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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110326
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ターンバー
(51)【国際特許分類】
   B65H 27/00 20060101AFI20230802BHJP
   B65H 20/10 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B65H27/00 B
B65H20/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011698
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000209599
【氏名又は名称】株式会社タンケンシールセーコウ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】藤平 清隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢姿郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 優児
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 恭平
【テーマコード(参考)】
3F103
3F104
【Fターム(参考)】
3F103AA03
3F103BC01
3F103BC08
3F103BC10
3F103EA17
3F104AA03
3F104JA01
3F104JA03
3F104JA04
3F104JA08
3F104JA10
3F104JC07
3F104JC09
(57)【要約】
【課題】簡単かつコンパクトな構成で、ターンバーとジャーナルとの連結部の強度が高められたターンバーを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、中空円筒状のロール本体2と、先端部分がロール本体の軸線方向端部に挿入されロール本体に連結されたジャーナル12と、通気性の多孔質材料で形成され、内側にジャーナルが挿入されているロール本体の軸線方向端部を含むロール本体の外周に嵌装された複数のリング部材であって、内周面に周方向に延びる周方向溝6を有している複数のリング部4a-4h材と、ターンバー内を径方向に延びロール本体の内側空間をリング部材の周方向溝に連通させる複数の給気通路と、を備え、ロール本体とジャーナルとの連結部が、軸線方向内方に向かって順次、径が小さくなる複数の環状連結部14a、14b、14c、14dを備え、給気通路の一部24a、24b、24cが隣接する環状連結部間を貫通しているターンバーが提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されているウエブ状のワークをガイドするターンバーであって、
中空円筒状のロール本体と、
先端部分が前記ロール本体の軸線方向端部に挿入され前記ロール本体に連結されたジャーナルと、
通気性の多孔質材料で形成され、内側に前記ジャーナルが挿入されているロール本体の軸線方向端部を含む前記ロール本体の外周に嵌装された複数のリング部材であって、内周面に周方向に延びる周方向溝を有している複数のリング部材と、
前記ターンバー内を径方向に延び前記ロール本体の内側空間を前記リング部材の周方向溝に連通させる複数の給気通路と、を備え、
前記ロール本体とジャーナルとの連結部が、軸線方向内方に向かって順次、径が小さくなる複数の環状連結部を備え、
前記給気通路の一部が隣接する前記環状連結部間を貫通している、
ことを特徴とするターンバー。
【請求項2】
前記環状連結部の各々が、前記ロール本体の端部内周面に形成された本体側環状連結部と、前記ジャーナルの先端部分の端部外周面に形成され前記本体側環状連結部に嵌合可能に構成されたジャーナル側環状連結部と、によって構成されている、
請求項1に記載のターンバー。
【請求項3】
隣接する前記ジャーナル側環状連結部間に周方向凹部が形成され、前記給気通路の一部が前記周方向凹部の底部を貫通している、
請求項1に記載のターンバー。
【請求項4】
前記ロール本体が、CFRP、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記リング部材が、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記ジャーナルが、金属材料で形成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のターンバー。
【請求項5】
前記ロール本体が、CFRP、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記リング部材が、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記ジャーナルがCFRP、セラミックス、またはカーボンファイバで形成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のターンバー。
【請求項6】
前記ジャーナルは軸線方向に貫通して延びる貫通孔を有し、
内側に前記ジャーナルが挿入されているロール本体の軸線方向端部の外周に嵌装されたリング部材の周方向溝に連通する給気通路は、前記貫通孔から前記リング部材の周方向溝に延びている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のターンバー。
【請求項7】
前記リング部材は、前記ジャーナルの貫通孔に供給された加圧空気を外表面から噴出させるように構成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のターンバー。
【請求項8】
前記本体側環状連結部と前記ジャーナル側環状連結部とが、テーパ状に形成されている、
請求項2に記載のターンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンバーに関し、詳細には、搬送される長尺状フィルム等の長尺状の薄膜材料(ウエブ)の搬送方向を変更することができるターンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
上流側のロールから連続的に送出されたウエブを、所定経路に沿って搬送しながら処理する処理工程が知られている。このような処理工程では、ウエブは、巻送りロール、ガイドロール、巻取りロール等の多くのロールによって規定される経路に沿って搬送されながら、印刷、ラミネート、乾燥、裁断等の処理等を受ける。搬送経路が折れ曲る箇所では、ウエブを外周面の一部に沿って周方向に所定長だけ接触させ、搬送方向を変更する、所謂ターンバーと呼ばれるロールが使用される。
【0003】
このようなターンバーとして、ロール本体の外側に多孔性材料で形成された外側スリーブを配置し、ロール本体の内部に供給された加圧空気を外側スリーブの外周面から噴出させて、外側スリーブの外周面上でウエブを浮上させ支持する構成を有しているものが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、ロール本体の内部を外部吸引源によって減圧することにより、表層部の外周面から外気を吸引し、表層部の外周面にウエブを吸着させる構成を有しているものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開2016/0068360号公報
【特許文献2】特許第5199012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ターンバーは、搬送行程において使用される一般的なロールと同様に、端部に連結されたジャーナル(軸頸)を介して、搬送機構等の外部設備に取付けられる構成を取ることがある。
【0007】
そして、ターンバーが配置される搬送機構等の設置条件によっては、ターンバー本体あるいはジャーナルの軸方向長さが数十センチを超える場合がある。このように軸線方向長さが長いターンバー本体あるいはジャーナルでは、ターンバー本体とジャーナルとの連結部に作用するモーメントが大きくなるため、ジャーナルとターンバーとの連結を強固にする必要が生じている。
【0008】
本発明はこのような要請に鑑みてなされたものであり、簡単かつコンパクトな構成で、ターンバーとジャーナルとの連結部の強度が高められたターンバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明によれば、
搬送されているウエブ状のワークをガイドするターンバーであって、
中空円筒状のロール本体と、
先端部分が前記ロール本体の軸線方向端部に挿入され前記ロール本体に連結されたジャーナルと、
通気性の多孔質材料で形成され、内側に前記ジャーナルが挿入されているロール本体の軸線方向端部を含む前記ロール本体の外周に嵌装された複数のリング部材であって、内周面に周方向に延びる周方向溝を有している複数のリング部材と、
前記ターンバー内を径方向に延び前記ロール本体の内側空間を前記リング部材の周方向溝に連通させる複数の給気通路と、を備え、
前記ロール本体とジャーナルとの連結部が、軸線方向内方に向かって順次、径が小さくなる複数の環状連結部を備え、
前記給気通路の一部が隣接する前記環状連結部間を貫通している、
ことを特徴とするターンバーが、提供される。
【0010】
このような構成は、ロール本体とジャーナルとの連結部が、ウエブを支持する部分であるリング部材の径方向内方に位置する構成であるので、連結部がウエブを支持する部分の内方空間を利用して設けられることになる。したがって、大きなモーメントに対抗できる長い軸方向長さを有する連結部を、ターンバーの軸方向長さを延長することなく設けることができる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記環状連結部の各々が、前記ロール本体の端部内周面に形成された本体側環状連結部と、前記ジャーナルの先端部分の端部外周面に形成され前記本体側環状連結部に嵌合可能に構成されたジャーナル側環状連結部と、によって構成されている。
【0012】
このような構成によれば、ロール本体とジャーナルとの連結部において、ロール本体にジャーナルが嵌合可能な形状を有しているので、ロール本体とジャーナルとの連結部がより強固になる。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、
隣接する前記環状連結部間に周方向凹部が形成され、前記給気通路の一部が前記周方向凹部の底部を貫通している。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ロール本体が、CFRP、セラミックス、またはカーボンファイバで形成され、
前記リング部材が、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記ジャーナルが、金属材料で形成されている。
【0015】
このような構成によれば、
ロール本体の熱膨張率が、リング部材の熱膨張率と大きく異なることがないので、ターンバーを高温環境下で使用しても、ロール本体とリング部材の膨張率の差によって、ターンバーが破損することが抑制される。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ロール本体が、CFRP、セラミックス、またはカーボンファイバで形成され、
前記リング部材が、セラミックス、またはカーボンで形成され、
前記ジャーナルがCFRP、セラミックス、またはカーボンファイバで形成されている。
【0017】
このような構成によれば、ジャーナルとロール本体との連結部が、熱膨張率差によって破損することが抑制される。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ジャーナルは軸線方向に貫通して延びる貫通孔を有し、
内側に前記ジャーナルが挿入されているロール本体の軸線方向端部の外周に嵌装されたリング部材の周方向溝に連通する給気通路は、前記貫通孔から前記リング部材の周方向溝に延びている。
【0019】
このような構成によれば、軸線方向端部に配置されるリング部材を、軸方向段部の径方向外方位置に配置できるので、ロール本体の軸線方向長さの全体を使用してワークをガイドでき、ターンバーが組み込まれる搬送機構の寸法をコンパクトにすることができる。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記本体側軸方向段部とジャーナル側軸方向段部とは、前記ターンバーの軸線と平行に延びる底面と、該底面の軸線方向端部から径方向外方または内方に延びる壁面とを有し、
前記給気通路が、前記底面を貫通して延びている。
【0021】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ロール本体とリング部材とは、接着剤により固定されている。
【0022】
複数の環状連結部のそれぞれを構成する本体側環状連結部とジャーナル側環状連結部とが軸線方向内方に向かって順次、縮径していく構成であるので、ジャーナルをロール本体に接着剤を使用して連結固定する際、本体側環状連結部とジャーナル側環状連結部の接合面に必要量の接着剤を均一に行き渡らせることが容易となる。
【0023】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記リング部材は、前記ロール本体の内部空間を介して該リング部材に供給された加圧空気を外表面から噴出させるように構成されている。
【0024】
このような構成によれば、
ウエブ状のワークをターンバーの外表面から浮上させて搬送することができる。
【0025】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記リング部材は、前記ロール本体の内部空間を介して該リング部材に提供された吸引により外表面から外気を吸引するように構成されている。
【0026】
このような構成によれば、
ウエブ状のワークをターンバーの外表面に吸着して搬送することができる。
【0027】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記本体側環状連結部と前記ジャーナル側環状連結部とが、テーパ状に形成されている。
【0028】
このような構成によれば、ロール本体とジャーナルとの接合強度を上げることができ、テーパ面同士が接合される構成となるので、接着剤で接合する場合には接着剤の厚みを薄くすることができてさらに、ロール本体とジャーナルとの組み付ける際のジャーナル差し込み作業が容易になり、さらに、同芯が得やすくなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、簡単な構成で、ターンバーとジャーナルとの連結部の強度が高められたターンバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態の好ましい実施態様のターンバーの分解斜視図である。
図2図1のターンバーの縦断面である。
図3図1のターンバーのジャーナルの軸線方向に沿った縦断面である。
図4】本実施形態の他の好ましい実施態様のターンバーの分解斜視図である。
図5図4のターンバーの縦断面である。
図6図4のターンバーのジャーナルの軸線方向に沿った縦断面図である。
図7】変形例のターンバーの図2と同様の縦断面である。
図8図7のターンバーのジャーナルの図3と同様の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に沿って詳細に説明する。図1は、本実施形態の好ましい実施態様のターンバーの分解斜視図であり、図2は、図1のターンバーの長手方向軸線に沿った縦断面である。
【0032】
ターンバー1は、外表面から加圧空気を噴出させることにより、所定の搬送経路に沿って搬送される長尺状フィルム等のウエブを、外表面から浮上させ非接触でガイドする略円筒状の部材である。
【0033】
図1に示されているように、ターンバー1は、中空円筒状のロール本体2と、軸方向長さが短い円筒形状のリングで複数(本実施態様では8個)のリング部材4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h(4a-h)とを備えている。8個のリング部材4a-hは、ロール本体2に連続的に嵌装され外側ロールを構成している。
【0034】
本実施態様のターンバー1では、各リング部材4a-hは、通気性を有する多孔質カーボンで形成され、同一の寸法形状を有している。ロール本体2の外径は、各リング部材4a-hの内径とほぼ等しく、この結果、複数のリング部材4a-hはロール本体2の外周面に隙間の無い状態で取り付けられ(嵌装され)、接着剤等で、相互におよびロール本体2に対して固定されている。
【0035】
リング部材4の材料は多孔質カーボンに限定されるものではない、他の通気性の多孔質材料、例えば、多孔質セラミックスでもよい。
【0036】
本実施形態のターンバー1では、ロール本体2は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)で形成されている。ロール本体2の材料は、CFRPに限定されるものではなく、リング部材4に使用される材料と熱膨張率が近い他の材料、例えば、カーボン、セラミックス等を使用してもよい。
ロール本体2を熱膨張率がリング部材4の材料の熱膨張率と同じ或いは近い材料で形成することにより、ターンバー1を高温環境下で使用する際の部品間の熱膨張差に起因する破損を回避することができる。
【0037】
上記において熱膨張率が近いとは、熱膨張率の数値が同一桁、即ち、熱膨張率の差が最大10倍以内程度の範囲を指す。代表的な材料の熱膨張率は、カーボンが5~7×10-6/k、炭化ケイ素、アルミナが3~4×10-6/k、CFRPが1~3×10-6/k、ステンレス鋼であるSUS430が10×10-6/kであるので、カーボン、炭化ケイ素、アルミナ、CFRPは、熱膨張率が近い材料となる。
【0038】
また、各リング部材4a-hの内周面の軸線方向ほぼ中央位置には、内周面を周方向全周に亘って延びる周方向溝6が形成されている(図2)。
【0039】
本実施形態のターンバー1のロール本体2には、嵌装された8本のリング部材4a-hの周方向溝6のそれぞれに対応する位置に、8個の給気孔(給気通路)8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h(8a-h)が形成されている。各通気孔8a-hは、ロール本体2の外周壁を貫通して延び、径方向外方端がロール本体2に嵌装されたそれぞれのリング部4a-hの周方向溝6に開口している。
本実施態様のターンバー1は、ロール本体2の外周面に連続的に嵌装された8本のリング部材4a-hの軸線方向両端に取付けられた端リング10を備えている、
【0040】
本実施形態のターンバー1は、ロール本体2の軸線方向両端にそれぞれ取付けられた2つのジャーナル12を備えている(図3)。ジャーナル12は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料で形成された略円柱形状の部材であり、軸線方向内方端部が、中空円筒状のロール本体2の開口端から、それぞれ、ロール本体2の内部空間に挿入され、接着剤によってロール本体2に連結固定されている。
なお、ジャーナルを金属以外の材料、例えば、CFRP、セラミックス、またはカーボンで形成してもよい。
【0041】
本実施態様のターンバー1では、ジャーナル12が内側に挿入されているロール本体2の部分の外周にも、リング部材4が嵌装されている。
【0042】
次に、ロール本体2とジャーナル12との連結部について説明する。本実施態様のターンバーでは、ロール本体2の軸線方向両端にジャーナル12が連結されているが、ロール本体2とジャーナル12との連結部の構造は、両端において同一である。したがって、以下、ロール本体2の一方の連結部の構造についてのみ説明する。
【0043】
本実施態様のターンバー1は、ロール本体2の軸線方向端部と、このロール本体2に挿入され連結固定されているジャーナル12の先端部分との連結部に、軸線方向内方に向かって順次、階段状に径が小さく4段の環状連結部14a、14b、14c、14dを有している。
【0044】
また、環状連結部14a、14b、14c、14dは、それぞれが、ロール本体2の端部内周面に形成された本体側環状連結部16a、16b、16c、16dと、ジャーナル12の先端部分の端部外周面に形成され本体側環状連結部16a、16b、16c、16dに嵌合可能に構成されたジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dとを有している。
本実施態様では、本体側環状連結部16a、16b、16c、16dとジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dとは、軸線方向において、ロール本体2及びジャーナル12の軸線に対して平行に配置されている。
【0045】
ここで嵌合可能とは、各ジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dが対応する本体側環状連結部16a、16b、16c、16dに対し隙間無く接合できることを意味する。
【0046】
本実施態様のターンバー1では、ジャーナル12の隣接するジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18d間に、径方向内方に向かって矩形状に浅く凹んだ3本の周方向凹部20a、20b、20cが形成されている。3本の周方向凹部20a、20b、20cは、それぞれ、ジャーナル12の外周の全周に亘って延び、ジャーナル12の先端方向に向かって順次、小径となっている。
【0047】
本実施態様のターンバー1では、各周方向凹部20a、20b、20cは、それぞれ、ロール本体2に設けられた各通気孔8a、8b、8cの径方向内方位置に配置されている(図2)。
【0048】
本実施形態のターンバー1では、ジャーナル12は、中心軸に沿って延びる貫通孔22を備えている。この軸方向貫通孔22は、例えば、加圧気体供給源(図示せず)に連結され、加圧気体をターンバー1内(ロール本体2の内側空間)に導入する機能を有している。
【0049】
さらに、ジャーナル12は、軸方向貫通孔22から周方向凹部20a、20b、20cのそれぞれに向かって径方向に延びる径方向貫通孔(給気通路)24a、24b、24cを有している。
【0050】
各径方向貫通孔24a、24b、24cは、それぞれが、ロール本体2の通気孔8a、8b、8cと径方向に整列している。この結果、ロール本体2に嵌装された各リング部4a、4b、4cの周方向溝6は、それぞれが、通気孔8a、8b、8cおよび径方向貫通孔24a、24、24を介して、軸方向貫通孔22に連通することになる。
【0051】
ロール本体2の軸線方向中央部に設けられた通気孔8d、8eは、径方向内方側にジャーナル12が配置されていないため、内端がロール本体2の内部空間26に直接、開口している。通気孔8d、8eの外端は、それぞれ、ロール本体2に嵌装されたリング部材4d、4eの周方向溝6に開口している。したがって、リング部材4d、4eの周方向溝6は、通気孔8d、8eを介してロール本体2の内部空間と連通することになる。
【0052】
本実施態様のターンバー1では、ロール本体2の開口端部にジャーナル12の先端部が挿入され、ロール本体2の本体側環状連結部16a、16b、16c、16dと、ジャーナル12のジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dとがそれぞれ、接合され接着剤によって接着されることによって、ジャーナル12がロール本体2の端部分に連結固定されている。
【0053】
本実施態様のターンバー1では、ロール本体2の他端側においても、ロール本体2とジャーナル12とは上記と同様の構成を有している。
【0054】
本実施態様のターンバー1では、ジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dに本体側環状連結部16a、16b、16c、16dに嵌合可能な形状を有しているので、ジャーナル12をロール本体2の開口端からロール本体2の内部空間に挿入すると、ジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dが本体側環状連結部16a、16b、16c、16dに内接し隙間なくかみ合う。上述したように、この状態で、ジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dは本体側環状連結部16a、16b、16c、16dに接着剤によって連結固定されている。
【0055】
環状連結部14a、14b、14c、14dは軸線方向内方側ほど小径であるので、本体側環状連結部16a、16b、16c、16dの内周面または/およびジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dの外周面に接着剤を塗布して、ジャーナルをロール本体2の開口端に挿入する作業の際、本体側環状連結部16a、16b、16c、16dの内周面とジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dの外周面との接触によって、本体側環状連結部16a、16b、16c、16dの内周面または/およびジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dの外周面に塗布された接着剤が、挿入中のジャーナル12との接触により、本体側環状連結部16a、16b、16c、16dの内周面または/およびジャーナル側環状連結部18a、18b、18c、18dの外周面から剥がれ落ちることが抑制され、迅速に確実な接着固定を行うことが可能となる。
【0056】
このような構成を有しているターンバー1では、ジャーナル12の軸方向貫通孔22に加圧空気を供給すると、加圧空気は給気通路を構成する給気孔8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、および径方向貫通孔24a、24b、24cを介して、各リング部材a-hの周方向溝6に供給され、多孔質材料であるリング部材a-hの内部を透過し、各リング部材a-hの外表面即ちターンバー1の外周面が噴出し、ターンバー1の外周面上でウエブを非接触で支持することができる。
【0057】
次に、本発明の他の好ましい実施態様のターンバー100について説明する。
ターンバー100のターンバー1との相違点は環状連結部の数である。即ち、上記実施態様のターンバー1では、ロール本体2とジャーナル12との連結部に、階段状に縮径する4カ所の環状連結部が設けられていたが、ターンバー100では、階段状に縮径する2カ所の環状連結部が設けられている。ターンバー100は、この点を除き、ターンバー1と実質的に同一の構成を備えている。共通部分には、ターンバー1の参照符号を100番台にした参照符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
以下、相違点について説明する。
図4は、本実施形態の好ましい実施態様のターンバー100の分解斜視図であり、図5は、図4のターンバー100の長手方向軸線に沿った縦断面である。図6は、ターンバー100のジャーナル112の軸線方向に沿った縦断面図である。
【0059】
図4および図5から明らかなように、ターンバー100は、ロール本体102の軸線方向端部と、このロール本体102に挿入され連結固定されているジャーナル112の先端部分との連結部に、軸線方向内方に向かって順次、階段状に小さくなる径を有する2段の環状連結部114a、114bを有している。
【0060】
環状連結部114a、114bのそれぞれは、ロール本体102の端部内周面に階段状に形成された本体側環状連結部116a、116bと、ジャーナル112の端部外周面に形成され本体側環状連結部116a、116bに嵌合可能なジャーナル側環状連結部118a、118bとを有している。
【0061】
ターンバー100では、ジャーナル112の隣接するジャーナル側環状連結部118a、118b間に、径方向内方に向かって矩形状に浅く凹んだ周方向凹部120aが形成されている。周方向凹部120aは、ジャーナル12の外周の全周に亘って延びている。
【0062】
本実施形態のターンバー100では、ジャーナル112の周方向凹部120a側軸方向段部116の段部分116aの底面120bと、ジャーナル110の軸方向貫通孔126を連通させる径方向貫通孔124aが設けられている。周方向凹部120aは、ロール本体120に設けられた通気孔108aの径方向内方位置に配置されている(図5)。
【0063】
ターンバー100のジャーナル120は、軸方向貫通孔122から周方向凹部120aに向かって径方向に延びる径方向貫通孔(給気通路)124aを有している。径方向貫通孔124aは、ロール本体102の通気孔108aと径方向に整列している。この結果、ロール本体122に嵌装されたリング部104aの周方向溝6は、通気孔108aおよび径方向貫通孔124aを介して、ジャーナル112の軸方向貫通孔122に連通することになる。
【0064】
ロール本体102に嵌装されたリング部104aの周方向溝106は、径方向貫通孔128a、ロール本体102の通気孔108aと径方向に整列している。この結果、周方向溝106は、通気孔108aおよび径方向貫通孔124aを介して、軸方向貫通孔122に連通することになる。
【0065】
ロール本体102の軸線方向中央部に設けられた通気孔108b、108c、108d、108e、108f、108gは、径方向内方側にジャーナル112が配置されていなため、内端がロール本体102の内部空間126に直接、開口している。通気孔108b、108c、108d、108e、108f、108gの外端は、それぞれ、ロール本体102に嵌装されたリング部材104b、104c、104d、104e、104f、104gの周方向溝106に開口している。したがって、リング部材104b、104c、104d、104e、104f、104gの周方向溝106は、通気孔108b、108c、108d、108e、108f、108gを介してロール本体102の内部空間と連通することになる。
【0066】
本実施態様のターンバー100でも、ロール本体102の他端側では、ロール本体102とジャーナル112とは上記と同様の構成を有している。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0068】
上記各実施態様のターンバーでは、各環状連結部(例えば、14a、14b、14c、14d)を構成する本体側環状連結部(例えば、16a、16b、16c、16d)およびジャーナル側環状連結部(例えば、18a、18b、18c、18d)が、軸線方向において、ロール本体2及びジャーナル12の軸線に対して平行に配置されているが、本体側環状連結部およびジャーナル側環状連結部をテーパ状に形成してもよい。
【0069】
図7は、テーパ状の連結部を備えたターンバー200の図2と同様の縦断面図であり、図8は、ターンバー200の図3と同様の縦断面図である。
図7および図8から明らかなように、本体側環状連結部およびジャーナル側環状連結部の配向が、上記実施態様のターンバー1の本体側環状連結部およびジャーナル側環状連結部の配向と異なっている点を除き、ターンバー1と同一の構成を備えている。以下、、この相違点について説明する。
【0070】
本変形例のターンバー200も、ターンバー1と同様に、ロール本体202の軸線方向端部と、このロール本体202に挿入され連結固定されているジャーナル212の先端部分との連結部に、軸線方向内方に向かって順次、径が小さくなる4段の環状連結部214a、214b、214c、214dを有している。
【0071】
ターンバー200の環状連結部214a、214b、214c、214dのそれぞれが、ロール本体202の端部内周面に形成された本体側環状連結部216a、216b、216c、216dと、ジャーナル212の先端部分の端部外周面に形成され本体側環状連結部216a、216b、216c、216dに嵌合可能に構成されたジャーナル側環状連結部218a、218b、218c、218dとを有している。
【0072】
ターンバー200の本体側環状連結部216a、216b、216c、216dは、それぞれが、ロール本体202の軸線方向の内方側に向かって先細りするようにテーパ状に形成されている。また、ジャーナル側環状連結部218a、218b、218c、218dは、それぞれが、ジャーナル212の先端(ロール本体202に挿入される側の端)方向に向かって先細りするように、テーパ状に形成されている。
【0073】
この結果、ターンバー200では、各環状連結部214a、214b、214c、214dが、ロール本体202の軸線方向中央に向かって先細りするテーパ形状を有していることになる。
【0074】
このような構成を有するターンバー200では、テーパ面即ち傾斜面となった本体側環状連結部216a、216b、216c、216dとジャーナル側環状連結部218a、218b、218c、218dとの間に接着剤が塗布され、ジャーナル212がロール本体202と接合されるので、接着面積を広く取ることができ、接着(接合)強度を高くできる。さらに、テーパ面同士の嵌め合いとなるので、接着剤の厚さを最小にできるとともに、ロール本体202の開口端へのジャーナル212先端を差し込み作業が容易になる。
【0075】
上記各実施態様のターンバーは、ジャーナルの軸方向貫通孔に加圧空気を供給するターンバーとして説明されたが、本発明のターンバーは、ジャーナルの軸方向貫通孔に真空ポンプ等の減圧手段を連結することにより、ターンバーの外周面から空気を吸引させ、ターンバーの外周面にウエブを吸着して搬送するターンバーとしても使用することができる。この場合、ウエブ表面の損傷を防止するため、ターンバー自身をウエブの搬送速度と同一速度で回転駆動させることになる。
【符号の説明】
【0076】
1:ターンバー
2:ロール本体
4a-4h:リング部材
6:周方向溝
8a-8h:給気孔(給気通路)
12:ジャーナル
14a、14b、14c、14d:環状連結部
16a、16b、16c、16d:本体側環状連結部
18a、18b、18c、18d:ジャーナル側環状連結部
20a、20b、20c:周方向凹部
22:軸方向貫通孔
24a、24b、24c:径方向貫通孔
26:貫通孔
28a、28b、28c:周方向凹部の軸線方向外方の側壁
30a、30b、30c:本体側環状連結部の軸線方向外方の側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8