(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110294
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】船舶貸し出しシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20230802BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011647
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】井上 宏
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】時間と船舶の位置とに応じて適切に始動を許可・禁止する船舶貸し出しシステム及び船舶貸出方法を提供する。
【解決手段】船舶貸し出しシステムにおいて、DCM(Data Communication Module)30又は管理サーバ10の少なくともいずれかによって実現される生成部、取得部及び制御部を有する。生成部は、ユーザ端末20からの要求に応じて、電子キーを生成してユーザ端末に送信する。取得部は、電子キーに対応する貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に駆動源41の始動を許可する。制御部は、船舶100の位置情報を取得し、貸し出し期間が終了し、且つ、船舶が所定のエリア内に位置することを位置情報が示す場合は、駆動源41の始動を禁止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からの要求に応じて、貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられた電子キーを生成して前記ユーザ端末に送信する生成部と、
前記電子キーに対応する前記貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、前記貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動を許可する制御部と、
前記船舶の位置情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動を禁止する、船舶貸し出しシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動源の始動を許可した後において、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了しても、前記船舶が前記所定のエリア外に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動の許可を継続する、請求項1に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザ端末から、前記駆動源の始動許可要求を受けた際、前記貸し出し期間に現在時刻が属する場合に、前記駆動源の始動を許可する、請求項1または2に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項4】
前記取得部は、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了したことに応じて前記船舶の前記位置情報を取得する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項5】
前記ユーザ端末から、前記船舶の停泊場所が含まれるマリーナまたは桟橋の開錠要求を受けたことに応じて、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間に基づいて、前記マリーナまたは前記桟橋の開錠を許可または禁止する開錠処理部を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項6】
前記開錠処理部は、前記貸し出し期間の開始タイミングより所定時間だけ前から前記マリーナまたは前記桟橋の開錠を許可する、請求項5に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項7】
前記電子キーには、前記船舶のキャビンもしくはハッチ、前記船舶内の物入れ、または前記マリーナ内の物入れの開錠を要求する機能が対応付けられている、請求項5または6に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項8】
前記生成部は、前記電子キーに対応して、前記船舶の一部の機能の使用を制限した別の電子キーを生成し、生成した前記別の電子キーを前記ユーザ端末とは別の所定の端末装置に対して送信する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項9】
前記別の電子キーでは、前記駆動源の最大出力が所定出力に制限される、請求項8に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合であっても、前記駆動源の動作の継続中は前記駆動源の始動を禁止しない、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項11】
前記制御部および前記取得部は、前記船舶に設けられ、
前記生成部は、前記制御部と通信可能なサーバに設けられる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の船舶貸し出しシステム。
【請求項12】
貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられてユーザ端末に記憶された電子キーに対応する前記貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、前記貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動を許可する制御部と、
前記船舶の位置情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動を禁止する、船舶貸し出しシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのコンピュータにより実行される船舶貸し出し方法であって、
ユーザ端末からの要求に応じて、貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられた電子キーを生成して前記ユーザ端末に送信し、
前記電子キーに対応する前記貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、前記貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動を許可し、
前記船舶の位置情報を取得し、
前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動を禁止する、船舶貸し出し方法。
【請求項14】
少なくとも1つのコンピュータにより実行される船舶貸し出し方法であって、
貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられてユーザ端末に記憶された電子キーに対応する前記貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、前記貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動を許可し、
前記船舶の位置情報を取得し、
前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動を禁止する、船舶貸し出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶をユーザに貸し出す船舶貸し出しシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利便性向上等のため、物理キーを用いることなく船舶を貸し出すシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、オーナーの船舶がユーザに貸し出され、ユーザは端末を用いて船舶を借りることができる。船舶の駆動源であるエンジンの始動に関しては、船舶が岸から所定距離だけ離れている航行中にはキーロックが規制され、エンジン始動は禁止されない。また、ユーザ端末から終了信号を受信するとキーロックされ、エンジンの始動が禁止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザ端末から終了信号を受信するタイミングは貸し出し期間の終了タイミングと必ずしも一致するとは限らない。貸し出し期間との関係を考慮して、より適切に始動を許可・禁止する観点から、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、時間と船舶の位置とに応じて適切に始動を許可・禁止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様による船舶貸し出しシステムは、ユーザ端末からの要求に応じて、貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられた電子キーを生成して前記ユーザ端末に送信する生成部と、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、前記貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動を許可する制御部と、前記船舶の位置情報を取得する取得部と、を有し、前記制御部は、前記電子キーに対応する前記貸し出し期間が終了し、且つ、前記船舶が所定のエリア内に位置することを前記位置情報が示す場合は、前記駆動源の始動を禁止する。
【0007】
この構成によれば、ユーザ端末からの要求に応じて、貸し出し対象の船舶の情報および貸し出し期間の情報が対応付けられた電子キーが生成され、ユーザ端末に送信される。電子キーに対応する貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、貸し出し対象の船舶を航行させるための駆動源の始動が許可され、船舶の位置情報を取得され、電子キーに対応する貸し出し期間が終了し、且つ、船舶が所定のエリア内に位置することを位置情報が示す場合は、駆動源の始動が禁止される。
【0008】
例えば、貸し出し期間が終了しても、船舶が所定のエリアの外に位置すれば駆動源の始動は禁止されない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時間と船舶の位置とに応じて適切に始動を許可・禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】船舶貸し出しシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】船舶貸し出しシステムの要部のブロック図である。
【
図3】船舶貸し出しシステムを実現する機能ブロックを示す図である。
【
図4】電子キー発行処理を示すフローチャートである。
【
図5】マリーナ開錠制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】始動許可・禁止処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る船舶貸し出しシステムの全体構成を示す図である。
【0013】
この船舶貸し出しシステムは、一例として、オーナーの船舶をユーザに貸し出すためのシステムである。貸し出し対象となり得る船舶は複数あるが、いずれの船舶の構成も共通するので、船舶については代表して1つの船舶100を説明する。船舶100は、無線通信および各種制御を実行するDCM(Data Communication Module)30を備える。
【0014】
この船舶貸し出しシステムは、管理サーバ10、ユーザ端末20、船舶100のDCM30、スタッフ端末50、開錠処理部60、開錠処理部203、オーナー端末70が、ネットワーク110を介して互いに通信可能に構成される。ネットワーク110は、インターネット等の無線通信ネットワークである。管理サーバ10は、例えばクラウドサーバである。
【0015】
ユーザ端末20、オーナー端末70、スタッフ端末50は、スマートフォン等の通信端末装置であるが、パーソナルコンピュータであってもよい。ユーザ端末20は、船舶100を借りるユーザが所有する通信端末装置である。オーナー端末70は、船舶100の所有者が所有する通信端末装置である。スタッフ端末50は、ユーザ端末20とは別の所定の端末装置であり、貸し出される船舶100の移動や給油等のサービスを提供するスタッフにより所有される。なお、ユーザ端末20、オーナー端末70、スタッフ端末50、管理サーバ10は、1つを示しているが、複数存在してもよい。
【0016】
マリーナ200内に、船舶100の停泊場所が含まれる。通常、船舶100を借りるユーザは、マリーナゲート201を通過してマリーナ200内へ入場し、桟橋ゲート202を通過して船舶100にアクセスできる。マリーナゲート201、桟橋ゲート202は、通常は施錠されている。
【0017】
マリーナゲート201には開錠処理部60が設けられ、桟橋ゲート202にも、開錠処理部60と同様の開錠処理部203が設けられている。開錠処理部60、203は、認証を含む所定の条件(後述する)を満たしたユーザに対して、マリーナゲート201の開錠、桟橋ゲート202の開錠を許可する。
【0018】
船舶100は、キャビン101を有する。開錠処理部102は、キャビン101の開錠(入室の許可・禁止)を処理する。また、開錠処理部104は、キャビン101内にある物入れ103の開錠を処理する。このほか、不図示の開錠処理部が、ハッチ105の開錠や船舶100内にある物入れの開錠を処理する。船舶100は、船舶100を航行させるための駆動源41を有する。駆動源41は、例えばエンジンであるが、電動機であってもよい。
【0019】
図2は、船舶貸し出しシステムの要部のブロック図である。船舶100において、DCM30は、駆動源41を含む船舶100全体を制御する。DCM30は、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ34、表示部35、入力部36、通信I/F(インターフェイス)37、タイマ(不図示)を備える。ROM32またはメモリ34は制御プログラムを格納している。CPU31は、ROM32等に格納された制御プログラムをRAM33に展開して実行することにより、各種の制御処理を実現する。RAM33は、CPU31が制御プログラムを実行する際のワークエリアを提供する。表示部35は各種情報を表示する。入力部36は、設定値やモードの入力を船舶100の操船者から受け付ける。通信I/F37は、ネットワーク110との通信が可能であるほか、CAN等によって、駆動源41を制御するECU(不図示のエンジン制御部)との通信も行うことができる。なお、表示部35はLED等の簡易な構成であってもよい。また、入力部36を設けることは必須でない。
【0020】
船舶100は、DCM30、駆動源41のほか、始動操作部42、各種操作部43、各種処理部44、各種センサ45、位置検出部46、通信I/F47を備える。始動操作部42は、駆動源41を始動させる指示を入力するための始動スイッチ等である。駆動源41が停止中で且つ駆動源41の始動が許可状態にあるときに始動操作部42が適切に操作されると駆動源41が始動される。各種操作部43は、ステアリングやリモコンなど、ユーザが操船するために操作される操作部である。各種操作部43は、このほか、ユーザが各種設定を入力するのにも用いられる。
【0021】
各種処理部44は、ECUを含み、船舶100に関する各種の動作を処理する。各種センサ45には、各種操作部43の操作を検出するセンサが含まれる。また、各種センサ45には、加速度センサ、速度センサおよび角速度センサ等が含まれる(いずれも図示せず)。位置検出部46は、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS信号を受信し、船舶100の現在位置を示す位置情報を出力する。通信I/F47は、CAN等によって、DCM30の通信I/F37との通信を行うことができる。
【0022】
管理サーバ10は、CPU11、ROM12、RAM13、メモリ14、表示部15、入力部16、通信I/F17、タイマ(不図示)を備える。CPU11は、ROM12またはメモリ14に格納された制御プログラムをRAM13に展開して実行することにより、各種の制御処理を実現する。RAM13は、CPU11が制御プログラムを実行する際のワークエリアを提供する。表示部15は各種情報を表示する。入力部16は、各種設定や指示の入力を管理サーバ10の管理者から受け付ける。メモリ14には、船舶貸し出しシステムを実現するためのアプリケーション(貸し出し用アプリと称する)およびこれに対応する関連アプリケーションが格納されている。通信I/F17は、ネットワーク110との通信が可能である。このほか、メモリ14には、貸し出し処理の過程で、設定情報、対応情報(後述)、船舶100の位置情報等、各種の情報が記憶される。
【0023】
ユーザ端末20は、CPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、入力部26、通信I/F27、タイマ(不図示)を備える。CPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25の構成は、管理サーバ10のCPU11、ROM12、RAM13、メモリ14、表示部15と基本的に同様である。入力部16は、各種設定や指示の入力を、ユーザ端末20を所有するユーザから受け付ける。通信I/F27は、ネットワーク110との通信が可能である。通信I/F27は、また、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を含む。また、メモリ14には、管理サーバ10からダウンロードされた貸し出し用アプリが格納される。
【0024】
スタッフ端末50は、CPU51、ROM52、RAM53、メモリ54、表示部55、入力部56、通信I/F57、タイマ(不図示)を備える。CPU51、ROM52、RAM53、メモリ54、表示部55、通信I/F57の構成は、ユーザ端末20の、CPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、通信I/F27と基本的に同様である。入力部56は、各種設定や指示の入力を、スタッフ端末50を所有するユーザ(スタッフ)から受け付ける。また、メモリ54には、管理サーバ10からダウンロードされたスタッフ用の関連アプリケーションが格納される。
【0025】
開錠処理部60は、CPU61、ROM62、RAM63、メモリ64、表示部65、入力部66、通信I/F67、タイマ(不図示)を備える。CPU61、ROM62、RAM63、メモリ64、表示部65、通信I/F67の構成は、ユーザ端末20の、CPU21、ROM22、RAM23、メモリ24、表示部25、通信I/F27と基本的に同様である。入力部66は、各種設定や指示の入力を、開錠処理部60を管理する者(例えば、上記スタッフ)から受け付ける。また、メモリ64には、管理サーバ10からダウンロードされた開錠処理用の関連アプリケーションが格納される。
【0026】
なお、図示を省略するが、開錠処理部203の構成は開錠処理部60と同様である。また、開錠処理部102、104や、ハッチ105の開錠や物入れの開錠を処理する不図示の開錠処理部の構成は、開錠処理部203と同様であってもよい。ただし、これらの開錠処理部は、CPUやネットワーク110との通信機能を省略した簡素な構成であってもよい。
【0027】
なお、通信I/F37、47、17、27、57に含まれる通信機能は複数あってもよく、それらの通信機能の方式は、有線、無線を問わない。また、いずれの通信I/Fも、ネットワーク110との通信を含んでもよく、あるいは近距離無線通信機能を含んでもよい。
【0028】
図3は、船舶貸し出しシステムを実現する機能ブロックを示す図である。この機能ブロックは、少なくとも1つのコンピュータによって実現される。この機能ブロックには、生成部121、取得部122、制御部123が含まれる。機能ブロックを実現する少なくとも1つのコンピュータとしては、DCM30または管理サーバ10のいずれかまたは双方が想定される。従って、生成部121、取得部122、制御部123のいずれかまたは全ては、DCM30または管理サーバ10の少なくともいずれかによって実現される。本実施の形態では、代表例として、生成部121は管理サーバ10によって実現され、取得部122および制御部123はDCM30によって実現されるとする。
【0029】
なお、DCM30によって実現される機能部は、主として、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ34、通信I/F37(
図2)等の協働により実現される。船舶100の貸し出しに際し、DCM30には、貸し出し用アプリに対応するDCM30用のアプリケーションプログラムがメモリ34にダウンロードされ、インストールされる。このアプリケーションプログラムがCPU31により実行されることにより、取得部122、制御部123の機能が実現される。
【0030】
また、管理サーバ10によって実現される機能部は、主として、CPU11、ROM12、RAM13、メモリ14、通信I/F17(
図2)等の協働により実現される。貸し出し用アプリに対応する管理サーバ10用のソフトウェアプログラムがメモリ34に格納されている。このソフトウェアプログラムがCPU11により実行されることにより、生成部121の機能が実現される。
【0031】
生成部121は、ユーザ端末20からの要求に応じて、貸し出し対象の船舶100の情報および貸し出し期間の情報などが対応付けられた電子キーを生成する。貸し出し対象の船舶100の情報、貸し出し期間の情報、および対応するマリーナの情報を「対応情報」と呼称する。対応するマリーナは、貸し出し対象の船舶100が停泊されるマリーナである。電子キーには、対応情報と紐付けるためのID等が含まれている。対応情報は管理サーバ10のメモリ14に記憶される。生成部121は、さらに、生成した電子キーを、対応情報と対応付けて、要求元のユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20が受信した電子キーは、IDによって対応情報が対応付けられて、ユーザ端末20のメモリ24に記憶される。
【0032】
取得部122は、船舶100の位置情報を取得する。例えば取得部122は、位置検出部46から出力される船舶100の位置情報を通信I/F37を通じて受信することによって取得する。
【0033】
制御部123は、駆動源41(
図2)の始動を許可または禁止する制御を実行する。例えば、制御部123は、電子キーに対応する貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に、貸し出し対象の船舶100の駆動源41の始動を許可する。また、制御部123は、電子キーに対応する貸し出し期間が終了し、且つ、船舶100が所定のエリア内に位置することを位置情報が示す場合は、駆動源41の始動を禁止する。ここでいう所定のエリアは、例えば、マリーナ200内(マリーナゲート201の内側)、あるいは桟橋内(桟橋ゲート202の内側)である。
【0034】
駆動源41の始動が禁止された状態では、始動操作部42が操作されたとしても、駆動源41が新たに始動されることはない。ただし、駆動源41の動作中に駆動源41の始動が禁止されたとしても、それと同時に駆動源41が強制停止されることはない。
【0035】
次に、
図4~
図6で、船舶の貸し出しの予約申し込みから貸し出しまでの処理を説明する。
【0036】
オーナーは、予め、オーナー端末70または自身のパーソナルコンピュータから、貸し出したい船舶を管理サーバ10に登録しておく。管理サーバ10は、貸し出し可能な船舶を管理する。
【0037】
船舶の貸し出しを望むユーザは、事前に貸し出し用アプリをユーザ端末20にダウンロードし、且つインストールしておく。なお、スタッフ端末50、開錠処理部60、開錠処理部203、オーナー端末70等にも、必要な関連アプリケーションが事前にインストールされているとする。
【0038】
ユーザは、ユーザ端末20または自身のパーソナルコンピュータから貸し出しの予約を申し込む。予約の受け付けや処理は、例えば管理サーバ10が実行するが、他のコンピュータが実行してもよい。予約の段階では、ユーザは、借りたい船舶や借りたい期間等を指定する必要がある。また、電子キーの宛先(ここではユーザ端末20を一意に特定する情報)を登録する必要がある。
【0039】
なお、貸し出したい船舶の登録段階や予約の段階で必要となる情報については、上記特許文献1に開示されたものを含んでもよい。
【0040】
図4は、電子キー発行処理を示すフローチャートである。この処理は、管理サーバ10において、ROM12またはメモリ14に格納されたプログラムを、CPU11がRAM13に展開して実行することにより実現される。
【0041】
まず、ステップS101では、管理サーバ10のCPU11は、電子キーの発行要求があったか否かを判別する。貸し出しの予約が完了していると、電子キーの発行要求が生成されている。CPU11は、生成済みの発行要求がない場合は、電子キーの発行要求がないと判別し、ステップS106に進む。一方、CPU11は、生成済みの発行要求があれば、電子キーの発行要求があったと判別し、ステップS102に進む。
【0042】
ステップS102では、CPU11は、発行要求に対応する電子キーを生成する。その際、CPU11は、対応情報と、対応情報に紐付けるIDも生成する。CPU11は、電子キーに対応情報を対応付けると共に、電子キーにIDを含める。電子キーおよび対応情報はメモリ14に記憶される。
【0043】
ステップS103では、CPU11は、生成した電子キー(IDを含む)を、要求元のユーザ端末20へ送信するよう予約する。なお、電子キーは直ちに送信されてもよい。しかしそれは必須でなく、貸し出しが開始されるより前に送信されればよい。従って、ステップS103で実行される処理は、指定された送信タイミングで送信するための送信予約であってもよい。電子キーは、予約された送信タイミングで送信され、ユーザ端末20のメモリ24に記憶される。
【0044】
ステップS104では、CPU11は、ユーザ端末20へ送信されるユーザ用の電子キーに対応するスタッフ用電子キー(別の電子キー)を生成する。ステップS105では、CPU11は、生成したスタッフ用電子キーを、スタッフ端末50へ送信するよう予約する。スタッフ用電子キーは、予約された送信タイミングで送信され、スタッフ端末50のメモリ54に記憶される。
【0045】
スタッフ用電子キーは、スタッフによる、貸し出し対象の船舶100の一時的な移動や給油等の作業を可能にするために、駆動源41の始動や運転を一時的に許可するためのキーである。管理サーバ10は、スタッフ用電子キーをスタッフ端末50に受信させることで、マスターキーを渡すことなく、スタッフに各種の作業を許可することができる。なお、スタッフ用電子キーを用いて始動した場合における駆動源41の最大出力は、所定出力に制限されるようにしてもよい。
【0046】
なお、スタッフ用電子キーの生成タイミングは、ユーザ用の電子キーの生成タイミングと同時あるいはそれより前であってもよい。また、スタッフ用電子キーの送信タイミングは、貸し出しが開始されるより前であればよく、ユーザ端末20への電子キーの送信タイミングの前後または同時のいずれのタイミングでもよい。なお、スタッフ用電子キーの生成や送信のタイミングが、ユーザ用の電子キーの生成や送信のタイミングに依存することは必須でない。例えばスタッフ用電子キーは、オーナーからの要求に応じて発行・生成されてもよい。なお、スタッフ用電子キーの宛先は、貸し出し対象の船舶100のサービスを担当する少なくとも1人のスタッフのスタッフ端末50であればよく、複数のスタッフ端末50であってもよい。
【0047】
ステップS106では、CPU11は、その他処理を実行する。その他処理では、例えば、CPU11は、ステップS102で生成した電子キーに対応する対応情報を、DCM30、開錠処理部60、203へ送信するよう予約する。DCM30等への対応情報の送信タイミングは、貸し出しが開始されるより前であればよく、ユーザ端末20への電子キーの送信タイミングの前後または同時のいずれのタイミングでもよい。なお、DCM30、対応情報は、これらがDCM30、開錠処理部60、203での処理に必要になった時点で要求に応じて送信されてもよい。対応情報は、DCM30、開錠処理部60、203の各メモリに記憶される。
【0048】
このほか、その他処理では、CPU11は、キャンセル処理や、条件変更(貸し出し対象や貸し出し期間等の変更)による電子キーの再生成・送処理などを実行してもよい。ステップS106の後、CPU11は、ステップS101に戻る。
【0049】
図5は、マリーナ開錠制御処理を示すフローチャートである。この処理は、マリーナゲート201の開錠処理部60において、ROM62またはメモリ64に格納されたプログラムを、CPU61がRAM63に展開して実行することにより実現される。
【0050】
この処理では、貸し出し予約を済ませたユーザが、船舶100を借りるためにマリーナ200へ出向いてマリーナゲート201を通過しようとする場面を想定している。ユーザ端末20には、既に電子キーが記憶されている。
【0051】
ステップS201では、CPU61は、マリーナゲート201の開錠を要求するアンロック要求があるまで待機する。ここで、ユーザは、ユーザ端末20で貸し出し用アプリを立ち上げ、マリーナゲートアンロック要求ボタン(不図示)を押すことでアンロック要求を発行することができる。アンロック要求と同時に電子キーも送信される。発行したアンロック要求は、ネットワーク110を介して開錠処理部60に送信される。あるいは、発行したアンロック要求は、近距離無線によって開錠処理部60に送信されてもよい。CPU61は、アンロック要求を受信すると、ステップS202に進む。
【0052】
ステップS202では、CPU61は、アンロック要求の送信元のユーザ端末20の認証処理を実行し、認証できた(認証OK)か否かを判別する。ここでは例えば、CPU61は、アンロック要求と同時に受信された電子キーに含まれるIDに紐付けられている対応情報がメモリ64に記憶されているか否かによって認証する。CPU61は、IDに紐付けられている対応情報がメモリ64に記憶されていない場合は、ユーザ端末20を認証できないと判別し、ステップS209に進む。ステップS209では、CPU61は、エラー処理を実行して、
図5に示す処理を終了する。エラー処理では、例えば、認証できなかった旨が表示や音声によって報知される。
【0053】
一方、IDに紐付けられている対応情報がメモリ64に記憶されている場合は、CPU61は、ユーザ端末20を認証できたと判別し、ステップS203に進む。ステップS203以降では、CPU61は、貸し出し期間と現在時刻とに基づいて、マリーナゲート201の開錠を許可または禁止する。
【0054】
ここで、「貸し出し期間」について定義する。「対応情報」における貸し出し期間は、「予約上の貸し出し期間」ではなく、「実質的な貸し出し期間」である。予約上の貸し出し期間は、貸し出しの予約を申し込む段階でユーザが指定した期間であり、ユーザが貸し出し期間として認識している期間である。これに対し、実質的な貸し出し期間は、実際に駆動源41の始動を許可することがあり得る期間である。
【0055】
実質的な貸し出し期間は、予約上の貸し出し期間の開始タイミングよりも第1余裕時間だけ前のタイミングから、予約上の貸し出し期間の終了タイミングよりも第2余裕時間だけ後のタイミングまでの期間である。例えば、予約上の貸し出し期間が10:00~15:00であるとし、第1余裕時間、第2余裕時間がいずれも5分間であるとすると、実質的な貸し出し期間9:55~15:05となる。
【0056】
なお、第1余裕時間、第2余裕時間のいずれかまたは双方はゼロでもよい。従って、予約上の貸し出し期間の開始タイミングと実質的な貸し出し期間の開始タイミングとが一致してもよい。あるいは、予約上の貸し出し期間の終了タイミングと実質的な貸し出し期間の終了タイミングとが一致してもよい。
【0057】
貸し出しの予約完了後において
図4~
図6で登場する「貸し出し期間」は、実質的な貸し出し期間である。以降、特に区別しない限り、貸し出し期間は、実質的な貸し出し期間を意味するものとする。
【0058】
ステップS203では、CPU61は、判定C処理を実行する。まず、CPU61は、現在時刻を取得する。そしてCPU61は、貸し出し期間の開始タイミングより所定時間T1(例えば1時間)だけ前のタイミングから、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2(例えば1時間)だけ後のタイミングまでの期間に、現在時刻が属するか否かを判別する。
【0059】
所定時間T1、T2を設けたのは、船舶100を借りることが可能な期間の前後にユーザがマリーナ200に出入りしたい場合があるからである。なお、所定時間T1、T2の値は例示したものに限定されない。また、所定時間T1、T2のいずれかまたは双方はゼロであってもよい。
【0060】
ステップS204では、CPU61は、判定C処理の結果に基づいて、マリーナ入場を有効にするか否かを判別する。すなわち、CPU61は、貸し出し期間の開始タイミングより所定時間T1だけ前の時刻から、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後の時刻までの期間に、現在時刻が属する場合は、マリーナ入場を有効と判別し、そうでない場合はマリーナ入場を無効と判別する。
【0061】
そして、マリーナ入場を無効と判別した場合は、CPU61は、ステップS209でエラー処理を実行して、
図5に示す処理を終了する。この場合、マリーナゲート201の開錠は禁止される。ここでのエラー処理では、例えば、マリーナ入場を許可できなかった旨が表示や音声によって報知される。
【0062】
一方、マリーナ入場を有効と判別した場合は、CPU61は、ステップS205に進み、マリーナゲート201の開錠を許可(アンロック)する。アンロック後、CPU61は、ユーザが解除のための操作をするとマリーナゲート201を開錠する。なお、CPU61は、アンロック後、ユーザによる一定期間内での解除操作があったことに応じてマリーナゲート201を開錠してもよい。あるいは、CPU61は、アンロック後、解除操作がなくても自動的に一時的に開錠してもよい。開錠されるとユーザはマリーナゲート201を通過することができる。
【0063】
ステップS206では、CPU61は、判定D処理を実行する。まず、CPU61は、現在時刻を取得する。そしてCPU61は、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングを現在時刻が経過しているか否かを判別する。
【0064】
ステップS207では、CPU61は、判定D処理の結果に基づいて、マリーナ入場の有効を継続するか、無効にするか、を判別する。すなわち、CPU61は、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングを現在時刻が経過するまでマリーナ入場の有効を継続すると判別し、ステップS206に戻る。従ってこの期間中、ユーザはマリーナ200に出入りできる。
【0065】
しかし、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングを現在時刻が経過すると、CPU61は、マリーナ入場を無効と判別し、ステップS208に進む。すなわち、貸し出し期間の開始タイミングより所定時間T1だけ前のタイミングから、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングまでの期間に、現在時刻が属さなくなると、マリーナ入場は無効と判別される。
【0066】
ステップS208では、CPU61は、マリーナゲート201の開錠を禁止(ロック)する。従って、ユーザは、開錠のための操作をしたとしてもマリーナゲート201を開錠できず、通過することができない。ステップS208の後、CPU61は、
図5に示す処理を終了する。
【0067】
本処理によれば、貸し出し期間の開始タイミングより所定時間T1前からマリーナゲート201の開錠が許可される。そして、アンロック後、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングが過ぎるまでは開錠許可が継続され、上記タイミングが過ぎれば自動的にロック状態に復帰する。
【0068】
なお、ユーザが桟橋ゲート202を通過する場合に桟橋ゲート202の開錠を許可・禁止する開錠制御処理は、開錠処理部203によって、
図5に示す処理と同様の態様で実行される。
【0069】
なお、電子キーには、キャビン101、物入れ103、ハッチ105、船舶100内の物入れ、またはマリーナ200内の物入れの開錠を要求する機能が対応付けられている。開錠処理部102、開錠処理部104等による、キャビン101、物入れ103、ハッチ105やその他の物入れの開錠を許可・禁止する処理についても、
図5に示す処理と同様の態様で実行されてもよい。なお、より構成を簡単にする観点からは、近距離無線通信により通信が確立したことにより各開錠が許可されるように構成してもよい。
【0070】
図6は、始動許可・禁止処理を示すフローチャートである。この処理は、DCM30において、ROM32またはメモリ34に格納されたプログラムを、CPU31がRAM33に展開して実行することにより実現される。この処理は、船舶100に対応する貸し出し期間の開始より十分前に開始される。
【0071】
ステップS301では、CPU31は、駆動源41の始動許可を要求するアンロック要求(始動許可要求)があるまで待機する。ここで、ユーザは、ユーザ端末20で貸し出し用アプリを立ち上げ、始動アンロック要求ボタン(不図示)を押すことでアンロック要求を発行することができる。このアンロック要求と同時に電子キーも送信される。発行したアンロック要求は、ネットワーク110を介してDCM30に送信される。あるいは、発行したアンロック要求は、近距離無線によってDCM30に送信されてもよい。CPU31は、始動許可を要求するアンロック要求および電子キーを受信すると、ステップS302に進む。
【0072】
ステップS302では、CPU31は、アンロック要求の送信元のユーザ端末20の認証処理を実行し、認証できた(認証OK)か否かを判別する。ここでは例えば、CPU31は、受信された電子キーに含まれるIDに対応する対応情報を参照し、対応情報における貸し出し対象の船舶100とCPU31に対応している船舶100とが一致しているか否かを判別する。あるいは、上記IDが登録済みか否かによって、自身に対応している船舶100が貸し出し対象であるか否かを判別してもよい。
【0073】
そしてCPU31は、自身に対応している船舶100が貸し出し対象でない場合は、ユーザ端末20を認証できないと判別し、ステップS312に進む。ステップS312では、CPU31は、エラー処理を実行して、ステップS311に進む。エラー処理では、例えば、認証できなかった旨が表示や音声によって報知される。
【0074】
一方、CPU31は、自身に対応している船舶100が貸し出し対象であれば、ユーザ端末20を認証できたと判別し、ステップS303に進む。ステップS303以降では、CPU31は、貸し出し期間と現在時刻と船舶100の現在位置とに基づいて、駆動源41の始動を許可または禁止する。
【0075】
ステップS303では、CPU31は、判定A処理を実行する。この判定A処理では、CPU31は、現在時刻を取得すると共に、上記参照する対応情報における貸し出し期間に現在時刻が属するか否かを判別する。ステップS304では、CPU31は、判定A処理の結果に基づいて、駆動源41の始動許可が有効か否かを判別する。すなわち、CPU31は、貸し出し期間に現在時刻が属しない場合は始動許可が無効であると判別してステップS312に進み、貸し出し期間に現在時刻が属する場合は始動許可が有効と判別してステップS305に進む。従って、駆動源41の始動を初めて許可するためには、貸し出し期間に現在時刻が属することが条件となる。
【0076】
ステップS305では、CPU31は、駆動源41の始動を許可(アンロック)する。これにより、ユーザは、始動操作部42を操作することで駆動源41を始動させることができる。通常、この後、ユーザは、貸し出し対象の船舶100を操船し、貸し出し期間の終了前には帰港する。しかし、帰港が遅れて貸し出し期間が終了してしまう場合も考えられる。
【0077】
ステップS306では、CPU31は、現在時刻を取得すると共に、貸し出し期間が終了する(貸し出し期間における終了タイミングを現在時刻が経過する)まで待機する。この判別は、一定時間間隔で繰り返し実行される。そしてCPU31は、貸し出し期間が終了すると、ステップS307に進み、船舶100の現在位置を示す位置情報(以下、船舶位置と記す)を取得する。
【0078】
ステップS308では、CPU31は、判定B処理を実行する。この判定B処理では、CPU31は、取得した船舶位置が、上記所定のエリア内にあるか否かを判別する。ステップS309では、CPU31は、判定B処理の結果に基づいて、駆動源41の始動許可が有効か無効かを判別する。すなわち、CPU31は、船舶100の位置情報が、上記所定のエリア内にあることを示す場合は、駆動源41の始動許可が無効であると判別し、船舶100の位置情報が、上記所定のエリア内にないことを示す場合は、駆動源41の始動許可が有効であると判別する。
【0079】
駆動源41の始動許可が有効であると判別した場合は、CPU31は、ステップS307に戻る。従って、駆動源41の始動を許可した後において、貸し出し期間が終了しても、船舶100が上記所定のエリア外に位置する場合は、駆動源41の始動の許可が継続される。
【0080】
一方、駆動源41の始動許可が無効であると判別した場合は、CPU31は、貸し出し期間が終了し、且つ、船舶100が所定のエリア内に位置するので、ステップS310に進む。ステップS310では、CPU31は、駆動源41の始動を禁止(ロック)する。これにより、駆動源41の新たな始動が禁止される。従って、この状態で駆動源41を停止させた場合は、再度、駆動源41を始動することはできない。
【0081】
ステップS311では、CPU31は、その他処理を実行して、
図6に示す処理を終了する。ここでいうその他処理においては、CPU31は、例えば、船舶100の使用を終了したことをユーザ端末20から通知された場合は、
図6に示す処理を終了してもよい。
【0082】
本実施の形態によれば、管理サーバ10は、ユーザ端末20からの要求に応じて、電子キーを生成してユーザ端末20に送信する(S102、S103)。DCM30は、電子キーに対応する貸し出し期間に現在時刻が属することを条件に駆動源41の始動を許可する(S305)。DCM30は、貸し出し期間が終了し、且つ、船舶100が所定のエリア内に位置することを、船舶100の位置情報が示す場合は、駆動源41の始動を禁止する(S310)。これにより、時間と船舶100の位置とに応じて適切に駆動源41の始動を許可・禁止することができる。
【0083】
従って、不特定多数のユーザに暗証番号を共有させたり、鍵を渡したりする必要がない。また、貸し出しの際にオーナーが立ち会う必要がない。個人の船舶を貸し出すシェアリングサービスにも適用可能である。
【0084】
また、駆動源41の始動を許可した後において、貸し出し期間が終了しても、船舶100が所定のエリア外に位置する場合は、駆動源41の始動の許可が継続される(S309でNo)。これにより、船舶100が帰港しないまま駆動源41の再始動ができなくなる事態を回避することができる。
【0085】
また、ユーザ端末20から、マリーナゲート201または桟橋ゲート202の開錠要求(アンロック要求)を受けたことに応じて、電子キーに対応する貸し出し期間に基づいて、これらのゲートの開錠が許可・禁止される。これにより、マリーナゲート201や桟橋ゲート202についても、時間に応じて適切に開錠することができる。
【0086】
また、貸し出し期間の開始タイミングより所定時間T1前からマリーナゲート201の開錠が許可され、貸し出し期間の終了タイミングより所定時間T2だけ後のタイミングが過ぎるとロックされる。これにより、ユーザは、貸し出し期間の前後の時間帯にもマリーナ200に出入り自由となり、利便性が高まる。
【0087】
また、電子キーに対応して、スタッフ用電子キーがスタッフ端末50に送信されるので、スタッフは貸し出しに関する作業やサービスを円滑に行うことができる。また、スタッフ用電子キーを用いて始動した場合における駆動源41の最大出力が所定出力に制限されることで、スタッフによる船舶100の不適切な使用が回避される。
【0088】
ところで、駆動源41のロック後において、駆動源41が停止する前に再び船舶100が上記所定のエリアから出てしまう可能性がある。そこで、次のように構成してもよい。
【0089】
まず、判定B処理(S308)において、CPU31は、船舶位置が、上記所定のエリア内にあるか否かに加えて、駆動源41が停止したか否かも判定してもよい。この場合のステップS309では、CPU31は、船舶100の位置情報が上記所定のエリア内にあることを示し且つ駆動源41が停止している場合に、駆動源41の始動許可が無効であると判別する。一方、CPU31は、船舶100の位置情報が上記所定のエリア内にないか、または駆動源41が動作中である場合は、駆動源41の始動許可が有効であると判別する。
【0090】
つまり、CPU31は、貸し出し期間が終了し且つ、船舶100が所定のエリア内に位置することを位置情報が示す場合であっても、駆動源41の動作が停止するまでは駆動源41の始動を禁止しない(許可する)ようにしてもよい。これにより、貸し出し期間終了後に駆動源41の動作が継続したまま再び船舶100が上記所定のエリアの内から外へ移動した場合に、駆動源41の再始動を可能にすることができる。
【0091】
あるいは、CPU31は、その他処理(S311)において、船舶100の位置情報の取得を継続し、再び船舶100が上記所定のエリアの外へ出た場合は、駆動源41をアンロックすると共に、処理をステップS307に戻してもよい。これにより、一旦、駆動源41の始動が禁止されても、駆動源41が動作したまま船舶100が上記所定のエリアの外へ出ると、駆動源41の始動が再び許可される。
【0092】
なお、船舶100の位置情報は、ステップS307で取得され、すなわち、電子キーに対応する貸し出し期間が終了したことに応じて取得される。しかし、位置情報の取得タイミングはこの例に限定されず、始動許可・禁止処理(
図6)が開始された後、ステップS308の前に取得が開始されればよい。
【0093】
なお、始動許可・禁止処理(
図6)では、ユーザ端末20から、駆動源41の始動許可要求(アンロック要求)を受けた際、貸し出し期間に現在時刻が属する場合に、駆動源41の始動が許可された。しかし、これに限定されず、ユーザ端末20からのアクセスにかかわらず、貸し出し期間に現在時刻が属する場合に駆動源41の始動が許可されるようにしてもよい。
【0094】
なお、電子キーに対応する対応情報の取得タイミングは上記例示したものに限定されない。例えば、DCM30、スタッフ端末50、開錠処理部60、203の要求に応じて管理サーバ10から対応情報が要求元へ送信されるようにしてもよい。
【0095】
なお、
図3で述べたように、取得部122および制御部123の機能が管理サーバ10によって実現されてもよい。そのようにする場合は、管理サーバ10は、DCM30からの指示を受けて始動許可・禁止処理(
図6)を開始する。そして、管理サーバ10は、ステップS307では、位置情報をDCM30から取得する。さらに管理サーバ10は、ステップS305、S310では、アンロック、ロックをする指示をDCM30へ送ることで、DCM30に、駆動源41の始動の許可または禁止の処理を実施させてもよい。
【0096】
なお、始動許可・禁止処理(
図6)をDCM30が実行する場合においても、次に例示するように、処理の一部を管理サーバ10に担わせるようにしてもよい。一例として、ステップS302、S303、S308の一部が管理サーバ10で実行される構成を説明する。なお、管理サーバ10は独自に現在時刻を取得できる。また、電子キーに対応する対応情報はメモリ14に記憶されている。
【0097】
例えば、ステップS302で、DCM30は、管理サーバ10に認証処理を要求し、認証処理の結果を管理サーバ10から受信してもよい。管理サーバ10は認証処理を実行し、認証結果をDCM30へ送信する。DCM30は、認証処理を要求する際、ユーザ端末20から受信した電子キーを管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、認証処理および認証結果の送信処理を、その他処理(
図4のステップS106)で実行する。DCM30は、受信した認証結果に基づきステップS302での判別を実施する。
【0098】
また、ステップS303で、DCM30は、管理サーバ10に判定A処理を要求し、判定A処理の結果を管理サーバ10から受信してもよい。管理サーバ10は判定A処理を実行し、その結果をDCM30へ返信する。DCM30は、判定A処理を要求する際、ユーザ端末20から受信した電子キーを管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、判定A処理を、その他処理(
図4のステップS106)で実行する。ステップS304では、DCM30は、受信した判定A処理の結果に基づき判別(有効/無効の判別)を実施する。
【0099】
また、ステップS308で、DCM30は、管理サーバ10に判定B処理を要求し、判定B処理の結果を管理サーバ10から受信してもよい。管理サーバ10は判定B処理を実行し、その結果をDCM30へ返信する。DCM30は、判定B処理を要求する際、ユーザ端末20から受信した電子キーと船舶位置とを管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、判定B処理を、その他処理(
図4のステップS106)で実行する。ステップS309では、DCM30は、受信した判定B処理の結果に基づき判別(有効/無効の判別)を実施する。
【0100】
なお、駆動源41の始動を許可(アンロック)した状態で、駆動源41を始動させるためには、始動操作部42の操作が必要であった。しかし、貸し出し用アプリに駆動源41を始動する機能を設け、画面上の始動用のボタンを押下すると駆動源41が始動されるようにしてもよい。
【0101】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0102】
なお、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0103】
10 管理サーバ、 20 ユーザ端末、 30 DCM、 41 駆動源、 50 スタッフ端末、 100 船舶、 121 生成部、 122 取得部、 123 制御部