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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110334
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】サイドモール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
B60R13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011711
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】駒塚 知美
(72)【発明者】
【氏名】小川 真耶奈
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC02
3D023AD02
(57)【要約】
【課題】サイドモールの端部においてアウタに対してインナが浮き上がるようにしてアウタとインナとの間に隙間が生じることを抑止する。
【解決手段】アウタ2とインナ3とが、延伸方向における一方側の端部同士で締結され、アウタ2は、延伸方向に延伸すると共に外壁面が意匠面であるアウタ本体壁2aと、少なくともアウタ本体壁2aの延伸方向における他方側の縁部に対して設けられると共に延伸方向と交差する方向にアウタ本体壁2aから突出して設けられたアウタ側壁2bと、アウタ本体壁2aの内壁面と隙間を空けて対向すると共にアウタ側壁2bに支持された下部突出片2dとを有し、インナ3は、少なくとも延伸方向の他方側の縁部に設けられると共にアウタ本体壁2aと下部突出片2dとの間に挿入される下部挿入片3dを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な直線状の延伸方向に沿って延伸するアウタと、前記延伸方向に沿って直線状に延伸すると共に前記アウタの内部に配置されて前記アウタを支持するインナとを有し、車体の側面に設けられるサイドモールであって、
前記アウタと前記インナとが、前記延伸方向における一方側の端部同士で締結され、
前記アウタは、
前記延伸方向に延伸すると共に外壁面が意匠面であるアウタ本体壁と、
少なくとも前記アウタ本体壁の前記延伸方向における他方側の縁部に対して設けられると共に前記延伸方向と交差する方向に前記アウタ本体壁から突出して設けられたアウタ側壁と、
前記アウタ本体壁の内壁面と隙間を空けて対向すると共に前記アウタ側壁に支持された突出片と
を有し、
前記インナは、少なくとも前記延伸方向の他方側の縁部に設けられると共に前記アウタ本体壁と前記突出片との間に挿入される挿入片を有する
ことを特徴とするサイドモール。
【請求項2】
前記突出片は、前記アウタの下部の一部に設けられ、
前記挿入片は、前記インナの下部の一部に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のサイドモール。
【請求項3】
前記挿入片の上下寸法は、前記突出片の上下寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載のサイドモール。
【請求項4】
前記インナは、前記アウタ本体壁に沿って延伸するインナ本体部を有し、
前記インナ本体部は、前記車体に接着される台座部を有し、
前記挿入片は、前記台座部から突出して設けられている
ことを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載のサイドモール。
【請求項5】
前記台座部は、前記突出片と対向する部位に、前記延伸方向の前記他方側から前記一方側に窪む凹部が設けられていることを特徴とする請求項4記載のサイドモール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドモールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車体のドアの下部に固定されたドアモールを備える車両が開示されている。特許文献1に開示されたドアモールは、樹脂によって形成されており、外側から視認可能なアウタ側カバー部と、アウタ側カバー部の内側に配置されてドアに固定される外側取付部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-68632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のドアモールのような車体の側面に設けられるサイドモールでは、上述のようにドア等の車体に対して固定されるインナ(外側取付部)と、インナを覆うと共に外部から視認可能なアウタ(アウタ側カバー部)とを備える場合がある。インナとアウタとは、一般的に樹脂の射出成形によって形成され、例えばビス等によって固定されることで一体化される。
【0005】
ところで、上述のようなサイドモールは、車両のフロントドアやリアドア等のヒンジドアの下部に設置される場合がある。このようなサイドモールは、ヒンジドアを開放した場合には、インナが外部から視認可能となる。水平方向におけるインナの奥側(ヒンジ側)の端部は、ヒンジドアを開放した場合であっても、車体と近くて視認され難い。一方で、水平方向におけるインナの手前側(ヒンジと反対側)の端部は、ヒンジドアを開放した場合に車体から遠く離れて視認され易い。このため、外観印象の向上のために、インナをアウタに対して固定するビス等の締結部材をサイドモールの最も視認されやすいサイドモールの手前側の端部に配置しないことが考えられる。
【0006】
しかしながら、サイドモールは、水平方向に長い長尺状の部材であり、樹脂によって形成されている。このため、成形時に生じるヒケ等によって形状誤差が大きくなり易い。したがって、インナとアウタとをサイドモールの一方側の端部同士で締結すると、他方側の端部にてアウタに対してインナが浮き上がるようにしてアウタとインナとの間に隙間が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、サイドモールの端部においてアウタに対してインナが浮き上がるようにしてアウタとインナとの間に隙間が生じることを抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、水平な直線状の延伸方向に沿って延伸するアウタと、上記延伸方向に沿って直線状に延伸すると共に上記アウタの内部に配置されて上記アウタを支持するインナとを有し、車体の側面に設けられるサイドモールであって、上記アウタと上記インナとが、上記延伸方向における一方側の端部同士で締結され、上記アウタが、上記延伸方向に延伸すると共に外壁面が意匠面であるアウタ本体壁と、少なくとも上記アウタ本体壁の上記延伸方向における他方側の縁部に対して設けられると共に上記延伸方向と交差する方向に上記アウタ本体壁から突出して設けられたアウタ側壁と、上記アウタ本体壁の内壁面と隙間を空けて対向すると共に上記アウタ側壁に支持された突出片とを有し、上記インナが、少なくとも上記延伸方向の他方側の縁部に設けられると共に上記アウタ本体壁と上記突出片との間に挿入される挿入片を有するという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記突出片が、上記アウタの下部の一部に設けられ、上記挿入片が、上記インナの下部の一部に設けられているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記挿入片の上下寸法が、上記突出片の上下寸法よりも大きいという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3いずれかの態様において、上記インナが、上記アウタ本体壁に沿って延伸するインナ本体部を有し、上記インナ本体部が、上記車体に接着される台座部を有し、上記挿入片が、上記台座部から突出して設けられているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、上記台座部が、上記突出片と対向する部位に、上記延伸方向の上記他方側から上記一方側に窪む凹部が設けられているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、延伸方向における一方側の端部同士でアウタとインナとが締結され、延伸方向における他方側の端部では、インナに設けられた挿入片がアウタ本体壁と突出片との間に挿入される。このため、他方側の端部にて、アウタに対してインナが浮き上がるようにしてアウタとインナとの間に隙間が生じることが抑止される。したがって、本発明によれば、サイドモールの端部においてアウタに対してインナが浮き上がるようにしてアウタとインナとの間に隙間が生じることを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるドアモールを備える車両の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態におけるドアモールを裏側から見た背面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるドアモールを裏側から見た分解図である。
図4図2のA-A断面図である。
図5】アウタのアンダーカット形状の部位と規制突部とを射出成形によって形成する場合に用いられるスライドコアの動きを示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態におけるドアモールの下部挿入片3dを含む拡大図であり、(a)が図3と同一方向から見た背面図であり、(b)が(a)の矢印B方向から見た図である。
図7】本発明の一実施形態におけるドアモールの組み立ての様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るサイドモールの一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、本発明のサイドモールを車体のドアパネルに固定されたドアモールに適用した例について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のドアモール1を備える車両100の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のドアモール1は、車両100の一部として設けられた外装部品であり、車体の側面を形成するドアパネル101の外表面に固定されている。このように本実施形態のドアモール1は、車体の側面であるドアパネル101の外表面に固定されることで、車両100の側部に配置されている。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のドアモール1は、車両100の前後方向(水平方向)に直線状に延伸した長尺状の部材である。図2は、本実施形態のドアモール1を裏側(ドアパネル101側)から見た背面図である。また、図3は、本実施形態のドアモール1を裏側(ドアパネル101側)から見た分解図である。また、図4は、図2のA-A断面図である。これらの図に示すように、本実施形態のドアモール1は、アウタ2と、インナ3とを備えている。なお、以下の説明では、車両100の前後方向を基準としてドアモール1の方向を説明する。つまり、ドアモール1は、車両100の前方側の端部を前端部とし、車両100の後方側の端部の後端部とする。
【0019】
アウタ2は、インナ3の外側に配置されており、車両100の外部から視認可能な意匠面を有している。このアウタ2は、インナ3及びドアパネル101によって支持されており、インナ3を介してドアパネル101に固定されている。アウタ2は、全体が樹脂の射出成形によって形成されており、例えば図4に示すように、アウタ本体壁2aと、アウタ側壁2bとを有している。また、アウタ2は、図3に示すように、上部突出片2cと、下部突出片2d(突出片)とを有している。
【0020】
アウタ本体壁2aは、前後方向に沿って直線状に延伸する壁部である。アウタ本体壁2aの外壁面2a1は、車両100の外部から視認可能な意匠面である。アウタ本体壁2aの内壁面には、インナ3を固定するためのビス固定台2a2が複数設けられている。これらのビス固定台2a2は、インナ3とアウタ2とを固定するための構造体であり、アウタ本体壁2aの延伸方向に沿って配列されている。これらのビス固定台2a2にインナ3がビス止めされることで、アウタ2とインナ3とが一体的に締結されている。
【0021】
本実施形態のドアモール1においては、図3に示すように、ドアモール1の前方側(一方側)の端部に、ビス固定台2a2が配置されている。つまり、アウタ2とインナ3とは、前方側の端部同士で締結されている。一方で、図3に示すように、ドアモール1の後方側(他方側)の端部には、ビス固定台2a2は配置されていない。つまり、アウタ2とインナ3とは、後方側の端部では締結されていない。
【0022】
アウタ側壁2bは、例えば図4に示すように、アウタ本体壁2aの後端縁(アウタ本体壁2aの延伸方向における縁部)に接続されている。アウタ側壁2bは、アウタ本体壁2aの後端縁からアウタ本体壁2aの延伸方向と略直交(交差)する方向に突出して設けられている。より具体的には、アウタ側壁2bは、アウタ本体壁2aの後端縁からアウタ本体壁2aの内壁面(意匠面と反対側の面)が向く方向に突出している。
【0023】
また、図4に示すように、アウタ側壁2bは、平面視において、根本部2b1(アウタ本体壁2aと接続された端部)側から先端部2b2側に向かうに連れてアウタ本体壁2aの延伸方向における中央部に向けて変位する傾斜部2b3を有している。つまり、アウタ側壁2bの根本部2b1よりも先端部2b2がアウタ本体壁2aの延伸方向における中央部寄りに変位している。このため、アウタ本体壁2aとアウタ側壁2bとの接続箇所には、車両100の外側から見て、アウタ2の後縁部に奥側よりも側方に張り出したアンダーカット形状4が形成されている。このようなアウタ側壁2bは、車両100のドアパネル101が開けられた場合に、アウタ2とドアパネル101との間の空間が視認されることを防止する。
【0024】
また、本実施形態においては、アウタ本体壁2aとアウタ側壁2bとの接続箇所に、後述するアンダーカット形状4が形成されている。射出成形時にアンダーカット形状4を形成するためのスライドコアX(図5参照)を配置する必要がある。本実施形態においては、延伸方向における一方の縁部(アウタ側壁2bが設けられた後方側の縁部)には、ビス固定台2a2が設けられていない。このため、形成時にスライドコアXを配置することができ、アンダーカット形状4を形成することができる。
【0025】
上部突出片2cは、 アウタ側壁2bの内壁面から突出して設けられた片の部位である。この上部突出片2cは、アウタ本体壁2aの内壁面と間に隙間を空けて対向配置されている。例えば、上部突出片2cは、アウタ側壁2bの先端部2b2よりも根本部2b1に近い部位にてアウタ側壁2bと接続されており、アンダーカット形状4の部位に設けられている。
【0026】
また、図2及び図3に示すように、上部突出片2cは、上下方向において、アウタ2の上部に設けられている。つまり、本実施形態において上部突出片2cは、アウタ側壁2bの上下方向における全域に亘って設けられておらず、アウタ側壁2bの上下方向における一部のみに設けられている。
【0027】
下部突出片2dは、アウタ側壁2bの内壁面から突出して設けられた板状の部位である。この下部突出片2dは、図4に示すように、アウタ本体壁2aとの間に隙間Sを形成してアウタ本体壁2aと対向配置されている。また、下部突出片2dは、アウタ側壁2bの先端部2b2にてアウタ側壁2bと接続されている。
【0028】
また、下部突出片2dは、上下方向において、アウタ2の下部の一部に設けられている。つまり、本実施形態において下部突出片2dは、アウタ側壁2bの上下方向における全域に亘って設けられておらず、アウタ側壁2bの上下方向における一部のみに設けられている。
【0029】
図5は、アウタ2のアンダーカット形状4の部位と下部突出片2dとを射出成形によって形成する場合に用いられるスライドコアXの動きを示す模式図である。図5に示すように、アンダーカット形状4は、アウタ本体壁2aの延伸方向に移動されるスライドコアXによって形成される。このようにアウタ側壁2bに設けられた下部突出片2dは、スライドコアXを、アウタ側壁2bから離間するようにアウタ本体壁2aの延伸方向に沿って移動させることで形成される。なお、上部突出片2cも、スライドコアXによって形成することができる。
【0030】
インナ3は、車両100の外部から見て、アウタ2によって覆われており、アウタ2の内部に配置されている。このインナ3は、図2に示すように、複数のビス5によってアウタ2と締結されており、アウタ2を支持する。このようなインナ3は、例えば図3に示すように、インナ本体部3aと、上部挿入片3bと、接着台座部3cと、下部挿入片3d(挿入片)とを有している。
【0031】
インナ本体部3aは、アウタ本体壁2aに沿って延伸する部位である。このインナ本体部3aには、アウタ2を固定するためのビス取付部3a1が複数設けられている。これらのビス取付部3a1は、アウタ本体壁2aに設けられたビス固定台2a2と同数かつ延伸方向にて同位置に設けられている。各々のビス取付部3a1は、アウタ本体壁2aに設けられたビス固定台2a2にビス5によって締結される。
【0032】
なお、上述のように、本実施形態のドアモール1においては、アウタ本体壁2aの後縁部にビス固定台2a2が設けられていない。このため、インナ本体部3aの後縁部にもビス取付部3a1は設けられていない。
【0033】
また、インナ本体部3aには、ドアパネル101と締結されるパネル締結部3a2が複数設けられている。これらのパネル締結部3a2は、インナ3をドアパネル101に固定するための構造体であり、インナ本体部3aの延伸方向に沿って配列されている。これらのパネル締結部3a2がJナット及びボルト等によってドアパネル101に締結される。
【0034】
上部挿入片3bは、インナ本体部3aの延伸方向における後縁部に設けられた片状の部位である。この上部挿入片3bは、インナ本体部3aの上下方向における上部に設けられている。上部挿入片3bは、アウタ本体壁2aと上部突出片2cとの間に形成された隙間に挿入されており、上部突出片2cのアウタ本体壁2a側の面に当接されている。つまり、上部挿入片3bは、アウタ本体壁2a側から上部突出片2cに当接されている。この上部挿入片3bからアウタ本体壁2aまでの離間寸法は、インナ本体部3aからアウタ本体壁2aまでの離間寸法よりも小さい。つまり、上部挿入片3bは、インナ本体部3aよりもアウタ本体壁2aに近接して配置されている。
【0035】
接着台座部3cは、インナ本体部3aの延伸方向における後縁部に設けられており、上部挿入片3bの下方に配置されている。接着台座部3cは、ドアパネル101側に向けて突出した台部であり、ドアパネル101側の面がドアパネル101の表面と接着される接着面である。この接着台座部3cは、図2及び図3に示すように、インナ本体部3aの後縁部の上下方向に長く設けられている。なお、接着台座部3cは、例えば接着テープによってドアパネル101と接着されている。
【0036】
下部挿入片3dは、インナ本体部3aの延伸方向における後縁部に設けられた片状の部位である。この下部挿入片3dは、インナ本体部3aの上下方向における下部の一部に設けられている。図6は、下部挿入片3dを含む拡大図であり、(a)が図3と同一方向から見た背面図であり、(b)が(a)の矢印B方向から見た図である。
【0037】
図6(b)に示すように、下部挿入片3dは、インナ本体部3aの後縁部のアウタ本体壁2a側の壁面3a3に接続されている。本実施形態において、壁面3a3は、接着台座部3cの一部である。つまり、本実施形態において下部挿入片3dは、接着台座部3cから突出して設けられている。
【0038】
下部挿入片3dは、壁面3a3からドアモール1の後方に向けて突出するように設けられている。このため、図6(b)に示すように、下部挿入片3dのアウタ本体壁2aと反対側の面は、インナ本体部3aの壁面3a3と面一となっている。このような下部挿入片3dは、アウタ本体壁2aと反対側の面が下部突出片2dに当接する。
【0039】
また、図6(a)に示すように、下部挿入片3dの上下寸法D1は、下部突出片2dの上下寸法D2よりも大きい。図7に示すように、ドアモール1を組み立てる場合には、例えば、アウタ2に対してインナ3を傾けた姿勢で、インナ3の後縁を隙間Sに差し込む。その後、インナ3をアウタ2に対して平行な姿勢に戻して、ビス5による締結を行う。下部挿入片3dの上下寸法D1が大きいことで、下部挿入片3dが目立つ。したがって、インナ3の後縁を隙間Sに差し込む場合に、下部挿入片3dを目印とすることで、組立作業を容易に行うことができる。
【0040】
下部挿入片3dの上下寸法D1が大きいことで、下部挿入片3dの強度が向上される。アウタ2の延伸方向の最後縁にはアウタ側壁2bが位置するため、下部突出片2dは、アウタ2の延伸方向の最後縁に位置しない。このため、アウタ2のみを搬送している場合であっても下部突出片2dが何らかの外部の物体と衝突して欠ける可能性が低い。これに対して、下部挿入片3dは、インナ3の最後縁に位置する。このため、インナ3のみを搬送している場合に、下部挿入片3dが何らかの外部の物体と衝突して欠ける可能性が下部突出片2dよりも高い。下部挿入片3dが欠けた場合には、インナ3を廃棄して、新たなインナ3をアウタ2と組み合わせる必要がある。本実施形態のドアモール1においては、下部挿入片3dの強度が高いため、下部突出片2dが欠けることを抑止することが可能である。
【0041】
また、このように下部挿入片3dの上下寸法D1が大きくても、アウタ2とインナ3とを組み合わせた後には、下部挿入片3dは隙間Sの内部に位置する。このため、外部から下部挿入片3dが視認し難い。したがって、下部挿入片3dの上下寸法D1が大きくても、ドアモール1において下部挿入片3dが目立つことが防止される。
【0042】
また、インナ3においては、図6(a)及び(b)に示すように、接着台座部3cは、下部突出片2dと対向する部位に、延伸方向の後方側から前方側に窪む凹部3c1が設けられている。図6(a)に示すように、下部突出片2dの先端部は、凹部3c1の内部に位置する。つまり、インナ3の接着台座部3cは、下部突出片2dを避ける凹部3c1を有している。このため、下部突出片2dの突出量を大きく確保することができる。
【0043】
このような本実施形態のドアモール1では、アウタ2とインナ3とがビス5で締結されることで一体化されている。また、本実施形態のドアモール1は、アウタ本体壁2aのパネル締結部2a3及びインナ本体部3aのパネル締結部3a2がドアパネル101と締結されることでドアパネル101に固定されている。
【0044】
以上のような本実施形態のドアモール1は、アウタ2と、インナ3とを有している。アウタ2は、水平な直線状の延伸方向(前後方向)に沿って延伸する。インナ3は、延伸方向に沿って直線状に延伸すると共にアウタ2の内部に配置されてアウタ2を支持する。また、本実施形態のドアモール1は、ドアパネル101の側面に設けられる。また、本実施形態のドアモール1では、アウタ2とインナ3とが、延伸方向における前方側の端部同士で締結されている。
【0045】
さらに、アウタ2は、アウタ本体壁2aと、アウタ側壁2bと、下部突出片2dとを有している。アウタ本体壁2aは、延伸方向に延伸すると共に外壁面が意匠面である。アウタ側壁2bは、アウタ本体壁2aの延伸方向における後方側の縁部に対して設けられると共に延伸方向と交差する方向にアウタ本体壁2aから突出して設けられている。下部突出片2dは、アウタ本体壁2aの内壁面と隙間Sを空けて対向すると共にアウタ側壁2bに支持されている。また、インナ3は、下部挿入片3dを有する。下部挿入片3dは、延伸方向の後方側の縁部に設けられると共にアウタ本体壁2aと下部突出片2dとの間に挿入される。
【0046】
本実施形態のドアモール1によれば、延伸方向における前方側の端部同士でアウタ2とインナ3とが締結され、延伸方向における後方側の端部では、インナ3に設けられた下部挿入片3dがアウタ本体壁2aと下部突出片2dとの間に挿入される。このため、後方側の端部にて、アウタ2に対してインナ3が浮き上がるようにしてアウタ2とインナ3との間に隙間が生じることが抑止される。したがって、本実施形態のドアモール1によれば、ドアモール1の端部においてアウタ2に対してインナ3が浮き上がるようにしてアウタ2とインナ3との間に隙間が生じることを抑止できる。なお、アウタ2に対してインナ3が浮き上がるとは、アウタ本体壁2aからインナ本体部3aがアウタ本体壁2aの法線方向に離間するように移動することを意味する。
【0047】
また、本実施形態のドアモール1において、下部突出片2dは、アウタ2の下部の一部に設けられている。また、下部挿入片3dは、インナ3の下部の一部に設けられている。このため、上下方向の全域に突出片や挿入片を設ける場合と比較して、ドアモール1の樹脂量を削減することができる。したがって、ドアモール1の成形時の変形等を抑制することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態のドアモール1において、下部挿入片3dの上下寸法D1は、下部突出片2dの上下寸法D2よりも大きい。このため、インナ3の後縁を隙間Sに差し込む場合に、下部挿入片3dを目印とすることで、組立作業を容易に行うことができる。また、下部挿入片3dの強度が高くなり、下部突出片2dが欠けることを抑止することが可能である。
【0049】
また、本実施形態のドアモール1において、インナ3は、インナ本体部3aを有している。インナ本体部3aは、アウタ本体壁2aに沿って延伸する。また、インナ本体部3aは、接着台座部3cを有している。接着台座部3cは、ドアパネル101に接着される。さらに、下部挿入片3dは、接着台座部3cから突出して設けられている。
【0050】
このような本実施形態のドアモール1によれば、下部挿入片3dが接着台座部3cから突出されているため、下部挿入片3dを支持する部位を別にインナ本体部3aに設ける必要がない。このため、インナ3の構成を簡素化することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態のドアモール1において、接着台座部3cは、凹部3c1が設けられている。凹部3c1は、下部突出片2dと対向する部位に、延伸方向の後方側から前方側に窪む。このため、下部突出片2dの先端部を凹部3c1の内部に位置することができる。したがって、下部突出片2dの突出量を大きく確保することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、後方側のみに下部突出片2dと下部挿入片3dとを設ける構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。後方側に加えて、前方側にも突出片及び挿入片を設ける構成を採用することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、本発明のサイドモールをドアモール1に適用した構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スライドドアを有する車両のドアパネルの前方あるいは後方に位置する車体の側壁に設けられるモールに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1……ドアモール(サイドモール)、2……アウタ、2a……アウタ本体壁、2a1……外壁面、2a2……ビス固定台、2a3……パネル締結部、2b……アウタ側壁、2c……上部突出片、2d……下部突出片(突出片)、3……インナ、3a……インナ本体部、3a1……ビス取付部、3a2……パネル締結部、3a3……壁面、3b……上部挿入片、3c……接着台座部(台座部)、3c1……凹部、3d……下部挿入片(挿入片)、100……車両、101……ドアパネル(車体)、S……隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7