(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110391
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】カートン自動供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20230802BHJP
B65B 35/38 20060101ALI20230802BHJP
B65B 35/44 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B65B69/00 103
B65B35/38
B65B35/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011806
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】飯酒盃 真
【テーマコード(参考)】
3E054
3E058
【Fターム(参考)】
3E054AA01
3E054CA05
3E054DA09
3E054DC12
3E054DD01
3E054DE02
3E054EA03
3E054FB18
3E054FC04
3E054FC13
3E054FC16
3E058AA02
3E058BA11
3E058CB02
3E058CB06
3E058DA01
3E058EA01
(57)【要約】
【課題】 上下に積み重なった状態で収納されたカートンを箱から取り出し、カートナーに自動的に供給すること
【構成】 上下に積層された複数のカートン13(カートン群14)を収納する段ボール箱12に対し、その上方開口側から段ボール箱とカートン群の隙間に挿入し段ボール箱の底部121を吸着する保持部272を備えた反転ガイド27と、反転ガイドにより段ボール箱の上下を反転した際に、段ボール箱内で相対的に下降移動するカートン群を支持する載置部26と、反転ガイド及び載置部を取り付けるロボットアーム23と、反転ガイドにより上下が反転した姿勢の段ボール箱の底面を吸着保持可能な第2吸盤部31を備える。段ボール箱を第2吸盤部31に吸着させた状態で保持部による吸着保持を解除し、反転ガイド及び載置部を下降してカートン群を取り出し、載置部に載っているカートン群をカートナーに受け渡すように構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカートンが上下に積み重なった状態のカートン群が収納された箱から、前記カートン群を取り出して下流側の装置に供給するカートン自動供給装置であって、
上方が開口した状態の前記箱に対し、その上方側から前記箱と前記カートン群の隙間に挿入し前記箱を内側から吸着保持する保持部を備えた反転ガイドと、
前記反転ガイドにより前記箱の上下を反転した際に、前記箱内で相対的に下降移動する前記カートン群を支持する載置部と、
前記反転ガイド及び前記載置部を取り付けるロボットアームと、
前記反転ガイドにより上下が反転した姿勢の前記箱の外側を吸着保持可能な吸着部を備え、
前記箱を前記吸着部に吸着させた状態で前記保持部による前記箱に対する吸着保持を解除するとともに、前記反転ガイド及び前記載置部が下降するように前記ロボットアームの動作を制御する機能を備え、
前記載置部を前記装置の搬入側に移動し、前記載置部の上に載っている前記カートン群を前記装置に受け渡すように構成することを特徴とするカートン自動供給装置。
【請求項2】
前記反転ガイドと前記載置部は、別部材として構成され、
前記反転ガイドは、前記ロボットアームに対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のカートン自動供給装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記箱の底部に接触し、吸着する機能を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のカートン自動供給装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記箱の内側面に接触し、吸着する機能を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカートン自動供給装置。
【請求項5】
前記吸着部を、前記箱を吸着する第1位置から第2位置に移動する移動手段を備え、
前記移動手段は、前記吸着部が前記箱を吸着した状態のまま前記第2位置に移動させ、その第2位置で前記吸着部が吸引を解除することで、前記箱を搬送装置に移し替え可能に構成した請求項1から4のいずれか1項に記載のカートン自動供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン自動供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱に収納された偏平状の複数の箱包装用のカートンを取り出し、カートナーに自動供給する装置としては、例えば特許文献1に開示された装置がある。係る装置は、複数のカートンがそれぞれ起立した姿勢で段ボール箱に収納されており、当該装置は、一対の爪部材を段ボール箱内に差し込み、複数のカートンからなるカートン群の全体を挟み込んで把持し、その状態のまま一対の爪部材を段ボール箱から抜き出すことで、カートン群を一括して取り出すとともに、カートナーの所定位置に移動し、そこで把持を解除することでカートン群をカートナーに対して自動供給するように構成される。
【0003】
一方、段ボール箱の中に扁平状のカートンが上下に積み重ねられた状態で梱包されている場合、特許文献1に開示された装置を用いると、下の方に位置するカートンを把持することができず、また、水平状態のカートンを横から挟むことになり、挟み込んだカートンがばらけて落下したり、カートンが曲がったりするおそれがある。よって、係る特許文献1に開示された装置を使用することができない。そのため、そのような平積みの態様で段ボール箱に梱包されたカートンをカートナーに供給するには、作業者が手作業で段ボール箱の中から取り出して供給する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者の手作業による供給作業は作業者の負担が大きく、長時間連続して作業することが難しく、適宜交代する必要がある。また、そのような平積みに梱包されたカートンであっても供給装置で自動的に段ボール箱から取り出しを行うためには、例えば、上下に積み重なった複数のカートンの束を帯で一周するようにバンド掛けするとともに、その帯が段ボール箱の上方開口面側に位置するようにした梱包しておく。そして、供給装置は、帯を掴んで、或いは開口面に露出する部分を吸着して持ち上げることでカートンの束を段ボール箱から取り出し、その状態のままカートナーの所定位置にセットするように構成することができる。
【0006】
しかし、そのような装置では、カートナーにセットした後で、帯を切断するとともに切断したバンドを取り外し、回収する必要があるので煩雑である。さらに、帯は、カートンの周りを一周しているので、カートナーにセットした状態ではカートンとカートナーの搬入部位との間に帯の一部が挟まれることになり、帯を外す機構や外した帯の処理機構等が複雑になり、自動化には多くの機構・要素が必要である。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のカートン自動供給装置は、(1)複数のカートンが上下に積み重なった状態のカートン群が収納された箱から、前記カートン群を取り出して下流側の装置に供給するカートン自動供給装置であって、上方が開口した状態の前記箱に対し、その上方側から前記箱と前記カートン群の隙間に挿入し前記箱を内側から吸着保持する保持部を備えた反転ガイドと、前記反転ガイドにより前記箱の上下を反転した際に、前記箱内で相対的に下降移動する前記カートン群を支持する載置部と、前記反転ガイド及び前記載置部を取り付けるロボットアームと、前記反転ガイドにより上下が反転した姿勢の前記箱の外側を吸着保持可能な吸着部を備え、前記箱を前記吸着部に吸着させた状態で前記保持部による前記箱に対する吸着保持を解除するとともに、前記反転ガイド及び前記載置部が下降するように前記ロボットアームの動作を制御する機能を備え、前記載置部を前記装置の搬入側に移動し、前記載置部の上に載っている前記カートン群を前記装置に受け渡すように構成する。
【0009】
このようにすると、ロボットアームの動作により、箱の上方から反転ガイドを降ろして保持部を箱内に挿入し、箱を内側から吸着保持した状態で反転ガイドの向きを上下反転することで箱の姿勢も上下反転させる。これにより、カートン群は、箱内を相対的に下降移動し、載置部に載る。また、ロボットアームの動作により反転ガイドを上昇させ箱の底面を吸着部に押し当てて箱を吸着させ、その状態で保持部の吸着保持を解除し反転ガイドおよび載置部を下降することで載置部に載ったカートン群を箱から抜き取る。その後、載置部を装置の搬入側に移動し、載置部の上に載っているカートン群を装置に受け渡すことで、複数のカートンからなるカートン群を自動的に箱から取り出して装置に供給する。装置は、実施形態ではカートナーの搬入側に配置される搬送装置に対応する。吸着部は、実施形態では第2吸盤部31に対応する。
【0010】
(2)前記反転ガイドと前記載置部は、別部材として構成され、前記反転ガイドは、前記ロボットアームに対して着脱可能に取り付けられるようにするとよい。このようにすると、箱からカートン群を取り出した後は、反転ガイドを取り外して所定位置に置き、載置部に載っているカートン群を装置に受け渡すことができる。カートン群の受け渡しの作業は、ロボットアームが反転ガイドから取り外された状態で行えるので、構成が簡略化され、受け渡し作業を行う際に反転ガイドが邪魔になることもなく、簡単な構成で受け渡しを行うことができる。
【0011】
(3)前記保持部は、前記箱の底部に接触し、吸着する機能を備えるとよい。このようにすると、しっかりと箱を保持することができる。
【0012】
(4)前記保持部は、前記箱の内側面に接触し、吸着する機能を備えるとよい。このようにすると、例えば、カートンの形状や箱の深さ等から保持部の先端を箱の内定面に達することができないようなものであっても、吸着保持することができ、箱を反転させることができる。また、(3)の発明と組み合わせることで、箱の底部と側面の両方を吸着保持でき、よりしっかりと箱を保持することができる。
【0013】
(5)前記吸着部を、前記箱を吸着する第1位置から第2位置に移動する移動手段を備え、前記移動手段は、前記吸着部が前記箱を吸着した状態のまま前記第2位置に移動させ、その第2位置で前記吸着部が吸引を解除することで、前記箱を搬送装置に移し替え可能に構成するとよい。このようにすると、空の箱を搬送装置に自動的に移し替えることができ、箱の排出・廃棄等の作業も容易に行える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、箱に上下に積み重なった状態で収納された複数のカートンを箱から取り出し、カートナー等の装置に自動的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るカートン自動供給装置が実装されるシステムの好適な一実施形態を示す平面図である。
【
図2】カートン群を収納した段ボール箱を搬送する第1搬送装置と、カートナーを構成する第2搬送装置を示す正面図である。
【
図4】(a)はカートンの一例を示す図であり、(b)はそのカートンを段ボール箱に収納した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1,
図2等は、本発明に係るカートン自動供給装置並びにそれが実装される製函システムの好適な一実施形態を示している。本実施形態のカートン自動供給装置10は、上流側に配置される第1搬送装置11により順次搬送されてくる段ボール箱12内に収納された複数のカートン13が積層されたカートン群14を取り出し、下流側に配置される第2搬送装置16に供給する機能を備える。
【0018】
本実施形態の供給対象となるカートン13は、
図4(a)等に示すように、矩形状の底部131と、その底部131の4辺に隣接して配置される側壁部132と、4つの側壁部132の内の一つの上辺に隣接して配置される外フラップ133と、残りの3つの側壁部132の上辺に隣接して配置される内フラップ134と、隣接する側壁同士を接着するための糊代部135とを備え、それらが展開状態の一枚のシート状に形成される。このようなシート状のカートン13が、複数枚上下に積み重なって形成されるカートン群14が、段ボール箱12内に収納される。本実施形態では、複数のカートン13は、そのまま積層した姿勢となり、帯などでバンド掛けすることなく収納されている。そして、カートン群14が段ボール箱12内に収納された状態では、
図4(b)等に示すように、平面視で段ボール箱12の内部の四隅に、カートン群14の四隅との間に隙間が形成され、段ボール箱12の底部121がカートン群14に隠れることなく上方側に露出する。
【0019】
第1搬送装置11は、例えばベルトコンベア、フィンガーコンベア、バケットコンベアなどから構成され、例えば間歇動作して段ボール箱12を下流側の搬出箇所に位置させると一時停止し、所定時間、段ボール箱12を搬出箇所にとどめるように動作を制御する。また、コンベア側を一時停止するのではなく、搬送中の段ボール箱12に接触などして搬送を一時停止するストッパー部材を設け、段ボール箱12を搬出箇所にとどめるようにしてもよい。さらには、必ずしも段ボール箱12を搬出箇所に一時的にとどめる必要はなく、移動中の段ボール箱12に対しカートン自動供給装置10が所定の処理を行うようにしてもよいが、本実施形態のように段ボール箱12は所定位置で一時的にとどめるようにした方が好ましい。
【0020】
また、カートン群14を収納した段ボール箱12は、未開封の梱包した状態でシステムに順次セットされる。そこで、本システムでは、第1搬送装置11の搬送途中、或いは第1搬送装置11よりも上流側の所定位置で、段ボール箱12の上方を開封し、外フラップ122及び内フラップ123をそれぞれ外側に折り返して段ボール箱12の上方を開口する機能を備える。これにより、
図1等に示すように、第1搬送装置11上の搬出側を移動する段ボール箱12は、外フラップ122及び内フラップ134が外に向けて開いた解放姿勢となり、搬出箇所で一時停止している段ボール箱12内に収納されたカートン群14は、その上面が露出し、カートン13によって隠れていない段ボール箱12の底部121の四隅も上方に露出する。
【0021】
第2搬送装置16は、搬送方向に対して直交する方向に所定の間隔を置いて配置される2本のエンドレスベルト20と、その2本のエンドレスベルト20がそれぞれ掛け渡される搬送方向に沿って前後に配置されるプーリ21(図では、上流側のみ示す)と、左右の2本のエンドレスベルト20に跨がるように取り付けられるバケット22などを備える。バケット22は、搬送方向に沿って所定ピッチで配置され、カートン自動供給装置10は、段ボール箱12から取り出したカートン群14を、複数のカートン13が上下に積み重なった態様でバケット22内に供給する。その後、エンドレスベルト20の回転に追従して移動するバケット22とともに、カートン群14が搬送され、製函される。
【0022】
またバケット22は、底板221と、その底板221の左右端に設けられエンドレスベルト20から離れる外側に向けて起立する側壁板222を有する。底板221は、搬送方向の後端側から前方に向けて凹状の切欠き部が左右に2個設けられ、これにより、底板221は、平面視で左右両側縁の側部位2211と中央部位2212の3本の脚が前端側でつながるとともに後方に向けて延びるような形状となり、それら3本の脚により、カートン群14の底面を支持し、また、左右の側壁板222が、カートン群14の左右をガイドし、積層された複数のカートン13が崩れるのを抑止しつつ安定して搬送する。
【0023】
本実施形態のカートン自動供給装置10は、3次元空間を所定の軌跡で移動可能なロボットアーム23を有するロボット本体24と、カートン群14が収納されていた段ボール箱12を回収する箱回収装置25を備える。
【0024】
そして
図3等にしめすように、ロボット本体24は、ロボットアーム23の先端のロボットハンドに、カートン13(カートン群14)を載せることができる載置部26と、段ボール箱12を保持する反転ガイド27を取り付ける。
【0025】
載置部26は、所定の間隔を置いて2本の支持ロッド261と、その支持ロッド261を片持ち支持する連結部材262を備え、連結部材262がロボットアーム23の先端に連結される。本実施形態では、載置部26はロボットアーム23により姿勢及び位置が制御され、例えば、2本の支持ロッド261を水平に位置した状態でその上にカートン群14を置くと、カートン群14を安定して支持することができる。また、2本の支持ロッド261の間隔は、例えばカートン13の底部131の横幅よりも狭くし、2本の支持ロッド261が同時に底部131に接触して支持できるようにするとよい。また、支持ロッド261の数は、本実施形態では2本としているが、3本以上としてもよい。3本以上にすると、異なる寸法形状のカートン13の支持に対応しやすくなるが、各支持ロッド261が同一平面上に位置するように構成するとよい。また、実施形態では、支持ロッド261は丸棒状にしているが、形状は任意であり、さらには板状など各種の形態にするとよい。
【0026】
反転ガイド27は、偏平な矩形状のベース部材271の一方の面の四隅に、保持部272を備える。保持部272は、棒状のガイド部2721と、ガイド部2721の先端に取り付けられた第1吸盤部2722を備える。ガイド部2721は、両端開口した中空した円筒状に形成され、第1吸盤部2722における吸引する空気の通路を有する。また、ベース部材271の内部には、ガイド部2721の空気の通路に連携する配管が設けられ、反転ガイド27がロボットアーム23側に取り付けられた状態では、その配管がロボットアーム23側の真空ポンプ等の吸引装置に繋がる配管に接続される。これにより、吸引装置に連携することで、第1吸盤部2722の先端の吸着面で、対象物を吸引し保持することができる。
【0027】
さらに、4つの保持部272は、
図1等に示すように、段ボール箱12の底部121の四隅に対向するように配置され、カートン群14と段ボール箱12の内周面との間に形成される隙間内に進入可能な寸法形状で形成される。さらに、保持部272の長さは、段ボール箱12の深さと同じか、それ以上にするとよく、段ボール箱12の上方から箱内に4つの保持部272を進入させると、段ボール箱12の底部121に第1吸盤部2722の先端の吸着面が接触するような長さにしている。
【0028】
さらに本実施形態では、反転ガイド27は、ハンドチェンジャーツール(図示せず)を介してロボットアーム23の先端のロボットハンドに対し着脱可能に取り付けている。そして、反転ガイド27を取り付けた状態では、上述したようにロボットアーム23側の配管につながり、吸引装置の作動を受けて第1吸盤部2722の先端の吸着面にて吸着可能になる。また、反転ガイド27の連結を解除した状態では、反転ガイド27はロボットアーム23から離反可能となる。そして、ロボットアーム23が連結を解除した反転ガイド27から離反した状態では、ロボットアーム23の先端には載置部26のみが取り付けられた姿態となる。
【0029】
箱回収装置25は、一端側に第2吸盤部31を備えたレバー32と、空の段ボール箱12を搬送する第3搬送装置33を備える。レバー32は、他端側を回転中心として正逆回転するように構成される。レバー32は、垂直平面内で180度の角度範囲内で正逆回転するように構成され、第2吸盤部31が上側に位置する第2位置と、第2吸盤部31が下側に位置する第1位置の間を交互に遷移する。第3搬送装置33は、左右に配置される一対のエンドレスベルト331を備えたベルトコンベアである。そして、レバー32が第2位置に位置すると、第2吸盤部31の吸着面が上向きの状態で一対のエンドレスベルト331間に位置する。また、レバー32が第1位置に位置すると、第2吸盤部31の吸着面が下向きの状態で第3搬送装置33から離れた箇所に位置する。
【0030】
上述した構成からなるカートン自動供給装置10は、ロボット本体が以下のような動作をするように制御され、段ボール箱12内に収納されているカートン群14を段ボール箱12から取り出し、第2搬送装置16のバケット22内に供給する。
【0031】
まず、カートン群14が収納された段ボール箱12が、第1搬送装置11の搬出箇所で一時停止して待機した状態で、ロボット本体24が動作し、先端に載置部26及び反転ガイド27を取り付けた状態のロボットアーム23が所定の軌跡で移動し、
図5(a)に示すように、保持部272がベース部材271の下方に伸びる姿勢の反転ガイド27を、搬出箇所で待機する段ボール箱12の上方に位置させる。次いで、ロボット本体24は、ロボットアーム23の先端ひいては反転ガイド27を下降して保持部272を段ボール箱12内に挿入し、第1吸盤部2722の吸着面を段ボール箱12の底部121に接触させるとともに、第1吸盤部2722の吸引を行い、段ボール箱12の底部121の四隅を吸着保持する(
図5(b)参照)。この状態では、4本の保持部272は、それぞれカートン群14と段ボール箱12との間に形成される隙間内に位置し、段ボール箱12の上方の開口部位は、ベース部材271で覆われる。
【0032】
次いで、ロボット本体24は、段ボール箱12を吸引保持した状態のまま反転ガイド27を上昇移動させるとともに、上下反転させることで、段ボール箱12の上下も反転させ、開口部位が下を向く姿勢にする。これにともない、段ボール箱12内のカートン群14は、重力により段ボール箱12に対して相対的に下降移動し、載置部26に載る(
図5(c)参照)。
【0033】
続いて上下反転させた段ボール箱12を箱回収装置25へ移動し、上方に設けられた第2吸盤部31に段ボール箱12の外側の底面を押し当てる(
図5(d)参照)。その状態で、第2吸盤部31の吸引を行い、段ボール箱12を第2吸盤部31で吸着する。
【0034】
その状態で反転ガイド27の第1吸盤部2722の吸引を停止するとともに、ロボットハンドを下降する。これにともない、反転ガイド27及び載置部26は下降し、それに追従して載置部26に載っているカートン群14も下降し、段ボール箱12から抜き取る(
図6(a)参照)。
【0035】
次いでロボット本体24は、保持部272が上を向いている反転ガイド27を、反転ガイド置き場35の上方に位置させるべくロボットアーム23を動作させ、反転ガイド27を反転ガイド置き場35の上に載せる(
図6(b)参照)。その状態で、ハンドチェンジャーツールを動作させ、反転ガイド27をロボットハンドから離脱させる。その後、載置部26を上昇移動させるようにロボットアーム23を動作させる。これにより、載置部26に載っているカートン群14も一緒に上昇し、反転ガイド27外に移動する(
図6(c)参照)。この状態では、カートン群14は、載置部26を構成する2本の支持ロッド261により支持されている(
図6(d)参照)。そして、ロボット本体24は、載置部26を所定の軌跡を通って第2搬送装置16の搬入部位まで移動するようにロボットアーム23を動作させる。これにより、載置部26に載っているカートン群14も、第2搬送装置16の搬入部位まで搬送される。
【0036】
一方、第2搬送装置16は間歇駆動し、一時停止した際、空のバケット22は搬入部位で待機する。
図1に示すように、バケット22の底板221は、左右に配置される側部位2211と中央部位2212の3本の脚が前端縁側から後方に向けて延びるような形状となっており、ロボット本体24は、載置部26の2本の支持ロッド261が、中央部位2212と側部位2211の間の切欠き部分を上方から下方に向けて通過するようにロボットアーム23を動作させる。これにより、載置部26に載っていたカートン群14は、バケット22の底板221の上に移し替えられ、以後、第2搬送装置16に移動に伴いバケット22とともに搬送され、カートナーにて折り畳まれて製函される。
【0037】
一方、箱回収装置25は、
図7中、二点鎖線で示す第2吸盤部31が下を向く第1位置で段ボール箱12を吸着すると、レバー32を180度回転させて第2位置に変位する。この間、第2吸盤部31による吸引を継続する。これにより、
図7中実線で示すように、第2吸盤部31は、第3搬送装置33の左右一対のエンドレスベルト331間に位置し、段ボール箱12の底面が左右一対のエンドレスベルト331に掛け渡されるように載る。この状態で第2吸盤部31の吸引を解除する。これにより、以後、空の段ボール箱12は、第3搬送装置33の搬送力を受けて搬送される。第3搬送装置33の下流側に、例えば、段ボールを圧縮減容する装置を配置すると、段ボール箱12からカートン13を取り出してカートナーに供給する作業と、そのカートンが取り出された空の段ボール箱12の回収作業を完全自動化して行える。また、回収作業を自動化せず、第3搬送装置33で搬送されてくる段ボール箱12を作業員が回収するように構成してもよい。
【0038】
本実施形態では、反転ガイド27を着脱可能に構成したため、第2搬送装置16にカートン群14を移し替える際に、2本の支持ロッド261をバケット22の底板221を上方から下方に移動するだけでよい。さらに、例えば異なるカートン13の寸法形状に対応すべくサイズ換えも容易に行える。
【0039】
なお、本発明は必ずしも反転ガイドを着脱自在にする必要はなく、反転ガイド27を取り付けたまま第2搬送装置16に移動して供給するようにしてもよい。その場合、例えば載置部26は、上述した実施形態のように反転ガイド27と別部材に構成してもよいが、例えば反転ガイド27のベース部材271を載置部に兼用するとよい。そして、ベース部材271の形状を、偏平な矩形状に変えて、カートナー側の供給位置の構造に干渉しないような形状にするとよい。また、反転ガイド27を取り付けた状態のままにすると、着脱機構が不要となるので装置構成は簡単になるとともに、段ボール箱12から取り出したカートン群14を水平方向に移動中に保持部272が横ずれ防止のガイドにとして機能するのでよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、カートン13がエアプレーンタイプであり、段ボール箱12内に収納した状態で四隅に比較的大きく隙間ができる。よって、4本の保持部272を備え、各保持部272も丸棒状に構成したが、本発明はこのようなタイプのカートン13に限ることはなく、各種の形状のものに適用できる。そして、例えば、カートンと段ボール箱との間に形成される隙間が少なかったり、無かった場合でも、例えば保持部の形状を軸方向に対して直交方向の断面が偏平で薄くしたり、保持部を段ボール箱内に挿入する際に段ボール箱を斜めにしてカートンを片側によせることで隙間を形成し、その形成した隙間内に先端に吸着部を備えた保持部を挿入し、底部121を吸着保持するように構成するとよい。
【0041】
また、保持部は、実施形態のように4本設け、四隅に配置するレイアウトをとると、安定して段ボール箱を保持することができるので好ましいが、例えば本数を減らし2箇所や1箇所を吸着保持するようにしてもよい。特に、上述した変形例のように、元々形成される隙間が狭い場合などのように、段ボール箱を傾ける場合、隙間が形成される上側に1または複数本の保持部を挿入するように構成するとよい。
【0042】
さらに吸着する面は、実施形態のように段ボール箱12の底部121とするとよいが、それら変えて或いはそれに加えて段ボール箱の内周面を吸着するようにしてもよい。例えば、保持部272を構成するガイド部2721の外周面の少なくとも一部の段ボール箱の内側面に対向する部位に平坦な部分を設け、そこに吸着孔を設け、段ボール箱の内側面を吸着するようにしてもよい。
【0043】
特に、例えば、片側2本しか入らないケースの場合、2本の保持部272(ガイド部2721)を例えば偏平にして少なくとも段ボール箱の内側面に対向する部位を平面にし、箱の内側面も吸着するようにするとよい。この場合にガイド部2721の先端に吸盤部を設けるとよいが、必ずしも設けなくてもよい。
【0044】
さらにまた、上述した実施形態では、複数のカートン13は、そのまま積層した姿勢となり、帯などでバンド掛けすることなく段ボール箱12内に収納されるようにし、バンド掛けしていないカートン群14であっても、自動的に段ボール箱12から取り出し、カートナーに供給することができるものであるが、本発明は、複数のカートン13を帯でバンド掛けしたカートン群に対する適用を排除するものではない。
【0045】
そして、バンド掛けしたタイプに適用する場合、帯のカット及び回収する作業が必要となり、係る作業を従来と同様に従来と同様にカートナーにセットしてから行ってもよいが、本実施形態では、反転ガイド27により段ボール箱12を吸着保持して反転し、その後は反転により載置部26に置かれたカートン群14を段ボール箱から取り出すので、その段ボール箱からの取り出し途中や、取り出し後のカートナーに向けての移動途中等で行うとよい。例えば、移動軌跡の途中に帯を切るカッター装置を配置し、そのカッター装置に帯が接触してカットされるようにロボットアーム23を動作させるとよい。また、バンド掛けしたタイプに適用する場合、帯が回収しやすくするように載置部26の載置面に凸部を設けてカートン群14を載置面から浮かすよう構成するとよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、第2吸盤部31は、垂直平面内で180度正逆回転するレバー32に取り付け、下向きの姿勢となる第1位置と上向きの姿勢となる第2位置との間で変位し、第2位置では、第3搬送装置33の搬送面と同じか、下方に位置することで、第2位置で吸着を保持して第3搬送装置33に対する移し替えを簡単に行えるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、移動方向は任意である。また、実施形態のように箱を上向きに戻すことなく、下向きのままあるいは横を向いた姿勢で搬送装置に移し替えるようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0048】
10 :カートン自動供給装置
11 :第1搬送装置
12 :段ボール箱
121 :底部
13 :カートン
14 :カートン群
16 :第2搬送装置
23 :ロボットアーム
24 :ロボット本体
25 :箱回収装置
26 :載置部
261 :支持ロッド
262 :連結部材
27 :反転ガイド
271 :ベース部材
272 :保持部
2721 :ガイド部
2722 :第1吸盤部
31 :第2吸盤部
32 :レバー
33 :第3搬送装置
35 :反転ガイド置き場