(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110269
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】車載装置および車載装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20230802BHJP
B60W 50/12 20120101ALI20230802BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20230802BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230802BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W50/12
B60W40/08
G08G1/16 C
G08G1/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011616
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰司
(72)【発明者】
【氏名】室井 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】中村 文武
(72)【発明者】
【氏名】寺田 洋平
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA60
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC35Z
3D241DC39Z
3D241DC50Z
3D241DD02Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF10
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】運転者のアクセルに対する誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる車載装置および車載装置の制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載装置においては、制御部を有する。制御部は、車両の室内の様子を撮像した車内画像に基づいて運転者の動作を検出する。制御部は、車両の状況を示す状況情報に基づいて車両の発進が禁止される発進禁止状況であるか否かを判定する。制御部は、検出した運転者の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、車両が発進禁止状況であると判定された場合、運転者の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。制御部は、運転者の動作の検出が不可であった場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する車載装置であって、
前記制御部は、
車両の室内の様子を撮像した車内画像に基づいて運転者の動作を検出し、
前記車両の状況を示す状況情報に基づいて前記車両の発進が禁止される発進禁止状況であるか否かを判定し、
検出した前記運転者の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記運転者の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知し、
前記運転者の動作の検出が不可であった場合、前記アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する、
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車内画像に基づいて前記運転者の運転時の特性を前記運転者の動作として検出し、
検出した前記運転時の特性が前記アクセル動作を示す特性であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記運転者の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記運転時の特性は、前記運転者の運転姿勢の特性を含む、
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車内画像に基づいて前記運転者の足部の動作を検出し、
検出した前記足部の動作が前記アクセル動作であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記足部の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車内画像に基づいて前記運転者の大腿部の動作を検出し、
検出した前記大腿部の動作が前記アクセル動作であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記大腿部の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知する、
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記車両の外部の様子を撮像した車外画像を前記状況情報として取得し、取得した前記車外画像に基づいて前記発進禁止状況であるか否かを判定する、
請求項1~5のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項7】
車載装置の制御方法であって、
車両の室内の様子を撮像した車内画像に基づいて運転者の動作を検出し、
前記車両の状況を示す状況情報に基づいて前記車両の発進が禁止される発進禁止状況であるか否かを判定し、
検出した前記運転者の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記運転者の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知し、
前記運転者の動作の検出が不可であった場合、前記アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する、
車載装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置および車載装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の室内の座席に着座した人物における足の爪先位置を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、車両の室内カメラによって撮像された車内画像から足の爪先位置を推定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、運転者のアクセルに対する誤操作(例えば踏み間違い)を検知して通知することが望まれている。しかしながら、従来技術には、運転者のアクセルに対する誤操作の検知性能について適切な通知を行うという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者のアクセルに対する誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる車載装置および車載装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置において、制御部を有する。前記制御部は、車両の室内の様子を撮像した車内画像に基づいて運転者の動作を検出する。前記制御部は、前記車両の状況を示す状況情報に基づいて前記車両の発進が禁止される発進禁止状況であるか否かを判定する。前記制御部は、検出した前記運転者の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、前記車両が前記発進禁止状況であると判定された場合、前記運転者の動作が前記アクセルの誤操作であることを検知する。前記制御部は、前記運転者の動作の検出が不可であった場合、前記アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者のアクセルに対する誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る制御方法の概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る制御方法の概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る制御方法の概要を示す図である。
【
図1D】
図1Dは、実施形態に係る制御方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、車載装置を備えた車両システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、アクセル動作情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、運転時特性情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、アクセルの誤操作の通知例を示す図である。
【
図6】
図6は、アクセルの誤操作の検知が不可であることの通知例を示す図である。
【
図7】
図7は、車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置および車載装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<車載装置の制御方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る車載装置の制御方法の概要について
図1A~
図1Dを参照して説明する。
図1A~
図1Dは、実施形態に係る制御方法の概要を示す図である。
【0011】
図1Aに示すように、車載装置10は、自動車などの車両Cに搭載される。なお、車載装置10としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。
【0012】
車載装置10は、車内カメラ11を備える。車内カメラ11は、車両Cの室内C1の様子を撮像する。なお、車載装置10は、車両Cの外部の様子を撮像する車外カメラ12(
図2参照)を備えてもよい。
【0013】
車載装置10は、車内カメラ11によって撮像された車内画像に基づいて運転者Dの足部Daの動作を検出する(ステップS1)。例えば、車載装置10は、車内画像を解析して運転者Dの足部Da(詳しくは大腿部Da1)を検出し、検出した足部Da(大腿部Da1)の動作を検出する。
【0014】
ここで、車内画像について
図1Bを参照して説明する。
図1Bは、車内カメラ11によって撮像された車内画像Aであり、詳しくは車両Cの室内C1の様子を示す車内画像Aである。
【0015】
図1Bに示すように、車内画像Aには、車両の運転者Dの足部Daが含まれ、詳しくは運転者Dの大腿部Da1が含まれる。本実施形態に係る車載装置10にあっては、かかる足部Daの動作を検出することで、運転者Dがアクセル100(
図1A参照)を操作するアクセル動作を検出する。
【0016】
具体的に説明すると、運転者Dの足部Daの位置は、ブレーキを操作しているときと、アクセル100を操作しているときとでは異なる。すなわち、足部Da(例えば大腿部Da1)がブレーキを操作している(踏み込んでいる)状態から、アクセル100を操作する(踏み込む)状態へ移行する際、足部Daの位置はブレーキ側からアクセル100側へ移動する。
【0017】
なお、ここでは、ブレーキは運転者Dから見て左側(すなわち
図1Bで右側)に配置され、アクセル100は運転者Dから見て右側(すなわち
図1Bで左側)に配置されるものとする。また、
図1Bでは、ブレーキを操作している状態の足部Da(大腿部Da1)を実線で示し、アクセル100を操作している状態の足部Da(大腿部Da1)を破線で示している。
【0018】
従って、本実施形態に係る車載装置10にあっては、車内画像Aに基づいて、足部Daがブレーキ操作時の位置からアクセル操作時の位置に移動するような足部Daの動作が検出された場合、かかる足部Daの動作をアクセル動作として検出する。なお、足部Daがブレーキ操作時の位置から移動していなくても、単にアクセル操作時の位置に足部Daがある状態を検出してアクセル動作を検出することも含む。
【0019】
図1Aの説明を続けると、車載装置10は、車両Cが発進禁止状況であるか否かを判定する(ステップS2)。発進禁止状況は、車両Cの発進が禁止される状況である。一例として、発進禁止状況は、車両Cの進行方向に存在する信号機の表示状態が車両Cの停止を指示する表示状態(例えば赤信号)である状況や、車両Cから車両Cの周囲に存在する物体(例えば前方車両や壁など)までの距離が比較的短い状況などであるが、これらは例示であって限定されるものではない。なお、発進禁止状況の判定は、例えば車外カメラ12(
図2参照)によって撮像された車外画像などに基づいて行われるが、これについては後述する。
【0020】
そして、車載装置10は、検出した足部Daの動作がアクセル動作であり、かつ、車両Cが発進禁止状況であると判定されると(ステップS3)、検出した足部Daの動作がアクセル100の誤操作であることを検知する(ステップS4)。すなわち、車両Cが発進してはいけない状況(発進禁止状況)であるにもかかわらず、運転者Dがアクセル動作を行っているため、車載装置10は、足部Daの動作をアクセル100の誤操作として検知する。
【0021】
このように、本実施形態にあっては、車内画像Aに基づいて検出された運転者Dの足部Daの動作と、車両Cの状況(発進禁止状況か否か)とを用いることで、運転者Dのアクセル100に対する誤操作を精度良く検知することができる。
【0022】
次いで、車載装置10は、足部Daの動作がアクセルの誤操作であることを検知した場合、運転者にアクセルの誤操作の通知を行う(ステップS5)。このように、本実施形態にあっては、アクセルの誤操作の通知を行うことで、運転者Dに対して、アクセル100の誤操作を認識させることが可能になる。なお、アクセルの誤操作の通知は、例えば車載装置10のスピーカやディスプレイなどの出力部14(
図2参照)を介して行われるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、本実施形態に係る車載装置10はさらに、アクセル100の誤操作の検知および通知を、車両Cの移動状態に応じて行うようにしてもよい。例えば、車載装置10は、車両Cが移動しているとき(正確には車両Cが移動を開始したとき(動き出したとき))、アクセル100の誤操作の検知および通知を行うようにしてもよい。これにより、運転者Dのアクセル100に対する誤操作を精度良く検知して通知することができる。
【0024】
具体的に説明すると、車載装置10は、車両Cの移動状態を示す移動情報に基づいて車両Cが移動しているか否かを判定する。移動情報としては、例えば車内画像Aを用いることができる。
【0025】
ここで、移動情報として用いられる車内画像Aについて
図1Cを参照して説明する。
図1Cに示すように、車内画像Aには、運転席110の窓111や助手席120の窓121に車両Cの外部の様子が含まれる場合がある。そこで、車載装置10は、車内画像Aにおける車両Cの外部の様子に基づいて車両Cが移動しているか否かを判定する。
【0026】
例えば、車両Cの外部には、車道あるいは車道に沿って設けられるガードレール、標識、車線、歩道、広告など、車内画像Aを解析したときに特徴点となる各種の物体が存在する。従って、車載装置10は、車内画像Aを解析して(例えばオプティカルフロー解析して)車両Cの外部に存在する物体の特徴点を検出し、かかる特徴点が移動した場合に、車両Cが移動していると判定することができる。なお、上記では、移動情報として車内画像Aを用いる例を示したが、これに限られず、例えば車外画像や、車両Cから送信される信号(例えば車速を示す信号やアクセル100の操作量を示す信号など)を用いてもよい。
【0027】
そして、車載装置10は、検出した足部Daの動作がアクセル動作であり、車両Cが発進禁止状況であると判定され、かつ、車両Cが移動していると判定された場合、足部Daの動作がアクセル100の誤操作であることを検知して通知する。すなわち、車両Cが発進してはいけない状況(発進禁止状況)であるにもかかわらず、運転者Dがアクセル動作を行っており、さらに車両Cが移動しているため(動き出しているため)、車載装置10は、足部Daの動作をアクセル100の誤操作として検知して通知する。
【0028】
このように、車載装置10は、車内画像Aに基づいて検出された運転者Dの足部Daの動作と、車両Cの状況(発進禁止状況か否か、および、車両Cが移動しているか否か)を用いることで、運転者Dのアクセル100に対する誤操作を精度良く検知して通知することができる。
【0029】
ところで、上記において、車載装置10は、車内画像Aに基づいて運転者Dの足部Daの動作を検出するようにしたが、例えば運転者Dの服装や運転姿勢によっては足部Daの動作を検出できないことがある。これについて、
図1Dを参照しつつ説明する。
【0030】
図1Dに示すように、運転者Dが例えばスカートEや裾の長い上着など足部Da(詳しくは大腿部Da1。
図1Dで見えず)が隠れるような服装である場合、車載装置10は、車内画像Aに基づいて足部Daを検出できない。そのため、車載装置10は、足部Daの動作を検出することができない。また、図示は省略するが、運転者Dの運転姿勢が例えば足部Da(大腿部Da1)に覆いかぶさるような姿勢である場合、同様に、車載装置10は、車内画像Aに基づいて足部Daを検出できず、結果として足部Daの動作を検出することができない。
【0031】
このように、足部Daの動作が検出されない場合、車載装置10は、運転者のアクセルに対する誤操作を検知することができない。
【0032】
そこで、本実施形態に係る車載装置10にあっては、
図1Aに示すように、運転者Dの足部Daの動作を検出することができない場合、言い換えると、足部Daの動作の検出が不可である場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する(ステップS6)。すなわち、車載装置10は、足部Daの動作の検出が不可であるため、アクセルの誤操作を検知する機能が十分に機能しないことを運転者Dに予め通知する。
【0033】
このように、本実施形態に係る車載装置10は、運転者Dの足部Daの動作を検出することができない場合に、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知することで、運転者Dに対し、アクセルの誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる。これにより、本実施形態にあっては、車載装置10においてアクセルの誤操作の検知性能が十分に機能しないことを、運転者Dに対して予め認識させることが可能になる。
【0034】
なお、上記では、車載装置10は運転者Dの足部Daの動作を検出し、検出した足部Daの動作に基づいてアクセル動作を検出するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、車載装置10は、アクセル動作を検出できれば、どのような運転者Dの動作であってもよい。具体的には、車両Cにあっては、例えば身体障害者用として手動でアクセルを操作する車種がある。かかる車種の場合、車載装置10は、車内画像Aを解析して運転者Dの腕部または手部の動作を検出し、検出した腕部または手部の動作に基づいてアクセル動作を検出することができる。
【0035】
従って、上記した運転者Dの足部Daの動作や、腕部または手部の動作は、運転者Dの動作の一例である。すなわち、車載装置10は、車内画像Aに基づいて運転者の動作(ここでは足部Da、腕部や手部の動作)を検出し、検出した運転者の動作がアクセル動作であり、かつ、車両が発進禁止状況であると判定された場合、運転者の動作がアクセルの誤操作であることを検知して通知することができる。また、車載装置10は、運転者の動作(ここでは足部Da、腕部や手部の動作)の検出が不可であった場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知することができる。
【0036】
また、上記したように、車載装置10は、車内カメラ11の車内画像Aなどを用いてアクセル100の誤操作を検知できることから、例えば完成した車両Cに対して後付けで容易に取り付けることができる。
【0037】
<車両システムの構成>
次に、実施形態に係る車載装置10を備えた車両システムの構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、車載装置10を備えた車両システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0038】
換言すれば、
図2のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0039】
図2に示すように、車両システム1は、車載装置10と、車両センサ群40とを備える。車両センサ群40は、車両に搭載され、車両に関する車両情報を出力する。詳しくは、車両センサ群40には、車両に関する各種の状態(状況)を示す信号を出力する各種センサが含まれる。例えば、車両センサ群40には、車速センサ41、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43、移動距離センサ44およびシフトセンサ45が含まれる。
【0040】
車速センサ41は、車両の車速を示す信号を出力する。アクセルセンサ42は、アクセル(正確にはアクセルペダル)の操作量を示す信号を出力する。ブレーキセンサ43は、ブレーキ(正確にはブレーキペダル)の操作量を示す信号を出力する。移動距離センサ44は、車両の始動距離を示す信号を出力する。シフトセンサ45は、シフトレバーのポジションを示す信号を出力する。上記した車速センサ41などを含む車両センサ群40の各信号は、車載装置10へ送信される。
【0041】
なお、車両センサ群40は、上記した各種センサに限定されるものではなく、各種センサに加えて、あるいは代えて、操舵角センサなどその他の種類のセンサを含んでもよい。また、上記では、車両センサ群40の信号が車載装置10へ送信されるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば車両センサ群40の信号が車載装置10へ送信されない構成であってもよい。
【0042】
車載装置10は、車内カメラ11と、車外カメラ12と、加速度センサ13と、出力部14と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0043】
車内カメラ11は、車両の適宜位置に設置され、例えば車両の室内の様子を撮像する。車外カメラ12は、車両の適宜位置に設置され、例えば車両の外部の様子を撮像する。別言すれば、車外カメラ12は、車両の前方など車両の周辺を撮像する。車内カメラ11は撮像した車内画像を制御部20へ出力し、車外カメラ12は撮像した車外画像を制御部20へ出力する。
【0044】
なお、車内カメラ11および車外カメラ12は、例えばレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えたカメラであるが、これに限定されるものではない。
【0045】
加速度センサ13は、車両に作用する加速度を検出し、検出した加速度を示す信号を制御部20へ出力する。出力部14は、例えば運転者のアクセルに対する誤操作を検知した場合の通知、アクセルの誤操作の検知が不可であることの通知など、各種の情報を出力する。例えば、出力部14は、スピーカなどの音声出力部やディスプレイなどの表示部を含み、通知などの各種の情報を車両の運転者へ出力する。
【0046】
制御部20は、取得部21と、検出部22と、判定部23と、検知部24と、通知部25とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、データフラッシュ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0047】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、検出部22、判定部23、検知部24および通知部25として機能する。
【0048】
また、制御部20の取得部21、検出部22、判定部23、検知部24および通知部25の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0049】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。記憶部30は、アクセル動作情報31、運転時特性情報32や、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、車載装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0050】
アクセル動作情報31は、運転者のアクセル動作に関する情報である。例えば、アクセル動作情報31には、運転者の足部の動作がアクセル動作であると判定する処理において、判定の基準となる情報などが含まれる。ここで、
図3を用いてアクセル動作情報31について説明する。
図3は、アクセル動作情報31の一例を示す図である。
【0051】
図3に示すように、アクセル動作情報31には、「ブレーキ時の位置」および「アクセル時の位置」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0052】
「ブレーキ時の位置」は、ブレーキを操作している状態の運転者の足部の位置を示す情報であり、詳しくは運転者の大腿部の位置を示す情報である。なお、ブレーキを操作している状態の運転者の足部Da(大腿部Da1)の位置は、
図1Bにおいて実線で示される位置である。
【0053】
上記したアクセル動作情報31の「ブレーキ時の位置」には、例えばブレーキを操作していると推定されるときの運転者の足部の位置を示す情報が含まれてもよい。すなわち、一例として、運転者がブレーキ操作した状態のときに図示しないブレーキ設定ボタンを押下し、ブレーキ設定ボタンが押下されたときの運転者の足部の位置が「ブレーキ時の位置」として設定(記憶)されてもよい。また、他の例として、運転者に対してブレーキ操作する指示を出力部14などを介して出力し、そのときの運転者の足部の位置が「ブレーキ時の位置」として設定(記憶)されてもよい。なお、上記した「ブレーキ時の位置」の設定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の手法を用いることができる。
【0054】
「アクセル時の位置」は、アクセルを操作している状態の運転者の足部の位置を示す情報であり、詳しくは運転者の大腿部の位置を示す情報である。なお、アクセルを操作している状態の運転者の足部Da(大腿部Da1)の位置は、
図1Bにおいて破線で示される位置である。
【0055】
上記したアクセル動作情報31の「アクセル時の位置」には、例えばアクセルを操作していると推定されるときの運転者の足部の位置を示す情報が含まれてもよい。すなわち、一例として、運転者がアクセル操作した状態のときに図示しないアクセル設定ボタンを押下し、アクセル設定ボタンが押下されたときの運転者の足部の位置が「アクセル時の位置」として設定(記憶)されてもよい。また、他の例として、運転者に対してアクセル操作する指示を出力部14などを介して出力し、そのときの運転者の足部の位置が「アクセル時の位置」として設定(記憶)されてもよい。なお、上記した「アクセル時の位置」の設定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の手法を用いることができる。
【0056】
上記したアクセル動作情報31は、記憶部30に予め記憶されるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば車両の運転中に、アクセル時あるいはブレーキ時における足部(大腿部)の位置の傾向について機械学習モデルを用いた学習が行われ、学習結果に応じたアクセル動作情報31が記憶部30に記憶されてもよい。
【0057】
図3に示す例において、ブレーキ時の位置が「F1」、アクセル時の位置が「G1」であることを示している。なお、
図3に示す例では、便宜上、ブレーキ時の位置を「F1」、アクセル時の位置を「G1」といったように抽象的な記載とするが、「F1」、「G1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0058】
図2の説明に戻ると、運転時特性情報32は、運転者の運転時の特性に関する情報である。この運転者の運転時の特性とは、例えば運転者の運転時の癖や運転姿勢などであるが、これに限定されるものではない。運転時特性情報32には、後述するように、運転時の特性がアクセル動作を示す特性であると判定する処理において、判定の基準となる情報などが含まれる。ここで、
図4を用いて運転時特性情報32について説明する。
図4は、運転時特性情報32の一例を示す図である。
【0059】
図4に示すように、運転時特性情報32には、「アクセル時の特性」等の項目が含まれる。「アクセル時の特性」は、アクセルを操作しているときの運転者の特性(例えば癖や運転姿勢)を示す情報である。例えば、「アクセル時の特性」には、アクセル操作時に体や首などの姿勢がアクセル側に傾く、アクセル側とは反対側に傾く、前かがみになる、後ろに反る、肩が上がる、肩が下がるなどであるが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0060】
上記した運転時特性情報32の「アクセル時の特性」には、例えばアクセルを操作していると推定されるときの運転者の特性を示す情報が含まれてもよい。すなわち、一例として、運転者がアクセル操作した状態のときに図示しないアクセル設定ボタンを押下し、アクセル設定ボタンが押下されたときの運転者の特性(癖や運転姿勢)が「アクセル時の特性」として設定(記憶)されてもよい。また、他の例として、運転者に対してアクセル操作する指示を出力部14などを介して出力し、そのときの運転者の特性(癖や運転姿勢)が「アクセル時の特性」として設定(記憶)されてもよい。なお、上記した「アクセル時の特性」の設定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の手法を用いることができる。
【0061】
上記した運転時特性情報32は、記憶部30に予め記憶されるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば車両の運転中に、アクセル時あるいはブレーキ時における運転者の特性(癖や運転姿勢)の傾向について機械学習モデルを用いた学習が行われ、学習結果に応じた運転時特性情報32が記憶部30に記憶されてもよい。
【0062】
図4に示す例において、アクセル時の特性が「H1」であることを示している。なお、アクセル時の特性を示す情報は、1つであっても、複数であってもよい。
【0063】
図2の説明に戻ると、制御部20の取得部21は、各種の画像や情報、信号などを取得する。例えば、取得部21は、車内カメラ11から車内画像を取得する。また、取得部21は、車内画像に車両の外部の様子が含まれる場合、当該車内画像を車両の移動状態を示す移動情報として取得する。すなわち、車内画像には、上記したように運転席110の窓111や助手席120の窓121(
図1C参照)に車両の外部の様子が含まれる場合があり、かかる場合に車内画像を移動情報として取得する。取得部21は、取得した車内画像を検出部22や判定部23などへ出力する。
【0064】
また、取得部21は、車外カメラ12から車外画像を取得する。また、取得部21は、車外画像を車両の状況を示す状況情報として取得する。かかる状況情報(車外画像)は、車両が発進禁止状況であるか否かを判定する処理に用いられる情報であるが、これについては後述する。
【0065】
また、取得部21は、車外画像を移動情報として取得してもよい。すなわち、例えば車内画像に上記したような車両の外部の様子が含まれない場合、取得部21は、車内画像に代えてあるいは加えて、車外画像を移動情報として取得してもよい。取得部21は、取得した車外画像を検出部22や判定部23などへ出力する。
【0066】
また、取得部21は、車両から送信された信号である車両センサ群40の信号を移動情報として取得してもよい。すなわち、例えば車内画像に上記したような車両の外部の様子が含まれない場合、取得部21は、車内画像に代えてあるいは加えて、車両センサ群40の信号を移動情報として取得してもよい。取得部21は、取得した車両センサ群40の信号を検出部22や判定部23などへ出力する。
【0067】
また、取得部21は、取得した車内画像および車外画像を車両の運行記録として記憶部30に記憶してもよい。また、取得部21は、加速度センサ13の出力に基づいて車両の急ブレーキ、急加速、急ハンドル、接触事故による衝撃などを検知した場合、検知前後の所定時間分の車内画像および車外画像のデータについて上書きを禁止する処理を行ってもよい。
【0068】
検出部22は、車内画像に基づいて運転者の動作を検出する、例えば車内画像に基づいて運転者の足部の動作を検出する。例えば、検出部22は、車内画像を解析して運転者の足部(詳しくは大腿部(太もも部分))を検出する。そして、検出部22は、検出した足部(大腿部)の動作を検出する。なお、上記では、検出部22は、運転者の足部のうち大腿部を検出するようにしたが、これに限定されるものではなく、大腿部に加えてあるいは代えて、例えば膝部や下腿部などを検出してもよい。
【0069】
また、検出部22は、検出した足部(大腿部)の動作と、アクセル動作情報31とに基づいて、運転者の足部の動作がアクセル動作であるか否かを判定する。例えば、検出部22は、車内画像から検出した足部が、アクセル動作情報31におけるブレーキ操作時の位置からアクセル操作時の位置に移動するような動作である場合、検出した足部(大腿部)の動作はアクセル動作であると判定する、すなわち足部(大腿部)の動作をアクセル動作として検出する。逆に、検出部22は、車内画像から検出した足部が、アクセル動作情報31におけるブレーキ操作時の位置からアクセル操作時の位置に移動するような動作ではない場合、検出した足部の動作はアクセル動作ではないと判定する、すなわち足部の動作をアクセル動作として検出しない。検出部22は、検出結果を示す情報を検知部24へ出力する。
【0070】
また、検出部22は、車内画像に基づいて運転者の運転時の特性を運転者の動作として検出してもよい。例えば、検出部22は、車内画像を解析して運転者の運転姿勢など運転時の特性を検出する。そして、検出部22は、検出した運転時の特性と、運転時特性情報32とに基づいて、運転時の特性がアクセル動作を示す特性であるか否かを判定する。例えば、検出部22は、車内画像から検出した運転時の特性が、運転時特性情報32に含まれるアクセル時の特性である場合、検出した運転時の特性がアクセル動作を示す特性であると判定する、すなわち運転時の特性をアクセル動作を示す特性として検出する。逆に、検出部22は、車内画像から検出した運転時の特性が、運転時特性情報32に含まれるアクセル時の特性ではない場合、検出した運転時の特性がアクセル動作を示す特性ではないと判定する、すなわち運転時の特性をアクセル動作を示す特性として検出しない。検出部22は、検出結果を示す情報を検知部24へ出力する。
【0071】
また、検出部22は、車内画像に基づいて運転者の動作(例えば足部Daの動作)が検出できない場合(
図1D参照)、言い換えると、運転者の動作の検出が不可である場合、動作の検出が不可であったことを示す情報を通知部25へ出力する。
【0072】
判定部23は、車両が発進禁止状況であるか否かを判定する処理などを行う。例えば、判定部23は、車両の状況情報(車外画像)に基づいて車両が発進禁止状況であるか否かを判定する。例えば、判定部23は、状況情報である車外画像を解析し、車両の進行方向に存在する信号機の表示状態を検出する。そして、判定部23は、検出された信号機の表示状態が、車両の停止を指示する表示状態(例えば赤信号)である場合、車両は発進してはいけない状況、すなわち発進禁止状況であると判定する。逆に、判定部23は、検出された信号機の表示状態が、車両の進行を指示する表示状態(例えば青信号)である場合、車両は発進してよい状況(発進可能状況)であると判定する、すなわち発進禁止状況ではないと判定する。判定部23は、判定結果を示す情報を検知部24へ出力する。
【0073】
このように、本実施形態にあっては、車外画像に基づいて発進禁止状況であるか否かを判定するようにしたので、車外画像を用いる簡易な構成でありながら、発進禁止状況であるか否かを精度良く判定することができる。
【0074】
また、本実施形態にあっては、車外画像に基づいて信号機の表示状態を検出して発進禁止状況であるか否かを判定するようにしたので、発進禁止状況であるか否かをより精度良く判定することができる。
【0075】
なお、上記では、車両の状況情報に基づいて得られる、信号機の表示状態によって発進禁止状況か否かを判定するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、判定部23は、状況情報である車外画像を解析し、車両から車両の周囲に存在する物体までの距離を算出する。ここでの物体は、例えば前方車両や壁などであるが、これらに限られない。そして、判定部23は、算出した距離に基づいて発進禁止状況であるか否かを判定する。例えば、判定部23は、算出した距離が所定値以下である場合、車両が発進禁止状況であると判定する。なお、上記した所定値は、例えば仮に車両が発進した場合に、車両が物体に接触する可能性があると推定されるような値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。逆に、判定部23は、算出した距離が所定値より大きい場合、車両は発進してよい状況(発進可能状況)であると判定する、すなわち発進禁止状況ではないと判定する。
【0076】
このように、本実施形態にあっては、車外画像に基づいて車両の周囲に存在する物体までの距離を算出し、算出した距離に基づいて発進禁止状況であるか否かを判定するようにしたので、発進禁止状況であるか否かをより精度良く判定することができる。
【0077】
また、判定部23は、車両が移動しているか否かを判定する処理を行う。例えば、判定部23は、車両の移動状態を示す移動情報に基づいて車両が移動しているか否かを判定する。移動情報としては、上記したように、車内画像、車外画像、車両センサ群40の信号などを用いることができる。
【0078】
例えば、判定部23は、車内画像に車両の外部の様子が含まれる場合、車内画像を解析(例えばオプティカルフロー解析)し、車両の外部に存在する物体(例えばガードレールや標識など)の特徴点を検出し、かかる特徴点が移動したときに車両が移動していると判定する。逆に、判定部23は、車内画像における特徴点が移動しないとき、車両は移動していない、すなわち停止していると判定する。判定部23は、判定結果を示す情報を検知部24へ出力する。
【0079】
このように、本実施形態にあっては、車内画像に基づいて車両が移動しているか否かを判定するようにしたので、車内画像を用いる簡易な構成でありながら、車両が移動しているか否かを精度良く判定することができる。
【0080】
また、判定部23は、車内画像に車両の外部の様子が含まれない場合、車外画像を解析(例えばオプティカルフロー解析)し、車両の外部に存在する物体(例えばガードレールや標識など)の特徴点を検出し、かかる特徴点が移動したときに車両が移動していると判定する。逆に、判定部23は、車外画像における特徴点が移動しないとき、車両は移動していない、すなわち停止していると判定する。
【0081】
このように、本実施形態にあっては、車外画像に基づいて車両が移動しているか否かを判定するようにしたので、車外画像を用いる簡易な構成でありながら、車両が移動しているか否かを精度良く判定することができる。
【0082】
判定部23は、車内画像や車外画像に代えてあるいは加えて、車両センサ群40の信号に基づいて前記車両が移動しているか否かを判定してもよい。一例として、判定部23は、車両センサ群40の車速センサ41から、車両が移動していることを示す車速信号が送信される場合、車両が移動していると判定する。他の例として、判定部23は、アクセルセンサ42から、車両が移動していることを示すアクセル信号が送信される場合、車両が移動していると判定する。また、他の例として、判定部23は、移動距離センサ44から、車両が移動していることを示す移動距離信号が送信される場合、車両が移動していると判定する。
【0083】
このように、本実施形態にあっては、車両センサ群40の信号に基づいて、言い換えると、車両から送信された信号に基づいて車両が移動しているか否かを判定するようにしたので、車両センサ群40の信号を用いる簡易な構成でありながら、車両が移動しているか否かを精度良く判定することができる。
【0084】
検知部24は、検出部22による検出結果や、判定部23による判定結果を示す情報に基づいて、運転者の足部の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。
【0085】
例えば、検知部24は、検出した足部(例えば大腿部)の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、車両が発進禁止状況であると判定された場合、足部(大腿部)の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。すなわち、車両が発進してはいけない発進禁止状況であるにもかかわらず、運転者がアクセル動作を行っていることから、検知部24は、足部(大腿部)の動作をアクセルの誤操作として検知する。検知部24は、検知結果を示す情報を通知部25へ出力する。
【0086】
このように、本実施形態にあっては、車内画像に基づいて検出された運転者の足部(大腿部)の動作と、車両が発進禁止状況であるか否かの判定結果とを用いることで、運転者のアクセルに対する誤操作を精度良く検知することができる。
【0087】
検知部24はさらに、車両の移動状態に応じてアクセルの誤操作の検知を行ってもよい。例えば、検知部24は、検出した足部(例えば大腿部)の動作がアクセル動作であり、車両が発進禁止状況であると判定され、かつ、車両が移動していると判定された場合、足部の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。すなわち、車両が発進してはいけない発進禁止状況であるにもかかわらず、運転者がアクセル動作を行っており、さらに車両が移動しているため(動き出しているため)、検知部24は、足部(大腿部)の動作をアクセルの誤操作として検知する。
【0088】
このように、本実施形態にあっては、車内画像に基づいて検出された運転者の足部(大腿部)の動作と、車両が発進禁止状況であるか否かの判定結果と、車両が移動しているか否かの判定結果とを用いることで、運転者のアクセルに対する誤操作を精度良く検知することができる。
【0089】
また、検知部24は、運転時の特性(例えば運転者の運転姿勢の特性)に基づいてアクセルの誤操作の検知を行ってもよい。例えば、検知部24は、運転時の特性がアクセル動作を示す特性であり、かつ、車両が発進禁止状況であると判定された場合、運転者の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。すなわち、車両が発進してはいけない発進禁止状況であるにもかかわらず、運転者の特性がアクセル動作を示す特性になっているため、検知部24は、運転者の動作をアクセルの誤操作として検知する。
【0090】
このように、本実施形態にあっては、車内画像に基づいて検出された運転者の運転時の特性(例えば運転者の運転姿勢の特性)と、車両が発進禁止状況であるか否かの判定結果とを用いることで、運転者のアクセルに対する誤操作を精度良く検知することができる。
【0091】
通知部25は、運転者にアクセルの誤操作の通知を行う。例えば、通知部25は、足部の動作がアクセルの誤操作であることを検知した場合、運転者に誤操作の通知を行う。具体的には、通知部25は、出力部14を介して通知を行う。
【0092】
ここで、出力部14がディスプレイなどの表示部である場合の通知例について、
図5を参照して説明する。
図5は、アクセルの誤操作の通知例を示す図である。
図5に示すように、出力部14が表示部である場合、通知部25は、運転者の足部の動作がアクセルの誤操作であることを示す情報を表示欄200に表示させる。また、図示は省略するが、出力部14がスピーカなどの音声出力部である場合、通知部25は、運転者の足部の動作がアクセルの誤操作であることを示す音声やブザーなどを音声出力部から出力させる。
【0093】
このように、本実施形態にあっては、アクセルの誤操作の通知を行うことで、運転者に対して、アクセルの誤操作を認識させることが可能になる。
【0094】
図2の説明を続けると、通知部25は、車両のシフト状態に応じて誤操作の通知を禁止してもよい。すなわち、通知部25は、車両のシフト状態を検出し、検出したシフト状態がドライブ以外である場合、誤操作の通知を禁止してもよい。詳しくは、通知部25は、検出したシフト状態がドライブ以外である場合、すなわち車両が前進走行しないシフト状態(例えばニュートラル、パーキングなど)の場合、誤操作の通知を禁止してもよい。逆に言えば、通知部25は、車両のシフト状態がドライブである場合にのみ、誤操作の通知を行ってもよい。
【0095】
これにより、本実施形態にあっては、シフト状態がドライブ以外で車両が前進走行しないときに、アクセルの誤操作の通知が行われないようにすることができる、換言すれば、運転者にとって不要な通知が行われることを抑制することができる。
【0096】
なお、上記した車両のシフト状態の検出は、例えば車内画像に基づいて行われる。すなわち、例えば通知部25は、車内画像にシフトレバーの画像が含まれる場合、車内画像を解析してシフトレバーの位置を検出し、検出した位置に基づいて車両のシフト状態を検出する。
【0097】
なお、上記では、通知部25は、車内画像に基づいて車両のシフト状態を検出したが、これに限定されるものではなく、例えば車両センサ群40のシフトセンサ45から出力される信号に基づいて車両のシフト状態を検出してもよい。
【0098】
また、通知部25は、運転者の動作(例えば足部の動作)の検出が不可であった場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する。具体的には、通知部25は、出力部14を介して、アクセルの誤操作の検知が不可であることの通知を行う。
【0099】
ここで、出力部14が表示部である場合の通知例について、
図6を参照して説明する。
図6は、アクセルの誤操作の検知が不可であることの通知例を示す図である。
図6に示すように、出力部14が表示部である場合、通知部25は、アクセルの誤操作の検知が不可であることを示す情報を表示欄210に表示させる。また、図示は省略するが、出力部14が音声出力部である場合、通知部25は、アクセルの誤操作の検知が不可であることを示す音声やブザーなどを音声出力部から出力させる。すなわち、通知部25は、運転者の動作(足部の動作)の検出が不可であるため、アクセルの誤操作を検知する機能が十分に機能しないことを運転者に予め通知する。
【0100】
このように、本実施形態に係る通知部25は、運転者の動作を検出することができない場合に、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知することで、運転者に対し、アクセルの誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる。これにより、本実施形態にあっては、車載装置10においてアクセルの誤操作の検知性能が十分に機能しないことを、運転者に対して予め認識させることが可能になる。
【0101】
<車載装置の制御処理>
次に、車載装置10における具体的な処理手順の一例について
図7を用いて説明する。
図7は、車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
図7に示すように、車載装置10の制御部20は、アクセル動作情報31を記憶部30に記憶する(ステップS10)。例えば、制御部20は、ブレーキを操作している状態の運転者の足部の位置を示す情報である「ブレーキ時の位置」、アクセルを操作している状態の運転者の足部の位置を示す情報である「アクセル時の位置」などをアクセル動作情報31として予め記憶する。
【0103】
そして、制御部20は、ステップS11以降においてアクセルの誤操作検知処理などを実行する。例えば、制御部20は、車内カメラ11から車内画像を取得し、車外カメラ12から車外画像を取得する(ステップS11)。
【0104】
次いで、制御部20は、車内画像に基づいて運転者の動作(足部の動作)を検出する(ステップS12)。次いで、制御部20は、車内画像に基づいて運転者の動作(足部の動作)を検出できたか否かを判定する(ステップS13)。制御部20は、運転者の動作を検出できたと判定された場合(ステップS13,Yes)、アクセル動作情報31などに基づき、検出した運転者の動作(足部の動作)がアクセル動作であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0105】
制御部20は、運転者の動作(足部の動作)がアクセル動作ではないと判定された場合(ステップS14,No)、以降の処理をスキップする。一方、制御部20は、運転者の動作(足部の動作)がアクセル動作であると判定された場合(ステップS14,Yes)、車外画像などに基づいて、車両が発進禁止状況であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0106】
制御部20は、車両が発進禁止状況ではないと判定された場合(ステップS15,No)、以降の処理をスキップする。他方、制御部20は、車両が発進禁止状況であると判定された場合(ステップS15,Yes)、車内画像などに基づいて、車両が移動しているか否かを判定する(ステップS16)。
【0107】
制御部20は、車両が移動していないと判定された場合(ステップS16,No)、以降の処理をスキップする。一方、制御部20は、車両が移動していると判定された場合(ステップS16,Yes)、運転者の動作(足部の動作)がアクセルの誤操作であることを検知して通知する(ステップS17)。
【0108】
また、制御部20は、運転者の動作(足部の動作)の検出ができないと判定された場合(ステップS13,No)、すなわち運転者の動作の検出が不可であった場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する(ステップS18)。
【0109】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、制御部20を有する。制御部20は、車両の室内の様子を撮像した車内画像に基づいて運転者の動作を検出する。制御部20は、車両の状況を示す状況情報に基づいて車両の発進が禁止される発進禁止状況であるか否かを判定する。制御部20は、検出した運転者の動作がアクセルを操作するアクセル動作であり、かつ、車両が発進禁止状況であると判定された場合、運転者の動作がアクセルの誤操作であることを検知する。制御部20は、運転者の動作の検出が不可であった場合、アクセルの誤操作の検知が不可であることを通知する。これにより、運転者のアクセルに対する誤操作の検知性能について適切な通知を行うことができる。
【0110】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 車載装置
11 車内カメラ
12 車外カメラ
20 制御部