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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110122
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】作業車の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230802BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/34 B
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011360
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
(72)【発明者】
【氏名】森山 亮
(72)【発明者】
【氏名】田野 稔
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 耕
(72)【発明者】
【氏名】森 仁志
(72)【発明者】
【氏名】狩野 翔
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祐香
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】車両の安定度及び走行性能を向上させることのできる作業車の電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置80は、旋回体20に設けられて電力を発電する発電機82と、旋回体20に設けられて第1電動モータ61に電力を供給する作業用バッテリ86と、走行体10に設けられて第2電動モータ71に電力を供給する走行用バッテリ88と、発電機82から作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88への電力の供給を制御するエネルギマネジメントコントローラ91とを備え、このエネルギマネジメントコントローラ91は、発電機82が停止した状態において作業用バッテリ86から走行用バッテリ88へ電力を供給して走行用バッテリ88を充電可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行体と、
前記走行体を作動させる動力源としての走行用電動モータと、
前記走行体上に旋回可能に設けられた旋回体と、
前記旋回体に設けられた作業装置と、
前記旋回体及び前記作業装置を作動させる動力源としての作業用電動モータと、
前記旋回体に設けられて電力を発電する発電機と、
前記走行体に設けられて前記走行用電動モータに電力を供給する走行用バッテリと、
前記旋回体に設けられて前記作業用電動モータに電力を供給する作業用バッテリと、
前記発電機から前記走行用バッテリ及び前記作業用バッテリへの電力の供給を制御する電力制御部とを備え、
前記電力制御部は、前記発電機が停止した状態において前記作業用バッテリから前記走行用バッテリへ電力を供給して前記走行用バッテリを充電可能であることを特徴とする作業車の電力供給装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記発電機が停止した状態において前記走行用バッテリから前記作業用バッテリへ電力を供給して前記作業用バッテリを充電可能であることを特徴とする請求項1に記載の作業車の電力供給装置。
【請求項3】
前記作業用バッテリと前記走行用バッテリとの間に設けられて、前記作業用バッテリと前記走行用バッテリとの間で双方向に昇降圧を行う電力変換器を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車の電力供給装置。
【請求項4】
前記走行体と前記旋回体との間に設けられて、前記旋回体側に設けられた前記発電機及び前記作業用バッテリと前記走行体側に設けられた前記走行用バッテリとを前記電力変換器を介して電気的に接続するスリップリングを備え、
前記電力変換器が前記旋回体側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業車の電力供給装置。
【請求項5】
前記走行体と前記旋回体との間に設けられて、前記旋回体側に設けられた前記発電機及び前記作業用バッテリと前記走行体側に設けられた前記走行用バッテリとの間を無線給電する無線給電装置を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の作業車の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用バッテリ及び作業用バッテリを搭載した作業車の電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例として、車輪又はクローラ機構を有して走行可能な走行体と、走行体上に水平旋回自在に設けられた旋回体と、旋回体に起伏及び伸縮自在に設けられたブームと、ブームの先端部に設けられた作業者搭乗用の作業台とを備えた自走式の高所作業車が知られている。このような自走式の高所作業車においては、排気ガスや騒音の問題、及び省エネルギ性等の観点から、従来のエンジン駆動式に替えてバッテリ駆動式(電動式)を採用することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このバッテリ駆動式では、バッテリから供給される電力を用いて、走行用及び作業用のアクチュエータを直接もしくは油圧系を用いて間接的に駆動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-88979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、走行用及び作業用のアクチュエータを駆動させるためのバッテリが旋回体に搭載されているため、このバッテリから走行体側への電力及び動力の伝達経路が長くなり、この伝達経路の長さにほぼ比例して走行性能が低下するとともに、車両の重心位置が高くなることで(重心位置が旋回体側に偏ることで)、車両の安定度が低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、車両の安定度及び走行性能を向上させることのできる作業車の電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る作業車の電力供給装置は、走行可能な走行体と、前記走行体を作動させる動力源としての走行用電動モータと、前記走行体上に旋回可能に設けられた旋回体と、前記旋回体に設けられた作業装置と、前記旋回体及び前記作業装置を作動させる動力源としての作業用電動モータと、前記旋回体に設けられて電力を発電する発電機と、前記走行体に設けられて前記走行用電動モータに電力を供給する走行用バッテリと、前記旋回体に設けられて前記作業用電動モータに電力を供給する作業用バッテリと、前記発電機から前記走行用バッテリ及び前記作業用バッテリへの電力の供給を制御する電力制御部とを備え、前記電力制御部は、前記発電機が停止した状態において前記作業用バッテリから前記走行用バッテリへ電力を供給して前記走行用バッテリを充電可能であることを特徴とする。
【0007】
また、上記構成の作業車の電力供給装置において、前記電力制御部は、前記発電機が停止した状態において前記走行用バッテリから前記作業用バッテリへ電力を供給して前記作業用バッテリを充電可能であることが好ましい。
【0008】
さらに、上記構成の作業車の電力供給装置において、前記作業用バッテリと前記走行用バッテリとの間に設けられて、前記作業用バッテリと前記走行用バッテリとの間で双方向
に昇降圧を行う電力変換器を備えることが好ましい。
【0009】
また、上記構成の作業車の電力供給装置において、前記走行体と前記旋回体との間に設けられて、前記旋回体側に設けられた前記発電機及び前記作業用バッテリと前記走行体側に設けられた前記走行用バッテリとを前記電力変換器を介して電気的に接続するスリップリングを備え、前記電力変換器が前記旋回体側に設けられていることが好ましい。
【0010】
なお、上記構成の作業車の電力供給装置において、前記走行体と前記旋回体との間に設けられて、前記旋回体側に設けられた前記発電機及び前記作業用バッテリと前記走行体側に設けられた前記走行用バッテリとの間を無線給電する無線給電装置を備えて構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る作業車の電力供給装置によれば、複数のバッテリを下部の走行体と上部の旋回体とに分散配置して、車両の低重心化を図ることで(走行用バッテリが車両の低重心化に寄与することで)、走行中及び作業中の車両の安定度を高めることができるとともに、走行駆動のための電力及び動力の伝達経路が短縮化されることで、その伝達経路中のエネルギ損失等を抑制して走行性能を向上させることが可能となる。また、発電機の発電電力により走行用バッテリを充電可能であるとともに、作業用バッテリの電力を走行用バッテリへ融通可能とすることで、作業現場に専用の外部電源設備を必要とすることなく、あらゆる作業現場において走行用バッテリと発電機又は作業用バッテリとの併用によって車両をパワフルに走行可能且つ長距離走行可能となり、それにより車両の走行パフォーマンスを一層向上させることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る作業車の電力供給装置では、走行用バッテリの充電量に余裕がある場合に、走行用バッテリの余剰電力を作業用バッテリに融通することで、発電機の過剰な使用を抑制して省エネルギ化を図ることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る作業車の電力供給装置では、作業用バッテリと走行用バッテリとの間で双方向に昇降圧を行う電力変換器を備えることで、各バッテリの状態(電圧、充電量)が異なる場合でも、両バッテリ間において安定した電力供給が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る作業車の電力供給装置では、旋回体側に設けられた発電機及び作業用バッテリと走行体側に設けられた走行用バッテリとを電力変換器を介して電気的に接続するスリップリングを設け、電力変換器を旋回体側に設けることで、各バッテリに対して給電可能な状態において走行体に対して旋回体を全旋回可能とすることができるとともに、電気容量の小さいスリップリングを使用したとしても、電力変換器で制限された比較的小さい電流によって走行用バッテリを徐々に充電することができるため、従来技術のように旋回体側に設けられたバッテリから走行体側の駆動源に直接電力を供給する場合(つまり、その通過電流が大きくなるため大型もしくは専用のスリップリングが必要であった場合)と比べて、製造コストや車両重量を低減させることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る作業車の電力供給装置において、旋回体側に設けられた発電機及び作業用バッテリと走行体側に設けられた走行用バッテリとの間を無線給電する無線給電装置を備えた場合には、各バッテリに対して給電可能な状態において走行体に対して旋回体を全旋回可能とすることができるとともに、スリップリングの摩耗による交換やメンテナンスが必要なくなり、旋回体側と走行体側との間で長期に安定して送受電ができ、各バッテリの充電効率を長期に亘り好適に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の電力供給装置を備える高所作業車を示す側面図である。
図2】上記高所作業車の作動機構を示すブロック図である。
図3】上記電力供給装置の構成を示すブロック図である。
図4】上記電力供給装置の充電モードの説明に供する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る電力供給装置を備えた自走式の高所作業車1を図1に示しており、まず、この図1を参照して高所作業車1の全体構成について説明する。
【0018】
高所作業車1は、左右一対の前輪12および後輪13を有して走行可能な走行体10と、走行体10上に水平旋回自在に設けられた旋回体20と、旋回体20の上部に揺動自在に設けられたブーム30と、ブーム30の先端部に設けられた作業者搭乗用の作業台40とを備えて構成される。
【0019】
走行体10には、前輪駆動用の走行モータ14(図2を参照)が設けられており、この走行モータ14によって左右の前輪12を回転作動させることにより、走行体10を走行させることができるように構成されている。また、走行体10には、操舵シリンダ15(図2を参照)が設けられており、この操舵シリンダ15を伸縮作動させて、不図示のステアリング機構を介して左右の後輪13の向き(舵角)を変えることにより、走行体10の舵取り(後輪13の転舵作動)を行うことができるようになっている。
【0020】
走行体10と旋回体20との間には、旋回機構11が設けられている。旋回機構11は、走行体10の上部に設けられた外輪と、旋回体20の下部に設けられて外輪に係合される内輪とを備えて構成される。旋回体20は、旋回機構11を介して走行体10に水平旋回自在に取り付けられており、走行体10内に設けられた旋回モータ21(図2を参照)を回転作動させることにより、垂直軸回りに360度水平旋回動可能に構成されている。なお、旋回機構11の内側には、走行体10側と旋回体20側との間での作動油の供給(油圧配管の接続)を可能とするスイベルジョイント18と、走行体10側と旋回体20側との間での信号や電力の入出力(電気配線の接続)を可能とするスリップリング19とが取り付けられている。
【0021】
ブーム30は、旋回体20側から順に、基端ブーム31、中間ブーム32及び先端ブーム33が入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ34(図2を参照)の伸縮作動により、ブーム30を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、旋回体20とブーム30との間には起伏シリンダ22(図2を参照)が跨設されており、この起伏シリンダ22を伸縮作動させることにより、ブーム30全体をフートピン23を中心として上下面内において起伏動させることができる。
【0022】
ブーム30の先端部には、垂直ポスト37が上下方向に揺動自在に枢支されている。垂直ポスト37は、先端ブーム33の先端部との間に配設されたレベリング機構(図示せず)により揺動制御が行われ、ブーム30の起伏角度の如何に関らず垂直ポスト37が常時垂直姿勢に保持される構成となっている。垂直ポスト37には、作業台ブラケット41を介して作業者搭乗用の作業台40が取り付けられている。作業台ブラケット41の内部には、首振りモータ48(図2を参照)が取り付けられており、この首振りモータ48を回転作動させることにより、作業台40全体を垂直ポスト37まわりに首振り動(水平旋回動)させることができる。ここで、垂直ポスト37は、上述のように常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台40の床面はブーム30の起伏角度によらず常時水平に保持される。
【0023】
作業台40には、これに搭乗した作業者が操作する操作レバーや操作スイッチ、操作ダイヤル等の各操作手段を備えた操作装置42が設けられている。そのため、作業台40に搭乗した作業者は、この操作装置42を操作することにより、走行体10の走行作動(走行モータ14の回転作動)、走行体10の転舵作動(操舵シリンダ15の伸縮作動)、旋回体20の旋回作動(旋回モータ21の回転作動)、ブーム30の起伏作動(起伏シリンダ22の伸縮作動)、ブーム30の伸縮作動(伸縮シリンダ34の伸縮作動)、作業台40の首振り作動(首振りモータ48の回転作動)などの各作動操作を行うことができる。
【0024】
高所作業車1の作動機構は、図2に示すように、操作装置42からの操作信号を受けて、走行モータ14、操舵シリンダ15、旋回モータ21、起伏シリンダ22、伸縮シリンダ34、及び首振りモータ48等(以下、まとめて「油圧アクチュエータ」とも称する)を制御する統括コントローラ50と、これらの油圧アクチュエータを作動させるために作動油を供給する油圧ユニット55とを備えて構成される。なお、油圧アクチュエータは、走行用アクチュエータと、操舵用アクチュエータと、作業用アクチュエータとに大別される。走行用アクチュエータは、走行モータ14である。操舵用アクチュエータは、操舵シリンダ15である。作業用アクチュエータは、旋回モータ21、起伏シリンダ22、伸縮シリンダ34及び首振りモータ48を備える。
【0025】
油圧ユニット55は、第1油圧ユニット60と、第2油圧ユニット70とを有して構成される。
【0026】
第1油圧ユニット60は、第1電動モータ61と、第1電動モータ61の回転作動により油圧タンクT1に貯留された作動油を吐出する第1油圧ポンプ62と、この第1油圧ポンプ62から操舵用アクチュエータ及び作業用アクチュエータに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御する第1制御バルブ63とを有して構成される。第1制御バルブ63は、操舵シリンダ15に対応する操舵制御バルブV1、旋回モータ21に対応する旋回制御バルブV2、起伏シリンダ22に対応する起伏制御バルブV3、伸縮シリンダ34に対応する伸縮制御バルブV4、首振りモータ48に対応する首振り制御バルブV5を有している。
【0027】
第2油圧ユニット70は、第2電動モータ71と、第2電動モータ71の回転駆動により油圧タンクT2に貯留された作動油を吐出する第2油圧ポンプ72と、この第2油圧ポンプ72から走行用アクチュエータに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御する第2制御バルブ73とを有して構成される。第2制御バルブ73は、走行モータ14に対応する走行制御バルブV6を有している。
【0028】
各制御バルブV1~V6は、統括コントローラ50から出力される指令信号に応じた方向および流量が設定される電磁比例制御バルブから構成されている。そのため、油圧ユニット55は、統括コントローラ50からの指令信号に基づき、各制御バルブV1~V6のスプールを電磁駆動して、油圧ポンプ62,72から各油圧アクチュエータに供給される作動油の供給方向及び供給量を制御し、各油圧アクチュエータの作動方向及び作動速度を制御する。
【0029】
次に、本実施形態の高所作業車1に設けられた電力供給装置80について説明する。電力供給装置80は、図3に示すように、発電禁止スイッチ81と、発電機82と、発電モータコントローラ85と、作業用バッテリ86と、第1電動モータコントローラ87と、走行用バッテリ88と、電力変換器89と、第2電動モータコントローラ90と、エネルギマネジメントコントローラ91とを備えて構成される。なお、エネルギマネジメントコントローラ91は、前述の統括コントローラ50と電気的に接続されており、この統括コントローラ50と双方向に送受信可能に構成されている。
【0030】
発電禁止スイッチ81は、作業台40の操作装置42に設けられている。発電禁止スイッチ81は、オン位置とオフ位置とのいずれかに切り換え可能なトグルスイッチにより構成されている(作業者が手を離しても当該切り換えられた操作位置を保持する構成となっている)。この発電禁止スイッチ81は、エネルギマネジメントコントローラ91と電気的に接続されている。ここで、発電禁止スイッチ81がオン位置に切り換えられると、エネルギマネジメントコントローラ91に発電禁止信号が出力され、発電機82の駆動が規制される。発電禁止スイッチ81がオフ位置に切り換えられると、エネルギマネジメントコントローラ91に発電許可信号が出力され、発電機82の駆動が許可される。
【0031】
発電機82は、エンジン83と、発電モータ84とを備えて構成される。エンジン83は、例えばディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関であり、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に基づき駆動される。発電モータ84は、エンジン83の駆動軸に機械的に接続されており、エンジン83の駆動力を電力(交流電力)に変換して出力する。このように発電機82は、エンジン83と発電モータ84との協働により電力(交流電力)を発生させる。
【0032】
発電モータコントローラ85は、インバータ回路を備えており、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に応じて、発電モータ84から出力される交流電力を直流電力に変換して作業用バッテリ86及び/又は電力変換器89(走行用バッテリ88)に供給する。また、発電モータコントローラ85は、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に応じて、作業用バッテリ86及び/又は電力変換器89(走行用バッテリ88)への出力電圧を制御する。
【0033】
作業用バッテリ86は、例えばリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池(蓄電池)から構成されている。作業用バッテリ86としては、二次電池セル、複数の二次電池セルを直列に接続したバッテリモジュール、複数のバッテリモジュールを積層してなるバッテリパックなどが適用される。
【0034】
第1電動モータコントローラ87は、作業用バッテリ86と第1電動モータ61との間に電気的に接続されており、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に応じて作業用バッテリ86に蓄電された直流電力を交流電力に変換して第1電動モータ61に供給する(第1電動モータ61の駆動を制御する)。
【0035】
走行用バッテリ88は、例えばリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池(蓄電池)から構成されている。走行用バッテリ88としては、二次電池セル、複数の二次電池セルを直列に接続したバッテリモジュール、複数のバッテリモジュールを積層してなるバッテリパックなどが適用される。
【0036】
電力変換器89は、発電モータコントローラ85及び作業用バッテリ86と走行用バッテリ88との間に電気的に接続されている。電力変換器89は、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に基づき、発電モータコントローラ85及び作業用バッテリ86と走行用バッテリ88との間における充放電の方向と出力電圧を制御する充電器として構成されている。電力変換器89は、双方向型のDC-DCコンバータを備えており、発電モータコントローラ85又は作業用バッテリ86から出力される直流電圧を走行用バッテリ88を充電可能な直流電圧に変換(昇降圧)するとともに、その逆方向の変換として走行用バッテリ88から出力される直流電圧を作業用バッテリ86を充電可能な直流電圧に変換(昇降圧)する。なお、本実施形態では、作業用バッテリ86の定格電圧値と走行用バッテリ88の定格電圧値は、同一電圧値(例えば80V)に設定されている。しかし、作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88の実電圧値は、各バッテリ86,88の充
電状態(電圧、充電量)等により変化し得るため、電力変換器89はその充電状態等に応じて各バッテリ86,88の充電に適正な直流電圧値に変換(昇降圧)して出力する。そのため、この電力変換器89から出力される電力は、DC-DCコンバータの昇降圧の制御によって、各バッテリ86、88の充電に適正な電圧値に制御される。なお、この電力変換器89と走行用バッテリ88との間の電流経路(電力供給ライン)にはスリップリング19が設けられており、電気容量の小さいスリップリング19を使用したとしても、電力変換器89で制限された比較的小さい電流によって走行用バッテリ88を徐々に充電することができるため、従来技術のように旋回体20側に設けられたバッテリから走行体10側の動力源に直接電力を供給する場合(つまり、その通過電流が大きくなるため大型もしくは専用のスリップリングが必要であった場合)と比べて、製造コストを抑えながらも、エンジン駆動式と同等の走行性能を確保することができる。
【0037】
第2電動モータコントローラ90は、走行用バッテリ88と第2電動モータ71との間に電気的に接続されており、エネルギマネジメントコントローラ91からの指令に応じて走行用バッテリ88に蓄電された直流電力を交流電力に変換して第2電動モータ71に供給する(第2電動モータ71の駆動を制御する)。
【0038】
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電機82、発電モータコントローラ85、作業用バッテリ86、走行用バッテリ88、電力変換器89などに電気的に接続されており、電力供給装置80のシステム全体を統括的に制御する。すなわち、エネルギマネジメントコントローラ91は、発電機82の電力供給、発電モータコントローラ85の出力電圧、電力変換器89の出力電圧、各バッテリ86,88の充放電等を制御して、電力供給装置80における電力(エネルギ)を総合的に管理する。なお、エネルギマネジメントコントローラ91は、統括コントローラ50の一部を構成する制御装置であってもよいし、統括コントローラ50とは別の制御装置であってもよい。
【0039】
ここで、エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81の操作状態や各バッテリ86,88の充電状態などに基づいて、各バッテリ86,88の充電モードを制御する。本実施形態の充電モードには、図4に示すように、発電機82により発電した電力を作業用バッテリ86に供給して作業用バッテリ86を充電する充電モードAと、発電機82により発電した電力を走行用バッテリ88に供給して走行用バッテリ88を充電する充電モードBと、発電機82により発電した電力を作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88に供給して作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88を同時に充電する充電モードCと、発電機82を停止して作業用バッテリ86の電力を走行用バッテリ88に供給して走行用バッテリ88を充電する充電モードDと、発電機82を停止して走行用バッテリ88の電力を作業用バッテリ86に供給して作業用バッテリ86を充電する充電モードEとがある。すなわち、充電モードA~Cは、発電機82から各バッテリ86,88に電力を供給する充電モードであり、充電モードD~Eは、発電機82からの電力の供給を遮断して両バッテリ86,88間で電力を融通し合う充電モードである。
【0040】
エネルギマネジメントコントローラ91は、各バッテリ86,88に設けられたバッテリセンサ(図示せず)からの検出情報に基づき、各バッテリ86,88の充電量(残充電量)を検出する。この充電量は、バッテリ86,88からの出力電圧もしくは出力電流に基づき算出される。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、各バッテリ86,88の充電量を二つの判定値(閾値)と比較して、充電モードA~Eを切り換える制御を実行する。本実施形態では、二つの判定値として、第1判定値と、第2判定値とを有する。エネルギマネジメントコントローラ91は、複数のバッテリ86,88の状態を一括管理して、各バッテリ86,88の充電量が第1判定値(例えば満充電に対して90%)以上である場合に各バッテリ86,88に十分な余裕があると判定し、各バッテリ86,88の充電量が第2判定値(例えば満充電に対して70%)未満である場合に各バッテリ
86,88に十分な余裕がなくなったと判定する。なお、第1判定値及び第2判定値の各値は一例であり、この二つの判定値の各値の組合せは適宜変更が可能である。
【0041】
<充電モードA>
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81がオフ位置に選択されており、作業用バッテリ86の充電量が第2判定値未満であり、且つ、走行用バッテリ88の充電量が第1判定値以上であることを判定した場合、複数の充電モードA~Eの中から充電モードAを選択する。エネルギマネジメントコントローラ91は、充電モードAを選択した場合、発電機81を駆動させて、この発電機81が発電した電力により作業用バッテリ86を充電する。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、作業用バッテリ86の充電量が満充電となったときに、発電機81から作業用バッテリ86への電力の供給を停止して(発電機82の駆動を停止して)、充電モードAを終了する。なお、この充電モードAは、例えば、作業現場において高所作業が主体となるとき(作業用バッテリ86の負荷が大きいとき)に用いられる充電モードである。
【0042】
<充電モードB>
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81がオフ位置に選択されており、作業用バッテリ86の充電量が第1判定値以上であり、且つ、走行用バッテリ88の充電量が第2判定値未満であることを判定した場合、複数の充電モードA~Eの中から充電モードBを選択する。エネルギマネジメントコントローラ91は、充電モードBを選択した場合、発電機82を駆動させて、この発電機82が発電した電力により走行用バッテリ88を充電する。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、走行用バッテリ88の充電量が満充電となったときに、発電機82から走行用バッテリ88への電力の供給を停止して(発電機82の駆動を停止して)、充電モードBを終了する。なお、この充電モードBは、例えば、作業現場への長距離移動時などの車両走行が主体となるとき(走行用バッテリ88の負荷が大きいとき)に用いられる充電モードである。
【0043】
<充電モードC>
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81がオフ位置に選択されており、作業用バッテリ86の充電量が第2判定値未満であり、且つ、走行用バッテリ88の充電量が第2判定値未満であることを判定した場合、複数の充電モードA~Eの中から充電モードCを選択する。エネルギマネジメントコントローラ91は、充電モードCを選択した場合、発電機82を駆動させて、この発電機82が発電した電力により作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88を同時に充電する。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88の充電量が共に満充電となったときに、発電機82から作業用バッテリ86及び走行用バッテリ88への電力の供給を停止して(発電機82の駆動を停止して)、充電モードCを終了する。なお、この充電モードCは、例えば、作業現場において高所作業と車両走行とを交互に繰り返すとき(両バッテリ86,88の負荷が大きいとき)に用いられる充電モードである。
【0044】
<充電モードD>
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81がオン位置に選択されており、作業用バッテリ86の充電量が第1判定値以上であり、且つ、走行用バッテリ88の充電量が第2判定値未満であることを判定した場合、複数の充電モードA~Eの中から充電モードDを選択する。エネルギマネジメントコントローラ91は、充電モードDを選択した場合、発電機82を停止させた状態において、作業用バッテリ86に蓄電された電力を電力変換器89を介して走行用バッテリ88に供給する。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、走行用バッテリ88の充電量が第1判定値以上になったとき、又は作業用バッテリ86の充電量が第1判定値未満となったときに、作業用バッテリ86から走行用バッテリ88への電力の供給を停止して(走行用バッテリ88の充電を停
止して)、充電モードDを終了する。なお、この充電モードDは、例えば、排ガスや騒音振動が懸念される屋内作業や夜間作業等において車両走行が主体となるとき(走行用バッテリ88の負荷が比較的大きいとき)に用いられる充電モードである。
【0045】
<充電モードE>
エネルギマネジメントコントローラ91は、発電禁止スイッチ81がオン位置に選択されており、作業用バッテリ86の充電量が第2判定値未満であり、且つ、走行用バッテリ88の充電量が第1判定値以上であることを判定した場合、複数の充電モードA~Eの中から充電モードEを選択する。エネルギマネジメントコントローラ91は、充電モードEを選択した場合、発電機82を停止させた状態において、走行用バッテリ88に蓄電された電力を電力変換器89を介して作業用バッテリ86に供給する。そして、エネルギマネジメントコントローラ91は、作業用バッテリ86の充電量が第1判定値以上になったとき、又は走行用バッテリ88の充電量が第1判定値未満となったときに、走行用バッテリ88から作業用バッテリ86への電力の供給を停止して(作業用バッテリ86の充電を停止して)、充電モードEを終了する。なお、この充電モードEは、例えば、排ガスや騒音振動が懸念される屋内作業や夜間作業等において高所作業が主体となるとき(作業用バッテリ86の負荷が比較的大きいとき)に用いられる充電モードである。
【0046】
このようにエネルギマネジメントコントローラ91は、複数の充電モードA~Eの中から、高所作業車1の作動状態と各バッテリ86,88の充電状態などに応じた適切な充電モードを選択して、電力供給装置80のシステム全体の電力(エネルギー)の流れを制御することで、作業中又は走行中の車両のパフォーマンスを向上させる。
【0047】
以上、本実施形態に係る電力供給装置80によれば、複数のバッテリ86,88を下部の走行体10と上部の旋回体20とに分散配置して、車両の低重心化を図ることで(走行用バッテリ88が車両の低重心化に寄与することで)、走行中及び作業中の車両の安定度を高めることができるとともに、走行駆動のための電力及び動力の伝達経路が短縮化されることで、その伝達経路中のエネルギ損失等を抑制して走行性能を向上させることが可能となる。また、本実施形態の電力供給装置80では、発電機82の発電電力により走行用バッテリ88を充電可能であるとともに、作業用バッテリ86の電力を走行用バッテリ88へ融通可能とすることで、作業現場に専用の外部電源設備を必要とすることなく、あらゆる作業現場において走行用バッテリ88と発電機82又は作業用バッテリ86との併用によって車両をパワフルに走行可能且つ長距離走行可能となり、それにより車両の走行パフォーマンスを一層向上させることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の電力供給装置80では、走行用バッテリ88の充電量に余裕がある場合に、走行用バッテリ88の余剰電力を作業用バッテリ86に融通することで、発電機82の過剰な使用を抑制して省エネルギ化を図ることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の電力供給装置80では、作業用バッテリ86と走行用バッテリ88との間で双方向に昇降圧を行う電力変換器89を備えることで、各バッテリ86,88の状態(電圧、充電量)が異なる場合でも、両バッテリ86,88間において安定した電力供給が可能となる。
【0050】
また、本実施形態の電力供給装置80では、旋回体20側に設けられた発電機82及び作業用バッテリ86と走行体10側に設けられた走行用バッテリ88とを電力変換器89を介して電気的に接続するスリップリング19を設け、電力変換器89を旋回体20側に設けることで、各バッテリ86,88に対して給電可能な状態において走行体10に対して旋回体20を全旋回可能とすることができるとともに、電気容量の小さいスリップリング19を使用したとしても、電力変換器89で制限された比較的小さい電流によって走行
用バッテリ88を徐々に充電することができるため、従来技術のように旋回体20側に設けられたバッテリから走行体10側の駆動源に直接電力を供給する場合(つまり、その通過電流が大きくなるため大型もしくは専用のスリップリングが必要であった場合)と比べて、製造コストや車両重量を低減させることが可能となる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0052】
上記実施形態では、旋回機構11に設けられたスリップリング19を介して旋回体20側と走行体10側とを電気的に接続する構成であったが、この構成に限定されるものではなく、例えば、金属接点を有しない非接触式の無線給電装置(ワイヤレス給電装置とも呼ばれる)を用いて旋回体20側と走行体10側とを電気的に接続する構成を採用してもよい。この無線給電装置は、例えば電磁誘導を利用して非接触で電力を送受する給電装置であり、旋回体20の下部に設けられた第1送受電コイルと、走行体10の上部に設けられた第2送受電コイルとを備えて構成される。ここで、発電機82又は作業用バッテリ86から走行用バッテリ88を充電する場合(つまり、旋回体20側から走行体10側に電力を供給する場合)には、第1送受電コイルが送電側のコイルとして機能し、第2送受電コイルが受電側のコイルとし機能する。また、走行用バッテリ88から作業用バッテリ86を充電する場合(つまり、走行体10側から旋回体20側に電力を供給する場合)には、第1送受電コイルが受電側のコイルとして機能し、第2送受電コイルが送電側のコイルとして機能する。ここで、送電側のコイルは、入力した電力に応じた磁界を発生させる。受電側のコイルは、送電側のコイルと磁気結合し、電磁誘導により誘導起電力を発生させることで、送電側のコイルから無線で電力を受け取る。それにより、この無線給電装置を用いて、旋回体20側と走行体10側との間で電力の授受を行い、各バッテリ86,88を充電することが可能となる。かかる構成の変形例によれば、旋回体20側に設けられた発電機82及び作業用バッテリ86と走行体10側に設けられた走行用バッテリ88との間を無線給電する無線給電装置を備えることで、各バッテリ86,88に対して給電可能な状態において走行体10に対して旋回体20を全旋回可能とすることができるとともに、スリップリング19の摩耗による交換やメンテナンスが必要なくなり、旋回体20側と走行体10側との間で長期に安定して送受電ができ、各バッテリ86,88の充電効率を長期に亘り好適に維持することが可能となる。なお、本変形例では、電磁結合方式の無線給電装置を例示したが、例えば磁界共鳴方式などの他の無線給電装置を適用してもよい。
【0053】
上記実施形態では、エネルギマネジメントコントローラ91が自動的に充電モードを選択したが、作業者の操作に応じて各バッテリ86,88を強制的に充電する充電モードを加えてもよい。例えば、各バッテリ86,88を強制的に充電させたいときに操作される強制発電スイッチを設け、この強制発電スイッチがオン操作された場合に、エネルギマネジメントコントローラ91は、各バッテリ86,88の充電量の如何を問わず、発電機82を強制的に駆動させて、この発電機82により発電した電力を各バッテリ86,88に供給し、それにより両バッテリ86,88を強制的に充電することが好適である。
【0054】
上記実施形態では、作業用バッテリ86の定格電圧値と走行用バッテリ88の定格電圧値とを同一電圧値に設定しているが、この構成に限定されるものではなく、作業用バッテリ86の定格電圧値と走行用バッテリ88の定格電圧値とを異なる電圧値に設定してもよい。
【0055】
上記実施形態では、各充電モードの終了条件として各バッテリ86,88が満充電になったことを条件としているが、一般的にバッテリ86,88は満充電が頻繁に行われると寿命が短くなり易いため、満充電よりも小さく設定された充電量(例えば95%)に達した場合に、各充電モードを終了するように構成してもよい。
【0056】
上記実施形態では、走行モータ14を油圧モータにより構成しているが、この構成に限定されるものではなく、走行モータ14を電動モータ(例えば交流誘導モータ)により構成して、第2電動モータコントローラ90から出力される電力を走行モータ(電動モータ)14に供給して走行モータ(電動モータ)14を回転駆動させるようにしてもよい。
【0057】
上記実施形態では、第1油圧ユニット60に操舵シリンダ15に対応する操舵制御バルブV1を設けて、この操舵制御バルブV1を介して第1油圧ポンプ62から吐出される作動油を操舵シリンダ15に供給するように構成しているが、この構成に限定されるものではなく、第2油圧ユニット70に操作制御バルブV1を設けて、この操舵制御バルブV1を介して第2油圧ポンプ72から吐出される作動油を操舵シリンダ15に供給するように構成してもよい。この構成によれば、走行体10側に設置された操舵シリンダ15への油圧供給回路が全て走行体10側に集約され、走行体10と旋回体20との間での作動油の供給を行うスイベルジョイント18が不要となるため、部品点数の削減とともに、車両全体の油圧回路を簡素化することが可能となる。なお、第2油圧ユニット70(走行体10側)に、走行モータ14専用の油圧ポンプ(第2油圧ポンプ72)と、操舵シリンダ15専用の油圧ポンプ(第3油圧ポンプ)とをそれぞれ備えてもよい。
【0058】
上記実施形態では、本発明に係る高所作業車として、ホイール式の自走式高所作業車を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、クローラ式の自走式高所作業車を適用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 高所作業車
10 走行体
19 スリップリング
20 旋回体
30 ブーム
40 作業台
42 操作装置
61 第1電動モータ(作業用電動モータ)
71 第2電動モータ(走行用電動モータ)
80 電力供給装置
81 発電禁止スイッチ
82 発電機
86 作業用バッテリ
88 走行用バッテリ
89 電力変換器
91 エネルギマネジメントコントローラ(電力制御部)
図1
図2
図3
図4