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特開2023-110209樹脂組成物およびそれを用いた成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110209
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびそれを用いた成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20230802BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 81/02 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 77/10 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230802BHJP
   C08K 9/08 20060101ALI20230802BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L67/02
C08L81/02
C08L23/06
C08L27/18
C08L77/00
C08L77/10
C08L63/00 A
C08K9/08
C08K7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011507
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊與 直希
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB033
4J002BB213
4J002BD153
4J002CD055
4J002CD075
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF081
4J002CL014
4J002CL034
4J002CL062
4J002CN011
4J002FA042
4J002FB277
4J002FD012
4J002GM05
(57)【要約】
【課題】長期の低摩耗性に優れ、摺動時の低摩擦係数を発現し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性に優れる樹脂組成物およびそれを用いた成形体を提供する。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリテトラフルオロエチレンおよび粘度平均分子量が100,000~1,000,000であるポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動材(B成分)を4~25重量部、(C)全芳香族ポリアミド繊維(C成分)を5~30重量部および(D)脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂(D成分)を0.5~15重量部含有する樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリテトラフルオロエチレンおよび粘度平均分子量が100,000~1,000,000であるポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動材(B成分)を4~25重量部、(C)全芳香族ポリアミド繊維(C成分)を5~30重量部および(D)脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂(D成分)を0.5~15重量部含有する樹脂組成物。
【請求項2】
D成分がポリアミド6およびポリアミド66からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
A成分100重量部に対し、(E)エポキシ当量が100~10,000g/eqであるエポキシ樹脂(E成分)を0.5~8重量部含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
A成分が熱可塑性ポリエステル樹脂であり、かつB成分が無水マレイン酸で変性された変性ポリエチレン樹脂である請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
A成分がポリブチレンナフタレート樹脂である請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
A成分が(A-1)末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに(A-2)末端に前記官能基を含有しないポリアリーレンスルフィド樹脂(A-2成分)0~90重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂であり、かつB成分が極性基を有さないポリエチレン樹脂である請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
C成分が、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の集束剤にて集束されている全芳香族ポリアミド繊維である請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
C成分のA成分に添加する前の平均繊維長が2~6mmである請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
C成分がパラ系全芳香族ポリアミド繊維である請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期の低摩耗性に優れ、摺動時の低摩擦係数を発現し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性に優れる樹脂組成物およびそれを用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性ポリエステル樹脂やポリアリーレンスルフィド樹脂は、その優れた低吸水性から環境変化による機械特性や寸法変化が少なく安定した性能を発揮できること、さらには潤滑成分添加による摺動性付与が容易なことから、各種ギヤや軸受けのような精密性が求められる摺動部材への適用が期待されている。プラスチック材料の摺動性の評価手法としては例えばJIS K7218 A法に記載があり、所定の荷重、速度下で所定の距離を摺動させた試験片の重量減少から摩耗量を求めることができる。しかしながら、摺動距離が3kmと実際の使用を想定した場合と比べて短く、摺動初期では低摩耗性を示していても摺動距離が長くなるにつれて摩耗量および摩擦係数が増加していくケースがあるため、実際の使用に耐え得るかを判断するためにはより長距離の試験を行って摺動安定性を評価する必要がある。
【0003】
特許文献1にはポリアリーレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、繊維状充填材および無機フィラーからなる長期の耐摩耗性が向上した樹脂材料が、特許文献2にはポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド繊維および鱗片状黒鉛からなる長期の耐摩耗性に優れる軸受けを提案しているが、これらの比摩耗量は10-6mm/N・mオーダーであり、昨今の長寿命化ニーズに対応するにはさらなる低摩耗化が必要である。特許文献3には熱可塑性樹脂、繊維状充填材および固体潤滑剤からなる低摩耗なチェーン用摺動部材が提案されているが、比摩耗量が10-7mm/N・mオーダー後半から10-6mm/N・mオーダーであり、かつ摩擦係数が高く更なる改善が必要である。
【0004】
また、アラミド繊維を含有した樹脂組成物のペレットは表面のアラミド繊維同士が干渉し合い、射出成形機のホッパーに堆積したまま供給されないという問題が発生する場合がある。特許文献4ではポリアリーレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、アラミド繊維およびエポキシ化合物からなるペレットの供給性を改善した材料を提案しているが、摺動性に関する記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-134243号公報
【特許文献2】特開2007-25434号公報
【特許文献3】特開2015-124056号公報
【特許文献4】特開2020-41019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長期の低摩耗性に優れ、摺動時の低摩擦係数を発現し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性に優れる樹脂組成物およびそれを用いた成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上述の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性ポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂にポリテトラフルオロエチレンおよび特定のポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動材、全芳香族ポリアミド繊維および特定のポリアミド樹脂を特定の割合で配合することにより、上記目的を達成することを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、上記課題は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリテトラフルオロエチレンおよび粘度平均分子量が100,000~1,000,000であるポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動材(B成分)を4~25重量部、(C)全芳香族ポリアミド繊維(C成分)を5~30重量部および(D)脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂(D成分)を0.5~15重量部含有することを特徴とする樹脂組成物により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長期の低摩耗性に優れ、摺動時の低摩擦係数を発現し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性に優れる樹脂組成物およびそれを用いた成形体を提供することができ、本発明の樹脂組成物より得られる成形体は例えば電気電子、半導体、自動車、産業機械、OA機器および建築分野で用いられる摺動部材に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、更に本発明の詳細について説明する。
【0011】
<A成分について>
本発明のA成分である熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸および/またはジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と、ジオールを主成分とするグリコール成分を用いて製造することができる。
【0012】
ジカルボン酸成分としては、例えば2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。2種以上のジカルボン酸を使用する場合、主成分となるジカルボン酸の使用量は全酸成分に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4′-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。2種以上のジカルボン酸エステル形成性誘導体を使用する場合、主成分となるジカルボン酸エステル形成性誘導体の使用量は全ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。
【0013】
また、少量のトリメリット酸のような三官能性以上のジカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリット酸のような酸無水物を少量用いてもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。
【0014】
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリ(オキシ)テトラメチレングリコール、ポリ(オキシ)メチレングリコール等のアルキレングリコールの1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンのような多価アルコール成分を用いてもよい。主成分となるグリコール成分の使用量は、全グリコール成分に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。
【0015】
かかるグリコール成分の使用量は、前記ジカルボン酸もしくはジカルボン酸のエステル形成性誘導体に対して1.1モル倍以上1.4モル倍以下であることが好ましい。グリコール成分の使用量が1.1モル倍に満たない場合にはエステル化あるいはエステル交換反応が十分に進行しない場合があり好ましくない。また、1.4モル倍を超える場合にも、理由は定かではないが反応速度が遅くなり、過剰のグリコール成分からテトラヒドロフラン等の副生物の発生量が多くなる場合があり好ましくない。
【0016】
熱可塑性ポリエステル樹脂の製造においては、公知の重合触媒を用いることができ、例えばチタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物などが挙げられるが、その中でもチタン化合物が好ましい。重合触媒として用いられるチタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的にはテトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-sec-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラ-n-ヘキシルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、これらの混合チタネートとして用いても良い。これらのチタン化合物のうち、特にテトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートが好ましく、最も好ましいのはテトラ-n-ブチルチタネートである。チタン化合物の添加量は生成熱可塑性ポリエステル樹脂中のチタン原子含有量として、10ppm以上60ppm以下であることが好ましく、より好ましくは15ppm以上30ppm以下である。生成熱可塑性ポリエステル樹脂中のチタン原子含有量が60ppmを超える場合は、本発明の樹脂組成物の色調および熱安定性が低下する場合があるために好ましくない。一方チタン原子含有量が10ppm未満の場合には、良好な重合活性を得ることができず、充分な高い固有粘度の熱可塑性ポリエステル樹脂を得ることができない場合があり好ましくない。本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分とグリコール成分とを重合触媒の存在下にてエステル化あるいはエステル交換反応工程と、それに続く重縮合反応工程とを経由して製造されることが好ましいが、エステル化あるいはエステル交換反応終了の際の温度が180℃以上230℃以下の範囲にあることが好ましく、180℃以上220℃以下であることがより好ましい。当該エステル化反応又はエステル交換反応終了の際の温度が230℃を超える場合には反応速度は大きくなるが、テトラヒドロフラン等の副生物が多くなる場合があり好ましくない。また、180℃未満では反応が進行しなくなる場合がある。エステル化あるいはエステル交換反応により得られた反応生成物(ビスグリコールエーテルおよび/またはその低重合体)は当該反応生成物を熱可塑性ポリエステル樹脂の融点以上290℃以下の温度において0.4kPa(3Torr)以下の減圧下で重縮合させることが好ましい。重縮合反応温度が290℃を超える場合にはむしろ反応速度が低下して、着色も大きくなる場合があるので好ましくない。
【0017】
熱可塑性ポリエステル樹脂は1種もしくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。2種類以上を使用する場合には、その供給方法は特に限定されないが、例えばペレット状または粉状の熱可塑性ポリエステル樹脂を事前にブレンダーにてよく混合した後に押出機へ供給する方法や、それぞれを単独に供給する方法が挙げられる。熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることで、成形体の長期の低摩耗性、低摩擦係数を向上させることができる。代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えばポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらの共重合体が挙げられ、共重合成分としては上述したジカルボン酸成分やグリコール成分を用いることができるが、特にポリブチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂の共重合体、およびポリブチレンナフタレート樹脂と他の熱可塑性ポリエステル樹脂との混合物が好ましく、ポリブチレンナフタレート樹脂がさらに好ましい。これらの好ましい熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることで、成形体の長期の低摩耗性をより向上させる場合がある。
【0018】
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いることで、成形体の長期の低摩耗性、低摩擦係数を向上させることができる。
【0019】
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p-フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p-フェニレンスルフィド)がより好ましい。
【0020】
ポリアリーレンスルフィド樹脂の末端官能基は特に限定されないが、末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに末端に前記官能基を有しないポリアリーレンスルフィド樹脂0~90重量%(A-2成分)からなるポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましい。
【0021】
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、特に好適な重合方法としては、米国登録特許第4,746,758号、第4,786,713号、特表2013-522385、特開2012-233210および特許5167276等に記載された製造方法が挙げられる。これらの製造方法は、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法である。
【0022】
前記製造方法はヨウ化工程および重合工程を含む。該ヨウ化工程ではアリール化合物をヨードと反応させて、ジヨードアリール化合物を得る。続く重合工程で、重合停止剤を用いてジヨードアリール化合物を固体硫黄と重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。ヨードはこの工程で気体状で発生し、これを回収して再びヨウ化工程に用いられる。実質的にヨードは触媒である。
【0023】
前記製造方法で用いられる代表的な固体硫黄としては、室温で8個の原子が連結されたシクロオクタ硫黄形態(S8)が挙げられる。しかしながら重合反応に用いられる硫黄化合物は限定されるものではなく、常温で固体または液体であればいずれの形態でも使用し得る。
【0024】
前記製造方法で用いられる代表的なジヨードアリール化合物としては、ジヨードベンゼン、ジヨードナフタレン、ジヨードビフェニル、ジヨードビスフェノールおよびジヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、またアルキル基やスルホン基が結合していたり、酸素や窒素が導入されたりしているヨードアリール化合物の誘導体も使用される。ヨードアリール化合物はそのヨード原子の結合位置によって異なる異性体に分類され、これらの異性体のうち好ましい例は、p-ジヨードベンゼン、2,6-ジヨードナフタレン、及びp,p’-ジヨードビフェニルのようにヨードがアリール化合物の分子両端に対称的に位置する化合物である。該ヨードアリール化合物の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し500~10,000重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
【0025】
前記製造方法で用いられる代表的な重合停止剤としては、モノヨードアリール化合物、ベンゾチアゾール類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバメート類、芳香族スルフィド化合物などが挙げられる。モノヨードアリール化合物のうち好ましい例としては、ヨードビフェニル、ヨードフェノール、ヨードアニリン、ヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾール類のうち好ましい例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾールスルフェンアミド類のうち好ましい例としては、N-シクロヘキシルベンゾチアゾール2-スルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-モルホリノチオベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールスルフェンアミド、ジベンゾチアゾールジスルファイド、N-ジシクロヘキシルベンゾチアゾール2-スルフェンアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。チウラム類のうち好ましい例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ジチオカルバメート類のうち好ましい例としては、ジメチルジチオカルバメート酸亜鉛、ジエチルジチオカルバメート酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。芳香族スルフィド化合物のうち好ましい例としては、ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。またいずれの重合停止剤においても、共役芳香環骨格上に一つまたは複数の官能基が置換されていてもよい。前記官能基の例としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、スルホ基、ニトロ基などが挙げられ、好ましい例としてはヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基が挙げられ、さらに好ましい例としてはFT-IRスペクトル上で、3200~3600cm-1、1600~1800cm-1および3300~3500cm-1のピークを示すヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基が挙げられる。重合停止剤の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し1~30重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
【0026】
前記製造方法では重合反応触媒を使用しても良く、代表的な重合反応触媒としては、ニトロベンゼン系触媒が上げられる。ニトロベンゼン系触媒のうち好ましい例としては、1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼン、1-ヨード-4-ニトロベンゼン、2,6-ジヨード-4-ニトロフェノール、ヨードニトロベンゼン、2,6-ジヨード-4-ニトロアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。重合反応触媒の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し0.01~20重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
【0027】
この重合方法を使うことにより、実質的に塩素含有量およびナトリウム含有量を低減させる必要が無く、コストパフォーマンスに優れたポリフェニレンスルフィド樹脂を得ることができる。
【0028】
また本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂は、その他の重合方法によって得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を含んでいてもよい。
【0029】
<B成分について>
本発明はB成分としてポリテトラフルオロエチレンおよび粘度平均分子量が100,000~1,000,000であるポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動材を含む。これらの摺動材を用いることで、成形体の長期の低摩耗性および低摩擦係数を向上させることができる。
【0030】
本発明のB成分であるポリエチレン樹脂はそれ自体公知のものを用いることができ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンと高分子量あるいは低分子量ポリエチレンとを多段重合法により重合させて得られるポリエチレンおよびこれらの変性体が例示され、これらの1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。ポリエチレンを変性する方法としては、従来公知の種々の方法が採用でき、例えば上記ポリエチレンを140~180℃の溶融状態で空気を導入することで酸化反応による官能基導入を行う方法や、上記ポリエチレンを溶媒に懸濁させ、あるいは溶解させて、通常、80~200℃の温度で、変性用単量体とラジカル重合開始剤等を添加混合してグラフト共重合させる方法、あるいは融点以上、例えば、180~300℃の温度で溶融混練下に変性用単量体とラジカル重合開始剤とを接触させる方法などが挙げられる。変性用単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸(エンドシス-ビシクロ〔2,2〕ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等が挙げられ、またその誘導体としては、酸ハライド、エステル、アミド、イミド、無水物等が挙げられ、例えば、塩化マレニル、マレイミド、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。A成分に熱可塑性ポリエステル樹脂を用いた場合は、この中でもマレイン酸および無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で変性された変性ポリエチレン樹脂が好ましく、無水マレイン酸で変性された変性ポリエチレン樹脂が特に好ましい。A成分にポリアリーレンスルフィド樹脂を用いた場合は、極性基を有さないポリエチレン樹脂を用いるのが好ましい。これらの好ましいポリエチレン樹脂を用いることで、成形体の低摩耗性および樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性をより向上できる場合がある。
【0031】
ポリエチレン樹脂の粘度平均分子量(Mv)は100,000~1,000,000の範囲であり、好ましくは200,000~900,000、より好ましくは300,000~800,000の範囲である。粘度平均分子量が100,000未満であると、長期摺動時の摩耗量と摩擦係数が増加し、1,000,000を超えると、押出時の分散性が足りずB成分が分離してしまいストランドが切断してペレット化が困難になる。なお、ポリエチレン樹脂の粘度平均分子量は、135℃のデカリン酸溶媒中で測定される極限粘度[η]を用いて下記一般式(1)より求められる。
Mv=5.37×10[η]1.37 ・・・(1)
【0032】
本発明のB成分であるポリテトラフルオロエチレンは、それ自体公知のものを用いることができ、焼成、未焼成のどちらのポリテトラフルオロエチレンでも使用可能であるが、ポリテトラフルオロエチレンは再凝集し易いので、再凝集し難くするために焼成処理等を施した粉末状ものが好ましく、特に焼成処理温度360℃以上で焼成されたポリテトラフルオロエチレンが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの融点は、再凝集し難くするためDSC法で測定して320~335℃のものが好ましく、より好ましくは325~335℃である。またポリテトラフルオロエチレンの平均粒径は、パークロルエチレン中に分散させた分散液を光透過法により測定する方法で測定され、0.1μm~100μmが好ましく、より好ましくは1μm~40μmであり、さらに好ましくは1μm~20μmである。なおここでいう平均粒径はレーザー回折・散乱法(MICOTRAC法)を用いて測定した重量平均粒径である。また、このポリテトラフルオロエチレンは、数平均分子量としては10万以上のものが好ましく、より好ましくは20万以上のものである。このようなポリテトラフルオロエチレンの例としては、(株)喜多村よりKTL-620、KTL-450A、KT-600M、KT-400Mとして市販されており容易に入手可能である。
【0033】
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、4~25重量部であり、好ましくは7~22重量部、より好ましくは10~20重量部である。含有量が4重量部未満の場合、長期摺動時の摩耗量と摩擦係数が増加する。25重量部を超える場合、長期摺動時の摩耗量が増加しかつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性が損なわれ、連続成形が困難となる。
【0034】
<C成分について>
本発明のC成分として使用される全芳香族ポリアミド繊維としては、全芳香族アラミド繊維と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。全芳香族ポリアミド繊維を用いることで、優れた低摩耗性を発現させることができる。全芳香族アラミド繊維としては、例えばメタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維などが挙げられ、その中でもパラ系アラミド繊維が好ましい。
【0035】
本発明の繊維を構成する全芳香族ポリアミドとは、実質的に一種以上の芳香族ジアミンと一種以上の芳香族ジカルボン酸ハライドによって得られるものである。但し一種以上の芳香族ジアミンと一種以上の芳香族ジカルボン酸に、例えばトリフェニルホスファイトおよびピリジンの系に代表される縮合剤を添加することもできる。全芳香族ポリアミドはパラ型でもメタ型でもよいがパラ型がより好ましい。好ましい芳香族ジアミンとしては、p-フェニレンジアミン、ベンチジン、4,4”-ジアミノ-p-ターフェニル、2,7-ジアミノフルオレン、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4´-ビス-(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、9,10-ビス-(4-アミノフェニル)アントラセンなどが挙げられる。芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、酸クロリドが特に好ましく、テレフタル酸クロリド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロリド、4,4´-ジフェニルジカルボン酸クロリド、およびその芳香環に1個以上の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲノ基、ニトロ基、などの非反応性官能基を含むものなどが挙げられる。
さらに芳香族ジカルボン酸を使用する場合には、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4´-ジフェニルジカルボン酸、およびその芳香環に1個以上の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲノ基、ニトロ基、などの非反応性官能基を含むものなどが挙げられる。さらに本発明で好ましい全芳香族ポリアミドの構造は、その主骨格が下記式で表されるものである。
【0036】
【化1】
【0037】
(但し、Ar、Arは下記一般式[I]~[IV]からなる群より選ばれる少なくとも1種類の芳香族残基を示す。なおAr、Arは互いに同一であっても異なるものであってもよい。また、これらの芳香族残基は、その水素原子の一部がハロゲン原子または低級アルキル基で置換されていてもよい。)
【0038】
【化2】
【0039】
なかでも、前記Ar、Arの合計を100モル%としたときに、一般式[I]と一般式[II]との合計、一般式[I]と一般式[III]との合計、一般式[I]と一般式[IV]との合計、または一般式[I]が80モル%以上であることが好ましい。より好ましくは一般式[I]と一般式[II]との合計、または一般式[I]と一般式[III]との合計が80モル%以上である。さらに好ましくは一般式[I]と一般式[II]との合計、または一般式[I]と一般式[III]との合計が80モル%以上であり、且つ一般式[II]または一般式[III]が1~20モル%のものである。
【0040】
紡糸原液となる芳香族ポリアミドドープは、溶液重合を行ったものでも、別途得られた全芳香族ポリアミドを溶媒に溶解せしめたものでもよいが、溶液重合反応を行ったものが好ましい。また、溶解性を向上するために溶解助剤として無機塩を少量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0041】
重合溶媒、あるいは再溶解溶媒としては一般に公知の非プロトン性有機極性溶媒を用いるが、例を挙げるとN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ブチルアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、N-アセチルピロリジン、N-アセチルピペリジン、N-メチルピペリドン-2,N,N´-ジメチルエチレン尿素、N,N´-ジメチルプロピレン尿素、N,N,N´,N´-テトラメチルマロンアミド、N-アセチルピロリドン、N,N,N´,N´-テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシドなどがあり、さらに再溶解溶媒としては濃硫酸やメタンスルホン酸などの強酸が挙げられる。
【0042】
全芳香族ポリアミドの重合度は特に制限はないが、溶媒に溶解するならば重合度は大きい方が好ましい。全芳香族ポリアミドを溶液重合する場合、酸成分とジアミン成分との比は実質的に等モルで反応させるが、重合度制御のためいずれかの成分を過剰に用いることもできる。また、末端封鎖剤として単官能の酸成分、アミン成分を使用してもよい。
【0043】
全芳香族ポリアミドを繊維状に成形する場合には、通常全芳香族ポリアミドドープを湿式成形する方法が使用され、該ドープを凝固浴の中に直接吐出する方法またはエアギャップを設けて凝固浴の中に吐出する方法がある。凝固浴には全芳香族ポリアミドの貧溶媒が用いられるが、全芳香族ポリアミドドープの溶媒が急速に抜け出して全芳香族ポリアミド繊維に欠陥ができぬように、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。一般には貧溶媒として水、良溶媒として全芳香族ポリアミドドープの溶媒を用いるのが好ましい。良溶媒/貧溶媒の比は、全芳香族ポリアミドの溶解性や凝固性にもよるが、15/85~40/60が好ましい。
【0044】
かかる全芳香族ポリアミド繊維は集束の有無に関係なく効果を発揮するが、集束されているものは取り扱い易く好ましい。集束のための結合剤としてはポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などがあげられ、その中でもポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がさらに好ましい。本発明においてかかる全芳香族ポリアミド繊維は単独あるいは2種以上の混合物として使用できる。
【0045】
またかかる全芳香族ポリアミド繊維は、A成分に添加する前の平均繊維長が2~6mmであることが好ましく、2~5mmがより好ましい。平均繊維長が、2mm未満では補強効果が十分でなく、長期の低摩耗性の向上が不十分である場合があり、6.0mmを超えると製造時の取り扱いが困難になると共に組成物の流動性が劣り、成形性が不良となる場合がある。平均繊維長の測定方法は、例えば繊維束から任意の単繊維を取り出して、顕微鏡で拡大して50本の繊維長を測定し、その平均値を繊維長とする方法で測定できる。
【0046】
またかかる全芳香族ポリアミド繊維の形態は特に限定されず、いかなる形態のものでも使用できるが、樹脂組成物製造時のハンドリング性の観点から撚りがかけられていることが好ましい。撚り数の大きい繊維束を用いることで、押出機への全芳香族ポリアミド繊維の供給が安定する場合がある。全芳香族ポリアミド繊維の好ましい撚り数としては10~500回/mであり、より好ましくは50~450回/m、さらに好ましくは100~400回/mである。
【0047】
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、5~30重量部であり、好ましくは7~28重量部、より好ましくは9~26重量部、特に好ましくは12~24重量部である。C成分の含有量が30重量部を超える場合、製造時の取り扱いが困難になり、樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性が損なわれ、連続成形が困難となる。一方、含有量が5重量部未満の場合、長期摺動時の摩耗量が増加する。
【0048】
<D成分について>
本発明のD成分として使用されるポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよく、1種類もしくは複数種類の混合物を用いてもよい。脂肪族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを構成成分として含有し、主鎖中に芳香族成分を含まないポリアミドであり、例えば、ポリε-カプラミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカナミド(ポリアミド11)、ポリドデカナミド(ポリアミド12)およびこれらのうち少なくとも2種類の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体が例示される。半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを構成成分として含有し、ジカルボン酸成分に芳香族ジカルボン酸を含有し、ジアミン成分に脂肪族ジアミンを含有するものであり、ジカルボン酸成分はテレフタル酸(T)を含有することが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂としてはポリアミド8T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12Tが例示される。これらポリアミド樹脂の中でもポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド10Tおよびこれらの混合物が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66およびこれらの混合物が特に好ましく、長期の低摩耗性をより向上させる場合がある。
【0049】
D成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.5~15重量部であり、好ましくは0.5~12重量部、より好ましくは0.5~8重量部、特に好ましくは1~5重量部である。D成分の含有量が15重量部を超える場合および0.5重量部未満の場合は、長期摺動時の摩耗量が増加し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性が損なわれ、連続成形が困難となる。含有量が0.5重量部未満の場合は、さらに長期摺動時の摩擦係数も増加する。
【0050】
<E成分について>
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有していてもよく、含有することで低摩耗性、樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性、機械特性を向上させる場合があり好ましい。
【0051】
エポキシ樹脂は分子構造中にエポキシ基を有する化合物であれば如何なるものを用いてもよく、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を使用した場合、エポキシ樹脂の架橋反応により引張破断強度をより向上させることができる場合がある。具体例としてはビスフェノール型エポキシ、ノボラック型エポキシ、環状脂肪族型エポキシ、グリシジルエステル型エポキシ、グリシジルアミン型エポキシ、トリスフェノールメタン型エポキシ、ジシクロペンタジエン型エポキシ、ビフェニル型エポキシなどが挙げられる。E成分は単独あるいは2種類以上の化合物を組み合わせることができる。このようなエポキシ樹脂の例としては三菱ケミカル(株)よりjER154、jER1001、jER1010、jER1256、YX4000、(株)ダイセルよりEHPE3150、日本化薬(株)よりNC-3000、NC-7000、XD-1000、EPPN-502H、EOCN-104Sとして市販されており容易に入手可能である。
【0052】
E成分のエポキシ当量は100~10,000g/eqであることが好ましく、125~9,500g/eqであることがより好ましく、150~9,000g/eqであることがさらに好ましい。エポキシ当量が100g/eq未満であると混練押出時の増粘が起こりやすく、10,000g/eqを超えると樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性が向上しない場合がある。なお、エポキシ当量はJIS K 7236に準じて測定される。
【0053】
E成分の含有量はA成分100重量部に対し、0.5~8重量部が好ましく、さらに好ましくは1~6重量部である。上記の範囲でエポキシ樹脂を含有することで、低摩耗性、樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性、機械特性を向上させる場合がある。
【0054】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲で、他の熱可塑性樹脂を配合し、必要に応じて酸化防止剤、衝撃改質剤、可塑剤、C成分以外の有機、無機充填剤、難燃剤、色材、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、B成分を除く滑材、分散剤、流動改質剤、結晶核剤等の各添加材を含むことが出来る。
【0055】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式ニ軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。
【0056】
<成形体について>
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形体は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。押出成形においては、丸棒を押出成形しその後円盤状に切削加工することにより成形体を得る方法や、厚肉シートを押出成形しその後所定の形状に打ち抜き加工することにより成形体を得ることができる。
【実施例0057】
以下、実施例により本発明を実施する形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、諸物性の評価は以下の方法により実施した。
【0058】
[樹脂組成物の評価]
(1)摩耗量
下記の方法で得られたペレットを120℃で7時間乾燥した後に射出成形機(東芝機械(株)製 EC130SXII―4Y)によりシリンダー温度280~310℃、金型温度120~140℃にてJIS K7218A法に準拠し、外径25.6mm、内径20mm、高さ15mmの中空円筒試験片を得た。該試験片をJIS K7218A法に準拠し、炭素鋼材(S45C)でできた同様の形状の試験片と面圧0.75MPa、滑り速度500mm/s、滑り距離3kmおよび43kmの条件で摩擦摩耗試験機(EFM-3-G、(株)オリエンテック製)を用いて摺動させた。摺動後の試験片の重量減少を電子天秤を用いて0.1mg単位まで秤量し、JIS K7218A法に記載の計算式を用いて摩耗量を算出した。試験は3回行い、それらの平均値をその組成物の摩耗量とした。滑り距離43km条件の摩耗量が6mm以下であることが必要である。
【0059】
(2)動摩擦係数
下記の方法で得られたペレットを120℃で7時間乾燥した後に射出成形機(東芝機械(株)製 EC130SXII―4Y)によりシリンダー温度280~310℃、金型温度120~140℃にてJIS K7218A法に準拠し、外径25.6mm、内径20mm、高さ15mmの中空円筒試験片を成形した。該試験片をJIS K7218A法に準拠し、炭素鋼材(S45C)でできた同様の形状の試験片と摺動させた際の動摩擦係数を測定した。試験は、面圧0.75MPa、滑り速度500mm/s、滑り距離43kmの条件で摩擦摩耗試験機(EFM-3-G、(株)オリエンテック製)を用いて実施した。滑り距離0.3~43km間の動摩擦係数を10秒間隔で測定し、それらの平均値を動摩擦係数とした。動摩擦係数は0.30未満であることが必要である。
【0060】
(3)ペレット供給性
東芝機械(株)製 射出成形機 EC130SXII―4Yを用いて(1)および(2)記載の摺動試験を実施するための試験片を成形した際、試験片を10ピース連続で成形する間に、ホッパー内のペレットが成形機内に供給され連続成形可能な場合を「○」、成形途中でペレット同士の干渉により成形機内に樹脂が供給されず、連続成形が困難な場合を「×」とした。
【0061】
[実施例1-14、比較例1-10]
表1で示した添加量に従って、A成分、B成分、D成分およびE成分を第1供給口より別々に二軸押出機に供給した。ここで第1供給口とは根元の供給口のことである。C成分は、第2供給口よりサイドフィーダーを用いて別々に供給した。押出は、径30mmΦのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α-31.5BW-2V)を使用し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/h、ベントの真空度3kPaにて溶融混錬しペレットを得た。なお、押出温度は実施例1~12、比較例1~10は290℃、実施例13~14は310℃にて行った。
【0062】
(A成分)
A-I:製造例Iで得られたポリブチレンナフタレート樹脂
<製造例I>
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル315.0部、1.4-ブタンジオール200、0部、テトラーn-ブチルチタネート0.062部をエステル交換反応槽に入れ、エステル交換反応槽が210℃となるように昇温しながら150分間エステル交換反応を行なった。ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽に移して重縮合反応を開始した。重縮合反応は常圧から0.13kPa(1torr)以下まで40分かけて除々に重縮合反応層内を減圧し、同時に所定の反応温度260℃まで昇温し、以降は重縮合反応温度が260℃、圧力が0.13kPa(1torr)の状態を維持して140分間重縮合反応を行なった。140分が経過した時点で重縮合反応を終了してポリブチレンナフタレート樹脂をストランド状に抜き出し、水冷しながらカッターを用いてチップ状に切断した。次に、得られたポリブチレンナフタレート樹脂を温度213℃、圧力0.13kPa(1Torr)以下の条件にて8時間固相重合をおこないポリブチレンナフタレート樹脂を得た。
【0063】
A-II:製造例IIで得られた末端にカルボキシ基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
<製造例II>
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼン4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合中止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを25g添加し、1時間反応を進行させた。次に、前記重合反応が90%進行した時、4-Iodobenzoic acid51gを添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて1時間反応を進行させた後、終了して、カルボキシ基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。ポリアリーレンスルフィド樹脂をFT-IRで分析して、スペクトル上で、約1600~1800cm-1のカルボキシ基のピークの存在を確認した。また、前記FT-IRスペクトル上で、約1400~1600cm-1で現れるRing stretchピークの高さ強度を100%とした時、前記約1600~1800cm-1のピークの相対的高さ強度は約3.4%であった。また、重量平均分子量は71.000であった。
【0064】
A-III:製造例IIIで得られた末端にフェニル基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
<製造例III>
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼンメルカプトベンゾチアゾール4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合停止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを60g添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて目標粘度に到達した後、反応を終了して、フェニル基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。重量平均分子量は72,000であった。
【0065】
(B成分)
B-I:製造例IVで得られた無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂
<製造例IV>
135℃のデカリン酸溶媒中で測定される極限粘度が31dl/gである超高分子量ポリエチレン(三井化学(株)製 ハイゼックスミリオン630M)15重量%および135℃のデカリン酸溶媒中で測定される極限粘度が2dl/gであるポリエチレン((株)プライムポリマー製ハイゼックス2200J)85重量%からなるポリエチレン樹脂混合物100重量部、無水マレイン酸1重量部および有機過酸化物(日本油脂(株)製パーヘキシン―25B)0.07重量部をナウターミキサーにて混合し、得られた混合物を250℃に設定した一軸押出機(いすず化工機(株)製EXT40m/m押出機)で溶融混練を行いB-I成分を得た。得られた変性ポリエチレン樹脂の135℃のデカリン酸中で測定される極限粘度[η]は5.5dl/gであり、粘度平均分子量Mvは550,000であった。
【0066】
B-II:製造例Vで得られた極性基を有さないポリエチレン樹脂
<製造例V>
135℃のデカリン酸溶媒中で測定される極限粘度が31dl/gである超高分子量ポリエチレン(三井化学(株)製 ハイゼックスミリオン630M)10重量%および135℃のデカリン酸溶媒中で測定される極限粘度が2dl/gであるポリエチレン((株)プライムポリマー製ハイゼックス2200J)90重量%からなるポリエチレン樹脂混合物をナウターミキサーにて混合し、得られた混合物を250℃に設定した一軸押出機(いすず化工機(株)製EXT40m/m押出機)で溶融混練を行いB-II成分を得た。得られたポリエチレン樹脂の135℃のデカリン酸中で測定される極限粘度[η]は4.3dl/gであり、粘度平均分子量Mvは400,000であった。
B-III:ポリテトラフルオロエチレン:KT-600M(製品名) ((株)喜多村製、融点325~335℃、平均粒径14μm)
B-IV(比較例):ポリエチレンワックス:ハイワックス310MP(製品名) (三井化学(株)製、粘度平均分子量Mv約3,000)
B-V(比較例):超高分子量ポリエチレン:ハイゼックスミリオン240S(製品名) (三井化学(株)製、粘度平均分子量Mv約2,000,000)
【0067】
(C成分)
C-I:全芳香族ポリアミド繊維:T322EK(製品名) (帝人(株)製、パラ系アラミド繊維、長径12μm、平均繊維長3mm、ポリエステル樹脂集束剤、撚り数245回/m)
C-II:全芳香族ポリアミド繊維:T322UR(製品名) (帝人(株)製、パラ系アラミド繊維、長径12μm、平均繊維長3mm、ポリウレタン樹脂集束剤、撚り数60回/m)
C-III(比較例):ガラス繊維:CS 3PE944(商品名) (日東紡績(株)製、平均繊維長3mm、長径13μm)
C-IV(比較例):炭素繊維:PAN系炭素繊維 HT P722(商品名) (帝人(株)製、平均繊維長3mm、長径7μm、ポリイミド系集束剤)
【0068】
(D成分)
D-I:ポリアミド6:UBEナイロン 1011FB(製品名) (宇部興産(株)製)
D-II:ポリアミド10T:ゼコットXP500(製品名) (ユニチカ(株)製)
D-III:ポリアミド66:レオナ 1402S(製品名) (旭化成(株)製)
【0069】
(E成分)
E-I:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:jER1256(製品名) ((株)三菱ケミカル製、エポキシ当量7,500~8,500g/eq)
E-II:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂:EPPN-501H(製品名) ((株)日本化薬製、エポキシ当量158~178g/eq)
【0070】
【表1】
【0071】
<実施例1~14>
本請求の範囲内にある樹脂組成物であるため、長期の低摩耗性に優れ、摺動時の低摩擦係数を発現し、かつ樹脂組成物のペレットの射出成形時の成形機への供給性に優れる結果であった。
【0072】
<比較例1>
B成分の含有量が下限未満であるため、長期摺動時の摩耗量と摩擦係数が高い結果であった。
<比較例2>
B成分の含有量が上限を上回るため、長期摺動時の摩耗量が高く、ペレット供給性が不良のため連続成形が困難であった。
<比較例3>
C成分の含有量が下限未満であるため、長期摺動時の摩耗量が高い結果であった。
<比較例4>
C成分の含有量が上限を上回るため、ペレット供給性が不良であり連続成形が困難であった。
<比較例5>
D成分の含有量が上限を上回るため、長期摺動時の摩耗量が高く、ペレット供給性が不良のため連続成形が困難であった。
<比較例6>
D成分の含有量が下限未満であるため、長期摺動時の摩耗量と摩擦係数が高く、ペレット供給性が不良のため連続成形が困難であった。
<比較例7>
C成分がガラス繊維であるため、長期摺動時の摩耗量が高い結果であった。
<比較例8>
C成分が炭素繊維であるため、長期摺動時の摩耗量と摩擦係数が高い結果であった。
<比較例9>
B成分の粘度平均分子量が下限未満のため、長期摺動時の摩耗量が高い結果であった。
<比較例10>
B成分の粘度平均分子量が上限を超えるため、押出時にB成分が多く分離してストランドが切断しペレットを採取することができなかった。