(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109941
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】消費財の風味および芳香プロファイルに影響を及ぼすための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 13/00 20160101AFI20230801BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20230801BHJP
A23J 3/20 20060101ALI20230801BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20230801BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20230801BHJP
C07K 14/415 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
A23L13/00 Z ZNA
A23J3/00 502
A23J3/20
A23J3/14
A23L27/00 C
C07K14/415
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085522
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2021109602の分割
【原出願日】2014-01-13
(31)【優先権主張番号】61/751,816
(32)【優先日】2013-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/941,211
(32)【優先日】2013-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/908,634
(32)【優先日】2013-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514009867
【氏名又は名称】インポッシブル フーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー,ラシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,パトリック オレイリー
(72)【発明者】
【氏名】カール,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ-シーティンガー,セレスト
(72)【発明者】
【氏名】コーン,エリシア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動物もしくは非動物(例えば、植物)ベースの食品または動物および非動物ベースの食品の混合物を含めた消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】a)0.01~5重量%の、植物、酵母、真菌、藻類、繊毛虫類、古細菌または細菌のヘム含有タンパク質と、b)グルコース、リボース、フルクトース、ラクトース、キシロース、アラビノース、グルコース-6-リン酸、マルトースおよびガラクトースの1種または複数種と、c)システイン、シスチン、チアミンおよびメチオニンの1種または複数種と、d)1種または複数種の植物タンパク質とを含む肉様食品であって、動物ヘム含有タンパク質を含まず、調理することにより、肉に関連する芳香を有する少なくとも2種の揮発性化合物の生成をもたらす、肉様食品である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.01~5重量%の、植物、酵母、真菌、藻類、繊毛虫類、古細菌または細菌の
ヘム含有タンパク質と、
b)グルコース、リボース、フルクトース、ラクトース、キシロース、アラビノース、
グルコース-6-リン酸、マルトースおよびガラクトースの1種または複数種と
c)システイン、シスチン、チアミンおよびメチオニンの1種または複数種と、
d)1種または複数種の植物タンパク質と
を含む肉様食品であって、
動物ヘム含有タンパク質を含まず、
調理することにより、肉に関連する芳香を有する少なくも2種の揮発性化合物の生成を
もたらす、肉様食品。
【請求項2】
(i)グルコース、チアミンおよびシステイン、または(ii)システイン、リボース
およびチアミンを含む、請求項1に記載の肉様食品。
【請求項3】
ホットドッグ、ハンバーガー、挽肉、ソーセージ、ステーキ、ヒレ肉、ロースト肉、肉
団子、ミートローフおよびベーコンからなる群から選択される形態である、請求項1また
は2に記載の肉様食品。
【請求項4】
動物性製品を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項5】
植物、酵母、真菌、藻類、繊毛虫類、古細菌または細菌のヘム含有タンパク質がグロビ
ンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項6】
植物、酵母、真菌、藻類、繊毛虫類、古細菌または細菌のヘム含有タンパク質が、配列
番号1~26に示されるポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性を有するア
ミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項7】
イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン、グアノシン一リン酸(GMP)
およびアデノシン一リン酸(AMP)のうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1
~6のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項8】
β-カロテン、α-トコフェロール、コーヒー酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エ
ピガロカテキンのうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に
記載の肉様食品。
【請求項9】
植物油、藻類油、ヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラ
ワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、キャノーラ油、ヤシ油およびマン
ゴーオイルのうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載
の肉様食品。
【請求項10】
1種または複数種の植物タンパク質が、テクスチャを持たせた植物タンパク質を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項11】
酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸
、ベヘン酸およびエルカ酸のうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1~10のい
ずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項12】
0.1mM~2mMのチアミンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の肉様食
品。
【請求項13】
調理が、肉様食品を150℃で、3分~5分加熱することを含む、請求項1~12のい
ずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項14】
調理が、(1-エチル-1-プロペニル)-ベンゼン、(E)-2-デセナール、(E
)-2-ヘプテナール、(E)-2-ヘキセナール、(E)-2-ノネナール、(E)-
2-オクテン-1-オール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-トリデセン-1-
オール、(E)-3-ペンテン-2-オン、(E)-4-オクテン、(E)-5-デセン
、(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン、(Z)-2-デセナール、(Z)-2
-ヘプテナール、(Z)-3-デセン-1-オール、アセテート、[(メチルスルホニル
)メチル]-ベンゼン、1-(エチルチオ)-2-(メチルチオ)-ブタ-1,3-ジエ
ン、1-(メチルチオ)-プロパン、1,1’-(1,2-シクロブタンジイル)ビス-
cis-ベンゼン、1,10-ウンデカジエン、1,3,5-シクロヘプタトリエン、1
,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-ベンゼン、1,3-ジイソプロポキシ-1,3
-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジメチル-ベンゼン、1-デセン-
3-オン、1-ヘプタノール、1-ヘプチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-4-メチ
ル-ナフタレン、1-ヘキサノール、1-ヒドロキシ-2-プロパノン、1-ノナノール
、1-オクタノール、1-オクテン-3-オール、1-オクテン-3-オン、1-オクテ
ン、1-ペンタノール、1-ペンテン-3-オン、1-ウンデカノール、2,2,4,6
,6-ペンタメチル-ヘプタン、2,3,4-トリメチル-ペンタン、2,3-ブタンジ
オン、2,3-ジヒドロ-5-メチル-フラン、2,3-ジメチル-ピラジン、2,4-
デカジエナール、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,5-ジメチル-ピラジン、2-
アセタチル-1-プロペン、2-アセチル-プロペン-2-オール、2-アセチルチアゾ
ール、2-ブタノン、2-ブテナール、2-ブチル-1-デセン、2-デカノン、2-デ
セナール、2-エチル-5-メチル-ピラジン、2-エチルアクロレイン、2-エチル-
フラン、2-ヘプタノン、2-ヘプテナール、2-ヘキシル-フラン、2-メチル-1(
H)-ピロール、2-メチル-1-ヘプテン、2-メチル-1-ペンテン-1-オン、2
-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、2-メチル-
5-(メチルチオ)-フラン、2-メチル-ブタナール、2-メチル-シクロペンタノン
、2-メチル-フラン、2-メチル-ヘプタン、2-メチル-ペンタナール、2-メチル
-プロパナール、2-メチル-チアゾール、2-n-オクチルフラン、2-ノナノン、2
-ノネン-4-オン、2-オクタノン、2-オクテナール、2-ペンタノン、2-ペンチ
ル-フラン、2-ペンチル-チオフェン、2-フェニルプロペナール、2-プロペナール
、2-プロペン酸、メチルエステル、2-チオフェンカルボキサルデヒド、2-トリデセ
ン-1-オール、2-ウンデカノン、2-ウンデセナール、3-(メチルチオ)-プロパ
ンニトリル、3-(フェニルメチル)-2,5-ピペラジンジオン、3,3’-ジチオビ
ス[2-メチル]-フラン、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-フェノール、3
,5-ジ-tert-ブチル安息香酸、3-デセン-2-オン、3-エチルシクロペンタ
ノン、3-エチル-ペンタン、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-チオフェ
ンカルボキサルデヒド、3-メチル-3-ブテン-2-オン、3-メチル-ブタナール、
3-メチル-フラン、3-メチルヘプチルアセテート、3-メチル-ペンタナール、3-
ペンチル-フラン、3-フェニル-フラン、3-チオフェンカルボキサルデヒド、3-チ
オフェンメタノール、4,7-ジメチル-ウンデカン、4-クロロ-2,6-ビス(1,
1-ジメチルエチル)-フェノール、4-エトキシ-安息香酸、エチルエステル、4-エ
チル-2-メチル-ピロール、4-エチル-ベンズアルデヒド、4-メチル-2-ヘプタ
ノン、4-メチル-5-チアゾールエタノール、4-メチルチアゾール、4-ニトロフェ
ニル2-チオフェンカルボン酸エステル、4-ペンテン-2-オン、4-キノリンカルボ
キサルデヒド、5-(2-クロロエチル)-4-メチルチアゾール、5-エテニル-4-
メチル-チアゾール、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、5-ホルミル-4-
メチルチアゾール、5-メチル-1-ウンデセン、6-メチル-2-ヘプタノン、7-メ
チル-(E)-5-ウンデセン、9-オクタデセナール、アセトアルデヒド、酢酸、アセ
トン、アセトニトリル、アセトフェノン、アセチルバレリル、アミノフェニルアセチレン
、ベンズアルデヒド、ベンゼン、安息香酸、ベンジルアルコール、ビス(2-メチル-4
,5-ジヒドロ-3-フリル)ジスルフィド、ブタナール、ブタノン、ブチロラクトン、
炭素ジスルフィド、デカナール、ジヒドロ-3-(2H)-チオフェノン、ジヒドロ-5
-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジメチルセレノン、ジメチルスルフィド、ジメチル
トリスルフィド、ドデカナール、エタノール、エチルアセテート、ギ酸、ヘプチルエステ
ル、フラン、フルフラール、ヘプタナール、ヘキサン酸、イソプロピルアルコール、イソ
チアゾール、イソチオシアナト-メタン、m-アミノフェニルアセチレン、メタクロレイ
ン、メタンチオール、メチオナール、メチル(メチルチオ)メチルジスルフィド、メチル
イソプロピルジスルフィド、メチルチオールアセテート、メチルビニルケトン、メチルピ
ラジン、メチル-チイラン、ノナナール、オクタナール、オクタン、シュウ酸、ジアリル
エステル、シュウ酸、イソブチルペンチルエステル、p-クレゾール、p-ジチアン-2
,5-ジオール、ペンタナール、ペンタン酸、ペンタン酸、2,2,4-トリメチル-3
-ヒドロキシ-、イソブチルエステル、フェノール、フェニルアセトアルデヒド、プロパ
ナール、プロピル-シクロプロパン、p-キシレン、ピラジン、ピロール、スチレン、チ
アゾール、チオシアン酸、メチルエステル、チオフェン、トルエン、trans-2-(
2-ペンテニル)フランおよびトリデカンからなる群から選択される少なくとも5種の揮
発性化合物の生成をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項15】
調理が、(1-エチル-1-プロペニル)-ベンゼン、(E)-2-デセナール、(E
)-2-ヘプテナール、(E)-2-ヘキセナール、(E)-2-ノネナール、(E)-
2-オクテン-1-オール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-トリデセン-1-
オール、(E)-3-ペンテン-2-オン、(E)-4-オクテン、(E)-5-デセン
、(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン、(Z)-2-デセナール、(Z)-2
-ヘプテナール、(Z)-3-デセン-1-オール、アセテート、[(メチルスルホニル
)メチル]-ベンゼン、1-(エチルチオ)-2-(メチルチオ)-ブタ-1,3-ジエ
ン、1-(メチルチオ)-プロパン、1,1’-(1,2-シクロブタンジイル)ビス-
cis-ベンゼン、1,10-ウンデカジエン、1,3,5-シクロヘプタトリエン、1
,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-ベンゼン、1,3-ジイソプロポキシ-1,3
-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジメチル-ベンゼン、1-デセン-
3-オン、1-ヘプタノール、1-ヘプチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-4-メチ
ル-ナフタレン、1-ヘキサノール、1-ヒドロキシ-2-プロパノン、1-ノナノール
、1-オクタノール、1-オクテン-3-オール、1-オクテン-3-オン、1-オクテ
ン、1-ペンタノール、1-ペンテン-3-オン、1-ウンデカノール、2,2,4,6
,6-ペンタメチル-ヘプタン、2,3,4-トリメチル-ペンタン、2,3-ブタンジ
オン、2,3-ジヒドロ-5-メチル-フラン、2,3-ジメチル-ピラジン、2,4-
デカジエナール、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,5-ジメチル-ピラジン、2-
アセタチル-1-プロペン、2-アセチル-プロペン-2-オール、2-アセチルチアゾ
ール、2-ブタノン、2-ブテナール、2-ブチル-1-デセン、2-デカノン、2-デ
セナール、2-エチル-5-メチル-ピラジン、2-エチルアクロレイン、2-エチル-
フラン、2-ヘプタノン、2-ヘプテナール、2-ヘキシル-フラン、2-メチル-1(
H)-ピロール、2-メチル-1-ヘプテン、2-メチル-1-ペンテン-1-オン、2
-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、2-メチル-
5-(メチルチオ)-フラン、2-メチル-ブタナール、2-メチル-シクロペンタノン
、2-メチル-フラン、2-メチル-ヘプタン、2-メチル-ペンタナール、2-メチル
-プロパナール、2-メチル-チアゾール、2-n-オクチルフラン、2-ノナノン、2
-ノネン-4-オン、2-オクタノン、2-オクテナール、2-ペンタノン、2-ペンチ
ル-フラン、2-ペンチル-チオフェン、2-フェニルプロペナール、2-プロペナール
、2-プロペン酸、メチルエステル、2-チオフェンカルボキサルデヒド、2-トリデセ
ン-1-オール、2-ウンデカノン、2-ウンデセナール、3-(メチルチオ)-プロパ
ンニトリル、3-(フェニルメチル)-2,5-ピペラジンジオン、3,3’-ジチオビ
ス[2-メチル]-フラン、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-フェノール、3
,5-ジ-tert-ブチル安息香酸、3-デセン-2-オン、3-エチルシクロペンタ
ノン、3-エチル-ペンタン、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-チオフェ
ンカルボキサルデヒド、3-メチル-3-ブテン-2-オン、3-メチル-ブタナール、
3-メチル-フラン、3-メチルヘプチルアセテート、3-メチル-ペンタナール、3-
ペンチル-フラン、3-フェニル-フラン、3-チオフェンカルボキサルデヒド、3-チ
オフェンメタノール、4,7-ジメチル-ウンデカン、4-クロロ-2,6-ビス(1,
1-ジメチルエチル)-フェノール、4-エトキシ-安息香酸、エチルエステル、4-エ
チル-2-メチル-ピロール、4-エチル-ベンズアルデヒド、4-メチル-2-ヘプタ
ノン、4-メチル-5-チアゾールエタノール、4-メチルチアゾール、4-ニトロフェ
ニル2-チオフェンカルボン酸エステル、4-ペンテン-2-オン、4-キノリンカルボ
キサルデヒド、5-(2-クロロエチル)-4-メチルチアゾール、5-エテニル-4-
メチル-チアゾール、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、5-ホルミル-4-
メチルチアゾール、5-メチル-1-ウンデセン、6-メチル-2-ヘプタノン、7-メ
チル-(E)-5-ウンデセン、9-オクタデセナール、アセトアルデヒド、酢酸、アセ
トン、アセトニトリル、アセトフェノン、アセチルバレリル、アミノフェニルアセチレン
、ベンズアルデヒド、ベンゼン、安息香酸、ベンジルアルコール、ビス(2-メチル-4
,5-ジヒドロ-3-フリル)ジスルフィド、ブタナール、ブタノン、ブチロラクトン、
炭素ジスルフィド、デカナール、ジヒドロ-3-(2H)-チオフェノン、ジヒドロ-5
-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジメチルセレノン、ジメチルスルフィド、ジメチル
トリスルフィド、ドデカナール、エタノール、エチルアセテート、ギ酸、ヘプチルエステ
ル、フラン、フルフラール、ヘプタナール、ヘキサン酸、イソプロピルアルコール、イソ
チアゾール、イソチオシアナト-メタン、m-アミノフェニルアセチレン、メタクロレイ
ン、メタンチオール、メチオナール、メチル(メチルチオ)メチルジスルフィド、メチル
イソプロピルジスルフィド、メチルチオールアセテート、メチルビニルケトン、メチルピ
ラジン、メチル-チイラン、ノナナール、オクタナール、オクタン、シュウ酸、ジアリル
エステル、シュウ酸、イソブチルペンチルエステル、p-クレゾール、p-ジチアン-2
,5-ジオール、ペンタナール、ペンタン酸、ペンタン酸、2,2,4-トリメチル-3
-ヒドロキシ-、イソブチルエステル、フェノール、フェニルアセトアルデヒド、プロパ
ナール、プロピル-シクロプロパン、p-キシレン、ピラジン、ピロール、スチレン、チ
アゾール、チオシアン酸、メチルエステル、チオフェン、トルエン、trans-2-(
2-ペンテニル)フランおよびトリデカンからなる群から選択される少なくとも10種の
揮発性化合物の生成をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項16】
調理が、(1-エチル-1-プロペニル)-ベンゼン、(E)-2-デセナール、(E
)-2-ヘプテナール、(E)-2-ヘキセナール、(E)-2-ノネナール、(E)-
2-オクテン-1-オール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-トリデセン-1-
オール、(E)-3-ペンテン-2-オン、(E)-4-オクテン、(E)-5-デセン
、(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン、(Z)-2-デセナール、(Z)-2
-ヘプテナール、(Z)-3-デセン-1-オール、アセテート、[(メチルスルホニル
)メチル]-ベンゼン、1-(エチルチオ)-2-(メチルチオ)-ブタ-1,3-ジエ
ン、1-(メチルチオ)-プロパン、1,1’-(1,2-シクロブタンジイル)ビス-
cis-ベンゼン、1,10-ウンデカジエン、1,3,5-シクロヘプタトリエン、1
,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-ベンゼン、1,3-ジイソプロポキシ-1,3
-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジメチル-ベンゼン、1-デセン-
3-オン、1-ヘプタノール、1-ヘプチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-4-メチ
ル-ナフタレン、1-ヘキサノール、1-ヒドロキシ-2-プロパノン、1-ノナノール
、1-オクタノール、1-オクテン-3-オール、1-オクテン-3-オン、1-オクテ
ン、1-ペンタノール、1-ペンテン-3-オン、1-ウンデカノール、2,2,4,6
,6-ペンタメチル-ヘプタン、2,3,4-トリメチル-ペンタン、2,3-ブタンジ
オン、2,3-ジヒドロ-5-メチル-フラン、2,3-ジメチル-ピラジン、2,4-
デカジエナール、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,5-ジメチル-ピラジン、2-
アセタチル-1-プロペン、2-アセチル-プロペン-2-オール、2-アセチルチアゾ
ール、2-ブタノン、2-ブテナール、2-ブチル-1-デセン、2-デカノン、2-デ
セナール、2-エチル-5-メチル-ピラジン、2-エチルアクロレイン、2-エチル-
フラン、2-ヘプタノン、2-ヘプテナール、2-ヘキシル-フラン、2-メチル-1(
H)-ピロール、2-メチル-1-ヘプテン、2-メチル-1-ペンテン-1-オン、2
-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、2-メチル-
5-(メチルチオ)-フラン、2-メチル-ブタナール、2-メチル-シクロペンタノン
、2-メチル-フラン、2-メチル-ヘプタン、2-メチル-ペンタナール、2-メチル
-プロパナール、2-メチル-チアゾール、2-n-オクチルフラン、2-ノナノン、2
-ノネン-4-オン、2-オクタノン、2-オクテナール、2-ペンタノン、2-ペンチ
ル-フラン、2-ペンチル-チオフェン、2-フェニルプロペナール、2-プロペナール
、2-プロペン酸、メチルエステル、2-チオフェンカルボキサルデヒド、2-トリデセ
ン-1-オール、2-ウンデカノン、2-ウンデセナール、3-(メチルチオ)-プロパ
ンニトリル、3-(フェニルメチル)-2,5-ピペラジンジオン、3,3’-ジチオビ
ス[2-メチル]-フラン、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-フェノール、3
,5-ジ-tert-ブチル安息香酸、3-デセン-2-オン、3-エチルシクロペンタ
ノン、3-エチル-ペンタン、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-チオフェ
ンカルボキサルデヒド、3-メチル-3-ブテン-2-オン、3-メチル-ブタナール、
3-メチル-フラン、3-メチルヘプチルアセテート、3-メチル-ペンタナール、3-
ペンチル-フラン、3-フェニル-フラン、3-チオフェンカルボキサルデヒド、3-チ
オフェンメタノール、4,7-ジメチル-ウンデカン、4-クロロ-2,6-ビス(1,
1-ジメチルエチル)-フェノール、4-エトキシ-安息香酸、エチルエステル、4-エ
チル-2-メチル-ピロール、4-エチル-ベンズアルデヒド、4-メチル-2-ヘプタ
ノン、4-メチル-5-チアゾールエタノール、4-メチルチアゾール、4-ニトロフェ
ニル2-チオフェンカルボン酸エステル、4-ペンテン-2-オン、4-キノリンカルボ
キサルデヒド、5-(2-クロロエチル)-4-メチルチアゾール、5-エテニル-4-
メチル-チアゾール、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、5-ホルミル-4-
メチルチアゾール、5-メチル-1-ウンデセン、6-メチル-2-ヘプタノン、7-メ
チル-(E)-5-ウンデセン、9-オクタデセナール、アセトアルデヒド、酢酸、アセ
トン、アセトニトリル、アセトフェノン、アセチルバレリル、アミノフェニルアセチレン
、ベンズアルデヒド、ベンゼン、安息香酸、ベンジルアルコール、ビス(2-メチル-4
,5-ジヒドロ-3-フリル)ジスルフィド、ブタナール、ブタノン、ブチロラクトン、
炭素ジスルフィド、デカナール、ジヒドロ-3-(2H)-チオフェノン、ジヒドロ-5
-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジメチルセレノン、ジメチルスルフィド、ジメチル
トリスルフィド、ドデカナール、エタノール、エチルアセテート、ギ酸、ヘプチルエステ
ル、フラン、フルフラール、ヘプタナール、ヘキサン酸、イソプロピルアルコール、イソ
チアゾール、イソチオシアナト-メタン、m-アミノフェニルアセチレン、メタクロレイ
ン、メタンチオール、メチオナール、メチル(メチルチオ)メチルジスルフィド、メチル
イソプロピルジスルフィド、メチルチオールアセテート、メチルビニルケトン、メチルピ
ラジン、メチル-チイラン、ノナナール、オクタナール、オクタン、シュウ酸、ジアリル
エステル、シュウ酸、イソブチルペンチルエステル、p-クレゾール、p-ジチアン-2
,5-ジオール、ペンタナール、ペンタン酸、ペンタン酸、2,2,4-トリメチル-3
-ヒドロキシ-、イソブチルエステル、フェノール、フェニルアセトアルデヒド、プロパ
ナール、プロピル-シクロプロパン、p-キシレン、ピラジン、ピロール、スチレン、チ
アゾール、チオシアン酸、メチルエステル、チオフェン、トルエン、trans-2-(
2-ペンテニル)フランおよびトリデカンからなる群から選択される少なくとも20種の
揮発性化合物の生成をもたらす、請求項1~13のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項17】
少なくも2種の揮発性化合物が、2-メチル-フラン、ビス(2-メチル-3-フリル
)ジスルフィド、2-ペンチル-フラン、3,3’-ジチオビス-2-メチル-フラン、
2,5-ジメチル-ピラジン、2-メチル-3-フランチオール、ジヒドロ-3-(2H
)-チオフェノン、5-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド、3-メチル-2
-チオフェンカルボキシアルデヒド、2-メチル-チアゾール、ジメチルスルフィド、デ
カナール、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(
3H)-フラノン、2-オクタノン、3,5-オクタジエン-2-オン、p-クレゾール
およびヘキサン酸から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の肉様食品。
【請求項18】
少なくとも2種の揮発性化合物が、2-メチル-フランおよびビス(2-メチル-3-
フリル)ジスルフィドである、請求項1~13のいずれか一項に記載の肉様食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年7月12日に出願された米国特許出願第13/941,211号、
2013年11月25日に出願された米国特許出願第61/908,634号および20
13年1月11日に出願された米国特許出願第61/751,816号の優先権を主張し
、同時係属中の特許出願:出願番号PCT/US12/46560;出願番号PCT/U
S12/46552;2013年9月11日に出願された米国特許出願第61,876,
676号および2013年1月11日に出願された米国特許出願第61/751,818
号と関連し、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品、より詳しくは、ヘム補因子などの鉄と錯体を形成している高度共役複
素環と、1種または複数の風味前駆体分子とを含む食品に関する。
【背景技術】
【0003】
食物とは、栄養または喜びのために、ヒトを含めた任意の動物によって食されるか、ま
たは飲まれる任意の物質である。普通、植物または動物起源のものであり、炭水化物、脂
肪、タンパク質、ビタミンまたはミネラルなどの必須栄養素を含有し得る。物質は、生物
によって摂取され、エネルギーを生成し、生命を維持し、成長を刺激しようとして生物の
細胞によって同化される。
【0004】
食物は、通常、植物などの光合成生物にその起源を有する。一部の食物は、植物から直
接得られるが、さらに、食物源として使用される動物は、通常、植物に由来する食物をそ
れらに給餌することによって育てられる。
【0005】
ほとんどの場合、植物または動物食物源は、食物の目的に応じて、さまざまな異なる部
分に分割される。種子または果実などの植物の特定の部分は、他のものよりもヒトによっ
て、より高く評価されることが多く、これらは、ヒト消費のために選択されるが、草の茎
などの他のあまり望まれない部分は、通常、動物に給餌するために使用される。
【0006】
現在の植物ベースの肉代用品は、大部分は、菜食への移行を引き起こすことができなか
った。肉代用品組成物は、通常、押出成形ダイズ/穀物混合物であるが、これは、大部分
は、肉を調理し、食する経験にとって代わることができなかった。植物ベースの肉代用品
の共通する制約は、同等の肉製品のものよりも均一であるテクスチャおよび食感である。
さらに、これらの製品は、大部分は調理済みで、人工風味および芳香が予め組み込まれて
販売されなければならないので、それらは芳香、風味および調理中の肉または調理された
肉と関連するテクスチャおよび食感などの他の重要な特徴を再現できない。結果として、
これらの製品は、大部分は、すでに菜食主義/厳格な菜食主義に傾倒している限定された
消費者基盤の興味しか引かず、肉を食することに慣れているより広い消費者区分の興味を
引くことはできなかった。特に、調理の間および/または調理の後の肉の芳香および風味
により良好にとって代わる改善された植物ベースの肉代用品を有することは有用であろう
。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、動物もしくは非動物(例えば、植物)ベースの食品または動物およ
び非動物ベースの食品の混合物を含めた消費可能食品の風味および/または芳香プロファ
イルを調節するための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、方法お
よび組成物は、調理プロセスの間および/または調理プロセス後の消費可能食品の風味お
よび/または芳香プロファイルを調節するのに有用である。いくつかの実施形態では、方
法および組成物は、調理プロセスの間および/または調理プロセス後の消費可能食品の風
味および/または芳香プロファイルを調節する1種または複数の化合物を作製するために
使用される。
【0008】
本明細書において提供されるように、理論にとらわれるものではないが、特定の特徴的
な肉の風味および/または芳香(例えば、牛肉のような、ベーコンのような、旨味、良い
香りする、ブラッディー、ブロスのような、肉汁ソースの、金属のような、ブイヨンのよ
うな;表2、7および11を参照のこと)(それと関連する1種または複数の特定の化合
物(表3、8、9、12、14、16または17を参照のこと)を含む)が、鉄イオンと
錯体を形成している高度共役複素環(例えば、ヘム部分、または鉄イオンと錯体を形成し
ている、ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテ
リオクロロフィル、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンもしくはイソバク
テリオクロリン部分)の存在によって触媒される、1種または複数の風味前駆体分子また
は組成物の化学反応によって、消費可能食品の調理プロセスの際に生成されると考えられ
ている。このような高度共役複素環部分として、1個または複数の(2、3または4個以
上の)ピロール、ピロール様および/またはピロリンサブユニットから構成される複素環
式芳香環が挙げられる。鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環は、本明細書にお
いて、鉄錯体と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ヘム部分は、タンパク質と結合して
いるヘム部分、非タンパク質性ポリマーと結合しているヘム部分、固相支持体と結合して
いるヘム部分またはリポソーム中に封入されたヘム部分などのヘム補因子であり得る。い
くつかの実施形態では、風味および/または芳香は、鉄錯体の不在下では(例えば、鉄ク
ロリンの不在下では)生じないか、またはヘム補因子の不在下では(例えば、ヘム含有タ
ンパク質の不在下では)生じない。したがって、本明細書に記載されるように、単離クロ
リン-鉄錯体またはヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体は、調理プ
ロセスの際などに、さまざまな食品において肉の風味および/または芳香を作製するため
に使用され得る。。
【0009】
ヘム補因子(例えば、植物レグヘモグロビン(legH)などの植物由来のヘムタンパ
ク質を含めた、例えば、ヘム含有タンパク質)などの1種または複数の鉄錯体を、1種ま
たは複数の風味前駆体分子または組成物(例えば、表1または表13を参照のこと)と組
み合わせることによって、調理した消費可能食品において、さまざまな良い香りの、肉の
芳香および食味(例えば、表2、7および/または11を参照のこと)を作製または提供
できる。風味前駆体分子または組成物は、未調理食品に精製形態で添加されてもよく、お
よび/または、例えば、酵母エキス、植物油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム
核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、キャノーラ油、ヒマ
ワリ油、ヤシ油、マンゴーオイルまたは藻類油を含めた特定の風味前駆体または組成物の
うち1種または複数以上を含有する、および/またはそれらが強化された未調理の消費可
能食品中の成分に由来する場合もある。得られた風味および/または芳香プロファイルは
、風味前駆体の種類および濃度、反応のpH、調理の長さ、鉄錯体(例えば、ヘム含有タ
ンパク質などのヘム補因子)の種類および量、反応の温度ならびに他の因子の中でも製品
の水分活性の量によって調節され得る。。
【0010】
1種または複数の風味前駆体分子または組成物は、調理した消費可能食品に、特定の肉
の食味および匂い、例えば、牛肉、ベーコン、豚肉、仔羊肉または鶏肉の食味および匂い
を与えるよう、調理プロセスの前および/またはその間に未調理の食品に、鉄錯体(例え
ば、鉄クロロフィリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)とともに添加され得
る。消費可能食品は、動物もしくは非動物ベースの(例えば、植物)食品または動物およ
び非動物ベースの食品の組合せである。例えば、植物ベースの野菜のハンバーガーまたは
鶏肉ハンバーガーなどの動物ベースのハンバーガーは、より肉様の、例えば、牛肉様、仔
羊肉様、豚肉様、七面鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様、ヤク肉様、野牛肉様または他の望ましい
肉風味である、調理された風味および/または芳香プロファイルを有するハンバーガーが
得られるよう、本開示の組成物および方法を用いて改変され得る。
【0011】
本開示において使用するための食品として、鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質など
のヘム補因子)と、それに含まれる1種または複数の風味前駆体分子とを有するものが挙
げられる。ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体および1種または複
数の風味前駆体分子は、食品中に均一にまたは不均一に含まれ得る。ヘムタンパク質は、
食品に含める前に単離および精製され得る。ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)
などの鉄錯体および1種または複数の風味前駆体分子を含み得る消費可能食品の限定され
ない例として、ホットドッグ、ハンバーガー、挽肉、ソーセージ、ステーキ、ヒレ肉、ロ
ースト肉、胸肉、もも肉、手羽肉、肉団子、ミートローフ、ベーコン、ストリップ肉、フ
ィンガー肉、ナゲット、平たい骨なし肉またはキューブ肉の形態の、動物ベースもしくは
非動物の(例えば、植物ベースの)食品または動物ベースおよび非動物ベースの食品の組
合せが挙げられる。
【0012】
本開示において使用するための消費可能食品は、例えば、別の消費可能食品に、その調
理プロセスの前、その間、またはその後に付加するための風味付加組成物であり得る。風
味付加組成物は、ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体と、1種また
は複数の風味前駆体とを含み得る。
【0013】
風味付加組成物は、ヘムタンパク質、例えば、単離および精製されたヘムタンパク質を
含み得、このような風味付加組成物は、1種または複数の風味前駆体分子または組成物を
含む消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得る
。風味付加組成物は、1種または複数の風味前駆体分子または組成物を含み得、このよう
な風味付加組成物は、ヘムタンパク質、例えば、単離および精製されたヘムタンパク質を
含む消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得る
。
【0014】
風味付加組成物は、限定されるものではないが、スープまたはシチューベース、ブイヨ
ン、例えば、パウダーまたは固形、フレーバー小袋またはシーズニング小袋もしくはシェ
ーカーの形態であり得る。このような風味付加組成物は、さまざまな消費可能食品の風味
および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得、消費可能食品の調理の前
、その間またはその後に消費可能食品に添加され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘムタンパク質)および
1種または複数の風味前駆体を含むものなどの風味付加組成物を、加熱しながら反応させ
(例えば、in vitroで)、目的の特定の風味および/または芳香プロファイルを
作製することができ、得られた生成混合物を、目的の消費可能食品に添加することができ
、これを、次いで、そのままで食してもよく、または、例えば、さらなる調理によってさ
らに改変してもよい。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、生成混合物を目的の消費可能
食品に添加する前に、得られた生成混合物から除去され得る。例えば、鉄錯体は、カラム
クロマトグラフィー、例えば、ヘムまたは鉄クロリンを含有するカラムなどのクロマトグ
ラフィー技術を使用して生成混合物から除去され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヘム補因子、例えば、ヘムタンパク質などの鉄錯体および1
種または複数の風味前駆体風味付加組成物は、ダイズを含まない、コムギを含まない、酵
母を含まない、MSGを含まない、およびタンパク質加水分解生成物を含まないものであ
り得、肉の味がし、高度に良い香りで、基準から外れた臭気または風味を伴わないもので
あり得る。
【0017】
一態様では、本文書は、ヘム部分などの鉄錯体または鉄イオンと錯体を形成している、
ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロ
ロフィル(bacteriochorophyll)、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンも
しくはイソバクテリオクロリン部分と、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノ
ース、グルコース-6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン
酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌク
レオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、
グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハ
ク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コーン油、
ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、ヒマワ
リ油、キャノーラ油、オリーブオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイ
シン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、ア
ルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グル
タミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タン
パク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1
種または複数の風味前駆体分子とを含む食品を特徴とする。ヘム部分は、ヘム含有タンパ
ク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合しているヘム
部分であり得る。ヘム含有タンパク質は、植物、哺乳動物、酵母または糸状菌または細菌
ヘム含有タンパク質であり得る。食品は、2~100種の、2~50種の風味前駆体、2
~40種の風味前駆体、2~35種の風味前駆体、2~10種の風味前駆体または2~6
種の風味前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、1種または複数の風味前駆体分子
は、グルコース、リボース、システイン、システイン誘導体、チアミン、アラニン、メチ
オニン、リシン、リシン誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸誘導体、IMP、GMP、
乳酸、マルトデキストリン、クレアチン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン
、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、
バリン、リノール酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。ヘム含有タンパク
質は、非共生型ヘモグロビンまたはレグヘモグロビン(例えば、ダイズ、アルファルファ
、ルピナス(lupin)、エンドウマメ、ササゲまたはルピナス(lupin)に由来するものな
どの植物レグヘモグロビン)であり得る。ヘム含有タンパク質は、配列番号1~26に示
されるポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み
得る。ヘム含有タンパク質は、単離および精製され得る。食品は、食品等級オイル、調味
料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物、乳化剤、ゲル化剤または食物繊維をさらに
含み得る。食品は、肉代用品、スープベース、シチューベース、スナック食品、ブイヨン
パウダー、固形ブイヨン、フレーバー小袋または冷凍食品であり得る。食品のいずれも、
動物性食品を含まないものであり得る。食品は、小袋またはシェーカー内に密封され得る
。
【0018】
この文書はまた、風味化合物を製造する方法を特徴とする。方法は、鉄錯体(例えば、
ヘム部分、鉄と錯体を形成しているポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリ
ノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル(bacteriochorophyll)、コルフィン、クロ
ロフィリン、バクテリオクロリンまたはイソバクテリオクロリン)を、グルコース、フル
クトース、アラビノース、リボース グルコース-6-リン酸、フルクトース6-リン酸
、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキ
ストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、
イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一
リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸
、植物油、藻類油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマ
ニ油、ぬか油、綿実油、キャノーラ油、オリーブオイル、ヒマワリ油、アマニ油、ヤシ油
、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リ
シン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジ
ン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、
プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、
麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味
前駆体分子と組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱して、フェニルアセ
トアルデヒド、1-オクテン-3-オン、2-n-ヘプチルフラン、2-チオフェンカル
ボキサルデヒド、3-チオフェンカルボキサルデヒド、ブチロラクトン、2-ウンデセナ
ール、ピラジン、メチル-、フルフラール、2-デカノン、ピロール、1-オクテン-3
-オール、2-アセチルチアゾール、(E)-2-オクテナール、デカナール、ベンズア
ルデヒド、(E)-2-ノネナール、ピラジン、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、
ジメチルトリスルフィド、2-ノナノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2,3-ブ
タンジオン、ヘプタナール、ノナナール、2-オクタノン、1-オクタノール、3-エチ
ルシクロペンタノン、3-オクテン-2-オン、(E,E)-2,4-ヘプタジエナール
、(Z)-2-ヘプテナール、2-ヘプタノン、6-メチル-、(Z)-4-ヘプテナー
ル、(E,Z)-2,6-ノナジエナール、3-メチル-2-ブテナール、2-ペンチル
-フラン、チアゾール、(E、E)-2,4-デカジエナール、ヘキサン酸、1-エチル
-5-メチルシクロペンテン、(E,E)-2,4-ノナジエナール、(Z)-2-デセ
ナール、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、trans-3-ノネン-2
-オン、(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン、(Z)-2-オクテン-1-オ
ール、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、2-ブテナール、1-ペンテン-3
-オール、(E)-2-ヘキセナール、ギ酸、ヘプチルエステル、2-ペンチル-チオフ
ェン、(Z)-2-ノネナール、2-ヘキシル-チオフェン、(E)-2-デセナール、
2-エチル-5-メチル-ピラジン、3-エチル-2,5-ジメチル-ピラジン、2-エ
チル-1-ヘキサノール、チオフェン、2-メチル-フラン、ピリジン、ブタナール、2
-エチル-フラン、3-メチル-ブタナール、トリクロロメタン、2-メチル-ブタナー
ル、メタクロレイン、2-メチル-プロパナール、プロパナール、アセトアルデヒド、2
-プロピル-フラン、ジヒドロ-5-プロピル-2(3H)-フラノン、1,3-ヘキサ
ジエン、4-デシン、ペンタナール、1-プロパノール、ヘプタン酸、トリメチル-エタ
ンチオール、1-ブタノール、1-ペンテン-3-オン、ジメチルスルフィド、2-エチ
ルフラン、2-ペンチル-チオフェン、2-プロペナール、2-トリデセン-1-オール
、4-オクテン、2-メチルチアゾール、メチル-ピラジン、2-ブタノン、2-ペンチ
ル-フラン、2-メチル-プロパナール、ブチロラクトン、3-メチル-ブタナール、メ
チル-チイラン、2-ヘキシル-フラン、ブタナール、2-メチル-ブタナール、2-メ
チル-フラン、フラン、オクタナール、2-ヘプテナール、1-オクテン、ギ酸ヘプチル
エステル、3-ペンチル-フラン、および4-ペンテン-2-オンからなる群から選択さ
れる1種または複数の風味化合物を形成することとを含み得る。ヘム部分は、ヘム含有タ
ンパク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合している
ヘム部分であり得る。方法は、システイン、リボース、乳酸、リシンおよび/またはチア
ミンを、ヘム含有タンパク質と組み合わせることを含み得る。
【0019】
別の態様では、本文書は、風味化合物を製造する方法を特徴とする。方法は、ヘム含有
タンパク質などの鉄錯体を、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グル
コース-6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシ
トール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結
合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸
、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コー
ン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、
オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離
脂肪酸、メチオニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン
、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラ
ギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロ
シン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキス
およびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子を組み合わせ
て、混合物を形成することと、混合物を加熱して、表3、8または9に示される1種また
は複数の風味化合物を形成することとを含む。例えば、風味前駆体は、システイン、糖お
よび1種または複数の他の前駆体を含み得る。
【0020】
本文書はまた、食品に、肉様風味(例えば、牛肉様、鶏肉様、豚肉様、仔羊肉様、七面
鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様または野牛肉様)を付与する方法を特徴とする。方法は、食品を
着香組成物と接触させることを含み、着香組成物は、i)ヘム部分(例えば、ヘム含有タ
ンパク質)などの鉄錯体と、ii)グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース
、グルコース-6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、
イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオ
チド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP
、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油
、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿
実油、オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル
、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルア
ラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、ア
スパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン
、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母
エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子とを含
み、ここで、食品および着香組成物を一緒に加熱した後に、食品に肉様風味(例えば、牛
肉様、鶏肉様、豚肉様、仔羊肉様、七面鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様または野牛肉様)が付与
される。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、食品から除去される。着香組成物は、調味
料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物または乳化剤をさらに含み得る。着香組成物
は、小袋またはシェーカー内に密封され得る。
【0021】
別の態様では、本文書は、食品を製造する方法を特徴とする。方法は、単離されたヘム
含有タンパク質を、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース-
6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、
マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖
蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク
酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、ヒマワリ油、ヤシ油、キャノー
ラ油、アマニ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン
、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギ
ニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミ
ン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク
質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種ま
たは複数の風味前駆体分子と組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱する
こととを含む。
【0022】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語
は、本発明が関係する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の
意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が、本発明
を実施するために使用され得るが、適した方法および材料を以下に記載する。すべての刊
行物、特許出願、特許および本明細書に記載される他の参考文献は、参照によりその全文
が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方
法および実施例は、単に例示であって、制限であると意図されない。
【0023】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明に示す。本
発明の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明ら
かとなる。特許請求の範囲における単語「含んでいる(comprising)」は、特許法の標準
的慣行に従って「本質的にからなる(consisting essentially of)」によって、または
「からなる(consisting of)」と置き換えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1-1】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【
図1-2】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【
図1-3】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【
図1-4】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【
図1-5】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【
図2】Magic Mixを含むまたは含まない肉レプリカの牛肉らしさ等級の棒グラフであり、両方の試料は1%w/v LegHタンパク質を含んで3回重複である。試食者は、1が全く牛肉らしく(beefy)ない、7が牛挽肉とまったく同じようであるとして牛肉らしさを1~7の尺度で等級づけた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本文書は、食品の食味および/または芳香プロファイルを調節するための方法および材
料に基づく。本明細書において記載されるように、1種または複数の風味前駆体と、鉄と
錯体を形成している、1種または複数の高度共役複素環(本明細書において鉄錯体と呼ば
れる)とを含有する組成物を使用して、食品の食味および/または芳香プロファイルを調
節できる。このような鉄錯体は、ヘム部分または鉄イオンと錯体を形成している他の高度
共役複素環(鉄錯体と呼ばれる)を含む。「ヘム」とは、ポルフィリン環の中心の鉄と結
合している補欠分子族(Fe2+またはFe3+)を指す。したがって、鉄錯体は、ヘム
部分または鉄イオンと錯体を形成しているポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン
、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、クロロフィリン、バク
テリオクロリンまたはイソバクテリオクロリン部分であり得る。食品の食味および/また
は芳香プロファイルを調節するために使用され得るヘム部分は、ヘム含有タンパク質など
のヘム補因子;非ペプチドポリマーまたはリポソーム、ポリエチレングリコール、炭水化
物、多糖、シクロデキストリン、ポリエチレンイミン、ポリアクリレートもしくはそれら
の誘導体などの他の高分子と結合しているヘム部分;シデロフォア(すなわち、鉄キレー
ト化化合物);あるいはクロマトグラフィー樹脂、セルロース、グラファイト、炭または
珪藻土から構成される固相支持体(例えば、ビーズ)と結合しているヘム部分であり得る
。
【0026】
いくつかの実施形態では、鉄錯体が、いくつかの反応を触媒し、加熱または調理を伴わ
ずに風味前駆体を生成する。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、加熱または調理の際に
不安定化し、鉄を放出する、例えば、タンパク質が変性され、そして、風味前駆体が生じ
得る。
【0027】
適した風味前駆体として、糖、糖アルコール、糖誘導体、オイル(例えば、植物油)、
遊離脂肪酸、アルファ-ヒドロキシ酸、ジカルボン酸、アミノ酸およびそれらの誘導体、
ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、ペプチド、タンパク質加水分解物、抽出物、リ
ン脂質、レシチンおよび有機分子が挙げられる。このような風味前駆体の限定されない例
は、表1に提供されている。
【0028】
【0029】
いくつかの実施形態では、1種の風味前駆体または2~100種の風味前駆体、2~9
0種の、2~80種の、2~70種の、2~60種のまたは2~50種の風味前駆体の組
合せが使用される。例えば、2~40種の風味前駆体、2~35種の風味前駆体、2~1
0種の風味前駆体または2~6種の風味前駆体の組合せが、1種または複数の鉄錯体(例
えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子)とともに使用され得る。例えば、1種また
は複数の風味前駆体は、グルコース、リボース、システイン、システイン誘導体、チアミ
ン、リシン、リシン誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸誘導体、アラニン、メチオニン
、IMP、GMP、乳酸およびそれらの混合物(例えば、グルコースおよびシステイン;
システインおよびリボース;システイン、グルコースまたはリボースおよびチアミン;シ
ステイン、グルコースまたはリボース、IMPおよびGMP;システイン、グルコースま
たはリボースおよび乳酸)であり得る。例えば、1種または複数の風味前駆体は、アラニ
ン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミ
ン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルア
ラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、グルコース、リボ
ース、マルトデキストリン、チアミン、IMP、GMP、乳酸およびクレアチンであり得
る。
【0030】
本明細書において、用語「ヘム含有タンパク質」は、「ヘム含有ポリペプチド」または
「ヘムタンパク質」または「ヘムポリペプチド」と同義的に使用され得、ヘム部分と共有
結合によって、または非共有結合によって結合し得る任意のポリペプチドを含む。いくつ
かの実施形態では、ヘム含有ポリペプチドは、グロビンであり、一連の7~9のアルファ
へリックスを含むグロビンフォールドを含み得る。グロビン型タンパク質は、任意のクラ
ス(例えば、クラスI、クラスIIまたはクラスIII)のものであり得、いくつかの実
施形態では、酸素を輸送または貯蔵できる。例えば、ヘム含有タンパク質は、非共生型の
ヘモグロビンまたはレグヘモグロビンであり得る。ヘム含有ポリペプチドは、モノマー、
すなわち、単一ポリペプチド鎖であり得るか、または二量体、三量体、四量体および/ま
たはより高次のオリゴマーであり得る。ヘム含有タンパク質の酸化Fe2+状態の寿命は
、ミオグロビンのものと同様であり得るか、またはヘムタンパク質含有消費財が、消費の
ために製造され、貯蔵され、処理されるか、または準備される条件下では、10%、20
%、30%、50%、100%またはそれ以上を超え得る。ヘム含有タンパク質の酸化さ
れていないFe2+状態の寿命は、ミオグロビンのものと同様であり得るか、またはヘム
タンパク質含有消費財が、消費のために製造され、貯蔵され、処理されるか、または準備
される条件下では、10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上超え得る
。
【0031】
ヘム含有ポリペプチドの限定されない例として、アンドログロビン、サイトグロビン、
グロビンE、グロビンX、グロビンY、ヘモグロビン、ミオグロビン、エリスロクルオリ
ン、ベータヘモグロビン、アルファヘモグロビン、プロトグロビン、シアノグロビン、サ
イトグロビン、ヒストグロビン、ニューログロビン、クロロクルオリン、末端切断型ヘモ
グロビン(例えば、HbNまたはHbO)、末端切断型2/2グロビン、ヘモグロビン3
(例えば、Glb3)、シトクロムまたはペルオキシダーゼを挙げることができる。
【0032】
本明細書において記載される組成物および食品において使用され得るヘム含有タンパク
質は、哺乳動物(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、雄ウシまたはウサギなどの家畜
)、鳥類、植物、藻類、真菌(例えば、酵母または糸状菌)、繊毛虫類または細菌由来で
あり得る。例えば、ヘム含有タンパク質は、家畜(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ
、雄ウシまたはウサギ)などの哺乳動物またはシチメンチョウもしくはニワトリなどの鳥
類由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum
)またはニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)(タバコ);ゼア・メイ
ズ(Zea mays)(トウモロコシ)、アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)
、グリシン・マックス(Glycine max)(ダイズ)、シサー・アリティナム(Cicer ariet
inum)(ガルバンゾまたはヒヨコマメ)、サヤエンドウまたはスナップエンドウなどのピ
サム・サチバム(Pisum sativum)(エンドウマメ)亜種、サヤマメ、クロマメ、白イン
ゲンマメ、ノーザンビーンまたはインゲンマメなどの一般的な豆のファセオラス・バルガ
リス(Phaseolus vulgaris)亜種、ビグナ・ウンギィクラタ(Vigna unguiculata)亜種
(ササゲ)、ビグナ・ラジアタ(Vigna radiata)(リョクトウ)、シロバナハウチワマ
メ(Lupinus albus)(ルピナス)またはメディカゴ・サティバ(Medicago sativa)(ア
ルファルファ)などのマメ科植物;ブラシカ・ナプス(Brassica napus)(セイヨウアブ
ラナ);トリチカム(Triticum)種(コムギの粒およびスペルトを含めたコムギ);ゴシ
ピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)(ワタ);オリザ・サティバ(Oryza sativa
)(イネ);ジザニア(Zizania)種(野生のイネ);ヘリアンサス・アンヌース(Helia
nthus annuus)(ヒマワリ);ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン
);ペニセツム・グラウカム(Pennisetum glaucum)(トウジンヒエ);アカザ(Chenop
odium)種(キノア);ゴマ(Sesamum)種(ゴマ);リナム・ウシタチシマム(Linum us
itatissimum)(アマ);またはホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)
などの植物由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、サッカロミセス・セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、マグナポルテ・オ
リゼ(Magnaporthe oryzae)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderm
a reesei)、ミセリオプテラ・サーモフィル(Myceliopthera thermophile)、クルイベ
ラ・ラクチス(Kluyvera lactis)またはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyspo
rum)などの真菌から単離され得る。ヘム含有タンパク質は、大腸菌(Escherichia coli
)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus lichenifor
mis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、シネコシスティス(Synechocistis)種、アキ
フェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)、メチルアシジフィラム・インファーノラ
ム(Methylacidiphilum infernorum)などの細菌またはサーモフィルス(Thermophilus)
属などの好熱性菌から単離され得る。多数のヘム含有タンパク質の配列および構造が公知
である。例えば、Reedy, et al., Nucleic Acids Research, 2008, Vol. 36, Database i
ssue D307-D313およびhttp://hemeprotein.info/heme.php.のワールドワイドウェブで利
用可能なヘムタンパク質データベースを参照のこと。
【0033】
例えば、非共生型ヘモグロビンは、ダイズ、発芽ダイズ、アルファルファ、ゴールデン
フラックス(golden flax)、クロマメ、ササゲ(black eyed pea)、ノーザン(norther
n)、ガルバンゾ、リョクトウ、ササゲ(cowpeas)、インゲンマメ、ポッドエンドウ、キ
ノア、ゴマ、ヒマワリ、コムギの粒、スペルト、オオムギ、野生イネまたはイネからなる
群から選択される植物に由来し得る。
【0034】
食品を製造するために使用され得る本明細書において記載されるヘム含有タンパク質の
いずれも、対応する野生型ヘム含有タンパク質またはヘム結合モチーフを含有するその断
片のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、8
5%、90%、95%、97%、98%、99%または100%)の配列同一性を有する
。例えば、ヘム含有タンパク質は、ビグナ・ラジアタ(Vigna radiata)(配列番号1)
、ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(配列番号5)、ゼア・メイズ(Zea mays
)(配列番号13)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)亜種ジャポニカ(japonica)(
イネ)(配列番号14)またはアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)(配
列番号15)由来のものなどの非共生型ヘモグロビン、メチルアシジフィラム・インファ
ーノラム(Methylacidiphilum infernorum)(配列番号2)由来のものなどのヘルズゲー
ト(Hell's gate)グロビンI、アキフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)(配
列番号3)由来のものなどのフラボヘモタンパク質、グリシン・マックス(Glycine max
)(配列番号4)、ピサム・サチバム(Pisum sativum)(配列番号16)またはビグナ
・ウンギィクラタ(Vigna unguiculata)(配列番号17)由来のものなどのレグヘモグ
ロビン、マグナポルテ・オリゼ(Magnaporthe oryzae)(配列番号6)またはフザリウム
・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(配列番号7)由来などのヘム依存性ペルオキ
シダーゼ、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)(配列番号8)由来の
チトクロームCペルオキシダーゼ、クラミドモナス・モエブシィ(Chlamydomonas moewus
ii)(配列番号9)、テトラヒメナ・ピリフォルミス(Tetrahymena pyriformis)(配列
番号10、I群末端切断型)、ゾウリムシ(Paramecium caudatum)(配列番号11、I
群末端切断型)由来の末端切断型ヘモグロビン、クロコウジカビ(Aspergillus niger)
(配列番号12)由来のヘモグロビンまたはウシ(Bos taurus)(配列番号18)ミオグ
ロビン、イノシシ(Sus scrofa)(配列番号19)ミオグロビン、ウマ(Equus caballus
)(配列番号20)ミオグロビンなどの哺乳動物ミオグロビンタンパク質、ベンサミアナ
タバコ(Nicotiana benthamiana)(配列番号21)、枯草菌(Bacillus subtilis)(配
列番号22)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)(配
列番号23)、シネコシスティス(Synechocystis)属PCC6803(配列番号24)
、シネココッカス(Synechococcus)種PCC7335(配列番号25)またはイシクラ
ゲ(Nostoc commune)(配列番号26)由来のヘムタンパク質を含めた、
図1に示される
アミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し得る。
【0035】
2種のアミノ酸配列間の同一性パーセントは、以下の通りに決定できる。まず、アミノ
酸配列を、BLASTPバージョン2.0.14を含有するBLASTZの独立型から得
られるBLAST2 Sequences(Bl2seq)プログラムを使用してアライ
ンする。このBLASTZの独立型は、Fish & Richardsonのウェブサ
イト(例えば、www.fr.com/blast/)または米国政府の国立生物工学情
報センター(National Center for Biotechnology Information)のウェブサイト(ww
w.ncbi.nlm.nih.gov)から入手できる。Bl2seqプログラムの使
用方法を説明する使用説明書は、BLASTZに付随するリードミーファイル中に見出す
ことができる。Bl2seqは、BLASTPアルゴリズムを使用して2種のアミノ酸配
列間の比較を実施する。2種のアミノ酸配列を比較するために、Bl2seqの選択肢を
以下の通りに設定する:-iは、比較されるべき第1のアミノ酸配列を含有するファイル
に設定する(例えば、C:\seq1.txt);-jは、比較されるべき第2のアミノ
酸配列を含有するファイルに設定する(例えば、C:\seq2.txt);-pは、b
lastpに設定する;-oは、任意の所望のファイル名に設定する(例えば、C:\o
utput.txt);すべての他の選択肢は、そのデフォルト設定のままとする。例え
ば、以下のコマンドを使用して、2種のアミノ酸配列間の比較を含有する出力ファイルを
作製できる:C:\Bl2seq -i c:\seq1.txt -j c:\seq
2.txt -p blastp -o c:\output.txt。2種の比較され
た配列が相同性を共有する場合には、設計された出力ファイルは、アラインされた配列と
してそれらの相同性の領域を示す。2種の比較された配列が、相同性を共有しない場合に
は、設計された出力ファイルは、アラインされた配列を示さない。同様の手順が、bla
stnが使用される点を除いて核酸配列についてたどられ得る。
【0036】
一度アラインされると、両配列中に同一アミノ酸残基が示される位置数を計数すること
によってマッチ数を決定する。同一性パーセントは、マッチ数を全長ポリペプチドアミノ
酸配列の長さで除し、続いて、得られた値に100を乗じることによって決定する。なお
、同一性パーセント値は、最も近い10分の1に四捨五入される。例えば、78.11、
78.12、78.13および78.14は、78.1に切り捨てられ、78.15、7
8.16、78.17、78.18および78.19は、78.2に切り上げられる。ま
た、長さの値は、常に整数となる。
【0037】
いくつかの核酸は、特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得るというこ
とが認識される。遺伝暗号の縮重は、当技術分野では周知である;すなわち、多数のアミ
ノ酸について、アミノ酸のコドンとして働く2種以上のヌクレオチドトリプレットがある
。例えば、所与の酵素のコード配列中のコドンは、その種の適当なコドンバイアス表を使
用して、特定の種(例えば、細菌または真菌)における最適発現が得られるよう改変され
得る。
【0038】
ヘム含有タンパク質は、供給源材料から(例えば、動物組織または植物、真菌、藻類も
しくは細菌バイオマスから、または分泌タンパク質については培養上清から抽出される)
または供給源材料の組合せ(例えば、複数の植物種)から抽出され得る。レグヘモグロビ
ンは、農産物マメ科植物作物(例えば、ダイズ、アルファルファまたはエンドウマメ)の
使用されていない副産物として容易に入手可能である。米国では、これらの作物の根中の
レグヘモグロビンの量は、米国で消費されるすべての赤身肉のミオグロビン含量を超える
。
【0039】
いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質の抽出物は、供給源材料(例えば、他の
動物、植物、真菌、藻類または細菌タンパク質)由来の、または供給源材料の組合せ(例
えば、種々の動物、植物、真菌、藻類または細菌)由来の1種または複数の非ヘム含有タ
ンパク質を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、供給源材料(例えば、他の動物、植
物、真菌、藻類または細菌タンパク質)のその他の成分から単離および精製される。本明
細書において、用語「単離および精製された」とは、ヘム含有タンパク質の調製物が、少
なくとも60%純粋である、例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%
、95%または99%を超えて純粋であることを示す。理論にとらわれるものではないが
、タンパク質を単離および精製することは、不必要な材料が排除されるので、食品が、食
品の特性を上回るより大きな一貫性およびより大きな制御をもって製造されることを可能
にし得る。タンパク質は、その分子量に基づいて、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ
ー、膜を介した限外濾過または密度遠心分離によって分離され得る。いくつかの実施形態
では、タンパク質は、その表面電荷に基づいて、例えば、等電沈殿、陰イオン交換クロマ
トグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーによって分離され得る。タンパク質
はまた、その溶解度に基づいて、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、等電沈殿、界面活性剤
、洗浄剤または溶媒抽出によって分離され得る。タンパク質はまた、別の分子に対するそ
の親和性によって、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー、反応性色素またはヒド
ロキシアパタイトを使用して分離され得る。アフィニティークロマトグラフィーはまた、
ヘム含有タンパク質に対して特異的結合親和性を有する抗体、Hisタグを付けた組換え
タンパク質に対するニッケルNTA、糖タンパク質の糖部分と結合するレクチンまたはタ
ンパク質と特異的に結合するその他の分子を使用することを含み得る。
【0041】
ヘム含有タンパク質はまた、ポリペプチド発現技術(例えば、細菌細胞、昆虫細胞、酵
母などの真菌細胞、タバコ、ダイズもしくはシロイヌナズナ(Arabidopsis)などの植物
細胞または哺乳動物細胞を使用する異種発現技術)を使用して組換えによって生成され得
る。いくつかの場合には、標準ポリペプチド合成技術(例えば、液相ポリペプチド合成技
術または固相ポリペプチド合成技術)がヘム含有タンパク質を合成によって生成するため
に使用され得る。いくつかの場合には、ヘム含有タンパク質を生成するためにin vi
tro転写翻訳技術が使用され得る。
【0042】
消費財に使用されるタンパク質は、溶液に可溶性であり得る。いくつかの実施形態では
、単離および精製されたタンパク質は、5、10、15、20、25、50、100、1
50、200または250g/L超で溶液に可溶性である。
【0043】
いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、実質的にその天然フォ
ールドにあり、水溶性である。いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク
質は、その天然フォールドで50、60、70、80または90%超である。いくつかの
実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、50、60、70、80または90
%超水溶性である。
【0044】
風味および/または芳香プロファイルを調節すること
本明細書において記載されるように、風味前駆体の種々の組合せを、1種または複数の
鉄錯体(例えば、鉄クロリン、クロリン-鉄錯体またはヘム含有タンパク質などのヘム補
因子またはポリエチレングリコールなどの非ペプチドポリマーと、もしくは固相支持体と
結合しているヘム)とともに使用し、風味前駆体および鉄錯体を、一緒に加熱する場合に
(例えば、調理の間に)、種々の風味および芳香プロファイルを製造することができる。
得られた風味および/または芳香プロファイルは、風味前駆体の種類および濃度、反応の
pH、調理の長さ、鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子、非ペプチド
ポリマーもしくは高分子と結合しているヘムまたは固相支持体と結合しているヘム)の種
類および量、反応の温度ならびに他の因子の中でも製品の水分活性の量によって調節され
得る。ヘム部分が、セルロースまたはクロマトグラフィー樹脂、グラファイト、炭または
珪藻土などの固相支持体と結合している実施形態では、風味を作製するために、固相支持
体(例えば、ビーズ)は、糖および/または1種もしくは複数の他の風味前駆体とともに
インキュベートされ得、次いで、付着したヘム部分を有する固相支持体は再利用、すなわ
ち、風味を作製するために、糖および/または1種もしくは複数の他の風味前駆体ととも
に再度インキュベートされ得る。
【0045】
表2は、1種または複数の風味前駆体と、1種または複数のヘム補因子(例えば、ヘム
含有タンパク質)を組み合わせることによって作製し得る風味の種類の限定されない例を
提供する。また、表7および/または11も参照のこと。
【0046】
【0047】
風味および芳香プロファイルは、ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)と風味前
駆体間の化学反応によって形成された種々の化合物によって作製される。ガスクロマトグ
ラフィー質量分析(GCMS)を使用して、試験試料内の種々の化合物が分離および同定
され得る。例えば、揮発性化学物質は、ヘム含有タンパク質および1種または複数の風味
前駆体を加熱した後に、ヘッドスペースから単離され得る。
【0048】
表3は、生成され得る化合物の非限定例を提供する。表8、9、12および/または1
4も参照のこと。
【0049】
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、鶏挽肉の存在下で加熱して、通常、牛肉
において高められる特定の揮発性風味および臭気物質成分を増大する。例えば、プロパナ
ール、ブタナール、2-エチル-フラン、ヘプタナール、オクタナール、トランス-2-
(2-ペンテニル)フラン、(Z)-2-ヘプテナール、(E)-2-オクテナール、ピ
ロール、2,4-ドデカジエナール、1-オクタナール、(Z)-2-デセナールまたは
2-ウンデセナールが、ヘム含有タンパク質の存在下で増大され得、これらは、鶏肉に、
より牛肉のような風味を付与し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、システインおよびグルコースまたは他の
風味前駆体の組合せの存在下で加熱して、3種の成分の任意のサブセットが個別に使用さ
れる場合とは異なる揮発性臭気物質のプロファイルを提供する。これらの条件下で増大さ
れる揮発性風味成分として、それだけには限らないが、フラン、アセトン、チアゾール、
フルフラール、ベンズアルデヒド、2-ピリジンカルボキシアルデヒド、5-メチル-2
-チオフェンカルボキシアルデヒド、3-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド
、3-チオフェンメタノールおよびデカノールが挙げられる。例えば、表8および9を参
照のこと。これらの条件下で、システインおよびグルコースは、単独で、またはグルカン
酸鉄(ferrous glucanate)などの鉄塩の存在下で、亜硫酸臭気を生成したが、ヘム含有
タンパク質の添加は、亜硫酸臭気を低減し、それを、それだけには限らないが、チキンブ
ロス、焼けたキノコ、糖蜜およびパンを含めた風味と置き換えた。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、システインおよびリボースの存在下で加
熱して、異なる揮発性臭気物質のプロファイルを提供する。リボースの存在下で加熱する
ことは、ヘム含有タンパク質およびグルコースを一緒に加熱した場合と比較して、いくつ
かのさらなる化合物を作製した。表8および9を参照のこと。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロロフィ
リン(chlorophillin)またはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、チアミンおよ
び糖の存在下で加熱し、5-チアゾールエタノール、4-メチル-フラン、3,3’-ジ
チオビス[2-メチル-フラン、および/または4-メチルチアゾールの形成に影響を及
ぼすことができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような、肉の食味の様子を
有することがわかっている。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、イノシン一リン酸および/またはグアノ
シン一リン酸などのヌクレオチドの存在下で加熱して、(E)-4-オクテン、2-エチ
ル-フラン、2-ペンタノン、2,3-ブタンジオン、2-メチル-チアゾール、メチル
-ピラジン、トリデカン、(E)-2-オクテナール、2-チオペンカルボキシアルデヒ
ド(thiopenecarboxaldehyde)および/または3-チオペンカルボアルデヒドなどの風味
化合物の形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような
、肉の、バターのような、およびまたは良い香りの風味の様子を有することがわかってい
る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、リシン、リボースなどの糖およびシステ
インの存在下で加熱して、ジメチルトリスルフィド、ノナナール、2-ペンチルチオフェ
ン、2-ノネナールフルフラール、1-オクタノール、2-ノネナール、チアゾール、2
-アセチルチアゾール、フェニルアセトアルデヒドおよび/または2-アセチルチアゾー
ルなどの風味化合物の形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、
いくつかは、牛肉のような、肉の、およびまたは良い香りの風味を有することがわかって
いる。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、乳酸、リボースなどの糖およびシステイ
ンの存在下で加熱して、風味化合物ノナナール、チアゾール、2-アセチルチアゾールお
よび/または8-メチル1-ウンデセンの形成を制御することができる。これらの化合物
は、肉中に存在し、牛肉のような、良い香りの、茶色の、パンの、および麦芽の様子を有
することがわかっている。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、アミノ酸、グルコース、リボースおよび
マルトデキストリンなどの糖、乳酸、チアミン、IMP、GMP、クレアチンならびに塩
化カリウムおよび塩化ナトリウムなどの塩の存在下で加熱して、1,3-ビス(1,1-
ジメチルエチル)-ベンゼン、2-メチル3-フランチオールおよび/またはビス(2-
メチル-4,5-ジヒドロ-3-フリル)ジスルフィドなどの風味化合物の形成を制御す
ることができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような様子を有することがわ
かっている。また、表14も参照のこと。
【0058】
いくつかの実施形態では、風味化合物の形成を制御するために、特定の種類のヘム含有
タンパク質が選択される。例えば、1種または複数の風味前駆体化合物を含有する風味反
応混合物中の、異なる種類のヘムタンパク質(LegH、オオムギ、B.ミオグロビン(
myoglobin)またはA.エオリカス(A. aeolicus))の添加が、それだけには限らないが
、ペンタノン、3-メチルブタナール、2-メチルブタナール、2-ヘプテナール、1-
オクテン、ノナナール、2-プロペナール、2-デセナール、2-ノナノン、2-オクタ
ノン、2-トリデセン-1-オール、2-オクタノン、2-オクテナール、4-メチル-
2-ヘプタノン、オクタナール、2-ウンデセナール、ブチロラクトン、1-オクテン-
3-オン、3-メチルヘプチルアセテートおよび2-ペンチル-チオフェンを含めた、同
一の重要な肉風味の多くをもたらすことを示す、表9の結果を参照のこと。これらの風味
化合物の相違は、全体的な食味プロファイルを変更し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンま
たはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)および1種または複数の風味前駆体を、加熱
しながら反応させ(例えば、in vitroで)、目的の特定の風味および/または芳
香プロファイルを作製することができ、得られた風味付加組成物を、目的の消費可能食品
に添加することができ、次いで、これをそのままで食してもよく、またはさらなる調理に
よってさらに改変してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、任意の望ましくない風味は、活性炭を用いて脱臭することに
よって、または植物タンパク質の調製物を使用する場合に微量で存在し得、不飽和トリア
シルグリセリド(リノール酸またはリノレン酸など)を、より小さいより揮発性の分子に
変換し得るリポキシゲナーゼ(LOX)などの酵素を除去することによって最小化され得
る。LOXは、エンドウマメ、ダイズおよびピーナッツなどのマメ科植物ならびにイネ、
ジャガイモおよびオリーブ中に天然に存在する。マメ科植物粉が、別個のタンパク質画分
に分画される場合には、LOXは、熟成または貯蔵時に望ましくない風味を引き起こし得
る望ましくない「時限爆弾」として作用し得る。植物タンパク質(例えば、挽いた植物種
子に由来する)を含有する組成物を、精製に付し、例えば、LOXと結合し、タンパク質
試料からそれを除去する親和性樹脂を使用してLOXを除去することができる。親和性樹
脂は、ビーズまたは樹脂などの固相支持体と結合しているリノール酸、リノレン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エピガロカテキンであり得る。
例えば、WO2013138793を参照のこと。さらに、食品のタンパク質成分に応じ
て、抗酸化物質および/またはLOX阻害剤のある特定の組合せは、特に、脂肪およびオ
イルの存在下で、異臭または悪臭の生成を最小化するための有効な薬剤として使用され得
る。このような化合物として、例えば、1種または複数のβ-カロテン、α-トコフェロ
ール、コーヒー酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エピガロカテキンを挙げることがで
きる。
【0061】
いくつかの実施形態では、表3、8、9、12、14、16または17に記載されたも
のなどの特定の風味化合物は、風味付加組成物から単離および精製され得る。これらの単
離および精製された化合物は、食品および香料産業にとって有用な風味を作製するための
成分として使用され得る。
【0062】
風味付加組成物は、それだけには限らないが、スープまたはシチューベース、ブイヨン
、例えば、パウダーまたは固形、フレーバー小袋またはシーズニング小袋もしくはシェー
カーの形態であり得る。このような風味付加組成物は、さまざまな食品の風味および/ま
たは芳香プロファイルを調節するために使用され得、食品の調理の前、その間またはその
後に消費可能食品に添加され得る。
【0063】
食品
1種または複数の風味前駆体と、1種または複数のヘム含有タンパク質とを含有する食
品は、肉代用品、スープベース、シチューベース、スナック食品、ブイヨンパウダー、固
形ブイヨン、フレーバー小袋または冷凍食品を含めた、さまざまなさらなる食品を配合す
るためのベースとして使用され得る。肉代用品は、例えば、ホットドッグ、ハンバーガー
、挽肉、ソーセージ、ステーキ、ヒレ肉、ロースト肉、胸肉、もも肉、手羽肉、肉団子、
ミートローフ、ベーコン、ストリップ肉、フィンガー肉、ナゲット、平たい骨なし肉また
はキューブ肉として配合され得る。
【0064】
さらに、本明細書において記載される食品は、他の食品(例えば、肉模造品、肉代用品
、豆腐、模造鴨肉または他のグルテンベースの植物製品、テクスチャを持たせたダイズタ
ンパク質などのテクスチャを持たせた植物タンパク質、豚肉、魚肉、仔羊肉または鶏肉も
しくは七面鳥肉製品などの家禽製品)の食味および/または芳香プロファイルを調節する
ために使用され得、調理の前またはその間に、他の食品に適用され得る。本明細書におい
て記載された食品を使用することは、非肉製品に、または家禽製品に、特定の、肉の食味
および匂い、例えば、牛肉またはベーコンの食味および匂いを提供し得る。
【0065】
本明細書において記載される食品は、組成物が、調理の前またはその間に、食品の頂部
にまき散らされるか、広げられ得るように個々の小袋またはシェーカー内に密封されるこ
とを含めた種々の方法でパッケージングされ得る。
【0066】
本明細書において記載される食品は、キャノーラ油、コーン油、ヒマワリ油、ダイズ油
、オリーブオイルまたはヤシ油などの食品等級オイル、食用塩(例えば、塩化ナトリウム
または塩化カリウム)またはハーブ(例えば、ローズマリー、タイム、バジル、セージま
たはミント)などの調味料、香味剤、タンパク質(例えば、ダイズタンパク質単離物、コ
ムギグルテン、エンドウマメビシリン、および/またはエンドウマメレグミン)、タンパ
ク質濃縮物(例えば、ダイズタンパク質濃縮物)、乳化剤(例えば、レシチン)、ゲル化
剤(例えば、k-カラギーナンまたはゼラチン)、食物繊維(例えば、タケ繊維またはイ
ヌリン)またはミネラル(例えば、ヨウ素、亜鉛、および/またはカルシウム)を含めた
さらなる成分を含み得る。
【0067】
本明細書において記載される食品はまた、ターメリックもしくはビートジュースなどの
天然の着色剤またはアゾ染料、トリフェニルメタン、キサンテン、キニン、インジゴイド
、二酸化チタン、赤3番、赤40番、青1番または黄色5番などの人工着色剤を含み得る
。
【0068】
本明細書において記載される食品はまた、一酸化炭素、亜硝酸塩、メタ重亜硫酸ナトリ
ウム、ボンバル(Bombal)、ビタミンE、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、カテキンお
よび他の抗酸化物質などの肉保存期間拡張物質を含み得る。
【0069】
本明細書において記載される食品は、動物性製品(例えば、動物ヘム含有タンパク質ま
たは他の動物性製品)を含まないものであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、食品は、ダイズを含まない、コムギを含まない、酵母を含ま
ない、MSGを含まない、および/またはタンパク質加水分解生成物を含まないものであ
り得、肉の、高度に良い香りの食味を有し、悪臭または異臭を伴わないものであり得る。
【0071】
食品の評価
本明細書において記載される食品は、訓練されたヒトパネリストを使用して評価され得
る。評価は、製品の外観、色、完全性、テクスチャ、風味および食感などを判断するため
に、製品を目視すること、感じること、咀嚼することおよび試食することなどを含み得る
。パネリストは、赤色光下または白色光下で試料を供給され得る。試料は、ランダムな3
桁の数字が割り当てられ、偏りを防ぐために投票位置で回転され得る。知覚判断は、「受
け入れ」もしくは「好ましさ」について増減され得るか、または特定の技術用語を使用し
得る。例えば、文字尺度(優れたに対してA、良好に対してB、不足に対してC)または
数字尺度も使用され得る(1=嫌い、2=まずまず、3=良好、4=極めて良好、5=優
れている)。尺度は、食品の全体的な認容性または品質または牛肉らしさ、テクスチャお
よび風味のような特定の品質特性を等級づけるために使用され得る。パネリストは、試料
間で口を水ですすぐよう勧められ得、各試料について論評する機会を与えられ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される食品は、オルファクトメーター
読み取りに基づいて別の食品(例えば、肉または肉代用品)と比較され得る。種々の実施
形態では、参照ガスに対する比較、快不快尺度スコアを用いて、臭気濃度および臭気閾値
、臭気閾上を評価するためにオルファクトメーターが使用され、臭気の認識度または相対
強度が決定され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、オルファクトメーターによって、専門家パネルの訓練および
の自動評価が可能となる。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される食品は
、同様または同一のオルファクトメーター読み取りを引き起こす。いくつかの実施形態で
は、本発明の方法を使用して作製された風味と肉の間の相違は、ヒト知覚の検出閾値を下
回るよう十分に小さい。
【0074】
いくつかの実施形態では、GCMSを使用して同定される揮発性化学物質が評価され得
る。例えば、ヒトは、ある特定のピークの原因である化学物質の匂いを嗅ぐという経験を
等級づけできる。この情報は、ヘム含有タンパク質および1種または複数の風味前駆体を
使用して製造された風味および芳香化合物のプロファイルを精緻化するために使用され得
る。
【0075】
特徴的な風味および香料成分は、植物および肉中に見られるアミノ酸、脂肪および糖を
含めた化学反応分子によって、調理プロセスの間にほとんど製造される。したがって、い
くつかの実施形態では、食品は、調理の間または調理後の肉に対する類似性について試験
される。いくつかの実施形態では、ヒト等級づけ、ヒト評価、オルファクトメーター読み
取りまたはGCMS測定値またはそれらの組合せを使用して、食品の嗅覚地図が作製され
る。同様に、食品、例えば、肉模造品の嗅覚地図が作製され得る。これらのマップが、比
較されて、調理された食品が肉に対してどの程度同様であるかが評価され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、調理の間または調理後の食品の嗅覚地図は、調理された肉ま
たは調理中の肉のものと同様であるか、または区別できない。いくつかの実施形態では、
類似性は、ヒト知覚の検出閾値を下回るのに十分である。食品は、そのように作製され得
、その特徴は、調理後の食品と同様であるが、未調理の食品は、調理前に述部食品とは異
なる特性を有し得る。
【0077】
これらの結果は、本発明の組成物が、真の肉製品に対して認容できるよう同等であると
判断されることを実証する。さらに、これらの結果は、本発明の組成物が、パネリストに
よって、他の市販の肉代用品を上回って好まれることを実証し得る。そのため、いくつか
の実施形態では、本発明は、伝統的な肉に対して相当に類似しており、これまでに知られ
ている肉代替物よりも肉様である消費財を提供する。
【0078】
本発明を、以下の実施例においてさらに説明するが、これは、特許請求の範囲に記載さ
れる本発明の範囲を制限しない。
実施例
【実施例0079】
ヘムタンパク質の添加は、レプリカバーガーの牛肉らしさの品質を増加させる
表4中の成分および風味前駆体システイン(10mM)、グルタミン酸(10mM)、
グルコース(10mM)およびチアミン(1mM)を含有するレプリカバーガーを調製し
た。水をバランスを整えるために加えた。例えば、米国仮特許出願第61/751,81
6号、2013年1月11日の出願を参照されたい。対照バーガーをLegHを省いたこ
と以外は表4のとおり前駆体システイン(10mM)、グルタミン酸(10mM)、グル
コース(10mM)およびチアミン(1mM)を含んで調製した。
【0080】
5分間、150℃で調理後、レプリカバーガーを訓練された知覚パネルによって評価し
た。パネリストは、赤色光の下で試料を提供され、各パネリストは、個々に試料を評価し
た。試料は、無作為の3桁の数字を割り当てられ、偏りを防ぐために投票位置を交代させ
た。パネリストに、これだけに限らないが:牛肉らしさ、ブラッディー品質(bloody qua
lity)、良い香りの品質および全般的な認容性を含む複数の風味、芳香、食味、テクスチ
ャおよび外観特性について、1=極めて嫌いから、7=極めて好ましいまでの7点尺度を
使用して調理したレプリカバーガー試料を評価することを依頼した。パネリストは、試料
間で口を水ですすぎ、各試料の彼らの評価を記録するために報告書(survey)を記入する
ことが推奨された。
【0081】
LegHを含有するレプリカバーガーがLegHを含まない対照レプリカバーガーと比
較される場合、LegHを含有する試料は、LegHを含まないものと比較して顕著によ
り牛肉らしく、よりブラッディー、より良い香り、および全般的に好ましく等級づけられ
た。表5を参照されたい。
【0082】
【0083】