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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109873
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】医療分析装置からのデータの処理
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080686
(22)【出願日】2023-05-16
(62)【分割の表示】P 2021043281の分割
【原出願日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】20164701
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アレグザンドラ・パウン
(72)【発明者】
【氏名】ヤクブ・ビニアルツ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多数のPOC装置の状態に関する情報の一貫した監視。
【解決手段】医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信することと、データ処理エージェントで注釈データの1つまたは複数の項目を受信することと、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成することと、データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力することであって、自動分析装置システムデータレコードは、注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む、出力することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療試料の自動分析装置(40)からのデータを処理するためのデータ処理エージェントを操作するためのコンピュータ実装方法(30)であって、
医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介して前記データ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信すること(32)であって、前記自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置条件に応じて、前記1つまたは複数の自動分析装置によって生成され、前記自動分析装置状態データは、前記自動分析装置における動作の条件に応じて、前記自動分析装置によって生成される、前記自動分析装置状態データの前記1つまたは複数の項目を受信することと、
前記データ処理エージェントで注釈データの1つまたは複数の項目を受信すること(34)と、
前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、前記データ処理エージェントを使用して前記注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目と前記注釈データとの論理リンクを提供し、それにより自動分析装置システムデータレコードを生成すること(36)と、
前記データ処理エージェントから前記自動分析装置システムデータレコードを出力すること(38)であって、前記自動分析装置システムデータレコードは、前記注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む、出力することと、を含む、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記データ処理エージェントにおいて、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を注釈規制セットに基づくさらなるデータで補足する必要があることを検出することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項3】
前記データ処理エージェントにおいて、前記医療試料の自動分析装置から、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目をさらなるデータで補足する必要があることを示すメッセージを受信することをさらに含む、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項4】
前記データ処理エージェントにおいて、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を注釈データの1つまたは複数の項目と相関させることと、
前記データ処理エージェントにおいて、前記相関に基づいて前記データ処理エージェントを使用して前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目と前記注釈データの1つまたは複数の項目との前記関連付けを実行することと、
をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項5】
前記相関は、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目の生成と前記注釈データの1つまたは複数の項目との間の時間関係に基づいているか、または、前記相関は、前記データ処理エージェントで受信した自動分析装置状態データの種類に関連する1つまたは複数の相関規則に基づいている、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記自動分析装置システムデータレコードの視覚的表現をグラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示することをさらに含み、前記視覚的表現は、自動分析装置状態データの第1の項目を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項7】
グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に複数の自動分析装置システムデータレコードの視覚的表現を表示することであって、前記視覚的表現は、同一のまたは類似の種類の自動分析装置システムデータレコードに対応する各レコードを含む、表示することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項8】
前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースを介して、ユーザに、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示される前記自動分析装置状態データの1つもしくは複数の項目、または前記複数の自動分析装置システムデータレコードに関連付けられる非構造化コメントデータを提供するように促すことと、
入力インターフェースを介して、前記非構造化コメントデータを受信することと、
前記非構造化コメントデータを前記1つまたは前記複数の自動分析装置システムデータレコードに関連付けることと、をさらに含む、請求項6または7に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項9】
前記データ処理エージェントにおいて、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目および/または前記注釈データを分析することと、
前記データ処理エージェントにおいて、表示マスク規制セットに基づいてユーザに表示する1つまたは複数のデータ入力フィールドを特定することであって、前記表示マスク規制セットは、前記受信した自動分析装置状態データの組み合わせに基づいてユーザに表示されるデータ入力フィールドの組み合わせを特定する、特定することと、
前記自動分析装置状態データの受信された組み合わせに基づいて、1つまたは複数のデータ入力フィールドを含むデータ入力マスクを、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースを介して表示することと、
前記データ処理エージェントにおいて、入力インターフェースを介して、前記表示されたデータ入力マスクを介して半構造化データまたは構造化データを受信することと、
前記半構造化データまたは構造化データを、前記自動分析装置状態データの1つもしくは複数の項目、および/または前記注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、任意選択で、前記半構造化データまたは構造化データを前記グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示することと、をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項10】
前記自動分析装置状態データが、前記自動分析装置の条件に関連するメッセージを含み、任意選択で、バッテリ状態データ、前記自動分析装置のファームウェア構成データ、モータ状態データ、ログファイルデータ、ネットワーク構成データ、温度データ、ユーザ識別データ、パスワードデータ、センサデータ、アッセイ結果データ、リセットデータ、アップグレードデータ、監査ログデータ、ローカル時間データ、またはシステム時間データを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項11】
前記注釈データが、非構造化テキストデータ、構造化テキストデータ、スキャンされた画像データ、ビデオデータ、または音声データを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(30)。
【請求項12】
医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置(50)であって、
通信インターフェース(66)と、
前記通信インターフェース(66)に結合され、動作中に前記データ処理エージェントの機能を実行するように構成されたプロセッサ(60)と、
を備え、
前記通信インターフェースが、医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介して前記データ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、前記自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、前記1つまたは複数の自動分析装置によって生成され、
前記通信インターフェースは、前記データ処理エージェントにおいて注釈データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、
前記プロセッサは、前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、前記データ処理エージェントを使用して前記注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成するように構成されており、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを介して、前記データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力するように構成されており、前記自動分析装置システムデータレコードは、前記1つまたは複数の注釈データの項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む、装置(50)。
【請求項13】
自動分析装置管理のためのシステム(10)であって、
患者の医療試料を分析するように構成された1つまたは複数の自動分析装置(P1~P7)と、
請求項12に記載された医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置(12)であって、動作中、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行する、装置(12)と、
ユーザインターフェースを備えたコンピューティング装置(24、26)と、
前記1つまたは複数の自動分析装置、前記コンピューティング装置、およびデータ処理エージェントをホストするように構成された前記装置を通信可能に接続するように構成された通信ネットワーク(16)と、
を備え、
前記1つまたは複数の自動分析装置が、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を生成するように構成されており、前記通信ネットワークは、前記装置にホストされた前記データ処理エージェントに前記自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を通信するように構成されており、
前記コンピューティング装置は、通信ネットワークを介して、前記装置にホストされている前記データ処理エージェントに注釈データを通信するように構成されている、システム(10)。
【請求項14】
請求項12に記載の装置を制御するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム要素であって、前記装置の処理ユニットによって実行されたときに、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように適合されている、コンピュータプログラム要素。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラム要素を格納または符号化したコンピュータ可読媒体または信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントを操作するためのコンピュータ実装方法、ならびに関連する装置、システム、コンピュータプログラム要素、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床ケア環境では、医療試料の自動分析装置をポイントオブケアまたはその近くで使用できる。このような自動分析装置は、「ポイントオブケア(POC)検査システム」と呼ばれている。自動分析装置は、たとえば、技術状態に関する情報を含むさまざまな状態メッセージを中央サーバと通信できる。
【0003】
POC装置は、多数の通常の装置メッセージ(イベント)をPOCITデータ管理システムに送信する。結果として、多数のPOC装置の状態に関する情報の一貫した監視は困難な場合がある。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントを操作するためのコンピュータ実装方法であって、
-医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信することであって、自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、1つまたは複数の自動分析装置によって生成される、受信することと、
-データ処理エージェントで注釈データの1つまたは複数の項目を受信することと、
-自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成することと、
-データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力することであって、自動分析装置システムデータレコードは、注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む、出力することと、を含むコンピュータ実装方法が提供される。
【0005】
第2の態様によれば、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置であって、
-通信インターフェースと、
-通信インターフェースに結合され、動作中にデータ処理エージェントの機能を実行するように構成されたプロセッサと、を備えた装置が提供される。
【0006】
通信インターフェースは、医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、1つまたは複数の自動分析装置によって生成される。
【0007】
通信インターフェースは、データ処理エージェントにおいて注釈データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されている。
【0008】
プロセッサは、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、データ処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成するように構成されている。
【0009】
プロセッサは、通信インターフェースを介して、データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力するように構成されており、自動分析装置システムデータレコードは、1つまたは複数の注釈データの項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む。
【0010】
第3の態様によれば、自動分析装置管理のためのシステムであって、
-患者の医療試料を分析するように構成された1つまたは複数の自動分析装置と、
-第2の態様で定義された医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置であって、動作中、第1の態様の方法を実行する、装置と、
-ユーザインターフェースを備えたコンピューティング装置と、
-1つまたは複数の自動分析装置、コンピューティング装置、およびデータ処理エージェントをホストするように構成された装置を通信可能に接続するように構成された通信ネットワークと、を備えたシステムが提供される。
【0011】
1つまたは複数の自動分析装置は、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を生成するように構成されており、通信ネットワークは、装置にホストされたデータ処理エージェントに自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を通信するように構成されている。
【0012】
コンピューティング装置は、通信ネットワークを介して、装置上でホストされているデータ処理エージェントに注釈データを通信するように構成される。
【0013】
第4の態様によれば、装置の処理ユニットによって実行されるときに、第1の態様の方法ステップを実行するように適合された、第2の態様に従って装置を制御するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム要素が提供される。
【0014】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を格納または符号化したコンピュータ可読媒体または信号が提供される。
【0015】
任意選択の実施形態は、読者が参照することができる従属請求項に定義されている。
【0016】
本態様の技術の効果は、1つまたは複数の自動分析装置の技術的条件について通知する1つまたは複数の自動分析装置によって送信される多数のイベントメッセージを、別のソースから提供される注釈データに関連付けることができることである。したがって、自動分析装置の技術的条件に関する追加の技術的コンテキストは、さまざまなソースから収集され得る。
【0017】
たとえば、自動分析装置が多数の過熱警告を発行する場合があるが、その理由はすぐにはわからない。別のソースからの注釈データとの関連付けに続いて、装置自体に欠陥があるのではなく、自動分析装置がラジエータの上の棚に残されていることが明らかになる可能性がある。このようなコンテキストデータの統合により、POC監視部門またはオフィスのリモート担当者は、自動分析装置の通常の操作からの技術的な逸脱をより簡単に説明できる。
【0018】
したがって、自動分析装置を管理するチーム間で共有されるすべてのトラブルシューテ
ィング活動に対して、単純な追跡メカニズムが作成される。問題が発生した場合、特定の自動分析装置の責任者は、自動分析装置から自動生成されたイベントメッセージのグループに関連付けることができる装置の技術的条件に関する情報を追加できる。例として、自動分析装置から自動的に生成されたイベントメッセージと、別のソース(ログブックなど)から提供された注釈データの組み合わせグループは、特定の自動分析装置の条件に関する信頼できる唯一の情報源を形成する。
【0019】
これにより、特定の自動分析装置の技術的条件に関するメモを、異なるコンピュータシステムまたは紙の形式で保存する必要がなくなる。
【0020】
もう1つの効果は、一部の自動分析装置が同じメッセージを繰り返し送信することである。たとえば、自動分析装置のハードウェアが正しく動作していることを示すハードウェアハートビート信号が、自動分析装置の管理のために毎秒システムに送信される場合がある。時間の経過とともに、これにより、自動分析装置管理用のシステムが多数のメッセージを受信し、自動分析装置の技術的条件に関するコンテキスト上の利点がほとんど提供されなくなる。多数のハードウェアハートビート信号メッセージがグラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示されると乱雑になり、より重要であり得るメッセージ(「バッテリ低下」アラームの報告など)がわかりにくくなる。
【0021】
したがって、本態様によれば、自動分析装置からのメッセージは、そのようなグラフィカル・ユーザ・インターフェースのユーザが、たとえば所与の種類の100個のメッセージまたは送信するという事実の認識を維持しながら、順序および履歴を見ることができるように短期間に自動的にグループ化され得る。
【0022】
特定の用語がこの特許出願で使用され、その定式化は、選択された特定の用語によって限定されると解釈されるべきではなく、特定の用語の背後にある一般的な概念に関連するものとして解釈されるべきである。
【0023】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはその任意の他の変形は、非排他的包含を含むことを意図している。
【0024】
「サンプル」、「患者サンプル」、「生体サンプル」という用語は、対象の分析物を含む可能性のある材料を指す。患者サンプルは、血液、唾液、眼の水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、便、精液、母乳、腹水、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、培養細胞などを含む生理液などの生物学的供給源に由来する。患者サンプルは、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、溶解などのように、使用前に前処理することができる。処理方法には、ろ過、蒸留、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加などがある。患者サンプルは、供給源から取得したまま直接使用されることも、前処理後にサンプルの特性を変更するために使用されることもできる。いくつかの実施形態では、最初に固体または半固体である生物学的材料は、それを適切な液体媒体で溶解または懸濁することによって液体にされ得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、特定の抗原または核酸を含むことが疑われる可能性がある。
【0025】
本明細書で使用される「医療試料の自動分析装置」という用語は、患者サンプルから測定値を取得するための任意の装置を包含する。たとえば、分析装置は、反応の光吸収、蛍光、電位、またはその他の物理的または化学的特性を測定して、測定データを提供する。多くの場合、このような患者サンプルは、分析検査が行われる前に処理される。患者から採取された血液は、たとえば、遠心分離して血清を得るか、抗凝固剤で処理して血漿を得
る。「医療試料の自動分析装置」は、患者病棟の近くで使用できるように構成することができ、その場合、それはしばしば「ポイントオブケア(POC)装置」と呼ばれる。ただし、ここで説明する手法はPOC装置に限定されず、多くの種類のラボ分析システムに適用できる。
【0026】
分析装置による分析試験は、患者サンプル中の分析物の存在および/または濃度を判定することを目的としている。したがって、「分析物」は、存在および/または濃度に関する情報が意図されている物質の一般的な用語である。分析物の例は、たとえば、グルコース、凝固パラメータ、内因性タンパク質(例:心筋から放出されるタンパク質)、代謝産物、核酸などである。
【0027】
本明細書で使用される「患者の健康パラメータ」という用語は、1つまたは複数の分析物についての患者サンプルの分析によって測定可能または示される患者の生理学の任意の側面を包含する。
したがって、医療試料分析装置の自動分析装置は、血糖検査、凝固検査、血液ガスおよび電解質分析、尿検査、心臓マーカー分析、ヘモグロビン診断、感染症疾病の検査、コレステロールのスクリーニングまたは核酸検査のNATなどのポイントオブケア環境で使用できる。結果は、POC分析装置で直接表示するか、POCTシステムに送信して、中央ラボの結果とともにラボ情報システムに表示するか、病院情報システムの撮像結果と一緒に表示することができる。
【0028】
本明細書で使用される「分析データ」という用語は、分析された生物学的サンプルのPOC分析装置によって実行された1つまたは複数の患者の健康パラメータの測定の結果を説明する任意のデータを包含する。較正の場合、分析データは、較正結果、すなわち較正データを含む。特に、分析データは、分析が実行された患者サンプルの識別子と、測定データなどの分析結果を説明するデータとを含む。
【0029】
本明細書で使用される「ポイントオブケア」POCまたは「ポイントオブケア環境」という用語は、病院、救急部門、集中治療室、一次医療施設、医療センタ、患者の家、診療所、薬局、または緊急事態の場所を含むがこれらに限定されない治療を提供する、医療検査および/または医療手当などの医療または医療関連サービスが行われる患者ケアの場所またはその近くの場所を意味すると定義される。
【0030】
本明細書で使用される「ポイントオブケア検査」POCTという用語は、ポイントオブケア環境における1つまたは複数の患者の健康パラメータについての1つまたは複数の患者または患者サンプルの分析を包含する。POCTは、多くの場合、持ち運び可能でポータブルなハンドヘルド分析装置を使用して実行できるが、ハンドヘルド装置が利用できない場合は、小型のベンチトップ分析装置または固定装置を使用することもでき、患者サンプルを収集し、患者の場所またはその(比較的)近くにおいて(比較的)短期間で分析データを取得することを目的とする。
【0031】
POCTは、ブドウ糖、凝固、血液ガス、尿検査、心臓および分子検査用の分析装置などの(ただしこれらに限定されない)さまざまなPOC分析装置を使用して実行される。結果は、POC分析装置で直接表示するか、POCTシステムに送信して、中央ラボの結果とともにラボ情報システムに表示するか、病院情報システムの撮像結果と一緒に表示することができる。
【0032】
「ポータブルコンピューティング装置」という用語は、ある場所から別の場所に簡単に移動できる任意の電子機器、特に携帯電話、衛星電話、ポケットベル、携帯情報端末(「PDA」)、スマートフォン、ナビゲーション装置、スマートブックまたはリーダ、前述の装置の組み合わせ、タブレットコンピュータまたはラップトップコンピュータを含むがこれらに限定されない任意のハンドヘルドバッテリ駆動モバイル機器を包含する。
【0033】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WiFi、GSM、UMTSもしくは他の無線デジタルネットワークまたはイーサネットなどの有線ネットワークなどの任意のタイプの有線または無線ネットワークを包含する。たとえば、通信ネットワークは、有線ネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含む。
【0034】
「サーバ」という用語は、物理または仮想プロセッサからの要求を受け入れ、それに応じて応答を与えることができる、物理または仮想プロセッサを有する任意の物理マシンまたは仮想マシンを包含する。コンピュータプログラミングの当業者には、マシンという用語が物理ハードウェア自体、JAVA(登録商標)仮想マシン(JVM)などの仮想マシン、または同じ物理マシン上の異なるオペレーティングシステムで、実行中の、そのマシンのコンピューティングリソースを共有する個別の仮想マシンを指す場合があることは明らかである。サーバは、しばしば個別に「サーバ」または仮想サーバなどの共有リソースとも呼ばれる専用コンピュータを含む、任意のコンピュータで実行できる。多くの場合、コンピュータは複数のサービスを提供し、複数のサーバを実行できる。したがって、サーバという用語は、1つまたは複数のクライアントプロセスとリソースを共有するすべてのコンピュータ化された装置を含む。
【0035】
「サーバインターフェース」という用語は、外部エンティティ(サーバまたは別のインターフェースなど)との通信を可能にするプログラムロジックを実行するように動作可能なハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアベースのモジュールを包含する。
【0036】
「データ処理エージェント」という用語は、サーバなどの1つまたは複数のコンピューティング装置で実行されるソフトウェアモジュールを指し、ポイントオブケア装置から自動分析装置状態データを受信し、ユーザまたはオペレータから注釈データを受信し、自動分析装置状態データと注釈データを関連付けることができる。「データ処理エージェント」は、単一のサーバ、複数のサーバ、および/またはAmazon AWS(TM)やMicrosoft Azure(TM)などのインターネットベースの「クラウド」処理サービスに実装できる。「データ処理エージェント」は、仮想マシン上でホストされる場合がある。
【0037】
本明細書で使用される「ユーザインターフェース」という用語は、オペレータからのコマンドを入力として受け取り、またフィードバックを提供し、そこに情報を伝えるためのグラフィカル・ユーザ・インターフェースを含むがこれらに限定されない、オペレータと機械との間の相互作用のための任意の適切なソフトウェアおよび/またはハードウェアを包含する。また、システム/装置は、さまざまな種類のユーザ/オペレータにサービスを提供するためにいくつかのユーザインターフェースを公開する場合がある。
【0038】
ベッドサイド検査またはポイントオブケア検査の分野では、検査は通常、看護師、医療スタッフ、または医師だけでなく、ここでは総称して「オペレータ」と呼ばれる薬剤師によって患者に対して行われる。ただし、必要な資格を持っている人は誰でもオペレータになることができる。ポイントオブケアコーディネータPOCCは、同時にPOC分析装置のオペレータであり、POC分析装置のオペレータは、同時にポイントオブケアコーディネータPOCCであり、したがってポータブルコンピューティング装置のユーザである可能性がある。
【0039】
本明細書で使用される「認証」という用語は、オペレータの特定の特性(トレーニング
および/または試験および/または学歴および/または認定など)の任意の形式の確認を包含する。特に、本明細書に開示される認証は、正式に「認証」と題された実施形態または関連するタイトルを有する物理的実施形態(印刷された認証など)に限定されない。開示されたシステム/方法の実施形態によれば、認証は、1つまたは複数のPOC分析装置を使用してジョブ/タスク/ワークフローまたはワークフローのステップを実行することを許可された認証されたオペレータのリスト上のオペレータのエントリによって提供される。開示されたシステム/方法の実施形態による認証は、永続的および/または時間制限のある認証であり得る。これは、オペレータに対応する認証が一定期間後に無効になることを意味する。認定が無効になった後、それぞれのオペレータは(トレーニングを受けたり、(再)試験に合格したりして)再度認定を受ける必要がある。そうしないと、そのオペレータはそれぞれのPOC分析装置またはその特定の機能を使用できなくなる。
【0040】
本明細書で使用される「システム認証」という用語は、サーバに保存された認証を包含する。実施形態によれば、システム認証は、POC試験システムのすべてのPOC分析装置に関係する。さらなる実施形態によれば、システム認証は、特定の種類、クラスの1つまたは複数のPOC分析装置、すなわち、少なくとも1つの共通の特性を有するPOC分析装置に関する。1つまたは複数のPOC分析装置の一般的な特性の例は次のとおりである。患者サンプルの同じまたは同様の分析を実行できるPOC分析装置。同じまたは類似のオペレータトレーニング/試験/認証を必要とするPOC分析装置。あるメーカーのPOC分析装置。同じ医療施設のPOC分析装置など。
【0041】
本明細書で使用される「分析装置認証」という用語は、POC分析装置に保存されているすべての認証を包含する。いくつかの実施形態によれば、分析装置認証は、その特定のPOC分析装置、特にその特定のPOC分析装置を使用して1つまたは複数の患者サンプルを分析することを許可されているオペレータを使用して、少なくとも1つのジョブ/タスク/ワークフローまたはワークフローのステップを実行することを許可されたオペレータの任意の種類の表現(オペレータ識別子のリストなど)を格納する。特定の実施形態によれば、各分析装置の認証は、1つの特定のPOC分析装置に固有である。さらなる実施形態によれば、各分析装置の認証は、特定の種類、クラスの1つまたは複数のPOC分析装置に固有である。さらに別の実施形態によれば、分析装置認証は、システム認証と同一であり得るが、POC分析装置にローカルに保存される。
【0042】
「自動分析装置状態データ」という用語は、たとえば、POCの動作の条件に関する更新を提供するPOC分析装置によって送信され得るデータを指す。自動分析装置の状態データは、自動分析装置内の条件に応じて自動分析装置によって生成され得る。「自動分析装置状態データ」は、通信ネットワークを介して送信され、たとえば、分析装置の温度または電池状態、蓋またはドアの状態、モータ、レーザ、フォトメータなどの電気機械コンポーネント、空きメモリの量、ソフトウェアまたはファームウェアのインストールバージョン、合計使用時間、個々の分析実行の状態またはサブステップに関連するデータ、分析装置の場所、データのネットワークパラメータなど接続データレート、オペレータの認証状態、POC装置エラーコードなど、POC装置に関する広範囲の情報を含み得るが、これらに限定されない。
【0043】
「注釈データ」という用語は、オペレータによって提供される装置の操作に関する文脈情報を指す。従来、このようなデータは、オペレータまたはPOCTチームが所有する紙の航海日誌または日記に収集されていた。そのため、注釈は従来、構造化されていないテキストである。POC装置のオペレータは、数十または数百の個別の装置を管理している場合があり、1つまたは分析装置のグループの操作に関する構造化されていないコメントは、通常、利便性と速度のために紙のログブックに作成される。したがって、注釈データは、1つまたは複数の自動分析装置の条件に関する非構造化データである。注釈データは
テキストに限定されない。たとえば、それは、機械部品の誤動作、またはPOC装置の画面上の予期しないメッセージを説明するための分析装置の動作のビデオ、写真、またはオーディオサンプルを含むことができる。
【0044】
「自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を分析装置データの1つまたは複数の項目に関連付ける」という用語は、データ処理エージェントが、POC試験装置によって出力された少なくとも1つのメッセージと、たとえば、システムユーザによって提供された注釈データの少なくとも一部を意味する。論理リンクは、2つのレコード(注釈データの1つ、自動分析装置状態データの1つ)を接続するデータベース内のエントリである場合がある。任意選択で、関連付けは、自動化された分析装置状態データの1つまたは複数の項目を分析装置データの1つまたは複数の項目と相関させることによって実行され得る。任意選択で、自動化された分析装置状態データと注釈データの1つまたは複数の項目との間に接続を追加するようにユーザに促すことによって、関連付けを実行することができる。任意選択で、自動化された分析装置状態データの項目の表示された表現に対してユーザが注釈データを入力できるようにすることにより、GUIを介して関連付けを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】自動分析装置管理のためのシステムを概略的に示している。
図2】医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理剤を操作するためのコンピュータ実装方法を概略的に示している。
図3】ポイントオブケア(POC)装置の例を概略的に示している。
図4】データ処理エージェントをホストするように構成されたサーバの例を概略的に示している。
図5】自動分析装置管理のためのシステムにおけるユースケースにおけるメッセージングを概略的に示している。
図6A】自動分析装置管理のためのシステムにおける低バッテリメッセージングシナリオの例を概略的に示している。
図6B】自動分析装置管理のためのシステムにおける温度異常メッセージングシナリオの例を概略的に示している。
図7】自動分析装置データの項目を注釈データに関連付けるための相関器の例を概略的に示している。
図8】相関規制セットを使用して自動分析装置データを注釈データと相関させる例を概略的に示している。
図9A】使用中のGUIの第1の例を示している。
図9B】使用中のGUIの第2の例を示している。
図9C】使用中のGUIの第3の例を示している。
図9D】使用中のGUIの第4の例を示している。
【0046】
(注)
図は原寸に比例して描かれておらず、例示としてのみ提供されており、理解を深めるためだけに役立ち、本発明の範囲を定義するためには役立たない。これらの図から、本発明のいかなる特徴の制限も推測されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
POC分析装置(医療試料の自動分析装置とも呼ばれる)は、通常、サーバ、特にポイントオブケアデータ管理システム(POC-DMS)とも呼ばれるハードウェア管理サーバによって管理される。このようなサーバは、POC分析装置の接続と、検査結果、オペレータ、品質管理、および分析装置の管理を提供する。
【0048】
POCTの管理は困難である。検査の品質を保証するために、数十のサイト、数百のPOCT装置/キット、および数千のオペレータが管理する可能性がある。POCTを管理する戦略を開発する際の1つの課題は、通常、研究室、医師、看護師などの学際的なPOC管理オペレータのチームがPOC装置によって生成された大量のフィードバックデータをどのように処理するかである。POCチームは通常、検査メニューの決定、テクノロジの選択、ポリシーと手順の確立、トレーニングと規制コンプライアンスの確保、およびPOCテクノロジのエンドオペレータへの助言支援を提供する責任を負う。
【0049】
POC分析装置は、通常の装置メッセージ(イベント)で構成される大量のデータを、自動分析装置管理(POC-DMS)用のシステムに送信する。装置メッセージにより、自動分析装置は、装置の使用状況、システム警告、システムイベント、エラー、またはPOC分析装置の技術的条件に関連するその他のイベントについてユーザに通知できる。
【0050】
ポイントオブケアコーディネータ(POCC)は、POC装置の管理を担当する。通常、彼らは、装置の大規模なグループでの各装置の取り扱いについての詳細なメモとコメントを保持する。たとえば、誰が装置を使用したか、装置はクリーニングされたか、修理のために送られた。これらの詳細なメモは、通常、構造化されていないテキストの形式である(たとえば、手書きの航海日誌や日記、または基本的なコンピュータテキスト日記)。
【0051】
現在まで、自動分析装置のグループ内の自動分析装置(POC装置)の条件に関する2つの情報源は、ログブックのメモが紙の形式で保持され、転記されなかったため、またはログブックのために別々に保持されていた。ノートは、POC-DMSから分離されたソフトウェアに保存された。
【0052】
したがって、構造化されていないログブックのメモを使用して、自動分析装置によって提供される自動イベントメッセージを充実させ、技術的なコンテキストを提供することが望ましいであろう。したがって、以下の1つまたは複数を実行するインターフェースを提供することが提案される。
(1)自動分析メッセージとPOCCノートを集約されたデータレコードおよび/または表示に結合する。
(2)同じ種類の複数の自動分析メッセージを集約されたデータレコードおよび/または表示に集約して、表示されたレコードの明確さを向上させる。
(3)受信した自動分析メッセージにユーザがコメントを追加できるようにする。
【0053】
図1は、自動分析装置管理のためのシステムを概略的に示している。自動分析装置管理のためのシステムは、1つまたは複数の自動分析装置(POC装置)P1~P7、ポータブルコンピューティング装置26(スマートフォンなど)、および通信ネットワーク16によって通信可能に接続されたサーバ12を備える。サーバ12は、一例では、第1の態様によるデータ処理エージェントをホストすることができる。他の例では、データ処理エージェントは、複数のサーバおよびコンピューティング装置に分散されたクラウドコンピューティングサービスによってホストされ得る。特に、通信ネットワーク16は、1つまたは複数の自動分析装置P1~P7を通信可能に接続するように構成される。
【0054】
通信ネットワーク16は、たとえば、イーサネットネットワーク、Wi-Fiネットワーク、および/またはインターネットなどの広域ネットワークWANを介して提供される1つまたは複数のローカルエリアネットワークLANを備えることができる。通信ネットワークは、3G、4G、または5Gシステム28などの移動式電気通信ネットワーク、および/または病院のPACSネットワークを含み得る。
【0055】
任意選択で、通信ネットワーク16は、サーバ12を自動分析装置(POC装置)P1
~P7(図示せず)に直接接続することができる。
【0056】
任意選択で、通信ネットワーク16は、病院18の内部通信システム22とインターフェースする。内部通信システム22は、たとえば、イントラネットであると見なすことができる。当業者に知られているファイアウォールおよび他のセキュリティ対策は、セキュリティおよび機密性を確保するために、内部通信システム22と通信ネットワーク16との間に配置され得る。
【0057】
自動分析装置P1~P7は、たとえば、内部通信システム22および通信ネットワーク16を介して通信することによって、サーバ12上で実行されているデータ処理エージェントと通信することができる。
自動分析装置P1~P7は、1つまたは複数の患者の健康パラメータを測定するために1つまたは複数の患者サンプルを分析するために提供および構成されている。開示された実施形態によれば、自動分析装置P1~P7は、可搬型、携帯型、および手持ち式の機器を含み得るが、小型ベンチ分析装置または固定装置14も同様に含み得る。たとえば、自動分析装置は、血糖検査、凝固検査、血液ガスおよび電解質分析、尿分析、心臓マーカー分析、ヘモグロビン分析、感染症検査、コレステロールスクリーニングまたは核酸検査を含み得る(ただしこれらに限定されない)。自動分析装置P1~P7のいくつかの機能的および/または操作的側面は、1つまたは複数の分析装置パラメータを使用して構成可能またはカスタマイズ可能である。
【0058】
分析装置P1~P7は、たとえば、病棟18に配置されている。固定装置14は、たとえば、病院の病理学研究室に配置することができる。
【0059】
特定の自動分析装置P1~P7を識別するために、それぞれは、特にバーコードおよび/またはRFIDタグまたはシリアル番号などの識別子タグの形態で、分析装置識別子を備えている。任意選択で、そのような識別子は、自動分析装置管理のためにシステムのデータベース内のエントリに関連付けられ得る。
【0060】
分析装置P1~P7は、たとえば、自動化された分析装置状態データ(イベントメッセージ)を分析装置から通信ネットワーク16を介してサーバ12に送信するように構成される。
【0061】
第1の態様によれば、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントを操作するためのコンピュータ実装方法であって、
-医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信すること32であって、自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、1つまたは複数の自動分析装置によって生成される、受信することと、
-データ処理エージェントで注釈データの1つまたは複数の項目を受信すること34と、-自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、データ処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成すること36と、
-データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力すること38であって、自動分析装置システムデータレコードは、注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む、出力することと、を含むコンピュータ実装方法が提供される。
【0062】
一実施形態によれば、この方法は、データ処理エージェントで、自動分析装置状態デー
タの1つまたは複数の項目が、注釈規制セットに基づくさらなるデータで補足されるべきであることを検出することをさらに含む。
【0063】
図2は、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理剤を操作するためのコンピュータ実装方法を概略的に示している。
【0064】
図3は、自動分析装置(POC装置など)の例を概略的に示している。
【0065】
一般的な自動分析装置40の図示の例は、自動分析装置40に電力を供給するように構成された電源46を含む。電源は、たとえば、自動分析装置40を携帯可能にすることを可能にするリチウムイオン電池であり得る。電源は、センサ装置41、電気機械サブアセンブリ42、試験片処理セクション43、および分析ユニット44を含む自動分析装置40の他の要素に電気エネルギーを提供する。制御および通信サブシステム45は、前述のモジュールとインターフェースをとる。通信リンク47は、通信ネットワーク16を介した自動分析装置40との間のデータ転送を可能にする。
【0066】
センサ装置41は、たとえば、流体サンプルを通る光伝達特性を測定するための光度計を備えることができるが、自動分析装置40の用途に応じて、他の多くの種類のセンサを使用することができる。
【0067】
電気機械サブアセンブリ42は、サンプルアンプルまたはカセットを受け取り、それらをサンプル処理セクション43にロードして、それらがセンサ装置41によって分析され得るように構成される。分析に続いて、電気機械サブアセンブリ42は、サンプルアンプルまたはカセットを排出することができる。
【0068】
標本処理セクション43は、サンプルの攪拌または必要な分析温度への加熱などの事前分析機能を実行することができる。
【0069】
分析ユニット44は、サンプル処理セクション43に含まれるサンプルの特徴付けを含むセンサ装置41からデータを受信することができる。分析ユニット44は、センサ装置41からのデータに対して1つまたは複数のデータ処理操作を実行することができる。たとえば、分析ユニット44は、センサ装置41からの結果が予想される境界内にあることを保証することができる。
【0070】
分析に続いて、分析ユニット44は、通信および制御ユニット45を介してセンサ装置41から通信ネットワーク16を介して自動分析装置管理のためのシステムに、そして最終的には、たとえば、サーバ12上でホストされるデータ処理エージェントにデータを送信することができる。
【0071】
熟練者は、一般的な自動分析装置40の説明が説明の目的で提供され、実際の自動分析装置がより少ないまたはより多いモジュールおよび機能を含み得ることを理解するであろう。
【0072】
自動分析装置40は、自動分析装置状態データを生成し、自動分析装置状態データを通信ネットワーク16を介してデータ処理エージェントに送信するように構成することができる。自動分析装置40の各モジュールは、異なる種類の自動分析装置状態データ(イベントメッセージ、イベントデータ)を生成するように構成され得る。
【0073】
たとえば、電源43は、自動分析装置状態データ「batt_lo_10%」を生成して、電源43がその容量の10%しか残っていないことを示すことができる。
【0074】
たとえば、電源43は、自動分析装置状態データ「batt_shutdown」を生成して、電源43が、バッテリ障害のために、またはバッテリ電力を使い果たしたためにバッテリをシャットダウンしただけであることを示すことができる。
【0075】
たとえば、電気機械サブアセンブリ42は、自動分析装置状態データ「mortor_PCB_HB」を、それが継続的に機能していることを示す反復的な「ハートビート信号」として生成することができる。
【0076】
たとえば、センサ装置41は、光度計プリント回路基板の「ハートビート」信号を生成することができる。さらに、感知装置41は、オンボードLEDおよび/またはレーザが洗浄を必要とすることを示す自動分析装置状態データ「光度計_clean_warn」を生成することができる。
【0077】
たとえば、サンプル処理部43は、自動分析装置の状態データ「door_jam」を報告して、自動分析装置のサンプル処理ドアがサンプルを安全に収容するために閉じていないことを通知することができる。
【0078】
たとえば、制御および通信ユニット45は、自動分析装置の動作温度が不正確な結果が提供される可能性がある危険な温度に近づいていることを示す「temp_hi_90%」信号の形式で自動分析装置状態データを生成することができる。たとえば、制御および通信ユニット45は、自動分析装置40が過度の温度のためにオフにされたことを示す「temp_auto_shutdown」信号の形で自動分析装置状態データを生成することができる。
【0079】
制御および通信ユニット45はまた、自動分析装置状態データを一連の分析状態(「scan_barcode」、「report_barcode」、「assay_loaded」、「test_result」)として送信して、個々の検査の状態を追跡できるようにすることができる。
【0080】
制御および通信ユニット45は、内部メモリの状態、現在のソフトウェアまたはファームウェアのバージョン、およびパスワードの成功または失敗などのセキュリティパラメータなどの自動分析装置40のソフトウェア構成の側面、ネットワーク構成設定のレポート、任意選択でネットワークの稼働時間とダウンタイムなどのネットワークの側面に関するレポートを行う自動分析装置状態データを提供することができる。
【0081】
任意選択で、自動分析装置状態データは、制御および通信ユニット45によって、10秒、1秒、0.1秒、0.01秒の精度で、または、たとえば、イーサネット時間プロトコルまたはネットワークタイムプロトコルでより高精度にスタンプされた時間である。これにより、サーバ12内のデータ処理エージェントは、自動分析装置状態データの生成をトリガーするイベントが発生した時間に関連して、受信した自動分析装置状態データのシーケンスを再構築することができる。
【0082】
もちろん、制御および通信ユニット40は、自動分析装置の制御および通信ユニット40に含まれる規則に基づいて、個々のイベントメッセージの連結されたグループを含むより複雑な自動分析装置状態データを生成することができる。
【0083】
任意選択で、自動分析装置状態データは、患者サンプルの分析から得られた検査結果データと連結することができる。
【0084】
自動分析装置の状態データは、当業者に知られているように、自動分析装置管理のためのシステムで使用される通信システム16に従ってカプセル化されたデータパケットとして送信される。データパケットは、自動分析装置状態データをデータ処理エージェントに確実にルーティングできるようにするために必要なヘッダ情報の配置を含むことができる。データパケットは、1ビットの情報のみを含む場合がある(たとえば、ハートビートフラグの場合)。あるいは、データパケットは、大量の情報(たとえば、数キロバイトまたはメガバイト)を含み得る。自動分析装置の制御および通信ユニット40は、所与の時間の間、複数の自動分析装置状態データメッセージをバッファリングし、たとえば、メッセージを1つのデータパケットに連結するように構成され得る。これにより、ハンドヘルド自動分析装置のバッテリ寿命が長くなる可能性がある。
【0085】
図4は、データ処理エージェントをホストするように構成されたサーバ50の例を概略的に示している。
【0086】
この例では、サーバ50は、ランダムアクセスメモリ54、読み取り専用メモリ56、中央処理ユニット60、入出力インターフェース58、データ記憶ユニット64(ハードディスクなど)、表示インターフェース62、および通信インターフェース66を備えるマザーボード52を備える。しかしながら、当業者は、他の機能を有する多かれ少なかれモジュールを備えた多くの異なる種類のサーバ構成を提供できることを理解するであろう。
【0087】
サーバ50のデータ記憶ユニット64は、実行されると、サーバ50のランダムアクセスメモリ54内の医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをインスタンス化するコンピュータ可読命令を備える。
【0088】
サーバの通信インターフェース66は、自動分析装置管理のためにシステムの通信ネットワーク16とインターフェースするように構成される。自動分析装置P1~P7からの自動分析装置状態データは、サーバの通信インターフェース66を介してサーバ50で受信される。任意選択で、自動分析装置状態データは、中央処理装置による処理および分析によって、ランダムアクセスメモリ54に直接提供される。任意選択で、自動分析装置状態データは、その後の分析のためにデータストレージユニット64に書き込まれる。
【0089】
任意選択で、自動分析装置状態データを外部ファイルストア(図示せず)に書き込む(キャッシュする)ことができる。中央処理装置60による要求に応じて、自動分析装置状態データの要求を、通信ネットワーク16を介して外部ファイルストアに送信することができる。外部ファイルストアは、認証および承認を保留して、自動分析装置状態データをサーバ50に送信することができ、サーバ50で、その後処理され、注釈データと組み合わされることができる。
【0090】
任意選択で、注釈データを外部ファイルストア(図示せず)に書き込む(キャッシュする)ことができる。中央処理装置60による要求に応じて、データの要求は、通信ネットワーク16を介して外部ファイルストアに送信され得る。外部ファイルストアは、認証および承認を保留して、注釈データをサーバ50に送信することができ、サーバ50で、その後処理され、注釈データと組み合わされることができる。
【0091】
前述の2つの任意選択の実施形態の利点は、大量の自動化された分析装置状態データおよび/または注釈データが、それが処理される必要があるまで堅牢に格納され得ることである。注釈データと自動分析装置状態データの関連付けは、データの受信時に実行する必要はない。あるいは、2つの種類のデータは、たとえば、タイムスタンプデータおよび/または受信されたデータの字句解析を使用して、後処理ステップで関連付けられ得る。
【0092】
任意選択で、注釈データと自動分析装置状態データは、データ処理エージェントが受信するとすぐにデータ処理エージェントによって関連付けられる。
【0093】
サーバ50はまた、サーバのランダムアクセスメモリ54上でインスタンス化されたデータ処理エージェントで自動分析装置システムのオペレータから注釈データの1つまたは複数の項目を受信するように構成される。サーバ50は、任意選択で、インデックスを付け、そのような注釈データをデータストレージユニット64に格納するように構成される。あるいは、またはさらに、注釈データは、通信ネットワーク16に接続されたポータブルコンピューティング装置26などの別の装置に保持され得る。要求に応じて、または通常のタイムテーブルに従って、リモートに格納された注釈データは、記憶および/または外部ファイルストア(図示せず)のためにサーバ54に転送され得る。
【0094】
注釈データについては後で説明するが、たとえば、自動分析装置システムの操作についてPOCTチームの1人以上のメンバーから提供された情報を含む非構造化テキストファイルを含む場合がある。
【0095】
サーバ50上でインスタンス化されたデータ処理エージェントは、1つまたは複数の自動分析装置状態データの項目、および1つまたは複数の注釈データの項目を受信することができる。
【0096】
サーバ50上でインスタンス化されたデータ処理エージェントは、少なくとも後で議論される技術に従って、注釈データおよび自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を関連付けることができる。
この関連付けの結果は、自動分析装置システムのデータレコードである。自動分析装置システムのデータレコードは、後で使用するためにサーバのデータストレージユニット64に格納することができる。あるいは、またはさらに、自動分析装置システムのデータ記録は、表示インターフェース62および表示画面70を介してユーザに表示され得る。あるいは、またはさらに、自動分析装置システムのデータ記録は、通信インターフェース66を介して、通信ネットワーク16を介して、ポータブルコンピューティング装置26および/または外部ファイル記憶装置(図示せず)に送信され得る。これにより、POCTチームのメンバーは、多くの表示モダリティの1つを介して、関連する自動分析装置状態データと注釈データにアクセスし、データを参照して、自動分析装置管理システム内の自動分析装置の技術的操作に関する情報を特定できる。
【0097】
図5は、自動分析装置管理のためのシステムにおけるユースケースにおけるメッセージングを概略的に示している。
【0098】
図5では、自動分析装置P1、パーソナルコンピューティング装置26、および第1の態様によるデータ処理エージェントをホストするサーバ12との間のメッセージングフローが示されている。図示のシナリオでは、自動分析装置P1は、バッテリが10%のレベル未満で消耗していることを示す信号に送信し、最終的に、自動分析装置P1がシャットダウンしたことを確認する信号を送信する。このようなイベントのパターンは、たとえば、POCTチームのメンバーが自動分析装置P1のバッテリの充電を忘れた場合によく見られる。
【0099】
これとは別に、一連のメッセージが自動分析装置P1からサーバ12に送信される前、最中、または後に、POCTチームのメンバーは、充電装置がなくなっている事実を参照する注釈(注釈データ)として非構造化テキストコメントを提供することができる。あるいは、そのような注釈データは、ログブックデータまたは日記データとして知られている
場合がある。図示のように、パーソナルコンピューティング装置26上で実行されるテキストエディタアプリケーションへのそのような非構造化テキストコメントの入力は任意である。あるいは、構造化されていないテキストコメントは、紙の日記に手書きしてからスキャンするか、または手書きしてからパーソナルコンピューティング装置26を使用して写真を撮ることができる。このような画像に光学式文字認識を適用して、非構造化注釈データを取得できる。非構造化テキストコメントは、POCTチームグループの電子メール受信ボックスに電子メールの形式で送信される場合がある。任意選択で、構造化されていないテキストコメントを、コンピュータカレンダー(Microsoft Outlook(TM)カレンダーなど)の日記エントリとして入力できる。熟練者は、注釈データを記録し、データ処理エージェントに伝達するための多くのモダリティが存在することを理解するであろう。
【0100】
一実施形態では、注釈データは、コンピューティング装置上で実行されるテキストエディタに非構造化テキストエントリとして入力される。一実施形態では、注釈データは、入力フォームを使用して、テキストエディタまたはデータベースへの半構造化テキストエントリとして入力される。一実施形態では、注釈データは、手書きの日記ページのスキャンされた画像として提供される。
【0101】
一実施形態では、注釈データは、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を介してデータ処理エージェントに提供される。任意選択で、GUIは、通信ネットワーク16または内部通信ネットワーク22に通信可能に接続されたコンピュータのディスプレイ上でインスタンス化され得る。任意選択で、GUIはPOC分析装置のディスプレイ装置でインスタンス化できる。任意選択で、GUIは、スマートフォンなどのパーソナルコンピューティング装置16上でインスタンス化され得る。任意選択で、GUIのユーザは、GUIまたは別のユーザインターフェース要素を使用して、注釈データの少なくとも1つの項目と自動分析装置状態データの少なくとも1つの項目との関連付けを提供する。
【0102】
図9A図9Dは、自動化された分析装置状態データのインスタンスを表示するための対話型GUIディスプレイの例示的な実施形態を示す。続いて、図9A図9Dの説明図において示されるように、注釈データは、ユーザがGUIを操作するときに、自動分析装置状態データに関連付けられ得る。
【0103】
一実施形態では、注釈データは、手書きの日記ページのスマートフォン写真画像として提供される。一実施形態では、注釈データは、電子スタイラスを使用して、または電子スタイラスと組み合わせて使用されるiPad(登録商標)などの電子メモ帳の画面からキャプチャされる。注釈データが手書き注釈として提供される実施形態では、注釈データは、元の手書き注釈の画像として転送され得る。
【0104】
あるいは、またはさらに、手書き注釈の画像は、光学式文字認識(またはテキスト認識)の対象となり得、その結果、それは、コンピューティング装置からデータ処理エージェントに送信される前に、非構造化テキストに変換され得る。任意選択で、データ処理エージェントは、元の手書き注釈に対して光学式文字認識を実行して、非構造化テキストを取得することができる。
【0105】
一実施形態では、注釈データは、パーソナルコンピューティング装置26(スマートフォンなど)のマイクロフォンまたは専用のディクタフォンを使用してキャプチャされた音声データである。任意選択で、話されたデータは、前処理なしでデータ処理エージェントに転送され得る。一実施形態では、音声データは、音声認識エンジン(ドラゴンディクテート(TM)または同様のソフトウェアなど)を使用して処理され、音声データから非構造化テキストとして注釈データを取得することができる。
【0106】
忙しい環境にあるPOCTチームの医療専門家は、ディクタフォンを使用してシフト中の自動分析装置の操作に関するメモ(注釈データ)を作成し、シフトの最後にオーディオファイル全体を提供することを好む場合がある。
【0107】
したがって、一実施形態では、注釈データは、オーディオファイルを受信し、オーディオ処理アルゴリズムを使用してオーディオファイルを処理して、一定期間にわたって個々のコメントを抽出することによって生成される。抽出されると、個々の音声コメントは、音声認識エンジンを使用して非構造化テキストに変換される。変換された個々の音声コメントは、データ処理エージェントに提供される。あるいは、データ処理エージェントは、オーディオ処理を実行することができる。
【0108】
一実施形態では、注釈データは、パーソナルコンピューティング装置26(スマートフォンなど)のビデオカメラまたは専用カメラでキャプチャされたビデオデータである。任意選択で、ビデオデータは完全なファイルとしてデータ処理エージェントに転送される。
【0109】
一実施形態では、データ処理エージェントは、音声認識エンジンを使用してビデオデータのオーディオトラックを処理して非構造化テキストを抽出するように構成される。前述の例は、説明の目的でのみ提供されており、互いに、または他の概念と組み合わせて、制限なしに組み合わせることができる。
【0110】
自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目および注釈データの1つまたは複数の項目の受信に続いて、サーバ12上で実行されるデータ処理エージェントは、議論される方法で自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を関連付けることができる。任意選択で、データ処理エージェントによって生成された自動分析装置システムのデータレコードは、サーバ12に格納されるか、または外部ファイルストレージシステム(図示せず)に送信される。
【0111】
任意選択で、データ処理エージェントは、自動分析装置状態データの項目の少なくとも1つと、自動分析装置システムデータレコードに含まれる注釈データの項目の少なくとも1つとを含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースGUIを生成する。データ処理エージェントは、サーバ12に接続されたネイティブ表示手段上にそのように生成されたGUIを表示することができ、あるいは、またはさらに、データ処理エージェントは、表示のために、生成されたGUIをパーソナルコンピューティング装置26などの別の装置に送信することができる。
【0112】
図6Aは、自動分析装置管理のためのシステムにおける低バッテリメッセージングシナリオの例を概略的に示している。図6Aの例は、データ処理エージェントによって生成および受信され得る自動化された分析装置状態データおよび自動化された注釈データの種類の例を示す。
【0113】
チャート80は、時間Tで生成されたときに自動分析装置によって生成された自動分析装置状態データを表し、チャート80は、12時間の早朝シフトを表す。繰り返しのハートビート信号「photo_pcb_HB」は、光度計が確実に動作していることを示しているが、時間内に多数のメッセージを生成する。自動分析装置の初期化時に、BIOSチェックにより、自動分析装置にロードされたソフトウェア(ファームウェア)が、たとえばイベントメッセージ82で示される正しいバージョンであることを確認する。その後まもなく、自動分析装置のユーザは正しいパスワードを使用して装置にログオンする。このパスワードは、自動分析装置状態データをさらに送信してデータ処理エージェントに報告される。シフトの過程で、バーコードのスキャン、バーコードのレポート、エッセイの
ロード、および検査結果の提供を報告する自動分析装置状態データの繰り返しシーケンスによって示されるように、8回の分析実行のシーケンスが実行される。午前9時30分ごろ、自動分析装置は、データ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの形でバッテリ低下アラーム83を報告し始める。
【0114】
自動分析装置を担当するPOCTチームのメンバーが状況を評価するためにこのデータしか持っていなかった場合、自動分析装置がローバッテリアラームを報告した理由は明らかではない。
【0115】
しかしながら、この例では、非構造化注釈データ85のソースが、パーソナル通信装置26のインターフェースで短いテキストコメントをキャプチャすることができるテキスト編集アプリケーションを使用してデータ処理エージェントに提供された。非構造化注釈データ85から、自動分析装置が低バッテリアラームを報告している理由は、自動分析装置を使用している病院18の部門が装置の充電器を紛失したように見えるためであることがPOCTチームに明らかになる。したがって、ローバッテリアラーム83の起源への洞察を提供する文脈情報は、データ処理エージェントで自動的に取得することができる。
【0116】
図6Bは、自動分析装置管理のためのシステムにおける温度異常メッセージングシナリオの例を概略的に示している。
【0117】
たとえば、「motor_PCB」および「photo_PCB」ハートビート信号、構成、およびパスワード信号は、前の例と同じように機能する。このシナリオでは、データ処理エージェントが、受信した自動分析装置状態データから、早朝に3つの診断検査が実行されたと推測することができる。データ処理エージェントは、自動分析装置の最大動作温度を超えようとしているという警告(「temp_hi_90%」)を受け取り、その後、自動分析装置がシャットダウンした(「temp_auto_shutdown」)という警告を受け取る。ただし、これらのメッセージを受信する以外に、データ処理エージェントは、この特定の自動分析装置が過熱した理由について、POCTチームに実用的な技術的洞察を提供することはできない。
【0118】
前述のモダリティの1つに従って提供された非構造化テキストコメントも図6Bに表示される。非構造化テキストコメントエントリのタイミングを自動分析装置状態データのタイミングに関連付けることにより、自動分析装置がラジエータの上に残されたことがすぐに明らかになり、これが過熱アラームの説明だった。したがって、データ処理エージェントは、注釈データの追加ソースを使用して、自動分析装置のこれまで説明されていなかった技術的条件を説明できる。
【0119】
一実施形態によれば、この方法は、データ処理エージェントで、医療試料の自動分析装置から、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目にさらなるデータを補足する必要があることを示すメッセージを受信することをさらに含む。
【0120】
たとえば、自動分析装置40の制御および通信ユニット45は、データ処理エージェントに通信される前に、自動分析装置40によって生成される自動分析装置状態データの種類および頻度を監視する分析装置規制エンジンを備えることができる。自動分析装置40の分析装置規制エンジンは、自動分析装置状態データの所与のパターンまたは傾向がさらなる調査を必要とすることを決定することができる。したがって、自動分析装置40の分析装置規制エンジンは、自動分析装置状態データをデータ処理エージェントに送信する前に、自動分析装置状態データに状態フラグを設定することができる。データ処理エージェントで受信すると、データ処理エージェントは、状態フラグが自動分析装置によって設定されたことを識別し得る。データ処理エージェントは、状態フラグを設定する自動分析装
置の条件について、さらに構造化、半構造化、または非構造化されたコメントを提供するようにPOCTオペレータに要求を送信する場合がある。このようにして、自動分析装置は、POCTオペレータによるさらなる精緻化を必要とする部分的に説明されていない一連の技術的状況で動作していることを識別し得、POCTオペレータは、データ処理エージェントを介して自動分析装置によるさらなる精緻化を提供するように促され得る。
【0121】
一実施形態によれば、この方法は、データ処理エージェントで、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を注釈データの1つまたは複数の項目と相関させ、データ処理エージェントで、1つまたは複数の自動分析装置の状態データの項目と、相関に基づく処理エージェントを使用した注釈データの項目の1つまたは複数との比較関連付けを実行することをさらに含む。
【0122】
熟練者は、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目と注釈データの1つまたは複数の項目との関連付けが、提供される注釈データの種類、および利用可能な分析装置状態データの特定の組み合わせに応じて、多くの異なる方法で実行できることを理解するであろう。次の例は、非構造化テキストデータを自動分析装置状態データに関連付けるための1つのアプローチを示しているが、熟練した人は他の多くのバリエーションを実装できる。技術の例は必須ではない。
【0123】
図7は、自動分析装置データの項目を注釈データに関連付けるための相関器の例を概略的に示している。
【0124】
図7に示される相関器90は、一実施形態では、サーバ12のデータ処理エージェント内で実行されるソフトウェアエンジンとして実装される。別の実施形態では、相関器は、リモートクラウドサーバ内のソフトウェアエンジンとして実装され得、相関注釈データおよび自動分析装置状態データをデータ処理エージェントに提供し得る。
【0125】
相関器90は、注釈データと自動分析装置状態データをリアルタイムで(言い換えれば、それぞれのデータが相関器で受信されたときに)相関させることができる。
【0126】
任意選択で、注釈データおよび自動分析装置状態データは、注釈データおよび自動分析装置状態データが自動分析装置で作成されたとき、および/またはデータ処理エージェントで受信されたときのタイムスタンプに基づいて相関または関連付けられる。
【0127】
任意選択で、注釈データおよび自動分析装置状態データは、データ処理エージェントでの注釈データの内容分析、およびデータ処理エージェントで受信された複数の自動分析装置状態データとの比較に基づいて相関または関連付けられる。
【0128】
あるいは、またはさらに、相関器は、データが自動分析装置から受信された後の時点でのバッチ実行において、注釈データと自動分析装置の状態データを相関させることができる。
【0129】
相関器90は、注釈データ受信ユニット92を備える。注釈データ受信ユニットは、たとえば、上記のモダリティ(テキストアプリケーションからの非構造化または半構造化テキストの受信、手書きコメントのOCR認識、電子スタイラスからのコメントの認識、オーディオまたはビデオ分析など)の1つに従ってPOC技術者によって生成された注釈データの1つまたは複数の項目を受信する。
【0130】
相関器90は、任意選択で、注釈データ分類ユニット93を備える。受信した自動分析装置状態データは、受信時間、メッセージのカテゴリ(ソフトウェア構成、セキュリティ
、認証、検査パフォーマンス、ハードウェア状態、バッテリ状態など)に基づいて分類される。分類は、たとえば、さまざまな種類の自動分析装置状態データを「ローバッテリ」、「クリーンフォトメータ」などのセマンティックコンセプトにリンクする、メーカーが提供する以前のセマンティックスキーマに基づく場合がある。
【0131】
相関器90は、自動化された分析装置状態データ分析エンジン94を備える。分析エンジン94の機能は、受信した自動分析装置状態データのセットまたはサブセットから、たとえば、自動分析装置に接続されている意味のあるイベント(イベントデータ)の以前の表示を示す自動分析装置状態データの傾向のパターンまたは表示を取得することである。
【0132】
一例では、分析エンジン94は、所与の時間ウィンドウにわたって受信されたメッセージのヒストグラムを取得する。
【0133】
言い換えれば、自動分析装置状態データ分析エンジン94は、たとえば、データの重要な傾向を識別するために、受信した注釈データに対して数学的分析、統計分析、または信号処理を実行するように機能する。
【0134】
任意選択で、時間枠を構成できる。時間枠は、1年、1か月、1週間、1日である場合もあれば、シフトパターンなどの運用上の考慮事項にリンクされている場合もある。任意選択で、時間枠を自動分析装置の認定ユーザに関連付けることができる。
【0135】
相関器90は、有意性エンジン96を備える。重要度エンジン96は、データ分析エンジン94からイベントデータを受信する。図6Aの例に簡単に目を向けると、読者は、自動分析装置の状態データのいくつかの種類が通常の測定(PCBハートビート信号など)として頻繁に送信される可能性があるため、自動分析装置の状態データの統計分析が歪む可能性があることを理解する。一方、重要な自動分析装置のデータは1回しか送信できない。たとえば、自動分析装置が床に落とされたことを示す「ショック」信号などである。
【0136】
したがって、熟練者が感謝するように、重要度エンジン96の目的は、データ分析エンジン94からのデータをフィルタリングして、ルックアップテーブルまたは他の方法で定義できる優先順位付け関数に従って重要な自動分析装置ステータスデータに優先順位を付けることである。
【0137】
相関器90は、語彙変換エンジン98を備える。語彙変換エンジン98は、重要度エンジン96から優先順位付けされた分析装置状態データを取得し、重要な自動分析装置状態データの対応する語彙概念データへのマッピングを実行する。語彙概念データは、たとえば、ポイントオブケア機器の製造業者によって定義される。例として、POCTオペレータによって注釈データとして入力された非構造化テキストデータ(たとえば)と、1つまたは複数の自動分析装置によって出力された自動分析装置状態データとの間の接続を提供する。各優先順位関数φは、「バッテリの充電」、「分析装置のドロップ」、「メモリーフル」などのセマンティックコンセプトを表す。
【0138】
自動分析装置状態データが相関器90によって受信されると、重要度エンジン96は、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目のパターンがそのような意味概念を参照し得ることを識別し、意味概念を参照する識別子を語彙変換エンジン98に送信する。
【0139】
語彙変換エンジン98は、セマンティック概念ごとに少なくとも1つのレコードを含むデータ構造またはデータベースを含む。各レコードは、セマンティックコンセプトに関連付けられ、POCTユーザによって注釈データで提供される関連付けられた非構造化コメントに存在する可能性が高い1つまたは複数の単語、単語フラグメント、文などを定義す
る。
【0140】
相関器90はさらに、語彙変換エンジンから少なくとも1つのレコードを受信するように構成された比較エンジン100と、注釈データ受信ユニット92(任意選択で注釈データ分類ユニット93によって分類される)から注釈データの少なくとも1つの項目とを備える。
【0141】
比較エンジン100は、注釈データにおいて、字句解析エンジンによって識別された意味概念に関連する関連する非構造化または半構造化テキストの1つまたは複数の項目を分離する。
【0142】
分離されると、関連する非構造化または半構造化テキストの項目は、対応する自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目に関連付けられる。
【0143】
これにより、自動分析装置システムのデータレコードを生成できる。このレコードでは、関連する非構造化または半構造化テキストと、関連する対応する自動分析装置状態データがバインドされる。
【0144】
任意選択で、自動分析装置システムのデータ記録は、データ処理エージェントをホストするサーバ、および/または外部記憶手段のいずれかに出力および記憶され得る。
【0145】
任意選択で、自動分析装置システムのデータレコードをグラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示できる。
【0146】
任意選択で、自動分析装置システムデータレコードを使用して、自動分析装置のシステムの技術的状態のより明確な理解を提供するために、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上の自動分析装置状態データの少なくとも1つの項目の表示をフォーマットすることができる。
【0147】
任意選択で、受信した自動分析装置状態データは、自動分析装置がそのデータのさらなる精緻化を要求する自動分析装置状態データの特定の項目に対してフラグまたは評価を上げたかどうかに基づいて分類され得る。
【0148】
一実施形態によれば、この方法は、相関が、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目と注釈データの1つまたは複数の項目との間の時間関係に基づくこと、または、相関が、データ処理エージェントで受信された自動分析装置状態データの種類に関連する1つまたは複数の相関規則に基づくことをさらに含む。
【0149】
図8は、相関規制セットを使用して自動分析装置データを注釈データと相関させる例を概略的に示している。
【0150】
レコード104は、非限定的な例において、パーソナルコンピューティング装置26上のグラフィカル・ユーザ・インターフェースを介して入力されたテキストから受信され得るフォーマットされていない非構造化注釈データを示す。
【0151】
分析エンジン94によって生成されたヒストグラム114は、自動分析装置状態データ種類115の発生率が高いことを示しており、この例では、メッセージの数が多いため、強調を解除することが好ましい「motor_PCB」ハンドシェイクを参照している。一方、自動分析装置の状態データ117は、「batt_lo_10%」注釈データを参照している。電力問題に関連する概念を参照する非構造化注釈データを強調することが好
ましい。
【0152】
したがって、重要度エンジン94は、「batt_lo_10%」が存在することを検出し、強調されるべきである。
【0153】
語彙変換エンジン98は、バッテリおよび電力の問題に関連する概念を特定する必要があることを特定している。語彙変換エンジン98のデータレコード116は、重要度エンジン94の出力を使用して取得される。データレコード116は、自動化された分析装置状態データによって示される意味論的概念を参照することができる非構造化テキスト内の潜在的なエントリのテキストサンプルを提供する。
【0154】
たとえば、「batt_lo_10%」注釈データに関連するデータレコード116内のテキストサンプルは、テキストフラグメント「バッテリ」、「充電器」、「ケーブル」、「アダプタ」、「プラグ」、「ソケット」を含む。
【0155】
熟練した人は、自動分析装置に関連する他の意味論的概念のために、完全に異なるテキストサンプルがデータレコード116に提供されることを理解するであろう。
【0156】
比較エンジンは、元の非構造化テキストデータ104と、語彙変換エンジンによって生成されたデータレコード116を受け取る。一例では、データレコード116内の各テキストサンプルのテキスト検索は、注釈データの非構造化テキストデータ106に対して実行される。
【0157】
1つのケースでは、データレコード116内の単語と完全に一致する、および/または近い単語がラベル付けされる。たとえば、「バッテリ」という用語は、データレコード116に現れるので、「低バッテリライト」108という句はラベル付けされている。
【0158】
別の場合では、「充電器」という単語は、注釈データの非構造化テキストデータ106で最初に識別され、フラグメントのラベリングは、「充電器」という単語に添付された句全体を包含するように拡張される。
【0159】
したがって、データレコード116内のテキストに近い一致を識別すること、および/またはデータレコード116からのテキストが存在する非構造化注釈データから文または節全体を抽出することが可能である。
【0160】
一例では、相関器90の出力は、1つまたは複数の自動分析装置から受信した自動分析装置状態データに関連付けられたテキストフラグメント112のセットである。
【0161】
一例では、相関器90の出力は、注釈データからの関連するテキストフラグメントの表現として、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に直接提供される。
【0162】
一例では、相関器90の出力は、後で説明するように、自動分析装置状態データの注釈付き表現に使用される。
【0163】
一実施形態によれば、この方法は、自動分析装置システムデータレコードの視覚的表現をグラフィカル・ユーザ・インターフェース上に表示することをさらに含み、視覚的表現は、自動分析装置状態データの第1の項目を含む。
【0164】
図4に示されるように、たとえば、サーバ50は、ディスプレイインターフェース62およびディスプレイスクリーン70を備え得る。したがって、サーバ50は、自動分析装
置システムのデータレコードの視覚的表現を表示画面70にレンダリングすることができる。しかしながら、視覚的表現を表示する他の多くの方法が可能であることは理解されよう。
【0165】
一実施形態では、サーバ50は、自動分析装置システムのデータ記録を、スマートフォンなどのパーソナルコンピューティング装置26に送信することができる。自動分析装置システムのデータ記録は、パーソナルコンピューティング装置26の画面に表示することができる。
【0166】
一実施形態では、サーバ50は、自動分析装置システムのデータレコードを通信ネットワーク16上の別のパーソナルコンピュータに送信して、通信ネットワーク16上の他のパーソナルコンピュータが自動分析装置システムのデータレコードを表示できるようにすることができる。
【0167】
一実施形態では、サーバ50は、自動分析装置システムのデータレコードを、画面を備えた自動分析装置P1に送信することができる。したがって、自動分析装置P1のユーザは、自動分析装置P1を使用して自動分析装置システムのデータ記録を閲覧することができる。
【0168】
一実施形態では、サーバ50は、自動分析装置システムのデータレコードが表示されるイントラネットページまたはインターネットページをホストすることができる。
【0169】
一実施形態では、サーバ50は、自動分析装置システムのデータレコードを、通信ネットワーク16を介して外部ストレージ装置に送信することができる。別のネットワーク装置は、通信ネットワーク16を介して外部ストレージ装置に接続し、自動分析装置システムのデータレコードにアクセスし、それをユーザに表示することができる。
【0170】
自動分析装置システムのデータレコードは、注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けられた、自動分析装置状態データの少なくとも1つの項目を含む。したがって、簡単な形式で、自動分析装置システムのデータレコードを表示することは、自動分析装置状態データを注釈データと組み合わせて表示することを含む。あるいは、相関ユニット90によって自動分析装置状態データのサブセットに相関される注釈データのサブセットを表示することができる。このように、ユーザは、自動分析装置の操作に関する関連情報を取得するために、自動分析装置状態データと注釈データの合計量の大幅に削減された割合を表示するだけで済む。
【0171】
一実施形態によれば、この方法は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを介して、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目、または複数の自動分析装置システムデータレコードに関連付けられた非構造化コメントデータを提供するようにユーザに促すことをさらに含む。グラフィカル・ユーザ・インターフェース。入力インターフェースを介して非構造化コメントデータを受信し、非構造化コメントデータを1つまたは複数の自動分析装置システムデータレコードに関連付ける。
【0172】
図9Aは、GUI120aの第1の例を示している。図9Aの例では、ユーザは病院Aの集中治療室(ICU)にある「装置A」の包括的な注釈データを見ることができる。一例として、包括的な注釈データは、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目と注釈データの1つまたは複数の項目に基づいて、第1の態様に従ってデータ処理エージェントによって自動的に組み立てられた結合ログブックとして機能する。
【0173】
図9Aのログブックは、POC ITデータ管理システムのユーザの1人によって追加
された装置メッセージ(イベント、または自動分析装置状態データ)、およびメモ(注釈データ)からなる。
【0174】
GUI120aは、ユーザがどの自動分析装置を表示しているかについてGUIのユーザに通知するための「装置詳細」ボックス122を備える。任意選択で、「装置詳細」ボックス122は、データ処理エージェントによって自動分析装置状態データから収集された「ライブ」情報を含み得る。たとえば、「装置の詳細」ボックスでは、消耗品のレベルや、問題の装置の使用を許可されているユーザの数について説明できる。
【0175】
GUI120aは、自動分析装置システムのデータレコードに対応するログブックエントリ124a~dのセットを含む。一例として、1つの自動分析装置システムデータレコードは、自動分析装置状態データ124aの表示された項目(「装置メッセージ」)および注釈データ124bの関連項目(「注」)から構成される。
【0176】
図9Aの実施形態では、自動分析装置状態データ124aを表示するボックスは、「メモを追加する」というキャプションを備えたGUIボタンを含むが、GUIボタンのキャプションおよびグラフィックの性質は必須ではない。GUIボタンは、自動分析装置状態データ124aに注釈データを追加するためのプロンプトの一形態であるが、プロンプトは、「ツールチップ」としても知られる「ポップアップ」メニュープロンプトによって提供され得る。あるいは、非構造化テキストを追加するためのフィールドを、オープンテキストフィールドの「装置メッセージ」ボックス124aに直接提供することができる。
【0177】
図9Bは、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを介して、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目に関連付けられた非構造化コメントデータを提供するように促されるユーザの任意の実施形態を示す。「ノートの追加」GUIボタン124aの作動時に、ポップアップボックス126がユーザに表示される。任意選択で、ポップアップボックス126への背景の色または透過率を変更して、前景ポップアップボックス126への焦点を強化することができる。ポップアップボックス126は、構造化されていないテキスト入力ボックスを含む。このようにして、「センサ障害」の結果として生成されたものを参照する自動分析装置状態データ124aの項目は、「製造業者に連絡した後に装置が洗浄および再起動された」という非構造化テキストを含む注釈データで注釈が付けられる。したがって、自動分析装置状態データとそれによって提供される注釈データは相互に関連付けられる。
【0178】
あるいは、または組み合わせて、GUIは、自動分析装置状態データと注釈データとの間の自動相関の結果を表示することができる。表示項目のグループ化は、自動分析装置状態データの項目と注釈データの項目に関連付けられたタイムスタンプ情報に基づいて実行できる。たとえば、自動分析装置状態データメッセージが生成されたのと同じ時間に入力された注釈データの項目をグループで表示できる。
【0179】
図9Cは、非構造化注釈テキストが、GUI装置メッセージタイムラインに「注記」130として追加されたことを示している。したがって、メモは、メモが作成された装置メッセージに関する情報とともに表示される。
【0180】
一実施形態によれば、この方法は、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に複数の自動分析装置システムデータレコードの視覚的表現を表示することをさらに含み、視覚的表現は、同じまたは類似の種類の自動分析装置システムデータレコードに対応する各レコードを含む。
【0181】
図9Cはまた、GUIのユーザには積み重ねられた外観であるように見えるものに折り
たたまれた複数の自動化されたシステムデータレコードを含むメッセージスタック132を示している。大量に作成される自動分析装置状態データに対して、メッセージのスタックが自動的に作成される場合がある。たとえば、図6Aおよび図6Bに示される「ハートビート」信号は、照合され、凝縮されたスタックとして表示され得る。図9Cを参照すると、メッセージスタック133は、図示の例では100回発生した自動システムデータレコード「範囲外のQC結果」を含む。
【0182】
したがって、「自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、データ処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付ける」アクションは、GUIを操作するユーザによって部分的または完全に実行され得る。一実施形態では、ユーザは、GUIに表示される装置メッセージから、イベント間のリンクが存在することを認識し、非構造化テキストをGUIに直接入力することができる。
【0183】
図9Dは、複数の自動化されたシステムデータレコード130が拡張リスト134に表示されるGUIの第4の例を示している。任意選択で、スタック内の「装置メッセージ」エントリには、メッセージの発生番号、メッセージのエラーコード、およびメッセージの日付と時刻の1つ以上が表示される。
【0184】
任意選択で、自動化されたシステムデータレコードのスタックがGUIで拡張されている場合、「メモの追加」オプションが、拡張されたスタック134の各メッセージボックスで利用可能である。したがって、ユーザは、拡張GUIに表示される個々の自動化システムデータレコードごとに異なる非構造化テキストエントリを提供することができる。
【0185】
非構造化データを注釈データとして自動システムデータレコードに追加することは1つの任意選択であるが、GUIを使用すると、受信した自動システムデータレコードによって定義されたコンテキストに基づいて、半構造化データまたは構造化データとして注釈データを入力できる。
【0186】
この仕様では、非構造化データとは、日記のエントリのようにフリーテキストを意味する。半構造化テキストは、分類されたテキスト、または「はい/いいえ」などのバイナリまたはエンコードされた回答を含むテキストである。構造化データは、GUIドロップダウンボックスや一連のチェックボックスなどの制御された入力手段によって完全に生成され、フリーテキストを自由に入力することはできない。3つのオプションの1つまたは複数は、さまざまな臨床状況および/またはスタッフのトレーニングレベルに適用できる。
【0187】
自動化されたシステムデータレコードを使用して、マシンが動作している技術的コンテキストを予測できる(たとえば、「通常の動作」、「キャリブレーションが必要」、「バッテリ低下」、「温度アラーム」)。マシンが動作している技術的コンテキストは、表示マスク規制セットの適用によって決定される場合がある。これは、受信した自動システムデータレコードのすべて(またはサブセット)を占める論理エンジンであり、各カテゴリで受信した自動システムデータレコードの数から、自動分析装置が決定されるコンテキストに基づいてディスプレイマスク規制セットによって動作するGUIフォームが決定される。
【0188】
任意選択で、表示マスク規制セットに適用される自動システムデータレコードは、時間に基づいてウィンドウ処理される。つまり、1分、1時間、または1日以上経過した自動システムデータレコードは、ユーザに表示するデータフィールドを決定するための表示マスク規制セットでは使用されない。
【0189】
このように、半構造化データは、自動分析装置の技術的な操作コンテキストまたは条件
により敏感なGUIフォームを使用して注釈データとして収集でき、多くの無関係なデータ入力フィールドがユーザから隠される可能性がある。これにより、情報の入力が容易になり、エラーが減少する。任意選択で、データ入力フィールドは1つまたは複数のドロップダウンメニューまたはチェックボックスにすることができる。
【0190】
一実施形態によれば、この方法は、データ処理エージェントで、自動分析装置状態データおよび/または注釈データの1つまたは複数の項目を分析し、データ処理エージェントで、表示する1つまたは複数のデータ入力フィールドを決定することをさらに含む。表示マスク規制セットに基づくユーザに対して、ここで、表示マスク規制セットは、自動分析装置状態データの受信された組み合わせに基づいてユーザに表示されるデータ入力フィールドの組み合わせを定義し、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを介してデータを表示する。自動分析装置状態データの受信された組み合わせに基づく1つまたは複数のデータ入力フィールドを含む入力マスクは、データ処理エージェントで、入力インターフェースを介して、半構造化データまたは構造化データを、表示されたデータ入力マスクを介して受信し、関連付けて、自動化された分析装置状態データの1つまたは複数の項目、および/または注釈データの1つまたは複数の項目を有する半構造化データまたは構造化データ、および任意選択で、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上の半構造化データまたは構造化データ。
【0191】
一実施形態によれば、この方法は、自動分析装置において、状態データが自動分析装置の条件に関連するメッセージを含み、任意選択で、自動分析装置のバッテリ状態データ、自動分析装置のファームウェア構成データ、モータ状態データ、ログファイルデータ、ネットワーク構成データ、温度データ、ユーザIDデータ、パスワードデータ、センサデータ、アッセイ結果データ、リセットデータ、アップグレードデータ、監査ログデータ、ローカル時間データ、またはシステム時間データを含むことをさらに含む。
【0192】
一実施形態によれば、注釈データは、非構造化テキストデータ、構造化テキストデータ、スキャンされた画像データ、ビデオデータ、または音声データを含む。
【0193】
第2の態様によれば、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置12は、
-通信インターフェース66と、
-通信インターフェースに結合され、動作中にデータ処理エージェントの機能を実行するように構成されたプロセッサ60と、を備え、
通信インターフェース66は、医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、1つまたは複数の自動分析装置によって生成され、
通信インターフェース66は、データ処理エージェントにおいて注釈データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、
プロセッサ60は、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を、データ処理エージェントを使用して注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムデータレコードを生成するように構成されており、
-プロセッサ60は、通信インターフェースを介して、データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力するように構成されており、自動分析装置システムデータレコードは、1つまたは複数の注釈データの項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む。
【0194】
一例として、第2の態様の装置12は、サーバ50として実装され得る。
【0195】
第3の態様によれば、自動分析装置管理のためのシステムであって、
-患者の医療試料を分析するように構成された1つまたは複数の自動分析装置P1~P7と、
-第2の態様で定義された医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置12であって、動作中、第1の態様の方法を実行する、装置と、
-ユーザインターフェースを備えたコンピューティング装置24、26と、
-1つまたは複数の自動分析装置、コンピューティング装置、およびデータ処理エージェントをホストするように構成された装置を通信可能に接続するように構成された通信ネットワーク16と、を備え、
1つまたは複数の自動分析装置は、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を生成するように構成されており、通信ネットワークは、装置にホストされたデータ処理エージェントに自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を通信するように構成されており、
コンピューティング装置は、通信ネットワークを介して、装置にホストされているデータ処理エージェントに注釈データを通信するように構成されている、システムが提供される。
【0196】
第4の態様によれば、請求項12に記載の装置を制御するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム要素が提供され、これは、装置の処理ユニットによって実行されると、第1の態様の方法ステップを実行するように適合される。
【0197】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を格納または符号化したコンピュータ可読媒体または信号が提供される。
【0198】
補足的な態様によれば、医療試料の自動分析装置からのデータを処理するためのデータ処理エージェントをホストするように構成された装置であって、
-通信手段と、
-通信手段に結合され、動作中にデータ処理エージェントの機能を実行するように構成された処理手段であって、
通信手段は、医療試料分析システム内の1つまたは複数の自動分析装置から通信ネットワークを介してデータ処理エージェントに送信される自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、自動分析装置状態データは、それぞれの自動分析装置によって検出された自動分析装置の条件に応じて、1つまたは複数の自動分析装置によって生成され、
通信手段は、データ処理エージェントにおいて注釈データの1つまたは複数の項目を受信するように構成されており、
処理手段は、データ処理エージェントを使用して、自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を注釈データの1つまたは複数の項目に関連付けて、自動分析装置システムのデータレコードを生成するように構成されており、
-処理手段は、通信インターフェースを介して、データ処理エージェントから自動分析装置システムデータレコードを出力するように構成されており、自動分析装置システムデータレコードは、1つまたは複数の注釈データの項目に関連付けられた自動分析装置状態データの1つまたは複数の項目を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D