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特開2023-110135温度センサ、温度検出装置、および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110135
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】温度センサ、温度検出装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20230802BHJP
   G01K 1/18 20060101ALI20230802BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01K7/22 J
G01K1/18
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011377
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000145242
【氏名又は名称】株式会社芝浦電子
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 宏基
(72)【発明者】
【氏名】濱田 守富
(72)【発明者】
【氏名】石井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 優里
(72)【発明者】
【氏名】村越 亮太
【テーマコード(参考)】
2F056
2H033
【Fターム(参考)】
2F056DA02
2F056QF02
2F056QF08
2H033AA18
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB01
2H033CA02
2H033CA27
(57)【要約】
【課題】測温対象物に対しての追従性を備えた応答性の良好な温度センサ、および当該温度センサを備えた温度検出装置、並びに画像形成装置を提供すること。
【解決手段】測温対象物7と当接して用いられる温度センサ10は、測温対象物7の温度を検知する感温素子11と、測温対象物7に当接する当接部31を有し、感温素子11に対して熱的に結合する集熱部材30と、集熱部材30を収容する収容部201を有する保持部材20と、を備える。集熱部材30は、当接部31が測温対象物7に当接した状態を維持するように揺動自在に保持部材20に保持される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測温対象物と当接して用いられる温度センサであって、
前記測温対象物の温度を検知する感温素子と、
前記測温対象物に当接する当接部を有し、前記感温素子に対して熱的に結合する集熱部材と、
前記集熱部材を収容する収容部を有する保持部材と、を備え、
前記集熱部材は、前記当接部が前記測温対象物に当接した状態を維持するように揺動自在に前記保持部材に保持される、
温度センサ。
【請求項2】
前記集熱部材は、前記当接部と、前記当接部と一体的に形成され、凹状に形成された前記収容部の内面に先端部が当接する一対の脚部と、からなる、
請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記収容部は、前記当接部に対向する底部と、前記底部の端部から前記当接部に向けて立ち上がる側壁と、からなり、
前記一対の脚部の前記先端部は、前記底部と前記側壁とがなす隅部に配置されている、
請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記当接部および前記一対の脚部は、略矩形状の金属板の長手方向の両側を折り曲げて全体として略U字状に形成され、
前記先端部は、円弧状に形成されている、
請求項2または3に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記一対の脚部はそれぞれ、
前記当接部に対して折り曲げられた脚部本体と、
前記脚部本体が折り曲げられた方向とは反対方向に前記脚部本体に対して折り曲げられた前記先端部と、からなる、
請求項4に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記当接部には、前記感温素子が配置される素子配置部が形成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記感温素子は、前記感温素子の本体である感温体と、前記感温体に電気的に接続される一対の電線と、を有し、
前記素子配置部は、前記感温体が配置される感温体配置部と、前記一対の電線が配置される電線配置部と、からなる、
請求項6に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記当接部は、金属板に形成された貫通孔からなる前記感温体配置部と、前記金属板に形成された溝からなる前記電線配置部と、を備える、
請求項7に記載の温度センサ。
【請求項9】
前記集熱部材と前記測温対象物との間には、絶縁性を有する内側フィルムを更に備え、
前記感温素子は、前記内側フィルムと前記測温対象物との間に配置されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項10】
前記集熱部材と前記測温対象物との間には、絶縁性を有する外側フィルムを更に備え、
前記感温素子は、前記内側フィルムと前記外側フィルムとの間に配置されている、
請求項9に記載の温度センサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の温度センサと、
前記温度センサに電気的に接続され、前記温度センサからの信号に基づいて前記測温対象物の温度を算出するための回路部と、を備える温度検出装置。
【請求項12】
電子写真方式の画像形成装置であって、
加熱および加圧によりトナーを記録媒体に定着させる定着器と、
前記定着器に備わる部材の温度を検知する、請求項1から10のいずれか一項に記載の温度センサと、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測温対象物の温度を検知する温度センサ、温度センサを備えた温度検出装置、および温度センサを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真プロセスを用いたプリンタ等の画像形成装置に備わる加熱定着ローラの温度を制御するため、ローラに設けられたヒータに接触させて配置される温度検出装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の温度検出装置は、温度検出素子と、温度検出素子のリード線および回路部の被覆電線を導通させる導通部材がインサート成形されたセンサ本体と、センサ本体と温度検出素子との間に介在した耐熱性弾性体とを備えている。センサ本体と支持体との間にはコイルばねが配置される。温度検出素子は、コイルばねと耐熱性弾性体とのそれぞれの弾性力によりヒータに押圧されている。耐熱性弾性体としては、典型的には無機材料の繊維からなるセラミックペーパーが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-122489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、セラミックペーパーを使用しない温度センサが要望されている。また、温度センサおよび測温対象物の寸法公差や組立公差を考慮して、温度センサには測温対象物への追従性が要求される。
本発明は、測温対象物に対しての追従性を備えた応答性の良好な温度センサ、および当該温度センサを備えた温度検出装置、並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、測温対象物と当接して用いられる温度センサであって、測温対象物の温度を検知する感温素子と、測温対象物に当接する当接部を有し、感温素子に対して熱的に結合する集熱部材と、集熱部材を収容する収容部を有する保持部材と、を備える。
集熱部材は、当接部が測温対象物に当接した状態を維持するように揺動自在に保持部材に保持される。
【0006】
本発明の温度センサにおいて、集熱部材は、当接部と、当接部と一体的に形成され、凹状に形成された収容部の内面に先端部が当接する一対の脚部と、からなることが好ましい。
【0007】
本発明の温度センサにおいて、収容部は、当接部に対向する底部と、底部の端部から当接部に向けて立ち上がる側壁と、からなり、一対の脚部の先端部は、底部と側壁とがなす隅部に配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明の温度センサにおいて、当接部および一対の脚部は、略矩形状の金属板の長手方向の両側を折り曲げて全体として略U字状に形成され、先端部は、円弧状に形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の温度センサにおいて、一対の脚部はそれぞれ、当接部に対して折り曲げられた脚部本体と、脚部本体が折り曲げられた方向とは反対方向に脚部本体に対して折り曲げられた先端部と、からなることが好ましい。
【0010】
本発明の温度センサにおいて、当接部には、感温素子が配置される素子配置部が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の温度センサにおいて、感温素子は、感温素子の本体である感温体と、感温体に電気的に接続される一対の電線と、を有し、素子配置部は、感温体が配置される感温体配置部と、一対の電線が配置される電線配置部と、からなることが好ましい。
【0012】
本発明の温度センサにおいて、当接部は、金属板に形成された貫通孔からなる感温体配置部と、金属板に形成された溝からなる電線配置部と、を備えることが好ましい。
【0013】
本発明の温度センサは、集熱部材と測温対象物との間には、絶縁性を有する内側フィルムを更に備え、感温素子は、内側フィルムと測温対象物との間に配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明の温度センサは、集熱部材と測温対象物との間には、絶縁性を有する外側フィルムを更に備え、感温素子は、内側フィルムと外側フィルムとの間に配置されていることが好ましい。
【0015】
本発明の温度検出装置は、上述の温度センサと、温度センサに電気的に接続され、温度センサからの信号に基づいて測温対象物の温度を算出するための回路部と、を備える。
【0016】
また、本発明は、電子写真方式の画像形成装置であって、加熱および加圧によりトナーを記録媒体に定着させる定着器と、定着器に備わる部材の温度を検知する、請求項1から10のいずれか一項に記載の温度センサと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、熱および荷重が同時に加えられる使用条件に対する耐力と、測温対象物への追従性を集熱部材に確保するため、当接部を測温対象物に押圧するバネ部材等を用いつつ、弾性変形が期待されていない脚部には揺動自在な先端部を与える。
そうすることで、小型化されていても耐力を備えている集熱部材により、クリープ変形に対する耐久性と、測温対象物に対する追従性とを備えた小型の温度センサを提供することが可能となる。
また、集熱部材が感温素子に対して熱的に結合することにより、測温対象物から集熱部材に入力される熱が感温素子に迅速に伝達される。こうした集熱作用と、集熱部材を保持する保持部材に存在する空間による断熱作用とにより、感温素子に熱を十分に留めることができる。したがって、測温対象物の温度変動に対して感温素子による検知温度が即座に追従する良好な応答性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る温度検出装置を示す斜視図である。
図2】(a)および(b)はそれぞれ、図1に示す温度検出装置の温度センサが測温対象物に対して押圧されている状態を示す側面図である。
図3図1に示す温度検出装置に備わる温度センサを示す斜視図である。
図4】感温素子の感温体近傍を示す平面図である。
図5】(a)は、保持部材の斜視図である。(b)は、保持部材の平面図である。
図6】(a)は、集熱部材の斜視図である。(b)は、集熱部材の平面図である。(c)は、集熱部材の側面図である。
図7】(a)は、保持部材に集熱部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。(b)は、保持部材に集熱部材が組み付けられた状態を示す平面図である。
図8図7(a)に示す集熱部材に対して、内側フィルムを介して感温素子が配置された状態を示す斜視図である。
図9図1のIX矢印の方向からの温度センサの側面図である。外側フィルムの図示は省略されている。
図10】(a)は、図1のX-X線断面図である。(b)は、(a)の一部拡大図である。
図11】測温対象物に当接した状態に設置された温度センサの集熱部材に作用する力を説明するための模式図である。
図12】(a)~(d)は、集熱部材の変形量の増加に伴い、集熱部材の形状が変形する様子を示す図である。
図13】比較例に係る集熱部材を示す模式図である。
図14】(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る集熱部材を示す斜視図である。
図15】(a)は、変形例の温度センサに備えられる集熱部材を示す斜視図である。(b)および(c)は、集熱部材の変形量の増加に伴い、集熱部材の形状が変形する様子を示す図である。
図16】(a)は、他の変形例に係る集熱部材を示す斜視図である。(b)~(e)は、集熱部材の変形量の増加に伴い、集熱部材の形状が変形する様子を示す図である。(f)および(g)は、脚部の長さおよび高さを増加させた例を示す。
図17】本発明の温度センサを搭載したプリンタの内部構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態(図1図12)について説明する。
[実施形態]
〔温度検出装置及び温度センサの概略構成〕
本発明の温度検出装置1及び温度センサ10の概略構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1に示すように、温度検出装置1は、温度センサ10と、回路部8と、温度センサ10と回路部8とを電気的に接続するための電線81,82とを含んで構成される。
温度センサ10は、測温対象物として、例えば、レーザプリンタ等の画像形成装置に備えられるヒータ内蔵のローラの温度を検出するために用いられる。図2に示すように、温度センサ10は、測温対象物7と対向する位置に、測温対象物7に対して必要な圧力で押圧された状態で配置される。
【0020】
回路部8は、温度センサ10から出力される電気信号に基づいて測温対象物7の温度を算出する。この回路部8は、保持部材20から引き出された電線81,82を介して温度センサ10に電気的に接続される。
【0021】
以下、保持部材20から電線81,82が引き出される方向をx方向と定義する。x方向は温度センサ10の長手方向に相当する。温度センサ10の平面視においてx方向に対して直交する方向をy方向と定義する。
また、x方向およびy方向の双方に対して直交する方向をz方向と定義する。z方向において測温対象物7側を「上」と称し、その反対側を「下」と称する。
【0022】
温度センサ10は、図2(a)に示すように、例えば、画像形成装置に設けられた支持部材60にコイルばね61を介して配設される。具体的には、温度センサ10の保持部材20は、支持部材60に設けられたピン63がガイド孔26(図1参照)に挿通された状態で、コイルばね61を介して支持部材60に配置される。コイルばね61は、保持部材20に設けられている図示しないばね受け部と、支持部材60との間に、z方向への圧縮方向に弾性変形した状態に保持される。コイルばね61の弾性力F0により、温度センサ10は、集熱部材30のクリープ変形の有無にかかわらず、集熱部材30が測温対象物7に当接して押圧された状態を維持することができる。
なお、温度センサ10を測温対象物7に当接した状態に設置することができる限り、適宜な方法で設置することができる。例えば、コイルばね61に代えて、図2(b)に示すような板ばね62を用いることも可能である。あるいは、図示を省略するが、支持部材60に形成された孔に雄ねじを通し、当該雄ねじを保持部材20に形成された雌ねじに係合させることで、支持部材60に温度センサ10を測温対象物7に当接した状態に設置することができる。
【0023】
〔温度センサの構成〕
温度センサ10の構成について、図3図10を参照して説明する。
図3に示すように、温度センサ10は、主要な構成要素として、測温対象物7の温度を検知する感温素子11と、保持部材20と、集熱部材30と、集熱部材30を覆う内側フィルム41と、内側フィルム41の上に配置された感温素子11を覆う外側フィルム42とを備えている。さらに、温度センサ10は、内側フィルム41および外側フィルム42の間で感温素子11の周囲に充填される集熱材43を備えている。
【0024】
以下、温度センサ10の各構成要素を説明する。
〔感温素子〕
感温素子11について、図4を参照して説明する。感温素子11は、感温体111と、感温体111に設けられた電極111A,111Bと、電極111A,111Bに電気的に接続される一対のリード線112,113と、感温体111を封止する封止材114とを備えるサーミスタ素子である。その他、感温素子11としては、薄膜サーミスタ、白金温度センサ等の温度係数を持つ抵抗体を広く使用することができる。感温素子11には封止材114は必ずしも備えられていなくてもよい。以下、感温体111および封止材114のうち、少なくとも感温体111を指して感温部110と称する。
【0025】
リード線112,113は、例えば、封止材114から引き出されるクラッド線を少なくとも一部に含んでいる。このクラッド線としては、例えば、デュメット線(dumet wire)が用いられる。
リード線112,113は、それぞれ保持部材20に設けられた、後述する一対の導電性部材121,122を介して電線81,82に導通される。
【0026】
〔保持部材〕
保持部材20について、図5(a)および(b)を参照して説明する。
本実施形態の保持部材20は、平面視において略矩形状に形成されており、本体部22と、電線81,82が接続される電線接続部25とを備えている。
本体部22は、基部202と、収容部201とからなる。基部202と電線接続部25とは、x方向の前側(F)から後側(R)に、この順で並んで一体的に形成される。収容部201は、基部202に対してz方向に突出形成された壁体21を含み、その内側には、略直方体状の空間20Sが形成されている。空間20Sには、後述する集熱部材30が配置される。
【0027】
保持部材20は、絶縁性樹脂材料を用いて、射出成形により一体に形成される。基部202の上面22a、収容部201の底部215、及び電線接続部25の上面25aは、z方向に同一の高さになるように形成されている。そして、基部202の上面22a及び電線接続部25の上面25aには、それぞれz方向に突出形成された第1ボス221,221が設けられている。本体部22の側面23,23には、それぞれy方向へ突出形成された2つの第2ボス231、231が設けられている。これらの第1ボス221及び第2ボス231は、それぞれ内側フィルム41及び外側フィルム42を保持部材20に固定するために用いられる。
なお、本実施形態においては、保持部材20を平面視で矩形状に形成した場合を例示して説明しているが、本発明はこれに限られない。保持部材20の形状は、空間20Sの形状、第1ボス221、第2ボス231の配置等によっては、平面視において正方形や、円形状に形成されていてもよい。
電線接続部25は、感温素子11と回路部8とを電気的に接続する電線81,82を取り付けるための部位である。電線接続部25には、後述の導電性部材121,122にそれぞれ電線81,82を接続するための接続孔251,252が形成されている。
【0028】
収容部201は、集熱部材30を収容するために設けられ、平面視で矩形状に、かつ凹状に形成されている。この収容部201は、壁体21と底部215とからなる。
【0029】
壁体21は、x方向に延びてy方向に対向する右壁211および左壁212と、右壁211および左壁212のx方向のそれぞれの両端を結ぶ前壁213および後壁214とを有している。これらの壁211~214はいずれも、x方向およびy方向に延在した底部215からz方向へ向けて起立している。壁211~214の上端は、矩形状の開口をなしている。壁211~214の内面21Aと、側面23は、いずれも底部215から上方へ垂直に起立している。そして、前壁213と底部215により隅部216が形成され、後壁214と底部215により隅部217が形成されている。前壁213および後壁214のそれぞれの外表面213A,214Aは、上方に向かうにつれて互いに近づく向きに傾斜している。そのため、保持部材20は、側面視において錐台状に形成されている。
【0030】
右壁211のx方向の中央には、z方向に一段低められた電線配設部211Aが形成されている。電線配設部211Aの外側の面211Cには、z方向に延びる一対の溝211Bが形成されている。一対の溝211Bは、収容部201の内側には突条として表れている。この一対の溝211Bには、感温素子11のリード線112,113が配設される。
【0031】
左壁212および底部215には、導電性部材121,122を露出させる略円弧状の切欠241,242が形成されている。
導電性部材121,122は、保持部材20の射出成形の金型に配置してインサート成形することができる。感温素子11のリード線112,113(図4)は、集熱部材30の右壁211側へ延出するとともに、z方向下側へ折り曲げられ、保持部材20の側面23の電線配設部211Aを経由して保持部材20の裏面側へ折り曲げられ、導電性部材121,122に接合される。
【0032】
空間20Sは、測温対象物7から放射される熱が集熱部材30を介して外部に向けて逃げていくのを抑制するためのもので、空気の断熱作用により、感温素子11に熱を維持させる。そうすることで、測温対象物7の温度変動に対して迅速に感温素子11の抵抗値の変化を生じさせ、温度センサ10としての応答性を向上させている。空間20Sには、必要な熱抵抗を実現する横断面積(x,y方向の面積)および厚さ(z方向の寸法)が与えられる。
【0033】
空間20Sの熱伝導率を出来るだけ低くするため、空間20Sには空気以外の物質を極力配置しないことが好ましい。なお、空間20Sにおける空気以外の気体や液体等の物質の存在が全く排除されるものではなく、熱伝導率を低く維持することが出来れば、空気以外の物質を空間20S内に封入することを妨げない。また、空間20Sにおける対流の発生を抑えるために、空間20Sに板状の部材等を配置することは許容される。なお、空間20Sは、直方体以外の形状、例えば円筒状に形成されていてもよい。
【0034】
壁体21の内側の四隅には、集熱部材30に接触する接触突起218が形成されている。右壁211および左壁212にそれぞれ2つずつ形成される接触突起218と、前壁213と、後壁214とにより、集熱部材30が底部215においてx方向およびy方向に位置決めされる。
【0035】
右壁211に形成される接触突起218は、左壁212に向けて突出して形成され、左壁212に形成される接触突起218は、右壁211に向けて突出して形成されている。これら接触突起218は、上端から下端へ向かうにつれて次第にy方向に突出した傾斜形状となっている。この接触突起218により集熱部材30をガイドしつつ、底部215に配置することができる。
【0036】
第1ボス221および第2ボス231は、保持部材20の本体部22の前側(F)の上面22aと後側(R)の上面22aとに円錐台状に形成されている。
第1ボス221は、内側フィルム41を保持部材20に取り付けるためのもので、壁体21をx方向に挟んで1つずつ配置される。第2ボス231は、外側フィルム42を保持部材20に取り付けるためのもので、保持部材20の両側面23に2つずつ配置されている。これは一例であり、第1ボス221および第2ボス231を保持部材20の適宜な位置に形成することができる。
【0037】
〔集熱部材〕
集熱部材30について、図6を参照して説明する。集熱部材30は、測温対象物7から放出された熱を感温素子11に集熱するためのもので、感温素子11に対して熱的に結合する。
【0038】
集熱部材30には、測温対象物7からの熱を感温素子11に迅速に伝えるために、樹脂材料等と比べて熱伝導率が高い金属材料、または金属材料の熱伝導率に並ぶ程度の熱伝導率を有した他の材料、例えば、銅合金やステンレス鋼等の金属材料、あるいはカーボンを含む材料等が用いられる。この集熱部材30は、例えば、金属材料の板材が用いられる場合には、打ち抜きおよび曲げのプレス加工により一体に形成することができる。集熱部材30に用いられる材料は、熱伝導率、弾性率、および耐熱性を考慮して適宜に選定することができる。
集熱部材30の板厚は、例えば、0.03~0.2mm程度である。集熱部材30の板厚は一定であるが、その限りではない。
【0039】
集熱部材30を熱伝導率が高い金属材料等から形成することにより、空間20Sによる断熱作用に加えて集熱部材30による集熱作用により、測温対象物7の温度変動に対して即座に感温素子11の抵抗値の変化を生じさせ、応答性をより一層向上させることができる。ここで、本明細書における「集熱」は、測温対象物7から熱を受け入れて感温素子11に迅速に伝えることを意味する。この集熱部材30の集熱作用により、感温素子11に熱が維持される。
【0040】
図6(a)に示すように、集熱部材30は、測温対象物7に沿って当接される当接部31と、一対の脚部32とを備えている。当接部31および一対の脚部32は、略矩形状の金属板の長手方向の両側を折り曲げて、全体として略U字状に形成されている。なお、当接部31の板厚と、脚部32の板厚とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
図6(b)に示すように、当接部31は、温度センサ10の平面視において正方形状に形成されている。当接部31は、感温部110が配設される貫通孔310と、リード線112,113が配設される一対の溝311と、内側フィルム41および外側フィルム42を介して測温対象物7と面接触する平板状の平坦部312とからなる。貫通孔310および溝311は、感温素子11が配置される素子配置部を構成している。
貫通孔310は、感温素子11の感温部110とリード線112,113の一部が配置される領域であり、当接部31をz方向に貫通して形成されている。この貫通孔310は、当接部31の中央に、円形状に形成され、その径は、感温部110の収容に足りる大きさに設定することができる。
なお、当接部31の形状には特段の制約がなく、当接部31が矩形状や円形状に形成されていてもよい。
【0042】
当接部31は、集熱に必要な面積が確保される。温度センサ10の平面方向への小型化に伴い当接部31の入熱面積が狭くなると、集熱部材30全体において脚部32へと熱が逃げる割合は高くなってしまう。しかし、当接部31に貫通孔310が形成されていることで、感温部110の近傍における熱容量を小さくすることができるので、その分、感温部110の近傍への熱の逃げは少ない。そのため、本実施形態は、貫通孔310を形成していない場合と比較して、温度検知の応答性を高くすることができる。
【0043】
貫通孔310の中心または略中心には、感温部110が配置される。貫通孔310が円形状に設定されているので、感温部110の周囲における熱の分布がほぼ均一となり、感温部110による安定した温度検知が可能となる。
なお、貫通孔310の形状も、必ずしも円形状である必要はなく、例えば、正方形状、矩形状、多角形状に形成されていてもよい。
【0044】
また、当接部31には、リード線112,113が配置される一対の溝311が形成されている。図6(b)に示すように、一対の溝311は、貫通孔310を間に挟んでy方向の両側に、貫通孔310の中心に対して対称に形成されている。
各溝311は、図6(c)に示すように、当接部31の平坦部312よりもz方向の下側に窪んで形成されている。この溝311の幅及び深さは、リード線112,113を溝311の内側に収めるのに足りる幅および深さに設定される。本実施形態の温度センサ10においては、感温素子11のリード線112,113が封止材114から同じ側に引き出されている感温素子11を備えた温度センサ10を用いた場合を示しているので、一対の溝311の一方のみにリード線112,113が配置されている。この場合、他方の溝311の形成を省略することが可能である。
【0045】
平坦部312は、当接部31の貫通孔310及び溝311を除いた平坦に形成された部分であり、この平坦部312が内側フィルム41及び外側フィルム42を介して測温対象物7に面接触する。
【0046】
一対の脚部32は、当接部31のx方向の両側に形成されている。図6(a)及び(b)に示すように、一対の脚部32のy方向の幅は、当接部31のy方向の幅よりも若干短く設定されており、当接部31の平坦部312と脚部32の接続部分には、当接部31のx方向の両端31xにおけるy方向の両側に対称に切欠31Aが形成されている。
以下、一対の脚部32が互いに離間しているx方向を、集熱部材30に設定される「幅方向D1」と称する。そして、幅方向D1において一対の脚部32が互いに近づく向きを「幅方向D1の内側」と称し、一対の脚部32が互いに離れる向きを「幅方向D1の外側」と称する。
【0047】
図6(c)に示すように、一対の脚部32は、それぞれ当接部31に対して垂直に延びる脚部本体321と、底部215に配置される先端部322とを備えている。一対の脚部32は、同一の形状および寸法に形成されるとともに、幅方向D1の中心に対して対称に配置されている。なお、脚部32が当接部31に対してなす角度は、厳密に直角である必要はなく、公差が許容される。
【0048】
脚部本体321は当接部31に対して垂直に折り曲げられて形成され、先端部322は脚部本体321から幅方向D1の外側に向けて折り曲げられている。先端部322は、脚部本体321が折り曲げられた方向とは反対方向に、脚部本体321に対して折り曲げて形成され、側面視で脚部本体321に対して鈍角をなしている。そして、先端部322の周縁322Aは、下方に向けた凸の円弧状の外形が与えられている。先端部322の周縁322Aの直径は、脚部本体321のy方向の寸法と同一に設定されている。
このように、集熱部材30は簡素な略U字形状に形成されているので、単一の方向(z方向)に金型を移動させることで、容易にかつ安価にプレス成形することができる。
【0049】
脚部32には、測温対象物7と導電性部材121,122との間の絶縁を確保するために必要な長さが設定されている。そのため、温度センサ10の長期的な使用によるクリープ変形後においても、測温対象物7と導電性部材121,122との間に必要な空間距離が確保される。
【0050】
脚部本体321は、切欠31Aの位置で、y方向に沿って折り曲げられている。脚部本体321のy方向の寸法が、当接部31のy方向の寸法とほぼ同等の寸法に設定されているので、コイルばね61等により測温対象物7と保持部材20との間に押圧される脚部32のz方向の剛性が十分に確保されている。
【0051】
ところで、図11に示すように、脚部32は、押圧力F1に対する反力F2に抗して当接部31を所定位置に支持し、コイルばね61等の弾性力F0を当接部31に伝達する。集熱部材30にクリープ変形が発生したときであっても、コイルばね61等の弾性力F0により、当接部31は測温対象物7に必要な押圧力F1で当接した状態に維持される。
上述のように脚部32がz方向に十分な剛性を備えているので、反力F2に対して当接部31がx-y面に対してねじれる向きへの変形は防止されている。
なお、コイルばね61等は、保持部材20の下側27に、測温対象物7から離して配置されており、測温対象物7とコイルばね61との間には、断熱作用を有する空間20Sが存在するので、測温対象物7からの熱の影響が小さい。そのため、コイルばね61のクリープ変形は発生しないか、発生したとしても、クリープ変形による変形量が無視できるほどに小さい。
【0052】
以上のような構成を有する集熱部材30は、x方向の長さ、すなわち、一対の脚部32の周縁322Aの間の長さが保持部材20の空間20Sのx方向の長さと同じか若干長くなるように設定されている。そして、図7(a)に示すように、一対の脚部32を必要に応じて幅方向D1の内側に撓ませつつ集熱部材30を脚部32側から保持部材20の空間20Sに挿入する。すると、前側に位置する脚部32の先端部322は、前壁213と底部215とがなす隅部216に位置し、後側に位置する脚部32の先端部322は、後壁214と底部215とがなす隅部217に位置する。この状態から、当接部31に対し当接部31とは垂直な方向以外の方向へ外力が加わったときには、集熱部材30は、脚部32の周縁322Aの頂部を支点としてy方向に揺動するようになっている(図6(a)の矢印参照)。このように、集熱部材30が揺動自在に保持部材20に保持されることで、集熱部材30と測温対象物7とが面接触できるようになっている。
空間20Sに集熱部材30が収容されると、当接部31と脚部本体321の上側とが、壁体21の上端から上方へ突出する。集熱部材30は、全体の高さの概ね1/2の領域に亘り、壁体21の上端から突出する。壁体21の上端から突出する領域の高さは、測温対象物7と導電性部材121,122との間に必要な空間距離によって変わる。
脚部32全体のz方向の高さに占める比率において、先端部322の高さは、脚部本体321の高さよりも小さい。また、脚部32全体のx方向の幅に占める比率において、先端部322の幅は、脚部本体321の幅よりも小さい。
【0053】
〔内側フィルム〕
内側フィルム41について、図8を参照して説明する。
内側フィルム41は、集熱部材30と感温素子11とを電気的に絶縁しつつ感温素子11を保持するためのフィルム状の絶縁部材であり、当接部31の表面に重畳するように配置される。
【0054】
内側フィルム41には、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂等の樹脂材料が用いられる。内側フィルム41の厚さは、例えば、10~20μm程度である。
内側フィルム41は、測温対象物7と感温素子11との沿面距離を十分に確保するため、当接部31の表面を全域に亘り覆うことができる大きさの矩形状に形成されている。具体的には、内側フィルム41の短辺の長さは、集熱部材30のy方向の寸法と同等か、若干広く設定され、x方向の寸法は、この内側フィルム41を保持部材20および集熱部材30に取り付けた際に、内側フィルム41に過大な張力を発生させない程度の長さに設定されている。図示はしないが、内側フィルム41のx方向のそれぞれの両端側には、保持部材20の一対の第1ボス221を挿通するための孔が形成されている。
【0055】
内側フィルム41は、図示しない一対の孔の位置を一対の第1ボス221の位置と合わせつつ、内側フィルム41を山折りしながら、一対の第1ボス221の先端側を内側フィルム41の表面から突出させた後、一対の第1ボス221の頂部を熱かしめすることにより保持部材20に固定される。
【0056】
内側フィルム41の上面側であって集熱部材30の貫通孔310に対応する位置には、感温部110が配設される。具体的には、図8中の破線で示すように、感温部110が集熱部材30の貫通孔310の中央に対応する位置に配設される。このとき、感温素子11は、図7に示す保持部材20の電線配設部211Aの外側の面211Cに形成された一対の溝211Bにリード線112,113が配置できるように、内側フィルム41の表面にリード線112,113がy方向に延びるように配設される。そして、リード線112,113は、内側フィルム41の端部で保持部材20側(下側)へ延びるように折り曲げられて、一対の溝211Bにそれぞれ配設される。このように、内側フィルム41上に感温素子11が配設されることにより、集熱部材30と感温素子11とは、内側フィルム41を介して熱結合する。このとき、内側フィルム41と集熱部材30とが重なる領域には、若干のたわみが形成されていてもよく、このたわみに感温素子11の感温部110が収容されていてもよい。
【0057】
〔集熱材〕
内側フィルム41上に感温素子11を配置するときに、貫通孔310に配置された感温部110の周囲には、感温素子11に集熱するため、感温素子11と熱的に結合する絶縁性の集熱材43が充填されることが好ましい。
【0058】
集熱材43には、例えば、樹脂材料の中では熱伝導率が高いシリコーン樹脂等の分散媒と、セラミックの粉末等の絶縁性の分散質とを含む材料が用いられる。また集熱材43には、所謂、熱伝導グリース、シリコーンオイルコンパウンドを使用することができる。
集熱材43は、内側フィルム41の上から充填される。
【0059】
〔外側フィルム〕
外側フィルム42について、図3及び図9を参照して説明する。この外側フィルム42は、本発明の温度センサ10が測温対象物7に当接するときに感温素子11と測温対象物7とが直接接触して破損しないよう感温素子11を保護しつつ、感温素子11と測温対象物7とを絶縁するために設けられている。この外側フィルム42は、集熱部材30および保持部材20を測温対象物7側から覆い、感温素子11を集熱部材30に保持する機能を備える。さらに、外側フィルム42は、測温対象物7と、感温素子11および導電性部材121,122との沿面距離を十分に確保するため、集熱部材30の全体に加え、両側面23を含めた保持部材20の大部分を覆っている。
【0060】
この外側フィルム42には、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂等の樹脂材料が用いられる。外側フィルム42は、矩形状に形成され、y方向の長さは、外側フィルム42を保持部材20に固定したときに、外側フィルム42に過大な張力を発生させない程度の長さに設定される。保持部材20が揺動するときにその揺動を外側フィルム42により阻害しないようにするためである。そして、外側フィルム42のy方向の両端であって、保持部材20に設けられた第2ボス231に対応する位置には、第2ボス231が挿通される図示しない孔が形成される。なお、外側フィルム42のx方向の長さは、少なくとも感温素子11と測温対象物7とが直接接触しない長さに設定されていれば良いが、感温素子11と測温対象物7との間で十分な沿面距離が確保できる長さに設定されることが好ましい。外側フィルム42は、図10(b)に例示するように、2枚以上のフィルム素材を積層して構成されたものであってもよいし、1枚のフィルム素材から構成されていてもよい。外側フィルム42の全体の厚さは、例えば、10~20μm程度に相当する。
外側フィルム42は、内側フィルム41の少なくとも感温素子11が配置された領域に重畳され、孔に第2ボス231が挿通されて保持部材20に配置される。そして、外側フィルム42は、保持部材20の一方の側面23にある第2ボス231と他方の側面23にある第2ボス231との頂部を熱かしめすることで、保持部材20に固定される。このとき、一方の第2ボス231と他方の第2ボス231との間で外側フィルム42に若干張力が発生し、外側フィルム42から感温素子11及び内側フィルム41には、保持部材20へ向かうz方向の力が加わる場合がある。そうした場合には、内側フィルム41が貫通孔310よりも下方へ凹んでもよい。
【0061】
図10(a)、(b)に示すように、当接部31が外側フィルム42を介してコイルばね61により測温対象物7に押圧されると、感温部110が内側フィルム41を変形させながら貫通孔310の内側に沈み込み、外側フィルム42を介して測温対象物7に当接する。具体的には、測温対象物7に押圧されたときに感温部110が沈み込んで、内側フィルム41により包み込まれ、内側フィルム41の凹状の窪みの内側には集熱材43が溜まる。このとき、感温部110の上端が当接部31の表面と同様の高さの位置にあるか、あるいは、当接部31の表面の位置よりも下にある。つまり、感温部110は、当接部31の表面より上には突出しておらず、同様に、リード線112,113も溝311に収まるため、当接部31の表面より上には突出しない。このことは、測温対象物7と当接部31とを面接触させることに寄与する。
集熱材43は、感温部110の周囲に行き渡って感温部110やリード線112,113と熱的に結合する。集熱材43および内側フィルム41を介して集熱部材30と感温素子11とが十分に熱結合することとなる。
【0062】
〔集熱部材30の設置時の挙動、及び熱・外力印加条件における状態変化〕
ところで、図2(a)を参照して説明したように、温度センサ10は、コイルばね61の弾性力F0等の外力により、集熱部材30が測温対象物7に押圧されると、図11に示すように、当接部31には、当接部31を測温対象物7に対して押圧する押圧力F1に対する反力F2が加わる。
【0063】
集熱部材30の脚部32は反力F2によっても殆ど弾性変形せず、集熱部材30が揺動することで、当接部31と測温対象物7とを面接触させることができる。
このとき、当接部31の平坦部312と測温対象物7とが正対していない場合、すなわち、平坦部312が測温対象物7に対して傾いている場合には、押圧力F1および反力F2の作用点が当接部31のy方向の中心に対して右側または左側にシフトしているので、集熱部材30が脚部32の周縁322Aを支点として揺動して、当接部31の平坦部312と測温対象物7とが正対する。つまり、測温対象物7に対する当接部31の傾斜の向きに応じて、集熱部材30がy方向の右側または左側へと揺動する(図6(a)の矢印参照)。その結果、集熱部材30や測温対象物7等の寸法公差や組立公差によらず、測温対象物7の表面に対して当接部31を追従させ、面接触させることができる。また、集熱部材30が揺動することで、測温対象物7と当接部31との間には隙間が生じないので、測温対象物7から集熱部材30へと熱を十分に伝達させることができる。
ところで、本件発明の温度センサ10は、測温対象物7に押圧された状態で使用され、測温対象物7から集熱部材30には熱が継続的に伝達される。そのため、経年により集熱部材30がクリープ変形を起こしてしまうことも考えられる。しかしながら、クリープ変形の発生により集熱部材30のz方向の寸法が減少することで押圧力F1は初期状態と比べて減少するものの、コイルばね61の弾性力等の外力により、当接部31を測温対象物7に安定して押圧するに足りる規定以上の押圧力F1が残される。
クリープ変形について図12(a)および図11を参照して説明すると、クリープ変形により集熱部材30のz方向の寸法が減少する分だけ、破線で示す底部215がコイルばね61等の弾性力F0により上方へせり上がる(図12(a)の二点鎖線の直線L参照)。そのため、クリープ変形により脚部32がz方向に収縮していても、当接部31は、脚部32により一点鎖線で示す所定位置(測温対象物7の位置)に支持されている状態に維持される。
【0064】
図12(a)~(d)は、集熱部材30の弾性変形による形状変化を解析結果に基づいて模式的に示している。本実施形態の温度センサ10は、図12(a)を抜き出した図11に示すように、初期状態においてコイルばね61等の弾性力F0により、所定の押圧力F1にて測温対象物7に押圧される。押圧力F1は、集熱部材30および測温対象物7のそれぞれの剛性を考慮して適切に設定される。
当接部31に反力F2が作用するとき、脚部32の剛性に基づいて当接部31がz方向に変位し難い。その上、当接部31に反力F2により脚部32を互いに幅方向D1(x方向)に離間させる力F3が作用しても、保持部材20の前壁213および後壁214により脚部32の幅方向D1の外側への移動が規制されているため、脚部32は幅方向D1の外側に向けて広がらない。そのため、集熱部材30は、主に先端部322がz方向への圧縮方向へ変形する。
そうすると、クリープ変形している場合も含め、図11(a)に矢印A1で示すように、脚部本体321と先端部322との境界部323が互いに近接する向きに変位するとともに、当接部31には、図11に矢印A2で示すように、当接部31を測温対象物7に対して凸の向きに変形させる応力が作用する。図12(d)に示すように、過大な押圧力F1により、脚部本体321が変形する場合も同様である。
このように、当接部31には測温対象物7に対して凸の向きの応力が作用するので、当接部31は、感温部110の位置およびその周囲を含む広い範囲に亘り測温対象物7の表面に密着することができる。
【0065】
本実施形態とは異なり、図13に示す比較例の集熱部材50のように、当接部31に対して脚部52が無負荷の状態において外側に開いた形状に形成されており、かつ反力F2により脚部52を互いに離間させる力F3に対する脚部52の外側への移動が規制されていないとする。その場合は、力F3により脚部52がより外側に開いてしまい、集熱部材50は全体として側面視においてM字状に変形する。そうすると、当接部31は測温対象物7に対して凹の向きに変形するので、感温部110の位置およびその周囲で測温対象物7から離れてしまうし、測温対象物7と温度センサ10とにおける導体間の空間距離が短くなる。
【0066】
測温対象物7に対して凸の向きの応力を当接部31に十分に発生させるためには、脚部32が、当接部31の両端31xから幅方向D1の内側に向けて曲げられていることが好ましい。本実施形態の脚部32が当接部31に対してなす角度は、垂直に設定されているが、脚部32が僅かでも幅方向D1の内側に曲げられた状態に加工されるように、脚部32の公差は幅方向D1の内側に設定されることが好ましい。
【0067】
〔温度センサの組立手順〕
温度センサ10は、例えば、次の手順により組み立てることができる。
【0068】
各手順を説明する。
(1)保持部材20にインサート成形された導電性部材121,122(図10(a))にリード線112,113の末端を溶接等により電気的にかつ機械的に接続する。
(2)図5(a)、(b)に示す保持部材20の収容部201に集熱部材30の脚部32を挿入する。一対の脚部32の先端部322はそれぞれ、収容部201の底部215における隅部216,217に配置される。このとき当接部31は、壁体21の上端よりも上方に位置している。
【0069】
(3)図8に示すように、内側フィルム41により集熱部材30を覆い、内側フィルム41の四隅に設けられた孔に第1ボス221を挿通した後、第1ボス221に熱および圧力を加える熱かしめにより内側フィルム41を保持部材20に固定する。
(4)リード線112,113を成形しながら引き回し、感温素子11を保持部材20および集熱部材30に組み付ける。具体的には、リード線112,113を導電性部材121,122から保持部材20の電線配設部211Aに沿って上方へ曲げた後、当接部31の位置でも曲げて、内側フィルム41が敷かれている当接部31の貫通孔310に感温部110を配置する。
【0070】
(5)感温部110およびその近傍に集熱材43を供給する。
(6)図1に示すように、外側フィルム42により、感温素子11および集熱材43を含め保持部材20の大部分を覆い、第1ボス221と同様にして、第2ボス231の熱かしめにより外側フィルム42を保持部材20に固定する。
(1)~(6)のステップを経て、温度センサ10の組み立てが完了する。
【0071】
以上で説明した本実施形態の温度センサ10によれば、測温対象物7に対して押圧され、集熱部材30と、力F2,F3に対して集熱部材30を受ける保持部材20と、集熱部材30の背面側に存在する空間20Sとにより、断熱性と、クリープ変形が起こる使用条件における耐久性と、測温対象物7に対する追従性と、所謂セラミックペーパーを用いる場合に比して同等以上の応答性とを備えた小型の温度センサ10を実現することができる。
【0072】
〔集熱部材の他の実施態様〕
図14(a)および(b)は、上記実施形態の集熱部材30に代替可能な集熱部材30-1を示している。集熱部材30-1の当接部31は、貫通孔310の代わりに、感温部110およびリード線112,113の一部が配置される溝310-1を備えている。
溝310-1は、当接部31においてy方向に延出するとともに当接部31の表面に対して下側へ屈曲して凹形状に形成されている。この溝310-1は、当接部31のy方向の一端から他端までに亘り形成されている。
溝310-1は、感温部110を収容することのできる幅(x方向の寸法)および深さに設定されている。
【0073】
上記実施形態と同様に、当接部31の表面に配置される内側フィルム41により、溝310-1に配置される感温素子11と集熱部材30-1との絶縁が図られるとともに、感温素子11が保持される。溝310-1の内側には内側フィルム41を介して集熱材43が充填される。
【0074】
溝310-1を備えた集熱部材30-1を採用すると、感温素子11の下側に集熱部材30-1が配置されるので、測温対象物7と集熱部材30-1との間に位置する感温素子11に熱を十分に留めて、感温素子11の温度を測温対象物7の温度変化に対して良好に追従させることができる。
【0075】
なお、リード線112,113に絶縁被覆が設けられている場合は、集熱部材30-1が導電性を有していても、必ずしも内側フィルム41は必要ない。同様に、集熱部材30-1が樹脂成形品等の導電性を有しない部材である場合も、内側フィルム41は必要がなく、その配設を省略することができる。
【0076】
集熱性及び断熱性を担保することができれば、溝310-1の幅や深さは一定である必要はなく例えば、感温素子11が配置される位置におけるz方向の寸法をリード線112,113が配設される領域の寸法よりも深くしたり、貫通孔を設けたりしてもよい。
【0077】
[集熱部材の変形例]
以下、集熱部材の変形例を説明する。
図15(a)~(c)は、変形例に係る温度センサに備えられる集熱部材70を示している。集熱部材70は、上記実施形態の温度センサ10において集熱部材30に代えて採用することができる。以下、上記実施形態と相違する事項を中心に説明する。
【0078】
集熱部材70は、集熱部材30の当接部31と同様の当接部71と、幅方向D1に離間した位置で当接部71を支持し、保持部材20の底部215に当接される一対のばね脚部72とを備えている。
【0079】
感温素子11、保持部材20、および集熱部材70を備えた温度センサは、図示しない支持部材に保持部材20が支持されることで、ばね脚部72がz方向への圧縮方向に所定量だけ弾性変形した状態に測温対象物7に設置される。この状態において、ばね脚部72は、その弾性力により測温対象物7に対して当接部71を押圧する。
【0080】
集熱部材70は、保持部材20の収容部201に配置され、壁体21の上端よりも上方へ、全体の高さの概ね1/2の領域に亘り突出する。測温対象物7と導電性部材121,122等との間に必要な空間距離に応じて、集熱部材70の突出する領域の高さが変化する。
【0081】
集熱部材70は、集熱部材30と同様に、金属材料等の熱伝導率に優れた材料を用いて一体に成形することができる。本実施形態の集熱部材70は、例えば、0.03~0.2mm程度の板厚の金属製の板材に対する打ち抜きおよび曲げのプレス加工により一体に形成されている。
【0082】
ばね脚部72は、切欠71Aが形成されている当接部71における幅方向D1の両側で、当接部71から幅方向D1の内側に向けて屈曲している。このばね脚部72は、当接部71の幅方向D1の両端71xで、当接部71に対して下側に鋭角をなし、無負荷の状態において底部215まで直線的に延びている。ばね脚部72の先端72Aのみ、底部215に配置される部分に対して上側に屈曲しており、底部215から離れている。無負荷時において、ばね脚部72のそれぞれの先端72Aは、x方向に所定の寸法だけ離れている。
ばね脚部72は、基端部を除いて、先端72Aから上方に延びるスリット72Sにより、二又状に分離している。
【0083】
ばね脚部72の弾性力により当接部71を測温対象物7に対して押圧する力を押圧力F1というとき、図15(a)に矢印A1で示すように、当接部71に加えられる反力F2により一対のばね脚部72のそれぞれの先端72Aが底部215を摺動しつつ互いに近接する向きに変位し、当接部71には、矢印A2で示すように、当接部71を測温対象物7に対して凸の向きに変形させる応力が作用する。図15(b)に示すように、弾性変形量が増加した場合も同様である。
【0084】
ばね脚部72は、保持部材20の上端よりも上方の位置から底部215までに亘り、z方向に対して傾斜した状態に配置されているので、ばね長が長い。そのため、集熱部材70を平面方向に小型化した場合であっても、ばね脚部72は、温度センサの使用条件に対する耐力を集熱部材70が備えるために必要な弾性変形量を実現している。このばね脚部72のz方向の弾性変形量は、温度センサ10および測温対象物7の寸法公差や組立公差、並びにクリープ変形による変形量に対して十分に大きい。
【0085】
集熱部材70の弾性変形により、寸法公差や組立公差にかかわらず、測温対象物7の表面に対して当接部71の姿勢を追従させることができるので、当接部71と測温対象物7とを面接触した状態に密着させることができる。ばね脚部72の先端側が二又状に分離しているため、当接部71の姿勢を測温対象物7に対してより一層追従させることができる。
【0086】
さらに、長期的な使用により集熱部材70にはz方向への圧縮方向にクリープ変形が発生し、集熱部材70のz方向の寸法が減少することで、測温対象物7と底部215との間のz方向の寸法が増加しても、ばね脚部72の弾性力により、当接部71を測温対象物7に安定して押圧するために必要な押圧力F1が残される。
【0087】
ばね脚部72の弾性力により当接部71を測温対象物7に必要な圧力で押圧することができるため、上記実施形態(図2)とは異なり、コイルばね61や板ばね62等の弾性力により当接部71を押圧する必要がない。なお、変形例においても、コイルばね61または板ばね62の弾性力により保持部材20を介して集熱部材30を測温対象物7に押圧することは妨げられない。
【0088】
集熱部材70を備えた変形例の温度センサによっても、上記実施形態の温度センサ10と同様に、断熱性と、クリープ変形に対する耐久性と、測温対象物7に対する追従性と、所謂セラミックペーパーと同等以上の応答性とを備えた小型の温度センサを実現することができる。
【0089】
以下、集熱部材70と代替可能な集熱部材について、図16を参照して説明する。
【0090】
図16(a)~(e)に示す集熱部材70-1が備える一対のばね脚部72-1は、バネ長を長くするため折り返されている。ばね脚部72-1の上部721は、図15のばね脚部72と同様に、当接部71の両端で、幅方向D1の内側に向けて屈曲している。ばね脚部72-1の下部722は、上部721の下端から幅方向D1の外側に曲げられている。下部722は、上部721に対して鋭角をなしている。下部722の下端が底部215に配置される。上部721と下部722との境界部723は、幅方向D1の内側に向けて突出している。
図16(b)~(d)は、集熱部材70-1の弾性変形による形状変化を解析結果に基づいて模式的に示している。
【0091】
図16(f)および(g)に示す集熱部材70-2は、集熱部材70-1に対して高さを増加させ、ばね長を長くしたものである。集熱部材70-2は、ばねとして集熱部材70-1と同様の挙動を示す。
【0092】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0093】
上記の各実施形態および各変形例では、図4に示すように感温体111の一方の側から一方向へリード線112,113が延びている構成を有する感温素子を用いた場合を例示して説明しているが、リード線112,113が感温体111の両方向へ延出されている感温素子を用いてもよい。この場合、リード線112,113は、保持部材20の両方の側面23を経由して導電性部材121,122まで延出している。
また、上記の各実施形態および各変形例では、感温体111からリード線112,113がy方向に引き出されている場合を例示して説明しているが、感温体111からリード線112,113がx方向に引き出されていてもよい。
【0094】
保持部材20および集熱部材30等が内側フィルム41および外側フィルム42によりそれぞれ覆われる範囲や、フィルム41,42をそれぞれ固定する位置は、保持部材20や集熱部材30の形状、感温素子11の配置、要求される沿面距離等を考慮して適宜に定めることができる。内側フィルム41と外側フィルム42とに同一構成のフィルム素材が使用される場合は、1枚の繋がったフィルムを折り返して重ね、当該フィルムの内側の領域を内側絶縁部として使用し、外側の領域を外側絶縁部としても用いることが可能である。
【0095】
〔画像形成装置への適用例〕
図17を参照し、温度センサ10を備えた温度検出装置1を画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ9に適用した例を簡単に説明する。
なお、温度センサ10に代えて、図14以降に示した集熱部材を備えた温度センサを採用することが可能である。
レーザプリンタ9は、図17に示すように、感光体ベルト91と、帯電器92と、露光装置93と、現像器901~904と、案内ローラ94と、中間転写ユニット95と、給紙カセット96と、給紙ローラ97と、転写ローラ98と、定着器99と、レジストローラ910と、排紙ローラ911と、排紙トレイ912と、レーザプリンタ9の各部を制御する制御装置900とを備えている。
【0096】
定着器99は、加圧ローラ991および加熱ローラ992を含んでいる。加熱ローラ992は、熱源としての図示しないヒータを内蔵している。
温度センサ10は、加熱ローラ992に内蔵されるヒータの温度、あるいはヒータに設けられた部材の温度を測定するため、ヒータあるいは当該部材に押し当てて設置される。
【0097】
レーザプリンタ9による画像形成のプロセスとしての帯電、露光、現像、および転写を経て、定着のプロセスでは、カラートナー像が転写された記録用紙913が、定着器99の加圧ローラ991と加熱ローラ992との間に向けて送り出される。加圧ローラ991と加熱ローラ992との間を通過する間に記録用紙913が加圧および加熱されることで、記録用紙913にカラートナー像が定着される。その後、記録用紙913は、排紙ローラ911を経て排紙トレイ912に排出される。
【0098】
制御装置900は、温度センサ10および温度センサ10が接続された回路部8により得られる温度測定値を用いて、加熱ローラ992のヒータへの通電状態を制御している。制御装置900は、例えば、温度測定値が閾値を超えたならば、加熱ローラ992のヒータへの通電を停止する。温度センサ10により、加熱ローラ992の表面温度が追従性良く測定されるので、測定の応答の遅れを見込んで加熱ローラ992をヒータにより余分に加熱することなく、ヒータの通電状態を適切に制御することができる。
【0099】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 温度検出装置
7 測温対象物
8 回路部
10 温度センサ
11 感温素子
20 保持部材
20S 空間
21 壁体
21A 内面
22 本体部
22a 上面
23 側面
25 電線接続部
25a 上面
26 ガイド孔
27 下側
30 集熱部材
31 当接部
31A 切欠
31x 両端
32 脚部
41 内側フィルム
42 外側フィルム
43 集熱材
50 集熱部材
52 脚部
60 支持部材
61 コイルばね
62 板ばね
63 ピン
70 集熱部材
71 当接部
71A 切欠
71x 両端
72 ばね脚部
72A 先端
72S スリット
81,82 電線
110 感温部
111 感温体
111A,111B 電極
112,113 リード線(電線)
114 封止材
121,122 導電性部材
201 収容部
202 基部
211 右壁(側壁)
211A 電線配設部
211B 溝
212 左壁(側壁)
213 前壁(側壁)
213A,214A 外表面
214 後壁(側壁)
215 底部
216 隅部
217 隅部
218 接触突起
221,231 ボス
241,242 切欠
251,252 接続孔
310 貫通孔(感温体配置部)
310-1 溝(感温体配置部および電線配置部)
311 溝(電線配置部)
312 平坦部
321 脚部本体
322 先端部
322A 周縁
323 境界部
900 制御装置
901~904 現像器
910 レジストローラ
911 排紙ローラ
912 排紙トレイ
913 記録用紙(記録媒体)
991 加圧ローラ
992 加熱ローラ
D1 幅方向
F0 弾性力
F1 押圧力
F2 反力
F3 脚部を離間させる力
L 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17