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特開2023-110155酸化染毛剤、酸化染毛剤キット、及び染毛方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110155
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】酸化染毛剤、酸化染毛剤キット、及び染毛方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230802BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230802BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/22
A61K8/19
A61K8/41
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011403
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】山中 裕貴
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB081
4C083AB082
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC182
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC692
4C083AD132
4C083AD512
4C083AD642
4C083BB43
(57)【要約】
【課題】濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤、並びに、当該酸化染毛剤を用いた染毛方法の提供。濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットの提供、並びに、当該酸化染毛剤キットを用いた染毛方法の提供。
【解決手段】(A)アルカリ剤、(B)酸化剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合され、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である酸化染毛剤、当該酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キット、当該酸化染毛剤又は当該酸化染毛剤キットを用いた染毛方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ剤、
(B)酸化剤、
(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、
並びに、
(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、
が配合され、
前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である、
酸化染毛剤。
【請求項2】
前記(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上として、少なくとも、(D)パラアミノフェノール又はその塩が配合された、請求項1に記載の酸化染毛剤。
【請求項3】
前記(E)の配合量とメタアミノフェノール量との合計量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量とパラアミノフェノール量との合計量の質量比が、0.3以上15以下である、請求項1又は2に記載の酸化染毛剤。
【請求項4】
(A)アルカリ剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、
(D)パラアミノフェノール又はその塩、及び(E)レゾルシン、(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された酸化染毛剤第1剤と、
(B)酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と、
を備え、
前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.8質量%以上1.7質量%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キット。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化染毛剤を用いた染毛方法。
【請求項6】
請求項4に記載の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤、酸化染毛剤キット、及び染毛方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染毛を行う目的で、種々の酸化染毛剤が提供されている。酸化染毛剤は、毛髪内に浸透させた酸化染料を酸化重合により染着させる染毛原理によるものであり、酸性染毛料などの他のヘアカラーリング剤に比して毛髪の色持ちの長期持続を実現する。
【0003】
上記酸化染毛剤の例として、下記特許文献1には、パラフェニレンジアミンなどの酸化染料成分の組み合わせを所定の重量比で配合された染毛剤組成物によれば、白髪まじりの毛髪を染毛する場合にも、白髪を目立たせず、かつ、全体を明るい色調に染毛することができる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-99512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化染毛剤は、上述した特許文献1に記載されるような、全体を明るい色調に染毛する技術が存在する一方で、毛髪の明度を低下させる技術の要望も存在する。そのような要望により、毛髪を濃染することで毛髪の明度を低下させる酸化染毛剤を用いた染毛が提案されている。
【0006】
しかし、毛髪を濃染することで明度を低下させる酸化染毛剤を用いて染毛した毛髪は、酸化重合した酸化染料が比較的多く毛髪内に存在することがある。そのような毛髪に対して、毛髪の明度を高めるために脱色剤やブリーチ剤を用いて脱染を行った場合、毛髪内に酸化重合した酸化染料が残り、十分に脱染ができないことがあった。そのため、毛髪の濃染性を高め、毛髪の明度を低下させるための酸化染毛剤を染毛に用いると、染毛後の毛髪の脱染性に劣るため、毛髪のカラーチェンジが困難になることがあった。
【0007】
上記の理由から、濃染性及び脱染性の両方に優れる酸化染毛剤及び当該酸化染毛剤を用いた染毛方法の提案が要望されている。また、濃染性及び脱染性の両方に優れる酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キット及び当該酸化染毛剤キットを用いた染毛方法についても同様に要望されている。
【0008】
本発明の目的は、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤の提供、並びに、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤を用いた染毛方法の提供である。
また、本発明の別の目的は、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットの提供、並びに、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットを用いた染毛方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討をしたところ、(A)アルカリ剤、(B)酸化剤が配合された酸化染毛剤に対して、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上を配合し、さらに、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下とした酸化染毛剤によれば、本発明の目的が達成できることを見出した。
【0010】
また、本発明者は、(A)アルカリ剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、及び(E)レゾルシン、(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された酸化染毛剤第1剤と、(B)酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と、を備え、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットによれば、本発明の別の目的が達成できることを見出した。
【0011】
本発明の酸化染毛剤は、(A)アルカリ剤、(B)酸化剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上、が配合され、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である。
【0012】
本発明に係る酸化染毛剤は、より優れた濃染性を実現できる観点から、前記(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上として、少なくとも、(D)パラアミノフェノール又はその塩が配合されたものが好ましい。
【0013】
本発明に係る酸化染毛剤は、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、前記(E)の配合量とメタアミノフェノール量との合計量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量とパラアミノフェノール量との合計量の質量比が、0.3以上15以下であると好ましい。
【0014】
本発明の酸化染毛剤キットは、(A)アルカリ剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、及び(E)レゾルシン、(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された酸化染毛剤第1剤と、(B)酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と、を備え、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.8質量%以上1.7質量%以下である本発明の酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットである。
【0015】
本発明に係る染毛方法は、本発明の酸化染毛剤を用いた染毛方法、又は、本発明の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の酸化染毛剤によれば、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤が提供できる。
本発明の酸化染毛剤キットによれば、濃染性及び脱染性に優れた酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットが提供できる。
本発明の染毛方法によれば、本発明の酸化染毛剤を用いた染毛方法又は本発明の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0018】
<酸化染毛剤>
本実施形態の酸化染毛剤は、(A)アルカリ剤、(B)酸化剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種以上又は2種以上が配合され、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である。
【0019】
以下の記載において、「アルカリ剤」を(A)と、「酸化剤」を(B)と、「2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩」を(C)と、「パラアミノフェノール又はその塩」を(D)と、「レゾルシン」を(E)と、「メタアミノフェノール又はその塩」を(F)と、それぞれいうことがある。
【0020】
((A):アルカリ剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上のアルカリ剤が配合されたものである。前記アルカリ剤は、酸化染毛剤に配合された酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて酸化染料((C)並びに(D)、(E)、及び(F)の群から選ばれる1種又は2種以上を含む)の毛髪内への浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。
【0021】
本実施形態の酸化染毛剤に配合されるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなど)、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、金属リン酸塩(リン酸ナトリウムなど)、アンモニウム塩(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウムなど)などが挙げられる。
【0022】
本実施形態の酸化染毛剤に配合されるアルカリ剤の配合量の下限値は、特に限定されないが、より優れた濃染性を実現できる観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の酸化染毛剤に配合されるアルカリ剤の配合量の上限値は、特に限定されないが、毛髪損傷が生じるおそれを低減する観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
【0023】
((B):酸化剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上の酸化剤が配合されたものである。前記酸化剤は、本実施形態の酸化染毛剤に配合された酸化染料((C)並びに(D)、(E)、及び(F)の群から選ばれる1種又は2種以上を含む)の酸化重合を促進し、染色性を向上させる。
【0024】
本実施形態の酸化染毛剤に配合される酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩などが挙げられる。
【0025】
本実施形態の酸化染毛剤に配合される酸化剤の配合量の下限値は、特に限定されないが、より優れた濃染性を実現できる観点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.7質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の酸化染毛剤に配合される酸化剤の配合量の上限値は、特に限定されないが、毛髪損傷が生じるおそれを低減する観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下がさらに好ましい。
【0026】
((C):2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上の2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩が配合されたものである。前記2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩は、酸化染料の染料中間体である。
【0027】
本実施形態の酸化染毛剤に配合される2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩としては、例えば、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール(C1016:分子量196.25)、硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール(C1016・HSO:分子量294.32)などが挙げられる。
【0028】
((C)の配合量)
本実施形態の酸化染毛剤は、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として0.8質量%以上1.7質量%以下である。
ここで、「2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量」とは、本実施形態の酸化染毛剤における2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量と、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの塩を2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールに換算した際の配合量との合計量(単位:質量%)を意味する。例えば、本実施形態の酸化染毛剤に、(C)として硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールが1.5質量%配合された場合、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量は、1質量%(=1.5質量%(硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの配合量)×(196.25(2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの分子量)/294.32(硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールの分子量)))となる。
【0029】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(C)の配合量の下限値が、より優れた濃染性を実現できる観点から、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.9質量%以上が好ましく、0.95質量%以上がより好ましい。
また、本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(C)の配合量の上限値が、より優れた脱染性を実現できる観点から、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、1.6質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
【0030】
((D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群)
本実施形態の酸化染毛剤は、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種以上又は2種以上が配合されたものである。
【0031】
本実施形態の酸化染毛剤は、より優れた濃染性を実現できる観点から、前記(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上として、少なくとも、(D)パラアミノフェノール又はその塩が配合されたものが好ましい。
【0032】
本実施形態の酸化染毛剤は、より彩度が低い染毛が実現できる観点から、前記(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種又は2種以上として、少なくとも、(F)メタアミノフェノール又はその塩が配合されたものが好ましい。
【0033】
((D)パラアミノフェノール又はその塩)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上のパラアミノフェノール又はその塩が配合されたものとしてよい。前記パラアミノフェノール又はその塩は、酸化染料の染料中間体である。
【0034】
本実施形態の酸化染毛剤に配合されるパラアミノフェノール又はその塩としては、例えば、パラアミノフェノール(CNO:分子量109.13)、硫酸パラアミノフェノール((CNO)・HSO:分子量316.33)などが挙げられる。
【0035】
((D)の配合量)
本実施形態の酸化染毛剤に(D)が配合される場合、本実施形態の酸化染毛剤における(D)の配合量は、パラアミノフェノール量として表すことができる。ここで、「パラアミノフェノール量」とは、本実施形態の酸化染毛剤におけるパラアミノフェノールの配合量と、パラアミノフェノールの塩をパラアミノフェノールに換算した際の配合量との合計量(単位:質量%)を意味する。例えば、本実施形態の酸化染毛剤に(D)として、1質量%のパラアミノフェノールと1質量%の硫酸パラアミノフェノールとが配合された場合、パラアミノフェノール量としては、1.69質量%〔=1質量%(パラアミノフェノールの配合量)+{1質量%(硫酸パラアミノフェノールの配合量)×(218.26(パラアミノフェノールの分子量×2:硫酸パラアミノフェノール1分子中にパラアミノフェノールが2分子存在))/316.33(硫酸パラアミノフェノールの分子量)}〕となる。
【0036】
本実施形態の酸化染毛剤における(D)の配合量は、パラアミノフェノール量として、例えば、0.01質量%以上2質量%以下である。
【0037】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(D)の配合量の下限値が、より優れた濃染性を実現できる観点から、パラアミノフェノール量として、0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(D)の配合量の下限値が、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、パラアミノフェノール量として、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0038】
((E)レゾルシン)
本実施形態の酸化染毛剤は、レゾルシンが配合されたものとしてよい。前記レゾルシンは、酸化染料のカプラーである。
【0039】
((E)の配合量)
本実施形態の酸化染毛剤に(E)が配合される場合、本実施形態の酸化染毛剤における(E)の配合量が、例えば、0.01質量%以上2質量%以下である。
【0040】
本実施形態の酸化染毛剤は、(E)の配合量の下限値が、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
【0041】
((F)メタアミノフェノール又はその塩)
本実施形態の酸化染毛剤は、メタアミノフェノール又はその塩を配合されたものとしてよい。前記メタアミノフェノール又はその塩は、酸化染料のカプラーである。
【0042】
前記メタアミノフェノール又はその塩としては、例えば、メタアミノフェノール(CNO:分子量109.13)、硫酸メタアミノフェノール((CNO)・HSO:分子量316.33)などが挙げられる。
【0043】
((F)の配合量)
本実施形態の酸化染毛剤に(F)が配合される場合、本実施形態の酸化染毛剤における(F)の配合量は、メタアミノフェノール量として表すことができる。ここで、「メタアミノフェノール量」とは、本実施形態の酸化染毛剤におけるメタアミノフェノールの配合量と、メタアミノフェノールの塩をメタアミノフェノールに換算した際の配合量との合計量(単位:質量%)を意味する。例えば、本実施形態の酸化染毛剤に、(F)として1質量%の硫酸メタアミノフェノールが配合された場合、メタアミノフェノール量としては、0.69質量%{=1質量%(硫酸メタアミノフェノールの配合量)×(218.26(メタアミノフェノールの分子量×2:硫酸メタアミノフェノール1分子中にメタアミノフェノールが2分子存在))/316.33(硫酸メタアミノフェノールの分子量)}となる。
【0044】
本実施形態の酸化染毛剤における(F)の配合量は、メタアミノフェノール量として、例えば、0.01質量%以上2.5質量%以下である。
【0045】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(F)の配合量の下限値が、より彩度が低い染毛が実現できる観点から、メタアミノフェノール量として、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤における(F)の配合量の上限値が、低コスト化の観点から、メタアミノフェノール量として、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.3質量%以下がさらに好ましい。
【0046】
([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/パラアミノフェノール量]比)
本実施形態の酸化染毛剤は、(D)が配合された場合、パラアミノフェノール量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/パラアミノフェノール量]比)としては、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の酸化染毛剤は、[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/パラアミノフェノール量]比の下限値が、より優れた濃染性を実現できる観点から、7以上が好ましく、9以上がより好ましい。また、本実施形態の酸化染毛剤は、[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/パラアミノフェノール量]比の上限値が、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
【0047】
([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/(E)]比)
本実施形態の酸化染毛剤は、(E)が配合された場合、(E)の配合量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/(E)]比)としては、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の酸化染毛剤は、[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/(E)]比の下限値が、例えば、0.1以上である。また、本実施形態の酸化染毛剤は、[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/(E)比]の上限値が、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。
【0048】
([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/メタアミノフェノール量]比)
本実施形態の酸化染毛剤は、(F)が配合された場合、メタアミノフェノール量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/メタアミノフェノール量]比)としては、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の酸化染毛剤における[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/メタアミノフェノール量]比の下限値は、より優れた濃染性を実現できる観点から、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。また、本実施形態の酸化染毛剤における[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量/メタアミノフェノール量]比の上限値は、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
【0049】
([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量+パラアミノフェノール量/(E)+メタアミノフェノール量]比)
本実施形態の酸化染毛剤は、(E)の配合量とメタアミノフェノール量との合計量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量とパラアミノフェノール量との合計量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量+パラアミノフェノール量/(E)+メタアミノフェノール量]比)は、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の酸化染毛剤は、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、[2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量+パラアミノフェノール量/(E)+メタアミノフェノール量]比が、0.3以上15以下が好ましく、0.7以上12以下がより好ましい。
【0050】
(任意成分)
本実施形態の酸化染毛剤は、上述した(A)~(F)以外の他の成分(以下、「任意成分」という)を適宜配合してもよい。任意成分としては、酸化染毛剤に用いられる公知の成分から適宜選択すればよく、例えば、水、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、高級アルコール、多価アルコール、低級アルコール、炭化水素、油脂、エステル油、シリコーン、酸化防止剤、キレート剤、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料、直接染料などが挙げられる。
【0051】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤の粘度を向上させて毛髪への塗布を容易にする観点から、ノニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤、高級アルコール、並びに水が配合されたものが好ましい。なお、「及び/又は」とは、両方又はいずれか一方をいう。
【0052】
(ノニオン界面活性剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。前記ノニオン界面活性剤は、例えば、炭素数8~24のノニオン界面活性剤を用いることができる。前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。本実施形態の酸化染毛剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0053】
(カチオン界面活性剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。前記カチオン界面活性剤は、例えば、炭素数8~24のカチオン界面活性剤を用いることができる。前記カチオン界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などが挙げられる。本実施形態の酸化染毛剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0054】
(高級アルコール)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上の高級アルコールが配合されたものとしてよい。前記高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~24の1価アルコールを用いることができる。前記高級アルコールの具体例としては、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの飽和又は不飽和の直鎖状の高級アルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなどの分岐鎖状の高級アルコールが挙げられる。本実施形態の酸化染毛剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、1質量%以上20質量%以下である。
【0055】
本実施形態の酸化染毛剤は、水が配合されたものとして良い。本実施形態の酸化染毛剤における水の配合量としては、例えば、30質量%以上70質量%以下である。
【0056】
((C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料)
本実施形態の酸化染毛剤は、染毛後の毛髪の色調を調整する観点から、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料を1種又は2種以上配合されたものとしてよい。前記(C)、(D)、(E)、(F))以外の酸化染料としては、染料中間体とカプラーが挙げられる。
本実施形態の酸化染毛剤における(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.02質量%以上3質量%以下である。なお、「(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量」とは、塩形態ではない染料中間体及び/又はカプラーが配合された場合にはその配合量であり、塩形態の染料中間体及び/又はカプラーが配合された場合には塩を除いた染料中間体及び/又は塩を除いたカプラーに換算した際の配合量である。塩を除いた染料中間体への換算は、次式より算出できる。また、塩を除いたカプラーへの換算は、次式において染料中間体をカプラーに読み替えて算出できる。
(塩形態の染料中間体の配合量(質量%))×{(塩を除いた染料中間体の分子量×(塩形態の染料中間体における塩を除いた染料中間体の分子数))/(塩形態の染料中間体の分子量}}
【0057】
なお、本実施形態の酸化染毛剤は、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料が配合されないか、又は、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量が0.1質量%以下とすると好ましい。本実施形態の酸化染毛剤は、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料が配合される場合、黒色により近い色調への染毛に優れる観点から、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量が、0.05質量%以下とするとより好ましく、0.01質量%以下とするとより好ましい。
【0058】
前記染料中間体としては、例えば、トルエン-2,5-ジアミン又はその塩(トルエン-2,5-ジアミン、塩酸トルエン-2,5-ジアミン、硫酸トルエン-2,5-ジアミンなど)、パラフェニレンジアミン又はその塩(パラフェニレンジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミンなど)、パラメチルアミノフェノール又はその塩(パラメチルアミノフェノール、硫酸パラメチルアミノフェノールなど)、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、オルトアミノフェノールなどが挙げられる。
本実施形態の酸化染毛剤における染料中間体の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上0.5質量%以下である。なお、「染料中間体の配合量」とは、塩形態ではない染料中間体が配合された場合にはその配合量であり、塩形態の染料中間体が配合された場合には塩を除いた染料中間体に換算した際の配合量である。塩を除いた染料中間体への換算は、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量において上述した塩を除いた染料中間体への換算と同じである。
【0059】
前記カプラーとしては、例えば、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノオルトクレゾール、オルトアミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、α―ナフトールなどが挙げられる。
本実施形態の酸化染毛剤における前記カプラーの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上2.5質量%以下である。なお、「カプラーの配合量」とは、塩形態ではないカプラーが配合された場合にはその配合量であり、塩形態のカプラーが配合された場合には塩を除いたカプラーに換算した際の配合量である。塩を除いたカプラーへの換算は、(C)、(D)、(E)、(F)以外の酸化染料の配合量において上述した塩を除いたカプラーへの換算と同じである。
【0060】
本実施形態の酸化染毛剤は、より優れた脱染性を実現できる観点から、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩が配合されないか、又は、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩の合計配合量が、0.3質量%以下が好ましい。
本実施形態の酸化染毛剤は、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩が配合される場合、より優れた脱染性を実現できる観点から、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩の合計配合量の上限値が、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。なお、本実施形態の酸化染毛剤にトルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩が配合される場合、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩の合計配合量の下限値は、例えば、0.001質量%である。
なお、本実施形態の酸化染毛剤は、より優れた脱染性を実現できる観点から、トルエン-2,5-ジアミン若しくはその塩、及び、パラフェニレンジアミン若しくはその塩が配合されないものが最も好ましい。
【0061】
(キレート剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、1種又は2種以上のキレート剤が配合されたものとしてよい。前記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩(例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど)、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩などが挙げられる。
【0062】
本実施形態の酸化染毛剤は、より優れた濃染性を実現できる観点から、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩が配合されることが好ましい。
本実施形態の酸化染毛剤におけるエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩の配合量の下限値は、例えば、0.05質量%以上である。また、本実施形態の酸化染毛剤におけるエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩の配合量の上限値は、例えば、1質量%以下である。
【0063】
(粘度)
本実施形態の酸化染毛剤における粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、500mPa・s以上50000mPa・s以下である。ここで、本実施形態の酸化染毛剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、12rpmであると良い。
【0064】
(pH)
本実施形態の酸化染毛剤におけるpHは、より優れた濃染性を実現できる観点から、8.0以上13.0以下が好ましく、8.5以上12.0以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0065】
(アルカリ度)
本実施形態の酸化染毛剤におけるアルカリ度は、例えば、0.5以上20.0以下である。ここで「アルカリ度」とは、1gの酸化染毛剤を中和するために必要な0.1mol/L塩酸の容量である(アルカリ度の単位:ml)。なお、アルカリ度は、酸化染毛剤に配合される(A)アルカリ剤を用いて調整すれば良い。
【0066】
(剤型)
本実施形態の酸化染毛剤における剤型は、適宜設定すればよい。剤型としては、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、粉末状が挙げられる。
【0067】
(用途)
本実施形態の酸化染毛剤は、染毛に用いられるものである。
【0068】
本実施形態の酸化染毛剤は、黒色により近い色調への染毛に用いることができる。
前記黒色により近い色調への染毛とは、黒色の色調への染毛を含むものであり、例えば、酸化染毛剤でビューラックス社製「BR-3-A」(人毛ライトブラウン毛束)を用いて染毛し、染毛した毛束を色差計測定した際に、L*の値が20以下、[L*2+C*2]1/2が23以下となることをいう。なお、色差計測定は、毛束の色差が測定可能な適宜の色差計(例えば、コニカミノルタ センシング社製「分光測定器CM-5」)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)の条件で行い、染毛した毛束のL*の値及びC*の値を得ることができる。また、[L*2+C*2]1/2の値は、明度(L*)及び彩度(C*)の値を用いて、次式から求めることができる。
[L*2+C*2]1/2=√{(L*)+(C*)
【0069】
(製造方法)
本実施形態の酸化染毛剤の製造方法は、特に限定されず、酸化染毛剤の形態や配合成分に応じて、公知の酸化染毛剤の製造方法を用いるとよい。例えば、(A)、(B)、(C)、並びに、(D)、(E)、及び(F)の群から選ばれる1種又は2種以上を常法により混合して製造してもよく、(A)、(C)、並びに、(D)、(E)、及び(F)の群から選ばれる1種又は2種以上が配合された酸化染毛剤第1剤と(B)が配合された酸化染毛剤第2剤とを染毛前に混合して製造しても良い。
【0070】
(使用方法)
本実施形態の酸化染毛剤の使用方法は、特に限定されず、公知の酸化染毛剤の使用方法を用いることができる。
【0071】
(酸化染毛剤の対象毛髪)
本実施形態の酸化染毛剤における対象毛髪は、特に限定されない。本実施形態の酸化染毛剤は、明度の高い毛髪(例えば、ブリーチ毛など)、酸化染毛剤で染毛処理履歴のあるヘアカラー毛髪に用いることができる。
【0072】
<酸化染毛剤キット>
本実施形態の酸化染毛剤キットは、上述した本実施形態の酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットである。
本実施形態の酸化染毛剤キットは、(A)アルカリ剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種以上又は2種以上が配合された酸化染毛剤第1剤と、(B)酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤を備え、前記(C)の配合量が、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.8質量%以上1.7質量%以下である酸化染毛剤を得るための酸化染毛剤キットである。
なお、本実施形態の酸化染毛剤キットに係る酸化染毛剤第1剤を「本実施形態に係る第1剤」ということがあり、本実施形態の酸化染毛剤キットに係る酸化染毛剤第2剤を「本実施形態に係る第2剤」ということがある。
【0073】
(酸化染毛剤第1剤)
本実施形態に係る第1剤は、(A)アルカリ剤、(C)2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩、並びに、(D)パラアミノフェノール又はその塩、(E)レゾルシン、及び(F)メタアミノフェノール又はその塩の群から選ばれる1種以上が配合されたものである。
【0074】
本実施形態に係る第1剤は、本実施形態の酸化染毛剤において上述した(A)が1種又は2種以上配合されたものである。
本実施形態に係る第1剤における(A)の配合量は、特に限定されず、本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤の混合比率に応じて、適宜設定すればよい。本実施形態に係る第1剤における(A)の配合量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下である。
【0075】
本実施形態に係る第1剤は、本実施形態の酸化染毛剤において上述した(C)が1種又は2種以上配合されたものである。
本実施形態に係る第1剤における(C)の配合量は、本実施形態に係る第1剤と本実施形態に係る第2剤とを混合することよって得られる酸化染毛剤において、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.8質量%以上1.7質量%以下となるように適宜設定すればよい。
【0076】
本実施形態に係る第1剤における(C)の配合量の下限値は、より優れた濃染性を実現できる観点から、本実施形態に係る第1剤と本実施形態に係る第2剤とを混合することよって得られる酸化染毛剤において、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.9質量%以上となるようにすると好ましく、0.95質量%以上となるようにするとより好ましい。また、本実施形態に係る第1剤における(C)の配合量の上限値は、より優れた脱染性を実現できる観点から、本実施形態に係る第1剤と本実施形態に係る第2剤とを混合することよって得られる酸化染毛剤において、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、1.6質量%以下となるようにすると好ましく、1.5質量%以下となるようにするとより好ましい。
【0077】
本実施形態に係る第1剤は、本実施形態の酸化染毛剤において上述した(D)、(E)、及び(F)から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。本実施形態に係る第1剤に配合される(D)、(E)、及び(F)から選ばれる1種又は2種以上の配合量は、特に限定されず、本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤の混合比率に応じて、適宜設定すればよい。
【0078】
本実施形態に係る第1剤に(D)が配合される場合、本実施形態に係る第1剤における(D)の配合量の下限値は、第1剤のパラアミノフェール量として、例えば、0.01質量%以上1.6質量%以下である。なお、上記「第1剤のパラアミノフェール量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合された(D)について、第1剤におけるパラアミノフェノールの配合量と、第1剤におけるパラアミノフェノールの塩をパラアミノフェノールに換算した際の配合量との合計量(単位:質量%)を意味する。
【0079】
本実施形態に係る第1剤に(E)が配合される場合、本実施形態に係る第1剤における(E)の配合量の下限値は、例えば、0.01質量%以上1.8質量%以下である。
【0080】
本実施形態に係る第1剤に(F)が配合される場合、本実施形態に係る第1剤における(F)の配合量の下限値は、第1剤のメタアミノフェール量として、例えば、0.1質量%以上3質量%以下である。なお、上記「第1剤のメタアミノフェール量」とは、本実施形態に係る第1剤に配合された(F)について、第1剤におけるメタアミノフェノールの配合量と、第1剤におけるメタアミノフェノールの塩をメタアミノフェノールに換算した際の配合量との合計量(単位:質量%)を意味する。
【0081】
(任意成分)
本実施形態に係る第1剤は、上述した本実施形態の酸化染毛剤における任意成分を適宜配合してもよい。
【0082】
本実施形態に係る第1剤は、粘度を向上させて本実施形態に係る第2剤との混合を容易にする観点から、上述した任意成分から、ノニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤、高級アルコール、並びに水が配合されたものが好ましい。
【0083】
本実施形態に係る第1剤は、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第1剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態に係る第1剤は、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第1剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態に係る第1剤は、1種又は2種以上の高級アルコールが配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第1剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0084】
(粘度)
本実施形態に係る第1剤の粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、10000mPa・s以上50000mPa・s以下である。ここで、本実施形態に係る第1剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、12rpmであるとよい。
【0085】
(pH)
本実施形態に係る第1剤のpHは、より優れた濃染性を実現できる観点から、8.0以上13.0以下が好ましく、8.5以上12.0以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0086】
(アルカリ度)
本実施形態に係る第1剤におけるアルカリ度は、例えば、1.0以上30.0以下である。ここで「アルカリ度」とは、1gの本実施形態に係る第1剤を中和するために必要な0.1mol/L塩酸の容量である(アルカリ度の単位:ml)。なお、アルカリ度は、本実施形態に係る第1剤に配合される(A)アルカリ剤を用いて調整すればよい。
【0087】
(剤型)
本実施形態に係る第1剤における剤型は、適宜設定すればよい。剤型としては、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、粉末状が挙げられる。
【0088】
(酸化染毛剤第2剤)
本実施形態に係る第2剤は、本実施形態の酸化染毛剤において上述した(B)が1種又は2種以上配合されたものである。
本実施形態に係る第2剤における(B)の配合量は、特に限定されず、本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤の混合比率に応じて、適宜設定すればよい。本実施形態に係る第2剤における(B)の配合量は、例えば、0.2質量%以上10質量%以下である。
【0089】
(任意成分)
本実施形態に係る第2剤は、上述した本実施形態の酸化染毛剤における任意成分を適宜配合してもよい。
【0090】
本実施形態に係る第2剤は、粘度を向上させて本実施形態に係る第1剤との混合を容易にする観点から、ノニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤、高級アルコール、並びに水が配合されたクリーム状のものが好ましい。前記ノニオン界面活性剤、前記カチオン界面活性剤、前記高級アルコールは、上述した本実施形態の酸化染毛剤におけるノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、高級アルコールとそれぞれ同じ成分である。本実施形態に係る第2剤は、ノニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤、高級アルコールをそれぞれ1種又は2種以上配合できる。
【0091】
本実施形態に係る第2剤は、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第2剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上5質量%以下である。
本実施形態に係る第2剤は、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤が配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第2剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上5質量%以下である。
本実施形態に係る第2剤は、1種又は2種以上の高級アルコールが配合されたものとしてよい。本実施形態に係る第2剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0092】
(粘度)
本実施形態に係る第2剤の粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、100mPa・s以上30000mPa・s以下である。ここで、本実施形態に係る第2剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、12rpmであると良い。
【0093】
(pH)
本実施形態に係る第2剤のpHは、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態に係る第2剤のpHの下限値は、例えば、1.0以上である。なお、本実施形態に係る第2剤に酸化剤として過酸化水素が配合されたものである場合、本実施形態に係る第2剤に配合された過酸化水素の保存安定性を向上させる観点から、pHの下限値は、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましい。また、本実施形態に係る第2剤のpHの上限値は、染毛処理における毛髪損傷の低減をより向上させる観点から、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0094】
(剤型)
本実施形態に係る第2剤における剤型は、適宜設定すればよい。剤型としては、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、粉末状が挙げられる。
【0095】
(用途)
本実施形態の酸化染毛剤キットの用途は、上述した本実施形態の酸化染毛剤の用途と同じである。
【0096】
(製造方法)
本実施形態の酸化染毛剤キットの製造方法は、特に限定されず、本実施形態に係る第1剤、及び本実施形態に係る第2剤の剤型や配合成分に応じて、公知の酸化染毛剤の製造方法により、本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤を製造することにより、本実施形態の酸化染毛剤キットを製造することができる。例えば、所定の成分を配合した本実施形態に係る第1剤と本実施形態に係る第2剤とをそれぞれ常法により製造し、本実施形態に係る第1剤と本実施形態に係る第2剤を備えた酸化染毛剤キットを製造する方法がある。
【0097】
(使用方法)
本実施形態の酸化染毛剤キットは、本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤を適宜の比率で混合し、上述した本実施形態の酸化染毛剤を得ることにより、使用できる。本実施形態に係る第1剤及び本実施形態に係る第2剤の混合比率としては、例えば、重量比(本実施形態に係る第1剤:本実施形態に係る第2剤)として、1:1乃至1:3である。
【0098】
なお、本実施形態の酸化染毛剤キットにおいて、本実施形態に係る第1剤、及び本実施形態に係る第2剤をそれぞれクリーム状の剤型とすると、本実施形態に係る第1剤と、本実施形態に係る第2剤との混合が容易であるため好ましい。
【0099】
(酸化染毛剤キットの対象毛髪)
本実施形態の酸化染毛剤キットにおける対象毛髪は、特に限定されない。本実施形態の酸化染毛剤キットは、明度の高い毛髪(例えば、ブリーチ毛など)、既に酸化染毛剤で染毛処理されたヘアカラー毛髪に用いることができる。
【0100】
<染毛方法>
本実施形態の染毛方法を、第1形態(上述した本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛方法)と第2形態(上述した本実施形態の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法)に分けて、以下説明する。
【0101】
<酸化染毛剤を用いた染毛方法>
本実施形態の染毛方法の第1形態は、上述した本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛方法である。前記第1形態に係る染毛方法によれば、上述した本実施形態の酸化染毛剤を用いた染毛方法が提供できる。
【0102】
前記第1形態に係る染毛方法は、上述した本実施形態の酸化染毛剤を用いる以外には、公知の染毛方法を採用することができる。前記第1形態に係る染毛方法は、例えば、上述した本実施形態の酸化染毛剤における使用方法を採用してもよい。
【0103】
<酸化染毛剤キットを用いた染毛方法>
本実施形態に係る染毛方法の第2形態は、上述した本実施形態の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法である。前記第2形態に係る染毛方法によれば、上述した本実施形態の酸化染毛剤キットを用いた染毛方法が提供できる。
【0104】
前記第2形態に係る染毛方法は、上述した本実施形態の酸化染毛剤キットを用いる以外には、公知の染毛方法を採用することができる。前記第2形態に係る染毛方法は、例えば、上述した本実施形態の酸化染毛剤キットにおける使用方法を採用してもよい。
【実施例0105】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0106】
実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤を用いて、以下に示す染毛処理及び脱染処理を行い、「濃染性」及び「脱染性」を評価した。
【0107】
(実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤)
実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤は、表1~5に記載の各第1剤(酸化染毛剤第1剤)のいずれかと、組成物A(酸化染毛剤第2剤)とを等量で混合して製造した。
【0108】
上記各第1剤は、表1~5に記載の第1剤の組成となるように、各成分を混合し、実施例1~9、比較例1~4に係る第1剤を常法により製造した。なお、表1~5の成分欄に記載の数値は質量%である。なお、表1~5の第1剤の成分欄に記載した「その他成分」は、セタノール 2質量%、ステアリルアルコール 5質量%、パラフィン 2質量%、コメヌカ油 3質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.4質量%、モノステアリン酸グリセリル 1質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.) 0.2質量%、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 1.5質量%、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.) 1質量%、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%、プロピレングリコール 0.5質量%、イソプロパノール 0.3質量%、亜硫酸ナトリウム 0.2質量%、L-アスコルビン酸 0.2質量%、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.9質量%である。
【0109】
表1~5に記載の第2剤(酸化染毛剤第2剤)の組成物Aは、ミルボン社製「オルディーブ アディクシー オキシダン6.0」(過酸化水素((E))、水、高級アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、流動パラフィン、セトリモニウムクロリドなどが配合された乳化物)を用いた。
【0110】
(染毛処理)
毛束(ビューラックス社製「BR-3-A」:約1g、約10cmの人毛ライトブラウン毛束)に、実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤(それぞれ実施例1~9、比較例1~4に係る第1剤(酸化染毛剤第1剤)のいずれかを2gと、組成物Aを2gとの各混合物)を塗布し、室温で20分間静置した。20分経過後、各毛束を水洗し、シャンプー(ミルボン社製「グランドリンケージ ウィローリュクス シャンプー)を適量塗布して洗浄した後、水洗してドライヤーで乾燥させた。なお、実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤は、毛束の塗布前10分以内に製造したものである。
【0111】
(脱染処理)
染毛処理後の各毛束に対して、毛束の約1/3の部分(毛束の毛先から、毛束の毛髪を束ねている根元方向にかけての約3~4cmの部分)に脱染剤(ミルボン社製「オルディーブ アディクシー ローブリーチ」を1質量部と、ミルボン社製「オルディーブ アディクシー オキシダン6.0」を3質量部との混合物)を2g塗布し、毛束の約2/3の部分(毛束の毛髪を束ねている根元から、毛束の毛先方向にかけての約6~7cmの部分)には上記脱染剤を塗布せずに、室温で30分間静置した。30分経過後、各毛束を水洗し、シャンプー(ミルボン社製「グランドリンケージ ウィローリュクス シャンプー」)を適量塗布して洗浄した後、水洗してドライヤーで乾燥させた。なお、以下の記載において、脱染剤を塗布せずに毛髪を脱染しなかった毛束の部分を「染毛部分」といい、脱染剤を塗布し毛髪を脱染した毛束の部分を「脱染部分」という。
【0112】
(濃染性の評価方法及び評価基準)
上記の染毛処理及び脱染処理を行った各毛束に対して、色差計(コニカミノルタ センシング社製「分光測定器CM-5」)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)にて、染毛部分における明度(L*)を測定した。ここで、L*の数値が低いほど、濃染性に優れることを示す。
【0113】
また、色差計測定により、明度(L*)以外に、彩度(C*)の測定値を得た。なお、C*の数値が低いほど、より彩度が低い染毛であることを示す。
【0114】
また、上記の色差計測定により得た明度(L*)及び彩度(C*)を用いて、次式より[L*2+C*2]1/2の値を算出した。
[L*2+C*2]1/2=√{(L*)+(C*)
なお、[L*2+C*2]1/2は、表色系において黒色からの距離を表し、[L*2+C*2]1/2の数値が低いほど、黒色により近い色調に染毛されたことを示す。
【0115】
なお、濃染性の評価は、別々の毛束を用いて、2回行った(N=2)。表1~4の評価結果欄に記載した明度(L*)及び彩度(C*)の値は、N=2の平均値であり、[L*2+C*2]1/2の値は、明度(L*)及び彩度(C*)の平均値から算出した。
また、未処理毛束(染毛処理及び脱染処理を行っていない人毛ライトブラウン毛束)を色差計測定で測定した際におけるL*、C*、[L*2+C*2]1/2の各数値(N=2の平均値)は、L*が66.51、C*が57.19、[L*2+C*2]1/2が87.72であった。
【0116】
(脱染性の評価方法)
上記の染毛処理及び脱染処理を行った各毛束における脱染部分の明度を、未処理毛束の明度と比較し、染毛用組成物の評価を日常的に行っている評価者4名の合議により、以下の評価基準にて評価した。
なお、上記比較において、未処理毛束の明度は、毛束の毛先から、毛束の毛髪を束ねている根元方向にかけての約3~4cmの部分(未処理毛束の約1/3の部分)を比較対象とした。
【0117】
(脱染性の評価基準)
○:脱染部分の明度が、未処理毛束の明度と同じ又はほぼ同じである(脱染部分の明度と、未処理毛束の明度とを比較すると、両者の明度が同じ又はほとんど異ならない)。
×:脱染部分の明度が、未処理毛束の明度と比べて明らかに低い(染毛による色味が脱染部分に残っており、未処理毛束の明度と比較して、脱染部分の明度が明らかに低い)。
【0118】
(評価結果)
下記表1~表5に、実施例1~9、比較例1~4の酸化染毛剤における「濃染性」と「脱染性」の各評価結果を示す。
【0119】
(実施例1~3、比較例1~3の評価結果)
実施例1~3、比較例1~3の酸化染毛剤の評価結果を、表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
表1に示す結果から、実施例1~3の酸化染毛剤は、比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、L*の数値が低く、濃染性に優れることが分かる。また、実施例1~3の酸化染毛剤は、比較例3の酸化染毛剤に比べて、脱染性に優れることが分かる。したがって、酸化染毛剤における(C)の配合量を、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量として、0.8質量%以上1.7質量%以下とすることで、濃染性及び脱染性に優れることが分かる。
なお、実施例1~3の酸化染毛剤は、比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、[L*2+C*2]1/2の数値が低く、黒色により近い色調に染毛されたことが分かる。
【0122】
(実施例2、4~6の評価結果)
実施例2、4~6の酸化染毛剤の評価結果を、表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
表2に示す結果から、実施例2、4~6の酸化染毛剤は、(E)の配合量とメタアミノフェノール量との合計量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量とパラアミノフェノール量との合計量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量+パラアミノフェノール量/(E)+メタアミノフェノール量]比)が異なるが、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、いずれもL*の数値が低く、濃染性に優れることが分かる。また、実施例2、4~6の酸化染毛剤は、表1の比較例3の酸化染毛剤に比べて、脱染性に優れることが分かる。そのため、実施例2、4~6の酸化染毛剤は、カプラーの配合量((E)及び(F)の各配合量の合計量)の違いによらず、濃染性及び脱染性の両方に優れることが分かる。
なお、実施例2、4~6の酸化染毛剤は、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、 [L*2+C*2]1/2の数値が低く、黒色により近い色調に染毛されたことが分かる。
【0125】
【表3】
【0126】
表3に示す結果から、実施例2、7の酸化染毛剤は、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、いずれもL*の数値が低く、濃染性に優れることが分かる。また、実施例2、7の酸化染毛剤は、表1の比較例3の酸化染毛剤に比べて、脱染性に優れることが分かる。
なお、(D)が配合された実施例2の酸化染毛剤は、(D)が未配合の実施例2の酸化染毛剤に比べて、L*の数値が低く、より濃染性に優れることが分かる。したがって、より優れた濃染性を実現するためには、酸化染毛剤に(D)が配合されたものが好ましいことが分かる。
なお、実施例2、7の酸化染毛剤は、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、 [L*2+C*2]1/2の数値が低く、黒色により近い色調に染毛されたことが分かる。
【0127】
【表4】
【0128】
表4に示す結果から、実施例2、8、9の酸化染毛剤は、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、いずれもL*の数値が低く、濃染性に優れることが分かる。また、実施例2、8、9の酸化染毛剤は、表1の比較例3の酸化染毛剤に比べて、脱染性に優れることが分かる。
なお、実施例2、8、9の酸化染毛剤は、表1の比較例1~2の酸化染毛剤に比べて、 [L*2+C*2]1/2の数値が低く、黒色により近い色調に染毛されたことが分かる。
【0129】
なお、(F)メタアミノフェノールが配合された実施例2、9の酸化染毛剤は、C*の値がそれぞれ1、1.16であったが、(F)メタアミノフェノール未配合の実施例8の酸化染毛剤は、C*の値が2.23であった。したがって、酸化染毛剤において(F)メタアミノフェノールが配合されると、より彩度が低い染毛を実現できることが分かる。
【0130】
【表5】
【0131】
表5に示す結果から、実施例2の酸化染毛剤は、比較例4の酸化染毛剤に比べて、脱染性に優れることが分かる。また、表1に示す結果から、実施例2の酸化染毛剤は、比較例1、2の酸化染毛剤に比べて、L*の数値が低く、濃染性に優れることが分かる。したがって、酸化染毛剤において(C)が配合されることにより、濃染性及び脱染性に優れることが分かる。
【0132】
本実施形態の酸化染毛剤の処方例を以下に示す。
【0133】
(処方例1)
以下に示す酸化染毛剤第1剤と酸化染毛剤第2剤とを等量で混合し、処方例1の酸化染毛剤を得ることができる。
なお、処方例1の酸化染毛剤は、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量が1.267質量%であり、メタアミノフェノール量との合計量に対する2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量とパラアミノフェノール量との合計量の質量比([2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール量+パラアミノフェノール量/(E)+メタアミノフェノール量]比)が2.1である。
【0134】
(酸化染毛剤第1剤)
硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール 3.8質量%
パラアミノフェノール 0.4質量%
レゾルシン 0.7質量%
メタアミノフェノール 0.7質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1質量%
セトステアリルアルコール 7質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 1質量%
親油型モノステアリン酸グリセリル 1質量%
パラフィン 2質量%
コメヌカ油 3質量%
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
プロピレングリコール 0.5質量%
イソプロパノール 0.3質量%
L-アスコルビン酸 0.2質量%
亜硫酸ナトリウム 0.2質量%
キレート剤 0.9質量%
アンモニア水 pHを9~10に調整する量
精製水 計100質量%となる量
【0135】
(酸化染毛剤第2剤)
過酸化水素 6質量%
塩化セチルトリメチルアンモニウム 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.) 1質量%
ポリオキシプロピレンステアリルエーテル 1質量%
セタノール 1質量%
ステアリルアルコール 2質量%
流動パラフィン 1質量%
ミツロウ 1質量%
ラノリン脂肪酸コレステリル 0.1質量%
フェノキシエタノール 1質量%
精製水 83.9質量%