(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110096
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】回転軸密閉装置及びこれを用いる半導体基板処理装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/16 20060101AFI20230801BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20230801BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20230801BHJP
F16J 15/447 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
F16J15/16 E
F16J15/18 C
F16J15/3204 201
F16J15/447
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096480
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2021543223の分割
【原出願日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0075341
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520296750
【氏名又は名称】シーリンク株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEALINK CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒ ジャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】潤滑油の供給が不要であり、構造を極めて簡潔かつ単純にできる回転軸密閉装置と、これを用いる半導体基板処理装置を提供する。
【解決手段】半導体基板を収容する半導体積載ユニットを回転させながら前記半導体基板を処理する半導体基板処理装置に装着される回転軸密閉装置100は、前記半導体基板処理装置に装着される中空のハウジング110と、前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸120と、前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリング130と、前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する複数のシール152,156を備えるシーリング部150と、前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部140とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を収容する半導体積載ユニットを回転させて前記半導体基板を処理する半導体基板処理装置に装着される回転軸密閉装置であって、
前記半導体基板処理装置に装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封するように前記ハウジング内に配置される複数のシールを備えるシーリング部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部と、
を含む回転軸密閉装置。
【請求項2】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、
前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置される、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項3】
前記シーリング部は、
前記半導体基板処理装置の真空を保持するための1つ以上の真空シールと、
前記回転軸を支持して振動を抑制する1つ以上の弾性シールと、
を含み、
前記真空シールと前記弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記弾性シールは前記真空シールよりも弾性力が大きい、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項4】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、
前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入される、請求項3に記載の回転軸密閉装置。
【請求項5】
前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジング内で前記ハウジングとの相対回転を防止するように、前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジングに向かう外周面には環状の回転防止部材が設けられる、請求項3に記載の回転軸密閉装置。
【請求項6】
前記真空シールと前記弾性シールは直列に互いに隣接するように配置されるが、
前記真空シールは、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部に前記弾性シールよりも近く配置され、
前記弾性シールは、前記ベアリングに前記真空シールよりも近く配置される、請求項3に記載の回転軸密閉装置。
【請求項7】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置の内部が加圧された場合、前記半導体基板処理装置から異物が内部に流入することを防止するための圧力シールをさらに含む、請求項3に記載の回転軸密閉装置。
【請求項8】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられる、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記シーリング部を冷却させるように前記シーリング部の周縁に設けられる冷却水ジャケットを含む、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、
前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するよう、前記ハウジング内に設けられたパージガス流入路と、
前記パージガス流入路を介して外部からパージガスを流入させるよう、前記ハウジングの側面に設けられたパージガス流入ポートと、
を含む、請求項1に記載の回転軸密閉装置。
【請求項11】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられ、
前記パージガス流入路を介して移動した前記パージガスは、前記ラビリンスシールを介して前記半導体基板処理装置に供給される、請求項10に記載の回転軸密閉装置。
【請求項12】
半導体基板を処理する半導体基板処理装置であって、
内部に複数の半導体基板を収容する工程チューブと、
前記工程チューブ内に昇降可能に配置される半導体積載ユニットと、
前記工程チューブの内側に設けられて工程ガスを注入するためのノズルユニットと、
前記半導体積載ユニットと接続して前記工程チューブの下部を密閉するシーリングキャップと、
前記半導体積載ユニットを回転させ、密閉機能を行う回転軸密閉装置と、
を含み、
前記回転軸密閉装置は、
前記シーリングキャップに装着される中空のハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、
前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、
前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する複数のシールを備えるシーリング部と、
前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部と、
を含む半導体基板処理装置。
【請求項13】
前記シーリング部は、前記シーリングキャップに結合される前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、
前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置される、請求項12に記載の半導体基板処理装置。
【請求項14】
前記シーリング部は、
前記工程チューブの真空を保持するための1つ以上の真空シールと、
前記回転軸を支持して振動を抑制する1つ以上の弾性シールと、
を含み、
前記真空シールと前記弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記弾性シールは前記真空シールよりも弾性力が大きい、請求項12に記載の半導体基板処理装置。
【請求項15】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、
前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入される、請求項14に記載の半導体基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸密閉装置及びこれを用いる半導体基板処理装置に関し、回転軸とハウジングとの間で流体が漏れることを防止する回転軸密閉装置と、これを備える半導体基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装備は、集積回路の大量生産のために使用される。半導体ウェハーやグラスなどの基板上に所定の厚さの薄膜を蒸着するためにスパッタリング(Sputtering)のような物理気相蒸着法(PVD;PhysicalVapor Deposition)と、化学反応を用いる化学気相蒸着法(CVD;ChemicalVapor Deposition)などが使用される。化学気相蒸着法として、常圧化学気相蒸着法(APCVD;Atmospheric Pressure CVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD;Low Pressure CVD)、プラズマ有機化学気相蒸着法(Plasma Enhanced CVD)などが挙げられる。また、半導体ウェハーの成膜処理、酸化処理、アニール及び不純物の拡散処理のために、基板の熱処理のためのファーネス(Furnace)装備が用いられている。
【0003】
このような半導体装備には、真空圧力装備用の回転軸密閉装置が使用される。回転軸密閉装置は、高圧領域及び低圧領域と対面し、これらの間で回転運動するシャフトの外周面に備えられ、高圧領域と低圧領域を互いに密封させるために設けられる。
【0004】
従来における真空圧力装備用の密閉装置は、ハウジングと、前記ハウジングを貫通して結合される回転軸を含む。前記回転軸は、高圧領域及び低圧領域と対面し、前記ハウジングは、前記高圧領域と前記低圧領域との境界面に位置する。また、前記ハウジングと前記回転軸との間には密閉用シールが備えられている。前記密閉用シールは、前記ハウジングと前記回転軸との間を密封するためのもので、前記回転軸と前記密閉用シールとの間でも摩擦が生じることになる。
【0005】
このような密閉装置において、半導体真空圧力装備に異物が流出したり、反対に、前記半導体真空圧力装備から異物が流入したりすることを防止する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、別途の潤滑油の供給が不要であり、構造を極めて簡潔かつ単純にできる回転軸密閉装置と、これを用いる半導体基板処理装置を提供することにある。
【0007】
また、回転軸密閉装置の回転軸の振動を最小化し、半導体基板処理装置からのパーティクルのような異物が前記回転軸密閉装置内に流入することを防止し、前記回転軸密閉装置からの異物が前記半導体基板処理装置に流出することを防止することにある。
【0008】
実施形態で解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されない更なる課題は、下記の記載によって当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る、半導体基板を収容する半導体積載ユニットを回転させて前記半導体基板を処理する半導体基板処理装置に装着される回転軸密閉装置は、前記半導体基板処理装置に装着される中空のハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封するように前記ハウジング内に配置される複数のシールを備えるシーリング部と、前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含む。
【0010】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置されることができる。
【0011】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置の真空を保持するための1つ以上の真空シールと、前記回転軸を支持して振動を抑制する1つ以上の弾性シールとを含み、前記真空シールと前記弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記弾性シールは前記真空シールよりも弾性力が大きくなり得る。
【0012】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入されることができる。
【0013】
前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジング内で前記ハウジングとの相対回転を防止するように、前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジングに向かう外周面には環状の回転防止部材を設けることができる。
【0014】
前記真空シールと前記弾性シールは直列に互いに隣接するように配置されるが、前記真空シールは、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部に前記弾性シールよりも近く配置され、前記弾性シールは、前記ベアリングに前記真空シールよりも近く配置されることができる。
【0015】
前記シーリング部は、前記半導体基板処理装置の内部が加圧された場合、前記半導体基板処理装置から異物が内部に流入することを防止するための圧力シールをさらに含むことができる。
【0016】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールを設けることができる。
【0017】
前記ハウジングは、前記シーリング部を冷却させるように前記シーリング部の周縁に設けられる冷却水ジャケットを含むことができる。
【0018】
前記ハウジングは、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するよう、前記ハウジング内に設けられたパージガス流入路と、前記パージガス流入路を介して外部からパージガスを流入させるよう、前記ハウジングの側面に設けられたパージガス流入ポートとを含むことができる。
【0019】
前記シーリング部の上部には、前記半導体基板処理装置からの異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられ、前記パージガス流入路を介して移動した前記パージガスは、前記ラビリンスシールを介して前記半導体基板処理装置に供給されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る半導体基板を処理する半導体基板処理装置は、内部に複数の半導体基板を収容する工程チューブと、前記工程チューブ内に昇降可能に配置される半導体積載ユニットと、前記工程チューブの内側に設けられて工程ガスを注入するためのノズルユニットと、前記半導体積載ユニットと接続して前記工程チューブの下部を密閉するシーリングキャップと、前記半導体積載ユニットを回転させ、密閉機能を行う回転軸密閉装置とを含み、前記回転軸密閉装置は、前記シーリングキャップに装着される中空のハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記半導体積載ユニットに接続されて前記半導体積載ユニットに回転力を伝達する回転軸と、前記回転軸を前記ハウジング内に回転自在に支持するベアリングと、前記ハウジングと前記回転軸との間の間隙を密封する複数のシールを備えるシーリング部と、前記回転軸の一端に装着されて前記回転軸に回転力を伝達する動力伝達部とを含む。
【0021】
前記シーリング部は、前記シーリングキャップに結合される前記ハウジングのフランジ部により近づくように前記ベアリングよりも上部に配置され、前記動力伝達部は、前記ベアリングの下部に配置されることができる。
【0022】
前記シーリング部は、前記工程チューブの真空を保持するための1つ以上の真空シールと、前記回転軸を支持して振動を抑制する1つ以上の弾性シールとを含み、前記真空シールと前記弾性シールはプラスチック材質で形成され、前記弾性シールは前記真空シールよりも弾性力が大きくてもよい。
【0023】
前記真空シールは、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたリップシールであり、前記弾性シールは、シールボディの内部に弾性部材が挿入されることができる。
【0024】
また、前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジング内で前記ハウジングとの相対回転を防止するように、前記真空シール及び前記弾性シールの前記ハウジングに向かう外周面には環状の回転防止部材を設けることができる。
【0025】
また、前記真空シールと前記弾性シールは、直列に互いに隣接するように配置され、前記真空シールは、前記半導体基板処理装置と結合する前記ハウジングのフランジ部に前記弾性シールよりも近く配置され、前記弾性シールは、前記ベアリングに前記真空シールよりも近く配置されることができる。
【0026】
また、前記シーリング部は、前記工程チューブ内部が加圧された場合、前記工程チューブから異物が前記回転軸密閉装置の内部に流入することを防止するための圧力シールをさらに含むことができる。
【0027】
また、前記シーリング部の上部には、前記工程チューブで発生した異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールを設けることができる。
【0028】
また、前記ハウジングは、前記シーリング部を冷却させるように前記シーリング部の周縁に設けられる冷却水ジャケットを含むことができる。
【0029】
また、前記ハウジングは、前記工程チューブで発生した異物が前記ハウジング内に流入することを防止するように、前記ハウジング内に設けられたパージガス流入路と、前記パージガス流入路を介して外部からパージガスを流入させるように、前記ハウジングの側面に設けられたパージガス流入ポートと、を含むことができる。
【0030】
また、前記シーリング部の上部には、前記工程チューブで発生した異物が前記ハウジング内に流入することを防止するためのラビリンスシールが設けられ、前記パージガス流入路を介して移動した前記パージガスは、前記ラビリンスシールを介して前記工程チューブに供給されることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態に係る回転軸密閉装置とこれを用いる半導体基板処理装置によれば、シーリング部が回転対象物に対して線接触をすることにより摩擦力を最小化でき、別途の潤滑油の供給が不要であるため、構造を極めて簡潔かつ単純にすることができる。
【0032】
また、前記回転軸密閉装置の回転軸の振動を最小化でき、前記半導体基板処理装置からのパーティクルのような異物が前記回転軸密閉装置の内部に流入することを防止することができる。
【0033】
また、前記回転軸密閉装置が冷却水ジャケットを備えることで、シーリング部の温度を低く保持し、前記シーリング部の寿命を延ばすことができる。
【0034】
また、前記シーリング部をベアリングよりも上部に配置することで、前記ベアリングで発生する異物が前記半導体基板処理装置に流入することを防止することができる。
【0035】
また、前記シーリング部の上部にパージガスを流動させて前記半導体基板処理装置に排出されるようにすることで、前記半導体基板処理装置で発生した異物が前記シーリング部に流入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る回転軸密閉装置と半導体基板処理装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る回転軸密閉装置の斜視図である。
【
図4】
図2において、線IV-IVに沿って取った断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る回転軸密閉装置の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るシーリング部の構造を概略的に示す図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るシーリング部の構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では添付した図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態が詳細に説明される。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明の実施形態を明らかに説明するために説明と関係のない部分は省略する。
【0038】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図で使用されたものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なるように意味しない限り、複数の表現を含み得る。
【0039】
本明細書において、「含む」、「有する」又は「備える」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解される。
【0040】
また、以下の実施形態は、当技術分野において平均的な知識を有する者に対して、より明確に説明するために提供されるものであり、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。
【0041】
以下、添付する図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転軸密閉装置と半導体基板処理装置を示す図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る回転軸密閉装置の斜視図である。
図3は、
図2に示す回転軸密閉装置の平面図であり、
図4は、
図2において線IV-IVに沿って取った断面図である。
【0042】
先ず、
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る半導体基板処理装置10は、一例として半導体基板を熱処理する立て形のファーネス装置であることができる。半導体基板処理装置10は、工程チューブ220、半導体積載ユニット250、ノズルユニット230、シーリングキャップ224、及び回転軸密閉装置100を含む。
【0043】
工程チューブ220は、熱処理が必要な複数の半導体基板(W)を収容できる空間を備えるもので、底が開放されており、前記底は、シーリングキャップ224によって開閉されてもよい。工程チューブ220の底がシーリングキャップ224によって閉められている場合、工程チューブ220のフランジ222とシーリングキャップ224との間にはOリング226が設けられ、密封されてもよい。
【0044】
半導体積載ユニット250は、複数の半導体基板(W)を保持するために設けられたもので、工程チューブ220内で昇降可能に配置されてもよい。具体的に、半導体積載ユニット250は被処理基板である、半導体基板(W)を垂直方向に所定の間隔をおいて保持してもよい。半導体積載ユニット250の下部には保温機構252及びターンテーブル254が設けられる。半導体積載ユニット250、保温機構252、及びターンテーブル254は、シーリングキャップ224と共にエレベーター装置270によって工程チューブ220に対して昇降することができる。半導体積載ユニット250が下降した位置では、半導体積載ユニット250に複数の半導体基板(W)が配置されてもよく、上昇した位置では、半導体積載ユニット250が工程チューブ220内に収容され、工程チューブ220の底部がシーリングキャップ224によって閉められ、密閉されてもよい。
【0045】
一方、工程チューブ220内には、半導体基板(W)を処理する工程ガスを注入するためのノズルユニット230が設けられ、前記工程ガスを排出して工程チューブ220の内部を真空で保持するための排気管240が設けられる。
【0046】
また、工程チューブ220の周縁には、工程チューブ220を加熱するためのヒーターアセンブリ210が配置されてもよい。ヒーターアセンブリ210は、放射熱を用いて半導体積載ユニット250に収容された半導体基板(W)を熱処理することができる。
【0047】
回転軸密閉装置100は、半導体積載ユニット250を回転させて密閉機能を行うために設けられたものである。シーリングキャップ224の中心部には軸貫通孔が形成され、前記軸貫通孔を貫通して回転軸密閉装置100の回転軸120の一端が突出してもよい。突出している回転軸120の一端には、ターンテーブル254が接続されている。従って、回転軸120の回転によりターンテーブル254が回転することにより、ターンテーブル254上に配置された半導体積載ユニット250も共に回転することができる。
【0048】
図2~
図4を参照すると、回転軸密閉装置100は、半導体積載ユニット250を回転させるために設けられたものである。回転軸密閉装置100は、ハウジング110、回転軸120、ベアリング130、シーリング部150、動力伝達部140を含む。
【0049】
ハウジング110は、中空形態であり、内部に回転軸120、ベアリング130、シーリング部150、動力伝達部140を収容することができる。ハウジング110の上部には、半導体基板処理装置に装着されるフランジ部112が設けられる。一例として、
図1に示すように、半導体基板処理装置がファーネス装置である場合、回転軸密閉装置100は、シーリングキャップ224の下部に装着されてもよい。フランジ部112にはOリング113が設けられ、フランジ部112とシーリングキャップ224との間の密封を行うことができる。また、ハウジング110の一側にはモータのような駆動装置200が設けられてもよい。
【0050】
ベアリング130は、ハウジング110内に設けられ、回転軸120をハウジング110内で回転自在に支持することができる。本実施形態において、ベアリング130は動力伝達部140の上部に設けられ、全体的に概略ハウジング110の中央部分に設けられ、回転軸120の振動を抑制して回転軸120を安定的に支持することができる。本実施形態において、ベアリング130は、スラストブロックとして、複列のアンギュラコンタクトベアリングであってもよい。複列のアンギュラコンタクトベアリング130は、複数の半導体基板(W)を収容する半導体積載ユニット250の荷重を支持するために、回転軸120にかかる荷重を支持することができる。一方、ベアリング130とシーリング部150との間の間隔を埋めるためのスペーサ116を設けることができる。
【0051】
シーリング部150は、ハウジング110と回転軸120のとの間の間隙を密封するために設けられたものである。シーリング部150は、回転軸密閉装置100で発生した異物(パーティクルなど)が回転軸密閉装置100の上側に設けられた真空の半導体基板処理装置に流入することを防止し、前記半導体基板処理装置の内部が真空を保持するように密封する。シーリング部150は、複数のシールが組み合せわせて配置されてもよい。シーリング部150に対する詳細な説明については後述することにする。
【0052】
動力伝達部140は、回転軸120の一端、即ち、本実施形態ではベアリング130の下部に設けられ、回転軸120に回転力を伝達するために設けられたものである。モータなどの駆動装置200で発生した回転力は、動力伝達部140を介して回転軸120に伝達され得る。本実施形態において、動力伝達部140はウォームギヤで設けられ、駆動装置200で発生した回転力の方向を切り替えることができる。これにより、ハウジング110の高さを低くすることができ、回転軸密閉装置100の大きさを小型化でき、空間の節約及び設置が容易で、交替及びメンテナンスを容易にすることができる。
【0053】
本実施形態において、シーリング部150は、前記半導体基板処理装置と結合するハウジング110のフランジ部112にベアリング130よりも近接するように、即ち、ベアリング130の上部に配置されてもよい。また、動力伝達部140は、ベアリング130の下部に配置される構造であってもよい。これにより、ベアリング130の動作中に発生し得るパーティクルなどの異物が圧力差によって前記半導体基板処理装置に流入することを遮断できる。また、ベアリング130は、動力伝達部140とシーリング部150との間に設けられるため、回転軸120をより安定的に支持することができる。
【0054】
一方、前記半導体基板処理装置がファーネス装置のように、高温環境で作動する場合、シーリング部150が他の構成要素よりも前記半導体基板処理装置に近くフランジ部112に隣接して配置されるため、回転軸密閉装置100の構成要素のうちシーリング部150の温度が相対的に高い。本実施形態において、ハウジング120には、シーリング部150を冷却させるようシーリング部150の周縁に該当する部分に冷却水ジャケット182が設けられる。これにより、シーリング部150の温度を低くし、シーリング部150に設けられた複数のシール152,156の寿命を延ばすことができる。
【0055】
一方、前記半導体基板処理装置における半導体基板処理の工程が終了したり、洗浄などの理由で前記半導体基板処理装置内の圧力が真空ではない大気圧以上に変わることがある。この場合、前記半導体基板処理装置の内部の圧力が、むしろ回転軸密閉装置100の内部の圧力よりも大きくなり得る。そのため、前記半導体基板処理装置に残っているパーティクルなどの異物が逆に回転軸密閉装置100の内部に流入されることがある。これを防止するために、本実施形態では、ハウジング110のフランジ部112にラビリンスシール(labyrinth seal)114を設けることができる。
【0056】
また、本実施形態において、前記半導体基板処理装置に残っている前記パーティクルなどの異物が回転軸密閉装置100の内部に流入することを防止するよう、ハウジング110の壁体内にパージガス流入路172を設けることができる。また、パージガス流入路172を介して外部からパージガスを流入させるように、ハウジング110の側面にはパージガス流入ポート170が設けられてもよい。パージガス流入路172は、ハウジング110の壁体内でフランジ部112に向かって上部に延長し、フランジ部112に設けられているラビリンスシール114と連通される。そのため、パージガス流入路172を介して流動したパージガスがラビリンスシール114を通過して前記半導体基板処理装置に向かって供給されることができる。
【0057】
図5は、本発明の他の実施形態に係る回転軸密閉装置の断面図である。
図5を参照すると、本発明の他の実施形態に係る回転軸密閉装置は、
図4に示されている回転軸密閉装置と同一であり、パージガス流入路172がシーリング部150に向かって、追加的に設けられた分岐部172aを含む点だけが異なる。パージガス流入路172が分岐部172aを介してシーリング部150内部のバッファ空間150aと連通しているため、シーリング部150の間にパーティクルなどの異物が残されている場合でも、パージガスを介して清掃することができる。本実施形態において、バッファ空間150aは弾性シール156の間に設けられることができる。
【0058】
一方、パージガス流入路172には、真空ポンプ(図示せず)が接続されてもよい。そのため、分岐部172aと連通しているバッファ空間150aは真空を保持することができる。従って、もし、真空シール152の一部が破損しても、真空が形成されたバッファ空間150aのおかげで領域(A)での真空を保持することができる。
【0059】
以下、
図6を参照すると、上述した回転軸密閉装置に用いられるシーリング部の構造を詳細に説明することにする。
【0060】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るシーリング部150は、複数の真空シール152と複数の弾性シール156とを含む。真空シール152は、回転軸密閉装置100の上部に配置されている半導体基板処理装置の真空を保持するために設けられたものであり、弾性シール156は、回転軸120を支持し、振動を抑制するために設けられたものである。真空シール152と弾性シール156は、全てプラスチック材質から形成されてもよい。また、弾性シール156は、真空シール152よりも弾性力が大きくてもよく、2倍以上であってもよい。
【0061】
真空シール152は、環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されたプラスチック材質のリップシールであって、
図6に示すように、真空が形成された領域(A)の真空を保持するように、反対方向に湾曲した形状を有する。
【0062】
弾性シール156は、回転軸120が回転することで、振動などによって軸線122が変更されることなく一定に保持されように、ベアリング130と共に回転軸120を支持する役割を行う。一方、軸線122の変動が発生する場合、回転軸120と真空シール152との間が離隔することがあるが、その間から異物が流入し得るという問題が生じる。本実施形態では、軸線122の変動が発生しても、弾性シール156が設けられるため、回転軸120と真空シール152との間に流入した異物が領域(B)に進入することを遮断することができる。弾性シール156は、一方向にレセスが形成されているプラスチック材質のシールボディ156aと、シールボディ156aの内部に収容されてシールボディ156aを回転軸120に向かって加圧できる弾性部材156bとを含む。弾性部材156bは、一例として、Oリングや四角リング、金属ばねであってもよいが、これに限定されることはない。
【0063】
真空シール152と弾性シール156は、軸線122方向に直列に相互隣接して配置されるが、
図4に示すように、真空シール152は、ハウジング110のフランジ部112に弾性シール156よりも近く配置され、弾性シール156は、ベアリング130に真空シール152よりも近く配置されてもよい。また、真空シール152と弾性シール156は、それぞれ複数設けられ、いずれか1つの真空シール152又は弾性シール156が破損しても、その機能を保持することができる。
【0064】
また、真空シール152及び弾性シール156がハウジング110内でハウジング110と相対回転することを防止するように、真空シール152及び弾性シール156のハウジング110に向かう外周面には、環状の回転防止部材159を設けることができる。
【0065】
回転防止部材159は、真空シール152と弾性シール156を回転軸120に向けて、さらに加圧する役割を行う。また、回転防止部材159がない場合、即ち、真空シール152と弾性シール156がハウジング110の内周面と直接接するときに比べて、回転防止部材159と真空シール152及び弾性シール156との間の摩擦力が大きい。そのため、真空シール152及び弾性シール156がハウジング110内でハウジング110と相対回転することを抑制できる。
【0066】
また、破損及び点検などの理由によって回転軸密閉装置100を分解組立する場合、ハウジング110の表面の粗さが相対的に粗くても、分解組立の過程で、回転防止部材159がハウジング110の内周面と摩擦するため、シーリング部150は、ハウジング110の低い表面の粗さによる損傷を最小化することができる。また、回転防止部材159がある程度損傷を受けても、リサイクルできる利点があるため、回転軸密閉装置100をより容易に分解組立することができる。
【0067】
図7は、本発明の他の実施形態に係るシーリング部の構造を概略的に示す図である。
【0068】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態に係るシーリング部は、
図6に示された実施形態と比較するとき、圧力シール158が加えられる点だけが異なり、同一である。圧力シール158は、もし、半導体基板処理装置の内部が洗浄などの理由で加圧される場合に、前記半導体基板処理装置から異物が流入することを防止するために設けられたものである。本実施形態において、真空シール152よりも前部、即ち、真空シール152よりもラビリンスシール114に近く圧力シール158が配置される。圧力シール158は、真空シール152と同一に環状のシーリングの内周緑に湾曲したリップが形成されているプラスチック材質のリップシールであってもよい。図示するように、領域(A)が加圧された場合、領域(A)から異物が流入することを防止するように、圧力シール158は領域(A)の方向に湾曲した形状を有する。
【0069】
上述した実施形態に係る回転軸密閉装置と、これを用いる半導体基板処理装置によれば、真空シールと圧力シール、弾性シールが回転対象物に対して線接触をすることで摩擦力を最小化することができ、別途の潤滑油の供給が不要であるため、構造を極めて簡潔かつ単純にすることができる。
【0070】
また、前記回転軸密閉装置の回転軸の振動を最小化し、前記半導体基板処理装置からのパーティクルのような異物が前記回転軸密閉装置の内部に流入することを防止することができる。
【0071】
また、前記回転軸密閉装置が冷却水ジャケットを備えることで、シーリング部の温度を低く保持し、前記シーリング部の寿命を延ばすことができる。
【0072】
また、前記シーリング部をベアリングよりも上部に配置することで、前記ベアリングで発生する異物が前記半導体基板処理装置に流入することを防止することができる。
【0073】
また、前記シーリング部の上部にパージガスを供給して前記半導体基板処理装置に排出させることで、前記半導体基板処理装置で発生した異物が前記シーリング部に流入することを防止できる。
【0074】
以上にて、本発明が具体的な構成要素などの特定事項に限定された実施形態及び図面に基づいて説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明が上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正及び変形を試みることができる。
【0075】
従って、本発明の思想は、上記の説明された実施形態に限定して決定さることなく、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価に変形された全てのものは、本発明の思想の範疇に属するものと言える。