(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110088
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】測量データ処理装置、測量データ処理方法および測量データ処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
G01C15/00 103
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096067
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2019169110の分割
【原出願日】2019-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽
(57)【要約】
【課題】反射プリズムが設置された床面または地面の点群データが除去されないようにする。
【解決手段】レーザースキャンにより点群データの処理を行う測量データ処理装置100であって、前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、前記脚部は、床面または地面の上に配置され、前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出するターゲット検出部103と、前記検出した前記反射プリズムの位置を取得する位置取得部106と、前記反射プリズムの前記位置に基づき、該位置を通り、該位置の上方または下方の平面に対する垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定する設定部とを備え、前記筒状の空間の内部に、前記反射プリズムの前記位置を通る鉛直軸と交差する前記床面または地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理装置であって、
前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、
前記脚部は、床面または地面の上に配置され、
前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出するターゲット検出部と、
前記検出した前記反射プリズムの位置を取得する位置取得部と、
前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定する設定部と
を備え、
前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれる測量データ処理装置。
【請求項2】
レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理方法であって、
前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、
前記脚部は、床面または地面の上に配置され、
前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出し、
前記検出した前記反射プリズムの位置を取得し、
前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定し、
前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれる測量データ処理方法。
【請求項3】
レーザースキャンにより得た点群データの処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、
前記脚部は、床面または地面の上に配置され、
コンピュータに
前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出と、
前記検出した前記反射プリズムの位置の取得と、
前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間の設定と
を実行させ、
前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれるプログラム。
【請求項4】
レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理装置であって、
前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、
前記脚部は、床面または地面の上に配置され、
前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出するターゲット検出部と、
前記検出した前記反射プリズムの位置を取得する位置取得部と、
前記反射プリズムの前記位置に基づき、該位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定する設定部と、
前記筒状の空間に含まれる点群データを除去する点群データ除去部と
を備え、
前記筒状の空間の内部に含まれる点群のうち、平面状に分布し、且つ、広がりが特定の広さ以上である点群データが前記床面または地面の点群データとして、前記除去の対象から外される測量データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)により得られる点群データを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を対象物に照射し、その反射光を検出することで、反射点の三次元情報を得る技術が知られている。この技術は、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と呼ばれている(例えば非特許文献1や非特許文献2を参照)。この三次元情報の取得を多数の点において行うことで点群データが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】東芝レビューVol. 73 No6(2018年11月)
【非特許文献2】自動運転ラボ(2018年10月12日)(https://jidounten-lab.com/y_6506)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、反射プリズムが設置された床面または地面の点群データが除去されないようにする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理装置であって、前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、前記脚部は、床面または地面の上に配置され、前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出するターゲット検出部と、前記検出した前記反射プリズムの位置を取得する位置取得部と、前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定する設定部とを備え、前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれる測量データ処理装置である。
【0006】
本発明は、レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理方法であって、前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、前記脚部は、床面または地面の上に配置され、前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出し、前記検出した前記反射プリズムの位置を取得し、前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定し、前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれる測量データ処理方法である。
【0007】
本発明は、レーザースキャンにより得た点群データの処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、前記脚部は、床面または地面の上に配置され、コンピュータに前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出と、前記検出した前記反射プリズムの位置の取得と、前記反射プリズムの前記位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間の設定とを実行させ、前記筒状の空間の内部に、前記床面または前記地面の点群データが含まれない様に前記筒状の空間の設定が行なわれるプログラムである。
【0008】
本発明は、レーザースキャンにより得た点群データの処理を行う測量データ処理装置であって、前記点群データには、計測対象物の点群データの他に反射プリズムおよび該反射プリズムを支える脚部の点群データが含まれ、前記脚部は、床面または地面の上に配置され、前記点群データにおいて、前記反射プリズムからの反射光を検出するターゲット検出部と、前記検出した前記反射プリズムの位置を取得する位置取得部と、前記反射プリズムの前記位置に基づき、該位置を通る垂線を軸とする前記反射プリズムおよび前記脚部を収める筒状の空間を設定する設定部と、前記筒状の空間に含まれる点群データを除去する点群データ除去部とを備え、前記筒状の空間の内部に含まれる点群のうち、平面状に分布し、且つ、広がりが特定の広さ以上である点群データが前記床面または地面の点群データとして、前記除去の対象から外される測量データ処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射プリズムが設置された床面または地面の点群データが除去されないようにする技術が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態におけるレーザースキャンの対象を示す図である。
【
図3】処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1の実施形態
(ハードウェアの構成)
図1には、発明を利用した測量データ処理装置の一例であるレーザースキャンデータ処理装置100のブロック図が示されている。測量データ処理装置100は、市販のPC(パーソナルコンピュータ)を利用して構成されている。
【0012】
測量データ処理装置100は、コンピュータとして機能する。測量データ処理装置100が備える各機能部の機能は、使用するPCに
図1に示す各機能部を実現するためのアプリケーションソフトウェアをインストールし、当該アプリケーションソフトウェアを構成するプログラムが当該PCのCPUによって実行されることで実現される。
【0013】
各機能部の一部または全部を各種のプロセッサや電子回路で構成してもよい。また、外部のPC(パーソナルコンピュータ)やサーバの演算部を利用して、上記機能部の少なくとも一部を実現してもよい。
【0014】
測量データ処理装置100は、レーザースキャンデータ受付部101、点群データ作成部102、ターゲット検出部103、対応関係特定部104、点群データ統合部105、ターゲットの位置取得部106、点群データ除去領域の設定部107、点群データ除去部108を備える。
【0015】
その他、レーザースキャンデータ処理装置100は、通常のPCが備えるデータ記憶装置、通信装置、ユーザーインターフェース装置を備えている。
【0016】
レーザースキャンデータ受付部101は、異なる2つ以上の機械点から取得されたレーザースキャンデータを受け付ける。レーザースキャンデータは、レーザースキャナの光学原点(機械点)から見たスキャン点の方向と距離、さらに反射点の反射強度(反射光の検出強度)のデータを含んでいる。
【0017】
この例において、レーザースキャンは、計測対象に対して異なる複数の機械点(視点)から行なわれる。利用するレーザースキャナは、1台でも良いし、複数であってもよい。隣接する機械点から取得された2つレーザースキャンデータは、少なくとも一部で重複するように機械点とスキャン範囲が設定される。
【0018】
また、隣接する機械点からのレーザースキャン範囲の上記重複部分に、複数(基本的には4つ以上)のマッチング用ターゲットが含まれるようにマッチング用ターゲットが配置される。
【0019】
マッチング用ターゲットは、反射プリズム、該反射プリズムを支える支持ベース、該支持ベースを支える三脚を備える。反射プリズムは、市販の測量用の反射プリズムであり、入射光を180°異なる方向に反射する。各マッチング用ターゲットは同じもので、点群データの取得対象となる計測対象物からの識別はできるが、この例では、レーザースキャンデータの上では、ターゲット間の識別はできない。
【0020】
図2には、室内をレーザースキャンの対象とし、マッチング用ターゲット200と300を配置した場合が示されている。
図2には、2つのマッチング用ターゲットが示されているが、実際には、更に多くの数が配置される。通常は、統合する点群データの重複部分で4つ以上のマッチング用ターゲットが存在するように、マッチング用ターゲットの配置が行なわれる。
【0021】
マッチング用ターゲット200は、反射プリズム201、支持ベース202、三脚203を有している。符号204は、後述する点群データ除去領域である。マッチング用ターゲット300は、マッチング用ターゲット200と同じなので説明は省略する。
【0022】
使用するレーザースキャナは、市販されているものを利用している。レーザースキャナに係る技術については、特開2010-151682号公報、特開2008-268004号公報、米国特許第8767190号公報、US7969558号公報、US2017-0269197号公報等に記載されている。また、レーザースキャナとして、米国公開公報US2015/0293224号公報に記載されているような、スキャンを電子式に行う形態も採用可能である。
【0023】
ここでは、点群データを得る手段としてレーザースキャナの例を挙げるが、スキャンを行わずに面状の点群データを得るフラッシュ型LiDARといった他の形式のLiDARを用いることもできる。
【0024】
点群データ作成部102は、レーザースキャンデータ受付部101が受け付けたレーザースキャンデータに基づき、点群データを作成する。ここでは、レーザースキャンデータを三次元座標系に座標変換することで、点群データを得る。点群データでは、基となるレーザースキャンデータの機械点を原点とするXYZ座標系上で各点の座標が記述されている。勿論、極座標等の他の形態の座標系で各点を記述したものを点群データとして扱うこともできる。
【0025】
ここで、利用するレーザースキャナの絶対座標系上における位置(機械点の位置)と姿勢が既知であれば、絶対座標系上でその位置が記述された点群データが得られる。例えば、緯度、経度、標高で座標が特定された点群データが得られる。なお、絶対座標系上というのは、GNSSや地図上で位置を記述する際に利用される座標系である。
【0026】
ターゲット検出部103は、レーザースキャンデータの中からマッチング用ターゲットを検出する。マッチング用ターゲットは、測量用の反射プリズムであり、専用の鏡面(ミラー)を備えているので、被計測対象物に比較して反射率が高い。そのため、測距光の反射点からの反射光の強度を評価判定することで、マッチング用ターゲットからの反射光であるか否かの判別が行える。
【0027】
ターゲットの検出は、自動または手動で行なわれる。自動で行う方法として、予め設定しておいた閾値を用いる方法や画像情報を用いる方法が挙げられる。手動の場合は、点群データを画像化したものをオペレータが目視で確認し、ターゲットからの反射と認められるもの特定することで行なわれる。また、ターゲットは、反射プリズム以外に、ミラーや各種の反射板、黒い紙や黒い板の中心に白い円を描いたもの、白黒チェッカー(白黒の市松模様)等を利用することができる。
【0028】
例えば、検出光の絶対強度または相対強度が特定の値以上である場合に、それがマッチング用ターゲットからの反射光であると判定する。そしてこの反射光に係る位置データ(反射点の位置データ)を取得することで、マッチング用ターゲットの位置が検出される。この処理がターゲット検出部103で行なわれる。
【0029】
対応関係特定部104は、対象となる2つの点群データの対応関係を特定する。この際、対応関係が明確なマッチング用ターゲットの情報が束縛条件として利用される。対応関係の特定は、テンプレートマッチング等の公知のマッチング技術を利用して行われる。点群データ間のマッチングに関しては、例えば特開2013-186816号公報や特開2013-178656号公報に記載された技術を利用できる。
【0030】
例えば、4個のマッチング用ターゲットが2つの点群データで共通であるとする。この場合、2つの点群データ間の相対位置関係を調整し、この4個のマッチングターゲットの位置が一方の点群データと他方の点群データとで一致する条件を探索することで、2つの点群データ間の対応関係の特定が行なわれる。勿論、この処理において、マッチング用ターゲット以外に係る点群もマッチングの対象となる。
【0031】
点群データ統合部105は、対応関係が特定された2つの点群データを統合する。2つの点群データを統合することで、この2つの点群データが共通の座標系上で記述される。ターゲットの位置取得部106は、上述した2つの点群データが統合されることで得た統合点群データ上における複数のマッチング用ターゲットの位置を取得する。
【0032】
点群データ除去領域の設定部107は、取得したマッチング用ターゲットの位置に基づき点群データを除去する領域の設定を行う。以下、この処理で行なわれる処理の一例を説明する。ここでは、第1の点群データと第2の点群データをXYZ座標系上で統合した場合を考える。ここで、マッチング用ターゲットの位置をPi(i=1,2,3・・)とする。
【0033】
まず、Piの上方および下方において、平面状に分布する点群の検出が行なわれる。この処理により、床面(または地面)と天井面の検出が行なわれる。なお、野外における計測等の場合、天井面が検出されない場合もある。
【0034】
次に、Piを通る垂線を設定する。そして、この垂線を軸とする円筒を設定する。円筒の長さ(高さ)と径は、三脚を含めたマッチング用ターゲットが収まる寸法とする。この寸法は、予め取得し、定めておく。この円筒の空間がマッチング用ターゲットに係る点群データを除去するための除去領域となる。
【0035】
図2には、一例として、反射プリズム201、支持ベース202、三脚203により構成されるマッチング用ターゲット200が収まる円筒形状の空間である点群データ除去領域204が示されている。
【0036】
上記の点群データ除去領域の設定に際して、先に検出された床面(地面)および天井面(天井面はない場合もある)の点群が、点群データ除去領域に含まれないように点群データ除去領域(この例では、円筒状の領域)の高さ方向の寸法の調整が行なわれる。すなわち、点群データ除去領域を構成する空間の内部に床面(地面)および天井面を構成する点群データが含まれない様に、点群データ除去領域の高さ方向の寸法が調整される。
【0037】
点群データ除去部108は、点群データ統合部105で得られた点群データの中から、点群データ除去領域の設定部107で設定された空間(領域)の点群を除去する。これにより、マッチング用ターゲットに係る点群データが除去される。例えば、
図2の点群データ除去領域204に含まれる点群データが除去されることで、マッチング用ターゲット200に係る点群データが、統合された点群データの中から除去される。
【0038】
(処理の一例)
図3は、レーザースキャンデータ処理装置100で行なわれる処理の一例を示すフローチャートである。
図3の処理を実行するプログラムは、レーザースキャンデータ処理装置100が備える記憶部や適当な記憶媒体に記憶され、そこから読み出され、レーザースキャンデータ処理装置100を構成するPCのCPUによって実行される。このプログラムをサーバに記憶し、インターネット経由でそこからダウンロードする形態も可能である。
【0039】
ここでは、一例として、レーザースキャンによって得た2つの点群データを統合する場合を例に挙げ説明する。
図3の処理に先立ち、第1の機械点からのレーザースキャンを行い第1のレーザースキャンデータを得、更に第2の機械点からのレーザースキャンを行い第2のレーザースキャンデータを得る。ここで、2つの点群データは一部で重複し、この重複する部分に4つ以上のマッチング用ターゲットが配置されているものとする。
【0040】
処理が開始されると、まず第1のレーザースキャンデータと第2のレーザースキャンデータの取得が行なわれる(ステップS101)。この処理は、レーザースキャンデータ取得部101で行なわれる。
【0041】
次に、第1のレーザースキャンデータに基づく第1の点群データの作成と、第2のレーザースキャンデータに基づく第2の点群データの作成が行なわれる(ステップS102)。この処理は、点群データ作成部102で行なわれる。次に、第1の点群データおよび第2の点群データの中からマッチング用ターゲットを検出する(ステップS103)。この処理は、ターゲット検出部103で行なわれる。
【0042】
次に、ステップS103において、検出されたマッチング用ターゲットを利用しても第1の点群データと第2の点群データの対応関係の特定が行なわれる(ステップS104)。この処理は、対応関係特定部104で行なわれる。
【0043】
次に、ステップS104で対応関係が特定された2つの点群データを統合し、統合点群データを得る(ステップS105)。この処理は、点群データ統合部105で行なわれる。
【0044】
次に、ステップ105で得た点群データ(第1の点群データと第2の点群データとを統合した統合点群データ)の中から、ステップS103で検出したマッチング用ターゲットの位置を取得する(ステップS106)。この処理は、ターゲットの位置取得部106で行なわれる。
【0045】
次に、ステップS106で取得したマッチング用ターゲットの位置に基づき、点群データを除去する点群データ除去領域の設定を行う(ステップS107)。この処理は、点群データ除去領域の設定部107で行なわれる。
【0046】
次に、ステップS105で得た統合点群データの中から、ステップS107で設定された点群データ除去領域の中に含まれる点群データを除去する。これにより、マッチング用ターゲットとその関連部材に係る点群データが統合点群データから除去される。
【0047】
2.第2の実施形態
点群データが3つ以上ある場合における処理を説明する。この場合、第1の点群データと第2の点群データを統合し、第1の統合点群データを得る。ここでの処理は、ステップS101~ステップS105と同じである。
【0048】
次に、マッチング用ターゲットに係る点群データの除去を行わずに(残したまま)、第1の統合点群データと第3の点群データの統合を行う。この際の処理もステップS101~S105と同じである。
【0049】
以下、次々と点群データの統合を進めてゆく。そして最後の段階で、
図3のステップS10
6以下の処理を行い、統合点群データからのマッチング用ターゲットに係る点群データの除去を行う。
【0050】
3.第3の実施形態
レーザースキャンによるマッチング用ターゲットそれぞれの識別を行うことも可能である。レーザースキャンによるマッチング用ターゲットの識別を行う方法としては、反射プリズムの反射特性の違いを利用する方法、反射プリズムと別に用意されたコード化ターゲットを用いる方法が挙げられる。また、複数の反射プリズムを並べたターゲットを用意し、並べた反射プリズムの数、位置、間隔の違いからマッチング用ターゲットの違いを識別する形態も可能である。
【0051】
マッチング用ターゲットを画像から検出する形態も可能である。この場合、マッチング用ターゲットとして反射プリズムとコード化ターゲットを結合したものを用いる。コード化ターゲットは、2次元コード情報を画像化したものを表示したターゲットである。この技術については、例えば、特開2011-053031号公報や特開2011-053030号公報に記載されている。
【0052】
この場合、カメラ付きレーザースキャナを用いる。カメラ付きレーザースキャナは、レーザースキャンした範囲をカメラで撮影し、撮影画像中に点群を点で表示した点群画像を得ることができる。
【0053】
カメラ付きレーザースキャナでは、レーザースキャナとカメラの外部標定要素の関係が既知であり、画像と点群データを重ねた点群画像が得られる。この点群画像の画像情報からコード化ターゲットの識別情報を検出し、マッチング用ターゲットを個別に識別する。
【0054】
マッチング用ターゲットを個別に識別できると、2つの点群データ間の対応関係を求める際の束縛条件がより強くなり、当該対応関係の特定がより容易に行える。
【0055】
4.第4の実施形態
除去される筒状の空間の断面形状は、円形に限定されず、楕円形や多角形(4角形や5角形等)であってもよい。
【0056】
5.第5の実施形態
天井部分と床部分の点群データが除去されないようにする方法として以下の方法もある。例えば、円筒半径だけを指定しておき、その円筒部分に対応する天井部と床部の間の点群データを除去する。
【0057】
また、円筒の空間を指定し、そこに含まれる点群のうち、床面および天井面に属すると判定される点群を除去対象から排除する形態も可能である。この場合、平面状に分布し、且つ、その広がりが特定の広さ以上である点群データが床面および天井面の点群データと判定され、その点群データを除去対象から除外する。これにより、床面および天井面の点群データがマッチング用ターゲットの点群データとして除去される不都合が避けられる。
【0058】
6.その他
本発明は、地上配置型レーザースキャナが得る点群データに限定されず、以下の技術で得られる点群データに利用することもできる。
(1)車両等の移動体にレーザースキャナを搭載し、異動しながらレーザースキャン点群を取得する技術におけるマッチング用ターゲットの除去。
(2)UAV(無人航空機)にレーザースキャナを搭載し、飛行しながらレーザースキャン点群を得る技術におけるマッチング用ターゲットの除去。
【0059】
また、最終的に点群データを絶対座標系上で記述するために、絶対座標系での位置を特定した標定用ターゲットを用いる場合がある。この場合、標定用ターゲットはマッチング用ターゲットを兼ねている。この場合における標定用ターゲットの除去に本発明を用いることもできる。
【0060】
また、ステレオ写真測量の原理から得られた点群データを対象に本発明を適用することもできる。例えば、航空写真測量等の写真測量で得られる点群データにおける標定用ターゲットの除去に本発明を利用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
200…マッチング用ターゲット、201…反射プリズム、202…支持ベース、203…三脚、204…点群データ除去領域、300…マッチング用ターゲット。