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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110248
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】電子機器、及び、触覚発生装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/955 20060101AFI20230802BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20230802BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H03K17/955 G
H02M1/08 A
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011581
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杵村 和彦
【テーマコード(参考)】
5H740
5J050
5J055
【Fターム(参考)】
5H740AA05
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB07
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J050AA02
5J050BB23
5J050CC05
5J050CC07
5J050DD08
5J050EE13
5J050EE24
5J050EE28
5J050FF25
5J055AX02
5J055BX16
5J055CX13
5J055CX21
5J055DX22
5J055DX65
5J055EY01
5J055EY05
5J055EY17
5J055EY21
5J055EY29
5J055EZ09
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
5J055GX07
5J055GX08
(57)【要約】
【課題】応答性の良好な電子機器、及び、触覚発生装置を提供する。
【解決手段】電子機器は、負荷と、前記負荷に接続される電流経路に設けられる第1スイッチング素子と、前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号で前記第1スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記駆動制御信号の信号レベルを前記第1スイッチング素子がオフになる第1レベルと前記第1スイッチング素子がオンになる第2レベルとに切り換え可能な第2スイッチング素子とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷と、
前記負荷に接続される電流経路に設けられる第1スイッチング素子と、
前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号で前記第1スイッチング素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動制御信号の信号レベルを前記第1スイッチング素子がオフになる第1レベルと前記第1スイッチング素子がオンになる第2レベルとに切り換え可能な第2スイッチング素子と
を含む、電子機器。
【請求項2】
前記第2スイッチング素子は、前記駆動回路が前記駆動制御信号を前記第1スイッチング素子に出力する出力端子と、前記出力端子に接続されて前記駆動制御信号が入力される前記第1スイッチング素子の制御端子との間の信号伝送路から分岐して基準電位点に接続される分岐線路に設けられ、前記信号伝送路と前記基準電位点との接続状態を切り換えるスイッチング素子であり、
前記第2スイッチング素子がオンになると前記駆動制御信号の信号レベルは前記第1レベルになり、
前記第2スイッチング素子がオフになると前記駆動制御信号の信号レベルは前記第2レベルになる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記信号伝送路から前記基準電位点に分岐する分岐点と、前記駆動回路の出力端子との間に挿入される第1抵抗器をさらに含む、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記信号伝送路から前記基準電位点に分岐する分岐点と、前記第2スイッチング素子の電流入力端子との間に挿入される第2抵抗器をさらに含む、請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記駆動回路の出力レベルは、前記第2スイッチング素子がオンの状態において前記第2レベルよりも高い、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
振動を発生させるアクチュエータと、
前記アクチュエータに接続される電流経路に設けられる第1スイッチング素子と、
前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号で前記第1スイッチング素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動制御信号の信号レベルを前記第1スイッチング素子がオフになる第1レベルと前記第1スイッチング素子がオンになる第2レベルとに切り換え可能な第2スイッチング素子と
を含み、
前記第2スイッチング素子がオンにされて前記駆動制御信号の信号レベルが前記第1レベルである状態から、前記第2スイッチング素子がオフに切り換えられて前記駆動制御信号の信号レベルが前記第2レベルになると、前記駆動回路から前記第1スイッチング素子の制御端子に前記駆動制御信号の突入電流を供給する、触覚発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、及び、触覚発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1~第3の電極を有し、前記第1の電極の第1の電圧と前記第3の電極の第2の電圧との差である第1の差電圧に応じて前記第1及び第2の電極間に出力電流を流すことにより、出力電圧を制御する出力トランジスタと、前記出力電圧が目的レベルとなるように前記第2の電圧を制御するオペアンプと、電圧レギュレータ回路の起動前は、前記出力トランジスタがオフとなるように前記第2の電圧を第3の電圧に維持し、前記電圧レギュレータ回路の起動後は、前記第2の電圧を前記オペアンプにより制御可能にする起動回路と、前記出力電圧が所定レベル未満である場合に、前記第1の差電圧が大きくなるように、前記第3の電極から又は前記第3の電極に調整電流を出力する電流出力回路と、を備える電圧レギュレータ回路がある。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-054253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電圧レギュレータ回路では、起動回路及び電流出力回路は、第3の電圧(Vdd)と出力端子(Vout)との間に直列に接続されており、同時にオンおよび同時にオフしないように制御することで、貫通電流が流れないようにしている。このため、起動回路及び電流出力回路のオン状態もしくはオフ状態が確定するまでに時間が必要となり、十分な応答性を得ることが難しい。
【0005】
そこで、応答性の良好な電子機器、及び、触覚発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の電子機器は、負荷と、前記負荷に接続される電流経路に設けられる第1スイッチング素子と、前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号で前記第1スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記駆動制御信号の信号レベルを前記第1スイッチング素子がオフになる第1レベルと前記第1スイッチング素子がオンになる第2レベルとに切り換え可能な第2スイッチング素子とを含む。
【0007】
本開示の実施形態の触覚発生装置は、振動を発生させるアクチュエータと、前記アクチュエータに接続される電流経路に設けられる第1スイッチング素子と、前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号で前記第1スイッチング素子を駆動する駆動回路と、前記駆動制御信号の信号レベルを前記第1スイッチング素子がオフになる第1レベルと前記第1スイッチング素子がオンになる第2レベルとに切り換え可能な第2スイッチング素子とを含み、前記第2スイッチング素子がオンにされて前記駆動制御信号の信号レベルが前記第1レベルである状態から、前記第2スイッチング素子がオフに切り換えられて前記駆動制御信号の信号レベルが前記第2レベルになると、前記駆動回路から前記第1スイッチング素子の制御端子に前記駆動制御信号の突入電流を供給する。
【発明の効果】
【0008】
応答性の良好な電子機器、及び、触覚発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の入力装置100を示す平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】入力装置100の構成を示すブロック図である。
図4】触覚発生装置100Aを示す図である。
図5】触覚発生装置100Aの動作を説明する図である。
図6】比較用の駆動制御回路10Aの構成を示す図である。
図7】比較用の駆動制御回路10Aの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の電子機器、及び、触覚発生装置を適用した実施形態について説明する。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、XY面視することを平面視と称す。
【0011】
<実施形態>
<入力装置100の構成及び動作>
図1は、実施形態の入力装置100を示す平面図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、入力装置100の構成を示すブロック図である。
【0012】
入力装置100は、利用者の指先等によって行われる操作を受け付ける装置である。入力装置100は、例えば、操作内容に応じた機能を実行する操作対象装置を遠隔操作するリモートコントローラ端末やスマートフォン等に含まれてもよく、操作対象装置の操作部に一体的に設けられていてもよい。入力装置100は、実施形態の電子機器及び触覚発生装置を含む。
【0013】
実施形態の触覚発生装置は、利用者の指先等によって入力装置100に対して操作が行われると、後述するアクチュエータ120(負荷の一例)を駆動することによって振動し、利用者の指先等に呈示する触覚を発生させる装置である。実施形態の触覚発生装置は、実施形態の電子機器の具体例の1つである。実施形態の電子機器は負荷を含み、触覚発生装置は、負荷としてアクチュエータ120を含む。
【0014】
ここでは、実施形態の電子機器の具体例の1つとして、アクチュエータ120を含む触覚発生装置について説明するが、実施形態の電子機器が含む負荷は、アクチュエータ120以外の負荷(例えば、LED(light emitting diode)やヒータ等)であってもよい。すなわち、実施形態の電子機器が含む負荷は、LEDやヒータ等であってもよい。また、ここでは、利用者が指先で入力装置100に対して操作を行う形態について説明するが、利用者の体の指先以外の部位であっても操作可能である。
【0015】
入力装置100は、筐体101、トップパネル102、タッチセンサ110、アクチュエータ120、荷重センサ130、回路基板140、及び制御部150を含む。これらのうち、タッチセンサ110、アクチュエータ120、及び荷重センサ130は、図3に示すように制御部150に接続されている。タッチセンサ110、アクチュエータ120、及び荷重センサ130は、回路基板140によって制御部150に接続されるが、図3では回路基板140を省略する。
【0016】
筐体101は、一例として樹脂製であり、図2に示すように、上パネル101A、下パネル101B、及び突起部101Cを有する。上パネル101A及び下パネル101Bは、板状であり、上下2段構造になっている。上パネル101Aは、上面側から下方に押圧されると、下パネル101Bに対して変形可能である。
【0017】
上パネル101Aの上面にはタッチセンサ110及びトップパネル102がこの順で重ねて設けられている。上パネル101Aの下面には、アクチュエータ120が取り付けられるとともに、下方に向けて突出する突起部101Cが形成されている。
【0018】
下パネル101Bの上面には、回路基板140が設けられている。回路基板140の上面のうちの突起部101Cの下方の部分には、荷重センサ130が配置されている。また、回路基板140の上面には、制御部150が設けられている。
【0019】
トップパネル102の上面は操作面102Aである。操作面102Aには、図1に示すように、一例として3つのスイッチSW1、SW2、SW3が配列されている。スイッチSW1、SW2、SW3は、一例として、トップパネル102の操作面102AにスイッチSW1、SW2、SW3の操作対象を表すシンボルを設けたものである。スイッチSW1、SW2、SW3のシンボルは、一例として、操作面102Aに印刷等で表示されたものであってもよい。シンボルとは、例えば所定の意味を持つ文字、数字、記号、線図、マーク等であり、ここではスイッチSW1、SW2、SW3の機能や種類等を表す。
【0020】
また、スイッチSW1、SW2、SW3のシンボルは、遮光性のあるトップパネル102にシンボルの形状を有する透光部を設け、トップパネル102の下面側からLED等で照光することによって光る照光部であってもよい。また、スイッチSW1、SW2、SW3のシンボルは、透明なトップパネル102の下方に設けたディスプレイパネルに表示されるGUI(graphical user interface)であってもよい。ディスプレイパネルとしては、例えば、液晶パネルやOLED(organic light emitting diode)ディスプレイパネル等を用いることができる。
【0021】
タッチセンサ110は、トップパネル102の下方に設けられており、トップパネル102に接触(タッチ)する利用者の指先等の位置を検出する装置である。タッチセンサ110としては、一例として、利用者の指先等の接近による静電容量の変化を検出する静電容量型のセンサを用いることができる。タッチセンサ110は、一例として、スイッチSW1、SW2、SW3に応じた3つの電極を有し、スイッチSW1、SW2、SW3の各々への接触を検出するセンサ、又は、X方向及びY方向に延在する複数本の電極を有し、XY座標を検出することでスイッチSW1、SW2、SW3への操作を検出するセンサ等である。
【0022】
アクチュエータ120は、筐体101の上パネル101Aの下面に取り付けられており、タッチセンサ110によって指先での操作が検出されると、制御部150によって駆動され、振動を発生する。アクチュエータ120は、例えば、ピエゾ素子、偏心モータ、ソレノイド、LRA(linear resonant actuator)等である。
【0023】
荷重センサ130は、トップパネル102のスイッチSW1、SW2、SW3のいずれかが操作されて上パネル101Aが下方に撓むと、突起部101Cによって押圧される。荷重センサ130は、押圧による荷重の大きさを表す出力信号を制御部150に出力する。なお、荷重センサ130の代わりに、圧力センサ(歪みセンサ)や静電容量の変化を検出する静電センサ、突起部101Cとの距離を検出する光学センサ等を用いてもよい。また、複数の荷重センサ130及び突起部101CをXY座標の異なる複数の位置にそれぞれ設けてもよい。
【0024】
回路基板140は、筐体101の下パネル101Bの上面に設けられている。回路基板140は、図3に示すようにタッチセンサ110、アクチュエータ120、及び荷重センサ130と制御部150とを接続する配線や回路素子等を含む。制御部150が出力する制御信号によってアクチュエータ120を駆動する駆動制御回路については、図4を用いて後述する。
【0025】
制御部150は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現されるマイクロコントローラで実現される。
【0026】
制御部150は、タッチセンサ110によってスイッチSW1、SW2、SW3のいずれかに対する操作が検出され、かつ、荷重センサ130によって押圧操作が行われたことが検出されると、アクチュエータ120を駆動する。この結果、スイッチSW1、SW2、SW3のいずれかに接触している利用者の指先に、触覚が呈示される。
【0027】
一例として、スイッチSW1、SW2、SW3のいずれかに対して指先で触れて、かつ、押圧操作を行うと、指先で触れているスイッチ(SW1~SW3のいずれか)に対する操作が確定する。より具体的には、トップパネル102のうちのスイッチSW1、SW2、SW3の部分に指先が接触するとタッチセンサ110によってスイッチSW1、SW2、SW3のいずれかに接触したことが検出され、さらに押圧操作が行われると荷重センサ130によって押圧操作が行われたことが検出される。この結果、制御部150は、アクチュエータ120を駆動する。利用者は、アクチュエータ120の駆動によって指先に触覚が呈示されることで、操作が確定したことを知覚することができる。また、制御部150は、スイッチSW1、SW2、SW3のいずれかへの操作があったことを表す信号を操作対象装置に通知する。これにより、操作対象装置は、スイッチSW1、SW2、SW3のいずれかへの操作に応じた機能を実行する。
【0028】
<触覚発生装置100Aの構成>
図4は、触覚発生装置100Aを示す図である。触覚発生装置100Aは、アクチュエータ120及び駆動制御回路140Aを含む。触覚発生装置100Aは、アクチュエータ120及び駆動制御回路140Aに加えて制御部150(図2及び図3参照)を含んでもよいが、ここでは触覚発生装置100Aがアクチュエータ120及び駆動制御回路140Aを含む形態について説明する。
【0029】
駆動制御回路140Aは、回路基板140(図2参照)に含まれており、制御部150から出力される基準信号とベース制御信号とに応じて、アクチュエータ120を駆動する配線や回路素子等を含む。
【0030】
<駆動制御回路140Aの構成>
駆動制御回路140Aは、図4に示すように、FET(field effect transistor)141、オペアンプ142、トランジスタ143、信号伝送路144、及び抵抗器R1~R6を含む。また、図4には、電源端子50を示す。電源端子50にかかる電圧は、オペアンプ142及び制御部150を動作させる定格電圧よりも高い。FET141は、第1スイッチング素子の一例である。オペアンプ142は、駆動回路の一例である。トランジスタ143は、第2スイッチング素子の一例である。
【0031】
アクチュエータ120は、直流電力を出力する電源端子50に接続される配線に直列に挿入されている。電源端子50に接続される配線は、FET141のドレイン端子(D)に接続されている。
【0032】
FET141は、ドレイン端子(D)、ソース端子(S)、及びゲート端子(G)を有する。ゲート端子は、FET141の制御端子の一例である。図4には、FET141のゲート端子とソース端子との間の寄生容量Cgsを示す。ドレイン端子はアクチュエータ120に接続されている。ソース端子は、抵抗器R4を介してオペアンプ142の反転入力端子に接続されるとともに、抵抗器R5を介して接地されている。電源端子50からアクチュエータ120、FET141及び抵抗器R5を通って接地電位点に至る経路は、アクチュエータ120に電流を供給する電流経路である。FET141は、オペアンプ142と定電流回路を構成する。接地電位点は、基準電位点の一例である。
【0033】
オペアンプ142は、制御部150(図2及び図3参照)から基準信号が入力される非反転入力端子と、抵抗器R4を介してFET141のソース端子に接続される反転入力端子と、抵抗器R2を介してFET141のゲート端子に接続される出力端子とを有する。抵抗器R2は、第1抵抗器の一例である。オペアンプ142の出力端子と、FET141のゲート端子とを接続する線路は、後述する駆動制御信号を伝送する信号伝送路144である。
【0034】
抵抗器R2は、オペアンプ142の出力端子から信号伝送路144に流れる突入電流の電流値を制限してオペアンプ142を保護するために設けられている。オペアンプ142の反転入力端子と出力端子との間には、抵抗器R1が負帰還抵抗として接続されている。
【0035】
信号伝送路144と接地電位点の間には、2本の分岐線路が接続されている。一方の分岐線路には抵抗器R3が直列に挿入されており、他方の分岐線路には抵抗器R6及びトランジスタ143が接続されている。抵抗器R6は、第2抵抗器の一例である。抵抗器R6の一端は信号伝送路144に接続され、他端はトランジスタ143のコレクタ端子に接続されている。トランジスタ143のコレクタ端子は、電流入力端子の一例である。トランジスタ143のエミッタ端子は接地されており、ベース端子には制御部150からベース制御信号が入力される。
【0036】
抵抗器R3は、FET141がノイズ等で意図せずオンしないように、FET141のゲート端子に印加される電圧を確定させる機能を持っている。抵抗器R6は、トランジスタ143がオンのときに、信号伝送路144の電位(FET141のゲート端子の電位)をFET141がオフになる電圧に確定させる機能を持っている。また、抵抗器R6は、FET141をオフにする際にオンにされるトランジスタ143でFET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷を放電する際に、トランジスタ143のコレクタ-エミッタ間に流れる電流値を制限して、トランジスタ143を保護する機能を持っている。
【0037】
反転入力端子には、アクチュエータ120と抵抗器R5との間の電流経路に流れる電流を抵抗器R5で電圧に変換した負荷信号が入力される。制御部150(図2及び図3参照)から非反転入力端子に入力される基準信号は、FET141の動作の基準になる信号である。オペアンプ142は、反転入力端子に入力される負荷信号と、基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号をFET141のゲート端子に出力する。なお、駆動制御信号の信号レベルは、FET141のゲート端子での信号レベルであり、信号伝送路144における抵抗器R2よりもゲート端子側の部分における信号レベルである。
【0038】
このような駆動制御回路140Aにおいて、トランジスタ143は、FET141のゲート端子の電圧を制御するとともに、FET141のオン/オフの応答性を向上させるために設けられている。FET141のオン/オフの応答性を向上させるのは、触覚発生装置100Aでアクチュエータ120の応答性能を向上させて、利用者の指先にキレの良いクリック感(触覚)を呈示するためである。トランジスタ143は、ベース制御信号でオン/オフが制御され、FET141をオンにする際にはオフにし、FET141をオフにする際にはオンにする。ベース制御信号は、トランジスタ143のオン/オフを通じてFET141のゲート端子の電圧を制御するための信号である。
【0039】
また、トランジスタ143は、FET141をオフする際にオンにすることによって、信号伝送路144を抵抗器R6及びトランジスタ143を介して接地電位点に接続するとともに、信号伝送路144を介してFET141のゲート端子の電荷を接地電位点に放電することで、FET141を即座にオフさせる。このように動作するトランジスタ143を利用して、FET141をオフにする際の応答性を改善する。信号伝送路144が抵抗器R6及びトランジスタ143を介して接地電位点に接続されると、駆動制御信号の信号レベルは、抵抗器R6に流れる電流値に応じた値に引き下げられ、オペアンプ142の出力電圧よりも低くなる。すなわち、FET141をオフにするときは、トランジスタ143をオンにするので、オペアンプ142の出力電圧よりも低い電圧レベルの駆動制御信号がFET141のゲート端子に供給される。
【0040】
なお、オペアンプ142の出力電圧が、最大電圧(5V)を出力していた場合であっても、FET141を確実にオフできるように、抵抗器R6の抵抗値は、抵抗器R2の抵抗値よりも小さく設定する。
【0041】
また、トランジスタ143は、FET141をオンする際にオフにすることによって、オペアンプ142の出力電圧に基づく駆動制御信号をFET141のゲート端子に入力する。FET141をオンにする直前は、トランジスタ143がオン、かつ、FET141がオフの状態であって、オペアンプ142の出力電圧は、最大電圧(5V)になっているため、トランジスタ143をオンにした瞬間、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsにオペアンプ142の最大電圧が印加され、ラッシュ(突入電圧)が発生し、FET141を即座にオンさせる。このように動作するトランジスタ143を利用して、FET141をオンにする際の応答性を改善する。FET141をオンにするときは、トランジスタ143をオフにするので、オペアンプ142の出力電圧に基づく電圧レベルの駆動制御信号がFET141のゲートに供給される。このときの駆動制御信号の電圧レベルは、オペアンプ142から出力され、抵抗器R2を経た電圧レベルになる。
【0042】
なお、トランジスタ143がオン、かつ、FET141がオフの状態において、オペアンプ142の出力電圧が最大電圧に維持される理由は後ほど説明する。
【0043】
<触覚発生装置100Aの動作>
図5は、触覚発生装置100Aの動作を説明する図である。図5において、横軸は時間tを表す。図5には、基準信号(縦軸は電圧値)、ベース制御信号(縦軸は電圧値)、オペアンプ142の出力電圧(縦軸は電圧値)、FET141のゲート-ソース間電圧Vgs(縦軸は電圧値)、及び、アクチュエータ120の電流の波形(縦軸は電流値)の一例を示す。オペアンプ142の出力電圧とは、オペアンプ142の出力端子の電圧レベルであり、駆動回路の出力レベルの一例である。駆動制御信号の信号レベルは、FET141のゲート端子における信号レベルであるため、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsに相当する。
【0044】
時刻t1より前の初期状態では、基準信号は立ち上がっておらず(L(low)レベル)であり、ベース制御信号はH(High)レベルでトランジスタ143はオンである。また、オペアンプ142の出力電圧は5V(最大値)になるが、トランジスタ143がオンであるため、FET141のゲート-ソース間電圧VgsはVgs1になり、FET141はオフである。このため、アクチュエータ120には電流が流れていない。トランジスタ143がオンになることによって、信号伝送路144を介してゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷は放電される。
【0045】
オペアンプ142の出力電圧は5Vであるが、トランジスタ143がオンであるため、FET141のゲート-ソース間電圧VgsはVgs1に下げられている。すなわち、駆動制御信号の信号レベルは、FET141がオフになる第1レベルに下げられている。Vgs1は、FET141をオフにする電圧であり、一例として約1V以下の電圧である。また、オペアンプ142の出力電圧が5V(最大値)になるのは、トランジスタ143がオンになることでFET141のゲート端子の電圧が低下してFET141がオフになると、FET141のソース端子の電圧が0Vになり、抵抗器R4を介してオペアンプ142の反転入力端子に0Vが負帰還される。オペアンプ142は、非反転入力端子と反転入力端子との端子間にオフセット電圧が存在するため、反転入力端子に0Vが印加されると、出力電圧を増大させるが、トランジスタ143がオンになっていてFET141がオフであって反転入力端子に0Vが印加された状態が継続するため、最大出力電圧である5Vが出力される。
【0046】
なお、時刻t1より前の初期状態において、基準信号をHレベルに立ち上げておいても動作は同一である。この場合には、FET141をオン/オフに拘わらずに基準信号をHレベルに保持することになる。
【0047】
時刻t1では、基準信号がHレベルに立ち上がるとともに、ベース制御信号がLレベルに立ち下がり、トランジスタ143はオフになる。オペアンプ142の出力電圧はV1になり、トランジスタ143がオフであるため、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsが増大する。これにより、オペアンプ142の出力端子から信号伝送路144を介して、FET141のゲート端子に瞬間的に突入電流が流れる。
【0048】
オペアンプ142の出力端子からFET141のゲート端子に突入電流が流れることによって、FET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsは即座に充電され、FET141は即座にオンになる。このとき、ゲート-ソース間電圧Vgsは、Vgs1よりも高いVgs2に上昇する。ゲート-ソース間電圧Vgs2は、FET141をオンにさせるのに十分な電圧である。ゲート-ソース間電圧がVgs2に増大しているため、駆動制御信号の信号レベルは、FET141がオンになる第2レベルに上昇している。
【0049】
また、時刻t1でFET141のゲート-ソース間電圧Vgsに瞬間的にラッシュが生じるため、アクチュエータ120に流れる電流にも突入電流が生じる。その結果、アクチュエータ120は、時刻t1で即座に駆動する。
【0050】
また、時刻t2では、基準信号がLレベルに立ち下がるとともに、ベース制御信号がHレベルに立ち上がり、トランジスタ143はオンになる。オペアンプ142の出力電圧は5Vになるが、トランジスタ143がオンであるため、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsは即座にVgs1に低下する。トランジスタ143がオンになることによって、信号伝送路144を介してゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷が放電されるため、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsが即座にVgs1に低下して、FET141がオフになる。このときの駆動制御信号の信号レベルは、FET141がオフになる第1レベルに下げられている。
【0051】
時刻t2でFET141がオフになると、アクチュエータ120の電流は0(A)になり、アクチュエータ120は、時刻t2で即座に停止する。
【0052】
このように、信号伝送路144から接地電位点に分岐する分岐線路にトランジスタ143を設け、FET141をオフにする際にはトランジスタ143をオンにすることにより、信号伝送路144からトランジスタ143を介してゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷を放電するため、FET141を即座にオフにできる。
【0053】
また、FET141をオンにする際にはトランジスタ143をオフにすることにより、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsにラッシュが生じるため、FET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsは即座に充電され、ゲート-ソース間電圧Vgsを即座に増大させて、FET141を即座にオンにすることができる。
【0054】
<比較用の駆動制御回路10Aの構成と動作>
図6は、比較用の駆動制御回路10Aの構成を示す図である。駆動制御回路10Aは、FET141、オペアンプ142、信号伝送路144、及び抵抗器R1~R5を含む。比較用の駆動制御回路10Aは、図4に示す駆動制御回路140Aから、トランジスタ143及び抵抗器R6を省いた構成を有する。比較用の駆動制御回路10AのFET141のドレイン端子にはアクチュエータ120が接続されている。このような比較用の駆動制御回路10Aは、比較用に示す回路であり、従来技術ではない。
【0055】
図7は、比較用の駆動制御回路10Aの動作を示す図である。図7において、横軸は時間tを表す。図7には、基準信号(縦軸は電圧値)、オペアンプ142の出力電圧(縦軸は電圧値)、FET141のゲート-ソース間電圧Vgs(縦軸は電圧値)、及び、アクチュエータ120の電流の波形(縦軸は電流値)の一例を示す。
【0056】
時刻t1より前の初期状態では、基準信号は立ち上がっておらず(Lレベル)である。比較用の駆動制御回路10Aでは、基準信号のHレベル/Lレベルを切り換えることでFET141のオン/オフを制御するため、基準信号がLレベルでFET141はオフである。
【0057】
また、基準信号がLレベルかつFET141がオフの場合、抵抗器R4を介して反転入力端子に入力される負荷信号の電圧値は0Vに近い低電圧となるため、オペアンプ142の出力電圧は0Vに近い低電圧になる。このようにオペアンプ142の出力電圧が0Vに近い低電圧になる点が、図5において5Vが出力されることとの違いである。
【0058】
時刻t1において、基準信号がHレベルに立ち上がると、オペアンプ142の出力電圧はV1に立ち上がるが、基準信号を切り換える際、オペアンプ142の出力電圧が0Vに近い低電圧に維持されているため、FET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsを瞬時に充電可能なラッシュを印加することができない。このため、寄生容量Cgsの充電に時間が掛かるため、図5に示す動作に比べて、オペアンプ142の出力電圧がV1に立ち上がるために時間が掛かる。
【0059】
この結果、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsは、図5に示す動作に比べて緩やかにVgs2になり、アクチュエータ120は、図5に示す動作よりも遅れて駆動する。
【0060】
また、時刻t2において、基準信号がLレベルに立ち下がると、FET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷は、抵抗器R2を介してオペアンプ142が引き込むことで放電されるため、図5のように抵抗器R2よりも抵抗値が低い抵抗器R6を介して放電するよりも、放電時間が長くなる。その結果、図5に比べ、オペアンプ142の出力電圧は、緩やかに初期状態と同様に0Vに近い低電圧になり、FET141のゲート-ソース間電圧Vgsは緩やかに0Vに近い低電圧に低下し、図5に示す動作よりも遅れてFET141がオフになる。このため、アクチュエータ120の電流は図5に示す動作よりも遅れて0(A)に近い低電流になり、アクチュエータ120は、図5に示す動作よりも遅れて停止する。
【0061】
このように、トランジスタ143及び抵抗器R6を含まない比較用の駆動制御回路10Aでは、実施形態の駆動制御回路140Aに比べてFET141のオン/オフの応答性が悪い。これは、ゲート-ソース間の寄生容量Cgs等の影響を受けるからである。
【0062】
以上のように、信号伝送路144から接地電位点に分岐する分岐線路にトランジスタ143を設け、FET141をオフにする際にはトランジスタ143をオンにして駆動制御信号を第1レベルにするとともに、FET141をオンにする際にはトランジスタ143をオフにして駆動制御信号を第2レベルにすることにより、FET141のオン/オフを即座に切り換えることができる。
【0063】
したがって、応答性の良好な電子機器、及び、触覚発生装置100Aを提供することができる。また、FET141のドレイン端子に接続される負荷がアクチュエータ120のように誘導性の負荷である場合には、負荷が誘導性ではない場合に比べてFET141の応答性に影響が生じるため、特に有効である。このため、触覚発生装置100Aでは、アクチュエータ120の応答性能が高くなるため、利用者の指先にキレの良いクリック感(触覚)を呈示することができる。
【0064】
また、トランジスタ143は、オペアンプ142が駆動制御信号をFET141に出力する出力端子と、出力端子に接続されて駆動制御信号が入力されるFET141のゲート端子との間の信号伝送路144から分岐して接地電位点に接続される分岐線路に設けられ、信号伝送路144と接地電位点との接続状態を切り換えるスイッチング素子である。トランジスタ143がオンになると駆動制御信号の信号レベルは第1レベルになり、トランジスタ143がオフになると駆動制御信号の信号レベルは第2レベルになる。このため、トランジスタ143がオンになることで、駆動制御信号の信号レベルを確実に第1レベルに低下させることができ、FET141を即座かつ確実にオフにすることができる。
【0065】
また、信号伝送路144から接地電位点に分岐する分岐点と、オペアンプ142の出力端子との間に挿入される抵抗器R2をさらに含むので、オペアンプ142の出力端子から信号伝送路144に流れる突入電流の電流値を制限してオペアンプ142を保護することができる。
【0066】
また、信号伝送路144から接地電位点に分岐する分岐点と、トランジスタ143の電流入力端子との間に挿入される抵抗器R6をさらに含むので、FET141をオフにする際にオンにされるトランジスタ143でFET141のゲート-ソース間の寄生容量Cgsの電荷を放電する際に、トランジスタ143のコレクタ-エミッタ間に流れる電流値を制限して、トランジスタ143を保護することができる。
【0067】
また、オペアンプ142の出力レベルは、トランジスタ143がオンの状態において第2レベルよりも高いので、より確実に駆動制御信号の突入電流をFET141のゲート端子に供給することができる。
【0068】
また、トランジスタ143がオンにされて駆動制御信号の信号レベルが第1レベルである状態から、トランジスタ143がオフに切り換えられて駆動制御信号の信号レベルが第2レベルになると、オペアンプ142からFET141のゲート端子に駆動制御信号の突入電流を供給するので、FET141を即座にオンすることができ、より確実にFET141の応答性を改善することができる。
【0069】
以上、本開示の例示的な実施形態の電子機器、及び、触覚発生装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 入力装置
100A 触覚発生装置(電子機器の一例)
101 筐体
102 トップパネル
110 タッチセンサ
120 アクチュエータ
130 荷重センサ
140 回路基板
140A 駆動制御回路
141 FET(第1スイッチング素子の一例)
142 オペアンプ(駆動回路の一例)
143 トランジスタ(第2スイッチング素子の一例)
144 信号伝送路
R1~R6 抵抗器(R2は第1抵抗器の一例、R6は第2抵抗器の一例)
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7