(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000011
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24B 1/02 20060101AFI20221222BHJP
F24B 5/02 20060101ALI20221222BHJP
F23B 90/04 20110101ALI20221222BHJP
【FI】
F24B1/02 E
F24B5/02 F
F23B90/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100569
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】593190928
【氏名又は名称】株式会社モキ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】茂木 国豊
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AB08
3K046AC06
3K046AD01
3K046BA02
3K046BA04
3K046FA01
(57)【要約】
【課題】後端板部が過度に加熱されることを防止し、燃焼による暖房効果をより適切に向上させることができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼空間20が多数の貫通孔35を備える第1の燃焼促進板30によって、前端板部15の側で燃焼物の投入口17を備える一次燃焼室21と、後端板部16の側で排気口18を備える二次燃焼室22とに区画され、排気口18が二次燃焼室22の天板部11に設けられ、該排気口18及び該二次燃焼室22を区画するように、天板部11の内面から下方へ延設された状態に配されると共に多数の貫通孔45を備える第2の燃焼促進板40を備え、第2の燃焼促進板40の下端縁47が、底板部12の内面から所要の間隔を空ける高さに形成されると共に後端板部16の内面に近接するように、第2の燃焼促進板40の下端部46が後端板部16の側へ曲げられた形状に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部、底板部、左右の側壁部、前端板部及び後端板部によって囲まれることで形成された燃焼空間が、前記天板部の内面から下方へ延設された状態に配されて下端縁が前記底板部の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に多数の貫通孔を備える第1の燃焼促進板によって、前記前端板部の側で燃焼物の投入口を備える一次燃焼室と、前記後端板部の側で排気口を備える二次燃焼室とに区画されている燃焼装置であって、
前記排気口が前記二次燃焼室の前記天板部に設けられ、該排気口及び該二次燃焼室を区画するように、前記天板部の内面から下方へ延設された状態に配されると共に多数の貫通孔を備える第2の燃焼促進板を備え、
該第2の燃焼促進板の下端縁が前記底板部の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に前記後端板部の内面に近接するように、該第2の燃焼促進板の下端部が前記後端板部の側へ曲げられた形状に設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記後端板部の板面と、前記第1の燃焼促進板の板面と、前記第2の燃焼促進板の前記下端部を除く部分の板面とが平行に配されていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第1の燃焼促進板及び前記第2の燃焼促進板の前記下端部を除く部分は、実質的に鉛直に下方に延設されるように、水平に設けられた天板部の下面から下方へ垂設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第2の燃焼促進板の方が前記第1の燃焼促進板よりも下側まで延設され、前記第2の燃焼促進板の前記下端部が、斜面状に折り曲げられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記第1の燃焼促進板は、切欠き部を備える枠型燃焼促進板部と、該燃焼促進枠板部の切欠き部に重なるように脱着される脱着燃焼促進板部とによって構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天板部、底板部、左右の側壁部、前端板部及び後端板部によって囲まれることで形成された燃焼空間が、前記天板部の内面から下方へ延設された状態に配されて下端縁が前記底板部の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に多数の貫通孔を備える第1の燃焼促進板によって、前記前端板部の側で燃焼物の投入口を備える一次燃焼室と、前記後端板部の側で排気口を備える二次燃焼室とに区画されている燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼装置としては、燃焼室の天井面の一半を開閉自在な蓋体で構成することにより、燃焼物の投入口を兼ねた空気供給口を設け、該空気供給口と反対側の天井面若しくは側面には、煙突が接続する排気口有しており、該排気口と、前記空気供給口との間の天井面からの燃焼促進板を垂設すると共に、該燃焼促進板の下端縁と前記燃焼室の床面との間に燃焼室の高さの1/3~1/4の範囲の空隙を設けることにより、前記空気供給口が開口する一次燃焼室と前記排気口が開口する二次燃焼室とに燃焼室内を分画し、前記燃焼促進板には、一次燃焼室と二次燃焼室とを連通する多数の通孔が該促進板の全体に分散配設されている(特許文献1参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0003】
さらに、従来の燃焼装置としては、燃焼物の投入口や空気供給口を備える一次燃焼室と排気口を備える二次燃焼室とに、天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔を備える燃焼促進板によって、区切られた燃焼空間を有する燃焼装置であって、前記排気口が前記二次燃焼室の天板部に設けられ、該二次燃焼室内で該排気口の開口を横切って分割するように、前記燃焼促進板と同等の多数の貫通孔を備える少なくとももう一枚の燃焼促進板が天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されて設けられている(特許文献2参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3066066号公報(請求項1)
【特許文献2】特許第4785980号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃焼装置に関して解決しようとする課題は、従来の燃焼促進板を有する燃焼装置では、二次燃焼室での燃焼が過剰になり易く、一次燃焼室と二次燃焼室の燃焼バランスを最適化することが難しく、後端板部が過度に加熱されて高温になるため、設置条件をより工夫する必要性が生じ、煙突効果が過度に生じることで燃料効率が低下し、暖房効果をより向上させることが難しいことにある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、後端板部が過度に加熱されることを防止し、燃焼による暖房効果をより適切に向上させることができる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、天板部、底板部、左右の側壁部、前端板部及び後端板部によって囲まれることで形成された燃焼空間が、前記天板部の内面から下方へ延設された状態に配されて下端縁が前記底板部の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に多数の貫通孔を備える第1の燃焼促進板によって、前記前端板部の側で燃焼物の投入口を備える一次燃焼室と、前記後端板部の側で排気口を備える二次燃焼室とに区画されている燃焼装置であって、前記排気口が前記二次燃焼室の前記天板部に設けられ、該排気口及び該二次燃焼室を区画するように、前記天板部の内面から下方へ延設された状態に配されると共に多数の貫通孔を備える第2の燃焼促進板を備え、該第2の燃焼促進板の下端縁が前記底板部の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に前記後端板部の内面に近接するように、該第2の燃焼促進板の下端部が前記後端板部の側へ曲げられた形状に設けられている。
【0008】
また、本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、前記後端板部の板面と、前記第1の燃焼促進板の板面と、前記第2の燃焼促進板の前記下端部を除く部分の板面とが平行に配されていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、前記第1の燃焼促進板及び前記第2の燃焼促進板の前記下端部を除く部分は、実質的に鉛直に下方に延設されるように、水平に設けられた天板部の内面から下方へ垂設されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、前記第2の燃焼促進板の方が前記第1の燃焼促進板よりも下側まで延設され、前記第2の燃焼促進板の前記下端部が、斜面状に折り曲げられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、前記第1の燃焼促進板は、切欠き部を備える枠型燃焼促進板部と、該燃焼促進枠板部の切欠き部に重なるように脱着される脱着燃焼促進板部とによって構成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃焼装置によれば、後端板部が過度に加熱されることを防止し、燃焼による暖房効果をより適切に向上させることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る燃焼装置の形態例を示す部分破断断面図である。
【
図3】
図1の形態例の固体燃料の投入口を閉じた状態の正面図である。
【
図4】
図1の形態例の固体燃料の投入口を開いて第1の燃焼促進板の枠型燃焼促進板部から脱着燃焼促進板部を取り外した状態の正面図である。
【
図5】
図1の形態例に用いられている第1の燃焼促進板の枠型燃焼促進板部(部品)の正面図である。
【
図6】
図1の形態例に用いられている第1の燃焼促進板の脱着燃焼促進板部(部品)の正面図である。
【
図8】
図1の形態例に用いられている第2の燃焼促進板(部品)の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る燃焼装置の形態例を、添付図面(
図1~9)に基づいて詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る燃焼装置は、基本形態として、天板部11、底板部12、左右の側壁部13、14、前端板部15及び後端板部16によって囲まれることで形成された燃焼空間20が、天板部11の内面から下方へ延設された状態に配されて下端縁37が底板部12の内面から所要の間隔を空ける高さとなるように設けられると共に多数の貫通孔35を備える第1の燃焼促進板30によって、前端板部15の側で燃焼物の投入口17を備える一次燃焼室21と、後端板部16の側で排気口18を備える二次燃焼室22とに区画されている。なお、前端板部15とは開閉扉51を含む部位であり、開閉扉51は閉じた状態で前端板部15の一部として機能する。
【0016】
なお、天板部11、底板部12及び左右の側壁部13、14で構成される周囲壁板部10は、図示した本形態例のような角筒の形状に限定されることなく、例えば円筒の形状でもよいのは勿論である。すなわち、周囲壁板部10が円筒形状の場合は、実質的に円周を4等分し、円周の上部の円弧を実質的に天板部11に対応させ、円周の下部の円弧を実質的に底板部12に対応させ、上下の中間部を実質的に左右の側壁部13、14に対応させることができる。
【0017】
また、本発明に係る燃焼装置では、排気口18が二次燃焼室22の天板部11に設けられ、その排気口18及び二次燃焼室22を区画するように、天板部11の内面(下面)から下方へ延設された状態に配されると共に多数の貫通孔45を備える第2の燃焼促進板40を備える。
【0018】
本形態例の排気口18は、
図2~4に示すように、二次燃焼室22の左右方向の中央にあり、この排気口18から上方へ延設された煙突接続筒部19に、煙突50が天面(天板部11の上面)から実質的に鉛直に上方へ延びるように接続される。本形態例の二次燃焼室22は、前後方向の巾が煙突50の径と同等程度に設けられ、前後に偏平な形状で、一次燃焼室21の容積に比べて小さくなっている。本形態例の多数の貫通孔35、45は、一部を除いて基本的に同径のものが板の全面に均一に分散した状態に配されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、千鳥状に配したり、開口率の勾配を適宜設けるようにその配置密度を変化させることやその直径を変化させることも可能である。
【0019】
また、本形態例では円形の排気口18及び二次燃焼室22を前後半分に分けるように、その排気口18の中央を二次燃焼室22側から横切るように、第2の燃焼促進板40が配置されているが、本発明はこれに限定されず、適宜に燃焼促進板を配することができる。例えば、本形態例では、2枚の燃焼促進板30、40によって設けられているが、燃焼促進板としては、さらに枚数を増やすことができる。例えば、燃焼促進板が3枚の場合は、第1の燃焼促進板30と第2の燃焼促進板40との間に、第3の燃焼促進板を配することができる。この第3の燃焼促進板を加えることによれば、円形開口形状に設けられた排気口18を三分割した形態とすることができると共に、二次燃焼室22を三分割した形態とすることができる。すなわち、燃焼促進板の枚数は、本形態例に限定されるものではなく、排気口18の大きさなどに対応させることによって適宜選択的に設定すればよい。また、本形態例の燃焼促進板30、40は、金属平板を適宜に加工して設けられる有孔の仕切板状のものであって、赤熱することで燃焼を促進する金属板(本形態例では鋼板やステンレス鋼板)であるが、これに限定されず、例えばセラミックス板を用いることも可能である。
【0020】
そして、第2の燃焼促進板40の下端縁47が底板部12の内面(内底面)から所要の間隔(燃焼空気が適切に流通できる間隔)を空ける高さとなるように設けられると共に後端板部16の内面に近接するように、その第2の燃焼促進板40の下端部46が後端板部16の側へ曲げられた形状に設けられている。本形態例では、
図1などに示すように、第2の燃焼促進板40がへの字状となるように下側の中途部で折り曲げられた形状に設けられている。なお、第2の燃焼促進板40の下端部46が後端板部16の側へ曲げられた形状とは、本形態例のような一枚の板を曲げた形状に限定されるものではなく、例えば、複数の部材を組み合わせて溶接等の固定手段で実質的に同等の形状とすることができるのは勿論である。
【0021】
この本発明の燃焼装置によれば、後端板部16が過度に加熱されることを防止し、燃焼による暖房効果をより適切に向上させることができるという特別有利な効果を奏する。すなわち、第1の燃焼促進板30と第2の燃焼促進板40という複数の燃焼促進板を備えることで、特許文献2で開示された燃焼装置と同様に、燃焼空気の好適な対流効果によって二次燃焼室22をより効果的に加熱できると共に、燃焼空気の排気をスムースにする整流効果があり、燃焼性能を向上させることができる。そして、第2の燃焼促進板40の下端部46が後端板部16の側へ曲げられた形状に設けられていることで、二次燃焼室22のうちの第2の燃焼促進板40と後端板部16の間(二次燃焼室22の後側の空間22b)の燃焼空気の流れを制限することができる。
【0022】
これによれば、二次燃焼室22の前側の空間22aでは、従来と同様に燃焼空気が煙突効果や整流効果によってスムースに流れることで、二次燃焼が促進され、燃焼効率を向上させることができる。そして、二次燃焼室22の後側の空間22bについては、第2の燃焼促進板40の下端部46によって燃焼空気の流れが制限されることになり、二次燃焼室22の前側の空間22aに比べて二次燃焼を抑制することができる。このため、後端板部16が過度に加熱されることを防止でき、例えばこの燃焼装置をストーブとして設置する際の設置位置などの設置条件の自由度を高めることができる。
【0023】
そして、二次燃焼室22の後側の空間22bにおける二次燃焼を抑制できることで、二次燃焼室22の全体での過度な二次燃焼を抑制できることになる。このため、一次燃焼室21の燃焼が相対的に活性化され、一次燃焼室21と二次燃焼室22の燃焼バランスをより適正化することができ、燃料と燃焼の効率が向上し、暖房効果をより向上させることができる。つまり、本発明に係る第2の燃焼促進板40によれば、燃焼が比較的小さくて燃焼空気の流れが小さいときでも素早く赤熱して燃焼を促進でき、燃焼が比較的大きくなったときには燃焼空気の流れを効果的に抑制して二次燃焼を抑制するように作用する。このため、二次燃焼室22内の燃焼を適度に促進すると共に、過度な二次燃焼が生じることを適度に抑制することができ、燃焼装置全体としての燃焼を改善でき、暖房効果をより向上させることができる。
【0024】
さらに具体的には、本形態例のように、第2の燃焼促進板40の下端縁47が、後端板部16の内面に近接するが接触しないで適度な間隔(隙間)を空けるように設けられている。すなわち、本形態例の第2の燃焼促進板40の下端部46と後端板部16の内面(起立面)との間隔は、第2の燃焼促進板40の下端部46を除いた部分と後端板部16の内面との間隔と比較して、例えば5~25%程度の寸法となるように設けることができる。本形態では、
図1に示すように、第2の燃焼促進板40の下端縁47と後端板部16の内面との隙間は、第2の燃焼促進板40の下端部46を除いた部分と後端板部16の内面との間隔の約15%の幅寸法(長さ間隔)になっており、貫通孔35、45の直径寸法と比較して約半分程度の幅寸法になっている。
【0025】
このように第2の燃焼促進板40の下端部46が設けられることによって、燃焼空気の二次燃焼室22の後側の空間22bへの流通を適度に妨害することができ、その後側の空間22bでの二次燃焼を抑制することができる。そして、第2の燃焼促進板40の下端縁47と後端板部16の内面との間には隙間があり、第2の燃焼促進板40から後端板部16への直接的な熱の伝導(伝熱)がないため、後端板部16の過熱を防止できる。すなわち、第2の燃焼促進板40は、その第1の燃焼促進板30側の板面が前側の空間22aで優先的に二次燃焼がなされるため十分に加熱されて燃焼促進板として作用すると共に、後端板部16の過熱防止板としても作用している。
【0026】
また、本形態例では、後端板部16の板面と、第1の燃焼促進板30の板面と、第2の燃焼促進板40の下端部46を除く部分の板面とが平行に配されている。これによれば、それぞれの板面の相互間によって形成される燃焼空気の通路の形態性と燃焼空気の煙突効果による気流の方向性とをバランスよく一致させることができ、燃焼空気の流れをスムースにして効率良く排気することができ、燃焼効率を高めることができる。
【0027】
また、本形態例では、第1の燃焼促進板30及び第2の燃焼促進板40の下端部46を除く部分は、実質的に鉛直に下方に延設されるように、水平に設けられた天板部11の内面から下方へ垂設されている。これによれば、それぞれの板面の相互間によって形成される燃焼空気の通路の方向性と燃焼空気の煙突効果による上昇気流の方向性とを一致させることができ、燃焼空気の流れをスムースにして効率良く排気することができ、燃焼効率を高めることができる。このように本形態例では前述した板面が起立した状態の鉛直面になっているため、灰が堆積することを防止できる。
【0028】
また、本形態例では、第2の燃焼促進板40の方が第1の燃焼促進板30よりも下側まで延設され、その第2の燃焼促進板40の下端部46が、斜面状に折り曲げられている。これによれば、前述したような効果を奏する第2の燃焼促進板40を、合理的且つ簡易に構成できる。
【0029】
本形態例の第2の燃焼促進板40の下端部46では、後端板部16に面する側の折り曲げ角度は、少なくとも鈍角になるように設定されている。つまり、第2の燃焼促進板40の下端縁47が、折り曲げ部41よりも下側に位置すると共に、後端板部16の内面に近づくように、下端部46が傾斜面となるように形成されている。本形態例では、折り曲げ角度が130度に設定されている。このように折り曲げ角度が鈍角になっていることで、灰が落下し易く、灰の堆積を防止することができる。また、
図1、8、9などに示すように、42は補強板部であり、第2の燃焼促進板40の下端部46が折り曲げられた形状を保持し、過熱による変形を防止するように、3枚が溶接によって固定されている。
【0030】
また、複数の燃焼促進板30、40の下端縁37、47と底板部12の内面(内底面)との間隔は、燃焼空気が適切に流通できる空隙が設けられるように適宜に設定すればよい。本形態例では、
図1に示すように、第1の燃焼促進板30の下端縁37と底板部12の内面との間隔が、燃焼室の高さの約1/3程度に設定されており、第2の燃焼促進板40の下端縁47と底板部12の内面との間隔が、燃焼室の高さの約1/4程度に設定されている。なお、この下端縁37、47と底板部12の内面との間隔は、本形態例に限定されるものではなく、燃焼室の大きさや多数の貫通孔35、45の大きさなど他の種々の条件との関係で、燃焼空気の最適な流れが生じるように適宜選択的に設定できるのは勿論である。
【0031】
また、本形態例の燃焼促進板30、40に設けられた多数の貫通孔35、45の開口率は、約10%に設定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、空間を適宜に区画し、且つ適度な通気性が生じるように、種々の条件との関係で適宜選択的に設定できるのは勿論である。この多数の貫通孔35、45によれば、一次燃焼室21から二次燃焼室22へ通気する燃焼空気の流れのバランスが崩れようとする際に、自動的に修正する機能があり、安定的な燃焼を実現できる。
【0032】
さらに、本形態例では、第1の燃焼促進板30が、切欠き部32を備える枠型燃焼促進板部31と、その枠型燃焼促進板部31の切欠き部32に重なるように脱着される脱着燃焼促進板部34とによって構成されている。本形態例の脱着燃焼促進板部34では、その上部に二つのフック38(
図1及び7参照)が設けられており、その二つのフック38が嵌る二つのフック穴33(
図1及び
図5参照)が、枠型燃焼促進板部31の切欠き部32の上部に設けられている。本形態例のフック38はボルトを枠型燃焼促進板部31に固定することで構成され、フック穴33に掛けることで自重によって枠型燃焼促進板部31の面に当接した状態で安定的に装着できる形態になっている。
【0033】
本形態例の切欠き部32は、枠型燃焼促進板部31の中央部から下側に亘って台形状に切り欠かれた形態となっている。また、枠型燃焼促進板部31の下端縁部36は、後方へ向って小さく折り曲げられている。この下端部46を折り曲げることで、剛性を高めて熱による変形を抑制することができ、脱着燃焼促進板部34を枠型燃焼促進板部31に重ねるように適切に装着でき、その装着性を向上できる。
【0034】
これによれば、脱着燃焼促進板部34を、枠型燃焼促進板部31に、その切欠き部を埋めるように容易且つ適切に装着することができ、その枠型燃焼促進板部31に脱着燃焼促進板部34を一体的に合体させる形態とすることで、第1の燃焼促進板30を適切に構成することができる。このように第1の燃焼促進板30を構成することで、最も高温に曝されて焼けることによって消耗し易い第1の燃焼促進板30の部分を、容易に交換することができ、大掛かりな修理の必要性を低減して長期の使用に耐え得ることができ、経済性と信頼性を高めることができる。
【0035】
本形態例では、前端板部15に燃焼物の投入口17が設けられている。51は開閉扉であり、燃焼物の投入口17を開閉できるように形成され、透明な窓を備えている。また、 52は気密部材であり、投入口17の周縁部に帯状に配され、開閉扉51との間で通気が容易になされないように設けられている。また、53は蓋体であり、空気供給口54を開閉できるように設けられている。この二つの蓋体53及び空気供給口54は、前端板部15の下部に配されている。
【0036】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0037】
10 周囲壁板部
11 天板部
12 底板部
13 側壁部
14 側壁部
15 前端板部
16 後端板部
17 投入口
18 排気口
19 煙突接続筒部
20 燃焼空間
21 一次燃焼室
22 二次燃焼室
22a 前側の空間
22b 後側の空間
30 第1の燃焼促進板
31 枠型燃焼促進板部
32 切欠き部
33 フック穴
34 脱着燃焼促進板部
35 貫通孔
36 下端縁部
37 下端縁
38 フック
40 第2の燃焼促進板
41 折り曲げ部
42 補強板部
45 貫通孔
46 下端部
47 下端縁
50 煙突
51 開閉扉
52 気密部材
53 蓋体
54 空気供給口