(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110256
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20230802BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230802BHJP
H02J 50/05 20160101ALI20230802BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/10
H02J50/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011597
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智和
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳志
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(57)【要約】
【課題】電磁波による人体暴露を抑制すること。
【解決手段】非接触給電システムは、受電装置と、送電装置と、を備える。受電装置は、車室内に設けられている。送電装置は、電力伝送信号を用いた受電装置への非接触給電を行う。送電装置は、送電変換部と、送電アンテナと、送電制御装置と、を備える。送電制御装置は、送電変換部及び送電アンテナの少なくとも一方を制御することによって送電電力を調整可能である。送電制御装置は、送電モードの切り替えを行う。送電モードは、通常出力モードと、制限モードと、を含む。制限モードは、通常出力モードよりも送電電力を制限した送電モードである。送電制御装置は、人による制限指示を受け付けた場合、送電モードを制限モードにする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が出入り可能な空間に設けられた受電装置に、非接触給電によって電力を送電する送電部と、
前記送電部の送電モードを切り替える送電制御装置と、
前記人による前記送電の制限指示を受け付ける受付部と、を備え、
前記送電モードは、通常出力モードと、前記通常出力モードよりも送電電力を制限した制限モードと、を含み、
前記送電制御装置は、前記受付部によって前記制限指示を受け付けた場合、前記送電モードを前記制限モードにする、送電装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記人の所持するデバイスが前記空間内に存在するか否かを判定する判定装置から、前記デバイスが前記空間内に存在するか否かの判定結果を取得可能に構成されており、
前記送電制御装置は、
前記判定結果から前記デバイスが前記空間内に存在しているか否かを判定し、
前記デバイスが前記空間内に存在している場合、前記制限指示を受け付けたと判定する、請求項1に記載の送電装置。
【請求項3】
前記送電制御装置は、前記デバイスが前記空間内に存在していないと判定し、かつ、開始条件が成立した場合に前記送電モードを前記通常出力モードにする、請求項2に記載の送電装置。
【請求項4】
前記制限モードは、前記送電を停止する停止モードである、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の非接触給電システムは、送電装置と、受電装置と、を備える。送電装置は、非接触給電によって電力を送電する。受電装置は、送電装置から送電された電力を受電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電によって送電を行う場合、送電装置には、電磁波による人体暴露を抑制することが求められる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する送電装置は、人が出入り可能な空間に設けられた受電装置に、非接触給電によって電力を送電する送電部と、前記送電部の送電モードを切り替える送電制御装置と、前記人による前記送電の制限指示を受け付ける受付部と、を備え、前記送電モードは、通常出力モードと、前記通常出力モードよりも送電電力を制限した制限モードと、を含み、前記送電制御装置は、前記受付部によって前記制限指示を受け付けた場合、前記送電モードを前記制限モードにする。
【0006】
人による制限指示を受け付けると、制御装置は、送電モードを制限モードにする。制限モードでは、通常出力モードよりも送電電力が制限される。従って、送電モードが通常出力モードに維持される場合に比べて、電磁波による人体暴露を抑制することができる。
【0007】
上記送電装置について、前記受付部は、前記人の所持するデバイスが前記空間内に存在するか否かを判定する判定装置から、前記デバイスが前記空間内に存在するか否かの判定結果を取得可能に構成されており、前記送電制御装置は、前記判定結果から前記デバイスが前記空間内に存在しているか否かを判定し、前記デバイスが前記空間内に存在している場合、前記制限指示を受け付けたと判定することが好ましい。
【0008】
デバイスを所持した人が空間内に入ると、判定装置によってデバイスが空間内に存在していると判定される。送電制御装置は、デバイスが空間内に存在している場合、制限指示を受け付けたと判定する。人が空間内に入ることによって送電モードが制限モードにされるため、送電モードを制限モードにすることが容易である。
【0009】
上記送電装置について、前記送電制御装置は、前記デバイスが前記空間内に存在していないと判定し、かつ、開始条件が成立した場合に前記送電モードを前記通常出力モードにすることが好ましい。
【0010】
デバイスの通信不良などを原因として、デバイスが空間内に存在しているにも関わらず、判定装置によってデバイスが空間内に存在していないと判定される場合がある。開始条件を設定することによって、開始条件が成立するまでは送電モードが通常出力モードにされない。人が空間内に存在しているにも関わらず、送電モードが通常出力モードにされることを抑制できる。
【0011】
上記送電装置について、前記制限モードは、前記送電を停止する停止モードであることが好ましい。
電磁波による人体暴露をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電磁波による人体暴露を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】キーレスエントリーシステム、及び非接触給電システムの概略構成図である。
【
図3】車載制御装置が行う車室内外判定制御を示すフローチャートである。
【
図4】送電制御装置が行う切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図6】操作盤、及び第2実施形態の非接触給電システムの概略構成図である。
【
図7】操作判定部が行う送電モード判定制御を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態の送電制御装置が行う切り替え制御を示すフローチャートである。
【
図9】携帯通信端末、及び近距離通信装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
送電装置の第1実施形態について説明する。
<車両>
図1に示すように、車両10は、車室11を備える。車室11は、人M1が出入り可能な空間である。
【0015】
<キーレスエントリーシステム20>
図2に示すように、車両10は、キーレスエントリーシステム20で施錠及び解錠を可能に構成されている。キーレスエントリーシステム20は、車載器21と、電子鍵31と、を備える。車載器21は、車両10に搭載されている。車載器21は、車載制御装置22と、車載送信回路25と、車載送信アンテナ26と、車載受信回路27と、車載受信アンテナ28と、を備える。
【0016】
車載制御装置22は、プロセッサ23と、記憶部24と、を備える。記憶部24は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部24は、処理をプロセッサ23に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部24、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車載制御装置22は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である車載制御装置22は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。記憶部24は、電子鍵31の識別情報を記憶している。
【0017】
車載送信回路25は、車載送信アンテナ26から電子鍵31に探索信号を送信する。詳細にいえば、車載送信回路25は、車載制御装置22から入力されたデータに基づき変調を行った探索信号を車載送信アンテナ26から送信する。探索信号は、電子鍵31に対して応答信号の送信を要求するための信号である。探索信号は、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号である。
【0018】
車載受信回路27は、車載受信アンテナ28を介して電子鍵31から送信される応答信号を受信する。応答信号は、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯の信号である。応答信号には、例えば、電子鍵31に設定された識別情報が含まれている。車載受信回路27は、応答信号を復調して得られたデータを車載制御装置22に出力する。
【0019】
車載制御装置22は、識別情報の照合を行う。車載制御装置22は、応答信号に含まれる識別情報と、記憶部24に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する。車載制御装置22は、記憶部24に記憶された識別情報と識別情報が一致する電子鍵31を登録鍵と判定する。登録鍵とは、車両10に対応する電子鍵31である。車載制御装置22は、登録鍵からの指令に応じて解錠及び施錠を行うことが可能である。
【0020】
電子鍵31は、車両10のユーザである人M1が所持している。電子鍵31は、人M1が所持するデバイスである。電子鍵31は、鍵用制御装置32と、鍵用受信回路35と、鍵用受信アンテナ36と、鍵用送信回路37と、鍵用送信アンテナ38と、を備える。
【0021】
鍵用制御装置32は、プロセッサ33と、記憶部34と、を備える。鍵用制御装置32のハードウェア構成は、例えば、車載制御装置22と同様である。記憶部34には、電子鍵31の識別情報が記憶されている。識別情報は、電子鍵31の固有のIDコードである。
【0022】
鍵用受信回路35は、鍵用受信アンテナ36を介して探索信号を受信する。鍵用受信アンテナ36は、探索信号を復調して得られたデータを鍵用制御装置32に出力する。
鍵用送信回路37は、鍵用送信アンテナ38から車載器21に応答信号を送信する。詳細にいえば、鍵用送信回路37は、鍵用制御装置32から入力されたデータに基づき変調を行った応答信号を鍵用送信アンテナ38から送信する。応答信号は、識別情報を含む。鍵用送信回路37は、施錠を要求する情報や解錠を要求する情報を含む要求信号を送信可能であってもよい。
【0023】
<非接触給電システム40>
非接触給電システム40は、受電装置41と、送電装置51と、を備える。受電装置41は、単数であっても複数であってもよい。送電装置51は、単数であっても複数であってもよい。非接触給電システム40は、送電装置51が、受電装置41に対して電力伝送信号W1を用いた非接触給電を行うシステムである。電力伝送信号W1は、無線信号として、送電装置51から受電装置41に向けて伝送される。本実施形態の電力伝送信号W1は、マイクロ波を含む。マイクロ波は、電磁波である。
【0024】
<受電装置41>
受電装置41は、受電アンテナ42と、受電変換部43と、受電蓄電部44と、受電制御装置45と、受電通信部48と、を備える。受電装置41は、例えば、玩具、照明器具、スマートフォン、ウェアラブル端末等、電力を供給可能な任意のものが挙げられる。受電装置41は、車室11内に設けられている。
【0025】
<受電アンテナ42>
受電アンテナ42は、電力伝送信号W1を受信可能に構成されている。受電アンテナ42としては、例えば、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、パラボラアンテナ、複数のアンテナを含むアンテナアレイを用いることができる。受電アンテナ42は、電力伝送信号W1を交流電力に変換する。受電アンテナ42は、通信信号W2を送受信可能に構成されている。電力伝送信号W1を受信する受電アンテナ42と、通信信号W2を送受信するアンテナとは、別々に設けられていてもよい。
【0026】
<受電変換部43>
受電変換部43は、受電アンテナ42から出力される交流電力を受電電力に変換する。受電電力は、受電装置41が電力伝送信号W1から得られる電力である。受電電力は、直流電力である。受電変換部43の具体的態様は任意であるが、例えば整流回路や平滑回路を含む。
【0027】
<受電蓄電部44>
受電蓄電部44は、受電装置41の電力源である。受電蓄電部44としては、例えば、リチウムイオン蓄電池等の二次電池、又はキャパシタを用いることができる。受電蓄電部44は、受電変換部43によって変換された受電電力の一部又は全部を貯蔵する。このように電力伝送信号W1による受電装置41への受電が行われる。
【0028】
<受電制御装置45>
受電制御装置45は、プロセッサ46と、記憶部47と、を備える。受電制御装置45のハードウェア構成は、例えば、車載制御装置22と同様である。
【0029】
<受電通信部48>
受電通信部48は、通信信号W2の送受信によって送電装置51と通信する。受電通信部48は、受電アンテナ42が受信した通信信号W2を復調し、受電制御装置45に向けて出力する。また、受電通信部48は、受電制御装置45が出力するデータに基づき変調を行った通信信号W2を受電アンテナ42から送信する。本実施形態の通信信号W2は、ビーコン信号により実現される。通信信号W2を用いた通信態様は任意であり、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)等の任意の通信規格に従うものが挙げられる。
【0030】
<送電装置51>
送電装置51は、電力伝送信号W1を用いた受電装置41への非接触給電を行う。送電装置51は、送電変換部52と、送電アンテナ53と、送電通信部54と、送電制御装置55と、を備える。
【0031】
<送電変換部52>
送電変換部52は、電力源12から供給される電力を電力伝送信号W1に対応する電気信号に変換し、出力する。電気信号は、電圧、電流、電力など任意の形式を採用可能である。送電変換部52の具体的構成は任意であるが、例えばチョッパ回路等のスイッチング素子を含む回路を備える。送電変換部52のスイッチング素子の制御を介して、送電変換部52は、電力源12から供給される直流電力を、交流電力の電気信号として出力する。すなわち送電変換部52は、DC/ACインバータとしての機能を有する。送電変換部52は、送電制御装置55に電力を供給する電力変換部を含む。送電変換部52は、送電制御装置55に、送電制御装置55を駆動するのに必要となる電力を供給する。
【0032】
電力源12は、車両10に搭載されている。電力源12としては、例えば、電装品に電力を供給する補機用バッテリを挙げることができる。車両10が電気自動車であれば、走行用モータに電力を供給する走行用バッテリを電力源12として用いてもよい。また、電力源12としては、送電装置51用に設けられた電力源を用いることもできる。車両10が備える発電機を電力源12として用いることもできる。電力源12としては、上記した電力源の組み合わせであってもよい。
【0033】
<送電アンテナ53>
送電アンテナ53は、受電装置41に対して電力伝送信号W1を送信可能に構成されている。送電アンテナ53は、送電変換部52から出力される電気信号を電力伝送信号W1に変換して送信する。送電アンテナ53としては、例えば、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、パラボラアンテナ、複数のアンテナを含むアンテナアレイを用いることができる。本実施形態の送電アンテナ53は、複数のアンテナを備えるフェーズドアレイアンテナである。送電アンテナ53は、送電変換部52から出力される電力を電力伝送信号W1に変換して、無線として送信する。これにより、送電装置51は、受電装置41に対して送電電力を供給する。送電電力は、電力伝送信号W1として送電される電力である。また、送電アンテナ53は、通信信号W2を送受信可能に構成されている。電力伝送信号W1を送信する送電アンテナ53と、通信信号W2を送受信するアンテナとは、別々に設けられていてもよい。
【0034】
<送電通信部54>
送電通信部54は、通信信号W2を送受信可能に構成されている。具体的には、送電通信部54は、送電アンテナ53が受信した通信信号W2を復調し、送電制御装置55に向けて出力する。送電通信部54は、送電制御装置55が出力するデータに基づき変調を行った通信信号W2を送電アンテナ53から送信する。これにより、送電装置51と受電装置41とは、通信信号W2を介して互いに通信可能に構成されている。
【0035】
<送電制御装置55>
送電制御装置55は、プロセッサ56と、記憶部57と、を備える。送電制御装置55のハードウェア構成は、例えば、車載制御装置22と同様である。送電制御装置55は、車載制御装置22と通信可能に構成されている。送電制御装置55と車載制御装置22は、例えば、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などの通信プロトコルで互いに通信を行うことが可能である。
【0036】
送電制御装置55は、送電電力を調整可能である。送電制御装置55は、例えば、送電アンテナ53を制御することで送電電力を制御可能である。送電アンテナ53としてフェーズドアレイアンテナを用いる場合、複数のアンテナのうち送電を行うアンテナの数を調整することによって送電電力を調整可能である。送電電力の調整は、送電変換部52を制御することによって送電アンテナ53に入力される電力を調整することで行われてもよい。送電制御装置55は、送電変換部52及び送電アンテナ53の少なくとも一方を制御することによって送電電力を調整可能といえる。送電変換部52及び送電アンテナ53は、送電部である。
【0037】
<送電モード>
送電制御装置55は、送電部の送電モードを切り替え可能である。送電モードは、通常出力モードと、制限モードと、を含む。通常出力モードとは、送電電力を制限しないモードである。通常出力モードの場合、例えば、予め定められた送電電力が出力される。送電電力の大きさは、電力源12から入力される電力に応じて変化してもよい。制限モードとは、通常出力モードよりも送電電力を制限したモードである。送電電力の制限とは、送電電力を送電しない態様を含む。本実施形態の制限モードは、送電を行わない停止モードである。停止モード中には、送電は行われないが、送電制御装置55の動作は一部継続される。停止モード中にも継続される送電制御装置55の動作としては、例えば、通信信号W2の送受信、電力伝送信号W1を送信する送電方向に関する演算、及び通信や演算結果に関する履歴の記憶部57への記憶を挙げることができる。送電制御装置55は、車載制御装置22との通信に応じて通常出力モードと停止モードとを切り替える。そして、送電制御装置55は、送電モードに応じて送電電力を調整する。以下、送電モードの切り替えのために車載制御装置22と送電制御装置55が行う制御について説明する。
【0038】
<車室内外判定制御>
車載制御装置22は、車室内外判定制御を行う。車室内外判定制御は、登録鍵が車室11内に存在するか否かを判定する制御である。
【0039】
<ステップS1>
図3に示すように、ステップS1において、車載制御装置22は、イベント情報を受信したか否かを判定する。イベント情報としては、例えば、車載制御装置22とは異なる車載機器からのウェイクアップ信号の受信、応答信号の受信、要求信号の受信、イグニッションスイッチの操作、ドアの開閉、着座情報の受信、及び車両10の起動を挙げることができる。ステップS1の判定結果が否定の場合、車載制御装置22は、ステップS1の処理を再度行う。ステップS1の判定結果が肯定の場合、車載制御装置22は、ステップS2の処理を行う。
【0040】
<ステップS2>
ステップS2において、車載制御装置22は、車載送信回路25から探索信号を送信する。
【0041】
<ステップS3>
次に、ステップS3において、車載制御装置22は、登録鍵が車室11内に存在するか否かを判定する。登録鍵が車室11内に存在するか否かは、種々の方法によって判定できる。
【0042】
登録鍵が車室11内に存在するか否かの判定は、車室11内と車室11外に探索信号を送信することで行われてもよい。この場合、車載送信アンテナ26は複数設けられており、複数の車載送信アンテナ26は、車室11内に探索信号を送信する車載送信アンテナ26と、車室11外に探索信号を送信する車載送信アンテナ26と、を含む。車載制御装置22は、車室11内に送信された探索信号に対する応答信号を受信した場合、登録鍵が車室11内に存在していると判定する。車載制御装置22は、車室11外に送信された探索信号に対する応答信号を受信した場合、登録鍵が車室11外に存在していると判定する。車載制御装置22は、探索信号に対する応答信号を受信できなかった場合も、登録鍵が車室11外に存在していると判定する。応答信号が車室11内に送信された探索信号に対するものか、車室11外に送信された探索信号に対するものかは種々の手法によって判定できる。例えば、車載制御装置22は、車室11内への探索信号の送信と車室11外への探索信号の送信を、時間間隔を空けて交互に行ってもよい。これにより、車載制御装置22は、いずれの探索信号に対して応答信号が送信されたかを判定することができる。登録鍵が応答信号にエリア情報を含めて送信してもよい。エリア情報とは、登録鍵が探索信号を受信した位置が車室11外か車室11内かを示す情報である。車載制御装置22は、エリア情報から登録鍵が車室11内に存在するか否かを判定できる。
【0043】
登録鍵が車室11内に存在するか否かの判定は、車載受信アンテナ28を複数設けることで行われてもよい。この場合、複数の車載受信アンテナ28は、車室11内に存在する登録鍵からの応答信号を受信する車載受信アンテナ28と、車室11外に存在する登録鍵からの応答信号を受信する車載受信アンテナ28と、を含む。車載制御装置22は、車室11内に存在する登録鍵からの応答信号を受信する車載受信アンテナ28によって応答信号が受信された場合、登録鍵が車室11内に存在していると判定する。車載制御装置22は、車室11外に存在する登録鍵からの応答信号を受信する車載受信アンテナ28によって応答信号が受信された場合、登録鍵が車室11外に存在していると判定する。車載制御装置22は、探索信号に対する応答信号を車載受信回路27が受信できなかった場合も、登録鍵が車室11外に存在していると判定する。車載制御装置22は、応答信号の受信強度から登録鍵が車室11内に存在しているか否かを判定してもよい。
【0044】
ステップS3の判定結果が肯定の場合、即ち、登録鍵が車室11内に存在している場合、車載制御装置22は、ステップS4の処理を行う。ステップS3の判定結果が否定の場合、即ち、登録鍵が車室11内に存在していない場合、車載制御装置22は、ステップS5の処理を行う。
【0045】
<ステップS4>
ステップS4において、車載制御装置22は、空間内有無信号を送電制御装置55に送信する。空間内有無信号とは、ステップS3の判定結果、即ち、登録鍵が車室11内に存在するか否かの判定結果を含む信号である。ステップS4では、車室11内に登録鍵が存在していることを示す情報を含んだ空間内有無信号が送信される。
【0046】
<ステップS5>
ステップS5において、車載制御装置22は、空間内有無信号を送電制御装置55に送信する。ステップS5では、車室11内に登録鍵が存在していないことを示す情報を含んだ空間内有無信号が送信される。ステップS4又はステップS5の処理を終えると、車載制御装置22は、車室内外判定制御を終了する。
【0047】
<切り替え制御>
送電制御装置55は、切り替え制御を行う。切り替え制御は、送電モードを通常出力モード、又は停止モードに設定するために行われる制御である。
【0048】
<ステップS11>
図4に示すように、ステップS11において、送電制御装置55は、車載制御装置22から受信した空間内有無信号に登録鍵が車室11内に存在していることを示す情報が含まれているか否かを判定する。言い換えれば、送電制御装置55は、ステップS4で送信された空間内有無信号を受信したか否かを判定する。この判定は、登録鍵が車室11内に存在しているか否かの判定といえる。ステップS11の判定結果が肯定の場合、即ち、車室11内に登録鍵が存在している場合、送電制御装置55は、ステップS12の処理を行う。ステップS12の判定結果が否定の場合、即ち、車室11内に登録鍵が存在していない場合、送電制御装置55は、ステップS13の処理を行う。
【0049】
<ステップS12>
ステップS12において、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。詳細にいえば、ステップS12の処理を行う時点で、送電モードが停止モードであれば、送電制御装置55は停止モードを維持する。ステップS12の処理を行う時点で、送電モードが通常出力モードであれば、送電制御装置55は通常出力モードを停止モードに切り替える。送電制御装置55は通常出力モードを停止モードに切り替える際には、停止プロセスを実行する。停止プロセスとは、送電の停止、受電装置41に関する情報の記憶部57への記憶、通信や演算結果に関する履歴の記憶部57への記憶を挙げることができる。ステップS12の処理を終えると、送電制御装置55は、切り替え制御を終了する。
【0050】
このように、登録鍵が車室11内に存在している場合、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。第1実施形態では、人M1が登録鍵を所持して車室11内に入ることを人M1による送電の制限指示としている。制限指示とは、送電装置51に対して送電電力を制限するように求める指示である。車載制御装置22は、登録鍵が車室11内に存在しているか否かを判定する判定装置である。送電制御装置55は、車載制御装置22と通信可能に設けられることによって、登録鍵が車室11内に存在するか否かの判定結果を車載制御装置22から取得可能に構成されている。送電制御装置55は、車載制御装置22を介して制限指示を受け付けているといえる。送電制御装置55は、受付部である。送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在している場合、制限指示を受け付けたと判定し、送電モードを停止モードにしている。
【0051】
<ステップS13>
ステップS13において、送電制御装置55は、開始条件が成立したか否かを判定する。開始条件とは、送電モードが停止モードに設定されている際に、通常出力モードによる送電を開始するために必要となる条件である。開始条件は、登録鍵以外の要素によって車室11内に人M1が存在していないことを判定するための条件である。開始条件としては、例えば、ドアの開閉が行われたこと、イグニッションオフ、送電制御装置55に接続されている機器との通信の停止、予め定められた時間以上連続して登録鍵が車室11内に存在していないこと、等を挙げることができる。開始条件としては、1つのみ設定されていてもよいし、複数設定されていてもよい。開始条件が複数設定されている場合、送電制御装置55は、複数の開始条件のうち1つが成立した場合に開始条件が成立したと判定してもよいし、全ての開始条件が成立した場合に開始条件が成立したと判定してもよい。送電制御装置55は、ステップS13の判定結果が肯定の場合、ステップS14の処理を行う。送電制御装置55は、ステップS13の判定結果が否定の場合、切り替え制御を終了する。この場合、送電モードは、ステップS13の判定を行う時点で設定されている送電モードに維持される。
【0052】
<ステップS14>
ステップS14において、送電制御装置55は、送電モードを通常出力モードにする。詳細にいえば、ステップS14の処理を行う時点で、送電モードが通常出力モードであれば、送電制御装置55は通常出力モードを維持する。ステップS14の処理を行う時点で、送電モードが停止モードであれば、送電制御装置55は停止モードを通常出力モードに切り替える。ステップS14の処理を終えると、送電制御装置55は、切り替え制御を終了する。
【0053】
<第1実施形態の作用>
第1実施形態の作用について説明する。
登録鍵を所持した人M1が車室11内に入ると、車載制御装置22は登録鍵が車室11内に存在していると判定する。車載制御装置22によって登録鍵が車室11内に存在していると判定されると、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。車室11内に人M1が居る場合には、送電装置51からの送電が行われなくなる。上記したように、送電制御装置55は、登録鍵を所持して車室11内に人M1が入ったことを、人M1による送電の制限指示とみなして送電電力の制限を行う。
【0054】
登録鍵を所持した人M1が車室11から出ると、車載制御装置22は登録鍵が車室11内に存在していないと判定する。送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在していないと判定し、かつ、開始条件が成立した場合に送電モードを通常出力モードにする。
【0055】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)送電制御装置55は、人M1からの制限指示を受け付けると、送電モードを停止モードにする。人M1が車室11内に存在している場合に、送電モードを通常出力モードとする場合に比べて、電磁波による人体暴露を抑制することができる。
【0056】
(1-2)送電制御装置55は、車載制御装置22からの情報を取得可能に構成されている。車載制御装置22は、人M1の所持する登録鍵が車室11内に存在するか否かの判定結果を送電制御装置55に送信する。これにより、送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在しているか否かを判定することができる。送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在している場合、制限指示を受け付けたと判定する。人M1は、登録鍵を所持して車室11に入り込むだけで送電モードを停止モードにすることができる。従って、送電モードを停止モードにすることが容易である。
【0057】
(1-3)送電制御装置55は、開始条件が成立した場合に、送電モードを通常出力モードにしている。登録鍵の通信不良などを原因として、登録鍵が車室11内に存在しているにも関わらず、車載制御装置22によって登録鍵が空間内に存在していないと判定される場合がある。例えば、登録鍵からの応答信号を車載受信回路27が受信できなかった場合や応答信号によって送信されるデータに誤りが生じた場合、車載制御装置22によって登録鍵が車室11内に存在していないと判定される場合がある。登録鍵が車室11内に存在していないと判定された場合に、即座に送電モードを通常出力モードにすると、人M1が車室11内に存在しているにも関わらず送電モードが通常出力モードに設定される場合がある。開始条件を設定することによって、開始条件が成立するまでは送電モードが通常出力モードにされない。人M1が車室11内に存在しているにも関わらず、送電モードが通常出力モードにされることを抑制できる。
【0058】
(1-4)制限モードは、停止モードである。従って、電磁波による人体暴露をより抑制することができる。
<第2実施形態>
送電装置の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の部材については、第1実施形態と同一の符号を付すことによって説明を省略する。
【0059】
<部屋60>
図5に示すように、部屋60は、家庭、商業施設、公共施設などの建屋の一部であって壁によって仕切られている。部屋60の内部である室内61は、人M1が出入り可能な空間である。室外には、操作盤62が設けられている。
【0060】
<操作盤62>
図6に示すように、操作盤62は、操作部63と、操作判定部64と、操作通信部65と、を備える。
【0061】
操作部63は、人M1によって操作される。操作部63としては、例えば、レバー、スイッチ、押しボタン、及びタッチパネルを挙げることができる。操作部63は、送電モードを切り替えるためのものである。例えば、操作部63がレバーであれば、レバーの位置に送電モードが対応付けられており、人M1は、レバーを任意の位置にすることで送電モードの指定をすることができる。本実施形態において、操作部63は、通常出力モードと停止モードとを切り替え可能である。
【0062】
操作判定部64は、操作部63が操作されたことの判定を行う。操作判定部64は、操作部63の操作から、人M1によって指定された送電モードを判定する。例えば、操作部63がレバーであれば、操作判定部64は、レバーの位置から人M1に指定された送電モードの判定を行う。操作判定部64としては、例えば、プロセッサと、記憶部と、を備えたコンピュータを用いることができる。
【0063】
操作通信部65は、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee等の任意の通信規格によって通信を行うものを挙げることができる。
<送電装置51>
送電装置51は、二次蓄電池71と、切替器72と、通信部74と、を備える。送電装置51は、室内61に電力伝送信号W1を送信する。
【0064】
<二次蓄電池71>
二次蓄電池71としては、例えば、リチウムイオン蓄電池等の二次電池、又はキャパシタを用いることができる。
【0065】
<切替器72>
切替器72は、送電変換部52の接続先を二次蓄電池71、又は外部電力源73に切り替える。切替器72によって送電変換部52の接続先が二次蓄電池71とされている場合、送電装置51は二次蓄電池71の電力によって動作する。切替器72によって送電変換部52の接続先が外部電力源73とされている場合、送電装置51は外部電力源73の電力によって動作する。切替器72は、送電制御装置55によって制御される。
【0066】
外部電力源73は、送電装置51の外部に設けられた電力源である。外部電力源73としては、例えば、系統電源を挙げることができる。建屋が太陽光発電装置等の発電装置を備えている場合、発電装置を外部電力源73として用いてもよい。
【0067】
<通信部74>
通信部74は、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee等の任意の通信規格によって通信を行うものを挙げることができる。通信部74は、送電通信部54と兼用されていてもよい。通信部74とは、操作通信部65とは有線接続されていてもよい。
【0068】
<第2実施形態で行われる制御>
第2実施形態の送電装置51では、人M1による操作部63の操作に応じて送電モードが切り替えられる。以下、送電モードを切り替えるために操作判定部64、及び送電制御装置55が行う制御について説明する。ます、操作判定部64が行う送電モード判定制御について説明する。
【0069】
<ステップS21>
図7に示すように、ステップS21において、操作判定部64は、送電モードの切り替えが行われたか否かの判定を行う。操作判定部64は、操作部63が操作された場合には、送電モードが切り替えられたと判定する。操作判定部64は、操作部63が操作されていない場合には、送電モードが切り替えられていないと判定する。ステップS21の判定結果が否定の場合、操作判定部64は、ステップS21の処理を再度行う。ステップS21の判定結果が肯定の場合、操作判定部64は、ステップS22の処理を行う。
【0070】
<ステップS22>
ステップS22において、操作判定部64は、操作通信部65から送電モード設定信号を送信する。送電モード設定信号は、操作部63によって指定された送電モードを示す情報を含む信号である。操作部63がレバーであれば、操作判定部64は、レバーの位置から操作部63によって指定された送電モードを把握し、当該送電モードを示す情報を含む送電モード設定信号を送信する。ステップS22の処理を終えると、操作判定部64は、送電モード判定制御を終了する。
【0071】
<切り替え制御>
第2実施形態の送電制御装置55は、操作部63の操作に応じて切り替え制御を行う。第2実施形態の送電制御装置55が行う切り替え制御について説明する。
【0072】
<ステップS31>
図8に示すように、ステップS31において、送電制御装置55は、通信部74を介して送電モード設定信号を受信したか否かを判定する。言い換えれば、送電制御装置55は、操作部63が操作されることによって人M1による送電モードの切り替えの指示があったか否かを判定している。ステップS31の判定結果が否定の場合、送電制御装置55は、ステップS31の処理を再度行う。ステップS31の判定結果が肯定の場合、送電制御装置55は、ステップS32の処理を行う。
【0073】
<ステップS32>
ステップS32において、送電制御装置55は、送電モード設定信号から、操作部63の操作によって指定された送電モードが停止モードか否かを判定する。送電制御装置55は、ステップS32の判定結果が肯定の場合、ステップS33の処理を行う。送電制御装置55は、ステップS32の判定結果が否定の場合、ステップS34の処理を行う。
【0074】
<ステップS33>
ステップS33において、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。停止モードでは、二次蓄電池71の電力を用いて送電装置51は動作する。詳細にいえば、送電制御装置55の動作、通信信号W2の送信に要する電力は、二次蓄電池71の電力を用いて行われる。ステップS33の処理を終えると、送電制御装置55は、切り替え制御を終了する。
【0075】
<ステップS34>
ステップS34において、送電制御装置55は、送電モードを通常出力モードにする。通常出力モードでは、外部電力源73からの電力を用いて送電制御装置55は動作する。ステップS34の処理を終えると、送電制御装置55は、切り替え制御を終了する。
【0076】
<第2実施形態の作用>
第2実施形態の作用について説明する。
人M1は、室内61に入ろうとする際に、操作部63を操作することができる。人M1は、操作部63の操作によって送電装置51の送電モードを指定することができる。操作部63の操作によって送電モードとして停止モードが指定されると、操作判定部64は、停止モードを示す情報を含んだ送信モード設定信号を送信する。これにより、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。第2実施形態では、操作部63の操作が人M1からの制限指示といえる。操作部63の操作による制限指示は、操作通信部65と通信部74との通信によって送電装置51に入力される。第2実施形態では、通信部74が受付部である。
【0077】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)人M1は、室内61に入る際に送電モードを停止モードにすることができる。人M1が室内61に存在している場合に、送電モードを通常出力モードとする場合に比べて、電磁波による人体暴露を抑制することができる。
【0078】
(2-2)送電装置51は、停止モード中には二次蓄電池71からの電力によって動作する。停止モード中には、送電装置51での電力消費が減るため、二次蓄電池71を用いて送電装置51を動作させることができる。これにより、外部電力源73の電力を消費することを抑制できる。
【0079】
<変更例>
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・各実施形態において、制限モードは低出力モードであってもよい。低出力モードは、通常出力モードよりも小さい送電電力を送電する送電モードである。この場合であっても、送電モードが通常出力モードの場合に比べて、電磁波による人体暴露を抑制することができる。
【0081】
・各実施形態において、制限モードは停止モード及び低出力モードの両方を含んでいてもよい。第1実施形態においては、登録鍵が車室11内に存在する場合に、送電モードを停止モードにするか低出力モードにするかを人M1が予め選択可能であってもよい。また、送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在している場合に受電蓄電部44の充電状態に応じて停止モードと低出力モードとを切り替えてもよい。例えば、送電制御装置55は、受電蓄電部44の充電率が閾値を下回っている場合には、送電モードを低出力モードにすることによって送電を行うことで受電蓄電部44の残容量が尽きることを抑制する。送電制御装置55は、受電蓄電部44の充電率が閾値以上の場合には、送電モードを停止モードにする。閾値は、予め定められた値である。第2実施形態においては、操作部63によって送電モードを停止モードにするか、低出力モードにするかを人M1が選択可能であってもよい。
【0082】
・各実施形態において、非接触給電システム40は、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、又は電界共鳴方式で給電を行うものであってもよい。いずれの方式であっても非接触給電を行う際には電磁波が生じるため、実施形態の制御を行うことによって電磁波による人体暴露を抑制できる。
【0083】
・第1実施形態において、開始条件が設定されていなくてもよい。この場合、送電制御装置55は、登録鍵が車室11内に存在していないと判定された場合、送電モードを通常出力モードにしてもよい。
【0084】
・第1実施形態において、ステップS3の判定結果が否定の場合、車載制御装置22は、ステップS5の処理を行わなくてもよい。この場合、ステップS11において、送電制御装置55は、空間内有無信号を受信した場合にはステップS12の処理を行う。一方で、送電制御装置55は、空間内有無信号を受信しなかった場合には、ステップS13の処理を行う。
【0085】
・第1実施形態において、送電制御装置55は、登録鍵とは異なる電子鍵31が車室11内に存在している場合であっても送電モードを停止モードにしてもよい。
・第1実施形態において、車両10は外部電力源に接続可能であってもよい。外部電力源は、車両10の外部に設けられた電力源である。外部電力源としては、例えば、系統電源を挙げることができる。この場合、外部電力源の電力を用いて送電装置51が動作するようにしてもよい。また、第2実施形態のように、切替器72によって外部電力源と電力源12との切り替えを行えるようにしてもよい。
【0086】
・
図9に示すように、第1実施形態において、人M1の所持するデバイスは、携帯通信端末80であってもよい。この場合、車両10に備えられた近距離通信装置90によって携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かが判定される。近距離通信装置90としては、例えば、カーナビゲーションシステム、及びリモート制御システムを挙げることができる。携帯通信端末80としては、例えば、スマートフォン、及びウェアラブル端末を挙げることができる。
【0087】
携帯通信端末80は、端末制御装置81と、端末通信回路84と、端末アンテナ85と、を備える。端末制御装置81は、プロセッサ82と、記憶部83と、を備える。端末制御装置81のハードウェア構成は、例えば、車載制御装置22と同様である。端末通信回路84は、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee等の任意の通信規格で通信を行う。端末通信回路84は、端末アンテナ85を介して無線信号を送受信する。
【0088】
近距離通信装置90は、近距離通信制御装置91と、近距離通信回路94と、近距離通信アンテナ95と、を備える。近距離通信制御装置91は、プロセッサ92と、記憶部93と、を備える。近距離通信制御装置91のハードウェア構成は、例えば、車載制御装置22と同様である。近距離通信制御装置91は、例えば、CANやLINなどの通信プロトコルで、送電制御装置55と通信を行うことが可能である。近距離通信回路94は、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee等の任意の通信規格で通信を行う。近距離通信回路94は、近距離通信アンテナ95を介して無線信号を送受信する。
【0089】
携帯通信端末80と近距離通信装置90とは、端末通信回路84と近距離通信回路94とを用いて通信可能に構成されている。以下では、一例として通信規格としてBluetoothを用いている場合について説明を行う。
【0090】
近距離通信装置90は、アドバタイズ信号を送信している。携帯通信端末80は、アドバタイズ信号を受信すると、接続要求信号を送信する。近距離通信装置90は、接続要求信号を用いて携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定してもよい。例えば、近距離通信アンテナ95を複数設けて、いずれの近距離通信アンテナ95で接続要求信号を受信したかによって近距離通信制御装置91は、携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定してもよい。近距離通信制御装置91は、接続要求信号の受信強度から携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定してもよい。近距離通信制御装置91は、接続確立後に携帯通信端末80から送信される信号の受信強度から携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定してもよい。近距離通信制御装置91は、近距離通信装置90と携帯通信端末80との接続が確立した場合に、携帯通信端末80が車室11内に存在すると判定してもよい。
【0091】
近距離通信制御装置91は、携帯通信端末80から送信される信号の到来角度を用いて携帯通信端末80の位置を測定するAoA(Angle of Arrival)を用いて携帯通信端末80の位置を測定してもよい。近距離通信制御装置91は、携帯通信端末80から送信される信号の飛行時間を用いて携帯通信端末80の位置を測定するToF(Time of Flight)を用いて携帯通信端末80の位置を測定してもよい。そして、近距離通信制御装置91は、携帯通信端末80の位置から携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定してもよい。
【0092】
近距離通信制御装置91は、携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かの判定結果を送電制御装置55に送信する。送電制御装置55は、近距離通信制御装置91の判定結果から、携帯通信端末80が車室11内に存在するか否かを判定する。この場合、近距離通信装置90は、判定装置である。送電制御装置55は、携帯通信端末80が車室11内に存在している場合、登録鍵が車室11内に存在している場合と同様の制御を行う。
【0093】
・第2実施形態において、操作盤62に代えて上記した近距離通信装置90が室内61に設けられていてもよい。この場合の近距離通信装置90としては、例えば、ルータ及びアクセスポイントを挙げることができる。近距離通信装置90は、室内61に携帯通信端末80が存在するか否かを判定する。近距離通信装置90は、室内61に携帯通信端末80が存在するか否かの判定結果を含む信号を送電装置51に送信する。送電装置51は、携帯通信端末80が室内61に存在している場合、送電モードを停止モードにする。送電装置51は、携帯通信端末80が室内61に存在していない場合、送電モードを通常出力モードにする。例えば、送電制御装置55は、第1実施形態と同様の制御を行えばよい。
【0094】
・第2実施形態において、操作盤62は、表示部を備えていてもよい。表示部には、現在設定されている送電モードが表示されるようにしてもよい。これにより、人M1に送電モードを通知することができる。
【0095】
・第2実施形態において、操作部63は送電制御装置55に接続されていてもよい。この場合、送電制御装置55は、操作部63の操作から、人M1によって指定された送電モードを判定する。送電制御装置55は、人M1によって指定された送電モードを設定する。この場合、送電制御装置55が受付部である。
【0096】
・第1実施形態において、車両10には、モーション検知カメラが設けられていてもよい。この場合、モーション検知カメラによって人M1が検知された場合、送電制御装置55は、送電モードを停止モードにする。
【0097】
・第2実施形態において、送電制御装置55は、音声入力によって送電モードを切り替えてもよい。この場合、操作盤62は、音声入力のためのマイクを備える。また、送電制御装置55は、人M1のジェスチャによって送電モードを切り替えてもよい。この場合、操作盤62は、カメラを備える。
【符号の説明】
【0098】
M1…人
11…空間である車室
22…判定装置である車載制御装置
31…デバイスである電子鍵
41…受電装置
51…送電装置
52…送電部である送電変換部
53…送電部である送電アンテナ
55…受付部である送電制御装置
61…空間である室内
74…受付部である通信部
80…デバイスである携帯通信端末
90…判定装置である近距離通信装置