IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公益財団法人鉄道総合技術研究所の特許一覧 ▶ 三和テッキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-トロリ線用掴線器 図1
  • 特開-トロリ線用掴線器 図2
  • 特開-トロリ線用掴線器 図3
  • 特開-トロリ線用掴線器 図4
  • 特開-トロリ線用掴線器 図5
  • 特開-トロリ線用掴線器 図6
  • 特開-トロリ線用掴線器 図7
  • 特開-トロリ線用掴線器 図8
  • 特開-トロリ線用掴線器 図9
  • 特開-トロリ線用掴線器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110346
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】トロリ線用掴線器
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/28 20060101AFI20230802BHJP
   H02G 1/04 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B60M1/28 K
H02G1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011731
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】岡部 源太
(72)【発明者】
【氏名】増井 裕太
(72)【発明者】
【氏名】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】早坂 高雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 琢
(72)【発明者】
【氏名】中島 祐樹
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352BA01
5G352BA02
(57)【要約】
【課題】トロリ線Tの変形を抑制することができる掴線器10を提供する。
【解決手段】本発明の掴線器10は、トロリ線Tを掴む掴線部11と、張線器30が接続される一対の接続部25と、を有する。一対の接続部25は、それぞれがトロリ線Tの中心軸を含むXY平面に対して面対称であり、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面に対して面対称である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロリ線を掴む掴線部と、
張線器が接続される一対の接続部と、を有し、
前記一対の接続部は、それぞれが前記トロリ線の中心軸を含む第1平面と交差し、前記トロリ線の中心軸を含み前記第1平面に直交する第2平面の両側に配置される、
トロリ線用掴線器。
【請求項2】
前記第1平面は、水平面である、
請求項1に記載のトロリ線用掴線器。
【請求項3】
前記一対の接続部は、前記第2平面に対して面対称である、
請求項1または2に記載のトロリ線用掴線器。
【請求項4】
前記一対の接続部は、前記第1平面に対して面対称である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のトロリ線用掴線器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリ線用掴線器に関する。
【背景技術】
【0002】
トロリ線は、鉄道車両等の移動体の軌道の上方に配置される電線である。トロリ線は、移動体のパンタグラフに接触して移動体に給電する。トロリ線を部分的に張り替える際などには、トロリ線の切断作業が伴う。トロリ線の切断作業に、一対の掴線器および張線器が使用される。
【0003】
図7および図8は、従来技術のトロリ線の切断作業の説明図である。図7は張線器により張力を印加する前の状態であり、図8は印加した後の状態である。
本願において、直交座標系のZ方向、X方向およびY方向が以下のように定義される。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向およびY方向は水平方向である。X方向は、トロリ線Tの延伸方向と平行な方向である。X方向において、一対の掴線器90の内側を「内側」と呼び、一対の掴線器90の外側を「外側」と呼ぶ場合がある。Y方向は、トロリ線Tに垂直な方向である。Y方向において、トロリ線Tに接近する方向を「内側」と呼び、トロリ線Tから離反する方向を「外側」と呼ぶ場合がある。
【0004】
図7に示すように、掴線器90(例えば、特許文献1および2参照)は、掴線部91と、レバー92と、を有する。掴線部91は、トロリ線Tを掴む。レバー92は、掴線部91に連結される。レバー92の先端は、トロリ線Tから離れて配置される。レバー92を回動することにより、掴線部91が開閉する。一対の掴線器90が、トロリ線Tの切断部分(例えば中央C)の両側に配置される。以下、一対の掴線器90の内側のトロリ線Tを内側トロリ線T1と呼び、一対の掴線器90の外側のトロリ線Tを外側トロリ線T0と呼ぶ。
【0005】
張線器80は、張力線81と、巻取機構82と、を有する。張力線81は、チェーンやワイヤ等である。張力線81は、一対の掴線器90のレバー92の先端の間に掛け渡される。巻取機構82は、張力線81を巻き取ることにより、張力線81に張力を印加する。
図8に示すように、張力線81に張力が印加されると、内側トロリ線T1の張力が緩和される。張力が緩和された状態で、内側トロリ線T1が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-145818号公報
【特許文献2】特開2014-128185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7に示すように、レバー92は、トロリ線Tから下方に離れて配置される。一対の掴線器90のレバー92の間に掛け渡された張力線81と、トロリ線Tとの間には、ギャップGが存在する。図8に示すように、張線器80に張力が印加されると、張力線81に沿って張力軸が発生する。張線器80の張力軸と、外側トロリ線T0の張力軸とが、同じ直線上に配置されると、掴線器90に作用する張力がつり合う。
【0008】
張力が印加された張力線81は、上方に移動して、外側トロリ線T0と同じ直線上に配置される。張力が緩和された内側トロリ線T1も、上方に移動して、外側トロリ線T0と同じ直線上から外れる。張力線81および内側トロリ線T1の移動は、掴線器90の回動により実現される。掴線器90と外側トロリ線T0との間の回動中心の位置Pにおいて、トロリ線Tが塑性変形する。
【0009】
トロリ線の変形をシミュレーションにより解析した。
図9は、従来技術の掴線器のシミュレーションモデルの斜視図である。掴線器90のモデルは、掴線器90の実物と同様に、掴線部91と、レバー92と、を有する。掴線部91とトロリ線Tとの相対位置が固定される。レバー92は、トロリ線Tから離れて配置される。レバー92の先端に、張線器80の張力に相当する境界条件が設定される。
【0010】
図10は、従来技術の掴線器のシミュレーション結果のグラフである。張線器80の張力に相当する境界条件が解消された後、重力により垂れ下がったトロリ線Tの形状が、図10に示される。図10の縦軸は、重力による垂れ下がりの変位量である。図10の横軸は、内側トロリ線T1の中央CからのX方向の距離である。X=1.5mの位置に掴線器90が配置されている。掴線器90のX方向の外側の位置Pで、トロリ線Tが-Z方向に変形している。シミュレーションの結果は、実験の結果を再現している。
【0011】
トロリ線Tの変形部分は下方に突出している。トロリ線Tの変形部分に対して、走行する移動体のパンタグラフが当接すると、変形部分に衝撃力が作用する。これにより、トロリ線Tの耐久性が低下する。その対策として、トロリ線Tの切断後またはトロリ線Tの張替え等の完了後に、トロリ線Tの変形部分の修復(クセ直し)が実施される。しかし、この修復作業は煩雑である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、トロリ線の変形を抑制することができる掴線器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の掴線器は、トロリ線を掴む掴線部と、張線器が接続される一対の接続部と、を有する。一対の接続部は、それぞれがトロリ線の中心軸を含む第1平面と交差し、トロリ線の中心軸を含み第1平面に直交する第2平面の両側に配置される。
【0014】
張線器により一対の接続部に対して均等に張力が印加されると、張線器による張力軸は、第1平面および第2平面の近傍に発生する。すなわち、張線器による張力軸は、トロリ線の中心軸の近傍に発生する。掴線器に作用する張力がつり合う過程で、掴線器がほとんど回動しない。したがって、掴線器に保持されるトロリ線の変形が抑制される。
【0015】
第1平面は、水平面である。
このとき、一対の接続部は、鉛直方向の同じ位置に配置される。これにより、一対の接続部に対する均等な張力の印加が容易である。
【0016】
一対の接続部は、第2平面に対して面対称である。
一対の接続部は、第1平面に対して面対称である。
このとき、一対の張線器による張力軸は、トロリ線の中心軸の位置に発生する。これにより、掴線器が回動しなくても、掴線器に作用する張力がつり合う。したがって、掴線器に保持されるトロリ線の変形が抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の掴線器により、トロリ線の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の掴線器のシミュレーションモデルの斜視図。
図2】実施形態の掴線器のシミュレーション結果のグラフ。
図3】実施形態の掴線器の平面図。
図4】実施形態の掴線器の正面図。
図5】実施形態の掴線器の側面図。
図6】実施形態の掴線器の使用方法の説明図。
図7】従来技術のトロリ線の切断作業の説明図(張線器により張力を印加する前の状態)。
図8】従来技術のトロリ線の切断作業の説明図(張線器により張力を印加した後の状態)。
図9】従来技術の掴線器のシミュレーションモデルの斜視図。
図10】従来技術の掴線器のシミュレーション結果のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態の掴線器を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の掴線器のシミュレーションモデルの斜視図である。実施形態の掴線器10は、掴線部11と、一対の接続部25と、を有する。
掴線部11は、トロリ線Tを掴む部分である。掴線部11は、X方向に所定長さの範囲でトロリ線Tを掴む。図1のモデルにおいて、掴線部11とトロリ線Tとの相対位置が固定される。
【0020】
接続部25は、掴線部11に連結される。接続部25は、張線器(不図示)が接続される部分である。一対の接続部25に対して、一対の張線器が接続される。一対の張線器は、一対の接続部25に対して均等に張力を印加する。図1のモデルにおいて、一対の接続部25には、一対の張線器の張力に相当する境界条件が設定される。
【0021】
一対の接続部25は、掴線部11が掴むトロリ線Tと、Z方向の同じ位置に配置される。一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXY平面に含まれる。一対の接続部25は、掴線部11が掴むトロリ線Tを挟んで、Y方向の両側に配置される。一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面に対して、面対称に配置される。
【0022】
一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXY平面に含まれる。このとき、一対の張線器による張力軸は、Z方向においてトロリ線Tと同じ位置に発生する。すなわち、一対の張線器による張力軸と、外側トロリ線T0の張力軸とが、同じXY平面上に配置される。そのため、掴線器10がZ方向に回動しなくても、掴線器10に作用する張力がつり合う。これにより、掴線器10と外側トロリ線T0との間の位置Pにおいて、トロリ線TのZ方向への変形が抑制される。
【0023】
図2は、実施形態の掴線器のシミュレーション結果のグラフである。一対の張線器の張力に相当する境界条件が解消された後、重力により垂れ下がったトロリ線Tの形状が、図2に示される。図2の横軸および縦軸は、図10と同様である。X=1.5mの位置に掴線器10が配置されている。掴線器10の外側の位置Pにおいて、トロリ線TがZ方向に変形していない。実施形態の掴線器10によるトロリ線Tの変形抑制効果が、シミュレーションにより確認された。
【0024】
一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面に対して、面対称に配置される。一対の張線器は、一対の接続部25に対して均等に張力を印加する。このとき、一対の張線器による張力軸は、Y方向においてトロリ線Tと同じ位置に発生する。すなわち、一対の張線器による張力軸と、外側トロリ線T0の張力軸とが、同じXZ平面上に配置される。そのため、掴線器10がY方向に回動しなくても、掴線器10に作用する張力がつり合う。これにより、掴線器10と外側トロリ線T0との間の位置Pにおいて、トロリ線TのY方向への変形が抑制される。
【0025】
実施形態の掴線器10の具体例について説明する。
図3は実施形態の掴線器10の平面図であり、図4は正面図であり、図5は側面図である。掴線器10は、鉄鋼等の金属材料により形成される。掴線器10は、掴線部11と、接続ユニット20と、を有する。
掴線部11は、トロリ線Tを掴む。図3に示すように、掴線部11は、一対の掴線片12を有する。掴線片12は、X方向に伸びる。
【0026】
図5に示すように、掴線片12は、下端部に突起13を有する。突起13は、トロリ線Tの中心軸に向かって突出する。一対の掴線片12が、Y方向に並んで配置される。一対の掴線片12の突起13が、トロリ線Tを掴む。図3に示すように、掴線片12のX方向の外側部分に、締結部材14が配置される。締結部材14は、ボルトおよびナットである。締結部材14のボルトは、一対の掴線片12をY方向に貫通する。締結部材14は、一対の掴線片12が接近する方向に締結力を発揮する。
【0027】
接続ユニット20は、挟持板21と、一対の接続部25と、補強板28と、を有する。
挟持板21は、平板状に形成され、XZ平面と平行に配置される。挟持板21のX方向の外側部分に、掴線部11のX方向の内側部分が配置される。挟持板21は、掴線部11のY方向の外側に配置される。一対の挟持板21が、掴線部11をY方向に挟む。挟持板21のX方向の外側部分に、締結部材22が配置される。締結部材22は、ボルトおよびナットである。締結部材22のボルトは、一対の挟持板21および一対の掴線片12をY方向に貫通する。締結部材22は、一対の挟持板21および一対の掴線片12がそれぞれ接近する方向に締結力を発揮する。
【0028】
接続部25は、平板状に形成され、XY平面と平行に配置される。接続部25は、挟持板21のX方向の内側部分から、Y方向の外側に伸びる。接続部25は、挟持板21に対して溶接等により接続される。接続部25のY方向の外側端部に、接続孔26が形成される。接続孔26は、接続部25をZ方向に貫通する。一対の接続部25の接続孔26に、一対の張線器(不図示)が接続される。
【0029】
図5に示すように、一対の接続部25は、掴線部11が掴むトロリ線Tと、Z方向の同じ位置に配置される。一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXY平面(第1平面)S1と交差する。一対の接続部25は、第1平面S1に対して面対称である。一対の接続部25は、掴線部11が掴むトロリ線Tを挟んで、Y方向の両側に配置される。一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面(第2平面)S2の両側に配置される。一対の接続部25は、第2平面S2に対して面対称である。
【0030】
補強板28は、平板状に形成され、XY平面と平行に配置される。補強板28は、接続部25の下方に配置される。図3に示すように、補強板28は、挟持板21のY方向の外側に配置される。補強板28は、挟持板21および接続部25に対して、溶接等により接続される。補強板28のX方向の長さは、挟持板21のX方向の長さと同等である。補強板28のY方向の幅は、接続部25のY方向の幅の半分程度である。補強板28は、接続部25の剛性を補強する。
【0031】
実施形態の掴線器10の使用方法について説明する。
図6は、実施形態の掴線器の使用方法の説明図である。トロリ線Tの切断部分のX方向の両側に、一対の掴線器10が装着される。一対の掴線器10の間に、一対の張線器30が装着される。
【0032】
最初に、掴線器10の掴線部11がトロリ線Tに装着される。掴線部11の掴線片12は、締結部材14の締結を緩めた状態で配置される。掴線片12は、トロリ線Tの上方に配置される。一対の掴線片12の突起13の内側に、トロリ線Tが配置される。締結部材14が締結されて、一対の掴線片12が相互に接近する。掴線片12の突起13がトロリ線Tを掴む。
【0033】
次に、掴線器10の接続ユニット20が掴線部11に装着される。接続ユニット20は、掴線部11のY方向の両側に配置される。接続ユニット20は、接続部25がトロリ線TとXY平面に平行になるように配置される。接続部25の姿勢は、トロリ線Tの側方からの目視等により確認される。接続部25の姿勢は、掴線部11の姿勢に依存するため、掴線部11の姿勢と共に調整される。締結部材22が締結されて、一対の挟持板21が相互に接近する。挟持板21が掴線部11に固定されて、接続ユニット20の装着が完了する。
以上により、トロリ線Tに対する一対の掴線器10の装着が完了する。
【0034】
次に、一対の張線器30が装着される。図6の例では、張線器30として、ワイヤターンバックルが採用されている。ワイヤターンバックルは、ワイヤの張力を自在に調節可能である。一対の張線器30は、トロリ線TのY方向の両側に配置される。一対の張線器30は、掴線器10の一対の接続部25の接続孔26に接続される。張線器30は、少なくとも一方(図6の右側)の掴線器10に対して、Y軸周りおよびZ軸周りに回動自在となるように接続される。一対の張線器30は、掴線器10に対して、ロードセル31を介して接続される。ロードセル31は、張線器30に印加される張力を測定する。
【0035】
次に、張線器30に張力が印加される。一対の張線器30により、掴線器10の一対の接続部25に対して均等に張力が印加される。均等な張力の印加は、一対の掴線器10のロードセル31が測定する張力に基づいて調整される。
【0036】
一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXY平面に対して面対称である。一対の接続部25は、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面に対して面対称である。そのため、一対の張線器30による張力軸は、Z方向およびY方向においてトロリ線Tの位置に発生する。すなわち、一対の張線器30による張力軸と、外側トロリ線T0の張力軸とが、同じ直線上に配置される。この状態で、掴線器10に作用する張力がつり合うので、掴線器10は回動しない。したがって、掴線器10と外側トロリ線T0との間の位置Pにおけるトロリ線Tの変形が抑制される。
【0037】
内側トロリ線T1の張力が緩和された状態で、内側トロリ線T1が切断される。その後、トロリ線の部分張替えなどが実施される。
【0038】
以上に詳述されたように、実施形態の掴線器10は、トロリ線Tを掴む掴線部11と、張線器30が接続される一対の接続部25と、を有する。一対の接続部25は、それぞれがトロリ線Tの中心軸を含むXY平面に対して面対称であり、トロリ線Tの中心軸を含むXZ平面に対して面対称である。
張線器30により一対の接続部25に対して均等に張力が印加されると、張線器30による張力軸は、トロリ線Tの位置に発生する。この状態で、掴線器10に作用する張力がつり合うので、掴線器10は回動しない。したがって、掴線器10に保持されるトロリ線Tの変形が抑制される。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0040】
実施形態の掴線器10は、接続部25がXY平面と平行になるように、トロリ線Tに装着される。これに対して、掴線器10は、接続部25がXZ平面と平行になるように、トロリ線Tに装着されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
S1…第1平面、S2…第2平面、T…トロリ線、10…掴線器、11…掴線部、25…接続部、30…張線器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10