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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109898
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】治療抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230801BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230801BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230801BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230801BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230801BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230801BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230801BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230801BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230801BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12P21/02 C
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P37/06
A61P37/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 B
A61K39/395 J
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082797
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2021114157の分割
【原出願日】2016-03-30
(31)【優先権主張番号】62/146,843
(32)【優先日】2015-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/146,504
(32)【優先日】2015-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/301,582
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】トレーシー チャ-チェン クオ
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル フェルナンド チャパロ リガース
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チェン
(72)【発明者】
【氏名】エイミー シャオ-ルー チェン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード デリック パスクア
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジョン ヴァン ブラーコム
(72)【発明者】
【氏名】レイラ マリー ブースタニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイシェン ホー
(72)【発明者】
【氏名】イーク アンディ イェン
(72)【発明者】
【氏名】パーヴェル ストラップ
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンド ラジュパル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多発性骨髄腫の治療剤を提供する。
【解決手段】本発明は、BCMA(B細胞成熟抗原)およびCD3(表面抗原分類3)に特異的に結合する抗体、例えば、全長抗体またはこれらの抗原結合断片に関する。本発明はまた、BCMAを発現する細胞に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫疾患)を処置するための、BCMA抗体を含む抗体コンジュゲート(例えば、抗体薬物コンジュゲート)、BCMA抗体を含む組成物、ならびにBCMA抗体およびこれらのコンジュゲートを使用する方法に関する。本発明はさらに、CD3および腫瘍細胞抗原に特異的に結合するヘテロ多量体抗体(例えば、CD3およびBCMAに特異的に結合する二重特異性抗体)に関する。このようなヘテロ多量体抗体を含む組成物、このようなヘテロ二量体抗体を生成および精製するための方法、ならびに診断剤および治療剤におけるこれらの使用も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、抗体が、(i)配列番号150、151、または152を含むVH CDR1、(ii)配列番号153または154を含むVH CDR2、および(iii)配列番号155を含むVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;および/または(i)配列番号209を含むVL CDR1、(ii)配列番号221を含むVL CDR2、および(iii)配列番号222を含むVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
抗体が、配列番号33を含むVH領域および配列番号34を含むVL領域を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
治療有効量の請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項4に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項6】
請求項1または2に記載の抗体または抗原結合断片を組換え産生する単離宿主細胞。
【請求項7】
抗体または抗原結合断片を生成する方法であって、抗体または抗原結合断片の産生をもたらす条件下で請求項6に記載の宿主細胞を培養することと、宿主細胞または培養物から抗体または抗原結合断片を単離することとを含む、方法。
【請求項8】
対象におけるBCMAを発現する細胞に関連した状態の処置剤であって、有効量の請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項3に記載の医薬組成物を含む、処置剤。
【請求項9】
状態が、がんである、請求項8に記載の処置剤。
【請求項10】
がんが、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーレル病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、B細胞前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(脚型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症に関連したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性カストルマン病において生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、ならびに他のB細胞関連リンパ腫からなる群から選択されるB細胞関連がんである、請求項9に記載の処置剤。
【請求項11】
BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍増殖または進行の阻害剤であって、有効量の請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項3に記載の医薬組成物を含む、阻害剤。
【請求項12】
対象におけるBCMAを発現する悪性細胞の転移の阻害剤であって、有効量の請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項3に記載の医薬組成物を含む、阻害剤。
【請求項13】
BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮の誘導剤であって、有効量の請求項1または2に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項3に記載の医薬組成物を含む、誘導剤。
【請求項14】
状態が、自己免疫障害である、請求項8に記載の処置剤。
【請求項15】
自己免疫障害が、全身性エリテマトーデスまたは関節リウマチである、請求項14に記載の処置剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BCMA(B細胞成熟抗原)および/またはCD3(表面抗原分類3)に特異的に結合する抗体、例えば、全長抗体またはこれらの抗原結合断片に関する。本発明はまた、BCMAを発現する細胞に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫疾患)を処置するためのBCMA抗体を含む抗体コンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)、BCMA抗体を含む組成物、ならびにBCMA抗体およびこれらのコンジュゲートを使用する方法に関する。本発明はさらに、CD3および腫瘍細胞抗原に特異的に結合するヘテロ多量体抗体(例えば、CD3およびBCMAに特異的に結合する二重特異性抗体)に関する。このようなヘテロ多量体抗体を含む組成物、このようなヘテロ多量体抗体を生成および精製するための方法、ならびに診断剤および治療剤におけるこれらの使用も提供される。
【背景技術】
【0002】
B細胞成熟抗原(BCMA、CD269、またはTNFRSF17)は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。BCMAは、t(4;16)転座を含有する悪性ヒトT細胞リンパ腫において同定された。その遺伝子は、B細胞系統において選択的に発現され、形質芽球および形質細胞、抗体分泌細胞において最高に発現される。BCMAは、それぞれ1μMならびに16nMの親和性を伴って、2つのリガンド、B細胞活性化因子(BAFF)(Bリンパ球刺激物質(BLyS)およびAPOL関連白血球発現リガンド(TALL-1)とも呼ばれる)ならびに増殖誘導リガンド(APRIL)を結合させる。APRILまたはBAFFがBCMAに結合すると、NF-カッパB、Elk-1、c-Jun N末端キナーゼ、およびp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼを伴うシグナリングカスケードが促進され、それにより、細胞生存および増殖のためのシグナルが生じる。
【0003】
BCMAは、悪性B細胞、ならびに多発性骨髄腫、形質細胞腫、ホジキンリンパ腫、および慢性リンパ球性白血病を含めたBリンパ球を伴ういくつかのがんでも発現される。全身性エリテマトーデス(SLE)および関節リウマチなどの形質芽球が関与する自己免疫疾患では、BCMA発現抗体産生細胞は、自分自身を攻撃する自己抗体を分泌する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多発性骨髄腫の場合では、毎年、約24,000の新しい症例が米国において新たに診断されており、この数は、米国において新たに診断される血液がんの約15%を占める。毎年、平均で11,000の死亡例が多発性骨髄腫から生じ、平均5年生存率は、約44%であり、生存期間中央値は、50~55カ月である。多発性骨髄腫の現在の処置は、形質細胞アポトーシスおよび/または破骨細胞活性の低下に焦点が置かれている(例えば、化学療法、サリドマイド、レナリドミド、ビスホスホネート、および/またはプロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))もしくはカルフィルゾミブなど)。しかし、多発性骨髄腫は、不治の疾患のままであり、ほとんどすべての患者は、これらの作用物質に対する耐性を発生させており、最終的には再発する。したがって、抗体および他の免疫療法剤を含む抗BCMAアンタゴニスト(例えば、二重特異性抗体または抗体-薬物コンジュゲート)の使用などの多発性骨髄腫の代替の処置は、優れた治療剤をもたらすはずである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示の発明は、BCMAおよび/またはCD3に結合する治療抗体を対象とする。BCMAを含む抗体コンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)も提供される。さらに、CD3および腫瘍細胞抗原に特異的に結合するヘテロ多量体抗体(例えば、二重特異性抗体)(例えば、CD3およびBCMAに特異的に結合する二重特異性抗体)も提供される。
【0006】
一態様では、本発明は、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、(a)(i)配列SYXMX(式中、Xは、AもしくはPであり;Xは、T、N、もしくはSである)(配列番号301)、GFTFXSY(式中、Xは、GもしくはSである)(配列番号302)、またはGFTFXSYXMX(式中、Xは、GもしくはSであり、Xは、AもしくはPであり、Xは、T、N、もしくはSである(配列番号303)を含む重鎖可変(VH)相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列AXGXYADX10KG(式中、Xは、I、V、T、H、L、A、もしくはCであり、Xは、S、D、G、T、I、L、F、M、もしくはVであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、Q、T、A、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、W、もしくはFであり、Xは、S、T、I、L、T、A、R、V、K、G、もしくはCであり、Xは、F、Y、P、W、H、もしくはGであり、Xは、V、R、もしくはLであり、X10は、GもしくはTである)(配列番号305)、またはX(式中、Xは、S、V、I、D、G、T、L、F、もしくはMであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、G、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはSであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、もしくはWである)(配列番号306)を含むVH CDR2、および(iii)配列VSPIX(式中、Xは、AもしくはYであり、Xは、AもしくはSであり、Xは、G、Q、L、P、もしくはEである)(配列番号307)、またはYWPMX(式中、Xは、D、S、T、もしくはAであり、Xは、I、S、L、P、もしくはDである)(配列番号308)を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/あるいは(b)(i)配列X101112(式中、Xは、R、G、W、A、もしくはCであり、Xは、A、P、G、L、C、もしくはSであり、Xは、S、G、もしくはRであり、Xは、Q、C、E、V、もしくはIであり、Xは、S、P、G、A、R、もしくはDであり、Xは、V、G、I、もしくはLであり、Xは、S、E、D、P、もしくはGであり、Xは、S、P、F、A、M、E、V、N、D、もしくはYであり、Xは、I、T、V、E、S、A、M、Q、Y、H、R、もしくはFであり、X10は、YもしくはFであり、X11は、L、W、もしくはPであり、X12は、A、S、もしくはGである)(配列番号309)を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列XASXRAX(式中、Xは、GもしくはDであり、Xは、SもしくはIであり、Xは、TもしくはPである)(配列番号310)を含むVL CDR2、および(iii)配列QQYXPXT(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、K、R、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、V、F、Y、D、A、H、V、E、K、もしくはCであり、Xは、W、F、もしくはSであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号311)、またはQQYXPX(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、R、K、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、R、V、D、A、H、E、K、C、F、もしくはYであり、Xは、W、S、もしくはFであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号312)を含むVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0007】
別の態様では、BCMAに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号2、3、7、8、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、37、39、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、83、87、92、95、97、99、101、104、106、110、112、114、118、120、122、125、127、313、314、363、もしくは365に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号1、4、5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、34、36、38、40、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、317、81、82、84、85、86、88、89、90、91、93、94、96、98、100、102、103、105、107、108、109、111、113、115、116、117、119、121、123、124、126、128、315、316、もしくは364に示したVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片を提供する。一部の実施形態では、VH領域は、(i)配列番号150、151、152、156、もしくは157を含むVH CDR1、(ii)配列番号169、154、194、159、195、196、162、158、198、177、178、199、200、201、202、203、204、206、207、208、もしくは172を含むVH CDR2、および(iii)配列番号155、161、197、205、もしくは164を含むVH CDR3を含み、かつ/または、VL領域は、(i)配列番号209、271、273、275、251、277、260、279、245、283、285、287、290、292、235、297、もしくは299を含むVL CDR1、(ii)配列番号221を含むVL CDR2、および(iii)配列番号225、272、274、276、278、280、281、282、284、286、288、289、291、293、294、229、296、298、もしくは300を含むVL CDR3を含む。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号112に示した配列、またはCDR内にない残基中に1個もしくは数個の保存的アミノ酸置換を有するバリアントを含み、かつ/あるいはVL領域は、配列番号38に示したアミノ酸配列、またはCDR内にないアミノ酸中に1個もしくは数個のアミノ酸置換を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号357に示した配列を含む軽鎖、および配列番号358に示した配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、抗体は、ATCC受託番号PTA-122094を有する発現ベクターによって産生されるVH領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、ATCC受託番号PTA-122093を有する発現ベクターによって産生されるVL領域を含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、本発明のBCMA抗体の特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含む単離抗体を提供する。一部の実施形態では、タグは、Q、LQG、LLQGG(配列番号318)、LLQG(配列番号454)、LSLSQG(配列番号455)、GGGLLQGG(配列番号456)、GLLQG(配列番号457)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号458)、GLLQGGG(配列番号459)、GLLQGG(配列番号460)、GLLQ(配列番号461)、LLQLLQGA(配列番号462)、LLQGA(配列番号463)、LLQYQGA(配列番号464)、LLQGSG(配列番号465)、LLQYQG(配列番号466)、LLQLLQG(配列番号467)、SLLQG(配列番号468)、LLQLQ(配列番号469)、LLQLLQ(配列番号470)、LLQGR(配列番号471)、LLQGPP(配列番号472)、LLQGPA(配列番号473)、GGLLQGPP(配列番号474)、GGLLQGA(配列番号475)、LLQGPGK(配列番号476)、LLQGPG(配列番号477)、LLQGP(配列番号478)、LLQP(配列番号479)、LLQPGK(配列番号480)、LLQAPGK(配列番号481)、LLQGAPG(配列番号482)、LLQGAP(配列番号483)、およびLLQLQG(配列番号484)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
一つの変形では、本発明は、本発明のBCMA抗体の222、340、または370位でアシルドナーグルタミン含有タグおよびアミノ酸修飾を含む単離抗体を提供する。一部の実施形態では、アミノ酸修飾は、リシンからアルギニンへの置換である。
【0010】
一部の実施形態では、本発明のBCMA抗体は、リンカーをさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、Ac-Lys-Gly(アセチル-リシン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-β-Ala(アセチル-リシン-β-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リシン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、およびAc-Lys-プトレシンからなる群から選択される。
【0011】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のBCMA抗体または抗原結合断片のコンジュゲートであって、抗体または抗原結合断片は、細胞傷害性剤、免疫調節剤、造影剤、治療タンパク質、バイオポリマー、およびオリゴヌクレオチドからなる群から選択される作用物質にコンジュゲートされている、コンジュゲートを提供する。一部の実施形態では、作用物質は、それだけに限らないが、アントラサイクリン、オーリスタチン、カンプトテシン、コンブレタスタチン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体、メイタンシン、ピューロマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、タキサン、ビンカアルカロイド、ツブリシン、ヘミアステルリン、スプリセオスタチン、プラジエノライド、およびこれらの立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体を含めた細胞傷害性剤である。例えば、細胞傷害性剤は、MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、0101(2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)、0131(2-メチル-L-プロリ-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、または0121(2-メチル-L-プロリ-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)である。
【0012】
一部の実施形態では、本発明は、式:抗体-(アシルドナーグルタミン含有タグ)-(リンカー)-(細胞傷害性剤)を含むコンジュゲートを提供する。一部の実施形態では、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQG(配列番号319)および/またはGGLLQGPP(配列番号339)を含み、リンカーは、アセチル-リシン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニルまたはアミノ-PEG6-C2を含む。一部の実施形態では、コンジュゲートは、1)抗体-GGLLQGPP(配列番号339)-(アセチル-リシン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(AcLys-VC-PABC))-0101、2)抗体-LLQG(配列番号319)-アミノ-PEG6-C2-0131、および3)抗体-LLQG(配列番号319)-アミノ-PEG6-C2-3377からなる群から選択される。一部の実施形態では、コンジュゲートは、抗体位置222でリシンからアルギニンへのアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、コンジュゲートは、抗体位置N297QまたはN297Aでアミノ酸置換をさらに含む。
【0013】
別の態様では、本明細書に記載のBCMA抗体を生成する方法であって、BCMA抗体の産生をもたらす条件下で宿主細胞を培養することと、宿主細胞または培養物からBCMA抗体を単離することとを含む、方法が提供されている。
【0014】
別の態様では、本発明は、BCMA発現に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫障害)を処置するための医薬の製造における本明細書に記載のBCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートの使用を提供する。一部の実施形態では、腫瘍増殖または進行を阻害するための医薬の製造における本明細書に記載のBCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞の転移を阻害するための医薬の製造における本明細書に記載のBCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。一部の実施形態では、腫瘍退縮を誘導するための医薬の製造における本明細書に記載のBCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。
【0015】
別の態様では、本発明は、CD3に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号320、322、324、326、328、330、345、347、349、351、444、354、356、378、442、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、もしくは400に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号319、321、323、325、327、329、344、346、348、350、352、355、377、443、445、379、381、383、385、387、389、391、393、395、397、もしくは399に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片を提供する。一部の実施形態では、抗体は、配列番号324もしくは388に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号323もしくは387に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む。一部の実施形態では、VH領域は、(i)配列番号331、332、333、401、402、403、407、408、415、416、418、419、420、424、425、426、446、447、もしくは448に示した配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列番号334、336、337、338、339、404、405、409、410、411、412、413、414、417、418、421、422、427、428、449、もしくは450に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号335、406、423、429、もしくは451に示した配列を含むVH CDR3を含む、ならびに/または、VL領域は、(i)配列番号340、343、430、431、435、もしくは440、441に示した配列を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列番号341、433、452、もしくは436に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号342、432、434、437、438、439、446、もしくは453に示した配列を含むVL CDR3を含む。一部の実施形態では、VH領域は、(i)配列番号331、332、333、401、407、もしくは408に示した配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列番号336、404、405、もしくは417に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号335もしくは406に示した配列を含むVH CDR3を含む、ならびに/または、VL領域は、(i)配列番号343もしくは441に示した配列を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列番号341もしくは436に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号342もしくは439に示した配列を含むVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗体は、ATCC受託番号PTA-122513を有する発現ベクターによって産生されるVH領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、ATCC受託番号PTA-122512を有する発現ベクターによって産生されるVL領域を含む。
【0016】
別の態様では、CD3に特異的に結合し、本明細書に記載の本発明の抗CD3抗体と競合する単離抗体が提供されている。
【0017】
別の態様では、本発明は、二重特異性抗体であって、ヒト免疫エフェクター細胞に位置したエフェクター抗原に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができる二重特異性抗体の第1の抗体可変ドメインを含み、標的抗原に特異的に結合することができる二重特異性抗体の第2の抗体可変ドメインを含む全長ヒト抗体であり、第1の抗体可変ドメインは、配列番号320、322、324、326、328、330、345、347、349、351、444、354、356、378、442、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、もしくは400に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、および/または配列番号319、321、323、325、327、329、344、346、348、350、352、355、377、443、445、379、381、383、385、387、389、391、393、395、397、もしくは399に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む、二重特異性抗体を提供する。一部の実施形態では、第1の抗体可変ドメインは、(i)配列番号331、332、333、401、402、403、407、408、415、416、418、419、420、424、425、426、446、447、もしくは448に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、(ii)配列番号334、336、337、338、339、404、405、409、410、411、412、413、414、417、418、421、422、427、428、449、もしくは450に示した配列を含むVH CDR2、ならびに(iii)配列番号335、406、423、429、もしくは451に示した配列を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または(i)配列番号340、343、430、431、435、もしくは440、441に示した配列を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列番号341、433、452、もしくは436に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号342、432、434、437、438、439、446、もしくは453に示した配列を含むVL CDR3を含むVL領域を含む。一部の実施形態では、第1の抗体可変ドメインは、配列番号324もしくは388に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号323もしくは387に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含み、第2の抗体可変ドメインは、配列番号112に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号38に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む。
【0018】
一部の実施形態では、第2の抗体可変ドメインは、(a)(i)配列SYXMX(式中、Xは、AもしくはPであり、Xは、T、N、もしくはSである)(配列番号301)、GFTFXSY(式中、Xは、GもしくはSである)(配列番号302)、またはGFTFXSYXMX(式中、Xは、GもしくはSであり、Xは、AもしくはPであり、Xは、T、N、もしくはSである)(配列番号303)を含む重鎖可変(VH)相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列AXGXYADX10KG(式中、Xは、I、V、T、H、L、A、もしくはCであり、Xは、S、D、G、T、I、L、F、M、もしくはVであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、Q、T、A、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、W、もしくはFであり、Xは、S、T、I、L、T、A、R、V、K、G、もしくはCであり、Xは、F、Y、P、W、H、もしくはGであり、Xは、V、R、もしくはLであり、X10は、GもしくはTである)(配列番号305)、またはX(式中、Xは、S、V、I、D、G、T、L、F、もしくはMであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、G、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはSであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、もしくはWである)(配列番号306)を含むVH CDR2、および(iii)配列VSPIX(式中、Xは、AもしくはYであり、Xは、AもしくはSであり、Xは、G、Q、L、P、もしくはEである)(配列番号307)、またはYWPMX(式中、Xは、D、S、T、もしくはAであり、Xは、I、S、L、P、もしくはDである)(配列番号308)を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/あるいは(b)(i)配列X101112(式中、Xは、R、G、W、A、もしくはCであり、Xは、A、P、G、L、C、もしくはSであり、Xは、S、G、もしくはRであり、Xは、Q、C、E、V、もしくはIであり、Xは、S、L、P、G、A、R、もしくはDであり、Xは、V、G、もしくはIであり、Xは、S、E、D、もしくはPであり、Xは、S、P、F、A、M、E、V、N、D、もしくはYであり、Xは、I、T、V、E、S、A、M、Q、Y、H、もしくはRであり、X10は、YもしくはFであり、X11は、L、W、もしくはPであり、X12は、A、S、もしくはGである)(配列番号309)を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列XASXRAX(式中、Xは、GもしくはDであり、Xは、SもしくはIであり、Xは、TもしくはPである)(配列番号310)を含むVL CDR2、および(iii)配列QQYXPXT(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、K、R、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、V、F、Y、D、A、H、V、E、K、もしくはCであり、Xは、W、F、もしくはSであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号311)、またはQQYXPX(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、R、K、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、R、V、D、A、H、E、K、C、F、もしくはYであり、Xは、W、S、もしくはFであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号312)を含むVL CDR3を含むVL領域を含む。一部の実施形態では、第2の抗体可変ドメインは、(i)配列番号150、151、152、156、157、348、349、353、354、もしくは355に示した配列を含む重鎖可変(VH)CDR1、(ii)配列番号169、154、194、159、195、196、162、158、198、177、178、199、200、201、202、203、204、206、207、208、172、350、351、356、もしくは357に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号155、161、197、205,164、もしくは352、もしくは358に示した配列を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、かつ/または(i)配列番号209、271、273、275、251、277、260、279、245、283、285、287、290、292、235、297、299、もしくは361に示した配列を含むVL CDR1、(ii)配列番号221、359、もしくは362に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号211、225、272、274、276、278、280、281、282、284、286、288、289、291、293、294、229、296、298、300、もしくは360に示した配列を含むVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0019】
一部の実施形態では、(a)第1の抗体可変ドメインは、(i)配列番号331、332、333、401、407、もしくは408に示した配列を含む重鎖可変(VH)相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列番号336、417、404、もしくは405に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号335もしくは406に示した配列を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、および/または(i)配列番号343もしくは441に示した配列を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列番号341もしくは436に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号342もしくは439に示した配列を含むVL CDR3を含むVL領域を含み、(b)第2の抗体可変ドメインは、(i)配列番号151、156、もしくは157に示した配列を含む重鎖可変(VH)CDR1、(ii)配列番号158もしくは159に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号155に示した配列を含むVH CDR3を含む重鎖VH領域を含む、かつ/または(i)配列番号209に示した配列を含むVL CDR1、(ii)配列番号221に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号225に示した配列を含むVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0020】
一部の実施形態では、二重特異性抗体の第1および第2の抗体可変ドメインはともに、ヒトIgG2(配列番号493)のヒンジ領域内の223、225、および228位ならびにCH3領域内の409または368位(EU番号付けスキーム)でアミノ酸修飾を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性抗体は、ヒトIgG2の265位でアミノ酸修飾をさらに含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMA、CD3、もしくは二重特異性)またはこれらのコンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMA、CD3、もしくは二重特異性)またはこれらのコンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)のいずれかを組換え産生する細胞株も提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMA、CD3、もしくは二重特異性)またはこれらのコンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)のいずれかをコードする核酸も提供する。本発明は、本明細書に記載のこれらの抗体のいずれかの重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする核酸も提供する。
【0024】
本発明は、有効量の本明細書に記載の抗体(例えば、BCMA、CD3、もしくは二重特異性)またはこれらのコンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)のいずれかを含むキットも提供する。
【0025】
本発明は、必要とする対象における状態を処置する(例えば、腫瘍増殖/進行阻害、BCMAを発現する悪性細胞の転移阻害、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮誘導)方法であって、本明細書に記載の単離抗体(例えば、BCMA)もしくは結合断片、二重特異性抗体(BCMA-CD3二重特異性)、またはこれらのコンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)を準備することと、前記抗体またはコンジュゲートを前記対象に投与することとを含む、方法も提供する。
【0026】
対象における腫瘍抗原を発現する悪性細胞に関連した状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法も提供されている。一部の実施形態では、状態は、がんである。一部の実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーレル病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、B細胞前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(脚型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症に関連したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性カストルマン病において生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、ならびに他のB細胞関連リンパ腫からなる群から選択されるB細胞関連がんである。一部の実施形態では、状態は、自己免疫障害、例えば、全身性エリテマトーデスまたは関節リウマチなどである。
【0027】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG2Δa、IgG3、またはIgG4サブクラスのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、グリコシル化された定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、1つまたは複数のヒトFcガンマ受容体への結合親和性が増大した定常領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明の選択された抗BCMA抗体とヒトBCMAとの相互作用のフィット曲線を含む二重参照センサーグラムを表すグラフである。
図1B】本発明の選択された抗BCMA抗体とヒトBCMAとの相互作用のフィット曲線を含む二重参照センサーグラムを表すグラフである。
図1C】本発明の選択された抗BCMA抗体とヒトBCMAとの相互作用のフィット曲線を含む二重参照センサーグラムを表すグラフである。
図1D】本発明の選択された抗BCMA抗体とヒトBCMAとの相互作用のフィット曲線を含む二重参照センサーグラムを表すグラフである。
図2】P6E01_VHVL-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、P5A2_VHVL-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、P5C1_VHVL-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、P4G4-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、およびP1A11-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101を含むMM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける様々な抗BCMA ADCのin vivo効力スタディを表すグラフである。NNCは、陰性対照非BCMA抗体である。「LCQ05」および「LCQ04」は、それぞれ、グルタミン含有トランスグルタミナーゼタグ配列番号474および475に対応する。
図3】1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377、2)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-0101、3)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-0101、4)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、および5)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101とコンジュゲートしたL3.PY/P6E01抗体を含むMM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を表すグラフである。NNCは、対照非BCMA抗体である。「LCQ05」およびH7cは、それぞれ、グルタミン含有トランスグルタミナーゼタグ配列番号474および配列番号454に対応する。
図4】やはり、1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377、2)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、3)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、4)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、および5)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101とコンジュゲートしたL3.PY/P6E01抗体を含むMM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を表すグラフである。NNCは、対照非BCMA抗体(抗体-N297Q/K222R-AcLys-VC-PABC-0101)である。「LCQ05」およびH7cは、それぞれ、グルタミン含有トランスグルタミナーゼタグ配列番号474および配列番号454に対応する。
図5】やはり、MM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を表すグラフである。抗BCMA抗体COMBO_Rd4_0.6nM-C29(「Combo C29 DI」)は、3mg/kgのNNC、対照非BCMA抗体(抗体-N297Q/K222R-AcLys-VC-PABC-0101)と比較して0.1mg/kg、0.38mg/kg、0.75mg/kg、1.5mg/kgの範囲の用量でH7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-131にコンジュゲートされている。H7cは、グルタミン含有トランスグルタミナーゼタグ配列番号454に対応する。
図6A】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図6B】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図6C】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図6D】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図6E】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図6F】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。二重特異性抗体の単回用量後のB細胞枯渇が、スタディ前カウントのパーセンテージとして示されている。
図7A】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図7B】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図7C】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図7D】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図7E】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図7F】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。CD8+ T細胞動態を二重特異性抗体の単回用量後に追跡した。
図8A】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。T細胞動態および増殖に対する一価CD3抗体の効果を分析した。
図8B】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。T細胞動態および増殖に対する一価CD3抗体の効果を分析した。
図9A】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。B細胞枯渇に対する抗CD3アーム親和性の効果を分析した。
図9B】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。B細胞枯渇に対する抗CD3アーム親和性の効果を分析した。
図9C】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。B細胞枯渇に対する抗CD3アーム親和性の効果を分析した。
図9D】カニクイザルにおける抗CD3/抗CD20二重特異性抗体のin vivo効力を表すグラフである。B細胞枯渇に対する抗CD3アーム親和性の効果を分析した。
図10A】選択した抗CD3抗体が、ヒトおよびカニクイザルPBMCに対してチミジン取込み読み値を有したことを示すグラフである。
図10B】選択した抗CD3抗体が、ヒトおよびカニクイザルPBMCに対してチミジン取込み読み値を有したことを示すグラフである。
図11A】すべてのヒト抗EpCam_h2B4二重特異性抗体が、in vitro設定で細胞殺傷活性を有することを示すグラフである。
図11B】すべてのヒト抗EpCam_h2B4二重特異性抗体が、in vitro設定で細胞殺傷活性を有することを示すグラフである。
図11C】すべてのヒト抗EpCam_h2B4二重特異性抗体が、in vitro設定で細胞殺傷活性を有することを示すグラフである。
図11D】すべてのヒト抗EpCam_h2B4二重特異性抗体が、in vitro設定で細胞殺傷活性を有することを示すグラフである。
図12】ヒト抗BCMA/CD3二重特異性抗体の単回用量が、正所性MM1.S骨髄腫モデルにおいて用量依存的様式で腫瘍退縮をもたらしたことを示すグラフである。
図13】ヒト抗BCMA/CD3二重特異性抗体の二回用量が、正所性Molp8骨髄腫モデルにおいて腫瘍退縮を増大させたことを示すグラフである。
図14】単独の、または多発性骨髄腫のスタンダードオブケア(レナリドミドもしくはボルテゾミブ)と組み合わせた抗BCMA/CD3二重特異性抗体が、正所性Molp8腫瘍モデルにおいて、組み合わせたレナリドミドおよびボルテゾミブより効果的であることを示すグラフである。
図15A】カルフィルゾミブ、レナリドミド、およびドキソルビシンが、抗BCMA/CD3二重特異性抗体単独と比較して、OPM2細胞上で抗BCMA/CD3二重特異性抗体の機能に対して負の効果を有さないことを示すグラフである。
図15B】カルフィルゾミブ、レナリドミド、およびドキソルビシンが、抗BCMA/CD3二重特異性抗体単独と比較して、OPM2細胞上で抗BCMA/CD3二重特異性抗体の機能に対して負の効果を有さないことを示すグラフである。
図15C】カルフィルゾミブ、レナリドミド、およびドキソルビシンが、抗BCMA/CD3二重特異性抗体単独と比較して、OPM2細胞上で抗BCMA/CD3二重特異性抗体の機能に対して負の効果を有さないことを示すグラフである。
図16】各分子単独と比較した、カルフィルゾミブおよびレナリドミドと組み合わせたときの抗BCMA/CD3二重特異性抗体の機能に対する相乗効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に開示の発明は、BCMA(例えば、ヒトBCMA)に特異的に結合する抗体および抗体コンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を提供する。本発明は、これらの抗体およびコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、これらの抗体およびコンジュゲートを含む組成物、ならびにこれらの抗体およびコンジュゲートを作製する方法も提供する。さらに、本明細書に開示の発明は、CD3(例えば、ヒトCD3)に特異的に結合する抗体、ならびにCD3および腫瘍抗原(例えば、BCMA)に特異的に結合するヘテロ二量体抗体(例えば、二重特異性抗体)を提供する。本発明は、これらの抗体をコードするポリヌクレオチド、これらの抗体を含む組成物、ならびにこれらの抗体を作製するおよび使用する方法も提供する。本発明はさらに、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMA、CD3、もしくは二重特異性抗体)またはこれらのコンジュゲート(BCMA抗体-薬物コンジュゲート)を使用して、がんまたは自己免疫疾患などの対象における悪性BCMA発現に関連した状態を処置するための方法を提供する。
【0030】
一般的な技法
本発明の実施は、別段に示されていない限り、当技術分野の技術の範囲内である分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の慣例的な技法を使用することになる。このような技法は、文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、2版(Sambrookら、1989)、Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)、Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993~1998)、J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)などに完全に説明されている。
【0031】
定義
「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、免疫グロブリン分子の可変領域内に位置した、少なくとも1つの抗原認識部位を通じて標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。本明細書では、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、これらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(ScFv)、ならびにドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ抗体を含む)、ならびに抗体を含む融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾構成も包含する。抗体は、任意のクラス、例えば、IgG、IgA、もしくはIgMなど(またはそのサブクラス)の抗体を含み、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および3次元配置は、周知である。
【0032】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、本明細書では、所与の抗原(例えば、BCMAまたはCD3)に特異的に結合する能力を保持するインタクト抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクト抗体の断片によって果たされうる。用語の抗体の「抗原結合断片」内に包含される結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、単一ドメイン抗体(dAb)断片(Wardら、Nature、341:544~546、1989)、ならびに単離された相補性決定領域(CDR)がある。
【0033】
標的(例えば、BCMAタンパク質またはCD3タンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書で互換的に使用される)抗体、抗体コンジュゲート、またはポリペプチドは、当技術分野でよく理解されている用語であり、このような特異的または優先的結合を判定する方法も、当技術分野で周知である。分子が特定の細胞または物質と、それが代替の細胞または物質と反応または会合するより、頻繁に、急速に、大きい継続時間および/または大きい親和性で、反応または会合する場合、分子は、「特異的結合」または「優先的結合」を呈すると言われる。抗体は、標的に、それが他の物質に結合するより大きい親和性、結合活性で、より容易に、かつ/またはより大きい継続時間で結合する場合、「特異的に結合し」または「優先的に結合する」。例えば、BCMAエピトープまたはCD3エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、抗体であって、それが他のBCMAエピトープ、非BCMAエピトープ、他のCD3エピトープ、または非CD3エピトープに結合するより、大きい親和性、結合活性で、より容易に、かつ/またはより大きい継続時間でこのエピトープを結合させる、抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または優先的に結合してもよく、結合しなくてもよいことも理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも要求しない(しかし、それは、排他的結合を含むことができる)。一般に、しかし必ずしもではないが、結合への言及は、優先的結合を意味する。
【0034】
抗体の「可変領域」は、単独または組合せで、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当技術分野で公知であるように、重および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても公知の3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖中のCDRは、FRによって近接して一緒に保持されており、他の鎖からのCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを判定するための少なくとも2つの技法:(1)異種間配列変異性に基づく手法(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(5版、1991、National Institutes of Health、Bethesda MD))、および(2)抗原抗体複合体の結晶学的スタディに基づく手法(Al-lazikaniら、1997、J.Molec.Biol.、273:927~948)が存在する。本明細書では、CDRは、いずれかの手法によって、または両手法の組合せによって定義されるCDRを指すことができる。
【0035】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatおよびChothiaの両方の蓄積、AbM、接触、ならびに/もしくはコンホメーション定義、または当技術分野で周知のCDR判定の任意の方法の定義に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、Kabatらによって元来定義された超可変領域として同定される場合がある。例えば、Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、Public Health Service、NIH、Washington D.C.を参照。CDRの位置は、Chothiaらによって元来記述された構造的ループ構造として同定することもできる。例えば、Chothiaら、Nature、342:877~883、1989を参照。CDR同定の他の手法としては、KabatとChothiaとの間の妥協案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェア(現在、Accelrys(登録商標))を使用して導出される「AbM定義」、またはMacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732~745、1996に示された、観察される抗原接触に基づくCDRの「接触定義」がある。CDRの「コンホメーション定義」として本明細書で呼ばれる別の手法では、CDRの位置を、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定することができる。例えば、Makabeら、Journal of Biological Chemistry、283:1156~1166、2008を参照。さらに他のCDR境界定義は、上記手法の1つに厳密には従わない場合があるが、それにもかかわらず、これらは、特定の残基もしくは残基の群、またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しくインパクトを与えないという予測または実験的所見を踏まえると短くまたは長くすることができるとはいえ、Kabat CDRの少なくとも一部と重なることになる。本明細書では、CDRは、手法の組合せを含めた当技術分野で公知の任意の手法によって定義されるCDRを指すことができる。本明細書で使用される方法は、これらの手法のいずれかによって定義されるCDRを利用することができる。1つを超えるCDRを含有する任意の所与の実施形態について、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/またはコンホメーション定義のいずれかに従って定義されうる。
【0036】
本明細書では、「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる可能性がある天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一抗原部位に向けられて、高度に特異的である。さらに、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一決定基に向けられている。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるものとしての抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を要求すると解釈されるべきでない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、Nature、256:495、1975によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、または米国特許第4,816,567号に記載されたものなどの組換えDNA法によって作製することができる。モノクローナル抗体は、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552~554、1990に記載された技法を使用して作られるファージライブラリーから単離することもできる。
【0037】
本明細書では、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはこれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、もしくは抗体の他の抗原結合部分配列など)である、非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、またはウサギなどのCDR由来の残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内にも移入されたCDRまたはフレームワーク配列内にも見出だされないが、抗体性能をさらに洗練および最適化するのに含められる残基を含みうる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むことになる。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含むことになる。WO99/58572に記載されているように修飾されたFc領域を有する抗体が好適である。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して変更されている1つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、これらのCDRは、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0038】
本明細書では、「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のものに対応するアミノ酸配列を有する、かつ/または当業者に公知もしくは本明細書に開示のヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製された抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。1つのこのような例は、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して生成されうる。一実施形態では、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、この場合ファージライブラリーは、ヒト抗体を発現する(Vaughanら、Nature Biotechnology、14:309~314、1996;Sheetsら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、95:6157~6162、1998;Hoogenboom and Winter、J.Mol.Biol.、227:381、1991;Marksら、J.Mol.Biol.、222:581、1991)。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座が内因性遺伝子座の代わりに遺伝子導入で導入された動物、例えば、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活化されたマウスの免疫化によって作製することもできる。この手法は、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、および同第5,661,016号に記載されている。代わりに、ヒト抗体は、標的抗原に向けられた抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することによって調製されてもよい(このようなBリンパ球は、個体からもしくはcDNAの単細胞クローニングから回収することができ、またはin vitroで免疫されうる)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77頁、1985;Boernerら、J.Immunol.、147(1):86~95、1991、および米国特許第5,750,373号を参照。
【0039】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体などを指すように意図されている。
【0040】
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、好ましくは相対的に短い(例えば、10~100アミノ酸)、任意の長さのアミノ酸の鎖を指すのに本明細書で互換的に使用される。鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、これは、修飾アミノ酸を含むことができ、かつ/または非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語は、天然に、あるいは介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他のマニピュレーションもしくは修飾、例えば、標識コンポーネントとのコンジュゲーションなどによって修飾されたアミノ酸鎖も包含する。例えば、アミノ酸の1種または複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、および当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも定義内に含まれる。ポリペプチドは、単鎖または会合鎖として存在しうることが理解される。
【0041】
「一価抗体」は、1分子当たり1つの抗原結合部位を含む(例えば、IgGまたはFab)。一部の事例では、一価抗体は、1つを超える抗原結合部位を有しうるが、結合部位は、異なる抗原由来である。
【0042】
「単一特異性抗体」は、1分子当たり2つの同一の抗原部位を含み(例えば、IgG)、その結果、2つの結合部位は、抗原上の同一のエピトープを結合させる。よって、これらは、1つの抗原分子への結合を互いに競合する。自然において見つかるほとんどの抗体は、単一特異性である。一部の事例では、単一特異性抗体は、一価抗体でもありうる(例えば、Fab)。
【0043】
「二価抗体」は、1分子当たり2つの抗原結合部位を含む(例えば、IgG)。一部の事例では、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。しかし、二価抗体は、二重特異性でありうる。
【0044】
「二重特異性」または「デュアル特異性」は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異性抗体の2つの抗原結合部位は、2つの異なるエピトープに結合し、これらのエピトープは、同じまたは異なるタンパク質標的上に存在しうる。
【0045】
「二官能性」は、2本のアーム中に同一の抗原結合部位(すなわち、同一のアミノ酸配列)を有する抗体であるが、各結合部位は、2つの異なる抗原を認識しうる。
【0046】
「ヘテロ多量体」、「ヘテロ多量体複合体」、または「ヘテロ多量体ポリペプチド」は、少なくとも第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む分子であって、第2のポリペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸残基によって第1のポリペプチドとアミノ酸配列が異なる、分子である。ヘテロ多量体は、第1および第2のポリペプチドによって形成される「ヘテロ二量体」を含むことができ、または第1および第2のポリペプチドに加えてポリペプチドが存在するより高い秩序の三次構造を形成しうる。
【0047】
「ヘテロ二量体」、「ヘテロ二量体タンパク質」、「ヘテロ二量体複合体」、または「ヘテロ多量体ポリペプチド」は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む分子であって、第2のポリペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸残基によって第1のポリペプチドとアミノ酸配列が異なる、分子である。
【0048】
「ヒンジ領域」、「ヒンジ配列」、およびこれらの変形は、本明細書では、例えば、Janewayら、ImmunoBiology:the immune system in health and disease(Elsevier Science Ltd.、NY)(4版、1999);Bloomら、Protein Science(1997)、6:407~415;Humphreysら、J.Immunol.Methods、(1997)、209:193~202に例示されている当技術分野で公知の意味を含む。
【0049】
「免疫グロブリン様ヒンジ領域」、「免疫グロブリン様ヒンジ配列」、およびこれらの変形は、本明細書では、免疫グロブリン様または抗体様分子(例えば、イムノアドヘシン)のヒンジ領域およびヒンジ配列を指す。一部の実施形態では、免疫グロブリン様ヒンジ領域は、そのキメラ形態を含めて、任意のIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプ由来であり得、もしくはそれに由来し得、またはIgA、IgE、IgD、もしくはIgM由来であり得、例えば、キメラIgG1/2ヒンジ領域でありうる。
【0050】
用語「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」は、本明細書では、活性化されて標的細胞の生存能に影響しうるヒト免疫系内の細胞の天然レパートリー内の細胞を指す。標的細胞の生存能は、細胞生存、増殖、および/または他の細胞と相互作用する能力を含みうる。
【0051】
本発明の抗体は、当技術分野で周知の技法、例えば、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、もしくはこのような技術の組合せ、または当技術分野において容易に分かる他の技術を使用して生成することができる(例えば、Jayasena,S.D.、Clin.Chem.、45:1628~50、1999、およびFellouse,F.A.ら、J.MoI.Biol.、373(4):924~40、2007を参照)。
【0052】
当技術分野で公知であるように、本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはこれらの類似体、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによって鎖中に組み込まれうる任意の基質でありうる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびこれらの類似体などを含みうる。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、鎖を集合させる前または後に授けることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチドコンポーネントによって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、標識コンポーネントとのコンジュゲーションなどによって重合後にさらに修飾されてもよい。修飾の他のタイプとしては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の類似体との置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電連結(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するものおよび荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシンなど)などを含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸など)など、ならびにポリヌクレオチドの無修飾形態がある。さらに、糖の中に通常存在するヒドロキシル基のいずれも、例えば、ホスホネート基、リン酸基によって置き換えられ、標準的な保護基によって保護され、もしくは追加のヌクレオチドへの追加の連結をもたらすように活性化され得、または固体支持体にコンジュゲートされうる。5’および3’末端OHは、リン酸化し、またはアミン、もしくは1~20炭素原子の有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されうる。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-、または2’-アジド-リボース、炭素環糖類似体、アルファ-またはベータ-アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソースなど、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、およびメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含めた、当技術分野で一般に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似型も含有することができる。1個または複数のホスホジエステル連結を代替の連結基によって置き換えることができる。これらの代替の連結基としては、それだけに限らないが、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)(式中、各RまたはR’は、独立に、H、またはエーテル(-O-)連結を含有してもよい置換もしくは非置換のアルキル(1~20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルである)によって置き換えられている実施形態がある。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。前記記述は、RNAおよびDNAを含めて本明細書に言及されるすべてのポリヌクレオチドに当てはまる。
【0053】
当技術分野で公知であるように、抗体の「定常領域」は、単独または組合せで抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
【0054】
本明細書では、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、さらにより好ましくは少なくとも98%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋である材料を指す。
【0055】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートを取り込むためのベクターのレシピエントでありうる、またはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫を含み、子孫は、天然の、偶発的な、または意図的な突然変異に起因して元の親細胞と必ずしも完全に同一でない場合がある(形態において、またはゲノムDNA補体において)。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドをin vivoでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0056】
当技術分野で公知であるように、用語「Fc領域」は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。「Fc領域」は、天然配列Fc領域またはバリアントFc領域でありうる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動しうるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、位置Cys226におけるアミノ酸残基から、またはPro230からそのカルボキシル末端に伸びるように通常定義される。Fc領域中の残基の番号付けは、Kabatと同様にEUインデックスのものである。Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991。免疫グロブリンのFc領域は一般に、2つの定常領域、CH2およびCH3を含む。
【0057】
当技術分野で使用される場合、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記述する。好適なFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好適なFcRは、IgG抗体を結合させるもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的にスプライスされた形態を含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは同様のアミノ酸配列を有し、その細胞質ドメインが主に異なる。FcRは、RavetchおよびKinet、Ann.Rev.Immunol.、9:457~92、1991;Capelら、Immunomethods、4:25~34、1994;ならびにde Haasら、J.Lab.Clin.Med.、126:330~41、1995に総説されている。「FcR」には、新生児受容体、FcRnも含まれ、これは、母体IgGの胎仔への移動を担う(Guyerら、J.Immunol.、117:587、1976;およびKimら、J.Immunol.、24:249、1994)。
【0058】
用語「競合する」は、抗体に関して本明細書で使用する場合、第1の抗体またはその抗原結合断片(もしくは部分)が、第2の抗体またはその抗原結合部分の結合と十分同様の様式でエピトープに結合し、その結果、第1の抗体のその同族エピトープとの結合の結果が、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下で検出可能に低下することを意味する。第2の抗体のそのエピトープへの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に低下する残された選択は、当てはまりうるが、そうである必要はない。すなわち、第1の抗体は、第2の抗体が第1の抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく、第2の抗体のそのエピトープへの結合を阻害することができる。しかし、各抗体が、他の抗体のその同族エピトープまたはリガンドとの結合を、同じ、より大きい、またはより少ない程度であってもなくても検出可能に阻害する場合、抗体は、これらのそれぞれのエピトープの結合を互いに「交差競合する」と言われる。競合および交差競合する抗体はともに、本発明によって包含されている。このような競合または交差競合が起こる機構(例えば、立体障害、コンホメーション変化、または共通エピトープもしくはその部分への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書に提供される教示に基づいて、このような競合および/または交差競合する抗体が包含され、本明細書に開示の方法に有用でありうることを理解するはずである。
【0059】
「機能性Fc領域」は、天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害;食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節などがある。このようなエフェクター機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを必要とし、このような抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して査定することができる。
【0060】
「天然配列Fc領域」は、自然において見つかるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列と異なり、それでも天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域において、約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書のバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、これらと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、これらと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有することになる。
【0061】
用語「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に帰する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、それだけに限らないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、Fc受容体結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、食作用、C1q結合、および細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節がある。例えば、米国特許第6,737,056号を参照。このようなエフェクター機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを必要とし、このような抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して査定することができる。エフェクター機能の例示的な測定は、Fcγ3および/またはC1q結合によるものである。
【0062】
本明細書では、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、引き続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応を指す。目的の分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されたものなどのin vitro ADCCアッセイを使用して査定することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞がある。代替としてまたは追加的に、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら、1998、PNAS(USA)、95:652~656に開示されたものなどの動物モデルにおいて査定することができる。
【0063】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、補体系の第1のコンポーネント(C1q)の同族抗原と複合体形成した分子(例えば、抗体)への結合によって開始される。補体活性化を査定するために、例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載されたCDCアッセイを実施することができる。
【0064】
本明細書では、「処置」は、有益なまたは所望の臨床結果を得るための手法である。本発明の目的に関して、有益なまたは所望の臨床結果としては、それだけに限らないが、以下:新生物もしくはがん性細胞の増殖の低減(もしくはこれらの細胞の破壊)、新生物細胞の転移の阻害、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の緩解、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)から生じる症状の低下、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)に罹患している者の生活の質の増大、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)を処置するのに要求される他の薬物療法の用量の低下、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の進行の遅延、BCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)の治癒、および/またはBCMA関連疾患(例えば、がんもしくは自己免疫疾患)を有する患者の生存期間の延長のうちの1つまたは複数がある。
【0065】
「寛解させること」は、BCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートを投与しないことと比較した1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「寛解させること」は、症状の継続時間の短縮または低減も含む。
【0066】
本明細書では、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」は、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防的使用に関して、有益なまたは所望の結果としては、疾患、その合併症、および疾患の発生中に提示する中間病理学的表現型の生化学的な、組織学的な、および/または行動上の症状を含めた疾患のリスクの排除もしくは低減、重症度の軽減、または発症の遅延がある。治療的使用に関して、有益なまたは所望の結果としては、臨床結果、例えば、様々なBCMA関連疾患または状態(多発性骨髄腫など)の発生率の低減または1つもしくは複数の症状の寛解、疾患を処置するのに要求される他の薬物療法の用量の低下、別の薬物療法の効果の増強、および/あるいは患者のBCMA関連疾患の進行の遅延などがある。有効投与量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的に関して、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、直接的または間接的に予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されているように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて実現されてもよく、または実現されなくてもよい。よって、「有効投与量」は、1種または複数の治療剤の投与との関連で考慮することができ、単剤は、1種または複数の他の作用物質と併せて、望ましい結果が実現され得、または実現される場合、有効量で与えられていると見なすことができる。
【0067】
「個体」または「対象」は、哺乳動物、より好ましくは、ヒトである。哺乳動物には、それだけに限らないが、家畜、競技動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットが含まれる。
【0068】
本明細書では、「ベクター」は、宿主細胞内に目的の1種または複数の遺伝子または配列を送達し、好ましくは宿主細胞内でこれらを発現させることができる構築物を意味する。ベクターの例としては、それだけに限らないが、ウイルスベクター、裸のDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド、またはファージベクター、カチオン性縮合剤と会合したDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソーム中に被包されたDNAもしくはRNA発現ベクター、および産生細胞などのある特定の真核細胞がある。
【0069】
本明細書では、「発現制御配列」は、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現制御配列は、構成的もしくは誘導プロモーターなどのプロモーター、またはエンハンサーでありうる。発現制御配列は、転写される核酸配列に作動可能に連結される。
【0070】
本明細書では、「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」には、活性成分と組み合わされたとき、成分が生物活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である任意の材料が含まれる。例として、それだけに限らないが、標準的な薬学的担体、例えば、リン酸緩衝溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、および様々なタイプの湿潤剤のいずれかが挙げられる。エアロゾルまたは非経口投与に好適な希釈剤は、リン酸緩衝溶液(PBS)または通常の(0.9%)生理食塩水である。このような担体を含む組成物は、周知の従来法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy 21版、Mack Publishing、2005を参照)。
【0071】
用語「アシルドナーグルタミン含有タグ」または「グルタミンタグ」は、本明細書では、トランスグルタミナーゼアミンアクセプターとして作用する1個または複数のGln残基を含有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。例えば、WO2012059882およびWO2015015448を参照。
【0072】
用語「kon」または「k」は、本明細書では、抗体の抗原への会合に関する速度定数を指す。具体的には、速度定数(kon/kおよびkoff/k)ならびに平衡解離定数は、全抗体(whole antibody)(すなわち、二価)および単量体BCMAタンパク質を使用して測定される。
【0073】
用語「koff」または「k」は、本明細書では、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に関する速度定数を指す。
【0074】
用語「K」は、本明細書では、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0075】
本明細書で「約」のついた値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(かつ記述する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。数値範囲は、範囲を定義している数値を含む。
【0076】
実施形態が言い回し「含む」を用いて本明細書に記載されている場合は必ず、「からなる」および/または「から本質的になる」の観点から記載されている別段の類似の実施形態も提供されていることが理解される。
【0077】
本発明の態様または実施形態が選択肢のマーカッシュ群または他の分類の観点から記載されている場合、本発明は、個々に群の各メンバーおよび主群のすべての可能性がある亜群のほかに全体として列挙された群全体だけでなく、群メンバーの1つまたは複数を欠く主群も包含する。本発明は、主張した発明における群メンバーのいずれかの1つまたは複数の明確な除外も想定する。
【0078】
別段の定義のない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書が定義を含めて支配する。本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、述べた整数または整数の群を含むことを暗示するが、任意の他の整数または整数の群の除外を暗示しない。脈絡による別段の要求のない限り、単数形の用語は、複数存在することを含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0079】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載したものと同様のまたは等価な方法および材料も、本発明の実施または試験において使用することができる。材料、方法、および実施例は、例示的なだけであり、限定的であるように意図されていない。
【0080】
BCMA抗体およびそれを作製する方法
本発明は、BCMA(例えば、ヒトBCMA(例えば、配列番号353または受託番号:Q02223-2))に結合し、以下の特性:(a)対象におけるBCMAを発現する悪性細胞に関連した状態(例えば、多発性骨髄腫などのB細胞関連がん)の1つまたは複数の症状を処置し、防止し、寛解させる;(b)対象(BCMAを発現する悪性腫瘍を有する)における腫瘍増殖または進行を阻害する;(c)対象(BCMAを発現する1個または複数の悪性細胞を有する)におけるBCMAを発現するがん(悪性)細胞の転移を阻害する);(f)BCMAを発現する腫瘍の退縮(例えば、長期間退縮)を誘導する;(d)BCMAを発現する悪性細胞において細胞傷害活性を発揮する;および(e)他のまだ同定されていない因子とのBCMA相互作用を遮断する、のうちのいずれか1つまたは複数によって特徴付けられる抗体を提供する。
【0081】
一態様では、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、(a)(i)配列SYXMX(式中、Xは、AもしくはPであり、Xは、T、N、もしくはSである)(配列番号301)、4GFTFXSY(式中、Xは、GもしくはSである)(配列番号302)、またはGFTFXSYXMX(式中、Xは、GもしくはSであり、Xは、AもしくはPであり、Xは、T、N、もしくはSである)(配列番号303)を含む重鎖可変(VH)相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列AXGXYADX10KG(式中、Xは、I、V、T、H、L、A、もしくはCであり、Xは、S、D、G、T、I、L、F、M、もしくはVであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、Q、T、A、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、W、もしくはFであり、Xは、S、T、I、L、T、A、R、V、K、G、もしくはCであり、Xは、F、Y、P、W、H、もしくはGであり、Xは、V、R、もしくはLであり、X10は、GもしくはTである)(配列番号305)、またはX(式中、Xは、S、V、I、D、G、T、L、F、もしくはMであり、Xは、G、Y、L、H、D、A、S、もしくはMであり、Xは、S、G、F、もしくはWであり、Xは、GもしくはSであり、Xは、GもしくはTであり、Xは、N、S、P、Y、もしくはWである)(配列番号306)を含むVH CDR2、および(iii)配列VSPIX(式中、Xは、AもしくはYであり、Xは、AもしくはSであり、Xは、G、Q、L、P、もしくはEである)(配列番号307)、またはYWPMX(式中は、D、S、T、もしくはAであり、Xは、I、S、L、P、もしくはDである)(配列番号308)を含むVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または(i)配列X101112(式中、Xは、R、G、W、A、もしくはCであり、Xは、A、P、G、L、C、もしくはSであり、Xは、S、G、もしくはRであり、Xは、Q、C、E、V、もしくはIであり、Xは、S、P、G、A、R、もしくはDであり、Xは、V、G、I、もしくはLであり、Xは、S、E、D、P、もしくはGであり、Xは、S、P、F、A、M、E、V、N、D、もしくはYであり、Xは、I、T、V、E、S、A、M、Q、Y、H、R、もしくはFであり、X10は、YもしくはFであり、X11は、L、W、もしくはPであり、X12は、A、S、もしくはGである)(配列番号309)を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列XASXRAX(式中、Xは、GもしくはDであり、Xは、SもしくはIであり、Xは、TもしくはPである)(配列番号310)を含むVL CDR2、および(iii)配列QQYXPXT(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、K、R、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、V、F、Y、D、A、H、V、E、K、もしくはCであり、Xは、W、F、もしくはSであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号311)、またはQQYXPX(式中、Xは、G、Q、E、L、F、A、S、M、R、K、もしくはYであり、Xは、S、R、T、G、R、V、D、A、H、E、K、C、F、もしくはYであり、Xは、W、S、もしくはFであり、Xは、LもしくはIである)(配列番号312)を含むVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片が提供されている。
【0082】
別の態様では、BCMAに特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、配列番号2、3、7、8、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、37、39、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、83、87、92、95、97、99、101、104、106、110、112、114、118、120、122、112、125、127、313、314、363、もしくは365に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、および/または配列番号1、4、5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、34、36、38、40、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、317、80、81、82、84、85、86、88、89、90、91、93、94、96、98、100、102、103、105、107、108、109、111、113、115、116、117、119、121、123、124、126、128、315、316、もしくは364に示したVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片が提供されている。
【0083】
一部の実施形態では、表1に列挙した部分的軽鎖配列のいずれか1つおよび/または表1に列挙した部分的重鎖配列のいずれか1つを有する抗体が提供されている。
【0084】
【表1-1】
【0085】
【表1-2】
【0086】
【表1-3】
【0087】
【表1-4】
【0088】
【表1-5】
【0089】
【表1-6】
【0090】
【表1-7】
【0091】
【表1-8】
【0092】
【表1-9】
【0093】
【表1-10】
【0094】
【表1-11】
【0095】
【表1-12】
【0096】
【表1-13】
【0097】
【表1-14】
【0098】
【表1-15】
【0099】
【表1-16】
【0100】
【表1-17】
【0101】
【表1-18】
【0102】
【表1-19】
【0103】
【表1-20】
【0104】
【表1-21】
【0105】
【表1-22】
【0106】
【表1-23】
【0107】
【表1-24】
【0108】
【表1-25】
【0109】
【表1-26】
【0110】
【表1-27】
【0111】
【表1-28】
【0112】
【表1-29】
【0113】
【表1-30】
【0114】
【表1-31】
【0115】
【表1-32】
【0116】
【表1-33】
【0117】
表1において、Chothia CDR配列に下線が引かれており、Kabat CDR配列が太字である以下の重鎖CDR2配列を除いて、下線を引いた配列は、KabatによるCDR配列であり、太字は、ChothiaによるCDR配列である。
P5A2_VHVL、A02_Rd4_0.6nM_C06、A02_Rd4_0.6nM_C09、A02_Rd4_6nM_C16、A02_Rd4_6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C26、A02_Rd4_6nM_C25、A02_Rd4_6nM_C22、A02_Rd4_6nM_C19、A02_Rd4_0.6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C07、A02_Rd4_6nM_C23、A02_Rd4_0.6nM_C18、A02_Rd4_6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C05、A02_Rd4_0.6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C04、A02_Rd4_0.6nM_C26、A02_Rd4_0.6nM_C13、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C08、P5C1_VHVL、C01_Rd4_6nM_C24、C01_Rd4_6nM_C26、C01_Rd4_6nM_C10、C01_Rd4_0.6nM_C27、C01_Rd4_6nM_C20、C01_Rd4_6nM_C12、C01_Rd4_0.6nM_C16、C01_Rd4_0.6nM_C09、C01_Rd4_6nM_C09、C01_Rd4_0.6nM_C03、C01_Rd4_0.6nM_C06、C01_Rd4_6nM_C04、COMBO_Rd4_0.6nM_C22、COMBO_Rd4_6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C10、COMBO_Rd4_0.6nM_C04、COMBO_Rd4_6nM_C25、COMBO_Rd4_0.6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C20、COMBO_Rd4_6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C08、COMBO_Rd4_0.6nM_C19、COMBO_Rd4_0.6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C23、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、COMBO_Rd4_0.6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C30、COMBO_Rd4_0.6nM_C14、COMBO_Rd4_6nM_C07、COMBO_Rd4_6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C05、COMBO_Rd4_0.6nM_C17、COMBO_Rd4_6nM_C22、andCOMBO_Rd4_0.6nM_C11
【0118】
本発明は、BCMAに対する抗体のCDR部分(Chothia、Kabat CDR、およびCDR接触領域を含む)も提供する。CDR領域の判定は、当技術分野の技術の十分範囲内である。一部の実施形態では、CDRは、KabatおよびChothia CDRの組合せ(「組み合わせたCDR」または「拡張CDR」とも呼ばれる)でありうることが理解される。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRである。他の実施形態では、CDRは、Chothia CDRである。言い換えれば、1つを超えるCDRを有する実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、組合せCDR、またはこれらの組合せのいずれかでありうる。表2は、本明細書に提供されるCDR配列の例を提供するものである。
【0119】
【表2-1】
【0120】
【表2-2】
【0121】
【表2-3】
【0122】
【表2-4】
【0123】
【表2-5】
【0124】
【表2-6】
【0125】
【表2-7】
【0126】
【表2-8】
【0127】
【表2-9】
【0128】
【表2-10】
【0129】
【表2-11】
【0130】
【表2-12】
【0131】
【表2-13】
【0132】
【表2-14】
【0133】
【表2-15】
【0134】
【表2-16】
【0135】
【表2-17】
【0136】
【表2-18】
【0137】
【表2-19】
【0138】
【表2-20】
【0139】
【表2-21】
【0140】
【表2-22】
【0141】
【表2-23】
【0142】
【表2-24】
【0143】
【表2-25】
【0144】
【表2-26】
【0145】
【表2-27】
【0146】
【表2-28】
【0147】
【表2-29】
【0148】
【表2-30】
【0149】
【表2-31】
【0150】
【表2-32】
【0151】
【表2-33】
【0152】
【表2-34】
【0153】
【表2-35】
【0154】
【表2-36】
【0155】
【表2-37】
【0156】
【表2-38】
【0157】
一部の実施形態では、本発明は、BCMAに結合し、P6E01/P6E01、P6E01/H3.AQ、L1.LGF/L3.KW/P6E01;L1.LGF/L3.NY/P6E01、L1.GDF/L3.NY/P6E01、L1.LGF/L3.KW/H3.AL、L1.LGF/L3.KW/H3.AP、L1.LGF/L3.KW/H3.AQ、L1.LGF/L3.PY/H3.AP、L1.LGF/L3.PY/H3.AQ、L1.LGF/L3.NY/H3.AL、L1.LGF/L3.NY/H3.AP、L1.LGF/L3.NY/H3.AQ、L1.GDF/L3.KW/H3.AL、L1.GDF/L3.KW/H3.AP、L1.GDF/L3.KW/H3.AQ、L1.GDF/L3.PY/H3.AQ、L1.GDF/L3.NY/H3.AL、L1.GDF/L3.NY/H3.AP、L1.GDF/L3.NY/H3.AQ、L3.KW/P6E01、L3.PY/P6E01、L3.NY/P6E01、
L3.PY/L1.PS/P6E01、L3.PY/L1.AH/P6E01、L3.PY/L1.FF/P6E01、L3.PY/L1.PH/P6E01、L3.PY/L3.KY/P6E01、L3.PY/L3.KF/P6E01、L3.PY/H2.QR、L3.PY/H2.DY、L3.PY/H2.YQ、L3.PY/H2.LT、L3.PY/H2.HA、L3.PY/H2.QL、L3.PY/H3.YA、L3.PY/H3.AE、L3.PY/H3.AQ、L3.PY/H3.TAQ、L3.PY/P6E01、L3.PY/L1.PS/H2.QR、L3.PY/L1.PS/H2.DY、L3.PY/L1.PS/H2.YQ、L3.PY/L1.PS/H2.LT、L3.PY/L1.PS/H2.HA、L3.PY/L1.PS/H2.QL、L3.PY/L1.PS/H3.YA、L3.PY/L1.PS/H3.AE、L3.PY/L1.PS/H3.AQ、L3.PY/L1.PS/H3.TAQ、L3.PY/L1.AH/H2.QR、L3.PY/L1.AH/H2.DY、L3.PY/L1.AH/H2.YQ、L3.PY/L1.AH/H2.LT、L3.PY/L1.AH/H2.HA、L3.PY/L1.AH/H2.QL、L3.PY/L1.AH/H3.YA、L3.PY/L1.AH/H3.AE、L3.PY/L1.AH/H3.AQ、L3.PY/L1.AH/H3.TAQ、L3.PY/L1.FF/H2.QR、L3.PY/L1.FF/H2.DY、L3.PY/L1.FF/H2.YQ、L3.PY/L1.FF/H2.LT、L3.PY/L1.FF/H2.HA、L3.PY/L1.FF/H2.QL、L3.PY/L1.FF/H3.YA、L3.PY/L1.FF/H3.AE、L3.PY/L1.FF/H3.AQ、L3.PY/L1.FF/H3.TAQ、L3.PY/L1.PH/H2.QR、L3.PY/L1.PH/H2.HA、L3.PY/L1.PH/H3.AE、L3.PY/L1.PH/H3.AQ、L3.PY/L1.PH/H3.TAQ、L3.PY/L3.KY/H2.QR、L3.PY/L3.KY/H2.DY、L3.PY/L3.KY/H2.YQ
L3.PY/L3.KY/H2.LT、L3.PY/L3.KY/H2.HA、L3.PY/L3.KY/H2.QL、L3.PY/L3.KY/H3.YA
L3.PY/L3.KY/H3.TAQ、L3.PY/L3.KF/H2.DY、L3.PY/L3.KF/H2.YQ、L3.PY/L3.KF/H2.LT
L3.PY/L3.KF/H2.QL、L3.PY/L3.KF/H3.YA、L3.PY/L3.KF/H3.AE、L3.PY/L3.KF/H3.AQ
L3.PY/L3.KF/H3.TAQ、P5A2_VHVL、A02_Rd4_0.6nM_C06、A02_Rd4_0.6nM_C09
A02_Rd4_6nM_C16、A02_Rd4_6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C26
A02_Rd4_6nM_C25、A02_Rd4_6nM_C22、A02_Rd4_6nM_C19、A02_Rd4_0.6nM_C03
A02_Rd4_6nM_C07、A02_Rd4_6nM_C23、A02_Rd4_0.6nM_C18、A02_Rd4_6nM_C10
A02_Rd4_6nM_C05、A02_Rd4_0.6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C04、A02_Rd4_0.6nM_C26
A02_Rd4_0.6nM_C13、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C08、P5C1_VHVL、C01_Rd4_6nM_C24、C01_Rd4_6nM_C26、C01_Rd4_6nM_C10、C01_Rd4_0.6nM_C27
C01_Rd4_6nM_C20、C01_Rd4_6nM_C12、C01_Rd4_0.6nM_C16、C01_Rd4_0.6nM_C09
C01_Rd4_6nM_C09、C01_Rd4_0.6nM_C03、C01_Rd4_0.6nM_C06、C01_Rd4_6nM_C04
COMBO_Rd4_0.6nM_C22、COMBO_Rd4_6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C10、COMBO_Rd4_0.6nM_C04、COMBO_Rd4_6nM_C25、COMBO_Rd4_0.6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C20、COMBO_Rd4_6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C08、COMBO_Rd4_0.6nM_C19、COMBO_Rd4_0.6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C23、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、COMBO_Rd4_0.6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C30、COMBO_Rd4_0.6nM_C14、COMBO_Rd4_6nM_C07、COMBO_Rd4_6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C05、COMBO_Rd4_0.6nM_C17、COMBO_Rd4_6nM_C22、COMBO_Rd4_0.6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、P4G4、またはP1A11を含めた本明細書に記載の抗体と競合する抗体を提供する。
【0158】
一部の実施形態では、本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体または抗原結合断片であって、配列番号112に示した配列を含むVH領域を含むおよび/または配列番号38に示した配列を含むVL領域を含む、抗体または抗原結合断片を提供する。一部の実施形態では、抗体は、配列EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLMYDASIRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYQSWPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号357)を含む軽鎖、および配列EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYPMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGGSLPYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYWPMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号358)を含む重鎖を含む。
【0159】
一部の実施形態では、本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体または抗原結合断片であって、配列番号2、32、42、もしくは78に示した配列を含むVH領域を含む、および/または配列番号6、16、43、もしくは85に示した配列を含むVL領域を含む、抗体または抗原結合断片を提供する。
【0160】
一部の実施形態では、本発明は、CDR接触領域に基づくBCMA抗体に対する抗体のCDR部分も提供する。CDR接触領域は、抗原について抗体に特異性を植え付ける抗体の領域である。一般に、CDR接触領域は、抗体の適切なループ構造を維持して特異的抗原を結合させるために束縛されているCDRおよびバーニアゾーン内に残基位置を含む。例えば、Makabeら、J.Biol.Chem.、283:1156~1166、2007を参照。CDR接触領域の判定は、当技術分野の技術の十分範囲内である。
【0161】
BCMA(ヒトBCMA(例えば、(配列番号353)など)に対する本明細書に記載のBCMA抗体の結合親和性(K)は、約0.002nM~約6500nMでありうる。一部の実施形態では、結合親和性は、約6500nM、6000nM、5986nM、5567nM、5500nM、4500nM、4000nM、3500nM、3000nM、2500nM、2134nM、2000nM、1500nM、1000nM、750nM、500nM、400nM、300nM、250nM、200nM、193nM、100nM、90nM、50nM、45nM、40nM、35nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、10nM、8nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5.5nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.3nM、0.1nM、0.01nM、または0.002nMのいずれかである。一部の実施形態では、結合親和性は、6500nM、6000nM、5500nM、5000nM、4000nM、3000nM、2000nM、1000nM、900nM、800nM、250nM、200nM、100nM、50nM、30nM、20nM、10nM、7.5nM、7nM、6.5nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、1nM、または0.5nMのいずれか未満である。
【0162】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のまたは方法を使用して作製されたおよび本明細書に記載の特性を有する抗体を含む、医薬組成物を含めた組成物を包含する。本明細書では、組成物は、BCMAに結合する1種もしくは複数の抗体および/または1種もしくは複数のこれらの抗体をコードする配列を含む1種もしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知である、緩衝液を含む薬学的に許容できる賦形剤などの適当な賦形剤をさらに含みうる。
【0163】
本発明は、これらの抗体のいずれかを作製する方法も提供する。本発明の抗体は、当技術分野で公知の手順によって作製することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、上述した組換え法(すなわち、単一もしくは融合ポリペプチド)によって、または化学合成によって生成することができる。抗体のポリペプチド、特に、最大で約50アミノ酸のより短いポリペプチドは、好都合なことには化学合成によって作製される。化学合成の方法は、当技術分野で公知であり、市販されている。例えば、抗体は、固相法を使用して自動ポリペプチドシンセサイザーによって生成することができる。米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号も参照。
【0164】
本発明は、本発明の抗体由来の1種または複数の断片または領域を含む融合タンパク質も包含する。一実施形態では、配列番号1、4、5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、34、36、38、40、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、317、81、82、84、85、86、88、89、90、91、93、94、96、98、100、102、103、105、107、108、109、111、113、115、116、117、119、121、123、124、126、128、80、315、36、もしくは364に示した可変軽鎖領域の少なくとも10の連続したアミノ酸、および/または配列番号2、3、7、8、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、37、39、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、83、87、92、95、97、99、101、104、106、110、112、114、118、120、122、112、125、127、313、314、363、もしくは365に示した可変重鎖領域の少なくとも10のアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供されている。他の実施形態では、可変軽鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30の連続したアミノ酸および/または可変重鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30の連続したアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供されている。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号1および2、1および3、4および2、5および2、6および2、4および7、4および8、4および3、9および8、9および3、10および7、10および8、10および3、11および7、11および8、11および3、12および3、13および7、13および8、14および3、15および2、16および2、17および2、18および2、19および2、20および2、21および2、22および2、23および2、16および24、16および25、16および26、16および27、16および28、16および29、16および30、16および31、16および3、16および32、16および2、18および24、18および25、18および26、18および27、18および28、18および29、18および30、18および31、18および3、18および32、19および24、19および25、19および26、19および27、19および28、19および29、19および30、19および31、19および3、19および32、20および24、20および25、20および26、20および27、20および28、20および29、20および30、20および31、20および3、20および32、21および24、21および28、21および31、21および3、21および32、22および24、22および25、22および26、22および27、22および28、22および29、22および30、22および32、23および25、23および26、23および27、23および29、23および30、23および31、23および3、23および32、34および33、36および35、38および37、40および39、41および33、43および42、45および44、47および46、49および48、51および50、53および52、55および54、57および56、59および58、61および60、63および62、65および64、67および66、69および68、71および70、73および72、75および74、77および76、79および78、317および78、79および78、81および78、82および78、84および83、85および78、86および78、88および87、89および78、90および78、91および78、93および92、94および78、96および95、98および97、38および78、102および101、103および78、105および104、107および106、108および78、109および78、111および110、38および112、113および112、115および114、116および76、117および112、119および118、121および120、123および122、124および112、126および125、128および127、80および363、または364および365の中から選択される配列対のいずれかに示した軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、1種または複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、融合ポリペプチドは、CDR H3(VH CDR3)および/またはCDR L3(VL CDR3)を含む。本発明の目的に関して、融合タンパク質は、1種または複数の抗体、および天然分子に付着されていない別のアミノ酸配列、例えば、異種配列または別の領域由来の相同配列を含有する。例示的な異種配列としては、それだけに限らないが、「タグ」、例えば、FLAGタグまたは6Hisタグなどがある。タグは、当技術分野で周知である。
【0165】
本発明は、本発明の抗体をコードする単離ポリペプチド、ならびにポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供する。
【0166】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗体P6E01/P6E01、P6E01/H3.AQ、L1.LGF/L3.KW/P6E01;L1.LGF/L3.NY/P6E01、L1.GDF/L3.NY/P6E01、L1.LGF/L3.KW/H3.AL、L1.LGF/L3.KW/H3.AP、L1.LGF/L3.KW/H3.AQ、L1.LGF/L3.PY/H3.AP、L1.LGF/L3.PY/H3.AQ、L1.LGF/L3.NY/H3.AL、L1.LGF/L3.NY/H3.AP、L1.LGF/L3.NY/H3.AQ、L1.GDF/L3.KW/H3.AL、L1.GDF/L3.KW/H3.AP、L1.GDF/L3.KW/H3.AQ、L1.GDF/L3.PY/H3.AQ、L1.GDF/L3.NY/H3.AL、L1.GDF/L3.NY/H3.AP、L1.GDF/L3.NY/H3.AQ、L3.KW/P6E01、L3.PY/P6E01、L3.NY/P6E01、
L3.PY/L1.PS/P6E01、L3.PY/L1.AH/P6E01、L3.PY/L1.FF/P6E01、L3.PY/L1.PH/P6E01、L3.PY/L3.KY/P6E01、L3.PY/L3.KF/P6E01、L3.PY/H2.QR、L3.PY/H2.DY、L3.PY/H2.YQ、L3.PY/H2.LT、L3.PY/H2.HA、L3.PY/H2.QL、L3.PY/H3.YA、L3.PY/H3.AE、L3.PY/H3.AQ、L3.PY/H3.TAQ、L3.PY/P6E01、L3.PY/L1.PS/H2.QR、L3.PY/L1.PS/H2.DY、L3.PY/L1.PS/H2.YQ、L3.PY/L1.PS/H2.LT、L3.PY/L1.PS/H2.HA、L3.PY/L1.PS/H2.QL、L3.PY/L1.PS/H3.YA、L3.PY/L1.PS/H3.AE、L3.PY/L1.PS/H3.AQ、L3.PY/L1.PS/H3.TAQ、L3.PY/L1.AH/H2.QR、L3.PY/L1.AH/H2.DY、L3.PY/L1.AH/H2.YQ、L3.PY/L1.AH/H2.LT、L3.PY/L1.AH/H2.HA、L3.PY/L1.AH/H2.QL、L3.PY/L1.AH/H3.YA、L3.PY/L1.AH/H3.AE、L3.PY/L1.AH/H3.AQ、L3.PY/L1.AH/H3.TAQ、L3.PY/L1.FF/H2.QR、L3.PY/L1.FF/H2.DY、L3.PY/L1.FF/H2.YQ、L3.PY/L1.FF/H2.LT、L3.PY/L1.FF/H2.HA、L3.PY/L1.FF/H2.QL、L3.PY/L1.FF/H3.YA、L3.PY/L1.FF/H3.AE、L3.PY/L1.FF/H3.AQ、L3.PY/L1.FF/H3.TAQ、L3.PY/L1.PH/H2.QR、L3.PY/L1.PH/H2.HA、L3.PY/L1.PH/H3.AE、L3.PY/L1.PH/H3.AQ、L3.PY/L1.PH/H3.TAQ、L3.PY/L3.KY/H2.QR、L3.PY/L3.KY/H2.DY、L3.PY/L3.KY/H2.YQ
L3.PY/L3.KY/H2.LT、L3.PY/L3.KY/H2.HA、L3.PY/L3.KY/H2.QL、L3.PY/L3.KY/H3.YA
L3.PY/L3.KY/H3.TAQ、L3.PY/L3.KF/H2.DY、L3.PY/L3.KF/H2.YQ、L3.PY/L3.KF/H2.LT
L3.PY/L3.KF/H2.QL、L3.PY/L3.KF/H3.YA、L3.PY/L3.KF/H3.AE、L3.PY/L3.KF/H3.AQ
L3.PY/L3.KF/H3.TAQ、P5A2_VHVL、A02_Rd4_0.6nM_C06、A02_Rd4_0.6nM_C09
A02_Rd4_6nM_C16、A02_Rd4_6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C26
A02_Rd4_6nM_C25、A02_Rd4_6nM_C22、A02_Rd4_6nM_C19、A02_Rd4_0.6nM_C03
A02_Rd4_6nM_C07、A02_Rd4_6nM_C23、A02_Rd4_0.6nM_C18、A02_Rd4_6nM_C10
A02_Rd4_6nM_C05、A02_Rd4_0.6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C04、A02_Rd4_0.6nM_C26
A02_Rd4_0.6nM_C13、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C08、P5C1_VHVL、C01_Rd4_6nM_C24、C01_Rd4_6nM_C26、C01_Rd4_6nM_C10、C01_Rd4_0.6nM_C27
C01_Rd4_6nM_C20、C01_Rd4_6nM_C12、C01_Rd4_0.6nM_C16、C01_Rd4_0.6nM_C09
C01_Rd4_6nM_C09、C01_Rd4_0.6nM_C03、C01_Rd4_0.6nM_C06、C01_Rd4_6nM_C04
COMBO_Rd4_0.6nM_C22、COMBO_Rd4_6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C10、COMBO_Rd4_0.6nM_C04、COMBO_Rd4_6nM_C25、COMBO_Rd4_0.6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C20、COMBO_Rd4_6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C08、COMBO_Rd4_0.6nM_C19、COMBO_Rd4_0.6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C23、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、COMBO_Rd4_0.6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C30、COMBO_Rd4_0.6nM_C14、COMBO_Rd4_6nM_C07、COMBO_Rd4_6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C05、COMBO_Rd4_0.6nM_C17、COMBO_Rd4_6nM_C22、COMBO_Rd4_0.6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、P4G4、またはP1A11の重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする配列を含む。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクター中に維持されてもよく、次いで宿主細胞を将来使用するために増やし、凍結させることができる。ベクター(発現ベクターを含む)および宿主細胞は、本明細書でさらに記載されている。
【0167】
本発明は、本発明の抗体のscFvも包含する。単鎖可変領域断片は、短い連結ペプチドを使用することにより、軽および/または重鎖可変領域を連結することによって作製される(Birdら、Science、242:423~426、1988)。連結ペプチドの一例は、(GGGGS)(配列番号498)であり、これは、一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端との間のおよそ3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーも設計および使用されている(Birdら、1988、上記)。リンカーは、短い柔軟なポリペプチドであるべきであり、好ましくは、約20未満のアミノ酸残基から構成されるべきである。リンカーは、ひいては、追加の機能、例えば、薬物の付着または固体支持体への付着などのために修飾することができる。単鎖バリアントは、組換えで、または合成的に生成されうる。scFvの合成生産のために、自動シンセサイザーを使用することができる。scFvの組換え産生のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適当なプラスミドを、酵母、植物、昆虫、もしくは哺乳動物細胞などの真核生物、または大腸菌(E.coli)などの原核生物の適当な宿主細胞内に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの慣例的なマニピュレーションによって作製することができる。結果として生じるscFvは、当技術分野で公知の標準的なタンパク質精製技法を使用して単離することができる。
【0168】
単鎖抗体の他の形態、例えば、ダイアボディまたはミニボディなども包含されている。ダイアボディは、重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)ドメインが単一ポリペプチド鎖上であるが、リンカーであって、短すぎて同じ鎖上の2つのドメインの間で対合を可能にすることができず、それによってドメインを別の鎖の相補的ドメインと強制的に対合させ、2つの抗原結合部位を創製する、リンカーを使用して発現される二価二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.ら、Proc.Natl.Acad Sci.USA、90:6444~6448、1993;Poljak,R.J.ら、Structure、2:1121~1123、1994を参照)。ミニボディは、免疫グロブリン分子のヒンジ領域およびCH3ドメインに融合した天然抗体のVLおよびVHドメインを含む。例えば、US5,837,821を参照。
【0169】
別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物(医薬組成物など)を提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載の抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号486および配列番号485に示したポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む:
COMBO_Rd4_0.6nM_C29重鎖可変領域
GAAGTCCAACTCCTCGAATCCGGTGGCGGCCTTGTCCAGCCTGGAGGTTCCTTGCGCCTGTCATGTGCCGCCAGCGGATTCACCTTCTCGTCCTACCCGATGTCGTGGGTCCGCCAGGCTCCGGGAAAGGGCCTGGAATGGGTGTCAGCCATCGGAGGATCGGGGGGCTCCCTGCCCTACGCCGATATCGTGAAGGGAAGGTTCACCATTAGCCGGGACAACTCCAAGAACACTCTGTACCTCCAAATGAACAGCCTGAGAGCGGAGGACACCGCAGTGTACTATTGCGCCCGGTACTGGCCAATGGACATCTGGGGCCAGGGGACTCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号486)
COMBO_Rd4_0.6nM_C29軽鎖可変領域
GAGATCGTGCTGACTCAGTCCCCTGGAACCCTGTCCCTGTCACCTGGCGAAAGAGCTACCTTGTCCTGTCGCGCATCACAATCCGTGTCGTCGAGCTATCTCGCGTGGTACCAGCAGAAGCCCGGACAGGCCCCAAGGCTGCTTATGTACGACGCCTCCATCCGGGCCACTGGTATCCCCGACCGCTTCTCGGGCTCCGGAAGCGGCACCGACTTCACCCTGACTATTTCCCGGCTCGAACCGGAGGATTTCGCCGTGTACTACTGCCAACAGTACCAGAGCTGGCCGCTGACGTTTGGGCAGGGGACCAAGGTCGAAATCAAA
(配列番号485)
【0170】
他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号488および配列番号487に示したポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む:
L3.PY/H3TAQ重鎖可変領域
GAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGGCAGCTACGCTATGACCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGCCATCTCTGGCAGCGGCGGCAATACCTTCTACGCCGAGAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGCGGGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTACACGGGTGTCCCCTATCGCCGCGCAGATGGATTATTGGGGCCAGGGCACTCTGGTCACCGTCTCCTCA
(配列番号488)
L3.PY/H3TAQ重鎖可変領域
GAGATCGTGCTGACACAGAGCCCTGGCACCCTGAGCCTGTCTCCAGGCGAAAGAGCCACCCTGTCCTGCAGAGCCAGCCAGAGCGTGTCCAGCAGCTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGGCTCCCCGGCTGCTGATCTATGGCGCCTCTTCTAGAGCCACCGGCATCCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGCAGCGGCACCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGACTGGAACCCGAGGACTTCGCCGTGTACTACTGCCAGCACTACCCTTATCCCCCCAGCTTCACATTTGGCCAGGGCACCAAGGTGGAGATCAAA
(配列番号487)
【0171】
さらに他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号490および配列番号489に示したポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む:
A02_Rd4_0.6nM_C01重鎖可変領域
GAAGTTCAATTATTGGAATCTGGTGGAGGACTGGTGCAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACGCCATGAACTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGTAAAGGTTTGGAATGGGTTTCTGCTATTACTGCGTCTGGTGGTTCTACTTACTATGCCGATGTGGTTAAGGGTAGATTCACCATTTCTAGAGACAACTCTAAGAACACCTTGTACTTGCAAATGAACTCCTTGAGAGCTGAAGATACTGCTGTTTATTACTGTGCTAGATACTGGCCAATGTCGTTGTGGGGTCAAGGTACTCTGGTCACCGTCTCCTCA
(配列番号490)
A02_Rd4_0.6nM_C01軽鎖可変領域
GAGATCGTGCTGACACAGAGCCCTGGCACCCTGAGCCTGTCTCCTGGTGAAAGAGCTACTTTGTCTTGTAGAGCTTCTCAATCCGTTTCCGCGTATTATTTGGCTTGGTATCAACAAAAACCAGGTCAAGCTCCAAGATTATTGATGTACGATGCTTCTATTAGAGCCACCGGTATTCCAGATAGATTTTCTGGTTCTGGTTCCGGTACTGATTTCACTTTGACTATCTCTAGATTGGAACCAGAAGATTTCGCTGTTTACTACTGTCAACAATATGAGCGTTGGCCATTGACTTTTGGTCAAGGTACAAAGGTTGAAATCAAACGTGAG
(配列番号489)
【0172】
他の実施形態では、組成物は、以下の配列番号492および配列番号491に示したポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む:
A02_Rd4_0.6nM_C16重鎖可変領域
GAAGTTCAATTATTGGAATCTGGTGGAGGACTGGTGCAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCAGCTACGCCATGAACTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGTAAAGGTTTGGAATGGGTTTCTGCTATTTCTGATTTTGGTGGTTCTACTTACTATGCCGATATCGTTAAGGGTAGATTCACCATTTCTAGAGACAACTCTAAGAACACCTTGTACTTGCAAATGAACTCCTTGAGAGCTGAAGATACTGCTGTTTATTACTGTGCTAGATACTGGCCAATGGATATTTGGGGTCAAGGTACTCTGGTCACCGTCTCCTCA
(配列番号492)
A02_Rd4_0.6nM_C16軽鎖可変領域
GAGATCGTGCTGACACAGAGCCCTGGCACCCTGAGCCTGTCTCCTGGTGAAAGAGCTACTTTGTCTTGTAGAGCTTCTCAATCCGTTTCCGATCTGTATTTGGCTTGGTATCAACAAAAACCAGGTCAAGCTCCAAGATTATTGATGTACGATGCTTCTATTAGAGCCACCGGTATTCCAGATAGATTTTCTGGTTCTGGTTCCGGTACTGATTTCACTTTGACTATCTCTAGATTGGAACCAGAAGATTTCGCTGTTTACTACTGTCAACAATATCAGACTTGGCCATTGACTTTTGGTCAAGGTACAAAGGTTGAAATCAAACGTGAG
(配列番号491)
【0173】
発現ベクター、およびポリヌクレオチド組成物の投与は、本明細書でさらに記載されている。
【0174】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。
【0175】
任意のこのような配列に相補的なポリヌクレオチドも、本発明によって包含されている。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)であっても二本鎖であってもよく、DNA(ゲノム、cDNA、もしくは合成)またはRNA分子でありうる。RNA分子としては、イントロンを含有し、1対1の様式でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNAがある。追加のコードまたは非コード配列が本発明のポリヌクレオチド内に存在しうるが、その必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材に連結されている場合があるが、その必要はない。
【0176】
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわち、抗体もしくはその部分をコードする内在性配列)を含み得、またはこのような配列のバリアントを含みうる。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされるポリペプチドの免疫反応性が天然免疫反応性分子と比べて減少されないような1個または複数の置換、付加、欠失、および/または挿入を含有する。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する効果は一般に、本明細書に記載した通りに査定されうる。バリアントは、好ましくは、天然抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の同一性、より好ましくは、少なくとも約80%の同一性、なおより好ましくは、少なくとも約90%の同一性、最も好ましくは、少なくとも約95%の同一性を呈する。
【0177】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載するように最大対応に関して整列されるとき同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウにわたって配列を比較して配列類似性の局所領域を同定および比較することによって実施される。「比較ウィンドウ」は、本明細書では、少なくとも約20の連続した位置、通常30~約75、または40~約50のセグメントを指し、このウィンドウでは、配列が、同じ数の連続した位置の参照配列と、2つの配列が最適に整列された後比較されうる。
【0178】
比較のための配列の最適な整列は、デフォルトのパラメータを使用して、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)のLasergene一式中のMegalignプログラムを使用して行うことができる。このプログラムは、以下の参考文献:Dayhoff,M.O.、1978、A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationshipsに記載されたいくつかの整列スキームを具現化する。Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC、5巻、補遺3、345~358頁;Hein J.、1990、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626~645頁、Methods in Enzymology、183巻、Academic Press,Inc.、San Diego、CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、1989、CABIOS 5:151~153;Myers,E.W.およびMuller W.、1988年、CABIOS、4:11~17;Robinson,E.D.、1971、Comb.Theor.、11:105;Santou,N.、Nes,M.、1987、Mol.Biol.Evol.、4:406~425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.、1973、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco、CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:726~730において。
【0179】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較のウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって判定され、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適な整列について、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセントまたはそれ未満、通常5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列中に存在する位置の数を判定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)によって除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0180】
バリアントも、または代わりに、天然遺伝子またはその部分もしくは相補体に実質的に相同でありうる。このようなポリヌクレオチドバリアントは、天然抗体をコードする天然に存在するDNA配列(または相補配列)に、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる。
【0181】
適当な「中程度にストリンジェントな条件」は、5× SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予洗;50℃~65℃、5× SSCで、一晩のハイブリダイジング;その後の、0.1% SDSを含有する2×、0.5×、および0.2× SSCのそれぞれを用いた65℃で20分にわたる2回の洗浄を含む。
【0182】
本明細書では、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度および高温、例えば、50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを使用し;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミドなどの変性剤、例えば、42℃で、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムとともに、pH6.5の0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液を含む50%(v/v)ホルムアミドを使用し;または(3)0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃での、および55℃での50%ホルムアミド中の洗浄、その後の55℃でのEDTAを含有する0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を伴って、42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%デキストラン硫酸を使用するものである。当業者は、プローブ長などの因子に対応する必要に応じて温度、イオン強度などをどのように調整するかを認識するであろう。
【0183】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載のポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが当業者によって理解されるであろう。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性を担持する。それにもかかわらず、コドン使用頻度の差異に起因して変動するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に企図されている。さらに、本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加、および/または置換などの1個または複数の突然変異の結果として変更されている内在性遺伝子である。得られるmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有しうるが、その必要はない。対立遺伝子は、標準技法(ハイブリダイゼーション、増幅、および/またはデータベース配列比較など)を使用して同定することができる。
【0184】
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法、またはPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に記載される必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列および市販のDNAシンセサイザーを使用して所望のDNA配列を生成することができる。
【0185】
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、本明細書でさらに論じられるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適当なベクター中に挿入することができ、次にベクターを、複製および増幅のために適当な宿主細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の手段によって宿主細胞内に挿入されうる。細胞は、直接取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合、または電気穿孔によって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(プラスミドなど)として細胞内に維持され、または宿主細胞ゲノム内に一体化されうる。このように増幅されたポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrookら、1989を参照。
【0186】
代わりに、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は、当技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号、および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994に記載されている。
【0187】
RNAは、適切なベクター中の単離したDNAを使用し、それを適当な宿主細胞内に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAへと転写されたとき、RNAを、例えば、Sambrookら、1989、上記に示されているように当業者に周知の方法を使用して単離することができる。
【0188】
適当なクローニングベクターは、標準技法に従って構築することができ、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用されるように意図された宿主細胞によって変動しうるが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有することになり、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一標的を有することができ、かつ/またはベクターを含有するクローンの選択において使用することができるマーカーの遺伝子を持つことができる。適当な例としては、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、ブルースクリプト(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターがある。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、市販供給業者、例えば、BioRad、Strategene、およびInvitrogenなどから入手可能である。
【0189】
発現ベクターは一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの一体部分として宿主細胞内で複製可能でなければならないことが暗示される。適当な発現ベクターとしては、それだけに限らないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含めたウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開第WO87/04462号に開示された発現ベクターがある。ベクターコンポーネントとして一般に、それだけに限らないが、以下:シグナル配列;複製起点;1種もしくは複数のマーカー遺伝子;適当な転写制御エレメント(プロモーター、エンハンサー、およびターミネーターなど)のうちの1種または複数を挙げることができる。発現(すなわち、翻訳)のために、1種または複数の翻訳制御エレメント、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および停止コドンなども通常要求される。
【0190】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染因子である場合)を含めたいくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞内に導入することができる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は、宿主細胞の特徴に依存することになることが多い。
【0191】
本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞も提供する。異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的に使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、それだけに限らないが、COS、HeLa、およびCHO細胞がある。PCT公開第WO87/04462号も参照。適当な非哺乳動物宿主細胞としては、原核生物(大腸菌(E.coli)またはB.スブチリス(B.subtillis)など)および酵母(S.セレビジエ(S.cerevisae)、S.ポンべ(S.pombe);またはK.ラクチス(K.lactis)など)がある。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞内で、存在する場合、目的の対応する内因性抗体またはタンパク質のものより、約5倍超、より好ましくは10倍超、さらにより好ましくは20倍超のレベルでcDNAを発現する。BCMAまたはBCMAドメイン(例えば、ドメイン1~4)への特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSによって行われる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
【0192】
本発明の代表的な材料は、2015年4月15日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)において寄託された。ATCC受託番号PTA-122094を有するベクターは、ヒト化BCMA抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドであり、ATCC受託番号PTA-122093を有するベクターは、ヒト化BCMA抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項とその下の規制(the provisions of the Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purpose of Patent Procedure and Regulations thereunder)(ブダペスト条約)の下で行われた。これは、寄託の日付から30年間の寄託物の生存培養の維持を保証する。寄託物は、ブダペスト条約の条項の下で、かつPfizer,Inc.とATCCとの間の同意を条件として、ATCCによって利用可能にされることになり、この同意は、関係する米国特許の発行の後、またはいずれか早くなる任意の米国もしくは外国特許出願が公衆に公開された後、公衆に寄託物の培養物の子孫の永続的かつ非制限的利用可能性を保証し、米国特許法第122条およびそれに準じた長官規則(886OG638を特に参照して連邦規則法典第37巻第1.14条を含む)に従って権利を与えられていると米国特許商標庁長官によって判定された者への子孫の利用可能性を保証するものである。
【0193】
本願の代理人は、寄託中の材料の培養物が、適当な条件下で培養されたときに、死に、または失われ、または破壊された場合、材料を、別の同じものと通知時に即座に置き換えることに同意した。寄託した材料の利用可能性は、任意の政府の権限下でその特許法に従って与えられた権利に違反して本発明を実施するライセンスとして解釈されるべきでない。
【0194】
BCMA抗体コンジュゲート
本発明は、本明細書に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片のコンジュゲート(または免疫複合体)であって、抗体または抗原結合断片は、直接的またはリンカーを介して間接的に標的免疫療法の作用物質(例えば、細胞傷害性剤)にコンジュゲートされている(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)、コンジュゲートも提供する。例えば、細胞傷害性剤は、細胞傷害性剤部分の腫瘍(例えば、BCMA発現腫瘍)への標的化局所的送達のために、本明細書に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片に連結またはコンジュゲートすることができる。
【0195】
細胞傷害性剤または他の治療剤を抗体にコンジュゲートするための方法は、様々な刊行物に記載されている。例えば、リシン側鎖アミンを通じて、またはコンジュゲーション反応を行うために鎖間ジスルフィド結合を還元することによって活性化されたシステインスルフヒドリル基を通じて化学修飾を抗体中に行うことができる。例えば、Tanakaら、FEBS Letters、579:2092~2096、2005、およびGentleら、Bioconjugate Chem.、15:658~663、2004を参照。規定された化学量論比での特異的薬物コンジュゲーションのために抗体の特異的部位で操作された反応性システイン残基も記載されている。例えば、Junutulaら、Nature Biotechnology、26:925~932、2008を参照。トランスグルタミナーゼおよびアミンの存在下でポリペプチドを操作することによって反応性にされたアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン(すなわち、アシルドナーとして共有結合を形成する能力)を使用するコンジュゲーション(例えば、反応性アミンを含む、またはそれに付着した細胞傷害性剤)も、国際出願WO2012/059882およびWO2015015448に記載されている。
【0196】
一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、抗体の特異的部位(例えば、カルボキシル末端、アミノ末端、またはBCMA抗体中の別の部位で)で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含む。一部の実施形態では、タグは、アミノ酸グルタミン(Q)またはアミノ酸配列LQG、LLQGG(配列番号318)、LLQG(配列番号454)、LSLSQG(配列番号455)、GGGLLQGG(配列番号456)、GLLQG(配列番号457)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号458)、GLLQGGG(配列番号459)、GLLQGG(配列番号460)、GLLQ(配列番号461)、LLQLLQGA(配列番号462)、LLQGA(配列番号463)、LLQYQGA(配列番号464)、LLQGSG(配列番号465)、LLQYQG(配列番号466)、LLQLLQG(配列番号467)、SLLQG(配列番号468)、LLQLQ(配列番号469)、LLQLLQ(配列番号470)、LLQGR(配列番号471)、LLQGPP(配列番号472)、LLQGPA(配列番号473)、GGLLQGPP(配列番号474)、GGLLQGA(配列番号475)、LLQGPGK(配列番号476)、LLQGPG(配列番号477)、LLQGP(配列番号478)、LLQP(配列番号479)、LLQPGK(配列番号480)、LLQAPGK(配列番号481)、LLQGAPG(配列番号482)、LLQGAP(配列番号483)、およびLLQLQG(配列番号484)を含む。
【0197】
一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、抗体の特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含み、タグは、BCMA抗体の軽鎖カルボキシル末端で操作されたアミノ酸配列GGLLQGPP(配列番号474)またはGGLLQGA(配列番号475)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、抗体の特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含み、タグは、BCMA抗体の重鎖における残基T135の後で操作されたアミノ酸配列LLQG(配列番号454)を含む。他の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、抗体の特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグを含み、タグは、BCMA抗体の重鎖カルボキシル末端で操作されたアミノ酸配列LLQGA(配列番号463)またはLLQGPP(配列番号472)を含み、重鎖カルボキシル末端のリシン残基は、欠失されている。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体の297位(EU番号付けスキーム)でアミノ酸置換を含む。例えば、アミノ酸アスパラギン(N)を、BCMA抗体の297位でグルタミン(Q)またはアラニン(A)と置換することができる。
【0198】
アシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222、340、または370位(EU番号付けスキーム)においてアミノ酸修飾を含む単離抗体も提供されており、修飾は、アミノ酸欠失、挿入、置換、突然変異、またはこれらの任意の組合せである。したがって、一部の実施形態では、BCMA抗体の特異的部位(例えば、重もしくは軽鎖のカルボキシル末端、抗体重鎖中の残基T135、または別の部位)でコンジュゲートされたアシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、Q、LQG、LLQGG(配列番号318)、LLQG(配列番号454)、LSLSQG(配列番号455)、GGGLLQGG(配列番号456)、GLLQG(配列番号457)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号458)、GLLQGGG(配列番号459)、GLLQGG(配列番号460)、GLLQ(配列番号461)、LLQLLQGA(配列番号462)、LLQGA(配列番号463)、LLQYQGA(配列番号464)、LLQGSG(配列番号465)、LLQYQG(配列番号466)、LLQLLQG(配列番号467)、SLLQG(配列番号468)、LLQLQ(配列番号469)、LLQLLQ(配列番号470)、LLQGR(配列番号471)、LLQGPP(配列番号472)、LLQGPA(配列番号473)、GGLLQGPP(配列番号474)、GGLLQGA(配列番号475)、LLQGPGK(配列番号476)、LLQGPG(配列番号477)、LLQGP(配列番号478)、LLQP(配列番号479)、LLQPGK(配列番号480)、LLQAPGK(配列番号481)、LLQGAPG(配列番号482)、LLQGAP(配列番号483)、およびLLQLQG(配列番号484))、および抗体の222、340、または370位(EU番号付けスキーム)においてアミノ酸修飾を含む本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートが提供されている。一部の実施形態では、アミノ酸修飾は、リシンからアルギニンへの置換(例えば、K222R、K340R、またはK370R)である。
【0199】
一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体軽鎖のC末端で操作された配列GGLLQGPP(配列番号474)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体軽鎖のC末端で操作された配列GGLLQGA(配列番号475)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体重鎖のC末端で操作された配列LLQGA(配列番号463)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含み、重鎖カルボキシ末端のリシン残基は、欠失されている。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体の重鎖における残基T135の後に操作された配列LLQG(配列番号454)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。
【0200】
一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体において297位で操作されたグルタミン、または297位でアスパラギン(N)から別のアミノ酸へのアミノ酸置換を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体軽鎖のC末端で操作された配列GGLLQGPP(配列番号474)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、BCMA抗体の297位におけるアスパラギン(N)からグルタミン(Q)へのアミノ酸置換、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体またはコンジュゲートは、BCMA抗体の重鎖の残基T135の後に操作された配列LLQG(配列番号454)を含むアシルドナーグルタミン含有タグ、BCMA抗体の297位におけるアスパラギン(N)からアラニン(A)へのアミノ酸置換、および抗体の222位(EU番号付けスキーム)におけるリシンからアルギニンへのアミノ酸置換を含む。
【0201】
本発明のBCMA抗体または抗原結合断片にコンジュゲートすることができる作用物質として、それだけに限らないが、細胞傷害性剤、免疫調節剤、造影剤、治療タンパク質、バイオポリマー、またはオリゴヌクレオチドを挙げることができる。
【0202】
細胞傷害性剤の例としては、それだけに限らないが、アントラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、コンブレタスタチン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、ツブリシン、ヘミアステルリン、スプリセオスタチン、プラジエノライド、およびこれらの立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体がある。
【0203】
アントラサイクリンは、細菌ストレプトマイセス(Streptomyces)に由来し、広範囲のがん、例えば、白血病、リンパ腫、乳がん、子宮がん、卵巣がん、および肺がんなどを処置するのに使用されている。例示的なアントラサイクリンとしては、それだけに限らないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン(すなわち、アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、およびミトキサントロンがある。
【0204】
ドラスタチンならびにこれらのペプチド類似体および誘導体、オーリスタチンは、抗がんおよび抗真菌活性を有すると示されてきた高度に強力な抗有糸分裂剤である。例えば、米国特許第5,663,149号およびPettitら、Antimicrob.Agents Chemother.、42:2961~2965、1998を参照。例示的なドラスタチンおよびオーリスタチンとしては、それだけに限らないが、ドラスタチン10、オーリスタチンE、オーリスタチンEB(AEB)、オーリスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルオーリスタチンDまたはモノメチルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルオーリスタチンFまたはN-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン)、MMAE(モノメチルオーリスタチンEまたはN-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-ノルエフェドリン)、5-ベンゾイル吉草酸-AEエステル(AEVB)、および他の新規のオーリスタチン(米国公開第2013/0129753号に記載されたものなど)がある。一部の実施形態では、オーリスタチンは、以下の構造を有する0101(2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)である:
【0205】
【化1】
【0206】
一部の実施形態では、オーリスタチンは、以下の構造を有する3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)である:
【0207】
【化2】
【0208】
一部の実施形態では、オーリスタチンは、以下の構造を有する0131-OMe(N,2-ジメチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)である:
【0209】
【化3】
【0210】
他の実施形態では、オーリスタチンは、以下の構造を有する0131(2-メチル-L-プロリ(proly)-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)である:
【0211】
【化4】
【0212】
他の実施形態では、オーリスタチンは、以下の構造を有する0121(2-メチル-L-プロリ-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)である:
【0213】
【化5】
【0214】
カンプトテシンは、酵素トポイソメラーゼIを阻害する細胞傷害性キノリンアルカロイドである。カンプトテシンおよびその誘導体の例としては、それだけに限らないが、トポテカンおよびイリノテカン、ならびにSN-38などのこれらの代謝産物がある。
【0215】
コンブレタスタチンは、腫瘍において血管破壊性質を有する天然フェノールである。例示的なコンブレタスタチンおよびこれらの誘導体としては、それだけに限らないが、コンブレタスタチンA-4(CA-4)およびオンブラブリンがある。
【0216】
デュオカルマイシンおよびCC-1065は、細胞傷害性効力を有するDNAアルキル化剤である。BogerおよびJohnson、PNAS 92:3642~3649(1995)を参照。例示的なデュオカルマイシンおよびCC-1065としては、それだけに限らないが、(+)-デュオカルマイシンAおよび(+)-デュオカルマイシンSA、(+)-CC-1065、ならびにそれだけに限らないが、構造:
【0217】
【化6】
を有するN~2~-アセチル-L-リシル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(1S)-1-(クロロメチル)-3-[(5-{[(1S)-1-(クロロメチル)-5-(ホスホノオキシ)-1,2-ジヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-3-イル]カルボニル}チオフェン-2-イル)カルボニル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、構造:
【0218】
【化7】
を有するN~2~-アセチル-L-リシル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(8S)-8-(クロロメチル)-6-[(3-{[(1S)-1-(クロロメチル)-8-メチル-5-(ホスホノオキシ)-1,6-ジヒドロピロロ[3,2-e]インドール-3(2H)-イル]カルボニル}ビシクロ[1.1.1]ペンタ-1-イル)カルボニル]-1-メチル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、構造:
【0219】
【化8】
を有するN~2~-アセチル-L-リシル-L-バリル-N~5~-カルバモイル-N-[4-({[(2-{[({(8S)-8-(クロロメチル)-6-[(4-{[(1S)-1-(クロロメチル)-8-メチル-5-(ホスホノオキシ)-1,6-ジヒドロピロロ[3,2-e]インドール-3(2H)-イル]カルボニル}ペンタシクロ[4.2.0.0~2,5~.0~3,8~.0~4,7~]オクタ-1-イル)カルボニル]-1-メチル-3,6,7,8-テトラヒドロピロロ[3,2-e]インドール-4-イル}オキシ)カルボニル](メチル)アミノ}エチル)(メチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]-L-オルニチンアミドを含めた国際出願第PCT/IB2015/050280号に開示された化合物がある。
【0220】
エンジインは、9および10員環、または共役三重-二重-三重結合の環系の存在によって特徴付けられる抗腫瘍細菌産物のクラスである。例示的なエンジインとしては、それだけに限らないが、カリケアマイシン、エスペラマイシン、ウンシアラマイシン、ジネマイシン、およびこれらの誘導体がある。
【0221】
ゲルダナマイシンは、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合し、抗腫瘍薬として使用されているベンゾキノンアンサマイシン抗生物質である。例示的なゲルダナマイシンとしては、それだけに限らないが、17-AAG(17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)および17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)がある。
【0222】
ヘミアステルリンおよびその類似体(例えば、HTI-286)は、チューブリンに結合し、正常な微小管動態を混乱させ、化学量論量で微小管を解重合する。
【0223】
メイタンシンまたはこれらの誘導体メイタンシノイドは、チューブリンの重合の阻害を通じて有糸分裂中に微小管形成を阻害することによって細胞増殖を阻害する。Remillardら、Science、189:1002~1005、1975を参照。例示的なメイタンシンおよびメイタンシノイドとしては、それだけに限らないが、メルタンシン(DM1)およびその誘導体、ならびにアンサミトシンがある。
【0224】
ピロロベンゾジアゼピン二量体(PBD)およびインドリノ-ベンゾジアゼピン二量体(IGN)は、二重鎖DNAに結合する1種または複数のイミン官能基またはこれらの等価物を含有する抗腫瘍剤である。PBDおよびIGN分子は、天然産物アントラマイシンに基づき、プリン-グアニン-プリン配列を優先して配列選択的様式でDNAと相互作用する。例示的なPBDおよびこれらの類似体には、それだけに限らないが、SJG-136が含まれる。
【0225】
スプリセオスタチンおよびプラジエノライドは、スプライシングを阻害し、スプライセオソーム、SF3bと相互作用する抗腫瘍化合物である。スプリセオスタチンの例としては、それだけに限らないが、スプリセオスタチンA、FR901464、および
【0226】
【化9】
の構造を有する(2S,3Z)-5-{[(2R,3R,5S,6S)-6-{(2E,4E)-5-[(3R,4R,5R,7S)-7-(2-ヒドラジニル-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタ-5-イル]-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル}-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]アミノ}-5-オキソペンタ-3-エン-2-イルアセテートがある。プラジエノライドの例としては、それだけに限らないが、プラジエノライドB、プラジエノライドD、またはE7107がある。
【0227】
タキサンは、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用するジテルペンである。例示的なタキサンとしては、それだけに限らないが、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))がある。
【0228】
ツブリシンは、微小管を解重合し、有糸分裂停止を誘導することが示された粘液細菌の株から単離される天然産物である。例示的なツブリシンとしては、それだけに限らないが、ツブリシンA、ツブリシンB、およびツブリシンDがある。
【0229】
ビンカアルカロイドも抗チューブリン剤である。例示的なビンカアルカロイドとしては、それだけに限らないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンがある。
【0230】
したがって、一部の実施形態では、細胞傷害性剤は、MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、0101(2-メチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-3-{[(1S)-2-フェニル-1-(1,3-チアゾール-2-イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、3377(N,2-ジメチルアラニル-N-{(1S,2R)-4-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシル-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル}-N-メチル-L-バリンアミド)、0131(2-メチル-L-プロリ-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S)-1-カルボキシ-2-フェニルエチル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、0131-OMe(N,2-ジメチルアラニル-N-[(3R,4S,5S)-3-メトキシ-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-1-メトキシ-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチルL-バリンアミド)、0121(2-メチル-L-プロリ-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(2S)-1-メトキシ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド)、および(2S,3Z)-5-{[(2R,3R,5S,6S)-6-{(2E,4E)-5-[(3R,4R,5R,7S)-7-(2-ヒドラジニル-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタ-5-イル]-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル}-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル]アミノ}-5-オキソペンタ-3-エン-2-イルアセテートからなる群から選択される。
【0231】
一部の実施形態では、作用物質は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例としては、それだけに限らないが、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキセート、グルココルチコイドおよびその類似体、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、およびIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-β、および-γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチン、ならびにトロンボポエチン、またはこれらの組合せがある。
【0232】
一部の実施形態では、作用物質部分は、造影剤(例えば、フルオロフォアまたはキレーター)、例えば、フルオレセイン、ローダミン、ランタニドリン光体、およびこれらの誘導体、またはキレーターに結合した放射性同位体などである。フルオロフォアの例としては、それだけに限らないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリトロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)がある。キレーターの例としては、それだけに限らないが、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N’’’-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン,1-グルタル酸-4,7-酢酸(デフェロキサミン)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-四酢酸)(BAPTA)がある。
【0233】
フルオロフォアの例としては、それだけに限らないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5-FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5-FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリトロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5-TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)がある。
【0234】
一部の実施形態では、治療用または診断用放射性同位体、または他の標識(例えば、PETもしくはSPECT標識)を、本明細書に記載のBCMA抗体または抗原結合断片へのコンジュゲーションのために作用物質中に組み込むことができる。放射性同位体または他の標識の例としては、それだけに限らないが、H、11C、13N、14C、15N、15O、35S、18F、32P、33P、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、76Br、77Br、86Y、89Zr、90Y、94Tc、95Ru、97Ru、99Tc、103Ru、105Rh、105Ru、107Hg、109Pd、111Ag、111In、113In、121Te、122Te、123I、124I、125I、125Te、126I、131I、131In、133I、142Pr、143Pr、153Pb、153Sm、161Tb、165Tm、166Dy、166H、167Tm、168Tm、169Yb、177Lu、186Re、188Re、189Re、197Pt、198Au、199Au、201Tl、203Hg、211At、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、224Ac、または225Acがある。
【0235】
一部の実施形態では、作用物質は、それだけに限らないが、毒素、ホルモン、酵素、および増殖因子を含めた治療タンパク質である。
【0236】
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例としては、それだけに限らないが、ジフテリア(例えば、ジフテリアA鎖)、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素およびエンドトキシン、リシン(例えば、リシンA鎖)、アブリン(例えば、アブリンA鎖)、モデッシン(例えば、モデッシンA鎖)、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、フィトラカ・アメリカナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセン、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えば、セラトトキシン)、ならびにコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)がある。
【0237】
一部の実施形態では、作用物質は、生体適合性ポリマーである。本明細書に記載のBCMA抗体または抗原結合断片は、生体適合性ポリマーにコンジュゲートさせて血清半減期および生物活性を増大させ、かつ/またはin vivo半減期を延長することができる。生体適合性ポリマーの例としては、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体など、および双性イオン含有生体適合性ポリマー(例えば、ホスホリルコリン含有ポリマー)がある。
【0238】
一部の実施形態では、作用物質は、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドである。
【0239】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片のコンジュゲートであって、式:抗体-(アシルドナーグルタミン含有タグ)-(リンカー)-(細胞傷害性剤)を含み、アシルドナーグルタミン含有タグは、抗体または抗原結合断片の特異的部位で(例えば、重もしくは軽鎖のカルボキシル末端で、抗体重鎖中の残基T135の後で、または別の部位で)操作されており、タグは、リンカー(例えば、1種または複数の反応性アミン(例えば、一級アミンNH)を含有するリンカー)にコンジュゲートされており、リンカーは、細胞傷害性剤(例えば、MMADまたは他のオーリスタチン、例えば、0101、0131、もしくは3377など)にコンジュゲートされている、コンジュゲートを提供する。
【0240】
1種または複数の反応性アミンを含有するリンカーの例としては、それだけに限らないが、Ac-Lys-Gly(アセチル-リシン-グリシン)、アミノカプロン酸、Ac-Lys-β-Ala(アセチル-リシン-β-アラニン)、アミノ-PEG2(ポリエチレングリコール)-C2、アミノ-PEG3-C2、アミノ-PEG6-C2(もしくはアミノPEG6-プロピオニル)、Ac-Lys-Val-Cit-PABC(アセチル-リシン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Val-Cit-PABC、アミノカプロイル-Val-Cit-PABC、[(3R,5R)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、[(3S,5S)-1-{3-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]プロパノイル}ピペリジン-3,5-ジイル]ビス-Val-Cit-PABC、プトレシン、またはAc-Lys-プトレシンがある。
【0241】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、1)抗体-GGLLQGPP(配列番号474)-AcLys-VC-PABC-0101であり;2)抗体-AcLys-VC-PABC-0101であり、N297Qを含み;3)抗体-GGLLQGPP(配列番号474)-AcLys-VC-PABC-0101であり、N297Qを含み;4)抗体-LLQG(配列番号454)-アミノ-PEG6-C2-0131であり、N297Aを含み;5)抗体-LLQG(配列番号454)-アミノ-PEG6-C2-3377であり、N297Aを含み;6)抗体-GGLLQGA(配列番号475)-AcLys-VC-PABC-0101である。一部の実施形態では、例えば、GGLLQGPP(配列番号474)またはGGLLQGA(配列番号475)を含むアシルドナーグルタミン含有タグは、抗体の軽鎖のC末端で操作されている。他の実施形態では、アシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、LLQGA(配列番号463)またはLLQGPP(配列番号472))は、抗体の重鎖のC末端で操作されており、C末端のリシン残基は欠失されている。一部の実施形態では、例えば、LLQG(配列番号454)を含むアシルドナーグルタミン含有タグは、抗体重鎖中の残基T135の後で操作されており、または抗体重鎖中のアミノ酸残基E294-N297を置き換える。抗体の例としては、それだけに限らないが、P6E01/P6E01、P6E01/H3.AQ、L1.LGF/L3.KW/P6E01;L1.LGF/L3.NY/P6E01、L1.GDF/L3.NY/P6E01、L1.LGF/L3.KW/H3.AL、L1.LGF/L3.KW/H3.AP、L1.LGF/L3.KW/H3.AQ、L1.LGF/L3.PY/H3.AP、L1.LGF/L3.PY/H3.AQ、L1.LGF/L3.NY/H3.AL、L1.LGF/L3.NY/H3.AP、L1.LGF/L3.NY/H3.AQ、L1.GDF/L3.KW/H3.AL、L1.GDF/L3.KW/H3.AP、L1.GDF/L3.KW/H3.AQ、L1.GDF/L3.PY/H3.AQ、L1.GDF/L3.NY/H3.AL、L1.GDF/L3.NY/H3.AP、L1.GDF/L3.NY/H3.AQ、L3.KW/P6E01、L3.PY/P6E01、L3.NY/P6E01、
L3.PY/L1.PS/P6E01、L3.PY/L1.AH/P6E01、L3.PY/L1.FF/P6E01、L3.PY/L1.PH/P6E01、L3.PY/L3.KY/P6E01、L3.PY/L3.KF/P6E01、L3.PY/H2.QR、L3.PY/H2.DY、L3.PY/H2.YQ、L3.PY/H2.LT、L3.PY/H2.HA、L3.PY/H2.QL、L3.PY/H3.YA、L3.PY/H3.AE、L3.PY/H3.AQ、L3.PY/H3.TAQ、L3.PY/P6E01、L3.PY/L1.PS/H2.QR、L3.PY/L1.PS/H2.DY、L3.PY/L1.PS/H2.YQ、L3.PY/L1.PS/H2.LT、L3.PY/L1.PS/H2.HA、L3.PY/L1.PS/H2.QL、L3.PY/L1.PS/H3.YA、L3.PY/L1.PS/H3.AE、L3.PY/L1.PS/H3.AQ、L3.PY/L1.PS/H3.TAQ、L3.PY/L1.AH/H2.QR、L3.PY/L1.AH/H2.DY、L3.PY/L1.AH/H2.YQ、L3.PY/L1.AH/H2.LT、L3.PY/L1.AH/H2.HA、L3.PY/L1.AH/H2.QL、L3.PY/L1.AH/H3.YA、L3.PY/L1.AH/H3.AE、L3.PY/L1.AH/H3.AQ、L3.PY/L1.AH/H3.TAQ、L3.PY/L1.FF/H2.QR、L3.PY/L1.FF/H2.DY、L3.PY/L1.FF/H2.YQ、L3.PY/L1.FF/H2.LT、L3.PY/L1.FF/H2.HA、L3.PY/L1.FF/H2.QL、L3.PY/L1.FF/H3.YA、L3.PY/L1.FF/H3.AE、L3.PY/L1.FF/H3.AQ、L3.PY/L1.FF/H3.TAQ、L3.PY/L1.PH/H2.QR、L3.PY/L1.PH/H2.HA、L3.PY/L1.PH/H3.AE、L3.PY/L1.PH/H3.AQ、L3.PY/L1.PH/H3.TAQ、L3.PY/L3.KY/H2.QR、L3.PY/L3.KY/H2.DY、L3.PY/L3.KY/H2.YQ
L3.PY/L3.KY/H2.LT、L3.PY/L3.KY/H2.HA、L3.PY/L3.KY/H2.QL、L3.PY/L3.KY/H3.YA
L3.PY/L3.KY/H3.TAQ、L3.PY/L3.KF/H2.DY、L3.PY/L3.KF/H2.YQ、L3.PY/L3.KF/H2.LT
L3.PY/L3.KF/H2.QL、L3.PY/L3.KF/H3.YA、L3.PY/L3.KF/H3.AE、L3.PY/L3.KF/H3.AQ
L3.PY/L3.KF/H3.TAQ、P5A2_VHVL、A02_Rd4_0.6nM_C06、A02_Rd4_0.6nM_C09
A02_Rd4_6nM_C16、A02_Rd4_6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C26
A02_Rd4_6nM_C25、A02_Rd4_6nM_C22、A02_Rd4_6nM_C19、A02_Rd4_0.6nM_C03
A02_Rd4_6nM_C07、A02_Rd4_6nM_C23、A02_Rd4_0.6nM_C18、A02_Rd4_6nM_C10
A02_Rd4_6nM_C05、A02_Rd4_0.6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C04、A02_Rd4_0.6nM_C26
A02_Rd4_0.6nM_C13、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C08、P5C1_VHVL、C01_Rd4_6nM_C24、C01_Rd4_6nM_C26、C01_Rd4_6nM_C10、C01_Rd4_0.6nM_C27
C01_Rd4_6nM_C20、C01_Rd4_6nM_C12、C01_Rd4_0.6nM_C16、C01_Rd4_0.6nM_C09
C01_Rd4_6nM_C09、C01_Rd4_0.6nM_C03、C01_Rd4_0.6nM_C06、C01_Rd4_6nM_C04
COMBO_Rd4_0.6nM_C22、COMBO_Rd4_6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C10、COMBO_Rd4_0.6nM_C04、COMBO_Rd4_6nM_C25、COMBO_Rd4_0.6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C20、COMBO_Rd4_6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C08、COMBO_Rd4_0.6nM_C19、COMBO_Rd4_0.6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C23、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、COMBO_Rd4_0.6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C30、COMBO_Rd4_0.6nM_C14、COMBO_Rd4_6nM_C07、COMBO_Rd4_6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C05、COMBO_Rd4_0.6nM_C17、COMBO_Rd4_6nM_C22、COMBO_Rd4_0.6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、P4G4、またはP1A11がある。
【0242】
一つの変形では、コンジュゲートは、222位でリシンからアルギニンへのアミノ酸置換をさらに含む。したがって、例えば、コンジュゲートは、1)抗体-GGLLQGPP(配列番号474)-AcLys-VC-PABC-0101であり、K222Rを含み;2)抗体-AcLys-VC-PABC-0101であり、N297QおよびK222Rを含み;3)抗体-GGLLQGPP(配列番号474)-AcLys-VC-PABC-0101であり、N297QおよびK222Rを含み;4)抗体-LLQG(配列番号454)-アミノ-PEG6-C2-0131であり、N297AおよびK222Rを含み;5)抗体-LLQG(配列番号454)-アミノ-PEG6-C2-3377であり、N297AおよびK222Rを含み;6)抗体-GGLLQGA(配列番号475)-AcLys-VC-PABC-0101であり、K222Rを含む。一部の実施形態では、例えば、GGLLQGPP(配列番号474)またはGGLLQGA(配列番号475)を含むアシルドナーグルタミン含有タグは、抗体の軽鎖のC末端で操作されている。他の実施形態では、アシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、LLQGA(配列番号473)またはLLQGPP(配列番号472))は、抗体の重鎖のC末端で操作されており、C末端のリシン残基は欠失されている。一部の実施形態では、例えば、LLQG(配列番号454)を含むアシルドナーグルタミン含有タグは、抗体重鎖中の残基T135の後で操作されており、または抗体重鎖中のアミノ酸残基E294-N297を置き換える。抗体の例としては、それだけに限らないが、P6E01/P6E01、P6E01/H3.AQ、L1.LGF/L3.KW/P6E01;L1.LGF/L3.NY/P6E01、L1.GDF/L3.NY/P6E01、L1.LGF/L3.KW/H3.AL、L1.LGF/L3.KW/H3.AP、L1.LGF/L3.KW/H3.AQ、L1.LGF/L3.PY/H3.AP、L1.LGF/L3.PY/H3.AQ、L1.LGF/L3.NY/H3.AL、L1.LGF/L3.NY/H3.AP、L1.LGF/L3.NY/H3.AQ、L1.GDF/L3.KW/H3.AL、L1.GDF/L3.KW/H3.AP、L1.GDF/L3.KW/H3.AQ、L1.GDF/L3.PY/H3.AQ、L1.GDF/L3.NY/H3.AL、L1.GDF/L3.NY/H3.AP、L1.GDF/L3.NY/H3.AQ、L3.KW/P6E01、L3.PY/P6E01、L3.NY/P6E01、
L3.PY/L1.PS/P6E01、L3.PY/L1.AH/P6E01、L3.PY/L1.FF/P6E01、L3.PY/L1.PH/P6E01、L3.PY/L3.KY/P6E01、L3.PY/L3.KF/P6E01、L3.PY/H2.QR、L3.PY/H2.DY、L3.PY/H2.YQ、L3.PY/H2.LT、L3.PY/H2.HA、L3.PY/H2.QL、L3.PY/H3.YA、L3.PY/H3.AE、L3.PY/H3.AQ、L3.PY/H3.TAQ、L3.PY/P6E01、L3.PY/L1.PS/H2.QR、L3.PY/L1.PS/H2.DY、L3.PY/L1.PS/H2.YQ、L3.PY/L1.PS/H2.LT、L3.PY/L1.PS/H2.HA、L3.PY/L1.PS/H2.QL、L3.PY/L1.PS/H3.YA、L3.PY/L1.PS/H3.AE、L3.PY/L1.PS/H3.AQ、L3.PY/L1.PS/H3.TAQ、L3.PY/L1.AH/H2.QR、L3.PY/L1.AH/H2.DY、L3.PY/L1.AH/H2.YQ、L3.PY/L1.AH/H2.LT、L3.PY/L1.AH/H2.HA、L3.PY/L1.AH/H2.QL、L3.PY/L1.AH/H3.YA、L3.PY/L1.AH/H3.AE、L3.PY/L1.AH/H3.AQ、L3.PY/L1.AH/H3.TAQ、L3.PY/L1.FF/H2.QR、L3.PY/L1.FF/H2.DY、L3.PY/L1.FF/H2.YQ、L3.PY/L1.FF/H2.LT、L3.PY/L1.FF/H2.HA、L3.PY/L1.FF/H2.QL、L3.PY/L1.FF/H3.YA、L3.PY/L1.FF/H3.AE、L3.PY/L1.FF/H3.AQ、L3.PY/L1.FF/H3.TAQ、L3.PY/L1.PH/H2.QR、L3.PY/L1.PH/H2.HA、L3.PY/L1.PH/H3.AE、L3.PY/L1.PH/H3.AQ、L3.PY/L1.PH/H3.TAQ、L3.PY/L3.KY/H2.QR、L3.PY/L3.KY/H2.DY、L3.PY/L3.KY/H2.YQ
L3.PY/L3.KY/H2.LT、L3.PY/L3.KY/H2.HA、L3.PY/L3.KY/H2.QL、L3.PY/L3.KY/H3.YA
L3.PY/L3.KY/H3.TAQ、L3.PY/L3.KF/H2.DY、L3.PY/L3.KF/H2.YQ、L3.PY/L3.KF/H2.LT
L3.PY/L3.KF/H2.QL、L3.PY/L3.KF/H3.YA、L3.PY/L3.KF/H3.AE、L3.PY/L3.KF/H3.AQ
L3.PY/L3.KF/H3.TAQ、P5A2_VHVL、A02_Rd4_0.6nM_C06、A02_Rd4_0.6nM_C09
A02_Rd4_6nM_C16、A02_Rd4_6nM_C03、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C26
A02_Rd4_6nM_C25、A02_Rd4_6nM_C22、A02_Rd4_6nM_C19、A02_Rd4_0.6nM_C03
A02_Rd4_6nM_C07、A02_Rd4_6nM_C23、A02_Rd4_0.6nM_C18、A02_Rd4_6nM_C10
A02_Rd4_6nM_C05、A02_Rd4_0.6nM_C10、A02_Rd4_6nM_C04、A02_Rd4_0.6nM_C26
A02_Rd4_0.6nM_C13、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C08、P5C1_VHVL、C01_Rd4_6nM_C24、C01_Rd4_6nM_C26、C01_Rd4_6nM_C10、C01_Rd4_0.6nM_C27
C01_Rd4_6nM_C20、C01_Rd4_6nM_C12、C01_Rd4_0.6nM_C16、C01_Rd4_0.6nM_C09
C01_Rd4_6nM_C09、C01_Rd4_0.6nM_C03、C01_Rd4_0.6nM_C06、C01_Rd4_6nM_C04
COMBO_Rd4_0.6nM_C22、COMBO_Rd4_6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C10、COMBO_Rd4_0.6nM_C04、COMBO_Rd4_6nM_C25、COMBO_Rd4_0.6nM_C21、COMBO_Rd4_6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C20、COMBO_Rd4_6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C08、COMBO_Rd4_0.6nM_C19、COMBO_Rd4_0.6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C23、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、COMBO_Rd4_0.6nM_C09、COMBO_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C30、COMBO_Rd4_0.6nM_C14、COMBO_Rd4_6nM_C07、COMBO_Rd4_6nM_C02、COMBO_Rd4_0.6nM_C05、COMBO_Rd4_0.6nM_C17、COMBO_Rd4_6nM_C22、COMBO_Rd4_0.6nM_C11、COMBO_Rd4_0.6nM_C29、またはP4G4、またはP1A11がある。
【0243】
CD3抗体およびこれらを作製する方法
本発明は、CD3(例えば、ヒトCD3(配列番号502;または受託番号:NM_000733.3))に結合する抗体をさらに提供する。
【0244】
一態様では、CD3に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号320、322、324、326、328、330、345、347、349、351、444、354、356、378、442、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、もしくは400に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号319、321、323、325、327、329、344、346、348、350、352、355、377、443、445、379、381、383、385、387、389、391、393、395、397、もしくは399に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片が提供されている。
【0245】
別の態様では、CD3に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合断片であって、VH領域は、(i)配列番号331、332、333、401、402、403、407、408、415、416、418、419、420、424、425、426、446、447、もしくは448に示した配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、(ii)配列番号334、336、337、338、339、404、405、409、410、411、412、413、414、417、418、421、422、427、428、449、もしくは450に示した配列を含むVH CDR2、および(iii)配列番号335、406、423、429、もしくは451に示した配列を含むVH CDR3を含む、ならびに/または(i)配列番号340、343、430、431、435、もしくは440、441に示した配列を含む軽鎖可変(VL)CDR1、(ii)配列番号341、433、452、もしくは436に示した配列を含むVL CDR2、および(iii)配列番号342、432、434、437、438、439、446、もしくは453に示した配列を含むVL CDR3を含むVL領域を含む、単離抗体またはその抗原結合断片が提供されている。
【0246】
一部の実施形態では、表3に列挙した部分的軽鎖配列のいずれか1つおよび/または表3に列挙した部分的重鎖配列のいずれか1つを有する抗体が提供されている。
【0247】
【表3-1】
【0248】
【表3-2】
【0249】
【表3-3】
【0250】
【表3-4】
【0251】
【表3-5】
【0252】
表3では、下線が引かれた配列は、KabatによるCDR配列であり、太字は、ChothiaによるCDR配列である。
【0253】
本発明は、CD3に対する抗体のCDR部分(Chothia、Kabat CDR、およびCDR接触領域を含む)も提供する。CDR領域の判定は、当技術分野の技術の十分範囲内である。一部の実施形態では、CDRは、KabatおよびChothia CDRの組合せ(「組み合わせたCDR」または「拡張CDR」とも呼ばれる)でありうることが理解される。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRである。他の実施形態では、CDRは、Chothia CDRである。言い換えれば、1つを超えるCDRを有する実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、組合せCDR、またはこれらの組合せのいずれかでありうる。表4は、本明細書に提供されるCDR配列の例を提供する。
【0254】
【表4-1】
【0255】
【表4-2】
【0256】
【表4-3】
【0257】
【表4-4】
【0258】
【表4-5】
【0259】
【表4-6】
【0260】
【表4-7】
【0261】
【表4-8】
【0262】
本発明は、本発明の抗体をコードする単離ポリヌクレオチド、ならびにポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供する。
【0263】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗体h2B4、h2B4-VH-wt VL_TK、h2B4-VH-hnps VL_TK、h2B4-VH-yaes VL_TK、h2B4-VH-yads VL_TK、h2B4-VH-yaps VL_TK、h2B4-VH-hnps VL_TK-S55Y、h2B4-VH-hnps VL_TK-S105Q、h2B4-vH-hnps VL_TK-S55Y/S105Q、2B4、h2B4-11、1C10、1A4、7A3、25A8、16G7、h25A8-B5、h25A8-B8、h25A8-B12、h25A8-B13、h25A8-C5、h25A8-C8、h25A8-D13、h25A8-E13、h25A8-F13、またはh25A8-G13の重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする配列を含む。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクター中に維持されてもよく、次いで宿主細胞を将来使用するために増やし、凍結させることができる。ベクター(発現ベクターを含む)および宿主細胞は、本明細書でさらに記載されている。
【0264】
本発明は、本発明の抗体由来の1つまたは複数の断片または領域を含む融合タンパク質も包含する。一実施形態では、配列番号319、321、323、325、327、329、344、346、348、350、445、352、355、443、377、379、381、383、385、387、389、391、393、395、397、もしくは399に示した可変軽鎖領域の少なくとも10の連続したアミノ酸、および/または配列番号320、322、324、326、328、330、345、347、349、351、354、356、444、442、378、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、もしくは400に示した可変重鎖領域の少なくとも10のアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供されている。他の実施形態では、可変軽鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30の連続したアミノ酸および/または可変重鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、もしくは少なくとも約30の連続したアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供されている。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号319および320、321および322、323および324、325および326、327および328、329および330、344および345、346および347、348および349、350および351、445および444、352および354、355および356、443および442、377および378、379および380、381および382、383および384、385および386、387および388、389および390、391および392、393および394、395および396、397および398、または399および400の中から選択される配列対のいずれかに示した軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、1種または複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、融合ポリペプチドは、CDR H3(VH CDR3)および/またはCDR L3(VL CDR3)を含む。本発明の目的に関して、融合タンパク質は、1種または複数の抗体、および天然分子に付着されていない別のアミノ酸配列、例えば、異種配列もしくは別の領域由来の相同配列を含有する。例示的な異種配列としては、それだけに限らないが、「タグ」、例えば、FLAGタグまたは6Hisタグなどがある。タグは、当技術分野で周知である。
【0265】
融合ポリペプチドは、当技術分野で公知の方法によって、例えば、合成的にまたは組換えで創製することができる。典型的には、本発明の融合タンパク質は、本明細書に記載の組換え法を使用してこれらをコードするポリヌクレオチドを調製し、発現させることによって作製されるが、これらは、例えば、化学合成を含めた当技術分野で公知の他の手段によっても調製することができる。
【0266】
本発明におけるCD3抗体の代表的な材料は、2015年9月11日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)において寄託された。ATCC受託番号PTA-122513を有するベクターは、ヒト化CD3抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドであり、ATCC受託番号PTA-122512を有するベクターは、ヒト化CD3抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドである。寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項とその下の規制(ブダペスト条約)の下で行われた。これは、寄託の日付から30年間の寄託物の生存培養の維持を保証する。寄託物は、ブダペスト条約の条項の下で、かつPfizer,Inc.とATCCとの間の同意を条件として、ATCCによって利用可能にされることになり、この同意は、関係する米国特許の発行の後、またはいずれか早くなる任意の米国もしくは外国特許出願が公衆に公開された後、公衆に寄託物の培養物の子孫の永続的かつ非制限的利用可能性を保証し、米国特許法第122条およびそれに準じた長官規則(886 OG 638を特に参照して連邦規則法典第37巻第1.14条を含む)に従って権利を与えられていると米国特許商標庁長官によって判定された者への子孫の利用可能性を保証するものである。
【0267】
本願の代理人は、寄託中の材料の培養物が、適当な条件下で培養されたときに、死に、または失われ、または破壊された場合、材料を、別の同じものと通知時に即座に置き換えることに同意した。寄託した材料の利用可能性は、任意の政府の権限下でその特許法に従って与えられた権利に違反して本発明を実施するライセンスとして解釈されるべきでない。
【0268】
二重特異性抗体および作製する方法
少なくとも2種の異なる抗原に対して結合特異性を有する二重特異性抗体、モノクローナル抗体は、本明細書に開示の抗体を使用して調製することができる。二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知である(例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121:210、1986)。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産生は、異なる特異性を有する2本の重鎖を伴った2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づいていた(MillsteinおよびCuello、Nature、305、537~539、1983)。
【0269】
二重特異性抗体を作製する一手法によれば、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常領域配列に融合される。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常領域とのものである。融合物の少なくとも1つの中に存在する、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好適である。免疫グロブリン重鎖融合物、および必要に応じて、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別個の発現ベクター内に挿入され、適当な宿主生物内にコトランスフェクトされる。これは、構築物に使用される不等比の3本のポリペプチドが最適の収率をもたらす実施形態において、3本のポリペプチド断片の相互の比率の調整に大きな柔軟性をもたらす。しかし、等比での少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらすとき、または比が特に重要でないとき、2本または3本すべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0270】
一手法では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性をもたらす)から構成される。二重特異性分子の一方の半分のみに免疫グロブリン軽鎖を有するこの非対称構造は、望まれない免疫グロブリン鎖組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を促進する。この手法は、PCT公開第WO94/04690号に記載されている。
【0271】
別の手法では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1のヒンジ領域内のアミノ酸修飾から構成され、第1のヒンジ領域内の置換された/置き換えられたアミノ酸は、別のアーム中の第2のヒンジ領域内の対応するアミノ酸と反対電荷を有する。この手法は、国際特許出願第PCT/US2011/036419号(WO2011/143545)に記載されている。
【0272】
別の手法では、所望のヘテロ多量体またはヘテロ二量体タンパク質(例えば、二重特異性抗体)の形成は、第1と第2の免疫グロブリン様Fc領域(例えば、ヒンジ領域および/またはCH3領域)との間の界面を変更または操作することによって増強される。この手法では、二重特異性抗体は、CH3領域から構成され得、CH3領域は、第1のCH3ポリペプチドおよび第2のCH3ポリペプチドを含み、これらは一緒に相互作用してCH3界面を形成し、CH3界面内の1個または複数のアミノ酸は、ホモ二量体形成を不安定化し、ホモ二量体形成に静電気的に不都合でない。この手法は、国際特許出願第PCT/US2011/036419号(WO2011/143545)に記載されている。
【0273】
別の手法では、二重特異性抗体は、一方のアーム中のエピトープ(例えば、BCMA)に向けられた抗体に操作されたグルタミン含有ペプチドタグ、およびトランスグルタミナーゼの存在下で別のアーム中の第2のエピトープに向けられた第2の抗体に操作された別のペプチドタグ(例えば、Lys含有ペプチドタグまたは反応性内因性Lys)を使用して生成することができる。この手法は、国際特許出願第PCT/IB2011/054899号(WO2012/059882号)に記載されている。
【0274】
本発明の別の態様では、本明細書に記載のヘテロ二量体タンパク質(例えば、二重特異性抗体)は、全長ヒト抗体を含み、ヘテロ二量体タンパク質の第1の抗体可変ドメインは、ヒト免疫エフェクター細胞に位置したエフェクター抗原に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができ、ヘテロ二量体タンパク質の第2の抗体可変ドメインは、標的抗原に特異的に結合することができる。一部の実施形態では、ヒト抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、免疫学的に不活性なFc領域を含む。
【0275】
ヒト免疫エフェクター細胞は、当技術分野で公知の様々な免疫エフェクター細胞のいずれかでありうる。例えば、免疫エフェクター細胞は、それだけに限らないが、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含むヒトリンパ系細胞系列のメンバーでありうる。免疫エフェクター細胞はまた、例えば、限定することなく、単球、好中性顆粒球、および樹状細胞を含むがこれらに限らないヒト骨髄系列のメンバーでありうる。このような免疫エフェクター細胞は、エフェクター抗原の結合によって活性化されると標的細胞に対する細胞傷害性もしくはアポトーシス効果、または他の所望の効果を有しうる。
【0276】
エフェクター抗原は、ヒト免疫エフェクター細胞で発現される抗原(例えば、タンパク質またはポリペプチド)である。ヘテロ二量体タンパク質(例えば、ヘテロ二量体抗体または二重特異性抗体)によって結合されうるエフェクター抗原の例としては、それだけに限らないが、ヒトCD3(またはCD3(表面抗原分類)複合体)、CD16、NKG2D、NKp46、CD2、CD28、CD25、CD64、およびCD89がある。
【0277】
標的細胞は、ヒトにとって天然または外来である細胞でありうる。天然の標的細胞では、細胞は、悪性細胞に形質転換されている場合があり、または病理学的に修飾されている場合がある(例えば、ウイルス、マラリア原虫、または細菌に感染した天然標的細胞)。外来標的細胞では、細胞は、侵入病原体、例えば、細菌、マラリア原虫、またはウイルスなどである。
【0278】
標的抗原は、疾患状態(例えば、炎症疾患、増殖性疾患(例えば、がん)、免疫学的障害、神経疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、感染疾患(例えば、ウイルス感染症もしくは寄生虫感染症)、アレルギー反応、グラフト対宿主疾患、または宿主対グラフト疾患における標的細胞上で発現される。標的抗原は、エフェクター抗原ではない。標的抗原の例としては、それだけに限らないが、BCMA、EpCAM(上皮細胞接着分子)、CCR5(ケモカイン受容体5型)、CD19、HER(ヒト上皮成長因子受容体)-2/neu、HER-3、HER-4、EGFR(上皮成長因子受容体)、PSMA、CEA、MUC-1(ムチン)、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC7、CIhCG、ルイス-Y、CD20、CD33、CD30、ガングリオシドGD3、9-O-アセチル-GD3、GM2、Globo H、フコシルGM1、ポリSA、GD2、カルボアンヒドラーゼIX(MN/CA IX)、CD44v6、Shh(ソニックヘッジホッグ)、Wue-1、形質細胞抗原、(膜結合型)IgE、MCSP(メラノーマコンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、CCR8、TNF-アルファ前駆体、STEAP、メソテリン、A33抗原、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、Ly-6;デスモグレイン4、E-カドヘリンネオエピトープ、胎児アセチルコリン受容体、CD25、CA19-9マーカー、CA-125マーカー、およびMIS(ミュラー管抑制物質)受容体II型、sTn(シアル化Tn抗原;タグ-72)、FAP(線維芽細胞活性化抗原)、エンドシアリン、EGFRvIII、LG、SAS、およびCD63がある。
【0279】
一部の実施形態では、本明細書に記載のヘテロ二量体タンパク質(例えば、二重特異性抗体)は、全長ヒト抗体を含み、ヘテロ二量体タンパク質の第1の抗体可変ドメインは、ヒト免疫エフェクター細胞に位置したエフェクター抗原(例えば、CD3抗原)に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができ、ヘテロ二量体タンパク質の第2の抗体可変ドメインは、標的抗原(例えば、CD20抗原またはEpCAM)に特異的に結合することができ、ヘテロ二量体タンパク質の第1および第2の抗体可変ドメインは、ヒトIgG2(配列番号493)のヒンジ領域内の223、225、および228位(例えば、(C223EまたはC223R)、(E225R)、および(P228EまたはP228R))、ならびにCH3領域内の409または368位((例えば、K409RまたはL368E(EU番号付けスキーム))でアミノ酸修飾を含む。
【0280】
一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第1および第2の抗体可変ドメインは、ヒトIgG1(配列番号494)のヒンジ領域内の221および228位(例えば、(D221RまたはD221E)および(P228RまたはP228E))、ならびにCH3領域内の409または368位((例えば、K409RまたはL368E(EU番号付けスキーム))でアミノ酸修飾を含む。
【0281】
一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第1および第2の抗体可変ドメインは、ヒトIgG4(配列番号495)のヒンジ領域内の228位(例えば(P228EまたはP228R))、およびCH3領域内の409または368位((例えば、R409またはL368E(EU番号付けスキーム))でアミノ酸修飾を含む。
【0282】
別の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質の第1の抗体可変ドメインは、配列番号320、322、324、326、328、330、345、347、349、351、444、354、356、378、442、380、382、384、386、388、390、392、394、396、398、もしくは400に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号319、321、323、325、327、329、344、346、348、350、352、355、377、443、445、379、381、383、385、387、389、391、393、395、397、または399に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含み、ヘテロ二量体タンパク質第2の抗体可変ドメインは、配列番号2、3、7、8、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、37、39、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、83、87、92、95、97、99、101、104、106、110、112、114、118、120、122、125、127、313、314、363、もしくは365に示したVH配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号1、4、5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、34、36、38、40、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、317、81、82、84、85、86、88、89、90、91、93、94、96、98、100、102、103、105、107、108、109、111、113、115、116、117、119、121、123、124、126、128、315、もしくは364に示したVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む。
【0283】
別の実施形態では、第1の抗体可変ドメインは、配列番号324もしくは388に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号323もしくは387に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含み、第2の抗体可変ドメインは、配列番号112に示した重鎖可変(VH)配列のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVH領域を含む、ならびに/または配列番号38に示した軽鎖可変(VL)配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVL領域を含む。
【0284】
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、これらの突然変異体、抗体部分(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体を含めた、要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を包含しうる。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または任意の他の起源(キメラもしくはヒト化抗体を含む)でありうる。
【0285】
一部の実施形態では、本明細書に記載のBCMAまたはCD3抗体は、モノクローナル抗体である。例えば、BCMAまたはCD3抗体は、ヒト化モノクローナル抗体またはキメラモノクローナル抗体である。
【0286】
一部の実施形態では、抗体は、修飾定常領域、例えば、限定することなく、免疫応答を誘発する潜在性が増大した定常領域などを含む。例えば、定常領域は、Fcガンマ受容体、例えば、FcγRI、FcγRIIA、またはFcγIIIなどに対する増大した親和性を有するように修飾されてもよい。
【0287】
一部の実施形態では、抗体は、修飾定常領域、例えば、免疫学的に不活性である、すなわち、免疫応答を誘発する潜在性が低減された定常領域などを含む。一部の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.29:2613~2624、1999;PCT出願第PCT/GB99/01441号;および/または英国特許出願第98099518号に記載されたように修飾される。Fcは、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、またはヒトIgG4でありうる。Fcは、突然変異A330P331からS330S331を含有するヒトIgG2(IgG2Δa)であり得、ここでアミノ酸残基は、野生型IgG2配列を参照して番号付けられている。Eur.J.Immunol.、29:2613~2624、1999。一部の実施形態では、抗体は、以下の突然変異を含むIgG4の定常領域を含む(Armourら、Molecular Immunology、40、585~593、2003):E233F234L235からP233V234A235(IgG4Δc)、番号付けは、野生型IgG4を参照したものである。さらに別の実施形態では、Fcは、欠失G236を有するヒトIgG4 E233F234L235からP233V234A235(IgG4Δb)である。別の実施形態では、Fcは、ヒンジ安定化突然変異S228からP228を含有する任意のヒトIgG4 Fc(IgG4、IgG4Δb、またはIgG4Δc)である(Aalberseら、Immunology、105、9~19、2002)。別の実施形態では、Fcは、非グリコシル化Fc(aglycosylated Fc)でありうる。
【0288】
一部の実施形態では、定常領域は、オリゴ糖付着残基(Asn297など)および/または定常領域内のグリコシル化認識配列の一部であるフランキング残基を突然変異させることによって非グリコシル化されている。一部の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化について酵素的に非グリコシル化されている。定常領域は、N結合型グリコシル化について、酵素的に、またはグリコシル化欠損宿主細胞内の発現によって非グリコシル化されている場合がある。
【0289】
一部の実施形態では、定常領域は、Fcガンマ受容体結合を除去または低減する修飾定常領域を有する。例えば、Fcは、突然変異D265を含有するヒトIgG2であり得、ここでアミノ酸残基は、野生型IgG2配列(配列番号493)を参照して番号付けられている。したがって、一部の実施形態では、定常領域は、配列番号496に示した配列:
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCRVRCPRCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
を有する修飾定常領域を有する。
【0290】
一部の実施形態では、定常領域は、配列番号497に示した配列:
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCEVECPECPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
を有する修飾定常領域を有する。
【0291】
BCMAまたはCD3への抗体の結合親和性を判定する1つのやり方は、抗体の単官能性Fab断片の結合親和性を測定することによるものである。単官能性Fab断片を得るために、抗体(例えば、IgG)をパパインで切断し、または組換えで発現させることができる。抗体のBCMA Fab断片の親和性は、事前固定化ストレプトアビジンセンサーチップ(SA)を備えた表面プラズモン共鳴(Biacore(商標)3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、Biacore(商標)、INC、Piscataway NJ)、またはHBS-EPランニング緩衝液(0.01M HEPES、pH7.4、0.15 NaCl、3mM EDTA、0.005%v/v界面活性剤P20)を使用する抗マウスFcもしくは抗ヒトFcによって判定することができる。ビオチン化またはFc融合ヒトBCMAを、HBS-EP緩衝液中に希釈して0.5μg/mL未満の濃度にし、多様な接触時間を使用して個々のチップチャネルに注入して、抗原密度の2つの範囲、詳細な速度論的スタディのための50~200応答単位(RU)またはスクリーニングアッセイのための800~1,000RUを実現することができる。再生スタディは、25%v/vエタノール中の25mM NaOHが、200の注入にわたってチップ上のBCMAの活性を保ちながら、結合したFabを有効に除去することを示した。典型的には、精製Fab試料の連続希釈液(0.1~10×のスパン濃度(spanning concentration)によりKを推定した)が100μL/分で1分間注入され、最大で2時間の解離時間が許容される。Fabタンパク質の濃度は、標準物質として既知濃度(アミノ酸分析によって判定される)Fabを使用してELISAおよび/またはSDS-PAGE電気泳動によって判定される。動的会合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIAevaluationプログラムを使用して、1:1ラングミュア結合モデル(Karlsson,R.Roos、H.Fagerstam、L.Petersson,B.(1994)、Methods Enzymology、6、99~110)に包括的にデータをフィッティングすることによって同時に得られる。平衡解離定数(K)値は、koff/konとして計算される。このプロトコールは、ヒトBCMA、別の哺乳動物のBCMA(マウスBCMA、ラットBCMA、または霊長類BCMAなど)、およびBCMAの異なる形態(例えば、グリコシル化BCMA)を含めた任意のBCMAへの抗体の結合親和性の判定に使用するのに適している。抗体の結合親和性は一般に、25℃で測定されるが、37℃でも測定されうる。
【0292】
本明細書に記載の抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって作製されうる。ハイブリドーマ細胞株の生産に関して、宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは一般に、本明細書でさらに記載される通り、抗体刺激および生産の確立された慣例的な技法に合わせたものである。ヒトおよびマウス抗体の生産のための一般的な技法は、当技術分野で公知であり、かつ/または本明細書に記載されている。
【0293】
ヒトを含めた任意の哺乳動物対象またはこれら由来の抗体産生細胞を、ヒトを含めた哺乳動物およびハイブリドーマ細胞株の生産のための基礎として機能を果たすようにマニピュレートすることができることが企図されている。典型的には、宿主動物は、本明細書に記載したものを含めてある量の免疫原を腹腔内、筋肉内、経口的、皮下、足底内、および/または皮内に接種される。
【0294】
ハイブリドーマは、Kohler,B.およびMilstein,C.、Nature、256:495~497、1975の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技法を使用して、またはBuck,D.W.ら、In Vitro、18:377~381、1982によって改良されたようにリンパ球および不死化骨髄腫細胞から調製することができる。それだけに限らないが、X63-Ag8.653およびthe Salk Institute、Cell Distribution Center、San Diego、Calif.、USA製のものを含めた入手可能な骨髄腫株をハイブリダイゼーションに使用することができる。一般に、本技法では、ポリエチレングリコールなどの融合剤を使用して、または当業者に周知の電気的手段によって骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を融合する。融合後、細胞は、融合培地から分離され、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)培地などの選択的増殖培地中で増殖されてハイブリダイズしていない親細胞が排除される。血清を補充された、または血清を含まない本明細書に記載の培地のいずれも、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するのに使用することができる。細胞融合技法の別の選択肢として、EBV不死化B細胞を使用して本主題発明のモノクローナル抗体を生産してもよい。ハイブリドーマは、必要に応じて増やされおよびサブクローニングされ、上清が、慣例的なイムノアッセイ手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫アッセイ、または蛍光イムノアッセイ)によって抗免疫原活性についてアッセイされる。
【0295】
抗体の供給源として使用されうるハイブリドーマは、BCMA、CD3、またはこれらの部分に特異的なモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマのすべての誘導体、子孫細胞を包含する。
【0296】
このような抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を使用してin vitroまたはin vivoで増殖させることができる。モノクローナル抗体は、必要に応じて、慣例的な免疫グロブリン精製手順、例えば、硫安分画、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過などによって培養基または体液から単離することができる。望まれない活性は、存在する場合、例えば、調製物を固相に付着した免疫原からできた吸着剤上で走らせ、免疫原から所望の抗体を溶出または放出させることによって除去することができる。二官能性剤または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基によるコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、またはRN=C=NR(式中、RおよびRは、異なるアルキル基である)を使用して、免疫される種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートしたヒトBCMAもしくはCD3、または標的アミノ酸配列を含有する断片で宿主動物を免疫すると、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団を得ることができる。
【0297】
必要に応じて、目的の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)をシーケンシングすることができ、次いでポリヌクレオチド配列を発現または繁殖のためにベクター中にクローニングすることができる。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞内のベクター中に維持されてもよく、次いで宿主細胞を将来使用するために増やし、凍結させることができる。細胞培養での組換えモノクローナル抗体の生産は、当技術分野で公知の手段によってB細胞から抗体遺伝子をクローニングすることによって実行することができる。例えば、Tillerら、J.Immunol.Methods、329、112、2008;米国特許第7,314,622号を参照。
【0298】
代替案では、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化する」ため、または親和性もしくは抗体の他の特性を改善するための遺伝子マニピュレーションに使用することができる。例えば、抗体がヒトにおける臨床治験および処置に使用される場合、定常領域をヒト定常領域により近く似せて免疫応答を回避するように操作することができる。BCMAまたはCD3へのより大きい親和性、およびBCMAの阻害におけるより大きい効力を得るように抗体配列を遺伝的にマニピュレートすることが望ましい場合がある。
【0299】
モノクローナル抗体をヒト化するのに4つの一般的な工程が存在する。これらは、(1)出発抗体軽および重可変ドメインのヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列の判定、(2)ヒト化抗体の設計、すなわち、どの抗体フレームワーク領域をヒト化プロセス中に使用するかの決定、(3)実際のヒト化方法論/技法、ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,807,715号;同第5,866,692号;同第6,331,415号;同第5,530,101号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,585,089号;および同第6,180,370号を参照。
【0300】
ヒト定常領域に融合したげっ歯類または修飾げっ歯類V領域およびこれらの関連CDRを有するキメラ抗体を含めた、非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含むいくつかの「ヒト化」抗体分子が記載されている。例えば、Winterら、Nature、349:293~299、1991、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、86:4220~4224、1989、Shawら、J Immunol.、138:4534~4538、1987、およびBrownら、Cancer Res.、47:3577~3583、1987を参照。他の参考文献には、適切なヒト抗体定常領域と融合する前にヒト支持フレームワーク領域(FR)内にグラフトされたげっ歯類CDRが記載されている。例えば、Riechmannら、Nature、332:323~327、1988、Verhoeyenら、Science、239:1534~1536、1988、およびJonesら、Nature、321:522~525、1986を参照。別の参考文献には、組換え操作されたげっ歯類フレームワーク領域によって支持されたげっ歯類CDRが記載されている。例えば、欧州特許公開第0519596号を参照。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療用途の継続時間および有効度を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に向けた望まれない免疫応答を最小限にするように設計される。例えば、抗体定常領域を、それが免疫学的に不活性である(例えば、補体溶解を誘発しない)ように操作することができる。例えば、PCT公開第PCT/GB99/01441号;英国特許出願第9809951.8号を参照。やはり利用されうる抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl.Acids Res.、19:2471~2476、1991によって、ならびに米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;および同第6,350,861号において、ならびにPCT公開第WO01/27160号において開示されている。
【0301】
上記に論じたヒト化抗体に関する一般的原理は、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、およびウシにおいて使用するために抗体をカスタマイズするのにも適用可能である。さらに、本明細書に記載の抗体をヒト化する1つまたは複数の態様は、例えば、CDR移植、フレームワーク突然変異、およびCDR突然変異と組み合わせてもよい。
【0302】
一つの変形では、完全ヒト抗体は、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された市販マウスを使用することによって得ることができる。より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはよりロバストな免疫応答を生じさせるように設計されたトランスジェニック動物も、ヒト化またはヒト抗体の生成に使用することができる。このような技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont、CA)製Xenomouse(商標)、ならびにMedarex,Inc.(Princeton、NJ)製HuMAb-マウス(登録商標)およびTCマウス(商標)である。
【0303】
代替案では、抗体を、当技術分野で公知の任意の方法を使用して組換えで作製し、発現させてもよい。別の代替案では、抗体は、ファージディスプレイ技術によって組換えで作製されうる。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;および同第6,265,150号;ならびにWinterら、Annu.Rev.Immunol.、12:433~455、1994を参照。代わりに、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature、348:552~553、1990)を使用して、非免疫化ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト化抗体および抗体断片を生成することができる。この技法によれば、抗体Vドメイン遺伝子が、M13またはfdなどの糸状バクテリオファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子中にインフレームでクローニングされ、ファージ粒子の表面上で機能的抗体断片として表示される。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的性質に基づく選択は、これらの性質を呈する抗体をコードする遺伝子の選択ももたらす。よって、ファージは、B細胞の性質の一部を模倣する。ファージディスプレイは、様々なフォーマットで実施することができる。総説について、例えば、Johnson,Kevin S.およびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology、3:564~571、1993を参照。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイに使用することができる。Clacksonら、Nature、352:624~628、1991は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小ランダムコンビナトリアルライブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。非免疫化ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Markら、J.Mol.Biol.、222:581~597、1991、またはGriffithら、EMBO J.、12:725~734、1993によって記載された技法に本質的に従って単離することができる。天然の免疫応答では、抗体遺伝子は、高い割合で突然変異を蓄積する(体細胞超変異)。導入される変化の一部は、より高い親和性を付与することになり、高親和性表面免疫グロブリンを表示するB細胞は、後続の抗原チャレンジの間に優先的に複製および分化される。この自然過程は、「鎖シャッフリング」として公知の技法を使用することによって模倣することができる。(Marksら、Bio/Technol.、10:779~783、1992)。本方法では、ファージディスプレイによって得られる「一次」ヒト抗体の親和性は、重および軽鎖V領域遺伝子を、非免疫化ドナーから得られるVドメイン遺伝子の天然に存在するバリアントのレパートリー(レパートリー)と順次置き換えることによって改善することができる。この技法は、pM~nM範囲内の親和性を有する抗体および抗体断片の生産を可能にする。非常に大きいファージ抗体レパートリー(「マザーオブオールライブラリー」としても公知)を作製するためのストラテジーは、Waterhouseら、Nucl.Acids Res.、21:2265~2266、1993によって記載された。遺伝子シャフリングを、げっ歯類抗体からヒト抗体を導出するのに使用することもでき、この場合、ヒト抗体は、出発げっ歯類抗体と同様の親和性および特異性を有する。「エピトープ刷り込み(epitope imprinting)」とも呼ばれるこの方法によれば、ファージディスプレイ技法によって得られたげっ歯類抗体の重または軽鎖Vドメイン遺伝子が、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置き換えられ、げっ歯類-ヒトキメラを創製する。抗原の選択が、機能的な抗原結合部位を回復することができるヒト可変領域の単離をもたらし、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配する(刷り込みする)。プロセスが残存するげっ歯類Vドメインを置き換えるために繰り返されると、ヒト抗体が得られる(PCT公開第WO93/06213号を参照)。CDR移植によるげっ歯類抗体の伝統的なヒト化と異なり、この技法は、げっ歯類起源のフレームワークまたはCDR残基を有さない完全ヒト抗体をもたらす。
【0304】
抗体は、宿主動物から抗体および抗体産生細胞を最初に単離し、遺伝子配列を得、遺伝子配列を使用して宿主細胞(例えば、CHO細胞)内で組換えで抗体を発現させることによって組換えで作製することができる。使用されうる別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニック乳中で抗体配列を発現させることである。植物または乳中で、組換えで抗体を発現させるための方法は開示されている。例えば、Peetersら、Vaccine、19:2756、2001;Lonberg,N.およびD.Huszar、Int.Rev.Immunol、13:65、1995;ならびにPollockら、J Immunol Methods、231:147、1999を参照。抗体の誘導体、例えば、ヒト化、単鎖などを作製するための方法は、当技術分野で公知である。
【0305】
イムノアッセイおよび蛍光活性化細胞分類(FACS)などのフローサイトメトリーソーティング技法も、BCMA、CD3、または目的の腫瘍抗原に特異的である抗体を単離するのに使用することができる。
【0306】
本明細書に記載の抗体は、多くの異なる担体に結合されうる。担体は、活性および/または不活性でありうる。周知の担体の例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびに磁鉄鉱がある。担体の特質は、本発明の目的に関して可溶性または不溶性でありうる。当業者は、結合抗体にとって適当な他の担体が分かり、または日常の実験を使用してこのようなものを確認することができるであろう。一部の実施形態では、担体は、心筋を標的にする部分を含む。
【0307】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣例的な手順を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシーケンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好適な供給源として機能を果たす。単離されると、DNAを発現ベクター(PCT公開第WO87/04462号に開示された発現ベクターなど)中に配置することができ、次いでこれらは、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの中にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成が得られる。例えば、PCT公開第WO87/04462号を参照。DNAはまた、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重および軽鎖定常領域のコード配列を置換することによって、Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.、81:6851、1984、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべてもしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合で連結することによって修飾されてもよい。その様式で、本明細書のモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製される。
【0308】
本明細書に記載のBCMAまたは目的の腫瘍抗原抗体は、当技術分野で公知の方法を使用して同定し、または特徴付けることができ、それによってBCMAまたは他の腫瘍抗原発現レベルの低減が検出および/または測定される。一部の実施形態では、BCMA抗体は、BCMAとともに候補剤をインキュベートし、結合および/またはBCMA発現レベルの付随的低減をモニターすることによって同定される。結合アッセイは、精製BCMAポリペプチドを用いて、またはBCMAポリペプチドを天然に発現する、もしくはそれを発現するようにトランスフェクトされた細胞を用いて実施されうる。一実施形態では、結合アッセイは、競合的結合アッセイであり、この場合、候補抗体の、既知のBCMA抗体とBCMA結合を競合する能力が評価される。アッセイは、ELISAフォーマットを含めて様々なフォーマットで実施することができる。
【0309】
最初の同定の後、候補BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体の活性を、標的にされた生物活性を試験することが知られているバイオアッセイによってさらに確認および洗練することができる。代わりに、バイオアッセイを使用して候補を直接的にスクリーニングすることができる。抗体を同定し、特徴付けるための方法の一部は、実施例に詳細に記載されている。
【0310】
BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体は、当技術分野で周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、一方法は、それが結合するエピトープを同定すること、または「エピトープマッピング」である。例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies,a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1999の11章に記載されている、抗体-抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドベースアッセイを含めて、タンパク質上のエピトープの場所をマッピングし、特徴付けるための当技術分野で公知の多くの方法が存在する。追加の例では、エピトープマッピングを使用して、抗体が結合する配列を判定することができる。エピトープマッピングは、様々な供給元、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、オランダ)から市販されている。エピトープは、直鎖状エピトープ、すなわち、アミノ酸の単一ストレッチ中に含有されたもの、または必ずしも単一ストレッチ中に含有されなくてもよいアミノ酸の3次元相互作用によって形成されるコンホメーションエピトープでありうる。様々な長さ(例えば、少なくとも4~6アミノ酸長)のペプチドを単離または合成し(例えば、組換えで)、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体との結合アッセイに使用することができる。別の例では、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体が結合するエピトープは、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原配列に由来する重複ペプチドを使用し、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体による結合を判定することによって、系統的スクリーニングで判定することができる。遺伝子断片発現アッセイによれば、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原をコードするオープンリーディングフレームがランダムに、または特定の遺伝子構築によって断片化され、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原の発現された断片の試験される抗体との反応性が判定される。遺伝子断片は、例えば、in vitroで、PCRによって生成され、次いで転写され、放射性アミノ酸の存在下で翻訳されてタンパク質にされうる。次いで、抗体の放射性標識されたBCMA、CD3、または他の腫瘍抗原断片への結合が免疫沈降およびゲル電気泳動によって判定される。ある特定のエピトープは、ファージ粒子の表面上に表示されるランダムペプチド配列の大きいライブラリー(ファージライブラリー)を使用することによって同定することもできる。代わりに、重複ペプチド断片の定義されたライブラリーは、単純な結合アッセイで試験抗体への結合について試験することができる。追加の例では、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメイン交換実験、およびアラニンスキャニング突然変異誘発を実施して、エピトープ結合に要求される、十分な、かつ/または必要な残基を同定することができる。例えば、ドメイン交換実験を、BCMA、CD3、もしくは他の腫瘍抗原タンパク質の様々な断片が、別の種(例えば、マウス)由来のBCMAからの配列と置き換えられた(交換された)突然変異体BCMA、CD3、もしくは他の腫瘍抗原、または密接に関連しているが抗原性の異なるタンパク質(例えば、Trop-1)を使用して実施することができる。突然変異体BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原への抗体の結合を査定することによって、抗体結合に対する特定のBCMA、CD3、または他の腫瘍抗原断片の重要性を査定することができる。
【0311】
BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体を特徴付けるのに使用されうるさらに別の方法は、同じ抗原、すなわち、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原上の様々な断片に結合することが公知の他の抗体との競合アッセイを使用して、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを判定することである。競合アッセイは、当業者に周知である。
【0312】
発現ベクターを、BCMA、CD3、または他の腫瘍抗原抗体を直接発現させるのに使用することができる。当業者は、in vivoで外因性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照。発現ベクターの投与としては、注射、経口投与、粒子銃、またはカテーテル挿入投与を含めた局所または全身投与、および局部投与がある。別の実施形態では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に、または冠動脈、心房、心室、もしくは心膜内に直接投与される。
【0313】
発現ベクターまたはサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療用組成物の標的化送達も使用することができる。受容体媒介DNA送達技法は、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.、1993、11:202;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer、J.A.Wolff編、1994;Wuら、J.Biol.Chem.、263:621、1988;Wuら、J.Biol.Chem.、269:542、1994;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:3655、1990;およびWuら、J.Biol.Chem.、266:338、1991に記載されている。ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子療法プロトコールにおける局所投与のための約100ng~約200mgのDNAの範囲内で投与される。約500ng~約50mg、約1μg~約2mg、約5μg~約500μg、および約20μg~約100μgのDNAの濃度範囲も、遺伝子療法プロトコール中に使用されうる。治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源のものでありうる(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy、1:51、1994;Kimura、Human Gene Therapy、5:845、1994;Connelly、Human Gene Therapy、1995、1:185;およびKaplitt、Nature Genetics、6:148、1994を参照)。このようなコード配列の発現は、内因性哺乳動物または異種プロモーターを使用して誘導することができる。コード配列の発現は、構成的であり得、または調節されうる。
【0314】
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞内での発現のためのウイルス系ベクターは、当技術分野で周知である。例示的なウイルス系ビヒクルとしては、それだけに限らないが、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開第WO90/07936号;同第WO94/03622号;同第WO93/25698号;同第WO93/25234号;同第WO93/11230号;同第WO93/10218号;同第WO91/02805号;米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;および欧州特許第0345242号を参照)、アルファウイルス系ベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67;ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373;ATCC VR-1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923;ATCC VR-1250;ATCC VR 1249;ATCC VR-532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開第WO94/12649号、同第WO93/03769号;同第WO93/19191号;同第WO94/28938号;同第WO95/11984号、および同第WO95/00655号を参照)がある。Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147に記載された死滅アデノウイルス(killed adenovirus)に連結されたDNAの投与も使用することができる。
【0315】
それだけに限らないが、死滅アデノウイルス単独に連結された、または連結されていないポリカチオン凝縮DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.、3:147、1992を参照);リガンド連結DNA(例えば、Wu、J.Biol.Chem.、264:16985、1989を参照);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開第WO95/07994号;同第WO96/17072号;同第WO95/30763号;および同第WO97/42338号を参照)、ならびに細胞膜との核電荷中和または融合を含めた、非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も使用されうる。裸のDNAも使用することができる。例示的な裸のDNA導入方法は、PCT公開第WO90/11092号および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用しうるリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開第WO95/13796号;同第WO94/23697号;同第WO91/14445号;およびEP0524968に記載されている。追加の手法は、Philip、Mol.Cell Biol.、14:2411、1994およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.、91:1581、1994に記載されている。
【0316】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のまたは方法を使用して作製されたおよび本明細書に記載の特性を有する抗体を含む医薬組成物を含めた組成物を包含する。本明細書では、組成物は、CD3および腫瘍抗原(例えば、BCMA)に結合する1種もしくは複数の抗体、ならびに/または1種もしくは複数のこれらの抗体をコードする配列を含む1種もしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知である、緩衝液を含む薬学的に許容できる賦形剤などの適当な賦形剤をさらに含みうる。
【0317】
本発明は、これらの抗体のいずれかを作製する方法も提供する。本発明の抗体は、当技術分野で公知の手順によって作製することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、上述した組換え法(すなわち、単一もしくは融合ポリペプチド)によって、または化学合成によって生成することができる。抗体のポリペプチド、特に、最大で約50アミノ酸のより短いポリペプチドは、好都合なことには化学合成によって作製される。化学合成の方法は、当技術分野で公知であり、市販されている。例えば、抗体は、固相法を使用して自動ポリペプチドシンセサイザーによって生成することができる。米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号も参照。
【0318】
2つの共有結合で連結された抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体も、本発明の範囲内である。このような抗体は、免疫系細胞を望まれない細胞に向けるのに(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染を処置するのに(PCT公開第WO91/00360号および同第WO92/200373号;EP03089)使用されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋法を使用して作製されうる。適当な架橋剤および技法は、当技術分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
【0319】
キメラまたはハイブリッド抗体も、架橋剤を伴うものを含めて合成タンパク質化学の公知の方法を使用してin vitroで調製することができる。例えば、免疫毒素を、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって構築することができる。この目的に適した試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチルイミデートがある。
【0320】
組換えヒト化抗体では、Fcγ部分を修飾してFcγ受容体ならびに相補体および免疫系との相互作用を回避することができる。このような抗体を調製するための技法は、WO99/58572号に記載されている。例えば、抗体がヒトにおける臨床治験および処置に使用される場合、定常領域をヒト定常領域により近く似せて免疫応答を回避するように操作することができる。例えば、米国特許第5,997,867号および同第5,866,692号を参照。
【0321】
本発明は、抗体の性質に著しく影響しない機能的に等価な抗体、ならびに活性および/または親和性が増強または低下したバリアントを含めた、本明細書に記載の本発明のバリアントの抗体およびポリペプチドへの修飾を包含する。例えば、アミノ酸配列を突然変異させて、BCMAおよび/またはCD3への所望の結合親和性を有する抗体を得ることができる。ポリペプチドの修飾は、当技術分野で日常の行為であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。修飾ポリペプチドの例としては、アミノ酸残基の保存的置換、機能活性を著しく有害に変化させない、もしくはポリペプチドのそのリガンドに対する親和性を成熟させる(増強する)アミノ酸の1個もしくは複数の欠失もしくは付加、または化学的類似体の使用を有するポリペプチドがある。
【0322】
アミノ酸配列挿入には、1残基~100またはそれ超の残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノおよび/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体、またはエピトープタグに融合した抗体がある。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、抗体のNまたはC末端への、酵素または血液循環中の抗体の半減期を増大させるポリペプチドの融合物がある。
【0323】
置換バリアントは、抗体分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入されている。置換突然変異誘発にとって最も興味深い部位としては、超可変領域があるが、FR変化も企図されている。保存的置換は、「保存的置換」の表題の下で表5に示されている。このような置換が生物活性を変化させる場合、表5に「例示的置換」と命名された、またはアミノ酸クラスへの言及において以下でさらに記載されるより実質的な変化を導入することができ、生成物をスクリーニングすることができる。
【0324】
【表5】
【0325】
抗体の生物学的性質における実質的な改変は、(a)例えば、シートもしくはへリックスコンホメーションとしての置換のエリア内のポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩の維持に対するこれらの効果が有意に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在するアミノ酸残基は、共通の側鎖の性質に基づいて諸群に分けられる:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷を有さない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負に荷電):Asp、Glu;
(4)塩基性(正に荷電):Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His.
【0326】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのうちのメンバーを別のクラスに交換することによって行われる。
【0327】
抗体の適切なコンホメーションの維持に関与していない任意のシステイン残基も、一般にセリンと置換して分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止することができる。反対に、特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合、システイン結合を抗体に加えてその安定性を改善することができる。
【0328】
アミノ酸修飾は、1個または複数のアミノ酸の変更または修飾から可変領域などの領域の完全な再設計に及びうる。可変領域内の変化は、結合親和性および/または特異性を変更しうる。一部の実施形態では、せいぜい1個~5個の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内で行われる。他の実施形態では、せいぜい1個~3個の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内で行われる。さらに他の実施形態では、CDRドメインは、CDR H3および/またはCDR L3である。
【0329】
修飾は、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチド、ならびに他の翻訳後修飾、例えば、異なる糖でのグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などを有するポリペプチドも含む。抗体は、これらの定常領域内の保存された位置でグリコシル化されている(JefferisおよびLund、Chem.Immunol.、65:111~128、1997;WrightおよびMorrison、TibTECH、15:26~32、1997)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、Mol.Immunol.、32:1311~1318、1996;WittweおよびHoward、Biochem.、29:4175~4180、1990)、ならびに糖タンパク質のコンホメーションおよび提示された三次元表面に影響しうる、糖タンパク質の部分同士間の分子内相互作用(JefferisおよびLund、上記;WyssおよびWagner、Current Opin.Biotech.、7:409~416、1996)に影響する。オリゴ糖はまた、所与の糖タンパク質を特異的な認識構造に基づいてある特定の分子に向けるように機能を果たしうる。抗体のグリコシル化も抗体依存性細胞傷害(ADCC)に影響すると報告されている。特に、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)、バイセクティングGlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼのテトラサイクリン調節発現を有するCHO細胞は、改善されたADCC活性を有することが報告された(Umanaら、Mature Biotech.、17:176~180、1999)。
【0330】
抗体のグリコシル化は、典型的にはN結合型またはO結合型である。N結合型は、炭水化物部分の、アスパラギン残基の側鎖への付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン、アスパラギン-X-トレオニン、およびアスパラギン-X-システイン(式中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的付着のための認識配列である。よって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が創製される。O結合型グリコシル化は、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1種のヒドロキシアミノ酸、最も一般にセリンまたはトレオニンへの付着を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用されうる。
【0331】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、好都合なことには、アミノ酸配列が上述したトリペプチド配列のうちの1種または複数(N結合型グリコシル化部位について)を含有するようにアミノ酸配列を変更することによって達成される。変更は、元の抗体の配列に対する1個または複数のセリンまたはトレオニン残基の付加またはこれらによる置換によって行うこともできる(O結合型グリコシル化部位について)。
【0332】
抗体のグリコシル化パターンは、基礎をなすヌクレオチド配列を変更することなく変更することもできる。グリコシル化は、抗体を発現させるのに使用される宿主細胞に概ね依存する。潜在的な治療剤としての組換え糖タンパク質、例えば、抗体の発現に使用される細胞型は、ネイティブ細胞であることはまれであるので、抗体のグリコシル化パターンの変形が予期されうる(例えば、Hseら、J.Biol.Chem.、272:9062~9070、1997を参照)。
【0333】
宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生中にグリコシル化に影響する要因には、増殖モード、培地処方、培養密度、酸素化、pH、精製スキームなどが含まれる。オリゴサッカライド生成に関与するある特定の酵素の導入または過剰発現を含めた、特定の宿主生物において実現されるグリコシル化パターンを変更する様々な方法が提案されている(米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号、および同第5,278,299号)。グリコシル化またはある特定のタイプのグリコシル化は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)、N-グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3を使用して糖タンパク質から酵素的に除去することができる。さらに、組換え宿主細胞は、ある特定のタイプの多糖のプロセシングにおいて不完全であるように遺伝子操作することができる。これらのおよび同様の技法は、当技術分野で周知である。
【0334】
修飾の他の方法としては、それだけに限らないが、酵素的手段、酸化的置換、およびキレート化を含めた当技術分野で公知のカップリング技法の使用がある。修飾は、例えば、イムノアッセイ用標識の付着に使用することができる。修飾ポリペプチドは、当技術分野で確立された手順を使用して行われ、当技術分野で公知の標準アッセイを使用してスクリーニングすることができ、これらの一部は、以下および実施例に記載されている。
【0335】
本発明の一部の実施形態では、抗体は、ヒトFcガンマ受容体への親和性が増大した定常領域などの修飾定常領域を含み、免疫学的に不活性もしくは部分的に不活性であり、例えば、補体媒介溶解を誘発せず、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激せず、もしくはマクロファージを活性化せず、または以下:補体媒介溶解の誘発、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の刺激、もしくはミクログリアの活性化のうちの任意の1つもしくは複数において活性が低減されている(無修飾抗体と比較して)。定常領域の異なる修飾を使用して、エフェクター機能の最適なレベルおよび/または組合せを実現することができる。例えば、Morganら、Immunology、86:319~324、1995;Lundら、J.Immunology、157:4963~9、157:4963~4969、1996;Idusogieら、J.Immunology、164:4178~4184、2000;Taoら、J.Immunology、143:2595~2601、1989;およびJefferisら、Immunological Reviews、163:59~76、1998を参照。一部の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.、1999、29:2613~2624;PCT出願第PCT/GB99/01441号;および/または英国特許出願第9809951.8号に記載されているように修飾される。他の実施形態では、抗体は、以下の突然変異:A330P331からS330S331(野生型IgG2配列を参照したアミノ酸番号付け)を含むヒト重鎖IgG2定常領域を含む。Eur.J.Immunol.、1999、29:2613~2624。さらに他の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化の代わりに非グリコシル化されている。一部の実施形態では、定常領域は、定常領域内のNグリコシル化認識配列の一部であるグリコシル化アミノ酸残基またはフランキング残基を突然変異させることによってN結合型グリコシル化の代わりに非グリコシル化されている。例えば、Nグリコシル化部位N297は、A、Q、K、またはHに突然変異されうる。Taoら、J.Immunology、143:2595~2601、1989;およびJefferisら、Immunological Reviews、163:59~76、1998を参照。一部の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化の代わりに非グリコシル化されている。定常領域は、酵素的に(酵素PNGaseによる炭水化物の除去など)、またはグリコシル化欠損宿主細胞内の発現によってN結合型グリコシル化の変わりに非グリコシル化されうる。
【0336】
他の抗体修飾としては、PCT公開第WO99/58572号に記載されているように修飾された抗体がある。これらの抗体は、標的分子に向けられた結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常領域のすべてまたは一部に実質的に相同のアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含む。これらの抗体は、標的の著しい補体依存性溶解または細胞媒介性破壊を誘発することなく、標的分子を結合させることができる。一部の実施形態では、エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbを特異的に結合させることができる。これらは、典型的には、2つまたはそれ超のヒト免疫グロブリン重鎖C2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。このようにして修飾された抗体は、慣例的な抗体療法に対する炎症性および他の有害反応を回避するために、長期抗体療法で使用するのに特に適している。
【0337】
本発明は、親和性成熟した実施形態を含む。例えば、親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順によって生成することができる(Marksら、Bio/Technology、10:779~783、1992;Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci,USA、91:3809~3813、1994;Schierら、Gene、169:147~155、1995;Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004、1995;Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~9、1995、Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896、1992;およびPCT公開第WO2004/058184号)。
【0338】
以下の方法を抗体の親和性を調整するため、およびCDRを特徴付けるために使用することができる。抗体のCDRを特徴付け、かつ/または抗体などのポリペプチドの結合親和性を変更する(改善するなど)の1つのやり方は、「ライブラリースキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。一般に、ライブラリースキャンニング突然変異誘発は、以下のように働く。CDR内の1個または複数のアミノ酸位置が、当技術分野で承認されている方法を使用して2個またはそれ超(3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20など)のアミノ酸と置き換えられる。これにより、クローンの小ライブラリーが生成され(一部の実施形態では、分析されているアミノ酸位置毎に1つ)、それぞれは、2つまたはそれ超のメンバーの複雑性を有する(2個またはそれ超のアミノ酸が位置毎に置換される場合)。一般に、ライブラリーは、天然(非置換)アミノ酸を含むクローンも含む。各ライブラリーからの少数のクローン、例えば、約20~80クローン(ライブラリーの複雑性に依存する)が、標的ポリペプチド(または他の結合標的)への結合親和性についてスクリーニングされ、結合が増大した、同じ、低下した、または結合しない候補が同定される。結合親和性を判定するための方法は、当技術分野で周知である。結合親和性は、Biacore(商標)表面プラズモン共鳴分析を使用して判定することができ、この分析は、約2倍またはそれ超の結合親和性の差異を検出する。Biacore(商標)は、出発抗体がすでに相対的に高い親和性、例えば、約10nMまたはそれ未満のKで結合する場合、特に有用である。Biacore(商標)表面プラズモン共鳴を使用するスクリーニングは、本明細書で実施例において記載されている。
【0339】
結合親和性は、Kinexa Biocensor、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGENイムノアッセイ(IGEN)、蛍光消光、蛍光移動、および/または酵母ディスプレイを使用して判定することができる。結合親和性は、適当なバイオアッセイを使用してスクリーニングすることもできる。
【0340】
一部の実施形態では、CDR内のあらゆるアミノ酸位置が、当技術分野で承認されている突然変異誘発法(これらの一部は、本明細書に記載されている)を使用して20種すべての天然アミノ酸と置き換えられる(一部の実施形態では、1つずつ)。これにより、クローンの小ライブラリーが生成され(一部の実施形態では、分析されているアミノ酸位置毎に1つ)、それぞれは、20メンバーの複雑性を有する(20種すべてのアミノ酸が位置毎に置換される場合)。
【0341】
一部の実施形態では、スクリーニングされるライブラリーは、2つまたはそれ超の位置内に置換を含み、この位置は、同じCDR内であっても、2つまたはそれ超のCDR内であってもよい。よって、ライブラリーは、1つのCDR内の2つまたはそれ超の位置において置換を含みうる。ライブラリーは、2つまたはそれ超のCDR内の2つまたはそれ超の位置において置換を含みうる。ライブラリーは、3、4、5、またはそれ超の位置において置換を含み得、前記位置は、2、3、4、5、または6つのCDR内で見つかる。置換は、低冗長性コドンを使用して調製されうる。例えば、Balintら、Gene、137(1):109~18、1993の表2を参照。
【0342】
CDRは、CDRH3および/またはCDRL3でありうる。CDRは、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、および/またはCDRH3のうちの1種または複数でありうる。CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、または拡張CDRでありうる。
【0343】
結合が改善された候補をシーケンシングし、それによって親和性を改善するCDR置換突然変異体(「改善された」置換とも呼ばれる)を同定することができる。結合する候補もシーケンシングし、それによって結合を保持するCDR置換を同定することができる。
【0344】
複数ラウンドのスクリーニングを行うことができる。例えば、結合が改善された候補(それぞれ1種または複数のCDRの1つまたは複数の位置でアミノ酸置換を含む)は、各改善されたCDR位置(すなわち、置換突然変異体が結合の改善を示したCDR内のアミノ酸位置)で少なくとも元のおよび置換されたアミノ酸を含有する第2のライブラリーの設計にも有用である。このライブラリーの調製、およびスクリーニングまたは選択は、以下でさらに論じられている。
【0345】
ライブラリースキャンニング突然変異誘発はまた、改善された結合、同じ結合、低下した結合、または結合無しを伴う頻発するクローンも抗体-抗原複合体の安定性について各アミノ酸位置の重要性に関する情報をもたらす限りにおいて、CDRを特徴付けるための手段を提供する。例えば、CDRの位置が、20種すべてのアミノ酸に変更されたときに結合を保持する場合、その位置は、抗原結合に要求される見込みのない位置として同定される。反対に、CDRの位置が、小さいパーセンテージの置換のみにおいて結合を保持する場合、その位置は、CDR機能に重要である位置として同定される。よって、ライブラリースキャンニング突然変異誘発法は、多くの異なるアミノ酸(20種すべてのアミノ酸を含む)に変更することができるCDR内の位置、および変更することができない、または少数のアミノ酸に変更することができるだけであるCDR内の位置に関する情報を生成する。
【0346】
親和性が改善された候補は、第2のライブラリー中で組み合わせることができ、第2のライブラリーは、改善されたアミノ酸、その位置における元のアミノ酸を含み、所望のスクリーニングまたは選択法を使用して望まれる、または許容されるライブラリーの複雑性に応じて、その位置で追加の置換をさらに含むことができる。さらに、必要に応じて、隣接するアミノ酸位置を少なくとも2種またはそれ超のアミノ酸にランダム化することができる。隣接するアミノ酸のランダム化は、突然変異体CDR内に追加のコンホメーション柔軟性を許容することができ、それはひいては、より大きい数の改善突然変異の導入を許容または促進しうる。ライブラリーは、第1のラウンドのスクリーニングにおいて親和性の改善を示さなかった位置での置換も含みうる。
【0347】
第2のライブラリーは、Biacore(商標)表面プラズモン共鳴分析を使用するスクリーニング、ならびにファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、およびリボソームディスプレイを含めた選択について当技術分野で公知の任意の方法を使用する選択を含めた、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、結合親和性が改善および/または変更されたライブラリーメンバーについてスクリーニングまたは選択される。
【0348】
本発明は、固体支持体へのカップリングを促進する作用物質(ビオチンまたはアビジンなど)にコンジュゲートされた(例えば、連結された)抗体を含む組成物も提供する。簡単にするために、これらの方法が本明細書に記載のBCMA抗体実施形態のいずれにも適用されるという理解で、抗体に、一般に参照を行う。コンジュゲーションは一般に、本明細書に記載のこれらのコンポーネントの連結を指す。連結(これは一般に、少なくとも投与のために近接会合でこれらのコンポーネントを固定することである)は、任意の数のやり方で実現されうる。例えば、作用物質と抗体との間の直接反応が、それぞれが他方と反応することができる置換基を有する場合、可能である。例えば、一方の求核基、例えば、アミノまたはスルフヒドリル基などは、他方のカルボニル含有基、例えば、アンヒドリドもしくは酸ハロゲン化物など、または良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応することができる。
【0349】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。
【0350】
任意のこのような配列に相補的なポリヌクレオチドも、本発明によって包含されている。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)であっても二本鎖であってもよく、DNA(ゲノム、cDNA、もしくは合成)またはRNA分子でありうる。RNA分子としては、イントロンを含有し、1対1の様式でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子がある。追加のコードまたは非コード配列が本発明のポリヌクレオチド内に存在しうるが、その必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材に連結されている場合があるが、その必要はない。
【0351】
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわち、抗体もしくはその部分をコードする内在性配列)を含み得、またはこのような配列のバリアントを含みうる。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされるポリペプチドの免疫反応性が天然免疫反応性分子と比べて減少されないような1個または複数の置換、付加、欠失、および/または挿入を含有する。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する効果は一般に、本明細書に記載した通りに査定されうる。バリアントは、好ましくは、天然抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の同一性、より好ましくは、少なくとも約80%の同一性、なおより好ましくは、少なくとも約90%の同一性、最も好ましくは、少なくとも約95%の同一性を呈する。
【0352】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載するように最大対応に関して整列されるとき同じである場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウにわたって配列を比較して配列類似性の局所領域を同定および比較することによって実施される。「比較ウィンドウ」は、本明細書では、少なくとも約20の連続した位置、通常30~約75、または40~約50のセグメントを指し、このウィンドウでは、配列が、同じ数の連続した位置の参照配列と、2つの配列が最適に整列された後比較されうる。
【0353】
比較のための配列の最適な整列は、デフォルトのパラメータを使用して、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)のLasergene一式中のMegalignプログラムを使用して行うことができる。このプログラムは、以下の参考文献:Dayhoff,M.O.、1978、A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationshipsに記載されたいくつかの整列スキームを具現化する。Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC、5巻、補遺3、345~358頁;Hein J.、1990、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626~645頁、Methods in Enzymology、183巻、Academic Press,Inc.、San Diego、CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、1989、CABIOS 5:151~153;Myers,E.W.およびMuller W.、1988年、CABIOS、4:11~17;Robinson,E.D.、1971、Comb.Theor.、11:105;Santou,N.、Nes,M.、1987、Mol.Biol.Evol.、4:406~425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.、1973、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco、CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:726~730において。
【0354】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較のウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって判定され、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適な整列について、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセントまたはそれ未満、通常5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両配列中に存在する位置の数を判定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)によって除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0355】
バリアントも、または代わりに、天然遺伝子またはその部分もしくは相補体に実質的に相同でありうる。このようなポリヌクレオチドバリアントは、天然抗体をコードする天然に存在するDNA配列(または相補配列)に、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる。
【0356】
適当な「中程度にストリンジェントな条件」は、5× SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予洗;50℃~65℃、5× SSCで、一晩のハイブリダイジング;その後の、0.1% SDSを含有する2×、0.5×、および0.2× SSCのそれぞれを用いた65℃で20分にわたる2回の洗浄を含む。
【0357】
本明細書では、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度および高温、例えば、50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを使用し;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミドなどの変性剤、例えば、42℃で、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムとともに、pH6.5の0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液を含む50%(v/v)ホルムアミドを使用し;または(3)0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃での、および55℃での50%ホルムアミド中の洗浄、その後の55℃でのEDTAを含有する0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を伴って、42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%デキストラン硫酸を使用するものである。当業者は、プローブ長などの因子に対応する必要に応じて温度、イオン強度などをどのように調整するかを認識するであろう。
【0358】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載のポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが当業者によって理解されるであろう。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性を担持する。それにもかかわらず、コドン使用頻度の差異に起因して変動するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に企図されている。さらに、本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加、および/または置換などの1個または複数の突然変異の結果として変更されている内在性遺伝子である。得られるmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有しうるが、その必要はない。対立遺伝子は、標準技法(ハイブリダイゼーション、増幅、および/またはデータベース配列比較など)を使用して同定することができる。
【0359】
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法、またはPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に記載される必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列および市販のDNAシンセサイザーを使用して所望のDNA配列を生成することができる。
【0360】
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、本明細書でさらに論じられるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適当なベクター中に挿入することができ、次にベクターを、複製および増幅のために適当な宿主細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の手段によって宿主細胞内に挿入されうる。細胞は、直接取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合、または電気穿孔によって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(プラスミドなど)として細胞内に維持され、または宿主細胞ゲノム内に一体化されうる。このように増幅されたポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrookら、1989を参照。
【0361】
代わりに、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は、当技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号、および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994に記載されている。
【0362】
RNAは、適切なベクター中の単離したDNAを使用し、それを適当な宿主細胞内に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAへと転写されたとき、RNAを、例えば、Sambrookら、1989、上記に示されているように当業者に周知の方法を使用して単離することができる。
【0363】
適当なクローニングベクターを、標準技法に従って構築することができ、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用されるように意図された宿主細胞によって変動しうるが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有することになり、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一標的を有することができ、かつ/またはベクターを含有するクローンの選択において使用することができるマーカーの遺伝子を持つことができる。適当な例としては、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、ブルースクリプト(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターがある。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、市販供給業者、例えば、BioRad、Strategene、およびInvitrogenなどから入手可能である。
【0364】
発現ベクターは一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの一体部分として宿主細胞内で複製可能でなければならないことが暗示される。適当な発現ベクターとしては、それだけに限らないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含めたウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開第WO87/04462号に開示された発現ベクターがある。ベクターコンポーネントとして一般に、それだけに限らないが、以下:シグナル配列;複製起点;1種もしくは複数のマーカー遺伝子;適当な転写制御エレメント(プロモーター、エンハンサー、およびターミネーターなど)のうちの1種または複数を挙げることができる。発現(すなわち、翻訳)のために、1種または複数の翻訳制御エレメント、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および停止コドンなども通常要求される。
【0365】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染因子である場合)を含めたいくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞内に導入することができる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は、宿主細胞の特徴に依存することになることが多い。
【0366】
本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞も提供する。異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的に使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、それだけに限らないが、COS、HeLa、およびCHO細胞がある。PCT公開第WO87/04462号も参照。適当な非哺乳動物宿主細胞としては、原核生物(大腸菌(E.coli)またはB.スブチリス(B.subtillis)など)および酵母(S.セレビジエ(S.cerevisae)、S.ポンべ(S.pombe);またはK.ラクチス(K.lactis)など)がある。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞内で、存在する場合、目的の対応する内因性抗体またはタンパク質のものより、約5倍超、より好ましくは10倍超、さらにより好ましくは20倍超のレベルでcDNAを発現する。BCMAまたはBCMAドメイン(例えば、ドメイン1~4)への特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSによって行われる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
【0367】
二重特異性抗体を使用する方法[治療用途]
本発明の抗体(例えば、BCMA、CD3、または二重特異性)および抗体コンジュゲート(例えば、BCMA抗体-薬物コンジュゲート)は、それだけに限らないが、治療的処置方法および診断的処置方法を含めた様々な用途において有用である。
【0368】
一態様では、本発明は、対象におけるBCMA発現に関連した状態を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、対象におけるBCMA発現に関連した状態を処置する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のBCMA抗体またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物)を投与することを含む。BCMA発現に関連した状態としては、それだけに限らないが、異常なBCMA発現、変更されたもしくは異所性のBCMA発現、BCMAを発現する悪性細胞、および増殖性障害(例えば、がん)、または自己免疫障害がある。
【0369】
別の態様では、本発明は、B細胞関連がん、または腫瘍抗原を発現する悪性細胞を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、必要とする対象におけるB細胞関連がんを処置する方法であって、a)本明細書に記載の二重特異性抗体を準備することと、b)前記患者に前記二重特異性抗体を投与することとを含む、方法が提供されている。一部の実施形態では、対象における腫瘍抗原を発現する悪性細胞に関連した状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の二重特異性抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む、方法が提供されている。
【0370】
したがって、一部の実施形態では、対象におけるがんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性抗体)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。本明細書では、がんは、それだけに限らないが、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーレル病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、B細胞前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(脚型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症に関連したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性カストルマン病において生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との間の中間の特徴を有する未分類のB細胞リンパ腫、ならびに他のB細胞関連リンパ腫を含めたB細胞関連がんでありうる。
【0371】
一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍増殖または進行を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。他の実施形態では、対象におけるBCMAを発現する転移細胞を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。他の実施形態では、対象における悪性細胞内の腫瘍退縮を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。
【0372】
一部の実施形態では、対象における自己免疫障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。
【0373】
本明細書では、自己免疫障害としては、それだけに限らないが、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、糖尿病(I型)、多発性硬化症、アジソン病、セリアック病、皮膚筋炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、橋本脳症、重症筋無力症、悪性貧血、反応性関節炎、シェーグレン症候群、急性播種性脳脊髄炎、無ガンマグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome)、抗合成酵素症候群、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、自己免疫性多腺内分泌症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性じん麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、寒冷凝集素病、クローン病、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、胃腸類天疱瘡、グッドパスチャー症候群、ギランバレー症候群、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、再発性多発性軟骨炎、リウマチ熱、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、血管炎、およびウェジナー肉芽腫症がある。
【0374】
別の態様では、本発明は、必要とする対象におけるBCMA発現に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫障害)を処置するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍増殖または進行を阻害するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物)が提供されている。一部の実施形態では、必要とする対象におけるBCMAを発現する悪性細胞の転移を阻害するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物)が提供されている。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮を誘導するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物)が提供されている。
【0375】
別の態様では、本発明は、必要とする対象におけるBCMA発現に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫障害)を処置するのに使用するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを提供する。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍増殖または進行を阻害するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートが提供されている。一部の実施形態では、必要とする対象におけるBCMAを発現する悪性細胞の転移を阻害するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートが提供されている。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮を誘導するための、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートが提供されている。
【0376】
別の態様では、本発明は、BCMA発現に関連した状態(例えば、がんまたは自己免疫障害)を処置するための医薬の製造における、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの使用を提供する。一部の実施形態では、腫瘍増殖または進行を阻害するための医薬の製造における、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。一部の実施形態では、BCMAを発現する悪性細胞の転移を阻害するための医薬の製造における、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。一部の実施形態では、腫瘍退縮を誘導するための医薬の製造における、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの使用が提供されている。
【0377】
別の態様では、BCMA発現に関連した状態を検出、診断、および/またはモニターする方法が提供されている。例えば、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAまたはCD3-BCMA二重特異性)は、造影剤および酵素-基質標識などの検出可能部分で標識することができる。本明細書に記載の抗体は、in vivoイメージング(例えば、PETもしくはSPECT)などのin vivo診断アッセイ、または染色試薬に使用することもできる。
【0378】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、追加の形態の療法で対象を処置する工程をさらに含む。一部の実施形態では、追加の形態の療法は、それだけに限らないが、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法、および/または追加の免疫療法を含めた追加の抗がん療法である。
【0379】
一部の実施形態では、追加の形態の療法は、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートに加えて、1種または複数の治療剤を投与することを含む。1種または複数の治療剤は、それだけに限らないが、第2の抗体(例えば、抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体(例えば、AVASTIN(登録商標))、抗HER2抗体(例えば、HERCEPTIN(登録商標))、抗CD25抗体、抗CD33抗体、抗CD20抗体(例えば、RITUXAN(登録商標))、抗ムチン様糖タンパク質抗体、抗TNF抗体、および/または上皮成長因子受容体(EGFR)抗体(例えば、ERBITUX(登録商標)))、血管新生阻害剤、細胞傷害性剤(例えば、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、およびミトキサントロン)、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド)、ツブリシン、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル)、白金含有剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン)、アルキル化剤(例えば、メルファラン、シクロホスファミド、またはカルムスチン)、およびヘミアステルリン)、免疫調節剤(例えば、プレドニゾンおよびレナリドミド(REVLIMID(登録商標)))、抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ボロゾール、フォルメスタン、またはテストラクトン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、VELCADE(登録商標)([(1R)-3-メチル-1-[[(2S)-1-オキソ-3-フェニル-2-[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸などのボルテゾミブ、またはカルフィルゾミブ)、ならびにタモキシフェンなどの他の作用物質を含めた化学療法剤でありうる。
【0380】
例えば、一部の実施形態では、多発性骨髄腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲート、および1種または複数の他の治療剤、例えば、化学療法剤(例えば、ドキソルビシンもしくはカルフィルゾミブ)、またはサリドマイドもしくはその誘導体(例えば、レナリドミド(REVLIMID(登録商標)))を含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。一部の実施形態では、1種または複数の他の治療剤は、ボルテゾミブ(例えば、VELCADE(登録商標))、メルファラン、プレドニゾン、ドキソルビシン、レナリドミド、サリドマイド、プレドニゾン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、シクロホスファミド、カルフィルゾミブ、およびビンクリスチンからなる群から選択している。一部の実施形態では、他の治療剤は、ボルテゾミブ(例えば、VELCADE(登録商標))、メルファラン、レナリドミド(REVLIMID(登録商標))、カルフィルゾミブ、ドキソルビシン、またはプレドニゾンである。したがって、多発性骨髄腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲート、ならびにボルテゾミブ、レナリドミド、カルフィルゾミブ、およびドキソルビシンからなる群から選択される1種または複数の他の治療剤を含む有効量の組成物を投与することを含む、方法が提供されている。一部の実施形態では、患者は、以前の多発性骨髄腫療法に対して再発性または難治性である。
【0381】
抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、任意の適当な経路を介して個体に投与することができる。本明細書に記載した例は、利用可能な技法を限定するように意図されておらず、例示するものであるように意図されていることが当業者によって理解されるべきである。したがって、一部の実施形態では、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、例えば、ボーラスのような静脈内投与、またはある時間にわたる持続インフュージョンによるもの、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液包内によるもの、吹送、髄腔内、経口、吸入、もしくは局部的な経路を介したものなどの公知の方法に合わせて個体に投与される。投与は、全身性、例えば、静脈内投与、または局在的でありうる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含めた液体製剤用の市販のネブライザーが、投与に有用である。液体製剤は、直接的に噴霧することができ、凍結乾燥粉末を再構成後に噴霧することができる。代わりに、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、フルオロカーボン製剤および定量吸入器を使用してエアロゾル化することができ、または凍結乾燥し、粉砕した粉末として吸入することができる。
【0382】
一実施形態では、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、部位特異的なまたは標的化された局所的送達技法を介して投与される。部位特異的なまたは標的化された局所的送達技法の例としては、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの様々なインプラント可能なデポー供給源、あるいは局所的送達カテーテル、例えば、インフュージョンカテーテル、留置カテーテル、またはニードルカテーテルなど、合成移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントまたは他のインプラント可能デバイス、部位特異的担体、直接注射、あるいは直接塗布がある。例えば、PCT公開第WO00/53211号および米国特許第5,981,568号を参照。
【0383】
抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの様々な製剤を投与に使用することができる。一部の実施形態では、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、そのまま投与されうる。一部の実施形態では、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートおよび薬学的に許容できる賦形剤は、様々な製剤中に存在しうる。薬学的に許容できる賦形剤は、当技術分野で公知であり、薬理学的に有効な物質の投与を促進する相対的に不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは粘稠度を与え、または希釈剤として作用することができる。適当な賦形剤としては、それだけに限らないが、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、様々なオスモル濃度のための塩、封入剤、緩衝液、ならびに皮膚浸透エンハンサーがある。賦形剤ならびに非経口および非経口でない(nonparenteral)薬物送達用の製剤は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21版、Mack Publishing、2005に示されている。
【0384】
一部の実施形態では、これらの作用物質は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために製剤化される。したがって、これらの作用物質は、薬学的に許容できるビヒクル、例えば、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液などと組み合わせることができる。特定の投与レジメン、すなわち、用量、タイミング、および繰り返しは、特定の個体およびその個体の医療歴に依存することになる。
【0385】
本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)によるものを含めて、任意の適当な方法を使用して投与することができる。抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、本明細書に記載されるように、吸入を介して投与することもできる。一般に、抗体(例えば、BCMAまたはCD3-BCMA二重特異性)およびBCMA抗体コンジュゲートの投与に関して、最初の候補投与量は、約2mg/kgでありうる。本発明の目的に関して、典型的な1日投与量は、上述した要因に応じて約3μg/kg~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kg~30mg/kg~100mg/kgまたはそれ超の範囲でありうる。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投与量が使用されうる。数日またはそれ超にわたる繰り返し投与に関して、状態に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起こるまで、または十分な治療レベルが実現されて、例えば、腫瘍増殖/進行もしくはがん細胞の転移が阻害もしくは遅延されるまで持続される。例示的な投薬レジメンは、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの約2mg/kgの初期用量、その後の約1mg/kgの毎週の維持用量、またはその後の隔週の約1mg/kgの維持用量の投与を含む。他の例示的な投薬レジメンは、漸増用量(例えば、1mg/kgの初期用量、および1週間またはそれより長い時間毎の1回または複数回のより高い用量への段階的増加)の投与を含む。他の投与レジメンも、専門家が実現するように望む薬物動態学的減衰のパターンに応じて有用でありうる。例えば、一部の実施形態では、1週間に1回から4回の投薬が企図されている。他の実施形態では、月1回または隔月に1回または3カ月毎の投薬が企図されている。この療法の進行は、慣例的な技法およびアッセイによって容易にモニターされる。投薬レジメン(抗体(例えば、使用されるBCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む)は、経時的に変動しうる。
【0386】
本発明の目的に関して、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの適切な投与量は、使用される抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲート(あるいはその組成物)、処置される症状のタイプおよび重症度、作用物質が治療目的で投与されるか否か、以前の療法、患者の病歴および作用物質への応答、患者の投与される作用物質に関するクリアランス速度、ならびに主治医の自由裁量に依存することになる。典型的には、臨床医は、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを、所望の結果を実現する投与量に到達するまで投与することになる。用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変動しうる。半減期などの経験的な考慮事項は一般に、投与量の判定に寄与する。例えば、ヒト免疫系に適合する抗体、例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体などを使用して、抗体の半減期を延長し、抗体が宿主の免疫系によって攻撃されるのを防止することができる。投与の頻度は、療法の過程にわたって判定および調整することができ、一般に、しかし必ずしもではないが、症状の処置および/または抑制および/または寛解および/または遅延、例えば、腫瘍増殖阻害または遅延などに基づく。代わりに、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの連続持続製剤(sustained continuous release formulation)が適切でありうる。持続放出を実現するための様々な製剤およびデバイスが当技術分野で公知である。
【0387】
一実施形態では、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの投与量は、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの1回または複数回の投与を与えられている個体において経験的に判定されうる。個体は、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの漸増投与量を与えられる。効力を査定するために、疾患のインジケータが採用されうる。
【0388】
本発明における方法による抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの投与は、例えば、レシピエントの生理的条件、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、および熟練した専門家に公知の他の要因に応じて連続的または断続的でありうる。抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの投与は、予め選択された時間にわたって本質的に連続的であり得、または一連の間隔を置いた投薬でありうる。
【0389】
一部の実施形態では、1種を超える抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートが存在しうる。少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種の異なる、またはそれ超の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートが存在しうる。一般に、これらの抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートは、互いに悪影響しない相補的活性を有しうる。例えば、以下の抗体の1種または複数を使用することができる:BCMAまたはCD3上の1つのエピトープに向けられた第1のBCMAまたはCD3抗体およびBCMAまたはCD3上の異なるエピトープに向けられた第2のBCMAまたはCD3抗体。
【0390】
本発明によって使用される抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートの治療用製剤は、所望の程度の純度を有する抗体を任意選択の薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21版、Mack Publishing、2005)と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で貯蔵するために調製される。許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸など;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなど;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含みうる。
【0391】
抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含有するリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688、1985;Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、77:4030、1980;ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されたものなどの当技術分野で公知の方法によって調製される。循環時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームは、所望の直径を有するリポソームを生じるように、規定された孔サイズのフィルターに通して押出される。
【0392】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法によって、または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)における、またはマクロエマルジョンにおける、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に封入することもできる。このような技法は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21版、Mack Publishing、2005に開示されている。
【0393】
持続放出調製物を調製することができる。持続放出調製物の適当な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスがあり、このマトリックスは、造形品の形態、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルにある。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸塩から構成される注射用ミクロスフェア)など、スクロースアセテートイソブチレート、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸がある。
【0394】
in vivo投与に使用される製剤は、滅菌したものでなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に達成される。治療抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲート組成物は一般に、滅菌したアクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアル中に入れられる。
【0395】
本発明による組成物は、経口、非経口、もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹送による投与のための単位剤形、例えば、錠剤、ピル、カプセル剤、粉末、顆粒剤、溶液もしくは懸濁液、または坐剤などでありうる。
【0396】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な活性成分は、薬学的担体、例えば、慣例的な錠剤化成分、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、またはガムなど、および他の薬学的希釈剤、例えば、水と混合されて、本発明の化合物またはその無毒性の薬学的に許容できる塩の均質混合物を含有する固形予備製剤組成物が形成される。これらの予備製剤組成物を均質として言及するとき、それは、活性成分が組成物全体にわたって均等に分散しており、その結果組成物が、同等に有効な単位剤形、例えば、錠剤、ピル、およびカプセル剤などに容易に細分されうることを意味する。次いでこの固形予備製剤組成物は、0.1~約500mgの本発明の活性成分を含有する上述したタイプの単位剤形に細分される。新規組成物の錠剤またはピルは、被覆または別に配合されて、持続性作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤またはピルは、内側投与および外側投与コンポーネントを含み得、後者は、前者の上の外被の形態にある。2つのコンポーネントは、腸溶性層によって分離することができ、この腸溶性層は、胃内での崩壊に耐えるように機能を果たし、内側コンポーネントが十二指腸中にインタクトで通過し、または放出が遅延されることを可能にする。様々な材料をこのような腸溶性層または被覆剤に使用することができ、このような材料としては、いくつかのポリマー酸、およびポリマー酸のシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物がある。
【0397】
適当な表面活性剤としては、特に、非イオン剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(商標)20、40、60、80、または85)および他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80、または85)などがある。表面活性剤を含む組成物は、好都合なことには0.05から5%の間の表面活性剤を含むことになり、0.1から2.5%の間でありうる。必要であれば、他の成分、例えば、マンニトールまたは他の薬学的に許容できるビヒクルが添加されうることが理解されるであろう。
【0398】
適当なエマルジョンは、市販の脂肪エマルジョン、例えば、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)などを使用して調製することができる。活性成分は、予備混合エマルジョン組成物中に溶解させてもよく、または代わりにこれは、油(例えば、ダイズ油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、もしくは扁桃油)、およびリン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質、もしくはダイズレシチン)と水を混合すると形成されるエマルジョン中に溶解させてもよい。エマルジョンの張性を調整するために、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースが添加されうることが理解されるであろう。適当なエマルジョンは、典型的には最大で20%の油、例えば、5から20%の間の油を含有することになる。脂肪エマルジョンは、0.1から1.0μm、特に0.1から0.5μmの間の脂肪滴を含み、5.5~8.0の範囲内のpHを有しうる。
【0399】
エマルジョン組成物は、抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートをIntralipid(商標)またはそのコンポーネント(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロール、および水)と混合することによって調製されるものでありうる。
【0400】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容できる水性もしくは有機溶媒またはその混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記に示した適当な薬学的に許容できる賦形剤を含有しうる。一部の実施形態では、組成物は、局所的または全身的効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは滅菌した薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、ガスを使用することによって霧状にすることができる。霧状にされた溶液は、噴霧器から直接的に呼吸される場合があり、または噴霧器は、フェイスマスク、テント、もしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから好ましくは経口的または経鼻的に投与されうる。
【0401】
組成物
本発明の方法で使用される組成物は、有効量の本明細書に記載の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む。このような組成物の例、およびどのように製剤化するかは、先のセクションおよび以下にも記載されている。一部の実施形態では、組成物は、1種または複数の抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲートを含む。例えば、BCMA抗体またはCD3-BCMA二重特異性抗体は、ヒトBCMAまたはCD3-BCMAを認識する。一部の実施形態では、BCMAまたはCD3-BCMA抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。一部の実施形態では、BCMA抗体またはCD3-BCMA抗体は、所望の免疫応答、例えば、抗体媒介溶解またはADCCなどを誘発することができる定常領域を含む。他の実施形態では、BCMA抗体またはCD3-BCMA抗体は、望まれないまたは望ましくない免疫応答、例えば、抗体媒介溶解またはADCCなどを誘発しない定常領域を含む。
【0402】
組成物は、1種を超える抗体(例えば、BCMAもしくはCD3-BCMA二重特異性)またはBCMA抗体コンジュゲート(例えば、BCMAまたはCD3およびBCMAの異なるエピトープを認識するBCMA抗体またはCD3-BCMA二重特異性抗体の混合物)を含みうることが理解される。他の例示的な組成物は、同じエピトープを認識する1種を超えるBCMA抗体、CD3-BCMA抗体、もしくはBCMA抗体コンジュゲート、またはBCMA(例えば、ヒトBCMA)もしくはCD3およびBCMA(ヒトCD3およびBCMA)の異なるエピトープに結合するBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、もしくはBCMA抗体コンジュゲートの異なる種を含む。
【0403】
本発明で使用される組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定剤(Remington:The Science and practice of Pharmacy、21版、2005、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)をさらに含みうる。許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、緒投与量および諸濃度でレシピエントに無毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸など;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなど;グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含みうる。薬学的に許容できる賦形剤は、本明細書でさらに記載されている。
【0404】
キット
本発明は、本方法で使用するためのキットも提供する。本発明のキットは、本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲート、および本明細書に記載の本発明の方法のいずれかに従って使用するための指示書を含む1つまたは複数の容器を含む。一般に、これらの指示書は、上述した治療的処置のためのBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートの投与の記述を含む。
【0405】
本明細書に記載のBCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートの使用に関する指示書は一般に、意図された処置のための投与量、投薬スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)、またはサブユニット用量でありうる。本発明のキットに供給される指示書は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)上の書面による指示書であるが、機械可読な指示書(例えば、磁気または光記憶ディスクに収容される指示書)も許容できる。
【0406】
本発明のキットは、適当な包装内に存在する。適当な包装としては、それだけに限らないが、バイアル、瓶、広口瓶、フレキシブル包装(例えば、密封マイラーまたはビニール袋)などがある。特定のデバイス、例えば、吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザ)、またはミニポンプなどのインフュージョンデバイスなどと組み合わせて使用するためのパッケージも企図されている。キットは、滅菌したアクセスポートを有しうる(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルでありうる)。容器も、滅菌したアクセスポートを有しうる(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルでありうる)。組成物中の少なくとも1種の活性剤は、BCMA抗体、CD3-BCMA二重特異性抗体、またはBCMA抗体コンジュゲートである。容器は、第2の医薬活性剤をさらに含みうる。
【0407】
キットは、追加のコンポーネント、例えば、緩衝液および解釈情報などを提供してもよい。通常、キットは、容器および容器上のまたは容器に付随したラベルまたは添付文書を含む。
【0408】
以下の実施例は、例示的な目的のみのために提供されており、決して本発明の範囲を限定するように意図されていない。実際に、本明細書に示し、記載したものに加えて、本発明の様々な改変が、上記の記述から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入る。
【実施例0409】
(実施例1)
25℃および/または37℃におけるhBCMA/ヒトIgG相互作用の動態および親和性の判定
本実施例は、25℃および37℃における様々な抗BCMA抗体の動態および親和性を判定する。
【0410】
すべての実験は、Bio-Rad Proteon XPR36表面プラズモン共鳴バイオセンサー(Bio-Rad、Hercules、CA)で実施した。抗BCMA抗体のアレイを、Abdicheら、Anal.Biochem.、411、139~151(2011)に記載されたものと同様にBio-Rad GLCセンサーチップ上でアミンカップリング法を使用して調製した。固定化についての分析温度は、25℃であり、ランニング緩衝液は、HBS-T+(10mM HEPES、150mM NaCl、0.05% Tween-20、pH7.4)であった。1mM ECDおよび0.25mM NHSの混合物を30μL/分の流量で3分間注入することによって分析物(水平)方向にチャネルを活性化した。IgGを、10mMアセテート pH4.5緩衝液中20μg/mLで、30μL/分で1.5分間リガンド(垂直)方向にこれらを注入することによって活性化されたスポット上に固定化した。活性化された表面は、1Mエタノールアミン、pH8.5を30μL/分で3分間分析物方向に注入することによってブロックした。
【0411】
hBCMA結合分析の分析温度は、1mg/mL BSAを補充したHBS-T+のランニング緩衝液中37℃または25℃であった。速度論的滴定法をAbdicheらに記載されたように相互作用分析に使用した。hBCMA(ヒトBCMA)分析物を、低~高濃度の一連の注入を使用して分析物方向に注入した。使用した濃度は、0.08nM、0.4nM、2nM、10nM、および50nM(5倍希釈係数および50nMのトップ濃度を用いた5メンバーシリーズ)であった。所与の分析物希釈液の会合時間は、2分であった。50nM hBCMA注入直後に、解離を2時間モニターした。hBCMA分析物注入の前に、緩衝液をhBCMA分析物サイクルにおける同じ会合および解離時間を使用して5回注入して、二重参照目的(Myszka、J.Mol.Recognit.、12、279~284(1999)に記載された二重参照)のための緩衝液ブランクセンサーグラムを準備した。
【0412】
センサーグラムを二重参照し、BIAevaluationソフトウェアバージョン4.1.1(GE Lifesciences、Piscataway、NJ)中の質量輸送速度論的滴定(mass transport kinetic titration)モデルを用いて1:1ラングミュアにフィッティングした。センサーグラムおよびフィッティングを図1に示し、本発明の様々な抗BCMA抗体の動態および親和性パラメータを表6A~6Cに示す。
【0413】
【表6】
【0414】
【表7-1】
【0415】
【表7-2】
【0416】
【表7-3】
【0417】
【表7-4】
【0418】
【表8-1】
【0419】
【表8-2】
【0420】
(実施例2)
BCMA陽性腫瘍細胞上のヒト抗BCMA抗体のフローサイトメトリー
本実施例は、本発明の様々なBCMA抗体によるBCMA陽性腫瘍細胞の結合を実証する。
【0421】
マウスIgG2aにおいて発現されるヒト抗hBCMAの結合を、フローサイトメトリーによってBCMA発現細胞(KMS12BM、L363、MM1S、およびKMS12PE)で査定した。250,000細胞を、結合緩衝液(PBS(リン酸緩衝溶液)+0.2% BSA(ウシ血清アルブミン))100μL中の抗体0.5μgとともにインキュベートし、その後Alex Fluor647コンジュゲート抗マウスIgG(Biolegend)とともにインキュベートした。表7は、様々なBCMA抗体(例えば、Combo_Rd4_0.6nM_C29、A02_Rd4_6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C16、およびP6E01/H3TAQ)によるBCMA陽性腫瘍細胞上のMFI(平均蛍光強度)を示す。
【0422】
【表9】
【0423】
(実施例3)
BCMA陽性細胞における抗BCMA ADCの細胞傷害性
本実施例は、BCMA陽性細胞における抗BCMA ADCの効力を例示する。
【0424】
ヒト抗BCMA(L3.PY/P6E01、L3.PY/H3.TAQ、Combo_Rd4_0.6nM_C29、A02_Rd4_6nM_C01、およびA02_Rd4_6nM_C16)抗体を、2、4、および6の薬物抗体比(DAR)についてグルタミン含有トランスグルタミナーゼ(「Q」)タグで操作された(例えば、LCQ05、H7c、N297A、N297Q、N297A/H7c、N297Q/LCQ05)ヒトIgG1サブタイプとして発現させた。それぞれ、TG17は、配列番号472(LLQGPP)に対応し、LCQ05は、配列番号474(GGLLQGPP)に対応し、H7cは、配列番号454(LLQG)に対応し、表8に示したようにAcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101(アセチル-リシン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノ-PEG6-C2-Aur3377、またはアミノ-PEG6-C2-Aur0131とコンジュゲートさせた。一事例では、トランスグルタミナーゼタグは、軽鎖、重鎖、または軽および重鎖の組合せにおいて操作することができる。他の事例では、トランスグルタミナーゼタグ(例えば、Q)は、ヒトIgGの297位(EU番号付けスキーム)などの抗体の部位で操作される。例えば、野生型アミノ酸アスパラギン(N)を、本発明のBCMA抗体の297位でグルタミンまたはアラニンと置換する(N297QまたはN297A)。次いでAur0101、Aur3377、およびAur0131への抗BCMA抗体コンジュゲーションを、特異的部位(例えば、重鎖もしくは軽鎖のカルボキシル末端もしくはアミノ末端、297位、または抗体の別の部位で)で標的化されるグルタミンまたはグルタミンタグを持つ抗BCMA抗体とペイロード(例えば、MMAD、Aur0101、Aur3377、またはAur0131)のアミン含有誘導体との間の微生物トランスグルタミナーゼ触媒アミド基転移反応を介して実現した。一部の事例では、222、340、または370位(EU番号付けスキームによる)における野生型アミノ酸リシンをアミノ酸アルギニンと置き換えた(「K222R」、「K340R」、または「K370R」)。例えば、K222R置換は、より均質な抗体およびペイロードコンジュゲート、抗体とペイロードとの間のより良好な分子間架橋、および/または抗体軽鎖のC末端上のグルタミンタグとの鎖間架橋の著しい低下をもたらすという意外な効果を有することが判明した。
【0425】
アミド基転移反応では、抗体上のグルタミンは、アシルドナーとして作用し、アミン含有化合物は、アシルアクセプター(アミンドナー)として作用した。1~150μMの濃度の精製抗BCMA抗体を、pH範囲6.2~8.8の10~1000mM NaCl、および25mM MES、HEPES[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]またはTris HCl緩衝液中、0.23~0.55%(w/v)ストレプトベルチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(商標)、Ajinomoto、日本)の存在下で、5μM~15mMの間の範囲の5~100モル過剰のアシルアクセプターとともにインキュベートした。反応条件を個々のアシルアクセプター誘導体について調整し、最適な効率および特異性は、典型的には、75mM NaCl、25mM Tris HCl、pH8.5中の33μM抗体、0.67mM誘導体、および0.378%(w/v)トランスグルタミナーゼで観察された。20~37℃で1~24時間インキュベートした後、抗体を、GE Healthcare製の市販の疎水性相互作用クロマトグラフィーなどの当業者に公知の標準的なクロマトグラフィー法を使用してブチルセファロース高性能(ブチルHP)樹脂(GE Healthcare、Waukesha、WI)で精製した。
【0426】
次いで標的発現(MM1.S、KMS12BM、およびL363)細胞を、3000細胞/ウェルで透明底プレートに播種した。細胞を、4倍連続希釈抗体-薬物コンジュゲートを用いて三つ組で処置した。細胞生存能を、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay 96(Promega、Madison WI)によって処置して96時間後に判定した。相対的な細胞生存能は、未処置対照のパーセンテージとして判定した。EC50は、Prismソフトウェアによって計算した。表8は、トランスグルタミナーゼタグおよびリンカーによって細胞傷害性剤0101、3377、および0131にコンジュゲートされた本発明のすべてのヒト抗BCMA抗体が、BCMA発現細胞内で強力な細胞殺傷活性を発揮することを示す。
【0427】
【表10】
【0428】
(実施例4)
抗BCMA ADCは、正所性多発性骨髄腫モデルにおいて腫瘍退縮を誘導する
本実施例は、MM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を例示する。
【0429】
BCMA ADCのin vivo効力スタディを、正所性モデルにおいてルシフェラーゼおよびGFP(緑色蛍光タンパク質)を発現する多発性骨髄腫細胞株MM1.Sを用いて実施した。1000万個のMM1.S LucGFP細胞を、生後6~8週の雌CB17/SCID動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にする。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について1~3E6の平均に到達したとき、動物を群にランダム化し、単回用量の抗体軽鎖のC末端でLCQ05/K222R-vc0101とコンジュゲートしたヒト抗BCMA抗体および対照コンジュゲートをボーラス尾静脈注射によって投与した。動物が後肢麻痺、MM1.S正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を殺した。図2は、P6E01/P6E01-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101;P5A2_VHVL-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101;P5C1_VHVL-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101;P4G4-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101;およびP1A11-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101を含めて、3mg/kgでの単回用量の様々なヒト抗BCMA ADCが、陰性対照(NNC)と比較して腫瘍進行を阻害することを示す。
【0430】
本スタディは、BCMA-ADCでの処置が多発性骨髄腫の進行を阻害することを実証する。
【0431】
(実施例5)
抗BCMA ADCは、正所性多発性骨髄腫モデルにおいて腫瘍退縮および阻害を誘導する
本実施例も、MM1.S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を例示する。
【0432】
BCMA ADCのin vivo効力スタディを、正所性モデルにおいてルシフェラーゼおよびGFPを発現する多発性骨髄腫細胞株MM1.Sを用いて実施した。1000万個のMM1.S LucGFP細胞を、生後6~8週の雌CB17/SCID動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にする。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について1~3E6の平均に到達したとき、動物を群;1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377、2)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、3)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、4)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、5)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、および6)対照コンジュゲートLCQ04/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101にランダム化した。単回用量のヒト抗BCMA ADCおよび対照コンジュゲートをボーラス尾静脈注射によって投与した。動物が後肢麻痺、MM1.S正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を殺した。図3は、単回用量の1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131および2)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377とコンジュゲートされたヒト抗BCMA L3.PY/P6E01抗体が腫瘍退縮をもたらしたことを示す。単回用量の1)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、2)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、および3)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101とコンジュゲートされたヒト抗BCMA L3.PY/P6E01抗体は、腫瘍阻害をもたらした。
【0433】
したがって、本スタディは、BCMA-ADCでの処置が多発性骨髄腫の退縮を誘導し、進行を阻害することを実証する。
【0434】
(実施例6)
抗BCMA ADCは、正所性多発性骨髄腫モデルにおいて腫瘍阻害を誘導する
本実施例も、KMS12BM正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力を例示する。
【0435】
BCMA ADCのin vivo効力スタディを、正所性モデルにおいてルシフェラーゼおよびGFPを発現する多発性骨髄腫細胞株KMS12BMを用いて実施した。生後6~8週の雌NSG動物を100cGyで照射し、照射して24時間後に、1000万個のKMS12BM LucGFP細胞を尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にする。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について5E6の平均に到達したとき、動物を群;1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377、2)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur010、3)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、4)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、5)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、および6)対照コンジュゲートLCQ04/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101にランダム化した。単回用量のヒト抗BCMA ADCおよび対照コンジュゲートをボーラス尾静脈注射によって投与した。動物が、KMS12BM正所性モデルのエンドポイントである、全身体重の15%超を失ったとき、動物を殺した。図4は、単回用量の1)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-3377、2)N297Q/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、3)LCQ05/K222R-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101、4)H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、および5)N297Q/K222R/LCQ05-AcLys-Val-Cit-PABC-Aur0101とコンジュゲートされたヒト抗BCMA L3.PY/P6E01抗体が腫瘍阻害をもたらしたことを示す。
【0436】
したがって、本スタディは、BCMA-ADCでの処置が多発性骨髄腫の退縮を誘導し、進行を阻害することをさらに実証する。
【0437】
(実施例7)
MM1S正所性モデルにおける抗BCMA ADCの用量応答曲線
本実施例は、MM1S正所性多発性骨髄腫モデルにおける抗BCMA ADCのin vivo効力をさらに例示する。
【0438】
BCMA ADCのin vivo効力スタディを、正所性モデルにおいてルシフェラーゼおよびGFPを発現する多発性骨髄腫細胞株MM1.Sを用いて実施した。1000万個のMM1.S LucGFP細胞を、生後6~8週の雌CB17/SCID動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にする。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について1.2E6の平均に到達したとき、動物を群;1)0.1mg/kg H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、2)0.38mg/kg H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、3)0.75mg/kg H7c/N297A/K222-アミノ-PEG6-C2-0131、4)1.5mg/kg H7c/N297A/K222R-アミノ-PEG6-C2-0131、および5)3mg/kg対照コンジュゲートN297Q/K222R-AcLys-VC-0101にランダム化した。単回用量のヒト抗BCMA ADCおよび対照コンジュゲートをボーラス尾静脈注射によって投与した。動物が後肢麻痺、MM1.S正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を殺した。図5は、単回用量の上記群1)-4)とコンジュゲートされたヒト抗BCMA COMBO_Rd4_0.6nM_C29抗体が、0.1mg/kgで開始する腫瘍退縮および0.75mg/kgで開始する最大100日の腫瘍阻害をもたらしたことを示す。
【0439】
したがって、本スタディは、BCMA-ADCでの処置が多発性骨髄腫における腫瘍退縮および腫瘍阻害を誘導することを実証する。
【0440】
(実施例8)
ヘテロ二量体抗体の生成および精製
本実施例は、本願のヘテロ二量体抗体の生成および精製を記載する。
【0441】
ヒト特異的抗CD3抗体の可変領域を、それぞれ以下の突然変異221R、228R、およびK409R;または223R、225R、228R、およびK409Rを含有するヒトIgG1またはIgG2ΔA中にクローニングし、hIgG1 RRRまたはIgG2ΔA-RRRRと呼んだ。
【0442】
抗標的抗体の可変領域を、それぞれ以下の突然変異221E、228E、L368Eまたは223E、225E、228E、およびL368Eを含有するヒトIgG1またはIgG2ΔA中にクローニングし、hIgG1EEEまたはhIgG2ΔA-EEEEと呼んだ。
【0443】
ヘテロ二量体を、国際特許出願第PCT/US2011/036419号(WO2011/143545)に記載された通り、hIgG1 RRRまたはIgG2ΔA-RRRR突然変異を有する抗CD3 IgG1またはIgG2ΔAを、hIgG1EEEまたはhIgG2ΔA-EEEE突然変異を有する抗標的抗体とともに、1mMまたは2mM GSHを含むPBS中で37℃にて24時間インキュベートすることによって調製した。ヘテロ二量体を、以下に記載するようにイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。
【0444】
すべてのヘテロ二量体をイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。簡単に言えば、Fc-ヘテロおよびFc-ホモ二量体の分析的イオン交換分離を、弱カチオン交換DIONEX Propac WCX-10G(4×50mm)カラムを備えたAgilent 1100クォータナリポンプLCシステム(Agilent Inc、Santa Clara、CA、USA)で実行した。5%緩衝液A(20mM MES pH5.4)中のタンパク質を注入し、1ml/分の流量で20分の期間にわたって25%~75%緩衝液B(20mM MES pH5.4および500mM NaCl)の勾配で溶出させた。より大きいスケールのFc-ヘテロ二量体精製は、弱カチオン交換DIONEX Propac WCX-10G(4×250mm)カラムを備えたAktaエクスプローラー(GE)で実施した。5%緩衝液A(20mM MES pH5.4)中のタンパク質を注入し、1ml/分の流量で60分の期間にわたって15%~75%緩衝液B(20mM MES pH5.4および500mM NaCl)の勾配で溶出させた。
【0445】
(実施例9)
25℃および/または37℃におけるhCD3/ヒトIgG相互作用の動態および親和性の判定
本実施例は、25℃および37℃における様々な抗CD3抗体の動態および親和性を判定する。
【0446】
すべての実験は、Bio-Rad Proteon XPR36表面プラズモン共鳴バイオセンサー(Bio-Rad、Hercules、CA)で実施した。抗CD3抗体のアレイを、Abdicheら、Anal.Biochem.、411、139~151(2011)に記載されたものと同様にBio-Rad GLCセンサーチップ上でアミンカップリング法を使用して調製した。固定化についての分析温度は、25℃であり、ランニング緩衝液は、HBS-T+(10mM HEPES、150mM NaCl、0.05% Tween-20、pH7.4)であった。1mM ECDおよび0.25mM NHSの混合物を30μL/分の流量で3分間注入することによって分析物(水平)方向にチャネルを活性化した。IgGを、10mMアセテート pH4.5緩衝液中20μg/mLで、30μg/mLで1.5分間リガンド(垂直)方向にこれらを注入することによって活性化されたスポット上に固定化した。活性化された表面は、1Mエタノールアミン、pH8.5を30μL/分で3分間分析物方向に注入することによってブロックした。
【0447】
hCD3結合分析の分析温度は、1mg/mL BSAを補充したHBS-T+のランニング緩衝液中37℃または25℃であった。速度論的滴定法をAbdicheらに記載されたように相互作用分析に使用した。hCD3(ヒトCD3)分析物を、低~高濃度の一連の注入を使用して分析物方向に注入した。使用した濃度は、0.08nM、0.4nM、2nM、10nM、および50nM(5倍希釈係数および50nMのトップ濃度を用いた5メンバーシリーズ)であった。所与の分析物希釈液の会合時間は、2分であった。50nM hCD3注入直後に、解離を2時間モニターした。hCD3分析物注入の前に、緩衝液をhCD3分析物サイクルにおける同じ会合および解離時間を使用して5回注入して、二重参照目的(Myszka、J.Mol.Recognit.、12、279~284(1999)に記載された二重参照)のための緩衝液ブランクセンサーグラムを準備した。
【0448】
センサーグラムを二重参照し、BIAevaluationソフトウェアバージョン4.1.1(GE Lifesciences、Piscataway、NJ)中の質量輸送速度論的滴定モデルを用いて1:1ラングミュアにフィッティングした。本発明の様々な抗CD3抗体の動態および親和性パラメータを表9に示す。
【0449】
【表11】
【0450】
(実施例10)
B細胞およびCD8+ T細胞上のヒト抗CD3二重特異性抗体のフローサイトメトリー
本実施例は、CD20+細胞における抗CD3-抗CD20二重特異性抗体の効力を実証する。
【0451】
カニクイザルスタディを、施設内動物管理使用委員会に従って、Charles River Laboratories、Preclinical Services Nevadaで行った。動物(n=2)に、500μg/kg、100μg/kg、20μg/kg、2μg/kg、0.2μg/kg、または0.02μg/kgの用量で二重特異性抗CD20/h2B4抗体を静脈内ボーラス注射を介して投薬した。動物を1日2回および各血液収集時点で観察した。フローサイトメトリーおよびサイトカイン分析用の血液は、i.v.投薬に使用されていない末梢血管からK2EDTAチューブ中に収集した。
【0452】
効力は、フローサイトメトリーによって末梢血中のB細胞およびT細胞を測定することによって判定した。全血を示された時点で収集し、分析するまで4℃に保った。赤血球をACK緩衝液(Gibco)で室温にて5分間溶解させ、白血球を遠心分離によってペレット化した。PBS+2% FBS中のカニクイザルCD19(Beckman Coulter)、CD45、CD4、CD8、Ki67(BD Biosciences)を認識する蛍光標識抗体を含有するカクテルで4℃にて1時間、細胞を染色した。Ki67分析について、細胞をCD4およびCD8で最初に染色し、次いで製造者の指示に従ってBD cyotfix/cytopermキット(BD Biosciences)で固定/透過化した後、Ki67を細胞内染色した。BD LSRIIフローサイトメーターでの細胞の取得を、染色直後に実行した。
【0453】
得られたB細胞数を、スタディ前B細胞数のパーセンテージとして図6A~6Fにグラフ化した。単回用量後の長期のB細胞枯渇は、2μg/kgという低い用量で実現された。B細胞枯渇は、すべての用量で見られた。枯渇効果の継続時間は、用量依存性であった。
【0454】
得られたCD8+ T細胞数を、スタディ前CD8+ T細胞数のパーセンテージとして図7A~7Fにグラフ化した。最初の再局在化の後、T細胞レベルは、スタディの継続時間にわたってベースラインレベルまたはそれより上に回復した。
【0455】
(実施例11)
CD8+ T細胞上のヒト抗CD3二重特異性抗体のフローサイトメトリー
本実施例は、T細胞動態および活性化に対する一価抗CD3抗体の効力を実証する。
【0456】
実施例10に記載した通り、カニクイザルスタディを行い、フローサイトメトリーによって末梢血中のT細胞を測定することによって、効力を判定した。カニクイザル(n=2)に、抗CD20/h2B4またはNNC(非特異的抗体)/h2B4を0.2μg/kgで、i.v.で毎週投薬した。CD20標的化二重特異性抗体と対照的に、NNC/h2B4は、フローサイトメトリーによって測定した場合、血液中のCD8+ T細胞動態に対して皆無かそれに近い効果を有する。Ki67をT細胞活性化のマーカーとして使用した。
【0457】
得られたT細胞数を、スタディ前CD8+ T細胞数のパーセンテージとして図8A~8Bにグラフ化した。CD20/h2B4二重特異性抗体を投薬されたカニクイザルでは、Ki67+ T細胞は、投薬後3日目と7日目の間で増加し、ピークとなり、T細胞活性化を示した。しかし、NNC/h2B4を投薬されたカニクイザルでは、Ki67+ T細胞の増加はなかった。
【0458】
(実施例12)
B細胞上のヒト抗CD3二重特異性抗体のフローサイトメトリー
本実施例は、B細胞枯渇に対する抗CD3アーム親和性の効果を実証する。
【0459】
実施例10に記載した通り、カニクイザルスタディを行い、フローサイトメトリーによって末梢血中のT細胞を測定することによって、効力を判定した。二重特異性抗体は、異なる親和性を有する4種の抗CD3抗体アームと対合した抗CD20アームを用いて作製した。0.2μg/kgでの単回i.v.投薬後に、フローサイトメトリーによって末梢血中のB細胞を測定することによって、効力を判定した。
【0460】
図9A~9Dでは、得られたB細胞数がスタディ前B細胞数のパーセンテージとしてグラフ化されている。B細胞枯渇の効力は、抗CD3アーム親和性と相関する。
【0461】
(実施例13)
BCMA陽性細胞のT細胞媒介殺傷についての二重特異性抗体のin vitroスタディ
本実施例は、BCMA陽性細胞における抗BCMA/CD3 hIgG2ΔA二重特異性のin vitro細胞傷害性を例示する。
【0462】
ヒト抗BCMA(P5A2、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C16、P5C1、C01_Rd4_6nM_C12、COMBO_Rd4_0.6nM_C22、Combo_Rd4_0.6nM_C29、L3PY/H3TAQ、およびA02_Rd4_6nM_C01)、ならびにヒト抗CD3(H2B4)抗体を、実施例8に記載した通り、二重特異性交換のためにEEEEで操作されたヒトIgG2dAとして発現させた。
【0463】
PBMC由来のCD3+ T細胞を、Pan T Cell Isolationキット、ヒト(Miltenyi、San Diego、CA)を使用してネガティブ選択した。標的発現(KMS12PE、L363、およびMolp8)細胞ならびにCD3+ T細胞を、透明なU底プレートに、それぞれ20000および100000細胞/ウェルで播種した。細胞を、10倍連続希釈二重特異性抗体を用いて三つ組で処置した。細胞死を、CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison WI)によって、処置して20時間後に判定した。細胞の細胞傷害性を、未処置エフェクター+標的対照ウェルのパーセンテージとして判定した。EC50は、Prismソフトウェアによって計算した。表10は、すべてのヒト抗BCMA_H2B4二重特異性抗体がBCMA発現細胞において細胞殺傷活性を発揮することを示す。
【0464】
【表12】
【0465】
(実施例14)
マウスハイブリドーマクローン化抗CD3抗体のin vitro特徴付け
本実施例は、抗体スクリーニングのためのヒト/カニクイザルPBMC細胞におけるマウスハイブリドーマからクローニングされた抗CD3のin vitro T細胞活性化/増殖を例示する。
【0466】
ヒト抗CD3抗体を免疫マウスからクローニングし、マウスIgG1として発現させ、プロテインA親和性ビーズによって精製した。ヒト/カニクイザル末梢血単核細胞(hu/cyPBMC)を、地元の血液銀行から得た血液フィルターからフィコール(密度:1.083g/mL、GE)密度勾配遠心分離によって準備した。赤血球を、LCK緩衝液(155mM NHCl、10mM KHCO、100mM EDTA;Gibco)中で室温にて3分間インキュベートすることによって除去した。細胞を600gで5分間遠心分離した。溶解した赤血球を含有する上清を廃棄し、PBMCを1×PBS/1% BSA/1mM EDTA 50mlで2回洗浄した。ペレット化された細胞を培養基、X-VIVO-15、無血清培地(Lonza)中1ml当たり10細胞に調整し、PBMCを丸底96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり10(100μl)として播種した。選択したAbを、ヒトPBMCと混合するために1mL当たり1000ngから1ngに10×連続希釈し、カニクイザルPBMCと混合するために1mL当たり5000ngから200ngに5×連続希釈した。H-チミジン取込みによるPBMC T細胞増殖の分析のために、2日培養を三つ組で実施した。培養の最後の16時間の間に、H-チミジン(0.5mCi/ウェル)を添加し、取込みを測定した。細胞を収穫し、溶解させ、DNAをガラス-繊維フィルター上に捕捉した。シンチレーションベータ-カウンターでカウントすることによる増殖の尺度としての放射能(cpm)。
【0467】
図10Aおよび10Bは、選択した抗CD3 1A4、1C10、2B4、および7A3抗体がヒトおよびカニクイザルPBMC(末梢血単核細胞)に対してチミジン取込みの読み値を有したことを示す。表11は、Biacore測定によるこれらのKDを示す。in vitro 特徴付けは、抗CD3 1C10および2B4抗体が陽性対照SP34抗CD3抗体(BD Biosciences)と同様であることを示す。
【0468】
【表13】
【0469】
(実施例15)
T細胞媒介殺傷に対する二重特異性抗体のin vitroスタディ
本実施例は、健康ドナーから単離した汎T細胞と混合したSW480における抗EpCam/CD3二重特異性のin vitro細胞傷害性を例示する。
【0470】
A:抗CD抗体h2B4-1d、TK、hnpsTK、およびyaesTK
ヒト抗CD3(h2B4-1d(またはh2B4)、h2B4-TK(またはh2B4-VH-wt VL_TK)、h2B4-hnpsTK(またはh2B4-VH-hnps VL_TK)、およびh2B4-yaesTK(またはh2B4-VH-yaes VL_TK))抗体、ならびにヒト抗EpCam抗体を、実施例8に記載した通り、二重特異性交換のためにRRRRまたはEEEEで操作されたヒトIgG2dAとして発現させた。
【0471】
SW480を細胞殺傷アッセイの標的細胞株として選択し、エフェクター細胞およびヒトT細胞をヒト末梢血単核細胞(huPBMC)から精製した。標的およびエフェクター細胞を96ウェル丸底プレートの5%ウシ胎児血清(FBS)を含有する細胞培養基中に播種した。標的細胞の数を2×10細胞/ウェルで一定に保った。1mL当たり3μg~3pgの二重特異性抗体の10倍連続希釈液を細胞に三つ組で添加した。全反応体積は、200μLであった。反応物を48および72時間インキュベートした。細胞傷害性を分析するために、細胞溶解すると放出された安定な細胞質内酵素である乳酸脱水素酵素(LDH)を、CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega、G1780)によって定量的に測定した。プレートをVmax速度論的マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で490nMにて読み取った。光学密度値を、培地バックグラウンドならびに標的およびエフェクター細胞の自発的溶解に対して補正した。特異的細胞傷害性を以下の式によって計算した:
[%特異的溶解=試料の490nM読み取り-E+T混合対照の490nM読み取り)/(全T溶解の490nM読み取り-培地対照の490nM読み取り)×100%]
【0472】
図11Aおよび11Bは、すべてのヒト抗EpCam_h2B4二重特異性抗体がin vitro設定で細胞殺傷活性を有したこと、および抗体媒介性T細胞活性化をT細胞活性化マーカーによってモニターしていたことを示す。表12Aは、これらのEC50を示す。表12Bは、二重特異性抗体フォーマットに対するBiacore KDを示す。
【0473】
【表14】
【0474】
【表15】
【0475】
B:抗CD抗体m25A8、h25A8-B12、およびh25A8-B13
ヒト抗CD3 h2B4(h2B4_1d)ならびにh25A8(m25A8、h25A8-B12、およびh25A8-B13)、ならびにヒト抗EpCam抗体を、実施例8に記載した通り、二重特異性交換のためにRRRRまたはEEEEで操作されたヒトIgG2dAとして発現させた。
【0476】
図11Cおよび11Dは、すべてのヒト抗EpCam_抗CD3二重特異性抗体がin vitro設定で細胞殺傷活性を有したこと、および抗体媒介性T細胞活性化をT細胞活性化マーカーによってモニターしていたことを示す。表12Cは、in vitro細胞殺傷のEC50を示す。表12Dは、37℃での二重特異性抗体フォーマットに対するBiacore動態を示す。表12Eは、SEC-MALS(マルチアングル光散乱を伴ったサイズ排除クロマトグラフィー)およびDSC(示差走査熱量測定)を使用したin vitro特徴付けを示す。
【0477】
【表16】
【0478】
【表17】
【0479】
【表18】
【0480】
(実施例16)
原発性骨髄腫患者試料のT細胞媒介殺傷に対する二重特異性抗体のin vitroスタディ
本実施例は、原発性骨髄腫細胞における抗BCMA/CD3二重特異性のin vitro細胞傷害性を例示する。
【0481】
ヒト抗BCMA(P5A2、A02_Rd4_0.6nM_C01、A02_Rd4_6nM_C16、Combo_Rd4_0.6nM_C29、およびP6E01 L3PY/H3TAQ)、ならびにヒト抗CD3(h2B4)抗体を、実施例8に記載した通り、二重特異性交換のためにEEEEまたはRRRRで操作されたヒトIgG2dAとして発現させた。
【0482】
骨髄腫患者由来の全骨髄単核細胞を、透明なU底プレートに、3000~5000骨髄腫細胞/ウェルをもたらした全骨髄単核細胞数で播種した。細胞を10倍連続希釈した二重特異性抗体で処置した。処置して5日後に、全生存細胞を、CD138およびCD38に対する抗体(Biolegend、CA)を使用してフローサイトメトリーによって判定した。細胞を、PBS+0.5% FBS中、4℃で30分間、抗体とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、PBS中のFixable Viability Dye eFluor780(eBioscience,Inc.、CA)を4℃で30分間細胞に添加した。BDフローサイトメーターで細胞を取得する前に、細胞を洗浄し、CountBright Absolute Counting Beads(Molecular Probes、OR)を添加した。パーセント生細胞を、計数ビーズを使用して処置済み対未処置ウェル中の生細胞数として判定した。EC50は、Prismソフトウェアによって計算した。
【0483】
表13Aは、すべてのヒト抗BCMA_h2B4二重特異性抗体が骨髄腫患者試料に対して細胞殺傷活性を有すること、および患者T細胞が機能的なエフェクター細胞であることを示す。表13Bは、異なるエフェクターと標的(E:T)の比での多発性骨髄腫患者試料に対する1種の抗BCMA二重特異性の殺傷を示す。
【0484】
【表19】
【0485】
【表20】
【0486】
(実施例17)
抗BCMA/CD3二重特異性抗体を投与されたカニクイザル由来の抗体分泌細胞のELISPOT
本実施例は、抗BCMA/CD3二重特異性抗体を用いたカニクイザルにおけるIgG分泌細胞の枯渇を例示する。
【0487】
カニクイザル(n=2)に、1日目および8日目に100μg/kgおよび300μg/kgの2回の用量で、二重特異性抗BCMA_CD3抗体(h2B4-VH-hnps VL_TK)、A02_Rd4_0.6nM_C01/H2B4、およびCombo_Rd4_0.6nM_C29/H2Bを静脈内ボーラス注射を介して投薬した。動物を1日2回および各血液収集時点で観察した。末梢血単核細胞(PBMC)を-6、4、および10日目にサンプリングした。骨髄試料を、動物を解剖した10日目に採取した。
【0488】
血液を、ヘパリンナトリウムを含有するBecton Dickinson(登録商標)CPT(商標)細胞調製チューブ中に収集し、密度勾配にかけ、次いでPBMCを遠心分離後に勾配界面で収集した。
【0489】
骨髄(大腿骨由来)の試料を、100%ウシ胎児血清(FBS)およそ5mLをフラッシュすることによって収集し、次いで単一細胞懸濁液を、緩衝液50ml中にフラッシュされた骨髄を懸濁させることによって調製した。
【0490】
細胞を、Cellometer Visionを使用して計数し、完全なRPMI1640培養基を用いて、PBMCについて1mL当たり5×10細胞および骨髄細胞について1mL当たり2×10細胞の濃度に調整した。全IgG分泌細胞を、Mabtech製ELISpotBASICキット(#3850-2HW-Plus)を使用して数え上げた。簡単に言えば、PBMCまたは骨髄細胞を指定濃度(5×10/ウェルのPBMCおよび2×10/ウェルの骨髄細胞)で3連ウェルに添加し、次いで細胞をプレート中で連続希釈した。一晩インキュベートした後、プレートを洗浄し、ビオチン化検出抗体を添加した。プレートを2時間インキュベートし、ストレプトアビジン-HRPを1時間添加した。IgGスポットを、TMB基質溶液を使用して可視化し、ImmunoSpot Imaging Analyzerシステム(CTL)およびImmunoSpot 5.1ソフトウェアを使用して計数した。データを、三つ組試料からのIgG分泌細胞の平均(+/-SD)数として表した。
【0491】
PBMC中および骨髄中の得られたIgG分泌細胞数をそれぞれ表14Aおよび14Bに列挙する。IgG分泌細胞の枯渇が、投薬前と比較したPBMCならびにビヒクルおよび陰性対照と比較した骨髄中の両抗BCMA/CD3二重特異性抗体について見られた。用量依存効果が骨髄において見られた。
【0492】
【表21】
【0493】
【表22】
【0494】
(実施例18)
抗BCMA/CD3二重特異性は、MM1.S腫瘍モデルにおいて腫瘍退縮および阻害を誘導する。
本実施例は、正所性MM1.S骨髄腫モデルにおける腫瘍退縮および阻害を例示する。
【0495】
BCMA二重特異性のin vivo効力スタディを、ルシフェラーゼおよびGFPを発現するMM1.S正所性モデルを用いて実施した。腫瘍細胞注射の1日前に、マウスを、RS 2000 Biological Research Irradiator(RAD Source Technolgies、GA)を使用して100cGyで照射した。500万個のMM1.S LucGFP細胞を、生後6~8週の雌Nod/Scid/IL2Rg-/-(NSG)動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にした。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について15E6の平均に到達したとき、動物に、PBMC由来の2000万個の増やしたT細胞をボーラス尾静脈によって注射した。簡単に言えば、AllCells(Alameda、CA)から購入した汎T細胞を、ヒトT細胞活性化/エクスパンションキット(Miltenyi、San Diego、CA)で活性化した。3日後、15U/mLのIL2(ebioscience、San Diego、CA)を11日目まで2日毎に添加した。細胞を収穫し、活性化/エクスパンションビーズを磁気的に除去し、細胞をPBS中で洗浄し、再懸濁させた。T細胞注射の1日後に、マウスを上述の通りイメージングし、動物を7匹のマウスの群;0.03mg/kgおよび0.3mg/kgのA02_Rd4_0.6nM_C01、ならびに0.03mg/kg、0.1mg/kg、および0.3mg/kgのCombo_Rd4_0.6nM_C29にランダム化した。単回用量のヒト抗BCMA/CD3(h2B4-VH-wt VL_TK)二重特異性および陰性(NNC)対照二重特異性抗体をボーラス尾静脈注射によって投与した。動物が後肢麻痺、MM1.S正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を屠殺した。図12は、単回用量のヒト抗BCMA/CD3二重特異性抗体が用量依存的様式で腫瘍退縮をもたらしたことを示す。
【0496】
(実施例19)
2回用量の抗BCMA/CD3二重特異性は、攻撃的なMolp8腫瘍モデルにおいて腫瘍退縮を誘導する。
本実施例は、正所性Molp8骨髄腫モデルにおける2回用量の抗BCMA/CD3二重特異性抗体を用いた腫瘍退縮を例示する。
【0497】
BCMA二重特異性のin vivo効力スタディを、ルシフェラーゼおよびGFPを発現するMolp8正所性モデルを用いて実施した。200万個のMolp8 LucGFP細胞を、生後6~8週の雌NSG動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にした。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image 4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。トータルフラックスがすべての動物について25E6の平均に到達したとき、7匹のマウスの3つの群;1)Combo_Rd4_0.6nM_C29、0.3mg/kg、2)Combo_Rd4_0.6nM_C29、0.3mg/kg、2回用量、および3)NNC_2B4、0.3mg/kg、2回用量にランダム化した。動物に、実施例18に記載した通りに、2000万個の増やしたT細胞をボーラス尾静脈によって注射した。T細胞注射の2日後に、マウスに二重特異性抗体を投薬した。動物が、15%超の体重減少、Molp8正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を屠殺した。図13は、2回用量のヒト抗BCMA/CD3(h2B4-VH-wt VL_TK)二重特異性抗体が腫瘍退縮を増大させたことを示す。
【0498】
(実施例20)
正所性Molp8腫瘍モデルにおける多発性骨髄腫のスタンダードオブケアと組み合わせた抗BCMA/CD3二重特異性
本実施例は、ボルテゾミブまたはレナリドミドと組み合わせたとき抗BCMA/CD3 二重特異性抗体に対する拮抗作用なし、および組み合わせたボルテゾミブおよびレナリドミドと比較して抗BCMA/CD3二重特異性抗体でのより良好な効能を実証する。
【0499】
BCMA二重特異性のin vivo効力スタディを、ルシフェラーゼおよびGFPを発現するMolp8正所性モデルを用いて実施した。200万個のMolp8 LucGFP細胞を、生後6~8週の雌NSG動物中に尾静脈を通じて静脈内注射した。D-ルシフェリン(Regis Technologies、Morton Grove、IL)を腹腔内注射し(15mg/mLで動物1匹当たり200μL)、その後イソフルオランで麻酔し、引き続いて全身生物発光イメージング(BLI)を行って、全身腫瘍組織量のモニタリングを可能にした。腫瘍細胞によって発現されるルシフェラーゼとルシフェリンとの相互作用によって放出される生物発光シグナルを、IVIS Spectrum CT(Perkin Elmer、MA)を使用してイメージングによって捕捉し、Living Image4.4(Caliper Life Sciences、Alameda、CA)を使用してトータルフラックス(光子/秒)として定量化した。動物に、実施例18に記載した通りに、2000万個の増やしたT細胞を7日目にボーラス尾静脈によって注射した。T細胞注射の2日後に、マウスをイメージングし、17E6のトータルフラックスの平均/群を有するマウス7匹の5つの群:1)Combo_Rd4_0.6nM_C29、0.3mg/kg、2)Combo_Rd4_0.6nM_C29、0.3mg/kgおよび1mg/kgボルテゾミブ、3)Combo_Rd4_0.6nM_C29、0.3mg/kgおよび50mg/kgレナリドミド、4)1mg/kgボルテゾミブおよび50mg/kgレナリドミド、ならびに5)ビヒクルにランダム化した。抗BCMA/CD3(PBS中)をボーラス尾静脈注射によって注射し、ボルテゾミブ(PBS中)を腹腔内注射を介して投与し、レナリドミド(30% PEG400/5%プロピレングリコール/0.5% Tween80)を経口強制飼養を介して投与した。ビヒクルは、30% PEG400/5%プロピレングリコール/0.5% Tween80からなっており、これを、経口強制飼養を介して投与した。動物が、15%超の体重減少、Molp8正所性モデルのエンドポイントを呈したとき、動物を屠殺した。図14は、抗BCMA/CD3(h2B4-VH-hnps VL-TK)二重特異性抗体のボルテゾミブまたはレナリドミドとの組合せが、抗BCMA/CD3二重特異性抗体の効力に対して負の効果を有さなかったことを示す。このモデルでは、単独の、またはレナリドミドまたはボルテゾミブと組み合わせた抗BCMA/CD3二重特異性抗体は、組み合わせたレナリドミドおよびボルテゾミブより効果的である。
【0500】
(実施例21)
OPM2細胞株に対するレナリドミド、カルフィルゾミブ、またはドキソルビシンと組み合わせた抗BCMA/CD3二重特異性のin vitroスタディ
本実施例は、二重特異性抗体単独と比較して、抗BCMA/CD3二重特異性抗体活性についてカルフィルゾミブ、ドキソルビシン、およびレナリドミドと組み合わせたとき、T細胞機能に対する有害作用がないことを例示する。
【0501】
PBMC由来のCD3+ T細胞を、Pan T Cell Isolationキット、ヒト(Miltenyi、San Diego、CA)を使用してネガティブ選択した。OPM2細胞およびCD3+ T細胞を、透明なU底プレートに、それぞれ20000および100000細胞/ウェルで播種した。OPM2およびCD3+ T細胞を、スタンダードオブケアとともに37℃で2時間、最初にインキュベートした。1.56nMカルフィルゾミブおよび6.25nMドキソルビシンを、0.02% DMSOを含有するPBS中に希釈した。レナリドミドを、195nMで0.1% DMSOを含有するPBS中に希釈した。細胞を、10倍連続希釈した二重特異性抗体で処置した。処置して3日後に、全生存細胞を、CD138、CD4、およびCD8に対する抗体(Biolegend)を使用してフローサイトメトリーによって判定した。細胞を、PBS+0.5% FBS中、4℃で30分間、抗体とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、PBS中のFixable Viability Dye eFluor780(eBioscience,Inc.、CA)を4℃で30分間細胞に添加した。BDフローサイトメーターで細胞を取得する前に、細胞を洗浄し、CountBright Absolute Counting Beads(Molecular Probes、OR)を添加した。パーセント生細胞を、計数ビーズを使用して処置済み対未処置ウェル中の生細胞数として判定した。図15A、15B、および15Cはそれぞれ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、およびドキソルビシンが、OPM2細胞上のCombo_Rd4_0.6nM_C29-CD3(h2B4-VH-hnps VL-TK)二重特異性抗体の機能に対して負の効果を有さないことを示す。
【0502】
(実施例22)
KMS12BM細胞株に対するレナリドミドおよびカルフィルゾミブと組み合わせた抗BCMA/CD3二重特異性のin vitroスタディ
本実施例は、各分子単独と比較した、カルフィルゾミブおよびレナリドミドと組み合わせたときの抗BCMA/CD3二重特異性機能に対する相乗効果を例示する。
【0503】
PBMC由来のCD3+ T細胞を、Pan T Cell Isolationキット、ヒト(Miltenyi、San Diego、CA)を使用してネガティブ選択した。KMS12BM細胞およびCD3+ T細胞を、透明なU底プレートに、それぞれ20000および100000細胞/ウェルで播種した。細胞を、カルフィルゾミブと、およびレナリドミドについて一連の濃度と組み合わせて0.017nM抗BCMA/CD3二重特異性で処置した。1.25nMカルフィルゾミブを、0.02% DMSOを含有するPBS中に希釈した。レナリドミドは、4倍希釈した4μMから開始して、0.1% DMSOを含有するPBS中に希釈した。処置して3日後に、全生存細胞を、CD138、CD4、およびCD8に対する抗体(Biolegend、CA)を使用してフローサイトメトリーによって判定した。細胞を、PBS+0.5% FBS中、4℃で30分間、抗体とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、PBS中のFixable Viability Dye eFluor780(eBioscience,Inc.、CA)を4℃で30分間細胞に添加した。BDフローサイトメーターで細胞を取得する前に、細胞を洗浄し、CountBright Absolute Counting Beads(Molecular Probes、OR)を添加した。パーセント生細胞を、計数ビーズを使用して処置済み対未処置ウェル中の生細胞数として判定した。図16は、試験した濃度で、カルフィルゾミブ、レナリドミド、および抗BCMA/CD3(h2B4-VH-hnps VL-TK)二重特異性抗体は、極めて少ない単剤細胞傷害性機能を有したことを示す。3種すべての作用物質を組み合わせたとき、相乗効果が、KMS12BM細胞内で、用量依存的なレナリドミド濃度で観察された。
【0504】
開示した教示を、様々な用途、方法、キット、および組成物を参照して記載してきたが、様々な変更および改変を、本明細書の教示および以下の請求項に係る発明から逸脱することなく行うことができることが理解されるであろう。上記の実施例は、開示した教示をより良好に例示するために提供されており、本明細書に提示した教示の範囲を限定するように意図されていない。本教示をこれらの例示的な実施形態の観点から記載してきたが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数の変形および改変が過度の実験を用いることなく可能であることを容易に理解するであろう。すべてのこのような変形および改変は、本教示の範囲内である。
【0505】
特許、特許出願、論文、教科書などを含めた本明細書に引用されたすべての参考文献、およびこれらに引用された参考文献は、これらが既に組み込まれていない程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。それだけに限らないが、定義された用語、用語使用法、記載した技法などを含めて、組み込まれた文献および同様の資料の1つまたは複数が本願と異なり、または矛盾する事象では、本願が支配する。
【0506】
上記の記載および実施例は、本発明のある特定の具体的な実施形態を詳述し、本発明者らが企図したベストモードを記載する。しかし、どんなに詳述される上記事項がテキストに現れることがあっても、本発明は、多くのやり方で実施することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれらの任意の均等物に従って解釈されるべきであることが理解されるであろう。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16
【配列表】
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