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特開2023-110308ヒヤリハット予測システム、ヒヤリハット予測方法、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110308
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ヒヤリハット予測システム、ヒヤリハット予測方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230802BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230802BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20230802BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230802BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/04
G08B31/00 B
G08B21/02
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011669
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】影嶋 宏一
【テーマコード(参考)】
4C117
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
4C117XB02
4C117XB11
4C117XD21
4C117XD37
4C117XE13
4C117XE23
4C117XE27
4C117XE43
4C117XE60
4C117XE62
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ46
4C117XJ47
4C117XJ52
4C117XL01
5C086AA22
5C086AA49
5C086BA20
5C086CA15
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA13
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA17
5C087AA10
5C087AA12
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA51
5C087BB11
5C087BB18
5C087DD03
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG14
5C087GG35
5C087GG66
5L049AA04
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】ヒヤリハットの発生を予測する。
【解決手段】ヒヤリハット予測システムは、作業中の作業員の身体の状態に関する第1の情報及びヒヤリハットの発生時刻を含む第2の情報を取得する情報処理装置(1)と、第1の情報及び第2の情報に基づいて抽出した教師データを利用した機械学習によりヒヤリハットの発生を予測する予測モデルを構築するサーバ装置(8)とを含み、情報処理装置及びサーバ装置のいずれか一方が、第1の情報のうちのヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分情報を抽出する抽出部(801)を含み、サーバ装置は、抽出部により抽出した部分情報を教師データとして予測モデルを構築する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業中の作業員の身体の状態に関する第1の情報及びヒヤリハットの発生時刻を含む第2の情報を取得する情報処理装置と、
前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて抽出した教師データを利用した機械学習によりヒヤリハットの発生を予測する予測モデルを構築するサーバ装置と
を含み、
前記情報処理装置及び前記サーバ装置のいずれか一方が、前記第1の情報のうちの前記ヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分情報を抽出する抽出部を含み、
前記サーバ装置は、前記抽出部により抽出した前記部分情報を教師データとして前記予測モデルを構築する
ことを特徴とするヒヤリハット予測システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記第1の情報を前記予測モデルに入力してヒヤリハットの発生を予測する推論部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のヒヤリハット予測システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記推論部によりヒヤリハットの発生が予測された場合に、前記ヒヤリハットの発生が予測されたことを示す情報を出力する出力部を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のヒヤリハット予測システム。
【請求項4】
前記第1の情報は、複数種類の身体の状態に関する情報を含み、
前記抽出部において前記身体の状態に関する前記情報から前記部分情報として抽出する所定期間は、前記情報の種類毎に設定されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のヒヤリハット予測システム。
【請求項5】
第1のコンピュータにより、作業中の作業員の身体の状態に関する第1の情報及びヒヤリハットの発生時刻を含む第2の情報を取得することと、
第2のコンピュータ又は前記第1のコンピュータにより、前記第1の情報のうちの前記ヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分情報を抽出することと、
前記第2のコンピュータにより、前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて抽出した前記部分情報を教師データとして利用する機械学習によりヒヤリハットの発生を予測する予測モデルを構築することと
を行うことを特徴とするヒヤリハット予測方法。
【請求項6】
作業中の作業員の身体の状態に関する情報を収集する収集部と、
前記収集部により収集した前記情報を、作業中の作業員の身体の状態に関する第1の情報及びヒヤリハットの発生時刻を含む第2の情報に基づいて抽出した前記第1の情報のうちの前記ヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分情報を教師データとして利用した機械学習により構築されたヒヤリハットの発生を予測する予測モデルに入力し、ヒヤリハットの発生を予測する推論部と、
前記推論部によりヒヤリハットの発生が予測された場合に、ヒヤリハットの発生が予測されたことを示す情報を出力する出力部と
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒヤリハット予測システム、ヒヤリハット予測方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等の作業現場では、労働災害の発生を未然に防ぐために、ヒヤリハットと呼ばれる労働災害につながる恐れのある事例を収集し、作業員に対して注意喚起等を行っている。ヒヤリハットの事例を収集する方法として、例えば、心電データに基づいて対象者のヒヤリハットを検出する方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-019977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでは、発生(検出)したヒヤリハットの事例に基づいて作業員に対して注意喚起を行う等の対策を講じており、ヒヤリハットの発生を予測することは行われていなかった。
【0005】
本発明は、ヒヤリハットの発生を予測することが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様に係るヒヤリハット予測システムは、作業中の作業員の身体の状態に関する第1の情報及びヒヤリハットの発生時刻を含む第2の情報を取得する情報処理装置と、前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて抽出した教師データを利用した機械学習によりヒヤリハットの発生を予測する予測モデルを構築するサーバ装置とを含み、前記情報処理装置及び前記サーバ装置のいずれか一方が、前記第1の情報のうちの前記ヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分情報を抽出する抽出部を含み、前記サーバ装置は、前記抽出部により抽出した前記部分情報を教師データとして前記予測モデルを構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様によれば、ヒヤリハットの発生を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るヒヤリハット予測システムの構成例を説明するブロック図である。
図2】ヒヤリハット予測システムで用いる各種センサの装着例を説明する図である。
図3】作業員が携帯する情報処理装置で行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
図4】作業員が携帯する情報処理装置で行われるヒヤリハット情報収集処理の一例を説明するフローチャートである。
図5】ヒヤリハットの予測モデルを構築する処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】教師データの抽出方法の一例を説明する図である。
図7】作業員が携帯する情報処理装置で行われるヒヤリハット予測処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るヒヤリハット予測システムの構成例を説明するブロック図である。図1に例示したヒヤリハット予測システムは、情報処理装置1、姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、目元カメラ5、及びサーバ装置8を含む。
【0011】
情報処理装置1は、作業者が作業中に携帯するものであり、例えば、タブレット型等の携帯型コンピュータ、スマートフォン等であり得る。情報処理装置1は、ヒヤリハットの予測モデルの構築に利用するヒヤリハット情報を収集する収集装置であるとともに、構築されたヒヤリハットの予測モデルを利用して情報処理装置1を携帯している作業員に対するヒヤリハットの発生を予測する予測装置である。情報処理装置1は、本実施形態のヒヤリハット予測システムにおける第1のコンピュータの例である。情報処理装置1は、制御部100、記憶部110、入力部120、表示部130、音声出力部140、情報収集部150、及び通信部160を含む。
【0012】
制御部100は、情報処理装置1の各種動作を制御する。制御部100による動作の制御は、例えば、OS(Operationg System)のプログラムや各種アプリケーションプログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行させることにより行われる。本実施形態に係る情報処理装置1の制御部100は、推論部101及び通知処理部102として機能する。推論部101は、後述する学習済モデル(ヒヤリハットの予測モデル)を利用して、ヒヤリハットの発生を予測する。通知処理部102は、推論部101によりヒヤリハットの発生が予測された場合に、情報処理装置1を携帯している作業員等に対してヒヤリハットの発生が予測されることや休憩を促す通知を行う。
【0013】
記憶部110は、制御部100としてのプロセッサが実行する各種プログラム、プログラムの実行中に参照するデータ、プログラムの実行中に取得したデータ等を記憶する。プログラムの実行中に取得したデータには、データログ111と、ヒヤリハット情報112とが含まれる。データログ111は、情報処理装置1を携帯する作業員が作業を行っている間に姿勢検出センサ2等を利用して検出(計測)した、作業員の身体の状態に関連する情報を含む。ヒヤリハット情報112は、作業員にヒヤリハットが発生した時刻を示す情報を含む。記憶部110は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部110は、例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を含んでもよい。記憶部110は、例えば、カード型のメモリ装置(メモリカード)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の情報処理装置1に対して着脱可能な可搬型記録媒体を含んでもよい。
【0014】
入力部120は、情報処理装置1の動作に関連する操作情報の入力を受け付ける。表示部130は、情報処理装置1の動作に関連する各種情報を可視化して表示する。入力部1120と表示部130とは、表示部130としての液晶ディスプレイの表示領域上に入力部120としての位置検出器(デジタイザ)を重ねて配置した、タッチパネルディスプレイであり得る。入力部120は、キーボードやマウス等を含んでもよい。表示部130は、文字や画像等を表示することが可能な液晶ディスプレイ等の表示装置に加え、例えば、LEDランプ等の発光状態(例えば、消灯、点灯、及び点滅)により情報を提示する表示器を含んでもよい。また、表示部130は、情報処理装置1に内蔵された表示装置や表示器に限らず、例えば、作業員が作業中に身に着けるLEDライト、HMD(Head Mounted Display)等の、情報処理装置1に接続された外部装置を含んでもよい。音声出力部140は、情報処理装置1の動作に関連する情報を音声で出力(放音)する。音声出力部140は、スピーカ等の情報処理装置1に内蔵された放音装置に限らず、例えば、作業員が装着するイヤフォン等の、情報処理装置1に接続された外部装置を含んでもよい。入力部120は、ヒヤリハットが発生したことを示す情報の入力に利用される。表示部130及び音声出力部140は、ヒヤリハットの発生が予測されることや休憩を促す通知に利用可能な出力部の例である。
【0015】
情報収集部150は、情報処理装置1と、ヒヤリハットの予測に利用可能な作業員の身体の状態に関する情報の収集に利用する外部装置とを接続する。図1に例示した情報処理装置1の情報収集部150は、姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5のそれぞれと接続される。情報収集部150と、姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5のそれぞれとは、例えば、既知の近距離無線通信規格に従った無線通信で接続されてもよいし、USBケーブル等の伝送ケーブルで(すなわち有線で)接続されてもよい。姿勢検出センサ2は、作業員の姿勢の検出に用いるセンサであり、例えば、複数の慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)201、202、203、…の組が用いられる。心拍計3は、作業員の心拍を計測するセンサである。足底圧センサ4は、作業員の足底圧の計測に用いるセンサであり、例えば、右足用の足底圧センサ401及び左足用の足底圧センサ402の組が用いられる。目元カメラ5は、視線やまばたき等の目に関する情報の取得(計測)に用いる作業員の目元(眼球及びその周囲)の画像を撮影するカメラである。
【0016】
通信部160は、情報処理装置1をインターネット又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク9に接続し、通信ネットワーク9を介したサーバ装置8等の通信端末との通信を行う。通信部160は、情報処理装置1で取得したデータログ111やヒヤリハット情報112をサーバ装置8に送信する。また、通信部160は、サーバ装置8からヒヤリハットの予測モデル(学習済モデル)を受信する。
【0017】
サーバ装置8は、情報処理装置1から取得したデータログ及びヒヤリハット情報に基づいて、ヒヤリハットの発生の予測に用いる学習済モデルを構築し、情報処理装置1に提供する。サーバ装置8は、本実施形態のヒヤリハット予測システムにおける第2のコンピュータの例である。サーバ装置8は、制御部800、記憶部810、及び通信部860を含む。
【0018】
制御部800は、サーバ装置8の各種動作を制御する。制御部800による動作の制御は、例えば、OSのプログラムや各種アプリケーションプログラムをCPU等のプロセッサに実行させることにより行われる。本実施形態に係るサーバ装置8の制御部800は、抽出部801及び学習部802として機能する。抽出部801は、ヒヤリハットの予測モデルの構築に用いる教師データをデータログから抽出する。具体的には、抽出部801は、データログのうちの、ヒヤリハット情報により特定されるヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間の部分データを教師データとして抽出する。学習部802は、抽出した教師データを利用した教師あり機械学習によりヒヤリハットの予測モデルを構築する。学習部802は、既知の教師あり機械学習のいずれかの学習方法に従って、ヒヤリハットの予測モデルを構築する。
【0019】
記憶部810は、制御部800としてのプロセッサが実行する各種プログラム、プログラムの実行中に参照するデータ、プログラムの実行中に生成したデータ等を記憶する。プログラムの実行中に生成したデータには、教師データ811と、学習済モデル(ヒヤリハットの予測モデル)812とが含まれる。記憶部810は、RAM及びROMを含む。記憶部110は、例えば、HDDやSSD等の補助記憶装置を含んでもよい。
【0020】
通信部860は、サーバ装置8を通信ネットワーク9に接続し、通信ネットワーク9を介した情報処理装置1等の通信端末との通信を行う。通信部860は、情報処理装置1からデータログやヒヤリハット情報を受信する。また、通信部860は、情報処理装置1にヒヤリハットの予測モデルを送信する。
【0021】
なお、本実施形態に係るヒヤリハット予測システムは、図1に例示した構成に限らず、複数の情報処理装置1を含むことができる。サーバ装置8は、複数の情報処理装置1のそれぞれから受信したデータログ及びヒヤリハット情報に基づいて、ヒヤリハットの予測モデルを構築することができる。
【0022】
本実施形態に係る情報処理装置1は、上述のように、ヒヤリハットの予測モデルの構築に利用するヒヤリハット情報を収集する収集装置であるとともに、構築されたヒヤリハットの予測モデルを利用して情報処理装置1を携帯している作業員に対するヒヤリハットの発生を予測する予測装置である。ヒヤリハット情報の収集及びヒヤリハットの予測には、作業員の身体の状態に関する情報を利用する。本実施形態では、作業員の身体の状態に関する情報を取得するためのセンサとして、姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5を利用する。
【0023】
図2は、ヒヤリハット予測システムで用いる各種センサの装着例を説明する図である。作業員10は、作業中、例えば、上着の胸ポケット(図示せず)等に情報処理装置1を入れて携帯する。作業中の作業員10は、情報処理装置1を利用して、例えば、作業を行う場所の状況、作業の内容等を確認すること、作業実績を記録すること、ヒヤリハットの発生を記録すること等ができる。また、情報処理装置1は、上述のように、作業員10の身体の状態に関する情報を取得する。
【0024】
姿勢検出センサ2は、作業員10の姿勢の検出に用いるセンサであり、例えば、上述した複数の慣性計測ユニット(IMU)201、202、203、…の組を用いることができる。図2には、5個の慣性計測ユニット201~205を作業員10に装着した例が示されている。第1の慣性計測ユニット201は、作業員10の頭部(例えば、ヘルメット11内等)に装着されている。第2の慣性計測ユニット202は、例えば、作業員10の胸部(例えば、上着の胸ポケット等)に装着されている。第3の慣性計測ユニット203は、作業員10の腰部(例えば、ズボンのウエスト部分の背面側中央部等)に装着されている。第4の慣性計測ユニット204及び第5の慣性計測ユニット205は、それぞれ、作業員10の右足首及び左足首に装着されている。5個の慣性計測ユニット201~205は情報処理装置1と接続されており、慣性計測ユニット201~205の出力情報は、情報処理装置1の記憶部110にデータログ111の一部として、計測時刻を識別可能な状態で記憶される。慣性計測ユニット201~205の出力情報に基づいて作業員10の姿勢を検出する方法は、既知であるため、本明細書では詳細な姿勢の検出方法の説明を省略する。慣性計測ユニット201~205の出力情報に基づいて検出される作業員10の姿勢は、例えば、作業員10の疲労度の判定に利用可能である。例えば、検出した作業員10の姿勢が前かがみになったり、脚の動き(脚のあがり方や歩幅等)が小さくなったりした場合、作業員10の疲労度が高くなっており、躓きや転倒等のヒヤリハットが発生しやすいと予測される。なお、作業員10が装着する慣性計測ユニットの数、及び装着する箇所は、図2に例示した組み合わせに限らず、適宜変更可能である。
【0025】
心拍計3は、作業員10の心拍数等を計測するセンサであり、例えば、作業員10の左手首に装着される。心拍計3は情報処理装置1と接続されており、心拍計3の出力情報は、情報処理装置1の記憶部110にデータログ111の一部として、計測時刻を識別可能な状態で記憶される。心拍計3の出力情報は、例えば、作業員10の緊張度の判定や、体調の変化(悪化)の早期の検出に利用可能である。例えば、作業員10の心拍数が増加した場合、疲労等により作業員10の緊張度が高くなって、又は体調が悪化してヒヤリハットが発生しやすいと予測される。
【0026】
足底圧センサ4は、作業員10の足底圧の検出に用いるセンサであり、例えば、右の靴12Rの底部に設けられた足底圧センサ401と、左の靴12Lの底部に設けられた足底圧センサ402との組を用いることができる。足底圧センサ401及び402の出力情報は、情報処理装置1の記憶部110にデータログ111の一部として、計測時刻を識別可能な状態で記憶される。足底圧センサ401及び402は情報処理装置1と接続されており、足底圧センサ401及び402の出力情報は、情報処理装置1の記憶部110にデータログ111の一部として、計測時刻を識別可能な状態で記憶される。足底圧センサ401及び402の出力情報は、例えば、作業員10の疲労度の判定に利用可能である。例えば、足底圧センサ401及び402で検出した圧力が低くなった場合、疲労により脚があがりにくくなっており、躓きや転倒等のヒヤリハットが発生しやすいと予測される。また、例えば、足底圧センサ401及び402で検出した圧力が不規則に変動する場合、めまい等で身体がふらついてヒヤリハットが発生する可能性があると予測される。
【0027】
目元カメラ5は、視線やまばたき等の作業員10の目に関する状態の検出に用いる、作業員10の目元1001の画像を撮影するカメラである。目元カメラ5は、例えば、ヘルメット11の鍔部に目元1001を撮影可能な向きで装着されている。なお、目元カメラ5の撮影範囲(画角)は、目元1001の更に外側になる作業員10の顔の部分を含んでもよく、その場合は、作業員10を特定することが困難になるように、目元カメラ5で撮影した画像に対するトリミング等の既知の画像処理を行って目元1001の部分を抽出することが望ましい。目元カメラ5で撮影した目元1001の画像は、情報処理装置1の記憶部110にデータログ111の一部として、計測時刻を識別可能な状態で記憶される。目元1001の画像は、例えば、作業員10の視線の急峻な変化、時間変化、まばたきの回数、瞼が開いているか等の解析に利用することができ、これらの解析結果は、例えば、作業員10のヒヤリハット発生の判定、集中力の度合いの判定、体調の変化(悪化)の早期の検出に利用可能である。例えば、作業員10が躓いた場合などに視線が急峻な変化を起こす。また、作業員10の視線の時間変化が平常時と比べて著しく異なる場合、集中力の低下により、躓き等のヒヤリハットが発生しやすいと予測される。また、例えば、まばたきの回数が平常時と比べて著しく異なる場合、眠気や体調の悪化に起因するヒヤリハットが発生しやすいと予測される。
【0028】
なお、作業員10の身体の状態に関する情報の取得に用いるセンサは上述した組み合わせに限らず、適宜変更可能である。例えば、上述したセンサの組み合わせとともに、作業員10の顔表面温度又は体温を測定(検出)する温度センサを含んでもよい。
【0029】
図3は、作業員が携帯する情報処理装置で行われる処理の一例を説明するフローチャートである。図3に例示したフローチャートにおいて、横方向に延びる二重線の組は、その二重線の組に挟まれた2つの処理を並列に行うことを意味する。
【0030】
作業員10は、例えば、1日の作業を開始するときに、上述した姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5等のセンサを少なくても一つもしくは複数装着し、装着したセンサと情報処理装置1とを接続する。その後、作業員10が情報処理装置1に対して所定の操作を行うと、情報処理装置1は、作業員10による所定の操作に応答して、例えば、ヒヤリハットの予測モデルを取得・更新する(ステップS1)。ステップS1において、情報処理装置1は、予測モデルを取得済みであるか否か(推論部101が有効であるか否か)を判定し、取得済みではない場合、サーバ装置8から予測モデルを取得する。また、予測モデルを取得済みである場合、情報処理装置1は、サーバ装置8と通信を行い、推論部101に適用されている予測モデルとサーバ装置8の学習済モデル812とが同一であるか否かを判定する。同一でない場合、サーバ装置8の学習済モデル812を取得して推論部101の予測モデルを更新する。
【0031】
ステップS1の後、情報処理装置1は、作業員10による所定の操作に応答して、データログの記録を開始する(ステップS2)。ステップS2において、情報処理装置1は、上述した姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5等のセンサからの出力情報を、記憶部110にデータログ111として記録する処理を開始する。データログの記録が開始された後、作業員10は、作業を開始する。
【0032】
ステップS2の後、情報処理装置1は、図3に例示したように、ヒヤリハット情報収集処理(ステップS3)と、ヒヤリハット予測処理(ステップS4)とを並列に行う。ステップS3は、ヒヤリハットが発生したときの発生時刻を含むヒヤリハット情報を収集する処理である。ステップS3の具体例は、図4を参照して後述する。ステップS4は、データログ111に記録された各センサの出力情報を推論部101(ヒヤリハットの予測モデル)に入力し、ヒヤリハットの発生を予測する処理である。ステップS4の具体例は、図7を参照して後述する。ステップS3及びS4の各処理は、例えば、作業員10が情報処理装置1に対して所定の終了操作を行うと終了する。所定の終了操作は、例えば、データログの記録を終了する操作と関連付けられる。例えば、作業員10が1日の作業を終えてデータログの記録を終了する操作を行うと、情報処理装置1は、例えば、図3には示していないデータログの記録を終了し、ステップS3及びS4の各処理を終了する。
【0033】
ステップS3及びS4の各処理が終了すると、情報処理装置1は、サーバ装置8にデータを送信する(ステップS5)。ステップS5において、情報処理装置1は、例えば、データログ111に記録された各センサの出力情報をサーバ装置8に送信する。また、ヒヤリハット情報112に有効な情報が含まれる場合、情報処理装置1は、各センサの出力情報とともにヒヤリハット情報をサーバ装置8に送信する。サーバ装置8へのデータの送信が完了すると、情報処理装置1は、図3に例示したヒヤリハットの発生の予測に関する処理を終了する。
【0034】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1は、作業員10が作業を行っている間、ヒヤリハットが発生したときの発生時刻を含むヒヤリハット情報を収集するヒヤリハット情報収集処理(ステップS3)と、各センサの出力情報を利用してヒヤリハットの発生を予測するヒヤリハット予測処理(ステップS4)とを行う。
【0035】
ステップS3のヒヤリハット情報収集処理として、情報処理装置1は、例えば、図4に例示したフローチャートに沿った処理を行う。
【0036】
図4は、作業員が携帯する情報処理装置で行われるヒヤリハット情報収集処理の一例を説明するフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、六角形のブロックは判定を行うブロックを表す。
【0037】
ヒヤリハット情報収集処理において、情報処理装置1は、ヒヤリハットの発生を示す入力操作が行われたか否かの判定(ステップS301)と、データログの記録を終了する操作が行われたか否かの判定(ステップS302)とを行う。データログの記録を終了する操作が行われると(ステップS302;YES)と、情報処理装置1は、ヒヤリハット情報収集処理を終了する。
【0038】
ヒヤリハットの発生を示す入力操作が行われていない場合(ステップS301;NO)、かつデータログの記録を終了する操作が行われていない場合(ステップS302;NO)、情報処理装置1は、ステップS301及びS302の判定を繰り返す。
【0039】
ヒヤリハットの発生を示す入力操作が行われた場合(ステップS301;YES)、情報処理装置1は、その入力操作が行われた時刻に基づいて、ヒヤリハットの発生時刻を含むヒヤリハット情報を記録する(ステップS303)。ステップS303の後も、データログの記録を終了する操作が行われていない場合(ステップS302;NO)には、情報処理装置1は、ステップS301及びS302の判定を繰り返す。
【0040】
ヒヤリハット情報収集処理を終了すると、情報処理装置1は、図3を参照して上述したように、サーバ装置8にデータを送信する。ステップS303でヒヤリハットの発生時刻を含むヒヤリハット情報を記録した場合、情報処理装置1は、記録したヒヤリハット情報を作業員10の身体の状態に関するデータログとともにサーバ装置8に送信する。
【0041】
情報処理装置1から作業員10の身体の状態に関するデータログ及びヒヤリハット情報を受信したサーバ装置8は、受信したデータログ及びヒヤリハット情報を利用した機械学習によりヒヤリハットの予測モデル(学習済モデル812)を構築する。サーバ装置8は、複数の情報処理装置1のそれぞれから送信された、複数の作業員10についてのデータログ及びヒヤリハット情報を含むデータを受信してヒヤリハットの予測モデルを構築する。
【0042】
図5は、ヒヤリハットの予測モデルを構築する処理の一例を説明するフローチャートである。サーバ装置8は、例えば、サーバ装置8のオペレータ(管理者)による操作が行われたとき、又はスケジュールされた時刻が到来したときに、図5に例示した予測モデルの構築に関する処理を開始する。
【0043】
サーバ装置8は、まず、情報処理装置1から受信したデータに新規のヒヤリハット情報があるか否かを判定する(ステップS11)。新規のヒヤリハット情報がない場合(ステップS11;NO)、サーバ装置8は、図5に例示した予測モデルの構築に関する処理を終了する。
【0044】
新規のヒヤリハット情報がある場合(ステップS11;YES)、サーバ装置8は、新規のヒヤリハット情報に含まれるヒヤリハットの発生時刻の情報に基づいて、そのヒヤリハット情報と関連付けられたデータログから予測モデルの構築に利用する教師データを抽出して保持する(ステップS12)。ステップS12において、サーバ装置8は、各センサの出力情報であるデータログのうちのヒヤリハットの発生時刻より前の所定期間内の部分データを教師データとして抽出して保持する。ステップS12において、サーバ装置8は、新規のヒヤリハット情報に含まれるヒヤリハットの発生時刻毎に教師データを抽出する。
【0045】
ステップS12の後、サーバ装置8は、機械学習を行うか否かを判定する(ステップS13)。例えば、ステップS12で抽出した新規の教師データの数が少数(閾値以下)で有意義な機械学習を行うことが難しい場合、サーバ装置8は、機械学習を行わないと判定し(ステップS13;NO)、図5に例示した予測モデルの構築に関する処理を終了する。この場合、ステップS12で抽出した教師データは、サーバ装置8の記憶部810の教師データ811に追加され、次回の機械学習に利用される。
【0046】
機械学習を行う場合(ステップS13)、サーバ装置8は、抽出した教師データを利用した機械学習によりヒヤリハットの予測モデルを構築する(ステップS14)。ステップS14において、サーバ装置8は、既知の教師あり機械学習の方法に従ってヒヤリハットの予測モデルを構築する。また、すでにヒヤリハットの予測モデルが構築されている場合、ステップS14において、サーバ装置8は、ステップS12で抽出した教師データを利用した再学習により予測モデルを再構築(更新)する。
【0047】
ステップS14の後、サーバ装置8は、構築した予測モデルを学習済モデル812として保持し(ステップS15)、図5に例示した予測モデルの構築に関する処理を終了する。
【0048】
このように、本実施形態に係るサーバ装置8は、作業員10の身体の状態に関するデータログのうちの、ヒヤリハットの発生時刻のデータではなく、ヒヤリハットの発生時刻より前のデータを教師データとする機械学習により、ヒヤリハットの予測モデルを構築する。
【0049】
図6は、教師データの抽出方法の一例を説明する図である。図6には、1つのセンサにより検出(測定)した作業員10の身体の状態に関するデータログ111Aにおけるヒヤリハットの発生と関連付けられる情報の一例を示している。
【0050】
図6に例示したデータログ111Aは、例えば、心拍計3により測定した作業員10の心拍数の時間変化を示すデータログであり、D(0999)~D(1026)は、各測定時刻における心拍数を示す。例えば、作業中の時刻T1において作業員10に躓きや転倒等のヒヤリハットが発生した場合、作業員10は、時刻T1よりも後の時刻T2において、情報処理装置1にヒヤリハットの発生を入力する。
【0051】
一方、ヒヤリハットが発生した場合、発生時刻よりも前に、作業員10の身体の状態にヒヤリハットの発生の予兆となる変化が生じていることが多い。このようなヒヤリハットの発生の予兆となる身体の状態の変化に基づいてヒヤリハットの発生を予測することができれば、ヒヤリハットの発生(及び労働災害の発生)を未然に防ぐことができる。このため、本実施形態のヒヤリハット予測システムでは、データログ111Aのうちのヒヤリハットの発生時刻よりも前の所定期間内の部分データを抽出して、予測モデルの教師データとする。情報処理装置1に記録されるヒヤリハットの発生時刻は、作業員10が情報処理装置1に入力した時刻T2であり、実際にヒヤリハットが発生した時刻T1よりも後である。また、ヒヤリハットの発生の予兆となる変化が顕著になる期間は、計測する身体の状態によって異なる。このため、教師データとしてデータログ111Aから抽出する期間T0~T1は、例えば、実際にヒヤリハットが発生してから作業員10が情報処理装置1に入力するまでに要する時間と、データログ111Aが表す身体の状態とに基づいて設定する。
【0052】
図5及び図6を参照して上述した方法により構築されたヒヤリハットの予測モデルは、情報処理装置1に提供され、情報処理装置1が行うヒヤリハット予測処理(ステップS4)で利用される。ステップS4のヒヤリハット予測処理として、情報処理装置1は、例えば、図7に例示したフローチャートに沿った処理を行う。
【0053】
図7は、作業員が携帯する情報処理装置で行われるヒヤリハット予測処理の一例を説明するフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、六角形のブロックは判定を行うブロックを表す。
【0054】
ヒヤリハット予測処理において、情報処理装置1は、情報収集部150を介して収集した作業員10の身体の状態を示すデータをヒヤリハットの予測モデル(推論部101)に入力する(ステップS401)。ステップS401において、情報処理装置1は、例えば、データログ111に記録された各センサの出力情報のログ毎に、サーバ装置8において教師データを抽出する際の所定期間と対応する期間内の部分データを抽出して予測モデルに入力する。予測モデル(推論部101)は、入力されたデータに基づくヒヤリハット発生の予測結果を出力する。予測モデルは、例えば、近い将来にヒヤリハットが発生する可能性が高いことを示唆する値(例えば「1」)と、現時点ではヒヤリハット発生の可能性が非常に低いことを示唆する値(例えば「0」)とのいずれかを予測結果として出力する。
【0055】
ステップS401の後、情報処理装置1は、予測モデルの出力がヒヤリハットの発生を示唆しているか否かを判定する(ステップS402)。ヒヤリハットの発生を示唆していない場合、言い換えると現時点ではヒヤリハット発生の可能性が非常に低いことを示唆している場合(ステップS402;NO)、情報処理装置1は、データログの記録を終了する操作が行われたか否かを判定する(ステップS403)。
【0056】
一方、予測モデルの出力がヒヤリハットの発生を示唆している場合(ステップS402;YES)、情報処理装置1は、近い将来にヒヤリハットが発生する可能性が高いことを作業員10等に通知し、休憩を促進する(ステップS404)。ステップS404において、情報処理装置1は、例えば、表示部130の表示画面や音声出力部140から出力(放音)する音声等によって、ヒヤリハット発生の可能性が高いことや休憩を促進することを作業員10に通知する。ステップS404における作業員10への通知は、作業員10が身に着けるLEDライト、HMD、イヤフォン等の、表示部130又は音声出力部140として機能し得る、情報処理装置1に接続された外部装置を利用して行われてもよい。また、ステップS404における作業員10への通知は、例えば、スマートフォン等に実装されているバイブレーション機能を利用した振動によって、又は他の通知方法と振動との組み合わせによって行われてもよい。更に、ステップS404において、情報処理装置1は、例えば、ヒヤリハット発生の可能性が高いことを、情報処理装置1を携帯している作業員10とは別の作業員や監督者等に通知してもよい。ステップS404の後、情報処理装置1は、データログの記録を終了する操作が行われたか否かを判定する(ステップS403)。
【0057】
情報処理装置1は、ヒヤリハット予測処理の実行中にデータログの記録を終了する操作が行われていない場合(ステップS403;NO)、ヒヤリハット予測処理を継続する。そして、データログの記録を終了する操作が行われると(ステップS403;YES)、情報処理装置1は、図4に例示したヒヤリハット予測処理を終了する。
【0058】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1は、ヒヤリハットが発生する前に測定(検出)された作業員10の身体の状態に関するデータを利用した機械学習により構築されたヒヤリハットの予測モデル(推論部101)により、近い将来にヒヤリハットが発生する可能性の有無を予測する。このため、ヒヤリハットの発生を未然に防ぐことができる。
【0059】
また、上述した姿勢検出センサ2、心拍計3、足底圧センサ4、及び目元カメラ5等で検出(測定)した作業員10の身体の状態を利用してヒヤリハットの発生を予測するため、例えば、作業員10自身が体調の変化等を自覚していない場合にもヒヤリハットの発生を予測することができる。このため、例えば、作業員10の体調の悪化等によるヒヤリハットより深刻な労働災害等の発生を未然に防ぐことができる。
【0060】
なお、図1図7を参照して上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎない。すなわち、本発明に係るヒヤリハット予測システム及びヒヤリハット予測方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、様々な変形、変更が可能である。
【0061】
例えば、本発明に係るヒヤリハット予測システムは、データログから教師データを抽出する抽出部801(図1参照)が、サーバ装置8ではなく情報処理装置1に設けられていてもよい。この場合、情報処理装置1からサーバ装置8に送信するデータは、教師データのみであってもよいし、教師データ、データログ、及びヒヤリハット情報を含むデータであってもよい。
【0062】
また、データログから抽出する教師データは、例えば、作業員10の作業中に取得した実測値に基づくデータであってもよいし、作業員10の平常時に計測した平常値と作業中に取得した実測値との差異を示すデータであってもよい。どちらのデータを教師データとするかは、取得するデータの種類毎に定めることができる。
【0063】
また、ヒヤリハット情報は、ヒヤリハットの発生時刻の他に、例えば、発生したヒヤリハットの種類やヒヤリハットが発生した場所等の情報を含んでもよい。
【0064】
また、ヒヤリハットの予測モデルとして、例えば、類似した作業環境で作業を行う複数の作業員10の身体の状態についてのデータから構築した、作業環境毎に最適化された複数種類の予測モデルを用意し、作業員がこれから作業を行う作業環境に応じた予測モデルを情報処理装置1に提供してもよい。作業環境は、例えば、作業を行う場所(例えば、屋外、屋内、高所等)、作業内容、作業を行う季節等であり得る。
【0065】
また、作業員10が作業中に携帯する情報処理装置1は、汎用のコンピュータに限らず、上述した処理を実行するための専用のハードウェアを組み合わせた装置又は専用のハードウェアを含む装置であってもよい。例えば、情報処理装置1は、図1を参照して上述した機能のいくつかが、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現されてもよい。更に、情報処理装置1は、作業員10の身体の状態を計測(検出)することが可能な1つ以上のセンサを内蔵するものであってもよい。
【0066】
また、本発明に係るヒヤリハット予測システムにおける情報処理装置1は、例えば、図4を参照して上述したようなヒヤリハット情報収集処理を行う第1の情報処理装置と、図7を参照して上述したようなヒヤリハット予測処理を行う第2の情報処理装置とにより構成されてもよい。また、本発明に係るヒヤリハット予測システムにおける情報処理装置1とサーバ装置8とは、図1を参照して上述した通信ネットワーク9を介さずに、既知の近距離無線通信規格に従った無線通信、又はUSBケーブル等の伝送ケーブルにより直接接続されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 情報処理装置
8 サーバ装置
9 通信ネットワーク
100、800 制御部
101 推論部
102 通知処理部
110 記憶部
111 データログ
112 ヒヤリハット情報
120 入力部
130 表示部
140 音声出力部
150 インタフェース部
160 通信部
2 姿勢検出センサ
201、202、203、204、205 慣性計測ユニット
3 心拍計
4、401、402 足底圧センサ
5 目元カメラ
10 作業員
1001 (作業員の)目元
11 ヘルメット
12R、12L 靴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7