(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110298
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20230802BHJP
B65G 21/14 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
B65G21/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011652
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【テーマコード(参考)】
3B115
3F025
【Fターム(参考)】
3B115AA22
3B115CB07
3B115CB11
3F025AC03
3F025AC11
(57)【要約】
【課題】 可倒レーンを自動で動作させることができる飲食物搬送装置を提供する。
【解決手段】 飲食物搬送装置(1)は、可倒レーン(20)と、レーン駆動モータ(13)と、ギア列(11,12)とを有する。可倒レーンは、装置本体(10)に対して、飲食物を搬送する搬送位置(P1)と、飲食物の搬送を行わない非搬送位置(P2)との間で回転可能に取り付けられている。レーン駆動モータは、装置本体に取り付けられており、可倒レーンを駆動する。ギア列は、レーン駆動モータの回転力を可倒レーンに伝達して可倒レーンを回転させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して、飲食物を搬送する搬送位置と、飲食物の搬送を行わない非搬送位置との間で回転可能に取り付けられた可倒レーンと、
前記装置本体に取り付けられ、前記可倒レーンを駆動するレーン駆動モータと、
前記レーン駆動モータの回転力を前記可倒レーンに伝達して前記可倒レーンを回転させるギア列と、を有することを特徴とする飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記可倒レーンは、
駆動ローラ及び従動ローラと、
前記駆動ローラ及び前記従動ローラに掛け渡され、前記駆動ローラの回転に応じて移動する搬送ベルトと、を有し、
前記飲食物搬送装置は、前記装置本体に設けられ、前記駆動ローラを駆動するローラ駆動モータを有することを特徴とする請求項1に記載の飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記駆動ローラは、前記装置本体の上面に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記可倒レーンの両側面をそれぞれ支持し、前記装置本体に回転可能に取り付けられた一対の支持アームを有し、
前記ギア列は、
前記レーン駆動モータの出力軸に取り付けられた出力ギアと、
前記一対の支持アームのうち、一方の前記支持アームに固定され、前記出力ギアと噛み合う伝達ギアと、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の飲食物搬送装置。
【請求項5】
前記伝達ギアは、扇状に形成されており、前記可倒レーンが前記搬送位置及び前記非搬送位置の間で回転するとき、前記装置本体の上面から突出しないことを特徴とする請求項4に記載の飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記レーン駆動モータに接続され、前記可倒レーンを前記搬送位置及び前記非搬送位置のいずれかに回転させるために操作される操作スイッチを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の飲食物搬送装置。
【請求項7】
前記可倒レーンは、飲食物を循環させながら搬送する循環搬送レーンをバイパスさせる位置に設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の飲食物搬送装置。
【請求項8】
前記可倒レーンは、飲食物を搬送する搬送路上に設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可倒式の飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、すし等の回転供給装置における回路の短絡装置が記載されている。短絡装置は、機枠に対して回動可能に取り付けられた2つの短絡回路皿ガイドを有しており、短絡回路皿ガイドは、水平方向に沿って配置される位置と、垂直方向に沿って配置される位置との間で回動することができる。また、短絡回路皿ガイドには、短絡回路搬送ベルトを走行させるための駆動モータが設けられている。
【0003】
特許文献2には、循環搬送路におけるバイパス搬送装置が記載されている。バイパス搬送装置は、2つのバイパスコンベア体を有しており、バイパスコンベア体は、水平方向に沿って配置される位置と、垂直方向に沿って配置される位置との間で揺動することができる。また、モータを駆動することにより、バイパスコンベア体に設けられた無端状平ベルトを走行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭61-44695号公報
【特許文献2】特開2000-255766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、短絡回路皿ガイドを手動によって回動させる必要があるため、短絡させたり、短絡をやめたりするたびに、短絡回路皿ガイドを手動で回動させなければならず、面倒である。特許文献2でも、バイパスコンベア体を人為的な操作によって揺動させる必要があるため、バイパスコンベア体を水平に設置したり垂直に設置したりするたびに、バイパスコンベア体を人為的に操作しなければならず、面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明である飲食物搬送装置は、可倒レーンと、レーン駆動モータと、ギア列とを有する。可倒レーンは、装置本体に対して、飲食物を搬送する搬送位置と、飲食物の搬送を行わない非搬送位置との間で回転可能に取り付けられている。レーン駆動モータは、装置本体に取り付けられており、可倒レーンを駆動する。ギア列は、レーン駆動モータの回転力を可倒レーンに伝達して可倒レーンを回転させる。
【0007】
可倒レーンは、駆動ローラ及び従動ローラと、駆動ローラ及び従動ローラに掛け渡され、駆動ローラの回転に応じて移動する搬送ベルトとで構成することができる。そして、装置本体には、駆動ローラを駆動するローラ駆動モータを設けることができる。ここで、駆動ローラは、装置本体の上面に配置することができる。
【0008】
可倒レーンの両側面をそれぞれ支持する一対の支持アームを装置本体に回転可能に取り付けることができる。そして、ギア列は、レーン駆動モータの出力軸に取り付けられた出力ギアと、一対の支持アームのうち、一方の支持アームに固定され、出力ギアと噛み合う伝達ギアとで構成することができる。伝達ギアは扇状に形成することができ、可倒レーンが搬送位置及び非搬送位置の間で回転するとき、伝達ギアを装置本体の上面から突出しないようにすることができる。
【0009】
レーン駆動モータに操作スイッチを接続しておき、操作スイッチの操作によって、可倒レーンを搬送位置及び非搬送位置のいずれかに回転させることができる。可倒レーンは、飲食物を循環させながら搬送する循環搬送レーンをバイパスさせる位置に設けることができる。また、可倒レーンは、飲食物を搬送する搬送路上に設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レーン駆動モータを駆動することにより、可倒レーンを搬送位置及び非搬送位置の間で回転させることができ、特許文献1,2のような手動での操作を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】可倒レーンが搬送位置にあるときの飲食物搬送装置の側面図である。
【
図3】可倒レーンが非搬送位置にあるときの飲食物搬送装置の側面図である。
【
図4】飲食物搬送装置を循環搬送レーンのバイパス通路として用いた構成を示す概略図である。
【
図5】飲食物搬送装置を搬送路(直線状)上に配置した構成を示す概略図である。
【
図6】飲食物搬送装置を搬送路(L字状)上に配置した構成を示す概略図である。
【
図7】飲食物搬送装置が循環搬送レーンに接続されていない状態を示す概略図である。
【
図8】飲食物搬送装置が循環搬送レーンに接続された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(飲食物搬送装置の構造)
本実施形態である飲食物搬送装置の構造について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、飲食物搬送装置1の平面図である。
図2は、
図1に示す矢印Dsの方向から飲食物搬送装置1を見たときの側面図であり、
図2では、
図1に示すレーン駆動モータ13を省略している。飲食物搬送装置1では、後述する可倒レーン20を搬送位置P1及び非搬送位置P2の間で回転させることができる。
【0013】
装置本体10の一側面には、出力ギア11及び伝達ギア12が回転可能に取り付けられている。
図2に示すように、出力ギア11は、回転軸11aを中心に矢印D11又は矢印D12の方向に回転可能である。また、伝達ギア12は、回転軸12aを中心に矢印D21又は矢印D22の方向に回転可能である。伝達ギア12は、扇状に形成されており、リング状に形成された出力ギア11の上方に配置されているとともに、出力ギア11と噛み合っている。伝達ギア12のピッチ円半径は、出力ギア11のピッチ円半径よりも大きい。
【0014】
出力ギア11には、
図1に示すレーン駆動モータ13の出力軸が固定されており、レーン駆動モータ13は、後述するように可倒レーン20を回転させるための駆動源である。レーン駆動モータ13としては、例えば、ステッピングモータを用いることができる。レーン駆動モータ13には、ケーブル14を介して操作スイッチ15が接続されており、作業者が操作スイッチ15を操作することにより、レーン駆動モータ13を駆動することができる。後述するように、レーン駆動モータ13を駆動することにより、可倒レーン20を搬送位置P1及び非搬送位置P2の間で回転させることができる。
【0015】
図1に示すように、装置本体10の両側面には、一対の支持アーム16a,16bがそれぞれ設けられており、各支持アーム16a,16bは回転軸Rを中心に回転可能である。支持アーム16aは、伝達ギア12に固定されており、伝達ギア12とともに回転する。ここで、回転軸Rは、上述した回転軸12aと同軸上に位置している。支持アーム16bは、装置本体10の一側面に対して回転可能に取り付けられている。
【0016】
一対の支持アーム16a,16bは、この先端部において、可倒レーン20の両側面にそれぞれ固定されている。可倒レーン20は、一対のレーン本体21a,21bを有しており、一対のレーン本体21a,21bは、無端状の搬送ベルト22を支持している。具体的には、無端状の搬送ベルト22の内側に一対のレーン本体21a,21bが配置されており、レーン本体21a,21bの上面とレーン本体21a,21bの下面とに沿って搬送ベルト22が移動する。
【0017】
搬送ベルト22は、駆動ローラ23及び従動ローラ24に掛け渡されており、駆動ローラ23及び従動ローラ24が回転することによって、搬送ベルト22が移動する。従動ローラ24は、一対のレーン本体21a,21bに対して回転可能に取り付けられている。駆動ローラ23は、装置本体10の上面に回転可能に取り付けられており、搬送ベルト22の一部は、装置本体10の上面に位置している。後述するように駆動ローラ23が回転することにより、搬送ベルト22が移動し、搬送ベルト22の移動に伴って従動ローラ24が回転する。
【0018】
このように搬送ベルト22を移動させることにより、搬送ベルト22に載置された飲食物(不図示)を搬送することができる。ここで、駆動ローラ23の回転方向を変更することにより、搬送ベルト22の移動方向を変更することができ、飲食物の搬送方向を変更することができる。
【0019】
具体的には、駆動ローラ23を正回転させることにより、搬送ベルト22によって、
図1の左側から右側に向かって飲食物を搬送することができる。また、駆動ローラ23を逆回転させることにより、搬送ベルト22によって、
図1の右側から左側に向かって飲食物を搬送することができる。なお、ここでいう「飲食物」は、飲食物が収容された容器(皿など)や、飲食物が収容された容器が載せられるトレイをいう。
【0020】
次に、駆動ローラ23を回転させる機構について、以下に説明する。
【0021】
図2に示すように、装置本体10には、駆動ローラ23を駆動するためのローラ駆動モータ31が配置されている。ローラ駆動モータ31の出力軸には駆動プーリ32が固定されている。駆動プーリ32及び従動プーリ33には、動力伝達ベルト34が掛け渡されている。駆動プーリ32は、ローラ駆動モータ31からの回転力を受けて矢印D31又は矢印D32の方向に回転することができる。
【0022】
駆動プーリ32が矢印D31の方向に回転するときには、動力伝達ベルト34が矢印D33の方向に移動することにより、従動プーリ33を矢印D34の方向に回転させる。また、駆動プーリ32が矢印D32の方向に回転するときには、動力伝達ベルト34が矢印D35の方向に移動することにより、従動プーリ33を矢印D36の方向に回転させる。
【0023】
従動プーリ33は、
図1に示すように、動力伝達機構(不図示)を介して駆動ローラ23に接続されている。このため、従動プーリ33の回転に応じて駆動ローラ23を回転させることができる。ここで、従動プーリ33の回転方向(
図2に示す矢印D34又は矢印D36の方向)を切り替えることにより、駆動ローラ23の回転方向(上述した正回転や逆回転)を切り替えることができる。
【0024】
装置本体10には、ローラ駆動モータ31の駆動を制御するコントローラ40が設けられており、コントローラ40がローラ駆動モータ31の駆動を制御することにより、駆動ローラ23の回転速度や回転方向を制御することができる。駆動ローラ23の回転速度を制御することにより、搬送ベルト22による飲食物の搬送速度を制御することができる。また、駆動ローラ23の回転方向を制御することにより、搬送ベルト22による飲食物の搬送方向を制御することができる。
【0025】
(飲食物搬送装置1の動作)
次に、飲食物搬送装置1の動作について説明する。
【0026】
図2は、可倒レーン20が搬送位置P1にあるときの状態を示し、
図3は、可倒レーン20が非搬送位置P2にあるときの状態を示す。
図2及び
図3に示すように、可倒レーン20が搬送位置P1及び非搬送位置P2のいずれの位置にあるときにも、伝達ギア12は、装置本体10の上面から突出していない。また、以下に説明するように、可倒レーン20が搬送位置P1及び非搬送位置P2の間で回転する間でも、伝達ギア12は、装置本体10の上面から突出しない。
【0027】
可倒レーン20が搬送位置P1にあるときには、搬送ベルト22に載せられた飲食物を搬送ベルト22によって搬送することができる。搬送ベルト22による飲食物の搬送では、上述したようにローラ駆動モータ31の駆動を制御することになる。飲食物を搬送するために、搬送位置P1では、可倒レーン20が略水平に沿って配置される。一方、搬送ベルト22によって飲食物を搬送しないときには、可倒レーン20を非搬送位置P2に回転させることができる。
【0028】
可倒レーン20を搬送位置P1から非搬送位置P2に回転させるときには、作業者が操作スイッチ15を操作することにより、レーン駆動モータ13を駆動する。具体的には、
図2に示すように、出力ギア11が矢印D11の方向に回転するようにレーン駆動モータ13を駆動する。出力ギア11が矢印D11の方向に回転することにより、伝達ギア12が矢印D21の方向に回転する。
【0029】
伝達ギア12には、支持アーム16aを介して可倒レーン20が接続されているため、伝達ギア12が矢印D21の方向に回転することにより、可倒レーン20が矢印D41の方向に回転して非搬送位置P2に向かう。ここで、伝達ギア12は、
図2に示す位置から矢印D21の方向に回転するため、伝達ギア12の一部が装置本体10の上面から突出することはない。
【0030】
レーン駆動モータ13による出力ギア11の回転角度を制御することにより、可倒レーン20を非搬送位置P2で停止させることができる。これにより、飲食物搬送装置1は、
図3に示す状態となる。可倒レーン20が非搬送位置P2にあるとき、可倒レーン20は垂直方向(
図2や
図3の上下方向)に沿って配置され、可倒レーン20の先端部が下方向を向く。なお、非搬送位置P2での可倒レーン20の姿勢は、垂直方向に沿った姿勢である必要は無い。例えば、可倒レーン20の先端部が下方を向いていればよく、可倒レーン20が垂直方向に対して傾斜していてもよい。ここで、可倒レーン20の傾斜角度は、適宜決めることができる。
【0031】
図1に示すように、搬送ベルト22の一部(駆動ローラ23の側)は、装置本体10の上面に位置している。このため、可倒レーン20が搬送位置P1から非搬送位置P2に回転するとき、搬送ベルト22は、装置本体10の外面に沿って折れ曲がるようになっている。ここで、搬送ベルト22は変形可能な材料で形成されているため、装置本体10の外面に沿って折れ曲がることができる。
【0032】
可倒レーン20を非搬送位置P2から搬送位置P1に回転させるときには、作業者が操作スイッチ15を操作することにより、レーン駆動モータ13を駆動する。具体的には、
図3に示すように、出力ギア11が矢印D12の方向に回転するようにレーン駆動モータ13を駆動する。出力ギア11が矢印D12の方向に回転することにより、伝達ギア12が矢印D22の方向に回転する。
【0033】
伝達ギア12には、支持アーム16aを介して可倒レーン20が接続されているため、伝達ギア12が矢印D22の方向に回転することにより、可倒レーン20が矢印D42の方向に回転して搬送位置P1に向かう。ここで、伝達ギア12は、
図3に示す位置から矢印D22の方向に回転するため、伝達ギア12の一部が装置本体10の上面から突出することはない。
【0034】
レーン駆動モータ13による出力ギア11の回転角度を制御することにより、可倒レーン20を搬送位置P1で停止させることができる。これにより、飲食物搬送装置1は、
図2に示す状態となる。
【0035】
本実施形態によれば、レーン駆動モータ13を駆動することにより、可倒レーン20を搬送位置P1及び非搬送位置P2の間で回転させることができる。これにより、特許文献1,2のように、可倒レーン20を手動で回転させる必要が無くなる。
【0036】
本実施形態では、レーン駆動モータ13やローラ駆動モータ31が装置本体10に取り付けられているため、レーン駆動モータ13やローラ駆動モータ31を可倒レーン20に取り付ける場合と比べて、可倒レーン20の構造を簡素化することができる。これにより、可倒レーン20を搬送位置P1及び非搬送位置P2の間でスムーズに回転させることができる。また、レーン駆動モータ13の保持トルクを利用することにより、可倒レーン20を搬送位置P1や非搬送位置P2に保持し続けることができる。
【0037】
本実施形態では、上述したように、伝達ギア12のピッチ円半径を出力ギア11のピッチ円半径よりも大きくすることにより、出力ギア11及び伝達ギア12によって減速機構を構成している。このため、伝達ギア12のトルクを上昇させることができ、可倒レーン20を容易に回転させることができる。ここで、伝達ギア12を扇状ではなくリング状に形成した場合には、伝達ギア12の一部が装置本体10の上面から突出してしまい、この突出部分への干渉が問題となる。
【0038】
本実施形態では、伝達ギア12を扇状に形成することにより、可倒レーン20が搬送位置P1及び非搬送位置P2の間で回転するときに、伝達ギア12が装置本体10の上面から突出しないようにしている。これにより、上述したように、出力ギア11及び伝達ギア12によって減速機構を構成しながら、伝達ギア12の一部が装置本体10の上面から突出して干渉してしまうことを防止することができる。
【0039】
(飲食物搬送装置1の適用例)
次に、飲食物搬送装置1の適用例について、
図4~
図8を用いて説明する。なお、以下に説明する適用例は一例であり、これに限るものではない。
【0040】
図4に示す例は、飲食物搬送装置1を循環搬送レーン100に適用したものである。循環搬送レーン100は、飲食物を搬送しながら循環させるものであり、例えば、公知のクレセントチェーンによって構成することができる。循環搬送レーン100の一部には、2つのガイド部材110が設けられている。各ガイド部材110は、回転軸111を中心に回転可能であり、循環搬送レーン100に進入する位置(以下、「進入位置」という)と、循環搬送レーン100から退避する位置(以下、「退避位置」という)との間で回転可能である。
【0041】
ガイド部材110の回転軸111の近傍には、飲食物搬送装置1が設けられており、2つのガイド部材110の間に、2つの飲食物搬送装置1が配置されている。ここで、循環搬送レーン100から飲食物搬送装置1の搬送ベルト22に飲食物が移動できるように、飲食物搬送装置1が配置されている。
図4に示すように、2つの飲食物搬送装置1を並べて配置することにより、2つの飲食物搬送装置1によって、循環搬送レーン100をバイパスする通路を形成することができる。
【0042】
2つのガイド部材110が退避位置にあるとき、飲食物は、循環搬送レーン100に沿って移動する。このとき、飲食物搬送装置1では、可倒レーン20を非搬送位置P2に回転させておくことができる。
【0043】
2つのガイド部材110が進入位置にあるとき、飲食物搬送装置1において、可倒レーン20を搬送位置P1に回転させておくことができる。これにより、循環搬送レーン100を移動する飲食物は、一方(
図4の左側)のガイド部材110に接触して飲食物搬送装置1に導かれる。飲食物は、
図4の左側に位置する搬送ベルト22によって搬送された後、
図4の右側に位置する搬送ベルト22に移動し、この搬送ベルト22によって搬送される。ここで、
図4の左側に位置する搬送ベルト22の搬送方向と、
図4の右側に位置する搬送ベルト22の搬送方向とは、互いに逆方向となる。
【0044】
図4の右側に位置する搬送ベルト22によって搬送された飲食物は、進入位置にある他方(
図4の右側)のガイド部材110に接触して循環搬送レーン100に導かれる。これにより、2つの飲食物搬送装置1によって、循環搬送レーン100をバイパスして飲食物を搬送することができる。なお、
図4に示す矢印の方向は、飲食物の搬送方向を示しているが、
図4に示す矢印の方向とは逆方向に飲食物を搬送することもできる。
【0045】
次に、
図5及び
図6に示す例は、飲食物の搬送路上に飲食物搬送装置1を配置したものである。
図5では、直線状の搬送路を示し、
図6では、L字状の搬送路を示す。飲食物搬送装置1の搬送ベルト22の長手方向における両端には、他の搬送ベルト210,220がそれぞれ設けられている。すなわち、飲食物搬送装置1の可倒レーン20が搬送位置P1にあるとき、2つの搬送ベルト210,220の間に、飲食物搬送装置1の搬送ベルト22が位置しており、搬送ベルト210,220及び搬送ベルト22によって、1つの搬送路を形成している。一方、可倒レーン20が非搬送位置P2にあるとき、2つの搬送ベルト210,220の間には搬送ベルト22が位置していなく、搬送ベルト210,220による搬送路が遮断された状態となる。
【0046】
搬送ベルト210,220及び搬送ベルト22によって、1つの搬送路を形成しているとき、例えば、搬送ベルト210が矢印で示す方向に飲食物を搬送した後、飲食物は、搬送ベルト210から搬送ベルト22に乗り移る。そして、搬送ベルト22が矢印で示す方向に飲食物を搬送した後、飲食物は、搬送ベルト22から搬送ベルト220に乗り移る。これにより、飲食物を1つの搬送路に沿って搬送することができる。
【0047】
図5や
図6に示す例において、可倒レーン20を非搬送位置P2に回転させることにより、可倒レーン20が搬送位置P1にあるときのスペースを作業者の移動通路として用いることができる。この場合には、搬送ベルト210,220による飲食物の搬送を停止させておけばよい。
【0048】
次に、
図7及び
図8に示す例は、2つの循環搬送レーン310,320に対して飲食物搬送装置1を適用したものである。循環搬送レーン310,320は、例えば、公知のクレセントチェーンによって構成することができる。循環搬送レーン310,320の間には、2つの飲食物搬送装置1が並んで配置されている。
【0049】
循環搬送レーン310には一対のガイド部材311が設けられており、ガイド部材311は回転軸312を中心に回転可能である。循環搬送レーン320には一対のガイド部材321が設けられており、ガイド部材321は回転軸322を中心に回転可能である。ガイド部材311は、
図7に示すように循環搬送レーン310から退避した位置(以下、「退避位置」という)と、
図8に示すように循環搬送レーン310に進入した位置(以下、「進入位置」という)との間で回転可能である。ガイド部材321は、
図7に示すように循環搬送レーン320から退避した位置(以下、「退避位置」という)と、
図8に示すように循環搬送レーン320に進入した位置(以下、「進入位置」という)との間で回転可能である。
【0050】
図7に示すように、ガイド部材311,321が退避位置にあるとき、飲食物は、循環搬送レーン310に沿って移動したり、循環搬送レーン320に沿って移動したりする。この場合には、飲食物搬送装置1の搬送ベルト22は駆動されない。このため、飲食物搬送装置1の可倒レーン20を非搬送位置P2に回転させておくことができる。なお、
図7では、循環搬送レーン310,320による飲食物の搬送方向を矢印の方向で示しているが、この矢印の方向とは逆方向に飲食物を搬送することもできる。
【0051】
図8に示すように、ガイド部材311,321が進入位置にあるときには、飲食物搬送装置1の可倒レーン20は搬送位置P1に位置している。
図8の上側に位置する搬送路において、循環搬送レーン310によって搬送された飲食物は、ガイド部材311に接触して飲食物搬送装置1に導かれた後、飲食物搬送装置1の搬送ベルト22によって搬送される。そして、飲食物がガイド部材321に接触して循環搬送レーン320に導かれた後、循環搬送レーン320によって搬送される。
【0052】
また、
図8の下側に位置する搬送路において、循環搬送レーン320によって搬送された飲食物は、ガイド部材321に接触して飲食物搬送装置1に導かれた後、飲食物搬送装置1の搬送ベルト22によって搬送される。そして、飲食物がガイド部材311に接触して循環搬送レーン310に導かれた後、循環搬送レーン310によって搬送される。なお、
図8では、循環搬送レーン310,320及び飲食物搬送装置1の搬送ベルト22による飲食物の搬送方向を矢印の方向で示しているが、この矢印の方向とは逆方向に飲食物を搬送することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1:飲食物搬送装置、10:装置本体、11:出力ギア、12:伝達ギア、
13:レーン駆動モータ、15:操作スイッチ、16a,16b:支持アーム、
20:可倒レーン、22:搬送ベルト、23:駆動ローラ、24:従動ローラ、
31:ローラ駆動モータ、100,310,320:循環搬送レーン、P1:搬送位置、
P2:非搬送位置