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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110309
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】車両用熱交換器取付装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
B60K11/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011670
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】長屋 茂之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 貴史
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AC01
3D038AC07
3D038AC13
3D038AC20
(57)【要約】
【課題】車両用熱交換器取付装置の簡略化を図ること。
【解決手段】車両用熱交換器取付装置(30)は、車両に搭載可能な熱交換器(20)の下端部(24)から下方へ突出した突出部(60)と、この突出部(60)を上から嵌め合わせ可能な嵌合孔(72)を有している固定側取付部(70)とを備える。前記固定側取付部(70)のなかの、前記突出部(60)を前記嵌合孔(72)に嵌め合わせる面(73)は、平坦面である。前記突出部(60)は、前記熱交換器(20)の空気導入面(21)に対して平行な板面(61)を有する板材のみによって構成されている。前記突出部(60)の先端部(66)には、前記嵌合孔(72)の大きさ(H2)よりも板厚(Th)が薄くなる先細りテーパー状の、嵌め合わせ案内面(68,68)が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載可能な熱交換器(20)の下端部(24)から下方へ突出した突出部(60)と、この突出部(60)を上から嵌め合わせ可能な嵌合孔(72;172)を有している固定側取付部(70)と、を備えた車両用熱交換器取付装置(30;130)において、
前記固定側取付部(70)のなかの、前記突出部(60)を前記嵌合孔(72;172)に嵌め合わせる面(73)は、平坦面であり、
前記突出部(60)は、前記熱交換器(20)の空気導入面(21)に対して平行な板面(61)を有する板材のみによって構成されており、
前記突出部(60)の先端部(66)には、前記嵌合孔(72;172)の大きさ(H2)よりも板厚(Th)が薄くなる先細りテーパー状の、嵌め合わせ案内面(68,68)が形成されている、ことを特徴とする車両用熱交換器取付装置。
【請求項2】
前記突出部(60)の前記先端部(66)には、前記嵌合孔(72;172)の大きさ(H1)よりも板幅(T2)が幅狭となる先細りテーパー状の、補助案内面(69,69)が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器取付装置。
【請求項3】
前記突出部(60)は、樹脂の成形品である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用熱交換器取付装置。
【請求項4】
前記嵌合孔(172)の内周面(172a,172b)は、前記突出部(60)の前記板面(61)に接することが可能な複数の凸部(172c)を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の車両用熱交換器取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される熱交換器の取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、コンデンサ等の熱交換器が搭載されている。熱交換器の取付装置については、例えば特許文献1によって知られている。
【0003】
特許文献1で知られている車両用熱交換器取付装置は、コンデンサ(熱交換器に相当する)をラジエータに取り付ける構成である。ラジエータの下部には、車両前方へ延びた取付部が設けられている。この取付部の取り付け面は、上下貫通した取付孔を有する。コンデンサは、下端部に下部ブラケットを備える。この下部ブラケットの下端部には、下方へ突出した丸棒状の車両搭載ピンが一体的に設けられている。車両搭載ピンを上から取付孔へ嵌め込むことによって、コンデンサの下端部をラジエータに取り付けることができる。
【0004】
取付部の取り付け面には、取付孔の部位に、前方へ一段下がった段差が設けられている。コンデンサに備えている下部ブラケットの下端面を、段差に載せて、コンデンサを前傾させつつ車両搭載ピンを取付孔に挿入することができる。前傾させたコンデンサの下端部を、ラジエータの取付部に固定できるようにしたことで、ラジエータに対するコンデンサの上下方向の寸法の規制を、緩和できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-145255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で知られている車両用熱交換器取付装置は、下部ブラケットと車両搭載ピンという、2つの部材の組み合わせ構造である。つまり、コンデンサに備えた下部ブラケットの下端部に、車両搭載ピンを一体的に設けた構成なので、構成が複雑である。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、車両用熱交換器取付装置の簡略化を図ることができる技術を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明によれば、車両に搭載可能な熱交換器(20)の下端部(24)から下方へ突出した突出部(60)と、この突出部(60)を上から嵌め合わせ可能な嵌合孔(72;172)を有している固定側取付部(70)と、を備えた車両用熱交換器取付装置(30;130)において、前記固定側取付部(70)のなかの、前記突出部(60)を前記嵌合孔(72;172)に嵌め合わせる面(73)は、平坦面であり、前記突出部(60)は、前記熱交換器(20)の空気導入面(21)に対して平行な板面(61)を有する板材のみによって構成されており、前記突出部(60)の先端部(66)には、前記嵌合孔(72;172)の大きさ(H2)よりも板厚(Th)が薄くなる先細りテーパー状の、嵌め合わせ案内面(68,68)が形成されている、ことを特徴とする車両用熱交換器取付装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、車両用熱交換器取付装置の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1による車両用熱交換器取付装置を前方から見た斜視図である。
図2図2(a)は図1の2a-2a線に沿った断面図、図2(b)は図2(a)のb部を拡大した図、図2(c)は図2(a)の分解図である。
図3図3(a)は図2(c)の3a-3a線に沿った断面図、図3(b)は図3(a)に示される突出部を左側へ傾けて嵌合孔に嵌め込む途中を示す作用図、図3(c)は図3(b)に示される突出部を嵌合孔に完全に嵌め込んだ状態を示す作用図である。
図4図4(a)は図2(c)に示される突出部を前側へ傾けて嵌合孔に嵌め込む途中を示す作用図、図4(b)は図4(a)に示される突出部を嵌合孔に完全に嵌め込んだ状態を示す作用図である。
図5図5(a)は実施例2による車両用熱交換器取付装置の分解図、図5(b)は図5(a)に示される嵌合孔を上から見た図、図5(c)は図5(a)に示される突出部を嵌合孔に完全に嵌め込んだ状態を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。説明中、熱交換器の空気導入面を基準に左右とし、空気導入面側を前とし、空気導出面側を後としてする。また、図中Leは左、Riは右、Frは前、Rrは後、Upは上、Dnは下を示している。
【0013】
<実施例1>
図1図4を参照しつつ、実施例1の車両用熱交換器取付装置30について説明する。本実施例1の車両用熱交換器取付装置30では、ラジエータ10にコンデンサ20を取り付ける構成を例示するが、これに限定されるものではない。ラジエータ10は、コンデンサ20を取り付ける固定部材に相当する。コンデンサ20は、固定部材に取り付けられる熱交換器に相当する。以下、ラジエータ10のことを、適宜「固定部材10」と言い換え、コンデンサ20のことを、適宜「熱交換器20」と言い換えることがある。
【0014】
ラジエータ10及びコンデンサ20は、図示せぬ車両に搭載可能である。ラジエータ10は、エンジン冷却水を外気によって冷却するように、例えば車両の前部に配置される。コンデンサ20は、エアコン用の高圧冷媒を外気によって冷却するように、ラジエータ10の空気導入面11に近接して配置される。コンデンサ20のなかの、外気を導入する空気導入面21は車両の前方を向き、空気導出面22はラジエータ10の空気導入面11側を向いている。
【0015】
車両用熱交換器取付装置30は、左右の上部取付装置40,40と左右の下部取付装置50,50とを備える。左右の上部取付装置40,40は、ラジエータ10にコンデンサ20の上端部23を取り外し可能に組み付けるための、左右の上部ブラケット41,41を備える。左右の下部取付装置50,50は、ラジエータ10にコンデンサ20の下端部24を取り外し可能に組み付けるものである。これらの下部取付装置50,50は、互いに同じ構成である。
【0016】
以下、一方の下部取付装置50について説明する。この下部取付装置50は、コンデンサ20に有している突出部60と、ラジエータ10に有している固定側取付部70とを備えている。
【0017】
突出部60は、コンデンサ20の下端部24から下方へ突出している。この突出部60は、コンデンサ20の空気導入面21に対して平行な(略平行を含む)板面61を有する板材のみによって構成されている。なお、板材のみによって構成される突出部60には、板材にリブを設けた構成を含む。
【0018】
さらに、突出部60は樹脂の成形品である。このため、射出成型等の成型によって、樹脂製の突出部60を容易に生産することができる。
【0019】
詳しく述べると、図2及び図3に示されるように、突出部60は、コンデンサ20の下端部24に対して下方から組付け可能な断面U字状の組付け部62と、この組付け部62の底から前方へ延びた延出部63と、この延出部63の前端から下方へ突出した下部突出部64と、からなる一体成形品である。なお、突出部60は、コンデンサ20の下端部24に対して、下部突出部64を直接に設けた構成であってもよい。
【0020】
下部突出部64は、延出部63の前端側の基部65と、この基部65から下方へ突出した嵌め込み部66とからなる。この嵌め込み部66は、突出部60の先端部に相当する。基部65の板幅T1は、嵌め込み部66の板幅T2よりも大きい。このため、基部65と嵌め込み部66との間には、左右の段差面67,67を有する。嵌め込み部66(突出部60の先端部66)の板厚はThである。
【0021】
固定側取付部70は、ラジエータ10の下端部からコンデンサ20の下方を通って車両の前方へ延びている。この固定側取付部70のなかの、少なくとも下部突出部64に向かい合っている部分71(対向部71)は、水平(略水平を含む)な平板状の構成であって、突出部60の嵌め込み部66を上から嵌め合わせ可能な、嵌合孔72を有している。この嵌合孔72は、嵌め込み部66の断面形状に合わせた、平面視で横長の矩形状の貫通孔である。嵌合孔72の左右方向の大きさH1は、嵌め込み部66の板幅T2よりも僅かに大きい。嵌合孔72の前後方向の大きさH2は、嵌め込み部66の板厚Thよりも僅かに大きい。対向部71のなかの、突出部60を嵌合孔72に嵌め合わせる面73(合わせ面73)は、平坦面である。
【0022】
嵌め込み部66(突出部60の先端部66)には、嵌合孔72の前後方向の大きさH2よりも、「板厚Th」が薄くなる先細りテーパー状の、嵌め合わせ案内面68,68が形成されている。さらに嵌め込み部66には、嵌合孔72の左右方向の大きさH1よりも、「板幅T2」が幅狭となる先細りテーパー状の、補助案内面69,69が形成されている。
【0023】
次に、上記構成の車両用熱交換器取付装置30の作用を、図1も参照しつつ説明する。
ラジエータ10にコンデンサ20の下端部24を組付けるには、先ず図4(a)に示されるように、嵌合孔72に対して嵌め込み部66の先端の位置を上から合わせる。このときには、嵌合孔72に対して、嵌め込み部66が前後方向へ多少傾いていることがある。
【0024】
これに対し、先細りテーパー状の嵌め合わせ案内面68,68が、嵌合孔72の上縁72aに沿って入り込む。このため、図4(b)に示されるように、傾いている嵌め込み部66を嵌合孔72に容易に且つ円滑に嵌め合わせることができる。この結果、前傾しているコンデンサ20を、ラジエータ10に速やかに且つ容易に組付けることができる。図3(c)に示されるように、下部突出部64の段差面67,67が、固定側取付部70の合わせ面73に当たることによって、この固定側取付部70に対する突出部60の高さが決まる。この結果、ラジエータ10に対するコンデンサ20の組付け高さが決まる。
【0025】
さらには、図3(a)に示されるように、嵌合孔72に対して嵌め込み部66の先端の位置を上から合わせるときに、この嵌め込み部66が、図3(b)に示されるように左右方向へ多少傾いていることがある。
【0026】
これに対し、先細りテーパー状の補助案内面69,69が、嵌合孔72の上縁72aに沿って入り込む。このため、図3(c)に示されるように、傾いている嵌め込み部66を嵌合孔72に容易に且つ円滑に嵌め合わせることができる。また、嵌め込み部66が左右方向へ傾いておらず、嵌め込み部66と嵌合孔72が左右方向にずれている位置からであっても、嵌め込み部66と嵌合孔72を円滑に嵌め合わせることができる。この結果、左右方向へ傾いていたり位置ずれをしているコンデンサ20を、ラジエータ10に速やかに且つ容易に組付けることができる。
【0027】
実施例1の車両用熱交換器取付装置30の説明をまとめると、次の通りである。
【0028】
図1図4に示されるように、車両用熱交換器取付装置30は、車両に搭載可能な熱交換器20の下端部24から下方へ突出した突出部60と、この突出部60を上から嵌め合わせ可能な嵌合孔72を有している固定側取付部70と、を備えている。
【0029】
固定側取付部70のなかの、突出部60を嵌合孔72に嵌め合わせる面73(合わせ面73)は、平坦面である。突出部60は、熱交換器20の空気導入面21に対して平行な板面61を有する板材のみによって構成されている。
【0030】
このように、突出部60は、熱交換器20の下端部24から下方へ突出した、板材のみによって構成される。このため、従来の、板材と丸棒状のピンとの組み合わせ構造からなる突出部に比べて、突出部60を簡素な構成とすることができ、板材によって容易に成形することができる。さらには、板材のみの1部品によって突出部60を構成するので、突出部60の構成を簡略化できる。車両用熱交換器取付装置30のコストダウンを図ることができる。
【0031】
しかも、突出部60は、嵌合孔72に嵌め合わせる部分が板状であるから、丸棒状のピンに比べて断面積を大きく設定して強度を高めることができる。このため、固定側取付部70に熱交換器20の下端部24を強固に取り付けることができる。
【0032】
さらには、突出部60の先端部66(嵌め込み部66)には、嵌合孔72の大きさH2(前後方向の大きさH2)よりも板厚Thが薄くなる先細りテーパー状の、嵌め合わせ案内面68,68が形成されている。
【0033】
このため、嵌合孔72に突出部60を嵌め合わせるときに、突出部60を嵌合孔72に嵌め合わせる面73(嵌め合わせ面73)に対して、熱交換器20の空気導入面21が前後に傾いていても、先細りテーパー状の嵌め合わせ案内面68,68によって、突出部60を嵌合孔72に円滑に且つ容易に嵌め合わせることができる。従って、嵌め合わせ面73を簡素な平坦面とすることができる。
【0034】
さらには、突出部60の先端部66(嵌め込み部66)には、嵌合孔72の大きさH1(左右方向の大きさH1)よりも板幅T2が幅狭となる先細りテーパー状の、補助案内面69,69が形成されている。
【0035】
このため、嵌合孔72に突出部60を嵌め合わせるときに、嵌め合わせ面73に対して、熱交換器20の空気導入面21が前後のみならず、左右に傾いていても、先細りテーパー状の補助案内面69,69によって、突出部60を嵌合孔72に円滑に且つ容易に嵌め合わせることができる。また、嵌め合わせ面73に対して熱交換器20の空気導入面21が傾いておらず、突出部60と嵌合孔72が左右方向にずれている位置からであっても、先細りテーパー状の補助案内面69,69によって、突出部60を嵌合孔72に円滑に且つ容易に嵌め合わせることができる。
【0036】
<実施例2>
図5(a)~(c)を参照しつつ、実施例2の車両用熱交換器取付装置130を説明する。図5(a)及び図5(b)は上記図2(c)に対応する。図5(c)は上記図2(b)に相当する。
【0037】
実施例2の車両用熱交換器取付装置130は、図2図4に示される実施例1の車両用熱交換器取付装置30の嵌合孔72を、図5(a)~(c)に示される嵌合孔172に変更したことを特徴とする。その他の基本的な構成については、上記実施例1による車両用熱交換器取付装置30と共通する。実施例1による車両用熱交換器取付装置30と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0038】
図5(a)~(c)に示されるように、嵌合孔172の内周面172a,172bは、突出部60の板面61,61に接することが可能な複数の凸部172cを有している。より具体的には、複数の凸部172cは、嵌合孔172の内周面172a,172bのなかの、前の面172aと後の面172bとに、それぞれ一定ピッチで配列されている。前の面172aに配列されている複数の凸部172cと、後の面172bに配列されている複数の凸部172cとは、互いに向かい合っている。
【0039】
上述のように、図2(c)に示される実施例1では、嵌合孔72の内周面は、板材からなる突出部60に合わせた矩形状を呈している。このため、嵌合孔72の内周面と突出部60の板面61,61との接触面積が大きい。
【0040】
これに対し実施例2では、図5(a)~(c)に示されるように、嵌合孔172の内周面172a,172bに複数の凸部172cを有することによって、嵌合孔172の内周面172a,172bと突出部60との接触面積を、小さくすることができる。このため、嵌合孔172に突出部60を嵌め込むときに、接触抵抗を低減することができる。嵌合孔172に対して、突出部60を一層容易に嵌め込むことができる。
【0041】
しかも、樹脂製の突出部60を嵌合孔172の凸部172c,172c間に嵌め込むのであるから、例え固定側取付部70が金属製であっても、嵌合孔172の凸部172c,172c間に対して突出部60の板面61が圧接することによる、両者のかじりつき現象を防止することができる。加えて、嵌合孔172の凸部172cは、その大きさの調整(設定)が容易であるから、凸部172c,172cと、突出部60の板面61,61との間の、嵌め込み隙間を小さくすることができる。
【0042】
例えば、互いに向かい合っている凸部172c,172c間の間隔H3を、上記図2(c)に示される実施例1の嵌合孔72の前後方向の大きさH2よりも小さく、且つ、嵌め込み部66(突出部60)の板厚Thよりも大きく設定することができる。嵌め込み隙間が小さいので、嵌合孔172に対して突出部60を嵌め込んだ状態で、固定側取付部70に対し、熱交換器20をガタツキが無く安定した設置状態に保持することができる。
【0043】
その他の作用、効果については、上記実施例1と同じである。
【0044】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、各実施例に限定されるものではない。
【0045】
車両用熱交換器取付装置30,130は、ラジエータ10にコンデンサ20を取り付ける構成に限定されるものではない。例えば、コンデンサ20(熱交換器20)を車体に取り付ける構成にも適用できる。
【0046】
突出部60は、熱交換器20の空気導入面21に対して平行な板面61を有する板材のみによって構成されるとともに、熱交換器20の下端部24から下方へ突出した構成であればよく、組付け部62及び延出部63の有無は任意である。例えば、突出部60は、熱交換器20の下端部24から下方へ真っ直ぐに突出した構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の車両用熱交換器取付装置30,130は、乗用自動車等の車両に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0048】
10 ラジエータ(固定部材)
20 コンデンサ(熱交換器)
21 空気導入面
24 下端部
30 車両用熱交換器取付装置
50 下部取付装置
60 突出部
61 板面
66 突出部の先端部(嵌め込み部)
68 嵌め合わせ案内面
69 補助案内面
70 固定側取付部
71 下部突出部に向かい合っている部分(対向部)
72 嵌合孔
72a 嵌合孔の上縁
73 突出部を嵌合孔に嵌め合わせる面(合わせ面)
130 車両用熱交換器取付装置
172 嵌合孔
172a 嵌合孔の内周面(前の面)
172b 嵌合孔の内周面(後の面)
172c 凸部
H1 嵌合孔の左右方向の大きさ
H2 嵌合孔の前後方向の大きさ
H3 凸部間の間隔
T1 基部の板幅
T2 嵌め込み部(突出部)の板幅
Th 嵌め込み部(突出部)の板厚
図1
図2
図3
図4
図5