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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110252
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】電力供給設備
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230802BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230802BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J3/32
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011586
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直充
(72)【発明者】
【氏名】叶田 玲彦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 輝
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 尊衛
(72)【発明者】
【氏名】井出 一正
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓也
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA11
5G503DA07
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】個々の蓄電池に対して指示されている充放電電力の配分を考慮しつつ直流電力を安定供給する電力供給設備を提供する。
【解決手段】蓄電装置が直流バスに接続されて充放電電力を直流バスと授受するようにされた電力供給設備であって、蓄電装置は、直流バスの電圧測定値が第1閾値電圧を超過した場合に、蓄電装置の充放電電力を、超過した電圧に応じて放電電力を減少および/または充電電力を増加させることを特徴とする電力供給設備。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置が直流バスに接続されて充放電電力を前記直流バスと授受するようにされた電力供給設備であって、
前記蓄電装置は、前記直流バスの電圧測定値が第1閾値電圧を超過した場合に、前記蓄電装置の充放電電力を、超過した電圧に応じて放電電力を減少および/または充電電力を増加させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給設備であって、
前記蓄電装置は、前記電圧測定値が前記第1閾値電圧より低い値を持つ第2閾値電圧を下回った場合、前記蓄電装置の充放電電力を、下回った電圧に応じて放電電力を増加および/または充電電力を減少させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項3】
蓄電装置が直流バスに接続されて充放電電力を前記直流バスと授受するとともに電力指令部に接続される電力供給設備であって、
前記電力指令部は、前記蓄電装置に充放電指令値と、充電上限値と、放電上限値とを設定し、
前記蓄電装置は、前記電力指令部から前記充放電指令値を指令されたとき、第1閾値電圧から前記第1閾値電圧より高い電圧制御上限電圧までの電圧範囲において、前記充放電指令値から前記充電上限値または前記蓄電装置の充電定格電力まで放電電力を減少および/または充電電力を増加させ、
前記蓄電装置は、前記電力指令部から前記充放電指令値を指令されたとき、前記第1閾値電圧より低い第2閾値電圧から、前記第2閾値電圧より低い電圧制御下限電圧までの電圧範囲において、前記充放電指令値から前記放電上限値または前記蓄電装置の放電定格電力まで放電電力を増加および/または充電電力を減少させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項4】
請求項3に記載の電力供給設備であって、
前記電力供給設備は、少なくとも2基の前記蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記直流バスの電圧が前記第1閾値電圧より高い場合、前記充電上限値の大きい前記蓄電装置ほど、前記直流バスの電圧変化に対する前記充放電電力の変化率の絶対値が大きくなるように前記充放電指令値から放電電力を減少および/または充電電力を増加させ、
前記蓄電装置は、前記直流バスの電圧が前記第2閾値電圧より低い場合、前記放電上限値の大きい前記蓄電装置ほど、前記直流バスの電圧変化に対する前記充放電電力の変化率の絶対値が大きくなるように前記充放電指令値から放電電力を増加および/または充電電力を減少させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電力供給設備であって、
前記電力供給設備は、少なくとも2基の前記蓄電装置を備え、
前記充放電指令値に従って放電している前記蓄電装置は、各々の前記蓄電装置における変化率の比が前記充放電指令値の比と等しくなるように前記充放電指令値から放電電力を減少および/または充電電力を増加させ、
前記充放電指令値に従って充電している前記蓄電装置は、各々の前記蓄電装置における変化率の比が前記充放電指令値の比と等しくなるように前記充放電指令値から放電電力を増加および/または充電電力を減少させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の電力供給設備であって、
前記電力指令部は、前記蓄電装置に対して前記第1閾値電圧と、前記第2閾値電圧と、前記直流バスの電圧測定値が前記第1閾値電圧を超過した場合において超過した電圧に応じて減少させる前記蓄電装置の放電電力および/または増加させる前記蓄電装置の充電電力と、前記電圧測定値が前記第2閾値電圧を下回った場合において下回った電圧に応じて増加させる前記蓄電装置の放電電力および/または減少させる前記蓄電装置の充電電力と、を設定および指令し、
前記蓄電装置は、前記電圧測定値が前記第1閾値電圧を超過したとき、前記減少させる前記蓄電装置の放電電力および/または増加させる前記蓄電装置の充電電力の指令に基づいて、充放電電力を変化させ、
前記蓄電装置は、前記電圧測定値が前記第2閾値電圧を下回ったとき、増加させる前記蓄電装置の放電電力および/または減少させる前記蓄電装置の充電電力の指令に基づいて、充放電電力を変化させることを特徴とする電力供給設備。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の電力供給設備であって、
前記直流バスは、電動移動体接続部を備え、
前記蓄電装置は、前記電動移動体接続部に接続し、前記直流バスから充電、または前記直流バスに放電可能な電動移動体であることを特徴とする電力供給設備。
【請求項8】
請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の電力供給設備であって、
前記電力供給設備は、電力変換回路を備え、
前記電力変換回路は、前記直流バスの中間に設置され、前記直流バスを、第1の直流バスと、第2の直流バスに分割し、
前記蓄電装置は、前記第1の直流バスまたは前記第2の直流バスに接続され、
前記電力変換回路は、第1の直流バスの電圧の、第2の直流バスの電圧に対する比率を一定値に制御することを特徴とする電力供給設備。
【請求項9】
請求項8に記載の電力供給設備であって、
前記電力変換回路は、前記第1の直流バスと前記第2の直流バスとの間の電気的絶縁を取ることを特徴とする電力供給設備。
【請求項10】
請求項9に記載の電力供給設備であって、
前記充電上限値と、前記放電上限値は、前記蓄電装置の有する蓄電池の端子電圧と、前記蓄電池に充電できる電流の上限値と、前記蓄電池から放電できる電流の上限値とから設定されることを特徴とする電力供給設備。
【請求項11】
請求項10に記載の電力供給設備であって、
前記充電上限値と、前記放電上限値は、前記電力指令部から設定されることを特徴とする電力供給設備。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の電力供給設備であって、
前記充放電指令値と、前記充電上限値と、前記放電上限値は電力に関する値であることを特徴とする電力供給設備。
【請求項13】
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の電力供給設備であって、
前記充放電指令値と、前記充電上限値と、前記放電上限値は電流に関する値であることを特徴とする電力供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を安定供給する電力供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電技術及び電力変換技術の進展に伴い、蓄電装置の電力を、電力変換器を介して直流電力として供給する電力供給設備が増えているが、多くの場合に複数の蓄電装置が直列或は並列に接続されて構成されている。
【0003】
例えば特許文献1では、同種の機器の使用頻度を近くしながら、制御を安定化する技術を提供することを目的として、「発電、蓄電、配電のうち少なくとも1つを実行可能な第1制御対象に接続されるとともに、直流バスにも接続される第1電力変換装置と、発電、蓄電、配電のうち前記第1制御対象と同種の第2制御対象に接続されるとともに、直流バスにも接続される第2電力変換装置と、を備え、前記第1電力変換装置は、前記直流バスの電圧を第1目標値に近づけるための第1安定化用指令値と、前記第1安定化用指令値とは別の第1制御用指令値とをもとに導出した第1制御値により、前記第1制御対象からの第1出力電力を制御し、前記第2電力変換装置は、前記直流バスの電圧を第2目標値に近づけるための第2安定化用指令値と、前記第2安定化用指令値とは別の第2制御用指令値とをもとに導出した第2制御値により、前記第2制御対象からの第2出力電力を制御し、前記第1電力変換装置において、前記第1出力電力の変化に応じて前記第1目標値が変化し、前記第2電力変換装置において、前記第2出力電力の変化に応じて前記第2目標値が変化する電力システム」のように構成することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-191698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電力システムでは、同種の機器の使用頻度を近くしながら、制御を安定化できるが、個々の蓄電池に対して指示されている充放電電力の配分を考慮した電圧制御が困難という課題がある。
【0006】
直流バスに発電装置、蓄電装置、その他装置を接続している電力供給設備においては、発電装置に再生可能エネルギー等の出力変動電源を用いている場合の発電電力の増減、その他装置における負荷消費電力の増減により、直流バスの電圧は変化してしまい、各装置を接続している箇所の電圧値が所定値あるいは所定範囲から逸脱し得るという課題がある。所定範囲からの電圧値の逸脱が生じると、直流バスに接続される装置の故障が引き起こされる。
【0007】
本発明はこの課題に鑑み、個々の蓄電池に対して指示されている充放電電力の配分を考慮しつつ直流電力を安定供給する電力供給設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のことから本発明においては、「蓄電装置が直流バスに接続されて充放電電力を直流バスと授受するようにされた電力供給設備であって、蓄電装置は、直流バスの電圧測定値が第1閾値電圧を超過した場合に、蓄電装置の充放電電力を、超過した電圧に応じて放電電力を減少および/または充電電力を増加させることを特徴とする電力供給設備。」としたものである。
【0009】
また本発明においては、「蓄電装置が直流バスに接続されて充放電電力を直流バスと授受するとともに電力指令部に接続される電力供給設備であって、電力指令部は、蓄電装置に充放電指令値と、充電上限値と、放電上限値とを設定し、蓄電装置は、電力指令部から充放電指令値を指令されたとき、第1閾値電圧から第1閾値電圧より高い電圧制御上限電圧までの電圧範囲において、充放電指令値から充電上限値または蓄電装置の充電定格電力まで放電電力を減少および/または充電電力を増加させ、蓄電装置は、電力指令部から充放電指令値を指令されたとき、第1閾値電圧より低い第2閾値電圧から、第2閾値電圧より低い電圧制御下限電圧までの電圧範囲において、充放電指令値から放電上限値または蓄電装置の放電定格電力まで放電電力を増加および/または充電電力を減少させることを特徴とする電力供給設備。」としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、直流電力を安定供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る電力供給設備の構成例を示す図。
図2】本発明の実施例1に係る電力供給設備の構成例2を示す図。
図3】本発明の実施例1における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図4】本発明の実施例1における直流バス電圧と指令値更新後の各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図5】本発明の実施例1における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図6】本発明の実施例2における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図7】本発明の実施例2における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図8】本発明の実施例3における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図9】本発明の実施例4における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す図。
図10】本発明の実施例5に係る電力供給設備の構成例を示す図。
図11】本発明の実施例5に係る電力供給設備の構成例を示す図。
図12】本発明の実施例6に係る電力供給設備の構成例を示す図。
図13】本発明の実施例に係る制御回路の処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、説明の簡略化のため、各回路、装置の効率を100%としている。
【0013】
本発明は、以下の実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【実施例0014】
図1に、本発明の実施例1に係る電力供給設備の構成例を示す。図1の電力供給設備1は、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bが直流バス3に並列接続されたものである。
【0015】
蓄電装置2Aは、蓄電池21A、第1電力変換回路22A、直流バス電圧計測部23Aを備える。また、蓄電装置2Bは、蓄電池21B、第1電力変換回路22B、直流バス電圧計測部23Bを備える。第1電力変換回路22A、第1電力変換回路22Bは、蓄電池21A、蓄電池21Bを一端にそれぞれ接続し、直流バス3を他端に接続する。そして、蓄電池21A、蓄電池21Bの充放電を実施する。なお本実施例では、直流バス3に接続する蓄電装置を2基としているが、接続数は2基に限らない。
【0016】
蓄電池21A、蓄電池21Bは例えばリチウムイオン電池や、ニッケル水素電池、鉛蓄電池などの2次電池である。蓄電池21A、蓄電池21Bは例えば電気自動車用電池の再利用などの中古電池でもよく、それぞれ劣化状態が異なるものとする。
【0017】
図2に、本発明の実施例1に係る電力供給設備の構成例2を示す。電力供給設備1は前述の蓄電装置の他に、自家発電電源41および第2電力変換回路42、交直変換回路5、電力指令部6を備えて、負荷9に交流電力を供給するものであってもよい。本実施例では、これ以降図2の構成例を用いて説明する。
【0018】
自家発電電源41は、例えば太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源である。第2電力変換回路42は自家発電電源41の発電電力を変換して直流バス3に出力する。自家発電電源41が再生可能エネルギー電源のとき、第2電力変換回路42はMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を実施する。
【0019】
交直変換回路5の直流出力端は直流バス3に接続され、交流出力端は交流電源8に接続された配電線7に接続される。交流電源8は例えば商用系統である。また、配電線7には交流負荷9が接続されていてもよい。交直変換回路5は双方向に電力変換が可能であり、自家発電電源41の発電電力および蓄電装置2A、蓄電装置2Bの放電電力を交流電源8あるいは交流負荷9に供給でき、交流電源8から電力を受電できる。
【0020】
電力指令部6は、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bのそれぞれに対して、充放電電力を有線通信または無線通信により一定の周期(例えば1分)で指令する。充放電電力の指令値は、例えば、蓄電池21Aおよび蓄電池21Bの劣化度合い、自家発電電源41の発電電力予測、交流負荷10の消費電力予測、交流電源9が商用系統である場合の料金単価などを用いて電力指令部6で決定される。本実施例では、蓄電装置2Aに対する充放電電力の指令値を充放電指令値62Aとし、蓄電装置2Bに対する充放電電力の指令値を充放電指令値62Bとする。ここで、放電を正、充電を負とする。
【0021】
また電力指令部6は、蓄電装置2A、蓄電装置2Bのそれぞれに対して、充放電指令値62A,62Bと同時に、充電上限電力、放電上限電力を一定の周期(例えば1分)で指令する。充電上限電力、放電上限電力の指令値は、例えば、蓄電池21Aおよび蓄電池21Bの劣化度合い、第1電力変換回路22Aおよび第1電力変換回路22Bの定格電力によって決定される。
【0022】
本実施例では、蓄電装置2Aに対する充電上限電力、放電上限電力の指令値を充電上限値PCLA、放電上限値PDLAとし、蓄電装置2Bに対する充電上限電力、放電上限電力の指令値を充電上限値PCLB、放電上限値PDLBとする。ここで、充電上限値PCLA、充電上限値PCLBは負であり、放電上限値PDLA、放電上限値PDLBは正である。
【0023】
なお、これまでの説明においては、充放電指令値、充電上限値、放電上限値は電力[kW]として説明したが、電力指令部6は、電力[kW]ではなく、電流[A]で指令しても良い。その場合、以降の説明における電力の指令値は、電流の指令値に蓄電池の端子電圧測定値を乗じて得られる電力に相当する。
【0024】
図2に示した本発明の実施例1に係る電力供給設備の構成例2では、自家発電電源41の発電電力は第2電力変換回路42を介して直流バス3に出力される。自家発電電源41が再生可能エネルギー電源である場合、その発電電力が変動するため、直流バス3の電圧は変動してしまう。直流バス3の電圧が変動し、装置を接続している箇所の電圧値が所定値あるいは所定範囲から逸脱すると、直流バス3に接続される各装置の故障が引き起こされる。したがって直流バス3に接続されるいずれかの回路・装置が電圧制御を行う必要がある。本実施例ではまず交直変換回路5が、直流バス3と配電線7の間での電力変換により、直流バス3の電圧を標準電圧Vn(例えば、380V)に制御する。
【0025】
図3に、本発明の実施例1における各蓄電装置の直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す。横軸側に蓄電装置の充放電電力を、縦軸側に直流バス電圧をとり、かつ点線が蓄電装置2A、破線が蓄電装置2Bの直流バス電圧と充放電電力の関係を示している。
【0026】
図3に示すように蓄電装置2Aと蓄電装置2Bに対して、第1閾値電圧V1(例えば390V)および第2閾値電圧V2(例えば370V)をあらかじめ設定し、直流バス電圧計測部23A、直流バス電圧計測部23Bで直流バス3の電圧Vを測定する。そして、電圧測定値Vが領域1内にあるとき(第1閾値電圧V1以下かつ第2閾値電圧V2以上のとき)、充放電指令値62A、充放電指令値62Bに従って第1電力変換回路22A、第1電力変換回路22Bを制御し、蓄電池21A、蓄電池21Bを充放電する。
【0027】
ここで、第1閾値電圧V1に対して、標準電圧Vnより高く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲上限のうち最も低い電圧範囲上限より低い電圧を電圧制御上限電圧V1Lとして設定する。また、第2閾値電圧V2に対して、標準電圧Vnより低く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲下限のうち最も高い電圧範囲下限より高い電圧を電圧制御下限電圧V2Lとして設定する。
【0028】
直流バス3の電圧は、(第2電力変換回路42の出力電力)+(蓄電装置2Aの放電電力)+(蓄電装置2Bの放電電力)=(交直変換回路5の変換電力)のとき、一定値に保たれる。ただし、交直変換回路5の変換電力は配電線7への出力を正とする。また前述の通り、蓄電装置2A、蓄電装置2Bは放電を正、充電を負とする。
【0029】
しかし、例えば、蓄電装置2A、蓄電装置2Bが充放電指令値62A、充放電指令値62Bで充放電している領域1の状態で、第2電力変換回路42の出力電力が大きく増加すると、交直変換回路5は定格電力を超過する電力を変換できないため、上述の等式を成立させることができず、(第2電力変換回路42の出力電力)+(蓄電装置2Aの放電電力)+(蓄電装置2Bの放電電力)>(交直変換回路5の変換電力)となることがある。このとき直流バス3の電圧は標準電圧Vnから上昇していき、第1閾値電圧V1を超過し、領域2に進入する。
【0030】
このとき、交直変換回路5以外の装置で直流バス3の電圧制御を実施する必要があるが、第2電力変換回路42による電圧制御を行う場合、自家発電電源41の発電電力を減少させることとなり、再生可能エネルギー電源の発電機会を逸するため好ましくない。そこで、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bによる電圧制御を実施する。ただし、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bのそれぞれが独自にフィードバック制御等で電圧制御を実施すると、制御が干渉し、電圧が不安定となりうる。そこで、あらかじめ直流バス3の電圧と充放電電力の関係を設定し、直流バス3の電圧測定値Vに応じて充放電電力を決定する方式にて電圧制御を実施する。
【0031】
蓄電装置2Aと蓄電装置2Bに対して、電圧制御上限電圧V1L(例えば400V)および電圧制御下限電圧V2L(例えば360V)を設定する。ここで、電圧制御上限電圧V1Lは第1閾値電圧V1より高く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲上限のうち最も低い電圧範囲上限より低い電圧を設定する。また、電圧制御下限電圧V2Lは第2閾値電圧より低く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲下限のうち最も高い電圧範囲下限より高い電圧を設定する。
【0032】
図3に示す本発明の実施例1における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例において、交流負荷9に給電するため充放電指令値62Aは10kW放電、充放電指令値62Bは20kW放電であったとする。また、放電上限値PDLAは15kW、放電上限値PDLBは25kW、充電上限値PCLAは-15kW、充電上限値PCLBは-25kWであったとする。
【0033】
このとき、直流バス3の電圧Vが第2閾値電圧V2(370V)以上、第1閾値電圧V1(390V)以下の領域1内に存在するのであれば、蓄電装置2Aは10kWで放電し、蓄電装置2Bは20kWで放電する。ここで、交直変換回路5の定格電力が50kWとすると、第2電力変換回路42の出力電力が20kW以下であれば、(第2電力変換回路42の出力電力)+(蓄電装置2Aの放電電力)+(蓄電装置2Bの放電電力)が50kW未満となるから、交直変換回路5の電圧制御により直流バス3の電圧Vは標準電圧Vn(380V)に保たれる。
【0034】
しかし、自家発電電源41の出力が増加して、第2電力変換回路42の出力電力が20kWを超過し、例えば30kWとなると、(第2電力変換回路42の出力電力)+(蓄電装置2Aの放電電力)+(蓄電装置2Bの放電電力)が60kWとなり交直変換回路5の定格電力である50kWを10kW超過する。その結果、直流バス3の電圧Vは標準電圧Vn(380V)から上昇し、第1閾値電圧V1(390V)を超過し、領域2に進入する。
【0035】
このとき、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bは図3に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bによる制御から充放電電力を充電方向に強制的に変化させる運用とする。図3においては、直流バス3の電圧Vが第1閾値電圧V1(390V)を超過して上昇し391.4Vのとき、蓄電装置2Aは放電電力を10kWから3.6kWだけ減少させた6.4kWで放電し、蓄電装置2Bは放電電力を20kWから6.4kWだけ減少させた13.6kWで放電する。すなわち、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bとであわせて10kW放電電力が減少する。このとき、(第2電力変換回路42の出力電力30kW)+(蓄電装置2Aの放電電力6.4kW)+(蓄電装置2Bの放電電力13.6kW)=(交直変換回路5の変換電力50kW)となるから、直流バス3の電圧Vは391.4Vで安定する。
【0036】
ここで、自家発電電源の出力が減少して、第2電力変換回路42の出力電力が10kWとなると、直流バス3の電圧は391.4Vから降下していき、同時に蓄電装置2A、蓄電装置2Bの放電電力は図3に示す関係に従って増加する。そして、直流バス3の電圧Vが第1閾値電圧V1(390V)になると、蓄電装置2Aは10kWで放電し、蓄電装置2Bは20kWで放電する。このとき、(第2電力変換回路42の出力電力10kW)+(蓄電装置2Aの放電電力10kW)+(蓄電装置2Bの放電電力20kW)=40kWであり、交直変換回路5の定格電力50kW以下である。したがって、交直変換回路5が配電線7に40kW出力することで直流バス3の電圧Vを標準値Vn(380V)に制御できる。
【0037】
電力指令部6は、蓄電装置2A、蓄電装置2Bそれぞれに対して、一定の周期(例えば1分)で充放電指令値62A,62B、充電上限電力PCLA,PCLB、放電上限電力PDLA,PDLBを指令するから、図3に示した直流バス電圧Vと各蓄電装置の充放電電力の関係は一定周期で更新される。例えば、以降の時刻において、自家発電電源41の出力が増加することが見込まれるために、電力指令部6は、図3に示した充放電指令値62A,62Bから、充放電指令値を減少させる場合がある。
【0038】
図3において、上記と逆の事象により、直流母線の電圧Vが低下し、第2閾値電圧V2以下になることがあるが、この場合には図3に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bによる制御から充放電電力を放電方向に強制的に変化させる運用とすることにすればよい。
【0039】
図4に、本発明の実施例1における直流バス電圧と指令値更新後の各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す。ここでは、電力指令部6の指令する充放電指令値62Aは5kW放電、充放電指令値62Bは15kW放電に更新される。指令値の更新に従って、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係は、図3に示した関係から図4に示す関係に更新される。更新以降に直流バス3の電圧Vが第1閾値電圧V1を超過し領域1に進入した場合または第2閾値電圧V2を下回って領域3に進入した場合、蓄電装置2A、蓄電装置2Bは図4に示す関係に従って充放電電力を変化させる。
【0040】
なお、図4に示す関係では電力指令部6の指令値のうち、充放電指令値62A,62Bのみが更新され、充電上限電力PCLA,PCLB、放電上限電力PDLA,PDLBは更新されていない。充電上限電力PCLA,PCLB、放電上限電力PDLA,PDLBが更新された場合においても、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係は更新される。
【0041】
図5に本発明の実施例1における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例2を示す。図3と同様に、点線が蓄電装置2A、破線が蓄電装置2Bの直流バス電圧と充放電電力の関係を示す。
【0042】
蓄電装置2Aと蓄電装置2Bに対して、図3と同様に、電圧制御上限電圧V1L(例えば400V)および電圧制御下限電圧V2L(例えば360V)を設定する。ここで、電圧制御上限電圧V1Lは第1閾値電圧V1より高く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲上限のうち最も低い電圧範囲上限より低い電圧を設定する。また、電圧制御下限電圧V2Lは第2閾値電圧V2より低く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲下限のうち最も高い電圧範囲下限より高い電圧を設定する。
【0043】
図5に示す本発明の実施例1における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例において、蓄電装置を充電するため充放電指令値62Aは-20kW(20kW充電)、充放電指令値62Bは-40kW(40kW充電)であったとする。また、放電上限値PDLAは30kW、放電上限値PDLBは50kW、充電上限値PCLAは-30kW、充電上限値PCLBは-50kWであったとする。
【0044】
このとき、直流バス3の電圧Vが第2閾値電圧V2(370V)以上、第1閾値電圧V1(390V)以下であれば領域1に存在し、蓄電装置2Aは20kWで充電し、蓄電装置2Bは40kWで充電する。ここで、交直変換回路5の定格電力が50kWとすると、第2電力変換回路42の出力電力が10kW以上110kW以下であれば、(第2電力変換回路42の出力電力)+(蓄電装置2Aの充放電電力-20kW)+(蓄電装置2Bの充放電電力-40kW)が-50kW以上50kW以下となるから、交直変換回路5の電圧制御により直流バス3の電圧Vは標準電圧Vn(380V)に保たれる。
【0045】
しかし、自家発電電源41の出力が減少して、例えば第2電力変換回路42の出力電力が0kWとなると、(第2電力変換回路42の出力電力0kW)+(蓄電装置2Aの充放電電力-20kW)+(蓄電装置2Bの充放電電力-40kW)が-60kWとなる。直流バス3の電圧Vを標準電圧Vn(380V)に制御するためには、交直変換回路5が定格電力50kWを超える60kWだけ配電線7から受電しなければならず、交直変換回路5は直流バス3の電圧Vを標準電圧Vn(380V)に維持できない。電圧Vを標準電圧Vn(380V)に維持するために必要な電力が10kW不足するため、直流バス3の電圧Vは標準電圧Vn(380V)から降下し、第2閾値電圧V2(370V)を下回る。
【0046】
このとき、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bは図5に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bから充放電電力を変化させる。図5においては、直流バス3の電圧Vが第2閾値電圧V2(370V)を下回り369.3Vのとき、蓄電装置2Aは充放電電力を-20kW(20kW充電)から3.6kWだけ増加させた-16.4kWで放電(16.4kW充電)し、蓄電装置2Bは充放電電力を-40kWから6.4kWだけ増加させた-33.6kWで放電(33.6kW充電)する。すなわち、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bとであわせて10kW充電電力が減少する。このとき、(第2電力変換回路42の出力電力0kW)+(蓄電装置2Aの放電電力-16.4kW)+(蓄電装置2Bの放電電力-33.6kW)=(交直変換回路5の変換電力-50kW)となるから、直流バス3の電圧Vは369.3Vで安定する。この後、自家発電電源41の出力が増加し、第2電力変換回路42の出力が増加した場合についても、これまでの説明のように、図5に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係から直流バス3の電圧、蓄電装置2A、蓄電装置2Bの充放電電力が決定される。
【0047】
図3図4および図5に示されるように、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bは電力指令部6からの指令値62A,62Bに基づいて直流バス3の電圧と蓄電装置の充放電電力の関係をそれぞれ設定する。これにより、電力指令部6が前述の各種条件を考慮して各蓄電装置に対して決定した充電指令値PCL、放電上限値PDLを考慮したうえで直流バス3の電圧制御を実施できる。
【0048】
なお、以上では、第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2、電圧制御上限電圧V1L、電圧制御下限電圧V2Lは、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bそれぞれで設定され、直流バス電圧と蓄電装置の充放電電力の関係についても、電力指令部6からの各種指令値を受けて、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bそれぞれで設定された。しかし、これら第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2、電圧制御上限電圧V1L、電圧制御下限電圧V2Lと、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係をすべて電力指令部6が設定することができる。その場合、電力指令部6は設定した直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を指令することで、各蓄電装置は以上の説明のように動作できる。
【0049】
蓄電装置2A、蓄電装置2Bは、蓄電池21A、蓄電池21Bの保護のため、蓄電池端子電圧上限値、蓄電池端子電圧下限値をそれぞれ設定できる。そして蓄電池21A、蓄電池2Bの端子電圧が蓄電池端子電圧上限値を超過したとき、第1電力変換回路22A、第1電力変換回路22Bは、充電動作を停止し、蓄電装置2A、蓄電装置2Bの充電は停止される。蓄電池21A、蓄電池2Bの端子電圧が蓄電池端子電圧下限値を下回ったとき、第1電力変換回路22A、第1電力変換回路22Bは、放電動作を停止し、蓄電装置2A、蓄電装置2Bの放電は停止される。
【0050】
また、蓄電装置2A、蓄電装置2Bは、蓄電池21A、蓄電池21Bの保護のため、蓄電池放電上限電流、蓄電池充電上限電流をそれぞれ設定できる。そして、これらの上限電流を放電上限値PDLA、充電上限値PCLA、放電上限値PDLB、充電上限値PCLBに設定できる。
【0051】
上記した実施例1における制御は、蓄電装置2A,2B内の第1電力変換回路22A,22Bの図示せぬ制御回路により実行される。図13はこの場合の制御回路の処理内容を示すフローチャートである。なお実施例1の場合、第1電力変換回路22A,22B内の制御装置は同一処理を実行しているので以下においては、これらを区別しないものとする。
【0052】
図13の最初の処理ステップS1では、電圧に関する各種の設定値を予め入力する。これらは第1閾値電圧V1(例えば390V)、第2閾値電圧V2(例えば370V)、電圧制御上限電圧V1L(例えば400V)、電圧制御下限電圧V2L(例えば360V)、標準電圧Vn(380V)である。
【0053】
処理ステップS2では、電力指令部6から充電上限電力、放電上限電力の指令値(蓄電装置2Aでは充電上限値PCLA、放電上限値PDLA、または蓄電装置2Bでは充電上限値PCLB、放電上限値PDLB)を入力する。また処理ステップS3では、電力指令部6から充放電指令値62(蓄電装置2Aでは62A、蓄電装置2Bでは62B)を入力する。処理ステップS2、S3における、これらの入力処理は例えば1分周期で行われる。
【0054】
上記までの処理は、変換器制御を実行するにあたり必要な、各種の設定や指令を入力する処理であり、以下においてはこれらの設定値や指令に応じた制御が行われる。このため、処理ステップS4以降の処理ではより短い周期(例えば10マイクロ秒周期)での処理が行われる。
【0055】
まず、処理ステップS4では、直流母線の電圧Vを例えば10マイクロ秒周期で検知する。処理ステップS5では、電圧Vを電圧に関する各種設定第1閾値電圧V1(例えば390V)、第2閾値電圧V2(例えば370V)と比較して、現在の運転電圧が第1閾値電圧V1(例えば390V)、第2閾値電圧V2(例えば370V)第1閾値電圧V1(例えば390V)、第2閾値電圧V2(例えば370V)例えば図3の運転領域1,運転領域2,運転領域3のいずれに属するかを判断する。
【0056】
電圧測定値Vが図3の領域1内にあるとき(第1閾値電圧V1以下かつ第2閾値電圧V2以上のとき)、処理ステップS6において、充放電指令値62A、充放電指令値62Bに従って第1電力変換回路22A、第1電力変換回路22Bを制御し、蓄電池21A、蓄電池21Bを充放電する。
【0057】
電圧測定値Vが図3の領域2内にあるとき(第1閾値電圧V1以上かつ電圧制御上限電圧電圧V1L以下のとき)、処理ステップS7において、図3に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bによる制御から充放電電力を充電増加方向に強制的に変化させる運用とする。
【0058】
電圧測定値Vが図3の領域3内にあるとき(第2閾値電圧V1以下かつ電圧制御下限電圧電圧V2L以上のとき)、処理ステップS8において、図3に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bによる制御から充放電電力を放電増加方向に強制的に変化させる運用とする。
【0059】
なお処理ステップS4からS8は、処理ステップS9の繰り返し処理により制御周期ごとに実行され、電力指令部からの入力を参照する処理は処理ステップS10の繰り返し処理により例えば1分周期ごとに実行される。
【実施例0060】
本実施例において、電力供給設備の構成例は実施例1と同様であるため、構成例については説明を省略する。また、他の実施例1と同様の内容についても適宜説明を省略する。
【0061】
図6に、本発明の実施例2における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す。蓄電装置2A、蓄電装置2Bに対して、第1閾値電圧V1および第2閾値電圧V2をあらかじめ設定する。このとき、第1閾値電圧V1および第2閾値電圧V2には、蓄電装置2A、蓄電装置2Bで相異なる値を設定することができる。ただし、第1閾値電圧V1には標準電圧Vnより高く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲上限のうち最も低い電圧範囲上限より低い電圧を設定する。また、第2閾値電圧V2には標準電圧Vnより低く、直流バス3に接続されるすべての回路・装置の電圧範囲下限のうち最も高い電圧範囲下限より高い電圧を設定する。
【0062】
本実施例においては、第1閾値電圧V1は蓄電装置2Aと蓄電装置2Bで共通の値(例えば390V)とする。一方、第2閾値電圧V2は蓄電装置2Aと蓄電装置2Bで異なる値を取り、蓄電装置2Aの第2閾値電圧V2Aを例えば365Vとし、蓄電装置2Bの第2閾値電圧V2Bを例えば370Vとする。
【0063】
蓄電装置2Aと蓄電装置2Bに対して、実施例1と同様に電圧制御上限電圧V1L(例えば400V)および電圧制御下限電圧V2L(例えば360V)を設定する。また、電力指令部6の指令する充放電指令値62Aは-20kW(20kW充電)、充放電指令値62Bは-40kW(40kW充電)、放電上限値PDLAは30kW、放電上限値PDLBは50kW、充電上限値PCLAは-30kW、充電上限値PCLBは-50kWであったとする。このとき、図6に示すような直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係が設定される。なお、直流バス3の標準電圧Vnは実施例1と同様に380Vとする。
【0064】
本実施例において、自家発電電源の出力が減少して、例えば第2電力変換回路42の出力電力が0kWとなったとする。このとき、(第2電力変換回路42の出力電力0kW)+(蓄電装置2Aの充放電電力-20kW)+(蓄電装置2Bの充放電電力-40kW)が-60kWとなり、直流バス3の電圧Vを標準電圧Vnに維持するために必要な電力が10kW不足するため、直流バス3の電圧Vは標準電圧Vn(380V)から降下し、第2閾値電圧V2(370V)を下回る。
【0065】
このとき、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bは図6に示される直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係に従って、充放電指令値62Aおよび充放電指令値62Bから充放電電力を変化させる。すなわち、第2閾値電圧V2(370V)を下回ると、まず蓄電装置2Bのみが充放電電力を-40kWから増加(充電電力を40kWから減少)させていく。そして、直流バス3の電圧Vが368.9Vまで降下すると、蓄電装置2Bは図6に示す関係に従って、充放電電力を-40kWから-30kWに増加(充電電力を40kWから30kWに減少)させる。このとき、368.9Vは第2閾値電圧V2Aより高いため、蓄電装置2Aは充放電指令値62Aに従い充放電電力-20kW(充電電力20kW)で動作している。これにより、(第2電力変換回路42の出力電力0kW)+(蓄電装置2Aの充放電電力-20kW)+(蓄電装置2Bの充放電電力-30kW)が-50kWとなるため、直流バス3の電圧Vは368.9Vで安定する。
【0066】
図7に、本発明の実施例2における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例2を示す。ここでは、第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2のいずれも蓄電装置2Aと蓄電装置2Bで異なる値を取ることとし、蓄電装置2Aの第1閾値電圧V1Aを例えば390Vとし、蓄電装置2Bの第1閾値電圧V1Bを例えば395Vとする。また、蓄電装置2Aの第2閾値電圧V2Aを例えば365Vとし、蓄電装置2Bの第2閾値電圧V2Bを例えば370Vとする。また、電力指令部6の指令する充放電指令値62Aは10kW(10kW放電)、充放電指令値62Bは-40kW(40kW充電)、放電上限値PDLAは30kW、放電上限値PDLBは50kW、充電上限値PCLAは-30kW、充電上限値PCLBは-50kWとする。
【0067】
ここで、第2閾値電圧V2A>第2閾値電圧V2Bであるから、直流バス3の電圧が標準値Vnから第2閾値電圧V2Aまで降下した際、まず蓄電装置2Aが充放電電力を変化させて直流バス3の電圧制御を開始し、蓄電装置2Bは充放電指令値62Bで指令された電力での充放電を継続する。そして、直流バス3の電圧Vが第2閾値電圧V2Aから第2閾値電圧V2Bまでさらに降下したすると、蓄電装置2Bは蓄電装置2Aと同様に充放電電力を変化させ、直流バス3の電圧制御を開始する。
【0068】
また、第1閾値電圧V1A<第1閾値電圧V1Bであるから、直流バス3の電圧Vが標準値Vnから第1閾値電圧V1Aまで上昇した際、まず蓄電装置2Aが充放電電力を変化させて直流バス3の電圧制御を開始し、蓄電装置2Bは充放電指令値62Bで指令された電力での充放電を継続する。そして、直流バス3の電圧Vが第1閾値電圧V1Aから第1閾値電圧V1Bまでさらに上昇したすると、蓄電装置2Bは蓄電装置2Aと同様に充放電電力を変化させ、直流バス3の電圧制御を開始する。これにより、蓄電装置2Bは直流バス3の電圧Vが上昇または降下しても電力指令部6から指令された充放電指令値62Bに従う充放電を優先し、蓄電装置2Aのみでは直流バス3の電圧Vを制御できず、直流バス3の電圧Vが第1閾値電圧V1Bを超過または第2閾値電圧V2Bを下回った時に初めて直流バス3の電圧制御を行う。
【0069】
図6および図7に示すような、第1閾値電圧V1および第2閾値電圧V2に、蓄電装置2A、蓄電装置2Bで相異なる値を設定することで、蓄電装置間に直流バス3の電圧制御に移行する優先度をつけることができる。これにより、特定の蓄電装置2については電力指令部6の指令した充放電電力での動作を優先したうえで、直流バス3の電圧制御を実施できる。
【0070】
なお、本実施例においても、実施例1と同様に第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2、電圧制御上限電圧V1l、電圧制御下限電圧V2Lと、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係をすべて電力指令部6が設定することができる。その場合、電力指令部6は設定した直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を指令することで、各蓄電装置は以上の説明のように動作できる。
【実施例0071】
本実施例において、電力供給設備の構成例は実施例1と同様であるため、構成例については説明を省略する。また、他の実施例1と同様の内容についても適宜説明を省略する。
【0072】
図8に、本発明の実施例3における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す。本実施例では、直流バス3の標準電圧Vnを380Vとし、蓄電装置2A、蓄電装置2Bに対して、共通の第1閾値電圧V1(390V)および共通の第2閾値電圧V2(370V)をあらかじめ設定する。また、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bは電圧制御上限電圧V1L(400V)および電圧制御下限電圧V2L(360V)を設定する。そして、電力指令部6の充放電指令値62Aは10kW放電、充放電指令値62Bは20kW放電とする。また、放電上限値PDLAは15kW、放電上限値PDLBは25kW、充電上限値PCLAは-15kW、充電上限値PCLBは-25kWとする。
【0073】
本実施例では図8に示したように、第1閾値電圧V1以上において、充電上限電力の大きな蓄電装置2Bの方が、充電上限電力の小さな蓄電装置2Aと比較して、直流バス電圧の変化に対する充放電電力の変化が大きくなるように、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を設定している。また、第2閾値電圧V2以下において、放電上限電力の大きな蓄電装置2Bの方が、放電上限電力の小さな蓄電装置2Aと比較して、直流バス電圧の変化に対する充放電電力の変化が大きくなるように、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を設定している。
【0074】
蓄電装置2A、蓄電装置2Bの有する蓄電池21A、蓄電池21Bは例えば電気自動車用電池の再利用などの中古電池でもよく、その場合、劣化状態が異なる。一方で、電力供給設備の保守管理の観点では、各蓄電池の劣化状態が均一であれば、1回の保守点検で蓄電池の交換を同時に行えるため効率的である。
【0075】
そこで、電力指令部6が、各蓄電池の劣化状態を考慮し、劣化が進行している蓄電池を有する蓄電装置ほど、充電上限電力または放電上限電力を小さな値に設定している場合に、設定される充電上限電力または放電上限電力の大きな蓄電装置を優先して使用することで各蓄電池の劣化状態を均質化しながら直流バス3の電圧を制御する。
【0076】
図8に示した直流バス電圧と蓄電装置の充放電電力の関係を蓄電装置2A、蓄電装置2Bに設定したとき、直流バス電圧Vが第1閾値電圧V1を超過すると、蓄電装置2A、蓄電装置2Bが充放電電力を変化させ電圧制御を開始するが、蓄電装置2Bのほうが大きく充放電電力を変化させる。これにより、電圧制御時に放電から充電に切り替わる電圧は蓄電装置2Bのほうが蓄電装置2Aより低くなる。すなわち、蓄電装置2Bのほうが、充放電切り替えが発生しやすい。また図8では、蓄電装置2Bの充放電電力が充電上限値Bに到達する電圧が電圧制御上限電圧より低い値に設定され、充電上限値Bで充電する領域が広く設定されている。これらの設定により蓄電装置2Aと蓄電装置2Bでは、蓄電装置2Bのほうが、蓄電池が劣化しやすい運用となる。
【0077】
なお、本実施例においても、実施例1と同様に第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2、電圧制御上限電圧V1L、電圧制御下限電圧V2Lと、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係をすべて電力指令部6が設定することができる。その場合、電力指令部6は設定した直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を指令することで、各蓄電装置は以上の説明のように動作できる。
【実施例0078】
本実施例において、電力供給設備の構成例は実施例1と同様であるため、構成例については説明を省略する。また、他の実施例1と同様の内容についても適宜説明を省略する。
【0079】
図9に、本発明の実施例4における直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係の例を示す。本実施例では、直流バス3の標準電圧Vnを380Vとし、蓄電装置2A、蓄電装置2Bに対して、共通の第1閾値電圧V1(390V)および共通の第2閾値電圧V2(370V)をあらかじめ設定する。また、蓄電装置2Aと蓄電装置2Bは電圧制御上限電圧V1L(400V)および電圧制御下限電圧V2L(360V)を設定する。そして、電力指令部6の充放電指令値62Aは-20kW(20kW充電)、充放電指令値62Bは-40kW(40kW充電)とする。また、放電上限値Aは30kW、放電上限値PDLBは50kW、充電上限値PDLAは-30kW、充電上限値Bは-50kWとする。
【0080】
電力指令部6は、蓄電池21A、蓄電池21Bの容量、あるいは第1電力変換回路21A、第1電力変換回路21Bの定格電力を考慮して、蓄電装置2A、蓄電装置2Bに充放電指令値62A、充放電指令値62Bを指令し、蓄電池21A、蓄電池21BのSOC(State of Charge)を管理する。例えば、蓄電池21Aは容量30kWh、SOC50%、蓄電池21Bの容量が60kWh、SOC50%とする。また、第1電力変換回路21Aの定格電力が30kW、第1電力変換回路21Bの定格電力が60kWとする。ここで、第2電力変換回路42の出力電力が60kWとすると、充放電指令値62Aを-20kW(20kW充電)、充放電指令値62Bを-40kW(40kW充電)とすることで、蓄電池21A、蓄電池21Bを同一のSOC上昇率で充電できる。
【0081】
このように、電力指令部6が各蓄電池のSOCを管理した充放電指令値を生成、指令している場合、各蓄電装置が直流バス電圧制御に移行しても、充放電指令値における電力配分を維持して充放電電力を変化させることが望まれる。
【0082】
そこで、本実施例では、直流バス電圧の変化に対する各蓄電装置の充放電電力の変化率の比が、各蓄電装置に対する充放電指令値の比と等しくなるように、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を設定する。図8では、充放電指令値の比が蓄電装置2A:蓄電装置2B=1:2であるから、直流バス電圧Vの変化に対する充放電電力の変化率の比を蓄電装置2A:蓄電装置2B=1:2とする。
【0083】
すなわち、第1閾値電圧V1以上において、蓄電装置2Aは直流バス3の電圧Vが390Vから400Vに10V上昇すると10kWだけ充放電電力を変化させ、30kWで充電するから、蓄電装置2Bは直流バス3の電圧Vが390Vから395Vに5V上昇すると10kWだけ充放電電力を変化させ、50kWで充電する。なお、充電電力50kWは蓄電装置2Bの充電上限電力であるから、直流バス3の電圧Vが395V以上となっても蓄電装置2Bの充電電力は50kWから変化しない。
【0084】
一方、第2閾値電圧V2未満において蓄電装置2Aは直流バス3の電圧Vが370Vから360Vに10V降下すると50kWだけ充放電電力を変化させ、30kWで放電する。このとき蓄電装置2Bは、直流バス3の電圧Vが370Vから361Vに9V降下すると90kWだけ充放電電力を変化させ、50kWで放電するように直流バス電圧と蓄電装置2Bの充放電電力の関係を設定する。これにより直流バス電圧の変化に対する充放電電力の変化率の比が蓄電装置2A:蓄電装置2B=1:2となる。なお、放電電力50kWは放電上限値Bに等しいから、直流バス3の電圧が361V未満となっても蓄電装置2Bの放電電力は50kWから変化しない。
【0085】
本実施例においても、実施例1と同様に第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2、電圧制御上限電圧V1L、電圧制御下限電圧V2Lと、直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係をすべて電力指令部6が設定することができる。その場合、電力指令部6は設定した直流バス電圧と各蓄電装置の充放電電力の関係を指令することで、各蓄電装置は以上の説明のように動作できる。
【実施例0086】
図10に、本発明の実施例5における電力供給設備の構成例を示す。直流バス3は、電動移動体接続部34を少なくとも1個有する。そして、電動移動体接続部34を介して、電動移動体2Cが直流バス3に接続される。ここで、電動移動体接続部34は直流バス3から分岐したケーブル・コネクタであり、電動移動体2Cと直流バス3の電気接点である。電動移動体2Cは、例えば、電動自動車や、電動農機、ドローン等であり、必ずしも電力供給設備1に常時備えられるものではない。電動移動体2Cは、蓄電池21Cと、第1電力変換回路22Cを有し、直流給電により自身で充電電力を制御して蓄電池21Cを充電できる。また、第1電力変換回路22Cにより蓄電池21Cに蓄電した電力を直流放電することができる。なお、本構成例において、蓄電装置2Aが1基も直流バス3に接続されず、電動移動体接続部34および電動移動体2Cが複数直流バス3に接続されるという構成も取ることができる。
【0087】
図11に、本発明の実施例5における電力供給設備の構成例2を示す。第1電力変換回路22Dはその一端を直流バス3に接続する。そしてもう一端には電動移動体接続部35が接続される。そして第1電力変換回路22Dおよび電動移動体接続部35を介して、蓄電池21Dを有する電動移動体2Dが直流バス3に接続される。ここで、電動移動体接続部35は第1電力変換回路22Dの出力を蓄電池21Dに供給、蓄電池21Dの電力を第1電力変換回路22Dに送電するためのケーブル・コネクタである。電動移動体2Dは、例えば、電動自動車や、電動農機、ドローン等であり、必ずしも電力供給設備1に常時備えられるものではない。電動移動体2Dは第1電力変換回路22Dの充放電電力制御により蓄電池21Dの充放電を実施する。
【0088】
図10および図11の構成においても、実施例1~4で説明した直流バス電圧制御を実施できる。すなわち、電力指令部6は、電動移動体2Cおよび電動移動体2Dを実施例1~4で説明した蓄電装置2A、蓄電装置2Bと同様に取り扱うことができる。
【実施例0089】
図12に、本発明の実施例6における電力供給設備の構成例を示す。電力供給設備1では電力変換回路33が直流バスに設置され、第1の直流バス31と第2の直流バス32に分割する。第1の直流バス31および第2の直流バス32には、蓄電装置2Aおよび蓄電装置2Bがそれぞれ接続される。
【0090】
自家発電電源41が例えば太陽光発電設備であったとき、太陽光発電設備の構成によっては第2電力変換回路42の出力電圧が高く(例えば、1000V)なるため、実施例1~5に記載の構成および電圧制御を実施する際、交直変換回路5の電圧制御目標値である直流バス3の標準電圧を高電圧に設定する(例えば、1000V)こととなり、結果として蓄電装置の耐圧を高くする必要がある。しかし、電力変換回路33を設置し、第2電力変換回路42の出力電圧が印加される第1の直流バス31の電圧を降圧して第2の直流バス32の電圧を制御することで、第2の直流バス32に接続する蓄電装置は高耐圧化する必要がなくなる。
【0091】
また、電力変換回路33を絶縁型電力変換回路とすることで、第1の直流バス31と第2の直流バス32の間で電気的絶縁を取ることができる。第2電力変換回路42が太陽光発電用のMPPTコンバータとして多く用いられる非絶縁電力変換回路であったとき、第1の直流バス31と自家発電電源41(太陽光発電設備)の間は電気的絶縁がとられていないが、第2の直流バス32と自家発電電源41(太陽光発電設備)の間は電気的絶縁がとられる。これにより、例えば、第2の直流バス32が劣化し導体部分が露出した箇所を人体が触れたとしても、電源である自家発電電源41(太陽光発電設備)から人体までの電流経路が形成されないため、感電を防止できる。
【0092】
本実施例において、電力変換回路33は、動作時は常に1次側電圧V1と2次側電圧V2との比率を一定値Nにする制御を行う。すなわちV1=N×V2である。ここでは、N=1000/380とする。また、電力変換回路33の定格電力は、蓄電装置2Bの有する第1電力変換回路2Bの定格電力に等しいものとする。
【0093】
前述の電力変換回路33による電圧比一定制御により、第2の直流バス32の電圧Vが、実施例1で示した標準電圧Vn(380V)、第1閾値電圧V1(390V)、電圧制御上限電圧V1L(400V)、第2閾値電圧V2(370V)、電圧制御下限電圧V2L(360V)のとき、電力変換回路33の1次側電圧、すなわち第1の直流バス31の電圧Vは、それぞれ標準電圧Vn’(1000V)、第1閾値電圧V1’(1026V)、電圧制御上限電圧V1L’(1053V)、第2閾値電圧V2’(974V)、電圧制御下限電圧V2L’(947V)となる。
【0094】
ここで、交直変換回路5は第1の直流バス31の電圧制御時に目標値を1000Vとし、第1の直流バス31に接続される蓄電装置2Aは第1閾値電圧V1’を1026V、電圧制御上限電圧V1L’を1053V、第2閾値電圧V2’を974V、電圧制御下限電圧V2L’を947Vにそれぞれ設定する。また、第2の直流バス32に接続される蓄電装置2Bは、第1閾値電圧V1を390V、電圧制御上限電圧V1Lを400V、第2閾値電圧V2を370V、電圧制御下限電圧V2Lを360Vにそれぞれ設定する。そして、その他の制御、動作は実施例1に準じることで、本実施例における電力供給設備の構成例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0095】
なお、第1の直流バス31および第2の直流バス32には、それぞれ蓄電装置が複数接続されていてもよく、以上と同様に第1閾値電圧V1、電圧制御上限電圧V1L、第2閾値電圧V2、電圧制御下限電圧V2Lを設定すればよい。
【0096】
また、本実施例において、蓄電装置2A、蓄電装置2Bはそれぞれ、実施例5で示した電動移動体2Cおよび電動移動体接続部34の構成または電動移動体2D、電動移動体接続部35および第1電力変換回路22Dの構成に置換可能である。
【符号の説明】
【0097】
1:電力供給設備
2A、2B:蓄電装置
2C、2D:電動移動体
21A、21B、21C、21D:蓄電池
22A、22B、22C、22D:第1電力変換回路
23A、23B、23C、23D:直流バス電圧計測部
3:直流バス
31:第1の直流バス
32:第2の直流バス
33:電力変換回路
34、35:電動移動体接続部
41:自家発電電源
42:第2電力変換回路
5:交直変換回路
6:電力指令部
7:配電線
8:交流電源
9:交流負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13