態及び第2のER酸化状態、
第1の細胞エネルギーレベル及び第2の細胞エネルギーレベル、
第1のATPレベル及び第2のATPレベル、
第1のグルコースレベル及び第2のグルコースレベル、
第1のレベルの活性化されたHsf1ポリペプチド及び第2のレベルの活性化されたHsf1ポリペプチド、
第1のレベルのリン酸化された三量体Hsf1ポリペプチド及び第2のレベルのリン酸化された三量体Hsf1ポリペプチド、
第1のレベルの活性Xbp1ポリペプチド及び第2のレベルの活性化されたXbp1ポリペプチド、
第1のレベルのATF4ポリペプチド及び第2のレベルのATF4ポリペプチド、
第1のレベルのNRF2ポリペプチド及び第2のレベルのNRF2ポリペプチド、並びに
第1のレベルのATF6ポリペプチド及び第2のレベルのATF6ポリペプチド
からなる群から選択される、任意の前述の段落の細胞。
【0301】
74.ストレス応答が、レプレッサーポリペプチドの発現を誘導し、レプレッサーポリペプチドが、治療用ポリペプチドの発現を阻害する、任意の前述の段落の細胞。
【0302】
75.第2の条件で、外因性治療用ポリペプチドの発現が、第1の条件での発現と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低減される、任意の前述の段落の細胞。
【0303】
76.任意の前述の段落の細胞を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキット。
【0304】
77.外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む核酸であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、核酸。
【0305】
78.挿入部位に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む核酸であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、核酸。
【0306】
79.第1の制御エレメント及び外因性治療用ポリペプチドをコードする配列が、第1の核酸及び第2の制御エレメントに含まれ、レプレッサーポリペプチドをコードする配列が、第2の核酸に含まれる、段落77又は78の核酸。
【0307】
80.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の核酸に配置される段落79の核酸。
【0308】
81.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第2の核酸に配置される、段落79の核酸。
【0309】
82.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第3の核酸に配置される、段落79の核酸。
【0310】
83.第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列が、同一の核酸に含まれる、段落77又は78の核酸。
【0311】
84.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列と同一の核酸に配置される、段落83の核酸。
【0312】
85.第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第1の制御エレメント、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列とは別個の核酸に配置される、段落83の核酸。
【0313】
86.1又は複数の核酸が、安定発現に適したベクター内に含まれる、段落79~85のいずれかの核酸。
【0314】
87.1又は複数の核酸が、一過性発現に適したベクター内に含まれる段落79~85のいずれかの核酸。
【0315】
88.1又は複数の核酸が、同一ベクター内に含まれる、段落86又は87の核酸。
【0316】
89.各核酸が、異なるベクターに含まれる、段落86又は87の核酸。
【0317】
90.1又は複数の核酸が、単一染色体内に含まれる段落79~85のいずれかの核酸。
【0318】
91.各核酸が、異なる染色体内に含まれる、段落79~85のいずれかの核酸。
【0319】
92.第1の核酸が、ベクター内に含まれ、第2の核酸が、染色体内に含まれる、段落79~82のいずれかの核酸。
【0320】
93.第1の核酸が、染色体内に含まれ、第2の核酸が、ベクター内に含まれる段落79~82のいずれかの核酸。
【0321】
94.第1の核酸が、ベクター内に含まれ、第2の核酸が、染色体内に含まれ、第3の核酸が、ベクター内に含まれる、段落82の核酸。
【0322】
95.第1の核酸が、染色体内に含まれ、第2の核酸が、ベクター内に含まれ、第3の核酸が、ベクター内に含まれる、段落82の核酸。
【0323】
96.第1の核酸が、ベクター内に含まれ、第2の核酸が、染色体内に含まれ、第3の核酸が、染色体内に含まれる、段落82の核酸。
【0324】
97.第1の核酸が、染色体内に含まれ、第2の核酸が、ベクター内に含まれ、第3の核酸が、染色体内に含まれる段落82の核酸。
【0325】
98.段落77~97のいずれかの核酸を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキット。
【0326】
99.段落1~75のいずれかの細胞を作製する方法であって、
a)細胞において、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、
b)細胞において、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップと、
c)任意選択で、細胞において、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップと
を含み、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節され、
それによって細胞を作製する、方法。
【0327】
100.細胞において、第1の核酸配列を形成又は提供するステップが、第1の核酸配列を細胞に導入することを含む、段落99の方法。
【0328】
101.第1の核酸配列を細胞に導入することが、一過性にトランスフェクトすること、安定にトランスフェクトすること、形質導入すること及び形質転換することから選択される技術を含む、段落100の方法。
【0329】
102.細胞において、第2の核酸配列を形成又は提供するステップが、第2の核酸配列を細胞に導入することを含む、段落99~101のいずれかの方法。
【0330】
103.第2の核酸配列を細胞に導入することが、一過性にトランスフェクトすること、安定にトランスフェクトすること、形質導入すること及び形質転換することから選択される技術を含む、段落102の方法。
【0331】
104.細胞において、第3の核酸配列を形成又は提供するステップが、第3の核酸配列を細胞に導入することを含む段落99~102のいずれかの方法。
【0332】
105.第3の核酸配列を細胞に導入することが、一過性にトランスフェクトすること、安定にトランスフェクトすること、形質導入すること及び形質転換することから選択される技術を含む、段落104の方法。
【0333】
106.(a)、(b)及び任意選択で(c)が、第1、第2及び第3の核酸を細胞に同時に導入することを含む、段落99の方法。
【0334】
107.(a)、(b)及び任意選択で(c)が、逐次生じる、段落99の方法。
【0335】
108.細胞において、第1の核酸配列を形成又は提供するステップが、細胞において、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列を、第1の制御エレメントに作動可能に連結された適した挿入部位に挿入することを含む、段落99の方法。
【0336】
109.細胞において、第2の核酸配列を形成又は提供するステップが、細胞において、レプレッサーポリペプチドをコードする配列を、第2の制御エレメントに作動可能に連結された適した挿入部位に挿入することを含む、段落99の方法。
【0337】
110.細胞において、第3の核酸配列を形成又は提供するステップが、細胞において、1又は複数のgRNAをコードする配列を、第3の制御エレメントに作動可能に連結された適した挿入部位に挿入することを含む、段落99の方法。
【0338】
111.治療用ポリペプチドを作製する方法であって、
a)段落1~75のいずれかの細胞を獲得するステップと、
b)治療用ポリペプチドの作製を可能にする条件下で細胞を培養するステップと
を含み、
それによって、治療用ポリペプチドを作製する、方法。
【0339】
112.治療用ポリペプチドを作製する方法であって、
a)細胞を獲得するステップと、
b)細胞において、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、
c)細胞において、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップと、
d)任意選択で、細胞において、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップであって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節されることと、
e)治療用ポリペプチドの作製を可能にする条件下で細胞を培養するステップと
それによって、治療用ポリペプチドを作製する、方法。
【0340】
113.段落1~75のいずれかの細胞と
培養培地と
を含む反応混合物であって、
培養培地が、治療用ポリペプチドを発現するのに適している、反応混合物。
【0341】
114.外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む遺伝制御回路であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、遺伝制御回路。
【0342】
115.調節が可逆性である、段落114の遺伝制御回路。
【0343】
116.ストレス応答が、第2の制御エレメントからのレプレッサーポリペプチドの発現を誘導する、段落114又は115の遺伝制御回路。
【0344】
117.レプレッサーポリペプチドが、治療用ポリペプチドの発現を阻害する、段落114~116のいずれかの遺伝制御回路。
【0345】
118.第1の制御エレメントが、レプレッサーポリペプチドに対して応答性である、段落114~117のいずれかの遺伝制御回路。
【0346】
119.治療用ポリペプチドが、
融合タンパク質、
マルチドメインポリペプチド、
二重特異性抗体分子、
多重特異性抗体分子、
多重特異性分子、及び
リガンド及び抗体分子を含む分子
を含む、段落114~118のいずれかの遺伝制御回路。
【0347】
120.治療用ポリペプチドが、表1~4から選択される、段落114~119のいずれかの遺伝制御回路。
【0348】
121.第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、表5又は表6から選択される、段落114~120のいずれかの遺伝制御回路。
【0349】
122.第3の制御エレメントが、表6から選択され、第2の制御エレメントが表5から選択される、段落114~120のいずれかの遺伝制御回路。
【0350】
123.第3の制御エレメントが、表5から選択され、第2の制御エレメントが、表6から選択される、段落114~120のいずれかの遺伝制御回路。
【0351】
124.第2の制御エレメントが、第2のプロモーターエレメントを含み、第2のプロモーターエレメントが構成的であり、第3の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第3のプロモーターエレメントを含む、段落114~120のいずれかの遺伝制御回路。
【0352】
125.第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第2のプロモーターエレメントを含み、第3の制御エレメントが、第3のプロモーターエレメントを含み、第3のプロモーターエレメントが構成的である、段落114~120のいずれかの遺伝制御回路。
【0353】
126.第3の制御エレメントが、第1の制御エレメントのコピーである、段落114~121のいずれかの遺伝制御回路。
【0354】
127.第3の制御エレメントが、第2の制御エレメントのコピーである、段落114~121のいずれかの遺伝制御回路。
【0355】
128.レプレッサーポリペプチドが、外因性治療用ポリペプチドの活性、レベル又は発現の低減をもたらす、段落114~127のいずれかの遺伝制御回路。
【0356】
129.表1~4から選択される外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表5から選択される第1の制御エレメントと、
Cas9ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表6から選択される第2の制御エレメントと、
構成的に発現される1又は複数のgRNA配列と
を含む細胞であって、
第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、細胞。
【0357】
130.表1~4から選択される外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表5から選択される第1の制御エレメントと、
Cas9ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された表5から選択される第2の制御エレメントと、
表6から選択され、1又は複数のgRNA配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で調節される、細胞。
【0358】
131.1又は複数の細胞が、第1の条件を含み、1又は複数の細胞が、第2の条件を含む、段落1~75、129又は130のいずれか1つの複数の細胞。
【0359】
132.第1の制御エレメントが、遺伝子操作されたプロモーターである、段落1~30、32~75、77~97、99~112及び114~128のいずれかの細胞、方法、核酸又は遺伝制御回路。
【0360】
133.第3の制御エレメントが、遺伝子操作されたプロモーターである、段落1~62、65~75、77~97、99~112、114~121、124~126及び128のいずれかの細胞、方法、核酸又は遺伝制御回路。
【実施例0361】
例示
実施例1
以下の実施例では、
図1A及び1Bに表される遺伝制御回路の設計原理が利用される。この実施例では、組換えタンパク質遺伝子(すなわち、GFP)の発現を抑制するためにレプレッサー(すなわち、dCas9)を使用する原理を、
図3Aに表される回路を使用して試験した。ここで、第1の制御エレメント、例えば、第1のプロモーターエレメント、hCMVに作動可能に連結された、組換えポリペプチド遺伝子、GFPを安定に発現するCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))細胞株を、1)構成的mCMVプロモーターに作動可能に連結された、レプレッサーポリペプチド、dCas9をコードする発現ベクターのみ又は2)レプレッサーポリペプチド(dCas9)をコードする発現ベクター及び各々別個のU6プロモーターから制御されるgRNA1、2及び3を発現するベクター(
図3A)のいずれかを用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの4日後、GFP蛍光をフローサイトメトリーによって決定し、dCas9+gRNA1~3を用いるトランスフェクションが、dCas9のみを用いてトランスフェクトされた細胞又はトランスフェクトされていない対照細胞(UTC)と比較して、集団GFP蛍光の減少をもたらしたことが観察された(
図3B)。これは、レプレッサーポリペプチド、dCas9及びgRNAを使用する組換えポリペプチド(GFP)発現の抑制を実証する。
【0362】
実施例2
この実施例では、組換えモノクローナル抗体重鎖(HC)及び軽鎖(LC)遺伝子の発現を抑制するためにレプレッサー(すなわち、dCas9)を使用する原理を、
図4Aに表される回路を使用して試験した。この実施例において、本発明者らは、構成的mCMVプロモーターに作動可能に連結されたレプレッサーポリペプチドによる、第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメント、hCMVに作動可能に連結された治療用ポリペプチド、IgG4 Mab cB72.3の発現の阻害を実証する。各々別個のhCMVプロモーターによって駆動されるIgG4 Mab cB72.3 HC及びLC遺伝子を安定に発現するCHO細胞株プールを使用して、dCas9及びhCMVプロモーターをターゲッティングするgRNA1~3を使用してMab発現を下方制御する能力を試験した。プールを、dCas9プラスミドのみ(dCas9)又はdCas9プラスミド+/-gRNAをコードするプラスミド(dCas9+g1~g3、
図4Bを参照のこと)のいずれかを用いて一過性にトランスフェクトし、sトランスフェクションの3、4及び5日後にMab濃度を調べた(
図4B)。エラーバーは、三連のトランスフェクションにわたる標準偏差を表す。細胞をまた、陰性対照(DNAなし)としてバッファーのみを用いてトランスフェクトした。これは、dCas9及びgRNAを使用するMab発現の抑制を実証する。
【0363】
実施例3
この実施例では、
図5Aに表される遺伝制御回路を使用する組換えポリペプチド、GFPの発現の阻害を実証した。第1の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメント、hCMVに作動可能に連結された、GFPを安定に発現するCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))細胞を、プラスミドのセット;第2の制御エレメント、例えば、プロモーターエレメント、Grp78プロモーターに作動可能に連結されたレプレッサーポリペプチドをコードする配列、dCas9を含有するプラスミド及び各々別個のU6プロモーターの制御下にgRNA1~3の発現をコードするプラスミドを用いて一過性にトランスフェクトした。Grp78プロモーターは、フォールディングされていないタンパク質応答によって活性化され、この場合には、トランスフェクションの24時間後にツニカマイシン(TM)の添加によって人為的に活性化した。一過性トランスフェクションの4日後、GFPアウトプットをフローサイトメトリーによって測定した。dCas9及びgRNAプラスミド1~3の両方を用いてトランスフェクトされた細胞において、400ng/mLツニカマイシン(TM)処置(Grp78 dCas9+gRNA)後に、同様にトランスフェクトされたが、ツニカマイシンを用いて処置されていない細胞(0 TM)又はdCas9によってトランスフェクトされただけの細胞(Grp78 dCas9対照)と比較して、GFPアウトプットが抑制されたことを見ることができる(
図5)。
【0364】
実施例4
この実施例では、
図2に表される遺伝制御回路の、発現することが困難であるタンパク質を含む、いくつかの組換えタンパク質の生成を増大する能力が実証される。
図6Aに表されるベクターを使用して、遺伝制御回路を安定に発現するCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))細胞を構築した。このベクターは、Grp78プロモーター下にdCas9遺伝子及び各々別個の構成的U6プロモーター下にhCMVプロモーターに対して特異性を有する3種のgRNA(gRNA1、2及び3)を含有していた。このベクターのバリアントは、gRNA1、2及び3配列の代わりに単一gRNA14配列を含有しており、バリアントベクターを使用して同様に遺伝制御回路を安定に発現するCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))細胞を構築した。遺伝制御回路ベクターはまた、SV40プロモーター下にピューロマイシン耐性遺伝子(ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(「ピューロマイシン」))を含有して、抗生物質ピューロマイシンを用いる処置によるトランスフェクション後に遺伝制御回路を安定に組み込んだ細胞の陽性選択を可能にした。次いで、単一gRNA14配列又はgRNA1、2及び3のいずれかとともに遺伝制御回路を発現する安定なCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))プールを、いくつかの発現することが困難である組換えタンパク質:H1K1及びH9K7(両方とも高度に凝集するMab)、エタネルセプト(複合Fc融合タンパク質)及びブリナツモマブ(複合二重特異的T細胞エンゲージャー(engager)(BiTE)並びにIgG4 Mab cB72.3をコードする発現ベクターを用いて一過性にトランスフェクトした。Octet Bioanalyserを使用して決定されるような、トランスフェクションの6日後に生成した組換えタンパク質濃度は、
図6Bに示されている。結果は、組換えタンパク質バーH9K7のすべてについて、少なくとも1つの遺伝制御回路が、制御回路を欠く親のCHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))細胞株と比較して、平均組換えタンパク質濃度の増大を伴ったことを示す。これは、遺伝制御回路が、複雑な、発現することが困難である分子を含むいくつかのタンパク質について生産性を増大し得ることを示唆する。遺伝制御回路の、組換えタンパク質の発現を増大する能力をさらに調査するために、回路を安定に発現し、H9K7をコードするベクターを用いて一過性にトランスフェクトされたCHO細胞を、トランスフェクションの24時間後のツニカマイシン(TM)(0.1μg/mL)の添加によるUPRの増大に付した(
図6C)。遺伝制御回路を含有する細胞は、TMが添加された場合にはトランスフェクションの6日後にH9K7の平均濃度の増大をもたらしたが、制御回路を欠く親のCHO宿主細胞株は、効果を示さなかった。これは、遺伝制御回路が、活性化されたUPRの存在下で外因性の発現することが困難であるタンパク質の発現及び収量を増大し得ることを示す。遺伝制御回路の効果は、UPRと関連しているということも示す。
【0365】
上記のトランスフェクションのセットでは、細胞培養上清におけるタンパク質凝集のレベルも、ODAアッセイによって調べた(Obrezanovaら MAbs.2015年;7巻(2号):352~63頁)(
図7A及び7B)。このアッセイでは、cB72.3は、低レベルの凝集を示すと知られているが、H1K1、H9K7及びエタネルセプトは、親の細胞株CHOK1SV由来GS-KO(Xceed(商標))では高度に凝集してり、したがって、450nmで高い吸光度値を示すと知られている(
図7A)。制御回路は、H9K7及びエタネルセプトの凝集の低減に関して実質的な利益を示すと全く予測されなかったが、これは、これらが、高度~重度の凝集を示すと知られており、したがって、このパラメータの回路の制御のダイナミックレンジを超え得るからである。しかし、H1K1は、比較によって、依然として高いがわずかに低いレベルの凝集を示すと知られており、改善(すなわち、凝集の低減)を受け入れる可能性がある。実際、このアッセイでは、制御回路の両バリアントは、親の宿主細胞株と比較して全体的な生成物濃度の増大にもかかわらず、平均H1K1凝集の低減を伴った(
図6B及び7Aを比較のこと)。ツニカマイシンの存在下では、制御回路を使用して、gRNA14及びgRNA123バリアントについて全体的な生成物濃度の増大にもかかわらず、H9K7の凝集の改善(すなわち、低減)は観察されず(
図6Cを7Bと比較のこと)、これはやはり、H9K7抗体の凝集挙動は、制御回路の影響のダイナミックレンジを超えるということを示唆する。
【0366】
上記のトランスフェクションのセットでは、N-グリカンミクロ/マクロ不均一性などのその他の重要な生成物品質(PQ)性状を測定することが可能であり得(例えば、UPLC又はLC-MSによる)、制御回路を含有する細胞におけるPQの改善が期待される。
【0367】
〔関連出願〕
本出願は、全文が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月16日に出願された米国特許仮出願第62/521,005号の優先権を主張する。
【0368】
本発明の好適な実施形態は以下の通りである。
[1]
外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で、例えば、可逆性に調節される、細胞。
[2]
挿入部位に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
i)第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
挿入部位は、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、
治療用ポリペプチドの発現は、第2の条件の存在下で、例えば、可逆性に調節される、細胞。
[3]
上記第2、第3、又は第2及び第3の制御エレメントが、第Nの条件下で第Nのレベルの活性を有し、Nが、3、4、5、6、7、8、9又は10であり、上記治療用ポリペプチドの発現が、第Nの条件の存在下で、これまでの条件下での治療用ポリペプチドの発現に対して調節される、[1]又は[2]に記載の細胞。
[4]
(a)上記第1の制御エレメント及び外因性治療用ポリペプチドをコードする配列が、第1の核酸に配置され、上記第2の制御エレメント及びレプレッサーポリペプチドをコードする配列が、第2の核酸に配置され、
(i)上記第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、上記第1の核酸に配置されるか、
(ii)上記第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、上記第2の核酸に配置されるか、又は
(iii)上記第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、第3の核酸に配置され;又は
(b)上記第1の制御エレメント、上記外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、上記第2の制御エレメント及び上記レプレッサーポリペプチドをコードする配列が、同一の核酸に配置され、
(i)上記第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、上記第1の制御エレメント、上記外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、上記第2の制御エレメント及び上記レプレッサーポリペプチドをコードする配列と同一の核酸に配置されるか、又は
(ii)上記第3の制御エレメント及び1又は複数のgRNAをコードする配列が、上記第1の制御エレメント、上記外因性治療用ポリペプチドをコードする配列、上記第2の制御エレメント及び上記レプレッサーポリペプチドをコードする配列とは別個の核酸に配置される、[1]~[3]のいずれかに記載の細胞。
[5]
1又は複数の核酸が、
(a)安定な発現に適したベクター、例えば、プラスミド、又は
(b)一過性の発現に適したベクター
内に含まれる、[4]に記載の細胞。
[6]
(a)1又は複数の核酸が、同一ベクター内に含まれるか、
(b)各核酸が、異なるベクターに含まれるか、
(c)1又は複数の核酸が、単一染色体内に含まれるか、又は
(d)各核酸が異なる染色体内に含まれる、[5]に記載の細胞。
[7]
(a)上記第1の核酸が、ベクター内に含まれ、上記第2の核酸が、染色体内に含まれるか、
(b)上記第1の核酸が、染色体内に含まれ、上記第2の核酸が、ベクター内に含まれるか、
(c)上記第1の核酸が、ベクター内に含まれ、上記第2の核酸が、染色体内に含まれ、上記第3の核酸が、ベクター内に含まれるか、
(d)上記第1の核酸が、染色体内に含まれ、上記第2の核酸が、ベクター内に含まれ、上記第3の核酸が、ベクター内に含まれるか、
(e)上記第1の核酸が、ベクター内に含まれ、上記第2の核酸が、染色体内に含まれ、上記第3の核酸が、染色体内に含まれるか、又は
(f)上記第1の核酸が、染色体内に含まれ、上記第2の核酸が、ベクター内に含まれ、上記第3の核酸が、染色体内に含まれる、[4]に記載の細胞。
[8]
ストレス応答が、上記第2の制御エレメント又は上記第3の制御エレメントからのレプレッサーポリペプチドの発現を誘導する、[1]~[7]のいずれかに記載の細胞。
[9]
上記レプレッサーポリペプチドが、上記治療用ポリペプチドの発現を阻害する、[1]~[8]のいずれかに記載の細胞。
[10]
上記第1の制御エレメントが、上記レプレッサーポリペプチドに対して応答性である、[1]~[9]のいずれかに記載の細胞。
[11]
上記第1の制御エレメントが、第1のプロモーターエレメントを含み、上記第1のプロモーターエレメントが、レプレッサーポリペプチドの不在下で、以下の特性:
a)構成的である、
b)調節される、又は
c)細胞の増殖の第1の段階で第1のレベルの発現及び増殖の第2の段階で第2のレベルの発現を有する
のうち1つを有する、[1]~[10]のいずれかに記載の細胞。
[12]
上記第1のプロモーターエレメントが、表5から選択される、[1]~[11]のいずれかに記載の細胞。
[13]
上記治療用ポリペプチドが、
融合タンパク質、
マルチドメインポリペプチド、
二重特異性抗体分子、
多重特異性抗体分子、
多重特異性分子及び/又は
リガンド及び抗体分子を含む分子
を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の細胞。
[14]
上記治療用ポリペプチドが、表1~4から選択される、[1]~[13]のいずれかに記載の細胞。
[15]
上記第2の制御エレメント又は上記第3の制御エレメントが、表5若しくは表6から選択されるか、又は表5若しくは表6から選択される配列と比較して0、1、2若しくは3つの塩基置換を有する配列を含むプロモーターを含む、[1]~[14]のいずれかに記載の細胞。
[16]
(a)上記第2の制御エレメントが、第2のプロモーターエレメントを含み、上記第2のプロモーターエレメントが、構成的であり、上記第3の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第3のプロモーターエレメントを含むか、又は
(b)上記第2の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有する第2のプロモーターエレメントを含み、上記第3の制御エレメントが、第3のプロモーターエレメントを含み、上記第3のプロモーターエレメントが構成的である、[1]~[15]のいずれかに記載の細胞。
[17]
(a)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、1つ又は複数の熱ショックエレメント(HSE)、cAMP応答エレメント(CRE)、抗酸化薬応答エレメント(ARE)又は小胞体応答エレメント(ERSE)を含むか、
(b)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、熱ショック応答又はフォールディングされていないタンパク質応答(UPR)のエレメントによって調節されるか、
(c)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、ミスフォールディングされたタンパク質の蓄積によって調節されるか、
(d)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、Xbp1応答プロモーターエレメントを含むか、
(e)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、Grp78プロモーターエレメントを含むか、又は
(f)上記第2の制御エレメント又は第3の制御エレメントが、ATF6応答プロモーターエレメント、ATF4応答プロモーターエレメント、NRF2応答プロモーターエレメント又はHsf1応答プロモーターエレメントを含む、[1]~[16]のいずれかに記載の細胞。
[18]
上記レプレッサーポリペプチドが、上記外因性治療用ポリペプチドの活性、レベル又は発現の低減をもたらす、[1]~[17]のいずれかに記載の細胞。
[19]
上記レプレッサーポリペプチドが、標的核酸配列、例えば、制御エレメント、例えば、プロモーターと特異的に結合する、[1]~[18]のいずれかに記載の細胞。
[20]
(a)上記レプレッサーポリペプチドが、上記外因性治療用ポリペプチドの転写の低減をもたらすか、
(b)上記レプレッサーポリペプチドが、上記外因性治療用ポリペプチドの翻訳を低減するか、
(c)上記レプレッサーポリペプチドが、上記外因性治療用ポリペプチドをコードする核酸と、又は上記外因性治療用ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されている上記第1のプロモーターと結合するか、
(d)(a)及び(b)、
(e)(a)及び(c)、
(f)(b)及び(c)又は
(g)(a)、(b)及び(c)、[1]~[19]のいずれかに記載の細胞。
[21]
上記レプレッサーポリペプチドが、
(a)Cas9分子、
(b)天然に存在するCas9と比較して、修飾された切断活性を有するCas9分子、
(c)HNH及びRuvCドメインのうち一方又は両方において切断活性を欠くCas9分子、
(d)dCas9分子、又は
(e)上記外因性治療用ポリペプチドの抑制を増強する異種レプレッサードメインをさらに含むCas9分子を含み、任意選択で、異種レプレッサードメインが、Kox1のKRAB(クリュッペル関連ボックス)ドメイン、HP1αのCS(クロモシャドウ(chromoshadow))ドメイン、Hes1のWPRWドメイン及びmSin3相互作用ドメインの4連鎖状コピー(SID4X)からなる群から選択される、[1]~[20]のいずれかに記載の細胞。
[22]
上記Cas9分子が、gRNAと複合体形成すると、配列特異的様式で標的核酸:
(a)非翻訳配列、
(b)第1の制御エレメント又は
(c)外因性治療用ポリペプチドをコードする配列
と結合する、[21]に記載の細胞。
[23]
上記細胞が、第3の制御エレメントに作動可能に連結された第NのgRNAをコードする第Nの配列をさらに含み、Nが2、3、4、5、6、7、8、9又は10である、[1]~[22]のいずれかに記載の細胞。
[24]
上記第3の制御エレメントが、上記第2の制御エレメント又は上記第1の制御エレメントのさらなるコピーである、[1]~[23]のいずれかに記載の細胞。
[25]
上記第3の制御エレメントが、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、gRNAの発現が、第2の条件の存在下で調節される、[1]~[24]のいずれかに記載の細胞。
[26]
上記第3の制御エレメントが、以下の特性:
a)構成的である、
b)調節される、又は
c)細胞の増殖の第1の段階で第1のレベルの発現及び増殖の第2の段階で第2のレベルの発現を有する
のうち1つを有する、[1]~[25]のいずれかに記載の細胞。
[27]
上記第2のレベルの活性が、上記第1のレベルの活性よりも大きい、[1]~[26]のいずれかに記載の細胞。
[28]
上記第1の条件/第2の条件対が、
第1のレベルのストレス及び第2のレベルのストレス、
第1のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチド(例えば、サイトゾルにおける、又は小胞体(ER)における)及び第2のレベルのフォールディングされていない又はミスフォールディングされたポリペプチド(例えば、サイトゾルにおける、又は小胞体(ER)における)、
第1のレベルのフォールディングされた外因性治療用ポリペプチド及び第2のレベルのフォールディングされた外因性治療用ポリペプチド、
第1のレベルのタンパク質凝集及び第2のレベルのタンパク質凝集、
外因性治療用ポリペプチドでの第1のレベルの第1のグリコシル化パターン及び外因性治療用ポリペプチドでの第2のレベルの第1のグリコシル化パターン、
外因性治療用ポリペプチドでのあるレベルの第1のグリコシル化パターン及び外因性治療用ポリペプチドでのあるレベルの第2のグリコシル化パターン、
第1のレベルの細胞生存力及び第2のレベルの細胞生存力、
第1のレベルの熱ショック応答(HSR)の活性化及び第2のレベルのHSRの活性化、
第1のレベルのフォールディングされていないタンパク質応答(UPR)の活性化及び第2のレベルのUPRの活性化、
第1のレベルの遊離ERシャペロン及び第2のレベルの遊離ERシャペロン、
第1の温度及び第2の温度、
第1のレベルの酸化ストレス及び第2のレベルの酸化ストレス、
第1のレベルのER Ca+2及び第2のレベルのER Ca+2、
第1のER酸化状態及び第2のER酸化状態、
第1の細胞エネルギーレベル及び第2の細胞エネルギーレベル、
第1のATPレベル及び第2のATPレベル
第1のグルコースレベル及び第2のグルコースレベル、
第1のレベルの活性化されたHsf1ポリペプチド及び第2のレベルの活性化されたHsf1ポリペプチド、
第1のレベルのリン酸化された三量体Hsf1ポリペプチド及び第2のレベルのリン酸化された三量体Hsf1ポリペプチド、
第1のレベルの活性Xbp1ポリペプチド及び第2のレベルの活性化されたXbp1ポリペプチド、
第1のレベルのATF4ポリペプチド及び第2のレベルのATF4ポリペプチド、
第1のレベルのNRF2ポリペプチド及び第2のレベルのNRF2ポリペプチド、並びに
第1のレベルのATF6ポリペプチド及び第2のレベルのATF6ポリペプチドからなる群から選択される、[1]~[27]のいずれかに記載の細胞。
[29]
ストレス応答が、レプレッサーポリペプチドの発現を誘導し、上記レプレッサーポリペプチドが、上記治療用ポリペプチドの発現を阻害する、[1]~[28]のいずれかに記載の細胞。
[30]
上記第2の条件で、上記外因性治療用ポリペプチドの発現が、上記第1の条件での発現と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低減される、[1]~[29]のいずれかに記載の細胞。
[31]
外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む核酸であって、
i)上記第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)上記第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節される、核酸。
[32]
挿入部位に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む核酸であって、
i)上記第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)上記第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
上記挿入部位は、上記外因性治療用ポリペプチドをコードする配列の挿入に適しており、
上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節される、核酸。
[33]
[1]~[30]のいずれかに記載の細胞又は[31]若しくは[32]に記載の核酸を含む治療用ポリペプチドの発現のためのキット。
[34]
[1]~[30]のいずれかに記載の細胞を作製する方法であって、
a)細胞において、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、
b)細胞において、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップと、
c)任意選択で、細胞において、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップと
を含み、
i)上記第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)上記第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節され、
それによって細胞を作製する、方法。
[35]
治療用ポリペプチドを作製する方法であって、
a)[1]~[30]のいずれかに記載の細胞を獲得するステップと、
b)上記治療用ポリペプチドの作製を可能にする条件下で細胞を培養するステップと
を含み、
それによって上記治療用ポリペプチドを作製する、方法。
[36]
治療用ポリペプチドを作製する方法であって、
a)細胞を獲得するステップと、
b)細胞において、外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントをコードする第1の核酸配列を形成又は提供するステップと、
c)細胞において、レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントをコードする第2の核酸を形成又は提供するステップと、
d)任意選択で、細胞において、1又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い)gRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントをコードする第3の核酸を形成又は提供するステップと
を含む方法であって、
i)上記第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)上記第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節されるステップと、
e)上記治療用ポリペプチドの作製を可能にする条件下で細胞を培養するステップと
を含み、
それによって、治療用ポリペプチドを作製する、方法。
[37]
[1]~[30]のいずれかに記載の細胞と
培養培地と
を含む反応混合物であって、
上記培養培地が、上記治療用ポリペプチドを発現するのに適している、反応混合物。
[38]
外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第1の制御エレメントと、
レプレッサーポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された第2の制御エレメントと、
任意選択で、1又は複数のgRNAをコードする配列に作動可能に連結された第3の制御エレメントと
を含む遺伝制御回路であって、
i)上記第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有するか、又は
ii)上記第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、
上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節される、遺伝制御回路。
[39]
表1~4から選択される外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表5から選択される第1の制御エレメントと、
Cas9ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表6から選択される第2の制御エレメントと
構成的に発現される1又は複数のgRNA配列と
を含む細胞であって、
第2の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節される、細胞。
[40]
表1~4から選択される外因性治療用ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表5から選択される第1の制御エレメントと、
Cas9ポリペプチドをコードする配列に作動可能に連結された、表5から選択される第2の制御エレメントと
1又は複数のgRNA配列に作動可能に連結された、表6から選択される第3の制御エレメントと
を含む細胞であって、
第3の制御エレメントは、第1の条件下で第1のレベルの活性及び第2の条件下で第2のレベルの活性を有し、上記治療用ポリペプチドの発現は、上記第2の条件の存在下で調節される、細胞。
[41]
1又は複数の細胞が、第1の条件を含み、1又は複数の細胞が、第2の条件を含む、[1]~[30]、[39]及び[40]のいずれかに記載の複数の細胞。