(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110173
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
E02D27/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011445
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山邊 周志
(72)【発明者】
【氏名】秋田 知良
(72)【発明者】
【氏名】世永 勝
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA01
2D046DA12
(57)【要約】
【課題】強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造を提供する。
【解決手段】鋼管21mを用いた基礎杭21の杭頭部21tに免震装置4が設置される杭頭免震構造20Aの構築方法であって、地盤G内に基礎杭21を構築する工程と、一方の端部31sが内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋31と、複数の縦補強筋31の各々に結束される円環状の横補強筋32と、を備える杭頭補強筋30を地組する工程と、基礎杭21の杭頭部21tの杭水平断面中央に設けられる中空部21hに、縦補強筋31の一方の端部31sを設置し、杭頭部21tの外側に、縦補強筋31の他方の端部31tを設置するように、杭頭補強筋30を取り付ける工程と、中空部21h、及び杭頭部21tの周りにコンクリートを打設して、免震装置4が設置される基礎鉄筋コンクリート部23Aを構築する工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管を用いた基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造の構築方法であって、
地盤内に基礎杭を構築する工程と、
複数の縦補強筋であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部が内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋と、前記複数の縦補強筋の各々に結束される円環状の横補強筋と、を備える杭頭補強筋を地組する工程と、
前記基礎杭の杭頭部の杭水平断面中央に設けられる中空部に、前記縦補強筋の前記一方の端部を設置し、前記杭頭部の外側に、前記縦補強筋の他方の端部を設置するように、前記杭頭補強筋を取り付ける工程と、
前記中空部、及び前記杭頭部の周りにコンクリートを打設して、前記免震装置が設置される基礎鉄筋コンクリート部を構築する工程と、を含むことを特徴とする杭頭免震構造の構築方法。
【請求項2】
前記基礎杭を外方から覆う位置に外側鋼管を設置する工程を更に含み、
前記基礎鉄筋コンクリート部を構築する工程では、前記基礎杭の中空部、及び前記基礎杭と前記外側鋼管との間にコンクリートを打設することを特徴とする請求項1に記載の杭頭免震構造の構築方法。
【請求項3】
前記杭頭補強筋は、前記縦補強筋の、U字形状の内側に位置するように設けられた高さ調整用筋を備え、
前記杭頭補強筋を取り付ける工程では、前記高さ調整用筋を基礎杭の杭天端上に載置して、前記杭頭補強筋の取り付け高さ位置を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の杭頭免震構造の構築方法。
【請求項4】
基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造であって、
鋼管を用いた前記基礎杭と、
前記基礎杭の杭頭部を覆い、前記免震装置が設置される基礎鉄筋コンクリート部と、
複数の縦補強筋であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部が内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋と、前記複数の縦補強筋の各々に結束される円環状の横補強筋と、を備える杭頭補強筋と、
を備え、
前記杭頭補強筋は、前記基礎杭の杭頭部の杭水平断面中央に設けられる中空部に、前記縦補強筋の前記一方の端部を設置し、前記杭頭部の外側に、前記縦補強筋の他方の端部を設置するように取り付けられて、全体が前記基礎鉄筋コンクリート部に埋設されていることを特徴とする杭頭免震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、基礎杭の杭頭と、杭頭の外周側を包囲する外筒体との間に充填されたコンクリートからなるコンクリート台座上に、ベースプレートを介して免震装置が取り付けられ、杭頭の外周面に接合されて周方向へ連続又は断続して延びる支圧リングがコンクリート台座に埋設された構成が開示されている。さらに、この構成において、アンカー筋が円周方向等配状に設けられている。このような構成では、基礎杭の杭頭と外筒体との間のコンクリートに、支圧リング、およびアンカー筋を埋設することで、基礎杭の杭頭部のせん断強度を高め、建物の躯体の強度を強固なものとする。
また、特許文献2には、杭頭部の周囲を取り囲む外鋼管と、杭頭部に挿通すると共に外鋼管の下端に固着する水平ダイアフラムとからなる拡頭リングの上部にナットを固定し、拡頭リング内に充填コンクリートを充填して拡頭リングと杭頭部とを一体化させ、免震装置の下部フランジに挿通させたボルトを拡頭リングのナットに螺合させることで、免震装置を杭頭部に剛接合させる構成が開示されている。
また、特許文献3には、免震装置と鋼管杭とを連結する短柱と、短柱に接続されることで、複数の杭の杭頭部を相互に連結する基礎梁と、を備え、鋼管杭の杭頭部が短柱内部のコンクリート部に埋め込んで保持され、かつ、鋼管杭の柱頭部に、短柱内部のコンクリート部に埋め込まれ、円環状に鋼管杭の鋼管を囲むように取り付けられたずれ止め板が設けられ、短柱内部のコンクリート部は、鋼棒により上下方向に締め付けられた構成が開示されている。
基礎杭の杭頭部を、強固に実現することが望まれる。また、その施工を容易に行うことも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-84035号公報
【特許文献2】特開2009-221769号公報
【特許文献3】特開2011-256695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の杭頭免震構造の構築方法は、鋼管を用いた基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造の構築方法であって、地盤内に基礎杭を構築する工程と、複数の縦補強筋であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部が内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋と、前記複数の縦補強筋の各々に結束される円環状の横補強筋と、を備える杭頭補強筋を地組する工程と、前記基礎杭の杭頭部の杭水平断面中央に設けられる中空部に、前記縦補強筋の前記一方の端部を設置し、前記杭頭部の外側に、前記縦補強筋の他方の端部を設置するように、前記杭頭補強筋を取り付ける工程と、前記中空部、及び前記杭頭部の周りにコンクリートを打設して、前記免震装置が設置される基礎鉄筋コンクリート部を構築する工程と、を含むことを特徴とする。
このような構成によれば、杭頭補強筋を地組しておき、基礎杭の杭頭部に杭頭補強筋を取り付ける。これにより、杭頭補強筋を組む作業を効率的に行うことができ、短工期化を図ることができる。
杭頭補強筋は、縦補強筋の一方の端部が基礎杭の中空部に設置され、外側に位置する他方の端部が杭頭部の外側に設置されるように取り付ける。このような杭頭補強筋を、基礎杭の中空部と杭頭部の周りとに打設したコンクリートによって形成される基礎鉄筋コンクリート部に埋設することで、杭頭部が杭頭補強筋、及び基礎鉄筋コンクリート部で拘束される。これにより、杭頭部のせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋は、U字形状の縦補強筋と、縦補強筋に結束される円環状の横補強筋とを備えているため、杭頭部を効率良く補強することができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造の構築方法を提供することができる。
【0006】
本発明の一態様においては、本発明の杭頭免震構造の構築方法は、前記基礎杭を外方から覆う位置に外側鋼管を設置する工程を更に含み、前記基礎鉄筋コンクリート部を構築する工程では、前記基礎杭の中空部、及び前記基礎杭と前記外側鋼管との間にコンクリートを打設する。
このような構成によれば、基礎杭を外方から覆う位置に設置した外側鋼管を、取り外し不要な型枠として用い、その内側にコンクリートを打設することによって、基礎鉄筋コンクリート部が形成される。したがって、杭頭免震構造の構築を効率良く行うことができる。
また、このような構築方法により、鋼管を用いた基礎杭の杭頭部を基礎鉄筋コンクリート部で覆い、その外方を更に外側鋼管が覆うため、杭頭部が2重鋼管を備えるコンクリート杭が形成される。外側鋼管の内側に形成されて杭頭部を覆う基礎鉄筋コンクリート部は、杭頭補強筋、及び外側鋼管で一様に拘束されるために、せん断強度をさらに高めることができる。したがって、杭頭部周りに大型のコンクリート部を設けて杭頭免震構造を形成する必要はなく、基礎躯体を小さく、コンパクトに実現することができる。
また、杭頭部が2重鋼管を備えるコンクリート杭とすることで、杭頭部の曲げ強度、及びせん断強度が高められるために、基礎杭同士を基礎梁等で連結させて、基礎杭のせん断抵抗力を高める必要がなくなる。したがって、基礎梁なしの独立フーチング形式の杭頭免震構造を、せん断抵抗可能に、強固に実現することができる。
【0007】
本発明の一態様においては、前記杭頭補強筋は、前記縦補強筋の、U字形状の内側に位置するように設けられた高さ調整用筋を備え、前記杭頭補強筋を取り付ける工程では、前記高さ調整用筋を基礎杭の杭天端上に載置して、前記杭頭補強筋の取り付け高さ位置を決定する。
このような構成によれば、杭頭補強筋の縦補強筋に設けられた高さ調整用筋を、基礎杭の杭天端上に載置することで、杭頭補強筋の基礎杭に対する取り付け高さ位置を、容易かつ確実に決定することができる。
【0008】
本発明の杭頭免震構造は、基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造であって、鋼管を用いた前記基礎杭と、前記基礎杭の杭頭部を覆い、前記免震装置が設置される基礎鉄筋コンクリート部と、複数の縦補強筋であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部が内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋と、前記複数の縦補強筋の各々に結束される円環状の横補強筋と、を備える杭頭補強筋と、を備え、前記杭頭補強筋は、前記基礎杭の杭頭部の杭水平断面中央に設けられる中空部に、前記縦補強筋の前記一方の端部を設置し、前記杭頭部の外側に、前記縦補強筋の他方の端部を設置するように取り付けられて、全体が前記基礎鉄筋コンクリート部に埋設されていることを特徴とする。
このような構成によれば、杭頭補強筋は、縦補強筋の一方の端部が基礎杭の中空部に設置され、外側に位置する他方の端部が杭頭部の外側に設置されるように、配置される。このような杭頭補強筋を、基礎杭の杭頭部を覆う基礎鉄筋コンクリート部に埋設することで、杭頭部が杭頭補強筋、及び基礎鉄筋コンクリート部で拘束される。これにより、杭頭部のせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋は、U字形状の縦補強筋と、縦補強筋に結束される円環状の横補強筋とを備えているため、杭頭部を効率良く補強することができる。
また、杭頭補強筋は、その全体が、基礎鉄筋コンクリート部に埋設される。基礎鉄筋コンクリートを、基礎杭の中空部と、杭頭部の周りとにコンクリートを打設して一体に構築することにより、施工の効率化を図ることができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る杭頭免震構造の構成を示す断面図である。
【
図3】本実施形態における杭頭免震構造の構築方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態における基礎杭を設置する工程を示す図である。
【
図5】本実施形態におけるパイルアンカーを取り付ける工程を示す図である。
【
図6】本実施形態における外側鋼管を設置する工程を示す図である。
【
図7】本実施形態における外側鋼管を固定する工程を示す図である。
【
図8】本実施形態における外側鋼管の周囲を埋め戻す工程を示す図である。
【
図9】本実施形態における杭頭補強筋を地組する工程を示す図である。
【
図10】本実施形態における杭頭補強筋を設置する工程を示す図である。
【
図11】本実施形態におけるコンクリートを打設する工程を示す図である。
【
図12】本実施形態における、ベースプレートをセットする工程を示す図である。
【
図13】本実施形態における、追設コンクリートを打設する工程を示す図である。
【
図14】本発明の第二実施形態における杭頭免震構造を示す。
【
図16】本発明の第二実施形態における杭頭免震構造の構築方法の流れを示すフローチャートである。
【
図17】本実施形態における型枠を組む行程、杭頭補強筋を設置する工程を示す図である。
【
図18】本実施形態におけるコンクリートを打設する工程を示す図である。
【
図19】本実施形態おけるベースプレートをセットする工程、かさ上げ型枠をセットする工程を示す図である。
【
図20】本実施形態における、追設コンクリートを打設する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、鋼管を用いた基礎杭の杭頭部に免震装置が設置される杭頭免震構造の構築方法、及びその杭頭免震構造である。具体的には、杭頭免震構造の構築方法では、基礎杭の杭頭部に設けられる中空部に、地組された複数の縦補強筋と、前記縦補強筋に結束される円環状をなす横補強筋とを備えた杭頭補強筋を設置し、前記中空部、及び前記杭頭部の周りにコンクリートを打設して、免震装置が設置される基礎鉄筋コンクリート部を構築する。また、基礎杭を外方から覆う位置に型枠材を兼ねた外側鋼管を設置する点、または高さ調整用筋を基礎杭の杭天端上に載置して、杭頭補強筋の取り付け高さ位置を決定する点に特徴がある。
以下、添付図面を参照して、本発明による杭頭免震構造の構築方法、及び杭頭免震構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態における杭頭免震構造を
図1に示す。
図1に示されるように、建物1は、地盤G中に構築された基礎部2Aと、基礎部2A上に設けられた上部構造部3と、免震装置4と、を備えている。基礎部2Aは、複数の基礎杭21を備えている。本実施形態において、上部構造部3の躯体は、複数の基礎杭21のそれぞれに免震装置4を介して支持された複数の柱5と、互いに隣り合う柱5同士の間に架設された梁6と、を有している。免震装置4は、基礎杭21と柱5との間に設けられている。
【0012】
図2は、
図1のI-I矢視断面図である。
図1、
図2に示されるように、杭頭免震構造20Aのそれぞれは、上記のような基礎杭21と免震装置4に加え、外側鋼管22と、基礎鉄筋コンクリート部23Aと、杭頭補強筋30と、を備えている。
基礎杭21は、既製コンクリート造の、いわゆる既製杭であり、例えば、鉄筋コンクリート杭(プレキャストコンクリート杭)、プレストレストコンクリート杭、高強度プレストレストコンクリート杭、高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭、及び外殻鋼管付きコンクリート杭のうち、いずれかである。本実施形態において、基礎杭21は、最外郭に鋼管21mが設けられた外殻鋼管付きコンクリート杭である。基礎杭21は、工場で予め所定形状に成形されている。基礎杭21は、その横断面中央に中空部21hを有したコンクリート体である杭本体21cを備えている。鋼管21mは、杭本体21cの外周面を覆うように設けられている。中空部21hは、杭本体21cの上部において上下方向に連続して延び、基礎杭21の杭頭部21tで上方に向かって開口している。
【0013】
外側鋼管22は、基礎杭21の杭頭部21tの径方向外側に設けられている。
図1に示すように、外側鋼管22は、基礎杭21よりも上下方向の長さが小さい。地盤Gは、基礎杭21の周囲で、一定の深さで掘削されており、その根切底の上に礫26が設けられている。外側鋼管22は、礫26の上に設けられた捨てコンクリート25上に設けられている。外側鋼管22は、複数の高さ調整金具27によって、その設置高さが調整されている。複数の高さ調整金具27は、外側鋼管22の外周面の下部に、周方向に間隔を開けて3組以上設けられている。各高さ調整金具27は、捨てコンクリート25上に配置された敷プレート27aと、外側鋼管22の外周面に固定された雌ネジ部材27bと、高さ調整ボルト27cと、を備えている。高さ調整ボルト27cは、上下方向に延びて雌ネジ部材27bにねじ込まれ、その下端が敷プレート27aに突き当たっている。複数組の高さ調整金具27で高さ調整ボルト27cを回転させることにより、外側鋼管22の高さや微妙な傾きを調整する。外側鋼管22の下側には、外側鋼管22の下端と捨てコンクリート25との隙間を塞ぐ塞ぎ板24が設けられている。塞ぎ板24は、ガルバリウム鋼板(登録商標)等により形成されてよい。
外側鋼管22は、基礎杭21よりも上方まで延びている。外側鋼管22の内径は、杭頭部21tの外径よりも大きい。外側鋼管22の上端部の径方向内側には、免震装置4が載置されるベースプレート40が配置されている。外側鋼管22と、ベースプレート40とは、直接接合されていない。
外側鋼管22の径方向外側には、土間コンクリート28が敷設されている。
図1、
図2に示すように、外側鋼管22の外周面には、土間コンクリート28に埋設される複数のダボ筋29が接合されている。複数のダボ筋29は、基礎杭21の中空部21hを、より詳細には基礎杭21及び中空部21hの中心軸Cを中心とした円周方向に間隔をあけて配置されている。複数のダボ筋29は、外側鋼管22の外周面から径方向外側に放射状に延び、土間コンクリート28に埋設されている。
【0014】
基礎鉄筋コンクリート部23Aは、外側鋼管22の内側に現場で打設充填されたコンクリートからなる。基礎鉄筋コンクリート部23Aは、基礎杭21の中空部21h、及び基礎杭21と外側鋼管22との間に設けられ、基礎杭21の杭頭部21tを径方向外側から覆っている。基礎杭21の杭頭部21tは、基礎鉄筋コンクリート部23A内に埋設されている。基礎鉄筋コンクリート部23Aは、基礎杭21の杭頭部21tよりも径方向外側に拡径したフーチングを形成する。基礎鉄筋コンクリート部23Aは、外側鋼管22によって外方から覆われている。
基礎鉄筋コンクリート部23Aは、杭頭部21tより上方、かつ外側鋼管22の上端よりも下方の高さまで打設されたコンクリートにより形成された下側コンクリート部23cと、下側コンクリート部23c上に打設された追設コンクリート部23dと、から形成されている。基礎鉄筋コンクリート部23Aの上端面には、免震装置4が設けられている。
【0015】
杭頭補強筋30は、複数の縦補強筋31と、横補強筋32と、を有している。
複数の縦補強筋31は、基礎杭21の中空部21hを、より詳細には基礎杭21及び中空部21hの中心軸Cを中心とした円周方向に間隔をあけて、平面視したときに放射状に配置されている。複数の縦補強筋31は、ベースプレート40の下面に接合された、後に説明する複数の袋ナット44に対し、円周方向で互いに干渉しない位置に配置されている。複数の縦補強筋31の各々は、全体としてU字形状で、第一延在部31aと、第二延在部31bと、連結部31cと、を一体に有している。第一延在部31aは、基礎杭21の中空部21hと、杭頭部21tの上方の部分で、上下方向に延びている。第二延在部31bは、第一延在部31aに対して基礎杭21の径方向外側に間隔をあけて配置されている。第二延在部31bは、基礎杭21よりも径方向外側に配置され、上下方向に延びている。連結部31cは、第一延在部31aと第二延在部31bの上端部同士を連結している。このように、縦補強筋31はU字形状に形成されて、このU字を上下方向に逆にしたように姿勢づけられることで、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配されている。
各縦補強筋31の第一延在部31aの下端である一方の端部31sは、基礎杭21の中空部21h内で基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。第一延在部31aの上部は、基礎杭21よりも上方に突出し、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。連結部31cは、基礎杭21よりも上方で、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。各縦補強筋31の第二延在部31bは、各縦補強筋31の他方の端部31tとなる下端を含めた全体が、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。
【0016】
横補強筋32は、内周横補強筋32Aと、外周横補強筋32Bと、を有している。
内周横補強筋32Aは、いわゆるフープ筋であり、上方から見て円環状で、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。各内周横補強筋32Aは、平面視したときに中空部21hの内径よりも小さな径の円形となるように形成されており、複数の縦補強筋31の第一延在部31aに結束されている。複数の内周横補強筋32Aのうちの一部は、基礎杭21の中空部21h内で基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されており、残りは基礎杭21の杭頭部21tよりも上方で、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。
外周横補強筋32Bは、いわゆるフープ筋であり、上方から見て円環状で、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。各外周横補強筋32Bは、平面視したときに基礎杭21の外径よりも大きな径の円形となるように形成されており、複数の縦補強筋31の第二延在部31bに結束されている。複数の外周横補強筋32Bは、基礎杭21と外側鋼管22の間において、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。
【0017】
杭頭補強筋30には、高さ調整用筋70が設けられている。高さ調整用筋70は、縦補強筋31の、U字形状の内側に位置するように設けられている。高さ調整用筋70は、基礎杭21の周方向に間隔を開けて複数設けられている。高さ調整用筋70は、水平方向に沿って、基礎杭21の径方向に延びている。高さ調整用筋70は、内周横補強筋32Aと外周横補強筋32Bとに、溶接、番線等によって連結されている。高さ調整用筋70は、基礎杭21の杭天端上に当接し、載置されている。
杭頭補強筋30の上下方向における高さ調整用筋70の接合位置は、上記のように高さ調整用筋70が基礎杭21の杭天端上に当接するように杭頭補強筋30を設けた際に、基礎杭21に対する杭頭補強筋30の相対的な位置が適切な位置となるように、決定されている。
【0018】
また、基礎杭21の鋼管21mの径方向外側には、鉛直方向に延在する複数のパイルアンカー35が設けられている。複数のパイルアンカー35は、中心軸Cを中心とした円周方向に間隔をあけて配置されている。複数のパイルアンカー35は、複数の縦補強筋31と円周方向で干渉しない位置に配置されている。特に本実施形態においては、複数のパイルアンカー35の各々は、後に説明する、基礎鉄筋コンクリート部23Aの上端部に設けられた袋ナット44と対応付けられている。
図2に示されるように平面視したときに、パイルアンカー35と対応する袋ナット44を通る直線を延伸させると基礎杭21の中心を通るように、パイルアンカー35と袋ナット44が位置づけられている。
各パイルアンカー35は、接続金物37を介して基礎杭21の鋼管21mに接合されている。接続金物37は、ナット部材(図示なし)を備えている。各パイルアンカー35は、ネジ鉄筋であり、その下端部が接続金物37のナット部材にねじ込まれることで、各パイルアンカー35は基礎杭21に接合されている。各パイルアンカー35は、上下方向に延び、その上端部にはプレートおよびナットからなる定着具38が設けられている。本実施形態においては、定着具38は基礎杭21の上端よりも上方の高さに位置づけられている。このようなパイルアンカー35、及び接続金物37は、基礎鉄筋コンクリート部23A内に埋設されている。パイルアンカー35は、杭頭補強筋30の縦補強筋31の第二延在部31bと、上下方向(鉛直方向)において所定長オーバーラップするように設けられている。
【0019】
基礎鉄筋コンクリート部23Aの上端面上には、水平面に沿って、板状のベースプレート40が設けられている。ベースプレート40の下面には、袋ナット44が溶接されている。袋ナット44は、周方向に間隔をあけた複数個所に設けられている。袋ナット44は、基礎鉄筋コンクリート部23Aの追設コンクリート部23dに埋設されている。
ベースプレート40には、袋ナット44と対応する位置に、上下に貫通するボルト挿通孔40hが形成されている。また、ベースプレート40の中央部には、上下に貫通するコンクリート打設孔40gが形成されている。ベースプレート40には、コンクリート打設孔40g、及びボルト挿通孔40hと干渉しない位置に、複数の空気抜き孔40jが形成されている。
免震装置4は、下部ベースプレート41と、上部ベースプレート42と、積層ゴム部43と、を備えている。
下部ベースプレート41は、ベースプレート40上に載置されている。下部ベースプレート41は、周方向に間隔をあけた複数個所で、それぞれ取付ボルト(図示なし)をボルト挿通孔40hに貫通させて袋ナット44に締結することで、基礎鉄筋コンクリート部23Aの上端部に固定されている。上部ベースプレート42は、水平面に沿った板状で、柱5の下端面に沿って設けられている。柱5の下端部には、袋ナット45が埋設されている。上部ベースプレート42は、周方向に間隔をあけた複数個所で、それぞれ、取付ボルト(図示なし)を上部ベースプレート42に貫通させて袋ナット45に締結することで、柱5の下端部に固定されている。積層ゴム部43は、複数のゴム層43aと複数の鋼板43bとを上下に交互に積層することで構成されている。
【0020】
上記のような杭頭免震構造20Aにおいて、基礎杭21に曲げモーメントが作用して引張力Tが生じると、この引張力Tは、基礎杭21に接合されたパイルアンカー35に伝達される。この、パイルアンカー35に伝達された引張力は、杭頭補強筋30の縦補強筋31、袋ナット44を介して、免震装置4に伝達される。
また、柱5から免震装置4へと鉛直方向の圧縮軸力が作用すると、これは、免震装置4の下部ベースプレート41及びベースプレート40から、基礎杭21の杭頭部21tとベースプレート40との間の基礎鉄筋コンクリート部23Aを介して、基礎杭21に伝達される。また、圧縮軸力は、ベースプレート40から、基礎杭21の径方向外側の、基礎杭21と外側鋼管22の間の基礎鉄筋コンクリート部23A、及び捨てコンクリート25とを介しても、基礎杭21に伝達される。
【0021】
(杭頭免震構造の構築方法)
図3は、本実施形態における杭頭免震構造の構築方法の流れを示すフローチャートである。
図4は、本実施形態における基礎杭を設置する工程を示す図である。
図5は、本実施形態におけるパイルアンカーを取り付ける工程を示す図である。
上記のような杭頭免震構造20Aは、次のようにして構築することができる。
まず、
図4に示すように、既製コンクリート造の基礎杭21を現況地盤上から所定深さまで打ち込むことによって、基礎杭21を構築する(工程S1)。基礎杭21は、杭頭部21tが地盤Gから所定長、上方に突出するように設置する。その後、地盤G上に礫26、及び捨てコンクリート25をそれぞれ所定の厚さで敷設する。
次に、
図5に示すように、基礎杭21の鋼管21mの径方向外側に、複数のパイルアンカー35を取り付ける(工程S2)。これには、まず、例えば巻き尺に、鋼管21mの円周方向における複数のパイルアンカー35の設置間隔で、予め印をつけ、地盤Gから上方に露出した鋼管21mの外周面に当該巻き尺を巻いて、印の位置を目印にして、各パイルアンカー35の設置位置の墨出しを行う。その後、墨出し位置に合わせて、接続金物37を鋼管21mの外周面に溶接し、パイルアンカー35を接続金物37にねじ込む。
【0022】
図6は、本実施形態における外側鋼管を設置する工程を示す図である。
図7は、本実施形態における外側鋼管を固定する工程を示す図である。
図8は、本実施形態における外側鋼管の周囲を埋め戻す工程を示す図である。
次に、
図6に示すように、基礎杭21を外方から覆う位置に外側鋼管22を設置する(工程S3)。外側鋼管22は、上方から吊り込み、基礎杭21の杭頭部21tの径方向外側に配置する。外側鋼管22の外周面の下部には、高さ調整金具27の雌ネジ部材27bを予め溶接しておく。敷プレート27aを、捨てコンクリート25に敷いた後、高さ調整ボルト27cを、雌ネジ部材27bに上方からねじ込み、その先端を敷プレート27aに突き当てる。この状態で、高さ調整ボルト27cをねじ込むことで、外側鋼管22の下端を、捨てコンクリート25から上方に浮かせた状態とすることができる。この状態で、高さ調整ボルト27cを回転させることによって、複数の高さ調整金具27により、外側鋼管22の高さを調整する。なお、高さ調整ボルト27cは、外側鋼管22を基礎杭21の径方向外側に吊り込む段階で、雌ネジ部材27bにねじ込んでおき、その先端を、外側鋼管22の下端よりも下方に突出させておいてもよい。
続いて、高さ調整ボルト27cの下端を、敷プレート27aに溶接する。更に、
図7に示すように、外側鋼管22の下端と捨てコンクリート25との隙間に、塞ぎ板24を挿入し、外側鋼管22の下端に溶接する。これにより、外側鋼管22が固定される(工程S4)。
その後、
図8に示すように、外側鋼管22の周囲の地盤Gを、所定の高さまで埋め戻す(工程S5)。
【0023】
図9は、本実施形態における杭頭補強筋を地組する工程を示す図である。
図10は、本実施形態における杭頭補強筋を設置する工程を示す図である。
一方、現場内の作業ヤード等で、
図9に示すように、杭頭補強筋30を地組しておく(工程S6)。杭頭補強筋30は、複数の縦補強筋31と、複数の横補強筋32と、を用いて地組する。各縦補強筋31は、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配される。複数の縦補強筋31は、一方の端部31sが内側となるように、上方から見て放射状に設ける。横補強筋32としての内周横補強筋32A及び外周横補強筋32Bは、上下方向に間隔を開けて複数設ける。各内周横補強筋32Aは、複数の縦補強筋31の第一延在部31aに結束する。各外周横補強筋32Bは、複数の縦補強筋31の第二延在部31bに結束する。
更に、高さ調整用筋70を、縦補強筋31の、U字形状の内側に位置するように設ける。高さ調整用筋70は、基礎杭21の径方向に延びるようにし、内周横補強筋32Aと外周横補強筋32Bとに、溶接、番線等によって連結する。高さ調整用筋70は、高さ調整用筋70が基礎杭21の杭天端上に当接するように杭頭補強筋30を設けた際に、基礎杭21に対する杭頭補強筋30の相対的な位置が適切となる位置に接合する。
図10に示すように、地組した杭頭補強筋30は、工程S5を経た基礎杭21の杭頭部21tに取り付ける(工程S7)。杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sを基礎杭21の中空部21hに挿入し、外側に位置する他方の端部31tを、杭頭部21tの外側に位置するようにする。このとき、高さ調整用筋70を、基礎杭21の杭天端上に載置することで、杭頭補強筋30が、基礎杭21に対して適切な高さに位置づけられる。
【0024】
図11は、本実施形態におけるコンクリートを打設する工程を示す図である。
図12は、本実施形態における、ベースプレートをセットする工程を示す図である。
図13は、本実施形態における、追設コンクリートを打設する工程を示す図である。
続いて、
図11に示すように、基礎杭21の中空部21h、及び基礎杭21と外側鋼管22との間にコンクリートを打設し、基礎鉄筋コンクリート部23Aの下側コンクリート部23cを構築する(工程S8)。このとき、コンクリートは、外側鋼管22の上端よりも所定寸法低い高さまで打設する。下側コンクリート部23cを構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、例えば36N/mm
2のものが用いられ得る。この状態で、杭頭補強筋30は、複数の縦補強筋31の各々の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21h内で下側コンクリート部23cに埋設され、他方の端部31tは、基礎杭21と外側鋼管22との間で下側コンクリート部23cに埋設される。
下側コンクリート部23cを構築すると同時に、あるいはこれに前後して、土間コンクリート28を構築する。土間コンクリート28を構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、例えば21N/mm
2のものが用いられ得る。
次に、
図12に示すように、下側コンクリート部23c上に、ベースプレート40をセットする(工程S9)。ベースプレート40の下面には、ボルト挿通孔40hに対応した位置に袋ナット44を溶接しておく。複数の袋ナット44を、下側コンクリート部23cの上に載せることで、ベースプレート40を、所定の高さにセットする。このとき、必要に応じ、袋ナット44と下側コンクリート部23cとの間にシムプレートを挿入することで、ベースプレート40の高さを調整する。
続いて、かさ上げ型枠80をセットする(工程S10)。本実施形態においては、かさ上げ型枠80は、外側鋼管22の、下側コンクリート部23cよりも上方に立ち上がる上端部と、ベースプレート40の上面の外周部に設置された桟材81とにより、構成される。桟材81は、その上端が、外側鋼管22の上端よりも高くなるように設けられる。かさ上げ型枠80においては、ベースプレート40の外周部と、外側鋼管22の上端部との間に、周方向に連続する隙間82が形成されている。
【0025】
続いて、
図13に示すように、ベースプレート40の下側にコンクリートを打設して、基礎鉄筋コンクリート部23Aの追設コンクリート部23dを構築する(工程S11)。これには、ベースプレート40に形成されたコンクリート打設孔40gから、ベースプレート40と、先に構築した下側コンクリート部23cとの間に、コンクリートを打設・充填する。追設コンクリート部23dを構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、下側コンクリート部23cを構築するコンクリートよりも高い、例えば42N/mm
2のものが用いられ得る。ベースプレート40には、複数の空気抜き孔40jが形成されているので、ベースプレート40の下面側においても、気泡が残るのを抑えつつ、コンクリートが良好に打設・充填される。コンクリートは、ベースプレート40の外周部と、外側鋼管22の上端部との隙間82から溢れ出るまで、十分に打設する。このとき、ベースプレート40の上面の外周部には、桟材81が設けられているので、コンクリートがベースプレート40の上面側に回り込むのを抑えることができる。このようにすることで、コンクリートの充填性を高めつつ、後に免震装置4が設けられるベースプレート40の上面が汚れることが抑制される。打設したコンクリートが硬化することによって、追設コンクリート部23dが形成される。これにより、先に構築した下側コンクリート部23cと追設コンクリート部23dとからなる基礎鉄筋コンクリート部23Aが形成される。基礎鉄筋コンクリート部23Aは、下側コンクリート部23cと追設コンクリート部23dとで段階をおいてコンクリートが打設されているものの、これらの間に杭頭補強筋30が設けられているために、強固に連結されている。この基礎鉄筋コンクリート部23Aは、外側鋼管22の上端でベースプレート40を強固に支持する。
この後、
図1に示すように、ベースプレート40上に、免震装置4を載置し、さらにその上方に、上部構造部3を順次構築していく。
【0026】
(作用効果)
上述したような杭頭免震構造20Aの構築方法は、鋼管21mを用いた基礎杭21の杭頭部21tに免震装置4が設置される杭頭免震構造20Aの構築方法であって、地盤G内に基礎杭21を構築する工程S1と、複数の縦補強筋31であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部31sが内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋31と、複数の縦補強筋31の各々に結束される円環状の横補強筋32と、を備える杭頭補強筋30を地組する工程S6と、基礎杭21の杭頭部21tの杭水平断面中央に設けられる中空部21hに、縦補強筋31の一方の端部31sを設置し、杭頭部21tの外側に、縦補強筋31の他方の端部31tを設置するように、杭頭補強筋30を取り付ける工程S7と、中空部21h、及び杭頭部21tの周りにコンクリートを打設して、免震装置4が設置される基礎鉄筋コンクリート部23Aを構築する工程S8、S11と、を含む。
このような構成によれば、杭頭補強筋30を地組しておき、基礎杭21の杭頭部21tに杭頭補強筋30を取り付ける。これにより、杭頭補強筋30を組む作業を効率的に行うことができ、短工期化を図ることができる。
杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21hに設置され、外側に位置する他方の端部31tが杭頭部21tの外側に設置されるように取り付ける。このような杭頭補強筋30を、基礎杭21の中空部21hと杭頭部21tの周りとに打設したコンクリートによって形成される基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設することで、杭頭部21tが杭頭補強筋30、及び基礎鉄筋コンクリート部23Aで拘束される。これにより、杭頭部21tのせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋30は、U字形状の縦補強筋31と、縦補強筋31に結束される円環状の横補強筋32とを備えているため、杭頭部21tを効率良く補強することができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造20Aの構築方法を提供することができる。
【0027】
また、杭頭免震構造20Aの構築方法は、基礎杭21を外方から覆う位置に外側鋼管22を設置する工程S3を更に含み、基礎鉄筋コンクリート部23Aを構築する工程S8では、基礎杭21の中空部21h、及び基礎杭21と外側鋼管22との間にコンクリートを打設する。
このような構成によれば、基礎杭21を外方から覆う位置に設置した外側鋼管22を、取り外し不要な型枠として用い、その内側にコンクリートを打設することによって、基礎鉄筋コンクリート部23Aが形成される。したがって、杭頭免震構造20Aの構築を効率良く行うことができる。
また、このような構築方法により、鋼管21mを用いた基礎杭の杭頭部21tを基礎鉄筋コンクリート部23Aで覆い、その外方を更に外側鋼管22が覆うため、杭頭部21tが2重鋼管を備えるコンクリート杭が形成される。外側鋼管22の内側に形成されて杭頭部21tを覆う基礎鉄筋コンクリート部23Aは、杭頭補強筋30、及び外側鋼管22で一様に拘束されるために、せん断強度をさらに高めることができる。したがって、杭頭部21t周りに大型のコンクリート部を設けて杭頭免震構造20Aを形成する必要はなく、基礎躯体を小さく、コンパクトに実現することができる。
また、杭頭部21tが2重鋼管を備えるコンクリート杭とすることで、杭頭部21tの曲げ強度、及びせん断強度が高められるために、基礎杭21同士を基礎梁等で連結させて、基礎杭21のせん断抵抗力を高める必要がなくなる。したがって、基礎梁なしの独立フーチング形式の杭頭免震構造20Aを、せん断抵抗可能に、強固に実現することができる。
【0028】
また、杭頭補強筋30は、縦補強筋31の、U字形状の内側に位置するように設けられた高さ調整用筋70を備え、杭頭補強筋30を取り付ける工程S7では、高さ調整用筋70を基礎杭21の杭天端上に載置して、杭頭補強筋30の取り付け高さ位置を決定する。
このような構成によれば、杭頭補強筋30の縦補強筋31に設けられた高さ調整用筋70を、基礎杭21の杭天端上に載置することで、杭頭補強筋30の基礎杭21に対する取り付け高さ位置を、容易かつ確実に決定することができる。
【0029】
また、杭頭免震構造20Aは、基礎杭21の杭頭部21tに免震装置4が設置される杭頭免震構造20Aであって、鋼管21mを用いた基礎杭21と、基礎杭21の杭頭部21tを覆い、免震装置4が設置される基礎鉄筋コンクリート部23Aと、複数の縦補強筋31であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部31sが内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋31と、複数の縦補強筋31の各々に結束される円環状の横補強筋32と、を備える杭頭補強筋30と、を備え、杭頭補強筋30は、基礎杭21の杭頭部21tの杭水平断面中央に設けられる中空部21hに、縦補強筋31の一方の端部31sを設置し、杭頭部21tの外側に、縦補強筋31の他方の端部31tを設置するように取り付けられて、全体が基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設されている。
このような構成によれば、杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21hに設置され、外側に位置する他方の端部31tが杭頭部21tの外側に設置されるように、配置される。このような杭頭補強筋30を、基礎杭21の杭頭部21tを覆う基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設することで、杭頭部21tが杭頭補強筋30、及び基礎鉄筋コンクリート部23Aで拘束される。これにより、杭頭部21tのせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋30は、U字形状の縦補強筋31と、縦補強筋31に結束される円環状の横補強筋32とを備えているため、杭頭部21tを効率良く補強することができる。
また、杭頭補強筋30は、その全体が、基礎鉄筋コンクリート部23Aに埋設される。基礎鉄筋コンクリート部23を、基礎杭21の中空部21hと、杭頭部21tの周りとにコンクリートを打設して一体に構築することにより、施工の効率化を図ることができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造20Aを提供することができる。
【0030】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態における杭頭免震構造を
図14に示す。
図15は、
図14のII-II矢視断面図である。
図14に示されるように、本実施形態における杭頭免震構造において、基礎部2Bは、複数の杭頭免震構造20Bと、基礎梁50と、を備えている。
【0031】
複数の杭頭免震構造20Bのそれぞれは、基礎杭21と、基礎鉄筋コンクリート部23Bと、杭頭補強筋30と、を備えている。本実施形態の杭頭免震構造20Bは、外側鋼管22を備えていない。
基礎鉄筋コンクリート部23Bは、基礎杭21の杭頭部21tの径方向外側に現場で打設されたコンクリートからなる。基礎鉄筋コンクリート部23Bは、基礎杭21の杭頭部21tを径方向外側から覆っている。基礎杭21の杭頭部21tは、基礎鉄筋コンクリート部23B内に埋設されている。
基礎鉄筋コンクリート部23Bは、下側コンクリート部23cと、追設コンクリート部23dと、を有している。追設コンクリート部23dは、下側コンクリート部23c上に設けられている。杭頭補強筋30の連結部31cは、下側コンクリート部23cよりも上方に延びて、追設コンクリート部23d内に埋設されている。
【0032】
下側コンクリート部23cには、基礎梁50が接合されている。基礎梁50は、梁コンクリート51中に、梁主筋52、および梁せん断補強筋53が埋設されている。梁主筋52は、基礎鉄筋コンクリート部23B内を貫通している。
図15に示されるように、下側コンクリート部23cは、平面視したときに、追設コンクリート部23dよりも大きくなるように形成されている。
下側コンクリート部23c内には、基礎杭21の杭頭部21tの外周側と上方とに、杭頭部21tを側方と上方から覆うように、鉄筋籠62が埋設されている。鉄筋籠62は、上方から見て格子状に組まれた横筋62aを備えている。横筋62aは、上下方向に間隔をあけて複数層に設けられている。鉄筋籠62は、上下方向に延びて複数層の横筋62aを連結する縦筋62bをさらに備えている。
鉄筋籠62は、
図15に示されるように平面視したときに、最外郭が、矩形状を成すように形成されている。この矩形状の、隣接する側面の中心同士を結ぶように、平面視したときに斜め方向に延在する、補強筋61が設けられている。
【0033】
本実施形態においては、杭頭補強筋30は、第一実施形態よりも上方の高さ位置に設けられている。接続金物37は、基礎杭21の上端部近傍に設けられ、パイルアンカー35は基礎杭21の上端部よりも更に上方に延伸して、基礎杭21の杭頭部21tと免震装置4との間の基礎鉄筋コンクリート部23Bに埋設されている。杭頭補強筋30は、基礎杭21の杭天端上に載置された高さ調整用筋70によって、その高さ位置が調整されている。
本実施形態においても、パイルアンカー35は、縦補強筋31と鉛直方向にオーバーラップするように設けられている。
また、第一実施形態と同様、基礎鉄筋コンクリート部23B上には、ベースプレート40が設けられ、免震装置4は、ベースプレート40上に載置されている。
【0034】
(杭頭免震構造の構築方法)
図16は、本実施形態における杭頭免震構造の構築方法の流れを示すフローチャートである。
上記のような杭頭免震構造20Bは、次のようにして構築することができる。
まず、既製コンクリート造の基礎杭21を現況地盤上から所定深さまで打ち込むことによって、基礎杭21を構築する(工程S21)。基礎杭21は、杭頭部21tが地盤Gから所定長、上方に突出するように設置する。その後、地盤G上に礫26、及び捨てコンクリート25をそれぞれ所定の厚さで敷設する。
次に、基礎杭21の鋼管21mの径方向外側に、複数のパイルアンカー35を取り付ける(工程S22)。
【0035】
図17は、本実施形態における型枠を組む工程、杭頭補強筋を設置する工程を示す図である。
図18は、本実施形態におけるコンクリートを打設する工程を示す図である。
次に、
図17に示すように、基礎杭21を外方から覆う位置に型枠200を組む(工程S23)。型枠200は、捨てコンクリート25上に設置する。
一方、現場内の作業ヤード等で、杭頭補強筋30を地組しておく(工程S24)。杭頭補強筋30は、複数の縦補強筋31と、複数の横補強筋32と、を用いて地組する。各縦補強筋31は、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配される。複数の縦補強筋31は、一方の端部31sが内側となるように、上方から見て放射状に設ける。横補強筋32としての内周横補強筋32A及び外周横補強筋32Bは、上下方向に間隔を開けて複数設ける。各内周横補強筋32Aは、複数の縦補強筋31の第一延在部31aに結束する。各外周横補強筋32Bは、複数の縦補強筋31の第二延在部31bに結束する。
更に、高さ調整用筋70を、縦補強筋31の、U字形状の内側に位置するように設ける。高さ調整用筋70は、基礎杭21の径方向に延びるようにし、内周横補強筋32Aと外周横補強筋32Bとに、溶接、番線等によって連結する。高さ調整用筋70は、高さ調整用筋70が基礎杭21の杭天端上に当接するように杭頭補強筋30を設けた際に、基礎杭21に対する杭頭補強筋30の相対的な位置が適切となる位置に接合する。
【0036】
その後、地組した杭頭補強筋30を、基礎杭21の杭頭部21tに取り付ける(工程S25)。杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sを基礎杭21の中空部21hに挿入し、外側に位置する他方の端部31tを、杭頭部21tの外側に位置するようにする。このとき、杭頭補強筋30は、高さ調整用筋70を、基礎杭21の杭天端上に載置することで、杭頭補強筋30が、基礎杭21に対して適切な高さに位置づけられる。
なお、型枠200を組む工程S23と、杭頭補強筋30を取り付ける工程S25とは、その順序を入れ替えてもよい。
続いて、
図18に示すように、型枠200の内側にコンクリートを打設し、基礎鉄筋コンクリート部23Bの下側コンクリート部23cを構築する(工程S26)。下側コンクリート部23cを構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、例えば42N/mm
2のものが用いられ得る。このとき、杭頭補強筋30は、複数の縦補強筋31の各々の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21h内で基礎鉄筋コンクリート部23Bの下側コンクリート部23cに埋設され、他方の端部31tは、基礎杭21の外側で基礎鉄筋コンクリート部23Bの下側コンクリート部23cに埋設される。
その後、型枠200を解体・撤去し、基礎鉄筋コンクリート部23Bの周囲の地盤Gを、所定の高さまで埋め戻す(工程S27)。
下側コンクリート部23cを構築した後に、基礎梁50を構築する。基礎梁50の梁コンクリート51を構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、例えば30N/mm
2のものが用いられ得る。
【0037】
図19は、本実施形態おけるベースプレートをセットする工程、かさ上げ型枠をセットする工程を示す図である。
図20は、本実施形態における、追設コンクリートを打設する工程を示す図である。
次に、
図19に示すように、下側コンクリート部23c上に、ベースプレート40をセットする(工程S28)。ベースプレート40の下面には、ボルト挿通孔40hに対応した位置に袋ナット44を溶接しておく。複数の袋ナット44を、下側コンクリート部23cの上に載せることで、ベースプレート40を、所定の高さにセットする。このとき、必要に応じ、袋ナット44と下側コンクリート部23cとの間にシムプレートを挿入することで、ベースプレート40の高さを調整する。
続いて、かさ上げ型枠90をセットする(工程S29)。本実施形態においては、かさ上げ型枠90は、下側コンクリート部23c上に、上方へと立ち上がるように設けられた外枠93と、ベースプレート40の上面の外周部に設けられた桟材91と、から構成されている。桟材91は、その上端が、外枠93の上端よりも高くなるように設けられる。かさ上げ型枠90においては、ベースプレート40の外周部と、外枠93の上端部との間に、周方向に連続する隙間92が形成されている。
【0038】
続いて、
図20に示すように、ベースプレート40の下側にコンクリートを打設して、基礎鉄筋コンクリート部23Bの追設コンクリート23d部を構築する(工程S30)。これには、ベースプレート40に形成されたコンクリート打設孔40gから、ベースプレート40と、先に構築した下側コンクリート部23cとの間に、コンクリートを打設・充填する。追設コンクリート部23dを構築するコンクリートとしては、設計基準強度が、下側コンクリート部23cを構築するコンクリートと同等の、例えば42N/mm
2のものが用いられ得る。ベースプレート40には、複数の空気抜き孔40jが形成されているので、ベースプレート40の下面側においても、気泡が残るのを抑えつつ、コンクリートが良好に打設・充填される。コンクリートは、ベースプレート40の外周部と、外枠93の上端部との隙間92から溢れ出るまで、十分に打設する。このとき、ベースプレート40の上面の外周部には、桟材91が設けられているので、コンクリートがベースプレート40の上面側に回り込むのを抑えることができる。このようにすることで、コンクリートの充填性を高めつつ、後に免震装置4が設けられるベースプレート40の上面が汚れることが抑制される。打設したコンクリートが硬化することによって、追設コンクリート部23dが形成される。これにより、先に構築した下側コンクリート部23cと追設コンクリート部23dとからなる基礎鉄筋コンクリート部23Bが形成される。基礎鉄筋コンクリート部23Bは、下側コンクリート部23cと追設コンクリート部23dとで段階をおいてコンクリートが打設されているものの、これらの間に杭頭補強筋30が設けられているために、強固に連結されている。この基礎鉄筋コンクリート部23Bは、ベースプレート40を強固に支持する。
この後、かさ上げ型枠90の外枠93、及び桟材91を撤去した後、
図14に示すように、ベースプレート40上に、免震装置4を載置し、さらにその上方に、上部構造部3を順次構築していく。
【0039】
(作用効果)
上述したような杭頭免震構造20Bの構築方法は、鋼管21mを用いた基礎杭21の杭頭部21tに免震装置4が設置される杭頭免震構造20Bの構築方法であって、地盤G内に基礎杭21を構築する工程S21と、複数の縦補強筋31であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部31sが内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋31と、複数の縦補強筋31の各々に結束される円環状の横補強筋32と、を備える杭頭補強筋30を地組する工程S24と、基礎杭21の杭頭部21tの杭水平断面中央に設けられる中空部21hに、縦補強筋31の一方の端部31sを設置し、杭頭部21tの外側に、縦補強筋31の他方の端部31tを設置するように、杭頭補強筋30を取り付ける工程S25と、中空部21h、及び杭頭部21tの周りにコンクリートを打設して、免震装置4が設置される基礎鉄筋コンクリート部23Bを構築する工程S26、S30と、を含む。
このような構成によれば、杭頭補強筋30を地組しておき、基礎杭21の杭頭部21tに杭頭補強筋30を取り付ける。これにより、杭頭補強筋30を組む作業を効率的に行うことができ、短工期化を図ることができる。
杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21hに設置され、外側に位置する他方の端部31tが杭頭部21tの外側に設置されるように取り付ける。このような杭頭補強筋30を、基礎杭21の中空部21hと杭頭部21tの周りとに打設したコンクリートによって形成される基礎鉄筋コンクリート部23Bに埋設することで、杭頭部21tが杭頭補強筋30、及び基礎鉄筋コンクリート部23Bで拘束される。これにより、杭頭部21tのせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋30は、U字形状の縦補強筋31と、縦補強筋31に結束される円環状の横補強筋32とを備えているため、杭頭部21tを効率良く補強することができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造20Bの構築方法を提供することができる。
【0040】
また、杭頭補強筋30は、縦補強筋31の、U字形状の内側に位置するように設けられた高さ調整用筋70を備え、杭頭補強筋30を取り付ける工程S25では、高さ調整用筋70を基礎杭21の杭天端上に載置して、杭頭補強筋30の取り付け高さ位置を決定する。
このような構成によれば、杭頭補強筋30の縦補強筋31に設けられた高さ調整用筋70を、基礎杭21の杭天端上に載置することで、杭頭補強筋30の基礎杭21に対する取り付け高さ位置を、容易かつ確実に決定することができる。
【0041】
また、杭頭免震構造20Bは、基礎杭21の杭頭部21tに免震装置4が設置される杭頭免震構造20Bであって、鋼管21mを用いた基礎杭21と、基礎杭21の杭頭部21tを覆い、免震装置4が設置される基礎鉄筋コンクリート部23Bと、複数の縦補強筋31であって、各々がU字形状に加工され、U字形状の底部が上側に位置するように逆転して配され、一方の端部31sが内側となるように放射状に設けられた、複数の縦補強筋31と、複数の縦補強筋31の各々に結束される円環状の横補強筋32と、を備える杭頭補強筋30と、を備え、杭頭補強筋30は、基礎杭21の杭頭部21tの杭水平断面中央に設けられる中空部21hに、縦補強筋31の一方の端部31sを設置し、杭頭部21tの外側に、縦補強筋31の他方の端部31tを設置するように取り付けられて、全体が基礎鉄筋コンクリート部23Bに埋設されている。
このような構成によれば、杭頭補強筋30は、縦補強筋31の一方の端部31sが基礎杭21の中空部21hに設置され、外側に位置する他方の端部31tが杭頭部21tの外側に設置されるように、配置される。このような杭頭補強筋30を、基礎杭21の杭頭部21tを覆う基礎鉄筋コンクリート部23Bに埋設することで、杭頭部21tが杭頭補強筋30、及び基礎鉄筋コンクリート部23Bで拘束される。これにより、杭頭部21tのせん断強度を増大させることができる。特に、杭頭補強筋30は、U字形状の縦補強筋31と、縦補強筋31に結束される円環状の横補強筋32とを備えているため、杭頭部21tを効率良く補強することができる。
また、杭頭補強筋30は、その全体が、基礎鉄筋コンクリート部23Bに埋設される。基礎鉄筋コンクリート部23を、基礎杭21の中空部21hと、杭頭部21tの周りとにコンクリートを打設して一体に構築することにより、施工の効率化を図ることができる。
したがって、強固な躯体を容易に構築可能な杭頭免震構造20Bを提供することができる。
【0042】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の杭頭免震構造は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記第一実施形態では、基礎鉄筋コンクリート部23Aを外方から覆う外側鋼管22を備える構成としたが、外側鋼管22のさらに外側にも基礎鉄筋コンクリート部を設け、外側鋼管22を基礎鉄筋コンクリート部で覆う場合であっても良いし、外側鋼管22を備えない構成とすることも可能である。あるいは、上記第二実施形態では、基礎鉄筋コンクリート部23Bを外方から覆う外側鋼管を備えない構成としたが、外側鋼管を備えた構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では、高さ調整用筋70は、内周横補強筋32Aと外周横補強筋32Bとに連結するようにしたが、これに限られない。高さ調整用筋70は、内周横補強筋32Aのみ、又は内周横補強筋32Aのみに連結するようにしてもよい。さらに、高さ調整用筋70は、例えば上端部が連結部31cに連結されて下方に延び、その下端部が基礎杭の杭天端上に当接して設けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
4 免震装置 23d 追設コンクリート部
20A、20B 杭頭免震構造 30 杭頭補強筋
21 基礎杭 31 縦補強筋
21h 中空部 31s 一方の端部
21m 鋼管 31t 他方の端部
21t 杭頭部 32 横補強筋
22 外側鋼管 70 高さ調整用筋
23A、23B 基礎鉄筋コンクリート部 G 地盤
23c 下側コンクリート部