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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110354
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230802BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20230802BHJP
【FI】
F24C3/12 V
F24C3/02 H
F24C3/12 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011743
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆行
(57)【要約】
【課題】火力調節用の調節レバー(9c,9d)が挿通されるレバー開口部(11c)から煮零れ汁や洗剤などが内部に入り込むことを防止することが可能なガスコンロ(1)を提供する。
【解決手段】前面パネル(7)に横長形状のレバー開口部が形成されており、レバー開口部から突出した調節レバーを左右方向に移動させることによって、バーナ(6a,6b)の火力を調節する。そして、レバー開口部の奥側に、レバー開口部よりも大きいか少なくとも同じ横幅を有し、レバー開口部を遮蔽する開口遮蔽部(17a)を、レバー開口部に対して相対位置を固定した状態で搭載する。こうすれば、調節レバーを左右に移動させても、レバー開口部に対する開口遮蔽部の位置は移動しないので、レバー開口部と調節レバーとの隙間から煮零れ汁や洗剤などの飛沫がガスコンロの内部に入ることが抑えられ、ガスコンロが動作不良となる虞を小さくすることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させるバーナと、前記バーナに供給される前記燃料ガスのガス流量を調節するガスバルブ装置とを備え、前記ガスバルブ装置に接続されて前面パネルから突出した調節レバーを左右方向に移動させることによって、前記バーナの火力を調節可能なガスコンロにおいて、
前記前面パネルには、前記調節レバーが挿通された横長形状のレバー開口部が開口しており、
前記レバー開口部の奥側には、前記レバー開口部よりも大きいか、少なくとも等しい横幅を有し、前記レバー開口部を前方から見て遮蔽する開口遮蔽部が、前記レバー開口部に対して相対位置が固定された状態で搭載されている
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
前記ガスバルブ装置からは、ガス連絡管を介して前記バーナに前記燃料ガスが供給されており、
前記ガス連絡管は、連絡管固定板によって前記ガスバルブ装置に固定されており、
前記開口遮蔽部は、前記連絡管固定板の一部が延長されることによって、前記連絡管固定板と一体に形成されている
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスコンロにおいて、
前記ガスバルブ装置には、前記燃料ガスのガス流量を調節するためのニードル弁が内蔵されていると共に、前記ガスバルブ装置の上部には、前記ニードル弁を駆動するための駆動ピンが突出しており、
前記調節レバーは、前記駆動ピンが移動自在に係合しており、
前記駆動ピンの移動範囲の上方は、前記開口遮蔽部の一部が延長された上方遮蔽部によって覆われている
ことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナで燃料ガスを燃焼させて調理物を加熱調理すると共に、手動で火力を調節可能なガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
バーナで燃料ガスを燃焼させることによって調理物を加熱調理するガスコンロは広く使用されているが、このガスコンロには、バーナの火力を調節するためのガスバルブ装置が搭載されている。ガスバルブ装置にはニードル弁が内蔵されており、ニードル弁を前進あるいは後退させることによってバーナへの燃料ガスの供給量を調節している。また、ニードル弁を移動させる方法としては、ステッピングモータあるいはサーブモータなどを用いて移動させる方法も存在するが、ガスコンロの前面パネルから突出させた調節レバーを左右に動かすことによって、手動でニードル弁を移動させる方法も広く採用されている。
【0003】
手動でニードル弁を移動させる方式のガスコンロでは、前面パネルに調節レバーが挿通される開口部(以下、レバー開口部)を形成する必要がある。このため、調理中に煮零れが生じると、レバー開口部から突出した調節レバーに掛かった煮零れ汁が、調節レバーを伝わってレバー開口部からガスコンロの内部に入り込み、ガスコンロの動作不良の原因となる虞がある。
【0004】
そこで、調節レバーの上面に凸状の堰部を設けることで、たとえ煮零れ汁が調節レバーに掛かっても、煮零れ汁を堰部で堰き止めてガスコンロの内部に入り込まないようにしたガスコンロが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-219078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来から提案されているガスコンロでは、動作不良となる虞を十分に防止することが難しいという問題があった。この理由は次のようなものである。前面パネルのレバー開口部は、調節レバーを左右方向に動かせるように、横長形状に形成されている。このため、調節レバーを伝わる煮零れ汁を堰き止めたとしても、調節レバーの左右に存在するレバー開口部から、煮零れ汁の飛沫やスプレーされた洗剤がガスコンロの内部に入ってしまうためである。更に、調節レバーを左右に移動させると、移動させた側と反対側のレバー開口部には堰部で塞がれていない隙間ができてしまうため、煮零れ汁の飛沫や洗剤が入る可能性がある。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、火力を調節するための調節レバーが挿通されるレバー開口部から、煮零れ汁や洗剤などが内部に入り込むことを防止することが可能なガスコンロの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のガスコンロは次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスを燃焼させるバーナと、前記バーナに供給される前記燃料ガスのガス流量を調節するガスバルブ装置とを備え、前記ガスバルブ装置に接続されて前面パネルから突出した調節レバーを左右方向に移動させることによって、前記バーナの火力を調節可能なガスコンロにおいて、
前記前面パネルには、前記調節レバーが挿通された横長形状のレバー開口部が開口しており、
前記レバー開口部の奥側には、前記レバー開口部よりも大きいか、少なくとも等しい横幅を有し、前記レバー開口部を前方から見て遮蔽する開口遮蔽部が、前記レバー開口部に対して相対位置が固定された状態で搭載されている
ことを特徴とする。
【0009】
上述した本発明のガスコンロでは、前面パネルに横長形状のレバー開口部が形成されており、レバー開口部から突出した調節レバーを左右方向に移動させることによって、バーナの火力を調節する。そして、レバー開口部の奥側には、レバー開口部よりも大きいか少なくとも等しい横幅を有し、レバー開口部を前方から見て遮蔽する開口遮蔽部が、レバー開口部に対して相対位置が固定された状態で搭載されている。
【0010】
こうすれば、バーナの火力を調節するために調節レバーを左右に移動させても、レバー開口部に対する開口遮蔽部の位置は移動しない。このため、レバー開口部と調節レバーとの隙間から煮零れ汁や洗剤などの飛沫がガスコンロの内部に入ることが抑制され、ガスコンロが動作不良となる虞を小さくすることができる。
【0011】
また、上述した本発明のガスコンロにおいては、ガスバルブ装置からガス連絡管を介してバーナに燃料ガスを供給するようにしてもよい。そして、ガスバルブ装置にガス連絡管を固定する連絡管固定板の一部を延長することによって、連絡管固定板と一体に開口遮蔽部を形成するようにしてもよい。
【0012】
こうすれば、開口遮蔽部を連絡管固定板の一部として形成することができるので、部品点数を減らすことができる。
【0013】
また、上述した本発明のガスコンロにおいては、次のようなガスバルブ装置を搭載してもよい。すなわち、燃料ガスのガス流量を調節するためのニードル弁を内蔵すると共に、ニードル弁を駆動するための駆動ピンが上部に突出しており、調節レバーは駆動ピンが移動自在に係合したガスバルブ装置を搭載してもよい。そして、駆動ピンの移動範囲の上方は、開口遮蔽部の一部が延長された上方遮蔽部によって覆われているようにしてもよい。
【0014】
こうすれば、駆動ピンの上方は上方遮蔽部によって覆われているため、レバー開口部から煮零れ汁や洗剤などの飛沫が入り込んでも、駆動ピンおよびニードル弁にかかってニードル弁が動きにくくなることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例のガスコンロ1の外観形状を示した説明図である。
図2】本実施例のガスコンロ1の内部構造を示す説明図である。
図3】ガスコンロ1の側方から見て、ガスコンロ1に搭載されたガスバルブ装置12cを示した説明図である。
図4】ガスバルブ装置12cに取り付けられた連絡管固定板17や調節レバー9c,9dの形状をガスバルブ装置12cの上方から見た状態で示した説明図である。
図5】前面パネル7にレバー開口部11cが開口した部分を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、実施例のガスコンロ1の外観形状を示した説明図である。本実施例のガスコンロ1は、図示しないキッチン用収納庫などの上に載置して使用されるテーブルタイプのコンロであり、箱形状の本体ケース2や、本体ケース2の上面を覆う天板3や、上部が天板3から突出した状態で本体ケース2内に収容された左コンロバーナ4aおよび右コンロバーナ4bなどを備えている。また、天板3の上には、天板3から突出した左コンロバーナ4aの上部を囲むようにして五徳5aが載置され、右コンロバーナ4bの位置にも、右コンロバーナ4bの上部を囲むようにして五徳5bが載置されている。
【0017】
ガスコンロ1の前方から見てガスコンロ1の前面には、中央にグリル扉6tが搭載されており、グリル扉6tの左右には前面パネル7が取り付けられている。グリル扉6tは引き出し式となっており、グリル扉6tを手前に引き出すことによって、後述するグリル庫内に調理物を入れることが可能となっている。
【0018】
グリル扉6tの左側の前面パネル7にはボタン開口部10aが開口しており、ボタン開口部10aからは、左コンロバーナ4aに点火するための点火ボタン8aが突設されている。更に、点火ボタン8aの上方には横長形状のレバー開口部11aが開口しており、レバー開口部11aからは、左コンロバーナ4aの火力を調節するための調節レバー9aが突設されている。調節レバー9aは、レバー開口部11aの奥の位置で回動軸に取り付けられており、レバー開口部11aから突出した先端側を左右方向に移動させると回動軸を中心として水平方向に回動するようになっている。ガスコンロ1のユーザは、レバー開口部11aから突出した調節レバー9aの先端側を左右に移動させることによって、左コンロバーナ4aの火力を調節する。
【0019】
ガスコンロ1の前方から見てグリル扉6tの右側の前面パネル7にも、ボタン開口部10bが開口しており、ボタン開口部10bの上方には横長形状のレバー開口部11bが開口している。ボタン開口部10bからは、右コンロバーナ4bに点火するための点火ボタン8bが突設され、レバー開口部11bからは、右コンロバーナ4bの火力を調節するための調節レバー9bが突設されている。調節レバー9bも、レバー開口部11bから突出した先端側を左右に移動させると、レバー開口部11bの奥の回動軸を中心として水平方向に回動して、右コンロバーナ4bの火力を調節可能となっている。
【0020】
更に、グリル扉6tの右側の前面パネル7には、上述したボタン開口部10bおよびレバー開口部11bの右隣の位置に、ボタン開口部10cおよびレバー開口部11cが開口している。ボタン開口部10cからは、後述するグリルバーナに点火するための点火ボタン8cが突設されている。また、レバー開口部11cも横長形状に形成されており、このレバー開口部11cからは、グリルバーナの火力を調節するための2つの調節レバー9c,9dが突設されている。尚、グリルバーナには火力を調節するための調節レバー9c,9dが2つ存在するのは、後述するようにグリルバーナは上面グリルバーナおよび下面グリルバーナの2つのバーナを備えているためである。調節レバー9c,9dも、横長形状のレバー開口部11cから突出した先端側を左右に移動させると、レバー開口部11cの奥にある回動軸を中心として水平方向に回動するようになっている。ガスコンロ1のユーザは、調節レバー9cを用いて上面グリルバーナの火力を調節し、調節レバー9dを用いて下面グリルバーナの火力を調節する。
【0021】
図2は、ガスコンロ1の天板3や、五徳5a,5bや、グリル扉6tを取り外した状態でガスコンロ1の内部を示した説明図である。図示したように、ガスコンロ1の本体ケース2の中央には、前面側が開口したグリル庫6が収納されている。グリル庫6の天井部分には、グリル庫6の内部の調理物を上方から加熱する上面グリルバーナ6aが搭載されており、グリル庫6の左右の内壁面の下方には、調理物を下方から加熱する下面グリルバーナ6bが搭載されている。尚、図2では、グリル庫6内に2つの下面グリルバーナ6bが搭載されているかのように表示されているが、これらの下面グリルバーナ6bは、グリル庫6の後ろ側で共通の混合通路(図示は省略)に接続されており、この混合通路に供給された燃料ガスが左右の下面グリルバーナ6bに分配される。従って、これらの下面グリルバーナ6bは、実質的には1つのバーナとなっている。尚、本実施例では、上面グリルバーナ6aおよび下面グリルバーナ6bが、本発明における「バーナ」に対応する。
【0022】
また、本体ケース2の内部には、グリル庫6の左側に左コンロバーナ4aが搭載されており、右側に右コンロバーナ4bが搭載されている。そして、左コンロバーナ4aの手前には、左コンロバーナ4aに燃料ガスを供給するためのガスバルブ装置12aが搭載され、右コンロバーナ4bの手前には、右コンロバーナ4bに燃料ガスを供給するためのガスバルブ装置12bが搭載されている。図1を用いて前述した点火ボタン8a,8b,8cは、前面パネル7の奥側の位置で本体ケース2に軸支されて取り付けられている。また、調節レバー9aはガスバルブ装置12aの上部に取り付けられており、調節レバー9bはガスバルブ装置12bの上部に取り付けられている。更に、ガスバルブ装置12bの右隣には、上面グリルバーナ6aおよび下面グリルバーナ6bに燃料ガスを供給するためのガスバルブ装置12cが搭載されており、図1を用いて前述した調節レバー9c,9dはガスバルブ装置12cの上部に取り付けられている。
【0023】
ガスバルブ装置12a,12b,12cには、ガスコンロ1の外部から燃料ガスが供給されるガス配管13が接続されている。ガスコンロ1のユーザが点火ボタン8aを押し下げると、ガスバルブ装置12aに内蔵された図示しないバルブが開いて、ガス配管13から燃料ガスがガスバルブ装置12aに供給される。ガスバルブ装置12aからは図示しない噴射ノズルが左コンロバーナ4aに向けて突設されており、ガス配管13から燃料ガスが供給されると噴射ノズルから左コンロバーナ4aに向かって燃料ガスが噴射される。また、左コンロバーナ4aでは、点火ボタン8aが押し下げられると図示しない点火プラグから火花を飛ばすことによって燃料ガスに点火する。その結果、左コンロバーナ4aで燃料ガスの燃焼が開始される。
【0024】
右コンロバーナ4bについても同様に、ガスコンロ1のユーザが点火ボタン8bを押し下げると、ガスバルブ装置12b内の図示しないバルブが開いて、ガス配管13から供給された燃料ガスが、ガスバルブ装置12bに突設された図示しない噴射ノズルから右コンロバーナ4bに向かって噴射される。また、点火ボタン8bを押し下げると、右コンロバーナ4bの図示しない点火プラグから火花を飛ばして燃料ガスに点火することによって、右コンロバーナ4bで燃料ガスの燃焼が開始される。
【0025】
また、ユーザが調節レバー9aあるいは調節レバー9bを左方向に移動させると、ガスバルブ装置12aあるいはガスバルブ装置12bに内蔵された図示しないニードル弁が移動して燃料ガスのガス流量が減少し、その結果、左コンロバーナ4aあるいは右コンロバーナ4bの火力が減少する。逆に、ユーザが調節レバー9aあるいは調節レバー9bを右方向に移動させると、ガスバルブ装置12aあるいはガスバルブ装置12b内のニードル弁が逆方向に移動する結果、燃料ガスのガス流量が増加して、左コンロバーナ4aあるいは右コンロバーナ4bの火力が増加する。
【0026】
ガスコンロ1のユーザが点火ボタン8cを押し下げた場合には、ガスバルブ装置12cに内蔵された図示しないバルブが開いて、ガス配管13からガスバルブ装置12cに燃料ガスが供給される。ここで、図2に示すように、ガスバルブ装置12cは上面グリルバーナ6aや下面グリルバーナ6bから離れた位置に搭載されている。このため、ガスバルブ装置12cの上面にはガス連絡管14a,14bが接続されており、ガスバルブ装置12cから流出する燃料ガスはガス連絡管14aを通って上面グリルバーナ6aまで導かれ、ガス連絡管14aの先端に取り付けられた噴射ノズル15aから上面グリルバーナ6aに向けて噴射される。同様に、ガス連絡管14bを通って左右の下面グリルバーナ6bの混合通路(図示は省略)まで導かれ、ガス連絡管14bの先端に取り付けられた図示しない噴射ノズルから下面グリルバーナ6bの混合通路に向けて噴射される。
【0027】
ガスバルブ装置12cには、上面グリルバーナ6a用のニードル弁(図示は省略)と、下面グリルバーナ6b用のニードル弁(図示は省略)とが内蔵されている。そして、ガスコンロ1のユーザが調節レバー9cを左右に移動させると、その動きが後述する駆動ピンに伝わって、上面グリルバーナ6a用のニードル弁が移動し、上面グリルバーナ6aに供給される燃料ガスのガス流量を変更することができる。また、調節レバー9dを左右に移動させると、その動きが後述する駆動ピンに伝わって、下面グリルバーナ6b用のニードル弁が移動し、下面グリルバーナ6bに供給される燃料ガスのガス流量を変更することができる。このため、調節レバー9cおよび調節レバー9dを別々に移動させることで、上面グリルバーナ6aおよび下面グリルバーナ6bの火力を別々に調節することが可能となっている。
【0028】
図3は、ガスコンロ1の側方から見て、ガスコンロ1内に搭載されたガスバルブ装置12cを示した説明図である。図示されるように、ガスバルブ装置12cは前面パネル7の奥側で、天板3の下方の位置に搭載されている。前面パネル7には、ボタン開口部10cが開口しており、ボタン開口部10cの上方の位置にはレバー開口部11cが開口している。ボタン開口部10cからは点火ボタン8cが突設されており、レバー開口部11cからは調節レバー9c,9dが突設されている。ガスコンロ1のユーザが点火ボタン8cを押し下げると、回動軸18を中心に点火ボタン8cが回動し、その動きでガスバルブ装置12c内の操作子12dが後方に押されて、図示しないバルブが開くようになっている。
【0029】
また、ガスバルブ装置12cの上部には回動軸16cが突設されており、回動軸16cには調節レバー9cおよび調節レバー9dが回動可能に取り付けられている。調節レバー9cおよび調節レバー9dはレバー開口部11cに挿通されて、先端側が外部に突出しており、調節レバー9cあるいは調節レバー9dの先端側を水平方向に移動させると、回動軸16cを中心として調節レバー9cあるいは調節レバー9dが回動する。そして、詳細には後述するが、調節レバー9cの動きは、ガスバルブ装置12cから上方に突出した駆動ピン16aに伝わるようになっており、調節レバー9dの動きは、ガスバルブ装置12cから上方に突出した駆動ピン16bに伝わるようになっている。
【0030】
また、ガスバルブ装置12cの上部には、上面グリルバーナ6aに燃料ガスを供給するためのガス連絡管14aや、下面グリルバーナ6bに燃料ガスを供給するためのガス連絡管14bも接続されており、これらのガス連絡管14a,14bは、板金製の連絡管固定板17によってガスバルブ装置12cの上部に固定されている。
【0031】
更に、本実施例では、調節レバー9c,9dが取り付けられる回動軸16cよりも、レバー開口部11cから見て奥側の位置で、ガス連絡管14a,14bがガスバルブ装置12cの上面に挿入接続されている。そして、ガス連絡管14a,14bを固定する連絡管固定板17が、ネジ12eでガスバルブ装置12cの上面に締結されている。連絡管固定板17は、レバー開口部11c側の一端がレバー開口部11cに向かって延長されると共に、駆動ピン16a,16bの手前側の位置で上方に向けて折れ曲がった後、再び、折れ曲がってレバー開口部11cの方向に延長され、駆動ピン16a,16bの上方を超えた位置で下方に向けて折れ曲がった形状となっている。このため、駆動ピン16a,16bは、上方とレバー開口部11cの側とが、連絡管固定板17で囲われた状態となっている。尚、以下では、駆動ピン16a,16bの上方を囲っている部分の連絡管固定板17を「上方遮蔽部17b」と称し、レバー開口部11cの側を囲っている部分の連絡管固定板17を「開口遮蔽部17a」と称する。また、連絡管固定板17が駆動ピン16a,16bの手前で上方に立ち上がっている部分を「立上部17c」と称する。
【0032】
図4は、ガスバルブ装置12cに取り付けられた連絡管固定板17や調節レバー9c,9dの形状を、ガスバルブ装置12cの上方から見た状態で示した説明図である。尚、連絡管固定板17や調節レバー9c,9dの形状を分かり易くするために、図4では、連絡管固定板17や調節レバー9c,9dの上部の構造(天板3や前面パネル7の一部など)は図示が省略されている。
【0033】
図示されるように、ガスバルブ装置12cの上部には、調節レバー9c,9dが回動軸16cで回動可能に取り付けられている。調節レバー9cにはカム穴19aが形成されており、カム穴19aには駆動ピン16aが挿通されている。また、調節レバー9dにはカム穴19bが形成されており、カム穴19bには駆動ピン16bが挿通されている。このため、ユーザが、レバー開口部11cから突出した調節レバー9cの先端側を左右に移動させると、回動軸16cを中心に調節レバー9cが回動し、調節レバー9cのカム穴19aに係合した駆動ピン16aを前後方向に移動させる。その結果、ガスバルブ装置12cに内蔵された上面グリルバーナ6a(図2参照)用のニードル弁が前後方向に移動するようになっている。同様に、ユーザが調節レバー9dの先端側を左右に移動させると、回動軸16cを中心に調節レバー9dが回動し、調節レバー9dのカム穴19bに係合した駆動ピン16bを前後方向に移動させ、その結果、ガスバルブ装置12cに内蔵された下面グリルバーナ6b(図2参照)用のニードル弁が前後方向に移動する。
【0034】
また、連絡管固定板17には、上述した立上部17cと上方遮蔽部17bと開口遮蔽部17aとが形成されている。そして、上方遮蔽部17bの部分は、調節レバー9cのカム穴19aや駆動ピン16aの上方、および調節レバー9dのカム穴19bや駆動ピン16bの上方を完全に覆っている。更に、連絡管固定板17の開口遮蔽部17aは、レバー開口部11cの横幅よりも幅広(少なくとも同幅)に形成されている。
【0035】
図5は、ガスコンロ1の前方から見た状態で、前面パネル7にレバー開口部11cが開口した部分を拡大して示した説明図である。図示されるように、レバー開口部11cからは調節レバー9c,9dが突出しているが、調節レバー9c,9dの奥には連絡管固定板17の開口遮蔽部17aが存在しており、開口遮蔽部17aの横幅はレバー開口部11cの横幅よりも広くなっている。加えて、開口遮蔽部17aは連絡管固定板17と一体に形成されており、連絡管固定板17はガスバルブ装置12cに取り付けられているため、ユーザが調節レバー9cや調節レバー9dを左右に移動させても、レバー開口部11cに対して開口遮蔽部17aの位置が移動することはない。このため、たとえ煮零れ汁の飛沫やスプレーされた洗剤がレバー開口部11cから中に入っても、開口遮蔽部17aで遮られて、それよりも内部に入ることはなく、ガスコンロ1が動作不良となる事態を防止することができる。
【0036】
更に、ガスバルブ装置12cに内蔵されたニードル弁を駆動する駆動ピン16a,16bは、開口遮蔽部17aよりも奥側に存在しており、しかも図3および図4を用いて前述したように、駆動ピン16a,16bの上方は上方遮蔽部17bで覆われている。このため、煮零れ汁や洗剤の飛沫がレバー開口部11cから入り込んでも、カム穴19a,19bから駆動ピン16a,16bを介してニードル弁に到達することはなく、従って、ニードル弁が動きにくくなって上面グリルバーナ6aや下面グリルバーナ6bの火力調節に支障を来す事態を確実に回避することも可能となる。
【0037】
また、開口遮蔽部17aおよび上方遮蔽部17bは、ガスバルブ装置12cに接続されたガス連絡管14a,14bを固定するための連絡管固定板17の一端側を延長することによって形成されている。このため、ガスコンロ1の部品点数が増加する事態も回避することが可能となる。
【0038】
尚、上述した実施例では、グリルバーナ用の調節レバー9c,9dが突出しているレバー開口部11cの奥に開口遮蔽部17a(および上方遮蔽部17b)が設けられているものとして説明した。しかし、左コンロバーナ4a用の調節レバー9aが突出しているレバー開口部11aや、右コンロバーナ4b用の調節レバー9bが突出しているレバー開口部11bの奥に、開口遮蔽部17a(および上方遮蔽部17b)を設けることとしてもよい。こうすれば、レバー開口部11aやレバー開口部11bから、煮零れ汁や洗剤の飛沫が入り込んでニードル弁に到達し、左コンロバーナ4aや右コンロバーナ4bの火力調節に支障を来たしたり、ガスコンロ1の動作不良を招いたりする事態を回避することが可能となる。
【0039】
また、上述した実施例では、開口遮蔽部17a(および上方遮蔽部17b)が連絡管固定板17と一体に形成されているものとして説明した。しかし、開口遮蔽部17a(および上方遮蔽部17b)は、他の部材(例えば、前面パネル7が取り付けられる本体ケース2の枠体など)の一部を延長することによって形成してもよい。あるいは、開口遮蔽部17a(および上方遮蔽部17b)を、連絡管固定板17とは異なる単独の部材として形成しておき、ガスバルブ装置や前面パネル7や本体ケース2の枠体などに取り付けるようにしてもよい。
【0040】
以上、本実施例のガスコンロ1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…ガスコンロ、 2…本体ケース、 3…天板、 4a…左コンロバーナ、
4b…右コンロバーナ、 5a,5b…五徳、 6…グリル庫、
6a…上面グリルバーナ、 6b…下面グリルバーナ、 6t…グリル扉、
7…前面パネル、 8a~8c…点火ボタン、 9a~9d…調節レバー、
10a~10c…ボタン開口部、 11a~11c…レバー開口部、
12a~12c…ガスバルブ装置、 12d…操作子、 12e…ネジ、
13…ガス配管、 14a,14b…ガス連絡管、 15a…噴射ノズル、
16a,16b…駆動ピン、 16c…回動軸、 17…連絡管固定板、
17a…開口遮蔽部、 17b…上方遮蔽部、 17c…立上部、
18…回動軸、 19a…カム穴、 19b…カム穴。
図1
図2
図3
図4
図5