(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110284
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
F01N 13/20 20100101AFI20230802BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20230802BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
F01N13/20
B60K13/04 D
E02F9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011636
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大久保 拓実
【テーマコード(参考)】
2D015
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
2D015CA02
3D038BA10
3D038BB09
3D038BC05
3D038BC20
3G004AA03
3G004DA04
3G004EA05
(57)【要約】
【課題】建設機械において排気ガスを外部に排出するカバーの外側が高温になり難くする。
【解決手段】
建設機械は、内燃機関と、前記内燃機関の排気口(X110)の外側を囲い、排気通路を形成する第1排気口カバー(21)と、前記第1排気口カバーの外側を囲う第2排気口カバー(22)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関の排気口の外側を囲い排気通路を形成する第1排気口カバーと、
前記第1排気口カバーの外側を囲う第2排気口カバーと、
を備える建設機械。
【請求項2】
前記内燃機関を収容するハウジングを有し、
前記第1排気口カバーは前記ハウジングの外側に設けられている、
請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記第2排気口カバーは、排気を上方に導くための壁面を有する、
請求項1又は請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記第1排気口カバーの外面と前記第2排気口カバーの内面との間に間隙が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記第1排気口カバーと前記第2排気口カバーとの間には、前記間隙の一部を遮る遮蔽部が設けられている、
請求項4記載の建設機械。
【請求項6】
前記第2排気口カバーは、カバー排気口と、前記カバー排気口から入り込んだ水を排出する排水口とを有し、
前記カバー排気口の孔の大きさが、前記排水口の孔の大きさ以下である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の建設機械。
【請求項7】
前記排水口は、前記カバー排気口から入り込んだ異物を外部に導く、あるいは、取出し可能なゴミ溜まり部に前記異物を導く、
請求項6記載の建設機械。
【請求項8】
前記第2排気口カバーは、前記カバー排気口から前記排水口に水を導く部分が取り外し可能に構成されている、
請求項6又は請求項7に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンから排出された排気ガスを外部へ排出するディフューザを有する建設機械が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気ガスの排出構造では、排気ガスの熱によってハウジング上のディフューザが高温になる場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は、建設機械において排気ガスを外部に排出するカバーの外側がより高温になりにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建設機械は、
内燃機関と、
前記内燃機関の排気口の外側囲い、排気通路を形成する第1排気口カバーと、
前記第1排気口カバーの外側を囲う第2排気口カバーと、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建設機械において排気ガスを外部に排出するカバーの外側がより高温になりにくくするという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る建設機械を示す側面図(A)と平面図(B)である。
【
図2】
図1の排気口カバーを示す斜視図(A)と、内部構造を示す縦断面図(B)である。
【
図3】排気口の孔の大きさと排水口の孔の大きさとを比較する説明図である。
【
図4】
図2の排気口カバーの構成部品を分離して示す分離斜視図である。
【
図5】変形例1の排気口カバーを示す説明図である。
【
図6】変形例2の排気口カバーを示す説明図である。
【
図7】変形例3の排気口カバーを示す斜視図(A)及び縦断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械を示す側面図(A)と平面図(B)である。
図2は、
図1の排気口カバーを示す斜視図(A)と、内部構造を示す縦断面図(B)である。
図2(B)は、内燃機関110の排気口X110の中央を通り、前後方向に広がる鉛直面で
図2(A)の排気口カバー20を切断したときの断面を示す。
【0011】
本明細書においては、Z方向を鉛直上方、X方向を前方、-X方向を後方、±Y方向を左右方向として説明する。X-Y方向は水平方向である。前方は、平面視において第1排気口カバー21の排気の導出部分21hの管体中心線A21b(
図2(B))に沿った方向であって、開口部21xから外気側へ向く方向に相当する。
【0012】
本発明の実施形態に係る建設機械100は、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、内燃機関110と、内燃機関110が収納されるハウジング120aと、ハウジング120aの外側に配置される排気口カバー20とを備える。ハウジング120aは、内燃機関110が収容される機械室120のハウジングであってもよい。
【0013】
図1の例において、建設機械100は、下部走行体102と、下部走行体102に対して相対回転する上部旋回体104と、上部旋回体104に起伏可能に取り付けられたブーム106(
図1(B)では図示略)と、昇降されるフック107とを備える移動式クレーンである。上部旋回体104には、内燃機関110を収容した機械室120と、キャブ112と、ブーム106の起伏並びにフック107の昇降等を行うためのウインチ114などが設けられている。内燃機関110は、下部走行体102の走行動力、上部旋回体104の旋回動力、並びに、ウインチ114の回転動力を発生させる。内燃機関110は油圧発生装置に動力を出力し、下部走行体102、上部旋回体104、ウインチ114のいずれか1つ又は複数は、油圧発生装置の油圧によって駆動されてもよい。
【0014】
排気口カバー20は、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、ハウジング120aの上側に設けられている。排気口カバー20は、内燃機関110の排気口X110の外側を囲い排気通路を形成する第1排気口カバー21と、第1排気口カバー21の外側を囲う第2排気口カバー22とを有する。第1排気口カバー21と排気口X110とは別体である。第1排気口カバー21と排気口X110との間には隙間が設けられていてもよい。当該隙間があることで、内燃機関110内の熱を隙間を介して第1排気口カバー21側へ導入でき、熱をハウジング120aの外に逃がすことができる。
【0015】
内燃機関110の排気口X110は、内燃機関110の排気管111の端である。排気管111はマフラーであってもよい。排気管111は、内燃機関110のクランクケースに連結されていてもよい。排気口X110は、ハウジング120aの天板に設けられた開口120hから外部へ突出している。あるいは、排気口X110は、開口120hとほぼ面一に配置されていてもよいし、開口120hよりも内側に配置されていてもよい。排気口X110は、鉛直上方を向いている。
【0016】
第1排気口カバー21は、排気の導入部分21vと排気の導出部分21hとを有する曲がった管体であり、排気口X110から上向きに排出される排気を、前方に排出する。排気の導入部分21vの管体中心線A21aが上方を向く一方、排気の導出部分21hの管体中心線A21bが前方を向く。
【0017】
第1排気口カバー21の排気の導出口である開口部21xは、上部が下部よりも前方に突出するように傾斜している。当該傾斜の傾きは、後述する傾斜面221の傾きよりも急(垂直に近い)である。
【0018】
排気口カバー20は、ハウジング120aの上面に締結されるベース板23を有し、第1排気口カバー21はベース板23に接合されている。詳細には、ベース板23は、ハウジング120aの開口120hと重なる開口23hを有する。そして、第1排気口カバー21の導入部分21vとベース板23の開口23hとが隙間なく連通するように、導入部分21vとベース板23とが接合(例えば溶接)されている。
【0019】
第2排気口カバー22は、前後左右の四方と上方とから第1排気口カバー21を囲う。第2排気口カバー22の前側の内面には、前方に向かう排気を上方に跳ね返させる向きに傾斜した傾斜面221と、傾斜面221に連なって傾斜面221よりも上方で鉛直上方に沿って広がる鉛直面222とを有する。鉛直面222は、排気を上方に導くための壁面の一例に相当する。鉛直面222は、5度未満の傾斜で沿って広がるが、鉛直面222は、上方に沿った内壁面であればよい。上方とは、45度未満の範囲で傾斜した方向であってもよい。鉛直面222は、好ましくは鉛直上方に沿った内壁面であればよい。鉛直上方とは、30度未満の範囲で傾斜した方向であってもよい。
【0020】
第2排気口カバー22は、カバー排気口X20を有する。カバー排気口X20は上方を向き、上方に露出している。上方に露出したとは、上方から見て、露出した部分が見えることを意味し、カバー排気口X20が水平方向から斜めになっていてもよい。カバー排気口X20は、傾斜面221の上方に設けられ、鉛直面222に隣接する。カバー排気口X20には、異物が入り込むことを抑制する目皿224が設けられている。目皿224は、スリットを有し、排気を通過させる。スリットは網目に代替されてもよい。
【0021】
上記の鉛直面222とカバー排気口X20との配置により、内燃機関110の排気をカバー排気口X20から上方に排出させることができる。排気口カバー20から水平方向、或いは、水平方向成分を含んだ斜め上方に排気を排出させると、次のような課題が生じる。例えば、
図1(B)のY方向(上部旋回体104の中央に向かう方向)に排気が排出されると、排気によりワイヤーロープに熱が加わってしまう。
図1(B)のX方向に排気が排出されると、排気がキャブ112に入る恐れがある。
図1(B)の-Y方向に排気が排出されると、機械室120の横の歩行路109を移動している作業員の近くに排気が流れやすくなる。
図1(B)の-X方向に排気が排出されると、内燃機関110の吸気口に排気が流れ込む恐れがある。本実施形態では、排気が上方に排出されることで、上記のような課題を解決することができる。
【0022】
第2排気口カバー22と第1排気口カバー21との間(より具体的には、第1排気口カバー21の外面と第2排気口カバー22の内面との間)には間隙eが設けられる。間隙eは、第1排気口カバー21の前後左右と上方と下方の一部とに設けられている。第2排気口カバー22は、第1排気口カバー21と完全に接触しない構成であってもよいし、仕切板の端面の接触など小さな面積を介して一部が接触する構成であってもよい。当該構成によれば、第1排気口カバー21が排気により熱くなった場合でも、第1排気口カバー21から第2排気口カバー22への熱の伝導を抑えて、第2排気口カバー22が熱くなってしまうことを抑制できる。
【0023】
第2排気口カバー22の下部には排水口(開口)22zが設けられている。排水口22zは、排水作用の低い、空気を取り込むための開口であってもよい。排水口22zは、間隙eに通じており、間隙eを介して排水口22zからカバー排気口X20までが連通している。当該構成によれば、第1排気口カバー21から導出された排気が、カバー排気口X20から外へ排出される際、排気は間隙eの気体を引き連れてカバー排気口X20から排出される。そのため、排気が排出される際には、排水口22zから外気が流れ込み、間隙eに外気が流れる。したがって、第1排気口カバー21が排気により熱くなった場合でも、第1排気口カバー21と第2排気口カバー22との間の間隙eが外気により冷却され、第2排気口カバー22が熱くなってしまうことを抑制できる。開口部21xよりもX方向で、開口部21xに近い側に間隙eがあることで、排気によって間隙eの気体を引き連れる作用がより得られる。したがって、少なくとも開口部21xよりもX方向に間隙eが含まれるとよい。
【0024】
外気を流入する開口としての排水口22zは、排気口カバー20の根元の前方に設けられている。排水口22zは、排気管111に対してX方向に位置してもよい。排水口22zは、第1排気口カバー21の排気の導入部分21vに対してX方向に位置してもよい。排水口22zは、第1排気口カバー21の排気の導出部分21hのZ方向下方に位置してもよい。排水口22zは、ハウジング120aの上面に近い高さに位置してもよい。このような配置によれば、排水口22zは奥まった箇所に配置されることになり、排水口22zから第2排気口カバー22内に異物が入り込む恐れを低減できる。なお、排水作用が不要で、外気導入作用のみを要するのであれば、開口は第2排気口カバーの様々な箇所に設けられていてもよい。
【0025】
第1排気口カバー21と第2排気口カバー22との間には、間隙eを遮る逆流防止壁225(遮蔽部)が設けられている。逆流防止壁225の少なくとも一部(上部と下部など)には、貫通孔h225a、h225bが設けられ、貫通孔h225a、h225bを介して、排水口22zとカバー排気口X20との間が連通していてもよい。逆流防止壁225により、排気の一部に例外的な流れが生じた場合に、排気が間隙eを介して排気口カバー20の根元側に入りこみ、熱を持った排気が排気口カバー20内に滞留してしまうことを抑制できる。
【0026】
第2排気口カバー22には、前述したように、カバー排気口X20から間隙eに浸入した水(雨水等)を排出する排水口22zが設けられている。逆流防止壁225の一方の貫通孔h225aは、逆流防止壁225の下部に設けられ、排水孔としても機能する。排水口22zは、第2排気口カバー22の下部前方に設けられている。当該構成によれば、カバー排気口X20から浸入した水を、傾斜面221、貫通孔h225a及び排水口22zを介して排気口カバー20の外部へ排出することができる。
【0027】
図3は、排気口の孔の大きさと排水口の孔の大きさとを比較する説明図である。
【0028】
排気のカバー排気口X20の孔の大きさ(目皿224の孔の大きさ)W1は、排水口22zの孔の大きさW2よりも小さい。ここで、孔の大きさとは、孔を通過できる球体の最大径と定義される。具体的には、22zの孔は、径W2を直径とする球が通過可能であり、X20の孔は、径W1を直径とする球が通過可能である。排水口として機能する逆流防止壁225の貫通孔h225aの孔の大きさも、カバー排気口X20の孔の大きさW1よりも大きい。
【0029】
このような構成により、カバー排気口X20の孔から異物が入り込んだ場合でも、異物が排水口22zで詰まってしまうことを低減できる。なお、排水口22zの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさと同じであってもよく、その場合でも、カバー排気口X20から入った異物を排水口22zから排出して、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことを抑制するという効果が得られる。排水口22zの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きいほうが、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことをより抑制できる。
【0030】
図4は、排気口カバーの構成部品を示す分離斜視図である。
【0031】
第2排気口カバー22は、複数の部品(22A~22C)を含む。すなわち、第2排気口カバー22は、第1排気口カバー21から離間してベース板23から起立した枠体22Aと、第1排気口カバー21の左右と後方と上方とを覆う第1部品22Bと、第1部品22Bと連結して第1排気口カバー21の前方と導出部分21hの左右及び下方を覆う第2部品22Cとを含む。目皿224は第2部品22Cに取り付けられる。
【0032】
枠体22Aは、第1排気口カバー21の付け根の左右及び後方において垂直方向に起立する部材a~cと、前方に起立した前方部材dとを有する。
【0033】
第1部品22Bは、第1部品22Bの下部が枠体22Aの部材a~cと密着するように、枠体22Aに連結される。
【0034】
第2部品22Cは、前述した逆流防止壁225を有する。さらに、第2部品22Cは、前方内面に前述した傾斜面221と鉛直面222(
図2(B))とを有する前方壁226を有する。逆流防止壁225は、第1排気口カバー21の導出部分21hが遊嵌される貫通孔O225を有する。第2部品22Cは、逆流防止壁225の貫通孔O225に第1排気口カバー21の導出部分21hを通し、前方壁226の下端面が枠体22Aの前方部材dと密着するように、第1部品22Bに連結される。なお、逆流防止壁225は、第2部品22Cに連結されており第1排気口カバー21には連結されていない。しかし、逆流防止壁225は、第1排気口カバー21に連結されていてもよいし、第2部品22Cに連結されていなくてもよい。
【0035】
このような構成により、カバー排気口X20と排水口22zとを除いて、第2排気口カバー22は第1排気口カバー21の周囲をほぼ隙間なく覆う。
【0036】
排水口22zは、枠体22Aの前方部材dの一部が貫通するように設けられている。前述したように、排水口22zは、カバー排気口X20から入り込んだ異物を外に排出する役割を担う。したがって、排水口22zは、異物の通過の抵抗とならないよう、排水口22zの下端に段部ができないように形成されるとよい。同様に、逆流防止壁225の下部の貫通孔h225aは、異物の通過の抵抗とならないように第2部品22Cの内面と段差を有さないように設けられるとよい。
【0037】
第2部品22Cの傾斜面221は、カバー排気口X20から排水口22zに水を導く部分である。傾斜面221は、カバー排気口X20をZ方向上方から見たときに、カバー排気口X20の下側にあり、カバー排気口X20の孔から見える部分である。傾斜面221及びその周辺は、雨水等が流れるため汚れが生じやすい。一方、上記構成の第2排気口カバー22によれば、傾斜面221を有する第2部品22Cが取り外し可能である。しかも、第2部品22Cを取り外したときに、傾斜面221に手を近づけることが可能である。したがって、上記構成により、第2排気口カバー22において雨水が流れるところを容易に清掃することができる。
【0038】
(変形例1)
図5は、変形例1の排気口カバーの構造を示す説明図である。
図5は、排気口X110の中心を通りかつ前後方向に広がる鉛直な平面で、変形例1の排気口カバー20Aを切断したときの断面部分を示す。変形例1において、前述した実施形態と同一の構成要素については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0039】
変形例1の排気口カバー20Aは、取出し可能なゴミ溜まり部25と、カバー排気口X20から入った水をゴミ溜まり部25に導く排水口22zAとを有する。
【0040】
排水口22zAは、第2排気口カバー22の逆流防止壁225と前方壁226とが合わさる部分の左右方向中央に設けられた貫通孔である。排水口22zAの孔の大きさは、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きい。なお、排水口22zAの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさと同じであってもよく、その場合でも、カバー排気口X20から入った異物を排水口22zAから排出して、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことを抑制するという効果が得られる。排水口22zAの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きいほうが、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことをより抑制できる。
【0041】
ゴミ溜まり部25は、異物を収容する収容部25aと、収容部25aの一部に設けられた水を排出するスリット又は網目などの排出孔25bと、つまみ25cとを有していてもよい。収容部25aは、天板のない箱体などである。排出孔25bは、収容部25aにおける外部に露出した側壁(
図5の場合は前側の壁)に設けられているとよい。つまみ25cは外部に露出し、作業員がつまみ25cを引くことで、第2排気口カバー22からゴミ溜まり部25を引き出すことが可能であってもよい。
図5において、ゴミ溜まり部25を引き出した状態を二点鎖線で表わす。
【0042】
変形例1の排気口カバー20Aによれば、カバー排気口X20から入った異物を、ゴミ溜まり部25に導き、第2排気口カバー22内で詰まってしまうことを抑制できる。さらに、ゴミ溜まり部25を取り出して、溜った異物を他へ移すことができる。
【0043】
(変形例2)
図6は、変形例2の排気口カバーの構造を示す説明図であり、(A)は調整窓を全開にした状態、(B)は調整窓を閉めた状態を示す。
図6(A)及び
図6(B)は、排気口X110の中心を通りかつ前後方向に広がる鉛直な平面で、変形例2の排気口カバー20Aを切断したときの断面部分を示す。変形例2において、前述した実施形態と同一の構成要素については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0044】
変形例2の排気口カバー20Bは、カバー排気口X20から浸入した水を排出する排水口22zBと、排水口22zBの孔の大きさを変更可能な調整窓227とを有する。
【0045】
排水口22zBは、枠体22Aの前方部材dに設けられた貫通孔である。排水口22zBは、例えば前方部材dの左右方向の中央に設けられている。調整窓227が全開の状態で、排水口22zBの孔の大きさは、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きい。なお、排水口22zBの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさと同じであってもよく、その場合でも、カバー排気口X20から入った異物を排水口22zBから排出して、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことを抑制するという効果が得られる。排水口22zBの孔の大きさが、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きいほうが、異物が第2排気口カバー22内で詰まってしまうことをより抑制できる。
【0046】
調整窓227は、例えばスライド可能に支持され、スライドすることで排水口22zBの一部を遮断する。したがって、スライド位置を変えることで、排水口22zBの孔の大きさを、カバー排気口X20の孔の大きさよりも小さくすることができる。
【0047】
変形例2の排気口カバー20Bによれば、カバー排気口X20から異物が入り込むような場合には、調整窓227の調整により排水口22zBを大きく開けて、第2排気口カバー22の中で異物が溜まることを抑制できる。また、カバー排気口X20から異物が入り込む可能性が少ない環境では、調整窓227の調整により排水口22zBを小さめに開けて、間隙eへの排気の逆流をより抑制することができる。
【0048】
(変形例3)
図7は、変形例3の排気口カバーを示す斜視図(A)及び縦断面図(B)である。変形例3において、前述した実施形態と同様の構成要素については、実施形態と同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0049】
変形例3の排気口カバー20Cは、排水口22zC1、22zC2が、ベース板23Cの下の通路23Cfを介して、機械室120内のドレンホース120pに続いている。排水口22zC1は、逆流防止壁225の下部に設けられた貫通孔である。排水口22zC2は、ベース板23Cにおける枠体22Aよりも内側に設けられた貫通孔である。
【0050】
通路23Cfは、排水口22zC2の下に設けられている。通路23Cfは、異物を溜めるスペースであり、取り外し可能に構成されていてもよい。通路23Cfは鉤状に前方に曲がっており、鉤状の曲がった水平方向の通路部分に異物が溜められてよい。通路23Cfの前寄り下部にはドレンホース120pが接続される配管23Cpを有する。
【0051】
排水口22zC1、22zC2の孔の大きさ、並びに、通路23Cfの孔の大きさは、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きく構成されているとよい。当該構成により、カバー排気口X20から入り込んだ異物は、排水口22zC1、22zC2を通過し、通路23Cfのスペースに溜めることができる。したがって、上記の異物が排気口カバー20Cの途中で詰まってしまうことを低減できる。
【0052】
それに加えて、配管23Cpとドレンホース120pの通り道の孔の大きさは、カバー排気口X20の孔の大きさよりも大きく構成されていてもよい。管の通り道の孔の大きさの定義は、排水口22zC1、22zC1の孔の大きさの定義と同じである。当該構成により、カバー排気口X20から入り込んだ異物は、排水口22zC1、22zC2、通路23Cf及びドレンホース120pを通過し、異物を外部に排出することができる。
【0053】
その他、変形例3におけるベース板23Cは、上記実施形態のベース板23と異なる形状(平面視円形)をしていてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、建設機械がクローラクレーンである例を示したが、本発明は、ホイールクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン等の他のあらゆる移動式クレーン、並びに、タワークレーン、天井クレーン、ジブクレーン、引込みクレーン、スタッカークレーン、門型クレーン、アンローダ等のあらゆるクレーンにも適用可能である。さらに、本発明は、油圧ショベル、ホイールローダ、掘削機、基礎機械などの他の建設機械にも適用可能である。また、上記実施形態では、第2排気口カバーが板材から構成される管体である例を示したが、第2排気口カバーは第1排気口カバーの周囲を断熱材で囲う構成であってもよい。また、上記実施形態では、排気口カバーが曲がった排気通路を有する構成を示したが、主に上向きの排気通路を有する構成であってもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 建設機械
102 下部走行体
104 上部旋回体
106 ブーム
107 フック
109 歩行路
110 内燃機関
111 排気管
112 キャブ
114 ウインチ
120 機械室
120a ハウジング
120p ドレンホース
20、20A、20B、20C 排気口カバー
21 第1排気口カバー
22 第2排気口カバー
221 傾斜面
222 鉛直面(内壁面)
224 目皿
225 逆流防止壁
227 調整窓
22A 枠体
22B 第1部品
22C 第2部品
22z、22zA、22zB、22zC1、22zC2 排水口
23、23C ベース板
23Cf 通路
23Cp 配管
25 ゴミ溜まり部
25a 収容部
25c つまみ
e 間隙
h225a、h225b 貫通孔
O225 貫通孔
W1、W2 孔の大きさ
X110 排気口
X20 カバー排気口