(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011012
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/00 20160101AFI20230113BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20230113BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230113BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20230113BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20230113BHJP
A23G 9/32 20060101ALI20230113BHJP
A23G 9/42 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A23L29/00
A23J3/14
A23L11/00 F
A23G3/34
A23L9/20
A23G9/32
A23G9/42
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188439
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019553978の分割
【原出願日】2018-03-29
(31)【優先権主張番号】62/479,523
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/523,851
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ロア、ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】イルディズ、エルハン
(72)【発明者】
【氏名】ナグレスワラン、ナグル
(72)【発明者】
【氏名】ウズナリオグル 、ディレク
(72)【発明者】
【氏名】オッツァー、キャナン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ピーチョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ロデューカ、カタリーナ
(57)【要約】
【課題】処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品の提供。
【解決手段】本明細書は、約50%~約73%のタンパク質と、約0.1重量%~約8%は重量デンプン、約0.1%~約9%の脂肪とを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物、並びに例えばエマルション、菓子スプレッド、及びアイスクリームを含む食品中の前述の濃縮物の使用を開示する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50%~73%のタンパク質、5.5及び7.0J/gの、又は6~6.5J/gの変性エンタルピーを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物と、第2の食用成分とを含む、食品。
【請求項2】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、約5~20マイクロメートルの表面平均径、及び約20~100マイクロメートルの体積平均径を有する、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも10%~30%低い変性エンタルピーを有する、請求項1及び2に記載の食品。
【請求項4】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、未処理のソラマメタンパク質濃縮物の粒子の表面平均径の少なくとも1.5倍の表面平均径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、未処理のソラマメタンパク質濃縮物の粒子の体積平均径の少なくとも3倍の体積平均径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、85~88.5℃のピーク変性温度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質が、以下の試験:pH3での前記濃縮物の0.1%w/v溶液の溶液中における40μLの大豆油液滴の界面弾性が、0.01~0.2Hzの周波数範囲にわたる界面張力及び界面レオロジー手順によって測定したときに、20~30mN/m、又は21~25mN/m、又は22~24mN/mであることを特徴とし得る、請求項1~6のいずれか一項に記載の食品。
【請求項8】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、以下の試験:表3の配合表を有し、30Hzで2分間混合され、20~30℃で貯蔵された試験エマルションが、1週間の貯蔵後に19,000~22,500cPの粘度を有することを特徴とし得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の食品。
【請求項9】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を、前記組成物の最大50%の量で含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の食品。
【請求項10】
濃縮された前記湿熱処理されたソラマメタンパク質が、乳化剤として使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の食品。
【請求項11】
エマルションを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の食品。
【請求項12】
前記エマルションが、
a)約15重量%~約95重量%の連続相と、
b)1重量%~75重量%の分散相と、
c)約0.1%~25%の乳化剤と、
を含む、水中油型エマルションであり、
前記乳化剤が、少なくとも50%の湿熱処理されたソラマメタンパク質を含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の食品。
【請求項13】
前記湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、唯一の乳化剤である、請求項12に記載の食品。
【請求項14】
菓子スプレッドである、請求項1~10のいずれか一項に記載の食品。
【請求項15】
a)10重量%~20重量%のベースのソラマメ構成成分と、
b)15重量%~25重量%の植物油であって、前記油が、10℃で2.5%未満の固形分、20℃で約5%~15%の固形分、又はこれらの組み合わせを含む、植物油と、 c)5%~15%の乳固形分と、
d)20%~40%の甘味料と、
を更に含み、前記食品が、6週間の期間にわたって、60~220Pa・sの粘度、300~450gのピーク応力、1900~2100gの硬さ、0.15~0.20の水分活性、又はこれらの組み合わせを有する、請求項14に記載の食品。
【請求項16】
前記組成物が、周囲温度(5℃~35℃)で6週間貯蔵した後に油分離を有しない、請求項15に記載の食品。
【請求項17】
前記油が、パーム油又はココヤシ油である、請求項15又は16に記載の食品。
【請求項18】
前記組成物が、約125マイクロメートル未満の最大粒径を有する、請求項14~17に記載の組成物。
【請求項19】
アイスクリームである、請求項1~10に記載の食品。
【請求項20】
菓子スプレッドの作製方法であって、
a)ソラマメ構成成分、植物油、及び任意に甘味料を混合することと、
b)125マイクロメートル未満の甘味料の粒径分布によって表される粒径分布を得るのに十分な時間にわたって、前記組成物又はソラマメスプレッドをリファイニングすることと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記リファイニングが、ローラーリファイナーで行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記油及び前記ソラマメ構成成分を混合して第1の混合物を作製し、次いで、甘味料及び乳固形分を前記第1の混合物と混合して第2の混合物を形成することを更に含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記成分を混合することと、125マイクロメートル未満の前記組成物又はスプレッド内の最大粒径を得るのに十分な時間にわたって、前記成分をリファイニングすることであって、前記リファイニングが、単一のローラーリファイナーを少なくとも20回使用することと、前記組成物又はスプレッドを40°~50℃で20~40分間コンチングすることと、を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、約43℃で約30分間コンチングされる、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第62/479,523号及び米国仮出願第62/523,851号に対する優先権を主張し、その両方が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本出願は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物、及び乳化剤として含む食品中のその使用を開示する。
【0003】
ソラマメは、比較的高いタンパク質及び低脂肪食物源であることから、動物及び堅果由来のタンパク質の魅力的な代替物である。一態様では、本明細書は、食品中の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の使用、及び前述の食品を開示する。別の態様では、本明細書は、食品中の乳化剤としての湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の使用、及び前述の食品、並びにエマルションを含む食品を開示する。更に別の態様では、本明細書は、菓子スプレッド又はアイスクリーム中の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の使用、及び前述のスプレッド又は前述のアイスクリームを開示する。別の態様では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、熱及び制御された水分を使用して改変される。
更に他の態様では、本明細書は、凝集粒子の変性エンタルピー及び/又は量の変化によって測定されるように、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物中のタンパク質の少なくとも一部を変性させる湿熱処理を開示する。更に別の態様では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、パルスタンパク質分離物、湿熱処理されたパルス粉、及び湿熱処理された非ソラマメパルスタンパク質濃縮物、並びに未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも乳化剤として良好に機能することが見出された。
【0004】
いくつかの実施形態では、食品は、約0.1%~約8%のデンプン(w/w)と、約50%~約73%のタンパク質(w/w)と、約0.1%~9%の脂肪(w/w)とを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質を含む。他の実施形態では、食品は、ソラマメタンパク質濃縮物中のタンパク質の少なくとも一部を変性させ、これにより、凝集粒子を形成するプロセスによって作製された、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。更に他の実施形態では、湿熱処理プロセスは、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物中のタンパク質の少なくとも一部を変性させ、これにより、前述の濃縮物が未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも低い変性エンタルピーを有する。更に他の実施形態では、食品は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物の変性エンタルピーよりも10%~30%低い変性エンタルピーを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。更に他の実施形態では、食品は、約5.5~7.0J/g又は約6~約6.5J/gの変性エンタルピーを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。
【0005】
様々な実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品は、前述の濃縮物を乳化剤として使用する。他の態様では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品は、エマルションであるか、又はエマルションを含む。様々な実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションを含む食品は、エマルションの約15重量%~約95重量%、又は25重量%~75重量%である連続相を含む。他の実施形態では、エマルションは、エマルションの約1重量%~約75重量%、又は1重量%~50重量%、又は10重量%~40重量%である分散相を含む。実施形態では、エマルションは、エマルションの約0.1重量%~約25重量%である乳化剤を含む。実施形態では、エマルションであるか、又はエマルションを含む食品は、食品中の酸味料、又はエマルション、又はエマルションの連続相のため、酸性pH、又は約3~6若しくは4~5のpHを有する。実施形態では、エマルションを含むか、又はエマルションである食品、前述のエマルションは、少なくとも50%の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含み、前述の濃縮物は、乳化剤として使用される。実施形態では、エマルションを含むか、又はエマルションである食品は、植物系乳化剤のみ、又は湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物乳化剤のみを含有する。別の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する前述の食品は、菓子スプレッド又はアイスクリームである。更に別の実施形態では、菓子スプレッドは、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物と、植物油と、任意に甘味料とを含む。
【0006】
湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含むエマルション及び/又は湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の上記の説明並びに以下のより詳細な説明は、例示的である以下の図面によって更に説明される。本発明の全範囲は、図面内に示されるいかなる実施形態によっても限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】例示的な湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物内の凝集体のSEM画像である。
【0008】
【
図1b】未処理のソラマメタンパク質濃縮物のSEM画像である。
【0009】
【
図2a】湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の粒径分布を示すグラフである。
【0010】
【
図2b】未処理のソラマメタンパク質濃縮物の粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様では、本明細書は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品を開示する。様々な実施形態では、前述の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、ソラマメ粉よりも多くのタンパク質及びより少ないデンプンを有するが、ソラマメタンパク質分離物よりも少ないタンパク質及びより多くのデンプンを有する。いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、約50重量%~約73重量%、又は55重量%~約70重量%、又は約60重量%~約70重量%のタンパク質を含む。他の実施形態では、前述の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、最大25%のデンプン、より典型的には約0.1%~約10%、又は2%~約8%、又は約4%~約又は8%のデンプンを有する。更に他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物又は約0.1重量%~9重量%の脂肪、実施形態では0.1~5%である。
【0012】
本明細書で使用される場合、パルス粉(ソラマメ粉を含む)は、パルス(例えばソラマメ)の粉砕から得られる組成物であり、ほぼ、未粉砕のパルスに見られるような重量比のパルスの全ての構成成分を含有する。パルス粉は、他の粉と同様にタンパク質、繊維、デンプン、脂肪、灰分を含む。パルス粉(ソラマメ粉を含む)は典型的には、約10重量%~約40重量%のタンパク質と、約40重量%~約60重量%のデンプンとを含む。
【0013】
様々な態様では、パルスタンパク質濃縮物(ソラマメタンパク質濃縮物を含む)は、粉又はタンパク質分離物中の他の構成成分に対するタンパク質の相対量において、パルスタンパク質分離物及びパルス粉(その両方ともソラマメ由来であり得る)とは異なる。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、当該技術分野において既知の乾式分別法を使用してソラマメ粉から得られ得る。例示的な方法では、ソラマメ粉の構成成分は、例えば重量及び/又はサイズによって分離され得る。
【0014】
実施形態では、開示された食品で使用するための湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、前述の濃縮物中のデンプンの少なくとも一部をゼラチン化する湿熱処理プロセスによって作製される。本明細書で使用される場合、ゼラチン化デンプンは、デンプン顆粒の分子間構造を破壊し、デンプンの結晶化度を破壊し、偏光で検査したときにデンプンにその複屈折を失わせるように改変されている。
【0015】
実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品は、一部の凝集粒子及び一部の非凝集粒子を有する。実施形態では、前述の濃縮物は、体積平均径又はD[4,3](式Σd4/Σd3(式中、dは、試料中の全ての測定された粒子の直径である)によって計算される)を有する粒子分布を有する。実施形態では、前述の濃縮物は、表面平均径又はD[3,2](式Σd3/Σd2(式中、dは、試料中の全ての測定された粒子の直径である)によって計算される)を有する粒子分布を有する。
【0016】
本明細書内で、特に明記しない限り、全ての百分率は、重量によるものである。
【0017】
1つ以上の実施形態では、本明細書は、制御された量の熱を使用したプロセスによって作製された、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む食品を開示する。実施形態では、前述のプロセスは、制御された温度及び水分をソラマメタンパク質濃縮物に適用するか、又は加熱前にソラマメタンパク質濃縮物のベース水分を制御する。1つ以上の実施形態では、前述のプロセスは、100~180℃の温度にソラマメタンパク質濃縮物を加熱することを含む。1つ以上の他の実施形態では、前述のプロセスは、蒸気中で、又は水中の浸漬によってソラマメタンパク質濃縮物を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、前述のプロセスは、加熱前又は加熱中に、ソラマメタンパク質濃縮物の水分を約10%~約50%(dsb)に調整することを含む。そのようなプロセスは、そのような処理に十分な能力を提供する当該技術分野において既知の任意の装置、特に粉末処理、水分添加及び/又は水分制御、混合、加熱、並びに乾燥が可能である装置を使用して実施され得る。熱処理の実施形態は、バッチ又は連続プロセスとして行われてもよい。一実施形態では、装置は、バッチプラウシェアミキサーである。別の実施形態では、装置は、連続固体-液体ミキサー、続いて連続加熱コンベアスクリューである。更に別の実施形態では、連続プロセスは、管状薄膜乾燥機をそれ自体で、又は連続スクリューと組み合わせて使用して、滞留時間を延長及び制御する。使用される任意のシステムは、100℃以上の目標温度で水分含量を制御するために加圧され得る。
【0018】
1つ以上の実施形態では、食品は、変性タンパク質とゼラチン化デンプンとを有する、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、前述の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、変性タンパク質を含む凝集粒子を含有し、デンプン、繊維、及び未処理のソラマメタンパク質濃縮物中の天然の他の構成成分を含んでもよい。凝集体は、非凝集タンパク質及びデンプンよりも大きい粒子として現れる。
凝集粒子を含む湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の一実施形態が
図1aに示され、
図1bに示される未処理のソラマメタンパク質濃縮物と比較され得る。
【0019】
実施形態では、食品は、20マイクロメートル超、又は約20~約100マイクロメートル、又は30~90マイクロメートルの粒子分布の体積平均径を有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。更に他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の体積平均径は、未改変の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の粒子の体積平均径の少なくとも3倍であるか、又は少なくとも5倍大きいか、又は3~10倍大きいか、又は4~8倍大きい。他の実施形態では、食品は、約5マイクロメートル超、又は約15マイクロメートル超、又は約5~約40マイクロメートル、又は5~20マイクロメートルである粒子分布の表面平均径を有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。更に他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の表面平均径は、表面の少なくとも1.5倍であるは、未改変のソラマメタンパク質濃縮物の粒子の平均か、又は少なくとも2倍大きいか、又は1.5~5倍、又は約2倍~4倍大きい。
【0020】
ここで
図2aを参照すると、二峰性粒子分布によって、例示的な湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の構成成分の一部が凝集し、一部が凝集しないことがわかり、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物中の全てのタンパク質が変性しているわけではないことを示唆している。湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物中の変性タンパク質の相対量は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物及び未処理のソラマメタンパク質濃縮物の開始変性温度及び/若しくはピーク変性温度並びに/又は変性エンタルピーを比較することによって、示差走査熱量測定法によって測定され得る。本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、食品は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも約1%~約5%低い、又は約2%~約4%低い、又は約2%~約3%低い開始変性温度(T
o)を有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。いくつかの他の実施形態では、食品は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも約1%~約5%低い、又は約2%~約4%低い、又は約2%~約3%低いピーク変性温度(T
d)を有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。更に他の実施形態では、食品は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物よりも約10%~約30%低い、又は約15%~約25%低い、又は約20%低い変性エンタルピー(ΔH)を有する、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を含む。更に他の実施形態では、食品は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の変性エンタルピーを有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含むは約5.5~7.0J/g又は約6~約6.5J/gである。更に他の実施形態では、食品は、85~88.5℃又は87~88℃のピーク変性温度を有する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。1つ以上の実施形態では、DSC測定は、以下のように行われる。試料を高体積ステンレスDSCパンにおいて、水中で約5%(w/v)のタンパク質で調製した。参照パンを、等しい重量の水のみで調製した。試料パン及び参照パンを、2℃/分、20~100℃の示差走査熱量計で加熱した。
【0021】
別の態様では、本明細書は、乳化剤としての湿熱処理されたソラマメタンパク質を使用するか、又は湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含むエマルションを使用する食品を開示する。
【0022】
様々な実施形態では、本明細書に開示される食品aは、湿熱処理されたソラマメ濃縮物と、粉、加工又は未加工の、かつ穀物(トウモロコシ、米、オート麦、サトウモロコシ、キビ)、根(タピオカ、ジャガイモ)、パルス(エマルション中で使用されるのと同じベースパルス若しくは異なるベースパルス由来であってもよい粉、濃縮物、及び分離物を含む)を含む任意の供給源から得られるデンプン、牛乳、乳清タンパク質、カゼイン、卵、卵白、果物、ガム又は他の親水コロイド、甘味料、安定剤、肉、並びに食品業界で一般に使用される他の成分が挙げられるがこれらに限定されない、少なくとも1つの追加の食用成分とを含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の食用成分は、主要成分であってもよく、食品の1~90重量%の量で使用されてもよい。必ずしもではないがしばしば、パルス粉を含むデンプン及び粉は、食品の50重量%以下を構成し、典型的には、食品の20重量%~40重量%の範囲の量で使用される。
【0024】
1つ以上の実施形態では、食品は、エマルションであるか、又はエマルションを含む。いくつかの実施形態では、食品は、主要乳化剤として湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する。前述の食品の他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、使用される全ての乳化剤の50%超、又は使用される全ての乳化剤の75%超若しくは90%超であるか、あるいはエマルション中で使用される唯一の乳化剤である。他の実施形態では、前述の食品は、乳化剤として動物製品を使用しない。
【0025】
様々な実施形態では、本明細書は、水中油型エマルションであるエマルションを含む食品を開示する。いくつかの実施形態では、エマルションは、湿熱処理されたソラマメタンパク質と、エマルションの約15重量%~約95重量%、又は15重量%~90重量%、又は25重量%~75重量%、又は30~60重量%、又は約50重量%である連続相とを含む。実施形態では、連続相は、水又は水系である。いくつかの実施形態では、連続相は、酢と果汁とを含むエマルションに典型的な水性液体を含んでもよい。実施形態では、連続相のpHは、酸性であるか、又は6.5未満、又は約3~約6、又は約4~約5のpHを有する。他の実施形態では、エマルションは、エマルションの約1重量%~約75重量%、又は約1重量%~50重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約30重量%である分散相を含む。実施形態では、分散相は、植物油、堅果油、種子油、及び果実油が挙げられるがこれらに限定されない、エマルション中での使用に好適な油である。実施形態では、エマルションは、エマルションの約0.1%~約25%、又は約0.1%~5%、又は約0.5%~約2.5%、又は約1%、又は約0.75%である乳化剤を含む。実施形態では、エマルションは、食品業界で一般に使用される糖、塩、調味料、デンプン、及び防腐剤などの他の成分を含んでもよい。
【0026】
実施形態では、エマルションは、標準的な方法によって作製され、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む乾燥成分を典型的に混合してから、湿潤成分を添加する。
典型的には、水性成分が添加され、混合物が均質化されるまで乾燥成分と混合される。油が水性成分に添加され、混合されてエマルションを形成する。エマルションは、典型的には、約0.25~約3分間で形成される。実施形態では、全ての成分は、標準的な市販のミキサー又はホモジナイザー内で混合される。
【0027】
別の態様では、本明細書は、より良好な乳化剤であり、したがって、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用する前述のエマルションと比較してエマルションを改善する、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を開示する。本明細書に開示される実施形態では、ソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用して作製された前述のエマルションよりも、高い粘度及び/又はより小さい分散相液滴サイズを有する。他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用して作製されたエマルションは、同量の湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物から作製されたエマルションよりも約5%~25%大きい、又は約10%~20%大きい、又は約20%大きい粘度を有する。様々な実施形態では、エマルションは、500~50,000cP、5,000~25,000cP、又は約17,500~約22,500cP、又は約19,000~約22,500cP、又は約22,500cPの粘度を有する。別の実施形態では、約3~約5のpHを有するエマルションは、20~25℃、30%~50%の油付加量(大豆油)で19,000~22,500cPの粘度を有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、プロセス耐性であり、経時的に(液滴サイズの増加によって測定したとき)粘度又はエマルション破壊をほとんど経験しない。1つ以上の実施形態では、エマルションは、3~5のpHで1か月貯蔵した後、その粘度の少なくとも90%を維持した。いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の使用は、室温(20~25℃)で1週間貯蔵した後、その粘度の少なくとも95%を維持した。更に他の実施形態では、8:1の比の水及び酢の連続相を使用するエマルションが、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む乳化剤及び油と混合され、前述の乳化剤及び油は、1:40の比で混合され、エマルションは、約30%の総油付加量を有し、前述の油は、大豆油である。1つ以上の他の実施形態では、前述のエマルションは、20~25℃で1週間貯蔵した後、約19,000cps~約22,500cpsの粘度を有する。
【0028】
実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、約9マイクロメートル未満、又は約7~約11マイクロメートル、又は約8~10マイクロメートル、又は約9マイクロメートルのd10分散相液滴サイズ(液滴の10%がそれらよりも小さい)を有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、約14マイクロメートル未満、又は約12~16マイクロメートル、又は約13~約15マイクロメートル、又は約14マイクロメートルのd50、又は中央値の液滴サイズを有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、約25マイクロメートル未満のd90(液滴の90%が25マイクロメートルよりも小さい)、又は約18~約24マイクロメートル、又は約19~約23マイクロメートル、又は約22マイクロメートルのd90を有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物から作製されたエマルションは、室温(20~25℃)で1週間貯蔵した後、18~約24マイクロメートル、又は約19~約23マイクロメートル、又は約22マイクロメートルの液滴のd90を有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉若しくはパルスタンパク質濃縮物、及び/又はパルスタンパク質分離物を使用する前述のエマルションよりも少なくとも10%小さい、又は少なくとも15%小さい、又は少なくとも20%小さい、又は10%~25%、又は15~25%小さい中央値の液滴(d50)サイズを有する。実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物から作製されたエマルションは、約17マイクロメートル未満、又は約15マイクロメートル未満、又は約11~約14マイクロメートルの液滴のd50を有する。更に他の実施形態では、8:1の比の水及び酢の連続相を使用するエマルションが、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む乳化剤及び油と混合され、前述の乳化剤及び油は、1:40の比で混合され、エマルションは、約30%の総油付加量を有し、前述の油は、大豆油である。もう1つの実施形態では、前述のエマルションは、25マイクロメートル未満の液滴のd90、及び15マイクロメートル未満の液滴のd50を有する。
【0029】
更に他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物から作製されたエマルションは、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用して作製されたエマルションと比較して、改善された界面弾性を有する。界面弾性の増加は、変形によって生じる歪みに対する抵抗の尺度となる。理論に束縛されるものではないが、より高い界面弾性を有するエマルションは、合体する可能性が低いため、より安定している。いくつかの実施形態では、本明細書は、エマルションが以下のような張力計によって測定され得ることを開示する。
乳化剤を、リン酸ナトリウム及びクエン酸を使用して調製した緩衝液(pH3)と混合して、0.1w/v%濃度の50mLの溶液を作ることによって、溶液を調製した。次いで、乳化剤が溶解するまで、自動電磁攪拌器を低~中速(約300~700rpm)で使用して、溶液を混合した。その後、1.0μmのPTFE膜(Puradisc 25 TF、Whatman)を使用して溶液を濾過した。Profile Analysis Tensiometer(PAT-1M、Sinterface Technologies,Germany)を使用して、0.1w/v%(乳化剤/緩衝液)溶液(pH3)中の大豆油(S7381、SigmaAldrich)液滴の張力及びレオロジー測定を行った。
この設定は、25~30mLの乳化剤溶液中に部分的に浸漬されたJ字形の針からなり、この溶液は、ガラスキュベット内に含まれる。既知の体積(40μL)の大豆油液滴は、針の端部で生成される。油滴(又は水中の泡)の形状は、時間の関数として記録され、界面張力は、ヤング・ラプラス方程式を使用して泡の形状から決定される。予め設定された時間(3時間)の後、液滴の張力は、準平衡に達し、液滴は、異なる周波数で振動するように設定される。これは、ソフトウェア(SINTERFACE Profile Analysis Tensiometer PAT-1M VER.1.5.0.726)によって制御される油の予め設定された体積の注入及び除去によって行われる。
【0030】
様々な実施形態では、エマルションは、20mN/m超、又は21mN/m超、又は20mN/m~30mN/m、又は21mN/m~25mN/m、又は約22mN/m~24mN/mの界面弾性を有し、かつ/あるいはpH3の水溶液中に分散された湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、20mN/m超、又は21mN/m超、又は20mN/m~30mN/m、又は21mN/m~25mN/m、又は約22mN/m~24mN/mの界面弾性を有する分散相粒子を有する大豆油エマルションから得られ得る。更に他の実施形態、エマルション及び/又はpH3の水溶液中に分散された湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、0.01Hz、0.02Hz、又はo.25Hz、又は0.033Hz、又は0.05Hz、0.21Hz、又は0.2Hzで、20mN/m超、又は21mN/m超、又は20mN/m~30mN/m、又は21mN/m~25mN/m、又は約22mN/m~24mN/mの界面弾性を有する分散相粒子を有する大豆油エマルションを形成することができる。
【0031】
様々な実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルション、及び前述のエマルションを使用した食品としては、スプーンで食べられるドレッシング、ソース、グレイビー、クリーム状スープ、及びクリーム状デザート。乳製品及び乳様製品、例えば、アイスクリーム、ホイップトップピング(乳製品及び非乳製品)、プロセス/模造チーズ、ヨーグルト/サワークリームディップ、チーズディップ、コーヒーホワイトナーが挙げられるがこれらに限定されず、また、これら全ての商品の非乳製品代替物;ケーキ、クッキー、パン、マフィン、クリームフィリング、フルーツフィリング、アイシング、ドーナッツなどのベーカリー及びベーカリー関連商品;チョコレート、コンパウンドチョコレート、及びチューインガムなどのキャンディ及び菓子用途、風味用途のマーガリン及びスプレッド;並びに成形肉及び乳化肉などの肉用途が挙げられる。
【0032】
更なる態様では、本明細書は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する食品を開示し、前述の食品は、菓子スプレッド、例えば、チョコレートスプレッドである(本明細書内で、菓子スプレッドは、任意の風味を有するスプレッドに適用し得、汗スプレッドに限定されない)。実施形態では、菓子スプレッドは、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物と、少なくとも1つの追加の成分とを含む。他の実施形態では、前述の菓子は、周囲温度(5℃~35℃)で塗り広げ可能であり、塗り広げ性は、食品がナイフ又は同様の台所用具で広げられ得る容易さを指す。本明細書内で、塗り広げ性は、前述の菓子スプレッドの機能特性及びレオロジー特性によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、菓子スプレッドの塗り広げ性は、食品を塗り広げるために必要とされるピーク応力、及びスプレッドの粘度によって特徴付けられる。本明細書内で、菓子スプレッド(又は他の食品)は、300g~450gのピーク応力及び160~220Pa・sの粘度によって特徴付けられる場合に、塗り広げ可能である。湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する菓子スプレッドの他の実施形態は、0.15~0.20の水分活性を有する。本明細書内で、粘度測定は、剪断速度1秒-1で23℃において行われ、制御応力レオメーター(AR-G2、TA Instruments)で測定される。本明細書では、全てのピーク応力測定は、制御応力レオメーター(AR-G2、TA Instruments)によって、剪断速度1秒-1で23℃において行われる。本明細書内で、水分活性値は、AquaLab露点水分活性計を使用して測定され、比である水分活性は、単位なしの値である。
【0033】
様々な実施形態では、湿熱処理されたソラマメ濃縮物を使用する菓子スプレッドは、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用して作製された菓子スプレッドよりも油分離に対する安定性がより高かった。様々な実施形態では、菓子スプレッド内の油分離に対する安定性は、一定期間後に、スプレッドの表面上に溜まった油の観察によって測定される。様々な他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドは、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用する菓子スプレッドよりも経時的により少ない微生物活性を有した。更に他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドは少ない豆の風味を有した、湿熱処理されたパルス粉、非ソラマメの湿熱処理されたパルス濃縮物、未処理パルス粉及び濃縮物、並びに/又はパルスタンパク質分離物を使用して作製された菓子スプレッド。
【0034】
いくつかの他の実施形態では、菓子スプレッドは、周囲温度(5℃~35℃)での低い固形分及び高い安定性を有する非水素添加植物油を更に含んだ。1つ以上の実施形態では、前述の菓子スプレッドは、20℃で約0%~約5%、又は約2.5%未満、又は約1%未満、又は1%以下の固体脂含量を有する植物油を更に含んだ。更なる実施形態では、菓子スプレッドは、10℃で約0%~約20%、又は約17.5%未満、又は約15%未満、又は約13%未満、又は13%以下、又は約1%~17.5%、又は約5%~約15%の固体脂含量を有する油を更に含む。更に他の実施形態では、菓子スプレッドは、約30%~約50%、又は約35%~約45%、又は約38%~約42%、又は約40%の平均飽和脂肪含量を有する油を更に含む。更なる実施形態では、菓子スプレッドは、約35%~約55%、又は約40%~約50%、又は約44%~約48%、又は約46%のモノ不飽和脂肪含量を有する油を更に含む。更なる他の実施形態では、菓子スプレッドは、約5%~約20%、又は約10%~約15%、又は約12%の多価不飽和脂肪含量を有する油を更に含む。(この段落における全ての百分率は、全体として油の重量比で測定される。)
【0035】
いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドは、スクロース及び/又は香味料である第3の成分を更に含み、そのような香味料は、以下の非限定的な例:抽出物、油、ピューレ、ジュース、ジュース濃縮物、及び粉末によって提供され、そのような香味料としては、以下の非限定的な例:果実香味料(例えば、イチゴ、サクランボ、ブルーベリー、モモ、アンズ、リンゴ、バナナ、イチジク)、堅果香味料(例えば、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ペカン)、チョコレート、コーヒー、及び/又はバニラが挙げられる。前述の菓子スプレッドの追加の実施形態では、香味料は、粉末として添加され、スプレッドの1重量%~10重量%、約5重量%~約10重量%、約7.5重量%~約10重量%、又は約8重量%~約9重量%の量で添加される。更に他の実施形態では、香味料は、ココア粉末又はダークココア粉末である。
【0036】
いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する菓子スプレッドは、第2のタンパク質源を含む。少なくとも1つの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物と、第2のタンパク質とを含む菓子スプレッドは、乳製品構成成分を使用して第2のタンパク質を供給し、前述の乳製品は、牛乳(全脂肪、低脂肪、非脂肪、及びこれらの組み合わせ)並びに乳製品固形分(乳清、カゼイン、非脂肪乳固形分、及びこれらの組み合わせ)から選択される。更なる実施形態では、乳製品構成成分は、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、又は1:1、又は約1.6:1~約1.5:1、又は約1:1、又は約1.6:1の比(乳製品構成成分対湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物)で菓子スプレッドに添加され得る。
【0037】
別の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドは、以下の非限定的な例:スクロース、アルロース、レバウディオサイド(例えば、レバウディオサイドM)、フラクトオリゴ糖(例えば、ニュートラフローラ)、及びこれらの混合物のうちの1つなどの甘味料を更に含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する菓子スプレッドは、ココア風味である。他の実施形態では、本明細書は、ココア粉末、スクロース、パーム油、非脂肪乾燥乳、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物、及びレシチンを含む菓子スプレッドを開示する。いくつかの実施形態では、スプレッドの約10重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約21.5重量%~約23.5重量%、又は約22重量%~約23重量%の量の油を含む菓子スプレッド。他の実施形態では、菓子スプレッドは、スプレッドの約25重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約35重量%~約40重量%、又は約39重量%の量の甘味料を含む。更に他の実施形態では、菓子スプレッドは、スプレッドの10重量%~40重量%、10重量%~20重量%、15重量%~20重量%、又は約17.5重量%の量の湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の菓子スプレッドに含有されるレシチンは、任意の好適な供給源から得られてもよい。更に他の実施形態では、レシチンは、大豆由来である。更に他の実施形態では、レシチンは、スプレッドの約0.01重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.75重量%、約0.25重量%~約0.5重量%、又は約0.4重量%の量で、菓子スプレッドに添加される。別の実施形態では、菓子スプレッドは、約8.75%のココア粉末、約39.01%のスクロース、約22.80%のパーム油、及び約29.04%の湿熱処理されたソラマメ濃縮物を含む。更に別の実施形態では、菓子スプレッドは、約8.75%のココア粉末、約39.01%のスクロース、約22.80%のパーム油、約11.21%の非脂肪乾燥乳、及び約17.83%の湿熱処理されたソラマメ濃縮物又は湿熱処理されたレンズマメ粉を含む。この段落における百分率は、スプレッドの重量を参照した重量百分率である。
【0039】
更に別の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用する菓子スプレッドは、第2の湿熱処理されたパルスタンパク質濃縮物(例えば、湿熱処理されたレンズマメタンパク質濃縮物)を更に含み、前述のソラマメタンパク質濃縮物及びレンズマメタンパク質濃縮物は、3:1~1:3、2:1~1:2、又は1:1の重量比で混合される。
【0040】
いくつかの実施形態では、記載される菓子スプレッドは、約160~約220Pa・s、約175~約210Pa・s、約185~約205Pa・s、又は約190~約200Pa・sの粘度を有する。
【0041】
更なる実施形態では、菓子スプレッドは、約300g~約450g、約300g~約320g、約350g~約410g、約380~405g、又は約390~402グラムのピーク応力を有する。
【0042】
更に他の実施形態では、菓子スプレッドは、約1900~約2100g、約1900~約1950g、又は約1920~約1940gの硬さを有する。
【0043】
水分活性の変動はまた、水分活性の減少がスプレッドからの水損失を示し、水が失われると、スプレッドが塗り広げにくくなるため、安定性の尺度でもある。以下の表3及び4に示されるように、水分活性の変動は、スプレッドの安定性の重要な尺度であるが、様々な成分又は成分の使用レベルを有するスプレッドが、6週間の期間にわたって一貫した水分活性を有し得るが、依然として有意な油分離を呈し得るため、十分ではない。水分活性は、AquaLab露点水分活性計を使用して測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の菓子スプレッドは、約0.10~約0.20、約0.12~約0.20、0.15~0.20、及び0.14~0.16の水分活性を有する。
【0044】
様々な実施形態では、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を含む菓子スプレッドは、約125マイクロメートル未満、又は約120マイクロメートル未満、又は約115マイクロメートル未満、又は約110マイクロメートル未満、又は約105マイクロメートル未満の最大粒径(スプレッド内の甘味料の粒径によって近似される)を有する。他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドは、直径分布を有する複数の粒子を含み、前述の分布は、約0.1μm~約125μm、又は125μm以下の直径を有する粒子から本質的になる。
【0045】
他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む本明細書に記載の菓子スプレッドは、未処理のソラマメタンパク質濃縮物又は湿熱処理されたソラマメ粉から作製されたスプレッドよりも経時的な油分離が少ない。いくつかの実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む本明細書に記載の菓子スプレッドは、4週間、5週間、又は6週間後に油分離を示さなかった。
【0046】
別の態様では、本明細書は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含む菓子スプレッドの作製方法を開示する。いくつかの実施形態では、菓子スプレッドは、例えばスタンドミキサーなどの従来の混合装置を使用して、油、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物、及び任意の甘味料を混合することによって作製される。別の実施形態では、菓子スプレッドは、例えば、スタンドミキサーなどの従来の混合装置を使用して、油、香味料、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物、甘味料、及び任意に乳製品構成成分を混合することによって作製される。菓子スプレッドの作製方法の更なる実施形態では、油、及び少なくとも湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が組み合わされるまで一緒に混合される。菓子スプレッドの作製方法の更に他の実施形態では、油、及び少なくとも湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、約1~約20分間、又は約1~約10分間、又は約5分間混合される。菓子スプレッドの作製方法のもう1つの実施形態では、スクロース(又は他の甘味料)及び香味粉末が、油と湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の混合物に添加される。菓子スプレッドの作製の更なる他の実施形態では、成分は、約1~約20分間、又は約1~約10分間、又は約5分間混合される。菓子スプレッドの作製方法の更に他の実施形態では、全ての成分の混合物は、粒子を分解し、かつ/又は菓子スプレッド中で粒子を研磨する方法で更にリファイニングされる。菓子スプレッドの作製方法の様々な実施形態では、前述のリファイニングは、1つ以上の工程で達成される。菓子スプレッドの作製方法の更に他の実施形態では、前述のリファイニング工程は、1つ以上のローラーを含むローラーリファイナーを使用することを含む。前述の方法の更に他の実施形態では、菓子スプレッドは、ローラー上に、又は1組のローラーの間に供給される。前述の方法の更に他の実施形態では、前述のリファイニング工程は、組成物を調理し、かつ/又は組成物全体にわたって脂肪を分散するのに役立つように組成物を撹拌し、かつ/又は粒子を更に研磨し得る、コンチング工程を更に含んでもよい。菓子スプレッドの作製方法の追加の実施形態では、レシチンがコンチング前に前述のスプレッドに添加される。前述の方法の更なる実施形態では、前述のコンチング工程は、チョコレート製造に一般的であるよりも短い時間及び低い温度である。前述の方法の少なくとも1つの実施形態では、前述のコンチング工程は、約20~約40分、又は約25~約35分、又は約30分である。前述の方法の少なくとも1つ以上の追加の実施形態では、前述のコンチング工程は、約40°~50℃、又は約42°~約45℃、又は約43℃(約110°F)の温度である。いくつかの実施形態では、菓子スプレッドの作製方法は、複数のロールのローラーリファイナーを使用して前述のスプレッドをリファイニングすることと、前述のリファイナーを通して前述のスプレッドを複数回リファイニングすることとを含む。菓子スプレッドの作製方法の少なくとも1つの実施形態では、ローラーリファイナーは、1~5個のローラーを有する。菓子スプレッドの作製方法の様々な他の実施形態では、前述のスプレッドは、単一ローラーリファイナー上で20~40回、又は3ローラーリファイナー上で5~15回、又は7~12回、又は9回リファイニングされる。
【0047】
別の態様では、本明細書は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を含むアイスクリームである食品を開示する。様々な実施形態では、アイスクリームは、アイスクリームであることを開示する。様々な他の実施形態では、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物は、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを置き換えるためにアイスクリームで使用される。更に他の実施形態は、乳化剤を使用しないアイスクリームと比較して改善された融解速度を有する、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を含むアイスクリームを対象とする。1つ以上の実施形態は、牛乳(任意の脂肪百分率)、及び/又はクリーム(任意の脂肪百分率)、及び/又は非脂肪乳固形分、及び/又は甘味料の混合物を含むアイスクリームを対象とする。1つ以上の他の実施形態は、全ての成分を混合し、混合物を均質化することと、混合物を冷却させることと、次いで混合物を凍結温度未満で更に混合して、十分な空気を混合物に組み込むこととを含む、アイスクリームの作製方法を対象とする。
【0048】
0%への言及は、測定可能な限界を下回ることを意味し、測定されたものの絶対的な非存在に制限されない。
【0049】
本明細書内で、力の尺度としてのグラム(g)への言及は、重量グラム(gf)を意味する。
【実施例0050】
以下の実施例は、例示として提供され、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、実施例で使用される方法及び材料に日常的な修正を行うことができることを認識し、これは、本発明の趣旨及び範囲内になおも含まれるであろう。
実施例1:エマルション安定性
手順
【0051】
界面張力及び界面レオロジー手順:緩衝液(pH3-リン酸ナトリウム及びクエン酸)中に分散した乳化剤(0.1w/v%)の50mLの溶液を、低~中速(約300~700rpm)で混合して乳化剤を溶解することによって作製した。1.0μmのPTFE膜(Puradisc 25 TF、Whatman)を使用して溶液を濾過した。部分的に浸漬した乳化剤溶液である形状針を使用して、大豆油を溶液に添加した。既知の体積(40μL)の大豆油液滴は、針の端部で生成される。油滴(又は水中の泡)の形状は、時間の関数として記録され、界面張力は、ヤング・ラプラス方程式を使用して泡の形状から決定される。予め設定された時間(3時間)の後、液滴の張力は、準平衡に達し、液滴は、異なる周波数で振動するように設定される。これは、ソフトウェア(SINTERFACE Profile Analysis Tensiometer PAT-1M VER.1.5.0.726、Sinterface Technologies,Germany)によって制御される油の予め設定された体積の注入及び除去によって行われる。
【0052】
張力計測定値が表2に報告され、湿熱処理されたソラマメ濃縮物乳化剤を使用するエマルション(0.1%w/v乳化剤/水溶液中40μLの大豆油)が、未処理のソラマメタンパク質濃縮物又はエンドウマメタンパク質分離物のいずれかを使用して作製された乳化剤溶液よりも表面弾性が増加したことを示す。
【表1】
【0053】
結果は、表2に報告される。
【表2】
実施例2:食品としてのエマルション
手順
【0054】
粘度測定:以下の実施例では、Heliopathを用いたBrookfield DV2T(Brookfield AMETEK(Middleboro,Massachusetts))を使用して粘度測定を行った。エマルション試料を、T-Spindle Cを使用して20RPMで30秒間測定した。
【0055】
エマルション粒径分析:エマルション粒子(液滴)のサイズを、2つの方法を使用して測定した。表4では、Mie分析モデルを使用して、レーザ回折器を使用して結果を得た。表6及び7では、Fluid Imaging Technologies,Inc.(Scarborough,ME)製のFlowCam CSを使用して結果を得た。
0.95を超えるアスペクト比及び円フィットを有する2~1000μmフィルタを使用して、20倍の倍率で粒子を測定した。
【0056】
エマルション配合表:試験したエマルションは、特に明記しない限り、表1に提供された表に従って作製した。
【表3】
パルスタンパク質は、指定されるように、処理又は未処理のパルス粉、処理又は未処理のパルスタンパク質濃縮物、パルスタンパク質分離物を指す。試料は全てソラマメから得た。
【0057】
エマルションの作製方法:特に明記しない限り、全ての成分と、水及び酢を別々にブレンドしてエマルションを作製した。全ての非油成分は、均質化されるまで、KitchenAidスタンドミキサー混合ボウル(KitchenAid Professional 5 Plus、KitchenAid、Benton Harbor,MI)であった。中速で混合しながら油をゆっくりと添加し、高剪断均質化のためにそのまとまりをScott Turbonミキサーに移した。(30ヘルツ、2分間)。
【0058】
貯蔵手順:エマルションの試料を、開示された期間にわたって20~30℃で貯蔵した。
実施例2a:湿熱処理されたソラマメ濃縮物と未処理の濃縮物との比較
【0059】
表4は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物から作製されたエマルション及び未処理のソラマメタンパク質濃縮物から作製されたエマルションの粘度及び液滴サイズを示すものであり、同等の使用時に、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を使用するエマルションは、未処理のソラマメタンパク質濃縮物を使用して作製されたエマルションよりも高い粘度及び低い液滴サイズを有したことを示す。
【表4】
実施例2b:湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物対未処理の濃縮物の油付加量の比較
【0060】
表5は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物を使用して作製したエマルションと比較した、濃縮された湿熱処理されたソラマメタンパク質を使用して作製されたエマルションに対する油付加量の効果を研究するために使用される配合表を提供する。
【表5】
【0061】
表6は、全ての油付加量下で、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物が、未処理のソラマメタンパク質濃縮物を使用して作製されたエマルションよりも高い粘度を有したことを示す。
【表6】
実施例2c:パルスタンパク質分離物と比較した、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物
【0062】
表7は、表3の配合表を使用して、83%タンパク質(乾燥重量基準)を有するように測定した、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物及び市販のエンドウマメタンパク質分離物(Nutralys(登録商標)S85 F(Roquette America Inc.、Geneva IL)を使用したエマルションの液滴サイズを報告する。
【表7】
【0063】
加えて、エンドウマメタンパク質分離物エマルションは、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物エマルションよりも不良な知覚特性を有することが観察された。即ち、エンドウマメタンパク質分離物エマルションは、不透明度が低く、琥珀色を有し、かつ流動性であった一方で、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するエマルションは、オフホワイトであり、かつしっかりと硬いスプーンで食べられる質感であった。
実施例2d:未処理のソラマメタンパク質粉及び湿熱処理されたソラマメタンパク質粉と比較した、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物
【表8】
【表9】
実施例3-菓子スプレッド
手順
【0064】
ピーク応力及び粘度は、制御応力レオメーター(AR-G2、TA Instruments)を使用して測定される。試料を、23℃に設定した底部Peltierプレート上に装填した。頂部プレート(50mm、ステンレス)を、1mmの間隙を有する測定位置まで下げた。次いで、試料縁部をトリミングし、シリコン油を使用して密封して蒸発を防止した。回転試験を、1秒-1の剪断速度で120秒間実施した。
【0065】
スプレッドの質感(剪断仕事量及び付着仕事量)を、塗り広げ性アタッチメントを有するTAXT Plus Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.)を使用して測定した。菓子スプレッド試料を、最小限の物理的構造破壊で、受容コーン又はベースコーン(即ち、円錐形の空隙を有するベースプレート)に充填した。試料を、対応する円錐形プローブアタッチメントを使用して、ベースコーンの表面の2mm以内に変位させた。圧縮プロセス中の総仕事量(力曲線下面積)を、剪断仕事量として計算し、試料を塗り広げるために必要とされる仕事量を表す。付着仕事量(引き抜き中の力曲線下面積)は、スプレッドの粘着性を記述するが、これは、スプレッドからプローブを引っ張るのに必要とされる仕事量を分析器が報告するため、プローブがスプレッドから戻るときに測定される。
【0066】
ある特定の固体成分は、スプレッドと共に溶解又は懸濁されてもよい。したがって、粒径は、スプレッド内に存在する測定可能な粒子を指し、最大粒径は、甘味料の最大粒径と近似される。甘味料粒子を測定するために、顕微鏡検査画像を撮影してスクロース粒子を分析した。少量のスプレッド試料をガラススライド上に配置した。カバースライドを上に置き、押し付けて試料を薄層に塗り付けた。顕微鏡検査画像を規則的な光の下で撮影した。スクロース粒子のサイズは、INFINITY ANALYZEソフトウェアのポイント・ツー・ポイントルールを使用して手動で測定した。
【0067】
水分活性を、AquaLab露点水分活性計を使用して測定した。
【0068】
周囲温度(5℃~35℃)で6週間、密封容器内に貯蔵された試料を直接観察することによって、油分離を測定した。観察を毎週行った。油がスプレッド表面上に溜まっていることが観察された場合、油分離を有するものとして試料を指定した。
実施例3a菓子スプレッド配合表
【表10】
【0069】
実施例1は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物による牛乳の部分的置き換えである。実施例2は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物で牛乳を完全に置き換える。実施例3は、湿熱処理されたレンズマメ粉による牛乳の部分的置き換えである。実施例4は、全乳菓子スプレッドである。実施例5は、未処理のソラマメタンパク質濃縮物による牛乳の部分的置き換えである。全ての配合表において、油は、Durkex(登録商標)によって販売されているパーム油であった。
【0070】
油及びタンパク質構成成分を組み合わされるまでHobart(登録商標)スタンドミキサーで混合することによって、スプレッドを作製した。次いで、ココア粉末及びスクロースを混合物に添加し、組み合わされるまで混合した。3ローラーリファイナーを使用して、試料を9回リファイニングした。次いで、レシチンをリファイニングされた試料に添加し、これを110°Fで30分間コンチングした。
実施例3b-菓子スプレッド分析
【表11】
【表12】
【0071】
*Loders Croklaan(Channahon,Illinois)から入手可能なSansTrans(商標)39ショートニング。高固形分パーム油は、以下のプロファイルを有した。10℃での固体脂含量48~54%、20℃で24~30%、30℃で7~13%、40℃で5%最大(Loders Croklaan(Channahon,Illinois)から入手可能なSansTrans(商標)39)。
【0072】
示されるように、リファイニングは、スプレッドを厚くする傾向があり、塗り広げ性の限界を超えて高固形油含量スプレッドを厚くした。また、キャノーラ油から作製されたスプレッドは薄過ぎであり、塗り広げ性の限界未満であった。見られるように、実施例2の未処理のソラマメ濃縮物からのスプレッド及び実施例5の全乳置き換えソラマメ濃縮物は、他の試料よりも硬く、粘着性があり、かつ高いピーク応力及び粘度を呈した。実施例2及び実施例5について報告された特性もまた、標準的な市販製品のものを超えた。実施例2及び実施例5のスプレッドが、他の試験製品又は市販製品よりも小さい塗り広げ性を有したことを示す。
【表13】
【0073】
実施例1は、以前に観察されたものよりも6週間後により光沢のある表面を有することが観察され、最小限の分離を示したが、油が表面上に溜まるのに十分な分離は示さなかった。示されるように、任意の実施例のスプレッドでは、油分離は、4週間の貯蔵前に検出されなかった(不検出)。4週間で、油分離は、実施例2の全乳置き換えプレッド、実施例3の処理されたレンズマメ粉使用、及び実施例5の未処理の濃縮されたソラマメ使用において観察された。特に、全乳スプレッドは、5週間にわたって安定したままであったが、6週目に分離を呈した。処理されたソラマメスプレッドのみが、6週間後に油溜まりを有しなかった。それらの強化された安定性を例示する。
【0074】
それらの機能性及び油分離速度の差にもかかわらず、試験した試料は、同様の水分活性を有した。
【表14】
実施例4-アイスクリーム
【0075】
融解速度に対する湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物の効果を測定するために使用される表モデルのアイスクリーム。
【表15】
【0076】
アイスクリームを、以下のように使用して作製した。乾燥成分のプレブレンドを処理前に作製した。処理の日に、コーンシロップの全てを含む牛乳の一部分を取り、コーンシロップが完全に溶解するまで誘導バーナ上で穏やかに温めた。乾燥プレブレンドを、Likwifier内の牛乳及びコーンシロップに添加し、約500rpmで20分間混合した。次いで、混合物を保持タンクに移し、クリームを穏やかに混合した。低温殺菌は、上流均質化によってMicrothermics HVHW HTST処理装置を通して進行した。目標予熱:150°F、1500/500PSI均質化圧力、30秒保持、最終温度:185°F。混合物は、保持管の端部までに最低175°Fでなければならない。
混合物を冷却し、小型で消毒された容器内で55~60°Fにおいて収集した。混合物を冷蔵貯蔵庫で一晩熟成させた。熟成した混合済みを冷蔵貯蔵庫から取り出し、WCB Technogel 100連続式フリーザーの保持タンク内に配置した。消毒剤がなくなるまで混合物をフリーザーに押し込み、次いでポンプをオフにし、ダッシャー及びコンプレッサーをオンにした。10アンペアの抵抗がダッシャーによって測定されるまで、ポンピングなしで混合物を凍結させた。次いで、ポンプを再びオンにし、空気注入を約0.325L/分で開始した。21~22°Fの排出温度が測定されるまで、混合物をフリーザーに送り込み、逆圧を連続的に監視して、約6PSIを維持した。空気の組み込みが調整されたときにオーバーラン測定を行い、オーバーラン測定値が100%のオーバーランの目標に達したときにのみ試料収集を開始した。
【数1】
収集した試料を-30°Fのブラストフリーザーで4時間硬化させ、次いで貯蔵のために-10°Fのウォークインフリーザーに移動させた。
【0077】
融解速度を以下のように測定した。スクリーンを通して滴下した混合物の重量を、5分毎に3時間記録した。融解速度試験は、湿熱処理されたソラマメタンパク質濃縮物を使用するアイスクリームが、陰性対照(乳化剤を使用しない)と比較して、陽性対照(モノグリセリド及びジグリセリドを使用)の融解速度に近い融解速度を有したことを示した。